(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】洗濯用シート
(51)【国際特許分類】
C11D 17/06 20060101AFI20230221BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20230221BHJP
C11D 1/14 20060101ALI20230221BHJP
C11D 1/72 20060101ALI20230221BHJP
C11D 1/52 20060101ALI20230221BHJP
C11D 1/04 20060101ALI20230221BHJP
C11D 1/75 20060101ALI20230221BHJP
C11D 1/68 20060101ALI20230221BHJP
C11D 1/28 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
C11D17/06
C11D3/37
C11D1/14
C11D1/72
C11D1/52
C11D1/04
C11D1/75
C11D1/68
C11D1/28
(21)【出願番号】P 2020560988
(86)(22)【出願日】2019-05-02
(86)【国際出願番号】 KR2019005283
(87)【国際公開番号】W WO2019212266
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2020-10-29
(31)【優先権主張番号】10-2018-0050665
(32)【優先日】2018-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0051664
(32)【優先日】2019-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518287423
【氏名又は名称】ネクスト・アップ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】NEXT UP CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】#403 OFFICE BUILDING, KINTEX-RO 217-59, ILSANSEO-GU, GOYANG-SI, GYEONGGI-DO, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】リ,ジュンキュ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジュンホ
(72)【発明者】
【氏名】ヨン,ガオン
(72)【発明者】
【氏名】ウー,カイウェイ
【審査官】長部 喜幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-262197(JP,A)
【文献】特開2005-239786(JP,A)
【文献】特開平05-271695(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2005-0023675(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0315689(US,A1)
【文献】国際公開第2018/045478(WO,A1)
【文献】特開2003-166000(JP,A)
【文献】国際公開第2017/105131(WO,A1)
【文献】特表2010-523746(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 17/06
C11D 3/37
C11D 1/14
C11D 1/72
C11D 1/52
C11D 1/04
C11D 1/75
C11D 1/68
C11D 1/28
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコール系共重合体を用いて製造され、界面活性剤を含有する洗浄用シートであって、
前記界面活性剤は、主界面活性剤と補助界面活性剤を含み、
前記主界面活性剤は、第1主界面活性剤と第2主界面活性剤を含み、前記第1主界面活性剤と前記第2主界面活性剤は、互いに異なり、それぞれ互いに独立して炭素数8~18のアルキル硫酸アルカリ金属塩を含み、
前記第1主界面活性剤はラウリル硫酸ナトリウムを含み、
前記第2主界面活性剤はナトリウム以外の他のアルカリ金属を含み、
前記補助界面活性剤は、
脂肪酸アルキルエステルアルコキシレート、
非イオン性界面活性剤、
MES一水和物を含む3種以上の互いに異なる界面活性剤を含み、
前記ポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコール系共重合体は30~40重量%、前記主界面活性剤は全重量に対して20~36重量%、前記補助界面活性剤は全重量に対して14~22重量%含まれる、洗濯用シート。
【請求項2】
前記第2主界面活性剤はドデシル硫酸カリウムを含む、請求項1に記載の洗濯用シート。
【請求項3】
前記第1主界面活性剤は全重量に対して10~18重量%含まれる、請求項1に記載の洗濯用シート。
【請求項4】
