(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-21
(45)【発行日】2023-03-02
(54)【発明の名称】中空糸膜束の透過特性を決定する方法
(51)【国際特許分類】
B01D 65/10 20060101AFI20230222BHJP
B01D 69/08 20060101ALI20230222BHJP
B01D 63/02 20060101ALI20230222BHJP
B01D 69/02 20060101ALI20230222BHJP
A61M 1/18 20060101ALI20230222BHJP
【FI】
B01D65/10
B01D69/08
B01D63/02
B01D69/02
A61M1/18 500
(21)【出願番号】P 2019521642
(86)(22)【出願日】2017-10-23
(86)【国際出願番号】 EP2017076959
(87)【国際公開番号】W WO2018077781
(87)【国際公開日】2018-05-03
【審査請求日】2020-10-20
(31)【優先権主張番号】102016012722.8
(32)【優先日】2016-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】597075904
【氏名又は名称】フレゼニウス メディカル ケア ドイッチェランド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】グラウサム エルマー
(72)【発明者】
【氏名】フェール インゴ
【審査官】小川 慶子
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-532809(JP,A)
【文献】特開2011-16116(JP,A)
【文献】特開2015-150349(JP,A)
【文献】国際公開第2013/176140(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 61/00-71/82
C02F 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空糸膜の限外濾過率および/又は限外濾過係数を決定する方法であって、
(a)第1の端部及び第2の端部を有する複数の中空糸膜(420、421)を含む中空糸膜束(220、320)を設けるステップであって、前記中空糸膜のルーメンは、前記中空糸膜束の第1の端部では末端が開口され、前記中空糸膜束の第2の端部では末端が閉鎖されるように、前記中空糸膜束(220、320)を設けるステップと、
(b)第1の端部及び第2の端部を有して前記中空糸膜束を受けるためのハウジング(101、201、301、401)を設けるステップであって、前記第1の端部が少なくとも1つの液体入口(212、312)を有するように、前記ハウジング(101、201、301、401)を設けるステップと、
(c)前記中空糸膜(420、421)の末端が開口した前記ルーメンを有する前記中空糸膜束(220、320)の前記第1の端部は、前記ハウジング(101、201、301、401)の前記第1の端部にて、前記少なくとも1つの液体入口(212、312)に向かって配向されるように、前記中空糸膜束(220、320)を前記ハウジング(101、201、301、401)に導入するステップと、
(d)前記中空糸膜(420、421)の透過特性を決定するステップと、
(e)前記中空糸膜束の少なくとも小領域(222、322)内の前記中空糸膜束を圧縮するための少なくとも1つの圧縮装置(450、451、460、461)を設けるステップと、
(f)少なくとも1つの液体出口(204、340、440)を設けるステップと、
(g)少なくとも1つの試験液を供給するステップと、
(h)前記ハウジング(101、201、301、401)の前記第1の端部にて前記少なくとも1つの液体入口(212、312、412)を通って前記ハウジング及び/又は前記中空糸膜束及び/又は前記中空糸膜(420、421)の内部に前記少なくとも1つの試験液を流入させるステップと、
(i)前記中空糸膜束の少なくとも小領域(222、322)内の前記中空糸膜束を圧縮するステップと、を含み、
前記ステップ(d)において
前記中空糸膜の前記限外濾過率及び/又は前記限外濾過係数は、少なくとも1つの測定値を記録することによって決定される、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
(j)前記ハウジングの少なくとも1つの液体入口(212、312、412)を通って前記ハウジング(101、210、301、401)に前記少なくとも1つの試験液を流入させる前記ステップ中に、1又は2以上の液体出口(204、340、440)にて測定値を繰り返し記録するか又は測定値軌跡を連続的に記録するステップによって特徴付けられる、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記中空糸膜束の前記圧縮小領域(222、322)は、前記中空糸膜間の流入する前記試験液の液体流が本質的に妨げられるように圧縮状態にある、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記中空糸膜束の前記圧縮小領域(222、322)内の前記中空糸膜の充填密度は、80%を超えて150%までである、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記中空糸膜束の圧縮は、前記少なくとも1つの圧縮装置(460、461)を前記中空糸膜束の内部に導入することによって、及び/又は前記少なくとも1つの圧縮装置による前記中空糸膜束の外側への力の印加によって行われる、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記中空糸膜束の非圧縮小領域(221、321)内の前記中空糸膜の充填密度は、70%未満である、
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記中空糸膜束の圧縮された部分における漏液は、前記ハウジング上の少なくとも1つの更なる液体出口(209、309、409)を通って前記ハウジングの外に排出される、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの液体出口(204、340、440)は、前記ハウジングの構成要素であるか、又は前記少なくとも1つの圧縮装置の構成要素である、
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記圧縮小領域内の前記中空糸膜束の圧縮は、少なくとも2つの圧縮装置(450、451、460、461)によって行われる、
請求項
7に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの更なる液体出口(409)は、前記少なくとも2つの圧縮装置間で生じる何らかの漏液が排出されるように前記ハウジング上に取り付けられる、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ハウジング及び/又は前記少なくとも1つの圧縮装置上に少なくとも1つのガス入口(208、308)及び少なくとも1つのガス出口(207、307)が更に存在する、
請求項1ないし10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
ガスが、前記少なくとも1つのガス入口(208、308)を通って流入し、流入した前記ガスは、前記中空糸膜束の前記中空糸膜間の隙間を通って流れ、任意選択的に前記少なくとも1つのガス出口を少なくとも部分的に通って前記中空糸膜束の前記中空糸膜間の前記隙間から再度流出することができる、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
流入する前記少なくとも1つの試験液は、50mbar~500mbarの入口圧力で前記ハウジング(101、201、301)及び/又は前記中空糸膜束(220、320)の内部に送り込まれる、
請求項1ないし12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記中空糸膜のルーメン内の前記試験液の圧力は、前記中空糸膜の全長に沿った前記少なくとも1つの試験液の前記入口圧力に相当する、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも第1の液体出口(209、309、409)の下流側で
前記中空糸膜束の前記中空糸膜間の隙間に存在する前記試験液は、本質的に、前記中空糸膜の前記ルーメンを出て前記中空糸膜を通過した試験液である、
請求項1ないし14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記中空糸膜束のそれぞれが注型用樹脂の中にポッティングされていない、
請求項1ないし15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
請求項1ないし16のいずれか1項に記載の方法を実行する装置であって、
(a)少なくとも1つの試験液を受けるための少なくとも1つのリザーバ(102)と、
(b)第1の端部と中空糸膜束を受けるための第2の端部とを有するハウジング(101)であって、前記ハウジングの前記第1の端部が少なくとも1つの液体入口(212、312、412)を有する、ハウジング(101)と、
