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特許7231918三次元座標データ生成システム及びその方法並びにその方法を用いた動作分析装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-21
(45)【発行日】2023-03-02
(54)【発明の名称】三次元座標データ生成システム及びその方法並びにその方法を用いた動作分析装置
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/593 20170101AFI20230222BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20230222BHJP
【FI】
G06T7/593
G01B11/00 H
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018176156
(22)【出願日】2018-09-20
(65)【公開番号】P2020047065
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】593006630
【氏名又は名称】学校法人立命館
(74)【代理人】
【識別番号】100154014
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100154520
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 祐子
(72)【発明者】
【氏名】長野 明紀
【審査官】大塚 俊範
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-026236(JP,A)
【文献】藤本 浩介、他3名,広範囲移動体験のための車両型MRにおける複数全方位カメラを使用した頑健な位置合わせ,ヒューマンインタフェース学会 研究報告集 2015 Vol.17 [CD-ROM] Correspondences on Human Interface,日本,Human Interface Society,2015年10月01日,第17巻,第7号,p.73-79
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00-7/90
G01B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のレンズを用いて全天球を撮像可能な第1カメラと、
一対のレンズを用いて全天球を撮像可能な第2カメラと、
前記第1カメラ及び前記第2カメラにて撮像された曲面画像データを取得する画像データ取得手段と、
前記画像データ取得手段にて取得した曲面画像データを平面画像データに変換する変換手段と、
前記変換手段にて変換した前記平面画像データを用いて、グローバル座標系での前記第1カメラ及び前記第2カメラの位置と方位を算定する算定手段と、
前記算定手段にて算定したグローバル座標系での前記第1カメラの位置と方位、及び、グローバル座標系での前記第2カメラの位置と方位に基づいて、前記曲面画像データの所定箇所における三次元座標データを算出する算出手段と、を有してなる三次元座標データ生成システム。
【請求項2】
一対のレンズを用いて全天球を撮像可能な第1カメラ及び一対のレンズを用いて全天球を撮像可能な第2カメラにて撮像された曲面画像データを取得し、
前記取得した曲面画像データを平面画像データに変換し、
前記変換した前記平面画像データを用いて、グローバル座標系での前記第1カメラ及び前記第2カメラの位置と方位を算定し、
前記算定したグローバル座標系での前記第1カメラの位置と方位、及び、グローバル座標系での前記第2カメラの位置と方位に基づいて、前記曲面画像データの所定箇所における三次元座標データを算出してなる三次元座標データ生成方法。
【請求項3】
