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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-21
(45)【発行日】2023-03-02
(54)【発明の名称】キャリアテープ本体
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/90 20060101AFI20230222BHJP
   B65D 73/02 20060101ALI20230222BHJP
   B65D 85/86 20060101ALI20230222BHJP
【FI】
B65D85/90 300
B65D73/02 L
B65D85/86 300
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019133763
(22)【出願日】2019-07-19
(65)【公開番号】P2021017264
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2022-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(72)【発明者】
【氏名】大出 祥子
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-151398(JP,A)
【文献】特開2002-289096(JP,A)
【文献】特開2003-026229(JP,A)
【文献】特開2005-178786(JP,A)
【文献】特開2008-019002(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/86
B65D 73/02
B65D 85/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を収納可能なポケット部が長手方向に沿って複数設けられたキャリアテープ本体であって、
前記ポケット部の4方の側面は、前記ポケット部の開口面積が下側に向かうほど小さくなる態様のテーパ状であり、かつ、前記ポケット部の底面が開放される態様で下側端部が底面開口の開口縁部を形成し、
前記ポケット部の4方の側面は、前記ポケット部の中に前記電子部品が入った状態において、前記電子部品の下部の縁部を支持し、当該キャリアテープ本体の表面に対して垂直な方向に視たとき、前記電子部品の下部における端子部と重ならない範囲に延在し、
前記底面開口の前記開口縁部は、前記ポケット部の中に前記電子部品が入った状態において、当該キャリアテープ本体の表面に対して垂直な方向に視たとき、前記電子部品の前記端子部よりも外側に位置する、キャリアテープ本体。
【請求項2】
前記ポケット部の4方の側面の法線方向が当該キャリアテープ本体の表面に対してなす角度は、25度から65度の間である、請求項1に記載のキャリアテープ本体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のキャリアテープ本体と、
前記キャリアテープ本体に貼り付けられたトップカバーテープとを含む、キャリアテープ。
【請求項4】
請求項3に記載のキャリアテープを、前記ポケット部の中に電子部品が入った状態で洗浄液に漬けることで、前記電子部品を洗浄することを含む、洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、キャリアテープ本体に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品を収納可能なポケット部が長手方向に沿って複数設けられたキャリアテープ本体が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3247662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来技術では、ポケット部内の電子部品を効率的に洗浄することが難しい。
【0005】
そこで、1つの側面では、本発明は、ポケット部内の電子部品を効率的に洗浄可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの側面では、電子部品を収納可能なポケット部が長手方向に沿って複数設けられたキャリアテープ本体であって、
