(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-21
(45)【発行日】2023-03-02
(54)【発明の名称】選別装置に使用可能な分散装置
(51)【国際特許分類】
B07B 13/16 20060101AFI20230222BHJP
B07B 13/04 20060101ALI20230222BHJP
A01K 61/90 20170101ALI20230222BHJP
【FI】
B07B13/16 B
B07B13/04 A
A01K61/90
(21)【出願番号】P 2018187894
(22)【出願日】2018-10-03
【審査請求日】2021-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】300021002
【氏名又は名称】株式会社森機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000316
【氏名又は名称】弁理士法人ピー・エス・ディ
(72)【発明者】
【氏名】森 光典
【審査官】瀧 恭子
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-248525(JP,A)
【文献】特開2007-217729(JP,A)
【文献】実開平07-000565(JP,U)
【文献】特開2000-237686(JP,A)
【文献】特開平11-056167(JP,A)
【文献】特開平08-131965(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07B 1/00-15/00
B07C 1/00-99/00
B02C 1/00-7/18
B02C 18/00-18/38
B01J 4/00-4/04
A01K 61/00-61/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
選別対象物と異物とを選別する選別装置に用いることができる分散装置であって、
選別対象物及び異物を含む被選別物を載置する載置部と、被選別物の出口とを有する、保持部と、
前記出口に配置され、前記出口の幅方向に並ぶとともに該幅方向に移動可能な、
等間隔で一列に並んだ複数の板状体の間の空間である複数の通路を有する、分散部と
を備えた分散装置。
【請求項2】
前記複数の通路を前記幅方向に移動させるための駆動部をさらに備えた、請求項1に記載の分散装置。
【請求項3】
前記分散部は、被選別物の集合体から被選別物の一部を削り取るための切削部を前記載置部側に有する、請求項1又は請求項2に記載の分散装置。
【請求項4】
前記保持部は、前記載置部から前記出口に向かう被選別物の前記幅方向の広がりを狭くする絞り部を有する、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の分散装置。
【請求項5】
前記複数の通路のうち一方の最外方に位置する通路の壁が前記一方の最外方側の移動限界まで移動したときの位置と、前記複数の通路のうち他方の最外方に位置する通路の壁が前記他方の最外方側の移動限界まで移動したときの位置との間の距離が、前記絞り部の幅と同じである、請求項4に記載の分散装置。
【請求項6】
前記複数の通路の移動距離は、前記複数の通路の幅と同じである、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の分散装置。
【請求項7】
前記保持部内の被選別物を前記出口の方向に押し流すための水の散水部をさらに備えた、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の分散装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の分散装置を備えた選別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選別対象物と異物とを選別する選別装置に用いることができる分散装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばホタテ貝の養殖においては、出荷までに、採苗、中間育成、及び本養殖の作業が行われ、この間に、貝の成長に合わせて複数回の選別作業を要する。最初の選別作業は、採苗器から取り出されたホタテ稚貝を異物から選別する作業であり、この作業を通常「仮選別」作業という。この段階でのホタテ稚貝は、殻長が10mm以下、例えば3mm~5mmであり、重量が海水を含んだ状態でも0.1g~0.2gである。こうしたホタテ稚貝は、軽く、殻の表面がほぼ平らな薄い円板状であるため、海水から取り出されたときには、表面張力で他のホタテ稚貝や異物が張り付いて塊状となったり、作業者の手や装置に張り付いたりする。したがって、このような小さな稚貝は、機械による仮選別が難しく、通常は海水中において手作業で選別されることが一般的である。
【0003】
