(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-21
(45)【発行日】2023-03-02
(54)【発明の名称】椎間伸延および癒合プロテーゼ
(51)【国際特許分類】
A61F 2/44 20060101AFI20230222BHJP
【FI】
A61F2/44
(21)【出願番号】P 2020531150
(86)(22)【出願日】2018-12-05
(86)【国際出願番号】 IB2018059666
(87)【国際公開番号】W WO2019111175
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】518084431
【氏名又は名称】ジゴフィックス・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】アーニン,ウリ
(72)【発明者】
【氏名】レヴィー,オフェル
【審査官】五閑 統一郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-527150(JP,A)
【文献】特表2012-505670(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0326589(US,A1)
【文献】特表2013-532024(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
椎間伸延プロテーゼにおいて、
一連の椎間伸延ベース要素であって、隣接するベース要素が、当該隣接するベース要素に配置された一組のコネクタ要素によって互いに接続されている一連の椎間伸延ベース要素を具え、
前記一組のコネクタ要素が、メスコネクタの少なくとも部分的に円筒形または球形のくぼみに受け入れられて連結される少なくとも部分的に円筒形または球形の外形を有するオスコネクタを含み、
隣り合う2つのベース要素が、当該2つのベース要素の間にあるコネクタ要素を中心に複数の自由度で曲げられて、椎間関節の形状に適合できるようになっていることを特徴とする椎間伸延プロテーゼ。
【請求項2】
請求項1に記載の椎間伸延プロテーゼにおいて、前記ベース要素のそれぞれが、前記ベース要素の隣接する垂直な側面から突出する2つのオスコネクタと、前記ベース要素の他の2つの隣接する垂直な側面から突出する2つのメスコネクタと、を具え、
前記オスコネクタのそれぞれと、前記ベース要素の反対側のメスコネクタとが、前記ベース要素から反対方向に平行に突出していることを特徴とする椎間伸延プロテーゼ。
【請求項3】
請求項1に記載の椎間伸延プロテーゼにおいて、前記一組のコネクタ要素のそれぞれで、前記オスコネクタおよびメスコネクタがボールおよびソケット継手を形成することを特徴とする椎間伸延プロテーゼ。
【請求項4】
請求項1に記載の椎間伸延プロテーゼにおいて、前記一組のコネクタ要素のそれぞれで、前記オスコネクタおよびメスコネクタが自在継手を形成することを特徴とする椎間伸延プロテーゼ。
【請求項5】
請求項1に記載の椎間伸延プロテーゼにおいて、前記一組のコネクタ要素のそれぞれで、前記オスコネクタおよびメスコネクタがピン継手を形成することを特徴とする椎間伸延プロテーゼ。
【請求項6】
請求項1に記載の椎間伸延プロテーゼにおいて、前記一組のコネクタ要素のそれぞれで、前記オスコネクタが
前記ベース要素から突出していることを特徴とする椎間伸延プロテーゼ。
【請求項7】
請求項1に記載の椎間伸延プロテーゼにおいて、前記一組のコネクタ要素のそれぞれで、
前記オスコネクタが、前記ベース要素から突出しておらず、隣接するベース要素の間に配置されていることを特徴とする椎間伸延プロテーゼ。
【請求項8】
請求項1に記載の椎間伸延プロテーゼにおいて、前記一組のコネクタ要素のそれぞれで、前記オスコネクタが、2つの円筒形要素の十字形であることを特徴とする椎間伸延プロテーゼ。
【請求項9】
請求項1に記載の椎間伸延プロテーゼにおいて、前記一組のコネクタ要素のそれぞれで、