前記ポケット部の4方の側面は、前記ポケット部の開口面積が下側に向かうほど小さくなる態様のテーパ状であり、かつ、前記ポケット部の底面が開放される態様で下側端部が開口縁部を形成する、キャリアテープ本体が開示される。
【発明の効果】
【0007】
1つの側面では、本発明によれば、ポケット部内の電子部品を効率的に洗浄可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1に係るキャリアテープを示す平面図である。
図2】実施形態1におけるXZ平面で切断した際のキャリアテープの断面図である。
図3】実施形態2におけるXZ平面で切断した際のキャリアテープの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら各実施形態について詳細に説明する。なお、添付図面では、見易さのために、複数存在する同一属性の部位には、一部のみしか参照符号が付されていない場合がある。
【0010】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係るキャリアテープ1を示す平面図であり、図2は、実施形態1におけるXZ平面で切断した際のキャリアテープ1の断面図である。図1及び図2には、互いに直交する3方向であるX方向、Y方向、及びZ方向が定義されている。この場合、キャリアテープ本体10の長手方向がX方向で示され、幅方向がY方向で示されている。以下では、Z方向を上下方向とし、正側を上側とし、負側を下側とする。
【0011】
[キャリアテープ本体]
キャリアテープ本体10は、0.2mmから0.6mmの厚さのテープ状の基材を加工して形成されている。テープ状の基材は、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アモルファスポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリプロピレンなどの合成樹脂、これらの合成樹脂にカーボンを練り込んで導電性を付与したもの、表面に導電コーティングを施したものなどで形成されている。なお、キャリアテープ本体10の幅は、8mmから24mm程度が一般的である。
【0012】
このキャリアテープ本体10には、電子部品6を収納するポケット部(エンボス)11が長手方向に所定間隔で設けられている。このポケット部11は、収納する電子部品6の形状・寸法に応じたものとされ、本実施形態では、上面視で矩形である。なお、上面視とは、XY平面に垂直な方向に視た場合を意味する。
【0013】
本実施形態では、ポケット部11に収納する電子部品6として、直方体の外形を有し、下面(バンプ面)に設けられる複数のチップ電極にハンダバンプ61(端子部の一例)が接合された半導体チップを想定している。本実施形態では、この種の電子部品6は、実装する前に、キャリアテープ1に収納された状態で洗浄液を用いて洗浄される。
【0014】
ポケット部11は、上方に開口し、電子部品6の出し入れ口となる上面開口111と、上面開口111の4辺から下方に延在する4つの側面112と、ポケット部11の底面を開放する底面開口113と、を備える。
【0015】
ポケット部11の4方の側面112は、ポケット部11の開口面積が下側に向かうほど小さくなる態様のテーパ状であり、かつ、ポケット部11の底面が開放される態様で下側端部112aが底面開口113の開口縁部を形成する。そして、上面視における面積比較では、上面開口111が電子部品6よりも大きく、底面開口113が電子部品6よりも小さい。したがって、ポケット部11の4方の側面112は、ポケット部11の中に電子部品6が入った状態において、底面開口113からの電子部品6のはみ出しを規制しつつ、電子部品6の下部の縁部(以下、下縁部という)を傾斜面で支持することができる。
【0016】
このようなポケット部11によれば、4方の側面112で電子部品6の下縁部を支持し、ポケット部11の底面全体を底面開口113によって広く開放できるので、電子部品6を洗浄する際、電子部品6の下面全体に洗浄液を効率良く接触させ、洗浄時間を短縮することができる。
【0017】
ポケット部11の4方の側面112の法線方向がキャリアテープ本体10の表面に対してなす角度θは、25度から65度の間が好ましく、40度~50度が特に好ましい。その理由は、角度θが25度未満だと、電子部品6が滑落しやすくなり、角度θが65度を越えると、ポケット部11の容積が大きくなって電子部品6の収納効率が低下するからである。特に、角度θを40度~50度にすると、電子部品6を安定して支持しつつ、電子部品6の収納効率を向上できる。