しかし、手作業での選別は煩雑であり、作業性が悪いことから、機械化された装置が望まれている。貝を選別するための選別装置として、例えば特許文献1のような装置が提案されている。この装置は、振動する選別部(篩)穴より大きな貝は選別部の上に残し、それ以外の小さな貝を選別部から落下させることによって、目的とする貝を選別する装置である。本出願の出願人もまた、ホタテ稚貝にそれ以外の大小様々なサイズの貝が混入している場合でも、短時間で大量のホタテ稚貝の仮選別を行うことができる稚貝選別装置を提案し、特許出願を行っている(特願2018-133845)。いずれの装置も、選別部の振動や選別部への散水などよって、稚貝の凝集や装置への貼り付きを防止している。
【0004】
こうした選別装置においては、通常、選別部に投入される前の選別対象物(例えば、ホタテ稚貝)と異物とを含む被選別物を保持するホッパが設けられる。ホッパは、選別部の上部に設けられ、一定量の被選別物を保持する空間を有するとともに、その空間から選別部に被選別物を投入するための投入口を備える。こうしたホッパにおいては、ホッパ内の被選別物が分散した状態で選別部に投入されるように、上下又は左右に揺動させる、傾斜角度を可変とする、貝振り分け器を設ける、内部に水を流す、貝を幅方向に分散させる分散体を設ける、貝掻き出し具を設けるなどといった工夫がなされている(例えば、特許文献1~特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-237686号公報
【文献】特開平11-333383号公報
【文献】特開2000-325886号公報
【文献】特開平11-56167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来のホッパに用いられる技術では、養殖貝と異物とが適切に分散されず、塊状で選別装置に供給されることがある。特に、小さく軽い稚貝を選別する目的で用いられる装置においては、この問題は顕著であり、海水を含んで重たくなった被選別物が、ホッパの振動や散水によって塊状のまま一気に移動し、選別装置に投入される場合がある。塊状のままの被選別物が選別装置に投入されると選別の精度が大きく低下するため、被選別物を分散した状態で選別装置に投入することができるホッパが求められている。
【0007】
本発明は、貝と大小様々なサイズの異物とが混在している被選別物が選別装置に投入される際に、被選別物が塊状態とならずに分散した状態で概ね一定量の投入を可能とする分散装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の課題は、ホッパの出口に、出口内を幅方向に移動する複数の通路を設けた構成を採用することによって、解決することができる。
本発明は、選別対象物と異物とを選別するための選別装置に用いられる分散装置を提供する。本分散装置は、保持部と分散部とを備える。保持部は、選別対象物及び異物を含む被選別物を載置する載置部と、被選別物の出口とを有する。分散部は、出口に配置され、出口の幅方向に並ぶとともに該幅方向に移動可能な複数の通路を有する。分散装置は、複数の通路を幅方向に移動させるための駆動部をさらに備えるものとすることもできる。また、分散装置は、保持部内の被選別物を出口の方向に押し流すための水の散水部を備えることが好ましい。
【0009】
一実施形態においては、分散部は、被選別物の集合体から被選別物の一部を削り取るための切削部を載置部側に有することが好ましい。
【0010】
一実施形態においては、保持部は、載置部から出口に向かう被選別物の幅方向の広がりを狭くする絞り部を有することが好ましい。また、分散部の複数の通路のうち一方の最外方に位置する通路の壁が、一方の最外方側の移動限界まで移動したときの位置と、複数の通路のうち他方の最外方に位置する通路の壁が、他方の最外方側の移動限界まで移動したときの位置との間の距離が、保持部の絞り部の幅と同じであることが好ましい。さらに、複数の通路の移動距離は、複数の通路の幅と同じであることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、選別対象物と他の異物とを含む被選別物から選別対象物を選別する一連の作業工程において、被選別物が分散された状態で概ね一定量ずつ選別装置に投入されるため、ムラのない高精度の選別作業が可能になるとともに、手作業での選別が不要となるため選別作業の省力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態による分散装置を示し、(a)は、分散装置が従来の汎用的な選別装置とともに使用されている構成の斜視図であり、(b)は分散装置の上面図である。
【
図2】本発明の一実施形態による分散部を示す斜視図であり(a)は組立分解図であり、(b)は全体図である。
【
図3】本発明の一実施形態による分散装置が本出願人の開発によるホタテ稚貝選別装置に使用された場合の概略的な構成を示し、(a)は側面図であり、(b)は上面図であり、(c)は分散部を移動させるための押付部材の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下において、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態による分散装置1であり、
