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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-21
(45)【発行日】2023-03-02
(54)【発明の名称】キャップ及び積層剥離容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/20 20060101AFI20230222BHJP
   B65D 1/02 20060101ALI20230222BHJP
   B65D 1/32 20060101ALI20230222BHJP
   B65D 83/00 20060101ALN20230222BHJP
【FI】
B65D47/20 111
B65D1/02 111
B65D1/32
B65D83/00 G
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018224667
(22)【出願日】2018-11-30
(65)【公開番号】P2019167160
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-09-09
(31)【優先権主張番号】P 2017244980
(32)【優先日】2017-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018059749
(32)【優先日】2018-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】室屋 洋輔
【審査官】二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-30846(JP,A)
【文献】特開2012-30845(JP,A)
【文献】特開2012-192975(JP,A)
【文献】実開平4-53657(JP,U)
【文献】特開2017-30794(JP,A)
【文献】特開2015-51789(JP,A)
【文献】特開2015-140206(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/20
B65D 1/02
B65D 1/32
B65D 83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する容器の口部に装着されるキャップであって、
弁体と、台座と、ノズルを備え、
前記弁体は、流通孔を備え、
前記弁体は、前記流通孔の周囲の環状部に前記内容物による内圧が加わっていないときは前記流通孔の縁が前記台座に当接することによって閉塞され、前記流通孔の周囲の環状部に前記内圧が加わると前記弁体が弾性変形することによって前記流通孔の縁が前記台座から離れて前記流通孔が開かれるように構成され、
前記ノズルは、吐出筒部を有し、
前記内容物は、前記吐出筒部に設けられた吐出口を通じて吐出され、
前記吐出口が偏心されており、前記吐出口と前記流通孔が同心になっておらず、
前記吐出筒部には、前記吐出口に近づくにつれて前記吐出筒部が縮径されるように傾斜する規制壁が設けられ、
前記規制壁が平面視で前記流通孔に重なっている、キャップ。
【請求項2】
内容物を収容する容器の口部に装着されるキャップであって、
弁体と、台座と、ノズルを備え、
前記弁体は、流通孔を備え、
前記弁体は、前記流通孔の周囲の環状部に前記内容物による内圧が加わっていないときは前記流通孔の縁が前記台座に当接することによって閉塞され、前記流通孔の周囲の環状部に前記内圧が加わると前記弁体が弾性変形することによって前記流通孔の縁が前記台座から離れて前記流通孔が開かれるように構成され、
前記ノズルは、吐出筒部を有し、
前記吐出筒部は、本体筒部と、前記本体筒部よりも開口面積が小さい縮径筒部を有し、
前記縮径筒部は、前記本体筒部の天面部において偏心された位置に設けられており、
前記縮径筒部の先端に吐出口が設けられており、
前記内容物は、前記吐出口を通じて吐出され、
前記天面部は、平面視で前記流通孔に重なっており、
前記天面部の内面が上に向かって凸になるように湾曲している、キャップ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のキャップであって、
前記弁体は、椀状部を備え、
前記流通孔は、前記椀状部の底に設けられ、
前記弁体は、前記流通孔の周囲の環状部に前記内圧が加わると、前記椀状部が反転するように弾性変形するように構成される、キャップ。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか1つに記載のキャップであって、
