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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-21
(45)【発行日】2023-03-02
(54)【発明の名称】包装装置および包装方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 11/04 20060101AFI20230222BHJP
【FI】
B65B11/04
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022069438
(22)【出願日】2022-04-20
【審査請求日】2022-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000154130
【氏名又は名称】株式会社不二鉄工所
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】楠山 哲則
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-056112(JP,A)
【文献】特開平03-133707(JP,A)
【文献】実開昭53-144466(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが巻き取られた巻取ロールを包装する包装装置であって、
巻取ロールの包装が行われる包装位置に包装材を搬送する搬送部と、
前記包装位置の巻取ロールを回転させる回転機構部と、
前記包装位置の巻取ロールの巻尻部を押さえる押さえ機構部とを備え、
前記押さえ機構部により巻尻部を押さえた状態で、前記搬送部による包装材の搬送が行われ、包装材の先端部が巻取ロールの外周面と巻尻部との間に挿し込まれたときに、前記回転機構部が巻取ロールを回転させることにより、包装材が巻取ロールの外周に巻き込まれるように構成されていることを特徴とする包装装置。
【請求項2】
請求項1に記載の包装装置において、
前記押さえ機構部は、アームと、前記アームに固定された固定プレートと、前記アームに回動可能に設けられた可動プレートとを含み、
前記可動プレートは、前記固定プレートと面一になる第1位置と、前記固定プレートの上方の第2位置との間で回動可能に構成され、
前記可動プレートが前記第1位置から前記第2位置に回動されることにより、前記可動プレートによって巻尻部が前記固定プレート側に押さえられ、その状態で包装材が前記可動プレートの上方を通過可能に構成されていることを特徴とする包装装置。
【請求項3】
請求項2に記載の包装装置において、
前記アームは、回動可能に設けられ、
前記可動プレートは、前記アームの回動に連動して回動するように構成されていることを特徴とする包装装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の包装装置において、
前記回転機構部は、前記包装位置の巻取ロールを支持する一対のローラと、前記一対のローラに巻き掛けられる第1ベルトと、前記包装位置の巻取ロールに上方側から巻き掛けられる第2ベルトとを含むことを特徴とする包装装置。
【請求項5】
シートが巻き取られた巻取ロールの包装が行われる包装位置に包装材を搬送する搬送部と、
前記包装位置の巻取ロールを回転させる回転機構部と、
前記包装位置の巻取ロールの巻尻部を押さえる押さえ機構部とを備える包装装置において行われる包装方法であって、
前記押さえ機構部により、前記包装位置の巻取ロールの巻尻部を押さえるステップと、
前記押さえ機構部により巻尻部が押さえられた状態で、前記搬送部により包装材を搬送して、包装材の先端部を巻取ロールの外周面と巻尻部との間に挿し込むステップと、
包装材の先端部を巻取ロールの外周面と巻尻部との間に挿し込んだ後に、前記回転機構部により巻取ロールを回転させて、包装材を巻取ロールの外周に巻き込むステップとを備えることを特徴とする包装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装装置および包装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シートが巻き取られた巻取ロールを包装する包装装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