(c)前記少なくとも1つの試験液を前記少なくとも1つのリザーバから前記ハウジング(101、201、301)及び/又は前記中空糸膜束(220、320)/中空糸膜の内部に供給するためのポンプ送給手段(104)を有する少なくとも1つの連通装置と、
(d)前記中空糸膜束の少なくとも小領域(222、322)を圧縮するための少なくとも1つの圧縮装置(450、451、460、461)と、
(e)少なくとも1つの液体出口(204、340、440)と、
(f)1又は2以上の液体出口(204、340、440)にて透過特性を時間依存的に測定する手段と、を備えている、
装置。
【請求項18】
前記装置は、前記ハウジングの1又は2以上の液体入口における圧力を決定する手段を更に備えている、
請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記装置は、少なくとも1つのガス入口(208、308)及び少なくとも1つのガス出口(207、307)を備える、
請求項17または18に記載の装置。
【請求項20】
中空糸膜フィルタモジュールを形成する方法であって、
(a)中空糸膜フィルタモジュールを形成するように想定された中空糸膜の限外濾過率
及び限外濾過係数
の少なくとも1つを含む透過特性についての1又は2以上の値の範囲を定めるステップと、
(b)ステップ(a)において定められた前記値の範囲を用いて、前記少なくとも1つの透過特性又は前記2又は3以上の透過特性を有する中空糸膜を形成するための1又は2以上の製造パラメータを選択するステップと、
(c)ステップ(b)において選択された前記1又は2以上の製造パラメータに従って紡糸プロセスによって中空糸膜を形成するステップと、
(d)結果として得られた前記中空糸膜を中空糸膜束に結束するステップと、
(e)請求項1~16のうちの何れか1項に記載の中空糸膜の限外濾過率及び/又は限外濾過係数を決定する方法を実施するステップと、
(f)前記1又は2以上の透過特性がステップ(a)において定められた前記値の範囲内にあることが確定されると前記中空糸膜束を用いて中空糸膜フィルタモジュールを作製するステップと、を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項21】
形成された前記中空糸膜の前記1又は2以上の透過特性が、ステップ(a)において定められた前記1又は2以上の値の範囲内に入らないことが分かった場合に、ステップ(b)からの前記少なくとも1又は2以上の選択された製造パラメータを適合させて、前記製造パラメータを適合させるステップに従って、形成された前記中空糸膜の透過特性が、ステップ(a)において定められた前記値の範囲に戻るようにするステップによって特徴付けられる、
請求項20に記載の中空糸膜フィルタモジュールを形成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空糸膜束における中空糸膜の透過特性を決定する方法に関する。より詳細には、本発明は、中空糸膜束における中空糸膜の限外濾過係数を確定透過特性から決定する方法に関する。
【0002】
本発明は更に、中空糸膜束における中空糸膜の透過特性、特に限外濾過率を決定する方法を実行する装置に関する。
【0003】
本発明は更に、少なくとも1つの所定の透過特性、特に所定の限外濾過率を有する中空糸膜から中空繊維薄膜フィルタモジュールを形成する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
中空糸膜は、液体の浄化において広く使用されている。より詳細には、中空糸膜は、水処理、及び特に腎不全患者の透析における血液洗浄のための医用生体工学で使用される。このタイプの中空糸膜は、フィルタモジュールに中空糸膜束として組み付けられる。血液洗浄のためのこのようなフィルタモジュールは、大量生産規模で形成されているようになった。
【0005】
中空繊維薄膜フィルタモジュールの作製及び透析用の中空糸膜の製造は、従来技術(Uhlenbusch-Korwer, Bonnie- Schorn, Grassmann, Vienken, “Understanding Membranes and Dialysers(膜と透析器の理解)” Publisher: Pabst Science Publishers, 2004)において知られている。
【0006】
血液洗浄に使用される中空糸膜は、ポリスルホン(PSU)及びポリビニルピロリドン(PVP)からなることが多く、一般に、乾湿式紡糸プロセスで生成される。このタイプのプロセスにおいて、ポリマーPSU及びPVP並びに溶媒を含有する紡糸液は、環状ダイを通って押し出されて、中空フィラメントを紡糸する。スパンフィラメントは、初めに空隙を通って垂直に導かれる。スパンフィラメントの押し出しと並行して、凝固媒体が、スパンフィラメントのルーメンに押し出され、その結果、凝固プロセスは、スパンフィラメントの押し出しと共に起こる。凝固は、スパンフィラメント内のゾル相及びゲル相を形成するために転相が伴う。スパンフィラメントは、空隙を通過通した後、凝固浴槽に導入され、ここでスパンフィラメントの凝固が完了して、中空糸膜の固体構造体を形成する。次に、得られた中空糸膜は、複数のリンス浴槽及び乾燥ゾーンを通過する。得られた中空糸膜は、予め設定された紡糸条件に従って細孔構造及び特性が異なる。本明細書において「PSU」という用語は、例えば、ポリエーテルスルホン及びポリフェニルスルホン並びにこれらを含む共重合体を含めて、スルホン基を有する任意のポリマーの総称として理解されたい。
【0007】
一般に、生産プラントにおいて、複数の中空糸膜が同時且つ並行して押し出されるので、生産プラントを通過した後に得られる中空糸膜の繊維は、長繊維シート又は繊維束に結合でき、リールにより巻き取られる。対応するプロセスは、従来技術において知られており、例えば、独国特許公開第10 2006 057 101 A1号明細書に記載されている。
【0008】
中空糸膜を形成するプロセスは、生産設備において3シフト操業として実行される連続プロセスである。これに伴って、何らかの有意な程度までの製造不良を回避するために、得られた繊維の品質を監視する必要性が常にある。従って、得られた中空糸膜の特性が仕様通りであるかどうか、及び生産プロセスが予め設定された条件に従って進行しているかどうかをチェックするために、継続的に試験が行われる。
【0009】
中空糸膜は、特に透過特性によって特徴付けられる。中空糸膜の透過特性は、例えば、腎不全患者の透析において、中空糸膜が特定のタイプの分離プロセスに使用可能であるかどうかを決定付ける。従来、中空糸膜の透過特性の決定には、膜の分離特性を確定できるようになる前に、先ずは、得られた中空糸膜束をフィルタモジュールに組み立てる必要があった。
【0010】
フィルタを構築するためには、中空糸膜束は、フィルタハウジングに押し込まれて、末端をポッティング(注封)する必要がある。ポッティング樹脂は、硬化可能樹脂で、詳細にはポリウレタンである。ポッティング及び硬化は時間の掛かる作業であるので、フィルタの構築及びその後のプラント研究所内でのフィルタに関する分析には、数時間を要する可能性がある。その間も中空糸膜は生産され続けている。極端な場合には、数時間後の分析結果により、得られた中空糸膜がもはや仕様通りではなく、そのため数時間の製造生成物を廃棄しなければならないことが示されることになる。
【0011】
対照的に、分析結果により、得られた中空糸膜が仕様を満たしており、製造された中空糸膜について対応する製造生成物を更に処理して、対応するフィルタモジュールにすることができる
【0012】
上述したように、このタイプの中空糸膜フィルタモジュールは、腎不全患者の血液透析に使用される。腎不全患者の血液透析は、膜透過型の物質移動の原理に基づく。血液透析において、血液は、中空糸膜の内面に沿って流れ、他方、適切なタイプの透析液は、中空糸膜の外面を流れる。血液と透析液は反対方向に流れ、対向流タイプの濾過作用を生じさせる。
【0013】
腎不全患者の血液治療における濾過条件に応じて、例えば、尿素、クレアチニン、リン酸塩及び有害なタイプの血漿タンパク質などの好ましくない代謝産物が、膜壁を通って透過することによって患者の血液から除去され、場合によっては透析液により吸収される。同様に、透析液の溶存成分もまた、膜壁を通って血液側に透過することができる。透析液は、例えば、電解質(例えば、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、C1)、ブドウ糖及び緩衝剤(例えばNaHCO3)を含有する含水生理溶液として提供される。
【0014】
血液透析又は血液洗浄に関して上記で概説した方式での膜透過型の物質移動は、原理的に、2通りの方法、すなわち、対流移動又は拡散移動によって行うことができる。
【0015】
対流移動においては、液体及び液体中に存在する物質は、膜透過圧力勾配に沿って膜を透過する。拡散移動においては、物質は、膜壁にわたる溶質の固有の分子運動及び濃度勾配によって膜を透過する。
【0016】
中空糸膜のタイプ及び/又は中空糸膜の細孔サイズ並びに血液及び透析液の設定流量に応じて、濾過プロセスは、様々な方法で進めることができる。例えば、血液濾過又は血液透析濾過プロセスにおける血液治療が、比較的大きな細孔を有する中空糸膜を利用し、及び/又は2つの液体-血液及び血液透析液-の流れについて、高い流量が事前設定されている場合、濾過の少なくとも一部は、対流的に進むことになる。
【0017】
対照的に、血液治療が単純な透析の形態を取る場合、より小さい細孔を有する膜が使用され、物質移動は、本質的に拡散移動である。これらの条件下では、浸透するのは、特に低分子量の物質だけであり、例として、尿素、電解質、ビタミンB12、クレアチニン及びリン酸塩である。