前記台座は、前記口部内に挿入される中栓に設けられ、
前記中栓は、筒部と、脚部を備え、
前記脚部は、前記筒部と前記台座の間に設けられ、
前記台座は、前記脚部に支柱状に設けられる、キャップ。
【請求項5】
請求項1~請求項4の何れか1つに記載のキャップであって、
前記台座は、前記口部内に挿入される中栓に設けられ、
前記中栓は、筒部を備え、
前記筒部の内周面には弁体支持部が設けられ、
前記弁体は、フランジを備え、
前記フランジが前記弁体支持部上に支持される、キャップ。
【請求項6】
請求項1~請求項5の何れか1つに記載のキャップであって、
前記吐出口は、平面視で前記流通孔に重ならないように配置される、キャップ。
【請求項7】
請求項1~請求項6の何れか1つに記載のキャップであって、
平面視での、前記流通孔の開口面積をS1とし、前記吐出口の開口面積をS2とすると、
S2/S1≦5である、キャップ。
【請求項8】
容器本体とキャップを備える、積層剥離容器であって、
前記容器本体は、外殻と内袋とを有し且つ内容物の減少に伴って前記内袋が収縮するように構成され、
前記キャップは、請求項1~請求項7の何れか1つに記載のキャップである、積層剥離容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆止弁を備えたキャップ、及びキャップを備えた積層剥離容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、吐出弁にスリットが設けられたスリット弁を有するキャップが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-95455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のスリット弁は、容器を軽く圧縮したときにスリット弁が開かずに内容物が吐出されにくいという問題が生じる場合がある。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、スムーズに開閉可能な逆止弁を有するキャップを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、内容物を収容する容器の口部に装着されるキャップであって、弁体と台座を備え、前記弁体は、流通孔を備え、前記弁体は、前記流通孔の周囲の環状部に前記内容物による内圧が加わっていないときは前記流通孔の縁が前記台座に当接することによって閉塞され、前記流通孔の周囲の環状部に前記内圧が加わると前記弁体が弾性変形することによって前記流通孔の縁が前記台座から離れて前記流通孔が開かれるように構成される、キャップが提供される。
【0007】
特許文献1に開示されているようなスリット弁では、吐出弁に設けられたスリットを開くために吐出弁を大きく変形させる必要があり、そのために、容器を軽く圧縮しただけでは、内容物を吐出することができなかった。
【0008】
一方、本発明のキャップでは、上記構成の弁体と台座によって逆止弁を構成しており、このような逆止弁では、弁体が台座からわずかに離れるだけで、逆止弁が開かれる。また、弁体の流通孔が台座に接触することによって逆止弁が閉じられる。このため、逆止弁の開閉動作がスムーズである。
【0009】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記記載のキャップであって、前記弁体は、椀状部を備え、前記流通孔は、前記椀状部の底に設けられ、前記弁体は、前記流通孔の周囲の環状部に前記内圧が加わると、前記椀状部が反転するように弾性変形するように構成される、キャップである。
好ましくは、前記記載のキャップであって、前記台座は、前記口部内に挿入される中栓に設けられ、前記中栓は、筒部と、脚部を備え、前記脚部は、前記筒部と前記台座の間に設けられ、前記台座は、前記脚部に支柱状に設けられる、キャップである。
好ましくは、前記記載のキャップであって、前記台座は、前記口部内に挿入される中栓に設けられ、前記中栓は、筒部を備え、前記筒部の内周面には弁体支持部が設けられ、前記弁体は、フランジを備え、前記フランジが前記弁体支持部上に支持される、キャップである。
好ましくは、前記記載のキャップであって、ノズルを備え、前記ノズルは、吐出筒部を有し、前記内容物は、前記吐出筒部を通じて吐出され、前記吐出筒部には、前記内容物の吐出の勢いを低減する規制壁が設けられる、キャップである。
好ましくは、前記記載のキャップであって、前記規制壁は、前記ノズルの内面から突出する複数のアームによって支持されている、キャップである。