このような包装装置は、巻取ロールを支持する一対のローラと、巻取ロールに上方側から巻き掛けられるベルトとを備えている。そして、一対のローラおよびベルトによって巻取ロールが回転され、その巻取ロールに包装材が供給されることにより、包装材が巻取ロールの外周に巻き込まれるようになっている。たとえば、包装材の後端部に接着剤が塗布されることにより、包装材の後端部が包装材の先端部に貼り付けられている。すなわち、巻取ロールを包装する包装材が筒状に形成され、包装材により巻取ロールが胴巻されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平6-56112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、巻取ロールを胴巻する包装材が、巻取ロールに対して軸方向(シートの幅方向)にずれやすいという不都合があった。この不都合を解消するために、巻取ロールの包装が行われる際に、包装材の先端部を巻取ロールの外周面と巻尻部との間に挿し込むことにより、胴巻する包装材を巻取ロールに対して固定させることが考えられる。しかしながら、巻取ロールの巻尻部に巻き癖がある場合には、包装材の先端部を巻取ロールの外周面と巻尻部との間に挿し込むことが困難になるという問題点がある。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、巻取ロールの巻尻部に巻き癖がある場合にも、包装材の先端部を巻取ロールの外周面と巻尻部との間に挿し込むことが可能な包装装置および包装方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による包装装置は、シートが巻き取られた巻取ロールを包装するものであり、巻取ロールの包装が行われる包装位置に包装材を搬送する搬送部と、包装位置の巻取ロールを回転させる回転機構部と、包装位置の巻取ロールの巻尻部を押さえる押さえ機構部とを備える。包装装置は、押さえ機構部により巻尻部を押さえた状態で、搬送部による包装材の搬送が行われ、包装材の先端部が巻取ロールの外周面と巻尻部との間に挿し込まれたときに、回転機構部が巻取ロールを回転させることにより、包装材が巻取ロールの外周に巻き込まれるように構成されている。
【0008】
このように構成することによって、巻取ロールの巻尻部に巻き癖がある場合にも、押さえ機構部により巻尻部が押さえられるので、包装材の先端部を巻取ロールの外周面と巻尻部との間に挿し込むことができる。したがって、胴巻する包装材が巻取ロールに対して固定されるので、胴巻する包装材が巻取ロールに対して軸方向にずれないようにすることができる。
【0009】
上記包装装置において、押さえ機構部は、アームと、アームに固定された固定プレートと、アームに回動可能に設けられた可動プレートとを含み、可動プレートは、固定プレートと面一になる第1位置と、固定プレートの上方の第2位置との間で回動可能に構成され、可動プレートが第1位置から第2位置に回動されることにより、可動プレートによって巻尻部が固定プレート側に押さえられ、その状態で包装材が可動プレートの上方を通過可能に構成されていてもよい。
【0010】
この場合において、アームは、回動可能に設けられ、可動プレートは、アームの回動に連動して回動するように構成されていてもよい。
【0011】
上記包装装置において、回転機構部は、包装位置の巻取ロールを支持する一対のローラと、一対のローラに巻き掛けられる第1ベルトと、包装位置の巻取ロールに上方側から巻き掛けられる第2ベルトとを含んでいてもよい。
【0012】
本発明による包装方法は、シートが巻き取られた巻取ロールの包装が行われる包装位置に包装材を搬送する搬送部と、包装位置の巻取ロールを回転させる回転機構部と、包装位置の巻取ロールの巻尻部を押さえる押さえ機構部とを備える包装装置において行われるものである。包装方法は、押さえ機構部により、包装位置の巻取ロールの巻尻部を押さえるステップと、押さえ機構部により巻尻部が押さえられた状態で、搬送部により包装材を搬送して、包装材の先端部を巻取ロールの外周面と巻尻部との間に挿し込むステップと、包装材の先端部を巻取ロールの外周面と巻尻部との間に挿し込んだ後に、回転機構部により巻取ロールを回転させて、包装材を巻取ロールの外周に巻き込むステップとを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明の包装装置および包装方法によれば、巻取ロールの巻尻部に巻き癖がある場合にも、包装材の先端部を巻取ロールの外周面と巻尻部との間に挿し込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態による包装装置の概略を示した模式図である。
図2図1の包装装置の下側部材を説明するための図である。
図3図1の包装装置において巻取ロールが包装位置に移動された状態を示した図である。
図4図3の包装装置において可動プレートが回動されて巻尻部が押さえられた状態を示した図である。
図5図4の包装装置において巻取ロールにベルトが巻き掛けられた状態を示した図である。
図6図5の包装装置において搬送部により包装材が搬送される状態を示した図である。
図7図6の包装装置において上側部材および押さえ機構部が元の位置に戻された状態を示した図である。
図8図7の包装装置において包装後の巻取ロールが排出される状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を説明する。
【0016】
