(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】一体化された油圧ポンプ及びモータコントローラを有する電動モータ
(51)【国際特許分類】
F04C 15/00 20060101AFI20230221BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20230221BHJP
H02K 11/33 20160101ALI20230221BHJP
F04C 2/10 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
F04C15/00 L
H02K7/14 B
H02K11/33
F04C2/10 341H
(21)【出願番号】P 2021555788
(86)(22)【出願日】2020-06-23
(86)【国際出願番号】 US2020039095
(87)【国際公開番号】W WO2021011155
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2021-09-15
(32)【優先日】2019-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513307933
【氏名又は名称】パーカー-ハネフィン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】PARKER-HANNIFIN CORPORATION
【住所又は居所原語表記】6035 Parkland Blvd. Cleveland, OH 44124 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ハオ
(72)【発明者】
【氏名】カリディンディ,サティシュ,クマル・ラジュ
(72)【発明者】
【氏名】ウアード,スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】チュウ,ユ-セン
(72)【発明者】
【氏名】ナタラジャン,スレシュ
(72)【発明者】
【氏名】バージェス,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】イアニッツァロ,フランク
(72)【発明者】
【氏名】トゥープス,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー,ロブ
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-125955(JP,A)
【文献】特開2011-152445(JP,A)
【文献】特開2010-112302(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 15/00
H02K 7/14
H02K 11/33
F04C 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中に内部チャンバを有するメインハウジング;
前記メインハウジングの前記内部チャンバ内に配置され、(i)前記メインハウジングの前記内部チャンバ内に固定的に位置決めされたステータと、(ii)前記ステータ内に位置決めされたロータとを備える、電動モータ;
前記メインハウジング内において少なくとも一部が前記電動モータの前記ロータ内に位置決めされた、油圧ポンプであって、前記油圧ポンプは、流入口から流体を受け取って、流体流を流出口に供給するように構成され、前記油圧ポンプは、前記電動モータの前記ロータに回転可能に連結されたポンプシャフトを備える、油圧ポンプ
であって、前記油圧ポンプは:
(1)前記メインハウジングの前記内部チャンバ内において少なくとも一部が前記ロータ内に配置された、ポンプハウジング;
(2)前記ポンプハウジング内に配置されたポンプリングギヤ;及び
(3)ポンプピニオンであって、前記ポンプシャフトに連結され、前記ポンプピニオンの外歯が前記ポンプリングギヤの内歯と係合するように前記ポンプリングギヤ内に配置されるよう構成された、ポンプピニオン
を備える、油圧ポンプ;
前記メインハウジングに連結されたコントローラハウジング;及び
前記コントローラハウジング内に配置され、かつ前記電動モータを駆動するための電流を生成するよう構成された、1つ以上の回路基板を備える、モータコントローラ
を備える、アセンブリ。
【請求項2】
前記メインハウジングに連結された、前記流入口及び前記流出口を備えるエンドカバーを更に備える、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記ロータは、筒部及びスピンドル部を備え、
前記ポンプシャフトは、前記スピンドル部に回転可能に連結される、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記ロータの前記スピンドル部に連結されたロータシャフトを更に備え、前記ポンプシャフトは、前記ロータシャフトに回転可能に連結される、請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記ロータの前記筒部内に配置され、前記ロータシャフトを前記ポンプシャフトに連結して、前記ポンプシャフトの回転速度を前記ロータシャフトに対して低下させるよう構成された、ギヤボックスを更に備える、請求項4に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記ギヤボックスは:
前記ロータシャフトに連結された太陽歯車;
前記太陽歯車と係合する複数の遊星歯車;
前記複数の遊星歯車に連結された遊星キャリア;及び
ギヤボックスリングギヤ
を備える遊星ギヤボックスであり、
前記複数の遊星歯車は、前記ギヤボックスリングギヤの内歯に係合するよう構成され、
前記遊星キャリアは前記ポンプシャフトに連結される、請求項5に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記ロータの前記スピンドル部は、前記メインハウジング内において、前記メインハウジングに対する前記ロータの回転を可能とする少なくとも1つの軸受上に支持される、請求項4に記載のアセンブリ。
【請求項8】
コントローラハウジングカバーであって、前記コントローラハウジングカバー及び前記コントローラハウジングが、前記モータコントローラの前記1つ以上の回路基板が中に配置されるエンクロージャを形成するように、前記コントローラハウジングに連結される、コントローラハウジングカバーを更に備える、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記1つ以上の回路基板は:
