(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-21
(45)【発行日】2023-03-02
(54)【発明の名称】冷蔵液体をパッケージングするための改善されたバッグインボックスフィルム
(51)【国際特許分類】
B65D 65/40 20060101AFI20230222BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20230222BHJP
【FI】
B65D65/40 D
B32B27/32 E
B32B27/32 103
(21)【出願番号】P 2019571356
(86)(22)【出願日】2018-06-22
(86)【国際出願番号】 US2018038905
(87)【国際公開番号】W WO2018237220
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-04-15
(32)【優先日】2017-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519342703
【氏名又は名称】リクイ-ボックス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス ファーカス
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/022148(WO,A1)
【文献】特表2016-505694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/00-65/46
B32B 1/00-43/00
C08L 1/00-101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動性物質を収容するパウチを作製するための多層フィルムであって、液体をパッケージングするために以下の層:
(A)少なくとも1つの外側シーラント層及び少なくとも1つの内側シーラント層であって、各層は、50~75重量%の、0.894~0.908g/ccの範囲内の密度及び0.2~1g/10minの範囲内のメルトインデックスを有する第一のエチレン/α-オレフィンコポリマーフラクションと、25~50重量パーセントの第二のエチレン/α-オレフィンコポリマーフラクションとを含むエチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物を含み、前記インターポリマー組成物は、0.910~0.924g/ccの範囲内の密度、0.5~2g/10minの範囲内のメルトインデックス;1.15~2.5の範囲内のゼロせん断粘度比(ZSVR);重量平均分子量の比(Mw/Mn)で表して、2.0~4.0の範囲内の分子量分布を有する、少なくとも1つの外側シーラント層及び少なくとも1つの内側シーラント層と、
(B)
(1)線状低密度ポリエチレンである1.0g/10minのメルトインデックス及び0.916g/ccの密度を有するエチレン/オクテン-1コポリマーを含むコア層;
(2)30~100重量%の、線状低密度ポリエチレンである1.0g/10minのメルトインデックス及び0.916g/ccの密度を有するエチレン/オクテン-1コポリマーと、70~0%の1.0g/10minのメルトインデックス及び0.918g/ccの密度を有するエチレン/ブテンコポリマーを含むコア層;及び
(3)30~100重量%の、線状低密度ポリエチレンである1.0g/10minのメルトインデックス及び0.916g/ccの密度を有するエチレン/ヘキセン-1コポリマーと、70~0重量%の、1.0g/10minのメルトインデックス及び0.918g/ccの密度を有する線状低密度エチレン/ヘキセンコポリマーとを含むコア層
からなる群から選択される少なくとも1つのコア層と、
を、少なくとも1つの内側シーラント層から少なくとも1つのコア層へ、そして少なくとも1つの外側シーラント層への順で含む、多層フィルム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの外側シーラント層、前記少なくとも1つの内側シーラント層及び前記コア層が、個々に、1~8個の層を備える、請求項1に記載の多層フィルム。
【請求項3】
前記エチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物が、線状低密度ポリエチレンのポリマーフラクションと、エチレン/オクテン-1コポリマーの第二のコポリマーフラクションと、を含み、前記インターポリマー組成物が0.915g/ccの密度及び0.85g/10minのメルトインデックスを有する、請求項2に記載の多層フィルム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのコア層が、線状低密度ポリエチレンである1.0g/10minのメルトインデックス及び0.916g/ccの密度を有するエチレン/オクテン-1コポリマーを含む、請求項3に記載の多層フィルム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのコア層が、
40重量%の、1.0g/10minのメルトインデックス及び0.916g/ccの密度を有するエチレン/オクテン-1コポリマーと、
60重量%の、1.0g/10minのメルトインデックス及び0.918g/ccの密度を有するエチレン/ブテンコポリマーとを含
む、請求項3に記載の多層フィルム。
【請求項6】
少なくとも1つのコア層が、
40重量%の、1.0g/10minのメルトインデックス及び0.916g/ccの密度を有するエチレン/ヘキセン-1コポリマーと、
60重量%の、1.0g/10minのメルトインデックス及び0.918g/ccの密度を有するエチレン/ヘキセンコポリマーとを含
む、請求項3に記載の多層フィルム。
【請求項7】
流動性物質を収容するパウチを作製するための多層フィルムであって、
液体をパッケージングするために以下の層:
