(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-21
(45)【発行日】2023-03-02
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/46 20060101AFI20230222BHJP
B65B 35/50 20060101ALI20230222BHJP
B65B 35/54 20060101ALI20230222BHJP
【FI】
B65G47/46 G
B65B35/50
B65B35/54
(21)【出願番号】P 2021100146
(22)【出願日】2021-06-16
【審査請求日】2022-12-08
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年6月20日、日本車輛製造株式会社に販売
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年6月27日、日本車輛製造株式会社に販売
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年10月24日、日本車輛製造株式会社に販売
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年12月25日、日本車輛製造株式会社に販売
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年1月17日、日本車輛製造株式会社に販売
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000103932
【氏名又は名称】オリオン機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】本庄 隆秋
(72)【発明者】
【氏名】本郷 元春
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-330644(JP,A)
【文献】特開平05-310318(JP,A)
【文献】特開2006-067802(JP,A)
【文献】特開2008-189425(JP,A)
【文献】特公昭57-037485(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/34-47/72
B65B 35/00-35/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路を互いに隙間なく搬送されてくる多数の被搬送物に対して、当該搬送路から被搬送物を所定数毎に分けて搬送するための搬送装置であって、
前記搬送路の、前記被搬送物の搬送方向延長線上に配置され、前記搬送路から所定数の被搬送物を受け入れ、前記搬送路の搬送方向下流端付近から、鉛直方向に対して搬送方向下流側に傾斜する方向に沿って昇降する昇降台と、
該昇降台の昇降時、前記搬送路上の最前列の被搬送物と対向する位置まで移動可能な分離部材と、を備え
、
前記昇降台は、前記搬送路と共に上下一対備えられることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記昇降台には、当該昇降台上の複数の被搬送物を前記搬送路の搬送方向と直交する方向から支持するように前記被搬送物に向かって進退自在に構成される一対の支持部材が備えられることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記昇降台には、前記搬送路から前記昇降台上に移載される前記被搬送物を受け止めるストッパ部材が出没自在に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記分離部材は、前記昇降台の搬送方向上流端から前記昇降台の昇降方向と同じ方向に沿って延びることを特徴とする請求項1~3いずれかに記載の搬送装置。
【請求項5】
前記搬送路の搬送方向下流端部には、前記搬送路上の前記各被搬送物の搬送姿勢を上方から維持するための規制部材が設けられていることを特徴とする請求項1~4いずれかに記載の搬送装置。
【請求項6】
前記被搬送物は、ロールペーパーであることを特徴とする請求項1~5いずれかに記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、トイレットペーパー等の被搬送物を所定数搬送するための搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、トイレットペーパーやキッチンペーパーなどのロールペーパーは、複数個まとめて包装袋に袋詰めさせて市販されている。この袋詰め方法は、まず、複数のロールペーパーが、コンベア上をその軸方向が一致した状態で互いに当接されながら搬送されてくる。すなわち、コンベア上を搬送される複数のロールペーパーは、後続のロールペーパーと隙間なく搬送される。続いて、コンベアの下流端に備えられた昇降台上に、コンベアからのロールペーパーが複数個ずつ移載される。続いて、ロールペーパーが複数個移載されると、昇降台が搬送方向に若干前進した後、上昇する。
【0003】
このとき、ロールペーパーが複数個昇降台に移載された段階で、昇降台が搬送方向に若干前進するために、昇降台上のロールペーパーと、コンベア上の最前列に位置するロールペーパーとの接触を完全に分断させることができる。その結果、昇降台の上昇時に、ロールペーパーの搬送方向端面同士がすれ合ってその端面が荒れてしまったり、またコンベア上の最前列に位置するロールペーパーがその姿勢を崩し、特に、最前列に位置するロールペーパーが、昇降台上に移載されたロールペーパーとの接触による回転方向の力により、立ち上がるなどの挙動を抑制することができる。その後最終的に、上昇した昇降台上の複数個のロールペーパーが、別の搬送手段により適宜位置に搬送される。
【0004】
また、上述の搬送装置における従来技術として、特許文献1には、移替え搬送装置が記載されている。この移替え搬送装置の作用を以下に説明する。物品が搬送テーブル上に多数並べられる。このとき搬送テーブルの端部は昇降台に近接した位置に配置されており、物品は搬送テーブルの他端に位置する押出プッシャにより昇降台上へ一定数が移載される。
