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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-21
(45)【発行日】2023-03-02
(54)【発明の名称】浄水装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/28 20230101AFI20230222BHJP
   B01D 61/10 20060101ALI20230222BHJP
   C02F 1/44 20230101ALI20230222BHJP
   C02F 1/42 20230101ALI20230222BHJP
【FI】
C02F1/28 G
B01D61/10
C02F1/44 A
C02F1/44 H
C02F1/42 A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021149012
(22)【出願日】2021-09-13
【審査請求日】2021-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】510089926
【氏名又は名称】株式会社トップウォーターシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100198890
【弁理士】
【氏名又は名称】森戸 啓太郎
(72)【発明者】
【氏名】武田 龍太郎
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-000478(JP,A)
【文献】特開2010-221147(JP,A)
【文献】特開2005-152866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D53/22、61/00-71/82
C02F1/28、1/42、1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、本体内部に、複数の浄化用フィルタを収納及び配設するフィルタ収納箱と、
交換用の予備フィルタ収納箱を収納し保管する多段の棚を備え、
該フィルタ収納箱は直方体の外形を有し、該外形を構成する六面のうち上面に、外周が長方形の貫通穴を設け、該長方形を構成する辺のうち、該フィルタ収納箱の正面及び背面に平行に延びる一対の辺の縁から、それぞれ対向方向かつ下方向の成分を有し延伸する、二つの傾斜面を備えることを特徴とする浄水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原水を浄化して飲料水や生活用水等に利用できるようにした浄水装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
原水を浄化して飲料水や生活用水等に利用できる浄水装置の分野において、災害時等の非常時における飲料水等確保を主目的とした、浄水装置が知られている。それらは、移動が容易である、あるいは動力源としてのソーラーパネルを搭載等、非常時における使用を想定し様々な工夫が施されている(特許文献1、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許6016305号公報
【文献】特許6580533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非常時における使用を主目的とした浄水装置に限らず、原水を飲料水等に適した水質レベルにまで浄化するためには、一般に複数の浄化用フィルタによる浄化工程を経る必要がある。そして、その浄化用フィルタは使用、不使用にかかわらず定期的に交換しなければならない。
【0005】
定期交換において、一般的にはすべての浄化フィルタの交換を同時に行わない。各浄化用フィルタの適切な交換時期は、その種類や各浄化用フィルタの原水の流路順等に依存するものであり、それぞれ別個の時期での交換が経済的に望ましい。しかし、ユーザでは交換が必要な浄化用フィルタの特定が困難であるという課題がある。もっとも各浄化用フィルタにセンサ等を付設することにより、特定の浄化用フィルタの交換時期を報知する方法もあるが、制御のための回路構成や配線が複雑になり現実的な策とはいえない。
【0006】