前記非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(polyoxyethylene alkyl ether)、ココナッツジエタノールアミド(coconut diethanolamide)、脂肪酸アルカノールアミン(fatty acid alkanolamine)、アミンオキシド(amine oxide)、アルキルポリグルコシド(alkyl polyglucoside)、メチルポリエチレンアルキルエーテル(methyl polyethylene alkyl ether)及び糖エーテル(sugar ether)よりなる群から選択される1種以上である、請求項1に記載の洗濯用シート。
【請求項5】
前記脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートが脂肪酸メチルエステルエトキシレートである、請求項1に記載の洗濯用シート。
【請求項6】
前記補助界面活性剤は、全重量に対して、MES一水和物が7~10重量%、脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートが5~8重量%、非イオン性界面活性剤が2~4重量%の含有量で含まれる、請求項1に記載の洗濯用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯機用洗剤としては、これまで粉末洗剤、液体洗剤が一般的に使用されてきている。ところが、粉末洗剤は粉末が飛ばされるという欠点があり、液体洗剤は重くて持ち運びまたは使用するには不便であるという欠点があった。
【0003】
このため、新しいタイプの洗剤として、米国特許第4,605,509号には、液体洗剤成分及び柔軟仕上げ剤を水溶性フィルム袋に包装した洗剤が開示されている。ところが、製品の保管または運搬の際に密封が破れて中身が漏れる現象や、フィルムの表面に有効成分が染み出てくる現象など、製品の保管安定性に非常に劣るという問題があった。
【0004】
これを改良して新しい洗濯用シートとしてシート状の固形洗剤が開発されたが、このシート状の固形製剤は、アルカリ性を示して皮膚への刺激や損傷を招くおそれがあり、シート自体の溶解性もあまり満足すべきものではなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、シート洗剤としての洗浄力に優れるうえ、溶解性、柔軟性などの様々な性能にも優れる新しい洗濯用シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の一例は、ポリビニルアルコール(以下、「PVA」という)、またはポリビニルアルコール系共重合体を用いて製造され、界面活性剤を含有する洗浄用シートであって、前記界面活性剤は、主界面活性剤と補助界面活性剤を含み、前記主界面活性剤は、第1主界面活性剤と第2主界面活性剤を含み、前記第1主界面活性剤と前記第2主界面活性剤は、互いに異なり、それぞれ互いに独立して炭素数8~18のアルキル硫酸アルカリ金属塩を含み、前記補助界面活性剤は、2種以上の互いに異なる界面活性剤を含み、これらのうちのいずれか一つは脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートであり、他の一つは非イオン性界面活性剤である、洗濯用シートを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る洗濯用シートは、シート洗剤として使用することが便利であり、水に完全に溶解して洗濯後に除去する必要がなく、洗浄力に優れるうえ、皮膚への刺激も少なく、柔軟性にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】補助界面活性剤の種類による洗浄力を示すグラフである。
【
図2】補助界面活性剤の種類による皮膚刺激性試験の結果を示すグラフである。
【0009】
【
図3】FMEEを使用したときの生分解性試験の結果を示すグラフである。
【0010】
【
図4】実施例1のサンプルを水に入れて30秒が経過した後の溶解度試験の結果を示す写真である。
【
図5】比較例1のサンプルを水に入れて30秒が経過した後の溶解度試験の結果を示す写真である。
【
図6】比較例2のサンプルを水に入れて30秒が経過した後の溶解度試験の結果を示す写真である。
【0011】
【
図7】実施例1のサンプルを水に入れて60秒が経過した後の溶解度試験の結果を示す写真である。
【
図8】比較例1のサンプルを水に入れて60秒が経過した後の溶解度試験の結果を示す写真である。
【
図9】比較例2のサンプルを水に入れて60秒が経過した後の溶解度試験の結果を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一例に係る洗濯用シートについて説明する。
【0013】
本発明の一例は、ポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコール系共重合体を用いて製造され、界面活性剤を含有する洗浄用シートであって、前記界面活性剤は、主界面活性剤と補助界面活性剤を含み、前記主界面活性剤は、第1主界面活性剤と第2主界面活性剤を含み、前記第1主界面活性剤と前記第2主界面活性剤は、互いに異なり、それぞれ互いに独立して炭素数8~18のアルキル硫酸アルカリ金属塩を含み、前記補助界面活性剤は、2種以上の互いに異なる界面活性剤を含み、これらのうちのいずれか一つは脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートであり、他の一つは非イオン性界面活性剤である、洗濯用シートを提供する。
【0014】
【0015】
ポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコール系重合体は、洗濯用シートを形成する主成分として使用される。シート形成基材としてのポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコール系重合体は、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミドよりシート剤形性に優れるうえ、セルロースより水に対する溶解度に優れるという点でメリットがある。また、シートを形成する主成分として、不溶性または難溶性の素材である不織布、織布の代わりに、水溶性または水分散性の素材であるポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコール重合体を使用することにより、洗濯の際にシートが水に容易に溶けることができる。
【0016】
使用されるポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコール系重合体の分子量は、洗濯用シートの形成に使用するのに適すれば特別な制限はないが、数平均分子量が10,000乃至100,000であることが好ましく、20,000乃至60,000であることがさらに好ましい。ポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコール系重合体の鹸化度も、洗濯用シートの形成に使用するのに適すれば特別な制限がない。
【0017】
ポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコール系共重合体は、組成物の全重量に対して30~40重量%含まれることが好ましい。
【0018】
【0019】
界面活性剤は、洗濯シートの洗浄活性成分として、主界面活性剤と補助界面活性剤を含む。
【0020】
主界面活性剤は、洗濯用シートに含まれている主な洗浄活性成分を意味し、補助界面活性剤は、主界面活性剤の他に、さらに補助的に使用される洗浄活性成分を意味する。
【0021】
【0022】
本発明の一例において、主界面活性剤の含有量は、洗濯用シート全体の100重量%に対して、10重量%以上であることが好ましく、20~36重量%であることがより好ましい。
【0023】
主界面活性剤は、2種以上の界面活性剤を含む。これらのうち、含有量がより多いものを第1主界面活性剤と呼び、含有量がより少ないものを第2主界面活性剤と呼ぶ。第1主界面活性剤と第2主界面活性剤は、洗濯用シート全体の100重量%に対して、それぞれ10~18重量%含まれていることが好ましい。
【0024】
前記第1主界面活性剤と前記第2主界面活性剤は、互いに異なり、それぞれ炭素数8~18のアルキル硫酸アルカリ金属塩を含む。前記第1主界面活性剤と前記第2主界面活性剤は、炭素数が異なるか、或いはアルカリ金属の種類が異なるか、或いはその両方ともが異なり得るが、アルカリ金属の種類が異なることが好ましい。アルキル硫酸アルカリ金属塩は、炭素数12~16の場合には、フィルム形成基材であるポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコール系重合体との相溶性に優れるという点により好ましい。金属は、アルカリ金属であることが好ましく、ナトリウムまたはカリウムであることがさらに好ましい。特に、第1主界面活性剤としては、ラウリル硫酸アルカリ金属塩が好ましく、ラウリル硫酸ナトリウムがさらに好ましい。
【0025】
【0026】
本発明の一例は、前記主界面活性剤の他に、補助界面活性剤をさらに含む。ここで、補助界面活性剤は、前記炭素数8~18のアルキル硫酸アルカリ金属塩を含む主界面活性剤の他に、洗浄活性成分として使用される成分であって、2種以上の互いに異なる界面活性剤を含む。補助界面活性剤として2種以上の界面活性剤を含む場合、その含有量が高いものから、第1補助界面活性剤、第2補助界面活性剤の順に命名する。
【0027】
このような補助界面活性剤は、アルキルエステルアルコキシレートを含み、前記アルキルエステルアルコキシレートの他に、非イオン性界面活性剤をさらに含む。また、補助界面活性剤として緩衝液(buffer)も使用できる。
【0028】
【0029】
補助界面活性剤として使用される脂肪酸アルキルエステルアルコキシレート(fatty acid alkyl ester alkoxylate)におけるアルキル基には特別な制限はないが、C1-C6のアルキル基を有するものが好ましく、アルコキシレートに特別な制限はないが、メトキシレート、エトキシレート、プロポキシレートであることが好ましい。特に、脂肪酸メチルエステルエトキシレート(以下、「FMEE」または「FAMEE」という)であることが好ましい。脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートの場合、アルキルエトキシレート(alkyl ethoxylates(AEO))、アルキルポリグルコシド(alkyl polyglucoside(APG))に比べて洗浄力や皮膚刺激性などでさらに有利だからである。
【0030】
【0031】
補助界面活性剤として使用できる非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(polyoxyethylene alkyl ether)、ココナッツジエタノールアミド(coconut diethanolamide)、脂肪酸アルカノールアミン(fatty acid alkanolamine)、アミンオキシド(amine oxide)、アルキルポリグルコシド(alkyl polyglucoside)、メチルポリエチレンアルキルエーテル(methyl polyethylene alkyl ether)または糖エーテル(sugar ether)よりなる群から選択される1種以上を挙げることができる。ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、アルキルポリグルコキシド(alkyl polyglucoside(APG))などを挙げることができる。非イオン性界面活性剤として、特にココナッツジエタノールアミドを含むことが好ましい。