【0018】
また、図1に示すように、ポケット部11の4方の側面112は、キャリアテープ本体10の表面に対して垂直な方向に視たとき、電子部品6の下部におけるハンダバンプ61と重ならない範囲に延在することが好ましい。このようにすると、側面112がハンダバンプ61に当たる可能性が低減されるので、ハンダバンプ61がダメージを受ける可能性も低減できる。
【0019】
ポケット部11は、長手方向で等間隔に所定ピッチで設けられる。所定ピッチは任意であるが、例えば1mm~8mm程度であってよい。
【0020】
また、キャリアテープ本体10には、実装装置などで位置決めに用いられる複数の送り穴(スプロケット孔)12が、長手方向に所定間隔でポケット部11の一方又は両側に穿設されている。送り穴12の形状や間隔は、スプロケットなどの送り機構に合わせて形成されるとよい。なお、送り穴12の直径は、0.8mmから1.5mm程度である。
【0021】
なお、本実施形態では、キャリアテープ本体10は、ポケット部11及び送り穴12以外の領域は、平坦であるが、凹部や凸部等が形成されてもよい。例えば、X方向でポケット部11間の領域には、ポケット部11よりも有意に浅い凹部が形成されてもよい。この場合、当該凹部は、後述するトップカバーテープ20との接合部として利用されてもよい。
【0022】
[キャリアテープ]
図1及び図2に示すように、キャリアテープ1は、キャリアテープ本体10と、トップカバーテープ20とを含む。
【0023】
[トップカバーテープ]
トップカバーテープ20は、キャリアテープ本体10の上側表面に貼り付けられる。トップカバーテープ20は、ポケット部11内に電子部品6を配置した後に、キャリアテープ本体10に貼り付けられる(ポケット部11を覆うようにキャリアテープ本体10に被せられる)。なお、トップカバーテープ20が貼り付けられた状態のキャリアテープ本体10は、「キャリアテープ」と称される。
【0024】
トップカバーテープ20は、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネートなどの合成樹脂を用いて形成されたテープ状の基材である。なお、これらの合成樹脂にカーボンを練り込んで導電性を付与したり、テープ状の基材の表面に導電コーティングを施したり、あるいは、帯電防止性を付与したりするものなどを用いてもよい。
【0025】
トップカバーテープ20は、キャリアテープ本体10側の表面の接合部21(図1では、ハッチングで指示)に接着剤又は粘着剤により形成された接着剤層を有している。なお、ヒートシール式の接着剤層は、接合部21に加えて、接合部21以外の箇所に形成されてもよい。ただし、接着剤層は、トップカバーテープ20の片面(キャリアテープ本体側表面)にのみ形成される。接着剤としては、アクリル樹脂系、天然ゴム系、ウレタン系、エポキシ系、ポリビニルアルコール系などのものを用いることができる。接合部21は、Y方向で所定距離だけ離間して、X方向に平行に延在する。なお、接合部21は、X方向に連続しているが、X方向に不連続的に設定されてもよい。
【0026】
トップカバーテープ20は、基本的に、上述した接合部21によって、Y方向でポケット部11の両側の位置で、X方向に沿って連続的にキャリアテープ本体10にシールされる。ただし、他の実施形態では、トップカバーテープ20は、更にX方向でポケット部11間の領域で点状の接合部で接合されてもよい。
【0027】
トップカバーテープ20は、好ましくは、貫通穴である流通口22を有する。流通口22は、後述のようにキャリアテープ1を洗浄槽に浸した際に、洗浄槽内とポケット部11内とを連通させて洗浄液を電子部品6に導くことができる。図1では、流通口22は、円形であり、X方向において所定ピッチで等間隔に形成されている。ただし、流通口22の位置や形状は任意である。また、流通口22は、ポケット部11の底面開口113と同様、ポケット部11内の電子部品6がはみ出したりしないサイズで形成される。
【0028】
[電子部品の洗浄方法]
電子部品6は、例えばチップ電極にハンダバンプ61が接合された半導体チップ等であってよい。電子部品6は、キャリアテープ1が超音波洗浄機の洗浄槽の洗浄液に浸漬されることにより、湿式洗浄される。
【0029】
具体的には、電子部品6を洗浄・乾燥する場合には、先ず、未使用のキャリアテープ本体10を用意し、このキャリアテープ本体10の複数のポケット部11に汚れた電子部品6をそれぞれ収納し、トップカバーテープ20を熱圧着して電子部品6を部分的に被覆保護する。そして、その後、超音波洗浄機の洗浄槽の洗浄液にキャリアテープ1を所定時間(例えば、1分、3分、5分、10分、30分等)浸漬して電子部品6を超音波洗浄すればよい。