【0005】
そして、この直後に搬送テーブルが後退して、昇降台上に移載された各物品と、搬送テーブル上の最前列に位置する物品との接触が完全に分断され、昇降台上の各物品を昇降台の上昇によりスムーズに持ち上げようにしている。すなわち搬送テーブル上に残存する各物品は、搬送テーブルと共に後退してしまうので、昇降台上へ移載された物品とは完全に切り離され、昇降台が上昇しても物品同士がすれ合ってその姿勢を崩して移送形態を乱すことはなく、第1搬送機から第2搬送機へ物品を確実に分離して移し替えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した、特許文献1に記載の移替え搬送装置を含む従来技術では、昇降台上に所定数の物品(ロールペーパー)が移載された直後に、搬送テーブルを後退させるか、あるいは昇降台を前進させて、昇降台上に移載された物品と、搬送テーブルの最前列に位置する物品との接触を完全に分断するので、昇降台が上昇しても物品同士がすれ合ってその姿勢を崩して移送形態を乱すことを抑制していた。
【0008】
しかしながら、上述した従来技術では、物品の搬送に際して、搬送テーブルの後退動作、あるいは昇降台の前進動作と、昇降台の上昇動作との2段階の動作が必要であり、物品の搬送に対して無駄な時間を要することになり、改善する必要があった。また、コンベア上をその搬送方向と直交する方向にロールペーパーが複数列(例えば3列)並んで搬送される場合もあり、これらの複数列のロールペーパーを、昇降台上で隙間なく整列させて搬送することも必要であった。
【0009】
そして、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、被搬送物の搬送時間を短縮して、且つ複数の被搬送物に対して隙間無く搬送できる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明は、搬送路を互いに隙間なく搬送されてくる多数の被搬送物に対して、当該搬送路から被搬送物を所定数毎に分けて搬送するための搬送装置であって、前記搬送路の、前記被搬送物の搬送方向延長線上に配置され、前記搬送路から所定数の被搬送物を受け入れ、前記搬送路の搬送方向下流端付近から、鉛直方向に対して搬送方向下流側に傾斜する方向に沿って昇降する昇降台と、該昇降台の昇降時、前記搬送路上の最前列の被搬送物と対向する位置まで移動可能な分離部材と、を備え、前記昇降台は、前記搬送路と共に上下一対備えられることを特徴とするものである。
【0011】
請求項1の発明では、複数の被搬送物が搬送路から昇降台に移載されると、昇降台が、搬送路の搬送方向下流端付近から、鉛直方向に対して搬送方向下流側に傾斜する方向に沿って昇降することで、昇降台が昇降する際に、搬送路上の最前列に位置する被搬送物と、昇降台上へ移載された最後列に位置する被搬送物との接触が無くなるので、昇降台が昇降しても、被搬送物の搬送方向端面同士がすれ合ってその姿勢を崩して移送形態を乱すことを抑制することができる。しかも、請求項1の発明では、昇降台の昇降時、搬送路上の最前列の被搬送物と対向する位置まで移動可能な分離部材を備えているので、当該分離部材により、昇降台の昇降時、搬送路上の最前列に位置する被搬送物と、昇降台上へ移動した最後列に位置する被搬送物との接触を完全に遮断することができる。これにより、従来では、被搬送物を2段階の動作で搬送していたものを、1段階の動作で搬送することができ、その搬送時間を短縮することができる。
【0012】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した発明において、前記昇降台には、当該昇降台上の複数の被搬送物を前記搬送路の搬送方向と直交する方向から支持するように前記被搬送物に向かって進退自在に構成される一対の支持部材が備えられることを特徴とするものである。
【0013】
請求項2の発明では、特に、搬送路上をその搬送方向と直交する方向に被搬送物が複数列並んで搬送される場合、一対の支持部材により、昇降台上に移載された複数の被搬送物を搬送方向と直交する方向から支持できるので、その搬送方向と直交する方向に並ぶ各被搬送物間の隙間を無くして整列させることができる。また、昇降台上に複数の被搬送物が搬送方向に沿って並んで移載された場合、一対の支持部材により、複数の被搬送物を、搬送方向と直交する方向に凹凸することなく整列させることができる。
【0014】
請求項3に記載した発明は、請求項1または2に記載した発明において、前記昇降台には、前記搬送路から前記昇降台上に移載される前記被搬送物を受け止めるストッパ部材が出没自在に設けられることを特徴とするものである。
【0015】
請求項3の発明では、昇降台には、昇降台上に移載される各被搬送物を受け止めるストッパ部材が出没自在に設けられるので、各被搬送物を昇降台上の所定位置に停止させることができる。また、昇降台上に、複数の被搬送物が搬送方向に沿って並んで移載された場合、複数の被搬送物を各被搬送物間に隙間なく支持することができる。
【0016】
請求項4に記載した発明は、請求項1~3いずれかに記載した発明において、前記分離部材は、前記昇降台の搬送方向上流端から前記昇降台の昇降方向と同じ方向に沿って延びることを特徴とするものである。
【0017】
請求項4の発明では、分離部材により、昇降台の昇降時、搬送路の最前列に位置する被搬送物の搬送方向端面との接触を最小限に抑えつつ、搬送路の最前列に位置する被搬送物の搬送方向に沿う移動を規制することができる。
【0018】
請求項5に記載した発明は、請求項1~4いずれかに記載した発明において、前記搬送路の搬送方向下流端部には、前記搬送路上の前記各被搬送物の搬送姿勢を上方から維持するための規制部材が設けられていることを特徴とするものである。
【0019】
請求項5の発明では、規制部材により、搬送路の搬送方向下流端部における複数の被搬送物に対して正常な搬送姿勢を維持することができる。その結果、複数の被搬送物を搬送路から正常な姿勢にて昇降台上に移載することができる。また、仮に、搬送路の最前列に位置する被搬送物が、昇降台上に移載された被搬送物から小さな回転方向の力が付与されたとしても、規制部材により、最前列に位置する被搬送物が立ち上がるなどの挙動を抑えることができる。