好ましくは、容器本体とキャップを備える、積層剥離容器であって、前記容器本体は、外殻と内袋とを有し且つ内容物の減少に伴って前記内袋が収縮するように構成され、前記キャップは、前記記載のキャップである、積層剥離容器である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係る積層剥離容器1の正面図である。
図2図2は、図1中のA-A断面図である。
図3図1中のキャップ2の斜視図である。
図4図2と同じ断面でのキャップ2の斜視図である。
図5図5Aは、図4からノズル23及びカバー24を抜き出した斜視図であり、図5Bは、図4から弁体21及び中栓22を抜き出した斜視図である。
図6図6A図6Cは、弁体21を示し、図6Aは、上側から見た斜視図、図6Bは、下側から見た斜視図、図6Cは、図2と同じ断面での断面図である。
図7図7A図7Dは、中栓22を示し、図7Aは、上側から見た斜視図、図7Bは、下側から見た斜視図、図7Cは、図2と同じ断面での断面図であり、図7Dは、隣接する脚部22cの中央を通る面(つまり、図7Cの断面を台座22aの中心を通る軸を中心に45度回転させた面)の端面図である。
図8図8A図8Bは、ノズル23を示し、図8Aは、上側から見た斜視図であり、図8Bは、平面図である。
図9図2と同じ断面でのキャップ2の断面図(カバー24は不図示)である。
図10】容器に小さな圧縮力が加わったときの弁体21の変形状態を示す断面図である。
図11】容器に大きな圧縮力が加わったときの弁体21の変形状態を示す断面図である。
図12】本発明の第2実施形態に係る積層剥離容器1のノズル23を示し、図12Aは斜視図、図12Bは平面図、図12Cは、図12B中のB-B断面図である。
図13】本発明の第3実施形態に係る積層剥離容器1のノズル23を示し、図13Aは斜視図、図13Bは平面図、図13Cは、一部を切り欠いた断面斜視図である。
図14】本発明の第4実施形態に係る積層剥離容器1のノズル23を示し、図14Aは斜視図、図14Bは平面図、図14Cは、図14B中のC-C断面図である。
図15図15Aは、第3実施形態のノズル23を装着した積層剥離容器1から内容物25を吐出する状態を示し、図15Bは、第4実施形態のノズル23を装着した積層剥離容器1から内容物25を吐出する状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。以下の説明中での上・下は、において、図1に示すように容器本体3を立設させた状態での上・下を意味する。
【0012】
1.第1実施形態
1-1.全体構成
図1及び図2Aに示すように、本発明の第1実施形態の積層剥離容器1は、キャップ2と、容器本体3と弁部材5を備える。容器本体3は、内容物を収容する収容部7と、収容部7から内容物を吐出する口部9を備える。キャップ2は、口部9に装着される。キャップ2は、ネジ式で装着するものであっても、打栓式で装着するものであってもよい。口部9には、キャップ2を装着するための係合部9aが設けられている。内容物は、口部9の開口端9bから吐出される。
【0013】
図2に示すように、容器本体3は、収容部7及び口部9において、外殻12と内袋14を備える。内容物の減少に伴って内袋14が外殻12から剥離することによって、内袋14が外殻12から離れて収縮する。
【0014】
弁部材5は、図2に示すように、収容部7に形成された外気導入孔15に挿入され、外殻12と内袋14の間の空間Gと外部との間の空気の出入りを調節するためのものである。弁部材5の構成としては、例えば、外気導入孔15の縁と弁部材5の間の隙間を弁部材5の移動によって開閉することによって、弁部材5が外気導入孔15を開閉する構成や、弁部材5自体に貫通孔と開閉可能な弁を設けて、この弁の働きによって貫通孔を開閉することによって、外気導入孔15を開閉する構成とすることができる。なお、弁部材5を設けず、外気導入孔15にフィルタを貼り付けることで空気の出入りを調節する構成や、単に内容物を吐出する際に外気導入孔15を指などで閉塞させて調整を行う構成とすることもできる。また、外気導入孔15を口部9に設け、外気導入孔15に連通する逆止弁を有するキャップを用いてもよい。
【0015】
弁部材5は、上記いずれの構成であっても、外殻12を圧縮した際には外気導入孔15を閉塞して内袋14を圧縮可能な状態とし、外殻12への圧縮力を解除すると空間G内に外気が導入されるよう構成される。
【0016】
