(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】飛行体
(51)【国際特許分類】
B64D 33/10 20060101AFI20230221BHJP
B64C 27/08 20230101ALI20230221BHJP
B64D 27/04 20060101ALI20230221BHJP
B64D 27/24 20060101ALI20230221BHJP
B64U 10/16 20230101ALI20230221BHJP
B64U 20/80 20230101ALI20230221BHJP
B64U 20/96 20230101ALI20230221BHJP
【FI】
B64D33/10
B64C27/08
B64D27/04
B64D27/24
B64U10/16
B64U20/80
B64U20/96
(21)【出願番号】P 2022535632
(86)(22)【出願日】2021-12-06
(86)【国際出願番号】 JP2021044743
(87)【国際公開番号】W WO2022138115
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2022-06-10
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2020/048204
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(74)【代理人】
【識別番号】100085213
【氏名又は名称】鳥居 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100196623
【氏名又は名称】松下 計介
(72)【発明者】
【氏名】田中 浩一
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-183210(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106043680(CN,A)
【文献】中国実用新案第209650540(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 33/10
B64D 27/24
B64D 27/04
B64C 27/08
B64U 10/16
B64U 20/80
B64U 20/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体フレームと、
電動モータ及び前記電動モータによって回転されるプロペラを含み、揚力を発生する複数のロータと、
前記電動モータに電力を供給する発電機と、
前記発電機を駆動する発電機用エンジンと、
前記電動モータ及び前記発電機用エンジンを制御する飛行体制御装置と、
前記発電機及び前記発電機用エンジンの少なくとも一つを冷却し且つ前記ロータの回転軸線の方向に見て、前記プロペラの回転領域の外に位置するラジエータを有する冷却部と、
前記ラジエータを冷却するファンと、
を有する飛行体であって、
前記ファンは、
鉛直方向において前記プロペラよりも上方に位置し、
前記冷却部は、
前記ラジエータを通過した前記ファンの排風が前記飛行体制御装置に向かって流れずに前記発電機用エンジンに向かって流れるように構成される、
飛行体。
【請求項2】
請求項1に記載の飛行体において、
前記ラジエータは、
前記機体フレームに支持される、
飛行体。
【請求項3】
請求項1または2に記載の飛行体において、
前記発電機用エンジン、前記ラジエータ及び前記飛行体制御装置の少なくとも一つは、
前記機体フレームから伝わる振動及び前記機体フレームに伝わる振動を抑制する振動抑制部材を介して前記機体フレームに支持される、
飛行体。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の飛行体において、
前記冷却部は、前記ラジエータを通過した前記ファンの排風を前記発電機用エンジンに導く排風路を構成する壁部品を有する、
飛行体。
【請求項5】
請求項4に記載の飛行体において、
前記壁部品の少なくとも一部は、樹脂によって構成されている、
飛行体。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一つに記載の飛行体において、
前記ラジエータは、
前記発電機用エンジンを冷却する第1ラジエータと前記発電機を冷却する第2ラジエータとの少なくとも一つを含み、
前記ファンは、
前記第1ラジエータを冷却する第1ファンと前記第2ラジエータを冷却する第2ファンとの少なくとも一つを含む、
飛行体。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の飛行体において、
前記ラジエータは、
前記飛行体制御装置と前記発電機用エンジンとの間であって、鉛直方向において前記プロペラよりも上方に位置する、
飛行体。
【請求項8】
請求項7に記載の飛行体において、
前記ラジエータは、
前記飛行体制御装置から前記発電機用エンジンに向かうにつれて前記発電機用エンジンから離隔する方向に傾斜して位置する、
飛行体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行体に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のロータを有する電動式のマルチコプター(飛行体)が知られている。マルチコプターは、航続距離を延ばすためにエネルギー密度の高い動力源を搭載することが望ましい。そこで、電動式のマルチコプターにエンジン発電機が搭載されたマルチコプターが知られている。特許文献1に開示されているマルチコプターは、機体本体部(機体フレーム)と、プロペラと電動モータとを含む8台のロータと、バッテリーと、発電機と、発電機用エンジンと、冷却ファンと、制御部(飛行体制御装置)を有している。前記機体フレームは、前記バッテリー、前記発電機及び前記発電機用エンジンが搭載されている前記機体フレームの本体部分と、前記ロータが積載されている8本のアーム部分とを備えている。特許文献1に開示されているマルチコプターは、前記発電機用エンジンによって前記発電機を駆動し、前記バッテリーを充電する。前記マルチコプターは、前記エンジン発電機を有することにより、長時間飛行を実現できる。
【0003】
前記マルチコプターの3軸方向の姿勢角、加速度等をリアルタイムで測定する前記飛行体制御装置は、外部からの制御信号に従って前記8台のロータの電動モータの出力をそれぞれ独立して制御する。前記マルチコプターの操縦者は、前記飛行体制御装置よって前記8台のロータを容易に連動して制御することができる。電子部品によって構成されている飛行体制御装置は、十分に性能を発揮させるために、振動対策及び熱対策を施すことが望ましい。エンジン発電機が搭載されるマルチコプターでは、エンジン発電機が性能を発揮し、前記マルチコプターの操作性を向上させるために、前記発電機用エンジンから発生する熱及び振動の抑制が求められる。
【0004】
特許文献1に記載のマルチコプターは、前記発電機と発電機用エンジンとを冷却ファンによって冷却している。また、特許文献2には、発電機と発電機用エンジンとの冷却効果を向上させるためにラジエータを有するマルチコプターが開示されている。特許文献2に開示されるマルチコプターは、前記発電機用エンジンの温度を低下させるラジエータと、ラジエータ冷却用ファンとを更に有している。特許文献2に開示されるマルチコプターは、前記ラジエータを搭載することにより、冷却ファンによる前記エンジン発電機の冷却よりも前記エンジン発電機を効率よく冷却することができる。
【0005】
また、非特許文献1には、エンジンの駆動力でプロペラを回転駆動するエンジン駆動式のマルチコプターが開示されている。非特許文献1に記載のマルチコプターは、機体フレームと、2つの推進用プロペラと、4つの姿勢制御用プロペラと、推進用エンジンと、ラジエータと、制御部とを有している。非特許文献1に記載のマルチコプターは、推進用エンジンをラジエータによって冷却している。前記ラジエータは、推進用プロペラの吸引作用によって生じる空気の流れによって冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2020-183210号公報
【文献】韓国公開特許10-2019-0084835号公報
【非特許文献】
【0007】
