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特許7232027イグナイタ組立体およびイグナイタユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-21
(45)【発行日】2023-03-02
(54)【発明の名称】イグナイタ組立体およびイグナイタユニット
(51)【国際特許分類】
   F02P 15/00 20060101AFI20230222BHJP
   H01F 38/12 20060101ALI20230222BHJP
【FI】
F02P15/00 301U
F02P15/00 303H
H01F38/12 L
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018226977
(22)【出願日】2018-12-04
(65)【公開番号】P2020090912
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000217491
【氏名又は名称】ダイヤゼブラ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】足立 宏平
(72)【発明者】
【氏名】盛田 浩史
(72)【発明者】
【氏名】細田 和利
【審査官】池田 匡利
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-253582(JP,A)
【文献】特開2017-059681(JP,A)
【文献】特開2014-051926(JP,A)
【文献】国際公開第2012/073564(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02P 15/00
H01F 38/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リード端子が設けられたイグナイタと、
前記リード端子の全体を含む前記イグナイタを内部領域に収容する樹脂製のイグナイタ収容体と、
前記イグナイタ収容体に固定され且つ一端が前記イグナイタ収容体の内部領域において前記リード端子と電気的に接続される内部端子と、
前記イグナイタ収容体に収容される電子部品と、を備え、
前記内部端子の他端は、前記イグナイタ収容体よりも外部へ延在し、
前記イグナイタが、前記リード端子が突出するパッケージをさらに備え、
前記電子部品が、前記リード端子が突出する前記パッケージの面と、前記内部端子が突出する前記イグナイタ収容体の面との間に位置する、イグナイタ組立体。
【請求項2】
前記リード端子および前記内部端子の少なくとも一方は、貫通孔を有し、
前記電子部品に設けられた接続端子は、前記貫通孔に挿入される、請求項に記載のイグナイタ組立体。
【請求項3】
リード端子が設けられたイグナイタと、
前記リード端子の全体を含む前記イグナイタを内部領域に収容する樹脂製のイグナイタ収容体と、
前記イグナイタ収容体に固定され且つ一端が前記イグナイタ収容体の内部領域において前記リード端子と電気的に接続される内部端子と、を備え、
前記内部端子の他端は、前記イグナイタ収容体よりも外部へ延在し、
前記イグナイタが、前記リード端子が突出するパッケージをさらに備え、
前記リード端子が突出する前記パッケージの面と、前記内部端子が突出する前記イグナイタ収容体の面との間において、前記内部端子が屈曲部を有する、イグナイタ組立体。
【請求項4】
リード端子が設けられたイグナイタと、
前記リード端子の全体を含む前記イグナイタを内部領域に収容する樹脂製のイグナイタ収容体と、
前記イグナイタ収容体に固定され且つ一端が前記イグナイタ収容体の内部領域において前記リード端子と電気的に接続される内部端子と、を備え、
前記内部端子の他端は、前記イグナイタ収容体よりも外部へ延在し、
記イグナイタ収容体を外側から覆うシールド層を有する、イグナイタ組立体。
【請求項5】
前記イグナイタ組立体は、前記シールド層の外側に、エラストマーカバーが設けられる、請求項に記載のイグナイタ組立体。
【請求項6】
前記イグナイタ収容体が、開口した面を有する箱状を呈する、請求項1乃至のいずれか1つに記載のイグナイタ組立体。
【請求項7】
グナイタ組立体と、樹脂製のコネクタケースとを備えるイグナイタユニットであって、
前記イグナイタ組立体が、
リード端子が設けられたイグナイタと、
前記リード端子の全体を含む前記イグナイタを内部領域に収容する樹脂製のイグナイタ収容体と、