半導体スイッチングマトリックスが取り付けられたインバータボードであって、前記半導体スイッチングマトリックスは、直流電力を、前記電動モータを駆動するための三相交流電力に変換するよう構成された、複数の半導体スイッチングデバイスを備える、インバータボード;及び
前記インバータボードから軸方向にずらされ、前記インバータボードに電気的に連結された、コントローラボードであって、前記コントローラボードは、前記半導体スイッチングマトリックスを動作させるためのスイッチング信号を生成するよう構成されたプロセッサを備える、コントローラボード
を備える、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記コントローラボードは、前記コントローラボードに取り付けられ、前記ロータの回転位置を示すセンサ情報を前記プロセッサに送信するよう構成された、エンコーダを更に備える、請求項
9に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記インバータボードに取り付けられた複数のバスバー;及び
前記複数のバスバーに連結され、バッテリから直流電力を受け取るよう構成された、バッテリリード
を更に備える、請求項
9に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記油圧ポンプは、全体が、前記電動モータの前記ステータ内に軸方向に位置決めされる、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記メインハウジング及び前記コントローラハウジングは、(i)前記油圧ポンプ及び前記電動モータを内包するポンプ‐モータチャンバと、(ii)前記モータコントローラを内包するコントローラチャンバとを備える、単一のブロックとして構成された、単一のハウジングを形成する、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項14】
直流電力源;
流体リザーバ;
油圧アクチュエータ;及び
アセンブリ
を備える、システムであって、
前記アセンブリは:
中に内部チャンバを有するメインハウジング;
前記メインハウジングの前記内部チャンバ内に配置され、(i)前記メインハウジングの前記内部チャンバ内に固定的に位置決めされたステータと、(ii)前記ステータ内に位置決めされたロータ
であって、筒部及びスピンドル部を備えたロータとを備える、電動モータ;
前記メインハウジング内において少なくとも一部が前記電動モータの前記ロータ内に位置決めされた、油圧ポンプであって、前記油圧ポンプは、前記流体リザーバに流体連結された流入口から流体を受け取って、流体流を前記油圧アクチュエータに流体連結された流出口に供給するように構成され、前記油圧ポンプは、前記電動モータの前記ロータ
の前記スピンドル部に回転可能に連結されたポンプシャフトを備える、油圧ポンプ;
前記メインハウジングに連結されたコントローラハウジング;及び
前記コントローラハウジング内に配置された1つ以上の回路基板を備える、モータコントローラであって、前記1つ以上の回路基板は、前記直流電力源から直流電力を受け取って、前記電動モータを駆動するための電流を生成するよう構成される、モータコントローラ
を備える、システム。
【請求項15】
前記1つ以上の回路基板は:
半導体スイッチングマトリックスが取り付けられたインバータボードであって、前記半導体スイッチングマトリックスは、直流電力を、前記電動モータを駆動するための三相交流電力に変換するよう構成された、複数の半導体スイッチングデバイスを備える、インバータボード;及び
前記インバータボードから軸方向にずらされ、前記インバータボードに電気的に連結された、コントローラボードであって、前記コントローラボードは、前記半導体スイッチングマトリックスを動作させるためのスイッチング信号を生成するよう構成されたプロセッサを備える、コントローラボード
を備える、請求項
14に記載のシステム。
【請求項16】
前記コントローラボードは、前記コントローラボードに取り付けられ、前記ロータの回転位置を示すセンサ情報を前記プロセッサに送信するよう構成された、エンコーダを更に備える、請求項
15に記載のシステム。
【請求項17】
前記インバータボードに取り付けられ、前記直流電力源に電気的に連結された、複数のバスバーを更に備える、請求項
15に記載のシステム。
【請求項18】
前記インバータボードは、前記電動モータの電流を測定するよう構成された複数のホール効果電流センサを更に備える、請求項
15に記載のシステム。
【請求項19】
前記コントローラボードは、ソレノイド弁の動作を制御するよう構成された電子弁駆動装置を更に備える、請求項
15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年7月12日出願の米国仮特許出願第62/873,315号、及び2020年1月30日出願の米国仮特許出願第62/967,877号に対する優先権を主張するものであり、上記仮特許出願はその全体が参照によって本出願に援用される。
【0002】
油圧ポンプを駆動するために電動モータを使用できる。例えば、電動モータのロータに連結された出力シャフトを、油圧ポンプのシャフトに連結することにより、ロータの回転によって油圧ポンプの回転群を回転させ、流体流を供給できる。
【背景技術】
【0003】
モータコントローラは、典型的にはモータから分離しており、電動モータのステータの巻線にケーブルを介して接続される。モータコントローラは、直流電力を、モータを駆動するための三相交流電力に変換できる、切り替え可能なトランジスタのマトリックスを有するインバータを含むことができる。
【0004】
