IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サンプリックス エーピーエスの特許一覧

特許7231748マイクロ流体デバイスおよびダブルエマルション液滴の提供のための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】マイクロ流体デバイスおよびダブルエマルション液滴の提供のための方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 19/00 20060101AFI20230221BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20230221BHJP
   B01F 23/41 20220101ALI20230221BHJP
   B01F 25/316 20220101ALI20230221BHJP
   B01F 33/3011 20220101ALI20230221BHJP
【FI】
B01J19/00 321
G01N37/00 101
B01F23/41
B01F25/316
B01F33/3011
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021543285
(86)(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-22
(86)【国際出願番号】 EP2020052400
(87)【国際公開番号】W WO2020157262
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-09-14
(31)【優先権主張番号】19154948.4
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】19168733.4
(32)【優先日】2019-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521325307
【氏名又は名称】サンプリックス エーピーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】クビスト,トマス
(72)【発明者】
【氏名】マドセン,エスベン ビヨン
(72)【発明者】
【氏名】シェリー,ソレーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ミケルセン,マリー ジャスト
【審査官】小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-503743(JP,A)
【文献】国際公開第2015/160919(WO,A1)
【文献】特開2004-195337(JP,A)
【文献】特開2018-086008(JP,A)
【文献】特表2013-520658(JP,A)
【文献】特表2012-503773(JP,A)
【文献】特表2011-515236(JP,A)
【文献】特表2017-514151(JP,A)
【文献】国際公開第2012/008497(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0056884(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0190032(US,A1)
【文献】国際公開第2018/174693(WO,A1)
【文献】特表2018-505671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 10/00-12/02、13/00、14/00-19/32
B01F 21/00-25/90、33/3011
G01N 35/00-37/00,103
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ流体デバイスであって、
複数のマイクロ流体ユニットを含むマイクロ流体区分と、
各マイクロ流体ユニットに1つの容器群を含む複数の容器群を含む容器区分と、を備え、
各マイクロ流体ユニットは、一次供給導管、二次供給導管、および三次供給導管を含む複数の供給導管と、
第1の水に対する親和性を有する第1の移送導管部分を含む、移送導管と、
前記第1の水に対する親和性とは異なる第2の水に対する親和性を有する第1の収集導管部分を含む、収集導管と、
前記一次供給導管、前記二次供給導管、および前記移送導管の間の流体連通を提供する、第1の流体接合部と、
前記三次供給導管、前記移送導管、および前記収集導管の間の流体連通を提供する、第2の流体接合部と、を含む、流体導管ネットワークを備え、
各第1の移送導管部分が、対応する前記第1の流体接合部から延在し、
各第1の収集導管部分が、対応する前記第2の流体接合部から延在し、
各容器群が、収集容器と、一次供給容器、二次供給容器、および三次供給容器を含む複数の供給容器と、を含む、複数の容器を含み、
各容器群について、
前記収集容器が、対応する前記マイクロ流体ユニットの前記収集導管と流体連通しており、
前記一次供給容器が、対応する前記マイクロ流体ユニットの前記一次供給導管と流体連通しており、
前記二次供給容器が、対応する前記マイクロ流体ユニットの前記二次供給導管と流体連通しており、
前記三次供給容器が、対応する前記マイクロ流体ユニットの前記三次供給導管と流体連通している、マイクロ流体デバイス。
【請求項2】
各流体導管ネットワークが、前記第1の移送導管部分と前記第1の収集導管部分との間に提供される遷移ゾーンを含み、前記遷移ゾーンが、その第1の端と第2の端との間に延在し、前記第1の端が、前記第1の移送導管部分に最も近い前記遷移ゾーンの端であり、前記第2の端が、前記第1の収集導管部分に最も近い前記遷移ゾーンの端であり、前記第1の水に対する親和性から前記第2の水に対する親和性への遷移が、前記遷移ゾーン内で提供される、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項3】
前記第1の水に対する親和性から前記第2の水に対する親和性への前記遷移が、前記第1の水に対する親和性から前記第2の水に対する親和性への漸進的な遷移を含む、請求項2に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項4】
前記遷移ゾーンが、その前記第1の端と前記第2の端との間で500μm未満の広がりを有する、請求項2または3のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項5】
前記マイクロ流体デバイスが、前記マイクロ流体区分および前記容器区分を形成する複数の構成要素を備え、前記複数の構成要素が、互いに固定されている第1の構成要素および第2の構成要素を含み、各流体導管ネットワークが、前記第1の構成要素によって部分的に、および前記第2の構成要素によって部分的に形成され、前記第1の構成要素が、第1のコーティングされたゾーンおよび第1のコーティングされていないゾーンを有する第1の基板を含み、第2の構成要素が、第2のコーティングされたゾーンおよび第2のコーティングされていないゾーンを有する第2の基板を含み、各流体導管ネットワークについて、前記第1の移送導管部分および前記第1の収集導管部分のうちの一方が、前記第1のコーティングされたゾーンの一次部分によって部分的に、および前記第2のコーティングされたゾーンの一次部分によって部分的に形成され、前記第1の移送導管部分および前記第1の収集導管部分のうちの他方が、前記第1のコーティングされていないゾーンの一次部分によって部分的に、および第2のコーティングされていないゾーンの一次部分によって部分的に形成されている、請求項~4のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項6】
前記第1のコーティングされたゾーンの前記一次部分が、10nm~200nmの範囲内にある第1の均一なコーティング厚さを含む前記第1のコーティングされたゾーンの第1の一次部分を含み、前記第2のコーティングされたゾーンの前記一次部分が、10nm~200nmの範囲内にある第2の均一なコーティング厚さを含む、請求項5に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項7】
前記遷移ゾーンが、前記第1のコーティングされたゾーンの二次部分および前記第2のコーティングされたゾーンの二次部分を含み、前記第1のコーティングされたゾーンの前記二次部分が、その第1の端から第2の端まで延在しており、
前記第1のコーティングされたゾーンの前記二次部分の前記第2の端が、前記第1のコーティングされたゾーンの第1の縁に提供されており、前記第1のコーティングされたゾーンの前記二次部分が、その前記第1の端から第2の端までゼロ設定されているコーティング厚さを含み、前記第2のコーティングされたゾーンの前記二次部分が、その第1の端から第2の端まで延在し、前記第2のコーティングされたゾーンの前記二次部分の前記第2の端が、前記第2のコーティングされたゾーンの第2の縁に提供されており、前記第2のコーティングされたゾーンの前記二次部分が、その前記第1の端から第2の端までゼロ設定されているコーティング厚さを含み、前記第1のコーティングされたゾーンの前記二次部分の前記第2の端、および前記第2のコーティングされたゾーンの前記二次部分の前記第2の端のうちの少なくとも一方が、前記遷移ゾーンの前記第1の端および前記第2の端のうちの一方と一致し、前記第1のコーティングされたゾーンの前記二次部分の前記第1の端、および前記第2のコーティングされたゾーンの前記二次部分の前記第1の端のうちの少なくとも一方が、前記遷移ゾーンの前記第1の端および前記第2の端のうちの他方と一致する、請求項2に従属するように、請求項5または6のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項8】
前記第1のコーティングされたゾーンの前記二次部分の前記第1の端の前記コーティング厚さが、前記第1のコーティングされたゾーンの前記一次部分の前記コーティング厚さに対応し、前記第2のコーティングされたゾーンの前記二次部分の前記第1の端のコーティング厚さが、前記第2のコーティングされたゾーンの前記一次部分の前記コーティング厚さに対応する、請求項7に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項9】
前記第1のコーティングされたゾーンの前記二次部分が、その前記第1の端と前記第2の端との間に500μm未満の広がりを有し、前記第2のコーティングされたゾーンの前記二次部分が、その前記第1の端と前記第2の端との間に500μm未満の広がりを有する、請求項7または8のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項10】
前記第1のコーティングされたゾーンの前記二次部分および前記第2のコーティングされたゾーンの前記二次部分が、互いに位置合わせされていない、請求項7~9のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項11】
前記第1のコーティングされたゾーンの前記二次部分および前記第2のコーティングされたゾーンの前記二次部分が、互いに位置合わせされている、請求項7~9のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項12】
キットであって、
請求項1~11のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイスのうちの1つ以上と、
前記マイクロ流体デバイスと共に使用するように構成された複数の流体と、を備え、
前記複数の流体が、試料緩衝液、油、および連続相緩衝液を含み、
前記キットが、酵素およびヌクレオチドを含む、キット。
【請求項13】
アセンブリであって、
請求項1~11のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス、または請求項12に記載のキットと、
受容体と、
圧力分配構造と、を備え、
前記受容体が、前記マイクロ流体デバイスを受容および保持するように構成されており、前記圧力分配構造は、前記受容体によって保持されたときに前記マイクロ流体デバイスに圧力を供給するように構成されており、前記圧力分配構造が、
二次容器マニホールド、
および三次容器マニホールドを含む、複数の容器マニホールドと、
二次ライン圧力調整器および三次ライン圧力調整器を含む、複数のライン圧力調整器と、
メインマニホールドと、を備え、
前記二次容器マニホールドが、前記マイクロ流体デバイスの各二次供給容器に連結されるように構成されており、
前記三次容器マニホールドが、前記マイクロ流体デバイスの各三次供給容器に連結されるように構成されており、
前記二次ライン圧力調整器が、前記二次容器マニホールドに連結されており、
前記三次ライン圧力調整器が、前記三次容器マニホールドに連結されており、
前記メインマニホールドが、前記それぞれのライン圧力調整器を介して各容器マニホールドに連結されている、アセンブリ。
【請求項14】
請求項5~11のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイスを提供する方法であって、前記方法は、
前記複数の構成要素を提供することであって、前記複数の構成要素の各構成要素が、前記複数の構成要素の別の構成要素の側部に面するように構成され、かつその側部に取り付けられるように構成されている、少なくとも1つの側部を含み、各容器群について、前記複数の構成要素のうちの1つが、少なくとも前記二次供給容器および前記三次供給容器を収容する、提供することと、
各構成要素が少なくとも1つの他の構成要素に固定的に取り付けられるように、前記複数の構成要素が、固定接続されたユニットを形成するように、かつ各流体導管ネットワークが、前記第2の構成要素によって部分的に、および前記第1の構成要素によって部分的に形成されるように、前記複数の構成要素を組み立てることであって、前記第1の構成要素が、前記第2の構成要素に面する、組み立てることと、
コーティングを適用することであって、前記第1の構成要素の少なくとも第1の部分に第1のコーティングを適用すること、および前記第2の構成要素の少なくとも第1の部分に第2のコーティングを適用することを含む、適用することと、を含む、方法。
【請求項15】
前記方法が、請求項10または11に記載のマイクロ流体デバイスを提供する方法であり、コーティングを適用する前記工程が、
前記第1の構成要素の少なくとも前記第1の部分、および前記第2の構成要素の少なくとも前記第1の部分に第1のタイプの液体を適用することと、
前記第1のタイプの液体を適用する前記工程に続いて、前記第1の構成要素の少なくとも前記第1の部分、および前記第2の構成要素の少なくとも前記第1の部分にマスクを介してUV光を適用することと、を含み、
前記第1のタイプの液体を適用する前記工程が、
組み立てる前記工程の前に実施される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記方法が、請求項11に記載のマイクロ流体デバイスを提供する方法であり、コーティングを適用する前記工程が、
第1のタイプの液体を前記第1の構成要素の少なくとも前記第1の部分、および前記第2の構成要素の少なくとも前記第1の部分に適用することと、
前記第1のタイプの液体を適用する前記工程に続いて、前記第1の構成要素の少なくとも前記第1の部分、および前記第2の構成要素の少なくとも前記第1の部分にマスクを介してUV光を適用することと、を含み、
前記第1のタイプの液体を適用する前記工程が、
組み立てる前記工程に続いて実施され、前記第1のタイプの液体を適用する前記工程が、前記流体導管ネットワークの部分を遮断するための不活性液体を利用することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
ダブルエマルション液滴を提供する方法であって、前記方法は、
請求項1~11のいずれか一項に記載の、もしくは請求項14~16のいずれか一項の方法に従って提供される、マイクロ流体デバイス、
請求項12に記載のキット、または
ダブルエマルション液滴の前記提供のための請求項13に記載のアセンブリのうちのいずれかの使用を含み、
前記方法が、
第1の容器群の前記一次供給容器に第1の流体を提供することと、
前記第1の容器群の前記二次供給容器に第2の流体を提供することと、
前記第1の容器群の前記三次供給容器に第3の流体を提供することと、
前記第1の容器群の前記個々の供給容器の各々の中の前記圧力が、前記第1の容器群の前記収集容器の中よりも高くなるように、前記第1の容器群の前記それぞれの供給容器の各々と前記第1の容器群の前記収集容器との間に圧力差を提供することと、を含み、
前記方法が、請求項12に記載のキットの使用を含むとき、前記第1の流体が、前記試料緩衝液を含み、前記第2の流体が、前記油を含み、前記第3の流体が、前記連続相緩衝液を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ流体デバイス、マイクロ流体デバイスを製造するための方法、およびマイクロ流体デバイスを使用するダブルエマルション液滴の提供のための方法に関する。さらに、本発明は、ダブルエマルション液滴の提供のためのマイクロ流体デバイスに圧力を供給するように構成されたアセンブリに関する。さらに、本発明は、複数のマイクロ流体デバイスと、ダブルエマルション液滴の提供のためのマイクロ流体デバイスと共に使用するように構成された複数の流体と、を備える、キットに関する。
【0002】
水性内相および外側水性担体相に懸濁されている油層を含むなどの、ダブルエマルション液滴は、多くの産業、医療、および研究用途における使用を見出している。そのような用途は、例えば、薬物送達、化粧品用の送達ビヒクル、細胞カプセル化、および合成生物学を含み得る。ダブルエマルション液滴を使用して提供され得るように、細胞、化学物質、または分子を数百万の小さいパーティションに分割することは、各試料ラインの反応を分離するなどの、各ユニットの反応を分離し得、このことは、各パーティションの別個の処理または分析を可能にし得る。
【0003】
ダブルエマルション液滴が、水などの同じタイプの液体である内相および担体相を有し得るため、ダブルエマルション液滴は、いくつかの用途について、シングルエマルション液滴よりも好ましい場合がある。内相および担体相の両方として水を有することは、上述された用途に使用される設備の状態に起因して有利である可能性がある。
【0004】
ダブルエマルション液滴の提供のための先行技術のマイクロ流体デバイスおよび方法は、EP11838713、US9238206B2、US2017/0022538(A1)、US8802027(B2)、US2012/0211084、US9039273(B2)、およびUS7772287(B2)などの刊行物から知られている。
【0005】
本発明の発明者らは、先行技術のデバイスおよび方法の潜在的な欠点を識別した。識別された潜在的な欠点は、ダブルエマルション液滴の提供のための複雑なおよび/または時間の掛かる操作を含み得る。先行技術の識別された潜在的な欠点は、先行技術のマイクロ流体チップがチューブおよび他のコネクタを介して流体リザーバに接続されるときの、および/または異なる表面特性のマイクロ流体チップがチューブを使用して互いに直列に接続されるときの、試料の汚染のリスクを含み得る。先行技術の識別された潜在的な欠点は、先行技術システムの異なる構成要素間に提供されるチューブ内の試料の損失を含み得る。先行技術の識別された潜在的な欠点は、先行技術システムの構成要素を接続するための複雑なチューブシステムの使用に起因する不安定な空気圧の提供を含み得る。先行技術システムのこれらの潜在的な欠点の一部または全部は、望ましくない可能性がある、多分散液滴を引き起こし得る。
【0006】
本発明の1つの目的は、単分散ダブルエマルション液滴などの、ダブルエマルション液滴の提供のための改善されたおよび/または代替のシステムおよび方法を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、単分散ダブルエマルション液滴などの、ダブルエマルション液滴の提供中に、試薬の使用および/または試料の損失を低減および/または低減することを可能にすることである。
【0008】
本発明のさらに別の目的は、単分散ダブルエマルション液滴などのダブルエマルション液滴の提供を単純化し得るデバイスおよび方法を提供すること、ならびに/またはマイクロ流体操作で顕著なスキルを有する人員の要件を低減するデバイスおよび方法を提供することである。
【0009】
本発明のさらに別の目的は、ダブルエマルション液滴を生成しながら汚染のリスクを最小限に抑えることである。
【発明の概要】
【0010】
本発明の第1の態様によると、マイクロ流体デバイスであって、複数のマイクロ流体ユニットを含むマイクロ流体区分と、各マイクロ流体ユニットに1つの容器群を含む複数の容器群を含む容器区分と、を備える、マイクロ流体デバイスが提供される。各マイクロ流体ユニットは、一次供給導管、二次供給導管、および三次供給導管を含む複数の供給導管と、第1の水に対する親和性を有する第1の移送導管部分を含む、移送導管と、第1の水に対する親和性とは異なる第2の水に対する親和性を有する第1の収集導管部分を含む、収集導管と、一次供給導管、二次供給導管、および移送導管の間の流体連通を提供する、第1の流体接合部と、三次供給導管、移送導管、および収集導管の間の流体連通を提供する、第2の流体接合部と、を含む、流体導管ネットワークを備え、各第1の収集導管部分が、対応する第2の流体接合部から延在し、各第1の収集導管部分が、対応する第2の流体接合部から延在する。各容器群が、収集容器と、一次供給容器、二次供給容器、および三次供給容器を含む複数の供給容器と、を含む、複数の容器を含む。
【0011】
各容器群について、以下を適用する。収集容器が、対応するマイクロ流体ユニットの収集導管と流体連通しており、一次供給容器が、対応するマイクロ流体ユニットの一次供給導管と流体連通しており、二次供給容器が、対応するマイクロ流体ユニットの二次供給導管と流体連通しており、三次供給容器が、対応するマイクロ流体ユニットの三次供給導管と流体連通している。
【0012】
本発明のさらなる態様によると、受容体および圧力分配構造を備えるアセンブリが提供される。受容体は、本発明によるマイクロ流体デバイスを受容および保持するように構成されている。アセンブリは、すぐ下に定義されるようなマイクロ流体デバイスまたはキットを備え得る。圧力分配構造は、マイクロ流体デバイスが受容体によって保持されたときにマイクロ流体デバイスに圧力を供給するように構成されている。圧力分配構造は、二次容器マニホールドおよび三次容器マニホールドを含む、複数の容器マニホールドと、二次ライン圧力調整器および三次ライン圧力調整器を含む、複数のライン圧力調整器と、メインマニホールドと、を備える。二次容器マニホールドは、マイクロ流体デバイスの各二次供給容器に連結されるように構成されている。三次容器マニホールドは、マイクロ流体デバイスの各三次供給容器に連結されるように構成されている。二次ライン圧力調整器は、一次容器マニホールドに連結されている。三次ライン圧力調整器は、三次容器マニホールドに連結されている。メインマニホールドは、それぞれのライン圧力調整器を介して各容器マニホールドに連結されている。一実施形態によると、複数の容器マニホールドは、マイクロ流体デバイスの一次供給容器の各々に連結されるように構成された一次容器マニホールドを備える。この連結は、一次弁を介し得る。複数のライン圧力調整器は、一次ライン圧力調整器を含み得る。
【0013】
本発明のさらなる態様によると、キットであって、本発明による1つ以上のマイクロ流体デバイスと、本発明によるマイクロ流体デバイスと共に使用するように構成された複数の流体と、を備える、キットが提供される。複数の流体が、試料緩衝液、油、および連続相緩衝液を含む。キットが、酵素およびヌクレオチドを含む。
【0014】
本発明のさらなる態様によると、ダブルエマルション液滴を提供するための方法が提供される。ダブルエマルション液滴の提供について、方法は、本発明によるマイクロ流体デバイス、本発明によるアセンブリ、または本発明によるキットのうちのいずれかの使用を含む。方法は、第1の容器群の一次供給容器に第1の流体を提供することと、第1の容器群の二次供給容器に第2の流体を提供することと、第1の容器群の三次供給容器に第3の流体を提供することと、第1の容器群の個々の供給容器の各々の中の圧力が、第1の容器群の収集容器の中よりも高くなるように、第1の容器群のそれぞれの供給容器の各々と第1の容器群の収集容器との間に圧力差を提供することと、を含み得る。
【0015】
方法が、本発明によるキットの使用を含むとき、第1の流体が、試料緩衝液を含み得る、第2の流体が、油を含み得る、および/または第3の流体が、連続相緩衝液を含み得る。
【0016】
本発明のさらなる態様によると、本発明によるマイクロ流体デバイスを製造するための方法が提供される。方法は、対応するそれぞれのマイクロ流体ユニットを介して、各容器群の個々の容器間に流体連通が提供されるように、容器区分およびマイクロ流体区分を互いに固定することを含み得る。
【0017】
本発明のさらなる態様によると、本発明によるマイクロ流体デバイスを製造するための方法が提供される。マイクロ流体デバイスを製造するための方法は、個々の容器とマイクロ流体ユニットの対応するそれぞれの開口部との間に流体連通が提供されるように、ベース容器構造片およびベースマイクロ流体片を互いに固定することを含み得る。
【0018】
複数のマイクロ流体ユニットおよびマイクロ流体デバイスの対応する複数の容器群の提供などの、本発明の利点は、いくつかの試料の個々のおよび/または並列処理が容易になり得ることを含み得る。それゆえに、試料材料を典型的に含む第1の流体は、「試料」と示され得る。
【0019】
容器区分およびマイクロ流体区分の提供、例えば、固定的に接続されたユニットを形成することなどの、本発明の利点は、ダブルエマルション液滴の提供のために使用される液体、すなわち、例えば、第1の流体、第2の流体、および第3の流体、ならびに結果として生じる液滴が、マイクロ流体デバイス内に収容され得ることを含み得る。これは、多くの場合、本発明によるデバイスおよび方法の使い易さを提供する、結果物の汚染の低いリスクを提供する、ならびに/または本発明に従って生成された液滴が改善された単分散特性および/もしくは再現特性を保有することを容易にする。これは、先行技術の解決策によって使用され得るように、本発明が、延長されたチューブおよび様々な長さの接続特徴を用いた複雑な接続の使用を回避または最小化することによって少なくとも部分的に引き起こされ得る。
【0020】
第1の移送導管部分が第1の水に対する親和性を有し、第1の収集導管部分が第1の水に対する親和性とは異なる第2の親和性を有することは、ダブルエマルション液滴が1つのマイクロ流体ユニット内で生成されるという結果をもたらすため、本発明の1つの利点である。さらに、そのことは、より均一なおよび/またはより単分散の液滴を結果的にもたらす。先行技術の解決策に従って提供され得るように、異なる表面特性を有する2つの個々のマイクロ流体部を接続することは、液滴間の不等間隔を有する液滴の流れを結果的にもたらし得、これは、多分散液滴の生成を結果的にもたらし得る。
【0021】
複数のライン圧力調整器を備える圧力分配構造などのアセンブリなどの本発明の利点は、供給容器に適用される圧力が別々に調整可能であることを含み得る。例えば、全ての二次供給容器が、第1の圧力を提供され得、全ての三次供給容器が、第3の圧力を提供され得る。特に中間チャンバではなくウェルの形態で提供される場合、全ての一次供給容器についても同様である。これは、結果的に、特定のサイズなどの特定の特性を有する、油などの第2の流体のシェルの特定の厚さを有する、および/または試料液滴などの内部の第1の流体なしの油液滴に対するダブルエマルションの所望の比率を有する、液滴の生成を可能または容易にし得る。
【0022】
本発明によるマイクロ流体デバイスと共に使用するように構成された複数の流体を含むキットなどの本発明の利点は、流体の特性が、キット内に含まれる特定のマイクロ流体デバイス用に構成されるように提供され得ることを含み得、このことは、結果的に、液滴の生成または液滴の安定性を損ない得る流体を使用するリスクを低減し得る。
【0023】
ダブルエマルション液滴の提供のための、本発明によるマイクロ流体デバイス、本発明によるアセンブリ、または本発明によるキットのうちのいずれかの使用を含む、ダブルエマルション液滴を提供するための本発明による方法を使用する利点は、複数の液滴エマルションの同時および並列生成が達成され得、時間の使用および/または操作を低減することを含み得る。本発明による方法を使用することの代替または追加の利点は、方法を使用して生成された並列試料が、より均質であり得ることを含み得、このことは、並列試料からより比較可能な結果物を結果的にもたらし得る。本発明による方法を使用することの代替または追加の利点は、アセンブリが、例えば、圧力および/または他の設定を調整することを必要とせずに、同じ事前設定、例えば、事前プログラム、反復実行用の設定で使用され得ることを含み得、このことは、結果的に、液滴を生成するための時間および操作を最小化し得る、および/または、例えば、生成中に液滴を監視することができない場合でも、液滴生成を可能にし得る。
【0024】
対応するそれぞれのマイクロ流体ユニットを介して各容器群の個々の容器間に流体連通が提供されるように、容器区分およびマイクロ流体区分を互いに固定する、本発明による製造のための方法の利点は、液体の漏れのリスクが緩和されることを含み得る。代替または追加の利点は、並列および/または連続試料生産の間の結果物の任意のまたはいくつかの変動が緩和され得ることを含み得る。
【0025】
本発明によるマイクロ流体デバイスおよび/または任意の方法は、本開示の任意の所望の任意の記述に従って構造的および/または機能的に構成され得る。
【0026】
本発明は、上記および以下に説明されるデバイスおよび方法を含む異なる態様に関する。各態様は、1つ以上の他の態様に関連して説明された利益および利点の1つ以上をもたらし得る。各態様は、他の態様のうちの1つ以上に関連して説明された、および/または添付の特許請求の範囲に開示された実施形態に対応する特徴の全部または一部のみを有する1つ以上の実施形態を有し得る。
本発明の他のシステム、方法、および特徴は、以下の図面および詳細な説明を検討する際に、当業者に明らかになるか、または明らかである。全てのそのような追加のシステム、方法、および機能が、この説明に含まれ、本発明の範囲内にあり、添付の特許請求の範囲によって保護されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
