IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ バルベラン ラトーレ, イエズス フランシスコの特許一覧

特許7231948ローラー及び塗布システムによる生産物の塗布方法
<>
  • 特許-ローラー及び塗布システムによる生産物の塗布方法 図1
  • 特許-ローラー及び塗布システムによる生産物の塗布方法 図2
  • 特許-ローラー及び塗布システムによる生産物の塗布方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-21
(45)【発行日】2023-03-02
(54)【発明の名称】ローラー及び塗布システムによる生産物の塗布方法
(51)【国際特許分類】
   B05C 1/02 20060101AFI20230222BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20230222BHJP
   B05C 13/02 20060101ALI20230222BHJP
   B05C 9/06 20060101ALI20230222BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20230222BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20230222BHJP
   B05D 1/28 20060101ALI20230222BHJP
【FI】
B05C1/02 102
B05C11/00
B05C13/02
B05C9/06
B05D3/00 C
B05D3/00 B
B05D3/00 D
B05D7/00 Z
B05D1/28
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021003511
(22)【出願日】2021-01-13
(65)【公開番号】P2021118997
(43)【公開日】2021-08-12
【審査請求日】2021-07-14
(31)【優先権主張番号】20382016.2
(32)【優先日】2020-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516277439
【氏名又は名称】バルベラン ラトーレ, イエズス フランシスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100158920
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 英樹
(72)【発明者】
【氏名】バルベラン ラトーレ, イエズス フランシスコ
【審査官】市村 脩平
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-070764(JP,U)
【文献】特開平04-334571(JP,A)
【文献】特開平09-029149(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C1/00-21/00
B05D1/00-7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラーによって板状材(112)に生産物を塗布するためのシステムであって、
-塗布ローラーを含む塗布ヘッド(111、111’)と、
-前記塗布ヘッド(111、111’)に対して前記板状材(112)を水平に搬送するための搬送装置(124)と、
-前記塗布ヘッドを下降位置から上昇位置及びその逆に動かすためのアクチュエータ(113、113’)と、
-前記塗布ヘッド(111、111’)に対する前記板状材(112)の位置検出器(115)と、
-前記板状材(112)の位置検出信号を前記位置検出器(115)から受信し、前記塗布ローラー(122、122’)が前記板状材の表面の所定の位置において生産物を塗布する前記塗布ヘッド(111、111’)の下降位置から、前記塗布ローラー(122、122’)が生産物を塗布しない前記塗布ヘッド(111、111’)の上昇位置へ又はその逆に、前記塗布ヘッド(111、111’)を直ちに移動させるために前記アクチュエータ(113、113’)に動作信号を送信するマイクロプロセッサ(116)