油圧ポンプ及びモータコントローラを電動モータと一体化するアセンブリを有することが望ましい場合がある。このようにして、シャフト、軸受等の機械部品を、油圧ポンプとモータとの間で共有できる。更に、モータコントローラを電動モータと一体化することにより、コントローラと電動モータとの間のケーブルの数及び長さを削減できる。従ってこのような一体化された構成により、製造コストを削減でき、信頼性を高めることができ、またアセンブリを、別個の構成部品を有するものよりも小型化できる。本出願で行われる開示は、これらの考慮事項及び他の考慮事項に関して提示される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、一体化された油圧ポンプ及びモータコントローラを有する電動モータに関連する実装形態を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の例示的実装形態では、本開示は:(i)中に内部チャンバを有するメインハウジング;(ii)上記メインハウジングの上記内部チャンバ内に配置され、(a)上記メインハウジングの上記内部チャンバ内に固定的に位置決めされたステータと、(b)上記ステータ内に位置決めされたロータとを備える、電動モータ;(iii)上記メインハウジング内において少なくとも一部が上記電動モータの上記ロータ内に位置決めされた、油圧ポンプであって、上記油圧ポンプは、流入口から流体を受け取って、流体流を流出口に供給するように構成され、上記油圧ポンプは、上記電動モータの上記ロータに回転可能に連結されたポンプシャフトを備える、油圧ポンプ;(iv)上記メインハウジングに連結されたコントローラハウジング;及び(v)上記コントローラハウジング内に配置され、かつ上記電動モータを駆動するための電流を生成するよう構成された、1つ以上の回路基板を備える、モータコントローラを備える、アセンブリを記載する。
【0007】
第2の例示的実装形態では、本開示は:直流電力源;流体リザーバ;油圧アクチュエータ;及びアセンブリを備えるシステムを記載する。上記アセンブリは:(i)中に内部チャンバを有するメインハウジング;(ii)上記メインハウジングの上記内部チャンバ内に配置され、(a)上記メインハウジングの上記内部チャンバ内に固定的に位置決めされたステータと、(b)上記ステータ内に位置決めされたロータとを備える、電動モータ;(iii)上記メインハウジング内において少なくとも一部が上記電動モータの上記ロータ内に位置決めされた、油圧ポンプであって、上記油圧ポンプは、上記流体リザーバに流体連結された流入口から流体を受け取って、流体流を上記油圧アクチュエータに流体連結された流出口に供給するように構成され、上記油圧ポンプは、上記電動モータの上記ロータに回転可能に連結されたポンプシャフトを備える、油圧ポンプ;(iv)上記メインハウジングに連結されたコントローラハウジング;及び(v)上記コントローラハウジング内に配置された1つ以上の回路基板を備える、モータコントローラであって、上記1つ以上の回路基板は、上記直流電力源から直流電力を受け取って、上記電動モータを駆動するための電流を生成するよう構成される、モータコントローラを備える。
【0008】
以上の概要は、例示的なものにすぎず、限定を意図したものでは決してない。上述の例示的態様、実装形態、及び特徴に加えて、更なる態様、実装形態、及び特徴が、図面及び以下の「発明を実施するための形態」を参照することにより明らかになるであろう。
【0009】
実例の新規の特徴をなすと考えられる特徴部分は、添付の特許請求の範囲に記載される。しかしながら、これらの実例、並びにその使用の好ましいモード、更なる目的、及び説明は、本開示のある実例の以下の「発明を実施するための形態」を添付の図面と併せて参照することにより、最も良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、ある例示的実装形態によるアセンブリの斜視図である。
【
図2】
図2は、ある例示的実装形態による
図1のアセンブリの側面断面図である。
【
図3】
図3は、別の例示的実装形態による油圧ポンプ及びエンドカバーの側面断面図である。
【
図4】
図4は、ある例示的実装形態による、遊星ギヤボックス、油圧ポンプ、及びエンドカバーを示す、
図1のアセンブリの部分分解斜視図である。
【
図5】
図5は、ある例示的実装形態による
図4のエンドカバーの斜視図である。
【
図6】
図6は、ある例示的実装形態による
図1のアセンブリの分解斜視図である。
【
図7A】
図7Aは、ある例示的実装形態によるモータコントローラの斜視図である。
【
図7B】
図7Bは、ある例示的実装形態による
図7Aのモータコントローラの別の斜視図である。
【
図7C】
図7Cは、ある例示的実装形態による、インバータボードを示す、モータコントローラの部分斜視図である。
【
図8】
図8は、ある例示的実装形態による、バッテリと、油圧アクチュエータと、電動モータ、油圧ポンプ、及びモータコントローラのアセンブリとを含むシステムのブロック図である。
【
図9】
図9は、ある例示的実装形態によるアセンブリの側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、構成部品を共有することによりコストを削減し、空間を節約し、信頼性を高めるコンパクトな構成を提供するアセンブリを得るために、油圧ポンプ及びモータコントローラ(インバータ等の電子駆動デバイスを含む)を、電動モータと一体化させる又は電動モータに埋め込むことに関する。
【0012】
図1は、ある例示的実装形態によるアセンブリ100の斜視図であり、
図2は、アセンブリ100の側面断面図である。アセンブリ100は、一体化された電動モータ102、油圧ポンプ104、及びモータコントローラ106を備える。アセンブリ100は、中に内部チャンバ112を有するメインハウジング108を含み、この中に電動モータ102及び油圧ポンプ104の構成部品が配置される。
【0013】
電動モータ102は、メインハウジング108の内部チャンバ112内で固定的に位置決めされたステータ110を含む。ステータ110は、磁場を生成するよう構成される。特に、ステータ110は、ステータ110の本体(例えば積層スタック)の周りに巻き付けられた巻線(図示せず)を含むことができ、巻線を介して電流が供給されると、磁場が生成される。
【0014】
電動モータ102は更に、ステータ110内の環状空間内に位置決めされたロータ114を含む。電動モータ102は更に、ステータ110とロータ114との間の環状空間内に、ロータ114に取り付けられた磁石116を含むことができる。磁石116は、ステータ110によって生成される磁場と相互作用して、ロータ114を回転させ、トルクを生成するよう構成される。他の例示的実装形態では、永久磁石を含まない異なるタイプの電動モータを使用してよい。
【0015】
ロータ114は、筒部118及びスピンドル部120を有することができる。スピンドル部120は、ロータ114をメインハウジング108に対して回転させることができるように、メインハウジング108内で軸受122を介して支持される。複数の例では、スピンドル部120は、スプライン126を介して、ロータシャフト124に回転可能に連結できる。これらの例では、ロータシャフト124は、後述の遊星ギヤボックス128等のギヤボックスに回転可能に連結できる。