【0032】
【0033】
2種以上の互いに異なる界面活性剤を補助界面活性剤として使用する場合、それぞれの補助界面活性剤の含有量は、シートの成形性や洗浄力などを考慮して適宜選択できる。
【0034】
【0035】
補助界面活性剤は、前記非イオン性界面活性剤の他に、緩衝剤として使用される成分も使用でき、特別な制限はないが、2-モルホリノエタンスルホン酸一水和物(2-Morpholinoethanesulfonic acid(MES) Monohydrate)、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-2-アミノエタンスルホン酸(N-Tris(hydroxymethyl)methyl-2-aminoethanesulfonic acid;TES)を使用することが好ましく、MES一水和物を使用することが特に好ましい。
【0036】
【0037】
前記補助界面活性剤の含有量の合計は、全重量に対して14乃至22重量%であることが好ましい。
【0038】
【0039】
補助界面活性剤として3種以上の界面活性剤が使用される場合、第1補助界面活性剤の含有量は、全重量に対して7~10重量%であることが好ましく、第2補助界面活性剤の含有量は、全重量に対して5~8重量%であることが好ましく、第3補助界面活性剤の含有量は、全重量に対して2~4重量%であることが好ましい。第1補助界面活性剤、第2補助界面活性剤、第3補助界面活性剤として使用される界面活性剤の種類は、前述した補助界面活性剤であれば特別な制限はないが、例えば、第1補助界面活性剤としては緩衝剤としての成分、例えばMES一水和物、第2補助界面活性剤としては脂肪酸アルキルエステルアルコキシレート、第3補助界面活性剤としては非イオン性界面活性剤がそれぞれ使用されることが好ましい。
【0040】
【0041】
その他、次の成分が含まれ得る(表1参照)。
【0042】
【0043】
【0044】
本発明の一例に係る洗濯用シートは、洗浄性能またはフィルム剤形性を向上させるために、保管安定性、製造容易性などを損なわない範囲で崩壊剤、崩壊補助剤、香料、酵素、蛍光増白剤、アルカリビルダー、柔軟仕上げ剤、漂白剤、殺菌消毒剤などのその他の成分をさらに含むことができる。
【0045】
例えば、崩壊剤/崩壊補助剤としては、デンプン、セルロース誘導体、塩化ナトリウム、クエン酸、グリセリン、プロピレングリコールなどが使用でき、酵素としては、セルラーゼ、プロテアーゼなどが使用できる。アルカリビルダーとしては、例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アルカリケイ酸ナトリウム、中性ケイ酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、ゼオライト(アルミノケイ酸ナトリウム)、セスキ炭酸ナトリウム、MEA、TEAなどが使用できる。また、漂白剤としては、例えば、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩、ジアシル、テトラアシルペルオキシドなどが使用でき、殺菌消毒剤としては、例えば、次亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素、過酸化尿素などを挙げることができる。
【0046】
【0047】
本発明に係る洗濯用シートの厚さは、1μm~1cmであることが好ましく、5μm~0.5cmであることがさらに好ましい。シートの厚さが1μm未満である場合には、強度が十分ではなく、有効成分を十分に込めることが難しいため、所望の性能を持つことが難しく、シートの厚さが1cmを超える場合には、溶解時間が長くなって洗浄性能が低下するおそれがある。
【0048】
【0049】
以下、本発明の一例に係る洗濯用シートの製造工程について説明する。
【0050】
【0051】
1)乳化機にポリビニルアルコール(PVA)を入れて掻き混ぜながら、ここに主界面活性剤をさらに入れることにより、原料が均一に完全に溶けえて混合されるようにする。
【0052】
2)原料が均一に混合されると、香料、防腐剤を入れて溶解させて混合する。
【0053】
3)その後、順番に補助界面活性剤、その他、必要に応じて追加の添加剤を入れて掻き混ぜながら均一に溶解させる。
【0054】
(1)~3)において、すべての原料は、以前に配合された原料が十分に溶けた後に入れることを原則とする)。
【0055】
4)シート製作機を洗浄した後、加熱し、しかる後に、1)~3)を経て混合された原料を注入してシートを製造する。
【0056】
【0057】
以下、本発明の理解を助けるために実施例などを挙げて詳細に説明する。しかし、本発明に係る実施例は、様々な異なる形態に変形でき、本発明の範囲を限定するものと解釈されてはならない。本発明の実施例は、当業分野における通常の知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0058】
【0059】
実施例1
【0060】
前記製造工程によって製造されたシートの成分及び含有量は、下記表2に示す。
【0061】