【0018】
更に、腎不全患者の血液から有害なタイプの血漿タンパク質を除去することは、対流タイプの物質移動が可能となる治療プロセスでのみ達成可能である。このタイプの血漿タンパク質は、いわゆる中間分子の範囲の血漿タンパク質で生じる。中間分子範囲の良く知られているタンパク質は、β2ミクログロブリン又はインターロイキン6である。
【0019】
細孔サイズによっては、限外濾過係数は、中空糸膜の別の透過特性である。限外濾過係数は、所与の濾過構造において、単位時間当たり単位圧力差当たりの液体(一般に水)に対する中空糸膜の透過度を示す。中空糸膜の限外濾過係数を決定する方法は、従来技術において知られている。この点に関してDIN/EN/ISO 8637:2014規格を参照する。上記の規格では、試験液として血液を使用することが記載されている。しかしながら、この規格から離れて、試験液として水又は血漿が使用されることが多い。特に、水は、広く入手可能であり、測定が大幅に簡素化される。従って、限外濾過係数はまた、「水性」とも呼ばれる。
【0020】
中空糸膜製造中のパラメータの予期しない変化は、転相プロセスに影響を与える可能性がある。その結果、平均細孔サイズ又は単位膜面積当たりの細孔の数が変化する可能性があり、これは、検出可能な限外濾過に直接的に影響を与える。従って、中空糸膜の製造において、製造プロセスを管理できるようにするのに重要であるのは、特に、中空糸膜の指定の限外濾過率である。
【0021】
従来技術では、国際公開第2013/034611号に記載されている中空糸膜の透過特性を決定する方法が開示されている。国際公開第2013/034611(A1)号の18頁には、末端がポッティングされた中空糸膜束に対する透水率を決定する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【文献】独国特許公開第10 2006 057 101 A1号明細書
【文献】独国特許公開第100 07 327(A1)号明細書
【文献】国際公開第2013/034611号公報
【非特許文献】
【0023】
【文献】Uhlenbusch-Korwer, Bonnie- Schorn, Grassmann, Vienken, “Understanding Membranes and Dialysers” Publisher: Pabst Science Publishers, 2004
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
中空糸膜製造における品質管理の既存の方法は、改善の必要があることが明らかにされた。従って、本発明の目的は、中空糸膜の透過特性、特に限外濾過率を決定する簡素化した方法を提供することにある。
【0025】
本発明の目的は、更に、中空糸膜束を試験して中空糸膜の限外濾過率を決定する装置を提供することにある。
【0026】
本発明の目的は、更に、中空糸膜の透過特性、特に限外濾過率に関する仕様が遵守されるように製造プロセス内で中空糸膜が製造可能である中空糸膜の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明の第1の態様において、意外にも、透過特性を決定することに関する上述の問題は、請求項1に記載の方法を提供することによって解決されることが分かった。請求項2から17では、第1の態様による本発明の好適な実施形態を記載している。
【0028】
更に、本発明の第2の態様において、記載の問題は、請求項18に記載の装置によって解決されることが分かった。請求項19及び20では、第2の態様による本発明の好適な実施形態を記載している。
【0029】
第3の態様において、本発明は、1から17までの何れか1つの実施形態による方法を使用することによって請求項21に記載の中空糸膜フィルタモジュールを製造する方法を提供する。
【0030】
本発明の第1の態様において、意外にも、上述の問題は、中空糸膜の少なくとも1つの透過特性、より詳細には限外濾過率を決定する方法によって解決されることが分かった。 本方法は、
・第1の端部及び第2の端部を有する複数の中空糸膜を含む中空糸膜束を設けるステップであって、中空糸膜のルーメンは、中空糸膜束の第1の端部では末端が開口され、より詳細には透液性であり、中空糸膜束の第2の端部では末端が閉鎖され、より詳細には液密であるように、中空糸膜束を設けるステップと、
・第1の端部及び第2の端部を有して中空糸膜束を受けるためのハウジングを設けるステップであって、第1の端部が少なくとも1つの液体入口を有するように上記ハウジングを設けるステップと、
・中空糸膜の末端が開口したルーメンを有する中空繊維束の第1の端部が、ハウジングの第1の端部にて少なくとも1つの液体入口に向かって配向されるように、中空繊維束をハウジングに導入するステップと、
・中空糸膜束の透過特性を決定するステップと、
を含む。
【0031】
指定された方法のステップによって、最初に中空糸膜フィルタモジュールを中空糸膜束から形成する必要がなく、中空糸膜の透過特性を決定できることが明らかになった。従って、試験用フィルタモジュールを煩雑に形成する必要はない。中空糸膜の透過特性は、中空糸膜束を最初にポッティングすることなく決定される。
【0032】
1つの実施形態において、本発明の方法は、
・第1の端部及び第2の端部を有する複数の中空糸膜を含む中空糸膜束を設けるステップであって、中空糸膜のルーメンは、中空糸膜束の第1の端部では末端が開口され、より詳細には透液性であり、中空糸膜束の第2の端部では末端が閉鎖され、より詳細には液密であるように、中空糸膜束を設けるステップと、
・第1の端部及び第2の端部を有して中空糸膜束を受けるためのハウジングを設けるステップであって、第1の端部が少なくとも1つの液体入口を有するように上記ハウジングを設けるステップと、
・中空糸膜の末端が開口したルーメンを有する中空繊維束の第1の端部は、ハウジングの第1の端部にて少なくとも1つの液体入口に向かって配向されるように、中空繊維束をハウジングに導入するステップと、
・中空糸膜束の少なくとも小領域(222、322)内の中空糸膜束を圧縮する、より詳細には中空糸膜束の第1の端部に隣接する中空糸膜束の小領域を圧縮するための少なくとも1つの圧縮装置(204、340、450、451、460、461)を設けるステップと、
・少なくとも1つの液体出口(204、340、440)を設けるステップと、
・少なくとも1つの試験液を供給するステップと、
・ハウジング(101、201、301、401)の第1の端部にて少なくとも1つの液体入口(212、312、412)を通ってハウジング及び/又は中空糸膜束及び/又は中空糸膜(420、421)の内部に少なくとも1つの試験液を流入させるステップと、
・中空糸膜束(222、322)の少なくとも小領域内の中空糸膜束を圧縮する、より詳細には中空糸膜束の第1の端部に隣接する中空糸膜束の小領域を少なくとも1つの圧縮装置(203、340、450、451、460、461)によって圧縮するステップと、
・少なくとも1つの測定値を記録することによって、より詳細には少なくとも1つの液体出口にて少なくとも1つの試験液の出現量を測定することによって中空糸膜の限外濾過率及び/又は限外濾過係数を決定するステップと、
を含む。
【0033】
少なくとも1つの測定値の記録、より詳細には少なくとも1つの液体出口での少なくとも1つの試験液の出現量の値の記録は、中空糸膜束における試験した中空糸膜の透過特性を表すことが明らかになった。この方法によって、最初に中空糸膜束から中空糸膜フィルタモジュールを形成する必要がなく中空糸膜の透過特性を決定することができる。従って、試験用フィルタモジュールを煩雑に形成する必要はない。
【0034】
従来の中空糸膜フィルタモジュールを形成するために、対応する中空糸膜束は、フィルタモジュールのハウジングに押し込まれて、ハウジングにおいて注型用樹脂で末端をポッティングされる。このプロセスでは、繊維間の隙間が注型用樹脂で充填されているので、最終的には繊維間の隙間に液体が侵入することはない。最初に、中空糸膜のルーメンもまた、端部において閉鎖されている。中空糸膜のルーメンは、ポッティングしたカプセル化の一部を末端で分離することによって再び露出される。本発明の方法は、中空糸膜束の末端でのポッティングが不要であるという利点を有する。本発明の関連において、中空糸膜は、単に一方の端部で閉鎖されていればよい。
【0035】
第1の態様による本発明の更なる効果は、中空糸膜は、短時間で、すなわち形成後数分内で透過特性について試験可能であることである。完全な試験用フィルタモジュールを構築する必要がある従来技術の試験手順では、少なくとも3時間の期間が必要である。この期間中に生成される可能性がある多量の廃棄物は、本発明の方法を用いることによって回避することができる。これにより、例えば、中空糸膜の製造プロセス中に、製造工程の品質について迅速に推察して、時間遅延なしに製造工程を制御するための何らかの適切な対策を講じることが可能である。従って、本発明の方法は、中空糸膜の製造を制御するための結果を提供する点で迅速且つ確実であるという利点を有する。結果として、重大な製造不良が回避可能である。
【0036】
本発明による方法の1つの実施形態において、本方法は、
・第1の端部及び第2の端部を有する複数の中空糸膜を含む中空糸膜束を設けるステップであって、中空糸膜のルーメンは、中空糸膜束の第1の端部では末端が開口され、より詳細には透液性であり、中空糸膜束の第2の端部では末端が閉鎖され、より詳細には液密であるように、中空糸膜束を設けるステップと、
・第1の端部及び第2の端部を有して中空糸膜束を受けるためのハウジングを設けるステップであって、第1の端部が少なくとも1つの液体入口を有するように上記ハウジングを設けるステップと、