【0020】
請求項6に記載した発明は、請求項1~5いずれかに記載した発明において、前記被搬送物は、ロールペーパーであることを特徴とするものである。
【0021】
請求項6の発明では、被搬送物としてロールペーパーを搬送する際に最適となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る搬送装置では、被搬送物の搬送時間を短縮して、且つ複数の被搬送物に対して隙間無く搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る搬送装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る搬送装置に採用された上下一対の昇降台における搬送方向上流側からの斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る搬送装置に採用された上下一対の昇降台における搬送方向下流側からの斜視図である。
【
図4】
図4は、、本発明の実施形態に係る搬送装置に採用された上下一対の昇降台において、設置本体の支持プレート側からの側面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る搬送装置の側面図であって、上下一対の昇降台の作用を説明するための説明図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係る搬送装置の側面図であって、上下一対の昇降台の作用を説明するための説明図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係る搬送装置の側面図であって、上下一対の昇降台の作用を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態に係る搬送装置1を
図1~
図7に基づいて詳細に説明する。
本発明の実施形態に係る搬送装置1は、
図1に示すように、搬送路2を互いに隙間なく搬送されてくる多数の被搬送物に対して、当該搬送路2から被搬送物を所定数毎に分けて搬送して包装袋(図示略)に袋詰めする際に採用されるものである。本実施形態に係る搬送装置1は、被搬送物としてトイレットペーパーロールTPの搬送に採用されており、その他、キッチンタオルなどの含めたロールペーパーの搬送に最適であるが、搬送路2を互いに隙間なく搬送されてくる多数の被搬送物を所定数毎に搬送する際に有効であり、被搬送物は特に限定されることはない。なお、本実施形態に係る搬送装置1は、搬送路2を互いに隙間なく搬送されてくる多数のトイレットペーパーロールTPから、例えば、軸方向に沿って3列、径方向に沿って3列及び上下方向に沿って2列配列されたトイレットペーパーロールTP全18個を1群として、包装袋内まで搬送するものである。
【0025】
本実施形態に係る搬送装置1は、
図1~
図3に示すように、多数のトイレットペーパーロールTPを搬送する上下一対の搬送路2、2と、該搬送路2、2の、トイレットペーパーロールTPの搬送方向延長線上に配置され、搬送路2、2から所定数のトイレットペーパーロールTP、TPを受け入れ、搬送路2、2の搬送方向下流端付近から、鉛直方向に対する傾斜角度αにて搬送方向下流側に傾斜する方向に昇降する上下一対の昇降台3B、3Aと、該昇降台3B、3Aの搬送方向上流端から延び、昇降台3B、3Aの昇降時、搬送路2、2上の最前列のトイレットペーパーロールTP、TPと対向する位置まで移動可能な分離部材4、4と、昇降台3B、3Aに設けられ、該昇降台3B、3A上の複数のトイレットペーパーロールTPを、搬送路2の搬送方向と直交する方向から支持するようにトイレットペーパーロールTPに向かって進退自在に構成される一対の支持部材5、5と、昇降台3B、3Aに設けられ、搬送路2から昇降台3B、3A上に移載される複数のトイレットペーパーロールTPを受け止める出没自在のストッパ部材6、6と、上下一対の搬送路2、2の搬送方向下流端部に設けられ、各トイレットペーパーロールTPの搬送姿勢を維持する規制部材7、7と、を備えている。
【0026】
図1を参照して、搬送路2、2は上下一対備えられる。上下一対の搬送路2、2は、図示しない設置用枠体等により所定の設置箇所に設置される。搬送路2は、トイレットペーパーロールTPを搬送するコンベア10と、コンベア10上を幅方向に沿って複数の搬送レーン15に区画する仕切り板11と、コンベア10の幅方向両端に配置される一対のガイド板12、12と、を備えている。コンベア10の長手方向がトイレットペーパーロールTPの搬送方向となる。なお、以下で言及する搬送方向は、搬送路2におけるトイレットペーパーロールTPの搬送方向と一致するものである。
【0027】
本実施形態では、仕切り板11は2箇所設けられ、搬送レーン15がコンベア10の幅方向に沿って3列設けられる。当該搬送レーン15に、多数のトイレットペーパーロールTPが、搬送方向に沿って隣接するトイレットペーパーロールTP、TPの軸方向端面を互いに当接させると共に、各トイレットペーパーロールTPの外周面をコンベア10に接触させるようにしてそれぞれ配置される。各トイレットペーパーロールTPの軸方向が、各トイレットペーパーロールTPの搬送方向と一致する。
図5も参照して、搬送路2の各搬送レーン15の搬送方向下流端部には、搬送方向に沿って延びる板状の規制部材7がそれぞれ配置される。
【0028】
図1及び
図5を参照して、規制部材7は、長手方向が搬送方向に沿う平面視略矩形状に形成される。規制部材7は、搬送レーン15上の各トイレットペーパーロールTPの上端から若干の隙間をあけた上方に配置されている。規制部材7は、トイレットペーパーロールTPの約3個相当分に亘ってその上方に配置される。規制部材7は、搬送レーン15の幅長と略同じ幅長を有している。規制部材7の長手方向両端部には、上方に向けて湾曲する湾曲部17がそれぞれ形成される。
【0029】