また、各浄化用フィルタ間は管路が入り組んで配管されていること、そして各浄化用フィルタ自体も装置本体の狭い空間内に入り組んで配設されていることから、ユーザによる脱着が容易ではないという課題がある。
【0007】
よって、従来は、装置本体をメーカや保守事業者に輸送し、浄化用フィルタ交換をメーカの工場等で行う、あるいはメーカ等の保守担当者が出張して浄化用フィルタの交換を行うことが一般的であり、装置の輸送コストや保守担当者の移動コストや、保守期間中、装置が稼働できないことが問題になっていた。
【0008】
本発明の目的は、従来メーカや保守事業者で実施していた浄化用フィルタ交換をユーザが実施できることを可能とする浄水装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、本体と、本体内部に、複数の浄化用フィルタを収納及び配設するフィルタ収納箱を備えることを特徴とする浄水装置である。本発明のおけるフィルタ収納箱は、本体から脱着容易である。いずれかの浄化用フィルタの交換時期に至った時、ユーザ自身により、交換時期に至った浄化用フィルタを収納及び配設するフィルタ収納箱を取り外し、使用可能な浄化用フィルタを収納及び配設する予備フィルタ収納箱と交換することにより、浄化用フィルタ交換のためのメーカへの装置本体の輸送、又は保守担当者の出張の必要が無くなり、生産性向上に貢献できる。
【0010】
ここで、浄化用フィルタは、濾過フィルタや吸着フィルタ等、水質改善のためのいかなる種類の浄化用フィルタを含む。また、本発明におけるフィルタ収納箱内に、装置で使用する全ての浄化用フィルタを収納及び配設する必要はない。例えば、著しく交換頻度の低い特定の浄化用フィルタについては、フィルタ収納箱外部に配設してもよい。また、収納等するものは浄化用フィルタに限られない。例えば、配管部品、部材等いかなる部品、部材も収納等することができる。
【0011】
ユーザは、取り外したフィルタ収納箱をメーカや保守事業者へ輸送する。メーカ等は、フィルタ収納箱内の交換が必要な浄化用フィルタのみを交換し、あらためてユーザに返送する。フィルタ収納箱は、装置本体と比較して小型軽量であることから、装置本体を輸送するよりも輸送コストの低減を図ることができる。
【0012】
本発明は、本体内部に、多段の棚を備えることを特徴とする。棚には、交換用の予備フィルタ収納箱、原水タンク、貯水タンク、ソーラーパネル付き充電器、ガロンボトル等を収納、保管できる。特に、本体内部の棚に交換用の予備フィルタ収納箱を常時保管することで、ユーザ自身による遅滞なき浄化用フィルタの交換が可能になる。
【0013】
棚に収納、保管するものは上記に限定されない。例えば、配管部品、部材等の保守用部品、部材、及び工具等、さまざまなものを収納、保管することができる。
【0014】
本発明は、複数の浄化用フィルタは一つ以上の逆浸透膜モジュールを含み、その逆浸透膜モジュールに水圧をかけるための圧力ポンプは、本体内部であってフィルタ収納箱の外部に配設することを特徴とする。
【0015】
一般的に、逆浸透膜モジュールによる濾過工程の前段として、大きめな異物や臭気除去のための活性炭等を用いた濾過フィルタ(以下プレフィルタと言う。)を配設する。そして、これもフィルタ収納箱に収納及び配設する。
【0016】
逆浸透膜モジュールに水圧をかけるための圧力ポンプは逆浸透膜モジュールの直近に配設することが通常であるが、その場合、プレフィルタ、圧力ポンプ、逆浸透膜モジュールの順での配設構成となるから、フィルタ収納箱内に圧力ポンプを配設する必要が生じる。そうすると、フィルタ収納箱の容量、重量が増すこと、及び圧力ポンプを駆動させるための電源線処理の問題により、フィルタ収納箱の装置本体からの脱着容易性が妨げられる。
【0017】
そこで、圧力ポンプをプレフィルタの前段、つまり圧力ポンプをフィルタ収納箱の外部に配設することで、上記脱着容易性の問題を解決した。
【0018】
本発明は、フィルタ収納箱は直方体の外形を有し、その外形を構成する六面のうち上面に、外周が長方形の貫通穴を設け、その長方形を構成する一対の対向する辺の縁から、それぞれ対向方向かつ下方向の成分を有し延伸する、二つの傾斜面を備えることを特徴とする。
【0019】
この貫通穴と、二つの傾斜面により、フィルタ収納箱の外形を構成する一つの面に、凹部が構成される。一方の傾斜面は、挿抜容易な継手を嵌通し、支持する。
他方の傾斜面は、嵌通、支持される継手と対をなす継手の挿抜時の案内のためのものである。ここで、継手とは、配管を接続する部品を意味するが、例えば、カップリング、アタッチメント、コネクタ等、他の名称で称される場合もある。