【0030】
この浸漬の際、繰出リールから巻取リールにキャリアテープ1を連続的に繰り出しながら洗浄槽の洗浄液に電子部品6を浸漬してもよいし、巻取リールにキャリアテープ1を巻回した後、巻取リールと共にキャリアテープ1を洗浄槽の洗浄液に浸漬して電子部品6を超音波洗浄してもよい。
【0031】
洗浄槽の洗浄液は、特に限定されるものではないが、例えばグリコールエーテル系溶液(例えば、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)等)等が使用される。また、フラックス用の洗浄液としては、限定されるものではないが、パインアルファ(荒川化学工業株式会社製:製品名)やクリンスルー(花王株式会社製:製品名)等が用いられる。
【0032】
洗浄槽の洗浄液にキャリアテープ1を浸漬すると、洗浄液は、外部からキャリアテープ本体10の底面開口113及びトップカバーテープ20の流通口22を経由してポケット部11内に流入し、ポケット部11内の汚れた電子部品6を洗浄して外部に流出する。前述したようにポケット部11は、4方の側面112で電子部品6の下縁部を支持し、ポケット部11の底面全体を底面開口113によって広く開放しているので、電子部品6を洗浄する際、電子部品6の下面全体に洗浄液を効率良く接触させ、洗浄時間を短縮することができる。
【0033】
電子部品6を超音波洗浄し終えると、洗浄槽からキャリアテープ1を引き上げ、このキャリアテープ1に付着した洗浄液を液切りした後、電子部品6に対して空気を吹き付け循環等すれば、電子部品6を乾燥させることができる。この際、空気は、洗浄液と同様、キャリアテープ本体10の底面開口113及びトップカバーテープ20の流通口22を経由してポケット部11内に流入するので、電子部品6を短時間で迅速に乾燥させ、高品質の電子部品6を得ることができる。
【0034】
ところで、電子部品6には、フラックスや樹脂の残渣、保護膜を除去するため、洗浄が必要とされる。この洗浄の必要性について詳しく説明すると、例えば電子部品6がチップ電極にハンダバンプ61の接合された半導体チップの場合、半導体チップは、プリント基板に実装される。プリント基板に半導体チップを実装する方法には、ワイヤボンディング法やフリップチップ実装法があるが、近年、実装面積の縮小や電気的特性の向上が期待できるフリップチップ実装法が主流となっている。
【0035】
このようなフリップチップ実装法では、プリント基板に半導体チップのハンダバンプを接合し、アンダーフィル樹脂でハンダ接合部を補強するが、実装時のハンダ接合で使用していたフラックスの残渣が存在していると、この残渣部で空孔が発生する。この空孔は、半導体チップの実装部におけるハンダのマイグレーションを引き起こす空間となり、信頼性を損なう原因となる。また、多量のフラックス残渣が吸湿すると、近傍のハンダ接合部でマイグレーションを引き起こしやすくなる。以上から、半導体チップのハンダバンプ周辺のフラックス残渣や実装後のフラックス残渣の洗浄は有用となる。
【0036】
また、半導体パッケージの薄型化に伴い、半導体ウェーハの薄型化が進んでいるが、この半導体ウェーハの薄型化においては、半導体ウェーハ裏面の研磨工程や再配線工程等の各種工程でハンダバンプが形成された半導体ウェーハの表面の回路面を樹脂製の保護シートで保護する必要がある。この保護の際、保護シートの樹脂の残渣が接点不良となることがあるので、半導体ウェーハの回路面の洗浄が重要となる。
【0037】
この点、電子部品を洗浄する場合、電子部品の洗浄方法として、(1)バスケットに多数の電子部品を収納した後、バスケットを洗浄槽に浸漬させるバッチ式洗浄法、(2)コンベヤ上に多数の電子部品を専用治具を介して配列し、コンベヤにより多数の電子部品を搬送してシャワー洗浄するコンベヤ式洗浄法が採用されることがある。
【0038】
しかしながら、(1)のバッチ式洗浄法の場合には、バスケットに電子部品を単に収納するだけなので、洗浄時における電子部品の有効な保護が期待できず、電子部品のハンダバンプが損傷したり、チッピングが生じるおそれがある。また、(2)のコンベヤ式洗浄法の場合には、洗浄時に電子部品を適切に収納保護する専用治具を複数準備する必要があるので、工程内部品点数の削減を図ることができず、しかも、洗浄作業の煩雑化や遅延化を招くという問題が生じる。
【0039】