収容部7は、弁部材5を取り付けた後にシュリンクフィルムで覆われる。この際に、弁部材5がシュリンクフィルムに干渉しないように、弁部材5は、収容部7に設けられた弁部材取付凹部7aに装着される。また、弁部材取付凹部7aがシュリンクフィルムで密閉されてしまわないように弁部材取付凹部7aから口部9の方向に延びる空気流通溝7bが設けられる(図1参照)。
【0017】
また、容器本体3の層構成について、外殻12は、復元性が高くなるように、内袋14よりも肉厚に形成される。外殻12は、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体及びその混合物などで構成される。外殻12は、複数層構成であってもよい。内袋14は、複数の層から構成することが好ましい。例えば、外層と接触する層にエチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂からなるEVOH層を用い、内容物に接触する層に、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体及びその混合物などのポリオレフィンからなる内面層を用いることができる。そして、上記EVOH層と内面層との間には、接着層を用いることが好ましい。
【0018】
1-2.キャップ2の詳細構成
次に、図2図11を用いて、キャップ2について説明する。キャップ2は、弁体21と、中栓22と、ノズル23と、カバー24を備える。
【0019】
<弁体21>
図6に示すように、弁体21は、流通孔21aと、環状部21bと、椀状部21cと、フランジ21dと、連結部21eを備える。弁体21は、シリコーンゴムなどのエラストマーによって形成されており、内容物による内圧によって弾性変形する。
【0020】
環状部21bは、流通孔21aの周囲に設けられている。椀状部21cは、椀状の部位であり、椀状部21cの底21c1に流通孔21aが設けられている。フランジ21dは、弁体21の外周に設けられている。フランジ21dと椀状部21cの間に連結部21eが設けられている。弁体21に力が加わっていない状態では、図7Cに示すように、椀状部21cの底21c1は平坦になっている。
【0021】
<中栓22>
図7に示すように、中栓22は、台座22aと、筒部22bと、脚部22cと、弁体支持部22dと、係合部22eを備える。中栓22は、弁体21よりも剛性が高い材料(ポリオレフィンなど)で形成されており、内容物による内圧によっては、実質的に変形しない。
【0022】
台座22aは、支柱状であり、流通孔21aよりも直径が大きく、上面22a1が上側に凸の湾曲面になっている。内容物による内圧が環状部21bに加わっていないときは、図4及び図9に示すように、流通孔21aの縁が台座22aに当接することによって流通孔21aが閉塞される。
【0023】
弁体21は、図9に示すように、底21c1が台座22aに押し付けられるように、中栓22に装着される。この状態では、底21c1が台座22aに押し付けられることによって底21c1が台座22aの上面22a1の湾曲面に沿った形状になるように弾性変形している。底21c1がこのように弾性変形することによって流通孔21aの縁と上面22a1の間の密着性が高められている。また、台座22aの上面22a1が湾曲面になっているために、上面22a1が流通孔21a内にわずかに入り込むことによって流通孔21aの縁と台座22aの密着度がさらに高められている。
【0024】
筒部22bと台座22aの間には、脚部22cが設けられている。本実施形態では、複数(本実施形態では4本)の脚部22cが等間隔(本実施形態では90度間隔)で設けられている。台座22aは脚部22cによって支持されている。台座22aは、筒部22bと同軸上の位置に設けられており、脚部22cは、筒部22bの下端と台座22aの下部を連結するように設けられている。隣接する脚部22cの間の隙間22fを通じて内容物が流通可能になっている。隙間22fを通じて内容物による内圧が環状部21bに加えられる。
【0025】
筒部22bの内周面には弁体支持部22dが設けられている。フランジ21dが弁体支持部22d上に支持される。弁体支持部22dは、径方向外側に向かって低くなる(開口端9bから離れる)傾斜面になっている。弁体21のフランジ21dは、弁体支持部22dに対向する面が、弁体支持部22dと同様に傾斜する傾斜面となっている。このような構成によって、弁体21が弁体支持部22dに安定して支持される。
【0026】
筒部22bの外周面には、係合部22eが設けられている。係合部22eは、環状突起であり、中栓22をノズル23に係合させるために用いられる。
【0027】
<ノズル23>
図5A及び図8に示すように、ノズル23は、挿入筒部23aと、フランジ23bと、吐出筒部23cと、係止筒部23dと、規制壁23eと、吐出口23fと、連結壁23gと、係合部23h、流通孔23iとを備える。