【文献】株式会社IHIエアロスペース、“ハイブリッドドローン i-Gryphon”[online]、[令和3年11月19日検索]、インターネット<URL:https://www.ihi.co.jp/ia/products/defense/I―Gryphon/index.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載のマルチコプターは、冷却ファンの作用による空気の流れによって発電機及び発電機用エンジンを冷却している。このため、特許文献1に記載のマルチコプターは、周囲の環境、飛行状態等によって前記発電機及び発電機用エンジンの冷却効果が変動する。また、特許文献1に記載のマルチコプターは、前記発電機の軸部に連結された前記冷却ファンが前記機体本体部と前記発電機との間に位置している。従って、特許文献1に記載のマルチコプターは、前記機体本体部に対して、前記発電機及び発電機用エンジンを冷却するために必要な空気を前記冷却ファンが吸引可能な間隔を空けて、前記冷却ファン、前記発電機及び前記発電機用エンジンが位置している。
【0009】
特許文献2に記載のマルチコプターは、ラジエータによって発電機及び発電機用エンジンを冷却している。このため、特許文献2に記載のマルチコプターは、周囲の環境、飛行状態等による前記発電機及び前記発電機用エンジンの冷却効果の変動が少ない。特許文献2に記載のマルチコプターは、前記ラジエータ及び前記ラジエータ冷却用ファンが本体(機体フレーム)と前記発電機用エンジンとの間に位置している。前記ラジエータ用冷却ファンは、前記ラジエータを冷却するために必要な空気を本体のアームの延伸方向から吸引可能な姿勢で位置している。つまり、特許文献2に記載のマルチコプターでは、前記本体に対して、前記ラジエータ用冷却ファンが前記アームの延伸方向から空気を吸引可能な間隔を空けて、前記発電機及び前記発電機用エンジンが位置している。
【0010】
非特許文献1に記載のマルチコプターは、推進用プロペラによる空気の流れを利用して前記ラジエータを冷却している。よって、非特許文献1に記載のマルチコプターは、前記ラジエータを冷却するファンを有していない。非特許文献1に記載のマルチコプターは、前記推進用プロペラによる空気の流れの一部が前記ラジエータを通過するように、前記推進用プロペラよりも上流側に前記ラジエータ及び推進用エンジンが位置している。この際、前記ラジエータは、前記推進用プロペラの推進力を抑制しないように前記推進用プロペラによる空気の流れ方向に放熱面が沿って位置している。
【0011】
上述のような飛行体において、発電機用エンジンの熱及び振動の対策として、発電機用エンジンによる熱及び振動の影響が小さい位置に飛行体制御装置を搭載し、且つ冷却用の空気を十分に取り込み可能な状態で冷却ファン、ラジエータを搭載する場合、飛行体の機体フレームが大型化し、前記飛行体の重量が増加する。前記飛行体は、重量の増加によりペイロードが減少するだけでなく航続距離が短くなる。よって、飛行体制御装置の性能及び前記エンジン発電機の性能を満足しつつ、機体フレームを小型化及び軽量化することができる飛行体が求められている。
【0012】
本発明は、飛行体制御装置の性能及びエンジン発電機の性能を満足しつつ、前記機体フレームを小型化及び軽量化することができる飛行体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、飛行体制御装置の性能及びエンジン発電機の性能を満足しつつ、前記機体フレームを小型化及び軽量化することができる飛行体の構成について検討した。本発明者らは、鋭意検討の結果、以下のような構成に想到した。
【0014】
本発明の一実施形態に係る飛行体は、機体フレームと、電動モータ及び前記電動モータによって回転されるプロペラを含み、揚力を発生する複数のロータと、前記電動モータに電力を供給する発電機と、前記発電機を駆動する発電機用エンジンと、前記電動モータ及び前記発電機用エンジンを制御する飛行体制御装置と、前記発電機及び前記発電機用エンジンの少なくとも一つを冷却し且つ前記ロータの回転軸線の方向に見て、前記プロペラの回転領域の外に位置するラジエータを有する冷却部と、前記ラジエータを冷却するファンと、を有する飛行体である。
【0015】
前記ファンは、鉛直方向において前記プロペラよりも上方に位置する。前記冷却部は、前記ラジエータを通過した前記ファンの排風が前記飛行体制御装置に向かって流れずに前記発電機用エンジンに向かって流れるように構成される。
【0016】
上述のように、前記飛行体は、前記発電機用エンジンの性能を発揮させるために、前記発電機及び前記発電機用エンジンを冷却するラジエータを有している。前記ラジエータは、前記ロータのプロペラが回転することにより発生する空気の流れ(ダウンウォッシュ)によって冷却されるのではなく、前記ラジエータを冷却するファンからの送風によって冷却される。また、前記ファンは、鉛直方向において前記プロペラよりも上方に位置する。前記プロペラの上方の空間は、前記プロペラの作用によって下向きの空気の流れが生じている。前記プロペラ上方の空間において、前記プロペラの作用によって生じる下方向の空気の流れは、前記ファンの作用による下方向の空気の流れと略同一の方向である。よって、前記ファンの作用によって生じる空気の流れに加え、前記プロペラの作用によって生じる空気の流れによってラジエータの冷却効果が向上する。よって、前記ラジエータは、前記機体フレームの任意の位置において支持される。従って、前記ラジエータは、前記飛行体における配置の自由度が向上する。
【0017】
また、前記ファン及び前記ラジエータは、前記ラジエータを通過して加熱された前記ファンの排風が前記飛行体制御装置に向かって流れずに前記発電機用エンジンに向かって流れるように位置する。よって、前記飛行体制御装置は、前記排風による昇温が抑制される。また、前記飛行体は、前記ラジエータによって冷却されている前記発電機用エンジンからの輻射熱の影響が及ばない位置まで、前記飛行体制御装置を前記発電機用エンジンに近づけることができる。つまり、前記飛行体は、前記飛行体制御装置、前記ラジエータ及び前記発電機用エンジンが前記機体フレームにおいてコンパクトに位置している。これにより、前記飛行体制御装置の性能及び前記エンジン発電機の性能を満足しつつ、前記機体フレームを小型化及び軽量化を可能な飛行体を実現できる。
【0018】
また、前記ファンは、排風を前記発電機用エンジンに向けて流すために、前記ファンの回転軸線が前記発電機用エンジンに向かって延びるように位置している。前記ファンは、前記回転軸線が前記発電機用エンジン以外に向かって延びている場合に比べて前記発電機用エンジンの近くに位置している。従って、前記機体フレームに対する前記ファンの配置の自由度が向上する。前記発電機用エンジンと干渉しない位置まで、前記ファンを前記発電機用エンジンに近づけることができる。これにより、前記飛行体制御装置の性能及び前記エンジン発電機の性能を満足しつつ、前記機体フレームを小型化及び軽量化を可能な飛行体を実現できる。
【0019】
他の観点によれば、本発明の飛行体は、以下の構成を含むことが好ましい。前記ラジエータは、前記機体フレームに支持される。
【0020】
上述の構成により、前記ラジエータを、前記発電機用エンジンの位置に影響を受けることなく前記機体フレームに対して自由に配置できる。よって、前記機体フレームに対する前記ラジエータの配置の自由度を向上できる。これにより、前記ファンと前記発電機用エンジンとが干渉しない位置まで、前記ラジエータを前記発電機用エンジンに近づけて位置することができる。つまり、前記飛行体は、前記飛行体制御装置、前記ラジエータ及び前記発電機用エンジンが前記機体フレームにおいてコンパクトに位置している。したがって、前記飛行体制御装置の性能及び前記エンジン発電機の性能を満足しつつ、前記機体フレームを小型化及び軽量化可能な飛行体を実現できる。
【0021】
他の観点によれば、本発明の飛行体は、以下の構成を含むことが好ましい。前記発電機用エンジン、前記ラジエータ及び前記飛行体制御装置の少なくとも一つは、前記機体フレームから伝わる振動及び前記機体フレームに伝わる振動を抑制する振動抑制部材を介して前記機体フレームに支持される。
【0022】
上述の構成により、前記振動抑制部材によって、前記発電機用エンジンから前記ラジエータ及び前記飛行体制御装置への振動の伝達が抑制される。従って、前記ラジエータ及び前記飛行体制御装置を、前記発電機用エンジンで発生する振動に影響を受けることなく、前記機体フレームに対して自由に位置することができる。よって、前記機体フレームに対する前記ラジエータ及び前記飛行体制御装置の配置の自由度を向上できる。これにより、前記ファンと前記発電機用エンジンとが干渉しない位置まで、前記ラジエータを前記発電機用エンジンに近づけて位置することができる。したがって、前記飛行体制御装置の性能及び前記エンジン発電機の性能を満足しつつ、前記機体フレームを小型化及び軽量化可能な飛行体を実現できる。
