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特許7231824半導体装置、半導体装置の製造方法及び電子装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-21
(45)【発行日】2023-03-02
(54)【発明の名称】半導体装置、半導体装置の製造方法及び電子装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20230222BHJP
   H01L 29/778 20060101ALI20230222BHJP
   H01L 29/812 20060101ALI20230222BHJP
【FI】
H01L29/80 H
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019066471
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020167275
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 敦史
【審査官】杉山 芳弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-157993(JP,A)
【文献】特開2011-119304(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0323297(US,A1)
【文献】特開2002-016087(JP,A)
【文献】特開2007-109830(JP,A)
【文献】特開2016-086108(JP,A)
【文献】特開2001-230407(JP,A)
【文献】特開2016-127089(JP,A)
【文献】特開2017-022270(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/778
H01L 29/812
H01L 21/338
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1窒化物半導体を含有するチャネル層と、
前記チャネル層上に設けられ、第2窒化物半導体を含有するバリア層と、
前記バリア層上の第1領域に設けられたキャップ構造と
前記バリア層上に設けられたゲート電極と、
前記ゲート電極両側の前記バリア層上にそれぞれ設けられたソース電極及びドレイン電極と
を含み、
前記キャップ構造は、
InGa1-xN(0<x<1)を含有する第1層と、
前記第1層上に設けられ、GaNを含有する第2層と
を有し、
前記キャップ構造が設けられる前記第1領域は、前記バリア層上の、前記ゲート電極下の少なくとも一部から前記ドレイン電極に到達するまでの領域であることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記チャネル層の前記バリア層との界面近傍に、二次元電子ガスが生成され、
前記バリア層上に設けられた前記キャップ構造の前記第1層は、圧縮ひずみを有することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記バリア層上の前記第1領域とは異なる第2領域の下方の前記チャネル層には、前記第1領域の下方の前記チャネル層よりも、高濃度の二次元電子ガスが生成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1層は、膜厚が2nm以下であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1層は、Inの組成xが0.20以下であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2層は、膜厚が2nm以上であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項7】
第1窒化物半導体を含有するチャネル層上に、第2窒化物半導体を含有するバリア層を形成する工程と、
前記バリア層上の第1領域に、キャップ構造を形成する工程と
前記バリア層上に、ゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極両側の前記バリア層上にそれぞれ、ソース電極及びドレイン電極を形成する工程と
を含み、
前記キャップ構造を形成する工程は、
InGa1-xN(0<x<1)を含有する第1層を形成する工程と、
前記第1層上に、GaNを含有する第2層を形成する工程と
を含み、
前記キャップ構造を形成する前記第1領域は、前記バリア層上の、前記ゲート電極下の少なくとも一部から前記ドレイン電極に到達するまでの領域であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
第1窒化物半導体を含有するチャネル層と、
前記チャネル層上に設けられ、第2窒化物半導体を含有するバリア層と、
前記バリア層上の第1領域に設けられたキャップ構造と
前記バリア層上に設けられたゲート電極と、
前記ゲート電極両側の前記バリア層上にそれぞれ設けられたソース電極及びドレイン電極と
を含み、
前記キャップ構造は、
InGa1-xN(0<x<1)を含有する第1層と、
前記第1層上に設けられ、GaNを含有する第2層と
を有し、
前記キャップ構造が設けられる前記第1領域は、前記バリア層上の、前記ゲート電極下の少なくとも一部から前記ドレイン電極に到達するまでの領域である半導体装置を備えることを特徴とする電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、半導体装置の製造方法及び電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体材料として窒化物半導体を用いた半導体装置が知られている。例えば、ガリウムナイトライド(GaN)を用いたチャネル層上に、アルミニウムガリウムナイトライド(AlGaN)を用いたバリア層を設け、チャネル層に二次元電子ガスを生成する半導体装置が知られている。このような半導体装置に関し、例えば、バリア層上にそのバリア層に対して所定の応力を与える絶縁体のパッシベーション膜を設ける技術が知られている。このほか、バリア層上にp型GaN等のキャップ層を設ける技術、バリア層上にインジウムガリウムナイトライド(InGaN)のキャップ層を設ける技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-267155号公報
【文献】特開2015-173151号公報
【文献】特開2009-32713号公報
【非特許文献】
【0004】
【文献】IEEEエレクトロンデバイスレターズ(IEEE Electron Device Letters)、2007年7月、第28巻、第7号、p.549~551
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
窒化物半導体を用いる上記のような半導体装置では、バリア層上に設けられる絶縁体のパッシベーション膜、p型GaN等やInGaNのキャップ層により、チャネル層に生成される二次元電子ガスの濃度が変調される。これを利用し、チャネル層に生成される二次元電子ガスの濃度を部分的に変調し、半導体装置の特性を高める試みもなされている。しかし、絶縁体のパッシベーション膜では、変調効果が小さく、十分な特性の半導体装置が得られない場合がある。p型GaN等のキャップ層では、それに含まれるp型不純物の他層への拡散によって、また、InGaNのキャップ層では、それ自体の熱等によるダメージによって、半導体装置の特性の劣化を招く場合がある。
【0006】
1つの側面では、本発明は、窒化物半導体を用い、優れた特性を有する半導体装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの態様では、第1窒化物半導体を含有するチャネル層と、前記チャネル層上に設けられ、第2窒化物半導体を含有するバリア層と、前記バリア層上の第1領域に設けられたキャップ構造と、前記バリア層上に設けられたゲート電極と、前記ゲート電極両側の前記バリア層上にそれぞれ設けられたソース電極及びドレイン電極とを含み、前記キャップ構造は、InGa1-xN(0<x<1)を含有する第1層と、前記第1層上に設けられ、GaNを含有する第2層とを有し、前記キャップ構造が設けられる前記第1領域は、前記バリア層上の、前記ゲート電極下の少なくとも一部から前記ドレイン電極に到達するまでの領域である半導体装置が提供される。
【0008】
また、1つの態様では、上記のような半導体装置の製造方法、上記のような半導体装置を備える電子装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
1つの側面では、窒化物半導体を用い、優れた特性を有する半導体装置を実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】半導体装置の例を示す図である。
図2】第1の実施の形態に係る半導体装置の一例について説明する図である。
図3】第1の実施の形態に係る半導体装置の一例のエネルギーバンド構造について説明する図である。
図4】第1の実施の形態に係る半導体装置の変形例について説明する図である。
図5】第2の実施の形態に係る半導体装置の一例について説明する図である。
図6】第2の実施の形態に係る半導体装置の第1の変形例について説明する図である。
図7】第2の実施の形態に係る半導体装置の第2の変形例について説明する図である。
図8】第3の実施の形態に係る半導体装置の一例について説明する図である。
図9】第4の実施の形態に係る半導体装置の一例について説明する図である。
図10】第4の実施の形態に係る半導体装置の形成方法の一例について説明する図(その1)である。
図11】第4の実施の形態に係る半導体装置の形成方法の一例について説明する図(その2)である。
図12】第4の実施の形態に係る半導体装置の形成方法の一例について説明する図(その3)である。