規制部材7は、搬送レーン15上の各トイレットペーパーロールTPの搬送姿勢を維持するために備えられている。要するに、規制部材7は、搬送レーン15上の各トイレットペーパーロールTPの上端の位置ズレを抑制するために備えられている。言い換えれば、規制部材7は、特に、搬送レーン15の最前列に位置するトイレットペーパーロールTPの立ち上がりを抑制するために備えられている。そして、コンベア10が駆動されると、各搬送レーン15上の複数のトイレットペーパーロールTPは、後続するトイレットペーパーロールTPと軸方向端面同士が接触しながら搬送される。
【0030】
上下一対の搬送路2、2の、トイレットペーパーロールTPの搬送方向延長線上であって、搬送路2、2(コンベア10、10)の搬送方向下流端に近接した位置に昇降台3B、3A(初期位置)が配置される。昇降台3B、3Aは、上下一対の搬送路2、2に対応して上下一対備えられる。上下一対の昇降台3B、3Aは、設置本体20により上述した所定の設置箇所に設置される。設置本体20は、上下一対の昇降台3B、3Aの設置箇所の床面上に配置されるベース本体22と、ベース本体22の、搬送方向と直交する方向の一端側から立設される支持プレート23と、を備えている。
【0031】
まず、下側の昇降台3Aの構成について説明する。
図2及び
図3を参照して、昇降台3Aは、例えば、トイレットペーパーロールTPをその軸方向に沿って3列並べて、且つその径方向に沿って3列並べた状態で下方から支持するベース部材25と、該ベース部材25上であって、搬送方向と直交する方向両端に配置され、ベース部材25上の各トイレットペーパーロールTPを搬送方向と直交する方向から支持する一対の支持部材5、5と、搬送路2からベース部材25上に移載される各トイレットペーパーロールTPを受け止めるべく、ベース部材25から出没自在に構成されるストッパ部材6と、昇降台3Aの上流端から延び、昇降台3Aの昇降時、搬送路2の各搬送レーン15おいて、最前列に位置する各トイレットペーパーロールTPと対向する分離部材4と、を備えている。
【0032】
分離部材4、一対の支持部材5、5、ストッパ部材6及びベース部材25は、下側の昇降台3Aとして、多数の連結部材28、28によりユニット化される。ベース部材25は、板状に形成される。ベース部材25は、水平方向に延びる。ベース部材25は、平面視略矩形状に形成される。ベース部材25の搬送方向下流端には、ストッパ部材6が挿通される挿通孔30が形成される。挿通孔30は、搬送方向と直交する方向に沿って細長い形状に形成される。支持部材5は、搬送方向に沿って延びる。支持部材5は、板状であって、断面円弧状に湾曲される。一対の支持部材5、5の外周面には、シリンダ32、32がそれぞれ連結される。
【0033】
そして、一対の支持部材5、5は、各シリンダ32、32の駆動により、互いに近接・遠退方向に移動する。言い換えれば、一対の支持部材5、5は、各シリンダ32、32の駆動により、ベース部材25上に移載された軸方向に沿って複数配列されるトイレットペーパーロールTPの外周面に向かって進退自在となる。その結果、支持部材5の内周面が、ベース部材25上の軸方向に沿って複数配列されるトイレットペーパーロールTP全体の外周面に接触して押圧することができる。本実施形態では、支持部材5の内周面が、ベース部材25上に軸方向に沿って3列配列されるトイレットペーパーロールTP全体の外周面に接触して押圧することができる。
【0034】
ストッパ部材6は、板状に形成される。ストッパ部材6は、正面視略矩形状に形成される。ストッパ部材6の下端には、シリンダ33が連結される。ストッパ部材6は、ベース部材25の挿通孔30に挿通される。そして、ストッパ部材6は、シリンダ33の駆動により、ベース部材25の挿通孔30から上方に向かって出没自在となる。本実施形態では、ストッパ部材6は、搬送路2の各搬送レーン15からベース部材25上に移載される、径方向に沿って3列配列されるトイレットペーパーロールTP全体を受け止めることができる。
【0035】
図4及び
図5を参照して、分離部材4は、ベース部材25の搬送方向上流端から昇降台3Aの昇降方向と同じであって、鉛直方向に対する傾斜角度αにて搬送方向上流側に傾斜して垂設されている。昇降台3Aの昇降方向は後で詳述する。分離部材4は、薄い板状に形成される。
図2も参照して、分離部材4は、正面視略矩形状に形成される。分離部材4の下端部は、搬送方向下流側に向かって折曲される。分離部材4は、ベース部材25の搬送方向上流端から延び、昇降台3Aの上昇時に、下側の搬送路2の各搬送レーン15の最前列に位置する各トイレットペーパーロールTPと対向する位置まで移動するものである。言い換えれば、分離部材4は、昇降台3Aが上昇し始めると、下側の搬送路2の各搬送レーン15の最前列に位置する各トイレットペーパーロールTP、すなわち、径方向に沿って3列配列されるトイレットペーパーロールTPと対向し始め(
図6参照)、昇降台3Aが最上限位置にて停止すると、下側の搬送路2の各搬送レーン15の最前列に位置する各トイレットペーパーロールTP全体と対向する(
図7参照)ものである。
【0036】
図2及び
図3を参照して、昇降台3Aは、多数の連結部材28、28を介して、一対のスライダ本体38、38にそれぞれ連結される。スライダ本体38は、昇降台3Aよりも、搬送方向と直交する方向に沿ってその外側で、やや搬送方向やや上流側に配置される。スライダ本体38は、昇降台3Aに連結される板状のスライダベース部材40と、該スライダベース部材40の外面に設けられる一対のスライダレール41、41と、を備えている。スライダベース部材40は、
図4を参照して、昇降台3Aの搬送方向やや上流側から、鉛直方向に対する傾斜角度αにて搬送方向上流側に傾斜して垂設される。スライダベース部材40は、側面視略矩形状に形成される。スライダベース部材40の外面に、スライダレール41、41は、互いに間隔を置いて配置される。すなわち、スライダベース部材40及び各スライダレール41、41(スライダ本体38)は、上方に向かって、鉛直方向に対する傾斜角度αにて搬送方向下流側に傾斜して延びている。
【0037】
図2及び
図3を参照して、一対のスライダ本体38、38の、搬送方向と直交する方向に沿ってその外側には、スライダ本体38と対を成す一対のガイド本体43、43が配置される。ガイド本体43は、設置本体20のベース本体22から立設される板状のガイドベース部材45と、該ガイドベース部材45の内面に設けられる一対のガイドレール46、46と、を備えている。