上記の、ならびに本発明の概念の追加の目的、特徴および利点は、同様の参照番号が同様の要素に使用され得る添付の図面を参照して、本発明の概念の好ましい実施形態および/または特徴の以下の例示的かつ非限定的な詳細な説明を通じてより良好に理解されることになる。さらに、最後の2桁が同一であるが、先行する任意の1桁または2桁が異なる任意の参照番号は、それらの特徴が構造的に異なって例示されているが、これらの特徴が本発明の同じ機能的特徴を参照し得ることを示し得、参照番号のリストを参照されたい。
【0028】
添付の図面は、本発明のさらなる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する。図面は、本発明の実施形態を例示し、説明と共に、本発明の原理を説明するために役立つ。他のおよびさらなる態様および特徴は、実施形態の以下の詳細な説明を読むことから明白であり得る。
【0029】
図面は、実施形態の設計および有用性を例示している。これらの図面は、必ずしも一定の縮尺ではない。上記および他の利点および目的がどのように得られるかをより良好に理解するために、実施形態のより具体的な説明が与えられ、これは、添付の図面に例示される。これらの図面は、典型的な実施形態を図示するのみであり得、それゆえに、その範囲を限定するとみなされ得ない。
【0030】
図1】本発明によるマイクロ流体デバイスの第1の実施形態の断面側面図を概略的に例示する。
図2図1に示される破線の符号なしの図1の実施形態を概略的に例示する。
図3-4】図1および2に例示された実施形態のマイクロ流体ユニットを概略的に例示する。
図5】本発明によるマイクロ流体デバイスの第2の実施形態のマイクロ流体ユニットの断面上面図を概略的に例示する。
図6図5に例示される第2の実施形態の流体導管ネットワークの一部を概略的に例示する。
図7図6に例示された流体導管ネットワークの一部を概略的に例示し、ダブルエマルション液滴の形成を例示している。
図8図6に例示される流体導管ネットワークの一部を概略的に例示し、水に対する第1および第2の親和性がそれぞれ必要とされる、流体導管ネットワークのエリアを示している。
図9a-d.10a-d】図8に示される所望の場所の両方における水に対する所望の親和性を達成するための様々な例を概略的に例示する。
図11】本発明によるマイクロ流体デバイスの接合部の例を概略的に例示する。
図12】本発明によるマイクロ流体デバイスの第3の実施形態のマイクロ流体ユニットの断面上面図を概略的に例示する。
図13図12に例示されるマイクロ流体ユニットを含む、第3の実施形態の複数のマイクロ流体ユニットの断面上面図を概略的に例示する。
図14】本発明によるマイクロ流体デバイスの導管の一部の等角断面図を概略的に例示する。
図15】本発明によるマイクロ流体デバイスの供給入口の断面上面図を概略的に例示する。
図16】本発明によるマイクロ流体デバイスの第4の実施形態の一部の等角および簡略図を概略的に例示する。
図17図16に例示される第4の実施形態の簡略化された部分の分解図を概略的に例示する。
図18】本発明のマイクロ流体デバイスの第4の実施形態の等角図を概略的に例示する。
図19図18に例示される第4の実施形態の上面図を概略的に例示する。
図20図18および19に例示される第4の実施形態の断面側面図を概略的に例示する。
図21】本発明によるマイクロ流体デバイスの容器およびマイクロ流体ユニットの対応する部分の断面側面図を概略的に例示する。
図22図21の例示の分解図を概略的に例示する。
図23】本発明によるアセンブリの第1の実施形態を概略的に例示する。
図24】本発明によるマイクロ流体デバイスの収集容器からの流体の画像を示す。
図25】本発明によるマイクロ流体デバイスの複数の収集容器の画像を示す。
図26】本発明によるキットの第1の実施形態を概略的に例示する。
図27】本発明によるマイクロ流体デバイスの第5の実施形態の一部の斜視図を概略的に例示する。
図28図27に例示された実施形態の分解図を概略的に例示する。
図29図27および28に例示された第5の実施形態の一部の一部の上面図を概略的に例示する。
図30】本発明によるデバイスの第4の実施形態のマイクロ流体デバイスの等角分解図を概略的に例示する。
図31】上部から底部までの分解された部分を示す、図30に例示された第4の実施形態の上面図を概略的に例示する。
図32】上部から底部までの分解された部分を示す図30に例示された第4の実施形態の底面図を概略的に例示する。
図33】第4の実施形態の上面図を概略的に例示する。
図34】上側から見た、および底側から見た、本発明の第6の実施形態によるマイクロ流体デバイスの等角図を概略的に例示する。
図35a-35b】第6の実施形態の、それぞれ、上部分解図および底部分解図を概略的に例示する。
図36】分解された部分を並べて示す、第6の実施形態の底面図を概略的に例示する。
図37】分解された部分を並べて示す、第6の実施形態の上面分解図を概略的に例示する。
図38a】第6の実施形態の上面図を概略的に例示する。
図38b】第6の実施形態の断面図を概略的に例示する。
図39a】本発明による、第7の実施形態の上面図を概略的に例示する。
図39b図39aの実施形態の試料ラインの簡略図を概略的に例示する。
図40a-40b】図39bの試料ラインの分解図を概略的に例示する。
図41a-41b】図40aおよび40bの分解された部分の上面図を概略的に例示する。
図42a-42b】図40aおよび40bの分解された部分の底面図を概略的に例示する。
図43a図39bに例示された部分の上面図を概略的に例示する。
図43b図43aの試料ラインの断面側面図を例示する。
図44a-c.45a-b.47a-b.49a-b】本発明によるマイクロ流体デバイスの提供の方法の様々な工程を概略的に例示する。
図46】遷移ゾーンにおける位置合わせされていないコーティングを有する実施形態の断面図を概略的に例示する。
図48a-48b】本発明によるデバイスの提供の方法のそれぞれのブロック図を概略的に例示する。
図50a-50b】図9aに関連して例示および開示されたものと同じ特徴を概略的に例示する。さらに、図50は、遷移ゾーンを例示する。
図51a-51b】別の構成要素のキャッピング部分を形成する構成要素のコーティングを概略的に例示する。
【0031】
本開示を通して、「液滴」という用語は、「ダブルエマルション液滴」を指し得、本発明に従って提供されるなどの「DE液滴」とも示され得る。
【0032】
本開示を通して、「例」という用語は、本発明による実施形態を指し得る。
【0033】
本発明によるマイクロ流体デバイスは、「カートリッジ」または「マイクロ流体カートリッジ」と示され得る。複数のマイクロ流体ユニットを含むマイクロ流体デバイスの第1の部分は、「マイクロ流体区分」と示され得る。複数の容器群を含む、マイクロ流体デバイスの第2の部分は、「容器区分」と示され得る。マイクロ流体デバイスの第2の部分は、マイクロ流体デバイスの第1の部分とは異なり得、マイクロ流体デバイスの第1の部分を含まなくてもよい。マイクロ流体区分および/またはマイクロ流体ユニットは、「チップ」、「マイクロチップ」、または「マイクロ流体チップ」と示され得る。
【0034】
ベースマイクロ流体片は、例えば、射出成形によって成形されるなどの、一体に形成され得る。ベースマイクロ流体片は、マイクロ流体区分の一部を形成し得る。ベースマイクロ流体片は、マイクロ流体デバイスの各マイクロ流体ユニットを含み得る。
【0035】
ベース容器構造片は、例えば、射出成形によって成形されるなどの、一体に形成され得る。ベース容器構造片は、容器区分の一部を形成し得る。ベース容器構造片は、マイクロ流体デバイスの各容器を含み得る。
【0036】
マイクロ流体区分および容器区分は、互いに固定的に接続され得る、および/または固定的に接続されたユニットを形成し得る。
【0037】
各マイクロ流体ユニットは、対応する容器群の個々の容器間に流体接続を形成し得る。容器群およびマイクロ流体ユニットは、それらの間に流体接続が提供される場合、「対応する」と示され得る。複数の容器群の各容器群は、複数のマイクロ流体ユニットのそれぞれの対応するマイクロ流体ユニットと組み合わせて機能ユニットの一部を形成し得る。そのような機能ユニットは、「液滴生成ユニット」および/または「試料ライン」と示され得る。試料ラインは、任意の液体の共有が防止されるように、互いに隔離され得る。
【0038】
複数の試料ラインの提供は、いくつかの試料の個々のおよび/または並列処理を容易にし得る。
【0039】
マイクロ流体デバイスは、単回使用を意図され得、すなわち、各試料ラインは、一度だけ使用されることを意図され得る。これは、結果の汚染の低いリスクを提供し得る。
【0040】
「マイクロ流体」という用語は、それぞれのデバイス/ユニットの少なくとも一部が、1mm未満である、幅および/もしくは高さなどの少なくとも1つの寸法、ならびに/または1mm未満の断面積を有するなどの、マイクロスケールの1つ以上の流体導管を備えることを意味する。導管、開口部、または接合部などの流体導管ネットワークの少なくとも一部の高さまたは幅などの最小寸法は、500μm未満、例えば、200μm未満、例えば、20μm未満とすることができる。
【0041】
「マイクロ流体」という用語は、それぞれの部分の体積が比較的小さいことを意味し得る。各流体導管ネットワークの容積は、0.05μL~2μL、例えば、0.1μL~1μL、例えば、0.2μL~0.6μL、例えば、およそ0.3μLとすることができる。
【0042】
本発明のデバイスの流体導管ネットワークによって提供され得るなどの、マイクロスケールにおける流体の挙動は、表面張力、エネルギー散逸、および/または流体抵抗などの因子が、システムを支配し始め得るという点で、「マクロ流体」挙動とは異なり得る。移送導管などの本発明による導管がおよそ100nm~500μmの直径、高さ、および/または幅を有するときなどの小規模では、レイノルズ数が非常に低くなり得る。ここでの重要な結果は、流れが乱流ではなく層流になり得るため、並流流体が必ずしも従来の意味で混合するとは限らないことであり得る。
【0043】
その結果、2つの非混和流体、例えば、水性相などの第1の流体と、例えば、フッ素化油を含み得る油相などの第2の流体が、接合部で交わるとき、平行な層流が結果的に生じ得、これは、単分散液滴の安定した生成を再び結果的にもたらし得る。より大きい規模では、非混和液体が接合部で混合し得、多分散液滴を結果的にもたらし得る。
【0044】
本発明によるマイクロ流体デバイスは、好ましくは、ダブルエマルション液滴の生成または提供のために構成される。ダブルエマルション液滴は、内側の分散相が非混和相によって取り囲まれ、非混和相が再び連続相によって取り囲まれる、液滴を指し得る。内側分散相は、1つの液滴を含む、および/またはそれから構成され得る。内相は、塩、ヌクレオチド、および酵素が溶解され得るか、または溶解される、水性相であり得る。非混和相は、油相であり得る。連続相は、水性相であり得る。
【0045】
本発明によるマイクロ流体デバイスは、トリプルエマルション、クアドラプルエマルション、またはより多重のエマルションのために構成され得る。
【0046】
マイクロ流体デバイスは、好ましくは、上側および下側を含む。上側は、例えば、ピペットによって、各容器にアクセスするように構成され得る。
【0047】
複数のマイクロ流体ユニットは、8つのマイクロ流体ユニットを含む、および/またはそれらから構成され得る。正確に8つのユニットの提供の利点は、8チャネルピペットなどの最先端の設備の使用の容易化であり得る。
【0048】
各マイクロ流体ユニットの下部および/または上部は、ベースマイクロ流体片によって提供され得る。
【0049】
流体導管ネットワークは、第1の流体接合部および第2の流体接合部を含む接合部で交差する導管のネットワークを形成し得る。
【0050】
流体導管ネットワークの任意の1つ以上の導管は、例えば、実質的に均一な直径によって実質的に均一な断面積を有するチャネルなどの1つ以上の部分を含み得る。
【0051】
流体導管ネットワークは、様々な直径を有する導管を含み得る。比較的大きい直径を有する流体導管ネットワークの部分は、比較的低い抵抗における液体の輸送を提供し得、より高い体積流量を結果的にもたらす。比較的小さい直径を有する流体導管ネットワークの部分は、生成された液滴の所望のサイズの提供を可能にし得る。
【0052】
流体導管ネットワーク導管などの流体導管ネットワークの一部の断面積は、例えば、それぞれの導管の1つ以上の壁、または、例えば、それぞれの導管の少なくとも1つの壁部に直交して画定される断面の面積を指し得る。
【0053】
流体導管ネットワークは、様々な断面積を有する導管を含み得る。比較的大きい断面積を有する流体導管ネットワークの部分は、例えば、導管の対向する端における異なる圧力の適用で、比較的低い抵抗における液体の輸送を提供し得、より高い体積流量を結果的にもたらす。比較的小さい断面積を有する流体導管ネットワークの部分は、生成された液滴の所望のサイズの提供を可能にし得る。
【0054】
第1の移送導管部分は、好ましくは、150~300μmの断面積を保有し、第1の収集導管部分は、好ましくは、200~400μmの断面積を保有する。これは、生成された液滴が10~25μmの内側液滴の直径、および18~30μmの内側液滴プラスシェル層の総外径を有することを容易にし得る。
【0055】
流体導管ネットワークは、ノズルおよび/またはチャンバを備え得る。ノズルは、ノズルの両側の導管よりも小さい断面積の導管内の収縮部を備え得る。ノズルは、導管断面積から別様に予想され得るよりも小さいサイズの液滴の生成を容易にし得る。これは、結果的に、より低い抵抗を伴うより大きい断面積を有する導管の使用を可能にし得る。チャンバは、液体を遅延させるために、またはマイクロ流体ユニット内に液体を一時的に貯蔵するために、ある量の液体を保持するように設計されたマイクロ流体ユニット内のエリアであり得る。そのようなチャンバは、他の導管と比較して1つ以上の導管からの液体を遅延させ得、それぞれの接合部における液体の正しいタイミングを確保し得るため、有利であり得る。
【0056】
マイクロ流体ユニットの供給導管は、一次供給導管、二次供給導管、および三次供給導管のうちのいずれか1つ、複数、または全てを指し得る。
【0057】
マイクロ流体ユニットの供給入口は、一次供給入口、二次供給入口、および三次供給入口のうちのいずれか1つ、複数、または全てを指し得る。
【0058】
マイクロ流体ユニットの供給開口部は、一次供給開口部、二次供給開口部、および三次供給開口部のうちのいずれか1つ、複数、または全てを指し得る。
【0059】
マイクロ流体ユニットの導管は、移送導管、収集導管、一次供給導管、二次供給導管、および三次供給導管のうちのいずれか1つ、複数、または全てを指し得る。
マイクロ流体ユニットの導管の開口部は、第1の移送開口部、第2の移送開口部、収集開口部、一次供給開口部、二次供給開口部、および三次供給開口部のうちのいずれか1つ、複数、または全てを指し得る。
【0060】
導管の開口部は、接合部に提供されたそれぞれの導管の最も狭い部分として画定され得る。開口部は、接合部から1mm以内などの、接合部の近くに位置付けられ得、接合部に出入りする導管より狭いか、または本質的に同じ断面積を有し得る。開口部は、接合部内への拡大部が続くか、または接合部と本質的に同じ断面積を有し得る。開口部は、1つ以上の孔またはスリットを含み得る。
【0061】
第1の流体接合部および/または第2の流体接合部は、導管の複数の開口部によって画定され得、これらの導管は、互いに交差するか、または交わるとみなされ得る。
【0062】
第1および第2の流体接合部の各々は、流体を接合部内に導くための複数の開口部と、流体を接合部から外に導くための1つの開口部と、を備え得る。
【0063】
第1および第2の流体接合部の各々は、好ましくは、2つ以上の導管からの非混和流体が直接流体接触して相互作用するようになることを可能にする。したがって、交互の液体部の流れまたはプラグもしくは液滴が生成、形成、または提供され得る。比較的狭い導管内にある間、液滴は、長方形であり得、プラグであるとみなされ得る。
【0064】
ダブルエマルション液滴またはプラグを含む液滴またはプラグの形成は、第2の流体接合部から始まって開始され得、接合部を出る流体の方向、すなわち、収集導管に沿って、接合部内または接合部の後に完了され得る。
【0065】
第1の移送導管部分は、第1の液体から形成された液滴またはプラグが第2の液体と非混和性である、移送導管の一部であり得る。第1の移送導管部分は、第1の移送導管部分内の液滴の形成および/または耐久性を可能にする第1の水に対する親和性を有し得る。水に対するこの第1の親和性は、フッ化炭素油などの油内における水滴またはプラグの形成を可能にする疎水性に対応し得る。
【0066】
水に対する親和性は、水に対する濡れ性として知られ得る。水に対する高い親和性は、水に対する高い濡れ性を指し得る。水に対する低い親和性、または水に対する親和性の欠如は、水に対する低い濡れ性を指し得る。
【0067】
第1の収集導管部分は、好ましくは、ダブルエマルション液滴またはプラグを含むエマルションが形成される収集導管の一部を形成する。
【0068】
第1の収集導管部分は、第1の収集導管部分内のダブルエマルション液滴の形成および/または持続可能性を可能にする第2の水に対する親和性を有し得る。水に対するこの第2の親和性は、連続水性相中の油シェルによって取り囲まれた水滴またはプラグの形成を可能にする親水性に対応し得る。
【0069】
二次供給導管は、第2の二次供給導管を含み得る。そのような第2の二次供給導管は、二次供給入口から第2の二次供給開口部まで延在し得る。第1の流体接合部の第1の複数の開口部は、第2の二次供給開口部を含み得る。本明細書の提供は、第1の接合部で1つよりも多い側部からピンチングすることによって液滴の生成を改善し得る。したがって、第1の流体への第2の流体のピンチングは、第1の流体接合部から、第1の二次供給導管および第2の二次供給導管の組み合わせによって実施され得、第1の二次供給導管および第2の二次供給導管は、両方、二次供給容器と第1の供給導管との間に延在し得る。
【0070】
第1の二次供給導管および第2の二次供給導管などの、ピンチングを提供することに関与する任意の部分は、それぞれの流体、例えば、第2の流体に対して同じ流体抵抗を有するように構成され得る。これは、それぞれの流体接合部内およびその後の均一な効果を容易にするためであり得る。任意のピンチング部は、それぞれの流体、例えば、第2の流体が、それぞれの流体接合部、例えば、第1の流体接合部に、同時に到達することになることを容易にするために、同じ断面積および/または容積を有するように構成され得る。したがって、第1の流体および第2の流体の混合物への第3の流体のピンチングは、第2の流体接合部から、第1の三次供給導管および第2の三次供給導管の組み合わせによって実施され得、第1の三次供給導管および第2の三次供給導管は、両方、三次供給容器と第2の供給導管との間に延在し得る。
【0071】
三次供給導管は、第2の三次供給導管を含み得る。そのような第2の三次供給導管は、三次供給入口から第2の三次供給開口部まで延在し得る。第2の流体接合部の第2の複数の開口部は、第2の三次供給開口部を含み得る。本明細書の提供は、第2の接合部で1つよりも多い複数の側部からピンチングすることによって液滴の生成を改善し得る。
【0072】
第1の移送導管部分は、好ましくは、第2の移送開口部まで延在する。あるいは、移送導管は、例えば、第1の移送導管部分の第2の端から延在する、第2の移送導管部分を含み得、第2の端は、第1の移送開口部の反対側にあり得、例えば、第2の移送開口部まで延在する。そのような第2の移送導管部分は、第1の水に対する親和性とは異なる水に対する親和性を有し得る。
【0073】
1つ以上の実施形態について、移送導管の一部および/または収集導管の一部は、流体のさらなる供給を有し得る。
【0074】
第1の収集導管部分は、収集出口まで延在し得る。
【0075】
第1の移送導管部分は、油担体流体中の水滴の形成が起こり得る、流体流の意図された方向に沿った第1の流体接合部の直後の第1のゾーンを指し得る。
【0076】
第1の収集導管部分は、水性担体流体中の油シェルによって取り囲まれたダブルエマルション水滴の形成が起こり得る、流体流の意図された方向の第2の流体接合部の直後の第2のゾーンを指し得る。
【0077】
第2の流体中で乳化された第1の流体のシングルエマルションの形成は、第1の接合部で開始され得、第1の移送導管部分内で継続され得る。したがって、第1の移送導管部分の後、第1の流体は、分散相にあり得、これに対して、第2の流体は、連続相にある。ダブルエマルションの形成は、第2の接合部で開始され得、第1の収集導管部分内で継続され得る。したがって、第1の収集導管部分の後、第3の流体は、第2の流体を乳化する連続担体相を形成する。第2の流体は、第1の流体の周囲にシェル層を形成し得る。
【0078】
第1の水に対する親和性は、水に対する親和性の欠如を有する、すなわち、疎水性であるなどとして、定義され得る。第1の水に対する親和性は、60°超、例えば、65°超、例えば、70°超、例えば、90°超の水に対する接触角を有する表面を説明し得る。より高い接触角は、液滴、すなわち、シングルエマルションの油中水滴などの、より安定した供給を提供し得る。これは、結果的に、より広い範囲の圧力が利用されること、および/または所望の寸法に従って提供されるダブルエマルション液滴のより高いパーセンテージを可能にし得る。
【0079】
接触角は、Yuan Y.,Lee T.R.(2013)Contact Angle and Wetting Properties.In:Bracco G.,Holst B.(eds)Surface Science Techniques.Springer Series in Surface Sciences,vol 51.Springer,Berlin,Heidelbergに説明されるように表面上で測定され得る。導管などの閉鎖容積内の接触角は、Tan,Say Hwa et al.Oxygen Plasma Treatment for Reducing Hydrophobicity of a Sealed Polydimethylsiloxane Microchannel.Biomicrofluidics 4.3(2010):032204.PMCに説明されるように測定され得る。
【0080】
第2の水に対する親和性は、水に対する強い親和性を有する、すなわち、親水性であるなどとして、定義され得る。第2の水に対する親和性は、60°未満、例えば、55°未満、例えば、50°未満、例えば、40°未満、例えば、30°未満の接触角を有する表面を説明し得る。より低い接触角は、ダブルエマルション液滴、すなわち、例えば、水中油中水ダブルエマルション液滴のより安定した供給を提供し得る。これは、結果的に、より広い範囲の圧力が利用されること、および/または所望の寸法に従って提供されるダブルエマルション液滴のより高いパーセンテージを可能にし得る。
【0081】
水に対する別の親和性と異なる水に対する1つの親和性を有することは、水に対する反対の親和性、または高親和性対低親和性などの反対に定義された親和性を有することとして理解され得る。例えば、第1の水に対する親和性が疎水性である場合、第2の水に対する親和性は、親水性であり得、逆も可である。
【0082】
第1の水に対する親和性の提供は、例えば、PMMA(ポリ(メチルメタクリレート))、ポリカーボネート、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、例えば、TOPASも含むCOC環状オレフィンコポリマー(COC)、ZEONOR(登録商標)を含むCOP(環状オレフィンポリマー)(COP)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびネガティブフォトレジストSU-8などのポリマーによって提供され得る。
【0083】
第1の水に対する親和性の提供は、代替的に、または追加的に、シリコン化、シラン化、またはアモルファスフルオロポリマーによるコーティングを使用する処理などの、例えば、表面を疎水性にする方法を使用して処理されるガラスなどの材料によって提供され得る。
【0084】
第1の水に対する親和性の提供は、代替的に、または追加的に、Aquapel、ソルゲルコーティングの層を適用することによって、またはガス状コーティング材料の薄膜の堆積によって、表面を疎水性にするために表面をコーティングすることによって提供され得る
【0085】
第2の水に対する親和性の提供は、例えば、ガラス、シリコン、または親水性を提供する他の材料を含む材料によって提供され得る。
【0086】
水に対する第2の親和性の提供は、代替的、または追加的に、酸素プラズマ処理、UV照射、UV/オゾン処理、ポリマーのUVグラフト、二酸化ケイ素(SiO2)の堆積、化学蒸着(CVD)またはプラズマ化学気相成長(PECVD)による二酸化ケイ素などの薄膜の堆積を使用して表面を改質することによって提供され得る。
【0087】
任意の供給容器または収集容器は、「ウェル」と呼ばれ得る。「ウェル」という用語は、収集容器、一次供給容器、二次供給容器、および三次供給容器のいずれか1つ、複数、または全てを指し得る。しかしながら、一次供給容器は、代替的に、本開示に説明されるように、ウェルの代わりに、中間チャンバによって提供されてもよい。
【0088】
ウェルは、例えば、水性試料、油、緩衝液、またはエマルションなどの液体を受け入れて収容するために好適な構造であり得る。
【0089】
ウェルは、2つの開口部を有し得る。1つの開口部は、例えば、ピペットを使用した上部装填/抽出によって、ウェルに液体を提供するか、またはウェルから液体を抽出するために構成され得る。別の開口部は、圧力差を受けたときなど、それぞれのウェルによって保持された液体がウェルを能動的に出入りすることを可能にし得る。
【0090】
ウェルは、本質的に平坦であるなどの1次元、2次元、もしくは3次元に境界付けられるか、円周方向に境界付けられるか、またはブリスタなどの全ての次元で境界付けられ得る。
【0091】
一次供給容器は、試料緩衝液などの第1の流体を保持するように構成され得る。一次供給容器によって保持された流体は、対応するマイクロ流体ユニットによって、対応する収集容器に向かってガイドされ得る。
【0092】
この二次供給容器は、油などの第2の流体を保持するように構成され得る。二次供給容器によって保持された流体は、対応するマイクロ流体ユニットによって、対応する収集容器に向かってガイドされ得る。
【0093】
三次供給容器は、緩衝液などの第3の流体を保持するように構成され得る。三次供給容器によって保持された流体は、対応するマイクロ流体ユニットによって、対応する収集容器に向かってガイドされ得る。
【0094】
収集容器は、供給容器から流体を収集するように構成され得る。この流体は、使用中に本発明によるデバイスによって提供されるダブルエマルション液滴を含み得る。ダブルエマルション液滴は、緩衝液などの連続流体中に懸濁され得る。
【0095】
一次供給容器は、第1の供給量を収容するように構成され得る。二次供給容器は、第2の供給量を収容するように構成され得る。三次供給容器は、第3の供給量を収容するように構成され得る。収集容器は、収集量を収容するように構成され得る。収集量は、第1の供給量、第2の供給量、および第3の供給量などの、対応する供給容器によって収容される量の合計よりも大きくてもよく、例えば、少なくとも5%大きくてもよい。
【0096】
第1の供給量は、例えば、100~500μL、例えば、200~400μLとすることができる。
【0097】
第2の供給量は、例えば、100~500μL、例えば、250~450μLとすることができる。
【0098】
第3の供給量は、例えば、150~800μL、例えば、300~500μLとすることができる。
【0099】
収集量は、例えば、250~1000μL、例えば、400~800μLとすることができる。
【0100】
本発明によるデバイスの使用中に、液体は、供給容器の各々から収集容器に移送され得る。
【0101】
収集容器によって収容される液体は、ピペットを使用して収集され得る。ピペットの先端が、液体を収集するために収集容器内に挿入されたとき、液体は、ピペット先端によって変位され得る。したがって、収集量が供給容器によって収容される量の合計よりも大きい場合、これは、収集中に収集容器からの液体のオーバーフローを防止するために役立ち得る。
【0102】
第1の供給容器の底部分は、丸みを帯びてもよい。これは、圧力が容器に適用されたときに、対応するマイクロ流体ユニット内への第1の供給容器によって収容された第1の液体の本質的に完全に入ることを確保するためであり得る。第1の液体が試料を含有し得るため、全てのまたは本質的に全ての第1の液体が利用されることが有利であり得る。
【0103】
容器、例えば、各容器群の各供給容器または各容器は、例えば、行および列などのグリッドで提供され得、隣接する容器間の間隔は、2つの直交する方向に沿って同じであり得る。
【0104】
容器、例えば、各容器群の各供給容器または各容器は、生体分子スクリーニング学会に代わって米国規格協会によって発行されたものとして定義されるなどの、標準的なウェルプレートレイアウトで提供され得る。したがって、2つの直交する方向のいずれかにおける隣接する容器の中心間の距離は、9mmであり得る。
【0105】
隣接するマイクロ流体ユニットの第1の供給容器の中心間の距離は、9mmであり得る。
【0106】
容器は、例えば、上部に丸い開口部を有する円筒などの、任意の好適な形状を有し得る。容器は、容器の底部に向かって先細になり得る、すなわち、底部よりも上部により大きい開口部を有する。先細の容器または容器の先細の底部の利点は、操作中に液体の完全な回収を確実にすることであり得る。上部の容器の開口部は、標準的なマイクロピペットを使用して液体を分注および除去するために好適なサイズを有し得る。
【0107】
各容器の上部は、同じ高さにあり得る。これは、それぞれの容器からの流体の供給/抽出を容易にし得る。
【0108】
収集容器の底部は、収集出口よりも低い高さに提供され得る。この利点は、流体導管ネットワーク内のダブルエマルション液滴の逆流を防止するために、ダブルエマルション液滴が、流体導管ネットワークから隔離され得る収集容器の一部の中に、流体導管ネットワークから移動され得ることであり得る。したがって、低液滴損失が提供され得る。収集容器の下部、例えば、底部分の容積は、少なくとも200μLであり得る。
【0109】
各容器群の下部および/または上部は、ベース容器構造片によって提供され得る。
【0110】
