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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-21
(45)【発行日】2023-03-02
(54)【発明の名称】モジュラープラグ及びケーブルハーネス
(51)【国際特許分類】
   H01R 24/62 20110101AFI20230222BHJP
   H01R 13/639 20060101ALI20230222BHJP
【FI】
H01R24/62
H01R13/639 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019134507
(22)【出願日】2019-07-22
(65)【公開番号】P2021018940
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2022-04-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(74)【代理人】
【識別番号】100129953
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100154900
【弁理士】
【氏名又は名称】関 京悟
(72)【発明者】
【氏名】田中 理司
(72)【発明者】
【氏名】高木 治
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-158357(JP,A)
【文献】特開2008-117731(JP,A)
【文献】特開2001-203038(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 24/60 -24/62
H01R 13/639
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプラグコンタクトと、
前記複数のプラグコンタクトを保持するプラグハウジングと、
前記プラグハウジングから突出するランスと、
移動抑制部と、
を備え、
モジュラージャックに挿抜可能なモジュラープラグであって、
前記ランスは、前記モジュラージャックに前記モジュラープラグを嵌合する嵌合方向と反対の抜去方向を向くロック面を有し、
前記モジュラープラグと前記モジュラージャックの嵌合状態において前記ロック面が前記モジュラージャックと挿抜方向で対向することにより前記モジュラープラグの前記モジュラージャックからの抜去が禁止されるように構成されており、
前記移動抑制部は、前記嵌合状態において、前記挿抜方向における前記ロック面と前記モジュラージャックの間に位置するように配置されており、
前記移動抑制部は、前記嵌合状態において、前記モジュラージャックと接触可能となるように配置されており、
前記移動抑制部は、前記抜去方向に向かうにつれて前記プラグハウジングに近づくように傾斜すると共に前記モジュラージャックに対して接触可能な第1接触面を有する、
モジュラープラグ。
【請求項2】
請求項1に記載のモジュラープラグであって、
前記移動抑制部は、前記プラグハウジングから離れる方向に付勢されている、
モジュラープラグ。
【請求項3】
請求項2に記載のモジュラープラグであって、
前記嵌合状態において、前記第1接触面は、前記モジュラージャックに対して常時接触するように構成されている、
モジュラープラグ。
【請求項4】
複数のプラグコンタクトと、
前記複数のプラグコンタクトを保持するプラグハウジングと、
前記プラグハウジングから突出するランスと、
移動抑制部と、
を備え、
モジュラージャックに挿抜可能なモジュラープラグであって、
前記ランスは、前記モジュラージャックに前記モジュラープラグを嵌合する嵌合方向と反対の抜去方向を向くロック面を有し、
前記モジュラープラグと前記モジュラージャックの嵌合状態において前記ロック面が前記モジュラージャックと挿抜方向で対向することにより前記モジュラープラグの前記モジュラージャックからの抜去が禁止されるように構成されており、
前記移動抑制部は、前記嵌合状態において、前記挿抜方向における前記ロック面と前記モジュラージャックの間に位置するように配置されており、
前記プラグハウジングに前記移動抑制部を支持させる支持部を備え、
前記支持部は、
前記プラグハウジングに固定される固定部と、
前記固定部から前記ランスに沿って延びる延長部と、
を含み、
前記移動抑制部は、前記延長部に配置されている、
モジュラープラグ。
【請求項5】
請求項4に記載のモジュラープラグであって、
前記延長部は、前記ランスと前記プラグハウジングの間で延びている、
モジュラープラグ。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のモジュラープラグであって、
前記プラグハウジングを覆う金属シールドを有し、
前記支持部及び前記移動抑制部は、前記金属シールドと一体を成すように形成されている、
モジュラープラグ。
【請求項7】
請求項4又は5に記載のモジュラープラグであって、
前記プラグハウジングを覆う金属シールドを有し、
前記支持部及び前記移動抑制部は、前記金属シールドと別体を成すように形成されている、
モジュラープラグ。
【請求項8】
複数のプラグコンタクトと、
前記複数のプラグコンタクトを保持するプラグハウジングと、
前記プラグハウジングから突出するランスと、
を備え、
モジュラージャックに挿抜可能なモジュラープラグであって、
前記ランスは、前記モジュラージャックに前記モジュラープラグを嵌合する嵌合方向と反対の抜去方向を向くロック面と、前記ロック面よりも前記プラグハウジングの近くに配置されて前記抜去方向に向かうにつれて前記プラグハウジングに近づくように傾斜すると共に前記モジュラージャックに対して接触可能な第3接触面と、を有し、
前記モジュラープラグと前記モジュラージャックの嵌合状態において前記ロック面が前記モジュラージャックと挿抜方向で対向することにより前記モジュラープラグの前記モジュラージャックからの抜去が禁止されるように構成されている、
モジュラープラグ。
【請求項9】
請求項8に記載のモジュラープラグであって、
前記嵌合状態において、前記第3接触面は、前記ランスの弾性復元力により前記モジュラージャックに対して常時接触するように構成されている、
モジュラープラグ。
【請求項10】