2つのメスコネクタが、それぞれが取り付けられたベース要素の1つの側面において分離していることを特徴とする椎間伸延プロテーゼ。
【請求項10】
請求項1に記載の椎間伸延プロテーゼが、さらに、前記ベース要素の上面または下面から延在する1以上のキールを具えることを特徴とする椎間伸延プロテーゼ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、脊椎インプラントおよびプロテーゼに関し、特に、脊椎間関節の2つの骨要素の間に配置されるように設計された椎間伸延および癒合プロテーゼに関する。
【背景技術】
【0002】
脊柱管狭窄症は、人口のかなりの割合に影響を及ぼす。現在の外科脊椎固定術では、2以上の椎骨に接続するように設計された椎間椎弓根スクリューと脊椎ケージを使用する。
【0003】
しかしながら、標準的なケージと椎弓根スクリューシステムは非常に侵襲的であり、既知の悪影響を有している。非常に侵襲性の低い方法で同様の鎮痛と臨床成果を得ることができるシステムが、有益であろう。
【0004】
他の問題は、異なる患者と同じ患者の異なる脊椎レベルとの間の椎間関節の形状が、大きく異なることである。脊椎インプラントを異なる形状に適合させることは困難である。
【0005】
PCT特許出願WO2017/046667号は、1以上のコネクタ要素によって互いに接続された一連の椎間伸延ベースを含む椎間伸延プロテーゼを記載している。対角線上に隣接するベース要素は、対角線上に隣接する他の一組のベース要素を接続する他の一組のコネクタ要素と交差する一組のコネクタ要素によって、互いに接続される。コネクタ要素は、ベース要素が互いに対して曲がるとともに、椎間関節の形状に適合できるように柔軟である。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、脊椎椎間関節の2つの骨要素の間に配置することができ、異なる患者と同じ患者の異なる脊椎レベルとの間の椎間関節の大きく異なる形状に適応できる改良された脊椎プロテーゼを提供することを目的とする。この脊椎プロテーゼは、PCT特許出願WO2017/046667号のプロテーゼの機能と構造を拡張するものである。
【0007】
本システムの臨床目的は、2つの骨要素間の距離を広げて、こうして脊椎神経の間接的な減圧を行うことである。本システムは、また、椎間関節の長期間の癒合を可能とするように骨にしっかりと固定することもできる。
【0008】
したがって、本発明の実施例によれば、一連の椎間伸延ベース要素を含む椎間伸延プロテーゼを提供し、隣接するベース要素が、この隣接するベース要素に配置された一組のコネクタ要素によって互いに連結され、一組のコネクタ要素は、メスコネクタの少なくとも部分的な円筒形または球形のくぼみに受け入れられて連結される少なくとも部分的な円筒形または球形の外形を有するオスコネクタを含み、隣接するベース要素が、互いに対して、異なる曲げ軸を中心に複数の自由度で曲げられて、椎間関節の形状に適合することができるようになっている。
【0009】
本発明の他の実施例によると、各ベース要素が、ベース要素の隣接する垂直の側面から突出する2つのオスコネクタと、ベース要素の2つの他の隣接する垂直の側面から突出する2つのメスコネクタとを含み、各オスコネクタが対応する1つのメスコネクタと平行である。
【0010】
本発明の他の実施例によると、コネクタ要素の各組において、オスコネクタとメスコネクタがボールおよびソケット継手を形成する。
【0011】
本発明の他の実施例によると、コネクタ要素の各組において、オスコネクタとメスコネクタが自在継手を形成する。
【0012】
本発明の他の実施例によると、コネクタ要素の各組において、オスコネクタとメスコネクタがピン継手を形成する。
【0013】
本発明の他の実施例によると、それぞれのベース要素において、オスコネクタがベース要素の一部である。
【0014】
本発明の他の実施例によると、それぞれのベース要素において、オスコネクタがベース要素の一部ではない。
【0015】
本発明の他の実施例によると、コネクタ要素の各組において、オスコネクタが、2つの円筒形要素の十字形である。
