IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ナブテスコ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-誘導装置、プラットホームドア装置 図1
  • 特許-誘導装置、プラットホームドア装置 図2
  • 特許-誘導装置、プラットホームドア装置 図3
  • 特許-誘導装置、プラットホームドア装置 図4
  • 特許-誘導装置、プラットホームドア装置 図5
  • 特許-誘導装置、プラットホームドア装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-21
(45)【発行日】2023-03-02
(54)【発明の名称】誘導装置、プラットホームドア装置
(51)【国際特許分類】
   B61B 1/02 20060101AFI20230222BHJP
   A62B 3/00 20060101ALI20230222BHJP
   B61L 23/00 20060101ALN20230222BHJP
【FI】
B61B1/02
A62B3/00 B
B61L23/00 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018243716
(22)【出願日】2018-12-26
(65)【公開番号】P2020104619
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】阿久津 昌兵
【審査官】谷川 啓亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-127184(JP,A)
【文献】特開2013-211003(JP,A)
【文献】特開平07-105466(JP,A)
【文献】特開2003-204596(JP,A)
【文献】特開平02-035597(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 1/00 - 1/02
A62B 3/00
B61L 1/00 - 99/00
G08B 1/00 - 31/00
G06Q 90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に区分けされたプラットホーム上の複数のエリアであって互いに異なる識別情報が割り当てられた複数のエリアのそれぞれに設けられたスピーカと、
前記複数のエリアのそれぞれのスピーカに、自身が設けられたエリア識別情報と、前記複数のエリアのうちの誘導すべき方向にあるエリアの識別情報と、を放送させる制御部と、を備える誘導装置。
【請求項2】
各エリアには、一方側から他方側に向かって昇順に識別情報が割り当てられていることを特徴とする請求項1に記載の誘導装置。
【請求項3】
前記制御部は、隣接するエリアのスピーカに異なるタイミングで放送させることを特徴とする請求項1または2に記載の誘導装置。
【請求項4】
前記制御部は、各エリアのスピーカに、自身が設けられたエリアの識別情報と、ランドマークに関する情報と、当該ランドマークに向かうための誘導方向のエリアの識別情報と、を放送させることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の誘導装置。
【請求項5】
各エリアに設けられたスピーカは、プラットホームドア装置のスピーカであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の誘導装置。
【請求項6】
プラットホーム上には誘導すべきエリアが複数あり、前記誘導すべき方向にあるエリアの識別情報は、誘導事由が発生した場所から離れる方向にあるエリアの識別情報であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の誘導装置。
【請求項7】
長手方向に区分けされたプラットホーム上の複数のエリアであって互いに異なる識別情報が割り当てられた複数のエリアのそれぞれに配置されるプラットホームドア装置であって、
プラットホームドアと、
スピーカと、
自身が設けられたエリア識別情報と、前記複数のエリアのうちの誘導すべき方向にあるエリアの識別情報と、を前記スピーカに放送させる制御部と、を備えるプラットホームドア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導装置およびプラットホームドア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、施設において火災、地震等の誘導事由が発生した場合に当該施設から利用者が退去する際の退去方向、経路を誘導するための誘導システムを開示する。この誘導システムは、退避方向を示す誘導灯に加えて、音声による誘導を行う誘導装置を備える。誘導装置は、非常口等の近傍に配置される表示灯の直近位置に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-299475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の誘導システムでは、誘導場所である非常口の近傍に誘導装置が配置されるため、目の不自由な人や誘導灯を視認できない状況では、非常口の方向を知る手掛かりを誘導装置からの構内放送に求めることもできる。しかしながら、誘導装置から離れた位置にいて構内放送を聞き取れない場合は、いずれの方向に逃げるべきか判断に迷い、混乱しうる。