図4を参照して、ガイドベース部材45は、設置本体20のベース本体22から上方に向かって鉛直方向に対する傾斜角度αにて搬送方向下流側に傾斜して延びている。ガイドベース部材45は、側面視略矩形状に形成される。ガイドレール46、46は、互いに間隔を置いて配置される。すなわち、ガイドベース部材45及び一対のガイドレール46、46(ガイド本体43)は、スライダベース部材40及び各スライダレール41、41(スライダ本体)と同様に、上方に向かって、鉛直方向に対する傾斜角度αにて搬送方向下流側に傾斜して延びている。
【0038】
そして、昇降台3Aから延びるスライダ本体38の一対のスライダレール41、41が、設置本体20のベース本体22から延びるガイド本体43の一対のガイドレール46、46に嵌合することで、昇降台3Aは、ガイド本体43の一対のガイドレール46、46に沿って昇降自在に支持されることになる。要するに、下側の昇降台3Aは、下側の搬送路2(コンベア10)の搬送方向下流端付近、すなわち搬送方向下流端に近接する位置から、鉛直方向に対する傾斜角度αにて搬送方向下流側に傾斜する方向に沿って昇降自在に支持されることになる。
【0039】
図2~
図4に示すように、下側の昇降台3Aは、多数の連結部材28、28を介して駆動ベルト50に連結される。設置本体20の支持プレート23の外面に、上下一対の駆動プーリー52と従動プーリー53とが回転自在にそれぞれ支持される。上下一対の駆動プーリー52と従動プーリー53とに駆動ベルト50が巻回される。駆動プーリー52の径方向中心と、従動プーリー53の径方向中心とを結ぶ直線Lは、駆動プーリー52から上方に向かって、鉛直方向に対する傾斜角度αにて搬送方向下流側に傾斜して延びる。
【0040】
駆動プーリー52は、支持プレート23の下部に回転自在に支持される。サーボモータ56は、支持プレート23の下部であってその内側に配置される。当該サーボモータ56の回転軸(図示略)が駆動プーリー52に連結される。そして、下側の昇降台3Aは、その全体が水平方向に延びる状態を維持しつつ、サーボモータ56の駆動による駆動ベルト50の移動に伴って、下側の搬送路2(コンベア10)の搬送方向下流端に近接する位置から、鉛直方向に対する傾斜角度αにて搬送方向下流側に傾斜した方向に沿って昇降する。なお、傾斜角度αは、5°~15°の範囲内で適宜設定されればよく、本実施形態では、傾斜角度αは約8°に設定されている。
【0041】
次に、上側の昇降台3Bの構成について説明するが、下側の昇降台3Aの構成と相違している構成を主に説明する。なお、上側の昇降台3Bを構成する各構成部材において、下側の昇降台3Aを構成する前記各構成部材と同じ機能を果たすものについては、下側の昇降台3Aを構成する前記各構成部材に付した符号と同じ符号を付している。
【0042】
図2及び
図3を参照して、上側の昇降台3Bにあっては、下側の昇降台3Aに対応するベース部材25に代わって、トイレットペーパーロールTPをその軸方向に沿って3列並べて、且つその径方向に沿って3列並べた状態で下方から支持する、搬送方向と直交する方向に沿って2分割された、幅広分割ベース部材60と、幅狭分割ベース部材61と、を有する。幅広分割ベース部材60と、幅狭分割ベース部材61との間には、搬送方向と直交する方向に沿って隙間が生じる。
【0043】
幅広分割ベース部材60及び幅狭分割ベース部材61は水平方向に延びる。幅広分割ベース部材60及び幅狭分割ベース部材61は、平面視矩形状にそれぞれ形成される。幅広分割ベース部材60の、搬送方向と直交する方向外端部から立設された連結部にシリンダ34が連結される。一方、幅狭分割ベース部材61の、搬送方向と直交する方向外端部から立設された連結部にもシリンダ35が連結される。そして、各シリンダ34,35の駆動により、幅広分割ベース部材60と幅狭分割ベース部材61とは、搬送方向と直交する方向に沿って互いに近接・遠退方向に移動する。
【0044】
上側の昇降台3Bにあっては、幅広分割ベース部材60及び幅狭分割ベース部材61との間に多数のトイレットペーパーロールTPを挟み込むように支持する平面視略矩形状の上側ベース部材64が設けられる。上側ベース部材64は水平方向に延びる。上側ベース部材64は、平面視矩形状に形成される。上側ベース部材64の搬送方向下流側には、ストッパ部材6が挿通される挿通孔(図示せず)が形成される。ストッパ部材6の上端には、シリンダ33が連結される。ストッパ部材6は、上側ベース部材64の挿通孔に挿通される。
【0045】
そして、ストッパ部材6は、シリンダ33の駆動により、上側ベース部材64の挿通孔から下方に向かって出没自在となる。
図4を参照して、上側の昇降台3Bにあっては、分離部材4は、上側ベース部材64の搬送方向上流端から上側の昇降台3Bの昇降方向と同じであって、鉛直方向に対する傾斜角度αにて搬送方向上流側に傾斜して上方に延びている。分離部材4の上端部は、搬送方向下流側に向かって折曲される。分離部材4、一対の支持部材5、5、ストッパ部材6、幅広分割ベース部材60、幅狭分割ベース部材61及び上側ベース部材64は、上側の昇降台3Bとして、多数の連結部材28、28によりユニット化される。
【0046】
また、
図4を参照して、上側の昇降台3Bに対応するガイド本体43のガイドベース部材45は、図示しない設置用枠体等から、鉛直方向に対する傾斜角度αにて搬送方向下流側に傾斜して垂設される。なお、設置本体20の支持プレート23の上端は、前記設置用枠体等に適宜連結される。上側の昇降台3Bに連結されるスライド本体38のスライダベース部材40は、昇降台3Bの搬送方向やや上流側から、上方に向かって、鉛直方向に対する傾斜角度αにて搬送方向上流側に傾斜して延びる。上側の昇降台3Bに対応する駆動プーリー52は、支持プレート23の上部に回転自在に支持される。
【0047】
図2及び
図3を参照して、上側の昇降台3Bに対応するサーボモータ56は、支持プレート23の上部であって、その内側に配置される。当該サーボモータ56の回転軸が駆動プーリー52に連結される。