【0016】
本発明の他の実施例によると、コネクタ要素の各組において、軸方向に互いに離間した2つのメスコネクタを有する。
【0017】
1以上のキール(keel)が、ベース要素の上面および/または下面から延在してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明は、図面と組み合わせて以下の詳細な説明によって、より完全に理解および把握することができる。
【0019】
【
図1A】
図1Aは、本発明の非限定的な実施例により構成されて作用する、円筒形のコネクタ要素を有する椎間伸延プロテーゼの簡略図である。
【
図2A】
図2Aは、本発明の非限定的な実施例により構成されて作用する、球形のコネクタ要素(例えば、ボールおよびソケット継手)を有する椎間伸延プロテーゼの簡略図である。
【
図3A】
図3Aは、本発明の非限定的な実施例により構成されて作用する、自在継手コネクタ要素を有する椎間伸延プロテーゼの簡略図である。
【
図4A】
図4Aは、本発明の非限定的な実施例により構成されて作用する、ピン継手コネクタ要素を有する椎間伸延プロテーゼの簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の非限定的な実施例により構成されて作用する椎間伸延プロテーゼを示す
図1A-1Fを参照する。
【0021】
椎間伸延プロテーゼ10は、一連の椎間伸延ベース要素12を含み、隣接するベース要素12は、隣接するベース要素に配置された一組のコネクタ要素14によって互いに接続されている。
【0022】
一組のコネクタ要素14は、少なくとも部分的に円筒形の外形18を有するオスコネクタ16を含み、この外形18はメスコネクタ24の少なくとも部分的に円筒形のくぼみ22に受け入れられて連結される。このようにして、隣接するベース要素12は互いに対して屈曲して、椎間関節の形状に適合することができる。
【0023】
すべての実施例におけるベース要素は、例えば、円形、楕円形、丸形、正方形、長方形、三角性、六角形、不規則な多角形などの任意の幾何学形状とすることができるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
すべての実施例におけるコネクタ要素は、ベース要素12と同じ材料または異なる材料から製作することができる。この材料には、限定されるものではないが、ステンレス鋼合金、チタン合金、形状記憶または超弾性材料、プラスチックなど、またはこれらの組合せが含まれる。
【0025】
図1Bで最もよくわかるように、各ベース要素12は、ベース要素12の隣接する垂直な側面から突出する2つのオスコネクタ16と、ベース要素12の他の隣接する垂直な側面から突出する2つのメスコネクタ24とを有することができる。1つのオスコネクタ16は、1つのメスコネクタ24と平行である。
【0026】
図1Aおよび1Fは、それぞれ平坦な配向および曲げた配向の椎間伸延プロテーゼ10を示す。曲げた配向において、プロテーゼは、異なる曲げ軸を中心に複数の自由度で曲げることができる。
【0027】
本発明の他の実施例と同様に、椎間伸延プロテーゼ10は、ベース要素の上面および/または下面から延在する1以上のキール17を含むことができ、このキールは、脊椎構造に食い込んで、プロテーゼを脊椎構造の所定の位置に保持する保持力を高める。
図1A-1Fおよび他の実施例からわかるように、キール17は、ベース要素12の上面または下面に垂直とすることができる。
図2A-2Eの実施例では、キール17は、ベース要素12の上面または下面に対して傾いており垂直ではない。キールは、動くのを防ぐように、簡単に挿入できるが引き戻すのが難しいような形状にすることができる。
【0028】
本発明の非限定的な実施例により構成されて作用する椎間伸延プロテーゼ30を示す
図2A-2Eを参照する。
【0029】
椎間伸延プロテーゼ30は、一連の椎間伸延ベース要素32を含み、隣接するベース要素32は、隣接するベース要素に配置された一組のコネクタ要素34によって互いに接続されている。
【0030】