【0005】
誘導場所への通路の途中に誘導装置を配置し、当該誘導装置によって「誘導場所は向かって右側/左側です。」と放送することも考えられるが、この場合、放送の発信源を特定しなければ、移動すべき方向を判断できない。
【0006】
このような課題は、非常時の誘導に限らず、通常時の誘導でも生じうる。
【0007】
本発明は、こうした状況に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、プラットホーム上の乗降客をより適確に誘導できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の誘導装置は、長手方向に区分けされたプラットホーム上の各エリアに設けられたスピーカと、各エリアのスピーカに、自身が設けられたエリアを一意に識別する識別情報と、誘導すべき方向にあるエリアの識別情報と、を放送させる制御部と、を備える。
【0009】
本発明の別の態様は、プラットホームドア装置である。この装置は、長手方向に区分けされたプラットホーム上の各エリアに配置されるプラットホームドア装置であって、プラットホームドアと、スピーカと、自身が設けられたエリアを一意に識別する識別情報と、誘導すべき方向にあるエリアの識別情報と、をスピーカに放送させる制御部と、を備える。
【0010】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、プログラム、プログラムを記録した一時的なまたは一時的でない記憶媒体、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、プラットホーム上の乗降客をより適確に誘導できる技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態に係るプラットホームドア装置が用いられるプラットホームシステムの概略構成図である。
図2図1の統合制御装置の機能ブロック図である。
図3図2のプラットホーム情報保持部のデータ構造を示す図である。
図4図4(a)~(e)はそれぞれ、誘導情報保持部のデータ構造を示す図である。
図5】変形例に係る統合制御装置の機能ブロック図である。
図6図5のランドマーク情報保持部のデータ構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の実施の形態では、同一の構成要素に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、各図面では、説明の便宜のため、構成要素の一部を適宜省略する。
【0014】
図1は、プラットホームシステム1が設けられる駅100の模式図である。プラットホームシステム1は、駅務員用操作盤8と、プラットホームドア装置10a、10b、10c、10d、10e(以下、特に区別しない場合には「プラットホームドア装置10」とよぶ)と、統合制御装置30と、を備える。なお、プラットホームドア装置10の数は特に限定されない。プラットホームドア装置10のスピーカ14(後述)、ドア装置制御部15(後述)および統合制御装置30は、地震やプラットホーム102での火災などの誘導事由が発生した場合にプラットホーム102上の乗降客を誘導する誘導装置を構成する。
【0015】
5つのプラットホームドア装置10a、10b、10c、10d、10eは、プラットホーム102の縁部に、プラットホーム102の長手方向に沿ってこの順に配列される。5つのプラットホームドア装置10は特に、列車が所定の停止範囲に停止したときに、列車の車両の各ドアと各プラットホームドア11(後述)とが対面するように配置される。
【0016】
5つのプラットホームドア装置10はそれぞれ、プラットホームドア11と、戸袋12と、スピーカ14と、ドア装置制御部15と、を備える。
【0017】
戸袋12は、プラットホーム102に固定された固定柵である。戸袋12の内部には、プラットホームドア11、スピーカ14およびドア装置制御部15が収容される。プラットホームドア11は、不図示の開閉機構によって駆動され、戸袋22に収容された位置と戸袋22から引き出された位置(図1の位置)との間を往復動する。ドア装置制御部15は、統合制御装置30からの指示に基づいて開閉機構を制御することでプラットホームドア11の開閉を制御する。またドア装置制御部15は、統合制御装置30からの指示に基づいてスピーカ14を制御する。
