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特許7232228ソーラーパネルネットワークにおける故障の検出、診断及び位置確認のための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-21
(45)【発行日】2023-03-02
(54)【発明の名称】ソーラーパネルネットワークにおける故障の検出、診断及び位置確認のための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G06N 3/08 20230101AFI20230222BHJP
   G05F 1/67 20060101ALI20230222BHJP
【FI】
G06N3/08
G05F1/67 A
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020174900
(22)【出願日】2020-10-16
(65)【公開番号】P2021064373
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】201921041963
(32)【優先日】2019-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510337621
【氏名又は名称】タタ コンサルタンシー サービシズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TATA Consultancy Services Limited
【住所又は居所原語表記】Nirmal Building,9th Floor,Nariman Point,Mumbai 400021,Maharashtra,India.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンカータ ラマクリシュナ パデュラパルティ
(72)【発明者】
【氏名】スネハ マリー トゥマ
(72)【発明者】
【氏名】アルンチャンダル ヴァサン
【審査官】北川 純次
(56)【参考文献】
【文献】特許第6185206(JP,B1)
【文献】特開2017-181138(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0149089(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0286961(US,A1)
【文献】米国特許第10389300(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06N 3/02-3/10
G06N 20/00
G05F 1/67
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験用ソーラーパネルネットワークにおける故障の検出、診断及び位置確認のためのプロセッサ実装方法(400)であって、該方法は、
1又は2以上のハードウェアプロセッサを介して、スキーマアルゴリズムを使用して前記試験用ソーラーパネルネットワークのスキーマを取得するステップであって、前記スキーマアルゴリズムは前記試験用ソーラーパネルネットワークのスケルトン構造についての情報を取り込むことが可能であり、前記試験用ソーラーパネルネットワークが、複数のソーラーパネル及び複数の回路素子を含み、前記複数のソーラーパネルが、前記複数の回路素子のうちの1又は2以上の回路素子及び1又は2以上のインバータと共に、1又は2以上のストリング、1又は2以上のサブアレイ及び1又は2以上のアレイ内に配置される、ステップ(402)と、
前記1又は2以上のハードウェアプロセッサを介して、前記試験用ソーラーパネルネットワーク内に存在する各ソーラーパネルのネームプレートデータセット及び前記試験用ソーラーパネルネットワークのタイムスタンプ付き動作ログデータセットに基づいて、各ソーラーパネルのソーラーパネルパラメータセットを決定するステップであって、各ソーラーパネルの前記ソーラーパネルパラメータセットが、光電流(IL)、ダイオード逆方向飽和電流(IO)、直列抵抗(RS)、シャント抵抗(RSH)及び理想係数(n)を含む、ステップ(404)と、
前記1又は2以上のハードウェアプロセッサを介して、モデリング技術を使用して、前記取得されたスキーマ及び各ソーラーパネルの前記ソーラーパネルパラメータセットから前記試験用ソーラーパネルネットワークのネットワークシミュレーションモデルを生成するステップ(406)と、
前記1又は2以上のハードウェアプロセッサを介して、前記生成されたネットワークシミュレーションモデルの複数の故障特徴テンソル(FFT)及び複数の無故障特徴テンソル(NFFT)をランダムに生成するステップであって、前記複数の故障特徴テンソル(FFT)の各故障特徴テンソル(FFT)が、複数の故障シナリオのうちの1つの故障シナリオに関連し、前記複数の無故障特徴テンソル(NFFT)の各無故障特徴テンソル(NFFT)が、複数の無故障シナリオのうちの1つの無故障シナリオに関連し、各故障シナリオが、前記試験用ソーラーパネルネットワーク内の1又は2以上の故障箇所において発生した1又は2以上の故障タイプと、環境の動作温度及び前記環境の日照値を含む1又は2以上の環境パラメータとに基づいて定義され、各無故障シナリオが、前記環境の前記動作温度及び前記環境の前記日照値を含む前記1又は2以上の環境パラメータに基づいて定義される、ステップ(408)と、
前記1又は2以上のハードウェアプロセッサを介して、(i)前記生成されたネットワークシミュレーションモデルを使用して前記対応する無故障特徴テンソル(NFFT)をシミュレートすることによって、前記複数の無故障特徴テンソル(NFFT)の各無故障特徴テンソル(NFFT)の無故障シミュレーションデータセットと、(ii)前記生成されたネットワークシミュレーションモデルを使用して前記対応する故障特徴テンソル(FFT)をシミュレートすることによって、前記複数の故障特徴テンソル(FFT)の各故障特徴テンソル(FFT)の故障シミュレーションデータセットとを決定するステップ(410)と、
前記1又は2以上のハードウェアプロセッサを介して、前記複数の故障特徴テンソル(FFT)及び前記複数の無故障特徴テンソル(NFFT)をトレーニングデータセット及び試験用データセットにランダムに分割するステップであって、前記トレーニングデータセットが、1又は2以上のトレーニングFFT及び対応する故障シミュレーションデータセットと、1又は2以上のトレーニングNFFT及び対応する無故障シミュレーションデータセットとを含み、前記試験用データセットが、1又は2以上の試験用FFT及び対応する故障シミュレーションデータセットと、1又は2以上の試験用NFFT及び対応する無故障シミュレーションデータセットとを含む、ステップ(412)と、
前記1又は2以上のハードウェアプロセッサを介して、前記試験用ソーラーパネルネットワークにおける故障の検出、診断及び位置確認のための故障の検出、診断及び位置確認(FDDL)モデルを生成するステップと、
前記トレーニングデータセットを使用して畳み込みニューラルネットワーク(CNN)モデルをトレーニングするステップであって、(i)前記トレーニングデータセット内に存在する前記1又は2以上のトレーニングFFTの各トレーニングFFTがラベルとして提供され、前記対応する故障シミュレーションデータセットが前記CNNモデルへの入力として提供され、(ii)前記トレーニングデータセット内に存在する前記1又は2以上のトレーニングNFFTの各トレーニングNFFTがラベルとして提供され、前記対応する無故障シミュレーションデータセットが前記CNNモデルへの前記入力として提供される、ステップ(414)と、
を含むことを特徴とする方法(400)。
【請求項2】
前記1又は2以上のハードウェアプロセッサを介して、前記試験用データセットを使用して、前記生成されたFDDLモデルを試験するステップであって、(i)前記試験用データセット内に存在する前記1又は2以上の試験用FFTの各試験用FFTが前記ラベルとして提供され、前記対応する故障シミュレーションデータセットが前記生成されたFDDLモデルへの前記入力として提供され、前記試験用データセット内に存在する前記1又は2以上の試験用NFFTの各試験用NFFTが前記ラベルとして提供され、前記対応する無故障シミュレーションデータセットが前記CNNモデルへの前記入力として提供される、ステップ(416)をさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記CNNモデルは、それぞれが最大プーリング層及びドロップアウト層に接続された3つの2次元畳み込み層と、前記ドロップアウト層に接続された2つの全結合層とを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記試験用ソーラーパネルネットワーク内に存在する各ソーラーパネルの前記ネームプレートデータセットは、標準定格条件における、前記対応するソーラーパネル内に存在するPVセル数(NS)と、開路電圧(VOC-SRC)と、短絡回路電流(ISC-SRC)と、最大電力点電圧(VMP-SRC)と、最大電力点電流(IMP-SRC)とを含み、前記試験用ソーラーパネルネットワークの前記タイムスタンプ付き動作ログデータセットは、各ソーラーパネルのソーラーパネル別電流及びソーラーパネル別電圧、各ストリングのストリング別電流及びストリング別電圧、各サブアレイのサブアレイ別電流及びサブアレイ別電圧、各アレイのアレイ別電流及びアレイ別電圧、前記1又は2以上のインバータの各インバータ(DC及びAC)の電圧セット、各インバータの出力、日照値(G)、雲り値(C)、降雨値(r)、各ソーラーパネルのソーラーパネル温度、各インバータの温度及び故障電流セットのうちの1つ又は2つ以上を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