図13】第4の実施の形態に係る半導体装置の形成方法の一例について説明する図(その4)である。
図14】第4の実施の形態に係る半導体装置の形成方法の一例について説明する図(その5)である。
図15】第5の実施の形態に係る半導体装置の一例について説明する図である。
図16】第5の実施の形態に係る半導体装置の形成方法の一例について説明する図(その1)である。
図17】第5の実施の形態に係る半導体装置の形成方法の一例について説明する図(その2)である。
図18】第5の実施の形態に係る半導体装置の形成方法の一例について説明する図(その3)である。
図19】第5の実施の形態に係る半導体装置の形成方法の一例について説明する図(その4)である。
図20】第6の実施の形態に係る半導体装置の一例について説明する図である。
図21】第7の実施の形態に係る半導体パッケージの一例について説明する図である。
図22】第8の実施の形態に係る力率改善回路の一例について説明する図である。
図23】第9の実施の形態に係る電源装置の一例について説明する図である。
図24】第10の実施の形態に係る増幅器の一例について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
はじめに、窒化物半導体を用いた半導体装置の例について説明する。
図1は半導体装置の例を示す図である。図1(A)には、半導体装置の第1の例の要部断面図を模式的に示している。図1(B)には、半導体装置の第2の例の要部断面図を模式的に示している。
【0012】
図1(A)に示す半導体装置100Aは、高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor;HEMT)の一例である。半導体装置100Aは、窒化物半導体が用いられたチャネル層101と、チャネル層101上に設けられ、窒化物半導体が用いられたバリア層102とを有する。例えば、チャネル層101にはGaNが用いられ、バリア層102にはAlGaNが用いられる。バリア層102との接合界面近傍のチャネル層101内に、二次元電子ガス(Two Dimensional Electron Gas;2DEG)103が生成される。半導体装置100Aは更に、バリア層102上に設けられたキャップ層104Aと、キャップ層104A上に設けられたゲート電極105と、バリア層102上に設けられたソース電極106及びドレイン電極107とを有する。キャップ層104Aにはp型窒化物半導体、例えば、p型不純物としてマグネシウム(Mg)を含有したGaN(p型GaN)が用いられる。このようなキャップ層104A上に、ゲート電極105が設けられ、ゲート電極105両側のバリア層102上に、ソース電極106及びドレイン電極107が設けられる。ゲート電極105、ソース電極106及びドレイン電極107には、金属が用いられる。
【0013】
例示の半導体装置100Aは、p型GaNのキャップ層104Aの固定電荷により、ゲート電極105下方のチャネル層101とバリア層102との接合界面の伝導帯を押し上げ、2DEG103の生成を抑えようとするものである。
【0014】
また、図1(B)に示す半導体装置100Bは、HEMTの別例である。半導体装置100Bは、バリア層102上に設けられたキャップ層104BにInGaNが用いられる点で、上記半導体装置100Aと相違する。
【0015】
例示の半導体装置100Bにおいて、AlGaNのバリア層102上に設けられるInGaNのキャップ層104Bは、圧縮ひずみを有する。半導体装置100Bは、この圧縮歪みに起因してキャップ層104Bに発生するピエゾ分極により、ゲート電極105下方のチャネル層101とバリア層102との接合界面の伝導帯を押し上げ、2DEG103の生成を抑えようとするものである。
【0016】
半導体装置100A及び半導体装置100Bにおいて、ゲート電極105下方のチャネル層101に生成される2DEG103が抑えられれば、ゲート電圧オフ時にドレイン電極107とソース電極106との間に流れる電流が遮断される、ノーマリオフ型のHEMTが実現される。このようにチャネル層101の2DEG103の生成を部分的に抑えるように変調するために、半導体装置100A及び半導体装置100Bではそれぞれ、p型GaNを用いたキャップ層104A及びInGaNを用いたキャップ層104Bが設けられる。
【0017】
しかし、半導体装置100Aのように、キャップ層104Aにp型GaNを用いると、それに含有されるMg等のp型不純物がチャネル層101に拡散し、オン抵抗(Ron)の悪化を招く場合がある。更に、GaNに注入されるMg等のp型不純物の活性化率が低いために、キャップ層104Aの寄与が小さく、チャネル層101の2DEG103の濃度が十分に変調されない場合がある。p型不純物の活性化率が低いことから、GaNに多量のp型不純物を導入すると、前述のようなp型不純物のチャネル層101への拡散、オン抵抗の悪化が起こり易くなる。
【0018】
また、キャップ層104BにInGaNを用いる半導体装置100Bでは、その製造過程において、バリア層102上のキャップ層104Bの形成後、キャップ層104Bが表面に露出した状態で高温の熱に曝される場合がある。このようにキャップ層104Bが表面に露出した状態で高温の熱に曝されると、比較的熱に弱いインジウム(In)が脱離する等、キャップ層104Bがダメージを受け易くなる。キャップ層104Bがダメージを受けると、リーク電流が増大したり、チャネル層101の2DEG103の十分な変調効果が得られなかったりする場合がある。
【0019】
このように半導体装置100A及び半導体装置100Bでは、窒化物半導体を用い、低オン抵抗、低リーク電流、2DEG103の濃度変調によるノーマリオフ化等、十分な特性を実現することができない場合がある。
【0020】
以上のような点に鑑み、ここでは、以下に実施の形態として例示するような構成を採用し、窒化物半導体を用い、優れた特性を有する半導体装置を実現する。
[第1の実施の形態]
図2は第1の実施の形態に係る半導体装置の一例について説明する図である。図2には、半導体装置の一例の要部断面図を模式的に示している。
【0021】
図2に示す半導体装置10Aは、HEMTの一例である。半導体装置10Aは、チャネル層11、バリア層12、キャップ構造14、ゲート電極15、ソース電極16及びドレイン電極17を有する。
【0022】
チャネル層11は、所定の基板(図示せず)、例えば、シリコンカーバイド(SiC)等の基板やその上に核形成層又はバッファ層が形成された基板の上に設けられる。チャネル層11には、窒化物半導体、例えば、GaNが用いられる。このほか、チャネル層11には、InGaN、AlGaN、インジウムアルミニウムガリウムナイトライド(InAlGaN)等の窒化物半導体が用いられてもよい。チャネル層11は、1種の窒化物半導体の単層構造であってもよいし、1種又は2種以上の窒化物半導体の積層構造であってもよい。チャネル層11には、例えば、アンドープの窒化物半導体が用いられる。例えば、チャネル層11は、有機金属気相成長(Metal Organic Chemical Vapor Deposition;MOCVD、又はMetal Organic Vaper Phase Epitaxy;MOVPE)法を用いて所定の基板上に形成される。チャネル層11は、電子走行層とも称される。
【0023】
バリア層12は、チャネル層11上に設けられる。バリア層12には、窒化物半導体、例えば、AlGaNが用いられる。このほか、バリア層12には、インジウムアルミニウムナイトライド(InAlN)、InAlGaN、アルミニウムナイトライド(AlN)等の窒化物半導体が用いられてもよい。バリア層12は、1種の窒化物半導体の単層構造であってもよいし、1種又は2種以上の窒化物半導体の積層構造であってもよい。バリア層12には、例えば、アンドープの窒化物半導体が用いられる。例えば、バリア層12は、MOVPE法を用いてチャネル層11上に形成される。バリア層12は、電子供給層とも称される。
【0024】
ここで、チャネル層11及びバリア層12には、バンドギャップの異なる窒化物半導体が用いられる。チャネル層11上に、それよりもバンドギャップの大きい窒化物半導体を用いたバリア層12が設けられることで、バンド不連続を有するヘテロ接合構造が形成される。フェルミ準位がチャネル層11とバリア層12との接合界面の伝導帯よりも上(高エネルギー側)となるようにすることで、接合界面のチャネル層11に2DEG13が生成される。チャネル層11上に、それよりも格子定数の大きい窒化物半導体を用いたバリア層12が設けられることで、バリア層12にピエゾ分極が発生する。バリア層12に用いられる窒化物半導体の自発分極、及びその格子定数に起因して発生するピエゾ分極により、接合界面のチャネル層11に高濃度の2DEG13が生成される。チャネル層11及びバリア層12には、それらの接合界面近傍に、このように2DEG13が生成されるような組み合わせの窒化物半導体が用いられる。
【0025】
尚、図2には、チャネル層11とバリア層12との接合界面に沿ってその近傍に生成される2DEG13のうちの一部を消失させた状態を図示している。この点については後述する。
【0026】
キャップ構造14は、バリア層12上の一部の領域、この例では、ゲート電極15が設けられる領域に設けられる。キャップ構造14には、窒化物半導体が用いられる。キャップ構造14は、バリア層12上に設けられた下層側の第1のキャップ層14aと、そのキャップ層14a上に設けられた上層側の第2のキャップ層14bとを有する。下層側のキャップ層14aには、InGa1-xN(0<x<1)(単にInGaNとも記す)が用いられる。上層側のキャップ層14bには、GaNが用いられる。InGaNを含有するキャップ層14aは、図2に示すように、チャネル層11の一部の2DEG13の生成を抑える機能を有する。この点については後述する。GaNを含有するキャップ層14bは、比較的熱に弱いInを含有するキャップ層14aの表面を保護する機能を有する。
【0027】