【0018】
駅務員用操作盤8は、駅務員が操作する操作盤であり、入力された操作に応じた制御信号を生成する。駅務員用操作盤8は、例えばプラットホームドア11の開指示が入力されると開指示信号を生成し、また例えばプラットホームドア11の閉指示が入力されると閉指示信号を生成し、また例えば誘導事由の発生箇所の情報を含む誘導指示が入力されると当該発生箇所の情報を含む誘導指示信号を生成する。駅務員用操作盤8は、生成した制御信号を統合制御装置30に送信する。
【0019】
統合制御装置30は、プラットホームシステム1全体を統合的に制御する。
【0020】
プラットホーム102は、長手方向に沿って複数の仮想のエリアに、本実施の形態では5つの仮想のエリア104a、104b、104c、104d、104eに区分けされている。エリア104a、104b、104c、104d、104eにはそれぞれ、プラットホームドア装置10aのスピーカ14、プラットホームドア装置10bのスピーカ14、プラットホームドア装置10cのスピーカ14、プラットホームドア装置10dのスピーカ14、プラットホームドア装置10eのスピーカ14が配置されている。逆にいえば、各プラットホームドア装置10のスピーカ14に基づいて、プラットホーム102が複数の仮想のエリアに区分けされている。なお、本実施の形態では各エリアには1つのスピーカ14が配置されているが、各エリアに複数のスピーカ14が配置されてもよい。
【0021】
駅100の構造は特に限定しないが、本実施の形態では、プラットホーム102の一端側すなわちエリア104aの先に、第1階段105、第1コンコース106、第1改札107が設けられ、プラットホーム102の他端側すなわちエリア104eの先に、第2階段108、第2コンコース109、第2改札110が設けられている。
【0022】
図2は、統合制御装置30の機能ブロック図である。統合制御装置30は、通信部32と、データ処理部34と、データ保持部36と、を含む。
【0023】
通信部32は、種々の通信プロトコルにしたがって、駅務員用操作盤8や各プラットホームドア装置10のドア装置制御部15との通信処理を実行する。例えば通信部32を介して、データ処理部34がプラットホームドア装置10にデータを送信する。
【0024】
データ保持部36は、プラットホーム情報保持部40と、第1誘導情報保持部42a~第5誘導情報保持部42eと、を含む。
【0025】
図3は、プラットホーム情報保持部40のデータ構造を示す図である。プラットホーム情報保持部40は、プラットホーム102上の各エリアを一意に識別する識別情報と、各エリアに対応する(すなわちスピーカ14が配置された)プラットホームドア装置10と、を対応付けて保持する。本実施の形態では、プラットホームドア装置10a、10b、10c、10d、10eのそれぞれに、各エリアの識別情報である第1エリア、第2エリア、第3エリア、第4エリア、第5エリアが対応付けられている。つまり、エリア104a、104b、104c、104d、104eのそれぞれの識別情報として、第1エリア、第2エリア、第3エリア、第4エリア、第5エリアがそれぞれ割り当てられている。すなわち、各エリアには一方側から他方側に向かって昇順に並んだ識別情報が割り当てられてる。なお、本実施の形態では、各エリアの識別情報は数字を含んでいるが、これには限定されず、例えばアルファベットなど、順序性を有する他の文字等を含んでもよい。
【0026】
図4(a)~(e)はそれぞれ、第1誘導情報保持部42a~第5誘導情報保持部42eのデータ構造を示す図である。
第1誘導情報保持部42aは、いずれかの場所で誘導事由が発生した場合に第1エリア(エリア104a)にいる乗降客を誘導すべきエリアの識別情報を保持する。
第2誘導情報保持部42bは、いずれかの場所で誘導事由が発生した場合に第2エリア(エリア104b)にいる乗降客を誘導すべきエリアの識別情報を保持する。
第3誘導情報保持部42cは、いずれかの場所で誘導事由が発生した場合に第3エリア(エリア104c)にいる乗降客を誘導すべきエリアの識別情報を保持する。
第4誘導情報保持部42dは、いずれかの場所で誘導事由が発生した場合に第4エリア(エリア104d)にいる乗降客を誘導すべきエリアの識別情報を保持する。
第5誘導情報保持部42eは、いずれかの場所で誘導事由が発生した場合に第5エリア(エリア104e)にいる乗降客を誘導すべきエリアの識別情報を保持する。
【0027】
例えば図4(b)は、第2エリア(エリア104b)にいる乗降客を、第1コンコース106、第1エリア(エリア104a)または第2エリア(エリア104b)で誘導事由が発生した場合は第5エリア(エリア104e)の方向に誘導し、第3エリア(エリア104c)、第4エリア(エリア104d)、第5エリア(エリア104e)または第2コンコース109で誘導事由が発生した場合は第1エリア(エリア104a)の方向に誘導することを示している。