【0028】
挿入筒部23aは、口部9内に挿入される。フランジ23bは、挿入筒部23aの外周面に設けられており、口部9の開口端9bに当接される。挿入筒部23a内に中栓22が配置される。挿入筒部23aの内周面には係合部23hが設けられている。係合部23hは、環状突起で構成されている。中栓22の係合部22eが係合部23hに係合されることによって中栓22がノズル23によって支持される。
【0029】
吐出筒部23cは、連結壁23gを介して挿入筒部23aに連結される。内容物は、吐出筒部23cを通じて吐出される。規制壁23eは、吐出筒部23c内に設けられており、規制壁23eによって内容物の吐出の勢いが低減される。規制壁23eは、吐出筒部23cの内周面から突出するように設けられている。規制壁23eは傾斜面23e1を有し、傾斜面23e1は、吐出筒部23cの内周面から離れるにつれて吐出口23fに近づくように傾斜する。規制壁23eは、図8Bに示すように、平面視で、弁体21の流通孔21aに重なるように設けられている。なお、本明細書において、「平面視で」とは、「平面図において」と言い換えることができ、別の表現では、「口部9の中心軸が延びる方向に見たときに」と言い換えることができる。図8に示すように、規制壁23eは、流通孔21aと同心の円弧部23e2を有するように設けられている。このため、吐出筒部23cの内面と規制壁23eの間の流通孔23iが扇形になっている。
【0030】
係止筒部23dは、挿入筒部23aの内側に設けられる。挿入筒部23aと係止筒部23dの間に中栓22の筒部22bが配置される。係止筒部23dは、弁体21の開口端9b側を係止するように構成されている。係止筒部23dの先端23d1は、径方向外側に向かって高くなる傾斜面になっている。フランジ21dは、先端23d1に対向する面が、先端23d1と同様に傾斜する傾斜面となっている。このような構成では、フランジ21dを挟む部材(弁体支持部22d,先端23d1)の間の距離が径方向内側に向かって狭まるので、弁体21が弁体支持部22dと先端23d1の間に安定して支持される。
【0031】
<カバー24>
図5Aに示すように、カバー24は、筒部24aと、上壁24bと、開口部24cと、係合部24dを備える。
【0032】
係合部24dは、筒部24aの内周面に設けられる。係合部24dが、口部9の係合部9aに係合されることによってカバー24が口部9に装着される。上壁24bは、筒部24aの上側に設けられる。上壁24bと開口端9bでフランジ23bを挟むことによってノズル23がカバー24と容器本体3の間に固定される。開口部24cは上壁24bに設けられている。吐出筒部23cは、開口部24cを通じてカバー24から突出するように設けられる。
【0033】
1-3.キャップ2の動作
次に、本実施形態に係るキャップ2の動作を説明する。
【0034】
収容部7に外力が加わっていないときは、内容物による内圧が環状部21bに加わらないので、図9に示すように、流通孔21aの縁が台座22aに当接することによって流通孔21aが閉塞される。
【0035】
収容部7に圧縮力を加えると、内容物による内圧が環状部21bに加わることによって弁体21が弾性変形し、これによって流通孔21aの縁が台座22aから離れて流通孔21aが開かれる。
【0036】
圧縮力が小さい場合には、弁体21は、図10に示すように、椀状部21cの底21c1が浮き上がるように弾性変形する。この時点でも流通孔21aの縁が台座22aから離れて流通孔21aが開かれている。このように、弁体21と台座22aで構成される逆止弁は、弁体21が台座22aからわずかに離れるだけで開かれるので、容器を軽く圧縮しただけで内容物を吐出することができる。
【0037】
収容部7に対して、より大きな圧縮力を加えると、弁体21は、図11に示すように、椀状部21cが反転するように弾性変形する。規制壁23eは、椀状部21cがこのように変形したときでも椀状部21cが接触しない位置に設けられている。このため、規制壁23eによって椀状部21cの変形が妨げられることがない。
【0038】
流通孔21aが開かれると、内容物は流通孔21aを通じて吐出筒部23cに向かって流出し、規制壁23eによって勢いが低減された後に吐出口23fから吐出される。
【0039】
収容部7への圧縮力が除かれると、弁体21の復元力によって椀状部21cが元の形状に復帰して、流通孔21aの縁が台座22aに当接することによって流通孔21aが再度、閉塞される。椀状部21cは、圧縮力が除去された時点からわずかに遅れて元の形状に復帰する。この時間差の間に液の流れによって台座22aから固形物が除去されるので、流通孔21aの縁と台座22aの間に固形物が挟まる虞が低減される。
