(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-21
(45)【発行日】2023-03-02
(54)【発明の名称】コンテナ
(51)【国際特許分類】
B65D 21/02 20060101AFI20230222BHJP
B65D 6/18 20060101ALI20230222BHJP
【FI】
B65D21/02 210
B65D6/18 A
(21)【出願番号】P 2018090791
(22)【出願日】2018-05-09
【審査請求日】2021-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】山内 寿敏
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0237341(US,A1)
【文献】特開2004-106859(JP,A)
【文献】特開2002-046735(JP,A)
【文献】特開2001-322637(JP,A)
【文献】実公昭52-040994(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 21/02
B65D 6/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長辺と短辺との2組の対辺を有する底面板の四辺に壁部を設けてなるコンテナであって, 前記長辺の半分の長さの小短辺と前記短辺と同じ長さの小長辺との2組の対辺を有する小底面板の四辺に小壁部を設けてなる基本箱を2個,前記小長辺同士を突き合わせて並置した上に段積みすることができる倍箱であり,
前記底面板の裏面の短辺には,下段の前記基本箱の小長辺の小壁部の頂部に上向きに設けられている突起を収納する短辺収納部が形成されており,
前記底面板の裏面における短辺と短辺との中間の位置には,下段の前記基本箱の小長辺の小壁部の頂部に上向きに設けられている突起を収納する中間収納部が形成されており, 前記中間収納部の両サイドに,下方に延びる第1中央壁および第2中央壁が設けられており,
前記底面板の裏面にはさらに,前記第1中央壁および前記第2中央壁と交差する方向の縦壁が設けられており,
前記縦壁は,前記中間収納部の範囲内にも設けられており,
前記中間収納部の範囲内の前記縦壁の高さが,前記中間収納部の範囲外の前記縦壁の高さより低
く,
前記壁部が可倒式になっているものであり,
前記長辺の壁部には,起立状態にて前記短辺の壁部と係合する係合部が内面向きに形成されており,
前記底面板の表面の短辺には,前記壁部を倒したときに前記係合部を収納する凹状部が形成されており,
前記凹状部の一部に,表面側に凸状となっている凸状部が形成されており,
前記凸状部の裏面が前記短辺収納部となっており,
前記係合部には,前記壁部を倒したときに前記凸状部との干渉を防ぐ凹み部が形成されていることを特徴とするコンテナ。
【請求項2】
請求項1に記載のコンテナであって,
前記中間収納部は,下段の基本箱の小長辺に沿った方向に連続的に形成されていることを特徴とするコンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,種々の物品を収納するコンテナに関する。さらに詳細には,コンテナ同士を縦に段積みできるとともに,異なるサイズのものとの混載段積みも可能なコンテナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から,長方形状で上方が開口したコンテナが使用されている。このようなコンテナは,コンテナ同士で段積み状態にして使用されることがある。さらに,コンテナに収納されている物を利用する立場の都合上,サイズの異なる容器を混載した特殊な段積みが行われることもある。混載段積みの場合,小箱コンテナの長辺長と大箱コンテナの短辺長とを一致させるとともに,大箱コンテナの長辺長を小箱コンテナの短辺長の2倍とする。こうすることで,2個の小箱コンテナを長辺同士を突き合わせて並置した上に1個の大箱コンテナを段積みすることができる。このようなものの例として,特許文献1(特にその
図19)に記載されているものを挙げることができる。
【0003】
同文献中の大箱コンテナ(同文献の
図11参照)には,「ずれ防止用突起7」が形成されている(同文献の[0018]等を参照)。「ずれ防止用突起7」は,長辺の壁部の頂部に上向きに設けられている。「ずれ防止用突起7」は,同文献の
図19に示されるように当該大箱コンテナが段積みの下段になっている状態では,上段の小箱コンテナに設けられている「嵌め込み凹部8」に嵌め込まれている(同文献の[0030],