-構成-
まず、図1図2図4および図6を参照して、本実施形態による包装装置100の構成について説明する。なお、図2は、後述する下側部材3aの各部の関係などを説明するためのものであり、実際の構造とは異なる部分がある。
【0017】
包装装置100は、巻取ロール150を包装位置Pで包装するように構成されている。この包装装置100は、巻取ロール150の外周面に沿うように包装材160(図6参照)を筒状に形成して、その包装材160により巻取ロール150を胴巻するように構成されている。巻取ロール150は、帯状のシートが巻き取られることによって形成されている。シートは、たとえば、防水性を有するルーフィングシートである。このため、たとえば、巻取ロール150の巻尻部151には、巻き癖がついている。
【0018】
包装装置100は、図1に示すように、巻取ロール150を包装位置Pに移送する移送部1と、包装位置Pに包装材160を搬送する搬送部2と、包装位置Pの巻取ロール150を回転させる回転機構部3と、包装位置Pの巻取ロール150の巻尻部151を押さえる押さえ機構部4と、包装後の巻取ロール150を排出するための排出板5とを備えている。
【0019】
[移送部]
移送部1は、巻取ロール150を運搬するコンベア(図示省略)と、コンベアから巻取ロール150が供給される傾斜面11とを有する。移送部1では、コンベアからの巻取ロール150が傾斜面11に沿って転動されることにより、その巻取ロール150が包装位置Pに供給されるようになっている。また、移送部1には、巻取ロール150の直径を検出する直径検出部(図示省略)が設けられるとともに、巻取ロール150の巻尻部151の位置を検出する巻尻位置検出部(図示省略)が設けられている。そして、移送部1は、巻取ロール150の回転位置を調整することにより、包装位置Pに供給した巻取ロール150の巻尻部151が搬送部2側(図1において左側)を向くように構成されている。
【0020】
[搬送部]
搬送部2の上流側では、図示省略した包装材原反および切断装置が設けられ、包装材原反から繰り出される包装材が切断装置によって切断されるようになっている。切断装置による包装材の切断位置(切断タイミング)は、巻取ロール150の直径などに基づいて設定される。たとえば、切断後の包装材160の長さが、巻取ロール150の周長に糊代および挿込代(巻取ロール150の外周面と巻尻部151との間に挿し込まれる部分の長さ)を加算した値になるように設定される。そして、搬送部2には、切断された包装材160が供給される。たとえば、包装材160の幅方向の寸法は、巻取ロール150の軸方向(シートの幅方向)の寸法と同じに設定されている。
【0021】
搬送部2は、包装材160を搬送する複数のベルトコンベア21と、包装材160の後端部(搬送方向における上流側の端部)に接着剤を塗布する接着剤塗布装置(図示省略)と、包装材160に各種情報を印刷可能な印刷装置(図示省略)とを有する。複数のベルトコンベア21は、包装材160を図1における右側に搬送して、包装材160を包装位置Pに向けて送り出すように構成されている。複数のベルトコンベア21は、包装材160の幅方向(図1の紙面に対する垂直方向)に間隔を隔てて配置されている。接着剤塗布装置は、ベルトコンベア21の上方に配置され、印刷装置は、ベルトコンベア21の下方に配置されている。
【0022】
[回転機構部]
回転機構部3は、包装位置Pの下方側に配置される下側部材3aと、包装位置Pの上方側に配置される上側部材3bとを含んでいる。
【0023】
下側部材3aは、包装位置Pの巻取ロール150を支持するローラ31aおよび32aと、ローラ31aおよび32aを回転可能に支持するアーム33aと、アーム33aを作動させるエアシリンダ34aと、ローラ31aおよび32aに巻き掛けられる複数のベルト35aと、複数のベルト35aがそれぞれ巻き掛けられる複数のプーリ36aとを有する。
【0024】
ローラ31aおよび32aは、動力源(図示省略)と連結され、その動力源からの動力によって回転されるように構成されている。ローラ31aおよび32aは、平行に配置され、巻取ロール150の軸方向に延びるように形成されている。ローラ31aおよび32aの軸方向の長さは、巻取ロール150の軸方向の長さよりも大きい。ローラ31aは、包装位置Pの巻取ロール150に対して一方側(図1における右側)に配置され、ローラ32aは、包装位置Pの巻取ロール150に対して他方側(図1における左側)に配置されている。ローラ31aの外周面には複数の環状溝311a(図2参照)が形成され、複数の環状溝311aは軸方向に間隔を隔てて配置されている。
【0025】
アーム33aは、回動軸331aを介してフレーム(図示省略)に回動可能に設けられている。アーム33aは、ローラ31aおよび32aの両端部を支持するように左右一対で設けられている。エアシリンダ34aは、シリンダ本体341aと、シリンダ本体341aに対して進退するピストンロッド342aとを有する。シリンダ本体341aはフレームに連結され、ピストンロッド342aにはアーム33aが連結されている。