ベース容器構造片の上部は、実質的に平坦なガスケットを収容し得る。
【0111】
ガスケットは、別個の部分であり得、ベース容器構造片は、ガスケットの可逆的固定を可能にする特徴/突起を有し得る。突起は、任意の好適な形状およびサイズを有し得る。いくつかの実施形態では、各列は、一組の突起を有し得る。本明細書の利点は、一度に単一または定義された数の列のみが開放され得ることであり得る。
【0112】
一組の突起は、1つ、対、またはそれ以上などの任意の数の突起によって構成され得る。一対の突起は、2つの同一の構造、またはフックおよびピンなどの2つの異なる構造を含み得る。一対の突起を使用することの1つの利点は、開口部を収集容器のみに制限することである。
【0113】
各容器の上部は、高さおよび幅が1または2mmなどの任意の好適なサイズの突起または高さを有し得る。突起は、例に示されているリップなどの、全ての容器の境界に沿って均一な高さおよび幅を有し得る。突起の利点は、ガスケットとの正確な封止を容易にすることであり得る。
【0114】
「固定的に接続される」という用語は、「隣接されている」と理解され得る。固定的に接続されることは、例えば、1つ以上の追加の構造を介して、例えば、1つ以上のインターフェース構造を介して、および/またはベースマイクロ流体片に固定されたか、もしくはその一部を形成するキャッピング片を介して接続されることを含み得る。
【0115】
ベース容器構造片およびベースマイクロ流体片は、例えば、接着剤、溶接バット、ねじなどの1つ以上の取り付け要素を使用して、および/またはクランプ構造によってクランプされることによって、互いに固定的に接続され得る。
【0116】
互いに固定的に接続されたベース容器構造片およびベースマイクロ流体片を有する利点は、マイクロ流体デバイスがユーザによって単一片として取り扱われ得る。
【0117】
マイクロ流体デバイスは、ベースマイクロ流体片、またはベースマイクロ流体片を含むか、もしくはそれに連結された構造などの、複数のマイクロ流体ユニットを、ベース容器構造片などの複数の容器群に連結するように構成された1つ以上のインターフェース構造を備え得る。そのような1つ以上のインターフェース構造は、それぞれの容器の各々と、対応するマイクロ流体ユニットの対応する入口/出口との間に気密および液密連結を提供し得る。
【0118】
1つ以上のインターフェース構造は、ベース容器構造片などの、複数のマイクロ流体ユニットまたは複数の容器群の一部を形成し得る。
1つ以上のインターフェース構造は、エラストマー材料の平坦なシートなどのガスケットの形態で提供され得る。ガスケットは、流体接続の提供のために、例えば、直径0.2~1mmの連結穿孔を有し得る。
【0119】
容器と、対応するマイクロ流体ユニットの対応する入口/出口との間の各流体接続に1つの連結穿孔が存在し得る。例えば、各容器群に4つの容器、および8つのマイクロ流体ユニット、したがって、8つの容器群の場合、4×8の連結穿孔が存在し得る。
【0120】
1つ以上のインターフェース構造は、例えば、ベース容器構造片などの複数の容器群の一部を含むか、またはその一部を形成する、構造上にオーバーモールドされ得る。これは、カートリッジのアセンブリを容易にし得る。
【0121】
1つ以上のインターフェース構造は、エラストマー材料で作製され得、これは、液滴、例えば、油および緩衝液を生成する目的を有するデバイスの容器などのデバイスに適用される化学物質および試薬に対して耐性を有することが所望され得る。エラストマー材料は、例えば、天然ゴム、シリコン、エチレンプロピレンジエンモノマースチレン系ブロックコポリマー、オレフィンコポリマー、熱可塑性加硫物、熱可塑性ウレタン、コポリエステル、またはコポリアミドのいずれか1つ以上であり得るか、またはそれらを含み得る。
【0122】
1つ以上のインターフェース構造は、ねじなどの取り付け要素がガスケットを通過することを可能にするための1つ以上の取り付け穿孔を備え得る。そのような1つ以上の取り付け穿孔は、直径が1~8mm、例えば、6mmとすることができる。
【0123】
液滴は、意図される流れ方向の第1の流体接合部の後に提供される、第1の移送導管部分の断面積よりもわずかに大きい、液滴中心、すなわち、内側液滴における断面積を得る傾向があることが本発明者らによって観察された。これは、液滴が、それぞれの導管内の流れにさらされている間に伸長されるためであり得る。同様に、液滴が、意図される流れ方向の第2の流体接合部の後に提供される、第1の収集導管部分の断面積よりもわずかに大きい断面積、すなわち、内側液滴プラス外殻を得る傾向があることが本発明者らによって観察された。
【0124】
これよりも小さい液滴を得るために、ジェット気流が必要とされ得、これは、それぞれ、多くの第2の流体および/または第3の流体を必要とし、これは、望ましくない場合がある。緩衝液および油の量の必要性が低いデバイスおよび方法を提供することが利点であり得る。
【0125】
それぞれ、第1の移送導管部分および第1の収集導管部分の意図される流れ方向に直交して定義された断面積は、関連し得る。各々は、それらのそれぞれの液滴中心を通して定義されるように、それぞれの液滴、すなわち、内側液滴および内側プラス外側液滴の所望の断面積よりも断面積がわずかに小さいことが望ましい場合がある。
【0126】
各マイクロ流体ユニットの第1の移送導管部分および第1の収集導管部分は、それぞれの部分の提供時から少なくとも1か月の貯蔵の間、水に対するそれらのそれぞれの親和性を保持するように構成され得る。
【0127】
水に対するそれぞれの親和性は、本明細書のそれぞれの接触角が、水に対するそれぞれの親和性について本開示で定義された限界値内に留まる場合、保持されているとみなされ得る。
【0128】
水に対するそれぞれの親和性は、本明細書のそれぞれの接触角が下限未満から上限を超えるまで変化しない場合、またはその逆に変化しない場合、保持されているとみなされ得る。下限および上限は、60°など、等しくてもよい。下限は、例えば、55°または50°であり得る。上限は、例えば、65°または70°であり得る。
【0129】
貯蔵条件は、18℃~30℃、0.69atm~1.1atmであり得る。
【0130】
第1の移送導管部分は、例えば、PMMA(ポリ(メチルメタクリレート))、ポリカーボネート、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、例えば、TOPASも含むCOC環状オレフィンコポリマー(COC)、ZEONOR(登録商標)を含むCOP(環状オレフィンポリマー)(COP)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびネガティブフォトレジストSU-8などのポリマーから生成されたベース材料を提供されることによって、第1の水に対する親和性を保持するように構成され得る。
【0131】
第1の移送導管部分は、例えば、シリコン処理、シラン化、またはアモルファスフルオロポリマーによるコーティングを使用するなどの、表面を疎水性にする方法を使用して処理されたガラスまたはポリマーなどの材料を提供されることによって、第1の水に対する親和性を保持するように構成され得る。
【0132】
第1の移送導管部分は、例えば、Aquapel、ソルゲルコーティングの層を適用することによって、またはガス状コーティング材料の薄膜の堆積によって、コーティングされたベース材料を提供されることによって、第1の水に対する親和性を保持するように構成され得る。
【0133】
第1の収集導管部分は、例えば、ガラス、シリコン、または親水性を提供する他の材料を含む材料を提供することによって、第2の水に対する親和性を保持するように構成され得る。
【0134】
第1の収集導管部分は、例えば、酸素プラズマ処理、UV照射、UV/オゾン処理、ポリマーのUVグラフト化、二酸化ケイ素(SiO2)の堆積、化学蒸着(CVD)またはPECVDによる二酸化ケイ素などの薄膜の堆積を使用して改質されたベース材料を提供されることによって、第2の水に対する親和性を保持するように構成され得る。
【0135】
マイクロ流体デバイス用のベース材料は、熱可塑性のPDMSなどのエラストマー、熱硬化性のSU-8フォトリスト、ガラス、シリコン、紙、セラミック、または、材料の混成、例えば、ガラス/PDMSのうちのいずれかを含み得る。熱可塑性プラスチックは、PMMA/アクリル、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、COC、COP、ポリウレタン(PU)、ポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA)、およびポリテトラフルオロエチレンのいずれかを含み得る。
【0136】
それぞれの部分の提供時間は、コーティングが第1の収集導管部分および第1の移送導管部分のうちの一方のみに適用される場合でも、コーティングの提供時間として定義され得る。
【0137】
第1の移送導管部分および第1の収集導管部分の表面特性の高度の安定性は、マイクロ流体デバイスの長い保存寿命を可能にし得る。
【0138】
ベース容器構造片および/またはベースマイクロ流体片などの、マイクロ流体デバイスの1つ、複数、または全ての部分は、射出成形を使用して提供され得る。射出成形は、より多くの量でより費用効率が高くなり得、これは、在庫におけるより多くの量につながり得、それゆえに、より長い保存寿命が所望され得る。
【0139】
各マイクロ流体ユニットの第1の移送導管部分の表面特性は、例えば、基板の上に提供される、コーティングによって提供され得る。あるいは、または組み合わせて、各マイクロ流体ユニットの第1の収集導管部分の表面特性は、例えば、基板の上に提供される、コーティングによって提供され得る。基板は、各マイクロ流体ユニットの第1の移送導管部分または第1の収集導管部分のいずれかの表面特性を提供し得る。基板は、本開示に説明されるようなベース材料で提供され得る。
【0140】
したがって、コーティングは、コーティングが第1の移送導管部分または第1の収集導管部分のいずれかを構成し、一方、基板が他方を構成するように、基板上に提供され得る。
【0141】
コーティングは、ポリマーをプラズマ処理、続いて、化学蒸着、例えば、プラズマ化学気相成長に供することによってポリマー上に提供され得、化学蒸着は、SiOを使用することを含み得る。
【0142】
コーティングは、代替的に、または追加的に、第1の移送導管部分および第1の収集導管部分の両方を、シリコン処理、シラン化、またはアモルファスフルオロポリマーによるコーティングなどのコーティング、続いて、例えば、水酸化ナトリウムなどの化学物質を使用する、第1の収集導管部分からのコーティングの除去に供することによって、ガラスまたはポリマー表面上に提供され得る。
【0143】
コーティングは、1μm未満、例えば、500nm未満、例えば、250nm未満の厚さを有し得る。薄いコーティングは、物理蒸着ではなく化学蒸着を使用して達成され得る。
【0144】
薄いコーティングを提供することの利点は、流体導管ネットワークのそれぞれの部分の直径または断面積が、低い程度に影響を受け得ることであり得る。したがって、流体導管ネットワークは、コーティングがその後に適用され得ることを無視して、直径を備え得る。したがって、コーティングされた部分およびコーティングされていない部分に同様の断面積が提供され得る。
【0145】
第1の移送導管部分は、安定した疎水性表面特性を備え得る。第1の収集導管部分は、安定した親水性表面特性を備え得る。
【0146】
マイクロ流体区分は、各マイクロ流体ユニットの一次供給導管、各マイクロ流体ユニットの二次供給導管、各マイクロ流体ユニットの三次供給導管、各マイクロ流体ユニットの移送導管、各マイクロ流体ユニットの収集導管、各マイクロ流体ユニットの第1の流体接合部、および各マイクロ流体ユニットの第2の流体接合部の各々の少なくとも一部を提供するベースマイクロ流体片を備え得る。
【0147】
ベースマイクロ流体片は、第1の水に対する親和性に対応する表面特性を有するベース材料で提供され得、第1の収集導管部分を提供するコーティングの少なくとも一部は、ベースマイクロ流体片のベース材料の上部に提供される。あるいは、ベースマイクロ流体片は、第2の水に対する親和性に対応する表面特性を有するベース材料で提供され得、第1の移送導管部分を提供するコーティングの少なくとも一部は、ベースマイクロ流体片のベース材料の上部に提供される。
【0148】
ベースマイクロ流体片は、各マイクロ流体ユニットの一次供給導管、各マイクロ流体ユニットの二次供給導管、各マイクロ流体ユニットの三次供給導管、各マイクロ流体ユニットの移送導管、各マイクロ流体ユニットの収集導管、各マイクロ流体ユニットの第1の流体接合部、および各マイクロ流体ユニットの第2の流体接合部の各々の少なくとも一部を提供し得る。
【0149】
ベースマイクロ流体片は、第1の水に対する親和性に対応する表面特性を有するベース材料で提供され得る。
【0150】
コーティングは、第1の収集導管部分の少なくとも一部を提供するエリアで、ベースマイクロ流体片のベース材料上に提供され得る。コーティングは、第2の水に対する親和性を呈する表面を提供し得る。
【0151】
ベースマイクロ流体片は、第2の水に対する親和性に対応する表面特性を有するベース材料で提供され得る。
【0152】
コーティングは、第1の移送導管部分の少なくとも一部を提供するエリアで、ベースマイクロ流体片のベース材料上に提供され得る。
【0153】
コーティングは、第1の水に対する親和性を呈する表面を提供し得る。
【0154】
異なる材料が、容器区分およびマイクロ流体区分に使用され得る。したがって、容器区分のより大きくより深い特徴、およびマイクロ流体区分の非常に微細な特徴の両方に最適な材料が提供され得る。2つ以上の部分の提供は、ベース容器構造片およびマイクロ流体区分用の工具が異なる公差を有し得るため、生産コストを低下させ得る。
【0155】
異なる材料が、容器区分およびマイクロ流体区分に使用され得る。容器区分およびマイクロ流体区分に対する異なる材料の使用は、それぞれの部分に異なる所望の材料の使用を可能にし得る。
【0156】
容器区分は、比較的大きくて深い特徴を含み得るが、一方、マイクロ流体区分は、非常に微細な特徴を含み得る。
【0157】
後で固定的に接続され得る、異なる構造の容器区分およびマイクロ流体区分の提供は、容器区分およびマイクロ流体区分の提供に必要とされる工具が異なる公差を有し得るため、生産コストを低下させ得る。
【0158】
マイクロ流体区分は、例えば、ガラスまたはポリマー材料から作製され得る。
【0159】
マイクロ流体区分に使用され得るポリマー材料の例は、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、環状オレフィンコポリマー(COC)、環状オレフィンポリマー(COP)、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のうちのいずれかを含み得る。ポリマーの使用は、例えば、NOVEC油を含む、本発明による使用における試料、油、および連続相緩衝液と適合可能であるようにそれらの特性によって制限され得る。さらに、ポリマーの使用は、適用可能な先行技術の製造およびパターン化技術によって制限され得る。例えば、PDMS上のCOPおよびCOCは、それらが優れた透明性、ほぼゼロの複屈折、低密度、低吸水率、優れた耐薬品性、タンパク質の低結合、ハロゲンフリー、BPAフリーを有する利点を有し得、一軸および二軸スクリュー押出、射出成形、射出ブロー成形およびストレッチブロー成形(ISBM)、圧縮成形、押出コーティング、二軸配向、熱成形などの標準的なポリマー処理技術に好適である。COCおよびCOPは、処理後の変化がほとんど見られない、高い寸法安定性が知られている。COCは、いくつかの用途では、COPよりも好ましい場合がある。COPは、本発明による使用を意図され得る油などの油に曝される場合、クラックを生じさせる傾向があり得る。COPは、NOVEC油などのフッ化炭素油に曝されるときに、クラックを生じさせ得る。COPは、酵素およびDNAなどのPCR用試薬と互換性があり得る。COCおよびCOPは、典型的には120~130℃の範囲内であるガラス転移温度を有する。これは、CVDプロセスが典型的には300℃超で操作され、それゆえに、COCまたはCOP材料を溶融することになるため、典型的なCVDコーティングに不適切になる場合がある。COCおよびCOPのこの不利な点は、例えば、85℃で操作する改質されたPECVD手順を適用することによって、本発明で克服され得る。COCは、レーザが材料の「燃焼」を引き起こし得るため、レーザ切断と互換性がない可能性がある。この不利な点は、例えば、射出成形を使用して、本発明によって克服されている。
【0160】
ガラスは、代替的に、または追加的に、マイクロ流体区分で説明されているように、所望のコーティングを有する基板として使用され得る。
【0161】
ポリジメチルシロキサン(PDMS)は、多くの場合、マイクロ流体部に利用される。しかしながら、本発明の発明者は、PDMSを使用することの以下の不利な点を関連付けた。
-経時的な材料特性の変化(出典:http://www.elveflow.com/microfluidic-tutorials/cell-biology-imaging-reviews-and-tutorials/microfluidic-for-cell-biology/pdms-in-biology-researches-a-critical-review-on-pdms-lithography-for-biological-studies/)
-長いプロセス時間(PDMSの硬化時間:温度、必要な材料の剛性に依存して、30分~数時間。(出典、Becker 2008)
-高い製造コスト(出典:Berthier,E.,E.W.K.Young,et al.
(2012).“Engineers are from PDMS-land,Biologists are from Polystyrenia.”Lab on a Chip 12(7):1224-1237.)
-より多い生産量でも、デバイスあたりのコストが同じである(出典:Becker,H.and C.Gartner(2008)“Polymer microfabrication technologies for microfluidic systems.”Analytical and Bioanalytical Chemistry 390(1):89-111.およびBerthier,E.,E.W.K.Young,et al.(2012).“Engineers are from PDMS-land,Biologists are from Polystyrenia.”Lab on a Chip 12(7):1224-1237.)
-PDMSは、表面でいくつかの分子(例えば、タンパク質)を吸収し得る。(出典:Berthier 2012およびhttp://www.elveflow.com/microfluidic-tutorials/cell-biology-imaging-reviews-and-tutorials/microfluidic-for-cell-biology/pdms-in-biology-researches-a-critical-review-on-pdms-lithography-for-biological-studies/)
-PDMSは、水蒸気の大して透過性であり、これは、導管内における蒸発につながる。(出典:http://www.elveflow.com/microfluidic-tutorials/cell-biology-imaging-reviews-and-tutorials/microfluidic-for-cell-biology/pdms-in-biology-researches-a-critical-review-on-pdms-lithography-for-biological-studies/)
-PDMSは、変形可能である。したがって、流体導管ネットワークの形状は、圧力下、すなわち、デバイスの操作下で変化/変形し得る
(出典、Berthier 2012)
-非架橋モノマーが導管内に浸出するリスク(出典、Berthier 2012およびhttp://www.elveflow.com/microfluidic-tutorials/cell-biology-imaging-reviews-and-tutorials/microfluidic-for-cell-biology/pdms-in-biology-researches-a-critical-review-on-pdms-lithography-for-biological-studies/)
【0162】
各マイクロ流体ユニットの第1の流体接合部の第1の複数の開口部の任意の開口部は、2500μmよりも小さい断面積を有し得る。各マイクロ流体ユニットについて、任意の供給導管と第1の流体接合部との間の任意の開口部の断面積は、2500μmよりも小さくてもよい。本明細書の利点は、本発明によるデバイスによって提供される液滴が、蛍光活性化セルソーティング(FACS)のために十分に小さくてもよいことであり得る。
【0163】
各マイクロ流体ユニットの第1の移送開口部は、2500μmよりも小さい断面積を有し得る。各マイクロ流体ユニットについて、第1の流体接合部と移送導管との間の開口部の断面積は、2500μmよりも小さくてもよい。本明細書の利点は、本発明によるデバイスによって提供される液滴が、蛍光活性化セルソーティング(FACS)のために十分に小さくてもよいことであり得る。
【0164】
各マイクロ流体ユニットの第1の移送開口部は、対応するマイクロ流体ユニットの第2の移送開口部の断面積の50%~100%である断面積を有し得る。各マイクロ流体ユニットについて、第1の流体接合部と移送導管との間の開口部の断面積は、第2の流体接合部と収集導管との間の開口部の断面積の50%~100%であり得る。本発明の利点は、本発明によるデバイスによって提供される液滴が、FACSに対して大き過ぎない安定した液滴を結果的にもたらすシェル厚さを有し得ることであり得る。
【0165】
第2の接合部につながる開口部の断面積が第1の接合部から外につながる開口部の断面積以下である場合、液滴生成は、不安定になり得る。第1の接合部よりも大き過ぎる場合、油シェルが所望されるよりも厚くなり得る。
【0166】
マイクロ流体区分は、ベースマイクロ流体片によって提供され得る第1の平坦表面と、第2の平坦表面を含むキャッピング片と、を備え得る。ベースマイクロ流体片の第1の平坦表面は、マイクロ流体デバイスの各流体導管ネットワークのベース部分を提供する複数の分岐凹部を有し得る。第2の平坦表面は、第1の平坦表面に面し得る。第2の平坦表面は、マイクロ流体デバイスの各流体導管ネットワークのキャッピング部分を提供し得る。キャッピング片は、容器区分に面する第3の平坦表面を含み得る。
【0167】
ベースマイクロ流体片は、マイクロ流体デバイスの流体導管ネットワークの各々のベース部分を提供する複数の分岐凹部を有する第1の平坦表面を備え得る。マイクロ流体デバイスは、ベースマイクロ流体片の第1の平坦表面に面する第2の平坦表面を有するキャッピング片をさらに備え得る。キャッピング片の第2の平坦表面は、マイクロ流体デバイスの流体導管ネットワークの各々のキャッピング部分を提供し得る。キャッピング片は、ベース容器構造片に面する第3の平坦表面を有し得る。
【0168】
ベースマイクロ流体片は、ベース基板によって提供され得る。キャッピング片は、キャッピング基板によって提供され得る。
【0169】
各流体導管ネットワークの1つ、複数、または全ての部分は、鋭角台形断面を形成し得、より長いベース縁が、キャッピング片の第2の平坦表面によって提供され得る。
【0170】
流体導管ネットワークの断面形状は、ネットワーク全体を通して変化し得る。それは、長方形、正方形、台形、楕円形、または液滴形成に好適な任意の形状とすることができる。いくつかの例では、導管は、4つの壁を有し得、壁のうちの2つは、互いに平行または同一平面上に提供される。より長いベース縁がカバー区分によって形成されるなどの、鋭角台形断面は、例えば、正方形、長方形、または楕円形と比較して、コーティングの堆積が導管の壁および底部上でより均一であり得るという利点を有し得る。導管壁のより高い抜き勾配は、より低い抜き勾配よりもコーティングのより均一な層を結果的にもたらし得る、および/または導管の寸法を変えずに、型からの導管構造の排出を容易にし得る。導管壁は、5~45度、例えば、10~30度の抜き勾配を有し得る。
【0171】
鋭角台形断面は、等脚台形断面を形成し得、等しい長さの側壁は、平行なベース縁のいずれかの法線に対して少なくとも5度および最大で20度の先細りを有し得る。これはまた、「抜き勾配」とも示され得る。本明細書の利点は、所望の厚さが、側部と同様に、容器としての底部分に適用されるように、ベースマイクロ流体片にコーティングを適用することがより容易であり得ることであり得る。さらに、ベースマイクロ流体片が射出成形などの成形によって提供される場合、マイクロ流体デバイスの製造中に型からベースマイクロ流体片を取り出すことがより容易であり得る。
【0172】
5~20度の先細りを伴う底部の鋭い角部を射出成形する典型的な結果。キャッピング片に向かう壁の上部は、丸みを帯びていてもよいが、これは、5度超の先細りを依然として提供し得る。ミリングされた導管は、ほとんどの場合、先細ではないが、ガラスで縁取られた導管は、Uの底部などのような、底部に丸みを帯びた角部を有し得る。
【0173】
各マイクロ流体ユニットは、一次供給導管に、またはその中に一次フィルタを備え得る。各マイクロ流体ユニットは、二次供給導管に、またはその中に二次フィルタを備え得る。各マイクロ流体ユニットは、三次供給導管に、またはその中に三次フィルタを備え得る。
【0174】
一次フィルタ、二次フィルタ、および三次フィルタのうちのいずれか1つ、複数、または全てが「フィルタ」と示され得る。
【0175】
各または任意のフィルタは、フィルタ閾値よりも高い寸法を有する粒子の通過を妨げる構造を含み得る。フィルタ閾値は、例えば、第1および第2の流体接合部の最小の体積、および/または流体導管ネットワークの最小の直径または断面積であり得る。フィルタは、フィルタ閾値よりも小さい流れライン/導管のネットワークを提供し得る。フィルタは、例えば、複数の柱によって提供され得る。
【0176】
各または任意のフィルタは、柱における導管の深さに等しい高さ、5~16μmの直径、および15~100μmのピッチ、すなわち、各柱の中心間の距離を有する複数の柱の複数の列として提供され得る。柱は、シリンダの形態、すなわち、高さ全体を通して一定の直径を有するか、または導管の上部に向かって先細、すなわち、柱の上部の直径と比較して柱の底部により大きい直径を有し得る。柱フィルタは、多くの異なるサイズの粒子を捕集するが、導管抵抗に最小限の影響のみを与える利点を有する。
【0177】
各または任意のフィルタは、マイクロ流体の分野で知られている堰を含み得る。それによって、フィルタを含むエリア内の導管の高さが低減され得、それによって、堰の位置にある導管の高さよりも大きい、いかなる粒子もマイクロ流体ユニットの残部に入ることを遮断し得る。
【0178】
第1の移送導管部分は、少なくとも200μm、例えば、少なくとも500μm、例えば、少なくとも1mmの広がりを有し得る。第1の移送導管部分は、最大で3mmの広がりを有し得る。
【0179】
第1の移送導管部分の広がりは、移送導管の長さ以下であり得る。
【0180】
第1の移送導管部分の所望の広がりは、以下に説明されるように、複数の態様の妥協であり得る。
【0181】
導管が短いほど、抵抗が小さくなる。低抵抗が所望される場合がある。第1の移送導管部分が長いほど、コーティングの位置合わせおよびベース、ベースベースマイクロ流体片およびキャッピング片などの、下部および上部マイクロ流体部の位置合わせの変動を補償することが可能であるため、結合時に位置合わせが容易になり得る。さらに、結合は、第1の移送導管部分が長い場合、より強くなり得る。
【0182】
したがって、第1の移送導管の所望の長さは、異なる、そしておそらく矛盾する要件の間の妥協として選択され得る。
【0183】
深さ、および/または幅、および/または断面積は、流体導管ネットワークの1つ以上の部分に沿って変化し得る。移送導管は、例えば、第1の移送導管部分と第2の流体接合部との間に、より広い部分を有し得る。これは、チップのいくつかのエリアで抵抗を低減する、および/または流量を増加させるためのものであり得る。
【0184】
移送導管の断面の最大面積は、移送導管の断面の最小面積の10倍未満、例えば、5倍未満または2倍未満とすることができる。移送導管が第1の流体接合部と移送導管との間の開口部と比較して大き過ぎる場合、液滴は、位置合わせが緩くなり、等間隔で、または等間隔を伴って、第2の接合部に到達しない場合があり、これは、不均質な油シェル厚さおよび/または液滴サイズを結果的にもたらし得る。各流体導管ネットワークの深さは、マイクロ流体区分全体を通して同じであり得る。これは、例えば、型、エッチング、および/またはマイクロ流体区分を生成する他の手段の生成を容易にするためのものであり得る。流体導管ネットワークの深さは、変化し得る。これは、例えば、マイクロ流体区分の部分の抵抗を減少させるためのものであり得る。一次供給導管の最も狭い区分は、10~5000μm、例えば、50~500μm、例えば、150~300μmの断面積を有し得る。導管の狭い部分は、円筒形であってもよく、またはそれは、ノズルの形態であってもよい。一次供給導管は、試料が二次供給導管からの油と流体接触する場所で終端するように画定され得る。
【0185】
二次供給導管の最も狭い区分は、10~5000μm、例えば、50~500μm、例えば、150~300μmの断面積を有し得る。第1の二次供給導管および第2の二次供給導管を含むなどの、二次供給導管は、油が一次供給導管からの試料と流体接触する場所で終端するように画定され得る。チップ内の任意の位置における導管の平均幅対平均深さのアスペクト比は、5:1未満、例えば、3:1未満、例えば、2:1未満であり得る。深さよりも幅広である導管の提供によって、生産が容易化され得る。
【0186】
三次供給導管の最も狭い区分は、10~5000μm、例えば、50~500μm、例えば、150~300μmの断面積を有し得る。第1の三次供給導管および第2の三次供給導管を含むなどの、三次供給導管は、緩衝液が、移送導管からの担体相、例えば、油と流体接触する場所で終端するように画定され得る。
【0187】
移送導管の最も狭い区分は、10~5000μm、例えば、50~500μm、例えば、150~300μmの断面積を有し得る。
【0188】