各無故障特徴テンソル(NFFT)の前記無故障シミュレーションデータセットは、各ソーラーパネルの前記ソーラーパネルパラメータセット及び前記1又は2以上の環境パラメータに基づいて決定されるとともに、各ソーラーパネルのソーラーパネルレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCp,SVp,SPp)と、各ストリングのストリングレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCs,SVs,SPs)と、各サブアレイのサブアレイレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCsa,SVsa,SPsa)と、各アレイのアレイレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCa,SVa,SPa)と、各インバータのインバータレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCi,SVi,SPi)とを含み、
各故障特徴テンソル(FFT)の前記故障シミュレーションデータセットは、各ソーラーパネルの前記ソーラーパネルパラメータセット及び前記1又は2以上の環境パラメータに基づいて決定されるとともに、各ソーラーパネルのソーラーパネルレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCp,FVp,FPp)と、各ストリングのストリングレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCs,FVs,FPs)と、各サブアレイのサブアレイレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCsa,FVsa,FPsa)と、各アレイのアレイレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCa,FVa,FPa)と、各インバータのインバータレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCi,FVi,FPi)とを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
各ソーラーパネルの前記ソーラーパネルレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCp,SVp,SPp)は、前記対応するソーラーパネルの前記パラメータセット及び前記1又は2以上の環境パラメータに基づいて決定され、各ストリングの前記ストリングレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCs,SVs,SPs)は、前記対応するストリング内に存在する各ソーラーパネルのソーラーパネルレベルの電流-電圧-電力データセット(SCp,SVp,SPp)に基づいて決定され、各サブアレイの前記サブアレイレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCsa,SVsa,SPsa)は、前記対応するサブアレイ内に存在する各ストリングの前記ストリングレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCs,SVs,SPs)に基づいて決定され、各アレイの前記アレイレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCa,SVa,SPa)は、前記対応するアレイ内に存在する各サブアレイの前記サブアレイレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCsa,SVsa,SPsa)に基づいて決定され、各インバータの前記インバータレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCi,SVi,SPi)は、前記対応するアレイレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCa,SVa,SPa)及び前記1又は2以上の環境パラメータに基づいて決定され、
各ソーラーパネルの前記ソーラーパネルレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCp,FVp,FPp)は、前記対応するソーラーパネルの前記ソーラーパネルパラメータセット及び前記1又は2以上の環境パラメータに基づいて決定され、各ストリングの前記ストリングレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCs,FVs,FPs)は、前記対応するストリング内に存在する各ソーラーパネルの前記ソーラーパネルレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCp,FVp,FPp)に基づいて決定され、各サブアレイの前記サブアレイレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCsa,FVsa,FPsa)は、前記対応するサブアレイ内に存在する各ストリングの前記ストリングレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCs,FVs,FPs)に基づいて決定され、各アレイの前記アレイレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCa,FVa,FPa)は、前記対応するアレイ内に存在する各サブアレイの前記サブアレイレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCsa,FVsa,FPsa)に基づいて決定され、各インバータの前記インバータレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCi,FVi,FPi)は、前記対応するアレイレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCa,FVa,FPa)及び前記1又は2以上の環境パラメータに基づいて決定される、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記1又は2以上の故障タイプは、短絡回路故障、開路故障、遮蔽故障、汚損故障、ホットスポット故障、アーク故障、劣化故障及びクリッピング故障から成る群から選択され、前記短絡回路故障は、線間故障及び線地絡故障を含み、前記1又は2以上の故障箇所は、1又は2以上のソーラーパネルレベルの故障箇所、1又は2以上のストリングレベルの故障箇所、1又は2以上のサブアレイレベルの故障箇所、1又は2以上のアレイレベルの故障箇所、1又は2以上のインバータレベルの故障箇所、1又は2以上の回路素子レベルの故障箇所及び1又は2以上の配線レベルの故障箇所を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
試験用ソーラーパネルネットワークにおける故障の検出、診断及び位置確認のためのシステム(100)であって、
命令を記憶するメモリ(102)と、
1又は2以上の入力/出力(I/O)インターフェイス(106)と、
前記1又は2以上のI/Oインターフェイス(106)を介して前記メモリ(102)に結合された1又は2以上のハードウェアプロセッサ(104)と、
を備え、前記1又は2以上のハードウェアプロセッサ(104)は、前記命令によって、
スキーマアルゴリズムを使用して前記試験用ソーラーパネルネットワークのスキーマを取得することであって、前記スキーマアルゴリズムは前記試験用ソーラーパネルネットワークのスケルトン構造についての情報を取り込むことが可能であり、前記試験用ソーラーパネルネットワークが、複数のソーラーパネル及び複数の回路素子を含み、前記複数のソーラーパネルが、前記複数の回路素子のうちの1又は2以上の回路素子及び1又は2以上のインバータと共に、1又は2以上のストリング、1又は2以上のサブアレイ及び1又は2以上のアレイ内に配置されることと、
前記試験用ソーラーパネルネットワーク内に存在する各ソーラーパネルのネームプレートデータセット及び前記試験用ソーラーパネルネットワークのタイムスタンプ付き動作ログデータセットに基づいて、各ソーラーパネルのソーラーパネルパラメータセットを決定することであって、各ソーラーパネルの前記ソーラーパネルパラメータセットが、光電流(IL)、ダイオード逆方向飽和電流(IO)、直列抵抗(RS)、シャント抵抗(RSH)及び理想係数(n)を含むことと、
モデリング技術を使用して、前記取得されたスキーマ及び各ソーラーパネルの前記ソーラーパネルパラメータセットから前記試験用ソーラーパネルネットワークのネットワークシミュレーションモデルを生成することと、
前記生成されたネットワークシミュレーションモデルの複数の故障特徴テンソル(FFT)及び複数の無故障特徴テンソル(NFFT)をランダムに生成することであって、前記複数の故障特徴テンソル(FFT)の各故障特徴テンソル(FFT)が、複数の故障シナリオのうちの1つの故障シナリオに関連し、前記複数の無故障特徴テンソル(NFFT)の各無故障特徴テンソル(NFFT)が、複数の無故障シナリオのうちの1つの無故障シナリオに関連し、各故障シナリオが、前記試験用ソーラーパネルネットワーク内の1又は2以上の故障箇所において発生した1又は2以上の故障タイプと、環境の動作温度及び前記環境の日照値を含む1又は2以上の環境パラメータとに基づいて定義され、各無故障シナリオが、前記環境の前記動作温度及び前記環境の前記日照値を含む前記1又は2以上の環境パラメータに基づいて定義されることと、
(i)前記生成されたネットワークシミュレーションモデルを使用して前記対応する無故障特徴テンソル(NFFT)をシミュレートすることによって、前記複数の無故障特徴テンソル(NFFT)の各無故障特徴テンソル(NFFT)の無故障シミュレーションデータセットと、(ii)前記生成されたネットワークシミュレーションモデルを使用して前記対応する故障特徴テンソル(FFT)をシミュレートすることによって、前記複数の故障特徴テンソル(FFT)の各故障特徴テンソル(FFT)の故障シミュレーションデータセットとを決定することと、
前記複数の故障特徴テンソル(FFT)及び前記複数の無故障特徴テンソル(NFFT)をトレーニングデータセット及び試験用データセットにランダムに分割することであって、前記トレーニングデータセットが、1又は2以上のトレーニングFFT及び対応する故障シミュレーションデータセットと、1又は2以上のトレーニングNFFT及び対応する無故障シミュレーションデータセットとを含み、前記試験用データセットが、1又は2以上の試験用FFT及び対応する故障シミュレーションデータセットと、1又は2以上の試験用NFFT及び対応する無故障シミュレーションデータセットとを含むことと、