(A)少なくとも1つの外側シーラント層及び少なくとも1つの内側シーラント層であって、各層が、超低密度ポリエチレンである0.85g/10minのメルトインデックス及び0.912g/ccの密度を有するエチレン/オクテン-1コポリマーと、線状低密度ポリエチレンである0.85g/10minのメルトインデックス及び0.920g/ccの密度を有するエチレン/オクテン-1コポリマーを含むエチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物とを含む、少なくとも1つの外側シーラント層及び少なくとも1つの内側シーラント層と;
(B)少なくとも1つのコア層と少なくとも1つの外側シーラント層との間に位置する少なくとも1つの
第一の介在層及び少なくとも1つのコア層と第二の外側シーラント層との間の少なくとも1つの第二の介在層であって、前記介在層は、50~75重量%の、0.894~0.908g/ccの範囲内の密度及び0.2~1g/10minの範囲内のメルトインデックスを有する第一のエチレン/α-オレフィンコポリマーフラクションと、25~50重量パーセントの、第二のエチレン/α-オレフィンコポリマーフラクションとを含むエチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物を含み、前記インターポリマー組成物は0.910~0.924g/ccの範囲内の密度及び0.5~2g/10minの範囲内のメルトインデックス;1.15~2.5の範囲内のゼロせん断粘度比(ZSVR);重量平均分子量の比(Mw/Mn)で表して、2.0~4.0の範囲内の分子量分布を有する、少なくとも1つの
第一の介在層及び少なくとも1つの第二の介在層;
(C)
(1)線状低密度ポリエチレンである1.0g/10minのメルトインデックス及び0.916g/ccの密度を有するエチレン/オクテン-1コポリマーを含むコア層;
(2)30~100重量%の線状低密度ポリエチレンである1.0g/10minのメルトインデックス及び0.916g/ccの密度を有するエチレン/オクテン-1コポリマーと、70~0重量%の、1.0g/10minのメルトインデックス及び0.918g/ccの密度を有するエチレン/ブテンコポリマーとを含むコア層;及び
(3)30~100重量%の線状低密度ポリエチレンである1.0g/10minのメルトインデックス及び0.916g/ccの密度を有するエチレン/ヘキセン-1コポリマーと、70~0重量%の線状低密度ポリエチレンである1.0g/10minのメルトインデックス及び0.918g/ccの密度を有するエチレン/ヘキセンコポリマーとを含むコア層
からなる群から選択される少なくとも1つのコア層と
を、少なくとも1つの内側シーラント層から少なくとも1つの
第一の介在層へ、少なくとも1つのコア層へ、
少なくとも1つの第二の介在層へ、そして外側シーラント層への順で含む、多層フィルム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの外側シーラント層、前記少なくとも1つの内側シーラント層、前記コア層及び前記シーラント層と前記コア層との間の前記介在層が、個々に、1~8個の層を備える、請求項7に記載の多層フィルム。
【請求項9】
前記少なくとも1つのコア層が、
40重量%の、線状低密度ポリエチレンである1.0g/10minのメルトインデックス及び0.916g/ccの密度を有するエチレン/オクテン-1コポリマーと、
60重量%の、1.0g/10minのメルトインデックス及び0.918g/ccの密度を有するエチレン/ブテンコポリマーと
を含む、請求項7に記載の多層フィルム。
【請求項10】
前記少なくとも1つのコア層が、
40重量%の、線状低密度ポリエチレンである1.0g/10minのメルトインデックス及び0.916g/ccの密度を有するエチレン/ヘキセン-1コポリマーと、
60重量%の、線状低密度ポリエチレンである1.0g/10minのメルトインデックス及び0.918g/ccの密度を有するエチレン/ヘキセンコポリマーと
を含む、請求項7に記載の多層フィルム。
【請求項11】
請求項1に記載の多層フィルムから形成された、流動性液体を収容するためのバッグ。
【請求項12】
前記流動性物質が冷蔵された乳製品である、請求項11に記載のバッグ。
【請求項13】
請求項7に記載の多層フィルムから形成された、流動性液体を収容するためのバッグ。
【請求項14】
前記流動性物質が冷蔵された乳製品である、請求項13に記載のバッグ。
【請求項15】
バッグに流動性製品を充填するプロセスであって、前記バッグが請求項1に記載の多層フィルムから形成される、プロセス。
【請求項16】
バッグに流動性製品を充填するプロセスであって、前記バッグが請求項7に記載の多層フィルムから形成される、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、あらゆる目的のために参照によりその全体を本明細書に援用される、2017年6月22日に出願された、米国特許仮出願第62/523,433号明細書の利益を主張する。
【0002】
本発明は、液体を充填したバッグを設定された高さから落下させるバッグ落下試験によって測定した場合に、特に、例えば0~10℃の冷蔵条件下で改善されたバッグ強靭性を有する、流動性液体製品用のバッグを形成するために使用されるエチレンポリマーベースの多層フィルムに関する。
【背景技術】
【0003】
一態様では、本発明は、乳製品などの流動性液体製品をバッグインボックスパッケージング用のバッグ中にパッケージングすることに関する。典型的には、そのようなバッグは、バッグ形成装置を使用して作製され、フィルムのロールを解いて、インクジェットプリンターによりコードで標識されたバッグを形成し、当該バッグを打ち抜いて、注ぎ口用の孔を形成し、当該注ぎ口を挿入し、バッグを長辺でシールし、通常はブラッシングして空気を除去し、その後、1つのバッグの底部及び次のバッグが作製される上部でクロスシールし、ラインから引き抜き、クロスシールに隣接して穿孔し、バッグインボックス充填ラインで使用するためにパッケージングする。