前記イグナイタ収容体に固定され且つ一端が前記イグナイタ収容体の内部領域において前記リード端子と電気的に接続される内部端子と、を備え、
前記内部端子の他端は、前記イグナイタ収容体よりも外部へ延在し、
前記コネクタケースは、前記イグナイタ組立体を収容する収容部と、前記収容部と一体成形されるコネクタ部とを有する、イグナイタユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関用点火コイルに設けられるイグナイタユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関用点火コイルでは、内燃機関用点火コイル用のイグナイタによって、コイルアセンブリに供給される一次電流の断続制御が行われる。そして、当該断続制御によって内燃機関用点火コイルのコイルアセンブリに高電圧が発生する。ここで、イグナイタがコイルアセンブリに対して行う断続制御は、ECUから送信される信号に基づいて行われる。当該ECUから送信される信号は、コネクタケースに設けられたコネクタ端子を介してイグナイタに入力されるため、内燃機関用点火コイルにおいては、イグナイタおよび外部端子(コネクタ端子)の接続が確実なことが望まれる。
【0003】
例えば、特許文献1に記載されている技術では、イグナイタ収容部を有するケース(コネクタケース)に設けられた突部によって、イグナイタのモールド部(パッケージ)を位置決めし、イグナイタおよび外部端子との接続を確実にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-147025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、イグナイタは、製品(品番)によって外形寸法が異なる。そのため、特許文献1に記載される技術では、使用するイグナイタが変更された場合には、変更後のイグナイタの外形寸法に合わせてコネクタケースの形状変更を行わなければならない。
【0006】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであり、イグナイタを、イグナイタ組立体(イグナイタユニット)に搭載しやすくする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係るイグナイタ組立体の一態様は、リード端子が設けられたイグナイタと、前記イグナイタを収容する樹脂製のイグナイタ収容体と、前記イグナイタ収容体に固定され且つ一端が前記リード端子と電気的に接続される内部端子と、を備え、前記内部端子の他端は、前記イグナイタ収容体の構造部によって画成される開領域よりも外部へ延在する。
【0008】
前記イグナイタ組立体は、前記イグナイタ収容体に収容される電子部品を更に備えるのが好適である。
【0009】
前記リード端子および前記内部端子の少なくとも一方は、貫通孔を有し、前記電子部品に設けられた接続端子は、前記貫通孔に挿入されるのが好適である。
【0010】
前記イグナイタ組立体は、その周囲を外側から覆うシールド層を有するのが好適である。
【0011】
前記イグナイタ組立体は、前記シールド層の外側に、エラストマーカバーが設けられるのが好適である。
【0012】
また、本発明に係るイグナイタユニットの一態様は、上記のイグナイタ組立体と、樹脂製のコネクタケースとを備えるイグナイタユニットであって、前記コネクタケースは、前記イグナイタ組立体を収容する収容部と、前記コネクタケースと一体成形されるコネクタ部とを有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、イグナイタは、イグナイタ収容体に収容される。そのため、パッケージの外形寸法が変更となったとしても、当該イグナイタ収容体の形状を変えるのみで(つまり、イグナイタおよびコネクタケースに変更を加えることなく)、イグナイタをイグナイタ収容体に収容することができる。その結果、イグナイタを点火コイルに適用しやすくなる。
【0014】
また、電子部品がイグナイタ収容体に収容される本発明は、イグナイタを構成するパッケージとは別体の電子部品を、内燃機関用点火コイルに搭載することが必要となった場合でも、イグナイタのパッケージ形状およびコネクタケースの形状に変更を加えることなく、電子部品をコネクタケースに搭載することができる。
【0015】
また、リード端子および内部端子の少なくとも一方に設けられた貫通孔に、電子部品に設けられた接続端子が挿入される本発明は、当該貫通孔に半田を充填させることで、電子部品とリード端子もしくは電子部品と内部端子との接続をすることができる。ここで、貫通孔への半田の充填は、貫通孔が有する2つの開口端のうちのどちらからでも行うことができるため、イグナイタ組立体の製造工程において、電子部品の接続(取付け)がしやすくなる。