【0023】
他の観点によれば、本発明の飛行体は、以下の構成を含むことが好ましい。前記ラジエータを通過した前記ファンの排風を前記発電機用エンジンに導く排風路を構成する壁部品を有する。
【0024】
上述の構成により、前記ファンの排風は、前記排風路によって前記発電機用エンジンまで導かれる。つまり、前記ファンの排風は、前記ファンの回転軸線が前記発電機用エンジンに向くように前記ファンが位置していなくても、前記排風路によって前記飛行体制御装置に向かって流れずに前記発電機用エンジンに向かって流れる。従って、前記機体フレームに対する前記ラジエータ及び前記ファンの配置の自由度が向上する。これにより、前記飛行体制御装置の性能及び前記エンジン発電機の性能を満足しつつ、前記機体フレームを小型化及び軽量化可能な飛行体を実現できる。
【0025】
他の観点によれば、本発明の飛行体は、以下の構成を含むことが好ましい。前記壁部品の少なくとも一部は、樹脂によって構成されている。
【0026】
上述の構成により、前記飛行体は、前記排風路を有している場合でも、重量の増加が抑制される。これにより、前記飛行体制御装置の性能及び前記エンジン発電機の性能を満足しつつ、前記機体フレームを小型化及び軽量化可能な飛行体を実現できる。
【0027】
他の観点によれば、本発明の飛行体は、以下の構成を含むことが好ましい。前記ラジエータは、前記発電機用エンジンを冷却する第1ラジエータと前記発電機を冷却する第2ラジエータとの少なくとも一つを含む。前記ファンは、前記第1ラジエータを冷却する第1ファンと前記第2ラジエータを冷却する第2ファンとの少なくとも一つを含む。
【0028】
上述の構成により、発熱量の異なる前記発電機用エンジン及び前記発電機に対してそれぞれ適切な能力を有するラジエータが用いられる。前記第1ラジエータ及び前記第2ラジエータは、前記発電機用エンジン及び前記発電機を合わせて冷却するラジエータよりも小さくなるので、前記機体フレームに対する前記ラジエータの配置の自由度が向上する。つまり、前記飛行体は、前記飛行体制御装置、前記ラジエータ及び前記発電機用エンジンが前記機体フレームにおいてコンパクトに位置している。これにより、前記飛行体制御装置の性能及び前記エンジン発電機の性能を満足しつつ、前記機体フレームを小型化及び軽量化可能な飛行体を実現できる。
【0029】
他の観点によれば、本発明の飛行体は、以下の構成を含むことが好ましい。前記ラジエータは、前記飛行体制御装置と前記発電機用エンジンとの間であって、鉛直方向において前記プロペラよりも上方に位置する。
【0030】
上述の構成により、前記ファンは、前記飛行体制御装置の周辺の空気を含む空気を、前記ラジエータを通過して、前記飛行体制御装置に向かって流れずに前記発電機用エンジンに向かって流れるように吸入及び排出する。これにより、前記ラジエータを通過した空気が、前記飛行体制御装置に向かって流れるのを抑制できる。また、前記ファン及び前記ラジエータは、鉛直方向において前記プロペラよりも上方に位置する。前記プロペラの上方の空間は、前記プロペラの作用によって下向きの空気の流れが生じている。よって、前記プロペラの作用と前記ファンの作用によって生じる空気の流れによってラジエータの冷却効果が向上する。
【0031】
また、前記飛行体制御装置と前記発電機用エンジンとの間に前記ラジエータを位置することにより、前記飛行体制御装置を、前記ラジエータによって冷却されている前記発電機用エンジンからの輻射熱の影響が及ばない位置まで前記発電機用エンジンに近づけることができる。これにより、前記飛行体制御装置の性能及び前記エンジン発電機の性能を満足しつつ、前記機体フレームを小型化及び軽量化可能な飛行体を実現できる。
【0032】
他の観点によれば、本発明の飛行体は、以下の構成を含むことが好ましい。前記ラジエータは、前記飛行体を前記飛行体制御装置と前記発電機用エンジンとが並ぶ方向に直交する方向に見て、前記飛行体制御装置から前記発電機用エンジンに向かうにつれて前記発電機用エンジンから離隔するように傾いて位置する。
【0033】
上述の構成により、前記機体フレームにおける前記ラジエータを支持可能な範囲が拡大する。従って、前記機体フレームに対する前記ラジエータの配置の自由度が向上する。つまり、前記飛行体は、コンパクトに前記ラジエータが位置している。これにより、前記飛行体は、前記飛行体制御装置の性能及び前記エンジン発電機の性能を満足しつつ、前記機体フレームを小型化及び軽量化することができる。
【0034】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施例のみを定義する目的で使用されるのであって、前記専門用語によって発明を制限する意図はない。
【0035】
本明細書で使用される「及び/または」は、一つまたは複数の関連して列挙された構成物のすべての組み合わせを含む。
【0036】
本明細書において、「含む、備える(including)」「含む、備える(comprising)」または「有する(having)」及びそれらの変形の使用は、記載された特徴、工程、操作、要素、成分、及び/または、それらの等価物の存在を特定するが、ステップ、動作、要素、コンポーネント、及び/または、それらのグループのうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0037】
本明細書において、「取り付けられた」、「接続された」、「結合された」、及び/または、それらの等価物は、広義の意味で使用され、“直接的及び間接的な”取り付け、接続及び結合の両方を包含する。さらに、「接続された」及び「結合された」は、物理的または機械的な接続または結合に限定されず、直接的または間接的な電気的な接続または結合を含むことができる。
【0038】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
【0039】
一般的に使用される辞書に定義された用語は、関連する技術及び本開示の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されていない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されることはない。
【0040】
本発明の説明においては、いくつもの技術および工程が開示されていると理解される。これらの各々は、個別の利益を有し、他に開示された技術の1つ以上、または、場合によっては全てと共に使用することもできる。
【0041】
したがって、明確にするために、本発明の説明では、不要に個々のステップの可能な組み合わせをすべて繰り返すことを控える。しかしながら、本明細書及び特許請求の範囲は、そのような組み合わせがすべて本発明の範囲内であることを理解して読まれるべきである。
【0042】
本明細書では、本発明に係る飛行体の実施形態について説明する。
【0043】
以下の説明では、本発明の完全な理解を提供するために多数の具体的な例を述べる。しかしながら、当業者は、これらの具体的な例がなくても本発明を実施できることが明らかである。
【0044】
よって、以下の開示は、本発明の例示として考慮されるべきであり、本発明を以下の図面または説明によって示される特定の実施形態に限定することを意図するものではない。
【0045】
[飛行体]
本明細書において、飛行体とは、複数のロータを有するマルチコプターを意味する。前記複数のロータの回転軸は、略鉛直方向に向けられている。前記複数のロータは、電動モータによって駆動される。また、前記飛行体は、少なくともエンジン及び発電機を搭載し、前記発電機が発電した電力を前記電動モータに供給可能に構成されている。
【0046】
[エンジン発電機ユニット]
本明細書において、エンジン発電機ユニットとは、ディーゼルエンジン、ガソリンエンジンなどの各種のレシプロエンジンである発電機用エンジンによって、ダイナモを駆動して発電する装置である。エンジン発電機ユニットは、外部からの電力発電要求に応じて、発電機用エンジンの回転数及び出力を制御して発電する。前記エンジン発電機ユニットは、発電機用エンジンの駆動力を前記発電機以外に供給していない。例えば、前記エンジン発電機ユニットは、マルチコプターのプロペラを回転させるための動力を出力しない。
【0047】
[飛行体制御装置]