【0020】
ユーザは、フィルタ収納箱交換の際、この継手の挿抜により、装置本体の配管とフィルタ収納箱内の配管の切り離しを行う。挿抜容易な継手であること、そして、この二つの傾斜面により、継手の挿抜作業性が向上することから、フィルタ収納箱の脱着が容易になる。
【0021】
つまり、ユーザは、装置本体の棚とフィルタ収納箱間の狭空間に手のみを差し入れて継手の挿抜を行うが、この二つの傾斜面がフィルタ収納箱内部に向かって凹む方向に傾斜することにより、手やフィルタ収納箱が棚と干渉することを防ぎ、凹部を継手挿抜の際の有効な空間として利用できること。そして一方の傾斜面は継手の保持、他方の傾斜面は継手の挿抜する際の継手の案内の機能があることから、継手の挿抜作業性が向上する。
【0022】
本発明は、本体正面上端部に操作パネルを備え、その操作パネルに運転状況を報知する発光ダイオードを並設し、本体正面に、その発光ダイオードの点灯に連動して発光する面状発光部を備えることを特徴とする。
【0023】
操作パネルに、例えば、青色、緑色、赤色、橙色の発光ダイオードを並設する。青色点灯時は造水中、緑色点灯時はタンク満水、赤色点灯時は水質異常、橙色点灯時は濾過フィルタ交換等、装置の運転状況を報知する。もちろん、発光ダイオードの色はこれに限定されるものではなく、いかなる色の選択が可能である。
【0024】
操作パネルは、本体色と同色の不透明なカバーを有する。カバーを開けることで、発光ダイオードの視認ができる。カバーの開けた状態を保持することはできるが、発光ダイオードの大きさや光量の点から、遠方からでは発光ダイオードの視認ができず運転状況の確認ができない場合がある。
【0025】
そこで、発光ダイオードと連動して同色の十分強い発光をし、相当の面積を持つ面状発光部を装置の正面に配設する。面状発光部からの発光によって、カバーが閉じている、あるいは装置が遠方にある等、操作パネル内の発光ダイオードの視認ができない場合であっても、運転状況の確認をすることができる。特に、浄化用フィルタ交換時期の報知等、重要情報の確実な報知に有益である。
【0026】
ここで、面状発光部は、例えば、装置本体内に別途並設した発光ダイオードを光源とする導光板等を利用しての間接光、有機ELパネル等による直接光等、発光が可能であれば発光形態の種類を問わない。また相当の面積とは、例えば、体育館程度の広さを持つ屋内において、いずれの場所であっても昼夜問わず発光を視認できる程度の大きさを意味する。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、ユーザが浄化用フィルタ交換時期を明確に把握でき、ユーザが遅滞なく容易に浄化用フィルタの交換をすることができる浄水装置の提供が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の浄水装置を示す斜視図である。
図2】同浄水装置の正面扉を開けた状態での正面図である。
図3】同浄水装置の背面側からみた斜視図である。
図4】同浄水装置の背面扉を外した状態での背面図である。
図5】同浄水装置に備えられたフィルタ収納箱を示す斜視図である。
図6】同フィルタ収納箱上面に形成された凹部の詳細を示す斜視図である。
図7】ソーラーパネル付き充電器を取り出した同浄水装置の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の浄水装置にかかる好適な実施形態について図1から図7を参照して詳細に説明する。なお、特に断りの無い限り、紙面の上下左右の方向は、本発明にかかる装置及びフィルタ収納箱の上下左右の方向と一致する。
【0030】
図1は、浄水装置本体1の正面側からの斜視図である。本体1正面に、上側扉2、下側扉3を備え、それぞれ横方向に開閉する。本体1正面上端部左側に、操作パネル4を備え、運転スイッチ、リセットスイッチ、及び運転状況を報知するための横方向に並設する四つの発光ダイオードを配設する。操作パネル4は、上方向に開閉する本体色と同色の不透明なカバーで通常は覆われており、ユーザは必要に応じてカバーを開き、運転スイッチの操作等を行う。
【0031】
四つの発光ダイオードは、それぞれ、青色、緑色、赤色、橙色の点灯色のものが割り当てられ、青色の発光ダイオード点灯時は造水中、緑色の発光ダイオード点灯時はタンク満水、赤色の発光ダイオード点灯時は水質異常、橙色の発光ダイオード点灯時は濾過フィルタ交換を報知する。