請求項1から9までの何れか1項に記載のモジュラープラグと、
前記モジュラープラグに取り付けられたケーブルと、
を備えた、
ケーブルハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モジュラープラグ及びケーブルハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(米国特許出願公開第2018/0254586号明細書)は、本願の図17に示すように、RJ45ジャック100と、RJ45プラグ101と、を含むRJ45コネクタ102を開示している。
【0003】
この種のRJ45コネクタは、LAN(Local Area Network)などのイーサネット(登録商標)におけるデータ通信用コネクタとして広く使用されている。RJ45プラグに8芯4組のツイストペアケーブルを接続させたケーブルハーネスは、例えば、コンピュータ、Webカメラ、スイッチングハブ、無線LANアクセスポイント、IP電話などの通信機器に設けられるRJ45ジャックに差し込まれ、もって、通信機器間におけるデータ通信や送電が実現される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の図18及び図19は、本願発明者が開発しているRJ45コネクタ200を示している。RJ45コネクタ200は、RJ45プラグ201と、RJ45ジャック202と、を含む。
【0005】
ここで、挿抜方向を定義する。挿抜方向は、RJ45プラグ201をRJ45ジャック202に対して挿抜する方向である。挿抜方向は、嵌合方向と、その反対の抜去方向を含む。嵌合方向は、RJ45プラグ201をRJ45ジャック202に嵌合させるためにRJ45プラグ201をRJ45ジャック202に向かって移動させる方向である。
【0006】
(RJ45プラグ201)
図18に示すように、RJ45プラグ201は、複数のプラグコンタクト203と、複数のプラグコンタクト203を保持するプラグハウジング204と、RJ45プラグ201とRJ45ジャック202の嵌合状態をロックするためのランス205と、を備えている。
【0007】
プラグハウジング204は、略直方体状に構成されている。プラグハウジング204の嵌合方向における先端部204Aには、嵌合方向を向くプラグ側突き当て面206が形成されている。プラグ側突き当て面206は、挿抜方向に対して直交している。
【0008】
ランス205は、プラグハウジング204の先端部204Aから突出するように形成されている。詳しくは、ランス205は、プラグハウジング204の先端部204Aから抜去方向に向かうにつれてプラグハウジング204から離れるように傾斜して延びている。ランス205の抜去方向における先端部205Aには、抜去方向を向くプラグ側ロック面207が形成されている。プラグ側ロック面207は、挿抜方向に対して直交している。
【0009】
(RJ45ジャック202)
続けて図18を参照して、RJ45ジャック202は、複数のジャックコンタクト210と、複数のジャックコンタクト210を保持するジャックハウジング211と、を備えている。
【0010】
ジャックハウジング211は、中空直方体状であって、抜去方向に開口する嵌合開口212を有することで、RJ45プラグ201を受け入れる嵌合空間213を形成している。ジャックハウジング211の抜去方向における先端部211Aには、嵌合開口212を狭めるように下方に突出する開口狭窄部214が形成されている。開口狭窄部214には、嵌合方向を向くジャック側ロック面215が形成されている。ジャック側ロック面215は、挿抜方向に対して直交している。また、ジャックハウジング211は、更に、嵌合空間213内において抜去方向を向くジャック側突き当て面216を有する。ジャック側突き当て面216は、挿抜方向に対して直交している。
【0011】
各ジャックコンタクト210は、嵌合方向に開口するU字状となるように片持梁状にジャックハウジング211に保持されており、嵌合方向に向かうにつれて上方に向かうように傾斜する接触バネ部217を有する。接触バネ部217は、嵌合空間213に露出している。
【0012】
以上の構成で、RJ45プラグ201をRJ45ジャック202の嵌合空間213に挿入すると、各プラグコンタクト203が各ジャックコンタクト210の接触バネ部217に接触する。このとき、各ジャックコンタクト210の接触バネ部217は各プラグコンタクト203との接触により下方に弾性変形する。
【0013】
また、ランス205が開口狭窄部214と接触することによりランス205が下方に弾性変形し、プラグ側ロック面207がジャック側ロック面215を通り過ぎた時点でランス205が上方へと弾性復帰する。これにより、プラグ側ロック面207とジャック側ロック面215が挿抜方向において対向し、もって、RJ45プラグ201とRJ45ジャック202の嵌合状態がロックされる。
【0014】
やがて、RJ45プラグ201のプラグ側突き当て面206がRJ45ジャック202のジャック側突き当て面216に突き当たると、RJ45プラグ201のそれ以上の挿入が禁止される。
【0015】
ところで、国際規格IEC60603-7により、RJ45ジャック202のジャック側突き当て面216からジャック側ロック面215までの挿抜方向における寸法は、6.68~6.86[mm]と規定されている。また、同規格により、RJ45プラグ201のプラグ側突き当て面206からプラグ側ロック面207までの挿抜方向における寸法は、5.77~6.02[mm]と規定されている。従って、図19に示すRJ45コネクタ200の嵌合状態において、プラグ側ロック面207とジャック側ロック面215の間には挿抜方向において0.66~1.09[mm]の隙間220が生じることになる。即ち、RJ45コネクタ200の嵌合状態において、RJ45プラグ201は、RJ45ジャック202に対して挿抜方向において隙間220の分だけ相対的に移動可能となっている。
【0016】
上記のRJ45コネクタ200を工場などの振動環境下で使用した場合、上記の許容された移動により、各プラグコンタクト203と各ジャックコンタクト210との接触圧が不安定となり、両者間の導通が失われることがあった。
【0017】
