(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】抗SARS-CoV-2薬の調製における干渉ポリペプチドの応用
(51)【国際特許分類】
C07K 7/06 20060101AFI20230221BHJP
C07K 5/10 20060101ALI20230221BHJP
C07K 7/08 20060101ALI20230221BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20230221BHJP
A61K 38/07 20060101ALI20230221BHJP
A61K 38/08 20190101ALI20230221BHJP
A61K 38/10 20060101ALI20230221BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230221BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20230221BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20230221BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20230221BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20230221BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20230221BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
C07K7/06
C07K5/10 ZNA
C07K7/08
A61P31/14
A61K38/07
A61K38/08
A61K38/10
A61P43/00 111
A61K9/14
A61K9/20
A61K9/16
A61K9/48
A61K9/08
A61K9/10
(21)【出願番号】P 2021539893
(86)(22)【出願日】2020-06-22
(86)【国際出願番号】 CN2020097446
(87)【国際公開番号】W WO2021258250
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2021-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】510030331
【氏名又は名称】中国科学院昆明▲動▼物研究所
【氏名又は名称原語表記】KUNMING INSTITUTE OF ZOOLOGY .CAS(CHINESE ACADEMY OF SCIENCES )
【住所又は居所原語表記】NO.32 Jiaochang East Road Kunming, Yunnan 650223 (CN)
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】頼 仭
(72)【発明者】
【氏名】唐 小梵
(72)【発明者】
【氏名】廖 祉亦
【審査官】伊藤 良子
(56)【参考文献】
【文献】bioRxiv,2020年10月23日,<URL:https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2020.10.23.350348v1.full>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 7/06
C07K 5/10
C07K 7/08
C07K 14/47
A61P 31/14
A61K 38/07
A61K 38/08
A61K 38/10
A61P 43/00
A61K 9/14
A61K 9/20
A61K 9/16
A61K 9/48
A61K 9/08