本明細書において、飛行体制御装置とは、前記飛行体の位置、速度、姿勢、移動方向等を制御する装置である。前記飛行体制御装置は、例えばコンピュータである。前記制御装置は、前記飛行体の姿勢等を制御するために用いられる慣性計測装置(IMU:inertial measurement unit)を含む。慣性計測装置は、例えば、角速度と加速度を検出する。
【0048】
[振動抑制部材]
本明細書において、振動抑制部材とは、機体フレームから前記飛行体制御装置に伝達される運動エネルギー(振動)を減衰させる。また、前記発電機用エンジンから前記機体フレームに伝達される運動エネルギー(振動)を減衰させる。
【0049】
[冷却部]
本明細書において、冷却部とは、前記発電機、前記発電機用エンジン及び前記飛行体制御装置の少なくとも一つを冷却する熱交換器と、該熱交換器を通過した機体を所定の方向に導く排風路とを含む。熱交換器は、例えばラジエータである。排風路は、例えばダクトである。
【0050】
[並ぶ方向]
本明細書において、並ぶ方向とは、2つの物体が並んで位置している場合に、前記2つの物体が重複して見える方向をいう。
【発明の効果】
【0051】
本発明の一実施形態によれば、飛行体制御装置の性能及びエンジン発電機の性能を満足しつつ、前記機体フレームの小型化及び軽量化を可能な飛行体を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態1に係る飛行体の平面図を示す。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態1に係る飛行体の側面図を示す。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態1に係る飛行体の部分側面図を示す。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態1に係る飛行体の部分平面図を示す。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態1に係る飛行体においてラジエータを通過する空気の流れを表す部分側面図を示す。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態1に係る飛行体においてプロペラとファンの作用による空気の流れを表す模式図を示す。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態2に係る飛行体においてラジエータを通過する空気の流れを表す部分側面図を示す。
【0053】
以下で、各実施形態について、図面を参照しながら説明する。各図において、同一部分には同一の符号を付して、その同一部分の説明は繰り返さない。なお、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0054】
以下、飛行体1における本体部の軸線方向を「上下方向」とする。また、前記本体部の軸線は、鉛直方向に延びているものとする。飛行体1における本体部の軸線と直交する方向を「径方向」とする。
【0055】
[実施形態1]
<飛行体の全体構成>
図1から
図4を用いて本発明の実施形態1に係る飛行体1について説明する。
図1は、飛行体1の平面図である。
図2は、飛行体1の側面図である。
図3は、飛行体1の本体部を示す部分側面図である。
図4は、飛行体1の本体部を示す部分平面図である。
【0056】
図1から
図3に示すように、本発明の実施形態1に係る飛行体1は、複数のロータ22によって飛行するマルチコプターである。飛行体1は、無線による遠隔操縦及び各種センサによる自立飛行が可能に構成されている。飛行体1は、機体フレーム2、エンジン発電機ユニット9、バッテリー21、6つのロータ22及び飛行体制御装置25を備える。
【0057】
機体フレーム2は、飛行体1を構成するエンジン発電機ユニット9、バッテリー21、ロータ22及び飛行体制御装置25を支持する。機体フレーム2は、本体部3、飛行体制御装置支持部4、アーム部7を備える。機体フレーム2は、例えば、アルミニウム合金製のパイプ材によって構成されている。
【0058】
本体部3は、アーム部7、エンジン発電機ユニット9、バッテリー21及び飛行体制御装置25を支持する部分である。本体部3は、2つの六角形の環状部材の頂点同士が互いに棒状部材によって連結された枠体である。つまり、本体部3は、飛行体1を上下方向に見て、2つの六角形の環状部材の中心を通る中心線を軸線Pとして軸線P方向に延びる柱状の枠体である。本体部3には、飛行体制御装置支持部4、アーム部7が固定されている。本体部3の軸線Pが延びる方向を上下方向として2つの環状部材のうち上に位置する環状部材には、飛行体制御装置支持部4が位置している。本体部3の一方の環状部材及び他方の環状部材の各頂点には、アーム部7がそれぞれ接続されている。
【0059】
飛行体制御装置支持部4は、飛行体制御装置25を支持する。飛行体制御装置支持部4は、本体部3の2つの環状部材のうち上に位置する環状部材に取り付けられている。飛行体制御装置支持部4は、飛行体制御装置25を取り付けるための取付板5と、取付板5を支持する複数の支持脚6とを有する。取付板5は、複数の支持脚6によって、本体部3に対して支持されている。取付板5は、本体部3の上方に軸線Pと交差する位置に位置している。つまり、取付板5は、本体部3の軸線Pを中心として放射状に径方向且つ下方に延びる複数の支持脚6によって支持されている。取付板5は、例えば断熱材によって構成されている。
【0060】
アーム部7は、ロータ22を支持する。アーム部7は、棒状部材によって構成される。アーム部7は、本体部3における環状部材の各頂点に対して径方向に延びるように設けられている。つまり、複数のアーム部7は、軸線Pを中心として放射状に径方向に延びている。アーム部7は、径方向中央部分に位置するロータ22を有している。
【0061】
エンジン発電機ユニット9は、エンジンを動力源とする発電装置である。エンジン発電機ユニット9は、発電機10、発電機用制御装置(図示省略)、発電機用エンジン12、冷却部8、第1ファン19、第2ファン20、サイレンサー(図示省略)、燃料タンク(図示省略)、制御装置(図示省略)を有する。エンジン発電機ユニット9において、発電機10、発電機用エンジン12及び燃料タンクは、本体部3によって支持されている。サイレンサーは、発電機用エンジン12に支持されている。
【0062】
発電機10は、外部からの動力によって発電する。発電機10は、例えば交流発電機である。発電機10は、発電機用エンジン12のクランク軸に連結されている。発電機10は、発電機用エンジン12を動力源として発電する。発電機用制御装置は、発電機10から出力される交流電流を直流電流に変換する。発電機用制御装置は、発電機10の近傍に位置している。
【0063】
発電機用エンジン12は、発電機10を駆動する動力源である。発電機用エンジン12の前記クランク軸(出力軸)には、発電機10が連結されている。発電機用エンジン12は、前記クランク軸の回転運動によって発電機10を駆動する。
【0064】
発電機用エンジン12は、例えば、水冷のレシプロエンジンである。発電機用エンジン12は、発電機用エンジン12を制御する制御装置(図示省略)を含む。発電機用エンジン12は、本体部3に搭載されている。発電機用エンジン12は、機体フレーム2に伝わる振動を抑制する振動抑制部材であるエンジン用マウント部材12aを介して、機体フレーム2に支持されている。エンジン用マウント部材12aは、例えば円筒状のゴムマウント部材である。また、発電機用エンジン12は、排気音を抑制するサイレンサー(図示省略)、燃料タンク(図示省略)等、発電機用エンジン12が機能を発揮するために必要な装置を有している。
【0065】
発電機用エンジン12の制御装置、発電機10の制御装置である発電機用制御装置は、外部からの電力指令、発電量及びバッテリー21の残量等の情報に基づいて発電機10及び発電機用エンジン12を制御する。
【0066】
冷却部8は、発電機10及び発電機用エンジン12を冷却する。冷却部8は、第1ラジエータ14、第2ラジエータ15、第1ダクト17及び第2ダクト18を有する。
【0067】