下層側のキャップ層14aには、例えば、アンドープのInGaNが用いられる。キャップ層14aのInGaNは、例えば、MOVPE法を用いてバリア層12上に形成される。上層側のキャップ層14bには、例えば、アンドープのGaNが用いられる。キャップ層14bのGaNは、例えば、MOVPE法を用いてキャップ層14a上に形成される。
【0028】
ゲート電極15は、キャップ構造14上に設けられる。ゲート電極15とキャップ構造14との間には、酸化物、窒化物、酸窒化物等の保護膜が介在されてもよい。ゲート電極15は、ショットキー電極又はショットキーゲート電極として機能する。ゲート電極15には、金属が用いられる。例えば、ゲート電極15として、ニッケル(Ni)とその上に設けられた金(Au)とを有する金属電極が設けられる。ゲート電極15は、蒸着法等を用いて形成される。
【0029】
ソース電極16及びドレイン電極17は、ゲート電極15両側のバリア層12上に設けられる。ソース電極16及びドレイン電極17は、オーミック電極として機能するように、バリア層12上に設けられる。ソース電極16及びドレイン電極17には、金属が用いられる。例えば、ソース電極16及びドレイン電極17として、タンタル(Ta)とその上に設けられたアルミニウム(Al)とを有する金属電極が設けられる。ソース電極16及びドレイン電極17は、蒸着法等を用いて形成される。
【0030】
続いて、チャネル層11に生成される2DEG13の濃度変調について説明する。
図3は第1の実施の形態に係る半導体装置の一例のエネルギーバンド構造について説明する図である。図3(A)には、キャップ構造が設けられない領域におけるゲート電圧オフ時の厚さ方向のエネルギーバンド構造を示している。図3(B)には、キャップ構造が設けられる領域におけるゲート電圧オフ時の厚さ方向のエネルギーバンド構造を示している。
【0031】
ここでは、チャネル層11にGaNを用い、バリア層12にAlGaNを用いた半導体装置10Aを例にする。このような半導体装置10Aでは、バリア層12のAlGaNが、チャネル層11のGaNよりも、バンドギャップが大きく、格子定数が小さい。これに起因したバンド不連続と分極、及びフェルミ準位Efがバリア層12とチャネル層11との接合界面(AlGaN/GaN接合界面)の伝導帯Ecよりも上になることにより、図3(A)に示すように、AlGaN/GaN接合界面近傍に高濃度の2DEG13が生成される。
【0032】
上記図2に示した半導体装置10Aの、キャップ構造14が設けられない領域、即ちゲート電極15両側の領域の下方のチャネル層11には、この図3(A)に示すようなエネルギーバンド構造に基づき、2DEG13が生成される。
【0033】
半導体装置10Aでは、ゲート電極15が設けられる領域のAlGaNを用いたバリア層12上に、InGaNを用いたキャップ層14aとその上のGaNを用いたキャップ層14bとを有するキャップ構造14が設けられる。キャップ層14aのInGaNは、バリア層12のAlGaNよりも、大きな格子定数を有する。そのため、バリア層12のAlGaN上に設けられるキャップ層14aのInGaNは、圧縮ひずみを有する。この圧縮ひずみにより、キャップ層14aのInGaN中には、バリア層12のAlGaNに発生するのとは逆のピエゾ分極が発生する。このキャップ層14aのInGaN中に発生するピエゾ分極により、図3(B)に示すように、バリア層12のAlGaN及びチャネル層11のGaNの伝導帯Ecが押し上げられ、AlGaN/GaN接合界面近傍の2DEG13の生成が抑えられる。例えば、AlGaN/GaN接合界面の伝導帯Ecが、フェルミ準位Efよりも上まで押し上げられることで、2DEG13は消失する。
【0034】
上記図2に示した半導体装置10Aの、キャップ構造14が設けられた領域、即ちゲート電極15下方のチャネル層11では、この図3(B)に示すようなエネルギーバンド構造に基づき、2DEG13の生成が抑えられ、2DEG13が低減又は消失される。
【0035】
半導体装置10Aでは、チャネル層11に生成される2DEG13が、バリア層12上に設けられるキャップ層14aのInGaNにより、部分的に低濃度化されるように、変調される。この例では、ゲート電極15下方のチャネル層11の2DEG13が、他の部位よりも低濃度化されるように変調され、これにより、ノーマリオフ型のHEMTとして機能する半導体装置10Aが実現される。
【0036】
キャップ構造14について更に述べる。
上記のようにチャネル層11の2DEG13を部分的に低濃度化するキャップ層14aのInGaNは、比較的熱に弱いInを含有する。そのため、InGaNのキャップ層14aは、表面に露出した状態で数百℃といった高温に曝されると、Inが脱離する等のダメージを受け易い。例えば、半導体装置10Aの製造過程において、キャップ層14aのInGaNは、その形成後からその上に設けられるゲート電極15の形成終了までの間(パッシベーション膜やゲート電極の形成時等)、高温に曝され得る。高温に曝されてInGaNがダメージを受けてしまうと、リーク電流が増大したり、ゲート電極15下方のチャネル層11の2DEG13を十分に低濃度化することができなかったりすることが起こり得る。
【0037】
半導体装置10Aでは、このようなダメージを受け得るキャップ層14a上に、そのキャップ層14aのInGaNを保護するキャップ層14bが設けられる。このキャップ層14bには、GaNが用いられる。キャップ層14bのGaNは、キャップ層14aのInGaNをMOVPE法で形成する場合、その原料ガスを切り替えた(In源の供給を停止した)MOVPE法によって、InGaN上に連続して形成することができる。このようにキャップ層14aは、そのInGaNに連続して形成されるキャップ層14bのGaNによって保護されることで、表面に露出した状態で高温の熱に曝されることが回避される。これにより、バリア層12上には、チャネル層11の2DEG13を部分的に低濃度化するキャップ層14aとして、ダメージが抑えられたInGaNが形成される。
【0038】
キャップ層14aのInGaNがキャップ層14bのGaNによって保護され、そのInGaNのダメージが抑えられることで、ダメージを受けたInGaNに起因するリーク電流の発生が抑えられ、信頼性の高い半導体装置10Aが実現される。更に、GaNによる保護によってInGaNのダメージが抑えられることで、そのInGaNにより、ゲート電極15下方のチャネル層11の2DEG13の生成が十分に抑えられ、ノーマリオフ化が実現される。また、p型窒化物半導体をキャップ層に用いた場合に生じるようなp型不純物の拡散、それによるオン抵抗の悪化が回避される。InGaNとそれを保護するGaNとを有するキャップ構造14を設けることで、窒化物半導体を用いた、高信頼性、ノーマリオフ型、低オン抵抗といった優れた特性を有する半導体装置10Aが実現される。
【0039】
ところで、ノーマリオフ化を実現するための技術の1つとして、AlGaN等が用いられるバリア層の厚さや組成を調整し、分極効果による2DEGの発生を抑えるものがある。しかし、この技術では、チャネル層の2DEG濃度が減少すると共にチャネル層の抵抗が増大し、オン抵抗の増大を招いてしまう。従って、この技術では、ノーマリオフ化と低オン抵抗の両立が難しい。これに対し、半導体装置10Aでは、ゲート電極15が設けられる領域のバリア層12上に、上記のようなキャップ構造14が設けられる。これにより、低オン抵抗を実現しつつ、ゲート電極15下方のチャネル層11の2DEG13の部分的な低濃度化、それによるノーマリオフ化が実現される。
【0040】
上記のような構成を有する半導体装置10Aについて行ったシミュレーションの結果の一例を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
表1には、キャップ構造14が設けられる「キャップ構造あり」の領域と、キャップ構造14が設けられない「キャップ構造なし」の領域の、チャネル層11の2DEG13の濃度[cm-3]及びシート抵抗[Ω/□]のシミュレーション結果の一例を示している。表1より、チャネル層11の2DEG13の濃度は、「キャップ構造あり」の領域、即ちゲート電極15下方では、「キャップ構造なし」の領域、即ちゲート電極15両側の領域の下方に比べて、大幅に低減する。更に、チャネル層11のシート抵抗は、「キャップ構造あり」の領域では、「キャップ構造なし」の領域に比べて、大幅に増大する。
【0043】
このように、上記半導体装置10Aでは、キャップ構造14により、チャネル層11に生成される2DEG13が、ゲート電極15下方で低濃度化されるように変調され、ノーマリオフ化される。ゲート電極15が設けられる領域にキャップ構造14が設けられることで、優れたデバイス特性を有する半導体装置10Aが実現される。
【0044】
キャップ構造14において、そのキャップ層14aのInGaNの厚さは、2nm以下とすることが好ましい。キャップ層14aのInGaNの厚さが2nmを上回ると、キャップ層14aに電子がリークする可能性が高まり、キャップ層14aの耐圧が低下し得るためである。更に、キャップ構造14において、そのキャップ層14aのInGaNのIn組成xは、0.05以上0.20以下(0.05≦x≦0.20)の範囲とすることが好ましい。In組成xが0.05を下回ると、GaNとの差異が小さくなり、InGaNを設けることによる効果が小さくなり得るためである。In組成xが0.20を上回ると、キャップ層14aに電子がリークする可能性が高まり、キャップ層14aの耐圧が低下し得るためである。更に、In組成xが0.20を上回ると、バリア層12のAlGaNとの格子不整合が大きくなり、適切なピエゾ分極が得られず、InGaNを設けることによる効果が小さくなり得るためである。
【0045】
また、キャップ構造14において、そのキャップ層14bのGaNの厚さは、2nm以上とすることが好ましい。キャップ層14bのGaNの厚さが2nmを下回ると、キャップ層14aのInGaNの表面がGaNによって十分に被覆されず、InGaNのダメージを十分に抑えられなくなり得るためである。
【0046】