図1(a)は、分散装置1が従来の汎用的な選別装置50とともに使用されている構成を示し、
図1(b)は、分散装置1の上面図を示す。また、
図2は、分散装置1の分散部30を示す斜視図であり(a)は組立分解図、(b)は全体図である。これらの図面の各々においては、図面が煩雑になることを避けるために、具体的なすべての構造を示してはいない。例えば、実際には分散装置1を支持する支持構造が存在するが、
図1(a)においては示されていない。また、この実施形態においては、
図1(b)に示されるように、分散装置1の分散部30が駆動部40によって移動するが、
図1(a)においては駆動部40を示していない。
【0014】
分散装置1は、保持部10と分散部30とを備える。保持部10は、選別される対象である貝と排除されるべき異物とを含む被選別物が投入される載置部12と、被選別物が分散部30によって分散され、選別装置50に向けて排出される出口14とを有する。載置部12と出口14との間には、載置部12から出口14に向かう被選別物の幅方向の広がりを狭くする絞り部16が設けられることが好ましい。
【0015】
載置部12は、底面12a、側壁12b、12c、及び後壁12dを有する。後壁12dの近くに、被選別物を出口14の方向に押し流すための水を放出する散水パイプ18が配置されることが好ましい。散水パイプ18は、その両端部が側壁12b、12cに取り付けられ、例えば図示されない給水パイプを介して、一方の端部18b(例えば、側壁12c側の端部)から水が供給される。供給された水は、散水パイプ18の側面に設けられた複数の散水孔18aから放出される。
【0016】
載置部12に続く絞り部16は、底面16aと、側壁12b、12cに対して斜めに続く側壁16b、16cとを有する。載置部12から移動した被選別物は、幅方向両端部の被選別物が側壁16b、16cによって中央方向に寄せられる。側壁16b、16cに、さらに寄せ板16dを取り付けることが好ましい。寄せ板16dは、被選別物に含まれる貝を破損させないように、ゴム製であることが好ましい。2枚の寄せ板16dの先端(出口14方向の端部)の間隔は、分散部30の一方の端部に位置する板状体32aが最外方に移動したときの位置と、他方の端部に位置する板状体32fが最外方に移動したときの位置との間の距離と概ね等しいことが好ましい。このように2枚の寄せ板16dの先端の間隔を設定することによって、概ね均等な厚みになった状態で分散部30に達した被選別物の集合体から概ね一定量ずつ被選別物を削り取ることができる。また、散水パイプ18からの水の流速がこの絞り部16で速くなるため、被選別物をより確実に分散部30に供給することができる。
【0017】
保持部10は、図示されない駆動源を用いて全体が上下又は左右に揺動するようになっていることが好ましい。また、保持部10は、出口14の方向が下向きになるように傾斜配置されることが好ましい。保持部10が上下左右に揺動し、傾斜して配置されていることによって、内部の被選別物をより確実に出口14に向かって移動させることができる。
【0018】
分散部30は、概ね等間隔で並んだ6枚の板状体32a~32fを有する。板状体32a~32fの各々は、四角形状を有するように形成されることが好ましい。板状体32a~32fの下辺32a1~32f1(
図2においては、図面が煩雑にならないように、参照番号として32a1及び32f1のみ記載されている。32a2及び32f2も同様である)は、出口14の底面14aに接することが好ましい。板状体32a~32fの載置部12側の辺32a2~32f2は、被選別物の進行方向先頭部分から被選別物の一部を削り取る切削部として機能する。
【0019】
板状体32a~32fには貫通孔が形成されており、これらの貫通孔に、ステンレスを用いて形成された軸35が通される。板状体32a~32fの各々の間には、板状体32a~32fの間隔を規定するスペーサ34a~34gが配置される。板状体32a~32f及びスペーサ34a~34gは、軸35上を移動するようになっている。
【0020】
このように構成された分散部30は、
図1に示されるとおり、6枚の板状体32a~32fが出口14の幅方向に並ぶように、軸35の両端が出口14の側壁14b、14cに固定される。分散装置1は、
図1(b)に示されるように、分散部30(具体的には、板状体32a~32f及びスペーサ34a~34g)を出口14の幅方向に往復させる駆動部40をさらに備える。駆動部40は、モータ42と、クランク機構44とから構成されることが好ましいが、この構成に限定されるものではなく、分散部30を一定の速度で出口14の幅方向に往復させることができるものであればよい。また、駆動部40は、分散部30の往復速度を任意に変更できるものであることが好ましい。
【0021】