収集導管の最も狭い区分は、一次供給導管の最も狭い区分よりも5~80%大きい、例えば、10~50%大きい、例えば、15~30%大きい断面積を有し得る。収集導管の最も狭い区分は、10~5000μm、例えば、50~1000μm、例えば、200~400μmである断面積を有し得る。これは、生成された液滴が10~25μmの内径、および18~30μmの外径を有することを容易にし得、このことは、その後の液滴の処理、定量化、取り扱い、または分析のために細菌またはヒトの細胞用に設計された標準設備の使用を容易にし得る。内径は、例えば、第1の流体、例えば、試料の内側液滴の直径として理解され得る。外径は、第2の流体、例えば、油のシェルの外径であり得る。
【0189】
本システムで生成された比較的小さいサイズの液滴は、細胞との使用のために設計された機器を使用して、分析、定量化、および処理を容易にし得る。DE液滴、すなわち、例えば、油層および水性内相の組み合わせが、40μm未満または25μm未満などの十分に小さい場合、ダブルエマルション液滴の収集は、フローサイトメーターおよびセルソーターなどの、細菌または哺乳類細胞用に開発された設備を使用して、分析および処理され得る。
【0190】
第1の移送導管の断面積は、抵抗に影響を及ぼし得る。断面積が小さいほど、抵抗が高くなり得る。
【0191】
任意の供給導管の断面積は、対応するフィルタの任意の開口部または平均開口部よりも大きい最小断面積を有し得、これは、フィルタ定格またはフィルタサイズとしても示される。これは、フィルタ内の粒子による導管の閉塞を緩和するためのものであり得る。
【0192】
第1の流体接合部と二次供給導管との間などの、供給導管と対応する流体接合部との間の開口部は、指定された断面積範囲または値を有することが望ましい場合がある。さらに、供給導管は、それぞれの流体接合部内への開口部の断面積として、それぞれの流体接合部に至る隣接部に同じ断面積を有することが望ましい場合がある。そのような隣接部は、例えば、少なくとも50μmであり得る。しかしながら、それぞれの導管内の全体的なより低い抵抗を容易にするために、それぞれの供給導管の残部、または少なくともその大部分は、より高い断面積を有し得る。
【0193】
移送導管の断面積は、供給導管の断面積よりも小さくてもよい。移送導管の大きい断面積は、導管内の液滴の周期的な流れを妨げ得る。移送導管は、断面積が第1の移送開口部の断面積の2倍よりも大きい、任意の区分を欠いてもよい。
【0194】
収集導管の断面積は、第2の移送開口部よりも大きくてもよい。これは、導管内の抵抗を減少するためのものであり得る。第1の収集導管部分は、第2の流体接合部の中心から、第1の流体接合部の中心から250μmまでの領域、または液滴もしくはプラグ形成が発生するエリアに対応する流体流の意図される方向の第1の流体接合部の中心から少なくとも25μm~75μmまでの領域を含み得る。
【0195】
移送導管の長さに対応し得る、第1および第2の流体接合部の間の距離は、少なくとも200μm、例えば、少なくとも500μm、1000μm、または1500μmであり得る。より長い距離は、マイクロ流体デバイスの大規模生産を容易にし得る。コーティングの配置、および、例えば、ベースマイクロ流体片およびキャッピング片の配置/位置合わせの変動が予想され得る。第1の移送導管部分および第1の収集導管部分が正しい表面特性を有することを容易にするために、2つの接合部の間に十分な距離を有することが望ましい場合がある。第1の接合部と第2の接合部との間のより大きい距離は、二次供給導管、三次供給導管、および移送導管に隣接するベースマイクロ流体片とキャッピング片との間の不十分な結合/取り付けのリスクを低減し得、これは、臨界結合面積であり得る。
【0196】
アセンブリは、「機器」と示され得る。
【0197】
圧力分配構造は、複数の容器弁であって、マイクロ流体デバイスの各一次供給容器用の一次容器弁を含む、複数の一次容器弁と、マイクロ流体デバイスの各三次供給容器用の三次容器弁を含む、複数の三次容器弁と、を含む、複数の容器弁を備える。
【0198】
複数の容器弁は、マイクロ流体デバイスの各二次供給容器用の二次容器弁を含む複数の二次容器弁を含み得る。
【0199】
容器弁は、手動で操作されてもよく、制御構造によって操作されてもよい。アセンブリに統合された、例えば、コンピュータを含む、制御構造が望まれる場合がある。
【0200】
容器弁の提供およびその操作の利点は、複数の試料ラインの各々の別個の操作が可能にされ得ることであり得る。
【0201】
一次容器マニホールドは、一次容器弁を介してマイクロ流体デバイスの一次供給容器の各々に連結されるように構成され得る。
【0202】
三次容器マニホールドは、三次弁を介してマイクロ流体デバイスの三次供給容器の各々に連結されるように構成され得る。
【0203】
複数のライン圧力調整器は、二次容器マニホールドに連結された二次ライン圧力調整器を含み得る。
【0204】
複数の容器マニホールドが、一体に形成され得る。例えば、1つの金属片が複数の容器マニホールドを提供し得る。
【0205】
あるいは、または上記と組み合わせて、異なる個々の圧力が、二次供給容器、三次供給容器、および場合によっては一次供給容器に利用され得る。
【0206】
アセンブリは、圧力分配構造に圧力を供給するように構成された圧力供給構造を備え得る。圧力供給構造は、例えば、適切なフィルタおよび弁を含む、圧縮機を含み得る。
【0207】
圧力供給構造と圧力分配構造との組み合わせは、制御された量の加圧ガスまたは空気を、マイクロ流体デバイス、例えば、供給容器などに供給するように構成され得る。
【0208】
受容体は、マイクロ流体デバイスを保持するように、および/またはマイクロ流体デバイスの異なる部分の間の気密および液密接続を容易にするように構成されたクランプを含み得る。
【0209】
受容体の少なくとも1つの角部は、傾斜させて、クランプとの位置合わせ特徴を構成し得る。この傾斜した角部は、機器のばね機構を使用して1つの位置に固定/保持され得る。傾斜した角部は、標準的なウェルプレートと同様の寸法を有し得る。
【0210】
ベース容器構造片は、受容体内への垂直方向の位置合わせを容易にするために、側部の下部に平坦な突起を含み得る。
【0211】
アセンブリは、ダブルエマルション液滴を生成することを目的として、液体をそれぞれの供給容器からそれぞれのマイクロ流体ユニット(複数可)内に送り込むように、制御された空気圧を提供するように構成され得る。
【0212】
アセンブリは、圧縮された空気またはガスを蓄積および/または制御するために使用され得る要素を備え得る。周囲空気が、特殊ガスと同様に使用され得る。アセンブリは、事前に圧縮されたガス/空気、または周囲圧力のいずれかを可能にし得る。周囲よりも高い任意の圧力がシステム内に生じる場合があり、圧力は、外部ソースから提供された後、機器内に蓄積され得る。加圧された空気またはガスを利用して、個々の圧力ラインは、マニホールドの異なるチャネルに適用され得る、可変の制御された圧力を確保する。位置の各々は、個々の圧力コントローラを含み得るか、または同じコントローラに取り付けられ得る。
【0213】
クランプの下部のマニホールドの一方の移動、または両方の移動は、ガスケットなどを使用して、機器からカートリッジへの気密接続を確保し得る。クランプは、代替的に、または追加的に、カートリッジの縁ではなく、主にマイクロ流体ユニットに圧力を適用することによって、マイクロ流体ユニットの上部と下部との間、および/またはマイクロ流体ユニットの上部とカートリッジのベース容器構造片との間の耐圧接続を提供し得る。
【0214】
機器とインターフェースするためにカートリッジの下に配置されるアダプタが、システムに供給され得る。このアダプタは、鉄またはアルミニウムなどの高熱伝導率を有する材料で生成され得る。アダプタは、少なくとも一部または全部の液滴が形成されるまで、試料を含む、カートリッジ、またはその1つ以上の部分を冷却するために使用され得る。
【0215】
圧力コントローラの各々は、1つまたは複数の弁、圧力コントローラおよびPID調整器機能またはその両方を含み得る。PID値からの読み出しは、試料の総量が正常に処理されたかどうかを評価するために使用され得る。いくつかの場合、試料が完全に処理されたかどうかを決定するために実行時間が使用され得る。
【0216】
ブリードチャネルが、圧力を減少させ、効率的なPID調整を可能にするために、システムの十分な能力を確保するように、圧力調整器の後に3つの主要な空気/ガスラインの各々に設置され得る。ブリード弁が、3つの主要なチャネルの各々に設置され得、機器圧力が所望される圧力よりも高いときに開放され得る。ブリードが不要なときにブリード弁を閉じることは、システムで使用される空気/ガスの減少した量を確保する。
【0217】
機器の電子部品、クランプシステム、圧力、弁の操作は、機器の統合された部分として完全に自動化されて行われてもよく、または外部によって行われてもよい。全ての操作は、代替的に、または追加的に、ユーザによる手動操作によって個々に行われ得る。
【0218】
機器の例および操作の例:
以下は、操作機器の例示的な構造を説明する。以下の構成要素の組み合わせは、機器を使用して液体をカートリッジのアセンブリに送り込むことによって、およびダブルエマルション液滴を生成することを目的として例示されている。例示的な機器は、以下を含み得る。
1.周囲空気供給源
2.フィルタ
3.ポンプ
4.フィルタ
5.弁
6.圧力センサ
7.空気リザーバ(空気タンク)
8.空気スプリッタ
9.圧力調整器/コントローラ(PID)
10.ブリードチャネル
11.マニホールド弁(24個の弁)
12.マニホールド
13.ガスケットおよびクランプ
【0219】
周囲空気(1)は、ポンプ(2)をアクティブ化することによってフィルタ内に引き込まれる。ポンプは、4bar(g)の所望される圧力に達するまで稼働したままになる。弁(5)は、ポンプ(3)が圧力センサ(6)によって決定された、リザーバ(7)内の取得された圧力を蓄積するまで開放されて保たれる。所望される圧力が得られ、圧力センサ(6)によって測定されたとき、圧力弁(5)が閉鎖されて、弁(5)と圧力コントローラの間に圧縮された空気圧を伴う気密筐体を固設する。圧力調整器(9)を操作するPID制御ソフトウェアは、所望される空気流がマニホールド(11)によって個々のチャネルに送達されることを確保する。ブリードチャネルは、空気がシステムから絶えず漏れることを可能にして、PID制御圧力調整中に圧力が蓄積することを防止する。ブリード弁(10)が、設置され、ブリードの向上した速度のためにPIDコントローラがオーバーシュートしているときのみ開放するように構成され得る。
【0220】
個々の試料ラインは、並列に実行する望ましい試料の量に依存して、開放または閉鎖される。入口圧力センサ(6)からの読み出しは、圧力調整器(8)と組み合わせて使用され、閾値圧力に到達したかどうかを決定するために使用される。
機器は、統合されたソフトウェアによって始動され、試料(例えば、1.8bar)、油(例えば、1.8bar)、および緩衝液(例えば、1.7bar)の空気圧がマニホールドを通じて3つの入口ラインに送達される。
【0221】
3つの並列圧力ライン(試料、油、および緩衝液)の所望される個々の圧力は、3つのラインで安定した差圧を得るようにPID調整を適用することによって、圧力コントローラを使用して自動的に調整される。
【0222】
一度に1つの試料ラインの使用が、例えば、3つのチャネルの各々に配置された8つの弁の提供、および全ての24個の弁が個々に操作されることによって、可能にされ得る。24個の弁は、ユーザが個々の液滴システムを実行することを可能にするように、全てのチャネルを個々に開放および閉鎖することを可能にするために、マニホールドに配置される。
PID調整器からのフィードバックが、カートリッジ内への液体の安定した流れを監視するために使用され、読み出しパラメータ(より正確に決定される必要がある)は、完了した実行の検証として使用される。
【0223】
例えば、上記に説明されたように、機器(すなわち、アセンブリ)が一度に1つの試料ラインの使用を可能にし得るため、長い保存寿命が利点であり得る。
【0224】
本発明によるキットは、ダブルエマルション液滴を生成するために十分な水性液体、試薬、緩衝液、必要な油、カートリッジ、チップ、ガスケット、および機器と共にキット構成要素を使用するための命令を含み得る。液滴の内側水性相に好適な水性液体は、dNTP、1つ以上のポリメラーゼ、および塩などの、DNAまたはRNA増幅試薬を含み得る。外側担体相に好適な水性液体は、液滴の内側水性相に好適な水性液体と本質的に同じ浸透圧を有し得る。水性液体は、ポリエーテル化合物および共乳化剤などの、乳化安定剤を含み得る。水性液体は、増粘剤を追加的に含み得る。
【0225】
本システムに従って生成された液滴の担体相、すなわち、三次供給容器によって提供される流体が、水性である場合、細菌または哺乳類細胞などの細胞との使用のために設計された標準的な機器を使用する分析および処理が容易化され得る。
【0226】
試料緩衝液は、第1の流体と示され得る。第1の流体は、試料緩衝液を含み得る。油は、第2の流体と示され得る。第2の流体は、油を含み得る。緩衝液と呼ばれ得る連続相緩衝液は、第3の流体と示され得る。第3の流体は、緩衝液を含み得る。
【0227】
酵素は、試料緩衝液中に、または試料緩衝液とは別個に提供され得る。別個の提供の利点は、酵素が、安定性を向上し得る、高グリセロール濃度などの異なる条件下で貯蔵され得ることであり得る。試料緩衝液中の提供の利点は、ピペッティング工程を簡素化し、エラーのリスクを減少させることで使用を容易にすることであり得る。
【0228】
ヌクレオチドは、試料緩衝液中に、または試料緩衝液とは別個に提供され得る。別個の提供の利点は、dNTPが、安定性を向上し得る、より高い濃度などの異なる条件下で貯蔵され得ることである。試料緩衝液中の提供の利点は、ピペッティング工程を簡素化し、エラーのリスクを減少させることで使用を容易にすることであり得る。
【0229】
試料緩衝液は、本質的に同じ浸透圧のものであり得る、および/または連続相緩衝液と本質的に同じ濃度のイオンを含み得る。そのような特徴の提供は、試料の構成要素の濃度が、油膜を通じた浸透に起因して別様に変化し得るため、有利であり得る。試料または緩衝液構成要素の濃度の変化は、後続の工程で液滴内で実施される反応の減少した効率につながり得る。浸透に起因する液滴の膨潤は、例えば、セルソーターで取り扱うには液滴が大きくなり過ぎることにつながり得る。試料緩衝液の例は、Na、Ka、Ca++、Mg++、NH 、SO4--およびClなどのイオン、Tris-HCl、グリセロール、Tween、ヌクレオチド、および酵素などの緩衝化合物を含み得る。対応する連続相緩衝液は、本質的に同じ濃度のKa、Ca++、Mg++、およびCl、グリセロール、および試料緩衝液としてのTris-HClなどの緩衝化合物を含み得るが、場合によっては、反応が液滴内で起こる際にヌクレオチドまたは酵素を含まない。
【0230】
好適な試料緩衝液の例は、10mMのTris-HCl、57mMのTrizma-base、16mMの(NHSO、0.01%のTween80、30mMのNaCl、2mMのMgCl、3%のグリセロール、および25μg/μLのBSAを含む緩衝液である。対応する好適な連続相緩衝液の例は、20mMのTris-HCl(pH9)、57mMのTrizma-base、16mMの(NHSO、0.11%のTween80、30mMのNaCl、2mMのMgCl、3%のグリセロール、1%のPEG 35K、および4%のTween20を含むか、またはそれらから構成される緩衝液である。
【0231】
別の好適な試料緩衝液の例は、10mMのTris-HCl、57mMのTrizma-base、16mMの(NHSO、0.01%のTween80、30mMのNaCl、2mMのMgCl、3%のグリセロール、および25μg/μLのBSA、0.2mMのdNTP、0.2μL のプライマ、および2単位のTaq DNAポリメラーゼを含むか、またはそれらから構成される緩衝液である。対応する好適な連続相緩衝液の例は、20mMのTris-HCl(pH9)、57mMのTrizma-base、16mMの(NHSO、0.11%のTween80、30mMのNaCl、3%のグリセロール、1%のPEG 35K、および4%のTween20を含むか、またはそれらから構成される緩衝液である。
【0232】
緩衝液は、2倍濃縮、10倍濃縮、または他の濃度で提供され得る。次に、使用中、緩衝液は、マイクロ流体デバイスのそれぞれの容器内に装填される前に、上記の例の濃度などの所望される濃度を達成するために、濃縮された緩衝液の希釈によって提供され得る。
【0233】
油の密度は、連続相緩衝液の密度よりも高い場合がある。これは、液滴が連続相緩衝液中に沈降することを可能にするためであり得る。これは、結果的に、収集容器の底部からの液滴の収集を容易にし得る。連続相緩衝液の密度よりも高い油の密度は、PCRサイクル中に適用されるなどの上昇した温度で油が蒸発することを防止し得る。連続相緩衝液の密度よりも高い油の密度の別の利点は、セルソーターのフローサイトメーターまたは細胞を取り扱うための他の設備内で液滴を処理する場合に、液滴が細胞のように沈降し得ることであり得、これは、取り扱いを容易にし得る。
【0234】
油が試料緩衝液の密度よりも高い密度を有する、油を含むキットなどの本発明の利点は、結果物である液滴が収集容器内で沈降し得ることを含み得、例えば、収集容器が好適な凹部と共に提供される場合、結果的に、収集容器からの液滴の収集を容易にし得る。連続相緩衝液中に沈降する液滴は、追加的に、または代替的に、連続相緩衝液の上層によって蒸発から保護される液滴を結果的にもたらし得、結果的に、PCR反応などの反応における液滴安定性を向上させ得る。
【0235】
アセンブリは、本発明によるダブルエマルション液滴を提供するための方法を実行するように構成され得る。
【0236】
ダブルエマルション液滴を提供するための方法は、本発明によるマイクロ流体デバイスの使用を含み得る。
【0237】
ダブルエマルション液滴を提供するための方法は、本発明によるマイクロ流体デバイスの使用を含み得る。方法は、第1の容器群の一次供給容器に第1の流体を提供することと、場合によっては、その後、第1の容器群の二次供給容器に第2の流体を提供することと、第1の容器群の三次供給容器に第3の流体を提供することと、第1の容器群の個々の供給容器の各々の中の圧力が、第1の容器群の収集容器の中よりも高くなるように、第1の容器群のそれぞれの供給容器の各々と第1の容器群の収集容器との間に個々の圧力差を提供することと、を含み得る。
【0238】
ダブルエマルション液滴を提供するための方法は、一次供給入口、一次供給導管、および一次供給開口部を介して、一次供給容器から第1の流体接合部への第1の流体の一次流を提供することと、二次供給入口、二次供給導管、および二次供給開口部を介して、二次供給容器から第1の流体接合部への第2の流体の二次流を提供することと、を含み得、一次流および二次流が、第1の移送開口部、移送導管、および第2の移送開口部を介して、第1の流体接合部から第2の流体接合部への第1の流体および第2の流体の移送流を提供する。
【0239】
ダブルエマルション液滴を提供するための方法は、三次供給入口、三次供給導管、および三次供給開口部を介して、三次供給容器から第2の流体接合部への第3の流体の三次流を提供することを含み得、三次流および移送流が、収集開口部、収集導管、および収集出口を介して、収集容器への第1の流体、第2の流体、および三次流体の収集流を提供する。
【0240】
本発明によるマイクロ流体デバイスを製造するための方法は、マイクロ流体区分の2つの部分の各々の一部の表面特性を変化させることと、熱結合および/またはクランプによってマイクロ流体区分の2つの部分を接合することと、を含み得る。第1の部分は、ベースマイクロ流体片であり得、第2の部分は、マイクロ流体区分のキャッピング片である。方法は、第1の移送導管部分または第1の収集導管部分に対応する第1の部分および第2の部分のエリアを部分的にコーティングすることと、2つの部分を接合することと、を含み得る。
【0241】
マイクロ流体区分の表面改質が、導管の壁上の特定の表面特性を達成するために必要であり得る。表面改質は、導管の壁上への酵素、ヌクレオチド、またはイオンなどのタンパク質の吸着を防止するか、または疎水性もしくは親水性の液体の流れを制御することを助け得る。
【0242】
液滴の提供は、2つの工程で実現され得る。油中水滴が第1の流体接合部で生成され得、第1の流体接合部に続くエリア/導管に疎水性表面を必要とする。油部が水を含み得る水中油滴が第2の流体接合部で形成され得、第2の流体接合部に続くエリア/導管のこの点で親水性表面を必要とする。したがって、導管の表面の空間的に制御された改質が必要とされ得る。あるいは、材料の固有の特性が流体導管ネットワークの全ての位置で、必要とされる表面特性を与えるように、異なるエリア内で異なる材料が使用され得る。
【0243】
流体導管ネットワークの局所部上の表面改質には、異なる技術が使用され得る。選択方法は、表面改質に必要とされる安定性、改質する材料、使用時の化学物質との表面改質の適合性、および表面改質を行うときのマイクロチップの構成に依存し得る。導管の全周、例えば、全ての4つの壁を改質することが望ましい場合がある。表面改質方法の選択の重要な基準は、表面改質の方法が材料を損傷させないか、またはその粗さを増加させないべきであるため、材料に対する影響であり得る。
【0244】
ポリマー材料は、一般に疎水性であり、90°よりも大きい接触角を有することによって画定され得る。表面上への化学物質、例えば、ポリマーの堆積、または、例えば、プラズマへの曝露を介した表面自体の改質などの、表面を疎水性から親水性に変化させるための異なる技術が存在する。
【0245】
導管の表面は、プラズマ、例えば、酸素または空気プラズマに適切な時間量、例えば、1、2、5、10分、またはそれ以上の間、曝され得る。反応種/ラジカルが表面と接触することになり、それによって、表面が親水性になる。さらなる分子のグラフト化に使用され得る表面上の開放反応部位。
【0246】
このプロセスの欠点は、表面が時間と共にそれらの固有の疎水性に戻ることであり得る。これは、処理されたデバイスが表面改質の直後に使用される必要があり得ることを意味する。
【0247】
疎水性表面は、代替的に、または追加的に、親水性表面を得るために適切な時間量の間、UV光に曝され得る。例えば、Subedi,D.P.;Tyata,R.B:;Rimal,D.;Effect of UV-treatment on the wettability of polycarbonate.Kathmandu University Journal of science,engineering and technology,Vol 5,No II,2009,pp 37-41は、ポリカーボネートをUV光で25分間処理し、82°~67°までの接触角の減少を得ることを示している。
【0248】
より安定した表面改質、すなわち、長期間持続する表面の改質を達成し、それによって、デバイスの改善された、すなわち、より長い、保存寿命を提供するために、分子を表面上に恒久的に付着させることが所望され得、この付着は、表面を親水性にすることになる。
【0249】
ポリマーへのUVグラフト化は、数個の工程を伴い得、例えば、ベンゾフェノンなどの光開始剤が、最初に表面上に堆積され、次いで、コーティングポリマーが添加される。これは、次いで、ポリマーが表面に共有結合する、UV光による照射に続き得る(Kjaer Unmack Larsen,E.and N.B.Larsen(2013).“One-step polymer surface modification for minimizing drug,protein,and DNA adsorption in microanalytical systems.”Lab on a Chip 13(4):669-675.)。
【0250】
いくつかの例では、化学物質のUVグラフト化は、例えば、プラズマ酸化を伴う、表面前処理と組み合わせられ得る。
【0251】
薄膜は、物理蒸着(PVD)を使用して基板上に堆積され得、例えば、https://www.memsnet.org/mems/processes/deposition.htmlで説明されている。この技術では、堆積される材料は、標的から放出され、コーティングするために基板上に向けられ得る。スパッタリングおよび蒸発は、標的から材料を放出するための2つの技術である。
【0252】
蒸発に対するスパッタリングの利点は、低温であり得、低温で材料が標的から放出され得る。スパッタリングでは、標的および基板は、真空チャンバ内に配置される。プラズマが、2つの電極間に誘導され得る。これが、ガスをイオン化する。標的材料は、ガスのイオン化されたイオンによって蒸気形態で放出され、チャンバの全ての表面、とりわけ基板に堆積し得る。
【0253】
スパッタリングは、酸化クロムの薄膜をポリマー上に堆積させ、それらの表面を親水性にするために使用され得る。
【0254】
PVDとは対照的に、薄膜は、異なるソースガス間で発生する化学反応に起因して、化学蒸着(CVD)によって堆積される。生成物は、次いで、基板だけではなく、チャンバの全ての壁にも堆積し得る。CVDには、異なる技術が利用可能である。例えば、プラズマ化学気相成長法(PECVD)は、化学反応の前にプラズマを使用してガス分子をイオン化する。PECVDは、他のCVD技術よりも低い温度を使用し、これは、高温に耐性のない基板をコーティングするときに大きな利点を示す。PECVDは、半導体用途における薄膜の堆積に広く使用されている。堆積され得る材料は、とりわけ二酸化ケイ素(SiO)および窒化ケイ素(SixNy)である。プラズマ化学気相成長法(PECVD)は、例えば、http://www.plasma-therm.com/pecvd.htmlで説明されている。
【0255】
液体コーティングは、スピンコーティングを使用して平坦な表面上に堆積され得る。スピンコーティングでは、液体材料が基板の中央に配置され得る。スピン中、液体コーティングは、基板の表面全体に均一に広がる。回転速度または時間などの異なるパラメータが、堆積した膜の厚さに影響する。
【0256】
この技術は、例えば、ウエハ上へのフォトレジストの堆積に一般的に使用される。
【0257】
コーティングを基板上に堆積させるさらに別の技術は、噴霧を介するものであり、液体材料の小さい液滴を含む流れを基板上に向け得る。開放導管を含む基板上に噴霧されるとき、導管のキャッピング片または天井が追加される前に、液体コーティングが乾燥することを可能にされ得る。正確に塗布された場合、基板上への液体コーティング材料の噴霧および乾燥は、基材のマスキングを回避し得、プロセスは、大規模生産に、より費用効果が高い場合がある。
【0258】
例えば、http://www.vetaphone.com/technology/corona-treatment/で説明されているコロナ処理は、プラズマが電極の先端で生成され得る技術である。このプラズマは、基板の表面のポリマー鎖を改質し、それによって、表面エネルギーを増加させ、したがって、材料の濡れ性を増加させる。
【0259】
さらなる処理なしでは、基板は、その固有の特性に戻ることになる。
【0260】
ポリマー表面を親水性にする別の技術は、UV/オゾン処理である。この技術は、典型的には、有機残留物から表面を洗浄するために使用される。UV/オゾン処理下で、表面は、UV光および原子状酸素によって光酸化され、表面分子が改質される(A.Evren Ozcam,Kirill Efimenko,Jan Genzer,Effect of ultraviolet/ozone treatment on the surface and bulk properties of poly(dimethyl siloxane) and poly(vinylmethyl siloxane) networks,In Polymer,Volume 55,Issue 14,2014,Pages 3107-3119)。UV/オゾン処理は、プラズマ処理などの他の処理よりも表面への損傷を少なくする。
【0261】
マイクロ流体チップは、ガラスから作製され得る。ガラスの表面は、親水性であり、水が表面上に広がる。本発明の場合、ガラス製のマイクロ流体導管の場合、第1の移送導管部分または第1の収集導管部分の表面は、親水性から疎水性に改質されなければならない。ガラス表面は、表面の恒久的な改質を得るために、例えば、シランで改質され得る。https://www.pcimag.com/ext/resources/PCI/Home/Files/PDFs/Virtual_Supplie r_Brochures/Gelest_Additives.pdfに説明されるように、疎水性につながり得る異なるタイプのシランが存在する。
【0262】
所定のエリアにおける流体導管ネットワークの表面特性を改質する、例えば、疎水性から親水性に改質することは、キャッピング片を含む基板とのベースマイクロ流体片のアセンブリの前に実現され得る。
【0263】
金属またはガラスプレート、ポリマーシートまたは任意の適切な材料などの物理的マスクが、コーティング/表面改質処理に曝されるべきではないエリアを保護するために使用され得る。マスクは、ハードまたはソフトコンタクトマスクなどの、任意の好適なやり方で表面に取り付けられ得る/表面と接触させられ得る。マスクはまた、コーティング材料がマスクの下に漏れることを防止するために、分岐凹部のいずれかの中に入り得る。マスクは、例えば、表面から除去されるときに損傷/破壊されるマスクの場合、一度のみ使用され得る、または複数回再使用され得る、任意の材料であり得る。
【0264】
この戦略は、ガス形態で堆積されたコーティング、またはUV露光などの物理的処理、または表面上へのスパッタリングもしくは噴霧によって堆積された液体コーティングを伴う方法に使用され得る。
【0265】
マスクの除去後、部分的にパターン化された導管が得られ得る。
【0266】
流体導管の全ての、例えば、4つの壁を改質するために、キャッピング片およびベースマイクロ流体ピースの両方が処理されることを必要とし得る。疎水性/親水性の遷移が全ての4つの導管壁について同じ位置で行われることを確保するために、正確な位置合わせが必要であり得る。第1の移送導管部分/第1の収集導管部分の端、すなわち、意図される流れ方向において、正確な位置合わせが必要ではない場合がある。
この戦略の利点は、多数のデバイスが同時に処理され得ることであり得る。さらに、堆積されたコーティング材料は、例えば、厚さ測定、コーティングプロセス後のコーティング均質性を分析され得る。
【0267】
流体導管ネットワークが、ベースマイクロ流体片の分岐凹部の上に位置付けられているキャッピング片によって形成される場合、すなわち、閉鎖構成である場合、任意の液体コーティングが導管内に非常に正確に堆積され得、流体導管ネットワークの全ての4つの壁を濡らすことになる。