そこで、本発明の目的は、モジュラープラグとモジュラージャックが嵌合した状態における、モジュラープラグのモジュラージャックに対する挿抜方向における相対的な移動を抑制する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の第1の観点によれば、複数のプラグコンタクトと、前記複数のプラグコンタクトを保持するプラグハウジングと、前記プラグハウジングから突出するランスと、移動抑制部と、を備え、モジュラージャックに挿抜可能なモジュラープラグであって、前記ランスは、前記モジュラージャックに前記モジュラープラグを嵌合する嵌合方向と反対の抜去方向を向くロック面を有し、前記モジュラープラグと前記モジュラージャックの嵌合状態において前記ロック面が前記モジュラージャックと挿抜方向で対向することにより前記モジュラープラグの前記モジュラージャックからの抜去が禁止されるように構成されており、前記移動抑制部は、前記嵌合状態において、前記挿抜方向における前記ロック面と前記モジュラージャックの間に位置するように配置されている、モジュラープラグが提供される。
好ましくは、前記移動抑制部は、前記嵌合状態において、前記モジュラージャックと接触可能となるように配置されている。
好ましくは、前記移動抑制部は、前記抜去方向に向かうにつれて前記プラグハウジングに近づくように傾斜すると共に前記モジュラージャックに対して接触可能な第1接触面を有する。
好ましくは、前記移動抑制部は、前記プラグハウジングから離れる方向に付勢されている。
好ましくは、前記嵌合状態において、前記第1接触面は、前記モジュラージャックに対して常時接触するように構成されている。
好ましくは、前記移動抑制部は、前記挿抜方向に対して直交するか又は前記抜去方向に向かうにつれて前記プラグハウジングから離れるように傾斜すると共に前記モジュラージャックに対して接触可能な第2接触面を有する。
好ましくは、前記プラグハウジングに前記移動抑制部を支持させる支持部を備え、前記支持部は、前記プラグハウジングに固定される固定部と、前記固定部から前記ランスに沿って延びる延長部と、を含み、前記移動抑制部は、前記延長部に配置されている。
好ましくは、前記延長部は、前記ランスと前記プラグハウジングの間で延びている。
好ましくは、前記プラグハウジングを覆う金属シールドを有し、前記支持部及び前記移動抑制部は、前記金属シールドと一体を成すように形成されている。
好ましくは、前記プラグハウジングを覆う金属シールドを有し、前記支持部及び前記移動抑制部は、前記金属シールドと別体を成すように形成されている。
本発明の第2の観点によれば、複数のプラグコンタクトと、前記複数のプラグコンタクトを保持するプラグハウジングと、前記プラグハウジングから突出するランスと、を備え、モジュラージャックに挿抜可能なモジュラープラグであって、前記ランスは、前記モジュラージャックに前記モジュラープラグを嵌合する嵌合方向と反対の抜去方向を向くロック面と、前記ロック面よりも前記プラグハウジングの近くに配置されて前記抜去方向に向かうにつれて前記プラグハウジングに近づくように傾斜すると共に前記モジュラージャックに対して接触可能な第3接触面と、を有し、前記モジュラープラグと前記モジュラージャックの嵌合状態において前記ロック面が前記モジュラージャックと挿抜方向で対向することにより前記モジュラープラグの前記モジュラージャックからの抜去が禁止されるように構成されている、モジュラープラグが提供される。
好ましくは、前記嵌合状態において、前記第3接触面は、前記ランスの弾性復元力により前記モジュラージャックに対して常時接触するように構成されている。
また、上記のモジュラープラグと、前記モジュラープラグに取り付けられたケーブルと、を備えた、ケーブルハーネスが提供される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、モジュラープラグとモジュラージャックが嵌合した状態における、モジュラープラグのモジュラージャックに対する挿抜方向における相対的な移動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】モジュラーコネクタの嵌合状態を示す斜視図である。(第1実施形態)
図2】モジュラーコネクタの抜去状態を示す斜視図である。(第1実施形態)
図3】モジュラーコネクタの抜去状態を別の角度から示す斜視図である。(第1実施形態)
図4】モジュラープラグの斜視図である。(第1実施形態)
図5】モジュラープラグの分解斜視図である。(第1実施形態)
図6】モジュラージャックの斜視図である。(第1実施形態)
図7】モジュラージャックの一部切り欠き斜視図である。(第1実施形態)
図8】モジュラージャックの断面図である。(第1実施形態)
図9】プラグシールドの斜視図である。(第1実施形態)
図10】モジュラーコネクタの嵌合状態における要部拡大断面図である。(第1実施形態)
図11】モジュラーコネクタの嵌合状態における要部拡大断面図である。(第1実施形態)
図12】プラグシールド本体と移動抑制部が別体である変形例を示す斜視図である。
図13】プラグシールド本体と移動抑制部が別体である変形例を別の角度から示す斜視図である。
図14】モジュラーコネクタの嵌合状態における要部拡大断面図である。(第2実施形態)
図15】モジュラープラグの斜視図である。(第3実施形態)
図16】モジュラーコネクタの嵌合状態における要部拡大断面図である。(第4実施形態)
図17】特許文献1の図3を簡略化した図である。
図18】RJ45コネクタの抜去状態を示す一部切り欠き側面図である。
図19】RJ45コネクタの嵌合状態を示す一部切り欠き側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
以下、図1から図11を参照して、本発明の第1実施形態を説明する。
【0022】
図1から図3には、本実施形態のモジュラーコネクタ1を示している。モジュラーコネクタ1は、国際規格IEC60603-7に準拠したRJ45コネクタであって、IEEE802.3bt(type4)で規定された給電性能を有するPoE対応型であり、更に通信速度が10[Gbps]である高速通信に対応したものである。
【0023】
モジュラーコネクタ1は、モジュラージャック2と、モジュラープラグ3で構成されている。モジュラープラグ3には、ケーブル4が取り付けられている。ケーブル4は、4対の撚り対線をシールド及び外部被覆で覆って構成されている。モジュラープラグ3とケーブル4は、プラグ付きLANケーブル5(ケーブルハーネス)を構成している。
【0024】