【0026】
複数のベルト35aは、巻取ロール150の包装が行われる際に、包装材160を巻取ロール150の外周面に沿ってガイドするために設けられている。複数のプーリ36a(図2参照)は、アーム33aに回転可能に設けられている。複数のベルト35aおよびプーリ36aは、巻取ロール150の軸方向に間隔を隔てて配置されている。なお、ベルト35aは、本発明の「第1ベルト」の一例である。
【0027】
上側部材3bは、包装位置Pの巻取ロール150に上方側から巻き掛けられる複数のベルト31bと、複数のベルト31bがそれぞれ巻き掛けられる複数のプーリ32b~34bと、複数のプーリ33bを回転可能に支持するアーム35bと、複数のプーリ34bを回転可能に支持するアーム36bとを有する。
【0028】
複数のベルト31bは、巻取ロール150の包装が行われる際に、包装材160を巻取ロール150の外周面に沿ってガイドするために設けられている。複数のベルト31bおよびプーリ32b~34bは、巻取ロール150の軸方向に間隔を隔てて配置されている。なお、ベルト31bは、本発明の「第2ベルト」の一例である。
【0029】
プーリ32bは、フレームに回転可能に設けられている。プーリ32bは、動力源(図示省略)と連結され、その動力源からの動力によって回転されるように構成されている。たとえば、プーリ32bの動力源とローラ31aおよび32aの動力源とが同じであり、ベルト31bの搬送速度がベルト35aの搬送速度に対して高くなるように設定されている。具体例として、ベルト31bの搬送速度は、ベルト35aの搬送速度の103%に設定されている。
【0030】
プーリ33bは、包装位置Pの巻取ロール150に対して一方側(図1における右側)に配置され、プーリ34bは、包装位置Pの巻取ロール150に対して他方側(図1における左側)に配置されている。アーム35bは、回動軸351bを介してフレームに回動可能に設けられている。アーム36bは、回動軸361bを介してフレームに回動可能に設けられている。
【0031】
[押さえ機構部]
押さえ機構部4は、回転機構部3の下側部材3aに設けられている。押さえ機構部4は、アーム41と、固定プレート42と、可動プレート43と、エアシリンダ44と、動力伝達部45とを含んでいる。
【0032】
アーム41は、回動軸41aを介してアーム33aに回動可能に設けられている。固定プレート42は、アーム41に固定されている。可動プレート43は、アーム41に回動可能に設けられ、アーム41の回動に連動して回動するように構成されている。可動プレート43は、固定プレート42と面一になる第1位置と、固定プレート42の上方の第2位置(図4参照)との間で回動可能に構成されている。たとえば、可動プレート43は、約190度回動可能に設けられている。
【0033】
エアシリンダ44は、アーム41および可動プレート43を作動させるために設けられている。エアシリンダ44は、シリンダ本体44aと、シリンダ本体44aに対して進退するピストンロッド44bとを有する。シリンダ本体44aはアーム33aに連結され、ピストンロッド44bにはアーム41が連結されている。
【0034】
動力伝達部45は、エアシリンダ44の出力を可動プレート43に伝達するために設けられている。動力伝達部45は、ドライブギヤ451aと、アイドラギヤ451bと、ドリブンギヤ451cと、スプロケット452aおよび452bと、チェーン453とを有する。
【0035】
ドライブギヤ451aは、アーム33aに回転不能に設けられ、アーム41の回動軸41aと同軸上に配置されている。アイドラギヤ451bは、アーム41に回転可能に設けられ、ドライブギヤ451aおよびドリブンギヤ451cと噛合されている。ドリブンギヤ451cは、アーム41に回転可能に設けられ、スプロケット452aと連結されている。このため、ドリブンギヤ451cおよびスプロケット452aが一体的に回転するように構成されている。スプロケット452aおよび452bは、アーム41に回転可能に設けられ、チェーン453が巻き掛けられている。スプロケット452bには、可動プレート43が連結されている。
【0036】
[排出板]
排出板5は、ベルトコンベア21の下方に配置されている。排出板5は、巻取ロール150の包装が完了された後に、その巻取ロール150を包装位置Pから排出するために設けられている。
【0037】
-包装動作-
次に、図1図8を参照して、本実施形態の包装装置100による包装動作について説明する。この包装装置100によって包装される巻取ロール150の巻尻部151には、巻き癖がついている。
【0038】