一組のコネクタ要素34は、少なくとも部分的に球形の外形38を有するオスコネクタ36を含み、この外形は、メスコネクタ44の少なくとも部分的に球形のくぼみ42に受け入れられて連結し、これにより、ボールおよびソケット継手を形成する。このようにして、隣接するベース要素32は互いに対して屈曲して、椎間関節の形状に適合することができる。
【0031】
各ベース要素32は、ベース要素32の隣接する垂直な側面から突出する2つのオスコネクタ36と、ベース要素32の他の隣接する2つの垂直な側面から突出する2つのメスコネクタ44とを有することができる。1つのオスコネクタ36は、1つのメスコネクタ44と平行である。
【0032】
本発明の非限定的な実施例により構成されて作用する椎間伸延プロテーゼ50を示す
図3A-3Fを参照する。
【0033】
椎間伸延プロテーゼ50は、一連の椎間伸延ベース要素52を含み、隣接するベース要素52は、隣接するベース要素に配置された一組のコネクタ要素54によって互いに接続されている。
【0034】
一組のコネクタ要素54は、円筒形の外形58を有するオスコネクタ56を含み、この外形は、メスコネクタ64の少なくとも部分的に円筒形のくぼみ62に受け入れられて連結される。オスコネクタ56は、2つの円筒形要素の十字形であり、メスコネクタ64のくぼみ62と連結することにより、自在継手を形成する。このようにして、隣接するベース要素12は互いに対して屈曲して、椎間関節の形状に適合することができる。このようにして、隣接するベース要素52は互いに対して屈曲して、椎間関節の形状に適合することができる。
【0035】
先の2つの実施例とは異なり、この実施例では、オスコネクタ56はベース要素の一部ではないが、ベース要素に配置されている。
【0036】
各ベース要素52は、互いに鉛直軸に沿って離間した2つのメスコネクタ64と、ベース要素52の隣接する垂直な側面上の鉛直軸に沿って互いに離間した他の2つのメスコネクタ64とを含むことができる。各ベース要素52は、互いに水平軸に沿って離間した2つのメスコネクタ64と、ベース要素52の隣接する垂直な側面上の水平軸に沿って互いに離間した他の2つのメスコネクタ64とを含むことができる。
【0037】
本発明の非限定的な実施例により構成されて作用する椎間伸延プロテーゼ70を示す
図4A-4Eを参照する。
【0038】
椎間伸延プロテーゼ70は、一連の椎間伸延ベース要素72を含み、隣接するベース要素72は、隣接するベース要素に配置された一組のコネクタ要素74によって互いに接続されている。
【0039】
一組のコネクタ要素74は、円筒形の外形78を有するオスコネクタ76を含み、この外形は、メスコネクタ84の円筒形のくぼみ82に受け入れられて連結される。オスコネクタ76は、メスコネクタ84のくぼみ82に挿入されたときにピボット継手を形成するピンである。このようにして、隣接するベース要素72は互いに対して屈曲して、椎間関節の形状に適合することができる。
【0040】
図3A-3Fの実施例と同様に、この実施例では、オスコネクタ76はベース要素の一部ではないが、ベース要素に配置されている。
【0041】
各ベース要素72は、互いに軸方向に離間した2つのメスコネクタ84と、ベース要素72の隣接する垂直な側面で互いに軸方向に離間した他の2つのメスコネクタ84とを含むことができる。各ベース要素72は、1つの比較的長いメスコネクタ84と、ベース要素72の隣接する垂直な側面における別の比較的長いメスコネクタ84とを含むことができる。比較的長いメスコネクタ84は、軸方向に互いに離間したメスコネクタ84の間の間隙に嵌合する。
【0042】
本発明の椎間伸延プロテーゼは、プロテーゼを配置するときに最初に椎間関節の領域に入る先端面を有することができる。先端面は
図2Bのように、プロテーゼの挿入を容易にする先細の形状を有することができる。後面の関節部材は、プロテーゼをつかんで、容易に回収し、調整し、引き抜くために使用することができる。
【0043】
本発明の任意の実施形態は、骨要素の相互への癒合を促進するために骨移植片で満たされてもよいことに留意されたい。