前記試験用ソーラーパネルネットワークにおける故障の検出、診断及び位置確認のための故障の検出、診断及び位置確認(FDDL)モデルを生成することと、
前記トレーニングデータセットを使用して畳み込みニューラルネットワーク(CNN)モデルをトレーニングすることであって、(i)前記トレーニングデータセット内に存在する前記1又は2以上のトレーニングFFTの各トレーニングFFTがラベルとして提供され、前記対応する故障シミュレーションデータセットが前記CNNモデルへの入力として提供され、(ii)前記トレーニングデータセット内に存在する前記1又は2以上のトレーニングNFFTの各トレーニングNFFTがラベルとして提供され、前記対応する無故障シミュレーションデータセットが前記CNNモデルへの前記入力として提供される、トレーニングすることと、
を行うように構成される、
ことを特徴とするシステム(100)。
【請求項9】
前記1又は2以上のハードウェアプロセッサ(104)は、前記試験用データセットを使用して、前記生成されたFDDLモデルを試験することであって、(i)前記試験用データセット内に存在する前記1又は2以上の試験用FFTの各試験用FFTが前記ラベルとして提供され、(ii)前記対応する故障シミュレーションデータセットが前記生成されたFDDLモデルへの前記入力として提供され、前記試験用データセット内に存在する前記1又は2以上の試験用NFFTの各試験用NFFTが前記ラベルとして提供され、前記対応する無故障シミュレーションデータセットが前記CNNモデルへの前記入力として提供されることを行うようにさらに構成される、
請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記CNNモデルは、それぞれが最大プーリング層及びドロップアウト層に接続された3つの2次元畳み込み層と、前記ドロップアウト層に接続された2つの全結合層とを含む、
請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記1又は2以上のハードウェアプロセッサ(104)は、
標準定格条件における、前記対応するソーラーパネル内に存在するPVセル数(NS)と、開路電圧(VOC-SRC)と、短絡回路電流(ISC-SRC)と、最大電力点電圧(VMP-SRC)と、最大電力点電流(IMP-SRC)とを含む、前記試験用ソーラーパネルネットワーク内に存在する各ソーラーパネルの前記ネームプレートデータセットを受け取り、
各ソーラーパネルのソーラーパネル別電流及びソーラーパネル別電圧、各ストリングのストリング別電流及びストリング別電圧、各サブアレイのサブアレイ別電流及びサブアレイ別電圧、各アレイのアレイ別電流及びアレイ別電圧、前記1又は2以上のインバータの各インバータ(DC及びAC)の電圧セット、各インバータの出力、日照値(G)、雲り値(C)、降雨値(r)、各ソーラーパネルのソーラーパネル温度、各インバータの温度及び故障電流セットのうちの1つ又は2つ以上を含む、前記試験用ソーラーパネルネットワークの前記タイムスタンプ付き動作ログデータセットを受け取る、
ようにさらに構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記1又は2以上のハードウェアプロセッサ(104)は、
各ソーラーパネルのソーラーパネルレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCp,SVp,SPp)と、各ストリングのストリングレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCs,SVs,SPs)と、各サブアレイのサブアレイレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCsa,SVsa,SPsa)と、各アレイのアレイレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCa,SVa,SPa)と、各インバータのインバータレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCi,SVi,SPi)とを含む、各無故障特徴テンソル(NFFT)の前記無故障シミュレーションデータセットを、各ソーラーパネルの前記ソーラーパネルパラメータセット及び前記1又は2以上の環境パラメータに基づいて決定し、
各ソーラーパネルのソーラーパネルレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCp,FVp,FPp)と、各ストリングのストリングレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCs,FVs,FPs)と、各サブアレイのサブアレイレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCsa,FVsa,FPsa)と、各アレイのアレイレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCa,FVa,FPa)と、各インバータのインバータレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCi,FVi,FPi)とを含む、各故障特徴テンソル(FFT)の前記故障シミュレーションデータセットを、各ソーラーパネルの前記ソーラーパネルパラメータセット及び前記1又は2以上の環境パラメータに基づいて決定する、
ようにさらに構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
前記1又は2以上のハードウェアプロセッサ(104)は、
各ソーラーパネルの前記ソーラーパネルレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCp,SVp,SPp)を、前記対応するソーラーパネルのパラメータセット及び前記1又は2以上の環境パラメータに基づいて決定し、各ストリングの前記ストリングレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCs,SVs,SPs)を、前記対応するストリング内に存在する各ソーラーパネルのソーラーパネルレベルの電流-電圧-電力データセット(SCp,SVp,SPp)に基づいて決定し、各サブアレイの前記サブアレイレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCsa,SVsa,SPsa)を、前記対応するサブアレイ内に存在する各ストリングの前記ストリングレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCs,SVs,SPs)に基づいて決定し、各アレイの前記アレイレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCa,SVa,SPa)を、前記対応するアレイ内に存在する各サブアレイの前記サブアレイレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCsa,SVsa,SPsa)に基づいて決定し、各インバータの前記インバータレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCi,SVi,SPi)を、前記対応するアレイレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCa,SVa,SPa)及び前記1又は2以上の環境パラメータに基づいて決定することと、
各ソーラーパネルの前記ソーラーパネルレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCp,FVp,FPp)を、前記対応するソーラーパネルの前記ソーラーパネルパラメータセット及び前記1又は2以上の環境パラメータに基づいて決定し、各ストリングの前記ストリングレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCs,FVs,FPs)を、前記対応するストリング内に存在する各ソーラーパネルの前記ソーラーパネルレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCp,FVp,FPp)に基づいて決定し、各サブアレイの前記サブアレイレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCsa,FVsa,FPsa)を、前記対応するサブアレイ内に存在する各ストリングの前記ストリングレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCs,FVs,FPs)に基づいて決定し、各アレイの前記アレイレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCa,FVa,FPa)を、前記対応するアレイ内に存在する各サブアレイの前記サブアレイレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCsa,FVsa,FPsa)に基づいて決定し、各インバータの前記インバータレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCi,FVi,FPi)を、前記対応するアレイレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCa,FVa,FPa)及び前記1又は2以上の環境パラメータに基づいて決定することと、
を行うようにさらに構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記1又は2以上の故障タイプは、短絡回路故障、開路故障、遮蔽故障、汚損故障、ホットスポット故障、アーク故障、劣化故障及びクリッピング故障から成る群から選択され、前記短絡回路故障は、線間故障及び線地絡故障を含み、前記1又は2以上の故障箇所は、1又は2以上のソーラーパネルレベルの故障箇所、1又は2以上のストリングレベルの故障箇所、1又は2以上のサブアレイレベルの故障箇所、1又は2以上のアレイレベルの故障箇所、1又は2以上のインバータレベルの故障箇所、1又は2以上の回路素子レベルの故障箇所及び1又は2以上の配線レベルの故障箇所を含む、