【0004】
経済的な理由から、カスタマーは、液体製品用バッグについて、より薄いフィルムを求める。このことにより、多くの場合、特に、液体を充填したバッグを所定の高さから落下させるバッグ落下試験によって測定した場合、(1)不適切なシール強度及び強靭性などの、市販のフィルムにおける問題が生じる。バッグ性能の低下は、乳業で、特に、冷却若しくは冷蔵された乳製品を充填したバッグについて、さらに詳細には、比較的大きなバッグ、例えば1~6ガロン以上のバッグで指摘されてきた。現在市販されているフィルムで作製された、そのような乳製品を充填したバッグ、バッグ性能は、温度が低下するにつれて有意に低下する。これは、温度変化にさらされた場合並びに運送及び流通下での取り扱い時に特に指摘され、その結果、バッグのシール、主に側面及び底部シール並びにバッグの注ぎ口の周囲における裂け目及び破れに起因するそのようなバックの漏れの問題を引き起こす。
【0005】
本発明で用いられる多層フィルムは、乳製品用の優れたバッグ、特に、ボックス型乳製品中の大きなバッグを提供する。フィルムは丈夫で耐久性があり、低温並びに配送及び取り扱い中に起こる温度変化に耐え、漏れを招くバッグのシールにおける裂け目及び破損を本質的に排除する。フィルムは、参照により本明細書に援用される、2015年8月25日に発行された米国特許第9,115,275号明細書(以下、「US9,115,275」という。)で開示されているエチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物を含む。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、流動性物質を含むためのバッグを作製するための複数の多層フィルムに関する。基本的に、これらの多層フィルムは、外側及び内側シーラント層と、コア層と、場合によって、外側シーラント層とコア層との間及びコア層と内側シーラント層との間に位置する介在層とを有する。外側及び内側シーラント層はエチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物を含み、介在層は、好ましくは、このインターポリマー組成物を含む。
【0007】
シーラント層などの各層は、2、3、4、5などの複数の層を有し得、外側シーラント層及び内側シーラント層は同じであり得るか、又は各々は異なる数の層を有し、例えば、外側シーラント層は4つの層を有し得る一方で、内側シーラント層は2つの層を有し得ることに注目されたい。同様に、コアと外側シーラント層との間の介在層は、コアと内側シーラント層との間の介在層とは異なる数の層を有し得る。コアは複数の層を有し得、単層である必要はない。
【0008】
エチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物は、50~75重量%の0.894~0.908g/ccの範囲の密度、0.2~1g/10minの範囲のメルトインデックスを有する第一のエチレン/α-オレフィンコポリマーフラクションと、25~50重量パーセントの第二のエチレン/α-オレフィンコポリマーフラクションとを含み、インターポリマーは、0.910~0.924g/ccの範囲の密度、0.5~2g/10minの範囲のメルトインデックス、1.15~2.5の範囲のゼロせん断粘度比(ZSVR)、2.0~4.0の範囲の重量平均分子量の比(Mw/Mn)として表した分子量分布、及び0.1ラジアン/秒及び190℃にて6~43の範囲のtanδを有する。エチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物は、米国特許第9,115,575号明細書にさらに詳しく記載され、以下「エチレン/α-オレフィンインターポリマー」と呼ぶ。
【0009】
エチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物は、結晶化溶出分別(CEF)手順による溶出プロフィールで2つのピークを有する組成物としてさらに定義され、各ピークは、溶出プロフィールの全面積の少なくとも25重量パーセントを構成し、2つのピーク位置の間隔は20~40℃の範囲内であり、高い方の溶出温度ピークは90℃を越える溶出温度であり、低い方の溶出温度ピークは50~80℃の範囲内の溶出温度であり、50パーセントピーク高さでの高い方の溶出ピークの幅は4℃未満であり、10パーセントピーク高さでの高い方の溶出温度ピークの幅は9℃未満であり、50パーセントピーク高さでの低い方の溶出温度ピークの幅は8℃未満であり、10パーセント高さでの低い方の溶出温度ピークの幅は25℃未満である。
【0010】
好ましいエチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物は、LLDPE(線状低密度ポリエチレン)のポリマーフラクションとエチレン/オクテン-1コポリマーの第二のコポリマーフラクションとを含み、インターポリマーは0.915g/ccの密度及び0.85g/10minのメルトインデックスを有し、本明細書中では、以下、「好ましいエチレン/α-オレフィンインターポリマー」と呼ぶ。
【0011】
以下は、本発明を説明する多層構造を示す。
【0012】
以下の少なくとも3つの層を備える多層構造(構造3及び4):
【0013】
(1)好ましいエチレン/α-オレフィンインターポリマーを含む外側及び内側シーラント層。上記で指摘したように、外側及び内側シーラント層は多層であってよく、層の数及びシーラント層の合計厚さが同じである必要はない。
【0014】
(2)LLDPE(線状低密度ポリエチレン)である1.0g/10minのメルトインデックス及び0.916g/ccの密度を有するエチレン/オクテン-1コポリマー(“Elite 5400G”)のコア層。コア層は、単層又は多層、例えば2~8層であってよい。
【0015】