【0032】
上側扉2には、それぞれが横長と縦長の二つの面状発光部5を備える。二つの面状発光部5は、導光機能を有する略透明のアクリル板であり、エッジライト方式により発光する。光源として、本体1内部の導光板上部に、操作パネル4内の発光ダイオードよりも光量が大きい四つの発光ダイオードを配設する。
【0033】
その発光ダイオードは、操作パネル4内の発光ダイオードに連動して同色に点灯し、二つの面状発光部5も同様に発光する。よって、操作パネル4を覆うカバーが閉じた状態であっても、二つの面状発光部5からの発光によって、ユーザは運転状況を把握することができる。また、それらは、丁度アルファベットTの字を示すように組み合わされ、装置正面の上部側に配置されることで、遠方からの視認性を一層確保することができ、例えば、体育館程度の広さを持つ屋内において、本体1の正面が見えるいずれの位置からも昼夜問わず、視認することができる。
【0034】
図2は、浄水装置本体1の上側扉2、下側扉3を開けた状態における正面から見た図である。本体1は略直方体の外形を有し、本体1の内部には、本体1の外形を構成する左側面板と右側面板間を架設するように、上段、中段、下段と、3段の棚6を備える。なお、下段の棚6は、本体1の外形を構成する底面板を兼ねることもできる。
【0035】
上段の棚6には、採水口7から飲料水等を採水するための、ガロンボトル24を収納する。もっとも、棚6の上段は、収納や保管目的ではなく、採水用の容器の支持台として用いてもよく、容器は、ガロンボトル24に限られずいずれの形状の容器、例えば、災害用ウォータータンク、鍋、魔法瓶等を用いることができる。
【0036】
下段の棚6には、右側に原水タンク23、左側にフィルタ収納箱21を、収納する。原水タンク23は、浄化前の原水を貯水するためのものである。
フィルタ収納箱21に収納、配設される浄化用フィルタへの給水は、二つの給水経路のいずれかから行う。通常時は、水道からの給水経路により水道水を供給し、非常時(断水時)は、原水タンク23からの給水経路により原水を供給する。
【0037】
それぞれの給水経路を構成する配管の端に挿抜容易な継手を備え、給水経路の切り換えは、この継手を切り替えることにより行う。フィルタ収納箱21と原水タンク23を、棚6の下段において可能な限り隣接に近い状態に配置することで、非常時における給水経路を短く、かつ配管の引き回しを単純にすることができる。
【0038】
中段の棚6には、交換用の予備フィルタ収納箱22を収納し保管する。本体1内に、利用可能な予備フィルタ収納箱22を常時保管することで、浄化用フィルタ交換の必要性が生じたときに、遅滞なく交換でき、装置の運転への影響を最小限に迎えることができる。
【0039】
図3は、浄水装置本体1の背面側からの斜視図である。本体背面には、上側に上板8、下側に下板8を備え、それぞれ本体1から容易に取り外すことができる。
【0040】
図4は、上板8、下板8を取り外したときの浄水装置本体1の背面図である。上段の棚6の背面側には、ソーラーパネル付き充電器26を収納し保管する。非常時(停電時)は、同充電器26から電源を供給する。
【0041】
下段の棚6の背面側には、貯水タンク25を収納する。貯水タンク25は、フィルタ収納箱21の浄化用フィルタにより浄化された水を貯水するためのものである。なお、バルブの操作により貯水タンク25に貯水せずに採水口7から採水することもできる。例えば、通常時、一般浄水器的に使用する際は、貯水タンク25に貯水せず直接採水口7から採水をする。
【0042】
本体1の背面中央部右側に、ファイナルフィルタ9を配設する。ファイナルフィルタ9は、フィルタ収納箱21内の浄化用フィルタの破損等により水質改善機能上の不具合等が生じた場合を想定したバックアップ的位置づけのものである。
【0043】
よって、ファイナルフィルタ9は、フィルタ収納箱21内の浄化用フィルタよりも、フィルタが汚れにくく交換頻度が低いことから、フィルタ収納箱21内には収納、配設していない。また、フィルタ収納箱21外の、可能な限り採水口7への流路に近いところにファイナルフィルタ9を配設することで、装置内全体の配管経路における部品や部材の経年劣化等に起因する異物の除去の確度を上げることができる。
【0044】
図5は、浄水装置本体1に備えられたフィルタ収納箱21を示す斜視図である。フィルタ収納箱21は略直方体の外形を有し、紙面左側に視認できるフィルタ収納箱21の外形を構成する縦長面が正面である。フィルタ収納箱21は、本体1の外形を構成する左側面板の内側に沿うように、下段の棚6に配置する。下段の棚6の上面にはガイド部15が略コの字形状を有し突出する。さらに、その左側面板の内面からはストッパー16が突出する。