【0016】
油圧ポンプ104は、メインハウジング108内において、少なくとも一部が、電動モータ102のロータ114及びステータ110内に取り付けられる。特に油圧ポンプ104はエンドカバー130に固定的に取り付けることができ、このエンドカバー130は、複数の留め具又はボルト132等のボルトを介してメインハウジング108に連結される。
【0017】
図3は、ある例示的実装形態による、油圧ポンプ104及びエンドカバー130の側面断面図であり、
図4は、遊星ギヤボックス128、油圧ポンプ104、及びエンドカバー130を示す、アセンブリ100の部分分解斜視図である。
図3及び4を合わせて説明する。
【0018】
図4に示した遊星ギヤボックス128は、上述のロータシャフト124に回転可能に連結された太陽歯車300を含むことができる。上述したように、ロータ114のスピンドル部120は、スプライン126を介してロータシャフト124に連結され、従ってロータ114が回転すると、ロータシャフト124及びこれに連結された太陽歯車300も同様に回転できる。
【0019】
遊星ギヤボックス128はまた、第1の遊星歯車302、第2の遊星歯車304、及び第3の遊星歯車306といった複数の遊星歯車を含むことができる。遊星ギヤボックス128は、遊星歯車302~306の各回転中心が太陽歯車300の中心の周りで回転するように構成される。
【0020】
遊星ギヤボックス128は更に、遊星歯車302~306の中心を太陽歯車300の中心に連結するよう構成された遊星キャリア308を含むことができる。遊星キャリア308は、遊星歯車302~306を太陽歯車300の周りで搬送しながら、回転できる。更に、遊星歯車302~306は、ギヤボックスリングギヤ310の内歯と係合するよう構成され、これにより遊星歯車302~306は、ギヤボックスリングギヤ310のピッチ円上を転がることができる。
【0021】
この構成により、ロータ114が回転すると、ロータシャフト124及び太陽歯車300が回転でき、これによって、遊星歯車302~306を、ギヤボックスリングギヤ310の内周上を転がりながら太陽歯車300の周りを回転するようにし、これによって遊星キャリア308を同様に回転させる。遊星キャリア308は、内歯を有するハブ312を有することができ、上記内歯は、ポンプシャフト316に回転運動を伝達するために、ポンプシャフト316のスプライン314に係合するよう構成される。
【0022】
遊星ギヤボックス128の構成は、例示のみを目的として一例として記述及び図示されていることを理解されたい。ギヤボックスの他の構成を用いることができる。遊星ギヤボックス128は、電動モータ102の回転速度を油圧ポンプ104のための比較的低い回転速度へと低減する減速機として使用できる。他の例示的実装形態では、ギヤボックスを使用しない場合があり、ポンプシャフト316を、スプライン314を介してスピンドル部120に直接連結できる。
【0023】
油圧ポンプ104は例えばギヤポンプとして構成できる。特に、図中に示した例示的実装形態では、油圧ポンプ104は内接ギヤポンプとして構成され、これは、ポンプハウジング321内に配置された、ポンプピニオン318(例えば外歯が外周面に形成された外接平歯車)及びポンプリングギヤ320(例えば内歯が内周面に形成されたリングギヤ)を有し、従ってポンプピニオン318の外歯は、ポンプリングギヤ320の内歯と係合するよう構成される。
図3~4に示したように、ポンプピニオン318はポンプシャフト316に取り付けられるか、又はポンプシャフト316の一体部分であり、ポンプピニオン318の歯はポンプリングギヤ320の歯と係合する。
【0024】
図5は、ある例示的実装形態によるエンドカバー130の斜視図である。
図1及び4~5に示したように、エンドカバー130は、(例えばいずれの油圧ラインのホースを介して)アセンブリ100に流体連結された流体リザーバから流体を受け取るよう構成された、流入口322を有することができる。エンドカバー130はまた、油圧ポンプ104からアセンブリ100に流体連結された油圧コンシューマ(例えば油圧アクチュエータ)へと出力される加圧流体を供給するための、流出口324を含む。エンドカバー130は更にドレン口326を有する。
【0025】
動作中、ロータ114が回転すると、ポンプシャフト316は上述したように回転する。ポンプピニオン318がポンプリングギヤ320内で回転すると、これらは、流入口322に流体連結された油圧ポンプ104の吸込側において分離又は係合解除されて、空所及び吸引が生成され、続いて上記空所は、流入口322からの流体で充填される。流体は、ポンプピニオン318及びポンプリングギヤ320のギヤ歯によって、流出口324に流体連結された油圧ポンプ104の吐出側に運ばれる。ポンプピニオン318及びポンプリングギヤ320のギヤ歯の噛合は流体を移動させ、流体はその後、流出口324に供給される油圧ポンプ104の内圧を低下させるために、油圧ポンプ104からドレンラインを介してドレン口326へと、流体を排出できる。
【0026】
図4に示したように、油圧ポンプ104は、内側クレセント328、及び外側又は上部クレセント330を含む。内側クレセント328と外側又は上部クレセント330とをピボットピン332によって支持することにより、クレセントの配向が保持され、ポンプリングギヤ320及びポンプピニオン318が半径方向に封止される。クレセント328、330はまた、半径方向補償装置としても動作する。
【0027】
クレセント328、330を板ばね334によって支持することにより、ポンプリングギヤ320及びポンプピニオン318を封止できる。また、油圧ポンプ104は、内側クレセント328と外側又は上部クレセント330との間に配置され、かつ更なる板ばね338によって支持された、逆止弁ピン336を含み、これにより、動作中の、油圧ポンプ104内の高圧流体を有する通路又は容積から低圧流体を有する通路又は容積への漏れを防ぐ。
【0028】
ポンプリングギヤ320及びポンプピニオン318は更に、ポンプリングギヤ320及びポンプピニオン318の両側で、スラストプレート340、342によって軸方向に支持される。スラストプレート340、342は、漏れを低減できる軸方向補償装置として動作でき、油圧ポンプ104の効率を改善できる。
【0029】