A61K 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスフェリン受容体とSARS-CoV-2スパイクタンパク質の結合を阻害するための薬剤であって、前記薬剤の有効成分は、干渉ポリペプチドを含み、前記干渉ポリペプチドは、SL8、FG8、DL12、RK4、SD6、HF7及び/又はQK8
からなり、
前記SL8のアミノ酸配列をSEQ ID NO.1に、前記FG8のアミノ酸配列をSEQ ID NO.2に、前記DL12のアミノ酸配列をSEQ ID NO.3に、前記RK4のアミノ酸配列をSEQ ID NO.4に、前記SD6のアミノ酸配列をSEQ ID NO.5に、前記HF7のアミノ酸配列をSEQ ID NO.6に、前記QK8のアミノ酸配列をSEQ ID NO.7に示すことを特徴とする薬剤。
【請求項2】
前記干渉ポリペプチドの作
用濃度は
、60nMのSARS-CoV-2スパイクタンパク質
当たり0.5~5μMであることを特徴とする請求項1に記載の薬剤。
【請求項3】
抗SARS-CoV-2薬であって、前記薬の有効成分は、干渉ポリペプチドを含み、前記干渉ポリペプチドは、SL8、FG8、DL12、RK4、SD6、HF7及び/又はQK8
からなり、
前記SL8のアミノ酸配列をSEQ ID NO.1に、前記FG8のアミノ酸配列をSEQ ID NO.2に、前記DL12のアミノ酸配列をSEQ ID NO.3に、前記RK4のアミノ酸配列をSEQ ID NO.4に、前記SD6のアミノ酸配列をSEQ ID NO.5に、前記HF7のアミノ酸配列をSEQ ID NO.6に、前記QK8のアミノ酸配列をSEQ ID NO.7に示すことを特徴とする薬。
【請求項4】
前記薬の剤形には、粉末、錠剤、顆粒剤、カプセル、溶液、乳剤、懸濁液または注射乳剤が含まれることを特徴とする請求項3に記載の薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬の技術分野に属し、特に、抗SARS-CoV-2薬の調製における干渉ポリペプチドの応用に関する。
【背景技術】
【0002】
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のパンデミックは、深刻な公衆衛生上の問題を引き起こした。SARS-CoV-2は、コロナウイルス性のコロナウイルス科であるコロナウイルス亜科に属する、RNAゲノムが陽性のエンベロープウイルスである。CoVウイルス粒子には、スパイク(S)、エンベロープ(E)、膜(M)、ヌクレオカプシド(N)の少なくとも4つの構造タンパク質が含まれている。膜貫通型スパイクタンパク質(S-protein)は、ウイルス融合タンパク質の一種であり、コロナウイルスは、S-proteinを介して宿主細胞に侵入し、ウイルスの表面にホモ三量体を形成する。スパイクタンパク質には、宿主細胞受容体への結合を担当するS1サブユニットと、ウイルスと細胞膜を融合するS2サブユニットとの2つの機能サブユニットが含まれている。したがって、スパイクタンパク質は宿主の範囲と細胞の配向を決定する。スパイクタンパク質は、感染プロセス中に活性化された中和抗体の主な標的でもあり、ワクチン設計の焦点でもあるが、ヒト感染に対する承認されたSARS-CoV-2の治療法やワクチンはまだない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これを考慮して、本発明は、調製が簡単で、低コストで、薬に適している、抗ウイルス効果を発揮することができる抗SARS-CoV-2薬の調製における干渉ポリペプチドの応用を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の上記の目的を達成するために、本発明は、以下の技術的解決手段を提供する。
【0005】
本発明は、抗SARS-CoV-2薬の調製における干渉ポリペプチドの応用を提供し、前記干渉ポリペプチドには、SL8、FG8、DL12、RK4、SD6、HF7及び/又はQK8が含まれ、
前記SL8のアミノ酸配列をSEQ ID NO.1に、前記FG8のアミノ酸配列をSEQ ID NO.2に、前記DL12のアミノ酸配列をSEQ ID NO.3に、前記RK4のアミノ酸配列をSEQ ID NO.4に、前記SD6のアミノ酸配列をSEQ ID NO.5に、前記HF7のアミノ酸配列をSEQ ID NO.6に、前記QK8のアミノ酸配列をSEQ ID NO.7に示す。