図4を参照して、上側の昇降台3Bに対応する、駆動プーリー52の径方向中心と、従動プーリー53の径方向中心とを結ぶ直線Lは、駆動プーリー52から下方に向かって、鉛直方向に対する傾斜角度αにて搬送方向下流側に傾斜して延びる。そして、上側の昇降台3Bも、下側の昇降台3Aと同様に、その全体が水平方向に延びる状態を維持しつつ、サーボモータ56の駆動による駆動ベルト50の移動に伴って、上側の搬送路2(コンベア10)の搬送方向下流端に近接する位置から、鉛直方向に対する傾斜角度αにて搬送方向下流側に傾斜した方向に沿って昇降する。
【0048】
また、
図1及び
図5~
図7を参照して、上下一対の搬送路2、2の間に、プッシャ部材68が配置される。該プッシャ部材68の搬送方向延長線上に、上下一対の昇降台3B、3Aが最大限近接した状態であって、上側の昇降台3Bの上側ベース部材64と、下側の昇降台3Aのベース部材25との間が位置する。プッシャ部材68は、搬送方向に沿って延びるシャフト部70と、該シャフト部70の軸方向先端部に一体的に接続されるブロック状のプッシャ部71と、を備えている。プッシャ部材68は、図示しないサーボモータの駆動により、搬送方向に沿って進退自在に移動する。上下一対の昇降台3B、3Aよりも、搬送方向下流側に、包装袋支持体75が配置される。
【0049】
包装袋支持体75は、搬送方向と直交する方向に沿って延びる正面視略矩形状の回転板状部76と、回転板状部76の長手方向両側から搬送方向下流側にそれぞれ突設される一対の筒状支持部77、77と、を備えている。回転板状部76は、上下一対の昇降台3B、3Aから搬送方向下流側に立った状態で配置される。回転板状部76には、その長手方向両側に開口部79、79が貫通してそれぞれ設けられる。回転板状部76は、その長手方向中央部を中心に回転自在に図示しない設置枠体等に支持される。回転板状部76は、図示しないサーボモータの駆動により、その長手方向中央部を中心に正方向及び逆方向に半回転する動作を繰り返しするものである。回転板状部76の各開口部79、79の位置から筒状支持部77、77が搬送方向下流側に向かって突設される。なお、包装袋の開口端部を筒状支持部77の下流側開口から被せるようにして、包装袋が筒状支持部77に吸着、支持される。
【0050】
そして、
図1及び
図7を参照して、回転板状部76が半回転して停止すると、その筒状支持部77のいずれか一方が、上下一対の昇降台3B、3Aが最大限近接した状態であって、上側の昇降台3Bの上側ベース部材64と、下側の昇降台3Aのベース部材25との間の搬送方向下流側に位置する。そして、上下一対の昇降台3B、3Aが、複数のトイレットペーパーロールTPを支持した状態で互いに近接した直後に、プッシャ部材68が前進することで、プッシャ部材68のプッシャ部71により、上下一対の昇降台3B、3A間に支持された複数のトイレットペーパーロールを、包装袋支持体75の筒状支持部77内に押し出す。そして、プッシャ部材68により、複数のトイレットペーパーロールTPを包装袋支持体75の筒状支持部77を通過させることで、複数のトイレットペーパーロールTPを包装袋内に包装することができる。なお、包装袋支持体75の搬送方向下流側には、複数のトイレットペーパーロールTPが包装された包装袋の開口端部をガセット状に折り畳んでシールする、図示しないシール装置が配置される。
【0051】
コンベア10を駆動させる駆動装置(図示略)、上下一対の昇降台3B、3Aを駆動させる各サーボモータ56、56、各昇降台3B、3Aに対応する一対の支持部材5、5を駆動させる各シリンダ32、32、各昇降台3B、3Aに対応するストッパ部材6、6を駆動させるシリンダ33、33、上側の昇降台3Bに対応する幅広分割ベース部材60、幅狭分割ベース部材61を駆動させるシリンダ34、35、プッシャ部材68を駆動させるサーボモータ(図示略)、及び包装袋支持体75を駆動させるサーボモータ(図示略)は、制御装置(図示略)に電気的に接続される。また、本実施形態に係る搬送装置1には、図示は省略するが、上述した、上下一対の昇降台3B、3Aなど多数の構成部材の動作や、トイレットペーパーロールTPの移動等を検出する光電センサー等の検出センサーが多数配置されている。そして、これらの検出センサーからの検出信号が制御装置に入力されることで、制御装置では、複数の検出センサーからの検出信号に基づいて、上述した、各シリンダ32、33、34、35や各サーボモータ56、56等の駆動を制御している。
【0052】
次に、本実施形態に係る搬送装置1の作用を、主に
図5~
図7に基づいて、他の図面も適宜参照しながら説明する。
まず、
図1及び
図5を参照して、上下一対の搬送路2、2の各搬送レーン15には、コンベア10の長手方向に沿って多数のトイレットペーパーロールTPが配置される。このとき、コンベア10の長手方向に沿って並んでいる各トイレットペーパーロールTPはその軸方向端面同士が接触している。そして、上下一対の搬送路2、2のコンベア10、10が駆動されると、上下一対の搬送路2、2に対応する各搬送レーン15、15上の多数のトイレットペーパーロールTP、TPが上下一対の昇降台3B、3Aに向かって搬送される。
【0053】
次に、上下一対の昇降台3B、3Aは、上下一対の搬送路2、2の搬送方向延長線上であって、上下一対の搬送路2、2の搬送方向下流端に近接した位置に、それぞれ初期状態で停止された状態である(初期位置)。このとき、上側の昇降台3Bでは、幅広分割ベース部材60と幅狭分割ベース部材61とが隙間を介して最も近接した状態で待機される。また、上側の昇降台3Bでは、上側ベース部材64の挿通孔から下方に向かってストッパ部材6が突出された状態で待機される。一方、下側の昇降台3Aにおいても、ベース部材25の挿通孔30から上方に向かってストッパ部材6が突出された状態で待機される。
【0054】
次に、上側のコンベア10の駆動により、上側の搬送路2の各搬送レーン15から上側の昇降台3Bの上側ベース部材64と、幅広分割ベース部材60及び幅狭分割ベース部材61との間に、軸方向に沿って3列及び径方向に沿って3列配列されたトイレットペーパーロールTP全9個が搬送され、ストッパ部材6により停止される。一方、これと同時に、下側のコンベア10の駆動により、下側の搬送路2の各搬送レーン15から下側の昇降台3Aのベース部材25上に、軸方向に沿って3列及び径方向に沿って3列配列されたトイレットペーパーロールTP全9個が搬送されて、ストッパ部材6により停止される。