InGaNのキャップ層14aとそれを保護するGaNのキャップ層14bとを有するキャップ構造14の厚さは、例えば、その上に設けられるゲート電極15の電界による適切なオンオフ動作の実現等の観点から、5nm以下に設定することができる。
【0047】
尚、ゲート電極15は、必ずしもその全体がキャップ構造14の上面上に設けられることを要しない。
図4は第1の実施の形態に係る半導体装置の変形例について説明する図である。図4には、半導体装置の一例の要部断面図を模式的に示している。
【0048】
図4に示す半導体装置10Bは、ゲート電極15の一部がキャップ構造14の上面14c上に設けられ、ゲート電極15の他部がバリア層12の上面12c上に設けられた構成を有する点で、上記半導体装置10Aと相違する。半導体装置10Bでは、キャップ構造14の一側面(キャップ層14aのInGaNの一側面及びキャップ層14bのGaNの一側面)が、ゲート電極15で被覆される。
【0049】
このような半導体装置10Bにおいても、キャップ構造14により、チャネル層11に生成される2DEG13が、ゲート電極15下方で部分的に低濃度化されるように変調される。これにより、ノーマリオフ化が実現される。
【0050】
このほか、ゲート電極15は、バリア層12上に設けられたキャップ構造14の上面及び側面を全て覆うように、キャップ構造14よりも大きな寸法で設けられてもよい。また、ゲート電極15は、その縁が、バリア層12上に設けられたキャップ構造14の縁よりも内側に位置するように、キャップ構造14も小さな寸法で設けられてもよい。
【0051】
[第2の実施の形態]
図5は第2の実施の形態に係る半導体装置の一例について説明する図である。図5には、半導体装置の一例の要部断面図を模式的に示している。
【0052】
図5に示す半導体装置10Cは、HEMTの一例である。半導体装置10Cは、チャネル層11、バリア層12、キャップ構造14、ゲート電極15、ソース電極16及びドレイン電極17を有する。半導体装置10Cは、キャップ構造14が、ゲート電極15とドレイン電極17との間のバリア層12上に設けられた構成を有する。この例では、バリア層12上の、ゲート電極15下の一部からドレイン電極17に到達するまでの領域に、キャップ構造14が設けられる。ゲート電極15の一部は、キャップ構造14の上面14c上に設けられ、ゲート電極15の他部は、バリア層12の上面12c上に設けられる。このように半導体装置10Cは、ゲート電極15とドレイン電極17との間のバリア層12上にキャップ構造14を有する点で、上記第1の実施の形態で述べた半導体装置10A(図2)と相違する。
【0053】
半導体装置10Cのキャップ構造14は、上記半導体装置10Aと同様に、InGaNのキャップ層14aとその表面を保護するGaNのキャップ層14bとを有する。半導体装置10Cでは、このようなキャップ構造14が、ゲート電極15とドレイン電極17との間のバリア層12上に設けられる。半導体装置10Cでは、このようにバリア層12上に設けられるキャップ構造14により、その下方のチャネル層11の2DEG13が低濃度化される。
【0054】
即ち、半導体装置10Cにおいても、上記半導体装置10Aについて述べたのと同様に、AlGaN等のバリア層12上に設けられるキャップ層14aのInGaNが有する圧縮ひずみにより、そのInGaN中にピエゾ分極が発生する。このキャップ層14aのInGaN中に発生するピエゾ分極により、ゲート電極15とドレイン電極17との間の領域に対応する、チャネル層11とバリア層12との接合界面の伝導帯Ecが押し上げられ、2DEG13の生成が抑えられる。これにより、ゲート電極15とドレイン電極17との間の領域の、その下方のチャネル層11の2DEG13が低濃度化される。
【0055】
このように、ゲート電極15とドレイン電極17との間のバリア層12上にキャップ構造14が設けられ、その下方のチャネル層11の2DEG13が低濃度化されることで、高耐圧の半導体装置10Cが実現される。ゲート電極15とドレイン電極17との間に生じる電界を緩和し、高いドレイン電圧が印加される条件が用いられても適正に動作する、優れたデバイス特性を有する半導体装置10Cが実現される。
【0056】
半導体装置10Cでは、上記半導体装置10Aについて述べたのと同様に、キャップ層14aのInGaNが、その上に形成されるキャップ層14bのGaNによって保護される。これにより、キャップ層14aのInGaNからInが脱離する等のダメージが抑えられ、リーク電流の発生が抑えられる、信頼性の高い半導体装置10Cが実現される。
【0057】
上記のような構成を有する半導体装置10Cについて行ったシミュレーションの結果の一例を表2に示す。
【0058】
【表2】
【0059】
表2には、キャップ構造14が設けられる「ドレイン側」と、キャップ構造14が設けられない「ソース側」の、チャネル層11の2DEG13の濃度[×1012cm-3]及びシート抵抗[Ω/□]のシミュレーション結果の一例を示している。表2より、「ドレイン側」のチャネル層11の2DEG13の濃度は、「ソース側」のチャネル層11の2DEG13の濃度に比べて低くなる。更に、「ドレイン側」のチャネル層11のシート抵抗は、「ソース側」のチャネル層11のシート抵抗に比べて高くなる。
【0060】
このように、半導体装置10Cでは、キャップ構造14により、チャネル層11に生成される2DEG13が、ゲート電極15とドレイン電極17との間の領域の下方で低濃度化されるように変調され、高耐圧化される。ゲート電極15とドレイン電極17との間にキャップ構造14が設けられることで、高耐圧で優れたデバイス特性を有する半導体装置10Cが実現される。
【0061】
尚、半導体装置10Cにおいても、上記半導体装置10Aについて述べたのと同様に、キャップ層14aのInGaNは、その厚さを2nm以下とすることが好ましく、そのIn組成xを0.05以上0.20以下の範囲とすることが好ましい。また、キャップ層14bのGaNは、その厚さを2nm以上とすることが好ましい。InGaNのキャップ層14aとそれを保護するGaNのキャップ層14bとを有するキャップ構造14の厚さは、例えば、5nm以下に設定することができる。
【0062】
図6は第2の実施の形態に係る半導体装置の第1の変形例について説明する図である。図6には、半導体装置の一例の要部断面図を模式的に示している。
図6に示す半導体装置10Dは、ゲート電極15の全体がキャップ構造14(そのキャップ層14b)の上面14c上に設けられる点で、上記半導体装置10C(図5)と相違する。
【0063】
半導体装置10Dによっても、キャップ構造14により、ゲート電極15(その全体)下からドレイン電極17までの領域の、その下方のチャネル層11の2DEG13が低濃度化され、高耐圧化が実現される。
【0064】
図7は第2の実施の形態に係る半導体装置の第2の変形例について説明する図である。図7には、半導体装置の一例の要部断面図を模式的に示している。
図7に示す半導体装置10Eは、ゲート電極15がソース電極16側に偏って設けられ、ゲート電極15とドレイン電極17との間隔が、ゲート電極15とソース電極との間隔よりも広い、非対称構造を有する点で、上記半導体装置10Cと相違する。
【0065】
半導体装置10Eでは、このように間隔を広げられたゲート電極15とドレイン電極17との間のバリア層12上に、InGaNのキャップ層14aとそれを保護するGaNのキャップ層14bとを有するキャップ構造14が設けられる。
【0066】
半導体装置10Eによっても、キャップ構造14により、ゲート電極15とドレイン電極17との間の領域の、その下方のチャネル層11の2DEG13が低濃度化され、高耐圧化が実現される。更に、半導体装置10Eでは、ゲート電極15とドレイン電極17との間隔が広げられることで、それらの間に生じる電界の緩和効果が高められ、耐圧が向上される。
【0067】
尚、第2の実施の形態で述べた半導体装置10C,10D,10Eは、上記第1の実施の形態で述べた半導体装置10A,10Bと、共通の1枚の基板上に混載されてもよい。例えば、1枚の基板上に、半導体装置10Aと半導体装置10Cとが混載された半導体装置等を得ることもできる。
【0068】
[第3の実施の形態]
図8は第3の実施の形態に係る半導体装置の一例について説明する図である。図8には、半導体装置の一例の要部断面図を模式的に示している。
【0069】
図8に示す半導体装置10Fは、ショットキーバリアダイオード(Schottky Barrier Diode;SBD)の一例である。半導体装置10Fは、チャネル層11、バリア層12、キャップ構造14、カソード電極18(オーミック電極)及びアノード電極19(ショットキー電極)を有する。
【0070】
半導体装置10Fのチャネル層11及びバリア層12には、上記半導体装置10A(図2)等について述べたのと同様の窒化物半導体が用いられる。半導体装置10Fのキャップ構造14は、InGaNのキャップ層14aとその表面を保護するGaNのキャップ層14bとを有する。半導体装置10Fのキャップ構造14は、カソード電極18とアノード電極19との間のバリア層12上の、アノード電極19寄りの一部の領域に設けられる。半導体装置10Fのカソード電極18及びアノード電極19には、金属が用いられる。カソード電極18は、オーミック電極として機能するようにバリア層12上に設けられ、アノード電極19は、ショットキー電極として機能するようにバリア層12上に設けられる。
【0071】
一般に、SBDでは、逆方向バイアスの印加時に、ショットキー接続されるアノード電極側に電界が集中し易い。半導体装置10Fでは、バリア層12上のアノード電極19寄りの一部の領域にキャップ構造14が設けられ、その領域の下方のチャネル層11の2DEG13が低濃度化されることで、逆方向バイアス印加時のアノード電極19側の電界が緩和される。これにより、逆方向耐圧の高いSBDが実現される。
【0072】