あるいは、コア層は、30~100重量%の、LLDPEである1.0g/10minのメルトインデックス及び0.916g/ccの密度を有するエチレン/オクテン-1コポリマー(“Elite 5400G”)及び70~0重量%の、LLDPEである1.0g/10minのメルトインデックス及び0.918g/ccの密度を有するエチレン/ブテンコポリマーを含み得る。好ましくは、コポリマーは40/60の重量比であり得る。
【0016】
さらなる別のコア層は、30~100重量%の、LLDPEである1.0g/10minのメルトインデックス及び0.916g/ccの密度を有するエチレン/ヘキセン-1コポリマー(“Elite 5400G”)と、70~0重量%の、LLDPEである1.0g/10minのメルトインデックス及び0.918g/ccの密度を有するエチレン/ヘキセンコポリマー(DFDC 7087)を含み得る。好ましくは、コポリマーは40/60の重量比であり得る。
【0017】
本発明の別の態様は以下の構造を有する多層フィルムを対象とする(構造9):
【0018】
(1)ULDPE(超低密度ポリエチレン)である0.85g/10minのメルトインデックス及び0.912g/ccの密度を有するエチレン/オクテン-1コポリマー(「Elite AT 6401)と、エチレン/α-オレフィンインターポリマー、例えばLLDPEである0.85g/10minのメルトインデックス及び0.920g/ccの密度を有するエチレン/オクテン-1コポリマー(XUS 59900.100)を含む内側及び外側シーラント層
【0019】
(2)好ましいエチレン/α-オレフィンインターポリマーの介在層
【0020】
(3)LLDPEである1.0g/10minのメルトインデックス及び0.916g/ccの密度を有するエチレン/オクテン-1コポリマー(“Elite 5400G”)のコア層。
【0021】
あるいは、コア層は、30~100重量%の、LLDPEである1.0g/10minのメルトインデックス及び0.916g/ccの密度を有するエチレン/オクテン-1コポリマー(“Elite 5400G”)と、70~0重量%のLLDPEである1.0g/10minのメルトインデックス及び0.918g/ccの密度を有するエチレン/ブテンコポリマー(DFDC 7087)とを含み得る。好ましくは、コポリマーは40/60の重量比であり得る。
【0022】
さらなる別のコア層は、30~100重量%の、LLDPEである1.0g/10minのメルトインデックス及び0.916g/ccの密度を有するエチレン/ヘキセン-1コポリマー(“Elite 5400G”)と、70~0重量%の、LLDPEである1.0g/10minのメルトインデックス及び0.918g/ccの密度を有するエチレン/ヘキセンコポリマー(DFDC 7087)とを含み得る。好ましくは、コポリマーは40/60の重量比であり得る。
【0023】
本発明のさらに別の態様は、前述の層の様々な組み合わせの多層フィルムを含む。多層フィルムの重要な態様は、少なくとも外層及び内層が好ましいエチレン/α-オレフィンインターポリマーを含むか、又は中間層が好ましいエチレン/α-オレフィンインターポリマーを含み得るか、又は内層及び外層及び中間層が好ましいエチレン/α-オレフィンインターポリマーを含むものである。所望により、コアが好ましいインターポリマーのフラクションを含有することが望ましい場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本発明の多層フィルムの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
用語の定義
本特許出願において表される全てのパーセンテージは特に別段の記載のない限り、組成物の全重量の重量基準である。
【0026】
本特許出願において表される全ての比は、特に別段の記載がない限り、重量:重量基準である。
【0027】
範囲は、当該範囲内の一つひとつの値を列挙し記載するのを避けるためだけの簡便な表現として用いられる。当該範囲内の任意の適切な値を上限、下限、又は当該範囲の終点として選択することができる。
【0028】
文脈で明確に別段の記載がない限り、用語の単数形はその複数形を包含し、逆もまた同じである。したがって、「a」、「an」、及び「the」は、概して、それらが限定する各用語の複数形を包含する。例えば、「1つの方法(a method)」についての言及は、その複数形、つまり「複数の方法(methods)」を包含する。同様に、「備える(comprise、comprises、及びcomprising)」という用語は、クレーム又はその他において移行句として用いられるか否かにかかわらず、排他的ではなく包括的に解釈されるべきである。同様の用語「包含する(include、including)」、及び「又は(or)」という用語は、そのような構造が文脈により明らかに禁じられている場合を除いて、包括的に解釈されるべきである。同様に、「例」という用語は、特に用語のリストがその後に続く場合、単なる例示であり、排他的又は総合的であるとみなすべきではない。
【0029】
本特許出願で開示されている方法、組成物、及び他の進歩(advance)は、当業者であればそれらが変わり得ることを理解するので、本願で記載される特定の方法、プロトコル、及び試薬に限定されない。さらに、本願で用いられる用語は、特定の実施形態のみを記載し、開示されているか又は請求されるものの範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0030】
特に別段の規定がない限り、本願で使用するすべての技術用語及び科学用語、業界用語、及び頭字語は、本発明の分野、又は当該用語が用いられる分野の当業者によって通常理解される意味を有する。本特許出願で記載されるものと類似又は均等ないかなる組成物、方法、製品、又は他の手段若しくは物質も本発明の実施において使用できるが、特定の組成物、方法、製品、又は他の手段若しくは物質を、例示のためだけに記載する。
【0031】