を含み、前記アクチュエータ(113、113’)は、コネクティングロッドとクランクの機構を含み、モーターによって前記クランクが回転されると、前記コネクティングロッドが前記塗布ヘッド(111、111’)を動かす、ローラーによって板状材(112)に生産物を塗布するためのシステム。
【請求項2】
前記塗布ヘッド(111、111’)は添加ローラー(121、121’)を含むことを特徴とする、請求項に記載のローラーによって板状材(112)に生産物を塗布するためのシステム。
【請求項3】
前記アクチュエータ(113、113’)は、前記クランクを回転させるためのサーボモーターを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のローラーによって板状材(112)に生産物を塗布するためのシステム。
【請求項4】
前記板状材(112)の前記表面の前記所定の位置は、前記板状材(112)の前縁(118)又は前記板状材(112)の後縁(119)に対応することを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載のローラーによって板状材(112)に生産物を塗布するためのシステム。
【請求項5】
第1の所定の位置は、前記板状材(112)の前縁(118)に対応し、第2の所定の位置は、前記板状材(112)の後縁(119)に対応することを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載のローラーによって板状材(112)に生産物を塗布するためのシステム。
【請求項6】
前記板状材(112)の前記表面での複数の前記所定の位置を含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載のローラーによって板状材(112)に生産物を塗布するためのシステム。
【請求項7】
前記塗布ヘッド(111、111’)は、連続する前記所定の位置の間に前記下降位置に留まることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載のローラーによって板状材(112)に生産物を塗布するためのシステム。
【請求項8】
前記塗布ヘッド(111’)は、前記塗布ローラー(122’)が前記塗布ヘッド(111’)に向かう前記板状材(112)の搬送方向とは反対方向で生産物を塗布するよう、逆回転で動作されることができることを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載のローラーによって板状材(112)に生産物を塗布するためのシステム。
【請求項9】
前記塗布ヘッド(111、111’)は、前記下降位置と前記上昇位置に交互に動くことを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載のローラーによって板状材(112)に生産物を塗布するためのシステム。
【請求項10】
2回の連続する前記下降位置の間で繰り返される動きを即時に行うことを特徴とする、請求項9に記載のローラーによって板状材(112)に生産物を塗布するためのシステム。
【請求項11】
前記2回の連続する前記下降位置の間で繰り返される動きの周期は、好ましくは1.0秒以下、好ましくは0.5秒以下、より好ましくは0.1秒以下であることを特徴とする、請求項9又は10に記載のローラーによって板状材(112)に生産物を塗布するためのシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワニス又は接着剤などの流体生産物又は材料を、板状材にローラーによって塗布するための方法、及び塗布システムに関する。
【背景技術】
【0002】
大量生産される家具及び同様の要素の平面のワニス塗布又は接着は、ワニス塗布及び接着ラインで行われる。これらのラインは複数の機械によって形成され、各機械は予め選択された工程の1つの作業を行う。
【0003】
家具のパネル及び/又は板などの平面にワニスを塗る工程は、一般に、ワニス塗布機及び乾燥トンネルを用いて行われる。同様に、平面の接着は接着機で行われる。
【0004】
ワニス又は接着剤の塗布は、ヘッドに配置されたローラーによって行われ、少なくとも2つの組み合わされた回転ローラーのそれぞれによって行われることもできる。
【0005】