尚、第3の実施の形態で述べた半導体装置10Fは、上記第1の実施の形態で述べた半導体装置10A,10Bや上記第2の実施の形態で述べた半導体装置10C,10D,10Eと、共通の1枚の基板上に混載されてもよい。例えば、1枚の基板上に、半導体装置10Aと半導体装置10Fとが混載された半導体装置や、1枚の基板上に、半導体装置10Cと半導体装置10Fとが混載された半導体装置等を得ることもできる。或いは、1枚の基板上に、半導体装置10A及び半導体装置10Cと、半導体装置10Fとが混載された半導体装置等を得ることもできる。
【0073】
[第4の実施の形態]
ここでは、上記第1の実施の形態で述べたような構成を含む半導体装置及びその形成方法の一例について説明する。
【0074】
図9は第4の実施の形態に係る半導体装置の一例について説明する図である。図9には、半導体装置の一例の要部断面図を模式的に示している。
図9に示す半導体装置10Gは、HEMTの一例である。半導体装置10Gは、基板20と、その上に設けられた核形成層21とを有する。基板20には、例えば、半絶縁性SiC基板が用いられる。核形成層21には、窒化物半導体、例えば、AlNが用いられる。核形成層21は、例えば、MOVPE法を用いて形成される。
【0075】
基板20上に設けられた核形成層21上に、上記第1の実施の形態で述べたようなチャネル層11及びバリア層12が設けられる。チャネル層11及びバリア層12には、上記半導体装置10A(図2)等について述べたのと同様の窒化物半導体が用いられる。例えば、チャネル層11にはGaNが用いられ、バリア層12にはAlGaNが用いられる。バリア層12上の一部の領域に、InGaNのキャップ層14aとその表面を保護するGaNのキャップ層14bとを有するキャップ構造14が設けられる。キャップ構造14上に、ゲート電極15が設けられ、ゲート電極15両側のバリア層12上に、ソース電極16及びドレイン電極17が設けられる。ゲート電極15両側のバリア層12上、並びにソース電極16及びドレイン電極17上には、パッシベーション膜22が設けられる。
【0076】
半導体装置10Gでは、バリア層12上の、ゲート電極15が設けられる領域に、キャップ構造14が設けられる。このバリア層12上に設けられるキャップ構造14の、InGaNのキャップ層14aに発生するピエゾ分極により、伝導帯が押し上げられ、ゲート電極15が設けられる領域に対応するチャネル層11の2DEG13が低濃度化される。これにより、ノーマリオフ型のHEMTとして機能する半導体装置10Gが実現される。更に、半導体装置10Gでは、InGaNのキャップ層14a上に、それを保護するGaNのキャップ層14bが設けられる。これにより、ノーマリオフ型のHEMTとして機能する、高信頼性の半導体装置10Gが実現される。
【0077】
続いて、上記構成を有する半導体装置10Gの形成方法の一例について説明する。
図10図14は第4の実施の形態に係る半導体装置の形成方法の一例について説明する図である。図10図14にはそれぞれ、半導体装置形成の各工程の一例の要部断面図を模式的に示している。
【0078】
まず、図10に示すように、基板20上に、MOVPE法を用いて、核形成層21、チャネル層11、バリア層12、キャップ層14a及びキャップ層14bが順次成長される。ここでは、基板20に半絶縁性SiC基板が用いられ、その上に、AlNの核形成層21、GaNのチャネル層11、AlGa1-yN(0<y<1)のバリア層12、InGa1-xN(0<x<1)のキャップ層14a及びGaNのキャップ層14bが成長される場合を例にする。例えば、基板20上に、厚さ100nmのAlNの核形成層21が成長され、その上に、厚さ3μmのGaNのチャネル層11が成長され、その上に、厚さ6nmのAl0.4Ga0.6Nのバリア層12が成長される。このバリア層12上に、例えば、厚さ1nmのIn0.2Ga0.8Nのキャップ層14aが成長され、その上に、厚さ3nmのGaNのキャップ層14bが成長される。
【0079】
MOVPE法を用いた各層の成長において、AlNの成長には、Al源であるトリメチルアルミニウム(Tri-Methyl-Aluminum;TMAl)とアンモニア(NH)との混合ガスが用いられる。GaNの成長には、ガリウム(Ga)源であるトリメチルガリウム(Tri-Methyl-Gallium;TMGa)とNHとの混合ガスが用いられる。AlGaNの成長には、TMAlとTMGaとNHとの混合ガスが用いられる。InGaNの成長には、In源であるトリメチルインジウム(Tri-Methyl-Indium;TMIn)とTMGaとNHとの混合ガスが用いられる。成長する窒化物半導体に応じて、TMAl、TMGa、TMInの供給と停止(切り替え)、供給時の流量(他原料との混合比)が適宜設定される。成長圧力は、1kPa~100kPa程度、成長温度は600℃~1200℃程度とされる。
【0080】
図10に示す工程では、InGaNのキャップ層14aの成長後、続けてGaNのキャップ層14bを成長することができる。これにより、InGaNがGaNで保護される。このようにInGaNがGaNで保護されることで、後述する以降の工程において、InGaNが表面に露出した状態で高温に曝されることが回避される。これにより、InGaNからのInの脱離等が抑えられ、所定の組成のInGaNを含有するキャップ層14aを備える半導体装置10Gが形成されるようになる。
【0081】
各層の成長後、InGaNのキャップ層14a及びGaNのキャップ層14bが、図11に示すように、バリア層12上の一部の領域(ゲート電極15を形成する領域)に設けられるようにパターニングされ、キャップ構造14が形成される。
【0082】
その際は、まず、成長された最上層のGaNのキャップ層14b上に、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて、保護膜(図示せず)が形成される。保護膜の形成には、原子層堆積(Atomic Layer Deposition;ALD)法、スパッタ法等が用いられてもよい。保護膜には、例えば、シリコン(Si)、Al、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、Ta又はタングステン(W)を含む酸化物、窒化物又は酸窒化物が用いられる。例えば、保護膜として、酸化シリコン(SiO)が形成される。形成された保護膜上に、フォトリソグラフィ技術を用いて、ゲート電極15を形成する領域以外の部位に開口を有するレジストが形成され、これをマスクとするエッチング、例えば、フッ素系又は塩素系ガスを用いたドライエッチングが行われる。このエッチングにより、レジストの開口から露出する保護膜、その下のGaNのキャップ層14b及びInGaNのキャップ層14aが除去される。このような方法により、図11に示すような、ゲート電極15を形成する領域のバリア層12上に、InGaNのキャップ層14aとGaNのキャップ層14bとを有するキャップ構造14が形成された状態が得られる。保護膜は、キャップ構造14上に残存されてもよいし(図示せず)、キャップ構造14上から除去されてもよい。
【0083】
キャップ構造14の形成後、フォトリソグラフィ技術を用いて、素子間分離領域に開口を有するレジストが設けられ、エッチング(塩素系ガスを用いたドライエッチング等)又はイオン注入により、素子間分離領域(図示せず)が形成されてもよい。
【0084】
次いで、図12に示すように、キャップ構造14両側のバリア層12上に、ソース電極16及びドレイン電極17が形成される。その際は、まず、フォトリソグラフィ技術、蒸着技術及びリフトオフ技術を用いて、ソース電極16及びドレイン電極17を形成する領域のバリア層12上に、電極用金属、例えば、厚さ20nmのTaと厚さ200nmのAlとの積層体が形成される。その後、窒素雰囲気中、400℃~1000℃、例えば、550℃で熱処理が行われ、電極用金属がオーミック接続される。このような方法により、図12に示すような、キャップ構造14両側のバリア層12上に、ソース電極16及びドレイン電極17が形成された状態が得られる。
【0085】
次いで、図13に示すように、キャップ構造14、ソース電極16及びドレイン電極17が形成されたバリア層12上に、パッシベーション膜22が形成される。例えば、プラズマCVD法を用いて、厚さ2nm~500nm、例えば、厚さ100nmのパッシベーション膜22が形成される。パッシベーション膜22の形成には、ALD法、スパッタ法等が用いられてもよい。パッシベーション膜22には、例えば、Si、Al、Hf、Zr、Ti、Ta又はWを含む酸化物、窒化物又は酸窒化物が用いられる。例えば、パッシベーション膜22として、窒化シリコン(SiN)が形成される。このような方法により、図13に示すような、キャップ構造14、ソース電極16及びドレイン電極17が形成されたバリア層12上に、パッシベーション膜22が形成された状態が得られる。
【0086】
次いで、図14に示すように、ゲート電極15を形成する領域のパッシベーション膜22が除去され、キャップ構造14が露出される。その際は、まず、フォトリソグラフィ技術を用いて、ゲート電極15を形成する領域に開口を有するレジストが形成され、これをマスクとするエッチングが行われる。このエッチングにより、レジストの開口から露出するパッシベーション膜22が除去される。パッシベーション膜22のエッチングは、例えば、フッ素系又は塩素系ガスを用いたドライエッチングによって行われる。このほか、パッシベーション膜22のエッチングは、フッ酸やバッファードフッ酸等を用いたウェットエッチングによって行われてもよい。このような方法により、図14に示すような、ゲート電極15を形成する領域のパッシベーション膜22が除去されてキャップ構造14が露出された状態が得られる。
【0087】
尚、パッシベーション膜22をエッチングする際のマスクとするレジストの開口位置や開口サイズは、適宜設定することができる。例えば、レジストをマスクとするエッチングによってパッシベーション膜22が除去された部位から、キャップ構造14の全部又は一部とバリア層12の一部とが露出した状態や、キャップ構造14の上面の一部のみが露出した状態等を得ることもできる。
【0088】