請求項8に記載のシステム。
【請求項15】
コンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、コンピュータ装置上で実行された時に、該コンピュータ装置に、
スキーマアルゴリズムを使用して試験用ソーラーパネルネットワークのスキーマを取得することであって、前記スキーマアルゴリズムは前記試験用ソーラーパネルネットワークのスケルトン構造についての情報を取り込むことが可能であり、前記試験用ソーラーパネルネットワークが、複数のソーラーパネル及び複数の回路素子を含み、前記複数のソーラーパネルが、前記複数の回路素子のうちの1又は2以上の回路素子及び1又は2以上のインバータと共に、1又は2以上のストリング、1又は2以上のサブアレイ及び1又は2以上のアレイ内に配置されることと、
前記試験用ソーラーパネルネットワーク内に存在する各ソーラーパネルのネームプレートデータセット及び前記試験用ソーラーパネルネットワークのタイムスタンプ付き動作ログデータセットに基づいて、各ソーラーパネルのソーラーパネルパラメータセットを決定することであって、各ソーラーパネルの前記ソーラーパネルパラメータセットが、光電流(IL)、ダイオード逆方向飽和電流(IO)、直列抵抗(RS)、シャント抵抗(RSH)及び理想係数(n)を含むことと、
モデリング技術を使用して、前記取得されたスキーマ及び各ソーラーパネルの前記ソーラーパネルパラメータセットから前記試験用ソーラーパネルネットワークのネットワークシミュレーションモデルを生成することと、
前記生成されたネットワークシミュレーションモデルの複数の故障特徴テンソル(FFT)及び複数の無故障特徴テンソル(NFFT)をランダムに生成することであって、前記複数の故障特徴テンソル(FFT)の各故障特徴テンソル(FFT)が、複数の故障シナリオのうちの1つの故障シナリオに関連し、前記複数の無故障特徴テンソル(NFFT)の各無故障特徴テンソル(NFFT)が、複数の無故障シナリオのうちの1つの無故障シナリオに関連し、各故障シナリオが、前記試験用ソーラーパネルネットワーク内の1又は2以上の故障箇所において発生した1又は2以上の故障タイプと、環境の動作温度及び前記環境の日照値を含む1又は2以上の環境パラメータとに基づいて定義され、各無故障シナリオが、前記環境の前記動作温度及び前記環境の前記日照値を含む前記1又は2以上の環境パラメータに基づいて定義されることと、
(i)前記生成されたネットワークシミュレーションモデルを使用して前記対応する無故障特徴テンソル(NFFT)をシミュレートすることによって、前記複数の無故障特徴テンソル(NFFT)の各無故障特徴テンソル(NFFT)の無故障シミュレーションデータセットと、(ii)前記生成されたネットワークシミュレーションモデルを使用して前記対応する故障特徴テンソル(FFT)をシミュレートすることによって、前記複数の故障特徴テンソル(FFT)の各故障特徴テンソル(FFT)の故障シミュレーションデータセットとを決定することと、
前記複数の故障特徴テンソル(FFT)及び前記複数の無故障特徴テンソル(NFFT)をトレーニングデータセット及び試験用データセットにランダムに分割することであって、前記トレーニングデータセットが、1又は2以上のトレーニングFFT及び対応する故障シミュレーションデータセットと、1又は2以上のトレーニングNFFT及び対応する無故障シミュレーションデータセットとを含み、前記試験用データセットが、1又は2以上の試験用FFT及び対応する故障シミュレーションデータセットと、1又は2以上の試験用NFFT及び対応する無故障シミュレーションデータセットとを含むことと、
前記試験用ソーラーパネルネットワークにおける故障の検出、診断及び位置確認のための故障の検出、診断及び位置確認(FDDL)モデルを生成することと、
前記トレーニングデータセットを使用して畳み込みニューラルネットワーク(CNN)モデルをトレーニングすることであって、(i)前記トレーニングデータセット内に存在する前記1又は2以上のトレーニングFFTの各トレーニングFFTがラベルとして提供され、前記対応する故障シミュレーションデータセットが前記CNNモデルへの入力として提供され、(ii)前記トレーニングデータセット内に存在する前記1又は2以上のトレーニングNFFTの各トレーニングNFFTがラベルとして提供され、前記対応する無故障シミュレーションデータセットが前記CNNモデルへの前記入力として提供される、トレーニングすることと、
を行わせる、ことを特徴とするコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照及び優先権〕
本出願は、2019年10月16日に出願されたインド国特許出願第201921041963号に基づく優先権を主張するものである。
【0002】
本開示は、一般にソーラーパネルネットワークの試験及びモニタリングの分野に関し、具体的には、ソーラーパネルネットワークにおける故障の検出、診断及び位置確認(localization)のための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
太陽光発電(PV)分野は、技術コスト及び製造コストを含む資本コストの低下によって非常に急速に成長しつつある。資本コストが低下している一方で、保守及び運用コストは、依然としてソーラーパネルネットワーク又は太陽光発電所による最適な収益性の達成を妨げている。英国の国内太陽光発電について実施された研究からは、ソーラーパネルネットワーク内で発生する故障によって、ソーラーパネルネットワークの年間エネルギーの約19%が失われる恐れがあると推定されている。多くのタイプの故障が存在するが、線間故障(line-line fault)、線地絡故障(line-ground fault)、アーク故障及びホットスポット故障などのいくつかの故障は、大量のエネルギー損失を引き起こすだけでなくソーラーパネルネットワークに深刻なダメージを与え得る危険なものでもあるため特に重大である。ソーラーパネルネットワークの従来の故障検出及び診断(FDD)法は、より広範な分類レベル(電圧レベル又は電流レベル)のいずれかで故障を識別し、又は1回に1つの特定の故障タイプを調査することに限定及び限局される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の実施形態は、本発明者らが従来のシステムにおいて認識する上述した技術的課題のうちの1つ又は2つ以上の解決策としての技術的改善を提示するものである。例えば、1つの態様では、試験用ソーラーパネルネットワークにおける故障の検出、診断及び位置確認のためのプロセッサ実装方法を提供する。この方法は、スキーマアルゴリズムを使用して試験用ソーラーパネルネットワークのスキーマを取得するステップであって、試験用ソーラーパネルネットワークが、複数のソーラーパネル及び複数の回路素子を含み、複数のソーラーパネルが、複数の回路素子のうちの1又は2以上の回路素子及び1又は2以上のインバータと共に、1又は2以上のストリング、1又は2以上のサブアレイ及び1又は2以上のアレイ内に配置されるステップと、試験用ソーラーパネルネットワーク内に存在する各ソーラーパネルのネームプレートデータセット及び試験用ソーラーパネルネットワークのタイムスタンプ付き動作ログデータセットに基づいて、各ソーラーパネルのソーラーパネルパラメータセットを決定するステップであって、各ソーラーパネルのソーラーパネルパラメータセットが、光電流(IL)、ダイオード逆方向飽和電流(IO)、直列抵抗(RS)、シャント抵抗(RSH)及び理想係数(n)を含むステップと、モデリング技術を使用して、取得されたスキーマ及び各ソーラーパネルのソーラーパネルパラメータセットから試験用ソーラーパネルネットワークのネットワークシミュレーションモデルを生成するステップと、生成されたネットワークシミュレーションモデルの複数の故障特徴テンソル(FFT)及び複数の無故障特徴テンソル(NFFT)をランダムに生成するステップであって、複数の故障特徴テンソル(FFT)の各故障特徴テンソル(FFT)が、複数の故障シナリオのうちの1つの故障シナリオに関連し、複数の無故障特徴テンソル(NFFT)の各無故障特徴テンソル(NFFT)が、複数の無故障シナリオのうちの1つの無故障シナリオに関連し、各故障シナリオが、試験用ソーラーパネルネットワーク内の1又は2以上の故障箇所において発生した1又は2以上の故障タイプと、環境の動作温度及び環境の日照値を含む1又は2以上の環境パラメータとに基づいて定義され、各無故障シナリオが、環境の動作温度及び環境の日照値を含む1又は2以上の環境パラメータに基づいて定義されるステップと、(i)生成されたネットワークシミュレーションモデルを使用して対応する無故障特徴テンソル(NFFT)をシミュレートすることによって、複数の無故障特徴テンソル(NFFT)の各無故障特徴テンソル(NFFT)の無故障シミュレーションデータセットと、(ii)生成されたネットワークシミュレーションモデルを使用して対応する故障特徴テンソル(FFT)をシミュレートすることによって、複数の故障特徴テンソル(FFT)の各故障特徴テンソル(FFT)の故障シミュレーションデータセットとを決定するステップと、所定の比率に基づいて、複数の故障特徴テンソル(FFT)及び複数の無故障特徴テンソル(NFFT)をトレーニングデータセット及び試験用データセットにランダムに分割するステップであって、トレーニングデータセットが、1又は2以上のトレーニングFFT及び対応する故障シミュレーションデータセットと、1又は2以上のトレーニングNFFT及び対応する無故障シミュレーションデータセットとを含み、試験用データセットが、1又は2以上の試験用FFT及び対応する故障シミュレーションデータセットと、1又は2以上の試験用NFFT及び対応する無故障シミュレーションデータセットとを含むステップと、1又は2以上のハードウェアプロセッサを介して、トレーニングデータセットを使用して畳み込みニューラルネットワーク(CNN)モデルをトレーニングすることによって、試験用ソーラーパネルネットワークにおける故障の検出、診断及び位置確認のための故障の検出、診断及び位置確認(FDDL)モデルを生成するステップであって、(i)トレーニングデータセット内に存在する1又は2以上のトレーニングFFTの各トレーニングFFTがラベルとして提供され、対応する故障シミュレーションデータセットがCNNモデルへの入力として提供され、(ii)トレーニングデータセット内に存在する1又は2以上のトレーニングNFFTの各トレーニングNFFTがラベルとして提供され、対応する無故障シミュレーションデータセットがCNNモデルへの入力として提供されるステップと、を含む。