すべての特許、特許出願、刊行物、技術及び/又は学術論文、並びに本特許出願で記載若しくは引用される他の文献は、法律によって許容される程度までその全体が参照により援用される。これらの文献の考察は、これらの文献においてなされる主張をまとめることだけを意図する。いずれのそのような特許、特許出願、刊行物若しくは文献、又はそのいずれの部分も、関連する、不可欠である、又は先行技術であると認めてはいない。関連するか、不可欠であるか、又は先行技術として、そのような特許、特許出願、刊行物、及び他の文献の任意の主張の正確さや適切性に異議申立てする権利は、特に留保されている。
【0032】
本明細書中で使用する場合、「流動性物質」という用語は、気体状物質粉末又は他の固体物質を含まないが、重力下で流動可能であるか、又はポンプ輸送し得る液体物質を包含する。そのような物質には、液体、例えば、牛乳、水、果汁、油;エマルジョン、例えば、アイスクリームミックス、ソフトマーガリンが含まれる。本明細書中に記載される発明は、特に冷蔵温度でパッケージングされた、牛乳などの流動可能な食品に有用である。
【0033】
本明細書中で使用する場合、「密度」はASTM D792によって測定され、「メルトインデックス」はASTM D1238によって測定される。ポリマーの「融点」は、ASTM Procedure D3417-83(第88版)で記載されているように示差走査熱量測定(DSC)を実施した場合に、ピーク融点として測定される。
【0034】
特に、本発明は、液体流動性物質、典型的には乳製品をパッケージングするためのバッグに使用可能な多層フィルムに関する。さらに具体的には、本発明は、基準寸法(厚さ)は小さいが、ブルーストン階段バッグ落下試験法によって測定して、より高いバッグ落下高さ(F50値)によって示されるような、特に冷蔵条件下で優れた強靭性及びシール強度を示す多層フィルムを提供する。
【0035】
一実施形態において、多層フィルムは、5つの層(
図1)、すなわち、好ましいエチレン/α-オレフィンインターポリマーの第一外側シーラント層及び内側シーラント層(5)、好ましいエチレン/α-オレフィンインターポリマーの第二の介在層(2)並びにLLDPEである1.0g/10minのメルトインデックス及び0.916g/ccの密度を有するエチレン/オクテン-1コポリマー(“Elite 5400G
”)及びLLDPEである1.0g/10minのメルトインデックス及び0.918g/ccの密度を有するエチレンブタンコポリマー(DFDC 7087)のコア
層である第三の層(3)を備える。コア層は、単層又は少なくとも3つ以上の層の多層であってもよく、第四の層(4)は第二の層と同じ組成のもう一つの介在層であり、及び第五の層(5)は上述の内側シーラント層である。第一の外側シーラント層及び第五のシーラント層は、各々、多層フィルムの厚さの約10~30%を構成する。中間層(第二及び第四の層)は多層フィルムの厚さの約5~20%を構成し、コア層は、多層フィルムの厚さの約30~50%を構成する。多層フィルムの全層は、約1~5ミルの厚さであり、好ましくは1~2.5ミルの厚さであり、さらに好ましくは1~2.0ミルの厚さである。
【0036】
内側及び外側シーラント層において好ましいエチレン/α-オレフィンインターポリマーを使用することによって、バッグフィルムの外側及び内側シーラント層中に好ましいエチレン/α-オレフィンインターポリマー成分を有しない多層フィルムを用いて形成された従来型バッグと比較して、著しく改善された耐衝撃性及びバッグ落下性能が、特に低温条件下で得られることが分かった。また、コアの一部は、性能の改善のために好ましいインターポリマーを含有し得る。好ましいインターポリマーをバッグフィルム中の任意の介在層において使用した場合、改善された結果が見られた。本発明の多層フィルムはバッグ形成機上でうまく移動する透明なフィルムであり、例えば、1~6ガロンサイズ範囲における牛乳バッグを作製するために特に望ましい。
【0037】
外側及び内側シーラント層
一実施形態において、多層フィルムは少なくとも1つの外側シーラント層と少なくとも1つの内側シーラント層とを備える。外側シーラント層は多層フィルムの一方の側の外側であり、内側シーラント層は多層フィルムの他方の側の外側である。外側及び内側シーリング層は、フィルムの複数の層、例えば、フィルムの2、3、4又はそれ以上の層を備え得る。外側及び内側シーリング層の厚さは、通常、同じであるが、異なる厚さを有し得る。
【0038】
外側及び内側シーラント層は、約10~100重量%の好ましいエチレン/α-オレフィンインターポリマーを含み得、90重量%までの、超低密度ポリエチレン(ULDPE)である約0.910~0.914g/ccの範囲内の密度及び約0.7~1.0g/10minのメルトインデックスを有するエチレン/オクテン-1コポリマー又は線状低密度ポリエチレン(LLDPE)である約0.917~0.925g/ccの範囲内の密度及び約0.7~1.0g/10minのメルトインデックスを有するエチレン/オクテン-1コポリマーのポリマーを含み得る。1つの有用なシーリング層は、約75~90重量%の、約0.911~0.913g/ccの範囲内の密度及び約0.8~0.9g/10minのメルトインデックスを有する超低密度ポリエチレン(ULDPE)と、10~25重量%の、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)である約0.918~0.922g/ccの範囲内の密度と約0.8~0.9g/10minのメルトインデックスとを有するエチレン/オクテン-1コポリマーとを含む。内側及び外側シーリング層は、好ましくは、同じポリマー構成成分を同じ比で有するが、ポリマー構成成分の変形、例えば、上記範囲内の密度及びメルトインデックスの変形を含み得、またポリマー構成成分は異なる比を有し得る。
【0039】