【0006】
本発明はまた、トランスフェリン受容体とSARS-CoV-2スパイクタンパク質の結合を阻害するための薬剤を提供する。前記薬剤の有効成分には、干渉ポリペプチドが含まれ、前記干渉ポリペプチドには、SL8、FG8、DL12、RK4、SD6、HF7及び/又はQK8が含まれ、
前記SL8のアミノ酸配列をSEQ ID NO.1に、前記FG8のアミノ酸配列をSEQ ID NO.2に、前記DL12のアミノ酸配列をSEQ ID NO.3に、前記RK4のアミノ酸配列をSEQ ID NO.4に、前記SD6のアミノ酸配列をSEQ ID NO.5に、前記HF7のアミノ酸配列をSEQ ID NO.6に、前記QK8のアミノ酸配列をSEQ ID NO.7に示す。
【0007】
好ましくは、前記干渉ポリペプチドの作業濃度は0.5~5μM/60nMのSARS-CoV-2スパイクタンパク質である。
【0008】
本発明はまた、抗SARS-CoV-2薬を提供し、前記薬の有効成分は、干渉ポリペプチドを含み、前記干渉ポリペプチドは、SL8、FG8、DL12、RK4、SD6、HF7及び/又はQK8を含み、
前記SL8のアミノ酸配列をSEQ ID NO.1に、前記FG8のアミノ酸配列をSEQ ID NO.2に、前記DL12のアミノ酸配列をSEQ ID NO.3に、前記RK4のアミノ酸配列をSEQ ID NO.4に、前記SD6のアミノ酸配列をSEQ ID NO.5に、前記HF7のアミノ酸配列をSEQ ID NO.6に、前記QK8のアミノ酸配列をSEQ ID NO.7に示す。
【発明の効果】
【0009】
従来技術と比較して、本発明は以下の有益な効果を有する。
本発明は、抗SARS-CoV-2薬の調製における干渉ポリペプチドの応用を提供し、前記干渉ポリペプチドは、トランスフェリン受容体とSARS-CoV-2スパイクタンパク質の結合部位に基づいて設計され、新型コロナウイルスに感染した細胞を効果的に治療できる。本発明の実施例において、SPR検証後、設計された7つの干渉ポリペプチドはすべてSARS-CoV-2-スパイクタンパク質とトランスフェリン受容体の結合を有意に阻害し、それによってSARS-CoV-2感染を阻害する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して、SARS-CoV-2-スパイクタンパク質受容体結合領域RBDとトランスフェリン受容体の結合を検証した図であり、上から下への曲線は、それぞれ250nM、125nM、62.5nM、31.25nM、15.625nM、7.8125nM、および3.90625nMのスパイクタンパク質濃度を表している。
【
図2】タンパク質ドッキング分析のためのSARS-CoV-2-スパイクタンパク質とトランスフェリン受容体の結合位置を示す図である。
【
図3】干渉ポリペプチドがSARS-CoV-2-スパイクタンパク質とトランスフェリン受容体の結合を阻害できるというSPR検証図である。
【
図4A】干渉ポリペプチドによってSARS-CoV2に感染したVero-E6細胞を阻害する比較図である。
【
図4B】干渉ポリペプチドによってSARS-CoV2に感染したVero-E6細胞を阻害する比較図である。
【
図4C】干渉ポリペプチドによってSARS-CoV2に感染したVero-E6細胞を阻害する比較図である。
【
図4D】干渉ポリペプチドによってSARS-CoV2に感染したVero-E6細胞を阻害する比較図である。
【
図4E】干渉ポリペプチドによってSARS-CoV2に感染したVero-E6細胞を阻害する比較図である。
【
図4F】干渉ポリペプチドによってSARS-CoV2に感染したVero-E6細胞を阻害する比較図である。
【
図4G】干渉ポリペプチドによってSARS-CoV2に感染したVero-E6細胞を阻害する比較図である。
【
図4H】干渉ポリペプチドによってSARS-CoV2に感染したVero-E6細胞を阻害する比較図である。
【