ただし、モジュラーコネクタ1の給電性能や通信速度、コネクタ形状、ケーブル4の撚り対線の対数及びシールドの有無は上記に限定されない。例えば、モジュラーコネクタ1のコネクタ形状は、RJ45の他に、RJ9やRJ11、RJ12、RJ14であってもよい。
【0025】
図4及び図5は、モジュラープラグ3を示している。図4及び図5に示すように、モジュラープラグ3は、複数のプラグコンタクト10と、複数のプラグコンタクト10を保持するプラグハウジング11と、プラグシールド12と、ランス13と、ロック解除レバー14と、フード15を備えている。
【0026】
(方向の定義)
ここで、図1から図5を参照して、「挿抜方向」「上下方向」「幅方向」を定義する。
【0027】
挿抜方向は、モジュラープラグ3をモジュラージャック2に挿抜する方向である。挿抜方向は、嵌合方向と、その反対の抜去方向を含む。嵌合方向は、モジュラープラグ3をモジュラージャック2に嵌合させるためにモジュラープラグ3をモジュラージャック2に向かって移動させる方向である。
【0028】
上下方向は、挿抜方向に対して直交する方向であって、プラグハウジング11とランス13が向かい合う方向である。上下方向は、上方と下方を含む。上方は、プラグハウジング11からランス13を見る方向である。
【0029】
幅方向は、挿抜方向及び上下方向に直交する方向である。
【0030】
以下、モジュラージャック2及びモジュラープラグ3をこの順で説明する。
【0031】
(モジュラージャック2)
まず、図6から図8を参照して、モジュラージャック2を説明する。
【0032】
図6から図8に示すように、モジュラージャック2は、複数のジャックコンタクト20と、複数のジャックコンタクト20を保持するジャックハウジング21と、ジャックハウジング21の外面を覆うジャックシールド22と、を備えている。
【0033】
複数のジャックコンタクト20は、幅方向に所定ピッチで配置されている。複数のジャックコンタクト20は、銅又は銅合金を打ち抜き加工及び曲げ加工することで形成されている。
【0034】
ジャックハウジング21は、例えば、ポリカーボネート製であって、複数のジャックコンタクト20をインサート成形により保持するジャックコンタクト保持部23と、モジュラープラグ3を受け入れる嵌合空間24を有するジャックハウジング本体25と、を備える。
【0035】
ジャックハウジング本体25は、中空直方体状であって、抜去方向に開口する嵌合開口26を有することで、前述の嵌合空間24を形成している。
【0036】
図8に示すように、ジャックハウジング本体25は、嵌合空間24の上方を区画する天板25A、嵌合空間24の下方を区画する底板25B、嵌合空間24の幅方向を区画する2つの側板25C、嵌合空間24の嵌合方向を区画する後板25D、嵌合空間24の抜去方向を区画する2つの前板25Eを有する。
【0037】
2つの前板25Eは、幅方向に互いに離れて配置されている。各前板25Eは、天板25Aの抜去方向における先端部25Fから下方に突出して、嵌合開口26を若干狭めるように形成されている。各前板25Eは、嵌合方向を向くジャック側ロック面27と、下方を向く前板下面28と、を有する。ジャック側ロック面27は、挿抜方向に対して直交している。前板下面28は、上下方向に対して直交している。
【0038】
ジャックハウジング本体25は、更に、嵌合空間24内において抜去方向を向く2つのジャック側突き当て面29を有する。2つのジャック側突き当て面29は、幅方向で互いに離れており、挿抜方向に対して直交している。
【0039】
各ジャックコンタクト20は、ジャックコンタクト保持部23によって片持梁状に支持されている。各ジャックコンタクト20は、嵌合方向に開口するU字部30を有している。U字部30は、ベース部31、接触バネ部32、連結部33を含む。
【0040】
ベース部31は、底板25Bに形成された挿抜方向に延びるコンタクト溝25Gに収容されている。
【0041】
接触バネ部32は、底板25Bから後板25Dに向かって延びている。接触バネ部32は、嵌合方向へ向かうにつれて上方に向かうように傾斜している。接触バネ部32は、嵌合空間24へ露出している。
【0042】
連結部33は、ベース部31と接触バネ部32を連結している。
【0043】
以上の構成で、各ジャックコンタクト20の接触バネ部32は、下方に弾性変形可能となっている。
【0044】
ジャックシールド22は、ノイズの空間伝導を遮断するためのものである。ジャックシールド22は、例えば、銅又は銅合金の板材を打ち抜き加工及び曲げ加工することで形成されている。
【0045】
(モジュラープラグ3)
次に、図4図5図9から図11を参照して、モジュラープラグ3を説明する。
【0046】
図4及び図5に示すように、複数のプラグコンタクト10は、幅方向に所定ピッチで配置されている。複数のプラグコンタクト10は、銅又は銅合金の板材を打ち抜き加工及び曲げ加工することで形成されている。
【0047】
図5に示すように、プラグハウジング11は、例えば、ポリカーボネート製であって、挿抜方向に細長い略直方体状に形成されている。プラグハウジング11の嵌合方向における先端部11Aには、嵌合方向を向く2つのプラグ側突き当て面40が形成されている。2つのプラグ側突き当て面40は、幅方向において互いに離れて配置されており、挿抜方向に対して直交している。プラグハウジング11は、上方向を向く上面11Cと、下方向を向く下面11Dと、幅方向を向く2つの側面11Eと、を有する。
【0048】
ランス13は、モジュラープラグ3とモジュラージャック2の嵌合状態をロックするためのものであって、プラグハウジング11と一体的に形成されており、プラグハウジング11の先端部11Aから片持梁状に突出するように形成されている。詳しくは、ランス13は、プラグハウジング11の先端部11Aから抜去方向に向かうにつれてプラグハウジング11から離れるように傾斜して延びている。ランス13の抜去方向における先端部13Aには、抜去方向を向く2つのプラグ側ロック面41が形成されている。2つのプラグ側ロック面41は、幅方向に互いに離れて配置されており、挿抜方向に対して直交している。
【0049】
本実施形態においてランス13は、プラグハウジング11の先端部11Aから抜去方向に片持梁状に突出している。しかし、これに代えて、ランス13は、プラグハウジング11に両持ち梁状に支持されていてもよく、プラグハウジング11の後端部11Bから嵌合方向に片持梁状に突出していてもよい。
【0050】