【0040】
1-4.従来技術との対比
特許文献1のスリット弁では、サイズの大きな固形物の場合は、スリットに挟まりやすいが、本実施形態の構成の逆止弁では、流通孔21aの縁と台座22aの間隔を十分に大きくできるので、サイズの大きな固形物も挟まりにくい。
【0041】
さらに、特許文献1のスリット弁では、スリットは吐出弁の厚さ方向の全体に渡って設けられているので、スリット内の対向面が面当たり(面と面の接触)であるが、本実施形態の構成の逆止弁では、流通孔21aの縁と台座22aの接触面積を低減させることによって線当たり(線と線の接触)に近づけることが容易である。流通孔21aの縁と台座22aの接触面積を低減させる程、固形物が挟まりにくくなる。
【0042】
さらに、特許文献1のスリット弁は、弁の成形後に、スリットを刃物加工することが必須であり、その分だけ製造コストが高くなるが、本実施形態の弁体21は、成形時に流通孔を形成することが可能であるので、成形後の刃物加工が不要であり、製造コストが抑制可能である。
【0043】
また、環状弁座とその中央に設けられた円形の弁体で構成されるような逆止弁では、内容物からの圧力が弁体に偏って加わった場合には、弁体が傾斜したりして、内容物の吐出が安定しない場合があるが、本実施形態の構成の逆止弁では、内容物による内圧が環状部21bに加わって、環状部21bの全体が持ち上がるように弾性変形するので、弁体21が傾斜しにくく内容物の吐出が安定しやすい。
【0044】
2.第2実施形態
図12を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態と類似しており、ノズル23の吐出口23f及び吐出筒部23cの構成の違いが主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
【0045】
本実施形態では、ノズル23は、吐出口23fの位置が偏心されている。このため、図12Bに示すように、平面視で、吐出口23fと流通孔21aが同心になっていない。そして、吐出筒部23cには、吐出口23fに近づくにつれて吐出筒部23cが縮径されるように傾斜する規制壁23c1が設けられている。規制壁23c1は、平面視で流通孔21aに重なっており、第1実施形態の規制壁23eと同様に、内容物の吐出の勢いを低減させる。
【0046】
3.第3実施形態
図13を用いて、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態と類似しており、ノズル23の吐出口23f及び吐出筒部23cの構成の違いが主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
【0047】
本実施形態では、ノズル23は、吐出口23fの位置が偏心されていない。このため、図13Bに示すように、平面視で、吐出口23fと流通孔21aが同心になっている。吐出筒部23cは、吐出口23fに近づくにつれて縮径される縮径部23c2と、吐出口23fに近づくにつれて直径が変化しない一定径部23c3を備える。
【0048】
ノズル23内には、ノズル23の内面から突出する複数の(本実施形態では3つの)アーム23jが設けられている。複数のアーム23jは、周方向に等間隔になるように設けられている。各アーム23jは、縮径部23c2と一定径部23c3の境界近傍から容器内部に向かって斜め方向に突出するように設けられている。
【0049】
規制壁23kは、複数のアーム23jによって支持されている。規制壁23kは、図13Bに示すように、平面視で流通孔21aと同心になって重なっており、第1実施形態の規制壁23eと同様に、内容物の吐出の勢いを低減させる。内容物は、隣接するアーム23jの間の流通孔23lを通じて吐出される。本実施形態では、複数の流通孔23lが周方向に等間隔で設けられている。
【0050】
本実施形態では、規制壁23kが流通孔21aと同心になっており、且つ複数の流通孔23lが周方向に等間隔に設けられているので、容器の周方向の向きを気にせずに内容物を吐出させることができる。このように、本実施形態のノズル23は、周方向の方向性がないので、上蓋を装着する場合に、ノズル23に対して上蓋を周方向に位置決めする必要がない。このため、上蓋がねじ式で装着するものであっても問題がない。
【0051】
また、規制壁23kが吐出口23fから離れた位置に設けられているので、内容物が規制壁23k上に残留しても外部から視認しにくい。
【0052】