・中空糸膜の末端が開口したルーメンを有する中空繊維束の第1の端部は、ハウジングの第1の端部にて少なくとも1つの液体入口に向かって配向されるように、中空繊維束をハウジングに導入するステップと、
・中空糸膜束の少なくとも小領域(222、322)内の中空糸膜束を圧縮する、より詳細には中空糸膜束の第1の端部に隣接する中空糸膜束の小領域を圧縮するための少なくとも1つの圧縮装置(204、340、450、451、460、461)を設けるステップと、
・少なくとも1つの液体出口(204、340、440)を設けるステップと、
・少なくとも1つの試験液を供給するステップと、
・ハウジング(101、201、301、401)の第1の端部にて少なくとも1つの液体入口(212、312、412)を通ってハウジング及び/又は中空糸膜束及び/又は中空糸膜(420、421)の内部に少なくとも1つの試験液を流入させるステップと、
・中空糸膜束(222、322)の少なくとも小領域内の中空糸膜束を圧縮する、より詳細には中空糸膜束の第1の端部に隣接する中空糸膜束の小領域を少なくとも1つの圧縮装置(203、340、450、451、460、461)によって圧縮するステップと、
・少なくとも1つの測定値を記録することによって、より詳細には少なくとも1つの液体出口にて少なくとも1つの試験液の出現量を測定することによって中空糸膜の限外濾過率及び/又は限外濾過係数を決定するステップと、
から成る。
【0037】
本発明による方法の第1のステップは、第1の端部及び第2の端部を有する複数の中空糸膜を含む中空糸膜束を設けるステップを含み、中空糸膜束の第1の端部での中空糸膜のルーメンの開口部は、末端が開口されており、より詳細には透液性であり、中空糸膜束の第2の端部では末端が閉鎖され、より詳細には液密である。
【0038】
本明細書における「中空糸膜束」という用語は、複数の中空糸膜から形成された束を意味すると理解されたい。「中空糸膜」は毛細管構造を有する。より詳細には、中空糸膜は、多孔質材料から成り且つ本質的に円形の直径を有する中空フィラメントの形状の膜である。透析に提供することができるこのような中空糸膜の肉厚は、膜材料に応じて、10~100μmの範囲とすることができる。このタイプの中空糸膜のルーメン直径は、一般に、150μm~250μm、特に180μm~220μmであり、繊維長は、150μm~300mm、特に250mm~300mmの範囲にある。液体は、中空糸膜のこの内径部を通って流れることができる。より詳細には、中空糸膜は、中空糸膜の外面から中空内部、又は中空内部から外面への物質の膜透過に依存する分離プロセスのために設けられる。このタイプの中空糸膜は、通常、血液の治療処置で利用される。
【0039】
中空糸膜の材料は、ポリマー、好ましくは、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリビニルピロリドン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリエチレンエーテル、セルロース、再生セルロース、セルロースアセテート、又はこれらの混合物から選択することができる。特に好ましいのは、疎水性ポリマー材料(例えば、ポリスルホン又はポリエーテルスルホン)及び親水性ポリマー材料(例えば、ポリビニルピロリドン)を含む、より詳細にはこれらから成る膜である。中空糸膜は、膜材料が中空糸膜の内部と中空糸膜の周囲との間の物質移動を可能にするように、より詳細には特定の物質の粒子のサイズに応じた選択的なタイプの物質移動を可能にするように設計された複数の細孔を有するように設計される。「ルーメン」は、中空糸膜の中空内部に付けられた名称である。
【0040】
本発明において、「ルーメン」という用語は、中空糸膜の第1の端部から第2の端部まで全体として中空糸膜の内部に延びる一貫したキャビティを意味すると理解されたい。中空糸膜のルーメンは、多孔質膜壁により囲まれているので、ルーメンの内部を通って送られる液体及び/又はガスは、中空糸膜に沿って膜壁と物質移動によって接触し、流体の膜透過が観測可能である。繊維端部でのルーメンへの開口部は、物質、より詳細には液体及び/又はガスが繊維内部に流入及び/又は再流出することができるアクセスポイントを構成する。
【0041】
複数の中空糸膜を組み合わせて中空糸膜束にする行為によって、個々の中空糸膜間に、液体及び/又はガスを同様に配管供給することができる隙間が作り出される。中空糸膜束は、好ましくは、中空糸膜の数が少なくとも50~20000に及ぶ。中空糸膜束の典型的な直径は、15mm~50mmの範囲にある。本発明の方法において利用される中空糸膜束は、ポッティングされておらず、すなわち、中空糸膜束の端部は、注型用樹脂でポッティングされていない。
【0042】
複数の中空糸膜を組み合わせて中空糸膜束にする行為によって、中空糸膜のパッケージが得られ、中空糸膜は、パッケージによって予め設定された充填密度で共にパッケージングされる。中空糸膜束は、このようなパッケージ内に抵抗力を生じさせる。その結果、中空糸膜束は、圧縮可能であり、圧縮に応じて復原力を提供する。圧縮された中空糸膜束は、弛緩状態に戻ろうとする。より詳細には、復原力はまた、中空糸膜の形成中に中空糸膜上のエンボス加工された波紋と関連がある。中空糸膜及び中空糸膜束を形成する対応の方法は、従来技術、例えば独国特許公開第100 07 327 A1号明細書から知られている。
【0043】
本発明の方法において利用される中空糸膜束は更に、第1の端部及び第2の端部を有し、第1の端部は第2の端部と異なる。
【0044】
本発明の方法において、中空糸膜束は、第2の端部において閉鎖された中空糸膜を有する。より詳細には、第2の端部での中空糸膜束の中空糸膜のルーメンの開口部は、末端が閉鎖され、より詳細には、末端にて液体及び/又はガスがルーメンから周囲に流出又は周囲からルーメンに流入しないようになっている。
【0045】
中空糸膜束の一端部にて中空糸膜を閉鎖する手順は、従来技術において知られている。中空糸膜は、加熱によって、例えば、熱放射又は熱接触を介して、又は樹脂によって、或いはレーザー放射を介して閉鎖可能である。本発明においては、アルミ箔との熱接触を含む方法が好ましい。例えば、250℃~350℃のホットプレートを使用して、片側の中空糸膜束を中空糸膜の端部で溶融させることができる。ホットプレートと中空糸膜の端部との間の剥離ライナーとして配置されるアルミ箔は、冷却化後に中空糸膜束の端部から剥離することによって取り外すことができる。ホットプレート上での溶融プロセスによって、中空糸膜の端部でのルーメンの開口部が共に溶融する。これによって、液密閉鎖部が中空糸膜の第1の端部上に得られる。
【0046】
本発明による方法の更なるステップは、第1の端部及び第2の端部を有して中空糸膜束を受けるためのハウジングを設けるステップを含み、第1の端部は、少なくとも1つの液体入口を有する。
【0047】
本明細書における「ハウジング」という用語は、複数の中空糸膜を受けるために設けられた中空体を意味すると理解されたい。複数の中空糸膜から成る中空糸膜束がハウジングに導入されると、これによって、中空糸膜間に、及びハウジングの内壁と中空糸膜の外面との間にスペースがハウジング内に残され、ここを通って液体が流動することができる。好適なハウジングは、細長い形状を有することができるので、ハウジングの1つの寸法は、第2及び第3の寸法よりも長く、ハウジングの長手方向軸線周りに回転可能である。設けられたハウジングの長手形状に従って、ハウジングは、垂直及び水平方向の好ましい配向で使用可能である。
【0048】
1つの好ましい形状において、このようなハウジングは、円筒形、例えば、スリーブ形態である。対応するスリーブ状ハウジングは、少なくとも一方端部にて開口することができるので、中空糸膜束は、スリーブに導入することができる。ハウジングは、その後、閉鎖することができ、又は対応するエンドキャップ又はコネクタと結合することができる。中空糸膜束のハウジングとして有用な対応するスリーブは、透析装置の作製から従来技術において知られている。対応するハウジングは、好ましくは、撓み剛性のプラスチック材料(例えば、ポリカーボネート、ポリプロピレン又はポリオキシメチレン)から、又は金属(例えば、アルミニウム又はステンレス鋼)から成る。
【0049】
本発明の方法において、ハウジングは、ハウジングの一方の端部において少なくとも1つの第1の液体入口を有する。液体入口は、液体をハウジングの内部及び/又は中空糸膜束/中空糸膜の内部に流入させるように設計される。少なくとも1つの液体入口は、ハウジングの当該端部にてハウジングへの円筒形アクセスポイントを構成することができる。しかしながら、液体用のアクセスポイントはまた、円筒形ハウジングの開放端部を構成することができる。
【0050】
本発明の方法は更に、少なくとも1つの液体入口から離間した少なくとも1つの液体出口を設けている。本明細書での「離間した」とは、液体入口及び液体出口は、互いから十分に離れており、液体入口を通って流入する液体が、ハウジングの一部及び/又は中空糸膜束の一部を通って流れることを意味すると理解されたい。より詳細には、液体は、中空糸膜束を受けるためのハウジング部分を通って流れることが提供される。液体出口は、より詳細には透過水、より詳細には限外濾過液を排出する役割を果たす。
【0051】
本発明による方法の更なるステップは、中空糸膜束の少なくとも小領域内の中空糸膜束を圧縮することができる少なくとも1つの圧縮装置を設けるステップを含む。中空糸膜束は、変形可能であり、より詳細には圧縮可能である。圧縮されると、中空糸膜内の中空糸膜の充填密度が増大する。充填密度は、本明細書では、ハウジングに導入された中空糸膜束における中空糸膜の緻密性の程度を指す。中空糸膜の充填密度は、個々の中空糸膜の断面積の総計を組立体内の全ての中空糸膜の断面積を囲む全断面積で除算したものである。これは、概ねハウジング断面である。円形の丸い断面を有する中空糸膜及びハウジングの外形形状の場合、充填密度は、次式に従って計算される。