ロック解除レバー14は、ランス13によるロック状態を解除するためのものである。ロック解除レバー14は、ランス13の先端部13Aから突出して形成されている。ロック解除レバー14は、幅方向において互いに離れて配置された2つのプラグ側ロック面41の間に配置されている。
【0051】
フード15は、ケーブル4の耐屈曲性能を向上するためのものである。フード15は、例えば、ポリ塩化ビニル系エラストマー製である。
【0052】
プラグシールド12は、ノイズの空間伝導を遮断するためのものである。プラグシールド12は、銅又は銅合金の板材を打ち抜き加工及び曲げ加工することで形成されている。
【0053】
引き続き図5に示すように、プラグシールド12は、プラグシールド本体42(金属シールド)と、2つの移動抑制ユニット43と、から構成されている。
【0054】
図5及び図9に示すように、プラグシールド本体42は、挿抜方向に延びる角筒状に構成されている。プラグシールド本体42は、前端部42Aと後端部42Bを有する。図9に示すように、プラグシールド本体42は、プラグハウジング11の上面11Cと対向する天板42Cと、プラグハウジング11の下面11Dと対向する底板42Dと、プラグハウジング11の2つの側面11Eとそれぞれ対向する2つの側板42Eと、を有する。
【0055】
2つの移動抑制ユニット43は、プラグシールド本体42の前端部42Aにおいて天板42Cから突出して形成されている。2つの移動抑制ユニット43は、幅方向で互いに離れて配置されている。2つの移動抑制ユニット43は、片持梁状にプラグシールド本体42に支持されている。本実施形態において2つの移動抑制ユニット43は、プラグシールド本体42と一体である。
【0056】
図10に示すように、各移動抑制ユニット43は、移動抑制部44と支持部45を含んでいる。移動抑制部44は、支持部45を介してプラグシールド本体42に支持されている。
【0057】
図11に示すように、移動抑制部44は、下方に開口するV字状に形成されており、基端傾斜部46、先端傾斜部47、連結部48を含む。
【0058】
基端傾斜部46は、抜去方向に向かうにつれて上方に傾斜している。
【0059】
先端傾斜部47は、抜去方向に向かうにつれて下方に傾斜している。従って、先端傾斜部47は、抜去方向に向かうにつれてプラグハウジング11に近づくように傾斜する傾斜接触面49(第1接触面)を有する。傾斜接触面49は、抜去方向及び上方を向いている。本実施形態において傾斜接触面49は平面であるが、これに代えて、湾曲した面や凹凸を有する粗い面であってもよい。
【0060】
連結部48は、基端傾斜部46と先端傾斜部47を連結する部分であって、上方に凸となるように湾曲している。
【0061】
図10に戻り、支持部45は、抜去方向に開口するU字状に構成されており、シールド延長部50、傾斜延長部51、連結部52によって構成されている。
【0062】
シールド延長部50は、プラグシールド本体42の天板42Cから嵌合方向に延びる部分である。
【0063】
傾斜延長部51は、ランス13に沿って延びる部分である。即ち、傾斜延長部51は、抜去方向に向かうにつれて上方に向かうように傾斜して延びている。傾斜延長部51は、移動抑制部44と接続している。
【0064】
連結部52は、シールド延長部50と傾斜延長部51を連結する部分であって、嵌合方向に凸となるように湾曲している。
【0065】
以上の構成で、移動抑制部44は、支持部45の弾性復元力により上方に付勢されており、モジュラーコネクタ1の嵌合状態及び抜去状態のいずれにおいても、ランス13のプラグ側ロック面41と挿抜方向で対向するようになっている。
【0066】
(モジュラーコネクタ1の嵌合動作)
そして、モジュラープラグ3をモジュラージャック2に嵌合するには、図3において、モジュラープラグ3がモジュラージャック2に突き当たるまで、モジュラープラグ3をモジュラージャック2の嵌合空間24に挿入すればよい。モジュラープラグ3をモジュラージャック2の嵌合空間24に挿入すると、ランス13が図8に示す前板25Eと接触することで一時的に下方へ弾性変形し、その後、プラグ側ロック面41がジャック側ロック面27を通り過ぎると、ランス13が上方へ弾性復帰する。これにより、図10及び図11に示すように、プラグ側ロック面41とジャック側ロック面27が挿抜方向で対向し、この対向関係により、モジュラープラグ3のモジュラージャック2からの抜去が禁止される。
【0067】
具体的には、図10及び図11は、モジュラーコネクタ1の突き当て状態を示している。突き当て状態とは、嵌合状態の一態様であって、図7に示すモジュラージャック2の各ジャック側突き当て面29に、図5に示すモジュラープラグ3の各プラグ側突き当て面40をそれぞれ突き当てた状態を意味する。端的に言えば、モジュラーコネクタ1の突き当て状態とは、各ジャック側突き当て面29と各プラグ側突き当て面40が面接触した状態を意味する。
【0068】
図11に示すように、モジュラーコネクタ1の突き当て状態では、挿抜方向において、各プラグ側ロック面41と各ジャック側ロック面27の間には、前述したように0.66~1.09[mm]の隙間60が生じることになる。従って、モジュラーコネクタ1の嵌合状態において、モジュラープラグ3は、モジュラージャック2に対して挿抜方向において隙間60の分だけ相対的に移動可能とされている。それ故、モジュラーコネクタ1を工場などの振動環境下で使用した場合、モジュラープラグ3がモジュラージャック2に対して挿抜方向で振動してしまい、モジュラープラグ3の各プラグコンタクト10とモジュラージャック2の各ジャックコンタクト20との接触圧が変動し、一時的な接触抵抗の増大を招く虞がある。
【0069】
そこで、本実施形態では、図11に示すように、モジュラーコネクタ1の嵌合状態において、各支持部45の弾性復元力により上方に付勢された各移動抑制部44が、各プラグ側ロック面41と各ジャック側ロック面27の間に挿入され、各移動抑制部44の傾斜接触面49がジャックハウジング本体25の各前板25Eに押圧されるように構成されている。具体的には、モジュラーコネクタ1の嵌合状態において、各移動抑制部44の傾斜接触面49は、ジャック側ロック面27と前板下面28が直角に交わるジャック角部61に対して抜去方向及び上方に押圧されるように構成されている。そして、上記押圧による押圧力のうち挿抜方向における分力の反作用によりモジュラープラグ3はモジュラージャック2に対して嵌合方向に付勢され、この嵌合方向における付勢によりモジュラープラグ3がモジュラージャック2に対して相対的に挿抜方向に移動することが実質的に禁止されると共にモジュラーコネクタ1は上記嵌合状態において常時突き当て状態に維持され、もって、モジュラープラグ3の各プラグコンタクト10とモジュラージャック2の各ジャックコンタクト20との接触圧が安定し、一時的な接触抵抗の増大を回避することができる。