第1ラジエータ14は、熱交換器である。第1ラジエータ14は、飛行体制御装置支持部4によって支持されている。第1ラジエータ14の熱交換を行う放熱フィンが集約されている部分において空気が通過する領域(以下、単に「第1ラジエータ14の放熱面」)は、本体部3の軸線Pに対して略直交している。第1ラジエータ14と発電機用エンジン12のウォータージャケット(図示省略)とは、ラジエータホース13によって接続されている。ラジエータホース13は、機体フレーム2を構成しているパイプ材に沿って位置している。第1ラジエータ14は、発電機用エンジン12のウォータージャケット内を通過した冷却水の熱を大気中に放熱することによって、発電機用エンジン12のシリンダブロック等を冷却する。すなわち、第1ラジエータ14は、発電機用エンジン12の冷却水を熱媒体として発電機用エンジン12を冷却する。
【0068】
第2ラジエータ15は、熱交換器である。第2ラジエータ15は、飛行体制御装置支持部4によって支持されている。第2ラジエータ15の熱交換を行う放熱フィンが集約されている部分において空気が通過する領域(以下、単に「第2ラジエータ15の放熱面」)は、本体部3の軸線Pに対して略直交している。第2ラジエータ15と発電機10及び発電機用制御装置のウォータージャケット(図示省略)とは、ラジエータホース13によって接続されている。第2ラジエータ15は、発電機10及び発電機用制御装置のウォータージャケット内を通過した冷却水の熱を大気中に放熱することによって、発電機10及び発電機用制御装置を冷却する。すなわち、第2ラジエータ15は、発電機10の冷却水を熱媒体として発電機10及び発電機用制御装置を冷却する。
【0069】
第1ラジエータ14及び第2ラジエータ15は、機体フレーム2から伝わる振動を抑制する振動抑制部材であるラジエータ用マウント部材16を介して飛行体制御装置支持部4に支持されている。ラジエータ用マウント部材16は、例えば円筒状のゴムマウント部材である。
【0070】
第1ダクト17は、第1ラジエータ14の放熱面を通過した空気の流れを、特定の方向に導く壁部品である。第1ダクト17は、両端部が開口された筒状の部材である。第1ダクト17は、第1ラジエータ14または飛行体制御装置支持部4によって支持されている。第1ダクト17の少なくとも一部は、樹脂製の壁部品を備えている。例えば、第1ダクト17は、樹脂の許容温度以下までしか温度が上昇しない部分を樹脂製の壁部品によって構成することができる。第1ダクト17は、一方の開口を流入口17aとして、流入口17aから流入した空気を特定の方向に向けられた他方の開口である排出口17bから排出する。第1ダクト17は、第1ラジエータ14の放熱面を通過する空気の流れ方向における第1ラジエータ14の下流に位置している。
【0071】
第2ダクト18は、第2ラジエータ15の放熱面を通過した空気の流れを、特定の方向に導く壁部品である。第2ダクト18は、両端部が開口された筒状の部材である。第2ダクト18は、第2ラジエータ15または飛行体制御装置支持部4によって支持されている。第2ダクト18の少なくとも一部は、樹脂製の壁部品を備えている。第2ダクト18は、一方の開口を流入口18aとして、流入口18aから流入した空気を特定の方向に向けられた他方の開口である排出口18bから排出する。第2ダクト18は、第2ラジエータ15の放熱面を通過する空気の流れ方向における第2ラジエータ15よりも下流に位置している。
【0072】
第1ファン19は、第1ラジエータ14を冷却する装置である。第1ファン19は、第1ラジエータ14または飛行体制御装置支持部4によって支持されている。第1ファン19は、第1ラジエータ14の放熱面の近傍であって、第1ラジエータ14の放熱面に向かって空気が移動するように位置している。本実施形態において、第1ファン19は、第1ラジエータ14の放熱面から空気を引き込む。つまり、第1ファン19は、第1ラジエータ14の放熱面を通過する空気の流れ方向における第1ラジエータ14の下流に位置している。第1ファン19は、第1ファン19の回転軸線Fと第1ラジエータ14の放熱面とが直交するように位置している。
【0073】
第2ファン20は、第2ラジエータ15を冷却する装置である。第2ファン20は、第2ラジエータ15または飛行体制御装置支持部4によって支持されている。第2ファン20は、第2ラジエータ15の放熱面の近傍であって、第2ラジエータ15の放熱面に向かって空気が移動するように位置している。本実施形態において、第2ファン20は、第2ラジエータ15の放熱面から空気を引き込む。つまり、第2ファン20は、第2ラジエータ15の放熱面を通過する空気の流れ方向における第2ラジエータ15の下流に位置している。第2ファン20は、第2ファン20の回転軸線Fと第2ラジエータ15の放熱面とが直交するように位置している。
【0074】
バッテリー21は、発電機10が発電した電力を蓄える。バッテリー21は、例えばリチウムイオンバッテリーである。バッテリー21は、本体部3に2台配置されている。2台のバッテリー21の間には、エンジン発電機ユニット9が位置している。つまり、2台のバッテリー21は、エンジン発電機ユニット9の重心が2台のバッテリー21間の略中央に位置するように配置されている。また、2台のバッテリー21は、エンジン発電機ユニット9に近接して配置される。
【0075】
このようにバッテリー21は、飛行体1における重量バランスが均等になるように位置している。また、バッテリー21は、始動時、低気温時においてバッテリー21の温度が低温状態であっても、発電機用エンジン12の輻射熱によって暖められるように位置している。これにより、低温時におけるバッテリー21の低温放電特性を向上させることができる。バッテリー21は、エンジン発電機ユニット9、ロータ22の電動モータ23、飛行体制御装置25等に電気的に接続され、電力を供給する。
【0076】
ロータ22は、プロペラ24(ブレード)を回転させることにより揚力を発生させる装置である。ロータ22は、アーム部7にそれぞれ位置している。6つのロータ22は、インバータ11と電動モータ23とプロペラ24とを有する。
【0077】
インバータ11は、電動モータ23に制御信号に応じた電流を供給する制御機器である。インバータ11は、電動モータ23にそれぞれ電気的に接続されている。インバータ11は、各アーム部7に支持されている。
【0078】
電動モータ23は、プロペラ24(ブレード)を回転させる回転電機である。各電動モータ23は、インバータ11によって制御される。各電動モータ23は、本体部3の軸線P方向に出力軸が向くように、各アーム部7に支持されている。各電動モータ23の出力軸には、プロペラ24が接続されている。ロータ22は、電動モータ23によってプロペラ24を回転させることにより、本体部3の軸線Pの下方向に揚力を発生させる。
【0079】
飛行体制御装置25は、外部からの制御信号等に基づいて、飛行体1の位置、姿勢、速度、飛行方向等を制御する装置である。飛行体制御装置25は、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスによって接続される構成であってもよい。また、飛行体制御装置25は、例えば、ワンチップのLSI等によって構成されていてもよい。飛行体制御装置25には、慣性計測装置、方位センサ、高度センサが含まれる。慣性計測装置は、飛行体1の3軸の角速度、角加速度を計測する装置である。
【0080】
飛行体制御装置25は、飛行体制御装置支持部4の取付板5上に位置している。飛行体制御装置25は、機体フレーム2から伝わる振動を抑制する振動抑制部材である飛行体制御装置用マウント部材25aを介して取付板5によって支持されている。飛行体制御装置25は、発電機10の発電機用制御装置、発電機用エンジン12の制御装置、各ロータ22のインバータ11に電気的に接続されている。飛行体制御装置25は、エンジン発電機ユニット9、各インバータ11、各種計測装置等の動作を制御するために種々のプログラム、データが格納されている。
【0081】
飛行体制御装置25は、発電機10の発電機用制御装置、発電機用エンジン12の制御装置及びインバータ11に制御信号を送信することができる。飛行体制御装置25は、慣性計測装置、方位センサ、高度センサに電気的に接続されている。飛行体制御装置25は、慣性計測装置から各速度及び角加速度の計測値を取得し、方位センサによって方位の計測値を取得し、高度センサによって高度の計測値を取得することができる。飛行体制御装置25は、取得した計測値から、発電機10の発電機用制御装置、発電機用エンジン12の制御装置及びインバータ11の制御信号を生成することができる。慣性計測装置を含む飛行体制御装置25は、飛行中の飛行体1の各速度、及び角加速度を精度よく計測するため、飛行体制御装置25に加わる振動、温度が閾値以下に抑制されている。
【0082】