d
(fibre)は、応力を受けない中空糸膜の平均外径であり、
d
(filter)は、ハウジングの内径であり、
nは、ハウジング内の中空糸膜の数である。「応力を受けない中空糸膜」という用語は、個々の自由な中空糸膜を指す。ハウジングにおいて、中空糸膜は、変形することができ、すなわち、圧縮作用によって課せられた応力を受けて変形断面を呈する場合がある。より詳細には、その結果として100%よりも大きい充填密度が得られる場合がある。しかしながら、充填密度は、応力を受けない中空糸膜の直径に基づいて常に計算される。
【0052】
使用される「圧縮装置」は、中空糸膜束における中空糸膜の充填密度を増大させることができる手段である。中空糸膜束を圧縮することができる圧縮装置は、従来技術において知られている。圧縮装置は、例えば、中空繊維束を中空糸膜束の1又は2以上の場所で封入し、リングの弾性材料に起因して印加された初期張力に従って中空糸膜束を圧縮する弾性リングとすることができる。更に、加圧カフ又は圧力パッドを中空糸膜束周りに設置するか又は中空糸膜束に導入することが可能であり、加圧カフ又は圧力パッドの加圧が、中空糸膜束における中空糸膜の充填密度を増大させる役割を果たすようになる。より詳細には、中空糸膜束は、ハウジング又はハウジングの一部分に与えられた特別な外形形状によって、詳細には少なくとも1つの液体入口によって又は少なくとも1つの液体出口によって、その位置から移動されて圧縮状態にされ、これにより中空糸膜束の少なくとも一部を圧縮するように定めることができる。これは、例えば、中空糸膜束の中心に導入され且つハウジングの長手方向軸線に平行なマンドレル及び/又はスリーブによって達成することができる。
【0053】
好ましくは、少なくとも1つの圧縮装置は、第1の開口端部に隣接する中空糸膜束の少なくとも当該小領域を圧縮できるように設計される。
【0054】
本発明による方法の更なるステップは、中空糸膜の末端が開口したルーメンを有する中空繊維束の第1の端部がハウジングの第1の端部で少なくとも1つの液体入口に向かって配向されることによって、中空繊維束をハウジングに導入するステップを含む。導入された中空糸膜束のこの構成において、液体入口及び中空糸膜のルーメンの開口端部は隣接して配置され、流入液体と中空糸膜の開口ルーメンとの間で液体連通があり、流入液体が開口ルーメンを通って中空糸膜の内部へ侵入することができるようにする。
【0055】
中空繊維束をハウジングに導入するステップは、試験される中空糸膜束が巻回された低摩擦膜間(interfoil)を使用して行うことができる。箔において巻回された中空糸膜束は、ハウジング内径よりも小さな直径を有するので、巻回された中空糸膜束は、ハウジングに押し込めることができる。その後、ハウジング内壁と中空糸膜束との間の低摩擦箔は、中空糸膜束をハウジングに残して引き抜くことができる。中空糸膜束が部分的に圧縮された状態でハウジングに導入される実施形態が好ましい。ハウジング自体の内部では、中空糸膜は、中空糸膜束の圧縮応力及び弛緩に従って実質的に空間充填状態で整合されている。本発明において、中空糸膜束が圧縮応力を受けている間に中空糸膜がハウジングのスペースを大部分充填するように中空糸膜束をハウジングに導入するステップは、中空糸膜束をハウジングに「押し付けている」ステップとも呼ばれる。
【0056】
本発明による方法の更なるステップは、試験液を供給するステップを含む。本発明において、「試験液」という用語は、透過特性に関して膜を試験することができる液体を意味すると理解されたい。このような試験液は、例えば、水溶液、純水、血漿又は血液とすることができる。試験液又は少なくともその一部は、膜透過性である。本明細書における「膜透過性」という用語は、試験液又はその一部が、中空糸膜のルーメンから膜壁を通って中空糸膜の外側周囲に透過できることを意味すると理解されたい。
【0057】
試験液は、好ましくは、温度調整の有無を問わずリザーバ内に供給される。原理的には、本発明の方法を実施するのにあらゆる温度選択が好適である。特に、本方法を実行するのに、10℃~90℃の温度を考えることができる。より詳細には、本方法を実行するのに、20℃~40℃の温度も想定される。
【0058】
本発明による方法の更なるステップは、少なくとも1つの第1の試験液をハウジングの第1の端部で少なくとも1つの液体入口を通ってハウジング及び/又は中空糸膜束及び/又は中空糸膜の内部に送るステップを含む。この工程の結果として、中空糸膜間の隙間並びに中空糸膜のルーメンは、少なくとも部分的な程度まで、好ましくは本質的に完全な程度まで洗浄される。
【0059】
本発明による方法の更なるステップは、少なくとも中空糸膜束の小領域においてハウジング内に位置する中空糸膜束を少なくとも1つの圧縮装置によって圧縮するステップを含む。より詳細には、中空糸膜束の第1の端部に隣接する中空糸膜束の小領域を圧縮するステップを含む。圧縮によって、中空糸膜束の非圧縮小領域に対してこの小領域における中空糸膜の充填密度の増加が生じる。圧縮によって、流れ抵抗が中空糸膜間の隙間に生じる。圧縮度は、液体の任意の流れが中空糸膜間の隙間において実質的に停止されるようなものとされる。この場合の中空糸膜束の圧縮小領域によって、流入液体が、ハウジングの第1の端部でハウジングの内部及び中空糸膜の開口ルーメンに侵入し、中空糸膜間の隙間への液体の侵入が妨害又は停止される。
【0060】
圧縮度は、中空糸膜を損傷するほど苛酷であってはならず、より詳細には中空糸膜のルーメン内の液体のためのスペースが損なわれてはならない。しかしながら、中空糸膜のある程度の変形は許容可能である。中空糸膜の所与の数及び外形形状に対して中空糸膜束の圧縮を決定する尺度は、充填密度である。本発明の方法に対して想定された試験液進入圧力での中空糸膜間の流れを停止する際に、中空糸膜束の圧縮小領域内の少なくとも80%の充填密度が効果的であることが分かった。150%を上回る充填密度では、膜材料によっては中空糸膜の損傷の何らかのリスクが既にある。中空糸膜束の圧縮小領域内の充填密度は、好ましくは、80%を超えて150%までの範囲、更に好ましくは、85%~120%の範囲、更により好ましくは、90%~110%の範囲である。中空糸膜間のスペース内の液体の流れがこの小領域において必要とされるので、中空糸膜束の非圧縮小領域内の充填密度は、圧縮小領域に対して異なる。非圧縮小領域内の充填密度は、20%超え~70%未満の範囲とすることができる。流入試験液の所与の所要圧力については、70%を上回る充填密度は、中空糸膜間の流れを不利に妨げるのに既に十分である。
【0061】
本発明による方法の更なるステップは、値、より詳細には1又は2以上の液体出口で生成された試験液量を特に単位時間当たりで膜透過の圧力差に基づいて測定することによって、中空糸膜の透過特性、より詳細には限外濾過率及び/又は限外濾過係数を決定するステップを含む。
【0062】
本明細書において膜の「透過特性」という用語は、膜壁を通る流体の透過に関係する膜透過タイプの物質移動の特徴を指す。膜の透過特性は、膜の微細孔構造に関する情報を提供し、多孔質構造に関して膜を特徴付けることができる測定基準として解釈される。膜透過タイプの物質移動の結果として観測される任意の透過は、一般に更なる量との関連で考慮される。より詳細には、この用語はまた、本明細書では、どれだけの液体が膜の透過によって時間間隔で分離できるかを意味すると理解されたい。単位時間当たりの透過した液体の量は、限外濾過率に対応する。限外濾過率が膜透過の圧力差に関係する場合、この透過値は限外濾過係数を示す。本発明において、限外濾過率及び限外濾過係数は各々、中空糸膜を記述する透過特性と考えられる。
【0063】
本発明の1つの実施形態に関連したより詳細な所見は、本発明の方法が限外濾過率、より詳細には試験した中空糸膜の限外濾過係数を決定するのに有用であることであった。限外濾過率を決定する要件は、末端が閉鎖されていない中空糸膜を有する中空糸膜束の端部に衝突する流入試験液は、本質的に中空糸膜のルーメンのみに流入し、中空糸膜間の隙間には流入しないことである。これは、上述したように、末端が閉鎖されていない中空糸膜の圧縮された領域を備える中空糸膜束によって達成することができる。これによって、中空糸膜束の圧縮領域は、「準カプセル化」を構成する。結果として、中空糸膜束の圧縮は、中空糸膜の内部において液体の流れを可能にすることのみによって、中空糸膜束を封入するポッティング樹脂の機能を模倣する。対照的に、中空糸膜束の圧縮領域内の繊維間の液体の流れは、大幅に妨げられるか又は不可能である。圧縮度が高いほど、中空糸膜間のスペース内の流量が低くなる。
【0064】
中空糸膜の開口端部を通って流入する試験液は、中空糸膜の内部を通って流れる。中空糸膜束の第2の端部における中空糸膜の端部は閉鎖されているので、試験液は、中空糸膜束の非圧縮部分において、いわゆる限外濾過液として膜壁を通って中空糸膜間の空間に透過することになる。中空糸膜間のスペースは、1つの更なる液体出口と連通し、限外濾過液をハウジングから排出することを可能にする。
【0065】