「塗布ローラー」と呼ばれる第1のローラーは、塗布された生産物を滑らかにすることによって板状材の表面に生産物を塗布する役割を果たす。塗布ローラーの近くに配置された第2のローラーは、板状材でのその後の生産物塗布のために塗布ローラーがコーティングされる生産物量を添加するのに使用される。その添加は、両方のローラー間の空間又は間隙を調整することによって、及び両方のローラーの速度を調整することによってもたらされる。2つの間の距離が増加すると、添加される生産物量が増加する。添加ローラーの回転速度が塗布ローラーと反対回転で増加すると、添加される生産物量も増加する。また、添加ローラーが塗布ローラーと同じ方向に回転すると、添加される生産物量が減少する。
【0006】
通常の動作では、塗布ローラーは板状材の前進と同じ方向に回転する。
【0007】
しかしながら、他の場合には、塗布ローラーは、板状材の前進とは反対の「逆」と呼ばれる方向に回転する。この場合、ワニスを塗る板状材の表面により多くの生産物を与えることが可能である。この逆回転の動作は、板状材の前進とは反対方向に動作する単一の塗布ヘッドの利用で行われることができる。
【0008】
他の場合、システムは2つの塗布ヘッドを有する。このシステムでは、第1の塗布ヘッドのローラーは上記の通常の動作に従って回転し、第2の塗布ヘッドのローラーは板状材の前進と反対方向に動作する。したがって、生産物の薄層が第1の塗布ヘッドを用いて板状材に堆積され、それに続いて、前の塗布ヘッドに隣接する逆回転の塗布ヘッドによって、より大量の生産物が塗布される。これは、生産物の平滑化をもたらすだけでなく、高品質のワニス表面を備えた単位面積当たりの量が多いワニス層の堆積と平滑化が実現する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この生産物の塗布は、特に逆回転の動作中に塗布ローラーから生産物のより大きな寄与が生じる場合、ワニスを塗る又は接着する板状材の前縁及び後縁に、過度又は過剰な生産物の玉縁を堆積させる傾向がある。
【0010】
更に、反対方向に回転する塗布ローラーに板状材が当たると、板状材はその縁に他よりも多い量のワニスを取り、それによって前縁又は導入縁に不連続な仕上がり又は隆起をもたらす。ワニスを塗布した後に塗布したワニスが板状材の後縁で溢れるため、この隆起は後縁にも現れる。この隆起を除去することはできず、均一な仕上がりの他の部分と比較して明らかに目に付く。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、塗布ヘッドに対して水平に搬送される板状材の表面にローラーで生産物を塗布する方法により、上述した1つ以上の課題を解決しようとするものであり、その方法は、塗布ローラーが板状材の表面の所定の位置に合わせて生産物を塗布する塗布ヘッドの下降位置から、塗布ローラーが生産物を塗布しない塗布ヘッドの上昇位置へ塗布ヘッドを直ちに移動させるか、又は塗布ヘッドの上昇位置から、塗布ローラーが板状材の表面の所定の位置に合わせて生産物を塗布する下降位置に塗布ヘッドを直ちに移動させることを含む。本発明はまた、その方法を用いた塗布システムに関する。塗布される生産物は、例えば、ワニス、接着剤、又は液体生産物であり得る。
【0012】
上記の下降位置は、塗布ローラーが板状材と接触してそのローラーが生産物を塗布する塗布ヘッドの位置に対応する。下降位置は、塗布ヘッドが従来のヘッドにおいて配置される通常の位置である。有利には、本発明では、待機位置として上昇位置を使用することもできる。
【0013】
通常、板状材の表面の所定の位置は、前縁又は後縁に対応する。前縁は、上記塗布ヘッドに向かう板状材の移動において塗布ヘッドに近づくように移動する板状材の始まりの縁であり、後縁は、板状材の上記移動による板状材の終わりに対応する縁である。
【0014】
したがって、前縁の場合には、塗布ローラーは、生産物が塗布されないその上昇位置から下降位置に直ちに移動する。すなわちヘッドの下降位置を、板状材の前縁の縁と一致させて、ワニスの塗布を開始する。このようにして、ヘッドが動かない場合での上記前縁に対する塗布ヘッドに含まれるワニス層の横方向の衝突が防止される。
【0015】
上記の所定の位置が後縁と一致する場合には、塗布ローラーは、生産物が塗布される位置から、生産物を塗布しない上昇位置に直ちに引かれる。このようにして、後縁の縁と合わせて生産物の塗布が終わる。塗布ヘッドが上げられない連続的なワニス塗布で過剰なワニスが溢れることによって生じた隆起は、排除される。
【0016】