図21)。これにより,段積み状態での上段の小箱コンテナのずれを防止している。また,下段の大箱コンテナの長辺の壁部の歪みも防止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら前記した従来の技術には,次のような問題点があった。実際の使用状況では,上記の大箱コンテナに相当するコンテナが,さらにその2倍の大きさの倍箱コンテナと組み合わせて使用されることがある。その場合には,2個の大箱コンテナを長辺同士を突き合わせて並置した上に1個の倍箱コンテナを積むケースが出てくる。ところがここで,前述の「ずれ防止用突起7」がこのような段積みを邪魔するのである。下段の大箱コンテナのうち特に2つの長辺が突き合わされている箇所の直上には,倍箱コンテナの底面の中央部分が位置することとなる。このため,「ずれ防止用突起7」が倍箱コンテナの底面の裏面に当接してしまい,安定した段積み状態にならないのである。
【0006】
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,長辺の壁部上に上向きの突起を有する基本箱を2個並置した上に安定して積み重ねることができる倍箱サイズのコンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様におけるコンテナは,長辺と短辺との2組の対辺を有する底面板の四辺に壁部を設けてなるコンテナであって,長辺の半分の長さの小短辺と短辺と同じ長さの小長辺との2組の対辺を有する小底面板の四辺に小壁部を設けてなる基本箱を2個,小長辺同士を突き合わせて並置した上に段積みすることができる倍箱であり,底面板の裏面の短辺には,下段の基本箱の小長辺の小壁部の頂部に上向きに設けられている突起を収納する短辺収納部が形成されており,底面板の裏面における短辺と短辺との中間の位置には,下段の基本箱の小長辺の小壁部の頂部に上向きに設けられている突起を収納する中間収納部が形成されているものである。
【0008】
上記態様におけるコンテナでは,2個並置した基本箱の上に段積みにすることができる。その状態では,コンテナの短辺の位置,および短辺と短辺との中間の位置が,基本箱の小長辺の上に位置する。ここで,基本箱の小長辺の小壁部の頂部に上向きの突起が設けられていても,その突起は段積み状態にて,コンテナの短辺収納部や中間収納部に収納されることとなる。よって上記態様のコンテナは,前述の上向きの突起を有する基本箱の上に段積みにしても安定している。
【0009】
前記態様のコンテナではまた,壁部が可倒式になっており,長辺の壁部には,起立状態にて短辺の壁部と係合する係合部が内面向きに形成されており,底面板の表面の短辺には,壁部を倒したときに係合部を収納する凹状部が形成されており,凹状部の一部に,表面側に凸状となっている凸状部,もしくは切り欠かれた切り欠き部が形成されており,凸状部の裏面もしくは切り欠き部が短辺収納部となっており,係合部には,壁部を倒したときに前記凸状部との干渉を防ぐ凹み部が形成されている。この場合,コンテナの壁部を倒した折り畳み姿態では,長辺の壁部の係合部は底面板の表面の短辺の凹状部に収納される。このため,折り畳み姿態での厚さ方向のサイズが小さい。その一方で,凸状部もしくは切り欠き部により,前述の段積み状態での安定性も得られる。
【0010】
前記態様のコンテナでは,中間収納部の両サイドに下方に延びる第1中央壁および第2中央壁が設けられており,底面板の裏面にはさらに,第1中央壁および第2中央壁と交差する方向の縦壁が設けられている。前記態様のコンテナではさらに,中間収納部が,下段の基本箱の小長辺に沿った方向に連続的に形成されていることとすることができる。このようにしておくことにより,下段の基本箱における突起の小長辺方向の位置に関わらず,中間収納部に突起が収納されることとなる。このため,基本箱の品種に対する汎用性が高い。
【発明の効果】
【0011】
本構成によれば,長辺の壁部上に上向きの突起を有する基本箱を2個並置した上に安定して積み重ねることができる倍箱サイズのコンテナが提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態に係るコンテナ(倍箱)の斜視図である。
【
図2】
図1のコンテナとともに用いる基本コンテナの斜視図である。
【
図3】実施の形態に係るコンテナと
図2の基本コンテナとを段積みにした状態を示す斜視図である。
【
図4】
図2の基本コンテナの一部を拡大して示す拡大斜視図である。
【
図5】
図1のコンテナの一部を拡大して示す拡大切開斜視図(その1)である。
【
図6】
図1のコンテナの一部を拡大して示す拡大切開斜視図(その2)である。
【
図7】
図1のコンテナを折り畳み姿態にして示す斜視図である。
【
図8】
図1のコンテナの長辺の壁部を単独の状態で示す斜視図である。
【
図9】
図1のコンテナの底面板の一部を拡大して示す拡大切開斜視図である。