本実施形態のノズル23を装着した積層剥離容器1から内容物25を吐出する状態を図15Aに示す。内容物25は、規制壁23kに衝突した後に規制壁23kを回り込むように流れて吐出口23fから排出される。本実施形態では、吐出口23fが偏心されておらず、かつ吐出口23fの径が大きいので、吐出口23fを通る内容物25の流れが速く、吐出口23fと流通孔21aの間の空間23mは、通常は、内容物25によって充填されることがない。このため、吐出後に流通孔21aを通じて内袋14内に外気が侵入する現象(以下、「エアバック」)が起こりやすいという課題がある。このような課題は、第4実施形態によって解決される。
【0053】
4.第4実施形態
図14を用いて、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態と類似しており、ノズル23の吐出口23f及び吐出筒部23cの構成の違いが主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
【0054】
本実施形態では、ノズル23の吐出筒部23cは、本体筒部23c4と、縮径筒部23c5を有する。縮径筒部23c5は、円筒状であり、本体筒部23c4よりも断面積が小さい。縮径筒部23c5は、本体筒部23c4の天面部23c6において、偏心された位置に設けられており、本体筒部23c4と連通している。縮径筒部23c5の先端に吐出口23fが設けられている。図14Bに示すように、吐出口23fが平面視で流通孔21aに重ならないように配置されている。
【0055】
天面部23c6は、平面視で流通孔21aに重なっているため、流通孔21aを通過した内容物は、天面部23c6の内面に衝突し、吐出の勢いが低減される。このため、天面部23c6が規制壁として機能している。また、天面部23c6の内面が上に向かって凸になるように湾曲しているので、天面部23c6の内面に衝突した内容物が吐出口23fに導かれにくくなっている。このため、図15Bに示すように、吐出口23fと流通孔21aの間の空間23mが内容物25で満たされやすくなる。
【0056】
また、本実施形態の吐出口23fは、上述した実施形態に比べて細径になっているために、吐出口23fを通る内容物25の流れが遅い。このため、空間23mがより内容物25で一層満たされやすくなっている。平面視での、流通孔21aの開口面積をS1とし、吐出口23fの開口面積をS2とすると、S2/S1≦5であることが好ましい。S2/S1は、例えば0.2~5であり、具体的には例えば、0.2、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0057】
このように、本実施形態では、空間23mが内容物25で満たされやすくなっており、空間23mが内容物25で満たされることによってエアバックが抑制可能になっている。
【0058】
5.その他上記実施形態
本発明は、以下の態様でも実施可能である。
・本発明のキャップ2は、積層剥離容器1以外の容器、例えば、単層の容器であって、内容物の吐出に伴って容器全体が収縮するものに用いることも可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 :積層剥離容器
2 :キャップ
3 :容器本体
5 :弁部材
7 :収容部
7a :弁部材取付凹部
7b :空気流通溝
9 :口部
9a :係合部
9b :開口端
12 :外殻
14 :内袋
15 :外気導入孔
21 :弁体
21a :流通孔
21b :環状部
21c :椀状部
21c1 :底
21d :フランジ
21e :連結部
22 :中栓
22a :台座
22a1 :上面
22b :筒部
22c :脚部
22d :弁体支持部
22e :係合部
22f :隙間
23 :ノズル
23a :挿入筒部
23b :フランジ
23c :吐出筒部
23c1:規制壁
23c2:縮径部
23c3:一定径部
23c4:本体筒部
23c5:縮径筒部
23c6:天面部
23d :係止筒部
23d1 :先端
23e :規制壁
23e1 :傾斜面
23e2 :円弧部
23f :吐出口
23g :連結壁
23h :係合部
23i :流通孔
23j :アーム
23k :規制壁
23l :流通孔
23m :空間
24 :カバー
24a :筒部
24b :上壁
24c :開口部
24d :係合部
25 :内容物
G :空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9
図10
図11
図12
図13
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図15