本発明に関して、シーリング層及び前記少なくとも1つの外側の層の各々の厚さは、多層フィルムの合計厚さの約1%~約20%である。本発明の他の実施形態において、シーラント層の組み合わされた厚さの合計は、多層フィルムの合計厚さの約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%であり得る。シーリング層の組み合わせられた合計厚さは、上述のパーセンテージの間の中間のパーセンテージであってもよく、例えば、記載された他のパーセンテージの間の約11.1%、11.2%、11.3%、11.4%などである組み合わされた合計厚さであってもよい。
【0040】
第一及び第二の介在層
介在層は任意選択的である。一実施形態において、多層フィルムは、外側シーラント層に隣接し、かつコア層に隣接する第一の介在層を備え、コア層の他方の側で、第二の介在層はコア層に隣接し、かつ内側シーラント層に隣接する。内側シーラント層は多層フィルムの一方の外表面にあり、外側シーラント層は多層フィルムの他方の外表面にある。
【0041】
多層フィルムは、1つの第一の介在層又は複数の第一の介在層を備える。例えば、多層フィルムは互いに隣接して積み重ねられた、2、3、又は4つの介在層を有し得る。同様に、多層フィルムは1つの第二の介在層又は複数の第二の介在層を備える。
【0042】
第一の介在層及び第二の介在層の厚さはほぼ同じであることが好ましい場合があるが、他の好ましい実施形態では、それらの厚さは変わってもよく、同じでなくてもよい。
【0043】
また、本発明の多層フィルムが同じ数の第一の介在層及び第二の介在層を備えるのが好ましいが、他の実施形態では、第一の介在層の数は、第二の介在層と異なっていてもよい。
【0044】
第一又は第二の少なくとも1つの介在層は、好ましくは、好ましいエチレン/α-オレフィンインターポリマーを含む。他の有用なインターポリマーは、約0.910~約0.917、好ましくは、0.915の密度と、約0.7~1.0、好ましくは、0.915g/10minのメルトインデックスを有し得る。密度範囲は、約0.910~約0.912、約0.913~約0.914、約0.916~約0.917g/ccなど、任意の2つの数によって規定することもできる。同様に、メルトインデックス範囲は、約0.5~約0.90g/10minの任意の2つの数によって規定することができる。
【0045】
本発明に関して、前記第一の少なくとも1つの介在層及び前記第二の少なくとも1つの介在層の組み合わされた合計厚さは、多層フィルムの合計厚さの約1%~約20%である。好ましい実施形態において、前記少なくとも1つの介在層の厚さは、多層の合計の約1%多層フィルム合計厚さの約19%である。介在層の各々の厚さは、同じであり得るか、各層は異なり得、例えば、1つの層は約3%であり得、第二のものは17%、又は4~16%、9~11%などであり得る。
【0046】
コア層
多層フィルムは、1つの側の第一の少なくとも1つの介在層及び反対側の第二の少なくとも1つの介在層に隣接する少なくとも1つのコア層を備える。介在層が多層フィルムにおいて用いられない場合、コア層はシーラント層に隣接する。コア層は、約0~100重量%若しくは好ましくは約30~70重量%若しくはさらに好ましくは30~50重量%の、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)である約0.910~0.920g/ccの密度及び約0.8~1.2g/10minのメルトインデックスを有するエチレン/オクテン-1コポリマー、及び0~100重量%の線状低密度ブテンポリエチレン(LLDPE)若しくは約0.918~0.930g/ccの密度及び約0.8~1.2g/10minのメルトインデックスを有する低密度ヘキセンポリエチレン、又は好ましくは70~30重量%若しくはさらに好ましくは50~70重量%の線状低密度ブテンポリエチレン若しくは線状低密度ヘキセンポリエチレンのポリマー若しくはポリマーブレンドを含む。さらに好ましくは、コア層のポリマーブレンドは、約35~45重量%の、約0.914~0.918g/ccの密度及び約0.9~1.1g/10minのメルトインデックスを有する線状低密度ポリエチレン(LLDPE)と、55~65重量%の、約0.918~0.920の密度及び約0.9~1.1g/10minのメルトインデックスを有する線状低密度ブテンポリエチレン(LLDPE)とのブレンドを含む。製品及び製品が保存される条件に応じて、コア層は100重量%までの好ましいエチレン/α-オレフィンインターポリマーを含み得る。インターポリマーのパーセンテージは、多層フィルムに必要な特性に応じて5、10、20、30、40、50、60、70、80及び90%及びその間の任意の量で変わり得る。
【0047】
コア層は、好ましくは単層であるが、各層が同じか又は類似のポリマーブレンドを前記範囲内で有する多層成分であり得る。コア層の厚さは、多層フィルムの合計厚さの約30~50%を構成し得る。
【0048】
本発明はまた、流動性物質を収容するパウチであって、管状形態のすでに記載した多層フィルムから作製され、両端が横方向にヒートシールされているパウチも対象とする。
【0049】
本発明はさらに、流動性物質を充填したパウチを作製するプロセスであって、本明細書中で後述する従来型のバッグ作製プロセスを使用するものを対象とする。また、パウチは、垂直型の充填及びシール(「VFFS」)装置を使用して作製することができ、この装置では、各パウチは、フィルムの平坦なウェブから長手方向のシールで管状フィルムを形成し、続いて当該管状フィルムを第一の位置で平坦化し、前記管状フィルムを平坦化された位置で横方向にヒートシールし、当該管状フィルムにあらかじめ決められた量の流動性物質を前記第一の位置の上まで充填し、予め決められた量を上回る流動性物質の当該管状フィルムを第二の位置で平坦化し、そして前記管状フィルムを第二の位置で横方向にヒートシールすることによって、フィルムの平坦なウェブから作製され、改善点は、すでに記載した多層フィルムから作製されたフィルムの平坦なウェブからパウチを作製することを含む。VFFSプロセス及びその修飾形は、米国特許第5,538,590号明細書、同第9,327,856号明細書及び同第9,440,757号明細書に記載され、その全体を参照により本明細書に援用される。