【0028】
つまり、本実施の形態では、プラットホーム102上には誘導すべきエリアが複数あり、プラットホーム102の各エリアやコンコースで誘導事由が発生した場合に、誘導事由が発生した場所から離れる方向にあるエリアに誘導する。
【0029】
データ処理部34は、ドア開閉処理部50と、誘導処理部52と、を含む。ドア開閉処理部50は、例えば駅務員用操作盤8から開指示信号を受け付けると、プラットホームドア11を開くようドア装置制御部15に指示を送信し、また例えば駅務員用操作盤8から閉指示信号を受け付けると、戸袋12を開くようドア装置制御部15に指示を送信する。また例えば、ドア開閉処理部50は、不図示の他の装置からの指示を受け付けた場合に、プラットホームドア11を開くように、もしくはプラットホームドア11を閉じるように、ドア装置制御部15に指示を送信してもよい。
【0030】
誘導処理部52は、誘導事由の発生箇所の情報を含む誘導指示信号を駅務員用操作盤8から受け付けると、誘導情報を放送(発音)するように各プラットホームドア装置10のドア装置制御部15に指示を送信する。
【0031】
具体的には、誘導処理部52は、まず、第1誘導情報保持部42a~第5誘導情報保持部42eを参照して、各エリアにいる乗降客をどの方向に誘導すべきであるかを特定する。誘導処理部52は、第1誘導情報保持部42a~第5誘導情報保持部42eに保持されるデータが図4(a)~(e)の状態であり、かつ、例えば第3エリアで誘導事由が発生した場合、第1誘導情報保持部42aを参照して第1エリアの乗降客を(第5エリアの方向ではなく)第1エリアの方向に誘導すべきであること、第2誘導情報保持部42bを参照して第2エリアの乗降客を第1エリアの方向に誘導すべきであること、第3誘導情報保持部42cを参照して第3エリアの乗降客を第5エリアの方向に誘導すべきであること、第4誘導情報保持部42dを参照して第4エリアの乗降客を第5エリアの方向に誘導すべきであること、第5誘導情報保持部42eを参照して第5エリアの乗降客を(第1エリアの方向ではなく)第5エリアの方向に誘導すべきであること、を特定する。
【0032】
続いて誘導処理部52は、各エリアで放送させる誘導情報を決定する。例えば、誘導処理部52は、第3エリアで誘導事由が発生し、上述のように誘導すべき方向が特定された場合、各エリアで放送させる誘導情報は以下に決定される。
第1エリア用の誘導情報「ここは第1エリアです。第1エリアに避難してください。」
第2エリア用の誘導情報「ここは第2エリアです。第1エリアに避難してください。」
第3エリア用の誘導情報「ここは第3エリアです。第5エリアに避難してください。」
第4エリア用の誘導情報「ここは第4エリアです。第5エリアに避難してください。」
第5エリア用の誘導情報「ここは第5エリアです。第5エリアに避難してください。」
すなわち、誘導情報には、自身のエリアの識別情報と、自身のエリアにいる乗降客を誘導すべき方向にあるエリアの識別情報と、が含まれる。
【0033】
続いて誘導処理部52は、プラットホーム情報保持部40を参照して、各誘導情報の放送指示をどのプラットホームドア装置10に送信するかを特定する。誘導処理部52は、プラットホーム情報保持部40に保持されるデータが図3の状態である場合、第1エリア用の誘導情報の放送指示をプラットホームドア装置10aに、第2エリア用の誘導情報の放送指示をプラットホームドア装置10bに、第3エリア用の誘導情報の放送指示をプラットホームドア装置10cに、第4エリア用の誘導情報の放送指示をプラットホームドア装置10dに、第5エリア用の誘導情報の放送指示をプラットホームドア装置10eに、それぞれ送信するよう特定する。
【0034】
そして誘導処理部52は、各誘導情報の放送指示を、特定したプラットホームドア装置10に送信する。各プラットホームドア装置10のドア装置制御部15は、送信された放送に基づいてスピーカ14に誘導情報を放送させる。つまり、各プラットホームドア装置10のドア装置制御部15は、自身のエリアの識別情報と、自身のエリアにいる乗降客を誘導すべき方向にあるエリアの識別情報と、をスピーカ14に放送させる。誘導処理部52は特に、隣接するエリアのスピーカ14に異なるタイミングで誘導情報を放送させる。具体的には例えば、誘導処理部52は、隣接するエリアにタイミングをずらして放送指示を送信してもよいし、隣接するエリアには、指示を受け付けてから放送を開始するまでの待機時間に異なる時間を設定した放送指示を送信してもよい。なお、誘導処理部52は、すべてのエリアのスピーカ14が異なるタイミングで発音するように指示を送信してもよい。
【0035】
以上のように構成されたプラットホームシステム1の動作を説明する。