本発明の第1の態様による更なる実施形態において、中空糸膜の透過特性、より詳細には限外濾過率及び/又は限外濾過係数は、測定値を、より詳細には測定値の時間依存の軌跡を取得するために、少なくとも1つの試験液を時間依存的にハウジングに流入させるステップの間に1又は2以上の液体出口で生成された液体の量を複合的に又は連続的に測定することによって記録される。複数の時間依存的に記録された測定又は測定値の連続的な軌跡は、実験誤差に起因する変動を修正するのに役立つ。実験手順の他のパラメータ、例えば、温度又は膜透過の圧力差が一定に保たれていることを条件として、記録された限外濾過液量についての線形相関が、時間の関数として取得される。これに対応して、線形回帰は、測定値の軌跡及び勾配から決定された限外濾過率に適合させることができる。限外濾過係数は、予め設定された一定の膜透過の圧力差に正規化することによって導くことができる。
【0066】
本発明の第1の態様による更なる実施形態において、中空糸膜束の圧縮部分は、中空糸膜束の第1の端部から測定された10mm~150mmの長手方向部分にわたって軸方向に延びる。10mmの長さを下回ると、中空糸膜の圧縮は、中空糸膜の充填密度によっては、中空糸膜間のスペース内の試験液の流れを停止させるのに不十分な効果をもたらす。150mmの長さを上回ると、血液透析器の作製の品質特徴としての測定結果の有意味性が悪化し、これは、透析フィルタ自体の製造における中空糸膜束は、約250mm~300mmの長さしか有していないことに起因する。中空糸膜の限外濾過が起こる領域が小さ過ぎる場合、測定手順は、好ましくない幅の誤差を有する傾向がある。
【0067】
本発明の第1の態様による更なる実施形態において、少なくとも1つの液体出口は、第1の開口部及び第2の開口部を有し、液体出口は、中空糸膜束の非圧縮部分内にある第1の開口部と中空糸膜束の外側にある第2の開口部との間の液体連通を確立するようにハウジング上に取り付けられると共に、液体出口は、より詳細には、中空糸膜束の圧縮小領域を通って延びる。
【0068】
より詳細には、1つの実施形態における少なくとも1つの液体出口は、中空糸膜の軸方向配向で末端が開口した中空糸膜を有する中空糸膜束を第1の端部にて貫通するようにハウジング上に構築され、中空糸膜束のこの部分における中空糸膜束を圧縮する。この実施形態において液体出口はスリーブの形態を取ることは想定される。同時に、この実施形態において、液体出口は、中空糸膜束の対応する部分において中空糸膜を変位させ、より高い充填密度をもたらすことによって中空糸膜束のための圧縮装置としての役割を果たす。従って、この実施形態において、液体出口は、生成された限外濾過液を排出するために、中空繊維束の非圧縮部分における中空糸膜間のスペースと液体連通を確立する。
【0069】
圧縮及び液体出口の機能を一度に且つ同時に実行するために、本発明の第1の態様による更なる実施形態は、液体出口を移動方式でハウジング上に収容するようにする。本発明による方法の更なるステップにおいて、液体出口は、ハウジングの長手方向軸線に軸方向に移動されて中空糸膜束の一部に押し込まれ、中空糸膜がその位置から変位して、充填密度が増大するようになる。液体出口の中空糸膜束への挿入は、補助装置を用いて行うことができる。補助装置は、中空糸膜束内に残すか、又は液体出口が挿入された後に改めて取り外すことができる。
【0070】
この実施形態では、液体出口がマンドレル形態で構成されるか、又は液体出口は、マンドレルによって中空糸膜束に押し込まれるスリーブとして構成されるようにする。マンドレル形の外形形状は、中空糸膜がプロセスにおいて損傷を受けることなく圧縮領域において充填密度を増大させるように中空糸膜を変位させることができるという効果を有する。
【0071】
更なる実施形態では、様々な圧縮装置の組み合わせを使用して中空糸膜束の圧縮が生成されるようにされる。従って、液体出口及び弾性リング又は加圧カフから形成されたスリーブを中空糸膜束に押し込むのに使用して幾らかの圧縮を生じさせるのに提供することができる。
【0072】
中空繊維束の非圧縮部分における充填密度は、70%未満と想定される。本発明において使用される用語の関連において、「圧縮」及び「非圧縮」という用語は、互いに対して異なる充填密度を有する中空糸膜束の部分を指す。これらの用語は、必ずしも絶対的な用語として理解されるべきではない。従って、60%の充填密度を有する中空繊維束部分は、非圧縮と解釈することができ、中空糸膜束の第2の部分は、80%の充填密度を有する。
【0073】
本発明の第1の態様による更なる実施形態では、ハウジングは、脱気のための少なくとも1つの開口部を備えているようにされる。ハウジングの内部スペースの完全な脱気は、限外濾過測定の再現性に必要とすることができる。従って、本発明の第1の態様による方法の1つのステップは、ハウジングへの試験液の流入中に変位された空気が、ガス出口を通って排出されることを含む。試験される中空糸膜の細孔構成によっては、変位した空気の排出は、液体出口を通ってハウジングの外に完全には排出することができない場合に必要となることがある。ハウジングの脱気開口部は、例えば、ハウジング上の孔円(hole circle)の形態を取ることができる。脱気開口部は、中空糸膜が末端で閉鎖されている中空糸膜束端部の直近に配置される。脱気開口部は、調整後、すなわちハウジングを脱気した後に再度閉鎖することができる。
【0074】
本発明の第1の態様による更なる実施形態は、押し込まれた中空糸膜束の非圧縮部分の反対側で且つ中空糸膜束の圧縮部分の直近で、ハウジングにおいて少なくとも1つの更なる開口部を提供する。開口部を使用して、限外濾過測定中に補助空気の流れをハウジングに送り込み、中空糸膜束の周りに円周方向に集まる限外濾過液が、液体出口の開口端部の方向に排出されるようにすることができる。
【0075】
本発明の第1の態様による更なる実施形態では、押し込まれた中空糸膜束の圧縮部分に反対側で且つ中空糸膜束の非圧縮部分の直近で、ハウジングに少なくとも1つの更なる液体出口を提供する。液体出口は、中空糸膜束の圧縮部分における完全な洗浄度を圧縮部分においても達成する際に、調整ステップ中、すなわち測定開始前に試験液によるハウジングの洗浄中に役立つことができる。加えて、この液体出口は、測定中の漏液の除去を可能にする。本明細書における「漏液」という用語は、中空糸膜束の圧縮でも中空糸膜間の隙間に侵入する試験液を意味することを理解されたい。限外濾過液の測定量を歪曲する可能性があるので、漏液が中空糸膜束の非圧縮部分の範囲までも進むことは望ましくない。更なる液体出口によって、大気圧との連通が確立される。従って、中空糸膜束の圧縮小領域における中空糸膜間の隙間の圧力は、大気圧のレベルまで低下する。非圧縮小領域は、同様に、少なくとも1つの液体出口を介して大気圧と連通する。従って、中空糸膜束の圧縮小領域における中空糸膜間の隙間に発生する漏液は、圧力レベルが更なる液体出口を介して等化されていることに起因して、更なる液体出口を通って中空糸膜束の非圧縮小領域に進むことができない。
【0076】
本発明による方法の更なる実施形態では、小領域における中空糸膜束の圧縮は、少なくとも2つの圧縮装置を介して行われるようにされる。更なる実施形態において、1又は2以上、より詳細には2つの圧縮装置は、中空糸膜束の内部に取り付けることができる。更なる実施形態は、中空糸膜束を少なくとも部分的に封入する1又は2以上の圧縮装置と、中空糸膜束の内部に位置する1又は2以上の圧縮装置と、を提供することができる。
【0077】
2つの圧縮装置に起因する圧縮は、大きな平均細孔サイズ及び高い限外濾過係数を有する中空糸膜に関する測定法において特に有利であることが分かった。中空糸膜束の圧縮小領域における漏液の発生もまた、特にこのような中空糸膜の場合には圧縮小領域における限外濾過に起因する可能性がある。第2の圧縮装置は、中空糸膜束の非圧縮小領域への漏液の侵入に対抗する改良障壁として機能する。
【0078】
本発明による方法の更なる実施形態では、少なくとも1つの更なる液体出口が、少なくとも2つの圧縮装置間でハウジング上に取り付けられるようにする。結果として、第1の圧縮装置の下流側のハウジングの液体入口にて流入液体の方向から発生する漏液は、効果的な方法で除去される。更に、第1の圧縮装置の下流側の中空糸膜間のスペースの圧力レベルは、周囲圧力レベルに等化される。加えて、第2の圧縮装置は、圧縮小領域における更なる漏液が中空糸膜束の非圧縮小領域内に進むことができるのを阻止する。
【0079】
本発明の第1の態様の更なる実施形態では、流入液体の圧力は、50mbar~500mbar、代替的に100~300mbar、代替的に150~250mbarに設定されるようにする。中空糸膜束の上記の圧縮は、入来する試験液の記載された圧力で中空糸膜間のスペースにおける流れの十分な遮断効果を引き起こすのに十分に高いことが明らかになっている。これに応じて、圧力は、限外濾過率を決定するのに十分に高い膜透過圧力勾配を生成するために十分に高いレベルで選ぶことができる。その後、限外濾過率は、液体出口での単位時間当たりの分離された限外濾過液の量/容積から決定可能である。限外濾過液の容積は、試験液の密度に基づいて、容積測定的に又は重量測定的に共通の手順に従って決定することができる。
【0080】
特定の実施形態において、例えば、ハウジング内の中空糸膜の数、中空糸膜直径又は中空糸膜の細孔構成に起因して、本発明の第1の態様による一実施形態に従った本方法は、例えば、DIN/EN/ISO8637:2014のような標準化された方法とは異なる限外濾過率の値をもたらすと思われる。このような場合、得られた測定値は、以前に決定された較正値によって又は校正機能によって修正可能である。
【0081】