【0050】
メルトインデックス範囲を本明細書中で具体的に記載しているが、フィルム等級のポリマーに典型的なメルトインデックスを有するポリマーが使用できることが理解される。本発明の多層フィルムは、ラップシール並びにフィンシールを形成する能力を有する。それらはまた、ラミネートにおけるカールを実質的に低減する。
【0051】
1つの好ましいフィルム製造法は、いわゆるインフレーションフィルムプロセスである。製造後のフィルムを、縦方向に適切な幅で細長く切断する。多層フィルムの好ましい製造法は、インフレーションフィルム共押出プロセスを使用することによるが、他のフィルム製造法を使用してもよい。
【0052】
本発明の多層フィルムは、上述のように、流動性物質、例えば液体のパッケージングにおいて使用し得るバッグの形成において特に有用である。特に、バッグは、冷蔵液体、特に牛乳のパッケージングで使用される。
【0053】
他の添加剤
抗酸化剤、安定化剤、抗ブロック剤、及びスリップ添加剤などの添加剤を、本発明のバッグを作製するポリマーに添加することができることを当業者であれば理解するであろう。所望により、内側シーラント層、外側シーラント、介在層は、バッグ作製プロセスにおいてフィルムの加工をより容易にするために有用な1つ若しくは複数の添加剤、例えば、ポリマー加工助剤濃縮物、及び/又はスリップ/抗ブロック濃縮物をさらに含んでもよい。当業者に周知のそのような添加剤のいずれも使用することができる。有利には、以下の添加剤が好ましい。
【0054】
スリップ剤
使用できるスリップ剤の範囲は、約200~2000ppm又はシーリング層の0.5~2.5重量%である。好ましいスリップ剤は、エルカミド又は他の脂肪酸アミド、例えばオレアミドである。スリップ剤はフィルムの摩擦係数を低下させ、フィルムを様々な表面上で容易に摺動させる。
【0055】
抗ブロッキング剤
当業者に周知の任意のフィルム抗ブロッキング剤をフィルム層に、約1000~5000ppm又はシーラント層の0.5~2.5重量%の範囲内で添加してもよい。典型的な抗ブロッキング剤、例えば珪藻土、合成シリカ又はタルクをフィルムの内側及び外側シーラント層に添加することができる。抗ブロッキング材は、フィルムと、バッグ作製プロセス中に、その上にフィルムを延伸する金属表面との間の摩擦係数を減少させるのに特に有用である。
【0056】
加工助剤
好ましくは当業者に周知であり、フルオロエラストマー系ポリマーに限定されない任意の加工助剤を、フィルムの外側及び内側シーリング層に添加してもよい。
【0057】
バッグ作製プロセス
本発明はまた、バッグラインを使用して、流動性物質を充填可能なバッグを作製するためのプロセスであって、各バッグを、フィルムの平坦なウェブから、以下のステップによって作製するプロセスに関する。
(I)2つのロールの上部と2つのロールの底部からフィルムを巻きだす。
(II)各バッグをインクジェットコードラベリングする。
(III)各バッグに注ぎ口の孔を打ち抜く。
(IV)バッグに注ぎ口を挿入する。
(V)バッグをブラッシングしてトラップされた空気を除去する。
(VI)1つのバッグの底部と次のバッグの上部にクロスシールを形成する。
(VII)サーボ駆動でバッグをラインから抜き取る。
(VIII)隣接するクロスシール間でミシン目を形成する。
(IX)バッグを、コンベヤベルトを介してラインの端部へと押し進める。
(X)バッグをボックス中にパッキングする。
【0058】
上記ステップは、バッグ作製機に関して典型的なものである。なお、ステップの順序は、バッグ作製機に応じて変えることができる。
【0059】
実験
実験のこのセットでは、概して、多層フィルムは、フィルム製造業界で周知であるフィルム押出プロセスを用いて作製される。多層フィルムを、3層、5層、7層、9層又はそれ以上のインフレーションフィルム共押出ラインなどの多層フィルム用の従来型押出ライン上で押し出す。本発明の樹脂組成物からフィルムはまた、フィルム製造業界で周知の他のフィルム押出プロセスを用いて作製することもできる。
【0060】
以下の実施例の多層フィルムを調製するために、以下の操作条件を使用した:ラインスループット:350lbs/時、膨張比:2.5;平置き:38.65インチ、ロール二重巻2-アップ@16.75インチ幅、各ロールのOD(外径):1セットのロールが8.25インチODであることを除いて9.5インチ、ダイサイズ:250mm、ダイ間隔2ミル、冷却環及びIBC冷却@50°F、冷水によって冷却された空気を使用、カルーセ(carouse)でニップを回転;自動基準寸法制御、トリータ・オフ。結果として得られるフィルム厚さは1.8ミルである。
【0061】
試験のために作製した乳製品用バッグ:2.5ガロンバッグ;1分あたり25個のバッグの生産速度;インパルスシーリングを使用してバッグの端部を合わせてヒートシールした二枚重ねのバッグ;シールの内部からシールの内部は幅15.75インチ;シールの内部からシールの内部並びに乳製品注ぎ口及びキャップの長さ18.00インチ。
【0062】
ブルーストン階段落下試験(ASTM D 5276 A2.4.2バージョン)
ブルーストン階段試験は、30個の充分に作製されたバッグを必要とする。第一のバッグを、バッグの縦軸を仮想水平線に一致させて配置し、バッグの底表面を好適な初期落下高さ、すなわち8フィートにし、そして垂直シールを上向きにして配置する。この配向で、バッグをステンレス鋼シート上に落下させ、次いで漏れ(leaker)について目視及び触覚的(tactilely)に検査する。バッグ温度を約4℃で維持することによって試験を実施する。
【0063】
第一のバッグが落下試験を水が漏れることなく無傷で持ちこたえたら、新しいバッグを選択し、さらに1フィートの高さ、すなわち9フィートから落下させる。一方、第一のバッグで漏れが生じたら、新しいバッグを選択し、1フィート低い高さ、すなわち7フィートから落下させる。各落下について新しいバッグを使用して、合格と不合格が起こる高さ範囲で少なくとも5回合格及び5回不合格になるまで、試験を続ける。50%不合格の高さを次に、ASTM 1D 5628の統計的方法を用いて算出する。