【0016】
また、イグナイタ組立体が、その周囲を外側から覆うシールド層を有する本発明は、シールド層によって覆われる面積が多い。その結果、シールド層によるシールド効果が向上する。また、イグナイタ収容体にイグナイタおよび電子部品が収容される場合には、イグナイタおよび電子部品の双方がシールド層で覆われる。その結果、イグナイタおよび電子部品の双方を、外来ノイズからシールドすることができる。
【0017】
また、イグナイタ組立体が、シールド層の外側に、エラストマーカバーが設けられる本発明は、シールド層によってイグナイタ収容体(イグナイタおよび電子部品)をシールドしつつ、エラストマーカバーによって内燃機関用点火コイル内に充填された充填樹脂にクラックが発生することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施の形態に係る内燃機関用点火コイルの断面を示す図である。
図2】第一実施形態に係るイグナイタ組立体を示す図である。
図3】第二実施形態に係るイグナイタ組立体を示す図である。
図4】第三実施形態に係るイグナイタ組立体を示す図である。
図5】第三実施形態に係るイグナイタユニットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<<1.内燃機関用点火コイル>>
図1は、実施の形態に係る内燃機関用点火コイル100の断面を示す図である。内燃機関用点火コイル100(以後、単に「点火コイル100」と呼ぶ)は、当該点火コイル100内部で発生させた高電圧を点火プラグ(図示なし)に印加し、火花放電を発生させる装置である。図1に示されるように、点火コイル100は、コネクタケース210、イグナイタ組立体220、1次コイル230、2次コイル240、ケース250等を備えている。
【0020】
コネクタケース210は、複数のコネクタ端子210aを有している。コネクタ端子210aは、ワイヤーハーネス(図示なし)を介して、ECU(Engine Control Unit)等の電子機器と接続される。これにより、点火コイル100に、入力電圧やECUからの信号が入力される。
【0021】
イグナイタ組立体220は、後述するイグナイタを具備して構成され、コネクタケース210に収容される。イグナイタ組立体220については、後述する第一実施形態~第三実施形態で詳しく説明する。イグナイタ組立体220(イグナイタ)は、ECUからの信号に基づいて1次コイル230への通電を遮断することで、2次コイル240に高電圧を誘起する。2次コイル240で誘起された高電圧は、点火プラグに印加される。
【0022】
ケース250には、コネクタケース210、1次コイル230等が固定もしくは収容される。1次コイル230等の部品が収容された後のケース250内の隙間には、エポキシ樹脂等の充填樹脂が充填され、ケース250内に絶縁樹脂層(図示なし)が形成される。
【0023】
<<2.イグナイタ組立体>>
<2-1.第一実施形態(基本構成)>
図2は、第一実施形態に係るイグナイタ組立体220を示す図である。図2において、点線で示される部分は、イグナイタ組立体220の内部構造を示している。図2に示されるように、第一実施形態に係るイグナイタ組立体220は、イグナイタ収容体1、イグナイタ2、内部端子3および電子部品4で構成されている。イグナイタ収容体1に収容されたイグナイタ2および電子部品4は、内部端子3を介して点火コイル100内に収容される他の部品(イグナイタ組立体220以外の部品)と電気的に接続される。イグナイタ組立体220を構成する各構成の詳細について、以下に説明する。
【0024】
イグナイタ収容体1は、例えば樹脂材料等の非導電性材料で形成される。図2に示されるように、イグナイタ収容体1は側面11,12,13,14および底面15からなる略箱形状をしており、その内部にイグナイタ2および電子部品4を収容している。また、イグナイタ収容体1には複数の内部端子3が固定される。より具体的には、複数の内部端子3は、一端がイグナイタ収容体1の構造部によって画成される開領域よりも外部へ延在するように、イグナイタ収容体1に固定される。本実施の形態においては、内部端子3の一端は、イグナイタ収容体1の側面11,12,13,14および底面15によって画成された(囲まれた)開領域よりも外部へ延在している。換言すると、内部端子3の一端は、イグナイタ収容体1の側面11から突出するようにイグナイタ収容体1に固定されている。なお、側面11を端子面11と呼ぶこともある。