【0045】
ストッパー16は、その左側面板の内面へ取り付けるためのフランジを有し、フィルタ収納箱21の上面と背面のそれぞれに向かい合う面を有する。もっともストッパー16は、フィルタ収納箱21の、本体1に対する奥行き方向(背面方向)への動きを止めるいわゆるストッパーの機能を果たす形状であれば、いかなる形状でもよい。
【0046】
フィルタ収納箱21は、スライドにより本体1からの取り外しや本体1への配置を行うことができる。その際、ガイド部15によって本体1の左右方向についての案内がされる。また、ガイド部15は、ストッパー16同様のストッパーの機能も有する。すなわち、ストッパー16に、フィルタ収納箱21の背面上部が当接し、ガイド部15に、フィルタ収納箱21の背面下部が当接することで、フィルタ収納箱21は、安定して本体1の所定の位置に配置することができる。
【0047】
フィルタ収納箱21内には、四つの浄化用フィルタ、すなわち活性炭による二つのプレフィルタ30、31、逆浸透膜モジュールによる一つのメインフィルタ32、イオン交換樹脂による一つのサブフィルタ33を収納、配設する。フィルタ収納箱21上面には、継手34、35を配設する。
【0048】
継手34、35は、それぞれ2系統の管路を備え、継手34の2系統の管路のうち一方の管路から流入する水道水又は原水は、最初にプレフィルタ30、31に並列に流入する。プレフィルタ30、31を通過した水道水又は原水は、続いてメインフィルタ32、サブフィルタ33の順序で流入する。なお、継手34の2系統の管路のうち他方の管路は、メインフィルタ32の濾過により生じる排出水を排出するためのものである。この排出水は、再利用のため再度原水タンク23に貯水、又は本体1の外に廃棄する。
【0049】
原水タンク23に、再利用のための排出水が貯水されるとともに、原水の水質は一層悪化する。つまり、再利用頻度の増加にともない、より濃縮された原水が貯水されることになる。サブフィルタ33は、この濃縮された原水の濾過のためのメインフィルタ32の濾過能力を補完する目的があり、サブフィルタ33を備えることで、想定されるどのような濃縮された原水からでも飲料水等に適した水質に浄化することができる。
【0050】
四つの浄化用フィルタを通して浄化された水は、継手35の2系統の管路を介し、貯水タンク25、又は直接採水口7へ向かう。貯水タンク25に貯水するか、直接採水するかの制御は、その2系統の管路に備えるバルブの開閉によって行うことができる。
【0051】
図6は、フィルタ収納箱21上面に形成された凹部の詳細を示す斜視図である。フィルタ収納箱21の上面は、継手34、35を配設するため、一部が下方に向かって凹部を形成する。凹部は、フィルタ収納箱21上面に設けられた長方形形状の貫通穴と、継手受面41、継手案内面42から形成される。継手受面41と継手案内面42は、貫通穴の外周の長方形を構成する一対の対向する辺の縁から、それぞれ対向方向かつ下方向の成分を有し延伸し傾斜する。なお、貫通穴は、その外周を構成する四辺が、フィルタ収納箱21上面を構成する四辺と、それぞれが平行する関係にあればいずれの場所であってもよい。
【0052】
継手受面41は、貫通穴の外周を構成する四辺のうち、フィルタ収納箱21正面に近いその正面と平行に延びる辺を端として、フィルタ収納箱21上面と、45°から85°の範囲のいずれかの角度となるように、下方に傾斜する。
【0053】
継手案内面42は、貫通穴の外周を構成する四辺のうち、フィルタ収納箱21背面に近いその背面と平行に延びる辺を端として、継手受面41と90°の角度で当接するように、下方に傾斜する。なお、それぞれの傾斜の端となる辺間の距離は50mmから150mmの範囲のいずれかの長さで設定する。
【0054】
なお、凹部を構成する継手受面41と継手案内面42は、フィルタ収納箱21の上面の一部を折り曲げてもよく、他部品をフィルタ収納箱21の上面の、上面側又は下面側に組み付ける方法でもよい。
【0055】
継手34は、いわゆるワンタッチ方式の継手であり継手34の表面上のボタンを押し下げることで、継手34―1と継手34―2に容易に分離することができる。継手34-2は、継手受面41に対して嵌通し、継手受面41で支持される。なお、継手35についても同様である。