その結果、前縁及び後縁と一致する板状材の塗布開始地点及び終了地点でのワニスの隆起又は蓄積が防止される。追加の利点として、板状材の厚さが非常に薄い場合に生じる可能性がある、板状材の搬送手段の汚染もまた防止される。
【0017】
前縁が所定の基準位置となる場合、この場合には塗布ローラーは常に上昇位置から来る。上昇位置には、板状材の前縁が塗布ローラーと一致する直前に到達してもよい。上記の上昇位置は、塗布ローラーの平常位置であり得る。したがって、下降位置に継続的に維持される最先端のワニス塗布機とは異なり、塗布ヘッドの外面への損傷が防止される。一般にゴムでできているこの外面は、板状材に圧力をかけるのに適しており、したがってワニスを滑らかにすることができる。したがって、下降位置では、塗布ヘッドは板状材が位置する高さよりわずかに低くなる。塗布ヘッドがその上昇位置に移動せずに板状材が移動すると、ゴムと前縁の間に衝撃が生じ、最終的に塗布ローラーが劣化し、ワニスの塗布に欠陥が生じる。
【0018】
追加の実施形態によれば、ワニスを塗布するための方法は、板状材の表面の複数の所定の位置を含む。この構成により、板状材に不連続にワニスを塗ることができ、除外箇所をもたらすという利点を提供する。
【0019】
本発明の特徴によれば、塗布ヘッドは、続く所定の位置の間で同じ下降位置に留まる。換言すれば、ワニスは、連続する所定の位置の間を塗布され、連続的なワニス塗布を行う。
【0020】
任意で、より多量の生産物を塗布する必要がある場合、塗布ヘッドに向かう板状材の搬送方向とは反対方向で板状材に生産物を塗布するよう、塗布ヘッドを逆回転に動作させることができる。この場合には、接触点における速度が反対方向であり、したがって部材の特定の領域において、塗布ローラーが通りワニスを移すより多くの領域があるという事実により、塗布ローラーはより多くのワニスを塗布することができる。したがって、それが板状材の前縁に衝突するとき、生じる隆起はより顕著に表れる。塗布ローラーが初めに上昇位置にないときには塗布ローラーを上昇位置に移動させて、前縁に合わせて下降位置に直ちに移動させることにより、その欠陥が防がれる。この逆回転での動作は、逆回転で動作する単一の塗布ヘッドがある場合、又は一方が移動方向に回転し、もう一方が逆に回転する2つの独立したヘッドがある場合に生じるようにすることができる。
【0021】
本発明の別の特徴は、塗布ヘッドが、下降位置と上昇位置に交互に動くことである。したがって、前に下降位置にあった塗布ヘッドは、上昇位置に移動し、次の所定の位置で下降位置に戻る。
【0022】
好ましくは、本発明によれば、2回の連続する下降位置の間で繰り返される動きを即時に行う。「即時」とは、その間の上昇位置から次の下降位置への移動が、先の下降位置からその間の上昇位置への移動の直後に起こることを意味する。
【0023】
更に、好ましくは、2回の連続する下降位置の間で繰り返される動きの周期は、1.0秒以下、好ましくは0.5秒以下、より好ましくは0.1秒以下である。この動作速度は、1枚の板状材と次の板状材の間の間隙を減らすことを非常に容易にする。この場合、下降位置から上昇位置への塗布ローラーの最初の動きは板状材の後縁と一致し、交互運動の終わりに、塗布ローラーはその下降位置において、次の板状材の前縁と一致する。これによれば、それは板状材の高い移動速度に対してより有効である。したがって、最終的な板状材の生産性及び品質を向上させることが可能である。
【0024】
本発明の目的はまた、ローラーによって板状材に生産物を塗布するためのシステムであり、それは、
塗布ローラーを含む塗布ヘッドと、
塗布ヘッドに対して板状材を水平に搬送するための搬送装置と、
塗布ヘッドを下降位置から上昇位置及びその逆に動かすためのアクチュエータと、
塗布ヘッドに対する板状材の位置検出器と、
板状材の位置検出信号を位置検出器から受信し、板状材の所定の位置において塗布ヘッドを移動させるためにアクチュエータに動作信号を送信する、上述の請求項のいずれか1つに記載の方法を命令するように構成されたマイクロプロセッサと
を含む。
【0025】
このようにして、板状材の位置が自動的に検出され、所定の位置に搬入されると、マイクロプロセッサは、塗布ヘッドの上昇及びその後の下降位置への下降を命令する。
【0026】