図4I】干渉ポリペプチドによってSARS-CoV2に感染したVero-E6細胞を阻害する比較図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を、実施例を参照しながら以下でさらに説明する。
【0012】
本発明は、抗SARS-CoV-2薬の調製における干渉ポリペプチドの応用を提供し、前記干渉ポリペプチドには、SL8、FG8、DL12、RK4、SD6、HF7及び/又はQK8が含まれ、
前記SL8のアミノ酸配列をSEQ ID NO.1に、前記FG8のアミノ酸配列をSEQ ID NO.2に、前記DL12のアミノ酸配列をSEQ ID NO.3に、前記RK4のアミノ酸配列をSEQ ID NO.4に、前記SD6のアミノ酸配列をSEQ ID NO.5に、前記HF7のアミノ酸配列をSEQ ID NO.6に、前記QK8のアミノ酸配列をSEQ ID NO.7に示す。
【0013】
本発明の前記干渉ポリペプチドの配列情報を表1に示す。
【0014】
【0015】
本発明は、前記干渉ポリペプチドの調製方法を特に限定するものではなく、好ましくは、人工合成により前記干渉ポリペプチドを調製する。本発明において、トランスフェリン受容体はSARS-CoV-2スパイクタンパク質に結合してヒト細胞に感染することができ、前記干渉ポリペプチドは、トランスフェリン受容体とSARS-CoV-2スパイクタンパク質の結合を阻害できることにより、抗新型コロナウイルスと新型コロナウイルス感染の治療の効果を達成することができる。
【0016】
本発明はまた、トランスフェリン受容体とSARS-CoV-2スパイクタンパク質の結合を阻害するための薬剤を提供し、前記薬剤の有効成分には、干渉ポリペプチドが含まれ、前記干渉ポリペプチドには、SL8、FG8、DL12、RK4、SD6、HF7及び/又はQK8が含まれ、
前記SL8のアミノ酸配列をSEQ ID NO.1に、前記FG8のアミノ酸配列をSEQ ID NO.2に、前記DL12のアミノ酸配列をSEQ ID NO.3に、前記RK4のアミノ酸配列をSEQ ID NO.4に、前記SD6のアミノ酸配列をSEQ ID NO.5に、前記HF7のアミノ酸配列をSEQ ID NO.6に、前記QK8のアミノ酸配列をSEQ ID NO.7に示す。
【0017】
本発明の前記干渉ポリペプチドの作業濃度は、好ましくは、0.5~5μM/60nMのSARS-CoV-2スパイクタンパク質である。本発明において、前記薬剤の有効成分は、単一の干渉ポリペプチド成分または複数の干渉ポリペプチドの混合物であってもよく、混合物中の各干渉ポリペプチドの混合比を特に制限しないので、総エネルギーは0.5~5μM/60nM SARS-CoV-2スパイクタンパク質に達することができると十分である。
【0018】
本発明はまた、抗SARS-CoV-2薬を提供し、前記薬の有効成分は、干渉ポリペプチドを含み、前記干渉ポリペプチドは、SL8、FG8、DL12、RK4、SD6、HF7及び/又はQK8を含み、
前記SL8のアミノ酸配列をSEQ ID NO.1に、前記FG8のアミノ酸配列をSEQ ID NO.2に、前記DL12のアミノ酸配列をSEQ ID NO.3に、前記RK4のアミノ酸配列をSEQ ID NO.4に、前記SD6のアミノ酸配列をSEQ ID NO.5に、前記HF7のアミノ酸配列をSEQ ID NO.6に、前記QK8のアミノ酸配列をSEQ ID NO.7に示す。本発明の前記薬の有効成分である干渉ポリペプチドの作業濃度および比例関係などはすべて上記と同じであり、ここではさらに説明しない。
【0019】
本発明の前記薬の剤形は、特に限定されず、好ましくは、粉末、錠剤、顆粒剤、カプセル、溶液、乳剤、懸濁液または注射剤を含む。本発明の前記薬はまた、薬学的に許容される賦形剤を含む。本発明では、前記剤形の薬を調製する場合、好ましくは、異なる剤形の薬の従来の調製方法に従って調製すればよい。
【0020】
本発明はまた、新型コロナウイルスに感染した細胞を治療する方法を提供する。前記新型コロナウイルスに感染した細胞を、干渉ポリペプチドと混合し、ここで、細胞とポリペプチドの混合比は4×104cells:800nMである。
【0021】