スラストプレート340、342はまた、第1又はフロントカバー344及び第2又はバックカバー346によって支持される。フロントカバー344及びバックカバー346は、圧力シール350及びバックシール352によって支持された圧力補償ポケット348を有することができる。圧力補償ポケット348は、スラストプレート340、342を通して受け取った加圧流体で充填でき、加圧流体はその後、封止のために、スラストプレート340、342をポンプリングギヤ320及びポンプピニオン318に対して押し付けるのを助ける。
【0030】
バックカバー346は更に、ポンプ端部取付カバー354によって軸方向に支持される。ポンプ端部取付カバー354は、ロータ114内への漏れを防止するためにリップシール356を含むことができる。ポンプ端部取付カバー354のキャビティ(この中にリップシール356が配置される)は、ドレン通路358を通してドレン口326に接続され、これにより、高圧流体がこのリップシールキャビティから排出される。
【0031】
図5に示したように、エンドカバー130は、ボルト孔360等の4つのボルト孔を含む。
図4及び5を参照すると、油圧ポンプ104の構成部品を位置合わせして積み重ねた後、エンドカバー130の1つ以上のボルト孔360に受承されるボルト362等のソケットヘッドボルトを用いて固定することによって、油圧ポンプ104を組み立てることができる。
【0032】
ギヤポンプは本明細書中では例示のための一例として用いられている。ベーンポンプ又はピストンポンプといった他のタイプのポンプを同様に使用してよいことを理解されたい。
【0033】
図1~2に戻ると、アセンブリ100は更に、メインハウジング108に連結されたコントローラハウジング134を含む。コントローラハウジング134は更に、ボルト138等の複数のボルトを介して、コントローラハウジングカバー136に連結される。この構成により、コントローラハウジング134及びコントローラハウジングカバー136はエンクロージャを形成し、この中にモータコントローラ106が配置される。
【0034】
図6は、ある例示的実装形態によるアセンブリ100の分解斜視図である。
図6に示したように、コントローラハウジング134及びコントローラハウジングカバー136は、モータコントローラ106を取り囲む。このようにして、モータコントローラ106はアセンブリ100内に埋め込まれ、アセンブリ100の中で電動モータ102及び油圧ポンプ104と一体化される。
【0035】
モータコントローラ106は、図示されているように、互いから軸方向にずらされたコントローラボード600及びインバータボード602を含むことができる。コントローラボード600及びインバータボード602は、プリント回路基板(printed circuit board:PCB)として構成できる。PCBは、電子部品(例えばマイクロプロセッサ、集積チップ(integrated chip:IC)、キャパシタ、抵抗器等)を機械的に支持し、またこれらを、導電性トラック、パッド、並びに非導電性基板のシート層の上に及び/又は上記シート層の間に積層された銅製の1つ以上のシート層からエッチングされた他の特徴部分を用いて、電気的に接続する。構成部品は一般にPCB上にはんだ付けされ、これによってこれらは電気的に接続され、かつPCBに機械的に固定される。
【0036】
図7Aは、ある例示的実装形態によるモータコントローラ106の斜視図であり、
図7Bはモータコントローラ106の別の斜視図であり、
図7Cは、コントローラボード600を伴わずにインバータボード602を示す、モータコントローラ106の部分斜視図である。
図7A~7Cを合わせて説明する。
【0037】
図示したように、インバータボード602をコントローラボード600から分離させて、支持棒700等の支持棒を介してコントローラボード600に連結できる。インバータボード602は、コントローラハウジングカバー136と接続されるインバータボード602の端面を横断して横方向に配置された、バスバー701等の複数のバスバーを含むことができる。バスバーは導電性であり、直流(DC)電力を受け取って、インバータボード602の反対側に取り付けられた構成部品に電力を供給するよう構成される。
【0038】
一例として、DC電力を、バッテリから、正のDCリード702及び負のDCリード704(例えば電気アース)等のリードを介して、インバータボード602に供給できる。この構成により、DC電力がバスバーに供給され、その後バスバーはこの電力を、インバータボード602の他の構成部品に伝送する。
【0039】
インバータボード602は、インバータボード602において受け取ったDC電力を、電動モータ102を駆動するためにステータ110の巻線に供給できる三相交流(alternating current:AC)電力に変換する、電力変換器として構成できる。
図7Cに示したように、インバータボード602は半導体スイッチングマトリックス706を含み、これはインバータボード602に取り付けられ、正のDCリード702に接続された正のDC端子及び負のDCリード704に接続された負のDC端子に電気的に接続されるよう構成される。インバータボード602は更に、インバータボード602とコントローラボード600との間の軸方向空間に配置された、キャパシタ707等の複数のキャパシタを含むことができる。
【0040】
半導体スイッチングマトリックス706は、DC‐三相電力変換を支援できる半導体スイッチングデバイスのいずれの構成を含むことができる。例えば、半導体スイッチングマトリックス706は、ブリッジ素子によって(DCリード702、704に連結された)DC入力端子に電気的に連結され、三相AC出力端子708、710、712に接続された、三相インバータを含むことができる。
【0041】
例えば、半導体スイッチングマトリックス706は、トランジスタ714(例えば絶縁ゲートバイポーラトランジスタ又は金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)等の複数のトランジスタを含むことができる。トランジスタは、例えばコントローラボード600に取り付けられたマイクロプロセッサによって供給されるパルス幅変調(pulse width modulated:PWM)信号によって、作動又は「オン(on)」状態と停止又は「オフ(off)」状態との間で切り替え可能である。マイクロプロセッサは1つ以上のプロセッサを含むことができる。プロセッサとしては、汎用プロセッサ(例えばINTEL(登録商標)シングルコアマイクロプロセッサ若しくはINTEL(登録商標)マルチコアマイクロプロセッサ)、又は専用プロセッサ(例えばデジタル信号プロセッサ、グラフィックスプロセッサ、若しくは特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit:ASIC)プロセッサ)が挙げられる。プロセッサは、コンピュータ可読プログラム命令(computer‐readable program instruction:CRPI)を実行するよう構成できる。プロセッサは、(例えばCRPIによって)ソフトウェアコーディングされた機能に加えて又はその代わりに、ハードコーディングされた機能を実行するよう構成できる。