駅務員は、例えば火災などの誘導事由がプラットホーム102上で発生すると、誘導事由の発生箇所の情報を含む誘導指示を駅務員用操作盤8に入力する。駅務員用操作盤8は、発生箇所の情報を含む誘導指示信号を生成し、統合制御装置30に送信する。統合制御装置30は、誘導指示を受け付けると、各エリアの乗降客をどのエリアの方向に誘導すべきかを特定し、特定した情報に基づいて各プラットホームドア装置10のスピーカ14に放送させる誘導情報を決定し、決定した誘導情報の放送指示を各プラットホームドア装置10に送信する。各プラットホームドア装置10の(すなわち各エリアの)スピーカ14は、統合制御装置30からの放送指示に基づいて、誘導情報を放送する。
【0036】
プラットホーム102上の乗降客は、自身がいるエリアのスピーカ14(すなわち他のスピーカ14よりも大きな音で聞こえるスピーカ14)から放送される誘導情報を聞くことで、自身がいるエリアと、向かうべきエリアと、を把握でき、他のエリアのスピーカ14(すなわち比較的小さな音で聞こえるスピーカ14)から放送される誘導情報が聞こえることで、当該向かうべきエリアがどちらの方向にあるかを把握できる。例えば、他のスピーカ14よりも大きな音で聞こえるスピーカ14から放送された、「ここは第2エリアです。第5エリアに避難してください。」との誘導情報を聞くことで、自身が第2エリアにいること、そして第5エリアに避難すべきこと、を把握できる。そして、或る方から「ここは第1エリアです。・・・」と聞こえ、それとは反対の方から「ここは第3エリアです。・・・」と聞こえることで、当該或る方からそれとは反対の方に向かって第1エリア、第2エリア、第3エリア、・・・の順に並び、第3エリアの先に避難すべき方向である第5エリアがあることを把握できる。
【0037】
以上説明したように、本実施の形態によれば、自身がいるエリアのスピーカ14からの放送と、他のエリアのスピーカ14からの放送を聞くことで、退避すべき方向を把握できる。これにより、非常時に目の不自由な乗降客を避難させることができる。また、非常時に煙り等によって避難すべき方向を目視で確認できない場合でも乗降客を避難させることができる。
【0038】
また本実施の形態によれば、各エリアには昇順に識別情報が割り当てられており、各エリアでは自身のエリアの識別情報が放送されるため、避難すべきエリアからの放送が聞こえない場合であっても、自身がいるエリアや隣接するエリアの放送を聞くことで、避難すべき方向を把握できる。
【0039】
また本実施の形態によれば、隣接するエリアのスピーカ14は、異なるタイミングで誘導情報を放送する。これにより、乗降客は、自身がいるエリアのスピーカ14が発する誘導情報を確実に聞き取ることができる。
【0040】
以上、本発明の実施の形態について説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0041】
(変形例1)
実施の形態では、誘導事由が発生した場合、駅務員が駅務員用操作盤8に誘導事由の発生箇所の情報を含む誘導指示を入力する場合について説明したが、これには限定されない。例えば、検知結果を統合制御装置30に送信するように構成された火災検知器をプラットホーム102の各エリアやコンコースに設け、統合制御装置30は火災検知器からの検知結果に基づいて誘導事由の発生箇所を特定してもよい。この場合、統合制御装置30は、各プラットホームドア装置10に誘導情報の放送指示を自動で送信してもよく、または駅務員からの所定の入力操作を待ってから放送指示を送信してもよい。なお、プラットホーム102に設けられる火災検知器は、プラットホームドア装置10に組み込まれてもよい。
【0042】
(変形例2)
実施の形態および上述の変形例では、プラットホームドア装置10のスピーカ14から誘導情報を放送する場合について説明したが、これには限定されず、例えば駅の天井スピーカから誘導情報を放送してもよい。天井スピーカは天井スピーカごとに設けられる制御部に制御されてもよく、統合制御装置30に直接制御されてもよい。この場合、天井スピーカ、天井スピーカを制御する制御部および統合制御装置30が、誘導装置を構成する。
【0043】
(変形例3)
実施の形態および上述の変形例では特に言及しなかったが、統合制御装置30はいずれかのプラットホームドア装置10の戸袋12の内部に収容されてもよい。すなわち、いずれかのプラットホームドア装置10が統合制御装置30を備えていてもよい。
【0044】
(変形例4)
実施の形態および上述の変形例では特に言及しなかったが、誘導装置は、通常時に、ランドマークへ案内する誘導情報を各エリアで放送してもよい。
【0045】
図5は、変形例に係る統合制御装置30の機能ブロック図である。図5は、図2に対応する。本変形例では、統合制御装置30のデータ保持部36はランドマーク情報保持部44をさらに備える。
【0046】