本発明はまた、静脈内注射によって、上記の干渉ポリペプチドを体内に注射することにより、新型コロナウイルス感染によって引き起こされる疾患を治療する方法を提供し、前記干渉ポリペプチドの注射量は、好ましくは0.5~1mg/kgである。本発明において、前記静脈内注射を行う場合、好ましくは単一のポリペプチドを注射する。
【0022】
本発明によって提供される抗新型コロナウイルス薬の調製における干渉ポリペプチドの応用を、実施例を参照しながら以下に詳細に説明するが、それらは、本発明の保護の範囲を制限するものとして理解することはできない。
【0023】
実施例1
SARS-CoV-2スパイクタンパク質の受容体結合領域RBDとトランスフェリン受容体の結合に関するSPR検証
まず、トランスフェリン受容体(11020-H07H、Sino biological、China)を200μlの酢酸ナトリウム緩衝液(10mM、pH5)で希釈(20μg/ml)し、次にCM5センサーチップ(BR100012、GE、USA)に流し、5μl/minの流量で流れ、2000共振ユニット(RU)に達した。チップ上の残りの活性部位を、75μlのエタノールアミン(1M、pH8.5)でブロックした。スパイクタンパク質RBD(3.90625、7.8125、15.625、31.25、62.5、125、250nM)含有のTris-HCl緩衝液は、10μl/minの流速で、それらと固定化されたトランスフェリン受容体との相互作用を分析した。BIAソフトウェア(GE、米国)を使用して、結合KDおよびKaとKdの速度定数を決定した。結果が
図1に示されるように、SARS-CoV-2スパイクタンパク質RBDは強い結合能でトランスフェリン受容体に結合し、Ka、Kd、KDはそれぞれ9.36×10
4M
-1s
-1、4×10
-3s
-1および43nMであった。
【0024】
実施例2
SARS-CoV-2-スパイクタンパク質-トランスフェリン受容体結合部位のタンパク質ドッキング予測
トランスフェリン受容体の既知の結晶構造(PDB ID:1CX8)とSARS-CoV-2-スパイクタンパク質の結晶構造(PDB ID:6LZG)を使用し、タンパク質ドッキング分析にZDOCKを使用した結果を
図2に示し、分子ドッキングの結果は、トランスフェリン受容体がスパイクタンパク質のRBD領域と相互作用することを示した。
【0025】
実施例3
干渉ポリペプチドの化学的調製法、Fmoc-Lys(Boc)-Wang Resinによる合成
1.樹脂の膨潤
置換度0.3のFmoc-Leu-Wang Resin 5gを秤量し、反応カラムに注ぎ、DCM50mlを加えて膨潤させ、30分間浸した。
2.脱保護
反応カラムからDCMをすべて吸引ろ過して除去し、20%ピペリジン/DMF溶液を加えてFmocを脱着除去し、窒素で30分間バブリングし、吸引ろ過して除去し、DMFで5回洗浄し、吸引ろ過して除去した。
3.縮合反応
TBTU/DIEA活性剤の組み合わせで縮合し、秤量したTBTUと接続されたアミノ酸を3倍の投与量で計算し、50mlのDMFで溶解して反応カラムに加え、DIEA(1.55ml)を加え、窒素でバブリングし、1時間反応させた。
4.検出、洗浄
サンプリングチューブを使用して反応カラムから少量の樹脂を取り出し、小さな試験管に注ぎ、DMFで一回洗浄し、DMFを捨て、液体A、B、Cをそれぞれ3滴ずつ加え(液体A:ニンヒドリンアルコール溶液、液体B:20%アルコールと80%フェノール混合溶液、液体C:再蒸留ピリジン)、ヒーターに入れ、120℃で3分間加熱し、取り出して、溶液及び樹脂の色を観察し、溶液が黄色、樹脂が無色または淡黄色である場合、縮合反応が完了したことを示し、反応カラム中の反応を停止し、吸引ろ過して除去して、DMFで3回洗浄した。
5.再入れ
樹脂の色が緑、青、紫などの他の色であることが検出された場合は、反応が完了していないことを示し、このときに同じ方法で3回吸引ろ過して除去して洗浄し、現在の反応の同量を秤量し、それを反応カラムに入れて、検出反応が完了するまで、再反応させた。
6.縮合し続け
後続のアミノ酸接続についてステップ2~5を繰り返し、異なるアミノ酸の秤量は同じアルゴリズムを使用して計算され、TBTU/DIEAの量は変更されなかった。