その後、フォトリソグラフィ技術、蒸着技術及びリフトオフ技術を用いて、パッシベーション膜22から露出するキャップ構造14上に、電極用金属、例えば、厚さ30nmのNiと厚さ400nmのAuとの積層体が形成され、ゲート電極15が形成される。これにより、上記図9に示したような半導体装置10Gが得られる。
【0089】
尚、ここでは半導体装置10Gのチャネル層11に単層構造のGaNを用い、バリア層12に単層構造のAlGaNを用いる例を示したが、チャネル層11及びバリア層12の構成は、この例に限定されるものではない。例えば、半導体装置10Gにおいて、チャネル層11には、InGaN、AlGaN、InAlGaN等の窒化物半導体が用いられてもよく、1種の窒化物半導体の単層構造が用いられてもよいし、1種又は2種以上の窒化物半導体の積層構造が用いられてもよい。また、半導体装置10Gにおいて、バリア層12には、InAlN、InAlGaN、AlN等の窒化物半導体が用いられてもよく、1種の窒化物半導体の単層構造が用いられてもよいし、1種又は2種以上の窒化物半導体の積層構造が用いられてもよい。
【0090】
また、半導体装置10Gのゲート電極15、ソース電極16及びドレイン電極17に用いる金属の種類及び層構造は上記の例に限定されるものではなく、それらの形成方法も上記の例に限定されるものではない。ゲート電極15、ソース電極16及びドレイン電極17にはそれぞれ、単層構造が用いられてもよいし、積層構造が用いられてもよい。ソース電極16及びドレイン電極17の形成時には、それらの電極用金属の形成によってオーミック接続が実現されるようであれば、必ずしも上記のような熱処理が行われることを要しない。ゲート電極15の形成時には、その電極用金属の形成後、更に熱処理が行われてもよい。
【0091】
また、ここでは半導体装置10Gの基板20に半絶縁性SiC基板を用いる例を示したが、電界効果トランジスタの機能を持つ構造部に窒化物半導体が用いられていれば、他の基板材料が用いられてもよい。基板20は、半絶縁性であってもよいし、導電性であってもよい。基板20には、半絶縁性SiC基板のほか、導電性SiC基板、サファイヤ基板、GaN基板、Si基板、ダイヤモンド基板等が用いられてもよい。
【0092】
[第5の実施の形態]
ここでは、上記第2の実施の形態で述べたような構成を含む半導体装置及びその形成方法の一例について説明する。
【0093】
図15は第5の実施の形態に係る半導体装置の一例について説明する図である。図15には、半導体装置の一例の要部断面図を模式的に示している。
図15に示す半導体装置10Hは、HEMTの一例である。半導体装置10Hは、基板20と、その上に設けられた核形成層21とを有する。基板20には、例えば、半絶縁性SiC基板が用いられる。核形成層21には、窒化物半導体、例えば、AlNが用いられる。基板20上に設けられた核形成層21上に、チャネル層11及びバリア層12が設けられる。例えば、チャネル層11にはGaNが用いられ、バリア層12にはAlGaNが用いられる。バリア層12上に、InGaNのキャップ層14aとその表面を保護するGaNのキャップ層14bとを有するキャップ構造14、並びにゲート電極15、ソース電極16及びドレイン電極17が設けられる。キャップ構造14は、ゲート電極15とドレイン電極17との間のバリア層12上に設けられる。ゲート電極15両側のバリア層12上、ソース電極16及びドレイン電極17上、並びにゲート電極15とドレイン電極17との間のキャップ構造14上には、パッシベーション膜22が設けられる。
【0094】
半導体装置10Hでは、バリア層12上の、ゲート電極15とドレイン電極17との間の領域に、キャップ構造14が設けられる。このバリア層12上に設けられるキャップ構造14の、InGaNのキャップ層14aに発生するピエゾ分極により、伝導帯が押し上げられ、ゲート電極15とドレイン電極17との間の領域に対応する、その領域の下方のチャネル層11の2DEG13が低濃度化される。これにより、HEMTとして機能する、高耐圧の半導体装置10Hが実現される。更に、半導体装置10Hでは、InGaNのキャップ層14a上に、それを保護するGaNのキャップ層14bが設けられる。これにより、HEMTとして機能する、高信頼性の半導体装置10Hが実現される。
【0095】
続いて、上記構成を有する半導体装置10Hの形成方法の一例について説明する。
図16図19は第5の実施の形態に係る半導体装置の形成方法の一例について説明する図である。図16図19にはそれぞれ、半導体装置形成の各工程の一例の要部断面図を模式的に示している。
【0096】
半導体装置10Hの形成では、まず、上記第4の実施の形態で述べた半導体装置10Gの形成と同様に、基板20上に、MOVPE法を用いて、核形成層21、チャネル層11、バリア層12、キャップ層14a及びキャップ層14bが順次成長される(図10)。例えば、基板20に半絶縁性SiC基板が用いられ、その基板20上に、厚さ100nmのAlNの核形成層21が成長され、その上に、厚さ3μmのGaNのチャネル層11が成長され、その上に、厚さ6nmのAl0.5Ga0.5Nのバリア層12が成長される。このバリア層12上に、例えば、厚さ1nmのIn0.2Ga0.8Nのキャップ層14aが成長され、その上に、厚さ3nmのGaNのキャップ層14bが成長される。
【0097】
InGaNのキャップ層14aの成長後、続けてGaNのキャップ層14bが成長され、InGaNがGaNで保護されることで、後述する以降の工程において、InGaNが表面に露出した状態で高温に曝されることが回避される。これにより、InGaNからのInの脱離等が抑えられ、所定の組成のInGaNを含有するキャップ層14aを備える半導体装置10Hが形成されるようになる。
【0098】
各層の成長後、InGaNのキャップ層14a及びGaNのキャップ層14bが、図16に示すように、バリア層12上の一部の領域(ゲート電極15とドレイン電極17との間となる領域)に設けられるようにパターニングされ、キャップ構造14が形成される。その際は、最上層のGaNのキャップ層14b上に保護膜(図示せず)が形成され、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて、ゲート電極15とドレイン電極17との間の領域以外の保護膜、キャップ層14b及びキャップ層14aが除去される。これにより、図16に示すような、キャップ構造14がバリア層12上の一部の領域に形成された状態が得られる。保護膜は、キャップ構造14上に残存されてもよいし(図示せず)、キャップ構造14上から除去されてもよい。
【0099】
キャップ構造14の形成後には、素子間分離領域(図示せず)が形成されてもよい。
次いで、図17に示すように、バリア層12上に、ソース電極16及びドレイン電極17が形成される。その際は、まず、フォトリソグラフィ技術、蒸着技術及びリフトオフ技術を用いて、ソース電極16及びドレイン電極17を形成する領域のバリア層12上に、電極用金属、例えば、厚さ20nmのTaと厚さ200nmのAlとの積層体が形成される。その後、窒素雰囲気中、400℃~1000℃、例えば、550℃で熱処理が行われ、電極用金属がオーミック接続される。これにより、図17に示すような、バリア層12上に、ソース電極16及びドレイン電極17が形成された状態が得られる。
【0100】
次いで、図18に示すように、キャップ構造14、ソース電極16及びドレイン電極17が形成されたバリア層12上に、パッシベーション膜22が形成される。例えば、プラズマCVD法、ALD法、スパッタ法等を用いて、厚さ2nm~500nm、例えば、厚さ100nmのパッシベーション膜22が形成される。パッシベーション膜22には、例えば、Si、Al、Hf、Zr、Ti、Ta又はWを含む酸化物、窒化物又は酸窒化物が用いられる。例えば、パッシベーション膜22として、SiNが形成される。これにより、図18に示すような、キャップ構造14、ソース電極16及びドレイン電極17が形成されたバリア層12上に、パッシベーション膜22が形成された状態が得られる。
【0101】
次いで、図19に示すように、ゲート電極15を形成する領域のパッシベーション膜22が除去される。その際は、まず、フォトリソグラフィ技術を用いて、ゲート電極15を形成する領域に開口を有するレジストが形成され、これをマスクとするエッチングが行われる。このエッチングにより、レジストの開口から露出するパッシベーション膜22が除去される。パッシベーション膜22のエッチングは、例えば、フッ素系又は塩素系ガスを用いたドライエッチング、或いはフッ酸やバッファードフッ酸等を用いたウェットエッチングによって行われる。これにより、図19に示すような、ゲート電極15を形成する領域のパッシベーション膜22が除去された状態が得られる。パッシベーション膜22が除去された領域には、キャップ構造14の端部が露出されていてもよい。
【0102】
尚、パッシベーション膜22をエッチングする際のマスクとするレジストの開口位置や開口サイズは、適宜設定することができる。例えば、レジストをマスクとするエッチングによってパッシベーション膜22が除去された部位から、キャップ構造14及びバリア層12のうち、キャップ構造14のみが露出した状態や、バリア層12のみが露出した状態等を得ることもできる。
【0103】
その後、フォトリソグラフィ技術、蒸着技術及びリフトオフ技術を用いて、パッシベーション膜22が除去された領域に、電極用金属、例えば、厚さ30nmのNiと厚さ400nmのAuとの積層体が形成され、ゲート電極15が形成される。これにより、上記図15に示したような半導体装置10Hが得られる。
【0104】
尚、ここでは半導体装置10Hのチャネル層11に単層構造のGaNを用い、バリア層12に単層構造のAlGaNを用いる例を示したが、チャネル層11及びバリア層12の構成は、この例に限定されるものではない。例えば、半導体装置10Hにおいて、チャネル層11には、InGaN、AlGaN、InAlGaN等の窒化物半導体が用いられてもよく、1種の窒化物半導体の単層構造が用いられてもよいし、1種又は2種以上の窒化物半導体の積層構造が用いられてもよい。また、半導体装置10Hにおいて、バリア層12には、InAlN、InAlGaN、AlN等の窒化物半導体が用いられてもよく、1種の窒化物半導体の単層構造が用いられてもよいし、1種又は2種以上の窒化物半導体の積層構造が用いられてもよい。