【0070】
なお、上記の嵌合方向における付勢により、モジュラーコネクタ1は上記嵌合状態において常時突き当て状態となることに代えて、上記の嵌合方向における付勢力と、モジュラージャック2の各ジャックコンタクト20の弾性復元力によりモジュラープラグ3に作用する接触反発力と、が挿抜方向において釣り合うようにモジュラージャック2に対するモジュラープラグ3の挿抜方向における位置が決まる場合も考えられる。この場合も、モジュラープラグ3がモジュラージャック2に対して相対的に挿抜方向に移動することが実質的に禁止されるので、モジュラープラグ3の各プラグコンタクト10とモジュラージャック2の各ジャックコンタクト20との接触圧が安定し、一時的な接触抵抗の増大を回避することができる。
【0071】
なおまた、各支持部45の弾性復元力により上方に付勢された各移動抑制部44が、各プラグ側ロック面41と各ジャック側ロック面27の間に挿入されるものの、各移動抑制部44の傾斜接触面49とジャックハウジング本体25の各前板25Eの間に隙間が生じ得るように構成する場合も考えられる。この場合でも、モジュラープラグ3がモジュラージャック2に対して抜去方向に移動すると、モジュラープラグ3の傾斜接触面49がモジュラージャック2のジャック角部61に接触し、各プラグ側ロック面41と各ジャック側ロック面27が接触するよりも前に、モジュラープラグ3のそれ以上の移動が抑制されるので、上記の接触圧が安定する効果を期待することができる。
【0072】
ところで、モジュラーコネクタ1の嵌合状態においてモジュラープラグ3やケーブル4に抜去方向の外力が作用した場合、モジュラープラグ3がモジュラージャック2に対して相対的に抜去方向に移動した際に、移動抑制部44が前板下面28の下方に潜ることになる。これは、ジャック角部61に接触する傾斜接触面49が挿抜方向に対して傾斜しているからに他ならない。この場合でも、やがて、各プラグ側ロック面41が各ジャック側ロック面27に突き当たることで、モジュラープラグ3のモジュラージャック2からの意図しない抜去は禁止される。
【0073】
(モジュラーコネクタ1の抜去動作)
モジュラープラグ3をモジュラージャック2から抜去するには、図4に示すロック解除レバー14を押し下げた状態でモジュラープラグ3をモジュラージャック2から引き抜けばよい。図10において、ロック解除レバー14を押し下げると、ランス13が下方に弾性変形することで、各プラグ側ロック面41と各ジャック側ロック面27の挿抜方向における対向関係が解消され、ランス13によるロック状態が解除される。また、ランス13が下方に弾性変形すると、各移動抑制ユニット43の傾斜延長部51及び移動抑制部44もランス13に随伴するように下方へと移動する。これにより、図11において、傾斜接触面49がジャック角部61と接触不能となるので、移動抑制部44がモジュラープラグ3のモジュラージャック2からの抜去を阻害することがない。
【0074】
以上に、第1実施形態を説明したが、上記第1実施形態は以下の特徴を有する。
【0075】
図4図5図9から図11に示すように、モジュラージャック2に挿抜可能なモジュラープラグ3は、複数のプラグコンタクト10と、複数のプラグコンタクト10を保持するプラグハウジング11と、プラグハウジング11から突出するランス13と、移動抑制部44と、を備える。ランス13は、抜去方向を向くプラグ側ロック面41(ロック面)を有する。モジュラープラグ3とモジュラージャック2の嵌合状態においてプラグ側ロック面41がモジュラージャック2のジャック側ロック面27と挿抜方向で対向することによりモジュラープラグ3のモジュラージャック2からの抜去が禁止されるように構成されている。移動抑制部44は、嵌合状態において、挿抜方向におけるプラグ側ロック面41とモジュラージャック2のジャック側ロック面27の間に位置するように配置されている。以上の構成によれば、モジュラープラグ3とモジュラージャック2が嵌合した状態における、モジュラープラグ3のモジュラージャック2に対する挿抜方向における相対的な移動を抑制することができる。従って、モジュラープラグ3の各プラグコンタクト10とモジュラージャック2の各ジャックコンタクト20との接触圧が安定し、一時的な接触抵抗の増大を回避できる。
【0076】
また、図11に示すように、移動抑制部44は、嵌合状態において、モジュラージャック2の前板25Eと接触可能となるように配置されている。以上の構成によれば、モジュラープラグ3とモジュラージャック2が嵌合した状態における、モジュラープラグ3のモジュラージャック2に対する挿抜方向における相対的な移動を一層確実に抑制することができる。
【0077】
また、図11に示すように、移動抑制部44は、抜去方向に向かうにつれてプラグハウジング11に近づくように傾斜すると共にモジュラージャック2の前板25Eに対して接触可能な傾斜接触面49(第1接触面)を有する。また、移動抑制部44は、プラグハウジング11から離れる方向に付勢されている。そして、嵌合状態において、傾斜接触面49は、モジュラージャック2に対して常時接触するように構成した第1実施形態においては、モジュラーコネクタ1の突き当て状態において、傾斜接触面49がモジュラージャック2を抜去方向に弾性的に付勢するので、モジュラープラグ3がモジュラージャック2に対して相対的に抜去方向に移動することが強力に抑制される。
【0078】
また、図10に示すように、モジュラープラグ3は、プラグハウジング11に移動抑制部44を支持させる支持部45を備える。支持部45は、プラグハウジング11に固定されるシールド延長部50(固定部)と、シールド延長部50からランス13に沿って延びる傾斜延長部51(延長部)と、を含む。移動抑制部44は、傾斜延長部51に配置されている。
【0079】
また、傾斜延長部51は、ランス13とプラグハウジング11の間で延びている。以上の構成によれば、ランス13の下降に伴って移動抑制部44を下方に移動するようになるので、モジュラーコネクタ1の抜去動作時に移動抑制部44が邪魔にならない。
【0080】