7.収縮
最後のアミノ酸接続が完了した後、2つのステップを繰り返し、DCMで3回洗浄し、メタノールで3回洗浄し、吸引ろ過して除去して、樹脂を注ぎ出し、オーブンランプで乾燥させて、500mlビーカーに入れた。
8.切削
ビーカーに100mlの切削液(比率はTFA/チオアニソール/フェノール/EDT/水=86/5/4/3/2)を加え、マグネチックスターラーに置き、ビーカーに磁石を入れ、2時間撹拌して反応させた後、サンドコアファンネルでろ過し、サンドコアの樹脂をTFAで2回すすぎ、切削液を600mlの氷エーテルに注ぎ、このとき、ポリペプチドが析出してポリペプチドエーテル懸濁液を形成し、大型遠心分離機を使用してそれぞれ遠心分離を繰り返し、上清を捨て、エーテルを加えて洗浄し、このプロセスを3回繰り返し、次にオーブンランプで焼いてエーテルの残留物を除去すると、得られた固体が標的ポリペプチドの粗生成物であった。
9.精製
粗生成物を水に溶解し、ろ過した後、高速液体クロマトグラフィーで分離精製し、最終的に純度95%以上の標的ペプチド生成物が得られた。
10.調製
7グラムの粗生成物を特定の比率ACN:H2O 1:4(V/V)溶液に溶解し、少量のサンプルを採取してサンプルのピーク時間を分析した。(高速液体クロマトグラフHPLC分析)カラム100DACを調製したカラムを選択し、サンプルをカラムに入れ、粗生成物のピーク時間に応じてグラジエントを選択し、分離に入り、HPLCチャートに従って不純物を個別に収集し、LC-MSを使用して収集した製品が必要かどうかを判断し、必要な物質を検出用に残した。HPLC認定製品を、回転蒸して凍結乾燥した。必要な量の製品を得た(白色粉末の状態)。
【0026】
実施例4
干渉ポリペプチドがSARS-CoV-2-スパイクタンパク質とトランスフェリン受容体の結合を阻害するSPR検証
異なる濃度の干渉ポリペプチド(0.5および5μM)をスパイクしたスパイクタンパク質(60nM)を、20μl/minの流速で、スパイクタンパク質とトランスフェリン受容体の結合に対する干渉ポリペプチドの阻害効果を検出した。
【0027】
結果を
図3に示すように、7つの干渉ポリペプチドは、SARS-CoV-2-スパイクタンパク質のトランスフェリン受容体への結合を有意に阻害した。
【0028】
実施例5
SARS-CoV-2に感染したVero-E6細胞に対する干渉ポリペプチドの阻害効果
Vero E6細胞(昆明細胞バンク)をさまざまな干渉ポリペプチドで1時間前処理し、SARS-CoV2ウイルスを加えて1時間感染させた。次に、ウイルス干渉ポリペプチド混合物を除去し、干渉ポリペプチドを含む新鮮な培地を使用して細胞をさらに培養した。48時間後、細胞上清を収集し、溶解緩衝液(15596018、Thermo、USA)で溶解して、さらなる細胞病原性効果(CPE)および定量的リアルタイムRT-PCR(qRT-PCR)定量分析を行った。
【0029】
qRT-PCRで使用される増幅プライマーはNP遺伝子プライマーであった:
Target-2-F(SEQ ID NO.8):GGGGAACTTCTCCTGCTAGAAT、
Target-2-R(SEQ ID NO.9):CAGACATTTTGCTCTCAAGCTG、
Target-2-P(SEQ ID NO.10):5’-FAM-TTGCTGCTGCTTGACAGATT-TAMRA-3’。
【0030】
結果を
図4に示すように、7つの干渉ポリペプチドはSARS-CoV-2感染を阻害することができ、また、SL8、FG8、DL12、RK4、SD6、HF7、およびQK8は、80μMの濃度でそれぞれ87、75、99、99、98、89、および99%のウイルス感染を阻害し、7つのポリペプチドの半数阻害濃度EC
50は、それぞれ10、20、5、10、6.4、11.4、および3.3μMであった。
【0031】
上記は、本発明の好ましい実施形態にすぎない。当業者にとって、本発明の原理から逸脱することなく、いくつかの改善および修正を行うことができ、これらの改善および修正もまた、本発明の保護範囲と見なされるべきであることを指摘されたい。
【配列表】