【0064】
実施例で使用する略語
Dow「Elite」AT 6401 ULDPE、エチレン/オクテン-1コポリマー、メルトインデックス0.85g/10min、密度0.912g/cc。
Dow「Elite」5400 G-LLDPE、エチレン/オクテンコポリマー、メルトインデックス1.0g/10min、密度0.916g/cc。
Dow XUS59900.100-LLDPE、エチレン/オクテン-1コポリマー、メルトインデックス0.85g/10g/min、密度0.920g/cc。
Dow「Innate」XUS 59910.04(16C181R01)エチレン/オクテン-1コポリマー及び第二のエチレン/α-オレフィンコポリマーのインターポリマー、メルトインデックス0.85g/10min、密度0.915g/cc。
DFDC 7087-LLDPEエチレンブテンコポリマー、メルトインデックス1.0g/10min、密度0.918g/cc。
Ampacet 10090スリップ剤-担体樹脂LDPE、密度0.92g/cc、添加剤5%エルカミド。
Ampacet 10063抗ブロック剤-担体樹脂LDPE、密度0.92g/cc、抗ブロック添加剤20%。
以下の実施例で本発明を説明する。
【0065】
実施例1
以下のフィルムは、すでに記載した押出機及び押出条件を用いて形成した。
【0066】
基準構造は、37重量%の(Dow「Elite」5400 G)、LLDPE、エチレンオクテンコポリマー、60%の(DFDC 7087)LLDPE、エチレン/ブテンコポリマー及び1.5%のAmpacetスリップ剤LDPE担体樹脂及び抗ブロックスリップ剤を含む7つの多層の単層構造の厚さ2.2ミルを有する工業基準である。
【0067】
多層フィルム構造3は1.8ミルの厚さを有する多層構造であり、以下のものを含む。
【0068】
(1)97重量%の0.85g/10minのメルトインデックス及び0.915g/ccの密度を有する好ましいエチレン/α-オレフィンインターポリマー(Dow「Innate」XUS 59910.04)と、1.5重量%のAmpacet 10090スリップ剤と、1.5重量%のAmpacet抗ブロック剤とを含む外側及び内側シーラント層
【0069】
(2)98.5重量%のLLDPEであるエチレン/オクテン-1コポリマー(「Elite」5400)及び1.5重量%のAmpacet 10090スリップ剤の5層のコア層。
【0070】
多層フィルム構造4は、1.8ミルの厚さを有し、以下のものを備える。
【0071】
(1)97重量%の好ましいエチレン/α-オレフィンインターポリマー(Dow「Innate」XUS 59910.04)及び1.5重量%のAmpacet 10090スリップ剤及び1.5重量%の抗ブロック剤を含む内側及び外側シーラント層並びに
【0072】
(2)38.5重量%のLLDPEであるエチレン/オクテン-1コポリマー(「Elite」5400G)と、60.0重量%のLLDPEである1.0g/10minのメルトインデックス及び0.918g/ccの密度を有するエチレン/ブテンコポリマー(DFDP 7087)と、1.5重量%のAmpacet 10090スリップ剤とを含む5層のコア層。
【0073】
多層フィルム構造9は、1.8ミルの厚さを有し、以下のものを備える。
【0074】
(1)83重量%のULDPEである0.85g/10minのメルトインデックス及び0.912g/ccの密度を有するエチレン/オクテン-1コポリマー(“Elite AT 6401)並びに14.0重量%のLLDPEである0.85g/10minのメルトインデックス及び0.920g/ccの密度を有するエチレン/オクテン-1コポリマー(XUS 59900.100)並びに1.5重量%のAmpacet 10090スリップ剤並びに1.5重量%のAmpacet抗ブロック剤を含む内側及び外側シーラント層;
【0075】
(2)98.5%の好ましいエチレン/α-オレフィンインターポリマー(Dow「Innate」XUS 59910.04)及び1.5重量%のAmpacet 10090スリップ剤を含む介在層;及び
【0076】
(3)38.5重量%のLLDPEである1.0g/10minのメルトインデックス及び0.916g/ccの密度を有するエチレン/オクテン-1コポリマー(“Elite 5400G”)と、60.0重量%のLLDPEである1.0g/10minのメルトインデックス及び0.918g/ccの密度を有するエチレンブテンコポリマー(DFDC 7087)と、1.5重量%のAmpacent 10090スリップ剤とを含む3層のコア層。
【0077】
上記で調製したフィルム構造-基準構造、構造3、構造4、及び構造9の各々を試験のためにバッグに成形した。2.5ガロンの牛乳用バッグを上記のように形成し、水を充填し、約4℃の温度で冷蔵し、そしてバッグを上記のようなブルーストン階段落下試験に供した。また、バッグを周囲温度で試験した。以下は、当該試験の試験結果である。
【表1】
【0078】
実施例2
フィルム構造3から形成したバッグに主要乳業カスタマーにて冷蔵したアイスクリームミックスを充填した。6000個の2.5ガロンサイズのバッグにLiqui-Box Orbiter 6000 C6T-0フィラーを充填した。第二の6000個のフィルム構造9から形成されたバッグに同じ装置で冷蔵アイスクリーム製品を充填した。バッグの充填時に問題は起こらず、バッグの配送及び流通で問題はなく、これらの乳製品充填バッグのエンドユーザーから問題は報告されなかった。
【0079】
4800個の2.5ガロンサイズバッグのフィルム構造9にLiqui-Box 1500-CIT Pacesetter III及びバッグローディングシステムで冷蔵乳製品(アイスクリーム)を充填し、ボックス中に装填した。バッグの充填中に問題は起こらず、配送及び流通のバッグで問題はなく、これらの乳製品を充填したバッグのエンドユーザーから問題は報告されなかった。