【0042】
半導体スイッチングマトリックス706のトランジスタが、PWM信号によって特定の時点において作動又は停止すると、AC出力端子708、710、712においてAC電圧波形が生成される。従って、AC出力端子708、710、712における電圧波形は、電位DC+と電位DC-との間で変調されスイングするパルスである。その後、AC電圧波形は、電動モータ102を駆動するためにステータ110の巻線に提供される。
【0043】
モータコントローラ106は、複数のセンサを含むことができる。例えば、モータコントローラ106は、電動モータ102の動作温度及び/又は油圧ポンプ104を通って流れる作動液の流体温度を示す情報を提供するよう構成された温度センサを含むことができる。モータコントローラ106はまた、電動モータ102の巻線における電流レベルを示す情報を提供するホール効果電流センサを含むことができる。
【0044】
モータコントローラ106は更に、圧力センサと、ロータシャフト124又はポンプシャフト316の角度位置を示すセンサ情報を提供するよう構成された回転位置センサとを含むことができる。回転位置センサ情報を、電動モータ102を制御するマイクロプロセッサが使用することによって、ロータ114によって生成された速度及びトルクを閉ループフィードバック制御構成で制御できる。
【0045】
例えば、コントローラボード600は、ロータ114のスピンドル部120の近くに取り付けられることになるエンコーダ716を含むことができる。エンコーダ716は、ロータシャフト124に連結された、
図2に示した磁石718と相互作用するよう構成できる。エンコーダ716は、ロータシャフト124の角度位置又は運動を、電動モータ102を制御するマイクロプロセッサに供給されるアナログ又はデジタル出力信号に変換する、電気機械装置として構成される。
【0046】
モータコントローラ106は更に、コントローラボード600の導電性トラックに電気的に接続できる複数の導体ピンを収容する中空プラスチック構成部品として構成された、電気コネクタ720を含むことができる。メス型ピンを有するコネクタソケット(図示せず)は、導体ピンがコネクタソケットのメス型ピンに接触するように、電気コネクタ720に取り付けることができる。メス型ピンにワイヤを接続して、電気コネクタ720の導体ピンに信号を供給し、また電気コネクタ720の導体ピンから信号を受信できる。
【0047】
この構成により、モータコントローラ106は例えば、セントラルコントローラから、又は機械の入力装置(例えばホイールローダ、バックホウ、若しくは掘削機といった油圧式機械のジョイスティック)から、油圧ポンプ104によって提供されることになる所望の流体圧力及び流体流量を示すコマンド信号を受信できる。そしてモータコントローラ106は、ステータ110に供給されるAC電力を制御して、ポンプシャフト316において特定の速度及びトルクを生成して所望の流体圧力レベル及び流量を提供できる。モータコントローラ106はまた、電気コネクタ720を介して、(例えばエンコーダ716からの)センサ信号を別のセントラルコントローラに提供できる。
【0048】
コントローラボード600及びインバータボード602は、これらの間での信号及び電力の送受信、並びにアセンブリ100の他の構成部品又は外部構成部品への信号及び電力の伝送を容易にするための、複数の接合部を含むことができる。
【0049】
一例では、アセンブリ100は更に、アセンブリ100に連結されるよう構成された油圧マニホルドを含むことができる。例えば、マニホルドはエンドカバー130に取り付けることができ、マニホルドは複数のソレノイド弁及び流路を含むことができ、ここでソレノイド弁は、このような流路を通る流体流を制御する。よってマニホルドは、流入口322、流出口324、及びドレン口326への、並びにこれらからの、流体流を制御できる。
【0050】
コントローラボード600は、マニホルドのソレノイド弁のソレノイドコイルに供給される電流及び電圧信号を制御して、ソレノイド弁の作動、及び動作の状態を制御する、電子弁ドライバを含むことができる。このようにして、モータコントローラ106は更に、ソレノイド弁の動作及びマニホルドを通る流体流を制御するよう構成できる。
【0051】
動作中、アセンブリ100は、電動モータ102が油圧ポンプ104を駆動する場合、又は油圧ポンプ104が、電動モータ102を発電機として駆動する場合に使用できる。従って、油圧ポンプ104は、エネルギ回収及び油圧アクチュエータへの流体動力の供給が可能な4象限双方向ポンプとして動作できる油圧ポンプ/モータとして構成できる。
【0052】
図8は、ある例示的実装形態による、バッテリ802等の直流電力源、油圧アクチュエータ803、及びアセンブリ100を含むシステム800のブロック図である。バッテリ802は、モータコントローラ106に(例えばコントローラボード600及びインバータボード602に)電力を供給するよう構成できる。モータコントローラ106はその後、電動モータ102を制御して油圧ポンプ104を駆動する。油圧ポンプ104は、流入口322を通して流体リザーバ801から流体を引くことができ、また(例えば流出口324を介して)油圧アクチュエータ803に流体流を供給する、又は油圧アクチュエータ803から流体流を受け取ることによって、油圧アクチュエータ803の動作を制御できる。
【0053】
油圧アクチュエータ803はまた、流体リザーバに流体連結でき、これにより流体リザーバに戻り流体流を供給できる。油圧アクチュエータ803は例えば、直線運動できるピストンを中に有する油圧式リニアシリンダアクチュエータ、又は油圧モータとすることができる。
【0054】