【
図10】
図1のコンテナの底面板の一部を切開して示す切開斜視図である。
【
図11】
図3の混載段積み状態を一部切開して示す切開斜視図である。
【
図12】
図10のコンテナの底面板における収納部に関する第1の変形例を示す切開斜視図である。
【
図13】
図10のコンテナの底面板における収納部に関する第2の変形例を示す切開斜視図である。
【
図15】
図14中の開口窓の箇所を拡大して示す拡大斜視図である。
【
図16】
図14中の切り欠き部の箇所を拡大して示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下,本発明を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,
図1に示すコンテナ1として本発明を具体化したものである。
図1のコンテナ1は,2組の対辺を有する長方形状の底面板2とその四辺に設けられた壁部3,4とを有している。底面板2の両短辺上にあるのが壁部3で,両長辺上にあるのが壁部4である。
【0014】
本形態のコンテナ1は,
図2に示す基本コンテナ21と組み合わせて使用することができる。基本コンテナ21は,長方形状の底面板22とその四辺に設けられた壁部23,24とを有している。底面板22の両長辺上にあるのが壁部23で,両短辺上にあるのが壁部24である。
図2には,2個の基本コンテナ21を,それらの長辺の壁部23同士を突き合わせて並置した状態で示している。基本コンテナ21の短辺長(L/2)は,コンテナ1の長辺長(L)の半分である。基本コンテナ21の長辺長(W)は,コンテナ1の短辺長(W)と同じである。よって
図3に示すように,2個並置した基本コンテナ21の上に1個のコンテナ1を段積みすることができる。
図3の混載段積み状態では,コンテナ1の短辺の位置,および短辺と短辺との中間の位置が,基本コンテナ21の長辺の上に位置する。
【0015】
なお基本コンテナ21は,特許文献1に示されるものでいえば,「小型の折り畳みコンテナ」ではなく「大型の折り畳みコンテナ」に相当するサイズのものである。すなわち本形態のコンテナ1は,特許文献1における「大型の折り畳みコンテナ」よりさらに大きい,倍箱サイズのものである。基本コンテナ21は,常に本形態のコンテナ1と組み合わせて使用されるというものではない。
【0016】
図2に戻って,基本コンテナ21の長辺の壁部23の頂面上には,突起25が上向きに形成されている。突起25は,2つの壁部23のそれぞれに複数個設けられている。基本コンテナ21のうち突起25の付近の部分を拡大して
図4に示す。
【0017】
一方,倍箱であるコンテナ1には,
図5,
図6に示されるように,底面板2の裏面に凹状の収納部5,6が形成されている。
図5の収納部5は,コンテナ1における短辺の壁部3の直下のものである。
図6の収納部6は,コンテナ1における短辺と短辺との中間位置の裏面のものである。
図3の段積み状態では,下段の基本コンテナ21の突起25が,上段のコンテナ1の収納部5,6に嵌り込んで収納されている。これにより,
図3の段積み状態でのコンテナ1の横ずれが防止され,段積み状態が安定する。また,下段の基本コンテナ21の長辺の壁部23の歪みも防止されている。
【0018】
図5の収納部5についてさらに説明する。そのため,本形態のコンテナ1そのものについて説明を補充する。本形態のコンテナ1は,折り畳み可能なものである。すなわち,壁部3,4が可倒式になっている。
図7に,壁部3,4を倒して折り畳み姿態にしたコンテナ1を示す。コンテナ1を
図1の伸開姿態から
図7の折り畳み姿態にするときには,まず短辺の壁部3を倒してから長辺の壁部4を倒す。
【0019】
図8に,長辺の壁部4を単独の状態で示す。壁部4における,
図8中で正面側となっている面が,コンテナ1にて容器の内部を向く面である。壁部4の左右両端には,凸部10が形成されている。凸部10は,
図1の伸開姿態にて短辺の壁部3と引っ掛かり合うことで伸開姿態を安定して維持するための係合部である。
図7の折り畳み姿態では,凸部10は下の底面板2の方を向いている。
【0020】
一方,底面板2における短辺沿いの部位には,
図9に示されるように,主面部分14より少し高い位置の底部フランジ面15と,底部フランジ面15の外縁および内縁から下方に延びる最外壁16および次外壁17とが設けられている。最外壁16と次外壁17との間は,上方側では底部フランジ面15により塞がれているが下方側では開口している。よって,この最外壁16と次外壁17との間の隙間が前述の収納部5として機能する。
【0021】
ただし底部フランジ面15の一部には,表側から見て凹んだ形状の凹状部11が設けられている(
図5参照)。凹状部11は,
図7の折り畳み姿態にて壁部4の凸部10を収納するための部位である(