前記請求項2に記載の三次元座標データ生成方法を用いて、複数のマーカーを所定箇所に取り付けられた被検体の動作を分析する動作分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラの台数を削減しても三次元座標データを生成することができる三次元座標データ生成システム及びその方法並びにその方法を用いた動作分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、三次元動作分析の計測方式として、光学式モーションキャプチャによる動作分析システムが良く知られている。光学式モーションキャプチャでは、複数の光学マーカーを被検体の所定箇所に取り付け、被検体を取り囲むように複数のカメラで被検体の動作を撮影することで、光学マーカーの移動軌跡から被検体の動作を計測するというものである(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-294048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなシステムでは、透視投影モデルに基づいたカメラを用いている。しかるに、この種のカメラは、撮像範囲が限られていることから、被検体の動作を計測しようとすると、多数のカメラを用意する必要があった。それゆえ、システム全体のコストが増大し、さらに、カメラの配置に多大な時間と労力を要するという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、カメラの台数を削減しても三次元座標データを生成することができる三次元座標データ生成システム及びその方法並びにその方法を用いた動作分析装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の目的は、以下の手段によって達成される。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0007】
請求項1に係る三次元座標データ生成システムは、
一対のレンズを用いて全天球を撮像可能な第1カメラ(3a)と、
一対のレンズを用いて全天球を撮像可能な第2カメラ(3b)と、
前記第1カメラ(3a)及び前記第2カメラ(3b)にて撮像された曲面画像データ(TH)を取得する画像データ取得手段(CPU40、ステップS1)と、
前記画像データ取得手段(CPU40、ステップS1)にて取得した曲面画像データ(TH)を平面画像データ(TW)に変換する変換手段(CPU40、ステップS2)と、
前記変換手段(CPU40、ステップS2)にて変換した前記平面画像データ(TW)を用いて、グローバル座標系での前記第1カメラ(3a)及び前記第2カメラ(3b)の位置と方位を算定する算定手段(CPU40、ステップS3)と、
前記算定手段(CPU40、ステップS3)にて算定したグローバル座標系での前記第1カメラ(3a)の位置と方位、及び、グローバル座標系での前記第2カメラ(3b)の位置と方位に基づいて、前記曲面画像データ(TH)の所定箇所における三次元座標データを算出する算出手段(CPU40、ステップS4)と、を有してなることを特徴としている。
【0008】
また、請求項2に係る三次元座標データ生成方法は、一対のレンズを用いて全天球を撮像可能な第1カメラ(3a)及び一対のレンズを用いて全天球を撮像可能な第2カメラ(3b)にて撮像された曲面画像データ(TH)を取得し(ステップS1)、
前記取得した曲面画像データ(TH)を平面画像データ(TW)に変換し(ステップS2)、
前記変換した前記平面画像データ(TW)を用いて、グローバル座標系での前記第1カメラ(3a)及び前記第2カメラ(3b)の位置と方位を算定し(ステップS3)、
前記算定したグローバル座標系での前記第1カメラ(3a)の位置と方位、及び、グローバル座標系での前記第2カメラ(3b)の位置と方位に基づいて、前記曲面画像データ(TH)の所定箇所における三次元座標データを算出してなる(ステップS4)ことを特徴としている。
【0009】
さらに、請求項3に係る動作分析装置は、上記請求項2に記載の三次元座標データ生成方法を用いて、複数のマーカー(2a)を所定箇所に取り付けられた被検体(2)の動作を分析することを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1及び請求項2に係る発明によれば、カメラの台数を削減しても三次元座標データを生成することができる。また、請求項2に係る方法を用いれば、複数のマーカー(2a)を所定箇所に取り付けられた被検体(2)の動作を分析することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る三次元座標データ生成システムの一実施形態を示すブロック図である。
図2】同実施形態に係る三次元座標データ生成システムの制御手順を示すフローチャート図である。
図3】(a)は、同実施形態に係るカメラを用いて撮像した曲面画像データの例を示し、(b)は、(a)に示す曲面画像データを、正距円筒図法を用いて変換した場合の平面画像データの例を示す図である。