【0062】
比較例1
【0063】
ポリビニルアルコール、界面活性剤としてのポリオキシエチレンラウリルエーテル、ドデシル硫酸ナトリウムを含み、1,2-プロパンジオール、グリセリン、酢酸ナトリウム、香料などを含む洗濯シートを比較例1とした(LG生活健康社製、「テック一枚洗濯」で市販)。比較例1のシートは、界面活性剤を30%以上(高級アルコール系陰イオン界面活性剤、高級アルコール系非イオン界面活性剤)含み、酵素、アルカリ剤、香料、剤形化剤、安定化剤、ベーキングソーダ(洗濯補助剤)を含む。
【0064】
【0065】
比較例2
【0066】
組成物の全重量に対して、PVAを29重量%含み、ドデシル硫酸カリウムを25重量%、ラウリル硫酸ナトリウムを20重量%含み、補助界面活性剤としてラウレス(Laureth)-7を10重量%、ラウレス(Laureth)-9を2重量%含み、その他の充填剤、クエン酸、香料、酵素を含む組成物から形成された洗濯用シートを比較例2とした。
【0067】
【0068】
実験例1-補助界面活性剤による洗浄力試験
【0069】
(1)補助界面活性剤として15%FMEEを用いてカーボンブラック、タンパク質、脂肪質に対する洗浄力試験を行った。また、補助界面活性剤として15%APG(アルキルポリグルコシド)を用いて、カーボンブラック、タンパク質、脂肪質に対する洗浄力試験を行った。その結果を
図1に示した。
【0070】
(2)補助界面活性剤として15%FMEE、15%AEO、15%APGを用いてそれぞれ皮膚に対する刺激テストを行い、9日が経過する間、皮膚刺激値を測定して記録した。その結果を
図2に示した。
【0071】
(3)補助界面活性剤としてFMEEを使用し、生分解性試験(OECD301、Bテスト)を行い、その結果を
図3に示した。
【0072】
(4)様々なアルキルポリグルコシドに対して生物毒性(Ecotoxicity)実験を行った。その結果を下記表3に示す。
【0073】
【0074】
試験結果、FMEEは、APGに比べて洗浄力に優れることが分かった。特に、タンパク質、脂肪質の洗浄効果に優れることが分かった。皮膚に対する刺激もより少ないだけでなく、生分解性が高く、生物毒性も低いため、環境に優しいことが分かった。
【0075】
【0076】
実験例2-ローリング(圧延)及び柔軟度試験
【0077】
実施例1のシートの一部を切断して直径50mmのシリンダーに巻き付け、30秒経過した後の亀裂や損傷を観察した。シートの何処にも亀裂や損傷が発見されなかった。また、柔軟度(softness)も良好であることが分かった。
【0078】
【0079】
実験例3~6-洗浄力試験
【0080】
GB/T13174-2008の方法に応じて、20HZで15分間撹拌しながら、汚染した服6×6cmに対して実施例1、比較例1、比較例2のシートを用いて洗浄した後、洗浄前後の白色度を測定して洗浄力を評価した。
【0081】
【0082】
実験例3
【0083】
まず、カーボン汚染に対する洗浄力を評価し、その結果を表4に示す。
【0084】
【0085】
カーボンブラックで汚染した服に対する洗浄力の評価結果、実施例1のシートが最も高い洗浄力を示すことが分かった。その次に、比較例2、比較例1の順に洗浄力が高いことが分かった。
【0086】
【0087】
実験例4
【0088】
タンパク質汚染に対する洗浄力を評価し、その結果を表5に示す。
【0089】
【0090】
タンパク質で汚染した服に対する洗浄力の評価結果、比較例2のシートが最も高い洗浄力を示すことが分かった。その次に、実施例1、比較例1は同じ洗浄力を示すことが分かった。
【0091】
【0092】
実験例5
【0093】
Sebum汚染に対する洗浄力を評価し、その結果を表6に示す。
【0094】
【0095】
Sebumで汚染した服に対する洗浄力の評価結果、実施例1のシートが最も高い洗浄力を示すことが分かった。その次に、比較例2、比較例1の順に洗浄力が高いことが分かった。
【0096】
【0097】
実験例6
【0098】
実験例3~5の洗浄力をすべて考慮して洗浄力を総合的に評価した。その結果を表7に示す。
【0099】
【0100】
総合評価の結果、実施例1のシートが最も高い洗浄力を示すことが分かった。その次に、比較例2、比較例1の順に洗浄力が高いことが分かった。
【0101】
【0102】
実験例7:PH試験(皮膚刺激性試験)
【0103】
実施例1、比較例1、比較例2のシートをGB/T6368によって水溶性溶液1%溶解度におけるpHを測定した結果は、下記表8のとおりである。
【0104】
【0105】
比較例1の場合、手で洗浄する間に、皮膚に刺激を引き起こすおそれがあるが、実施例1、比較例2の場合、中性に近くて刺激を起こさない。
【0106】
【0107】
実験例8:溶解度試験
【0108】
実施例1、比較例1、比較例2のシートを3cm×3cmのサイズに切断し、水に浸して30秒経過した後の溶解度を比較した。
【0109】
図4乃至
図6はそれぞれ実施例1、比較例1、比較例2のシートに対する試験結果を示す写真である。
【0110】
実施例1が比較例1及び2に比べてさらに高い溶解度を示すことが分かる。
【0111】
【0112】
実験例9
【0113】
実施例1、比較例1、比較例2のシートを3cm×3cmのサイズに切断し、水に浸して60秒経過した後の溶解度を比較した。
【0114】
図7乃至
図9はそれぞれ実施例1、比較例1、比較例2のシートに対する試験結果を示す写真である。
【0115】
実施例1のシートはほぼ完全に溶けたのに対し、比較例1及び2のシートは溶けずに依然として残っていることが分かった。