このように構成される飛行体1は、バッテリー21によって供給される電力によって飛行体制御装置25、エンジン発電機ユニット9、ロータ22、各種センサ等を駆動させる。飛行体1は、外部からの電力指令、発電量及びバッテリー21の残量等に基づいて、エンジン発電機ユニット9によってバッテリー21を充電する。飛行体1は、飛行体制御装置25によって6つのロータ22の回転速度を独立して変更することにより、任意の方向に任意の速度で移動することができる。
【0083】
<ファン、ラジエータ及びダクトの位置>
次に、
図5と
図6とを用いて飛行体1における第1ラジエータ14、第1ダクト17及び第1ファン19の位置と、第2ラジエータ15、第2ダクト18及び第2ファン20の位置及び空気の流れについて説明する。
図5は、本飛行体1において、第1ラジエータ14及び第2ラジエータ15を通過する空気の流れを表す部分側面図である。
図6は、飛行体1においてプロペラ24、第1ファン19及び第2ファン20の作用による空気の流れを表す模式図である。
図6中の矢印は、空気の流れを表す。
【0084】
第1ラジエータ14は、本体部3の上方で飛行体制御装置25を支持している飛行体制御装置支持部4の支持脚6によって支持されている。第1ラジエータ14は、発電機用エンジン12を含むエンジン発電機ユニット9と飛行体制御装置25との間に位置する。更に、第1ラジエータ14は、プロペラ24と飛行体制御装置25との間に位置する。つまり、第1ラジエータ14は、鉛直方向において、飛行体制御装置25の下方であってプロペラ24よりも上方に位置する。また、第1ラジエータ14は、ロータ22の回転軸線方向に見て、プロペラ24の回転領域A(
図1、
図3参照)の外に位置する。これにより、回転するプロペラ24によって押し出された排風(ダウンウォッシュ)は、第1ラジエータ14の放熱面を通過しない。すなわち、第1ラジエータ14は、プロペラ24のダウンウォッシュによって冷却されない。
【0085】
第1ファン19は、エンジン発電機ユニット9の上方であって第1ラジエータ14の下方に位置している。更に、第1ファン19は、プロペラ24と第1ラジエータ14との間に位置する。つまり、第1ファン19は、鉛直方向において、プロペラ24よりも上方に位置する。第1ファン19は、第1ラジエータ14の上方に位置する空気を第1ラジエータ14の下方に移動させる。これにより、第1ファン19は、第1ラジエータ14の放熱面に空気を通過させる。
【0086】
第1ダクト17は、エンジン発電機ユニット9の上方であって第1ラジエータ14の下方に位置している。つまり、第1ダクト17は、第1ラジエータ14の放熱面を通過する空気の流れ方向における第1ラジエータ14の下流に位置している。第1ダクト17は、第1ラジエータ14の放熱面を通過した第1ファン19の排風を所定の方向に導く排風路を構成する壁部品である。
【0087】
第1ダクト17の流入口17aは、第1ラジエータ14の放熱面を囲うことができる程度の大きさを有する。第1ダクト17の流入口17aは、第1ラジエータ14を通過する空気の流れ方向に見て、第1ラジエータ14の放熱面の略全体に重複するように位置している。また、第1ダクト17の流入口17aは、第1ラジエータ14の放熱面に近接して位置している。更に、第1ダクト17の流入口17aは、プロペラ24よりも上方に位置する。この際、第1ダクト17の流入口17aは、第1ファン19を囲うように位置している。つまり、第1ファン19は、第1ダクト17の内部に位置している。これにより、第1ダクト17は、第1ラジエータ14の放熱面を通過した第1ファン19の排風が第1ダクト17の外に流れるのを抑制している。第1ダクト17の排出口17bは、エンジン発電機ユニット9に向かって開口している。
【0088】
第1ダクト17は、第1ラジエータ14の放熱面を通過した第1ファン19の排風をエンジン発電機ユニット9の方向に導く。また、第1ダクト17は、第1ラジエータ14の放熱面を通過した第1ファン19の排風がエンジン発電機ユニット9に向かう方向以外の方向に流れるのを抑制する。つまり、第1ダクト17は、第1ファン19の排風が飛行体制御装置25に向かって流れずにエンジン発電機ユニット9の発電機用エンジン12に向かって流れるように構成されている。
【0089】
第2ラジエータ15は、本体部3の上方で飛行体制御装置25を支持している飛行体制御装置支持部4の支持脚6によって支持されている。第2ラジエータ15は、発電機用エンジン12を含むエンジン発電機ユニット9と飛行体制御装置25との間に位置する。更に、第2ラジエータ15は、第1ラジエータ14と飛行体制御装置25との間に位置する。つまり、第2ラジエータ15は、鉛直方向において、飛行体制御装置25の下方であって第1ラジエータ14及びプロペラ24よりも上方に位置する。第2ラジエータ15は、第1ラジエータ14と上下方向に並び且つ第1ラジエータ14の放熱面と第2ラジエータ15の放熱面とが略平行になるように位置している。また、第2ラジエータ15は、ロータ22の回転軸線方向に見て、プロペラ24の回転領域Aの外に位置する(
図1、
図3参照)。これにより、回転するプロペラ24によって押し出された排風(ダウンウォッシュ)は、第2ラジエータ15の放熱面を通過しない。第2ラジエータ15は、プロペラ24のダウンウォッシュによって冷却されない。
【0090】
第2ファン20は、第1ラジエータ14の上方であって第2ラジエータ15の下方に位置している。更に、第2ファン20は、第2ラジエータ15と第1ラジエータ14との間に位置する。つまり、第1ファン19は、鉛直方向において、プロペラ24よりも上方に位置する。第2ファン20は、第2ラジエータ15の上方に位置する空気を第2ラジエータ15の下方に移動させる。これにより、第2ファン20は、第2ラジエータ15の放熱面に空気を通過させる。更に、第2ファン20は、第2ラジエータ15の下方に位置する第1ラジエータ14の放熱面に向かって空気を移動させる。
【0091】
第2ダクト18は、第1ラジエータ14の上方であって第2ラジエータ15の下方に位置している。つまり、第2ダクト18は、第2ラジエータ15の放熱面を通過する空気の流れ方向における第2ラジエータ15の下流に位置している。第2ダクト18は、第2ラジエータ15の放熱面を通過した第2ファン20の排風を所定の方向に導く排風路を構成する壁部品である。
【0092】
第2ダクト18の流入口18aは、第2ラジエータ15の放熱面を囲うことができる程度の大きさを有する。第2ダクト18の流入口18aは、第2ラジエータ15を通過する空気の流れ方向に見て、第2ラジエータ15の放熱面の略全体に重複するように位置している。また、第2ダクト18の流入口18aは、第2ラジエータ15の放熱面に近接して位置している。更に、第2ダクト18の排出口18bは、第1ラジエータ14及びプロペラ24よりも上方に位置する。この際、第2ダクト18の流入口18aは、第2ファン20を囲うように位置している。つまり、第2ファン20は、第2ダクト18の内部に位置している。これにより、第2ダクト18は、第2ラジエータ15の放熱面を通過した第2ファン20の排風が第2ダクト18の外に流れるのを抑制している。第2ダクト18の排出口18bは、第1ラジエータ14に向かって開口している。
【0093】
第2ダクト18は、第2ラジエータ15の放熱面を通過した第2ファン20の排風を第1ラジエータ14の方向に導く。第2ダクト18は、第2ラジエータ15の放熱面を通過した第2ファン20の排風がエンジン発電機ユニット9に向かう方向以外の方向に流れるのを抑制する。また、第1ラジエータ14の放熱面を通過した第2ファン20の排風は、第1ダクト17によってエンジン発電機ユニット9に向かう方向に導かれる。つまり、第2ダクト18は、第2ファン20の排風が飛行体制御装置25に向かって流れずに第1ラジエータ14の放熱面を通過してエンジン発電機ユニット9の発電機用エンジン12に向かって流れるように構成されている。
【0094】
図6に示すように、回転しているプロペラ24は、空気を吸引する作用によって、プロペラ24の上方の空間に下方向への空気の流れを生じさせている。また、回転している第1ファン19及び第2ファン20は、第1ファン19及び第2ファン20の上方の空間の空気を下向きに流す。このように、回転する第1ファン19及び第2ファン20の上方の空間における空気と回転するプロペラ24の上方の空間における空気とは、略同一の下方向に流れる。鉛直方向においてプロペラ24よりも上方に位置する第1ファン19及び第2ファン20は、プロペラ24の作用によって下向きに空気が流れている空間内に位置している。つまり、第1ファン19及び第2ファン20は、既に下方向に流れている空気を更に下向きに押し出す。この際、第1ファン19及び第2ファン20は、ラジエータに向かって送り出し空気量が増大する。よって、第1ラジエータ14及び第2ラジエータ15は、第1ファン19及び第2ファン20がプロペラ24の上方に位置することで、冷却能力が向上する。