【0268】
空間的に制御された改質を達成するために、不活性流体、すなわち、液体コーティング流体と混合または相互作用しない流体を使用して、流れの閉じ込めが使用され得る。
【0269】
液体コーティング材料は、三次供給導管を介して導入され得るが、一方、流体導管ネットワークの残部は、水または油などの、不活性液体または空気による流れの閉じ込めを使用して、コーティング材料への暴露から保護され得る。導管内を流れている間、コーティングは、流体導管ネットワークの全ての壁上に堆積され得る。この技術は、正確な流れ制御を必要とし得、堆積された層の厚さの測定を可能にしない。
【0270】
いくつかの例では、空間的パターン化は、ガス処理が流体導管ネットワークのいくつかのエリアに到達することを遮断することによって達成され得る。例えば、流体導管ネットワークの閉鎖部分について、プラズマ酸化は、拡散によって制限され得る。したがって、流体導管ネットワークのいくつかのエリアで拡散が制限され得る場合、プラズマは、他のエリアと比較していくつかのエリアでより高密度になる。したがって、いくつかの領域は、改質されることになるが、他の領域は、プラズマの影響を受けないことになる。
【0271】
プラズマ酸化のために閉鎖導管のいくつかのエリアへの拡散を制限することは、保護するエリアに近い入口を遮断するか、または保護するエリアに近い入口に長い導管を接続することによって、導管の抵抗を増加させ、プラズマがマイクロチップのこれらの領域内に入ることを防止することになる、異なるやり方、または任意の他の方法で行われ得る。
【0272】
このプロセスは、プラズマの正確な空間制御を必要とし得、疎水性および親水性エリア間で段階的な遷移が発生する。
【0273】
さらに、この処理は、使用されるポリマー材料に依存して、処理された領域が数時間以内に固有の疎水性に戻るため、経時的に安定しない場合がある。
【0274】
カートリッジのマイクロ流体区分は、少なくとも第1の移送導管部分または第1の収集導管部分で部分的にコーティングされ得る。
【0275】
第1の移送導管部分は、油担体流体中の水滴の形成が起こり得る、流体流の方向の第1の流体接合部の直後のゾーンを指し得る。第1の移送導管部分は、第1の流体接合部の体積の中心から、第2の流体接合部の中心までの領域、または流体流の方向の第1の流体接合部の中心から少なくとも25μm~75μmまでの領域を含み得る。
【0276】
第1の収集導管部分は、水性担体流体中の油シェルによって取り囲まれたダブルエマルション水滴の形成が起こり得る、流体流の方向の第2の流体接合部の直後のゾーンを指し得る。第1の収集導管部分は、第2の流体接合部の体積の中心から、第2の流体接合部の中心から250μmまでの領域、または流体流の方向の第1の流体接合部の中心から少なくとも25μm~75μmまでの領域を含み得る。
【0277】
第1の移送導管部分は、少なくとも70°、例えば、80°または90°の、水で測定された接触角を有する疎水性であり得る。第1の移送導管部分がポリマーなどの疎水性材料から生成される場合、第1の移送導管部分は、コーティングされていなくてもよい。第1の移送導管部分は、接触角が処理後に少なくとも70°、例えば、80°または90°になるように、処理され得る。
【0278】
第1の収集導管部分は、40°以下、例えば、30°または20°以下の、水で測定された接触角を有する親水性であり得る。第1の移送導管部分がガラスなどの親水性材料から生成される場合、第1の移送導管部分はコーティングされていない場合があり、すなわち、第1の移送導管部分は、処理後に接触角が40°以下、例えば、30°または20°以下であるように、処理され得る。
【0279】
導管断面積は、マイクロ流体区分の接合部およびフィルタエリアなどの、いくつかのエリアでは非常に小さい場合があるため、コーティングは、断面積への最小限の影響を有するように非常に薄い場合がある。コーティングの好適な厚さは、1μm未満、例えば、500nm未満または100nm未満であり得る。
【0280】
流体カートリッジは、全ての部分がポリマーで作製されるか、または異なるポリマーの混成またはポリマー-ガラス混成などの異なる材料間の混成であり得る。ポリマー-ガラス混成が使用される場合、ベース容器構造片は、ポリマーで作製され得るが、一方、マイクロ流体デバイスは、ガラスで作製され得る。
【0281】
マイクロ流体カートリッジは、3つ以上の別個の部分から製造され得、これらは、その後、カートリッジに組み立てられる。別個の部分は、ベース容器構造片、マイクロ流体構造、およびキャッピング片を含み得る。部分のアセンブリは、熱結合、熱スタッキング、または同様の技術を使用して実施され得る。エラストマーは、機器とカートリッジとの間、およびマイクロ流体構造とベース容器構造片との間の耐圧封止を確保するために、ベース容器構造片、マイクロ流体構造のいずれか一方またはその両方にオーバーモールドされ得る。
【0282】
ベース容器構造片は、射出成形を使用して作製され得る。射出成形について、型は、例えば、金属の1つ以上のブロック内でベース容器構造片のネガ形状を機械加工することによって作成され得る。ポリマーは、溶融されて型に流れ込み得る。冷却すると、ポリマーは、型の形状を保持し、使用のために型から排出されることになる。型は、多くの部分に再使用され得る。射出成形について、使用する化学物質との適合性に依存して、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、または環状オレフィンコポリマー(COC)、または環状オレフィンポリマーなどの異なる熱可塑性プラスチックが使用され得る。
【0283】
ベース容器構造片は、3D印刷技術を使用して提供されてもよい。ステレオリソグラフィまたは溶融フィラメント印刷などの、様々な3D印刷技術を利用可能である。材料の層が互いに堆積および硬化されて、物体を作成する。ベース容器構造片は、マイクロ流体区分上に3D印刷されてもよい。
【0284】
マイクロ流体デバイスの製作は、生成する量、選択する材料、およびパターン化/作成するために必要な解像度/最小の特徴に依存して、異なる微細加工方法によって実現され得る。
【0285】
少量の場合、ソフトリソグラフィおよび/またはレーザアブレーションが使用され得る。例えば、PDMSのソフトリソグラフィは、代替的に、または追加的に、マイクロ流体デバイスの2つの基板を製作するために使用され得る。PDMS混合物が、微細構造のネガ形状を含む型の上に注がれ得る。硬化後、PDMS部分および金型が分離される。
【0286】
代替的に、または追加的に高精度の微細機械加工が、ポリマー基板に微細構造を作成するために使用される。しかしながら、典型的には、微細構造のサイズは、50μmを下回ることができず、この技術は、時間が掛かる場合がある。
【0287】
大量生産に関して、ホットエンボス加工、とりわけ、射出成形、またはLIGA(ドイツ語の略語:lithographie(リソグラフィ)、Galvanoformung(電気めっき)、Abformung(モールド成形))を含む複製方法が多くの場合使用される。これらの方法は、分岐凹部などの構造のネガ形状と、場合によっては、基板上の任意の追加の特徴、例えば、流体接続用の孔、位置合わせ特徴などと、を含む型の製作を伴う。
【0288】
型は、高精度微細機械加工、放電加工(EDM)、またはフォトリソグラフィなどの異なる技術を使用して生成され得る。
【0289】
フォトリソグラフィは、型の製作のための第1の工程であり得、その後に本明細書に説明されるように電気めっきが続く。シリコン基板は、フォトレジストの層でコーティングされ得、次いで、クロムマスクを通してUV光に露光されて、分岐凹部のポジ形状を作成し得る。
【0290】
次いで、電気めっきによってニッケルがフォトレジスト上に堆積され得る。次いで、シリコンウエハが、例えば、KOHを使用して、化学的に溶解され得る。型インサートは、ダイシングされ、マイクロ射出成形ツールに挿入され得、マイクロ射出成形ツールは、分岐凹部のネガ形状を含む空洞を形成する。
【0291】
型の製作後、ポリマーは、溶融され得、型の微小空洞内を流れる。ポリマーが冷却するとき、型の形状を保持する。型の良好な複製および型からの微細構造化された部分の正しい離型/除去を達成するために、充填圧力および/または温度などの重要なパラメータが最適化される必要がある。
【0292】
導管を含むポリマー基板の、およびポリマーキャッピング片基板のアセンブリが、閉鎖された液密導管を作成するために必要であり得る。基板のアセンブリまたは導管の閉鎖は、例えば、熱結合超音波またはレーザ溶接、積層を介して、様々な技術を使用して不可逆的に行われ得る。熱結合では、ポリマー基板は、ガラス転移温度をわずかに下回って加熱され、高圧が、2つの基板を組み立てるために適用され得る。プロセスによって微細構造が損傷しないように、温度、時間、および圧力パラメータが最適化される必要があり得る。積層の場合、接着表面、例えば、感圧接着剤を伴う、例えば、30μm~400μmの厚さの薄い積層体が、導管の一部の上に配置され得る。圧力は、例えば、ローラを使用して、積層体を封止するために、表面全体に均一に適用され得る。
【0293】
導管の不可逆的閉鎖の別の方法は、PDMSで作製された微細構造に使用され得る。PDMS部分は、平坦なPDMS部分またはガラス基板で組み立てられ得る。溶剤、例えば、エタノールおよび/またはイソプロパノールを使用する、これらの部分の洗浄後、部分は、酸素プラズマに1分間曝され得る。次いで、2つの表面が接触させられて、不可逆的結合を形成する。
【0294】
ベースマイクロ流体片を含むなどの、マイクロ流体デバイスの1つ以上の部分は、ガラスで作製され得る。この場合、流体導管ネットワークは、フォトリソグラフィおよび異方性エッチングを使用して作製され得る。入口孔は、サンド/パウダーブラストを使用して作製され得る。
【0295】
ポリマー製のマイクロチップと同様に、ガラスマイクロチップは、液密導管を作成するために閉鎖される必要がある。
【0296】
ガラス基板のアセンブリは、例えば、陽極結合を介して行われ得る。
【0297】
マイクロ流体区分は、第1の移送導管部分および第1の収集導管部分を含み得る。第1の移送導管部分は、油担体流体中の水滴の形成が起こる、流体流の方向の第1の流体接合部の直後のゾーンを指す。第1の移送導管部分は、第1の流体接合部の体積の中心から、第2の流体接合部の中心までの領域、または流体流の方向の第1の流体接合部の中心から少なくとも25μm~75μmまでの領域を含み得る。
【0298】
第1の収集導管部分は、水性担体流体中の油シェルによって取り囲まれたダブルエマルション水滴の形成が起こる、流体流の方向の第2の流体接合部の直後のゾーンを指す。第1の収集導管部分は、第2の流体接合部の体積の中心から、第2の流体接合部の中心から250μmまでの領域、または流体流の方向の第1の流体接合部の中心から少なくとも25μm~75μmまでの領域を含み得る。
【0299】
図面の詳細な説明
図1~4は、本発明によるマイクロ流体デバイスの第1の実施形態100の様々な図を概略的に例示する。
【0300】
マイクロ流体デバイス100は、マイクロ流体区分101および容器区分102を備える。容器区分とマイクロ流体区分とは、固定的に接続されている。マイクロ流体区分101は、複数のマイクロ流体ユニット170を備える。しかしながら、図1~4には、1つのみのマイクロ流体ユニット170が例示されている。容器区分102は、各マイクロ流体ユニット170のための1つの容器群171を含む複数の容器群171を備える。しかしながら、図1~4には、1つのみの容器群171が例示されている。
【0301】
各マイクロ流体ユニット170は、複数の供給導管103、106、109と、移送導管112と、収集導管116と、第1の流体接合部120と、第2の流体接合部121と、を含む、流体導管ネットワーク135を備える。
【0302】
複数の供給導管は、一次供給導管103と、第1の二次供給導管106aを含む二次供給導管106と、第1の三次供給導管109aを含む三次供給導管109と、を含む。移送導管は、第1の水に対する親和性を有する第1の移送導管部分115を備える。収集導管は、第1の水に対する親和性とは異なる第2の水に対する親和性を有する第1の収集導管部分119を備える。
【0303】
第1の流体接合部120は、一次供給導管103、二次供給導管106、および移送導管112の間の流体連通を提供する。第1の移送導管部分115は、第1の流体接合部120から延在する。
【0304】
第2の流体接合部121は、三次供給導管109、移送導管、および収集導管116の間の流体連通を提供する。第1の収集導管部分119は、第2の流体接合部121から延在する。
【0305】
一次供給導管103は、一次供給入口104から一次供給開口部105まで延在する。二次供給導管106は、二次供給入口107から第1の二次供給開口部108aまで延在する第1の二次供給導管106aを含む。三次供給導管109は、三次供給入口110から第1の三次供給開口部111aまで延在する第1の三次供給導管109aを含む。移送導管112は、第1の移送開口部113から第2の移送開口部114まで延在する。移送導管112は、第1の移送開口部113から延在する第1の移送導管部分115を備える。第1の移送導管部分115は、第1の水に対する親和性を有する。収集導管116は、収集開口部117から収集出口118まで延在する。収集導管116は、収集開口部117から延在する第1の収集導管部分119を備える。第1の収集導管部分119は、第1の水に対する親和性とは異なる、第2の水に対する親和性を有する。
【0306】
流体導管ネットワーク135は、第1の流体接合部120および第2の流体接合部121を備える。第1の流体接合部120は、第1の流体接合部120内に流体を導くための第1の複数の開口部と、第1の流体接合部120から外に流体を導くための第1の移送開口部113と、を含む複数の開口部の接合部である。第1の複数の開口部は、一次供給開口部105および第1の二次供給開口部108aを含む。第2の流体接合部121は、第2の流体接合部121内に流体を導くための第2の複数の開口部と、第2の流体接合部121から外に流体を導くための収集開口部117と、を含む複数の開口部の接合部である。第2の複数の開口部は、第2の移送開口部114および第1の三次供給開口部111aを含む。
【0307】
容器区分およびマイクロ流体区分は、各容器群がそれぞれの対応するマイクロ流体ユニットに固定的に接続されるように、互いに固定的に接続されている。
【0308】
各容器群171は、複数の供給容器、および収集容器134を含む、複数の容器を備える。収集容器134は、対応するマイクロ流体ユニット170の収集出口118および収集導管116と流体連通している。複数の供給容器は、一次供給容器131、二次供給容器132、および三次供給容器133を含む。一次供給容器131は、対応するマイクロ流体ユニット170の一次供給入口104および一次供給導管103と流体連通している。
【0309】
三次供給容器133は、対応するマイクロ流体ユニット170の三次供給入口110および三次供給導管109と流体連通している。二次供給容器132は、対応するマイクロ流体ユニット170の二次供給入口107および二次供給導管106と流体連通している。
【0310】
図5~10は、本発明によるマイクロ流体デバイスの第2の実施形態のマイクロ流体ユニット570の様々な図を概略的に例示する。
【0311】
マイクロ流体ユニット570の実施形態は、マイクロ流体ユニット170と同様である。主な違いは、マイクロ流体ユニット570について、二次供給導管506は、第1の二次供給導管506aに加えて、第2の二次供給導管506bを含むことである。さらに、三次供給導管509は、第1の三次供給導管509aに加えて、第2の三次供給導管509bを含む。
【0312】
図6を参照すると、第1の流体接合部520と移送導管512との間の開口部、例えば、513の断面積は、第2の流体接合部521と収集導管516との間の開口部、例えば、517の断面積の50%~100%であることが例示されている。
【0313】
図7を参照すると、ダブルエマルション液滴を提供するための方法が例示されている。ダブルエマルション液滴の提供のために、方法は、本発明によるマイクロ流体デバイスの使用を含む。
【0314】
方法は、第1の容器群の一次供給容器に第1の流体を提供することと、場合によっては、その後、第1の容器群の供給容器に第2の流体を提供することであって、一次供給容器または二次供給容器などの供給容器が、そのようなものが提供される場合に、対応するマイクロ流体ユニットの二次供給導管と流体連通している、提供することと、第1の容器群の三次供給容器に第3の流体を提供することと、第1の容器群の個々の供給容器の各々の中の圧力が、第1の容器群の収集容器の中よりも高くなるように、第1の容器群のそれぞれの供給容器の各々と第1の容器群の収集容器との間に個々の圧力差を提供することと、を含み得る。
【0315】
ダブルエマルション液滴を提供するための方法は、一次供給入口、一次供給導管、および一次供給開口部を介して、一次供給容器から第1の流体接合部520への第1の流体の一次流522を提供することと、二次供給入口、二次供給導管506、および二次供給開口部を介して、二次供給容器から第1の流体接合部520への第2の流体の二次流523を提供することと、を含み得、一次流および二次流が、第1の移送開口部、移送導管、および第2の移送開口部を介して、第1の流体接合部520から第2の流体接合部521への第1の流体および第2の流体の移送流を提供する。
【0316】
ダブルエマルション液滴を提供するための方法は、三次供給入口、三次供給導管、および三次供給開口部を介して、三次供給容器から第2の流体接合部への第3の流体の三次流523を提供することを含み得、三次流および移送流が、収集開口部、収集導管、および収集出口を介して、収集容器への第1の流体、第2の流体、および三次流体の収集流を提供する。
【0317】
図8は、図6に例示される流体導管ネットワークの一部を概略的に例示し、水に対する第1および第2の親和性がそれぞれ必要とされる、流体導管ネットワークのエリアを示している。第1の移送導管部分515は、第1の水に対する親和性を有する。第1の収集導管部分519は、第2の水に対する親和性を有する。
【0318】
図9および10は、図8に示される所望の場所の両方における水に対する所望の親和性を達成するための様々な例を概略的に例示する。様々な例は、コーティングを備える領域の第1の例956と、コーティングを備える領域の第2の例957と、コーティングを備える領域の第3の例958と、コーティングを備える領域の第4の例1059と、コーティングを備える領域の第5の例1060と、コーティングを備える領域の第6の例1061と、を含む。
【0319】
第1、第2、および第3の例は、水に対する親和性が、第1の移送導管部分515のそれぞれの基板によって提供されるように所望される状況に関するものである。第1、第2、および第3の例の全ては、エリア519に対するコーティングを含む。
【0320】
第4、第5、および第6の例は、水に対する親和性が、第1の収集導管部分519のそれぞれの基板によって提供されるように所望される状況に関するものである。第4、第5、および第6の例の全ては、エリア515に対するコーティングを含む。
【0321】
図11は、本発明によるマイクロ流体デバイスの第1の流体接合部1120などの接合部の例を概略的に例示する。
【0322】
図12は、本発明によるマイクロ流体デバイスの第3の実施形態のマイクロ流体ユニットの断面上面図を概略的に例示する。
【0323】
図12の実施形態は、フィルタ1323、1324、および1325を含むことによって、図5の実施形態とは異なる。マイクロ流体ユニット1370は、一次供給導管/一次供給入口1304にあるか、またはその内部にある、一次フィルタ1323と、二次供給導管/二次供給入口1307にあるか、またはその内部にある、二次フィルタ1324と、三次供給導管/三次供給入口1310にあるか、またはその内部にある、三次フィルタ1325と、を備える。
【0324】
図13は、図12に例示されるマイクロ流体ユニット1370を含む、第3の実施形態の複数のマイクロ流体ユニットの断面上面図を概略的に例示する。
【0325】
図14は、本発明によるマイクロ流体デバイスの導管の一部の等角断面図を概略的に例示する。導管の例示された部分は、本発明によるマイクロ流体デバイスの実施形態のいずれかに適用され得る。
【0326】
本発明によるデバイスの任意の実施形態の各流体導管ネットワークの1つ以上の部分または全ては、図17に例示されるように、鋭角台形断面を形成し得、より長いベース縁が、キャッピング部分1427によって提供される。鋭角台形断面は、等脚台形断面を形成し得、等しい長さの側壁1428は、平行なベース縁のいずれかの法線に対して少なくとも5度および最大で20度1429の先細りを有し得る。
【0327】
部分1427および1426は、例示的目的でわずかに分解されて示されている。マイクロ流体区分は、第1の平坦表面と、第2の平坦表面を含むキャッピング片1427とを含み、第1の平坦表面は、マイクロ流体デバイスの各流体導管ネットワークのベース部分を提供する複数の分岐凹部1430を有する。第2の平坦表面は、第1の平坦表面に面し、マイクロ流体デバイスの各流体導管ネットワークのキャッピング部分を提供する。
【0328】
図15は、図12および13のフィルタと同様のフィルタ1525を示す、本発明によるマイクロ流体デバイスの供給入口1504の断面上面図を概略的に例示する。
【0329】
図16~20は、本発明によるマイクロ流体デバイスの第4の実施形態1700の様々な図を概略的に例示する。
【0330】
図16は、本発明によるマイクロ流体デバイスの第4の実施形態の一部の等角および簡略図を概略的に例示する。図17は、図16に例示される第4の実施形態の簡略化された部分の分解図を概略的に例示する。
【0331】
図16および17を参照すると、本発明によるマイクロ流体デバイスを製造するための方法が例示されている。方法は、対応するそれぞれのマイクロ流体ユニットを介して、各容器群の個々の容器間に流体連通が提供されるように、容器区分1702およびマイクロ流体区分1701を互いに固定することを含む。
【0332】
図18は、本発明のマイクロ流体デバイスの第4の実施形態の等角図を概略的に例示する。
【0333】
図19は、図18に例示される第4の実施形態の上面図を概略的に例示する。
【0334】
図20は、図18および19に例示される第4の実施形態の断面側面図を概略的に例示する。
【0335】
図21は、本発明によるアセンブリの受容体2142(図23の2342参照)に接続されたときの、本発明によるマイクロ流体デバイスのマイクロ流体ユニットの容器および対応する部分の断面側面図を概略的に例示する。
【0336】
図22は、図21の例示の分解図を概略的に例示する。
【0337】
図23は、本発明によるアセンブリ2390の第1の実施形態を概略的に例示する。
【0338】
アセンブリ2390は、受容体2342および圧力分配構造2399を備える。受容体は、本発明によるマイクロ流体デバイスを受容および保持するように構成されている。圧力分配構造は、受容体によって保持されたときにマイクロ流体デバイスに圧力を供給するように構成されている。圧力分配構造は、一次容器マニホールドおよび三次容器マニホールドを含む、複数の容器マニホールド2353と、一次ライン圧力調整器および三次ライン圧力調整器を含む、複数のライン圧力調整器2350と、メインマニホールド2353と、を備える。一次容器マニホールドは、マイクロ流体デバイスの各一次供給容器に連結されるように構成されている。三次容器マニホールドは、マイクロ流体デバイスの各三次供給容器に連結されるように構成されている。一次ライン圧力調整器は、一次容器マニホールドに連結されている。三次ライン圧力調整器は、三次容器マニホールドに連結されている。メインマニホールドは、それぞれのライン圧力調整器を介して各容器マニホールドに連結されている。
【0339】
図24は、本発明によるマイクロ流体デバイスの収集容器からの流体の画像を示す。
【0340】
図25は、本発明によるマイクロ流体デバイスの複数の収集容器の画像を示す。
【0341】
図26は、本発明によるキットの第1の実施形態を概略的に例示する。
【0342】
中間チャンバを含むときの本発明の利点は、例えば、本発明によるマイクロ流体デバイスよりも多くの容器を有するマイクロ流体デバイスと比較して、より単純な製造プロセスの容易化および/またはより少ない材料の使用の容易化であり得る。
【0343】
中間チャンバを含むときの本発明の利点は、シングルエマルションなどのエマルションの形成前にマイクロ流体デバイスによって収容される、異なる流体、すなわち、例えば、第1の流体および第2の流体の改善されたおよび/または異なる分離の容易化であり得る。
【0344】
中間チャンバを含むときの本発明の利点は、第1の流体が中間チャンバに提供された後に一次供給容器に提供され得る第2の流体が、エマルション液滴の形成中に中間チャンバ内の第1の流体を置換し得、それによって、より完全なプロセスが達成され得ることであり得る。完全なプロセスは、第1の流体の全てが、乳化され、シングルエマルションを形成するために、連続相にある第2の流体中に分散されるプロセスとみなされ得る。第2の流体は、エマルション形成中に第1の流体の任意の残留物を流体導管ネットワークを通すように付勢し得、これは、第1の流体の全てまたは少なくとも大部分が本発明によるデバイスによって処理され得、例えば、液滴の形態で、収集容器に提供され得ることを可能にし得る。
【0345】
中間チャンバを含むときの本発明の利点は、例えば、温度に関して、ならびに/または周囲空気および/もしくは周囲空気中の粒子による汚染および/もしくは反応から保護されることによって、供給容器よりも良好に制御され得る、中間チャンバなどの環境の容易化であり得る。
【0346】
したがって、本発明によるマイクロ流体デバイスに第1の流体を提供する間に経過する時間は、先行技術の解決策と比較して、短く保つことがあまり重要ではない可能性がある。
【0347】
本発明によるマイクロ流体デバイスおよび/または任意の方法は、本開示の任意の所望の任意の記述に従って構造的および/または機能的に構成され得る。
【0348】
各流体導管ネットワークの容積は、0.05μL~2μL、例えば、0.1μL~1μL、例えば、0.2μL~0.6μL、例えば、およそ0.3μLとすることができる。
【0349】
第1の流体が第1の流体接合部に提供される前に、第2の流体が第1の流体接合部に提供されることが望ましい場合がある。これは、第1の流体接合部に提供される第1の流体の第1の部分でさえ乳化され得ることを容易にするためであり得る。全ての第1の流体が乳化されることが望ましい場合がある。
【0350】
中間チャンバは、中間チャンバに提供される第1の流体の意図される量などの、一度に中間チャンバに提供される第1の流体の量よりも大きい容積を有することが望ましい場合がある。
【0351】
マイクロ流体ネットワークの中間チャンバは、一次供給導管を構成し得る。あるいは、中間チャンバは、一次供給導管の一部を形成し得る。一次供給導管は、中間チャンバと第1の流体接合部との間に提供される接続導管を含み得る。接続導管は、圧力差が中間チャンバと収集容器との間に適用されてから、第1の流体が第1の流体接合部に到達するまでに掛かる時間を延長するように構成され得る。これは、第2の流体が第1の流体の前に第1の流体接合部に到達することを容易にし得、結果的に、第1の流体の全てが第2の流体中に乳化されることを結果的にもたらし得る。
【0352】
接続導管は、二次供給導管の容積よりも大きい容積を備え得る。接続導管の容積は、0.05μL~1μL、例えば、0.1~0.5μLとすることができる。
【0353】
各流体導管ネットワークは、接続導管の流体抵抗が二次供給導管の流体抵抗よりも大きくなるように構成され得る。
【0354】
第1の流体の処理は、第1の流体の乳化を指し得る。
【0355】
中間チャンバの容積は、中間チャンバ内に収容され得る流体、例えば、水の量として画定され得る。
【0356】
中間チャンバの容積が、一度に処理される第1の流体の量の上限を画定し得るため、中間チャンバは、最小限の容積を有することが望ましい場合がある。中間チャンバは、例えば、少なくとも2μL、3μL、4μL、5μL、6μL、10μL、15μL、20μL、50μL、または100μLの容積を有し得る。しかしながら、中間チャンバに最大容積を提供する数個の理由が存在する。中間チャンバは、例えば、最大で1mL、500μL、400μL、200μL、または100μLの容積を有し得る。
【0357】
中間チャンバのより高い容積は、中間チャンバの必要な最小外形寸法を増加させ得る、ならびに/または流体が中間チャンバから中間チャンバに引き込まれるために掛かる時間を増加させ得る、ならびに/または流体導管ネットワークに使用される材料などの中間チャンバに使用される材料、および/もしくは中間チャンバの構造的複雑さに対するさらなる要件を加え得る。使用される材料に対する要件は、例えば、それぞれの表面についての水に対する親和性に関する要件を含み得る。水に対する親和性は、水に対する濡れ性として知られ得る。水に対する高い親和性は、水に対する高い濡れ性を指し得る。水に対する低い親和性、または水に対する親和性の欠如は、水に対する低い濡れ性を指し得る。
【0358】
したがって、中間チャンバの所望の容積は、妥協とみなされ得る。
【0359】
例えば、特にマイクロ流体区分などのマイクロ流体デバイスの製造の容易化のために、各中間チャンバが、「中間チャンバ層」と示され得る、共通層内に提供されることが望ましい場合がある。そのような中間チャンバ層は、第3の直交軸に沿うよりも2つの直交軸に沿ってより長い広がりを有し得る。
【0360】
各第1の中間チャンバは、少なくとも2mm、3mm、4mm、もしくは5mm、および/または最大で8mm、7mm、もしくは6mmの幅を有し得る。各中間チャンバの最大幅は、例えば、標準的なマルチチャネルピペット、例えば、9mmのノズル間隔を有する標準的なマルチチャネルピペットとの使用のために構成されている複数の試料ラインを有するマイクロ流体デバイスに関連し得る。
【0361】
各第1の中間チャンバは、少なくとも0.02mm、0.05mm、0.1mm、0.25mm、0.5mm、もしくは0.7mm、および/または最大で2mm、1.5mm、1mm、もしくは0.7mmの深さを有し得る。
【0362】
各第1の中間チャンバは、少なくとも5mm、6mm、8mm、10mm、15mm、もしくは20mm、および/または最大で150mm、120mm、100mm、80mm、もしくは50mmの長手方向の広がりを有し得る。
【0363】