較正値及び/又は校正機能を決定するため、細孔構成が異なる中空糸膜を備えた異なる中空糸膜フィルタモジュールは、限外濾過係数に関してDIN/EN/ISO 8634の試験を行う。この後に、本発明の方法を用いて、それぞれの中空糸膜フィルタモジュールの中空糸膜と同じ中空糸膜を備えた対応する中空糸膜束を決定する。本発明の方法の結果は、従来技術の手順によって中空糸膜フィルタモジュールに関して導出された値に相関付けることができ、較正曲線を確立できることが分かった。本発明の手順による測定が、他の測定手順、具体的にはDIN/EN/ISO 8637の手順との系統的差異を生じる場合には、これに応じて、本発明の本方法によって、補正関数を使用して測定値を調整することができる。
【0082】
第2の態様において、本発明は、本発明の第1の態様による実施形態の何れかに従った方法を実行する装置を提供する。本装置は、中空糸膜束の中空糸膜の透過特性、より詳細には限外濾過率及び/又は限外濾過係数を決定するのに有用な測定装置を備える。本装置は、
・試験液を受けるための少なくとも1つのリザーバと、
・第1の端部と中空糸膜束を受けるための第2の端部とを有するハウジングであって、ハウジングの第1の端部が少なくとも1つの液体入口を有する、ハウジングと、
・少なくとも1つの試験液を少なくとも1つのリザーバからハウジング及び/又は中空糸膜束及び/又は中空糸膜の内部に供給するための少なくとも1つの連通装置、より詳細にはポンプ送給手段と、
・中空糸膜束の少なくとも小領域を圧縮するための少なくとも1つ圧縮装置と、
・少なくとも1つの液体出口と、
・1又は2以上の液体出口にて透過特性、より詳細には限外濾過率及び/又は限外濾過係数を時間依存的に測定する手段と、
を備える。
【0083】
本発明の装置は、中空糸膜モジュールを試験用フィルタモジュールにポッティングする必要がなく、及びフィルタモジュールに構築する必要なしに、透過特性に関して、より詳細には限外濾過率及び/又は限外濾過係数に関して中空糸膜束を試験することができるという利点を提供する。本発明の装置によって、数分のうちに、透過特性の1つに関して、より詳細には限外濾過率及び限外濾過係数に関して中空糸膜束を測定することを可能にする。
【0084】
従って、本装置は、中空糸膜の連続製造において、所定の透過特性の何れかに関する中空糸膜製品の製品仕様の監視に極めて有用である。
【0085】
本発明による装置の更なる実施形態において、本装置は、1又は2以上の液体入口での圧力を決定する手段を更に備える。適切な手段は、従来技術において知られており、例えば、圧力センサーを構成することができる。少なくとも1つの液体入口での流入試験液の進入圧力は、圧力センサーによって決定することができる。少なくとも1つの液体入口に試験液をポンプ送給するポンプと共に、流入試験液について所定の圧力を確立することができる。任意選択的に、正確な膜透過の圧力差を定量化するために、圧力を決定する更なる手段、より詳細には圧力センサーを少なくとも1つの更なる液体出口に設けることができる。液体出口での圧力は、一般に大気圧に対応するので、膜透過の圧力差を定量化するためには、少なくとも1つの液体入口で記録された圧力値を使用すれば十分である。膜透過の圧力差の定量化は、測定された限外濾過率から限外濾過係数を決定するのに必要である。
【0086】
有利には、本発明による装置の更なる実施形態において、ハウジングは、末端が閉鎖された中空糸膜を有する中空糸膜束の一部を受けるために設けられた末端部において、少なくとも1つのガス出口を有する。ガス出口は、測定動作中に分離された空気を排出することができる脱気開口部の役割を果たすことができる。
【0087】
本発明による装置の更なる実施形態において、中空糸膜束の非圧縮部分を受けるために設けられたハウジングの一部は、ガス入口として少なくとも1つの開口部を有する。ガス入口は、空気をハウジングの内部に送り込むことが所望される場合に有用とすることができる。送り込まれた空気を用いて、生成された透過液、より詳細には中空糸膜間の隙間内の限外濾過液を液体出口に排出するためにハウジングにおいて空気流を生成することができる。それぞれの膜側上の水の流れの間で達成可能な分離が良好であるほど、測定精度が改善される。従って、理想的には、限外濾過液全体が中央の液体出口に内方に送られることが重要である。
【0088】
第3の態様における本発明は、より詳細には本発明の第1の態様による方法における本発明の第2の態様による装置の使用を提供する。
【0089】
第4の態様において、本発明は、中空糸膜フィルタモジュールを形成する方法に関し、本発明の第1の態様の実施形態による本発明の方法は、所定の透過特性を有する中空糸膜を形成するために使用される。
【0090】
本発明の様態で中空糸膜フィルタモジュールを形成する方法は、
(a)中空糸膜フィルタモジュールを形成するように想定された中空糸膜の少なくとも1つの透過特性、より詳細には限外濾過率及び/又は限外濾過係数についての1又は2以上の値の範囲を定めるステップと、
(b)ステップ(a)において定められた値の範囲を使用して、少なくとも1つの透過特性又は2又は3以上の透過特性を有する中空糸膜を形成するための1又は2以上の製造パラメータを選択するステップと、
(c)ステップ(b)において選択された1又は2以上の製造パラメータに従って紡糸プロセスによって中空糸膜を形成するステップと、
(d)結果として得られた中空糸膜を中空糸膜束に結束するステップと、
(e)1又は2以上の透過特性、より詳細には
本発明の第1の態様の実施形態に従って中空糸膜の限外濾過率及び/又は限外濾過係数を決定する本発明の第1の態様の実施形態による方法を実施するステップと、
(f)1又は2以上の透過特性がステップ(a)において定められた値の範囲内にあることが確定されると中空糸膜束を用いてフィルタモジュールを作製するステップと、
を含む。
【0091】
本発明の第1の態様による本発明の方法は、形成された中空糸膜の透過特性、特に限外濾過率及び/又は限外濾過係数を決定するための迅速な方法を提供するので、中空糸膜フィルタモジュールを形成するプロセスについて迅速な制御も可能になる。より詳細には、形成される中空糸膜は、中空糸膜フィルタモジュールの作製で使用するのに中空糸膜を認めることができるかどうかを確認するために、要求された製品仕様の遵守について試験することができる。
【0092】
製造プロセスによって形成された中空糸膜が、仕様外れか又は辛うじて仕様通りであると判明した場合、製造パラメータに関して適切な推論を行うことができる。その後、製造パラメータは、得られた中空糸膜が仕様通りに戻るように調整することができる。このように調整された製造プロセスは、形成された中空糸膜を中空糸膜フィルタモジュールの作製に使用すると決定可能にすることによって、想定されたステップ(a)~(f)を繰り返す。
【0093】
本発明の様式で中空糸膜フィルタモジュールを形成する方法は、膜材料ポリスルホン(PSU)及びポリビニルピロリドンに基づいて形成される中空糸膜フィルタモジュールの形成に極めて有用である。このような中空糸膜を形成するのに使用される紡糸液は、極性非プロトン性溶媒中で溶解したポリスルホン(PSU)及びポリビニルピロリドン(PVP)を含有する。適切な溶媒の実施例としては、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド及びジメチルアセトアミドが挙げられる。ポリスルホン/ポリビニルピロリドンによる紡糸液のバッチは、中空糸膜の透過特性、より詳細には限外濾過率及び/又は限外濾過係数を正確に確立することが特に難しいことが明らかにされていたが、これは、これらが、製造パラメータの変動に対して極めて敏感に反応することに起因している。本発明のこの製造方法では、PSU/PVP中空糸膜の形成に特に有利であることが分かっており、これは、本方法が、製造パラメータの変化によって生じる逸脱を極めて短時間内に検出することができ、これに応じて製造プロセスを調整することを可能にするからである。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【
図1】
図1は、中空糸膜又は中空糸膜束の限外濾過率及び/又は限外濾過係数を決定するための発明装置の概略図である。
【
図2】測定装置(200)のより詳細な概略図である。
【
図3】
図2の測定チャンバと本質的に同じである本発明の測定装置(300)の更なる概略図である。
【
図4】中空糸膜間のスペース内の試験液の流れを停止させることができる代替の圧縮装置を特徴とする、本発明の装置の更なる実施形態の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0095】
(図面を参照した本発明の説明)
図1は、中空糸膜又は中空糸膜束の限外濾過率及び/又は限外濾過係数を決定するための発明装置の概略図である。測定装置(100)は、測定チャンバ(101)、試験液として使用するため37℃の温度調整蒸留水を収容する水槽(102)、測定チャンバ(101)に水をポンプ送給するポンプ(103)、流量計(104)及び圧力センサー(105)を有する。ポンプは、装置(100)に流入する水が200mbarの一定の進入圧力を有するように閉ループ制御される。供給される水の量は、流量計(104)を使用して常時定量化される。
【0096】
図2は、以下の記号表示を特徴とする本発明の測定装置(200)のより詳細な概略図である。
・ハウジング(201)
・ハウジングスリーブ(202)
・受け部(203)
・液体出口(204)
・マンドレル(205)
・シール(206)
・ガス出口(207)
・孔円(208)として設計されたガス入口
・更なる液体出口(209)
・受け部(210)の床部
・中空糸膜束(220)
・中空糸膜束(221)の非圧縮部分
・中空糸膜束(222)の圧縮部分
・液体入口(212)
【0097】