このシステムは、塗布ローラーとの相互作用においてある量のワニスを添加する添加ローラーを含む塗布ヘッドに対しても同様に有効である。この場合、添加ローラーは、板状材の表面に対する塗布ヘッドの上昇又は下降の際に塗布ヘッドと共に移動しするので、塗布ローラーに対するその添加ローラーのずれは生じない。
【0027】
特に、アクチュエータは、コネクティングロッドとクランクの機構とを含み、モーターによってクランクが回転されると、コネクティングロッドが塗布ヘッドを動かす。これにより、下降位置から上昇位置へ、続いて最終的な下降位置へと繰り返し移動する動きがもたらされる。偏心シャフトの一回転に対応するこの動きは、前縁などでの必要とされる時に直ちに行うことも、又は板状材に一連の帯状のワニスを塗布するなどの交互に移動する方法で行うこともできる。
【0028】
ワニスの欠陥のある塗布を防ぐために、交互運動を可能な限り速くかつ正確にするように、アクチュエータはクランクを回転させるためのサーボモーターを備える。
【発明の効果】
【0029】
実施が容易なこの方法及びその塗布システムにより、ワニス塗布作業のより優れた完全性及び品質がもたらされる。それは塗布ヘッドによる均一なワニスの層を有し、ワニスの添加量は、実際のワニスの性質、及び添加ローラーと塗布ローラーの間の距離に依存する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
より詳細な説明は、以下の説明に記載されており、それは次の添付の図面に基づく。
図1a】1つは通常動作、もう1つは逆回転動作の2つの塗布ヘッドを含むワニスを塗布するための機械の概略縦断面図を示す。ワニスを塗布するこの工程では、ヘッドの逆回転の塗布ローラーが前縁に衝突する瞬間を見ることができる。
図1b】ワニスを塗布するための工程を示しており、最先端の機械によって板状材の最初の部分にワニスが塗布された際に、前縁に生じた隆起を見ることができる。
図1c】ワニスを塗布するための工程を示しており、最先端の機械によってワニスが板状材全体に塗布された際に、前縁に生じた隆起と後縁に生じた隆起の両方を見ることができる。
図2】逆回転の塗布ローラーを含みかつ添加ローラーを備えた塗布ヘッドで生産物を塗布するためのシステムの、板状材と接触する前の塗布ヘッドが下降位置にある時点の概略縦断面図を示す。
図3】逆回転の塗布ローラーを含む塗布ヘッドで生産物を塗布するためのシステムの、板状材と接触する前に塗布ヘッドがその下降位置から上昇位置に上昇されており、アクチュエータが交互運動の4分の1の位置にある時点の概略縦断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、上述のように、板状材(112)に生産物を塗布するための方法、及びその方法を用いたシステムに関する。
【0032】
図1a、1b及び1cは、2つの連続するヘッドを含むワニス塗布機に相当する塗布システムのワニスを塗布するための工程を示し、そのうちの第1の塗布ヘッド(111)において、第1の塗布ローラー(122)は板状材(112)の前進と同じ方向に回転し、第2の塗布ヘッド(122’)は逆に、すなわち板状材(112)の移動と反対方向に回転する。この工程では、最新のワニス塗布機で生じる、板状材の前縁(118)と後縁(119)の両方に生じた隆起を見ることができる。このタイプの機械では、板状材(112)は、コンベヤーベルト又は搬送ローラー(124)により搬送される。
【0033】
このタイプの塗布ヘッド(111、111’)に関し、添加ローラー(121、121’)が配置され、添加ローラー(121、121’)は、それらの回転及び塗布ヘッドとの間の間隙及び塗布ヘッドとの接触領域でのアプリケーターに応じ、塗布ローラー(122、122’)の表面でのより多い又はより少ない量のワニスの堆積をもたらす。この塗布ローラー(122、122’)はゴム製の外面を有し、それは添加ローラー(121、121’)によって添加されたワニスの付着に寄与する。
【0034】
この最先端の方法では、ワニスは板状材(112)に塗布されて、塗布ローラー(122、122’)と逆圧ローラー(123、123’)の間に留まる。逆圧ローラー(123、123’)は、塗布ローラー(122、122’)に対して静止したままである。したがって、ワニスの第1の薄層は、第1の塗布ローラー(122)及びその対応する逆圧ローラー(123)によって塗布される。次に、ワニスのより厚い層が塗布され、板状材(112)の前進と反対方向に動作する第2の塗布ローラー(122’)の作用によって平滑化がもたらされる。