図4】(a)は、直交座標系の表記と極座標系における表記を説明するための説明図、(b)は、図3(b)に示す平面画像データにおける経度と緯度を説明するための説明図である。
図5図4(b)に示す点Pのグローバル座標系での位置を説明するための説明図である。
図6】ある点Qを同実施形態に係る第1カメラ,第2カメラから見たときにおける説明をするための説明図である。
図7】同実施形態に係る第1カメラ,第2カメラからを同時に使用した場合を説明するための説明図である。
図8】グローバル座標系を別途設定する場合を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る三次元座標データ生成システムの一実施形態を、図面を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明において、上下左右の方向を示す場合は、図示正面から見た場合の上下左右をいうものとする。
【0013】
図1に示すように、三次元座標データ生成システム1は、被検体2と、被検体2を撮像可能なカメラ3と、画像処理装置4と、で構成されている。
【0014】
被検体2は、人物や物体等からなるもので、図1では人物を例示している。しかして、この被検体2には、図1に示すように、被検体2の特徴点にマーカー2aが装着されている。なお、被検体2の特徴点とは、被検体2が人物の場合、身体の動きを把握するための特徴点を示すものである。例えば、関節部、重心近傍の腹部(臍)、頭頂などが該当する。
【0015】
カメラ3は、図1に示すように、第1カメラ3aと、第2カメラ3bとで構成され、この第1カメラ3aと、第2カメラ3bは、共に、一対のレンズを用いて全天球(全方位)の動画や静止画を撮像可能な全天球カメラからなる。それゆえ、この第1カメラ3aと、第2カメラ3bは、共に、透視投影モデルに基づいたカメラよりも広角な範囲を撮像可能となる。かくして、被検体2は、このような第1カメラ3aと、第2カメラ3bとで、全方位(360°)撮像されることとなる。
【0016】
画像処理装置4は、CPU40と、マウスやキーボード、タッチパネル等にて外部から所定データを画像処理装置4に入力することができる入力部41と、画像処理装置4外に所定データを出力することができる出力部42と、所定のプログラム等を格納した書込み可能なフラッシュROM等からなるROM43と、作業領域やバッファメモリ等として機能するRAM44と、LCD(Liquid Crystal Display)等からなる表示部45と、で構成されている。
【0017】
かくして、上記のような三次元座標データ生成システムを使用するにあたっては、作業者が、図1に示す画像処理装置4の入力部41を用いて、図1に示すROM43内に格納されているプログラムの起動を指示する。これにより、画像処理装置4のCPU40(図1参照)は、図2に示すような処理を行う。以下、図2を参照して説明する。なお、図2に示すプログラムの処理内容はあくまで一例であり、これに限定されるものではない。
【0018】
まず、CPU40(図1参照)は、第1カメラ3aと、第2カメラ3bとで撮像された曲面画像データを取得する(ステップS1)。具体的に例示すると、第1カメラ3a又は第2カメラ3bで撮像された曲面画像データとしては、図3(a)に示すような曲面画像データTHを取得することとなる。なお、この曲面画像データTHは、図3(a)に示すように、全天球カメラの一対のレンズのうち一方のレンズを介して撮像された第1半球画像THaと、他方のレンズを介して撮像された第2半球画像THbとで構成されているものである。
【0019】
次いで、CPU40(図1参照)は、取得した曲面画像データを平面画像データに変換する(ステップS2)。具体的には、図3(a)に示す第1半球画像THaと、第2半球画像THbとを正距円筒図法を用いて変換するものである。これにより、図3(b)に示すような平面画像データTWが生成されることとなる。
【0020】
次いで、CPU40(図1参照)は、カメラ3の位置と方位を算定する。具体的には、以下のような数式を用いて算定される。以下、具体的に説明する。
【0021】
まず、カメラ3に固定されている図4(a)に示すようなカメラ座標系において、直交座標系の表記と極座標系の表記は、以下の数式で表すことができる。
【0022】
【数1】
【0023】
なお、θは経度、φは緯度に相当するものである。
【0024】