図6は、ランドマーク情報保持部44のデータ構造を示す図である。ランドマーク情報保持部44は、ランドマークと、ランドマークに向かうための誘導方向のエリアの識別情報と、を対応づけて保持する。ランドマークは、例えば駅周辺の観光名所、商業施設、駅ビル、駅周辺のビル、駅周辺の役所、などである。図示の例では、駅100の周辺にはランドマークとして観光地A、商業施設B、役所Cがあり、観光地Aへは第1エリアに案内し、商業施設B、役所Cへは第5エリアに案内することを示している。
【0047】
誘導処理部52は、所定の周期(例えば10秒周期)で、ランドマークへ案内する誘導情報を放送するように各プラットホームドア装置10のドア装置制御部20に放送指示を送信する。
【0048】
具体的には、誘導処理部52は、まず、ランドマーク情報保持部44を参照して、各エリアで放送させる誘導情報を決定する。例えば、誘導処理部52は、ランドマーク情報保持部44に保持されるデータが図6の状態である場合、各エリアで放送させる誘導情報は以下に決定される。
第1エリア用の誘導情報「ここは第1エリアです。観光地Aへ行くには第1エリアに、商業施設B、役所Cへ行くには第5エリアにお越しください。」
第2エリア用の誘導情報「ここは第2エリアです。観光地Aへ行くには第1エリアに、商業施設B、役所Cへ行くには第5エリアにお越しください。」
第3エリア用の誘導情報「ここは第3エリアです。観光地Aへ行くには第1エリアに、商業施設B、役所Cへ行くには第5エリアにお越しください。」
第4エリア用の誘導情報「ここは第4エリアです。観光地Aへ行くには第1エリアに、商業施設B、役所Cへ行くには第5エリアにお越しください。」
第5エリア用の誘導情報「ここは第5エリアです。観光地Aへ行くには第1エリアに、商業施設B、役所Cへ行くには第5エリアにお越しください。」
すなわち、誘導情報には、自身のエリアの識別情報と、ランドマークに関する情報と、ランドマークに向かうための誘導方向のエリアの識別情報と、が含まれる。
【0049】
そして誘導処理部52は、第1エリア用の誘導情報の放送指示をプラットホームドア装置10aに、第2エリア用の誘導情報の放送指示をプラットホームドア装置10bに、第3エリア用の誘導情報の放送指示をプラットホームドア装置10cに、第4エリア用の誘導情報の放送指示をプラットホームドア装置10dに、第5エリア用の誘導情報の放送指示をプラットホームドア装置10eに、それぞれ送信する。
【0050】
各プラットホームドア装置10のドア装置制御部15は、送信された送信指示に基づいてスピーカ14に誘導情報を放送させる。つまり、各プラットホームドア装置10のドア装置制御部15は、自身のエリアの識別情報と、ランドマークに関する情報と、ランドマークに向かうための誘導方向のエリアの識別情報と、をスピーカ14に放送させる。誘導処理部52は特に、隣接するエリアのスピーカ14に異なるタイミングで誘導情報を放送させる。
【0051】
プラットホーム102上の乗降客は、自身がいるエリアのスピーカ14(すなわち他のスピーカ14よりも大きな音で聞こえるスピーカ14)から放送される誘導情報を聞くことで、自身がいるエリアと、ランドマークと、ランドマークに行くために向かうべきエリアと、を把握でき、他のエリアのスピーカ14(すなわち比較的小さな音で聞こえるスピーカ14)から放送される誘導情報が聞こえることで、当該向かうべきエリアがどちらの方向にあるかを把握できる。例えば、役所Cに行こうとして乗降客が他のスピーカ14よりも大きな音で聞こえるスピーカ14から放送された、「ここは第2エリアです。観光地Aへ行くには第1エリアに、商業施設B、役所Cへ行くには第5エリアにお越しください。」との誘導情報を聞くことで、自身が第2エリアにいること、役所Cに行くには第5エリアに向かうべきこと、を把握できる。そして、或る方から「ここは第1エリアです。・・・」と聞こえ、それとは反対の方から「ここは第3エリアです。・・・」と聞こえることで、当該或る方からそれとは反対の方に向かって第1エリア、第2エリア、第3エリア、・・・の順に並び、第3エリアの先に向かうべき方向である第5エリアがあることを把握できる。
【0052】
本変形例によれば、目の不自由な乗降客は、自身がいるエリアのスピーカ14からの放送と、他のエリアのスピーカ14からの放送を聞くことで、ランドマークに行くために向かうべき方向を把握できる。また、各エリアには昇順に識別情報が割り当てられており、各エリアでは自身のエリアの識別情報が放送されるため、ランドマークに行くために向かうべきエリアからの放送が聞こえない場合であっても、自身がいるエリアや隣接するエリアの放送を聞くことで、当該向かうべき方向を把握できる。
【符号の説明】
【0053】
1 プラットホームシステム、 10 プラットホームドア装置、 14 スピーカ、 15 ドア装置制御部、 30 統合制御装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6