【0035】
しかしながら、第1の塗布ローラー(122)及び第2の塗布ローラー(122’)の両方によるワニスの堆積において、ワニスの蓄積が板状材(112)の前縁(118)及び後縁(119)に生じる。この蓄積は、これらの所定の領域へのワニスの過剰な堆積、又は塗布ローラー(122、122’)が前縁(118)に衝突した時の塗布ローラー(122、122’)の外面に付着したワニス層の衝撃、又は逆回転のアプリケーターによって滑らかにされたワニスの後縁での流出のいずれかにより生じる。後者の状況では、ワニスの蓄積によって生じた欠陥がより明らかである。
【0036】
したがって、本発明の目的は、図1cの板状材(112)に見られるこれらの種の過剰又は隆起を排除することである。そのために、本発明の生産物を塗布するためのシステム及び方法が使用される。
【0037】
図2は、本発明のワニスを塗布するためのシステムの好ましい実施形態を示す。この場合、塗布ヘッド(111’)は逆回転で動作する。
【0038】
したがって、最初の時点で、塗布ヘッド(111)が通常に動作し、他の塗布ヘッド(111’)が逆回転で動作する2つの連続する塗布ヘッドを備えたシステムの場合について、位置検出器(115)が、板状材(112)がその水平方向の動きでの位置を検出する。続いて、マイクロプロセッサ(116)は、板状材(112)のその位置の検出信号を受信し、板状材(112)の所定の位置と一致して塗布ヘッド(111)を動かすために、アクチュエータ(113)に動作信号を送信する。
【0039】
単位面積当たりで多くのワニスが塗布される板状材に関して示される好ましい実施形態では、最初に、上記の所定の位置は、板状材(112)の前縁(118)と一致する。アクチュエータ(113)は動作信号を受信して、第1の塗布ローラー(122)が板状材(112)の前縁(118)と接触する直前に、第1の塗布ヘッド(111)を動かす。塗布ヘッド(111)が最初に上昇位置にある場合もあり得るが、この最初の動きは、塗布ヘッド(111)が通常の下降位置にある場合に生じる。
【0040】
この第1のローラーは、板状材(112)の動きと同じ方向に回転する塗布ローラー(122)に相当する。それと共に、対応する添加ローラー(121)もまた移動する。両方とも塗布ヘッド(111)に対し一体的となっている。上昇位置へのこの動きを行うために、アクチュエータ(113)は、コネクティングロッド及びクランク機構を含む。コネクティングロッドは、第1の塗布ヘッド(111)を下降位置から、第1の塗布ローラー(122)がワニスを塗布しない上昇位置に移動させる。
【0041】
アクチュエータのコネクティングロッドとクランクの機構(113)の動作は、従来通りである。塗布ヘッド(111、111’)は、回転点を介して機械のベッドに固定されており、上昇又は下降のためにベッドに対して枢動する。昇降は、一端でヘッドの一端に固定され、他端で偏心シャフトであるクランクに固定されたコネクティングロッドによってなされる。偏心シャフトを回転させることにより、コネクティングロッドは、その回転点に対してヘッドを回転させてヘッドを昇降させる。したがって、下降位置では、偏心シャフトは図2に示される位置にされ、その後に偏心シャフトは円周での上方位置まで上昇される。図3は、上方位置の前の中間の上昇位置にある偏心シャフトを示しており、板状材(112)と接触しないので、生産物はもはや塗布されない。
【0042】
図3に見られるように、アクチュエータ(113)、従って対応する塗布ヘッド(111)は、ワニスがもはや塗布されない上述の中間の上昇位置にされている。その後、第1の塗布ヘッド(111)をその下降位置に移動させるために、クランクは図2に示されるようなその初期位置まで移動し続ける。このようにして、板状材の前縁(118)が第1の塗布ローラー(122)と位置合わせされると、第1の塗布ローラー(122)は、上表部で前縁(118)の縁と一致するように同期して下降位置にされる。したがって、第1の塗布ローラー(122)によるワニスの塗布が同時に開始されて、隆起の形成を防止し、更に塗布ローラー(122)の外面のゴムに対する板状材(112)の衝撃も防止する。
【0043】