各第1の中間チャンバは、少なくとも0.1mm、0.2mm、0.25mm、0.5mm、1mm、もしくは2mm、および/または最大で4mmの長手方向の広がりに対して直交する断面積を有し得る。
【0364】
各第1の中間チャンバは、0.1mm~1mmの深さ、3mm~8mmの幅、および5mm~25mmの長さとすることができる。
【0365】
各第1の中間チャンバは、0.25mm~0.8mmの深さ、4mm~7mmの幅、および7mm~15mmの長さとすることができる。
【0366】
各第1の中間チャンバは、丸みを帯びた角部および/または傾斜した側壁を有し得る。
【0367】
第1の中間チャンバの提供は、例えば、より構造的に複雑な溶液と比較して、マイクロ流体デバイスの生産を単純化し得る。
【0368】
各容器群の一次供給容器は、平坦な底部分などの底部分を含み得る。底部分は、一次貫通孔および二次貫通孔を有し得る。一次貫通孔は、一次供給容器と対応するマイクロ流体ユニットの中間チャンバとの間の流体連通を提供し得る。二次貫通孔は、一次供給容器と二次供給導管との間の流体連通を提供し得る。一次供給容器の一次貫通孔および二次貫通孔は、少なくとも2mm間隔、例えば、少なくとも3mm間隔、例えば、少なくとも5mm間隔で提供され得る。一次供給容器の一次貫通孔および二次貫通孔が可能な限り互いに離れて提供されることが望ましい場合がある。したがって、一次供給容器の底部分の幅は、一次供給容器の一次貫通孔および二次貫通孔の可能な分離を決定し得る。一次供給容器の底部の幅は、例えば、直径7mmであり得る。
【0369】
第1の流体は、例えば、ピペットを使用して、一次貫通孔内に、および場合によっては、それを超えて提供され得るが、二次貫通孔内には提供されない。したがって、第1の流体は、二次供給導管内に引き込まれずに、中間チャンバ内に引き込まれ得る。
【0370】
一次貫通孔は、一次供給容器の側壁に向かって先細になり得る。これは、一次供給容器内に挿入され、一次貫通孔に向かうピペットの終点が、二次貫通孔から最も遠い一次貫通孔の一部に向けられ得、このことは、一次供給導管に提供される流体が中間チャンバ内に引き込まれ得るように、中間チャンバへの第1の流体の提供を容易化し得る。
【0371】
ベースマイクロ流体片を含むなどのマイクロ流体区分の少なくとも一部は、PMMAと略される、ポリ(メチルメタクリレート)を含むか、またはそれから作製されるか、またはそれで提供され得る。ベース容器構造片を含むなどの、容器区分の少なくとも一部は、PMMAを含むか、それから作製されるか、またはそれで提供され得る。例えば、ベースマイクロ流体片およびベース容器構造片は、PMMAで提供され得る。
【0372】
マイクロ流体区分の少なくとも一部および容器区分の少なくとも一部を同じ材料で提供することが望ましい場合がある。
【0373】
PMMAは、プロトタイピングと、射出成形、レーザ切断、機械加工などの大量生産との両方に関連する多くの異なる方法を使用してパターン化され得るため、製作に有利な場合がある。
【0374】
PMMAは、低いガラス転移温度を有するため、製作に有利な場合がある。したがって、PMMAは、低温で結合され得る。
【0375】
PMMAは、可視スペクトル内で十分に透明であり、所望され得る、マイクロ流体デバイス内で進行中のプロセスの目視検査を可能にし得るため、有利な場合がある。
【0376】
PMMAは、十分な耐UV性であり得るため、有利な場合がある。これは、例えば、直射日光下における保管、および/または生産中にUV硬化工程を必要とするコーティングと共に使用する場合に関連し得る。
【0377】
しかしながら、材料がこの材料の選択することから遠ざかる不都合を提供し得るため、PMMAを選択することが明らかではない場合がある。これらの不都合な点は、低い耐薬品性のPMMAが、例えば、エタノールなどの溶剤に耐性がない場合があること、脆性が比較的高い可能性があること、比較的低い耐衝撃性、比較的低い温度耐性のPMMAが高温に耐えられない可能性があり、85℃~165℃のガラス転移温度を有することのうちのいずれか1つまたは組み合わせを含み得る。
【0378】
本発明によるマイクロ流体デバイスは、ベースマイクロ流体片およびベース容器構造片を備え得る。ベースマイクロ流体片およびベース容器構造片は、同じ材料、例えば、PMMAで提供され得る。
【0379】
ベースマイクロ流体片は、マイクロ流体区分のベース部分を形成し得る。
【0380】
ベースマイクロ流体片は、マイクロ流体デバイスの各流体導管ネットワークのベース部分を提供する複数の分岐凹部を有する第1の平坦表面を備え得る。
【0381】
ベース容器構造片は、容器区分のベース部分を形成し得る。各容器の側壁は、ベース容器構造片の広がりを突き出して形成することができる。ベース容器構造片は、例えば、成形されることによって、一体に形成され得る。ベース容器構造片は、ベースマイクロ流体片の第1の平坦表面に面する第2の平坦表面を形成し得る。マイクロ流体デバイスは、第1の平坦表面と第2の平坦表面との間に接着剤層を備え得る。これは、容器区分およびマイクロ流体区分が固定的に接続されたユニットを形成すること、および/もしくは各流体導管ネットワークがベースマイクロ流体片とベース容器構造片との間のいかなる境界にもいかなる望ましくない漏れを有しないことを容易にし得る、ならびに/または耐圧接続を容易にし得る。
【0382】
各流体導管ネットワークの1つ以上の部分または全ては、鋭角台形断面を形成し得、より長いベース縁が、キャッピング部分によって提供される。鋭角台形断面は、等脚台形断面を形成し得、等しい長さの側壁は、平行なベース縁のいずれかの法線に対して少なくとも5度および/または最大で20度の先細りを有し得る。
【0383】
各中間チャンバの少なくとも大部分は、マイクロ流体デバイスの底部分から所望の距離で提供され得る。この所望の距離は、中間チャンバの少なくとも大部分とマイクロ流体デバイスの底部分との間の任意の材料が5mm未満、例えば、2mm未満、例えば、1mm未満であるような距離であり得る。
【0384】
各中間チャンバの少なくとも大部分は、マイクロ流体デバイスの底部分から4mm以内、例えば、2mm以内に提供され得る。
【0385】
マイクロ流体デバイスは、熱表面に最も近いマイクロ流体デバイスの一部を冷却することなどによって、マイクロ流体デバイスとの熱伝達を提供し得る熱表面上に配置および/または熱表面と連結されるように構成され得る。マイクロ流体区分の底部分などのマイクロ流体デバイスの底部分は、平坦であり得る。マイクロ流体区分の底部分は、容器区分から最も遠い部分、および/または離れて面する部分であり得る。マイクロ流体デバイスの平坦な底部分は、平坦な熱表面上に配置され得る。低温の熱表面は、例えば、感熱性であり得る試料を含む、第1の流体との熱伝達を提供し得る。したがって、反応は、第1の流体が乳化されるまで、防止または妨害され得る。マイクロ流体デバイス全体が冷却されると、第2の流体、例えば、油もまた冷却され、より粘性になり、その流量が減少または完全に停止し、第1の流体の乳化を妨げるかまたは困難にすることになる。
【0386】
中間チャンバを含むときの本発明の利点は、エマルションの形成前にマイクロ流体デバイスによって収容される流体に対して起こり得る、いくつかの反応の容易化または妨害であり得る。例えば、マイクロ流体デバイスと共に使用される異なる流体が、例えば、少なくとも、流体のエマルションがデバイスによって提供されるまで、異なる温度に保たれることが望ましい場合がある。例えば、試料を含むなどの水ベースの流体などの第1の流体は、油ベースの流体などの第2の流体よりも低い温度に保たれることが望ましい場合がある。第1の流体は、感熱性試料を含み得る。試料内の反応が、エマルションの形成前に発生することが望ましくない可能性がある熱によってトリガーされ得る、および/または強調され得るため、試料は、例えば、感熱性であり得る。第2の流体が第1の流体よりも高い温度を有することが望ましい場合があり得、例えば、第2の流体は、例えば、油の粘度が低下した温度で増加し得るため、およそ20℃などの室温であることが望ましい場合があり、これは、油がマイクロ流体デバイスのそれぞれの流体導管ネットワークを通って流れることを防止するか、もしくは妨害し得る、および/または流体導管ネットワークを通して油を送り込むために、より高い適用される圧力などの、より高い力を必要とし得る。本発明によるマイクロ流体デバイスは、特に本発明による中間チャンバの提供によって、上述のいくつかまたは全てを容易にし得る。
【0387】
エマルション液滴を提供するための本発明による方法は、中間チャンバを含むとき、本発明によるマイクロ流体デバイスの使用を含み得る。方法は、第1の容器群の中間チャンバに第1の流体を提供することと、例えば、その後、第1の容器群の二次供給容器に第2の流体を提供することと、その後、第1の容器群の二次供給容器内の圧力が、第1の容器群の収集容器内の圧力よりも高くなるように、第1の容器群の二次供給容器と第1の容器群の収集容器との間に圧力差を提供することと、を含み得る。
【0388】
したがって、第1の容器群の二次供給容器と第1の容器群の収集容器との間の圧力差は、対応するマイクロ流体ユニットの中間チャンバから対応する第1の流体接合部への第1の流体の一次流を提供し、第1の容器群の二次供給容器から二次供給導管を介して第1の流体接合部への第2の流体の二次流を提供し得る。
【0389】
一次流および二次流は、移送導管を介して収集容器に第1の流体および第2の流体の収集流を提供し得る。
【0390】
中間チャンバを含むときの本発明の利点は、1つ以上の供給容器と収集容器との間の圧力差の適用が、本発明によるマイクロ流体デバイスよりも、例えば、各試料ラインについて、例えば、より多くの容器を有するマイクロ流体デバイスと比較して、より単純および/またはより容易であり得ることであり得る。
【0391】
マイクロ流体デバイスの生産を容易にすることが本発明の目的であり得る。
【0392】
本開示全体を通して、上/下、より上/より下、上部/底部、および上側/下側のいずれかなどの用語は、その意図された使用中、すなわち、エマルション液滴の提供のための流体の処理中のマイクロ流体デバイスの配向に関連し得る。高さ/幅/長さおよび水平面などの用語にも同様のことが当てはまり得る。高さおよび深さは、互換的に使用され得る。さらに、傾斜表面は、水平面に対する傾斜を指し得る。
【0393】
しかしながら、平坦表面部分の凹部によって提供され、例えば、図14に例示されるように、例えば、別の平坦表面部分によって覆われている導管または別の流体/マイクロ流体構造を指すときはいつでも、底部という用語は、凹部の最も低い部分を指し得、上部という用語は、それぞれの導管または別の構造のキャッピング部分を提供する別の表面部分を指し得る。
【0394】
材料が「同じ」であると定義されるときはいつでも、それは、実質的に同じであると理解され得る。例えば、上部片やおよび底部片などの片は、1つ、複数、または全てが、適用されたコーティングを有する場合でも、同じ材料であると言及され得、コーティングは、2つの片の任意の材料とは異なり得る。
【0395】
「ベース材料」という用語は、例えば、コーティングされてもよく、またはコーティングされなくてもよい、例えば、その表面の一部にコーティングされ得る、基板を指し得る。
【0396】
任意の導管部分の直径は、疑似直径(D)として理解され得る。疑似直径は、それぞれの部分の断面積(Acs)に基づき得る。それぞれの部分がそれぞれの部分の広がり全体を通じて同じ断面積を有しない場合、平均断面積が利用され得る。疑似直径は、それぞれの断面積に基づいて次のように定義され得る。
=2√(Acs/π)。
【0397】
本開示全体を通して、第1、第2、および第3の用語、ならびに一次、二次、三次、かつこれらの任意の組み合わせは、必ずしもそれぞれのイベント、工程、または機能のタイミングおよび/または優先順位を示すものではない。したがって、第1のイベントなどの1つのイベントは、第2のイベントなどの別のイベントの前、最中、または後に発生してもよく、または1つのイベントは、他のイベントの前、最中、および後の任意の組み合わせで発生してもよい。
【0398】
本開示全体を通して、範囲が第1の値と第2の値との間にあると定義されるときはいつでも、別途明記されない限り、第1の値および第2の値は、その範囲の一部であるとみなされる。
【0399】
オリフィスは、流体通路などの通路として理解され得る。
少なくとも第1の移送導管部分および/または第1の収集導管部分および/または「マイクロ流体部分」全体の高さ(または深さ)対幅の比率は、少なくとも0.7および/または最大で1.4、例えば、少なくとも0.8および最大で1.2、例えば、少なくとも0.9および最大で1.1、例えば、およそ0.9の値を有し得る。これは、生産を容易化するためのものであり得る。比率が1をはるかに超えると、例えば、1.4を超えると、生産が困難になり得る。例えば、射出成形について、比率が所望の範囲外である場合、型と型によって形状化される物質とを分離することが困難である場合がある。例えば、ミリングについて、所望の範囲外である場合、必要とされる強度対長さの比率を有する、ミリングデバイス、例えば、ドリルを提供することが困難であり得る。高さ対幅の比率が低いと、導管を形成する凹部のカバー部分の「たるみ」のリスクのために、導管部分の高さが低くなり得るか、または導管を完全にもしくは部分的に遮断し得、これらの影響が増加し得るため、比率は、1よりも低くなり過ぎない、例えば、0.7よりも低くならないことが望ましい場合がある。
【0400】
導管は、チャネルと称され得る。任意の導管および/または流体導管ネットワークの任意の部分は、4つの側部、すなわち、底部分、上部分、および2つの側壁に関して画定され得る。
【0401】
別途記載されない限り、導管またはその一部の水に対する親和性への言及は、例えば、円周のそれぞれの部分が有する、例えば、4つの側部の各々についての、円周のパーセンテージに関して加重された平均を指し得る。
【0402】
流体導管ネットワークの導管の凹部の側壁は、垂直方向に対して、少なくとも1度、例えば、少なくとも2度、例えば、3~4度、かつ凹部の底部が凹部の上部よりも狭いように、傾斜していてもよい。側壁、例えば、等しい長さの側壁は、平行なベース縁のいずれかの法線に対して少なくとも1度および/または最大で20度の先細りを有し得る。
【0403】
マイクロ流体デバイスは、例えば、3D印刷されることによって、一体で提供され得る。しかしながら、現在の最先端技術では、そのような生産方法は、費用効果が高くなく、時間が掛かる可能性がある。
【0404】
したがって、本発明の目的は、例えば、一緒に結合されることによってマイクロ流体デバイスを形成する複数の構成要素の提供によって、生産を容易にすることであり得る。
【0405】
マイクロ流体デバイスは、一緒に結合された複数の構成要素を備え得る。複数の構成要素は、第1の構成要素および第2の構成要素を含み得る。第1の構成要素および第2の構成要素は、それらの間に、例えば、他の構成要素によって平坦表面によって覆われている2つの構成要素のうちの1つの分岐凹部によって、流体導管ネットワークを形成し得る。
【0406】
第1および第2の構成要素は、一緒に結合され得る。分岐凹部を含む1つの構成要素は、「ベースマイクロ流体片」と称され得、他方の構成要素は、「キャッピング片」と称され得る。
【0407】
第1および第2の構成要素は、例えば、一緒に結合されたときに、「マイクロ流体構造」と称され得る。
【0408】
第1および第2の構成要素は、例えば、一緒に結合されたときに、複数の構成要素の一部を形成し、かつ少なくとも二次供給容器を含む、第3の構成要素に接続されている場合、または接続されるように構成されている場合、「ベースマイクロ流体片」または「マイクロ流体構造」と称され得る、そして。そのようなセットアップでは、第3の構成要素は、「ベース容器構造片」または「容器構造片」などと称され得る。
【0409】
少なくとも二次供給容器を含む構成要素は、「ベース容器構造片」と示され得る。
【0410】
いずれにせよ、第1、第2、および、例えば、第3の構成要素などの複数の構成要素を形成する構成要素は、組み立てられたとき、およびマイクロ流体デバイスが、意図された使用中に意図された配向を有するとき、それらの垂直順序に従って参照され得る。したがって、複数の構成要素は、上部構成要素、底部構成要素、および場合によっては、中間構成要素を含み得る。第1および第2の構成要素は、底部および中間構成要素を含み得るか、またはその逆も可であり得る。第1および第2の構成要素は、上部および中間構成要素を含み得るか、またはその逆も可であり得る。
【0411】
複数の構成要素を、同じ材料で提供され得る。
【0412】
流体導管ネットワークを形成する凹部をカバーする構成要素は、カバー層/片またはキャッピング層/片と示され得る。
【0413】
「片」という用語は、「構成要素」の代わりに利用され得るか、またはその逆も可であり得る。
【0414】
構成要素/片の上側および下側は、組み立てられたとき、およびマイクロ流体デバイスが意図された使用中に意図された方向を有するとき、それらの垂直方向に従って参照され得る。中間構成要素は、例えば、上部構成要素のそれぞれの容器を、貫通孔片と底部片との間に提供されたそれぞれのマイクロ流体構造に接続する複数の貫通孔を含む場合、「貫通孔片」と示され得る。
【0415】
マイクロ流体デバイスは、ベース容器構造片および底部片を含む少なくとも2つの片を備え得、これらは、各容器群がそれぞれの対応するマイクロ流体ユニットに固定的に接続されるように、互いに固定的に接続され、容器区分は、ベース容器構造片によって提供され、マイクロ流体区分は、少なくとも2つの片のうちの少なくとも2つの片によって提供される。
【0416】
「マイクロ流体構造」の凹部は、底部片の上側に提供され得、例えば、ベース容器構造片の底側が蓋として機能している。
【0417】
「マイクロ流体構造」の凹部は、ベース容器構造片の底側に提供され得、例えば、底部片の上側が、下の蓋として機能しており、ベース容器構造片は、各マイクロ流体ユニットに分岐凹部を含み得る。
【0418】
例えば、1つの片が凹部を有し、1つの片が凹部の蓋を提供し、それによって導管を形成する、マイクロ流体区分を形成する少なくとも2つの片は、異なる材料で提供され得る。2つの片を結合するために、接着剤が利用され得る。
【0419】
2つの片のうちの1つは、第1の水に対する親和性を有するベース材料で提供され得る。2つの片のうちの他方は、第2の水に対する親和性を有するベース材料で提供され得る。したがって、それぞれ、第1の移送導管部分および第1の収集導管部分における必要な水に対する親和性に依存して、第1の片は、第1の移送導管部分または第1の収集導管部分に対応するそのゾーンでコーティングされ得、一方で、第2の片は、第1の片上でコーティングされていない、第1の移送導管部分または第1の収集導管部分の一方でコーティングされ得る。
【0420】
例えば、水中油中水滴を作製するために、疎水性基板を第1の片、例えば、凹部片として利用する場合、親水性コーティングが、第1の収集導管部分を提供するそのゾーンに必要とされ得る。次いで、第2の片、例えば、カバー層としての親水性カバー基板の使用は、第1の移送導管部分が提供されるエリアに疎水性コーティングを必要とし得る。
【0421】
マイクロ流体デバイスは、例えば、ベース容器構造片および底部片に加えて、貫通孔片を含む、少なくとも3つの片を備え得る。「マイクロ流体構造」の凹部は、貫通孔片の底側に提供され得、例えば、底部片の上側が下の蓋として機能している。あるいは、「マイクロ流体構造」の凹部は、底部片の上側に提供され得、例えば、貫通孔片が上の蓋として機能している。
【0422】
第1および第2の構成要素が結合され得、例えば、熱的に結合されるか、化学的に結合されるか、または熱化学的に結合され得る。続いて、容器構造が、例えば、容器の底部を通じて、例えば、レーザ溶接によって、そこに結合され得る。レーザ溶接の代わりに、接着剤を使用する、以下の構造との容器構造片の接続を含んでもよい。
【0423】
本発明は、レーザ溶接を使用する2つの片の接続を含み得、2つの片は、例えば、ベース容器構造片と、そのすぐ下に提供される片、例えば、貫通孔片または底部片と、であり得る。
【0424】
レーザ溶接を使用して2つの片を接続するとき、2つの片のうちの一方は、レーザ光吸収添加剤、例えば、黒色または青色の顔料を含み得、一方、他方の片は、例えば、透明であることによって、それぞれのレーザ光が、吸収されずに、または大幅に少なく吸収されることによって、通過することを可能にし得る。2つの材料のうちの一方の吸光度は、例えば、他の材料の吸光度よりも少なくとも10倍高く、例えば、少なくとも20倍高くてもよい。
【0425】
例えば、レーザ溶接は、ベース容器構造片を通して実施され得、ベース容器構造片は、透明であり得るが、一方、その下の片(複数可)、例えば、中間片および/または底部片は、レーザ光を吸収する添加剤、例えば、黒色または青色の顔料を含有し得る。あるいは、マイクロ流体側から接続されてもよい。その場合、容器構造は、レーザ光を吸収する添加剤、例えば、黒色または青色の顔料を含有しなければならず、貫通孔片を含むマイクロ流体部分全体は、レーザ光が通過することを可能にするために透明とされる。
【0426】
レーザ溶接を使用するとき、例えば、他方の片によって提供されない可能性がある一方の片のレーザ光吸収添加剤を考慮せず、および/または、例えば、第1の移送導管部分もしくは第1の収集導管部分に提供されるコーティングを考慮せず、溶接される片の材料が同じでなければならないことが必要とされ得る。
【0427】
ベース容器構造は、3mm~20mmの高さを有し得る。ウェルを含まない部分は、0.5mm~3mmの高さを有し得る。
【0428】
キャッピング層は、0.1~3mmの厚さを有し得る。
【0429】
マイクロ流体部分の凹部を含む構成要素は、0.3~3mmの厚さを有し得る。
【0430】
「乳化ゾーン」という用語は、第1の移送導管部分および第1の収集導管部分のいずれかを指し得る。第1の乳化ゾーンなどの明確な形態における「乳化ゾーン」という用語の使用は、第1の収集導管部分などの、第1の移送導管部分および第1の収集導管部分のうちの一方を指し得る。
【0431】
乳化ゾーンは、必要な物理的特性が存在する、それぞれの導管の所望の最小の長さ/広がりを必要とし得る。必要な物理的特性は、必要な水に対する親和性の範囲内にある表面特性を含み得る。必要な物理的特性は、それぞれの導管が所望の断面寸法であることを含み得る。
【0432】
したがって、必要な/所望の特性を備える際、それぞれの導管の広がりは、異なる態様間の妥協であり得る。必要な特性を有する導管のそれぞれの部分が短過ぎる場合、それぞれの液滴が、所望されるように形成しない可能性がある。必要な特性を有する導管のそれぞれの部分が、それぞれの液滴が形成するために必要とされるよりも長い場合、流体導管ネットワークのそれぞれの部分の抵抗が、必要とされるよりも高くなる可能性がある。したがって、それぞれの導管に、その過剰な長さを制限しながら、必要なだけ長く延在する必要な特性を提供することが目的であり得る。
【0433】
第1の移送導管部分、第1の収集導管部分、および第1の乳化ゾーンのうちのいずれかの最小もしくは最大の長さ/広がり、または長さ/広がりの範囲などの値が記載されるときはいつでも、必ずしも、液滴形成/乳化が行われる実際のゾーンのみならず、所望の特性を有するそれぞれの導管の長さ/広がりを指し得る。
【0434】
第1の移送導管部分は、少なくとも100μmの広がりを有し得る。第1の移送導管部分は、最大で2000μmの広がりを有し得る。
【0435】
乳化ゾーンの長さは、それぞれの乳化ゾーンの直径よりも少なくとも4倍長くてもよく、例えば、少なくとも8倍、または少なくとも16倍長くてもよい。したがって、所望の特性、例えば、親水性を有し、所望の断面寸法であり、その特性が、少なくともそれぞれの乳化ゾーンの長さだけ延在し、それぞれの乳化ゾーンと重なる、それぞれの導管、例えば、収集導管が提供され得る。これは、液滴を形成することを容易にするためのものであり得る。
【0436】
乳化ゾーンの長さは、それぞれの乳化ゾーンの直径よりも最大で100倍長くてもよく、例えば、最大で50倍、または最大で25倍長くてもよい。したがって、所望の特性、例えば、親水性を有し、所望の断面寸法であり、その特性が、最大でそれぞれの乳化ゾーンの長さだけ延在し、それぞれの乳化ゾーンと重なる、それぞれの導管、例えば、収集導管が提供され得る。これは、液滴が所望されるように形成することを可能にしながら、低抵抗を容易化するためのものであり得る。
【0437】
各乳化ゾーンの所望の表面特性は、導管のそれぞれの部分の全ての側部、例えば、導管のそれぞれの部分の上部、底部、および両側部で必要とされ得る。
【0438】
それぞれの供給導管またはその分岐と、対応する第1の流体接合部との間の任意の1つ、複数、または全ての開口部の断面積は、10000μmよりも小さく、例えば、800μmよりも小さく、例えば、300μmよりも小さくてもよい。
【0439】
それぞれの供給導管またはその分岐と、対応する第1の流体接合部との間の任意の1つ、複数、または全ての開口部の断面積は、50μmよりも大きく、例えば、100μmよりも大きく、例えば、200μmよりも大きくてもよい。
【0440】
移送導管の容積は、0.00001μL~0.05μL、例えば、0.00002μL~0.001μLであることが望ましい場合がある。移送導管の所望の容積は、特に第1の移送導管部分の、所望の寸法、すなわち、所望の長さおよび所望の断面積/直径と相関して見られるべきである。
【0441】
導管の長さが長過ぎるか、導管の直径が小さ過ぎる場合、抵抗が高過ぎる可能性があり、乳化ゾーンの直径が大き過ぎる場合、液滴が大き過ぎるか、または位置合わせが緩過ぎる可能性がある。
【0442】
水性内相、および外側水性担体相に懸濁されている油層を含む、ダブルエマルション液滴の提供のために構成されたデバイスおよび/または提供のための方法を提供することが好ましい場合がある。したがって、第1の移送導管部分が疎水性であり、第1の収集導管部分が親水性であることが好ましい場合がある。したがって、流体導管ネットワークの提供のための疎水性表面特性を有する基板を利用する場合、親水性コーティングが第1の収集導管部分に必要とされ得る。例えば、ガラスなどの親水性表面特性を有する基板を利用する場合、第1の移送導管部分に疎水性コーティングが必要とされ得る。
【0443】
コーティングは、例えば、コーティングされるベース基板とは異なる、物理的なコーティング層を意味し得る。
【0444】
各流体導管ネットワークは、第1の移送導管部分と第1の収集導管部分との間に提供される遷移ゾーンを含み得る。遷移ゾーンは、その第1の端と第2の端との間に延在し得、第1の端は、第1の移送導管部分に最も近い遷移ゾーンの端であり、第2の端は、第1の収集導管部分に最も近い遷移ゾーンの端である。第1の水に対する親和性から第2の水に対する親和性への遷移は、遷移ゾーン内で提供され得る。第1の水に対する親和性から第2の水に対する親和性への遷移は、遷移ゾーン内で、遷移ゾーンの第1の端から第2の端への方向に提供され得る。
【0445】
遷移ゾーンは、コーティングが形成し始め、実施形態に依存して、第1の収集導管部分または第1の移送導管部分として、厚さなどの、導管の全ての側部上で同じ特性をコーティングが有する場所まで、それぞれの流体導管ネットワークの一部として画定され得る。
【0446】
第1の水に対する親和性から第2の水に対する親和性への遷移は、第1の水に対する親和性から第2の水に対する親和性への漸進的な遷移を含み得る。
【0447】
遷移ゾーンは、その第1の端と第2の端との間で500μm未満、例えば、200μm未満、例えば、100μm未満の広がりを有し得る。
【0448】
短い遷移ゾーンは、比較的短い移送導管の提供を可能にし得、結果的に、抵抗を低減し、それによって、処理時間を減少させ得る。遷移ゾーンは、定義によると、第1の移送導管部分の長さよりも第1の接合部から遠く離れ得る。
【0449】
遷移ゾーンは、導管の1つ以上の側部が、導管の1つ以上の他の側部とは異なる水に対する親和性を有するゾーンから構成され得る、および/またはそのゾーンを含み得る。例えば、導管の1つの側部が第1の水に対する親和性を有するが、一方、3つの追加の側部が別の水に対する親和性を有し得る。次いで、チャネルのこの部分の接触角は、4つの側部の平均として理解され得る。例えば、1つの側部が15°の接触角を有し、3つの他の側部が90°の接触角を有する場合、この部分の接触角は、71°として定義され得る。さらに、平均は、各側部が円周を占めるパーセンテージに従って重み付けされてもよい。例えば、1つの側部が15°の接触角を有し、円周の15%を占め、3つの他の側部が90°の接触角を有する場合、この部分の接触角は、79°として定義され得る。
【0450】
マイクロ流体デバイスは、マイクロ流体区分および容器区分を形成する複数の構成要素を備え得る。複数の構成要素は、互いに固定されている第1の構成要素および第2の構成要素を含み得る。各流体導管ネットワークは、一部では、第1の構成要素によって、一部では、第2の構成要素によって形成され得る。第1の構成要素は、第1のコーティングされたゾーンおよび第1のコーティングされていないゾーンを有する第1の基板を含み得る。第2の構成要素は、第2のコーティングされたゾーンおよび第2のコーティングされていないゾーンを有する第2の基板を含み得る。各流体導管ネットワークについて、第1の移送導管部分および第1の収集導管部分のうちの一方は、一部では、第1のコーティングされたゾーンの一次部分によって、一部では、第2のコーティングされたゾーンの一次部分によって形成され得る。第1の移送導管部分および第1の収集導管部分のうちの他方は、一部では、第1のコーティングされていないゾーンの一次部分によって、一部では、第2のコーティングされていないゾーンの一次部分によって形成され得る。
【0451】
第1の構成要素および/または第2の構成要素などの任意の1つ以上の構成要素は、2つまたは4つのサブ構成要素などの複数のサブ構成要素によって提供され得る。
【0452】
第1の基板および/または第2の基板などの任意の1つ以上の基板は、2つまたは4つのサブ基板などの複数のサブ基板によって提供され得る。
【0453】
第1のコーティングされたゾーンの一次部分は、第1の乳化ゾーンの一部を形成する凹部の一部を含み得る。第1のコーティングされたゾーンの第1の一次部分は、第1の乳化ゾーンの一部を形成する凹部の底部を含み得る。第1のコーティングされたゾーンの一次部分は、第2の一次部分および第3の一次部分を含み得、これらは、第1の乳化ゾーンの一部を形成する凹部のそれぞれの側部を指し得る。側部は、底部よりも薄いコーティング厚さを含み得る。これは、UV光による照射に起因し得る。
【0454】
第1のコーティングされたゾーンの一次部分は、5nm~500nm、例えば、10nm~200nm、例えば、10nm~100nmの範囲内にある第1の均一なコーティング厚さを含む第1のコーティングされたゾーンの第1の一次部分を含み得る。