【0005】
別の態様では、試験用ソーラーパネルネットワークにおける故障の検出、診断及び位置確認のためのシステムを提供する。このシステムは、命令を記憶するメモリと、1又は2以上の入力/出力(I/O)インターフェイスと、1又は2以上のI/Oインターフェイスを介してメモリに結合された1又は2以上のハードウェアプロセッサと、を備え、1又は2以上のハードウェアプロセッサは、これらの命令によって、スキーマアルゴリズムを使用して試験用ソーラーパネルネットワークのスキーマを取得することであって、試験用ソーラーパネルネットワークが、複数のソーラーパネル及び複数の回路素子を含み、複数のソーラーパネルが、複数の回路素子のうちの1又は2以上の回路素子及び1又は2以上のインバータと共に、1又は2以上のストリング、1又は2以上のサブアレイ及び1又は2以上のアレイ内に配置されることと、試験用ソーラーパネルネットワーク内に存在する各ソーラーパネルのネームプレートデータセット及び試験用ソーラーパネルネットワークのタイムスタンプ付き動作ログデータセットに基づいて、各ソーラーパネルのソーラーパネルパラメータセットを決定することであって、各ソーラーパネルのソーラーパネルパラメータセットが、光電流(IL)、ダイオード逆方向飽和電流(IO)、直列抵抗(RS)、シャント抵抗(RSH)及び理想係数(n)を含むことと、モデリング技術を使用して、取得されたスキーマ及び各ソーラーパネルのソーラーパネルパラメータセットから試験用ソーラーパネルネットワークのネットワークシミュレーションモデルを生成することと、生成されたネットワークシミュレーションモデルの複数の故障特徴テンソル(FFT)及び複数の無故障特徴テンソル(NFFT)をランダムに生成することであって、複数の故障特徴テンソル(FFT)の各故障特徴テンソル(FFT)が、複数の故障シナリオのうちの1つの故障シナリオに関連し、複数の無故障特徴テンソル(NFFT)の各無故障特徴テンソル(NFFT)が、複数の無故障シナリオのうちの1つの無故障シナリオに関連し、各故障シナリオが、試験用ソーラーパネルネットワーク内の1又は2以上の故障箇所において発生した1又は2以上の故障タイプと、環境の動作温度及び環境の日照値を含む1又は2以上の環境パラメータとに基づいて定義され、各無故障シナリオが、環境の動作温度及び環境の日照値を含む1又は2以上の環境パラメータに基づいて定義されることと、(i)生成されたネットワークシミュレーションモデルを使用して対応する無故障特徴テンソル(NFFT)をシミュレートすることによって、複数の無故障特徴テンソル(NFFT)の各無故障特徴テンソル(NFFT)の無故障シミュレーションデータセットと、(ii)生成されたネットワークシミュレーションモデルを使用して対応する故障特徴テンソル(FFT)をシミュレートすることによって、複数の故障特徴テンソル(FFT)の各故障特徴テンソル(FFT)の故障シミュレーションデータセットとを決定することと、所定の比率に基づいて、複数の故障特徴テンソル(FFT)及び複数の無故障特徴テンソル(NFFT)をトレーニングデータセット及び試験用データセットにランダムに分割することであって、トレーニングデータセットが、1又は2以上のトレーニングFFT及び対応する故障シミュレーションデータセットと、1又は2以上のトレーニングNFFT及び対応する無故障シミュレーションデータセットとを含み、試験用データセットが、1又は2以上の試験用FFT及び対応する故障シミュレーションデータセットと、1又は2以上の試験用NFFT及び対応する無故障シミュレーションデータセットとを含むことと、トレーニングデータセットを使用して畳み込みニューラルネットワーク(CNN)モデルをトレーニングすることによって、試験用ソーラーパネルネットワークにおける故障の検出、診断及び位置確認のための故障の検出、診断及び位置確認(FDDL)モデルを生成することであって、(i)トレーニングデータセット内に存在する1又は2以上のトレーニングFFTの各トレーニングFFTがラベルとして提供され、対応する故障シミュレーションデータセットがCNNモデルへの入力として提供され、(ii)トレーニングデータセット内に存在する1又は2以上のトレーニングNFFTの各トレーニングNFFTがラベルとして提供され、対応する無故障シミュレーションデータセットがCNNモデルへの入力として提供されることと、を行うように構成される。
【0006】
さらに別の態様では、コンピュータ可読プログラムを具体化した非一時的コンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品であって、コンピュータ可読プログラムが、コンピュータ装置上で実行され時に、コンピュータ装置に、スキーマアルゴリズムを使用して試験用ソーラーパネルネットワークのスキーマを取得することであって、試験用ソーラーパネルネットワークが、複数のソーラーパネル及び複数の回路素子を含み、複数のソーラーパネルが、複数の回路素子のうちの1又は2以上の回路素子及び1又は2以上のインバータと共に、1又は2以上のストリング、1又は2以上のサブアレイ及び1又は2以上のアレイ内に配置されることと、試験用ソーラーパネルネットワーク内に存在する各ソーラーパネルのネームプレートデータセット及び試験用ソーラーパネルネットワークのタイムスタンプ付き動作ログデータセットに基づいて、各ソーラーパネルのソーラーパネルパラメータセットを決定することであって、各ソーラーパネルのソーラーパネルパラメータセットが、光電流(IL)、ダイオード逆方向飽和電流(IO)、直列抵抗(RS)、シャント抵抗(RSH)及び理想係数(n)を含むことと、モデリング技術を使用して、取得されたスキーマ及び各ソーラーパネルのソーラーパネルパラメータセットから試験用ソーラーパネルネットワークのネットワークシミュレーションモデルを生成することと、生成されたネットワークシミュレーションモデルの複数の故障特徴テンソル(FFT)及び複数の無故障特徴テンソル(NFFT)をランダムに生成することであって、複数の故障特徴テンソル(FFT)の各故障特徴テンソル(FFT)が、複数の故障シナリオのうちの1つの故障シナリオに関連し、複数の無故障特徴テンソル(NFFT)の各無故障特徴テンソル(NFFT)が、複数の無故障シナリオのうちの1つの無故障シナリオに関連し、各故障シナリオが、試験用ソーラーパネルネットワーク内の1又は2以上の故障箇所において発生した1又は2以上の故障タイプと、環境の動作温度及び環境の日照値を含む1又は2以上の環境パラメータとに基づいて定義され、各無故障シナリオが、環境の動作温度及び環境の日照値を含む1又は2以上の環境パラメータに基づいて定義されることと、(i)生成されたネットワークシミュレーションモデルを使用して対応する無故障特徴テンソル(NFFT)をシミュレートすることによって、複数の無故障特徴テンソル(NFFT)の各無故障特徴テンソル(NFFT)の無故障シミュレーションデータセットと、(ii)生成されたネットワークシミュレーションモデルを使用して対応する故障特徴テンソル(FFT)をシミュレートすることによって、複数の故障特徴テンソル(FFT)の各故障特徴テンソル(FFT)の故障シミュレーションデータセットとを決定することと、所定の比率に基づいて、複数の故障特徴テンソル(FFT)及び複数の無故障特徴テンソル(NFFT)をトレーニングデータセット及び試験用データセットにランダムに分割することであって、トレーニングデータセットが、1又は2以上のトレーニングFFT及び対応する故障シミュレーションデータセットと、1又は2以上のトレーニングNFFT及び対応する無故障シミュレーションデータセットとを含み、試験用データセットが、1又は2以上の試験用FFT及び対応する故障シミュレーションデータセットと、1又は2以上の試験用NFFT及び対応する無故障シミュレーションデータセットとを含むことと、レーニングデータセットを使用して畳み込みニューラルネットワーク(CNN)モデルをトレーニングすることによって、試験用ソーラーパネルネットワークにおける故障の検出、診断及び位置確認のための故障の検出、診断及び位置確認(FDDL)モデルを生成することであって、(i)トレーニングデータセット内に存在する1又は2以上のトレーニングFFTの各トレーニングFFTがラベルとして提供され、対応する故障シミュレーションデータセットがCNNモデルへの入力として提供され、(ii)トレーニングデータセット内に存在する1又は2以上のトレーニングNFFTの各トレーニングNFFTがラベルとして提供され、対応する無故障シミュレーションデータセットがCNNモデルへの入力として提供されることと、を行わせるコンピュータプログラム製品を提供する。
【0007】
ある実施形態では、生成されたFDDLモデルが、試験用データセットを使用して試験され、(i)試験用データセット内に存在する1又は2以上の試験用FFTの各試験用FFTがラベルとして提供され、対応する故障シミュレーションデータセットが生成されたFDDLモデルへの入力として提供され、試験用データセット内に存在する1又は2以上の試験用NFFTの各試験用NFFTがラベルとして提供され、対応する無故障シミュレーションデータセットがCNNモデルへの入力として提供される。
【0008】
ある実施形態では、CNNモデルが、それぞれが最大プーリング層及びドロップアウト層に接続された3つの2次元畳み込み層と、ドロップアウト層に接続された2つの全結合層とを含む。
【0009】