また、モジュラープラグ3は、プラグハウジング11を覆うプラグシールド本体42(金属シールド)を有する。支持部45及び移動抑制部44は、プラグシールド本体42と一体を成すように形成されている。以上の構成によれば、モジュラープラグ3の部品点数を効果的に少なくできる。
【0081】
また、プラグ付きLANケーブル5は、モジュラープラグ3と、モジュラープラグ3に取り付けられたケーブル4と、を備える。
【0082】
(変形例)
以下、図12及び図13を参照して、第1実施形態の変形例を説明する。以下、本変形例が上記第1実施形態と相違する点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0083】
上記第1実施形態では、例えば図5に示すように、2つの移動抑制ユニット43は、プラグシールド本体42と一体的に形成されている。
【0084】
これに対して、本変形例では、図12及び図13に示すように、2つの移動抑制ユニット43とプラグシールド本体42は別体で形成されている。
【0085】
具体的には、モジュラープラグ3は、更に、ユニット支持体70を備えている。ユニット支持体70は、角筒状のプラグシールド本体42を取り囲むように同様に角筒状に形成されている。図13に示すように、ユニット支持体70は、角筒を構成する周壁の端部同士をダブテイル構造71によって連結することで形成されている。図12に戻り、ユニット支持体70には、幅方向に互いに離れた2つの係止窓72が形成されている。一方、プラグシールド本体42には、嵌合側係止部73と、2つの抜去側係止部74が何れも切り起こしにより形成されている。嵌合側係止部73と、2つの抜去側係止部74は、挿抜方向に互いに離れて形成されている。2つの抜去側係止部74は、幅方向に互いに離れて形成されている。そして、嵌合側係止部73がユニット支持体70の嵌合方向における先端面70Aと対向し、2つの抜去側係止部74が2つの係止窓72にそれぞれ収容されることで、ユニット支持体70のプラグシールド本体42に対して挿抜方向に固定される。
【0086】
各移動抑制ユニット43の支持部45のシールド延長部50は、ユニット支持体70の先端面70Aから嵌合方向に突出するように形成されている。
【0087】
なお、プラグシールド本体42は省略することができる。この場合、嵌合側係止部73と2つの抜去側係止部74は、プラグシールド本体42に形成することに代えて、モジュラープラグ3のプラグハウジング11に直接形成することになる。
【0088】
(第2実施形態)
次に、図14を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。以下、本実施形態が上記第1実施形態と相違する点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0089】
上記第1実施形態では、例えば図11に示すように、移動抑制部44は、下方に開口するV字状に形成されており、基端傾斜部46、先端傾斜部47、連結部48を含むものとした。
【0090】
これに対し、本実施形態では、移動抑制部44は、下方に開口するU字状に形成されており、基端傾斜部46、先端垂直部77、連結部48を含む。
【0091】
連結部48は、基端傾斜部46と先端垂直部77を連結している。
【0092】
先端垂直部77は、上下方向に延びて形成されている。従って、先端垂直部77は、抜去方向を向く垂直接触面78(第2接触面)を有する。垂直接触面78は、挿抜方向に対して直交する面である。
【0093】
そして、モジュラーコネクタ1の嵌合状態において、移動抑制部44の垂直接触面78がジャックハウジング本体25のジャック側ロック面27と挿抜方向で対向し、ジャック側ロック面27に接触可能となっている。従って、モジュラープラグ3がモジュラージャック2に対して抜去方向に移動すると、モジュラープラグ3の垂直接触面78がモジュラージャック2のジャック側ロック面27に接触し、モジュラープラグ3のそれ以上の移動が抑制されることになる。
【0094】
ところで、本実施形態では、上記第1実施形態と異なり、モジュラーコネクタ1の嵌合状態においてモジュラープラグ3やケーブル4に抜去方向の外力が作用して、モジュラープラグ3がモジュラージャック2に対して相対的に抜去方向に移動した際に、移動抑制部44は前板下面28の下方に潜ることはない。これは、垂直接触面78及びジャック側ロック面27が何れも挿抜方向に対して直交する面であるからに他ならない。従って、本実施形態では、モジュラーコネクタ1の嵌合状態においてモジュラープラグ3やケーブル4に抜去方向の外力が作用した場合でも、プラグ側ロック面41とジャック側ロック面27が接触することはない。
【0095】
なお、本実施形態において垂直接触面78は、モジュラーコネクタ1の突き当て状態において、常時、ジャック側ロック面27に接触するように構成することは難しい。これは、モジュラーコネクタ1の突き当て状態におけるジャック側ロック面27と垂直接触面78との相対的な挿抜方向における位置が製造誤差により一定とならないためである。
【0096】
以上に、第2実施形態を説明したが、上記第2実施形態は、以下の特徴を有する。
【0097】
即ち、移動抑制部44は、挿抜方向に対して直交すると共にモジュラージャック2のジャック側ロック面27に接触可能な垂直接触面78(第2接触面)を有する。以上の構成によれば、モジュラーコネクタ1の嵌合状態においてモジュラープラグ3やケーブル4に抜去方向の外力が作用した場合でも、モジュラープラグ3がモジュラージャック2に対して相対的に抜去方向に移動することを強力に抑制することができる。
【0098】
なお、上記第2実施形態において、垂直接触面78は、挿抜方向に対して直交する面であるとしたが、これに代えて、抜去方向に向かうにつれてプラグハウジング11から離れるように傾斜すると共にモジュラージャック2に対して接触可能に構成してもよい。この場合でも、モジュラーコネクタ1の嵌合状態においてモジュラープラグ3やケーブル4に抜去方向の外力が作用して、モジュラープラグ3がモジュラージャック2に対して相対的に抜去方向に移動した際に、移動抑制部44が前板下面28の下方に潜ることはない。
【0099】
(第3実施形態)
次に、図15を参照して、本発明の第3実施形態を説明する。以下、本実施形態が上記第1実施形態の変形例と相違する点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0100】