【0025】
また、内部端子3の固定方法としては、例えばインサート成型によりイグナイタ収容体1および内部端子3を一体成形することが挙げられる。イグナイタ収容体1は非導電性材料で形成されているため、このように複数の内部端子3がイグナイタ収容体1に埋設されても内部端子3同士は導通しない。
【0026】
イグナイタ2は、1次電流の断続制御を行う回路が絶縁樹脂によってモールドされたパッケージ2aと、パッケージ2aから突出した複数のリード端子20とで構成される。本実施の形態においては、リード端子20は、リード端子21,22,23,24,25,26の6本で構成される。
【0027】
また、イグナイタは、製品(品番)によってパッケージの外形寸法が異なる。一般的には、イグナイタの品番が変更された場合には、変更後のイグナイタの外見寸法に合わせてコネクタケースの形状変更を行わなければならない。
【0028】
しかしながら、本実施の形態では、イグナイタ2がイグナイタ収容体1に収容されている。そのため、パッケージ2aの外形寸法が変更となったとしても、当該イグナイタ収容体1の形状を変えるのみで(つまり、イグナイタ2およびコネクタケース210に変更を加えることなく)、イグナイタ2をイグナイタ収容体1に収容することができる。その結果、イグナイタ2を点火コイル100に適用しやすくなる。
【0029】
なお、イグナイタ2は、例えば、イグナイタ収容体1の内部領域に設けられた突部(図示なし)によってパッケージ2aが固定されて、位置決めがされる。また、図2に示される例では、リード端子20は6本で構成されているが、リード端子20は6本でなくてもよい。
【0030】
内部端子3は、前述したように、イグナイタ収容体1に固定される。本実施の形態における内部端子3は、内部端子31,32,33,34,35の5本で構成される。
【0031】
内部端子3は、イグナイタ収容体1に収容されるイグナイタ2および電子部品4と、イグナイタ組立体220に接続される部品(コネクタ端子210aおよび一次コイル230の入力側端子)と、を電気的に接続する。より詳細には、内部端子3は、一端がイグナイタ収容体1の構造部によって画成される開領域よりも外部(以下「イグナイタ収容体1の外部領域」と呼ぶこともある)において、コネクタ端子210a等と電気的に接続される。そして内部端子3の他端は、イグナイタ収容体1の内部領域において、イグナイタ2のリード端子20と電気的に接続される。
【0032】
また、内部端子3には、当該内部端子3が立ち上がる(もしくは、立ち下がる)形状となる屈曲部が設けられてもよい。一般的に、コネクタ端子210aが延在する高さと、イグナイタ2のリード端子20が延在する高さとが異なる場合には、コネクタ端子210aもしくはリード端子20の形状を変更させなければ、コネクタ端子210aおよびリード端子20を電気的に接続することができない。しかし、本実施の形態では、内部端子3に屈曲部が設けられるため、当該内部端子3を介することで、コネクタケース210(コネクタ端子210a)およびイグナイタ2(リード端子20)に変更を加えることなく、コネクタ端子210aとイグナイタ2のリード端子20とを電気的に接続することが可能となる。
【0033】
また、内部端子3に屈曲部を設けた上で、当該内部端子3を他の内部端子3を跨ぐ(もしくは、潜る)ように延在させてもよい。そうすることで、イグナイタ収容体1の外部領域における内部端子3の端子配列と、イグナイタ収容体1の内部領域における内部端子3の端子配列と、を異なるものとすることができる。つまり、複数の内部端子3のうち少なくとも1つの内部端子3を、他の内部端子3を跨ぐ(もしくは、潜る)ように形成することによって、複数の内部端子3によって形成される端子配列を変更することができる。
【0034】
一般的に、複数のリード端子20で構成される端子配列(つまり、イグナイタ2の入出力端子の配列)と、複数のコネクタ端子210aで構成される端子配列と、が異なる場合には、双方の端子配列を合わせるため、イグナイタ2もしくはコネクタ端子210aに変更を施す必要がある。
【0035】
しかし、本実施の形態によると、リード端子20で構成される端子配列(つまり、イグナイタ2の入出力端子の配列)と、複数のコネクタ端子210aで構成される端子配列と、が異なっていても、リード端子20とコネクタ端子210aとの間を仲介する内部端子3の形状を変更することで、イグナイタ2およびコネクタ端子210aに変更を施すことなく、イグナイタ2のリード端子20およびコネクタ端子210aを電気的に接続することが可能となる。また、本実施の形態によると、イグナイタ2の変更に伴って、リード端子20で構成される端子配列が変更された場合においても、イグナイタ2およびコネクタ端子210aに変更を施すことなく、イグナイタ2とコネクタ端子210aとを電気的に接続することが可能となる。