上述したように、コントローラボード600は、1つ以上のプロセッサ、例えばコントローラボード600に連結されたメモリ805に記憶できるコンピュータ可読プログラム命令(CRPI)を実行するよう構成されたプロセッサ804を有することができる。メモリ805は、プロセッサ804によって実行されたときにシステム800に本明細書中に記載の動作を実行させるプログラムコードを記憶するために、例えばディスク又はハードドライブを含む記憶デバイス等の、いずれのタイプのコンピュータ可読媒体(非一時的媒体)又はメモリを含むことができる。コントローラボード600はまた、上述のエンコーダ716を含む1つ以上のセンサ806を含むことができる。
【0055】
上述したように、例示的実装形態では、マニホルドをエンドカバー130に連結でき、このようなマニホルドは、アセンブリ100に流入しアセンブリ100から流出する流体の流体流及び圧力レベルを制御する複数のソレノイド弁を含むことができる。これらの実装形態では、コントローラボード600は更に、コマンド信号を受信し、それに応答して電流又は電圧を生成して弁のソレノイドアクチュエータを作動させるよう構成された、電子弁駆動装置808(例えばアナログ弁駆動装置回路又はマイクロプロセッサベースのソレノイドコントローラ)を含んでよい。
【0056】
コントローラボード600は、ソレノイド弁のソレノイドコイル等の外部構成部品に電気的に接続されるよう構成された接合部810を有することができる。複数の例では、バッテリ802は、接合部810を介してコントローラボード600に電気的に連結できる。
【0057】
コントローラボード600は、インバータボード602の接合部814に電気的に連結されるよう構成された別の接合部812を有することができ、これにより、これらの間の信号の交換が容易になる。例えばインバータボード602は、半導体スイッチングマトリックス706を含むゲート駆動論理モジュール816を含むことができる。コントローラボード600は、接合部812、814を介して、上述のPWM信号をインバータボード602に送信することにより、ゲート駆動論理モジュール816を作動させて、電動モータ102を駆動する三相AC電力を生成することができる。
【0058】
他方では、インバータボード602は、電動モータ102のステータ110の巻線に供給される電流を測定するよう構成されたホール効果電流センサ818を含むことができる。インバータボード602は、接合部812、814を介して、ホール効果電流センサ818からコントローラボード600のプロセッサ804にセンサ情報を提供できる。そしてプロセッサ804は、電動モータ102を制御して、電動モータ102に連結された油圧ポンプ104から特定の流量を供給するための、閉ループフィードバック制御戦略を実装できる。
【0059】
システム800の構成部品は、互いに、及び/又は各システムに連結された他の構成部品と、相互接続された様式で動作するよう構成してよい。本明細書に記載のシステム800の動作又は構成部品のうちの1つ以上を、更なる動作的構成要素又は物理的構成部品に分割することも、より少ない動作的構成要素又は物理的構成部品へと結合することもできる。いくつかの更なる例では、更なる動作的構成要素及び/又は物理的構成部品を、
図8に示した例に追加してよい。また更に、システム800の構成部品又はモジュールのうちのいずれは、本明細書中に記載の論理動作を実装するための1つ以上の命令を含むプログラムコードを実行するよう構成された、プロセッサ(例えばマイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ等)を含んでよいか、又は上記プロセッサの形態で提供してよい。一例では、システム800は、他のシステム内に含まれていてよい。
【0060】
複数の構成のバリエーションを、
図1~8に示した例示的実装形態に実装できる。例えば、メインハウジング108を、別個のハウジングとして形成されたコントローラハウジング134に連結させるのではなく、両方のハウジングを結合して単一のハウジングとすることができる。別の例として、内接ギヤポンプを使用するのではなく、外接ギヤポンプ又は異なるポンプのタイプを使用できる。また、別の例示的実装形態では、遊星ギヤボックスを使用しなくてもよく、ロータをポンプシャフトに直接連結してよい。また、油圧ポンプ104はステータ110内に部分的に配置されているが、別の例示的実装形態では、ポンプ全体をステータの巻線内に配置してもよい。
【0061】
これらの例示的なバリエーションを、
図9に関して以下で説明する。しかしながら、
図1~8の実装形態及び
図9の実装形態の特定の態様を、多様な異なる構成で配置して組み合わせることができ、これらは全て本出願中で考慮されるものであることを理解されたい。更に、文脈がそうでないことを示唆していない限り、
図1~8の実装形態において例示した特徴は、
図9の実装形態において例示される特徴と組み合わせて用いてよい。
【0062】
図9は、ある例示的実装形態によるアセンブリ900の側面断面図である。アセンブリ900は、ポンプ‐モータチャンバ904及びコントローラチャンバ906を有するハウジング902を備える。ポンプ‐モータチャンバ904は、電動モータ908及び油圧ポンプ910を収容又は内包し、コントローラチャンバ906は、モータコントローラ912を収容又は内包する。
【0063】
この構成により、2つの別個のハウジング、即ちポンプ及び電動モータ用の1つのハウジング並びにモータコントローラ用のもう1つのハウジングではなく、ハウジング902は、電動モータ908及び油圧ポンプ910用のチャンバと、モータコントローラ912用の別のチャンバとを有する、(例えば単一のハウジング又は単一のブロックとして作製された)単体構造を有する。また、
図1~6の構成と同様に、電動モータ908、油圧ポンプ910、及びモータコントローラ912は、アセンブリ900内で一体化される。
【0064】
電動モータ908は、ハウジング902のポンプ‐モータチャンバ904内に固定的に位置決めされたステータ914を含む。ステータ914は、ステータ110と同様に構成され、電流がステータ914の巻線を通して供給されたときに磁場を生成する。ステータ914は、ステータ914がポンプ‐モータチャンバ904の略全長を通って軸方向に延在するという点で、ステータ110とは異なる。
【0065】
電動モータ908は更に、ステータ914内の環状空間内に位置決めされたロータ916を更に含む。ロータ916は、ステータ914が磁場を生成すると回転する。ロータ916は、筒部918及びスピンドル部920を有する。スピンドル部920は、ロータ916をハウジング902に対して回転させることができるように、ハウジング902内で支持軸受922を介して支持される。スペーサ924は、支持軸受922を互いから離す。別の例では、
図2の構成と同様に単一の軸受を使用する。
【0066】