ここで、包装動作の開始前には、図1に示すように、エアシリンダ34aが伸ばされており、ローラ31aおよび32aが包装位置Pの下方間近に配置されている。また、エアシリンダ44が伸ばされており、可動プレート43が固定プレート42と面一になっている。すなわち、可動プレート43が第1位置に位置している。面一の固定プレート42および可動プレート43は、包装位置Pとベルトコンベア21との間に配置され、ベルトコンベア21側からローラ32aの上端部に向けて斜め下方に延びるように設けられている。なお、このとき、固定プレート42が包装位置P側に配置されるとともに、可動プレート43がベルトコンベア21側に配置されており、固定プレート42および可動プレート43の境目にスプロケット452bが配置されている。また、上側部材3bでは、プーリ33bおよび34bが上方に退避されている。
【0039】
まず、図3に示すように、移送部1により巻取ロール150が包装位置Pに供給される。具体的には、巻取ロール150がコンベア(図示省略)で運搬された後に傾斜面11に沿って転動されることにより、巻取ロール150が包装位置Pに供給される。また、移送部1では、巻取ロール150の直径が検出されるとともに、巻取ロール150の巻尻部151の位置が検出される。そして、移送部1では、巻取ロール150の回転位置を調整することにより、包装位置Pに供給した巻取ロール150の巻尻部151が搬送部2側(図3において左側)を向くようにされる。なお、包装位置Pの巻取ロール150は、ローラ31aおよび32aによって支持され、その巻取ロール150の下側には、ローラ31aおよび32aの間でベルト35aが当接される。
【0040】
次に、図4に示すように、エアシリンダ44が縮められることにより、アーム41が回動されるとともに、可動プレート43が第1位置から第2位置に回動される。具体的には、アーム41の回動によってドライブギヤ451aと噛合するアイドラギヤ451bが回転されることにより、アイドラギヤ451bと噛合するドリブンギヤ451cが回転される。このため、ドリブンギヤ451cと連結されたスプロケット452aが回動され、そのスプロケット452aの回動がチェーン453を介してスプロケット452bに伝達されることにより、スプロケット452bと連結された可動プレート43が回動される。また、アーム41の回動によって固定プレート42がほぼ水平になる。
【0041】
このように、可動プレート43が第1位置から第2位置に回動されることにより、可動プレート43によって巻尻部151が固定プレート42側に押さえられる。すなわち、巻尻部151が固定プレート42および可動プレート43の間に挟まれる。このため、巻尻部151が外周面のほぼ接線方向(水平方向)を向くようにされ、巻取ロール150の外周面と巻尻部151との間の空間が拡げられる。
【0042】
次に、図5に示すように、アーム35bおよび36bが下方に回動されることにより、ベルト31bが巻取ロール150に上方側から巻き掛けられる。プーリ33bは、ベルト31bを介して巻取ロール150と当接され、ローラ31aの近傍に配置されている。なお、プーリ33bは、ローラ31aの環状溝311a(図2参照)に配置され、ローラ31aと干渉されないようになっている。プーリ34bは、ベルト31bを介して巻取ロール150と当接され、ローラ32aの近傍に配置されている。このため、包装位置Pの巻取ロール150の周方向における大部分には、ベルト35aまたは31bが接触されている。
【0043】
また、搬送部2の上流側では、包装材原反(図示省略)から包装材が繰り出され、その包装材が切断装置(図示省略)によって切断される。これにより、所定の長さの包装材160(図6参照)が形成される。たとえば、包装材160の長さは、巻取ロール150の周長に糊代および挿込代を加算した値になるように設定される。なお、包装材160の幅方向の寸法は、巻取ロール150の軸方向の寸法と同じに設定されている。
【0044】
そして、包装材160がベルトコンベア21によって搬送される。このとき、印刷装置(図示省略)により、包装材160に各種情報が印刷されるようにしてもよい。また、接着剤塗布装置により、包装材160の後端部に接着剤が塗布される。そして、図6に示すように、ベルトコンベア21から包装位置Pに向けて包装材160が送り出される。このとき、包装材160の先端部が、可動プレート43の上方を通過するとともに、プーリ34bの下方を通過して、巻取ロール150の外周面と巻尻部151との間に挿し込まれる。
【0045】
次に、包装材160の先端部が巻取ロール150の外周面と巻尻部151との間に挿し込まれると、動力源(図示省略)により、ローラ31a、32a、ベルト35aおよび31bが駆動される。このため、包装位置Pの巻取ロール150が図6において反時計回りに回転されることにより、包装材160が巻取ロール150の外周に巻き込まれる。このとき、包装材160の先端部が巻尻部151に対して内周側(径方向内側)に位置して、巻尻部151により包装材160の先端部が挟み込まれる。また、ローラ31a、32a、ベルト35aおよび31bが駆動される際に、エアシリンダ44の推力が調整されることにより、可動プレート43が巻尻部151を固定プレート42に押し付ける力が低減される。これにより、可動プレート43および固定プレート42の間から巻尻部151が抜け出しやすくなる。