【0056】
ユーザは、操作パネル4の発光ダイオード又は面状発光部5の発光による浄化用フィルタ交換時期の報知を受け、継手34、35を分離し、フィルタ収納箱21を中段の棚6に保管する予備フィルタ収納箱22と交換する。その際、フィルタ収納箱21上面の凹部、すなわち、四角形状の貫通穴と、貫通穴の下方向に向かって傾斜する継手受面41と継手案内面42により、継手34、35の挿抜が容易になる。
【0057】
つまり、フィルタ収納箱21上面の上部には、本体1の中段の棚6があるため、ユーザは、その棚6と、フィルタ収納箱21上面間の狭空間に、手のみを差し入れて継手34、35の挿抜の必要があるが、継手34、35は、上記の凹部に配設されていること、そして、継手34-2は、継手受面41に支持されているから、継手案内面42の傾斜に沿って継手34-1を移動させるだけで、容易に継手34の挿抜ができる。さらに、継手34-2は、フィルタ収納箱21上面から突出しないため、フィルタ収納箱21の輸送時における、継手34-2の破損を予防することができる。なお、継手35についても、挿抜方法、フィルタ収納箱21の上面から突出しないこと等、全く同様である。
【0058】
交換用の予備フィルタ収納箱22は、本体1内のフィルタ収納箱21の傍で保管しているため、遅滞のない交換が可能である。ユーザは継手34、35を分離し、フィルタ収納箱21をスライドさせながら本体1から取り外す。次に、予備フィルタ収納箱22をガイド部15の案内に沿って、ガイド部15、ストッパー16に予備フィルタ収納箱22の背面が当接するまで、同じくスライドにより配置する。そして、先にフィルタ収納箱21から抜いた継手34-1を、フィルタ収納箱22の継手34-2へ継手案内面42に沿わせながら挿入する。継手35についても同様である。以上より、ユーザは容易に遅滞なく浄化用フィルタの交換を行うことができる。
【0059】
図7は、浄水装置本体1の背面側上段の棚6に収納されたソーラーパネル付き充電器26を取り出し、ソーラーパネルを展開した同充電器26と、浄水装置本体1の背面図である。停電時には、ソーラーパネル付き充電器26により本体1へ電源を供給する。
【0060】
本体1の上段の棚6の上部に、本体1の背面と並行に仕切り10を配設する。仕切り10の上部にはUV装置12を、その下部には圧力ポンプ11を配設する。UV装置12は、浄化用フィルタを通した水を殺菌するためのものであり、殺菌は、UV装置12と採水口7に備わる逆汚染防止UV灯により行われる。圧力ポンプ11は、仕切り10に配設されたガード13により、ソーラーパネル付き充電器26を収納する際の衝突から保護される。
【0061】
圧力ポンプ11は、フィルタ収納箱21に収納された逆浸透膜モジュールによるメインフィルタ32に水圧をかけるためのものである。メインフィルタ32とプレフィルタ31間に、配設することが一般的であるが、そうすると圧力ポンプ11は、フィルタ収納箱21の内部に配設する必要があり、フィルタ収納箱21の重量や容量が増し、また、圧力ポンプ11を動作させるための電源線をフィルタ収納箱21内部へ配線する必要があることから、フィルタ収納箱21の本体1からの脱着容易性が妨げられる。
【0062】
そこで、圧力ポンプ11を、フィルタ収納箱21の外部の仕切り10の位置に配設する。なお、原水タンク23から、原水を給水するための給水用ポンプは、仕切り10に圧力ポンプ11と並設する。
【0063】
以上、本発明の浄水装置における実施形態について説明したが、本発明は説明した実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲において各種変形を行うことができる。
【符号の説明】
【0064】
1本体2上側扉3下側扉6棚7採水口8上板、下板10仕切り11圧力ポンプ15ガイド部16ストッパー21フィルタ収納箱34、35継手
【要約】      (修正有)
【課題】濾過フィルタの交換が容易な浄水装置を提供する。
【解決手段】複数の濾過フィルタを浄水装置本体内に備えられたフィルタ収納箱21に収める。フィルタ収納箱は、挿抜容易な継手34、35を介し、浄水装置本体から容易に脱着することができる。ユーザにとって、複数の濾過フィルタの中で交換が必要なフィルタを見分けること、及びそれを取り外し、取り付けることは困難であるが、フィルタ収納箱ごと交換することにより、これを解決する。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7