板状体32a~32fの間の空間は、板状体32a~32fによって削り取られた被選別物が通って出口14に向かう複数の通路36として機能する。したがって、複数の通路36は、出口14の幅方向に並んでいることになる。板状体32a~32fの間の間隔、すなわち通路36の幅は、特に限定されるものではなく、養殖貝のサイズ、選別装置の処理能力等の条件に応じて適宜決めることができる。載置部12から移動した被選別物は、板状体32a~32fによって一旦堰き止められ、堰き止められた被選別物の集合体の先頭部分が、左右に移動する板状体32a~32fの切削部32a2~32f2によって削り取られる。削り取られた被選別物は、通路36を移動する間に、往復する板状体32a~32fによって左右に移動させられる。したがって、被選別物を、塊状になることなくばらけた状態で概ね一定量ずつ、出口14から選別装置50に投入することができる。
【0022】
板状体32a~32fの材質については、特に限定されるものではなく、耐腐食性、耐久性を有し、載置部12から移動した被選別物の集合体から被選別物の一部を削り取ることができるものであればよい。板状体32a~32fは、被選別物に含まれる貝を破損させないように、ゴム製であることが好ましい。板状体32a~32fの形状については、四角形状に限定されるものではなく、底部が出口14の底面14aに密着し、ある程度の高さと、出口14の幅方向を横切る方向にある程度の長さとを有するものであることが好ましい。切削部32a2~32f2は、少なくとも被選別物の集合体の先頭部分を上から下まで削り取ることができる高さであることが好ましい。板状体32a~32f及びスペーサ34a~34gの移動回数は、養殖貝のサイズ、選別装置の処理能力等の条件に応じて適宜選択すればよく、例えば毎秒1回程度とすることができる。板状体32a~32f及びスペーサ34a~34gの移動量は、特に限定されるものではないが、板状体32a~32fの間隔(すなわち通路36の幅)程度であることが好ましい。スペーサ34a~34gの材質については、特に限定されるものではなく、耐腐食性、耐久性があり、軸35に対してスムーズに滑るものであればよい。
【0023】
分散部は、本実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば、ゴム製の直方体のブロックに、底面が開放されるとともに際置部12側から出口14側まで貫通する複数の開口を設けたものとすることもできる。この形態の場合には、複数の開口が、分散部30において出口14の幅方向に並ぶ複数の通路36に相当し、通路と通路との間の壁が分散部30における板状体32a~32fに相当する。分散部30における切削部32a2~32f2は、通路間の壁に設けることができる。
【0024】
本発明に係る分散装置1は、本出願人の開発によるホタテ稚貝選別装置50(以下、選別装置50という)とともに用いられることがより好ましい。
図3は、分散装置1が、選別装置50に使用された場合の概略的な構成を示し、(a)は側面図、(b)は上面図、(c)は分散部30を移動させるための押付部材20の側面図である。これらの図面の各々においても、図面が煩雑になることを避けるために、具体的なすべての構造を示してはいない。例えば、選別装置50の構成要素が収容され、これらの構成要素を支持する外装体は示されていない。
【0025】
選別装置50は、本出願人の出願による特願2018-133845に詳細が記載されている。以下にその概要を示す。選別装置50は、薄い円板状の形状を有するホタテ稚貝とラグビーボール状の形状を有するシュウリ貝という形状の違いを利用して、両者を精度よく分離することができるものである。選別装置50においては、ホタテ稚貝の厚みより若干広く細長い隙間を図面の左右方向に有する隙間篩51が上段に配置され、ホタテ稚貝の直径より小さな複数の孔を有する孔サイズ篩52が下段に配置される。上段の隙間篩51では、隙間を通過しない太いサイズの大きなシュウリ貝を残し、隙間の広さより薄いホタテ稚貝(すなわち、選別対象物)と隙間より細いサイズのシュウリ貝とを通過させる。また、下段の孔サイズ篩52では、ホタテ稚貝は孔を通過しないため篩上に残り、孔よりサイズの小さなシュウリ貝は通過する。したがって、選別装置50を用いれば、一度の選別工程で、大きいサイズのシュウリ貝と、選別対象物であるホタテ稚貝と、小さいサイズのシュウリ貝とを選別することができる。
【0026】
隙間篩51及び孔サイズ篩52は、各々の支持枠51b、52bに設けられたローラ51c、52cが、外装体(図示せず)の内側に固定されたローラガイド51d、52dの上に載置され、振動部53によってローラガイド51d、52d上で振動するようになっている。隙間篩51及び孔サイズ篩52は、
図3に示されるように水平な方向に対して同じ向きに傾斜していることが好ましい。
【0027】
隙間篩51は、細長い隙間を有する隙間篩ユニット51aが支持枠51bに取り付けられて構成される。隙間篩ユニット51aは、例えば複数の角パイプが互いに隙間を空けて概ね平行に配置されたものである。隙間は、選別しようとするホタテ稚貝の厚みに対応する幅(厚みより若干広い幅)に設定される。したがって、分散装置1から隙間篩ユニット51aに投入されたホタテ稚貝は、その長さ方向又は幅方向(すなわち、厚み方向を横切る径方向)が隙間の長さ方向に沿った状態で隙間を通過し、最も太い部分が隙間より太いシュウリ貝は、通過せずに隙間篩ユニット51aの上に残る。