【0105】
また、半導体装置10Hのゲート電極15、ソース電極16及びドレイン電極17に用いる金属の種類及び層構造は上記の例に限定されるものではなく、それらの形成方法も上記の例に限定されるものではない。ゲート電極15、ソース電極16及びドレイン電極17にはそれぞれ、単層構造が用いられてもよいし、積層構造が用いられてもよい。ソース電極16及びドレイン電極17の形成時には、それらの電極用金属の形成によってオーミック接続が実現されるようであれば、必ずしも上記のような熱処理が行われることを要しない。ゲート電極15の形成時には、その電極用金属の形成後、更に熱処理が行われてもよい。
【0106】
また、ここでは半導体装置10Hの基板20に半絶縁性SiC基板を用いる例を示したが、電界効果トランジスタの機能を持つ構造部に窒化物半導体が用いられていれば、他の基板材料が用いられてもよい。基板20は、半絶縁性であってもよいし、導電性であってもよい。基板20には、半絶縁性SiC基板のほか、導電性SiC基板、サファイヤ基板、GaN基板、Si基板、ダイヤモンド基板等が用いられてもよい。
【0107】
[第6の実施の形態]
ここでは、上記第3の実施の形態で述べたような構成を含む半導体装置及びその形成方法の一例について説明する。
【0108】
図20は第6の実施の形態に係る半導体装置の一例について説明する図である。図20には、半導体装置の一例の要部断面図を模式的に示している。
図20に示す半導体装置10Iは、SBDの一例である。半導体装置10Iは、基板20と、その上に設けられた核形成層21とを有する。基板20には、例えば、半絶縁性SiC基板が用いられる。核形成層21には、窒化物半導体、例えば、AlNが用いられる。基板20上に設けられた核形成層21上に、チャネル層11及びバリア層12が設けられる。例えば、チャネル層11にはGaNが用いられ、バリア層12にはAlGaNが用いられる。バリア層12上に、InGaNのキャップ層14aとその表面を保護するGaNのキャップ層14bとを有するキャップ構造14、並びにカソード電極18(オーミック電極)及びアノード電極19(ショットキー電極)が設けられる。キャップ構造14は、カソード電極18とアノード電極19との間のバリア層12上の、アノード電極19寄りの一部の領域に設けられる。カソード電極18は、オーミック電極として機能するようにバリア層12上に設けられ、アノード電極19は、ショットキー電極として機能するようにバリア層12上に設けられる。キャップ構造14、カソード電極18及びアノード電極19が設けられたバリア層12上には、パッシベーション膜22が設けられる。
【0109】
半導体装置10Iでは、バリア層12上のアノード電極19寄りの一部の領域にキャップ構造14が設けられ、そのInGaNのキャップ層14aに発生するピエゾ分極の作用により、その領域の下方のチャネル層11の2DEG13が低濃度化される。これにより、逆方向バイアス印加時のアノード電極19側の電界が緩和され、SBDとして機能する、逆方向耐圧の高い半導体装置10Iが実現される。更に、半導体装置10Iでは、InGaNのキャップ層14a上に、それを保護するGaNのキャップ層14bが設けられる。これにより、SBDとして機能する、高信頼性の半導体装置10Iが実現される。
【0110】
上記構成を有する半導体装置10Iは、上記第4及び第5の実施の形態において上記図10及び図16図18について述べたような方法を用いて、形成することができる。
即ち、まず、上記図10の例に従い、基板20上に、MOVPE法を用いて、核形成層21、チャネル層11、バリア層12、キャップ層14a及びキャップ層14bが順次成長される。この時、InGaNのキャップ層14aの成長後、続けてGaNのキャップ層14bが成長されることで、InGaNがGaNで保護される。
【0111】
次いで、上記図16の例に従い、InGaNのキャップ層14a及びGaNのキャップ層14bがパターニングされ、キャップ構造14が形成される。
次いで、上記図17の例に従い、バリア層12上に電極用金属が形成され、カソード電極18及びアノード電極19が形成される。その際、カソード電極18は、オーミック電極として機能するようにバリア層12上に形成され、アノード電極19は、ショットキー電極として機能するようにバリア層12上に形成される。半導体装置10Iの形成では、カソード電極18及びアノード電極19についてそれぞれオーミック接続及びショットキー接続が実現されるように、形成が別々の工程で行われてもよく、また、互いに異なる種類の電極用金属が用いられてもよい。
【0112】
次いで、上記図18の例に従い、キャップ構造14、カソード電極18及びアノード電極19が形成されたバリア層12上に、パッシベーション膜22が形成される。
例えば、このような方法が用いられ、図20に示すような構成を有する半導体装置10Iが形成される。
【0113】
尚、半導体装置10Iにおいても、チャネル層11には、GaNのほか、InGaN、AlGaN、InAlGaN等の窒化物半導体が用いられてもよく、1種の窒化物半導体の単層構造が用いられてもよいし、1種又は2種以上の窒化物半導体の積層構造が用いられてもよい。バリア層12には、AlGaNのほか、InAlN、InAlGaN、AlN等の窒化物半導体が用いられてもよく、1種の窒化物半導体の単層構造が用いられてもよいし、1種又は2種以上の窒化物半導体の積層構造が用いられてもよい。また、基板20には、半絶縁性SiC基板のほか、導電性SiC基板、サファイヤ基板、GaN基板、Si基板、ダイヤモンド基板等が用いられてもよい。
【0114】
以上、第1~第6の実施の形態で述べたような構成を有する半導体装置10A,10B,10C,10D,10E,10F,10G,10H,10I等は、各種電子装置に適用することができる。一例として、上記のような構成を有する半導体装置を、半導体パッケージ、力率改善回路、電源装置及び増幅器に適用する場合について、以下に説明する。
【0115】
[第7の実施の形態]
ここでは、上記のような構成を有する半導体装置の、半導体パッケージへの適用例を、第7の実施の形態として説明する。
【0116】
図21は第7の実施の形態に係る半導体パッケージの一例について説明する図である。図21には、半導体パッケージの一例の要部平面図を模式的に示している。
図21に示す半導体パッケージ200は、ディスクリートパッケージの一例である。半導体パッケージ200は、例えば、上記第1の実施の形態で述べた半導体装置10A、半導体装置10Aが搭載されたリードフレーム210、及びそれらを封止する樹脂220を含む。
【0117】
半導体装置10Aは、リードフレーム210のダイパッド210a上にダイアタッチ材等(図示せず)を用いて搭載される。半導体装置10Aには、上記ゲート電極15に接続されたパッド15a、ソース電極16に接続されたパッド16a及びドレイン電極17に接続されたパッド17aが設けられる。パッド15a、パッド16a及びパッド17aはそれぞれ、Al等のワイヤ230を用いてリードフレーム210のゲートリード211、ソースリード212及びドレインリード213に接続される。ゲートリード211、ソースリード212及びドレインリード213の各一部が露出するように、リードフレーム210とそれに搭載された半導体装置10A及びそれらを接続するワイヤ230が、樹脂220で封止される。
【0118】
例えば、上記第1の実施の形態で述べた半導体装置10Aが用いられ、このような構成を有する半導体パッケージ200が得られる。ここでは、半導体装置10Aを例にしたが、HEMTとして機能する他の半導体装置10B,10C,10D,10E,10G,10H等を用いて、同様に高性能の半導体パッケージを得ることが可能である。
【0119】
上記のように、半導体装置10A,10B,10C,10D,10E,10G,10H等では、バリア層12上の一部の領域に、InGaNのキャップ層14aとその表面を保護するGaNのキャップ層14bとを有するキャップ構造14が設けられる。そして、キャップ構造14下方のチャネル層11の2DEG13が低濃度化される。キャップ構造14が、ゲート電極15下に設けられることで、HEMTのノーマリオフ化が実現される。キャップ構造14が、ゲート電極15とドレイン電極17との間に設けられることで、HEMTの高耐圧化が実現される。InGaNのキャップ層14aがGaNのキャップ層14bで保護されることで、高信頼性のHEMTが実現される。このような優れた特性を有する半導体装置10A,10B,10C,10D,10E,10G,10H等が用いられ、高性能の半導体パッケージ200が実現される。
【0120】
また、SBDとして機能する半導体装置10F,10I等を用いてディスクリートパッケージを得ることもできる。上記のように、半導体装置10F,10I等では、キャップ構造14が、カソード電極18とアノード電極19との間のアノード電極19寄りの一部の領域に設けられることで、SBDの逆方向耐圧の向上が実現される。InGaNのキャップ層14aがGaNのキャップ層14bで保護されることで、高信頼性のSBDが実現される。このような優れた特性を有する半導体装置10F,10I等が用いられ、高性能の半導体パッケージが実現される。
【0121】
[第8の実施の形態]
ここでは、上記のような構成を有する半導体装置の、力率改善回路への適用例を、第8の実施の形態として説明する。
【0122】
図22は第8の実施の形態に係る力率改善回路の一例について説明する図である。図22には、力率改善回路の一例の等価回路図を示している。
図22に示す力率改善(Power Factor Correction;PFC)回路300は、スイッチ素子310、ダイオード320、チョークコイル330、コンデンサ340、コンデンサ350、ダイオードブリッジ360及び交流電源370(AC)を含む。
【0123】