図7中の矢印Aの箇所)。凹状部11に凸部10が収納されることで,折り畳み姿態でのコンテナ1の厚さを削減している。
【0022】
ここで,凹状部11の一部分に逆に上向きに突出する凸状部12が設けられている。凸状部12は,
図3の段積み状態にて下段の基本コンテナ21の突起25の上方となる位置に設けられている。つまり,最外壁16と次外壁17との間の隙間が収納部5として実際に機能しうるのは,凹状部11以外の部分および,凹状部11のうち凸状部12の部分である。基本コンテナ21は前述のように必ずしもコンテナ1とセットとして提供されるとは限らないものであるが,製品として世間に提供されているものであるから,突起25の位置は既知である。本形態のコンテナ1では,突起25の位置が凹状部11の範囲内に入っている場合,その位置を凸状部12とすることで,突起25との干渉を回避している。なお,
図8に示した壁部4の凸部10にも,凸状部12との干渉を防ぐ凹み部13が形成されている。
【0023】
図6の収納部6についてもさらに説明する。
図6に示されるように,収納部6の両サイドには,下方に延びる第1中央壁18,第2中央壁19が設けられている。第1中央壁18と第2中央壁19との間の隙間が収納部6である。一方,底面板2の裏面には,縦横に縦壁20,横壁26が形成されている。このうち第1中央壁18,第2中央壁19と平行な横壁26は当然,第1中央壁18と第2中央壁19との間には設けられていない。第1中央壁18,第2中央壁19と交差する方向の縦壁20は,第1中央壁18と第2中央壁19との間には,設けられていないか,または,設けられていたとしても,
図6中に見えている部分よりも低い高さとされている。これにより,
図3の段積み状態にしたときに,突起25が収納部6に収納され,何にも干渉しないようになっている。
【0024】
また,コンテナ1の底面板2の表側には,短辺と短辺との中間の位置に,主面部分14より少し盛り上がった盛り上がり領域9が形成されている(
図1,
図6)。盛り上がり領域9は,裏面側に収納部6を形成するための必要から形成されているものである。
図10に,底面板2を盛り上がり領域9および収納部6の箇所で切開した状態を示す。
図10に示す例では,収納部6の箇所内にも,低い高さの縦壁20が形成されている。
【0025】
図1,
図6から明らかなように領域9は,長辺の壁部4から長辺の壁部4までの全範囲にわたって設けられている訳ではない。このことは,裏面の収納部6も,長辺から長辺までの全範囲にわたって設けられてはいない,ということを示している。前述のように基本コンテナ21における突起25の位置は既知であるため,すべての突起25が収納部6の範囲内に収まっていれば十分だからである。ただし,長辺から長辺までの全範囲にわたって収納部6および盛り上がり領域9が形成されていても構わない。なお,収納部6に関しては前述の収納部5と異なり,折り畳み姿態にしたときにおける壁部4との干渉を考慮する必要はない。
【0026】
図11に,
図3の段積み状態におけるコンテナ1および基本コンテナ21を一部切開して示す。基本コンテナ21の突起25の本来の役割は,基本コンテナ21同士で段積みした際における横ずれの防止である。このため基本コンテナ21の底面板22の裏面における長辺(上段のコンテナ1の短辺と平行)沿いの箇所には,突起25が嵌り込む凹状の収納部27が形成されている。ただし,基本コンテナ21における長辺と長辺との中間の位置には,そのような収納部は形成されていない。
【0027】
続いて,本形態のコンテナ1の変形例を説明する。これから説明する変形例における,ここまでで説明したこととの相違点はすべて,収納部5もしくは収納部6に関するものである。以下の変形例の説明において,上記で説明したことと共通する部分には共通する符号を付し,相違する部分については適宜変更した符号を付与するものとする。
【0028】
図12に,中間位置の収納部6に関する第1の変形例を示す。
図12の底面板2においては,盛り上がり領域9が,連続的にではなく離散的に形成されている。下段の基本コンテナ21として決まった品種のもののみを用いる場合にはこのような形態で十分である。なお
図12に示すものにおいては,第1中央壁18(および第2中央壁19)は連続的に形成されていることとしているが,このことは必須ではない。
図12に示すものにおいてはまた,第1中央壁18と第2中央壁19との間の領域では縦壁20が設けられていないこととしている。しかしこのことも必須ではない。第1中央壁18と第2中央壁19との間の領域にも縦壁20を設けることとしてもよい。ただしその場合,離散的な盛り上がり領域9の真裏の箇所においては,低い高さの縦壁20に留めるべきである。
【0029】
図13に,収納部6に関する第2の変形例を示す。