ある実施形態では、試験用ソーラーパネルネットワーク内に存在する各ソーラーパネルのネームプレートデータセットが、標準定格条件における、対応するソーラーパネル内に存在するPVセル数(NS)と、開路電圧(VOC-SRC)と、短絡回路電流(ISC-SRC)と、最大電力点電圧(VMP-SRC)と、最大電力点電流(IMP-SRC)とを含み、試験用ソーラーパネルネットワークのタイムスタンプ付き動作ログデータセットが、各ソーラーパネルのソーラーパネル別電流及びソーラーパネル別電圧、各ストリングのストリング別電流及びストリング別電圧、各サブアレイのサブアレイ別電流及びサブアレイ別電圧、各アレイのアレイ別電流及びアレイ別電圧、1又は2以上のインバータの各インバータ(DC及びAC)の電圧セット、各インバータの出力、日照値(G)、雲り値(C)、降雨値(r)、各ソーラーパネルのソーラーパネル温度、各インバータの温度及び故障電流セットのうちの1つ又は2つ以上を含む。
【0010】
ある実施形態では、各無故障特徴テンソル(NFFT)の無故障シミュレーションデータセットが、各ソーラーパネルのソーラーパネルパラメータセット及び1又は2以上の環境パラメータに基づいて決定されるとともに、各ソーラーパネルのソーラーパネルレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCp,SVp,SPp)と、各ストリングのストリングレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCs,SVs,SPs)と、各サブアレイのサブアレイレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCsa,SVsa,SPsa)と、各アレイのアレイレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCa,SVa,SPa)と、各インバータのインバータレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCi,SVi,SPi)とを含む。
【0011】
ある実施形態では、各ソーラーパネルのソーラーパネルレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCp,SVp,SPp)が、対応するソーラーパネルのパラメータセット及び1又は2以上の環境パラメータに基づいて決定され、各ストリングのストリングレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCs,SVs,SPs)が、対応するストリング内に存在する各ソーラーパネルのソーラーパネルレベルの電流-電圧-電力データセット(SCp,SVp,SPp)に基づいて決定され、各サブアレイのサブアレイレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCsa,SVsa,SPsa)が、対応するサブアレイ内に存在する各ストリングのストリングレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCs,SVs,SPs)に基づいて決定され、各アレイのアレイレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCa,SVa,SPa)が、対応するアレイ内に存在する各サブアレイのサブアレイレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCsa,SVsa,SPsa)に基づいて決定され、各インバータのインバータレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCi,SVi,SPi)が、対応するアレイレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCa,SVa,SPa)及び1又は2以上の環境パラメータに基づいて決定される。
【0012】
ある実施形態では、各故障特徴テンソル(FFT)の故障シミュレーションデータセットが、各ソーラーパネルのソーラーパネルパラメータセット及び1又は2以上の環境パラメータに基づいて決定されるとともに、各ソーラーパネルのソーラーパネルレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCp,FVp,FPp)と、各ストリングのストリングレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCs,FVs,FPs)と、各サブアレイのサブアレイレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCsa,FVsa,FPsa)と、各アレイのアレイレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCa,FVa,FPa)と、各インバータのインバータレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCi,FVi,FPi)とを含む。
【0013】
ある実施形態では、各ソーラーパネルのソーラーパネルレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCp,FVp,FPp)が、対応するソーラーパネルのソーラーパネルパラメータセット及び1又は2以上の環境パラメータに基づいて決定され、各ストリングのストリングレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCs,FVs,FPs)が、対応するストリング内に存在する各ソーラーパネルのソーラーパネルレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCp,FVp,FPp)に基づいて決定され、各サブアレイのサブアレイレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCsa,FVsa,FPsa)が、対応するサブアレイ内に存在する各ストリングのストリングレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCs,FVs,FPs)に基づいて決定され、各アレイのアレイレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCa,FVa,FPa)が、対応するアレイ内に存在する各サブアレイのサブアレイレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCsa,FVsa,FPsa)に基づいて決定され、各インバータのインバータレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCi,FVi,FPi)が、対応するアレイレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCa,FVa,FPa)及び1又は2以上の環境パラメータに基づいて決定される。
【0014】
ある実施形態では、1又は2以上の故障タイプが、短絡回路故障、開路故障、遮蔽故障、汚損故障、ホットスポット故障、アーク故障、劣化故障及びクリッピング故障から成る群から選択され、短絡回路故障が、線間故障及び線地絡故障を含み、1又は2以上の故障箇所が、1又は2以上のソーラーパネルレベルの故障箇所、1又は2以上のストリングレベルの故障箇所、1又は2以上のサブアレイレベルの故障箇所、1又は2以上のアレイレベルの故障箇所、1又は2以上のインバータレベルの故障箇所、1又は2以上の回路素子レベルの故障箇所及び1又は2以上の配線レベルの故障箇所を含む。
【0015】
上述した概要及び以下の詳細な説明は、いずれも例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求する発明を限定するものではないと理解されたい。
【0016】
本開示に組み込まれてその一部を構成する添付図面は例示的な実施形態を示すものであり、開示する原理を明細書と共に説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示のいくつかの実施形態による、ソーラーパネルネットワークにおける故障の検出、診断及び位置確認のためのシステムの例示的な機能ブロック図である。
図2】本開示のいくつかの実施形態による、単一アレイを有するソーラーパネルネットワークの例示的なブロック図である。
図3】本開示のいくつかの実施形態による、ソーラーパネルネットワークにおける故障の検出、診断及び位置確認のための図1のシステムのモジュールを示す例示的なブロック図である。
図4A】本開示のいくつかの実施形態による、ソーラーパネルネットワークにおける故障の検出、診断及び位置確認のためのプロセッサ実装方法の例示的なフロー図である。
図4B】本開示のいくつかの実施形態による、ソーラーパネルネットワークにおける故障の検出、診断及び位置確認のためのプロセッサ実装方法の例示的なフロー図である。
図5】本開示のいくつかの実施形態による、ソーラーパネルネットワークにおける故障の検出、診断及び位置確認のための故障の検出、診断及び位置確認(FDDL)モデルを生成するようにトレーニングされた畳み込みニューラルネットワーク(CNN)モデルのアーキテクチャを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
添付図面を参照しながら例示的な実施形態について説明する。図では、参照番号の左端の桁が、その参照番号が最初に登場する図を識別する。都合が良い場合には、常に図面全体を通じて同じ参照番号を使用して同一又は同様の部分を示す。本明細書では、開示する原理の例及び特徴について説明するが、開示する実施形態の範囲から逸脱することなく修正、適合及びその他の実装も可能である。以下の詳細な説明は例示にすぎず、実際の範囲については以下の特許請求の範囲に示す。
【0019】
本開示の実施形態によれば、ソーラーパネルネットワークにおける故障の検出、診断及び位置確認のための方法及びシステムが、故障の検出、診断及び位置確認(FDDL)モデルを生成することによって、ソーラーパネルネットワーク内に存在する様々な故障タイプを検出して関連する故障箇所を特定するという課題を解決する。FDDLモデルは、複数の故障シナリオ及び複数の無故障シナリオをそれぞれカバーする複数の故障データセット及び複数の無故障データセットを使用してトレーニングされる。複数の故障データセット及び複数の無故障データセットは、ソーラーパネルネットワークのネットワークシミュレーションモデルに基づいて決定される。