【0028】
隙間篩51の下方には、孔サイズ篩52が配置される。孔サイズ篩52は、複数の孔を有する板状体52aが支持枠52bに取り付けられて構成される。板状体52aは、例えば網161や、金属板にパンチングを施したパンチング板などを用いることができる。
【0029】
板状体52aは、選別しようとするホタテ稚貝の径(すなわち、厚み方向を横切る方向の長さ)に対応する大きさ(直径より小さい)に設定された複数の孔を有する。隙間篩51を通過したホタテ稚貝及びシュウリ貝は、孔サイズ篩52の板状体52a上に落下し、ホタテ稚貝は、孔を通過しないため板状体52aの上に残り、孔より小さいサイズのシュウリ貝は板状体52aを通過する。
【0030】
隙間篩51と孔サイズ篩52との間に傾斜板54を設けることが好ましい。傾斜板54は、隙間篩51を通過したホタテ稚貝及びシュウリ貝を、傾斜している孔サイズ篩52の最上部付近まで移動させるために設けられる。
【0031】
ローラガイド51d、52dの各々は、ローラ51c、52cが走行可能な上面を有しており、上面aには、ローラ51c、52cの走行方向に対して概ね中央部分に凹部が設けられている。隙間篩51及び孔サイズ篩52は、振動部53の動作によって前後(すなわち、
図3(a)の左右方向)に往復し、それに伴って、ローラ51c、52cは、往復走行する途中でローラガイド51d、52dの凹部を通過する。したがって、隙間篩51及び孔サイズ篩52には、前後の往復振動に加えて、凹部通過することによる上下振動が互いに独立に発生する。
【0032】
隙間篩14の上方には散水部55が設けられる。散水部55は、内部に水を保持する空間を持つ散水箱55aを有する。散水箱55aは、内部の空間に水を供給する給水口55dを上面に有し、内部の空間の水を下方に散水する複数の散水口を下面に有する。
【0033】
散水箱55aは、クランク機構を有する駆動部56によって、隙間篩51の幅方向(
図3(b)の矢印Aの方向)に往復移動させることができるようになっている。散水箱55aを、隙間篩51の幅方向に移動させることによって、複数の散水口からの水が隙間篩51の幅方向すべての範囲に行き渡るように散水することができる。このために、散水箱55aの移動方向に平行な側部にローラ55bが回転可能に取り付けられるとともに、図示されない外装体の上部には散水箱55aの移動方向の長さを有するローラガイド55cが取り付けられ、ローラ55bがローラガイド55cの上を走行するようになっている。
【0034】
本発明に係る分散装置1は、隙間篩51の上方に設けられる。
図1に示される構成においては、分散装置1の分散部30は、別途設けられる駆動部40によって往復運動させるようになっているが、
図3の構成では、選別装置50の散水箱55aの動きを利用して往復運動をさせるように構成されている。
【0035】
散水箱55aの上面には、
図3(a)及び
図3(b)に示されるように、
図3(c)に示される押付部材20が取り付けられる。押付部材20は、散水箱55aの上面に固定される端部20aと2つの押付部20b、20cとを有する。端部20aと押付部20b、20cとは、連結部20dによって連結される。押付部20bと20cの間には、分散部30のスペーサ34dの直径より広い空間20eが設けられ、空間20eにスペーサ34dが配置される。押付部20b、20cは、分散部30の板状体32c又は32dの面を押すことができる位置に配置される。押付部20b、20cの長さは、下端が分散装置1の出口14の底面14aに接しない長さである。
【0036】
散水箱55aは、モータ56によって、
図3(b)の矢印Aの方向に往復移動する。散水箱55aの上面に取り付けられた押付部材20も同方向に往復運動し、それに伴って、押付部20b、20cが、板状体32c及び32dの対向する面を交互に押す。その結果として、板状体32a~32f及びスペーサ34a~34gは、
図3(b)の矢印Bの方向に往復運動を行う。
【符号の説明】
【0037】
1 分散装置
10 保持部
12 載置部
12a 底面
12b、12c 側壁
12d 後壁
14 出口
14a 底面
14b、14c 側壁
16 絞り部
16a 底面
16b、16c 側壁
16d 寄せ板
18 散水パイプ
18a 散水孔
18b 給水口
20 押付部材
20a 端部
20b、20c 押付部
20d 連結部
20e 空間
30 分散部
32a~32f 板状体
32a1~32f1 下辺
32a2~32f2 切削部
34a~34g スペーサ
35 軸
36 通路
40 駆動部
42 モータ
44 クランク機構
50 選別装置
51 隙間篩
51a 隙間篩ユニット
51b 支持枠
51c ローラ
51d ローラガイド
52 孔サイズ篩
52a 板状体
52b 支持枠
52c ローラ
52d ローラガイド
53 振動部
55 散水部
55a 散水箱
55b ローラ
55c ローラガイド
55d 給水口