本実施形態において、モジュラープラグ3は、前述のユニット支持体70を備えている。
【0101】
そして、図15に示すように、本実施形態において、各移動抑制ユニット43は、支持延伸部80と移動抑制部44、ランス連動部81によって構成されている。
【0102】
支持延伸部80は、ユニット支持体70の先端面70Aから突出し、嵌合方向へ向かうにつれて上方に向かうように傾斜して延びている。
【0103】
移動抑制部44は、支持延伸部80を介してユニット支持体70に支持されている。また、移動抑制部44は、支持延伸部80の弾性復元力により上方に付勢されている。
【0104】
ランス連動部81は、ランス13の下方に配置されている。ランス連動部81は、支持延伸部80の弾性復元力により上方に付勢されることにより、常時、ランス13に対して下方から接触している。
【0105】
以上の構成によれば、ロック解除レバー14を押し下げることでランス13が下方に弾性変形したときに、移動抑制部44もランス13に随伴するように下方へと移動する。これにより、移動抑制部44とジャック側ロック面27との挿抜方向における対向関係が解消され、移動抑制部44がモジュラープラグ3のモジュラージャック2からの抜去を阻害することがない。
【0106】
(第4実施形態)
次に、図16を参照して、本発明の第4実施形態を説明する。以下、本実施形態が上記第1実施形態と相違する点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0107】
上記第1実施形態では、例えば図5に示すように、モジュラープラグ3は、2つの移動抑制ユニット43を備えている。
【0108】
これに対し、本実施形態では、図16に示すように、上記2つの移動抑制ユニット43を省略している。
【0109】
本実施形態は、ランス13の形状が上記第1実施形態のものと異なっている。即ち、図16に示すように、本実施形態のランス13は、プラグ側ロック面41から抜去方向に突出する突出部90を有している。突出部90は、上方を向くランス傾斜面91(第3接触面)を有する。ランス傾斜面91は、抜去方向に向かうにつれて下方に傾斜して延びている。ランス傾斜面91は、プラグ側ロック面41の下端41Aに接続している。従って、ランス傾斜面91は、プラグ側ロック面41よりもプラグハウジング11の近くに配置されている。そして、モジュラーコネクタ1の嵌合状態において、突出部90のランス傾斜面91は、ジャック角部61に接触可能となっている。以上の構成によれば、モジュラープラグ3がモジュラージャック2に対して相対的に抜去方向へ移動すると、ランス傾斜面91がジャック角部61に接触するので、当該移動が抑制される。
【0110】
本実施形態では、ランス13の弾性復元力により、モジュラーコネクタ1の嵌合状態において、ランス傾斜面91が、ジャック角部61に対して常時、接触するようにしてもよい。即ち、図16に示すように、モジュラーコネクタ1の突き当て状態においても、ランス傾斜面91は、ジャック角部61に対して接触するように構成してもよい。以上の構成によれば、ランス傾斜面91がジャック角部61を抜去方向に弾性的に付勢するので、上記第1実施形態と同様、モジュラープラグ3がモジュラージャック2に対して相対的に抜去方向へ移動することを一層効果的に抑制することができる。
【0111】
以上に、第4実施形態を説明したが、上記第4実施形態は以下の特徴を有する。
【0112】
モジュラージャック2に挿抜可能なモジュラープラグ3は、複数のプラグコンタクト10と、複数のプラグコンタクト10を保持するプラグハウジング11と、プラグハウジング11から突出するランス13と、を備える。ランス13は、抜去方向を向くプラグ側ロック面41と、プラグ側ロック面41よりもプラグハウジング11の近くに配置されて抜去方向に向かうにつれてプラグハウジング11に近づくように傾斜すると共にモジュラージャック2のジャック角部61に対して接触可能なランス傾斜面91(第3接触面)と、を有する。モジュラープラグ3とモジュラージャック2の嵌合状態においてプラグ側ロック面41がジャック側ロック面27と挿抜方向で対向することによりモジュラープラグ3のモジュラージャック2からの抜去が禁止されるように構成されている。以上の構成によれば、モジュラープラグ3とモジュラージャック2が嵌合した状態における、モジュラープラグ3のモジュラージャック2に対する挿抜方向における相対的な移動を抑制することができる。従って、モジュラープラグ3の各プラグコンタクト10とモジュラージャック2の各ジャックコンタクト20との接触圧が安定し、一時的な接触抵抗の増大を回避できる。
【符号の説明】
【0113】
1 モジュラーコネクタ
2 モジュラージャック
3 モジュラープラグ
4 ケーブル
5 プラグ付きLANケーブル(ケーブルハーネス)
10 プラグコンタクト
11 プラグハウジング
11A 先端部
11B 後端部
11C 上面
11D 下面
11E 側面
12 プラグシールド
13 ランス
13A 先端部
14 ロック解除レバー
15 フード
20 ジャックコンタクト
21 ジャックハウジング
22 ジャックシールド
23 ジャックコンタクト保持部
24 嵌合空間
25 ジャックハウジング本体
25A 天板
25B 底板
25C 側板
25D 後板
25E 前板
25F 先端部
25G コンタクト溝
26 嵌合開口
27 ジャック側ロック面
28 前板下面
29 ジャック側突き当て面
30 U字部
31 ベース部
32 接触バネ部
33 連結部
40 プラグ側突き当て面
41 プラグ側ロック面(ロック面)
41A 下端
42 プラグシールド本体(金属シールド)
42A 前端部
42B 後端部
42C 天板
42E 側板
43 移動抑制ユニット
44 移動抑制部
45 支持部
46 基端傾斜部
47 先端傾斜部
48 連結部
49 傾斜接触面(第1接触面)
50 シールド延長部(固定部)
51 傾斜延長部(延長部)
52 連結部
60 隙間
61 ジャック角部
70 ユニット支持体
70A 先端面
71 ダブテイル構造
72 係止窓
73 嵌合側係止部
74 抜去側係止部
77 先端垂直部
78 垂直接触面(第2接触面)
80 支持延伸部
81 ランス連動部
90 突出部
91 ランス傾斜面(第3接触面)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19