図13の底面板2においては,盛り上がり領域9が形成されていない。その代わりに,
図12において離散的な盛り上がり領域9とされている箇所に,開口窓28が形成されている。このような形態でも,下段の突起25と底面板2との干渉を防止することができる。
図13の変形例の場合における縦壁20のあり方については,基本的には
図12の変形例の場合と同様である。ただし,開口窓28の箇所に縦壁20を設けることは不可能である。
【0030】
図13には,短辺の収納部5に関する変形例も現れている。すなわち
図13の底面板2における凹状部11の箇所には,
図9に示した凸状部12が設けられておらず,代わりにその箇所は切り欠き部29とされている。このような形態でも,下段の突起25と凹状部11との干渉を防止することができる。
【0031】
図13の変形例の場合における混載段積み状態においては,
図14に示されるように,上段のコンテナ1の開口窓28を通して,下段の基本コンテナ21の突起25が見える状況にある。また,上段のコンテナ1の切り欠き部29のところでも,下段の基本コンテナ21の突起25が見えている。
図14における開口窓28の箇所Bおよび切り欠き部29の箇所Cを拡大して,
図15,
図16に示す。なお,
図13の変形例において,中間位置の収納部6に関してのみ,
図6もしくは
図12に示した構造としてもよい。
【0032】
なお,
図14に示される段積み状態には,
図3との相違点がさらに2点ある。カードホルダー30,および,基本コンテナ21の屈曲部31である。これらについて簡単に説明する。
【0033】
カードホルダー30は,コンテナ1における長辺の壁部4の外面に取り付けられている。カードホルダー30は,ある程度の可撓性のある材質で形成されているものであり,壁部4の外面との間に薄片状のカードを挟み込んで保持するためのものである。そのカードは,コンテナ1自体あるいはその収納物に関する何らかの情報を表示するためのものである。
図14の例におけるカードホルダー30ではその左右方向両端部に傾斜面32が設けられている。これにより,カードホルダー30の両端部に外部の物(ユーザーの指等)が引っ掛かりにくいようにしている。このため,カードホルダー30のコンテナ1からの脱落が起こりにくくなっている。
【0034】
なお,
図14では壁部4の外面における図中で右半分の部位にカードホルダー30が取り付けられているが,左半分の部位にカードホルダー30を取り付けることもできる。当該部位には,壁部4側に形成されているカードホルダー30の取付形状部33が現れている。あるいは,カードホルダー30を壁部4の内面に取り付けるように構成することもできるし,短辺の壁部3の外面または内面に取り付けるように構成することもできる。
【0035】
屈曲部31は,下段の基本コンテナ21の短辺の壁部24の一部である。
図14における壁部24の下端付近の外面には,水平リブ34が形成されている。屈曲部31は,水平リブ34のうち左右方向の中央付近の一部が上方にシフトするように屈曲して形成されている部分である。また,基本コンテナ21の底面板22における屈曲部31の下方の部位には,切り欠き部35が形成されている。屈曲部31および切り欠き部35により,基本コンテナ21の両短辺の下部に指を入れて基本コンテナ21を持ち上げる動作をやりやすくしている。屈曲部31および切り欠き部35の箇所ではそれ以外の箇所よりも,水平リブ34の下側の空間が広いからである。なお,ここで説明したもののうち水平リブ34および切り欠き部35は,
図3における基本コンテナ21にもある。
【0036】
以上詳細に説明したように本実施の形態によれば,倍箱サイズであるコンテナ1において,2つ並置した基本コンテナ21の上に段積みするための構成を備えている。すなわち前述の,短辺の収納部5(凸状部12や切り欠き部29を含む。)および中間位置の収納部6(開口窓28を含む。)がそれである。これにより,下段の基本コンテナ21が,長辺の壁部23の頂面上に上向きの突起25を有するものであっても,その上に安定して積み重ねることができる倍箱サイズのコンテナ1が実現されている。特に,凹状部11や凸状部12もしくは切り欠き部29が設けられていることにより,折り畳み姿態での厚さ方向のコンパクト性との両立も達成されている。こうして,異なるサイズのコンテナを段積みして使用することがより便利になっている。
【0037】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,コンテナ1や基本コンテナ21の各部の具体的デザインについては限定はない。
【符号の説明】
【0038】
1 コンテナ(倍箱)
2 底面板
3 壁部(短辺)
4 壁部(長辺)
5 収納部(短辺)
6 収納部(中間位置)
9 盛り上がり領域
12 凸状部
25 突起
28 開口窓
29 切り欠き部