【0055】
このとき、上下一対の搬送路2、2の搬送方向下流端部には、規制部材7、7が備えられているので、各搬送路2上の複数のトイレットペーパーロールTPを搬送路2から正常な姿勢にて昇降台3B、3Aのベース部材25(幅広分割ベース部材60及び幅狭分割ベース部材61)上に移載することができる。また、上下一対の昇降台3B、3Aに対応するストッパ部材6、6により、軸方向に沿って3列配列されたトイレットペーパーロールTP、TP間の隙間を無くした状態で支持することができる。なお、上下一対の昇降台3B、3Aの初期位置では、それに対応する分離部材4、4は、搬送路2、2の最前列に位置するトイレットペーパーロールTP、TPと対向する位置には配置されていない。
【0056】
次に、上下一対の搬送路2、2のコンベア10、10の駆動が停止される。続いて、上下一対の昇降台3B、3Aにおいて、各昇降台3B、3Aに対応する一対の支持部材5、5が、各シリンダ32、32の駆動により、互いに近接する方向に移動すると共に、軸方向に沿って3列配列されるトイレットペーパーロールTP全体を幅方向(トイレットペーパーロールTPの径方向)に沿って押圧する。その結果、径方向に沿って3列配列される各トイレットペーパーロールTP、TP間の隙間を無くして支持することができ、軸方向に沿って3列配列されたトイレットペーパーロールTPを搬送方向に沿って凹凸なく整列させることができる。
【0057】
次に、
図6及び
図7を参照して、上側の昇降台3Bは、対応するサーボモータ56の駆動により、軸方向に沿って3列及び径方向に沿って3列配列されたトイレットペーパーロールTP全9個を支持して、その全体が水平方向に延びる状態を維持しつつ、上側の搬送路2(コンベア10)の搬送方向下流端に近接する位置(
図5に示す初期位置)から、鉛直方向に対する傾斜角度αにて搬送方向下流側に傾斜した方向に沿って最大限下降する。このとき、昇降台3B上へ移載された最後列の複数のトイレットペーパーロールTPが、上側の搬送路2の最前列に位置するトイレットペーパーロールTPと接触することなく、昇降台3B上の複数のトイレットペーパーロールTPがその昇降方向に沿って搬送される。また、上側の昇降台3Bに設けた分離部材4も、上側の搬送路2(各搬送レーン15)上の最前列の各トイレットペーパーロールTPと対向するように下降する。なお、上側の昇降台3Bが最大限下降すると、分離部材4が、上側の搬送路2(各搬送レーン15)上の最前列の各トイレットペーパーロールTP全体と対向する。
【0058】
そして、当該分離部材4により、上側の昇降台3Bの下降時、上側の搬送路2の最前列に位置するトイレットペーパーロールTPと、上側の昇降台3B上へ移載された最後列のトイレットペーパーロールTPとの接触を完全に遮断することができる。また、分離部材4は、上側の昇降台3Bの下降方向に一致した鉛直方向に対する傾斜角度αで延びているので、分離部材4により、上側の昇降台3Bの下降時、上側の搬送路2の最前列に位置するトイレットペーパーロールTPの搬送方向端面との接触を最小限に抑えつつ、上側の搬送路2の最前列に位置するトイレットペーパーロールTPの搬送方向に沿う移動を規制することができる。
【0059】
一方、
図6及び
図7を参照して、下側の昇降台3Aは、対応するサーボモータ56の駆動により、軸方向に沿って3列及び径方向に沿って3列配列されたトイレットペーパーロールTP全9個を支持して、その全体が水平方向に延びる状態を維持しつつ、下側の搬送路2(コンベア10)の搬送方向下流端に近接する位置(
図5に示す初期位置)から、鉛直方向に対する傾斜角度αにて搬送方向下流側に傾斜した方向に沿って最大限上昇する。このとき、昇降台3A上へ移載された最後列の複数のトイレットペーパーロールTPが、下側の搬送路2の最前列に位置するトイレットペーパーロールTPと接触することなく、昇降台3A上の複数のトイレットペーパーロールTPがその昇降方向に沿って搬送される。また、下側の昇降台3Aに設けた分離部材4も、下側の搬送路2(各搬送レーン15)上の最前列のトイレットペーパーロールTPと対向するように上昇する。なお、下側の昇降台3Aが最大限上昇すると、分離部材4が、下側の搬送路2(各搬送レーン15)上の最前列の各トイレットペーパーロールTP全体と対向する。
【0060】
そして、当該分離部材4により、下側の昇降台3Aの上昇時、下側の搬送路2の最前列に位置するトイレットペーパーロールTPと、下側の昇降台3A上へ移載された最後列のトイレットペーパーロールTPとの接触を完全に遮断することができる。また、分離部材4は、下側の昇降台3Aの上昇方向に一致した鉛直方向に対する傾斜角度αで延びているので、分離部材4により、下側の昇降台3Aの上昇時、下側の搬送路2の最前列に位置するトイレットペーパーロールTPの搬送方向端面との接触を最小限に抑えつつ、下側の搬送路2の最前列に位置するトイレットペーパーロールTPの搬送方向に沿う移動を規制することができる。
【0061】
その後、上下一対の昇降台3B、3Aが互いに近接するようにして最大限昇降すると、上側の昇降台3Bにより支持された複数のトイレットペーパーロールTP(全9個)と、下側の昇降台3Aにより支持された複数のトイレットペーパーロールTP(全9個)とが、上側の昇降台3Bに設けた幅広分割ベース部材60及び幅狭分割ベース部材61を介して搬送方向及び幅方向(軸方向及び径方向)に沿う両端部が一致した状態で接触するようになる。続いて、上側の昇降台3Bに対応する幅広分割ベース部材60及び幅狭分割ベース部材61を、それぞれに対応するシリンダ34、35の駆動により、幅方向に沿って互いに遠退させる。すると、
図7を参照して、上側の昇降台3Bの上側ベース部材64と、下側の昇降台3Aのベース部材25との間に、軸方向に沿って3列、径方向に沿って3列及び上下方向に沿って2列配列されたトイレットペーパーロールTP全18個が支持された状態となる。
【0062】