PFC回路300において、スイッチ素子310のドレイン電極と、ダイオード320のアノード端子及びチョークコイル330の一端子とが接続される。スイッチ素子310のソース電極と、コンデンサ340の一端子及びコンデンサ350の一端子とが接続される。コンデンサ340の他端子とチョークコイル330の他端子とが接続される。コンデンサ350の他端子とダイオード320のカソード端子とが接続される。また、スイッチ素子310のゲート電極には、ゲートドライバが接続される。コンデンサ340の両端子間には、ダイオードブリッジ360を介して交流電源370が接続され、コンデンサ350の両端子間から直流電源(DC)が取り出される。
【0124】
例えば、このような構成を有するPFC回路300のスイッチ素子310に、HEMTとして機能する上記半導体装置10A,10B,10C,10D,10E,10G,10H等が用いられる。
【0125】
上記のように、半導体装置10A,10B,10C,10D,10E,10G,10H等では、バリア層12上の一部の領域に、InGaNのキャップ層14aとその表面を保護するGaNのキャップ層14bとを有するキャップ構造14が設けられる。そして、キャップ構造14下方のチャネル層11の2DEG13が低濃度化される。キャップ構造14が、ゲート電極15下に設けられることで、HEMTのノーマリオフ化が実現される。キャップ構造14が、ゲート電極15とドレイン電極17との間に設けられることで、HEMTの高耐圧化が実現される。InGaNのキャップ層14aがGaNのキャップ層14bで保護されることで、高信頼性のHEMTが実現される。このような優れた特性を有する半導体装置10A,10B,10C,10D,10E,10G,10H等が用いられ、高性能のPFC回路300が実現される。
【0126】
また、PFC回路300のダイオード320やダイオードブリッジ360には、SBDとして機能する上記半導体装置10F,10I等が用いられてもよい。上記のように、半導体装置10F,10I等では、キャップ構造14が、カソード電極18とアノード電極19との間のアノード電極19寄りの一部の領域に設けられることで、SBDの逆方向耐圧の向上が実現される。InGaNのキャップ層14aがGaNのキャップ層14bで保護されることで、高信頼性のSBDが実現される。このような優れた特性を有する半導体装置10F,10I等が用いられ、高性能のPFC回路300が実現される。
【0127】
[第9の実施の形態]
ここでは、上記のような構成を有する半導体装置の、電源装置への適用例を、第9の実施の形態として説明する。
【0128】
図23は第9の実施の形態に係る電源装置の一例について説明する図である。図23には、電源装置の一例の等価回路図を示している。
図23に示す電源装置400は、高圧の一次側回路410及び低圧の二次側回路420、並びに一次側回路410と二次側回路420との間に設けられるトランス430を含む。
【0129】
一次側回路410には、上記第8の実施の形態で述べたようなPFC回路300、及びPFC回路300のコンデンサ350の両端子間に接続されたインバータ回路、例えば、フルブリッジインバータ回路440が含まれる。フルブリッジインバータ回路440には、複数(ここでは一例として4つ)のスイッチ素子441、スイッチ素子442、スイッチ素子443及びスイッチ素子444が含まれる。
【0130】
二次側回路420には、複数(ここでは一例として3つ)のスイッチ素子421、スイッチ素子422及びスイッチ素子423が含まれる。
例えば、このような構成を有する電源装置400の、一次側回路410に含まれるPFC回路300のスイッチ素子310、及びフルブリッジインバータ回路440のスイッチ素子441~444に、HEMTとして機能する上記半導体装置10A,10B,10C,10D,10E,10G,10H等が用いられる。例えば、電源装置400の、二次側回路420のスイッチ素子421~423には、シリコンを用いた通常のMIS(Metal Insulator Semiconductor)型電界効果トランジスタが用いられる。
【0131】
上記のように、半導体装置10A,10B,10C,10D,10E,10G,10H等では、バリア層12上の一部の領域に、InGaNのキャップ層14aとその表面を保護するGaNのキャップ層14bとを有するキャップ構造14が設けられる。そして、キャップ構造14下方のチャネル層11の2DEG13が低濃度化される。キャップ構造14が、ゲート電極15下に設けられることで、HEMTのノーマリオフ化が実現される。キャップ構造14が、ゲート電極15とドレイン電極17との間に設けられることで、HEMTの高耐圧化が実現される。InGaNのキャップ層14aがGaNのキャップ層14bで保護されることで、高信頼性のHEMTが実現される。このような優れた特性を有する半導体装置10A,10B,10C,10D,10E,10G,10H等が用いられ、高性能の電源装置400が実現される。
【0132】
また、一次側回路410に含まれるPFC回路300のダイオード320やダイオードブリッジ360には、上記第8の実施の形態で述べたように、SBDとして機能する上記半導体装置10F,10I等が用いられてもよい。優れた特性を有する半導体装置10F,10I等が用いられ、高性能のPFC回路300が実現され、そのようなPFC回路300が用いられ、高性能の電源装置400が実現される。
【0133】
[第10の実施の形態]
ここでは、上記のような構成を有する半導体装置の、増幅器への適用例を、第10の実施の形態として説明する。
【0134】
図24は第10の実施の形態に係る増幅器の一例について説明する図である。図24には、増幅器の一例の等価回路図を示している。
図24に示す増幅器500は、ディジタルプレディストーション回路510、ミキサー520、ミキサー530、及びパワーアンプ540を含む。
【0135】
ディジタルプレディストーション回路510は、入力信号の非線形歪みを補償する。ミキサー520は、非線形歪みが補償された入力信号SIと交流信号とをミキシングする。パワーアンプ540は、入力信号SIが交流信号とミキシングされた信号を増幅する。増幅器500では、例えば、スイッチの切り替えにより、出力信号SOをミキサー530で交流信号とミキシングしてディジタルプレディストーション回路510に送出することができる。増幅器500は、高周波増幅器、高出力増幅器として使用することができる。
【0136】
このような構成を有する増幅器500のパワーアンプ540に、HEMTとして機能する上記半導体装置10A,10B,10C,10D,10E,10G,10H等が用いられる。
【0137】
上記のように、半導体装置10A,10B,10C,10D,10E,10G,10H等では、バリア層12上の一部の領域に、InGaNのキャップ層14aとその表面を保護するGaNのキャップ層14bとを有するキャップ構造14が設けられる。そして、キャップ構造14下方のチャネル層11の2DEG13が低濃度化される。キャップ構造14が、ゲート電極15下に設けられることで、HEMTのノーマリオフ化が実現される。キャップ構造14が、ゲート電極15とドレイン電極17との間に設けられることで、HEMTの高耐圧化が実現される。InGaNのキャップ層14aがGaNのキャップ層14bで保護されることで、高信頼性のHEMTが実現される。このような優れた特性を有する半導体装置10A,10B,10C,10D,10E,10G,10H等が用いられ、高性能の増幅器500が実現される。
【0138】
また、増幅器500にダイオードが用いられる場合、そのダイオードには、半導体装置10F,10I等のSBDが用いられてもよい。上記のように、半導体装置10F,10I等では、キャップ構造14が、カソード電極18とアノード電極19との間のアノード電極19寄りの一部の領域に設けられることで、SBDの逆方向耐圧の向上が実現される。InGaNのキャップ層14aがGaNのキャップ層14bで保護されることで、高信頼性のSBDが実現される。このような優れた特性を有する半導体装置10F,10I等が用いられ、高性能の増幅器500が実現される。
【0139】
上記半導体装置10A,10B,10C,10D,10E,10F,10G,10H,10I等を適用した各種電子装置(上記第7~第10の実施の形態で述べた半導体パッケージ200、PFC回路300、電源装置400及び増幅器500等)は、各種電子機器に搭載することができる。例えば、コンピュータ(パーソナルコンピュータ、スーパーコンピュータ、サーバ等)、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、センサ、カメラ、オーディオ機器、測定装置、検査装置、製造装置といった、各種電子機器に搭載することが可能である。
【符号の説明】
【0140】
10A,10B,10C,10D,10E,10F,10G,10H,10I,100A,100B 半導体装置
11,101 チャネル層
12,102 バリア層
12c,14c 上面
13,103 2DEG
14 キャップ構造
14a,14b,104A,104B キャップ層
15,105 ゲート電極
15a,16a,17a パッド
16,106 ソース電極
17,107 ドレイン電極
18 カソード電極
19 アノード電極
20 基板
21 核形成層
22 パッシベーション膜
200 半導体パッケージ
210 リードフレーム
210a ダイパッド
211 ゲートリード
212 ソースリード
213 ドレインリード
220 樹脂
230 ワイヤ
300 PFC回路
310,421,422,423,441,442,443,444 スイッチ素子
320 ダイオード
330 チョークコイル
340,350 コンデンサ
360 ダイオードブリッジ
370 交流電源
400 電源装置
410 一次側回路
420 二次側回路
430 トランス
440 フルブリッジインバータ回路
500 増幅器
510 ディジタルプレディストーション回路
520,530 ミキサー
540 パワーアンプ
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