下降位置から上昇位置に移動し、下降位置に戻るこの動きは、アクチュエータ(113)のコネクティングロッドとクランクの機構の交互運動の周期に対応する。2つの連続する下降位置間の交互運動の周期は、好ましくは1.0秒以下、好ましくは0.5秒以下、より好ましくは0.1秒以下である。このようにして、板状材(112)の移動に影響を及ぼさない塗布ローラー(122)の即時の動きがもたらされ、したがって部材間の間隙を減少させ、供給速度を増加させることによって、生産が増加する。この即時の動きは、クランクを回転させるためにアクチュエータ(113)に含まれるサーボモーターによりもたらされる。数枚の連続する板状材に続けてワニスを塗布することは有益であり、そこでのその交互運動は、板状材の後縁(119)と一致する塗布ローラー(122)の下降位置から上昇位置へ、そしてその上昇位置から次の板状材(112)の前縁(118)と一致する下降位置への動きと一致する。
【0044】
ワニスの最初のより薄い層が第1の塗布ローラー(122)によって塗布されると、より良い仕上がりをもたらすために、2番目のより厚い層を塗布し、その後にワニスを滑らかにすることが必要な場合がある。そのために、ワニスは、図2に示された回転方向が「逆」と呼ばれる、板状材(112)の動きと反対である第2の塗布ローラー(122’)で塗布される。その第2の塗布ローラー(122’)は、対応する添加ローラー(121’)と共に第2の塗布ヘッド(111’)に含まれる。この場合、各塗布ヘッド(111、111’)は独立しているため、互いに独立して動作する。
【0045】
動作方法は、第1の塗布ヘッド(111)と同じである。板状材(112)の位置が検出されると、マイクロプロセッサ(116)は、動作信号をアクチュエータ(113’)に送信する。第2の塗布ヘッド(111’)に対応するそのアクチュエータ(113’)は、第2の塗布ヘッド(111’)を、下降位置から第2の塗布ローラー(122’)が前縁(118)と衝突する直前に上昇位置へ移動させる。
【0046】
第2の塗布ローラー(122’)は、ワニスを塗布しないその上昇位置から、前縁(118)の縁と一致する下降位置に再度移動する。次に、第2の塗布ローラー(122’)によって、板状材(112)の動きとは反対の回転による第2のワニス層の塗布及び平滑化が開始される。
【0047】
第1のローラー(122)と同様に、第2の塗布ローラー(122’)に対応するアクチュエータ(113’)は、好ましくは1.0秒以下、好ましくは0.5秒以下、より好ましくは0.1秒以下の交互運動の周期を有する。したがって、第2の塗布ローラー(122’)の即時の動きは、板状材(112)の移動に影響を与えることなくもたらされ、したがって生産が増加する。
【0048】
次に、第1のヘッド(111)が後縁(119)に到達するまで、板状材(112)の表面全体のワニス塗布がなされる。このとき、マイクロプロセッサ(116)は位置検出器(115)から信号を受信し、第1の塗布ヘッド(111)のアクチュエータ(113)に、上昇位置に移動するように命令する。この移動は、第1の塗布ローラー(122)がワニスの塗布を停止し、ワニスが後縁で溢れて後縁(119)に隆起が現れるのを避けるように直ちに行われる。
【0049】
その後に、第2の塗布ヘッド(111’)が後縁(119)に近づくと、同様にして、第2の塗布ヘッド(111’)に対応するアクチュエータ(113’)が、塗布ローラー(122’)が後縁(119)の縁と一致する時に、塗布ローラー(122’)をその上昇位置に移動させる。
【0050】
その結果、隆起のない、優れた仕上がりのワニス塗布の板状材となる。
【0051】
設計上の理由から、不連続にワニス塗布を行う必要がある場合も、同じようにされる。この場合、第1のワニス塗布領域の終わりで、ワニスが不要な板状材の所定の位置が検出されたら直ぐに、塗布ヘッド(111、111’)はワニスの塗布を停止するために上昇位置に移動する。更に、次のワニス塗布領域の開始時に、塗布ヘッド(111、111’)は、そのワニス塗布の開始地点に合わせて下降位置に移動する。このように、簡単な構造での生産物を塗布するシステムにより、高速で正確なワニス塗布が実現される。
【符号の説明】
【0052】
111 第1の塗布ヘッド
111’ 第2の塗布ヘッド
112 板状材
113、113’ アクチュエータ
115 位置検出器
116 マイクロプロセッサ
118 板状材の前縁
119 板状材の後縁
121、121’ 添加ローラー
122 第1の塗布ローラー
122’ 第2の塗布ローラー
123、123’ 逆圧ローラー
124 コンベヤーベルト又は搬送ローラー
図1
図2
図3