一方、正距円筒図法では、図4(b)に示すように、横軸が経度、縦軸が緯度として表されることとなるから、平面画像データTWの所定箇所を点Pとすると、点Pはカメラ3に固定された直交座標系では、原点Oと下記数式2を結ぶ直線、数式1上にある。
【0025】
【数2】
【0026】
なお、rはカメラ3の原点Oから点Pまでの距離を表す未知数である。
【0027】
かくして、点Pのグローバル座標系での位置は以下のように表される。すなわち、グローバル座標系は、被検体2がカメラ3にて撮像されている実験室に固定されているもので、図5に示すように、グローバル座標系、カメラ座標系の原点O,O間を結ぶベクトルは以下の数式で表される。
【0028】
【数3】
【0029】
なお、lABx、lABy、lABzは、未知数である。
【0030】
一方、座標系AB間の回転行列は以下の数式で表される。
【0031】
【数4】
【0032】
ただし、C=cos(q)、S=sin(q)、C=cos(q)、S=sin(q)、C=cos(q)、S=sin(q)である。なお、q,q,qは未知数である。
【0033】
ところで、この回転行列は、軸1→2→3の順に回転させたと考えた時の形を示している。回転の順序は、軸1→2→3の順に回転させた場合を含め12通りあるため、12通りの形が考えられるが、何れの場合も、未知数の数は、等しく3つである。
【0034】
しかして、点Pのグローバル座標系での位置は以下の数式で表されることとなる。
【0035】
【数5】
【0036】
なお、lABx,lABy,lABz,q,q,q,rの7変数は、未知数である。
【0037】
ここで、上記未知数を求めるにあたり、以下のようにすることができる。
【0038】
すなわち、三次元座標値が既知であるコントロールポイントP(x,y,z)の位置をカメラ3で見ると、以下の数式が成り立つこととなる。
【0039】
【数6】
【0040】
なお、上記数式において、lABx,lABy,lABz,q,q,q,rの7変数が未知数で、式が3つ成り立つこととなる。
【0041】
もう一点、三次元座標値が既知であるコントロールポイントP(x,y,z)の位置をカメラ3で見ると、以下の数式が成り立つこととなる。
【0042】
【数7】
【0043】
なお、上記数式において、新たな未知数rが加わり、8変数が未知数で、上記数式6に加え、式が6つ成り立つこととなる。
【0044】
さらにもう一点、三次元座標値が既知であるコントロールポイントP(x,y,z)の位置をカメラ3で見ると、以下の数式が成り立つこととなる。
【0045】
【数8】
【0046】
なお、上記数式において、新たな未知数rが加わり、9変数が未知数で、上記数式6,7に加え、式が9つ成り立つこととなる。
【0047】
これにより、9変数の未知数に対し、式が9つ成り立つため、9変数の未知数が求まることとなる。
【0048】
ところで、実際には、3点以上の三次元座標値が既知であるコントロールポイントを使用することとなるため、コントロールポイントをN点とすると、上記説明した内容で考えていくと、式の数は3Nとなり、未知数の数は、6+Nとなる。そのため、3N≧6+Nを満たせば未知数は求まることとなる。
【0049】
かくして、未知数を求めるにあたって、左辺-右辺の差を求めると、以下の数式が成り立つこととなる。
【0050】
【数9】
【0051】
次いで、上記数式Dのノルムを計算し、その総和をとると、以下の数式が成り立つこととなる。
【0052】
【数10】
【0053】
かくして、上記数式Jを最小化すれば、未知数が求まることとなる。なお、その際、lABx,lABy,lABz,q,q,q,r,・・・・,rの値を非線形の数値最適化アルゴリズムを用いて求めることとなる。
【0054】
しかして、上記のような数式らを用いることにより、CPU40(図1参照)は、グローバル座標系でのカメラ3の位置と方位を算定することができる。なお、三次元座標値が既知であるコントロールポイントは、必要になった際、作業者に入力部41を用いて入力するよう促す表示を表示部45にするようにするか、又は、予め、ROM43内に記憶させておけば良い。
【0055】
次いで、CPU40(図1参照)は、算定したカメラ3の位置と方位に基づいて、取得した曲面画像データの所定箇所の位置関係を算出する(ステップS4)。以下、具体的に説明する。
【0056】
第1カメラ3aと、第2カメラ3bは上記ステップS3にて説明した方法で、グローバル座標系での第1カメラ3aと、第2カメラ3bの位置と方位を算定することができる。そのため、図6に示すように、ある点Qを第1カメラ3a、第2カメラ3bから見たとき、以下の数式が成り立つこととなる。