【0036】
なお、内部端子3の形状は、内部端子3同士が接触しなければ、どのような形状であってもよく、図2に示される形状に限定されない。例えば、内部端子3に屈曲部が設けられていなくてもよい。また、内部端子32のように、内部端子3が二股形状に形成されていてもよい。
【0037】
なお、図2に示される例では、各内部端子3に、1つの屈曲部が設けられている。その上で、内部端子31は、リード端子21と電気的に接続されている。内部端子32は、内部端子33,34を跨ぐ形状に形成されており、リード端子25と電気的に接続されている。内部端子33は、内部端子32の下に潜る形状に形成されており、リード端子22と電気的に接続されている。内部端子34は、内部端子32の下に潜る形状に形成されており、リード端子23と電気的に接続されている。ここで、内部端子33,34の屈曲部の位置は、内部端子32に設けられた屈曲部の位置よりイグナイタ2側に設けられているため、内部端子33,34と、内部端子32とは接触しない。内部端子35は、リード端子26と電気的に接続されている。
【0038】
電子部品4は、イグナイタ2のパッケージ2aとは別体として設けられる部品である。具体例を挙げると、電子部品4は、例えばコンデンサやダイオードである。また、前述したように、電子部品4は、イグナイタ収容体1に収容されている。
【0039】
本実施の形態によると、電子部品4は、イグナイタ収容体1に収容される。そのため、イグナイタ2を構成するパッケージ2aとは別体の電子部品4を、点火コイル100に搭載することが必要となった場合でも、イグナイタ2のパッケージ2aの形状およびコネクタケース210の形状に変更を加えることなく、電子部品4をコネクタケース210に搭載することができる。
【0040】
また、電子部品4は、電子部品本体4aと、当該電子部品本体4aを他の部品に接続するための接続端子4bと、で構成されている。接続端子4bは、リード端子20もしくは内部端子3に設けられた貫通孔310に挿入される。図2に示される例では、電子部品4は2つの接続端子4bを有しており、貫通孔310は内部端子32,35に1つずつ設けられている。
【0041】
このように、リード端子20および内部端子3の少なくとも一方に設けられた貫通孔310に、電子部品4に設けられた接続端子4bが挿入される本実施の形態では、当該貫通孔310に半田を充填させることで、電子部品4とリード端子20もしくは電子部品4と内部端子3との接続をすることができる。ここで、貫通孔310への半田の充填は、貫通孔310が有する2つの開口端のうちのどちらからでも行うことができるため、イグナイタ組立体220の製造工程において、電子部品4の接続(取付け)がしやすくなる。また、本実施の形態によると、貫通孔310が有する2つの開口端のうちのどちらからでも半田の充填ができるため、電子部品4の設置場所の選択肢を広くすることができる。
【0042】
なお、本実施の形態では、電子部品4はイグナイタ収容体1に収容されているが、貫通孔310に電子部品4の接続端子4bを挿入することによって得られる上記の効果は、電子部品4がイグナイタ収容体1に収容されていない態様であっても得ることができる。
【0043】
なお、図2に示される例では、貫通孔310は、2つの内部端子3(内部端子32,35)に1つずつ設けられている。しかし、貫通孔310は、2つのリード端子20に1つずつ設けられていてもよいし、1つのリード端子20および1つの内部端子3にそれぞれ1つずつ設けられていてもよい。
【0044】
また、貫通孔310周囲の端子幅を、リード端子20および内部端子3の他の部分より広く(幅広く)形成してもよい。このように、貫通孔310周囲の端子幅を広くすることで、リード端子20および内部端子3の強度を確保することができる。
【0045】
また、イグナイタ収容体1の底面15に、リード端子20および内部端子3を露出させる開口穴を設けてもよい。イグナイタ収容体1の底面15に、リード端子20および内部端子3を露出させる開口穴を設けることで、例えば、当該開口穴を通じて、電子部品4をイグナイタ収容体1内部へ収容することができる。また、当該開口穴から、電子部品4と内部端子3(もしくは、リード端子20)との半田付けを行うことができる。つまり、イグナイタ組立体220の組立作業を、「イグナイタ収容体1の(略箱形状をなすための)開口面」および「イグナイタ収容体1の底面15に設けられた開口穴」のどちらからでも行うことができる。その結果、イグナイタ組立体220の製造がしやすくなる。