【0095】
一方、プロペラ24の作用によってプロペラ24の下方に送り出された空気の一部は、エンジン発電機ユニット9に向かって流れる。第1ファン19及び第2ファン20がプロペラ24よりも下方に位置する場合、エンジン発電機ユニット9に向かって流れる空気の流れは、第1ファン19及び第2ファン20による下方向の空気の流れを乱す。よって、第1ラジエータ14及び第2ラジエータ15は、第1ファン19及び第2ファン20がプロペラ24の下方に位置する場合、冷却能力が低下する。
【0096】
また、回転するプロペラ24は、空気を吸引する作用によって、プロペラ24の上方に位置する飛行体制御装置25の周囲の空間に下方向への空気の流れを生じさせている。よって、第1ファン19及び第2ファン20の作用によって第1ラジエータ14及び第2ラジエータ15を通過した空気は、第1ラジエータ14及び第2ラジエータ15よりも上方に位置する飛行体制御装置25に向かって流れにくい。このように、飛行体1は、第1ファン19、第2ファン20及びプロペラ24の作用により、第1ラジエータ14及び第2ラジエータ15を通過した第1ファン19及び第2ファン20の排風が飛行体制御装置25に向かって流れずに発電機用エンジン12に向かって流れるように構成される。
【0097】
上述のように、飛行体1は、発熱量の異なる前記発電機用エンジン12及び前記発電機10に対してそれぞれ適切な能力を備える第1ラジエータ14及び第2ラジエータ15を有している。第1ラジエータ14及び第2ラジエータ15のサイズは、単体で発電機用エンジン12及び発電機10を含むエンジン発電機ユニット9を冷却可能なラジエータよりも小さい。よって、機体フレーム2に対する第1ラジエータ14及び第2ラジエータ15の配置の自由度が向上する。
【0098】
第1ラジエータ14及び第2ラジエータ15は、機体フレーム2によって支持されているので、発電機用エンジン12の位置に影響を受けることなく機体フレーム2に対して自由に配置できる。また、第1ラジエータ14及び第2ラジエータ15は、機体フレーム2の任意の位置に支持可能な第1ファン19及び第2ファン20によって冷却されるので、機体フレーム2におけるプロペラ24よりも上方の任意の箇所に位置することができる。
【0099】
更に、ラジエータ用マウント部材16及び飛行体制御装置用マウント部材25aによって、発電機用エンジン12から、第1ラジエータ14、第2ラジエータ15及び飛行体制御装置25に対する振動の伝達が抑制される。従って、第1ラジエータ14、第2ラジエータ15及び飛行体制御装置25を、発電機用エンジン12によって発生する振動に影響を受けることなく、機体フレーム2におけるプロペラ24よりも上方の任意の箇所に位置することができる。
【0100】
従って、飛行体1における機体フレーム2に対する第1ラジエータ14、第2ラジエータ15及び飛行体制御装置25の配置の自由度が向上する。これにより、第1ファン19と第2ファン20とが発電機用エンジン12とが干渉しない位置まで、第1ラジエータ14及び第2ラジエータ15を発電機用エンジン12に近づけて位置することができる。
【0101】
冷却部8に含まれる第1ラジエータ14及び第2ラジエータ15は、飛行体制御装置25と発電機用エンジン12との間に位置する。また、第1ラジエータ14及び第2ラジエータ15は、プロペラ24よりも上方に位置する。同様に、第1ファン19及び第2ファン20は、飛行体制御装置25と発電機用エンジン12との間に位置する。また、第1ファン19及び第2ファン20は、プロペラ24よりも上方に位置する。よって、第1ファン19及び第2ファン20は、飛行体制御装置25の周辺の空間内の空気を、第1ラジエータ14及び第2ラジエータ15を通過して発電機用エンジン12に向かって流れるように吸入及び排出する。これにより、第1ラジエータ14及び第2ラジエータ15を通過した空気が、飛行体制御装置25に向かって流れるのを抑制できる。また、回転するプロペラ24の作用によって生じる下方向の空気の流れにより、第1ファン19及び第2ファン20による第1ラジエータ14及び第2ラジエータ15の冷却能力を向上することができる。
【0102】
冷却部8は、第1ファン19の排風路を構成する壁部品である第1ダクト17及び第2ファン20の排風路を構成する壁部品である第2ダクト18を有する。第1ダクト17及び第2ダクト18は、第1ファン19及び第2ファン20の排風をエンジン発電機ユニット9に向かうように導く。第1ダクト17及び第2ダクト18は、第1ファン19及び第2ファン20における排風の一部が飛行体制御装置25に向かわないように規制している。これにより、第1ファン19及び第2ファン20の排風による飛行体制御装置25の昇温を抑制することができる。また、第1ダクト17及び第2ダクト18の少なくとも一部の壁部品を樹脂によって構成した場合、飛行体1は、第1ダクト17及び第2ダクト18を有していても、重量の増加が抑制される。
【0103】
また、第1ファン19及び第2ファン20の排風は、第1ダクト17及び第2ダクト18によって発電機用エンジン12まで導かれる。つまり、第1ファン19及び第2ファン20の排風は、第1ファン19及び第2ファン20の回転軸線Fが発電機用エンジン12に向くように第1ファン19及び第2ファン20が位置していなくても、第1ダクト17及び第2ダクト18によって発電機用エンジン12に向かって流れる。従って、第1ラジエータ14及び第2ラジエータ15を発電機用エンジン12の位置に影響を受けることなく機体フレーム2に対して自由に位置することができる。
【0104】
よって、第1ラジエータ14によって冷却されている発電機用エンジン12と第2ラジエータ15によって冷却されている発電機10からの輻射熱の影響が及ばない位置まで飛行体制御装置25をエンジン発電機ユニット9に近づけて位置することができる。これにより、飛行体制御装置25の性能及びエンジン発電機ユニット9の性能を満足しつつ、飛行体制御装置25、冷却部8を含むエンジン発電機ユニット9を機体フレーム2に対してコンパクトに位置することにより、機体フレーム2を小型化及び軽量化を可能な飛行体1を実現できる。
【0105】
更に、第1ファン19の回転軸線Fは、第1ラジエータ14及びエンジン発電機ユニット9に向かって延びている。これにより、第1ファン19は、回転軸線Fが第1ラジエータ14及びエンジン発電機ユニット9以外に向かって延びている場合に比べて、第1ラジエータ14及びエンジン発電機ユニット9の近くに位置することができる。
【0106】
同様に、第2ファン20は、排風を第1ラジエータ14に向かって流すために、第2ファン20の回転軸線Fが第1ラジエータ14と第2ラジエータ15に向かって延びるように位置している。第2ファン20は、前記回転軸線Fが第1ラジエータ14及び第2ラジエータ15以外に向かって延びている場合に比べて、第1ラジエータ14及び第2ラジエータ15の近くに位置することができる。
【0107】
従って、機体フレーム2に対する第1ファン19及び第2ファン20の配置の自由度が向上する。よって、発電機用エンジン12と干渉しない位置まで、第1ファン19及び第2ファン20を発電機用エンジン12に近づけることができる。これにより、飛行体制御装置25の性能及び前記エンジン発電機の性能を満足しつつ、飛行体制御装置25、第1ファン19、第2ファン20及び発電機用エンジン12を機体フレーム2に対してコンパクトに位置することにより、機体フレーム2を小型化及び軽量化を可能な飛行体1を実現できる。
【0108】
[実施形態2]
次に
図7を用いて本発明の実施形態2に係る飛行体1Aについて説明する。
図7は、飛行体1Aにおいてラジエータを通過する空気の流れを表す部分側面図である。以下の説明において、実施形態1と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略し、実施形態1と異なる部分についてのみ説明する。
【0109】
<ラジエータ及びダクトの配置>
第2実施形態に係る飛行体1Aにおける第1ラジエータ26、第1ダクト27及び第1ファン28の位置と、第2ラジエータ29、第2ダクト30及び第2ファン31の位置について説明する。
【0110】