【0455】
第2のコーティングされたゾーンの一次部分は、5nm~500nm、例えば、10nm~200nm、例えば、10nm~100nmの範囲内にある第2の均一な20のコーティング厚さを含み得る。
【0456】
均一な厚さは、表面粗さ、例えば、算術平均Raが100nm未満、例えば、10nm未満であることを意味し得る。
【0457】
均一な厚さは、表面粗さ、例えば、算術平均Raがコーティング厚さの4倍未満、例えば、コーティング厚さの2倍未満、例えば、コーティング厚さの1.5倍未満であることを意味し得る。
【0458】
コーティング厚さは、コーティングの平均厚さ、または突出部分を除いた平均として定義され得、例えば、突出部分は、表面積の5%未満、例えば、2%未満を形成する。
【0459】
第1のコーティングされたゾーンの一次部分および/または第2のコーティングされたゾーンの一次部分などの、第1のコーティングされたゾーンおよび/または第2のコーティングされたゾーンのコーティングの純度は、例えば、95%超、90%を超えることができ、例えば、少なくとも98%とすることができる。
【0460】
遷移ゾーンは、第1のコーティングされたゾーンの二次部分および第2のコーティングされたゾーンの二次部分を含み得る。第1のコーティングされたゾーンの二次部分は、その第1の端から第2の端まで延在し得る。第1のコーティングされたゾーンの二次部分の第2の端は、第1のコーティングされたゾーンの第1の縁に提供され得る。第1のコーティングされたゾーンの二次部分は、その第1の端から第2の端までゼロ設定されているコーティング厚さを含み得る。第2のコーティングされたゾーンの二次部分は、その第1の端から第2の端まで延在し得る。第2のコーティングされたゾーンの二次部分の第2の端は、第2のコーティングされたゾーンの第2の縁に提供され得る。第2のコーティングされたゾーンの二次部分は、その第1の端から第2の端までゼロ設定されているコーティング厚さを含み得る。第1のコーティングされたゾーンの二次部分の第2の端および第2のコーティングされたゾーンの二次部分の第2の端のうちの少なくとも一方は、遷移ゾーンの第1の端および第2の端のうちの一方と一致し得る。第1のコーティングされたゾーンの二次部分の第1の端および第2のコーティングされたゾーンの二次部分の第1の端のうちの少なくとも一方は、遷移ゾーンの第1の端および第2の端のうちの他方と一致し得る。
【0461】
第1のコーティングされたゾーンの二次部分の第1の端のコーティングの厚さは、第1のコーティングされたゾーンの一次部分のコーティングの厚さに対応し得る。第2のコーティングされたゾーンの二次部分の第1の端のコーティングの厚さは、第2のコーティングされたゾーンの一次部分のコーティングの厚さに対応し得る。
【0462】
第1のコーティングされたゾーンの二次部分は、その第1の端と第2の端との間で500μm未満、例えば、200μm未満、例えば、100μm未満の広がりを有し得る。
【0463】
第2のコーティングされたゾーンの二次部分は、その第1の端と第2の端との間で500μm未満、例えば、200μm未満、例えば、100μm未満の広がりを有し得る。
【0464】
第1のコーティングされたゾーンの二次部分および第2のコーティングされたゾーンの二次部分は、互いに位置合わせされない可能性があり得、すなわち、それらは、位置合わせされない可能性がある。
【0465】
位置合わせされていないコーティングされたゾーンは、第1のコーティングされたゾーンの二次部分の第2の端が、移送導管の広がりに沿った方向で、第2のコーティングされたゾーンの二次部分の第2の端に対して水平に位置がずれていることを意味し得る。
位置合わせされていないということは、2μm超、例えば、10μm超の水平方向の位置ずれを意味し得る。
【0466】
第1のコーティングされたゾーンの二次部分および第2のコーティングされたゾーンの二次部分は、互いに位置合わせされ得る。
【0467】
マイクロ流体デバイスは、その底部に、デバイス空洞への開口部を形成する円周を含み得る。マイクロ流体デバイスの上部分は、デバイス空洞内に挿入されるように構成され得る。これは、積み重ねられる複数のマイクロ流体デバイスの高さが各カートリッジの個々の組み合わせられた高さ未満であるように、複数のマイクロ流体デバイスを互いに上部に積み重ねることを容易にし得る。
【0468】
複数の構成要素の各構成要素は、複数の構成要素の別の構成要素の側部に面するように構成され、かつその側部に取り付けられるように構成されている、少なくとも1つの側部を含み得る。各容器群について、複数の構成要素のうちの1つは、少なくとも二次供給容器および三次供給容器、ならびに任意選択的に一次供給容器を収容し得る。
【0469】
複数の構成要素は、各構成要素が少なくとも1つの他の構成要素に固定的に取り付けられるように組み立てられ得る。複数の構成要素は、複数の構成要素が固定的に接続されたユニットを形成するように組み立てられ得る。複数の構成要素は、各流体導管ネットワークが、部分的に第2の構成要素によって、および部分的に第1の構成要素によって形成され、第1の構成要素が第2の構成要素に面するように組み立てられ得る。
【0470】
マイクロ流体デバイスを提供する方法は、第1の構成要素、第2の構成要素、および任意選択的に1つ以上の他の構成要素などの、複数の構成要素を提供することを含み得る。
【0471】
マイクロ流体デバイスを提供する方法は、例えば、各構成要素が少なくとも1つの他の構成要素に固定的に取り付けられるように、例えば、複数の構成要素が、固定接続されたユニットを形成するように、かつ、例えば、各流体導管ネットワークが、第2の構成要素によって部分的に、および第1の構成要素によって部分的に形成されるように、複数の構成要素を組み立てることを含み得、第1の構成要素が、第2の構成要素に面し、例えば、第1のコーティングされたゾーンの一次部分が、第2のコーティングされたゾーンの一次部分に面する。
【0472】
マイクロ流体デバイスを提供する方法は、第1の構成要素の少なくとも第1の部分に第1のコーティングを適用することと、第2の構成要素の少なくとも第1の部分に第2のコーティングを適用することと、を含む、コーティングを適用することを含み得る。第1および第2のコーティングは、同じタイプのコーティングであり得る。第1および第2のコーティングは、第1の構成要素および第2の構成要素のアセンブリ中に互いに面するように意図され得る、異なるエリアを指し得る。
【0473】
第1の構成要素の第1の部分は、第1のコーティングされたゾーンの一次部分を含み得、すなわち、乳化ゾーンの凹部およびキャッピング部分のうちの一方を含み得る。第2のコーティングされたゾーンの一次部分は、第2の構成要素の第1の部分を含み得、すなわち、乳化ゾーンの凹部およびキャッピング部分のうちの他方を含み得る。
【0474】
マイクロ流体デバイスを提供する方法および/またはコーティングを適用する工程は、第1の乳化ゾーンを形成するためのマイクロ流体デバイスの少なくともそれらの1つ以上の部分に、第1のタイプの液体を適用することを含み得る。液体は、他の乳化ゾーンを形成するためのマイクロ流体デバイスのいずれか1つ以上の部分に適用されないことが好ましい場合がある。
【0475】
例えば、マイクロ流体デバイスを提供する方法は、第1の構成要素の少なくとも第1の部分および第2の構成要素の少なくとも第1の部分などの、デバイスのそれぞれの部分に第1のタイプの液体を適用することを含み得る。
【0476】
第1の液体は、例えば、構成要素の表面部分全体に適用され得る。この場合、事前のプラズマ活性化および/または事後のUV光活性化が必要とされ得る。
【0477】
あるいは、第1の液体は、コーティングが所望されるそれらの部分のみに適用され得る。この場合、事前のプラズマ活性化および/または事後のUV光活性化が必要トされ得る、および/または所望され得る。
【0478】
第1のタイプの液体は、Acuwet(Aculon、US)、PEG-アントラキノン、またはP100/S100(Joninn、DK)を含み得る。適用される第1のタイプの液体が所望のエリアにコーティングを提供し得ることを容易にするために、プラズマまたはUV光を使用して基板および/またはコーティングの活性化を提供することが望ましい場合がある。PEG-アントラキノンまたはP100/S100(Joninn、DK)は、プラズマまたはUV光を使用して活性化されることが望ましい場合がある。
【0479】
コーティングを適用するための、Acuwet、PEGアントラキノン、またはP100/S10などの第1のタイプの液体のうちの1つの使用は、どの部分にコーティングが提供されているかに依存して、各マイクロ流体ユニットの第1の移送導管部分または第1の収集導管部分が、それぞれの導管部分の提供時から少なくとも1か月の貯蔵の間、それぞれの水に対する親和性を保持するように構成され得ることを提供し得る。
【0480】
例えば、PMMA、ポリカーボネート、またはポリスチレンの基板は、例えば、上記の第1のタイプの液体のいずれかと組み合わせて利用され得る。
【0481】
液体の塗布前に、それぞれの表面エリアが、プラズマを使用して活性化され得る。これは、PEG-アントラキノンまたはP100/S100(Joninn、DK)を利用する場合に特に関連し得る。
【0482】
所望の表面エリアへの液体の適用に続いて、液体がUV光を使用して活性化され得る。これは、PEG-アントラキノンまたはP100/S100(Joninn、DK)を利用するときに特に関連し得る。マスキングは、コーティングが所望される場合に、UV光のみが、またはUV光が主に、液体を活性化することを達成するために利用され得る。指向性または半指向性のUV光を利用する場合、コーティングの適用は、当該表面の法線とUV光放射照度の方向との間の角度の差に依存すると想定され得る。したがって、導管の側部は、導管の底部へのコーティングの厚さよりも薄い厚さのコーティングを備え得る。これは、凹部によって提供されるなどの、導管の側部のコーティングが、所望の表面特性を有していない可能性があることを示し得るが、本発明者らは、UV光を使用して適用および/または接着されるなどの指向性コーティングが本発明に適用可能であることに想到した。
【0483】
マイクロ流体デバイスを提供する方法および/またはコーティングを適用する工程は、例えば、マスクを介して、第1のタイプの液体を適用する工程に続いて、少なくとも第1の構成要素の第1の部分、および少なくとも第2の構成要素の第1の部分などの、第1の乳化ゾーンを形成するためのものであるマイクロ流体デバイスの少なくともそれらの1つ以上の部分にUV光を適用することを含み得る。方法は、他の乳化ゾーンを形成するためのものであるマイクロ流体デバイスの1つ以上の部分にUV光を適用することを含まないことが好ましい場合がある。UV光を適用するときのマスクの使用は、マイクロ流体デバイスの所望の部分のみがUV光に露光されることを容易にし得る。
【0484】
したがって、第1のタイプの液体を適用する工程とUV光を適用する工程との組み合わせは、第1の構成要素の少なくとも第1の部分に第1のコーティングを適用する工程と、第2の構成要素の少なくとも第1の部分に第2のコーティングを適用する工程と、を意味し得る。
【0485】
UV光の適用は、適用される際に第1のタイプの液体が、所望の時間の間、留まる、および/または所望の条件下で留まるコーティングを形成することを容易にし得る。
【0486】
第1の構成要素および第2の構成要素を含むなどの、構成要素の1つ、複数、または全てが、例えば、UV光の場合、少なくとも部分的に透明であり得る。これは、特に1つ以上の実施形態について、UV光による活性化を容易にし得、UV活性化は、構成要素を組み立てる工程の後に実施される。
【0487】
第1のタイプの液体を適用する工程は、組み立てる工程の前に実施されてもよい。
【0488】
第1のタイプの液体を適用する工程は、組み立てる工程の後に実施されてもよい。第1のタイプの液体を適用する工程は、コーティングされない流体導管ネットワークの部分を遮断するために不活性液体を利用することを含み得る。
【0489】
組み立てる前に第1および第2の構成要素にコーティングが適用される本発明による任意の方法について、凹部および対応するキャッピング部分内のみならず、その隣にもコーティングを適用することが必要とされ得、コーティングがそれぞれの導管またはその一部の中で所望されるように適用されることが確認されるべきである。
【0490】
本発明者らは、コーティング層の存在が、例えば、結合されたときの第1および第2の構成要素の黒色背景上で、コーティングされた導管部分とコーティングされていない導管部分との間の色の差として、例えば、4倍の倍率の顕微鏡で、目視可能であり得ることを観察した。したがって、組み立てられたマイクロ流体部分および/または完全に組み立てられたマイクロ流体デバイスの視覚的品質管理は、ユーザの失敗率を低減し得る。UV光を使用して適用されるなどの指向性コーティングは、コーティングされた部分とコーティングされていない部分との間に明確な境界を提供し得る。
【0491】
さらに、コーティングされた部分は、コーティングされていない部分ほど良好に結合しない可能性があり、したがって、第1および第2の構成要素などの2つの構成要素を結合するときに、コーティングされたエリアに結合ボイドが形成される場合がある。結合ボイドは、黒色背景上の結合された表面よりも明るく見え得る。
【0492】
第1の容器群のそれぞれの供給容器の各々と、第1の容器群の収集容器との間に提供される圧力差は、第1の容器群のそれぞれの供給容器の各々と、第1の容器群の収集容器との間の個々の圧力差であり得る。
【0493】
図面は、実施形態の設計および有用性を例示している。これらの図面は、必ずしも一定の縮尺ではない。上記および他の利点および目的がどのように得られるかをより良好に理解するために、実施形態のより具体的な説明が与えられ、これは、添付の図面に例示される。これらの図面は、典型的な実施形態を図示するのみであり得、それゆえに、その範囲を限定するとみなされ得ない。
【0494】
図1は、マイクロ流体区分101および容器区分102から構成される本発明の第1の実施形態によるマイクロ流体デバイス100を概略的に例示する。説明でさらに例示されることになるように、マイクロ流体区分101および容器区分102は、各々、追加の部分を含む。
【0495】
図2は、少なくとも説明でさらに例示される部分から構成される、本発明の第1の実施形態によるマイクロ流体デバイス100を例示する。マイクロ流体デバイス100は、マイクロ流体区分101から構成され、マイクロ流体区分101は、複数のマイクロ流体ユニット103、112、116を含む。さらに、マイクロ流体デバイス100は、容器区分102を備え、容器区分102は、複数の容器群131、132、133、134から構成され、各マイクロ流体ユニット170に1つの容器群を含む。
【0496】
各マイクロ流体ユニット170は、流体導管ネットワーク135を備え、流体導管ネットワーク135は、少なくとも以下の部分、
図3に例示されるように、一次供給導管103、二次供給導管106、および三次供給導管109を含む、複数の供給導管と、
第1の水に対する親和性を有する第1の移送導管部分115を含む、移送導管112と、
第1の水に対する親和性とは異なる第2の水に対する親和性を有する第1の収集導管部分119を含む、収集導管116と、
一次供給導管103、二次供給導管106、および移送導管112の間の流体連通を提供する、第1の流体接合部120と、
三次供給導管109、移送導管112、および収集導管116の間の流体連通を提供する、第2の流体接合部121と、を備える。
【0497】
第1の移送導管112部分は、対応する第1の流体接合部120から延在し、各第1の収集導管部分119は、対応する第2の流体接合部121から延在する。各容器群が、収集容器と、一次供給容器131、二次供給容器132、および三次供給容器133を含む複数の供給容器と、を含む、複数の容器を含む。各容器群は、対応するマイクロ流体ユニット170の収集導管116と流体連通している収集容器134を有する。さらに、一次供給容器131が、対応するマイクロ流体ユニット170の一次供給導管103と流体連通している。さらに、二次供給容器132は、対応するマイクロ流体ユニット170の二次供給導管106と流体連通しており、三次供給容器133は、対応するマイクロ流体ユニット170の三次供給導管109と流体連通している。
【0498】
図3を参照すると、第1の実施形態の流体導管ネットワーク135がどのように動作するかが例示され、特に第1の流体接合部120および第2の流体接合部121が図面に示されている。マイクロ流体デバイス170は、流体導管ネットワーク135を備え、流体導管ネットワーク135は、互いに接続され、かつ一次供給入口104、二次供給入口107、三次供給入口110、および収集出口118に接続される、一次供給導管104、二次供給導管106、三次供給導管109、および収集導管116から構成され、流体は、それぞれの入口/出口を通じて注入され得る。それぞれの入口と導管との間に、数個の流体接合部、すなわち、第1の流体接合部120および第2の流体接合部121が提供される。第1の流体接合部120は、第1の移送開口部113にリンクされた一次供給開口部105から構成される。第2の流体接合部121は、第2の移送開口部114および収集開口部117から構成される。それぞれの入口104、107、110を通じて注入された流体は、接合部120、121で乳化し、第1の収集導管部分119を通って収集出口118内に供給される。
【0499】
図4は、図3で説明されたものと同じ概念を例示するが、第1の流体接合部120および第2の流体接合部121が点線によって示されていない。
【0500】
図5は、本発明によるマイクロ流体デバイス(マイクロ流体デバイスは、図5に部分的にのみ例示されている)の第2の実施形態のマイクロ流体ユニット570の断面上面図を概略的に例示する。流体は、一次504、二次507、および三次供給入口510を通じて供給され、流体は、それぞれの供給導管、すなわち、一次供給導管503、二次供給導管506、および三次供給導管509を通じて、収集出口518まで収集導管516に提供されている。一次供給導管504を通って入る液体、および二次供給導管入口507を通る液体は、第1の流体接合部520を通じて混合され、第2の流体接合521を通じて三次供給入口510を通って供給される液体とさらに混合される。
【0501】
図6は、第1の流体接合部520と移送導管512との間の開口部、例えば、513の断面積は、第2の流体接合部521と収集導管516との間の開口部、例えば、517の断面積の50%~100%であることを例示する。
【0502】
図7は、ダブルエマルション液滴を提供する方法を例示する。ダブルエマルション液滴の提供のために、方法は、本発明によるマイクロ流体デバイスの使用を含む。方法は、第1の容器群の一次供給容器(図7では例示されず、図16では一次供給容器1731が例示される)に第1の流体を提供することと、場合によっては、その後、第1の容器群の二次供給容器(図7では例示されず、図16では二次供給容器1732が例示される)に第2の流体を提供することと、第1の容器群の三次供給容器(図7では例示されず、図16では三次供給容器1733が例示される)に第3の流体を提供することと、第1の容器群の個々の供給容器の各々の中の圧力が、第1の容器群の収集容器の中よりも高くなるように、第1の容器群のそれぞれの供給容器の各々と第1の容器群の収集容器(図7では例示されず、図16では収集容器1734が例示される)との間に個々の圧力差を提供することと、を含み得る。
【0503】
ダブルエマルション液滴を提供するための方法は、一次供給入口504、一次供給導管503、および一次供給開口部505を介して、図5および6に例示されるように、一次供給ウェルまたは容器から第1の流体接合部520への第1の流体の一次流522を提供することと、二次供給入口507、二次供給導管506、および二次供給開口部508を介して、二次供給容器から第1の流体接合部520への第2の流体の二次流523を提供することと、を含み得、一次流522および二次流523が、第1の移送開口部513、移送導管515、および第2の移送開口部514を介して、第1の流体接合部520から第2の流体接合部521への第1の流体および第2の流体の移送流を提供する。
【0504】
ダブルエマルション液滴を提供するための方法は、三次供給入口510、三次供給導管509、および三次供給開口部511を介して、三次供給容器から第2の流体接合部521への第3の流体の三次流524を提供することを含み得、三次流524および移送流が、収集開口部517、収集導管516、および収集出口518を介して、収集容器534への第1の流体、第2の流体、および三次流体の収集流を提供する。
【0505】
図8は、図6に例示される流体導管ネットワークの一部を概略的に例示し、水に対する第1および第2の親和性がそれぞれ必要とされる、流体導管ネットワークのエリアを示している。第1の移送導管部分515は、第1の水に対する親和性を有する。第1の収集導管部分519は、第2の水に対する親和性を有する。
【0506】
図9a、9b、9c、9dおよび図10a、10b、10c、10dは、図8に示される所望の場所の両方における水に対する所望の親和性を達成するための様々な例を概略的に例示する。様々な例は、コーティングを備える領域の第1の例956と、コーティングを備える領域の第2の例957と、コーティングを備える領域の第3の例958と、コーティングを備える領域の第4の例1059と、コーティングを備える領域の第5の例1060と、コーティングを備える領域の第6の例1061と、を含む。
【0507】
第1、第2、および第3の例は、水に対する親和性が、第1の移送導管部分515のそれぞれの基板によって提供されるように所望される状況に関するものである。第1、第2、および第3の例の全ては、エリア519に対するコーティングを含む。
【0508】
第4、第5、および第6の例は、水に対する親和性が、第1の収集導管部分519のそれぞれの基板によって提供されるように所望される状況に関するものである。第4、第5、および第6の例の全ては、エリア515に対するコーティングを含む。
【0509】
図11は、本発明によるマイクロ流体デバイスの第1の流体接合部1120などの接合部の例を概略的に例示する。
【0510】
図12は、本発明によるマイクロ流体デバイスの第3の実施形態のマイクロ流体ユニットの断面上面図を概略的に例示する。図12の実施形態は、フィルタ1323、1324、1325を含むことによって、図5の実施形態とは異なる。マイクロ流体ユニット1370は、一次供給導管/一次供給入口1304にあるか、またはその内部にある、一次フィルタ1323と、二次供給導管/二次供給入口1307にあるか、またはその内部にある、二次フィルタ1324と、三次供給導管/三次供給入口1310にあるか、またはその内部にある、三次フィルタ1325と、を備える。
【0511】
図13は、図12に例示されるマイクロ流体ユニット1370を含む、第3の実施形態の複数のマイクロ流体ユニットの断面上面図を概略的に例示する。
【0512】
図14は、本発明によるマイクロ流体デバイスの導管の一部の等角断面図を概略的に例示する。導管の例示された部分は、本発明によるマイクロ流体デバイスの実施形態のいずれかに適用され得る。
【0513】
本発明によるデバイスの任意の実施形態の各流体導管ネットワークの1つ以上の部分または全ては、図14に例示されるように、鋭角台形断面を形成し得、より長いベース縁が、キャッピング部分1427によって提供される。鋭角台形断面は、等脚台形断面を形成し得、等しい長さの側壁1428は、平行なベース縁のいずれかの法線に対して少なくとも5度および最大で20度1429の先細りを有し得る。
【0514】
部分1427および1426は、例示的目的でわずかに分解されて示されている。
【0515】
マイクロ流体区分は、第1の平坦表面と、第2の平坦表面を含むキャッピング片1427とを含み、第1の平坦表面は、マイクロ流体デバイスの各流体導管ネットワークのベース部分を提供する複数の分岐凹部1430を有する。第2の平坦表面は、第1の平坦表面に面し、マイクロ流体デバイスの各流体導管ネットワークのキャッピング部分を提供する。
【0516】
図15は、図12および13のフィルタと同様のフィルタ1525を示す、本発明によるマイクロ流体デバイスの供給入口1504の断面上面図を概略的に例示する。
【0517】
図16~20は、本発明によるマイクロ流体デバイスの第4の実施形態1700の様々な図を概略的に例示する。
【0518】
図16は、本発明によるマイクロ流体デバイスの第4の実施形態の一部の等角および簡略図を概略的に例示する。
【0519】
図17は、図16に例示される第4の実施形態の簡略化された部分の分解図を概略的に例示する。
【0520】
図16および17を参照すると、本発明によるマイクロ流体デバイスを製造するための方法が例示されている。方法は、対応するそれぞれのマイクロ流体ユニット1770を介して、各容器群1731、1732、1733、1734の個々の容器1731、1732、1733間に流体連通が提供されるように、ウェル区分1702およびマイクロ流体区分1701を互いに固定することを含む。
【0521】
図18は、本発明のマイクロ流体デバイス1700の第4の実施形態の等角図を概略的に例示する。
【0522】
図19は、図18に例示される第4の実施形態の上面図を概略的に例示する。
【0523】
図20は、図18および19に例示される第4の実施形態の断面側面図を概略的に例示する。
【0524】
図21は、本発明によるアセンブリの受容体2142(図23の2342参照)に接続されたときの、本発明によるマイクロ流体デバイスのマイクロ流体ユニットのウェルおよび対応する部分の断面側面図を概略的に例示する。
【0525】
図22は、図21の例示の分解図を概略的に例示する。
【0526】
図23は、本発明によるアセンブリ2390の第1の実施形態を概略的に例示する。
【0527】
アセンブリ2390は、受容体2342および圧力分配構造2399を備える。受容体2342は、本発明によるマイクロ流体デバイスを受容および保持するように構成されている。圧力分配構造2399は、受容体2342によって保持されたときにマイクロ流体デバイスに圧力を供給するように構成されている。圧力分配構造は、一次ウェルマニホールドおよび三次ウェルマニホールドを含む、複数のウェルマニホールド2353と、一次ライン圧力調整器および三次ライン圧力調整器を含む、複数のライン圧力調整器2350と、メインマニホールド2353と、を備える。一次ウェルマニホールドは、マイクロ流体デバイスの各一次供給ウェルまたは容器に連結されるように構成されている。三次ウェルマニホールドは、マイクロ流体デバイスの各三次供給ウェルまたは容器に連結されるように構成されている。一次ライン圧力調整器は、一次ウェルマニホールドに連結されている。三次ライン圧力調整器は、三次ウェルマニホールドに連結されている。メインマニホールドは、それぞれのライン圧力調整器を介して各ウェルマニホールドに連結されている。
【0528】
図24は、本発明によるマイクロ流体デバイスの収集ウェルまたは容器からの流体の画像を示す。
【0529】
図25は、本発明によるマイクロ流体デバイスの複数の収集ウェルまたは容器の画像を示す。
【0530】
図26は、本発明によるキットの第1の実施形態を概略的に例示する。
【0531】
図27~29は、本発明によるマイクロ流体デバイスの第5の実施形態1900の様々な図を概略的に例示する。
【0532】
第5の実施形態は、一次供給導管1903が毛細管構造1973を含み、二次供給導管1906が二次供給ウェルまたは容器(図27~29の一部ではない)に接続される代わりに一次供給ウェルまたは容器1931に接続されるという点で主に上記の実施形態とは異なる。
【0533】
マイクロ流体デバイス1900は、マイクロ流体区分1901およびウェル区分1902を備える。マイクロ流体区分は、マイクロ流体ユニット1970を含む。ウェル区分は、ウェルまたは容器群1971を含み得る。ウェルのグループの数は、マイクロ流体ユニットの数に対応する。
【0534】
ウェル区分およびマイクロ流体区分は、固定的に接続されたユニットを形成する。ウェル群は、対応するマイクロ流体ユニット1970と固定的に接続されたユニットを形成する。
【0535】
マイクロ流体ユニット1970は、複数の供給導管1903、1906と、移送導管1912と、第1の流体接合部1920と、を含む、流体導管ネットワーク1935を備える。
【0536】
複数の供給導管は、二次供給導管1906および一次供給導管1903を含む。一次供給導管は、少なくとも2μLの容積を有する毛細管構造1973を備える。
【0537】
二次供給導管1906は、使用中に第1の供給導管1903からの第1の流体の流れに対して第2の流体のピンチング作用を及ぼすように構成された、第1の二次供給導管1906aおよび第2の二次供給導管1906bを備える。
【0538】
一次供給導管1903は、毛細管構造1973と第1の流体接合部1920との間に提供された接続導管1903aを含む。
【0539】
第1の流体接合部1920は、一次供給導管1903、二次供給導管1906、および移送導管1912の間の流体連通を提供する。
【0540】
ウェル群1971は、収集ウェルまたは容器1934、および一次供給ウェルまたは容器1931を含む、複数のウェルを含む。収集ウェルまたは容器1934は、移送導管1912と流体連通している。一次供給ウェルまたは容器1931は、一次供給導管1903および二次供給導管1906と流体連通している。
一次供給導管1903は、一次供給ウェルまたは容器1931と第1の流体接合部1920との間の流体連通を提供する。
【0541】
二次供給導管1906は、一次供給ウェルまたは容器1931と第1の流体接合部1920との間の流体連通を提供する。
【0542】
流体導管ネットワーク1935の複数の供給導管は、三次供給導管1909を備える。
【0543】
三次供給導管1909は、使用中に移送導管1912からの流体の流れに対して第3の流体のピンチング作用を及ぼすように構成された、第1の三次供給導管1909aおよび第2の三次供給導管1909bを備える。
【0544】
マイクロ流体ユニット1970は、収集導管1916および第2の流体接合部1921を備える。
【0545】
第2の流体接合部1921は、三次供給導管1909、移送導管1912、および収集導管1916の間の流体連通を提供する。
【0546】
移送導管1912は、第1の水に対する親和性を有し、かつ第1の流体接合部1920から延在する、第1の移送導管部分を含む。
【0547】