【0046】
<2-2.第二実施形態(シールド層)>
次に、第二実施形態に係るイグナイタ組立体220について説明する。図3は、第二実施形態に係るイグナイタ組立体220を示す図である。図3において、点線で示される部分は、イグナイタ組立体220の内部構造を示している。第二実施形態に係るイグナイタ組立体220は、第一実施形態に係るイグナイタ組立体220に、当該イグナイタ組立体220の周囲を外側から覆うシールド層5が設けられる。
【0047】
本実施の形態におけるシールド層5は、銅などの金属材料で形成され、図3に示されるように、4つの側面のうちの1つが開口した箱形状を成している。そして、シールド層5の開口面(シールド開口部)から第一実施形態に係るイグナイタ収容体1が挿入されることで、当該イグナイタ組立体220の外観をなす5つの面(側面3つおよび主面2つ)が、シールド層5に覆われる。より詳細には、イグナイタ収容体1は、内部端子3の一部および当該内部端子3が突出している側面11(端子面11)以外の部分が、シールド層5によって覆われる。ここで、シールド層5から露出している側面11(端子面11)は、イグナイタ収容体1の外観をなす面のうちの最も面積が小さい面である。シールド層5で覆われる面積が多い程シールド層5によるシールド効果が向上するため、本実施の形態のように、イグナイタ収容体1の外観をなす面のうちの最も面積が小さい側面11(端子面11)以外をシールド層5で覆うことで、シールド効果を高くすることができる。
【0048】
このように、イグナイタ組立体220が、その周囲を外側から覆うシールド層5を有する本実施の形態では、シールド層5によって覆われる面積が多い。その結果、シールド層5によるシールド効果が向上する。また、イグナイタ収容体1にイグナイタ2および電子部品4が収容される場合には、イグナイタ2および電子部品4の双方がシールド層5で覆われる。その結果、イグナイタ2および電子部品4の双方を、外来ノイズからシールドすることができる。
【0049】
なお、本実施の形態では、イグナイタ収容体1における側面11(端子面11)以外の部分が全て上述したシールド層5に覆われているが、側面11(端子面11)以外の部分が露出していてもよい。例えば、イグナイタ収容体1の側面12が露出していてもよい。しかしながら、上述したように、シールド層5で覆われる面積が多いほど、シールド層5によるシールド効果が向上するため、シールド層5で覆われる面積をできるだけ多く設定することが好ましい。
【0050】
また、本実施の形態では側面11(端子面11)はシールド層5に覆われていないが、側面11の少なくとも一部がシールド層5に覆われていてもよい。ただし、上述したようにシールド層5は金属製材料で形成されているため、シールド層5と複数の内部端子3とが接触しないようにしなければならない。なお、図3に例示されるシールド層5は、上側シールド5aおよび下側シールド5bの2つの部材で構成されているが、シールド層5は1つの部材で構成されていてもよい。
【0051】
次に、シールド層5とイグナイタ収容体1との固定について説明する。図3に示されるように、イグナイタ収容体1の外表面から凸部320が突出している。凸部320は、内部端子3(図2に示される例では、内部端子32)で構成される。一方、シールド層5には、凸部320が嵌入(圧入)される切欠き51が設けられる。より詳細には、図3に示されるように、切欠き51は、シールド層5の開口部からイグナイタ収容体1を挿入した際に、凸部320が嵌入(圧入)される位置に設けられる。切欠き51に凸部320が嵌入されることで、簡素な構成でシールド層5とイグナイタ収容体1との固定をすることができる。
【0052】
また、本実施の形態では、凸部320を構成している内部端子32は、コネクタ端子210aのうちのグラウンド端子として機能する端子に接続されている。このように、凸部320を構成する内部端子35が、グラウンドに接続されている本実施の形態では、上述したように切欠き51に凸部320を嵌入することで、簡素な構成でシールド層5を電気的に接地することができる。
【0053】
また、凸部320をイグナイタ収容体1の側面に突出させる場合には、内部端子3に屈曲部を設ける必要はなく、内部端子3の一部を(凸部320を突出させたい側面に向かって)延在させればよい。つまり、凸部320を突出させる場所をイグナイタ収容体1の側面とすることで、内部端子3に設ける屈曲部の数を少なくすることができる。その結果、内部端子3の製造時の屈曲加工の回数を減らすことができ、内部端子3の製造が容易となる。