【0057】
【数11】
【0058】
同じく、以下の数式が成り立つこととなる。
【0059】
【数12】
【0060】
ここで、数式11と数式12の未知数は、r,rのみであり、数式11と数式12は、x,y,z座標が一致することから、下記数式13が成り立ち、|D|を最小二乗法により最小化すれば、r,rが求まることとなる。
【0061】
【数13】
【0062】
かくして、上記のように、r,rが求まれば、三次元画像データにおける点Qの三次元座標データ(x,y,z)が算出されることとなる。
【0063】
しかして、上記のような数式らを用いることにより、CPU40(図1参照)は、算定したカメラ3の位置と方位に基づいて、取得した曲面画像データの所定箇所の位置関係を算出することができる。これにより、取得した曲面画像データにおける三次元座標データが算出されることとなる。
【0064】
しかるに、取得した曲面画像データの所定箇所、すなわち、被検体2の特徴点に装着されているマーカー2aの三次元座標データを算出することができるため、マーカー2aの各時間(フレーム毎)における三次元座標データを算出することができることとなる。それゆえ、CPU40(図1参照)は、マーカー2aの移動軌跡から被検体2の動作を計測することができ、もって、被検体2の動作を分析することが可能となる。
【0065】
しかして、以上説明した本実施形態によれば、カメラの台数を削減しても(本実施形態の例示では、2台)、曲面画像データの所定箇所における三次元座標データを算出することができるため、従来のように、被検体2を取り囲むように複数のカメラで被検体2の動作を撮影する必要がなくなる。それゆえ、本実施形態によれば、カメラの台数を削減しても、三次元座標データを生成することが可能となる。
【0066】
なお、本実施形態において示した形状等はあくまで一例であり、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば、カメラ3を2台で構成したが、取得する三次元座標データの精度を高めるため、2台以上のカメラを用いても良い。
【0067】
また、本実施形態においては、グローバル座標系でのカメラ3の位置と方位を算定する例を示したが、それに限らず、図7に示すように、第1カメラ3aと、第2カメラ3bを同時に使用して、カメラ3の位置と方位を算定するようにしても良い。
【0068】
すなわち、カメラ3の位置と方位を算定するにあたって、第1カメラ3aを基準として考える。この際、図7に示すように、第1カメラ座標系、第2カメラ座標系の原点O,O間を結ぶベクトルは以下の数式で表される。
【0069】
【数14】
【0070】
なお、lBCx、lBCy、lBCzは、未知数である。
【0071】
一方、座標系BC間の回転行列は以下の数式で表される。
【0072】
【数15】
【0073】
ただし、C=cos(q)、S=sin(q)、C=cos(q)、S=sin(q)、C=cos(q)、S=sin(q)である。なお、q,q,qは未知数である。
【0074】
ここで、図7に示すある点Pを第1カメラ3aと、第2カメラ3bとで同時に見ると、以下の数式が成り立つこととなる。
【0075】
【数16】
【0076】
さらに、以下の数式が成り立つこととなる。
【0077】
【数17】
【0078】
ここで、数式16と数式17のx,y,z座標が一致することから、式が3つ成り立こととなる。しかしながら、未知数は、rB,C,BCx,lBCy,lBCz,q,q,qの8変数あるため、このままでは、未知数を求めることはできない。そこで、長さの次元を持つ未知数が全ての項にかかっているため、lBCx=1として良いとすると、未知数は、rB,C,BCy,lBCz,q,q,qの7変数となる。しかしながら、式は3つしか成立していないため、まだ、未知数を求めることはできない。
【0079】
そこで、上記説明した三次元座標値が既知であるコントロールポイントと同様、未知数を求めることが可能な数の数式を成立させるべく、複数の点を第1カメラ3aと、第2カメラ3bとで同時に見るようにする。すなわち、ある点Pを第1カメラ3aと、第2カメラ3bとで同時に見ると、上記数式16,17のような式が成り立つため、未知数が7つの式が3つ成り立つこととなる。
【0080】