収集導管1916は、第2の流体接合部1921から延在し、かつ第1の水に対する親和性とは異なる第2の水に対する親和性を有する、第1の収集導管部分を備える。
【0548】
マイクロ流体デバイス1900は、一次供給ウェルまたは容器1931、および三次供給ウェルまたは容器1933を含む、1つ以上の供給ウェルまたは容器を備える。三次供給ウェルまたは容器1933は、三次供給導管1909と流体連通している。
【0549】
収集ウェルまたは容器1934は、収集導管1916および第2の流体接合部1921を介して移送導管1912と流体連通している。
【0550】
毛細管構造を含むときの本発明の利点は、例えば、本発明によるマイクロ流体デバイスよりも多くのウェルを有するマイクロ流体デバイスと比較して、より単純な製造プロセスの容易化および/またはより少ない材料の使用の容易化であり得る。
【0551】
図30図30aおよび30bを含む)は、本発明の第4の実施形態(図18による)のマイクロ流体デバイス1700の等角分解図を概略的に例示する。図30aは、上部からの分解図を示し、図30bは、底部からの分解図を示す。図30を通じて、マイクロ流体デバイス1700が、数個の層/片/構成要素、すなわち、上部層/片/構成要素3080、中間層/片/構成要素3081、および底部層/片/構成要素3082を備えることが示されている。
【0552】
図31は、図30に例示される第4の実施形態の上面分解図を概略的に例示する。図30の分解部分が図31で上部から底部まで例示される。図31は、上部層/片/構成要素3080の上部分3080a、中間層3081の上部分3081a、および底部層3082の上部分3082aを例示する。
【0553】
図32は、図30に例示される第4の実施形態の別個の部分の底部分解図を概略的に例示する。図30の分解部分が、図32に並べて例示される。図32は、上部層/片/構成要素3080の底部分3080b、中間層3081の底部分3081b、および底部層3082の底部分3082bを例示する。
【0554】
図33は、図30に例示される第4の実施形態1700の上面図を概略的に例示する。図33の実施形態1700は、図30~32に例示される実施形態の分解されていない図を例示する。ウェル/容器群3071は、例示の目的で実線の長方形によって囲まれている。切断線3083は、図20の断面図を示す。
【0555】
第4の実施形態1700について、各マイクロ流体ユニットは、中間層/構成要素3081の、図32に例示される、底部分3081bによって覆われる、底部層/構成要素3082の、図31に例示される、上部分3082aの分岐凹部によって形成される。
【0556】
図34図34aおよび34bを含む)は、本発明の第6の実施形態によるマイクロ流体デバイス3100の上部等角図および底部等角図を概略的に例示する。図34aは、上面等角図を例示し、図34bは、底面等角図を例示する。
【0557】
図35図35aおよび35bを含む)は、図34に例示される第6の実施形態の上面および底面分解図を概略的に例示する。図35aは、上面図を例示し、図35bは、底面図を例示する。図35を通じて、マイクロ流体デバイス3100が、数個の層/片/構成要素、すなわち、上部層/片/構成要素3180、中間層/片/構成要素3181、および底部層/片/構成要素3182を備えることが示されている。
【0558】
図36は、図34および35に例示される第6の実施形態の上面分解図を概略的に例示する。図35aの分解部分が、図36に並べて例示される。図36は、上部層/片/構成要素3180の上部分3180a、中間層3181の上部分3181a、および底部層3182の上部分3182aを例示する。
【0559】
図37は、図34および35に例示される第6の実施形態の底面分解図を概略的に例示する。図35bの分解部分が図37で上部から底部まで例示される。図37は、上部層/片/構成要素3180の底部分3180b、中間層3181の底部分3181b、および底部層3182の底部分3182bを例示する。
【0560】
図38aは、図34に例示される第6の実施形態の上面図を概略的に例示する。第1の容器群3171は、例示の目的で実線の長方形によって囲まれている。切断線3183は、図38bの断面図を示す。図38bは、図34に例示され、図38aに示される、第6の実施形態の断面側面図を概略的に例示する。図38bは、図18の容器群1731、1732、1733、1734に対応する、第1の容器群3131、3132、3133、3134を例示する。容器群3171は、切断線3183に平行な線に沿って位置合わせされている。図38bに例示されるデバイスの動作原理は、図20に例示されるデバイスと同様であり、詳細には繰り返されない。
【0561】
第6の実施形態3100について、各マイクロ流体ユニットは、底部層/構成要素3182の上部分3182aによって覆われる、中間層/構成要素3181の底部分3181bの分岐凹部によって形成される。
【0562】
図39aは、本発明による第7の実施形態の等角上面図を概略的に例示する。図39bは、図39aの実施形態の試料ラインの簡略図を概略的に例示し、上部層/片/構成要素3280の容器群3231、3232、3233、3234と、底部層/片/構成要素3282によって主に形成された、対応するマイクロ流体ユニット3270とを概略的に例示し、図40aを参照されたい。
【0563】
図40図40aおよび40bを含む)は、図39bの試料ラインの分解図を概略的に例示する。図40aは、上部からの分解図を例示し、図40bは、底部からの分解図を例示する。
【0564】
図41aは、上部層/片/構成要素3280の上面図を概略的に例示し、その上部側/上部分3280aを示す。図41bは、底部層/片/構成要素3282の上面図を概略的に例示し、その上部側/上部分3282aを示す。
【0565】
図42aは、上部層/片/構成要素3280の底面図を概略的に例示し、その底部側/底部分3280bを示す。図42bは、底部層/片/構成要素3282の底面図を概略的に例示し、その底部側/底部分3282bを示す。
【0566】
図43aは、図39bに例示された部分の上面図を概略的に例示する。図43bは、図43aに示される切断線3283に沿って見られる図43aの試料ラインの断面側面図を例示する。
【0567】
第7の実施形態3200について、各マイクロ流体ユニットは、上部層/構成要素3280の底部分3280bによって覆われる、底部層/構成要素3282の上部分3282aの分岐凹部によって形成される。
【0568】
効率のために、以下に言及される遷移ゾーン3377および遷移ゾーン4077は、例えば、1つが分岐凹部を提供し、別の構成要素がカバーを提供する、2つの構成要素によって流体導管ネットワークが形成される実施形態のための位置合わせされたコーティングを必要とし得る。これは、例えば、図48aに関連して開示されるように、例えば、組み立てに続いて第1の流体およびUV放射を提供することによって、または少なくとも、構成要素の組み立てに続く、UV放射の提供によって達成され得る。あるいは、コーティングの位置合わせは、コーティングされた構成要素の精密な組み立てによって達成され得る。
【0569】
図44図44a、44b、および44cを含む)は、本発明によるマイクロ流体デバイスの提供方法の工程を概略的に例示する。単純化のために、第2の流体接合部3321、および流体導管ネットワークの周囲の部分のみが図44によって例示されている。さらに、単純化のために、第1の構成要素の一部のみが図44によって例示されている。図44の第1の構成要素は、例えば、第4の実施形態のマイクロ流体デバイス1700の底部層/片/構成要素3082、マイクロ流体デバイス3100の第6の実施形態の中間層3181、および第7の実施形態の底部層/片/構成要素3282のうちのいずれかに対応し得る。したがって、図44によって部分的に示される構成要素は、第4、第6、または第7実施形態のそれぞれのキャッピング部分を形成するそれぞれの構成要素などの、別の構成要素(図44には示されていない)によって平坦表面によって覆われるように構成されている分岐凹部によって流体導管ネットワークを形成する。
【0570】
凹部のキャッピングは、図50、51、および46を組み合わせることによってより詳細に例示され、以下にさらに説明される。
【0571】
図44aでは、マイクロ流体デバイスの流体導管ネットワークのそれぞれの部分が、コーティングされる前に例示され、第1の液体は、構成要素の表面部分全体に適用され得る。
【0572】
図44bでは、それぞれの部分は、UV光の印加中にマスクされることになるエリア3378aと共に例示されている。マスクは、コーティングが所望される場合に、UV光のみが、またはUV光が主に、液体を活性化することを達成するために利用され得る。UV光を適用する工程は、図49図49aおよび49bを含む)によって例示されている。図49bは、図44bに対応し、図49aの断面図の場所を示す切断線3983を含む。図49aは、適用された第1の流体を活性化するためにマスク3987を利用している間のUV光3988による放射のプロセスを概略的に例示する。図49aによっても示される、示されている結果は、図9aおよび9dに例示されているようにコーティングが提供され、かつ移送導管3312内に延在する遷移ゾーン3377を含む、領域の第3の例958に対応するコーティングである。遷移ゾーン3377は、図44cによってより詳細に例示されている。
【0573】
図44cは、上記のコーティングプロセスの結果を概略的に例示し、コーティングされたエリアおよび遷移ゾーン3377を示している。図45aは、図44cに対応し、図45bの断面図の場所を示す切断線3383を示す。図45bは、コーティングが、第1の収集導管部分3319に適用され、第1の収集導管部分3319と第1の移送導管部分3315との間に遷移ゾーン3377を含むことを例示する。遷移ゾーン3377では、コーティング/コーティング厚さ3377aは、遷移ゾーン3377の第2の端3377bから遷移ゾーンの第1の端3377cに向かってゼロ設定される。図47aは、図44cに対応し、図47bの断面図の場所を示す切断線3483を含む。図47bは、それぞれのマイクロ流体デバイスの第1の構成要素を形成する基板3626に形成された第1の収集導管部分3319における流体導管ネットワークの凹部3630の断面図を概略的に例示する。側壁3630bと凹部3630の底部3630aとの間の傾斜の差(垂直とそれぞれの側壁3630bとの間の角度3629によって例示される)に起因して、側壁3630bは、底部3630aのコーティングの厚さよりも薄い厚さのコーティングを提供され得る。これは、第1の流体を活性化するために指向性または半指向性のUV光を利用することによって引き起こされ得、コーティングの適用は、当該表面の法線とUV光放射照度の方向との間の角度の差に依存すると想定され得る。さらに、上述されたように、第2の基板と接続する前の第1の基板のコーティングのとき、関連する部分、この場合、第1の収集導管部分3319が適切にコーティングされることを確保するために、それぞれの凹部の隣の表面3630cにもコーティングを提供することが有利である場合がある。
【0574】
図44図44a、44b、および44cを含む)は、例えば、上記の実施形態のいずれかによる流体導管ネットワークの一部を概略的に例示し、より具体的には、図44は、マイクロ流体部分のサブセットを例示する。
【0575】
図44は、第1の三次供給導管3309a、第2の三次供給導管3309b、移送導管3312、第1の移送導管部分3315、収集導管3316、第1の収集導管部分3319、および第2の流体接合部3321を例示する。図44a、44b、および44cを通して示される進行は、本発明によるデバイスの提供方法の工程を概略的に例示する。図44aは、マスクされたエリアのないマイクロ流体部分のサブセットを例示する。図44aは、例えば、第1の流体の適用前または適用後のプレコーティング状態を例示する。図44bは、アプリケーションの態様による、マスクされたエリア3378aおよびマスクされていないエリア3378bを例示する。本方法の特定の実施形態によると、マスクは、例えば、UV放射の適用前に、かつ、例えば、第1の流体の適用に続いて、例えば、エリア3378aにわたって提供され得る。図44cは、コーティングされたエリアおよび遷移ゾーン3377を例示する。例えば、遷移ゾーン3377を除くコーティングされたエリアは、図9aおよび9dに例示されるように、コーティングが提供された領域の第3の例958に対応し得る。したがって、図44aおよび44bについて、第1の移送導管部分3315および第1の収集導管部分3319として示されるエリアの両方は、それらのそれぞれの水に対する親和性をまだ呈さない可能性がある。
【0576】
図44cは、第1の移送導管部分3315と第1の収集導管部分3319/第1の収集導管3316との間に提供される遷移ゾーン3377を含む流体導管ネットワークの一部を示し、遷移ゾーン3377は、第1の端(図50および51、参照番号4477c参照)と第2の端(図50および51、参照番号4477b参照)との間に延在し、第1の端が、第1の移送導管部分3315に最も近い遷移ゾーン3377の端であり、第2の端が、第1の収集導管部分3319/第1の収集導管3316に最も近い遷移ゾーン3377の端であり、第1の水に対する親和性から第2の水に対する親和性への遷移が、遷移ゾーン3377内で提供される。
【0577】
実施形態のいくつかでは、第1の水に対する親和性から第2の水に対する親和性への遷移は、第1の水に対する親和性から第2の水に対する親和性への漸進的な遷移を含む。実施形態のいくつかでは、遷移ゾーン3377は、その第1の端と第2の端との間に500μm未満の広がりを有する。
【0578】
図50aは、図9aに関連して例示および開示されたものと同じ特徴を概略的に例示する。さらに、図50aは、遷移ゾーン4077を例示する。図50bは、遷移ゾーン4077を例示する図50aの拡大図を概略的に例示する。図50図50aおよび50bを含む)は、コーティングされたエリアが、コーティングを提供された領域の第3の例958を少なくとも部分的に取り囲むリムゾーン4079を含み得ることを概略的に例示する。リムゾーン4079内で、コーティングは、コーティングを提供された領域の第3の例958から延在する間、ゼロ設定である。図50aおよび50bに例示されるように、リムゾーンは、三次供給導管509の分岐および移送導管512内に延在する。移送導管512内へのリムゾーンの広がりは、遷移ゾーン4077と称される。
【0579】
本開示に説明されるように、第1の移送導管部分515および第1の収集導管部分519の両方における所望の水に対する親和性は、第1の移送導管部分515または第1の収集導管部分519のいずれかのための所望の水に対する親和性を有する基板の提供、および他の部分における所望のコーティングの提供によって達成され得る。図50によって例示される本例では、コーティングは、第1の収集導管部分519に適用され、第1の移送導管部分515に適用されることが回避される。しかしながら、本開示を通して例示および開示されるように、例えば、図30~43に関連して開示される様々な実施形態に関連して、マイクロ流体デバイスは、第2の構成要素によって覆われる第1の構成要素の分岐凹部の提供によって提供され得る。したがって、例えば、図50に関連して開示されるように、分岐凹部を有する基板へのコーティングの提供に加えて、同様のコーティングが、流体導管ネットワークを形成するための分岐凹部のキャッピング部分を形成する構成要素に提供され得る。図51aは、本発明のマイクロ流体デバイスの第4の実施形態の中間層の底部分などの、キャッピング部分を形成する構成要素のコーティングを概略的に例示する。図51aの破線は、分岐凹部を有する構成要素と組み立てられたときの流体導管ネットワークの意図される場所を示している。さらに、図50aと同じ参照が図51aにも適用される。図51bは、遷移ゾーン4077を含む図51aの拡大図を概略的に例示する。
【0580】
流体移送ネットワークを形成する2つの構成要素が、組み立てられる前にコーティングされる実施形態について、コーティングは、組み立て時に位置合わせされなくてもよい。そのような位置ずれは、移送ゾーンを形成するそれぞれのコーティングの位置ずれを含み得る。図46は、例えば、図50に例示される構成要素を図51に例示される構成要素と組み立てるときなどの、位置合わせされていないそのようなコーティングの例を概略的に例示する。
【0581】
図46では、図の右側のコーティングは、図45bに例示されるコーティングに対応し、一方、左側のコーティングは、コーティングが位置合わせされていないカバーのコーティングを概略的に例示する。
【0582】
本発明の実施形態では、マイクロ流体デバイス、例えば、1700、3100が、マイクロ流体区分および容器区分を形成する複数の構成要素を備え、複数の構成要素が、互いに固定されている第1の構成要素3181および第2の構成要素3182を含み、各流体導管ネットワークが、第1の構成要素によって部分的に、および第2の構成要素によって部分的に形成され、第1の構成要素3181が、第1のコーティングされたゾーン3186aおよび第1のコーティングされていないゾーン3186bを有する第1の基板を含み、第2の構成要素3182が、第2のコーティングされたゾーン3189aおよび第2のコーティングされていないゾーン3189bを有する第2の基板を含み、各流体導管ネットワークについて、第1の移送導管部分3315および第1の収集導管部分3319のうちの一方が、第1のコーティングされたゾーン3186aの一次部分によって部分的に、および第2のコーティングされたゾーン3189aの一次部分によって部分的に形成され、第1の移送導管部分3315および第1の収集導管部分3319のうちの他方が、第1のコーティングされていないゾーン3186bの一次部分によって部分的に、および第2のコーティングされていないゾーン3189bの一次部分によって部分的に形成されている。
【0583】
1つ以上の実施形態によると、コーティングは、第1の収集導管部分から始まる第1の均一なコーティングされたゾーンから始まり、第1の遷移ゾーンおよび第2の遷移ゾーンを通って延在して遷移長さを形成する不均一な第2のコーティングされたゾーンまで延在する。側壁は、第1の移送導管部分までおよびそれを越えて延在する。
【0584】
1つ以上の実施形態によると、マイクロ流体デバイスは、第1のコーティングされたゾーンの一次部分を有し得、10nm~200nmの範囲内にある第1の均一なコーティング厚さ3385aを含む第1のコーティングされたゾーンの第1の一次部分を含み得、第2のコーティングされたゾーンの一次部分が、10nm~200nmの範囲内にある第2の均一なコーティング厚さを含む。
【0585】
本発明の1つ以上の実施形態によるマイクロ流体デバイスは、例えば、図46に部分的に示されるように、遷移ゾーン3577を有し得、これは、第1のコーティングされたゾーン3186aの二次部分および第2のコーティングされたゾーン3189aの二次部分を含み、第1のコーティングされたゾーンの二次部分が、第1の端から、第1のコーティングされたゾーン3186aの第1の縁に提供された第2の端3377cまで延在し、第1のコーティングされたゾーン3186aの二次部分が、その第1の端から第2の端3377cまでゼロ設定されているコーティング厚さを含む。
【0586】
さらに、第2のコーティングされたゾーン3189aの二次部分は、第1の端から、第2のコーティングされたゾーン3189aの第2の縁に提供された第2の端3477cまで延在し得、第2のコーティングされたゾーンの二次部分は、その第1の端から第2の端までゼロ設定されているコーティング厚さを含む。
【0587】
本明細書に説明される実施形態のいくつかでは、マイクロ流体デバイスは、第1のコーティングされたゾーンの二次部分の第1の端のコーティング厚さを有し、第1のコーティングされたゾーンの一次部分のコーティング厚さに対応し、第2のコーティングされたゾーンの二次部分の第1の端のコーティング厚さが、第2のコーティングされたゾーンの一次部分のコーティング厚さに対応する。
【0588】
本明細書に説明される実施形態のいくつかでは、マイクロ流体デバイスは、第1のコーティングされたゾーンの二次部分を有し、これは、その第1の端と第2の端との間の500μm未満の広がりを有する。さらに、第2のコーティングされたゾーンの二次部分は、その第1の端と第2の端との間の500μm未満の広がりを有する。
【0589】
本明細書に説明される実施形態のいくつかによると、マイクロ流体デバイスは、第1のコーティングされたゾーンの二次部分および第2のコーティングされたゾーンの二次部分を有し、これらは、互いに位置合わせされていない。
【0590】
本明細書に説明される実施形態のいくつかによると、マイクロ流体デバイスは、第1のコーティングされたゾーンの二次部分および第2のコーティングされたゾーンの二次部分を有し、これらは、互いに位置合わせされている。
【0591】
図47bは、上部キャップがなく、コーティングを有する、図14の導管の一部の等角断面を概略的に例示する。図47aは、等角断面が示された断面を例示する。
【0592】
図47bは、本発明によるマイクロ流体デバイスの導管の一部の等角断面図を概略的に例示する。図47bは、ベース層3626と、角度3629の下でベース層3626の間に位置付けられている流体導管3630と、を説明する。
【0593】
図48は、本発明によるデバイスの提供の方法のブロック図を概略的に例示する。図48aは、第1の方法を例示し、図48bは、第2の方法を例示する。
【0594】
図48aは、本明細書に説明される実施形態によるコーティングを適用する方法を例示する。上記の実施形態、例えば、マイクロ流体デバイス100、1700などにコーティングを提供する方法が説明されている。第1の方法は、以下の工程を有する。
工程1:複数の構成要素を提供することであって、複数の構成要素の各構成要素が、複数の構成要素の別の構成要素の側部に面するように構成され、かつその側部に取り付けられるように構成されている、少なくとも1つの側部を含み、複数の構成要素のうちの1つが、少なくとも二次供給容器および三次供給容器を収容する、提供すること。
【0595】
工程2:各構成要素が少なくとも1つの他の構成要素に固定的に取り付けられるように、複数の構成要素が、固定接続されたユニットを形成するように、かつ各流体導管ネットワークが、第2の構成要素によって部分的に、および第1の構成要素によって部分的に形成されるように、複数の構成要素を組み立てることであって、第1の構成要素が、第2の構成要素に面する、組み立てること。
【0596】
工程3:第1の構成要素の少なくとも第1の部分、および第2の構成要素の少なくとも第1の部分に第1のタイプの液体を適用すること。
【0597】
工程4:第1のタイプの液体を適用する工程に続いて、第1の構成要素の少なくとも第1の部分、および第2の構成要素の少なくとも第1の部分にマスクを介してUV光を適用すること。
【0598】
いくつかの実施形態では、本明細書に説明されるマイクロ流体デバイスのコーティング方法は、組み立てる工程の前に実施される第1のタイプの液体を適用する工程を有する。この概念は、図48bに説明される。
【0599】
本明細書に説明される実施形態のいくつかでは、マイクロ流体デバイスのコーティング方法は、組み立ての工程に続いて実施される第1のタイプの液体を適用する工程を有し、第1のタイプの液体を適用する工程は、流体導管ネットワークの部分を遮断するための不活性液体を利用することを含む。
【0600】
ダブルエマルション液滴を提供する本発明の方法は、上述の実施形態によって本明細書に開示される。上記のマイクロ流体デバイス(100、1700など)のいずれかの使用を含み、方法は、以下の工程を含む。工程1:第1の容器群の一次供給容器に第1の流体を供給すること。工程2:第1の容器群の二次供給容器に第2の流体を供給すること。工程3:第1の容器群の三次供給容器に第3の流体を供給すること。工程4:第1の容器群の個々の供給容器の各々の中の圧力が第1の容器群の収集容器内よりも高いように、第1の容器群のそれぞれの供給容器の各々と、第1の容器群の収集容器との間に圧力差を提供すること。
【0601】
以下は、図面の参照の少なくともいくつかのリストを表し、接尾辞「X」は、例えば、1、5、11、13、14、15、17、18、19、20、および21の桁のうちのいずれか1つ以上の桁を指し得る。例えば、X00は、100、500、1100、1300、1400、1500、1700、1800、1900、2000、および2100のうちのいずれか1つ以上の参照を指し得る。
【0602】
上記の開示の関連部分は、開示された図面と組み合わせて以下の参照リストを考慮して理解され得る。
X00.マイクロ流体デバイス
X01.マイクロ流体区分
X02.ウェル区分
X03.一次供給導管
X04.一次貫通孔と直接連通している一次供給入口および/または毛細管構造のエリア
X05.一次供給開口部
X06.二次供給導管
X06a.第1の二次供給導管
X06b.第2の二次供給導管
X07.二次貫通孔と直接連通している二次供給入口および/または二次供給導管のエリア
X08.二次供給開口部
X08a.第1の二次供給開口部
X08a.第2の二次供給開口部
X09.三次供給導管
X09a.第1の三次供給導管
X09b.第2の三次供給導管
X10.三次供給ウェルまたは容器と直接流体連通している三次供給入口および/または三次供給導管のエリア
X11.三次供給開口部
X11a.第1の三次供給開口部
X11b.第2の三次供給開口部
X12.移送導管
X13.第1の移送開口部
X14.第2の移送開口部
X15.第1の移送導管部分
X16.収集導管
X17.収集開口部
X18.収集出口
X19.第1の収集導管部分
X20.第1の流体接合部
X21.第2の流体接合部
X25.フィルタ
X26.ベースマイクロ流体片
X27.キャッピング片
X31.一次供給ウェルまたは容器
X32.二次供給ウェルまたは容器
X33.三次供給ウェルまたは容器
X34.収集ウェルまたは容器
X35.流体導管ネットワーク
X39.収集ウェルまたは容器の下部分
X70.マイクロ流体ユニット
Y70a.マイクロ流体ユニットの上部分
X71.ウェル群/容器群
X77.遷移ゾーン
X77a.遷移ゾーンの厚さ
X77b.遷移ゾーンの第2の端
X77c.遷移ゾーンの第1の端
X80.上部層/片/構成要素
X80a.上部層/片/構成要素の上部分
X80b.上部層/片/構成要素の底部分
X81.中間層/片/構成要素
X81a.中間層の上部分
X81b.中間層の底部分
X82.底部層/片/構成要素
X82a.底部層の上部分
X82b.底部層の底部分
X83.断面図を示す切断線3988.UV光
【0603】
さらなる参照リスト:
522.一次流
523.二次流
524.三次流
956.コーティングを提供された領域の第1の例
957.コーティングを提供された領域の第2の例
958.コーティングを提供された領域の第3の例
1059.コーティングを提供された領域の第4の例
1060.コーティングを提供された領域の第5の例
1061.コーティングを提供された領域の第6の例
1428.側壁
1429.抜き勾配
1430.流体導管
1572.柱
1836.ガスケットの取り付け用の取り付け特徴
1837.気密接続を容易にする突起
1838.位置合わせ特徴
2040.ウェル群へのマイクロ流体ユニットのアセンブリのためのアセンブリ特徴
2041.マイクロ流体ユニットとウェル群との間のエラストマー材料
2137.気密接続を確保する突起
2141.マイクロ流体ユニットとウェル群との間のエラストマー材料
2142.マイクロ流体デバイスを受容するように構成された受容体
2143.マイクロ流体デバイスと受容体との間のエラストマー材料
2144.供給ウェルまたは容器の例
2245.圧縮空気用の通路
2342.マイクロ流体デバイスを受容するように構成された受容体2346.フィルタ
2347.圧力発生器
2348.圧力供給構造弁
2349.圧力センサ
2350.圧力調整器
2351.空気リザーバ
2352.圧力供給構造
2353.ウェルマニホールド
2354.空気入口
2357.圧力調整器からマニホールドへの弁
2358.ウェル弁
2390.アセンブリ
2399.圧力分配構造
2451.試料緩衝液
2452.油
2453.連続相緩衝液
2454.ダブルエマルション液滴
2455.シングルエマルション液滴
2556.マイクロ流体デバイス
2859.試料緩衝液容器
2860.油容器
2861.連続相緩衝液容器
2862.キット
【0604】
数個の特徴を列挙する任意の請求項について、これらの特徴のうちの数個は、1つの同じデバイスによって具現化され得る。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているか、または異なる実施形態に説明されているだけでは、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。
【0605】
特定の実施形態が示され、説明されてきたが、それらは、特許請求の範囲の発明を限定することを意図していないことが理解され、当業者には、特許請求の範囲の発明の範囲から逸脱せずに、様々な変更および修正を行われ得ることが明らかであろう。したがって、明細書および図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味としてみなされるべきである。特許請求の範囲の発明は、代替例、修正例、および等価物をカバーすることを意図している。
【0606】
本開示で使用されるときの「備える(comprises/comprising)」という用語は、記載された特徴、整数、工程、または構成要素の存在を指定するようにとられるが、1つ以上の他の特徴、整数、工程、構成要素、またはその群の存在または追加を除外しない。
【0607】
本発明の範囲から逸脱せずに、本発明の構造に様々な修正および変形が行われ得ることは、当業者には明らかであろう。上記を考慮して、本発明は、提供される本発明の修正および変形を、それらが以下の特許請求の範囲およびそれらの等価物の範囲内に収まれば、カバーすることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9a
図9b
図9c
図9d
図10a
図10b
図10c
図10d
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30a
図30b
図31
図32
図33
図34a
図34b
図35a
図35b
図36
図37
図38a
図38b
図39a
図39b
図40a
図40b
図41a
図41b
図42a
図42b
図43a
図43b
図44a
図44b
図44c
図45a
図45b
図46
図47a
図47b
図48a
図48b
図49a
図49b
図50a
図50b
図51a
図51b