【0020】
本開示の文脈では、「ソーラーパネルネットワーク」という表現及び「試験用ソーラーパネルネットワーク」という表現を文脈に基づいて同義的に使用することができる。しかしながら、「ソーラーパネルネットワーク」は、故障の検出、診断及び位置確認について試験されモニタされる時には「試験用ソーラーパネルネットワーク」になる。
【0021】
以下、図全体を通じて常に同様の参照文字が対応する特徴を示す図面、具体的には図1図5に好ましい実施形態を示しており、以下の例示的なシステム及び/又は方法に関連してこれらの実施形態を説明する。
【0022】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による、ソーラーパネルネットワークにおける故障の検出、診断及び位置確認のためのシステム100の例示的な機能ブロック図である。ある実施形態では、システム100が、1又は2以上のハードウェアプロセッサ104と、(単複の)通信インターフェイス装置又は(単複の)入力/出力(I/O)インターフェイス106と、1又は2以上のハードウェアプロセッサ104に動作可能に結合された1又は2以上のデータ記憶装置又はメモリ102とを含み、又は別様にこれらと通信する。1又は2以上のハードウェアプロセッサ104、メモリ102及び(単複の)I/Oインターフェイス106は、システムバス108又は同様の機構に結合することができる。
【0023】
(単複の)I/Oインターフェイス106は、例えばウェブインターフェイス及びグラフィカルユーザインターフェイスなどの様々なソフトウェア及びハードウェアインターフェイスを含むことができる。(単複の)I/Oインターフェイス106は、例えばキーボード、マウス、外部メモリ、複数のセンサデバイス及びプリンタなどの(単複の)周辺機器のためのインターフェイスなどの様々なソフトウェア及びハードウェアインターフェイスを含むことができる。さらに、(単複の)I/Oインターフェイス106は、システム100がウェブサーバ及び外部データベースなどの他の装置と通信することを可能にすることができる。
【0024】
(単複の)I/Oインターフェイス106は、例えばローカルエリアネットワーク(LAN)、ケーブルなどの有線ネットワーク、及び無線LAN(WLAN)、セルラー、又は衛星などの無線ネットワークを含む様々なネットワーク及びプロトコルタイプ内での複数の通信を容易にすることができる。この目的のために、(単複の)I/Oインターフェイス106は、複数のコンピュータシステムを互いに又は別のサーバコンピュータに接続するための1又は2以上のポートを含むことができる。さらに、(単複の)I/Oインターフェイス106は、複数の装置を互いに又は別のサーバに接続するための1又は2以上のポートを含むことができる。
【0025】
1又は2以上のハードウェアプロセッサ104は、1又は2以上のマイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、マイクロコントローラ、デジタルシグナルプロセッサ、中央処理装置、状態機械、論理回路、及び/又は動作命令に基づいて信号を操作するいずれかの装置として実装することができる。1又は2以上のハードウェアプロセッサ104は、数ある能力の中でも特に、メモリ102に記憶されたコンピュータ可読命令をフェッチして実行するように構成される。
【0026】
メモリ102は、例えばスタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)及びダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)などの揮発性メモリ、及び/又はリードオンリメモリ(ROM)、消去可能プラグラマブルROM、フラッシュメモリ、ハードディスク、光ディスク及び磁気テープなどの不揮発性メモリを含む、当業で周知のいずれかのコンピュータ可読媒体を含むことができる。ある実施形態では、メモリ102が、複数のモジュール102Aと、複数のモジュール102Aのうちの1つ又は2つ以上が処理、受信及び生成したデータを記憶するためのリポジトリ102Bとを含む。複数のモジュール102Aは、特定のタスクを実行又は特定の抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント及びデータ構造などを含むことができる。
【0027】
複数のモジュール102Aは、システム100によって実行されるアプリケーション又は機能を補完するプログラム又はコンピュータ可読命令又はコード化命令を含むことができる。複数のモジュール102Aは、(単複の)シグナルプロセッサ、(単複の)状態機械、論理回路、及び/又は動作命令に基づいて信号を操作する他のいずれかの装置又はコンポーネントとして使用することもできる。さらに、複数のモジュール102Aは、ハードウェア、1又は2以上のハードウェアプロセッサ104によって実行されるコンピュータ可読命令、又はこれらの組み合わせによって使用することもできる。ある実施形態では、複数のモジュール102Aが、(図1に示していない)様々なサブモジュールを含むことができる。
【0028】
リポジトリ102Bは、データベース又はデータエンジンを含むことができる。さらに、リポジトリ102Bは、とりわけ複数のモジュール102Aの実行結果として処理、受信又は生成されたデータを記憶するデータベースとしての役割を果たすことができる。リポジトリ102Bは、システム100の内部に示しているが、別の実施形態ではシステム100の外部に実装することもでき、この場合はシステム100に通信可能に結合された(図1に示していない)外部データベースに記憶することができる。このような外部データベースに含まれるデータは、定期的に更新することができる。例えば、新たなデータを外部データベースに追加し、及び/又は既存のデータを修正し、及び/又は有用でないデータを外部データベースから削除することができる。1つの例では、ライトウェイトディレクトリアクセスプロトコル(LDAP)ディレクトリ及びリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)などの外部システムにデータを記憶することができる。別の実施形態では、リポジトリ102Bに記憶されたデータをシステム100と外部データベースとの間で分散させることができる。
【0029】
ソーラーパネルネットワークは、特定の構造又は順序で配置された複数のソーラーパネル及び複数の回路素子を含む。ある実施形態では、ソーラーパネルネットワークが、1又は2以上のアレイの形で配置された複数のソーラーパネルと、複数の回路素子とを含む。複数の回路素子は、コンバイナボックス(combiner box)、1又は2以上の配線、1又は2以上のブロッキングダイオード(blocking diodes)、1又は2以上のバイパスダイオード(bypass diodes)、1又は2以上のヒューズを含む1又は2以上の保護装置、1又は2以上のセンサ、及び1又は2以上のモニタのうちの1つ又は2つ以上を含む。さらに、ソーラーパネルネットワークは、1又は2以上のインバータも含む。
【0030】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による、単一アレイを有するソーラーパネルネットワーク200の例示的なブロック図である。ソーラーパネルネットワーク200内に存在する複数のソーラーパネルの各ソーラーパネルは、典型的には行列形式で配置される複数の太陽電池(PV:solar photo-voltaic)セルを含む。複数の太陽電池(PV)セルは、直列又は並列に接続することができる。1又は2以上の配線を通じて直列に接続された1又は2以上のソーラーパネル、及び複数の回路素子のうちの1又は2以上の回路素子は、ソーラーパネルネットワーク200のストリングを形成する。サブネットワークの形で接続された1又は2以上のストリングは、ソーラーパネルネットワーク200のサブアレイを形成する。ネットワーク内で接続された1又は2以上のサブアレイ、及びコンバイナボックスなどの複数の回路素子のうちの1又は2以上の回路素子は、ソーラーパネルネットワーク200のアレイを形成する。
【0031】
ソーラーパネルネットワーク200は、1又は2以上のインバータに接続することができる。ソーラーパネルネットワーク200内に存在する複数のソーラーパネルの各ソーラーパネルは、異なるもの又は同じものとすることができ、同じ企業によって製造されたもの又は異なる企業によって製造されたものとすることができる。各ソーラーパネルのサイズ、容量、構成及び性能特性などの仕様は、ソーラーパネルネットワーク200内で異なることも又は同じであることもできる。図2には、図を簡単にするために単一アレイを有するソーラーパネルネットワーク200を示しているが、本発明の範囲は1つのアレイに限定されるものではない。ソーラーパネルネットワーク200は、ソーラーパワーを量産するために、このようなアレイを1つ又は2つ以上含むことができる。
【0032】
ソーラーパネルネットワーク200内に存在する各ソーラーパネルは、関連するストリング、関連するサブアレイ及び関連するアレイ内に存在するソーラーパネルの位置に基づいて定義できる関連するパネルインデックスを使用して識別することができる。同様に、ソーラーパネルネットワーク200内に存在する各回路素子は、関連するストリング、関連するサブアレイ及び関連するアレイ内に存在する回路素子の位置に基づいて定義できる関連する回路素子インデックスを使用して識別することができる。ある実施形態では、故障の検出、診断及び位置確認について試験されモニタされるソーラーパネルネットワーク200を、(単複の)I/Oインターフェイス106を通じてシステム100に接続することができる。
【0033】
図3図4A及び図4Bをまとめて参照しながら、本開示の例示的な実施形態によるシステム100のコンポーネント及び機能について説明する。例えば、図3は、本開示のいくつかの実施形態による、ソーラーパネルネットワークにおける故障の検出、診断及び位置確認のための図1のシステム100のモジュールを示す例示的なブロック図である。図3に示すように、これらのモジュールは、試験用ソーラーパネルネットワーク302(例えば図2のソーラーパネルネットワーク200などの、故障の検出、診断及び位置確認について試験されモニタされるソーラーパネルネットワーク)と、ネットワークシミュレーションモジュール304と、故障データベース306と、故障の検出、診断及び位置確認(FDDL)モジュール308とを含む。ある実施形態では、図3のモジュールのいくつかを、システム100のメモリ102に含まれる複数のモジュール102Aに記憶することができる。例えば、故障データベース306は、システム100のメモリ102に含まれるリポジトリ102Bの一部とすることができる。