さらに、ある点Pを第1カメラ3aと、第2カメラ3bとで同時に見ると、上記数式16,17のような式が成り立つため、未知数、rB2,rC2が2つ加わり、9つの未知数と、式が6つ成り立つこととなる。しかして、このようにして、ある点Pを第1カメラ3aと、第2カメラ3bとで同時に見ると、上記数式16,17のような式が成り立つため、式の数は、3N、未知数の数は、5+2Nとなる。そのため、3N≧5+2Nを満たせば未知数は求まることとなる。
【0081】
これにより、グローバル座標系でのカメラ3の位置と方位を算定した場合と同様、非線形の数値最適化アルゴリズムを用いれば、lBCy,lBCz,q,q,qの未知数を求めることができるため、第1カメラ3aと、第2カメラ3bとの間の位置関係が定まることとなる。
【0082】
しかして、このようにしてもカメラ3の位置と方位を算定することができる。なお、この際、三次元座標値が既知であるコントロールポイントを使用せずとも良いため、作業者に入力部41を用いて入力するよう促す表示を表示部45にするようにするか、又は、予め、ROM43内に記憶させておく処理は不要となる。
【0083】
ところで、上記算定したカメラ3の位置と方位に基づいて、取得した曲面画像データの所定箇所の位置関係を算出するにあたっては、以下のようにすることができる。
【0084】
すなわち、lBCx=1としたため、実際の長さが分かっている点を用いて補正を行う。例えば、一定距離(例えば、0.5m)離れた点Q,点Rを用いて補正を行うこととする。
【0085】
ある点Qを第1カメラ3a、第2カメラ3bから見たとき、以下の数式が成り立つこととなる。
【0086】
【数18】
【0087】
同じく、以下の数式が成り立つこととなる。
【0088】
【数19】
【0089】
ここで、数式18と数式19の未知数は、r,rのみであり、数式18と数式19は、x,y,z座標が一致することから、下記数式20が成り立ち、|D|を最小二乗法により最小化すれば、r,rが求まることとなる。
【0090】
【数20】
【0091】
かくして、上記のように、r,rが求まれば、曲面画像データにおける点Qの三次元座標データ(x,y,z)が算出されることとなる。
【0092】
次いで、同様にして、曲面画像データにおける点Rの三次元座標データ(x,y,z)を算出する。
【0093】
次いで、下記数式21に示すように、dQRを定義し、実際の長さ(例えば、0.5m)をlQRとすると、lBCx、lBCy、lBCz、rB,の全てについてこれらをlQR/dQR倍したものが真の値となる。
【0094】
【数21】
【0095】
しかして、このようにすれば、上記算定したカメラ3の位置と方位に基づいて、取得した曲面画像データの所定箇所の位置関係を算出することができる。これにより、取得した曲面画像データにおける三次元座標データが算出されることとなる。
【0096】
ところで、上記説明において算出した三次元座標データは、第1カメラ3aを基準として算出したものである。そのため、グローバル座標系を別途設定する場合は、原点、X軸、Y軸、Z軸を定め、平行移動と座標系の回転を用いて変換する必要がある。具体的には、以下のようにすることができる。すなわち、図8に示すグローバル座標系での三次元座標(x,y,z)は以下の数式で表すことができる。
【0097】
【数22】

【0098】
また、座標系BA間の回転行列は以下のように求められる。
【0099】
【数23】
【0100】
この時、以下の数式24が成り立つとき、数式25として、回転行列が求まることとなる。
【0101】
【数24】
【0102】
【数25】
【0103】
しかして、このようにすれば、グローバル座標系を別途設定することができる。
【0104】
ところで、本実施形態においては、被検体2として、被検体2の特徴点に装着されているマーカー2aの三次元座標データを算出する例を示したが、それに限らず、どのような被検体2を撮像するようにしてもよい。しかしながら、被検体2の特徴点に装着されているマーカー2aの三次元座標データを算出するようにすれば、マーカー2aの移動軌跡から被検体2の動作を計測することができ、もって、被検体2の動作を分析することが可能となるため、好適である。
【符号の説明】
【0105】
1 三次元座標データ生成システム
2 被検体
2a マーカー
3 カメラ
3a 第1カメラ
3b 第2カメラ
4 画像処理装置
40 CPU
TH 曲面画像データ
THa 第1半球画像
THb 第2半球画像
TW 平面画像データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8