中空糸膜束は、測定チャンバのハウジングスリーブ(202)に押し込まれている。この実施形態におけるハウジングは、受け部(203)が隣接するスリーブ(202)と、更には、マンドレル(205)が押し込まれたスリーブ形液体出口(204)から成る。受け部(203)は、液体入口(212)を有する。
【0098】
ハウジングスリーブ(202)は、一方の端部にて、受け部(203)に押し込まれ、2つのOリング(206)を用いて密封されている。更にハウジングには、3つの孔円が設けられる。孔円は、漏水を除去するために、ガス出口(207)、ガス入口(208)及び更なる液体出口(209)を形成する。水は、試験液として使用される。
【0099】
受け部(203)の床部(210)には、滑動可能なマンドレル(205)が設置され、マンドレルを取り囲むスリーブは、繊維束(220)に至る液体出口(204)として設計される。マンドレル(205)は、再度取り外すことができる。これによって、中空糸膜束(220)の内側にスリーブ形液体出口(204)が残される。
【0100】
中空糸膜束は、マンドレル(203)及び/又は液体出口(204)がない上部領域内に非圧縮部分(221)と、下部領域内に圧縮部分(222)とを有する。
【0101】
図3は、
図2の測定チャンバと本質的に同じである本発明の測定装置(300)の更なる概略図である。以下の記号表示は、
図3に適用される。
・ハウジング(301)
・ハウジングスリーブ(302)
・受け部(303)
・液体出口(340)
・液体出口(341)の第1の端部
・液体出口(342)の第2の端部
・シール(306)
・ガス出口(307)
・ガス入口(308)
・更なる液体出口(309)
・受け部(310)の床部
・中空糸膜束(320)
・中空糸膜束(321)の非圧縮部分
・中空糸膜束(322)の圧縮部分
・液体入口(312)
【0102】
図3は、中空糸膜束の内側に位置する液体出口(340)を特徴とする実施形態を示す。液体出口の第1の端部(341)は、中空糸膜束の非圧縮部分(321)内に位置する。液体出口の第2の端部(341)は、測定装置(300)の外側に位置し、中空糸膜束(320)の非圧縮部分(321)における中空糸膜と測定装置(300)の外面との間のスペースと液体連通が確立される。スリーブの下部孔円(309)から漏出する漏水は、水リザーバに戻される。補助空気は、ガス入口(308)上のカフによって供給することができる。ガス出口(307)は、選択的に開口可能又は閉鎖可能である。限外濾過液は、化学天秤を用いて秤量され、密度を介して単位時間当たりのミリリットルに算術的に変換される。
【0103】
図4は、中空糸膜間のスペース内の試験液の流れを停止させることができる代替の圧縮装置を特徴とする、本発明の装置の更なる実施形態の概略図を示す。以下の記号表示は、
図4に適用される。
・ハウジング(401)
・液体出口(440)
・更なる液体出口(409)
・液体入口(412)
・中空糸膜(420、421)
・中空糸膜(422)の液密閉鎖端
・第1の圧縮装置(450)
・第2の圧縮装置(451)
・第3の圧縮装置(460)
・第4の圧縮装置(461)
【0104】
図4は、中空糸膜束の複数の中空糸膜を概略的に表し、一方の端部(422)にて液密閉鎖された2つの中空糸膜(420、421)を示す。
図4は更に、中空糸膜を密封する、第1の圧縮装置(450)及び第2の圧縮装置(451)を示す。更に、中空糸膜(420、421)によって記号表示される中空糸膜束内に第3の圧縮装置(460)が設置されている。第4の圧縮装置(461)は、同様に中空糸膜束内に位置する。1つの実施形態において、1又は2以上の圧縮装置(450、451)が中空糸膜束を封入するように設置されるようにすることができる。中空糸膜(420、421)の波状図は、圧縮装置(450、451、460、461)による中空糸膜束の圧縮の概略図である。第1及び第3の圧縮装置(450、460)、更には、第2及び第4の圧縮装置(451、461)は、中空糸膜束上同じ高さに且つ中空糸膜束内にそれぞれ設置され、すなわち、これらは互いに対抗して配置される。
【0105】
4つの配置された圧縮装置は、中空糸膜束を3つの領域(A、B、C)に分割する。領域Cは、液体入口(412)と連通する。領域Aは、液体出口(440)と連通する。流入試験液に起因して、中空糸膜のルーメンの圧力は、領域Cからの圧力である。領域Cの圧力は、流入液体により、領域A内の中空糸膜間の隙間の圧力よりも高いので、試験液は、膜壁を介して中空糸膜のルーメン側から領域Cにおける中空糸膜の隙間に限外濾過を受ける。圧縮装置(451)及び/又は(461)に起因する中空糸膜束の圧縮によって、大部分は、領域Cから領域Bへの中空糸膜間の隙間における流入試験液のあらゆる流れが停止される。繊維間の空間において領域Bに流れるか又は限外濾過によって領域Bのルーメンから中空糸膜間の隙間に侵入する試験液のあらゆる残りの量は漏液であり、液体出口(409)を介してハウジングの外に除去される。一部の実施形態において、正確な測定は、生成される漏液の量に応じて漏液を除去することを必要とする。この場合の要件は、領域Bは、更なる圧縮装置によって領域Aから分割され、領域Bは更なる液体出口(409)と連通することである。更なる液体出口(409)によって、圧力が大気圧に対応する中空糸膜間の隙間において確立される。領域Cにおける中空糸膜間の隙間内にて優勢な圧力は、液体出口(440)を介して大気圧に対応する。領域B及びCにおける中空糸膜間の隙間の圧力は本質的に同じである。従って、漏液が更なる圧縮装置(450)及び/又は(460)を介して領域Cに進むことはできない。
図4による装置は、極めて高い限外濾過係数を有する中空糸膜に特に有利合であることが分かった。
【実施例】
【0106】
実施例1-実験手順
ここで、実施例を参照して本発明の方法を説明するが、但し、この実施例に限定されるものではない。水槽(102)を蒸留水で満たし、温度を37°Cに調整した。試験される繊維束を、約300°Cでホットプレート上のアルミ箔によって片側で溶融閉鎖する。このように処理した中空糸膜束(220、320)をハウジングスリーブ(201、301)に押し込める。次に、ハウジングスリーブ(201、301)を受け部(202、303)に導入する。マンドレルを取り囲むスリーブ(204、340)と共に、マンドレル(205)は、進む限りは繊維束(220、320)内に押し込む。その後、マンドレル(205)を引き抜き、スリーブ(340)が束の内側に残る。
【0107】
空気カフをガス入口(208、308)の孔円上に設置して、小さな空気流を送り込む。ガス出口(207、307)の孔円を閉鎖する。
【0108】
ポンプをオンにする。調整後、すなわち、膜タイプに応じて5又は10分のポンプ送給後、限外濾過液は、測定中に定められた時間で秤量のため受容器に集められる。限外濾過係数は、測定された膜透過の圧力によって計算可能である。
【0109】
実施例2-測定原理
中空糸膜束を最初にポッティングしてフィルタモジュールに組み込むことを必要とせずに、限外濾過率を、試験される中空糸繊維膜束(220、320)上で直接測定する。フィルタモジュールに存在するポッティング式カプセル化に対する代替形態により、極めて強力な流れ抵抗が、中空糸膜間の隙間に生成される。これによって、ハウジング(222、322)内の中空糸膜束の圧縮部分に対応するこの流れ抵抗の領域において流れが大部分は停止する。このように生成された流れ抵抗は、中空糸膜間の液体の流れを停止することによって、そうでない場合の通常のポッティング式カプセル化と同じ効果をもたらすが、末端が開口した中空糸膜を流入液体がアクセス可能にして残し、これにより液体は、中空糸膜束のルーメンに流入することができるようになる。
【0110】
測定装置(100、200、300)のハウジングに押し込まれた中空糸膜束(221、321)は、測定を実行するため試験液で洗浄される。試験液は、液体入口(212、312)を通って測定装置(100、200、300)に流入し、特にハウジング(203、303)の受け部に入り、進入圧力は、200mbarに設定される。進入圧力は、圧力センサー(105)及びポンプ(103)を用いて設定することができる。
【0111】
進入圧力は、受け部において、及び
図1及び
図3の実施形態の中空糸膜の全長に沿って中空糸膜のルーメン側で設定される。試験液は、膜透過の移動を介して中空糸膜束の非圧縮部分(321)の一部の中空糸膜間の隙間にのみ入ることができる。この移動によって、圧力勾配の形成がもたらされ、非圧縮部分(321)内の中空糸膜間の隙間において支配的な水圧は、大気圧に対応する。中空糸膜間の隙間内の水は、限外濾過によって生成され、液体出口(340)を通って外部に向かって流れる。限外濾過を担うのは、膜透過の圧力勾配である。
【0112】
それぞれの膜側での水の流れ間で達成可能な分離が良好であるほど、測定の精度は改善される。従って、理想的には、限外濾過液全体が中央の液体出口(340)に内方に送られることが重要である。限外濾過の結果として中空糸膜間の隙間に存在する水は、中央の液体出口(304)に送られる。これは、空気流がハウジングに送り込まれるガス入口(308)によって行われる。この補助空気用の孔円は、ハウジングスリーブ(302)内に設置され、中空糸膜束(220、320)の内側に形成される場合がある水滴は、外から内に液体出口(340)の第1の端部(341)に向かって導かれて排出されるようになっている。
【0113】
束の集中的で再現可能な圧縮を確実するために、押し込まれた中空糸膜束の一部は、中空糸膜を損傷することなく、中空糸膜の間で最大流れ抵抗を取得するように、マンドレル(205)及びスリーブ形液体出口(204、340)によって大きく変形する。中空糸膜が変位するので、本使用例における中空糸膜の圧縮部分の充填密度は、約60%から約95%増大する。