【0046】
その後、包装材160の後端部が巻き込まれる際に、接着剤により包装材160の後端部が包装材160の先端部付近に貼り付けられる。これにより、巻取ロール150を包装する包装材160が筒状に形成され、その包装材160により巻取ロール150が胴巻される。
【0047】
次に、図7に示すように、アーム35bおよび36bが上方に回動されることにより、プーリ33bおよび34bが上方に退避される。また、エアシリンダ44が伸ばされることにより、アーム41が回動されるとともに、可動プレート43が第2位置から第1位置に回動される。すなわち、上側部材3bおよび押さえ機構部4が元の位置に戻される。
【0048】
次に、図8に示すように、エアシリンダ34aが縮められることにより、アーム33aが回動される。これにより、包装材160を用いて包装された巻取ロール150が、ローラ31aおよび32aから転がり落ちて、固定プレート42、可動プレート43および排出板5に沿って転動される。このようにして、包装後の巻取ロール150が包装位置Pから排出される。
【0049】
-効果-
本実施形態では、上記のように、押さえ機構部4が設けられることによって、巻取ロール150の巻尻部151に巻き癖がある場合にも、押さえ機構部4により巻尻部151が押さえられるので、包装材160の先端部を巻取ロール150の外周面と巻尻部151との間に挿し込むことができる。したがって、胴巻する包装材160が巻取ロール150に対して固定されるので、胴巻する包装材160が巻取ロール150に対して軸方向にずれないようにすることができる。
【0050】
また、本実施形態では、押さえ機構部4が、アーム41に固定された固定プレート42と、アーム41に回動可能に設けられた可動プレート43とを含むことによって、可動プレート43により巻尻部151を固定プレート42側に押さえて、巻取ロール150の外周面と巻尻部151との間の空間を拡げることができる。
【0051】
また、本実施形態では、アーム41の回動に連動して、可動プレート43が回動することによって、可動プレートを回動させるための専用の動力源が不要になるので、部品点数の削減を図ることができる。
【0052】
また、本実施形態では、巻取ロール150を支持するローラ31aおよび32aと、ローラ31aおよび32aに巻き掛けられるベルト35aと、巻取ロール150に上方側から巻き掛けられるベルト31bとが設けられることによって、包装材160を巻取ロール150の外周に巻き込んで、包装材160で巻取ロール150を胴巻することができる。
【0053】
-他の実施形態-
なお、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0054】
たとえば、上記実施形態において、包装装置100は、巻尻部に巻き癖がついていない巻取ロールも包装可能である。巻尻部に巻き癖がついていない巻取ロールを包装する場合には、包装の際に押さえ機構部4を作動させないようにしてもよい。また、包装装置100は、胴巻する包装材が巻取ロールに対してずれにくいものである場合には、包装材を挿し込まずに包装するようにしてもよい。この場合には、包装の際に押さえ機構部4が作動されない。
【0055】
また、上記実施形態では、包装材160の幅方向の寸法が巻取ロール150の軸方向の寸法と同じに設定される例を示したが、これに限らず、包装材の幅方向の寸法が巻取ロールの軸方向の寸法よりも小さく設定されていてもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、ベルト31bの搬送速度がベルト35aの搬送速度よりも高くされる例を示したが、これに限らず、ベルト31bの搬送速度とベルト35aの搬送速度とが同じであってもよい。
【符号の説明】
【0057】
2 搬送部
3 回転機構部
4 押さえ機構部
31a ローラ
31b ベルト(第2ベルト)
32a ローラ
35a ベルト(第1ベルト)
41 アーム
42 固定プレート
43 可動プレート
100 包装装置
150 巻取ロール
151 巻尻部
160 包装材
【要約】
【課題】巻取ロールの巻尻部に巻き癖がある場合にも、包装材の先端部を巻取ロールの外周面と巻尻部との間に挿し込むことが可能な包装装置を提供する。
【解決手段】包装装置100は、包装位置Pに包装材160を搬送する搬送部2と、包装位置Pの巻取ロール150を回転させる回転機構部3と、包装位置Pの巻取ロール150の巻尻部151を押さえる押さえ機構部4とを備える。包装装置100は、押さえ機構部4により巻尻部151を押さえた状態で、搬送部2による包装材160の搬送が行われ、包装材160の先端部が巻取ロール150の外周面と巻尻部151との間に挿し込まれたときに、回転機構部3が巻取ロール150を回転させることにより、包装材160が巻取ロール150の外周に巻き込まれるように構成されている。
【選択図】図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8