油圧ポンプ910は、ハウジング902内において、全体が電動モータ102のステータ914内に取り付けられる。換言すると、油圧ポンプ910は、ステータ914と略同じ程度、軸方向に延在する。油圧ポンプ910はエンドカバー926に固定的に取り付けられ、このエンドカバー926は、ボルト927等の複数のボルトを介してハウジング902に連結される。
【0067】
油圧ポンプ910と油圧ポンプ104とは、これらが両方ともギヤポンプであるという点で類似している。しかしながら、油圧ポンプ910は、リングギヤ内に配置された外接ギヤを有する(油圧ポンプ104のような)内接ギヤポンプではなく、2つの外接ギヤを有する外接ギヤポンプである。
【0068】
特に油圧ポンプ910は、ポンプハウジング932内に配置されたポンプピニオン928(例えば外周面に形成された外歯を有する外接平歯車)及びポンプ外接ギヤ930(例えば外周面に形成された外歯を有する外接平歯車)を有し、従ってポンプピニオン928の外歯は、ポンプ外接ギヤ930の外歯と係合するよう構成される。ポンプピニオン928は駆動シャフト934に取り付けられるか、又は駆動シャフト934一体部分であり、ポンプ外接ギヤ930は、駆動シャフト934に対して平行に配置されたポンプシャフト936に取り付けられる。駆動シャフト934は、ロータ916の回転運動が駆動シャフト934に伝送されるように、スピンドル部920の内スプライン937と係合する外スプラインを有する。
【0069】
ポンプ外接ギヤ930及びポンプピニオン928は、これらの両側で、スラストプレート938、940によって軸方向に支持される。スラストプレート340、342と同様に、スラストプレート938、940は、漏れを低減する軸方向補償装置として動作し、油圧ポンプ910の効率を改善できる。
【0070】
スラストプレート938、940は、フロントカバー942及びバックカバー944によって支持される。フロントカバー344及びバックカバー346と同様に、フロントカバー942及びバックカバー944は圧力補償ポケットを有することができ、これはスラストプレート938、940を通して受け取った加圧流体で充填され、続いて加圧流体は、封止のために、スラストプレート938、940をポンプ外接ギヤ930及びポンプピニオン928に対して押し付けるのを助ける。
【0071】
アセンブリ900は更に、ボルト948等の複数のボルトを介してハウジング902に連結されたハウジングカバー946を含む。この構成により、ハウジング902及びハウジングカバー946はエンクロージャ、即ちコントローラチャンバ906を形成し、この中にモータコントローラ912が配置される。このようにして、モータコントローラ912はアセンブリ900内に埋め込まれ、アセンブリ900の中で電動モータ908及び油圧ポンプ910と一体化される。
【0072】
モータコントローラ912は、図示されているように、互いから軸方向にずらされたコントローラボード950及びインバータボード952を含むことができる。コントローラボード950及びインバータボード952は、PCBとして構成でき、上述のコントローラボード600及びインバータボード602と同様の様式で動作できる。
【0073】
アセンブリ900は更に、ロータ916のスピンドル部920の近くに取り付けられたエンコーダ954を含む。エンコーダ716と同様に、エンコーダ954は、ロータ916の角度位置又は運動を、電動モータ908を制御するマイクロプロセッサに供給されるアナログ又はデジタル出力信号に変換する、電気機械装置として構成できる。他のタイプの角度位置センサを使用してもよい。
【0074】
以上の「発明を実施するための形態」は、添付の図面を参照して、本開示のシステムの様々な特徴及び動作を記載している。本明細書中に記載される例示的実装形態は、限定を意図したものではない。本開示のシステムの特定の態様は、多様な異なる構成で配置して組み合わせることができ、これらは全て本出願中で考慮されるものである。
【0075】
更に、文脈がそうでないことを示唆していない限り、各図に示した複数の特徴を互いに組み合わせて用いてよい。よって、図面は全体として、1つ以上の総体的な実装形態の構成要素の態様として検討されるものとし、例示された特徴が各実装形態に必要であるとは限らないことを理解されたい。
【0076】
更に、本明細書又は特許請求の範囲における要素、ブロック、又はステップのいずれの列挙は、明確性を目的としたものである。よって、このような列挙は、これらの要素、ブロック、若しくはステップが特定の構成の通りであること、又は特定の順序で実施されることを要求する、又は暗示すると解釈されるべきではない。
【0077】
更にデバイス又はシステムは、図面に提示された機能を実行するために使用又は構成できる。いくつかの例では、デバイス及び/又はシステムの構成部品を、これらの機能を実行するように構成してよく、従ってこれらの構成部品は、実際にこのような実行を実現できるように(ハードウェア及び/又はソフトウェアによって)構成及び構造化される。他の例では、デバイス及び/又はシステムの構成部品は、例えばある特定の様式で動作した場合に、機能の実行に適合される、機能の実行が可能である、又は機能の実行に好適となるように、配置してよい。
【0078】
用語「略(substantially)」は、記載されている特性、パラメータ、又は値が必ずしも厳密に達成されず、例えば公差、測定誤差、測定精度の限界、及び当業者に公知の他の因子を含む偏差又はばらつきが、上記特性が提供しようとしている効果を排除しないような量で発生し得ることを意味する。
【0079】
本明細書中で記載される配置は、例示のみを目的としたものである。従って、当業者は、他の配置並びに他の要素(例えば機械、インタフェース、操作、順序、及び操作のグループ化等)を代わりに使用でき、所望の結果に応じて一部の要素を完全に省略してよいことを理解するであろう。更に、記載される要素の多くは、個別の若しくは分散された構成部品として、又はいずれの好適な組み合わせ及び位置において他の構成部品と共に実装できる、機能エンティティである。
【0080】
様々な態様及び実装形態を本明細書中で開示したが、当業者には他の態様及び実装形態が明らかとなるであろう。本明細書中で開示される様々な態様及び実装形態は、例示を目的としたものであり、限定を意図したものではなく、真の範囲は、以下の特許請求の範囲と、特許請求の範囲が権利を与えられた均等物の全範囲とによって示される。また、本明細書中で使用される術語は、特定の実装形態を説明することのみを目的としており、限定を意図したものではない。