【0054】
また、図3に示されるように、イグナイタ収容体1におけるシールド層5から露出する部分に、充填樹脂を流入させる隙間19を設けることが好ましい。イグナイタ収容体1に隙間19を設けることで、イグナイタ収容体1がシールド層5に覆われても、当該イグナイタ収容体1の内部に充填樹脂が充填されやすくなる。
【0055】
<2-3.第三実施形態(エラストマーカバー)>
次に、第三実施形態に係るイグナイタ組立体220について説明する。図4は、第三実施形態に係るイグナイタ組立体220を示す図である。第三実施形態に係るイグナイタ組立体220では、第二実施形態に係るイグナイタ組立体220のシールド層5の外側にエラストマーカバー6が設けられている。このように、シールド層5の外側に、弾性のあるエラストマーカバー6を設けることで、シールド層5の熱伸縮に起因して充填樹脂にクラックが生じることを抑制することができる。
【0056】
本実施の形態では、図4に示されるように、エラストマーカバー6は、4つの側面のうちの1つが開口した箱形状をなしている。そして、エラストマーカバー6の開口面(カバー開口部)から第二実施形態に係るイグナイタ組立体220を挿入することで、シールド層5がエラストマーカバー6で覆われる。なお、本実施の形態におけるエラストマーカバー6は、シールド層5と同様に、イグナイタ収容体1の内部端子3の一部および端子面11以外の部分のみを露出する形状をしており、その結果シールド層5の外表面を全て覆っている。このように、シールド層5がエラストマーカバー6で覆われる面積を広く設定することで、充填樹脂にクラックが生じにくくなる。
【0057】
本実施の形態によると、シールド層5によってイグナイタ収容体1(イグナイタ2および電子部品4)をシールドしつつ、エラストマーカバー6によって点火コイル100(ケース250)内に充填された充填樹脂にクラックが発生することを抑制することができる。
【0058】
また、エラストマーカバー6には、空気排出穴61を設けることが望ましい。エラストマーカバー6に空気排出穴61を設けることで、点火コイル100に充填樹脂を充填する際に、空気排出穴61から空気が排出される。その結果、イグナイタ組立体220内部に充填樹脂を充填しやすくすることができる。
【0059】
<<3.イグナイタユニット>>
ここでは、イグナイタユニット200について説明する。図5は、第三実施形態に係るイグナイタユニット200を示す図である。イグナイタユニット200は、コネクタケース210およびイグナイタ組立体220で構成される。
【0060】
コネクタケース210は、樹脂で形成されており、図5に示されるように、コネクタ部211および収容部212を有している。コネクタ部211は、コネクタケース210と一体成形されており、その内部には複数のコネクタ端子210aが配備されている。コネクタ端子210aはインサート成型によって、コネクタケース210(コネクタ部211)と一体成形されている。なお、イグナイタユニット200がケースに固定されると、コネクタ部211の少なくとも一部がケース250から露出する(図1参照)。
【0061】
収容部212は、イグナイタ組立体220を収容する。イグナイタユニット200がケース250に固定されると、収容部212はケース250内部に収容される(図1参照)。なお、図5に示される例では、第三実施形態に係るイグナイタ組立体220が示されているが、収容部212に収容されるイグナイタ組立体220は、第三実施形態に係るイグナイタ組立体220でなくてもよい。例えば、収容部212には、第一実施形態に係るイグナイタ組立体220が収容されてもよいし、第二実施形態に係るイグナイタ組立体220が収容されてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 イグナイタ収容体
11,12,13,14 側面
2 イグナイタ
2a パッケージ
21,22,23,24,25,26 リード端子
3,31,32,33,34,35 内部端子
310 貫通孔
320 凸部
4 電子部品
4a 電子部品本体
4b 接続端子
5 シールド層
51 切欠き
5a 上側シールド
5b 下側シールド
6 エラストマーカバー
61 空気排出穴
100 点火コイル
200 イグナイタユニット
210 コネクタケース
210a コネクタ端子
211 コネクタ部
212 収容部
220 イグナイタ組立体
230 1次コイル
240 2次コイル
250 ケース
図1
図2
図3
図4
図5