図7に示すように、第1ラジエータ26は、発電機用エンジン12を含むエンジン発電機ユニット9と飛行体制御装置25との間に位置する。また、第1ラジエータ26は、鉛直方向においてプロペラ24よりも上方に位置する。第1ラジエータ26は、本体部3の上方で飛行体制御装置25を支持している飛行体制御装置支持部4の支持脚6に沿うように、軸線Pに対して傾斜して位置している。具体的には、第1ラジエータ26は、本体部3の環状部材の外形部分から軸線Pに対して交差する方向に向かって延びるように傾斜して位置している。つまり、第1ラジエータ26は、飛行体制御装置25から発電機用エンジン12に向かうにつれて発電機用エンジン12から離隔する方向に傾斜して位置している。
【0111】
第1ファン28は、エンジン発電機ユニット9の上方であって第1ラジエータ26の下方且つ径方向内方に位置している。また、第1ファン28は、鉛直方向においてプロペラ24よりも上方に位置する。第1ファン28は、第1ラジエータ26の上方に位置する空気を第1ラジエータ26の下方に移動させる。これにより、第1ファン28は、第1ラジエータ26の放熱面に対して空気を通過させる。
【0112】
第1ダクト27は、エンジン発電機ユニット9の上方であって第1ラジエータ26の下方且つ径方向内方に位置している。第1ダクト27の流入口27aは、第1ラジエータ26の放熱面に近接して位置している。第1ダクト27の排出口27bは、エンジン発電機ユニット9に向かって開口している。つまり、第1ダクト27は、本体部3の環状部材の外周部分から本体部3の軸線Pに向かって延びるように傾斜して位置している。
【0113】
第2ラジエータ29は、発電機用エンジン12を含むエンジン発電機ユニット9と飛行体制御装置25との間に位置する。また、第2ラジエータ29は、鉛直方向においてプロペラ24よりも上方に位置する。第2ラジエータ29は、本体部3の上方で飛行体制御装置25を支持している飛行体制御装置支持部4の支持脚6に沿うように、軸線Pに対して傾斜して位置している。具体的には、第1ラジエータ26は、本体部3の環状部材の外周部分から軸線Pに対して交差する方向に向かって延びるように傾斜して位置している。つまり、第2ラジエータ29は、飛行体制御装置25から発電機用エンジン12に向かうにつれて発電機用エンジン12から離隔する方向に傾斜して位置している。また、第2ラジエータ29は、本体部3の径方向に第1ラジエータ26と向かい合うように位置している。このように第1ラジエータ26と第2ラジエータ29とは、飛行体1Aにおける重量バランスが均等になるように位置している。
【0114】
第2ファン31は、エンジン発電機ユニット9の上方であって第2ラジエータ29の下方且つ径方向内方に位置している。また、第2ファン31は、鉛直方向においてプロペラ24よりも上方に位置する。第2ファン31は、第2ラジエータ29の上方に位置する空気を第2ラジエータ29の下方に移動させる。これにより、第2ファン31は、第2ラジエータ29の放熱面に対して空気を通過させる。
【0115】
第2ダクト30は、エンジン発電機ユニット9の上方であって第2ラジエータ29の下方且つ径方向内方に位置している。第2ダクト30の流入口29aは、第2ラジエータ29の放熱面に近接して位置している。第2ダクト30の排出口29bは、エンジン発電機ユニット9に向けられている。つまり、第2ダクト30は、本体部3の環状部材の外周部分から本体部3の軸線Pに向かって延びるように傾斜して位置している。
【0116】
このように第1ラジエータ26及び第2ラジエータ29を機体フレーム2に沿って位置することにより、機体フレーム2におけるラジエータの配置可能な範囲が拡大する。また、機体フレーム2に対する位置の自由度が向上している第1ラジエータ26及び第2ラジエータ29を、本体部3又は飛行体制御装置支持部4の外形部分に沿うように設けることで本体部3の上方に様々な装置を配置可能な空間を確保することができる。従って、これにより、前記飛行体1Aは、前記飛行体制御装置25の性能及び前記エンジン発電機の性能を満足しつつ、コンパクトに前記ラジエータを位置することにより前記機体フレーム2を小型化及び軽量化することができる。
【0117】
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0118】
前記各実施形態では、本体部3は六角柱形状の形状を有している。しかしながら本体部は、六角柱形状以外の形状でもよい。
【0119】
前記各実施形態では、機体フレーム2は、飛行体制御装置支持部4を有している。しかしながら、機体フレームは、飛行体制御装置支持部を有していなくてもよい。この場合、飛行体制御装置、第1ラジエータ及び第2ラジエータは、例えば本体部に直接支持されていてもよい。
【0120】
前記各実施形態では、発電機用エンジン12は、第1ラジエータ14、26によって冷却される。発電機10は、第2ラジエータ15、29によって冷却される。しかしながら、発電機用エンジンと発電機とは、一つのラジエータによって冷却されてもよい。
【0121】
前記各実施形態では、第1ラジエータ14、26及び第2ラジエータ15、29のラジエータホース13は、機体フレーム2を構成しているパイプ材の外部に沿うように位置している。しかしながら、ラジエータホースは、機体フレームを構成しているパイプ材の内部に位置していてもよい。
【0122】
前記各実施形態では、第1ラジエータ14、26及び第2ラジエータ15、29のラジエータホース13は、発電機用エンジン12の冷却水及び発電機10の発電機用制御装置の冷却水が通過する配管としての機能している。しかしながら、飛行体は、ラジエータホースを介して第1ラジエータ及び第2ラジエータを機体フレームに固定することで、ラジエータホースを振動抑制部材として機能させてもよい。
【0123】
前記実施形態1では、第1ラジエータ14は、第1ファン19によって空気が供給される。第2ラジエータ15は、第2ファン20によって空気が供給される。しかしながら、上下方向に並んで位置する第1ラジエータと第2ラジエータとは、一つのファンによって空気を供給してもよい。
【0124】
前記各実施形態では、第1ファン19、28は、第1ラジエータ14、26の下流に位置している。第2ファン20、31は、第2ラジエータ15、29の下流に位置している。しかしながら、第1ファンは、第1ラジエータの上流に位置してもよい。また、第2ファンは、第2ラジエータの上流に位置してもよい。この場合、第1ファン及び第2ファンは、排気を第1ラジエータまたは第2ラジエータに供給する。
【0125】
前記各実施形態では、第1ファン19、28は、第1ラジエータ14、26の下流に位置している。第2ファン20、31は、第2ラジエータ15、29の下流に位置している。しかしながら、第1ファンは、第1ラジエータの上流に位置してもよい。また、第2ファンは、第2ラジエータの上流に位置してもよい。この場合、第1ファン及び第2ファンは、排気を第1ラジエータまたは第2ラジエータに供給する。
【0126】
前記各実施形態では、機体フレーム2に第1ラジエータ14、26及び第2ラジエータ15、29が位置している。しかしながら、ラジエータが機体フレームの一部を構成してもよい。例えば、飛行体制御装置支持部の支持脚は、第1ラジエータと第2ラジエータとによって構成されていてもよい。
【0127】
前記各実施形態では、第1ラジエータ14、26及び第2ラジエータ15、29は、飛行体制御装置支持部4の支持脚6に支持されている。しかしながら、第1ラジエータ及び第2ラジエータは、機体フレームの任意の位置に支持されていてもよい。
【0128】
前記各実施形態では、冷却部8は、第1ラジエータ14、26及び第2ラジエータ15、29の放熱面を通過した第1ファン19、28及び第2ファン20、31の排風が、第1ダクト17、27及び第2ダクト18、30によってエンジン発電機ユニット9に向かって流れるように構成されている。しかしながら、冷却部は、ラジエータの放熱面を通過したファンの排風がダクトを通過せずに前記発電機用エンジンに向かって流れるように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0129】
1、1A 飛行体
2 機体フレーム
3 本体部
4 飛行体制御装置支持部
7 アーム部
9 エンジン発電機ユニット
10 発電機
12 発電機用エンジン
12a エンジンマウント用部材
13 ラジエータホース
14、26 第1ラジエータ
15、29 第2ラジエータ
17、27 第1ダクト
18、30 第2ダクト
19、28 第1ファン
20、31 第2ファン
22 ロータ
24 プロペラ
25a 飛行体制御装置用マウント部材
P 軸線