これと略同時に、上側の昇降台3Bにおいて、ストッパ部材6を、シリンダ33の駆動により、上側ベース部材64の下面から没入させる。一方、下側の昇降台3Aにおいても、ストッパ部材6を、シリンダ33の駆動により、ベース部材25の上面から没入させる。続いて、サーボモータ(図示略)の駆動により、プッシャ部材68をその軸方向に沿って移動させることで、先端のプッシャ部71により、上下一対の昇降台3B、3A間に支持された全18個のトイレットペーパーロールTP全体の軸方向端面を押すことで、全18個のトイレットペーパーロールTPを上下一対の昇降台3B、3A間から包装袋支持体75の筒状支持部77内を通過させて包装袋(図示略)内に収容しながら、図示しないシール装置により包装袋の開口端部をガセット状に折り畳んでシールする。
【0063】
次に、上下一対の昇降台3B、3Aにおいて、一対の支持部材5、5、ストッパ部材6、6、幅広分割ベース部材60及び幅狭分割ベース部材61が、それぞれに対応するシリンダ32、33、34、35の駆動により、初期位置に戻され、上下一対の昇降台3B、3Aが、それぞれに対応するサーボモータ56、56の駆動により、初期位置に戻る。続いて、上述した動作(
図5~
図7に示す動作)が繰り返される。
【0064】
以上説明したように、本発明の実施形態に係る搬送装置1では、搬送路2の、トイレットペーパーロールTPの搬送方向延長線上に配置され、搬送路2から所定数のトイレットペーパーロールTPを受け入れ、搬送路2の搬送方向下流端付近から、鉛直方向に対する傾斜角度αにて搬送方向下流側に傾斜する方向に沿って昇降する昇降台3B、3Aと、昇降台3B、3Aの昇降時、搬送路2上の最前列のトイレットペーパーロールTPと対向する位置まで移動可能な分離部材4、4と、を備えている。
【0065】
そして、昇降台3B、3Aが、搬送路2、2の搬送方向下流端付近から、鉛直方向に対する傾斜角度αにて搬送方向下流側に傾斜する方向に沿って昇降するので、昇降台3B、3Aの昇降時、搬送路2、2の最前列に位置するトイレットペーパーロールTP、TPと、昇降台3B、3A上へ移載された最後列のトイレットペーパーロールTP、TPとの接触を抑制でき、結果として、トイレットペーパーロールTPの搬送方向端面同士がすれ合ってその姿勢を崩して移送形態を乱すことを抑制することができる。
【0066】
しかも、分離部材4、4により、昇降台3B、3Aの昇降時、搬送路2、2の最前列のトイレットペーパーロールTP、TPと、昇降台3B、3A上へ移載された最後列のトイレットペーパーロールTP、TPとの接触を完全に遮断することができる。これにより、搬送路2、2の最前列のトイレットペーパーロールTP、TPと、昇降台3B、3A上へ移載された最後列のトイレットペーパーロールTP、TPとの接触を抑制したうえで、従来、トイレットペーパーロールTP、TPを2段階の動作で搬送していたものを、1段階の動作で搬送することができるので、その搬送時間を短縮することができる。
【0067】
また、本実施形態に係る搬送装置1では、昇降台3B、3Aは、当該昇降台3B、3A上の複数のトイレットペーパーロールTP、TPを搬送路2の搬送方向と直交する方向から支持するようにトイレットペーパーロールTP、TPに向かって進退自在に構成される一対の支持部材5、5を備えている。これにより、昇降台3B、3Aのベース部材25(幅広分割ベース部材60及び幅狭分割ベース部材61)上に移載された、径方向に沿って3列配列されたトイレットペーパーロールTP間の隙間を無くした状態で支持することができる。また、昇降台3B、3Aのベース部材25(幅広分割ベース部材60及び幅狭分割ベース部材61)上に移載された、軸方向に沿って3列配列されたトイレットペーパーロールTPを、搬送方向と直交する方向に凹凸することなく整列させることができる。
【0068】
さらに、本実施形態に係る搬送装置1では、昇降台3B、3Aに、搬送路2、2から昇降台3B、3Aのベース部材25(幅広分割ベース部材60及び幅狭分割ベース部材61)上に移載される各トイレットペーパーロールTPを受け止めるストッパ部材6が出没自在に設けられる。これにより、昇降台3B、3Aのベース部材25(幅広分割ベース部材60及び幅狭分割ベース部材61)上に移載された、軸方向に沿って3列配列されたトイレットペーパーロールTPを所定位置に停止させると共に、軸方向に沿って3列配列されたトイレットペーパーロールTP、TP間の隙間を無くした状態で支持することができる。
【0069】
さらにまた、本実施形態に係る搬送装置1では、分離部材4、4は、昇降台3B、3Aの搬送方向上流端から昇降台3B、3Aの昇降方向と同じ方向に沿って延びている。そして、分離部材4、4により、昇降台3B、3Aの昇降時、搬送路2、2の最前列に位置する各トイレットペーパーロールTPの搬送方向端面との接触を最小限に抑制しつつ、搬送路2、2の最前列に位置する各トイレットペーパーロールTPの搬送方向に沿う移動を規制することができる。
【0070】
さらにまた、本実施形態に係る搬送装置1では、搬送路2、2の搬送方向下流端部には、搬送路2、2上の各トイレットペーパーロールTPの搬送姿勢を上方から維持するための規制部材7、7が設けられている。これにより、複数のトイレットペーパーロールTPを搬送路2、2から正常な姿勢にて昇降台3B、3A上に移載することができる。また、仮に、搬送路2、2の最前列に位置するトイレットペーパーロールTPが、昇降台3B、3A上に移載されたトイレットペーパーロールTPや分離部材4から小さな回転方向の力が付与されたとしても、規制部材7、7により、搬送路2、2の最前列に位置するトイレットペーパーロールTP、TPが立ち上がるなどの挙動を抑えることができる。
【0071】
なお、本実施形態に係る搬送装置1では、上下一対の昇降台3B、3Aが備えられているが、下側の昇降台3Aだけを備えてもよい。
【0072】
また、本実施形態に係る搬送装置1では、トイレットペーパーロールTPを全18個包装袋に袋詰めしているが、下側の昇降台3Aまたは上下一対の昇降台3B、3Aを使用して、トイレットペーパーロールTPを4個~12個の範囲内で包装袋に袋詰めすることもできる。
【符号の説明】
【0073】
1 搬送装置,2 搬送路,3A 昇降台(下側),3B 昇降台(上側),4 分離部材,5 支持部材,6 ストッパ部材,7 規制部材,TP トイレットペーパーロール(被搬送物)