この点、本実施形態では、上述した構成を備えることで、従来の洗浄方法で生じる問題を効果的に解消できる。
【0040】
具体的には、本実施形態によれば、汚染した電子部品6の洗浄や乾燥に使用可能なキャリアテープ1を得ることができる。すなわち、ポケット部11に電子部品6を収納して適正な保護を図るので、洗浄時における電子部品6の位置ずれやガタツキを防止することができ、洗浄時に電子部品6のハンダバンプが損傷したり、チッピングが生じるおそれを有効に排除することができる。また、電子部品6を適切に収納保護する専用治具を特に必要としないので、工程内部品点数の削減を図ることができ、しかも、洗浄・乾燥作業の簡素化、迅速化、容易化に資することができる。
【0041】
また、ポケット部11は、4方の側面112で電子部品6の下縁部を支持し、ポケット部11の底面全体を底面開口113によって広く開放しているので、電子部品6を洗浄する際、電子部品6の下面全体に洗浄液を効率良く接触させることができる。これにより、電子部品6の下面全体を効率洗浄できるだけでなく、汚染した洗浄液を迅速に排水し、汚染したフラックスや樹脂の残渣、保護膜、電子部品6の電極表面の形成膜等が電子部品6に再付着するのを有効に防止することが可能になる。
【0042】
また、本実施形態によれば、更に、トップカバーテープ20に流通口22が形成されるので、トップカバーテープ20に流通口22が形成されない場合に比べて、ポケット部11の上面開口111側での洗浄液の流通が促進される。これにより、ポケット部11内の電子部品6の上面側も効率的に洗浄できる。
【0043】
なお、本実施形態では、トップカバーテープ20は、洗浄後も、キャリアテープ1のカバーテープとして利用されるが、洗浄後に剥がされてもよい。この場合、新たなトップカバーテープが、キャリアテープ本体10に貼り付けられてもよい。この場合、新たなトップカバーテープは、流通口22を有さなくてもよい。このようなカバーテープの貼着により、キャリアテープ本体10を、電子部品6の供給、保管、在庫管理、輸送等に使用することが可能となる。
【0044】
[実施形態2]
次に、実施形態2について説明する。本実施形態において、上述した実施形態1と同様であってよい構成要素については、同一の参照符号を付して説明を省略する場合がある。
【0045】
図3は、実施形態2におけるXZ平面で切断した際のキャリアテープ1Aの断面図である。
【0046】
本実施形態のキャリアテープ1Aは、上述した実施形態1によるキャリアテープ1に対して、キャリアテープ本体10Aのポケット部11Aの形状が異なる。具体的には、上述した実施形態1のポケット部11の4方の側面112は、それぞれ、所定のテーパ角度を持つ1つの平面で構成されるが、本実施形態のポケット部11Aの4方の側面112Aは、それぞれ、2種類のテーパ角度を持つ上下2つの平面112b、112cで構成される。
【0047】
下側の平面112cの法線方向がキャリアテープ本体10の表面に対してなす角度θ1は、25度から65度の間が好ましく、40度~50度が特に好ましい。その理由は、上述した実施形態と同様である。
【0048】
上側の平面112bの法線方向がキャリアテープ本体10の表面に対してなす角度θ2は、角度θ1よりも小さく、例えば5度~15度の間で選択される。このようなポケット部11Aによれば、上述した実施形態1のポケット部11と同様の効果が得られるだけでなく、ポケット部11Aの容積を小さくして電子部品6の収納効率を向上させることができる。
【0049】
以上、各実施形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施形態の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。例えば、上述した各実施形態では、ポケット部11、11Aの4方の側面112、112Aが、それぞれ、1種類又は2種類のテーパ角度を持つ1つ又は2つの平面で構成されるが、側面112、112Aは曲面であってもよい。曲面としては、ポケット部11、11Aの内側に向かって膨出する凸曲面でもよいし、ポケット部11、11Aの内側に対して窪む凹曲面でもよい。
【符号の説明】
【0050】
1,1A キャリアテープ
10,10A キャリアテープ本体
11,11A ポケット部
111 上面開口
112,112A 側面
112a 下側端部
112b 平面
112c 平面
113 底面開口
12 送り穴
20 トップカバーテープ
21 接合部
22 流通口
6 電子部品
61 ハンダバンプ
図1
図2
図3