【0034】
図4A及び図4Bには、本開示のいくつかの実施形態による、ソーラーパネルネットワークにおける故障の検出、診断及び位置確認のためのプロセッサ実装方法400の例示的なフロー図を示す。プロセスステップ、方法ステップ又は技法などを含む方法400のステップは一定の順番で説明することができるが、このようなプロセス、方法及び技法は別の順番で機能するように構成することもできる。換言すれば、説明できるステップのあらゆる順番又は順序は、これらのステップを必ずしもこの順序で実行する必要があることを示すものではない。本明細書で説明するプロセスのステップは、あらゆる実用的な順序で実行することができる。さらに、ステップの中には同時に実行できるものもあれば単独で実行できるものもある。
【0035】
システム100の1又は2以上のハードウェアプロセッサ104は、方法400のステップ402において、図3の試験用ソーラーパネルネットワーク302(例えば、図2のソーラーパネルネットワーク200)のスキーマを取得するように構成される。試験用ソーラーパネルネットワーク302のスキーマは、スキーマアルゴリズムを使用して取得される。スキーマアルゴリズムは、1又は2以上のアレイ、1又は2以上のサブアレイ及び1又は2以上のストリングにおける複数のソーラーパネルの配置と複数の回路素子とを示す試験用ソーラーパネルネットワーク302の骨格構造に関する情報を取得する。ある実施形態では、スキーマアルゴリズムが、複数のパネルの各ソーラーパネルの関連するパネルインデックス、複数の回路素子の各回路素子の関連する回路素子インデックス、及び1又は2以上のインバータの各インバータの関連するインバータインデックスに基づいて試験用ソーラーパネルネットワーク302のスキーマを取得する。
【0036】
システム100の1又は2以上のハードウェアプロセッサ104は、方法400のステップ404において、試験用ソーラーパネルネットワーク302内に存在する各ソーラーパネルのソーラーパネルパラメータセットを決定するように構成される。各ソーラーパネルのソーラーパネルパラメータセットは、光電流(IL)、ダイオード逆方向飽和電流(IO)、直列抵抗(RS)、シャント抵抗(RSH)、及び理想係数(n)を含む。各ソーラーパネルのソーラーパネルパラメータセットは、ソーラーパネルのダイオードモデル方程式を解くことにより、各ソーラーパネルのネームプレートデータセット及び試験用ソーラーパネルネットワーク302のタイムスタンプ付き動作ログデータセットに基づいて決定される。
【0037】
ある実施形態では、システム100の1又は2以上のハードウェアプロセッサ104が、試験用ソーラーパネルネットワーク302内に存在する各ソーラーパネルのネームプレートデータセットをユーザから受け取るように構成される。各ソーラーパネルのネームプレートデータセットは、対応するソーラーパネル内に存在するソーラーPVセルの数(NS)、標準定格条件(standard rating conditions)での開路電圧(VOC-SRC)、標準定格条件での短絡回路電流(ISC-SRC)、標準定格条件での最大電力点電圧(VMP-SRC)、及び標準定格条件での最大電力点電流(IMP-SRC)を含む。各ソーラーパネルのネームプレートデータセットは、対応するソーラーパネルのメーカーが定めることができる。ある実施形態では、各ソーラーパネルのネームプレートデータセットが、システム100のメモリ102に含まれるリポジトリ102Bに記憶される。
【0038】
ある実施形態では、システム100の1又は2以上のハードウェアプロセッサ104が、試験用ソーラーパネルネットワーク302のタイムスタンプ付き動作ログデータセットを受け取るように構成される。試験用ソーラーパネルネットワーク302のタイムスタンプ付き動作ログデータセットは、例えば2年などの一定期間にわたる試験用ソーラーパネルネットワーク302の動作履歴データと、タイムスタンプとを含む。試験用ソーラーパネルネットワーク302のタイムスタンプ付き動作ログデータセットは、各ソーラーパネルのソーラーパネル別電流及びソーラーパネル別電圧、各ストリングのストリング別電流及びストリング別電圧、各サブアレイのサブアレイ別電流及びサブアレイ別電圧、各アレイのアレイ別電流及びアレイ別電圧、1又は2以上のインバータの各インバータ(DC及びAC)の電圧セット、各インバータの出力、日照値(G)、雲り値(C)、降雨値(r)、各パネルのソーラーパネル温度、各インバータの温度、及び故障電流セット、のうちの1つ又は2つ以上を含む。故障電流セットは、一定期間にわたって観察される異常電流を示す。ある実施形態では、試験用ソーラーパネルネットワーク302のタイムスタンプ付き動作ログデータセットが、システム100のメモリ102に含まれるリポジトリ102Bに記憶される。
【0039】
あらゆるソーラーパネルは、関連するソーラーパネルの電流及び電圧を光電流(IL)、ダイオード逆方向飽和電流(IO)、直列抵抗(RS)、シャント抵抗(RSH)及び理想係数(n)というパラメータセットの観点から関連付ける5パラメータモデルを使用して数学的に表現することができる。しかしながら、これらのパラメータセットは使用されるソーラーパネルのタイプに特有のものであり、利用可能なデータに基づいて決定されるべきである。パラメータセット間の関係、並びに関連するソーラーパネルの電流及び電圧は、以下のダイオードモデル方程式1を用いて表すことができる。
【数1】
…式1
【0040】
方程式1は、各ソーラーパネルのネームプレートデータセットを使用して、以下の方程式2、方程式3及び方程式4としてさらに表すことができる。
【数2】
…式2
【数3】
…式3
【数4】
…式4
【0041】
各ソーラーパネルの直列抵抗(RS)は、ニュートン・ラプソン法を使用して理想係数(n)の所定の値を仮定することによって数学的に求められる。次に、この理想係数(n)を、計算された電流及び電圧特性が動作ログデータセットから取得された電流及び電圧と一致するまで動作ログデータセットを使用して徐々に調整する。求められた直列抵抗(RS)及び理想係数(n)を使用して方程式2、3及び4を解くことにより、これらのパラメータセットから他のパラメータを決定することができる。
【0042】
システム100の1又は2以上のハードウェアプロセッサ104は、方法400のステップ406において、試験用ソーラーパネルネットワーク302のネットワークシミュレーションモデルを生成するように構成される。ある実施形態では、このネットワークシミュレーションモデルが、方法400のステップ402で取得されたスキーマと、方法400のステップ404で決定された試験用ソーラーパネルネットワーク302内に存在する各ソーラーパネルのパラメータセットとに基づいて生成される。
【0043】
ある実施形態では、システム100の1又は2以上のハードウェアプロセッサ104が、ネットワークシミュレーションモジュール304を、試験用ソーラーパネルネットワーク302のネットワークシミュレーションモデルを生成するように構成することができる。ある実施形態では、ネットワークシミュレーションモジュール304が、ネットワークシミュレーションモデルを生成するための、Matlabなどのモデリング法、又はPython及びCなどのプログラミング言語に基づいて構築されたシミュレーション環境を含む。生成されるネットワークシミュレーションモデルは、試験用ソーラーパネルネットワーク302のデジタルツイン又はレプリカである。
【0044】
システム100の1又は2以上のハードウェアプロセッサ104は、方法400のステップ408において、方法400のステップ406において取得される生成されたネットワークシミュレーションモデルの複数の故障特徴テンソル(FFT)及び複数の無故障特徴テンソル(NFFT)をランダムに生成するように構成される。複数の故障特徴テンソル(FFT)の各故障特徴テンソル(FFT)は、複数の故障シナリオのうちの1つの故障シナリオに関連する。各故障シナリオは、試験用ソーラーパネルネットワーク302内の1又は2以上の故障箇所において発生し得る1又は2以上の故障タイプを含む。ある実施形態では、複数の故障シナリオが、試験用ソーラーパネルネットワーク302内の1又は2以上の考えられる故障箇所の数において発生し得る1又は2以上の故障タイプの数と、1又は2以上の環境パラメータとに基づいてランダムに定義される。ある実施形態では、1又は2以上の環境パラメータが、環境の動作温度及び環境の日照値を含む気象条件に関連する。ある実施形態では、複数の故障シナリオの所定数を20,00,000とすることができる。
【0045】
ある実施形態では、1又は2以上の故障タイプが、短絡回路故障、開路故障、遮蔽故障(shading fault)、汚損故障(soiling fault)、ホットスポット故障、アーク故障、劣化故障及びクリッピング故障(clipping fault)から成る群から選択される。短絡回路故障は、線間故障及び線地絡故障とすることができる。さらに、線間故障は、ストリング間故障又はストリング内故障とすることができる。
【0046】
1又は2以上の故障箇所は、試験用ソーラーパネルネットワーク302内の考えられる故障箇所に関連する。1又は2以上の故障箇所は、1又は2以上のソーラーパネルレベルの故障箇所、1又は2以上のストリングレベルの故障箇所、1又は2以上のサブアレイレベルの故障箇所、1又は2以上のアレイレベルの故障箇所、1又は2以上のインバータレベルの故障箇所、1又は2以上の回路素子レベルの故障箇所、及び1又は2以上の配線レベルの故障箇所を含む。
【0047】
以下、例えばアレイ内で発生し得る故障のいくつかをシミュレートすることについて説明する。並列に接続された4つのストリングを含む単一アレイを有するソーラーパネルネットワークについて考察する。各ストリングは、直列に接続された4つのソーラーパネルを有する。理想的な条件では、各ソーラーパネルが同様の特性を有する。従って、各ストリングは、4Vの総電圧(Vは各ソーラーパネルの電圧)、4Rの総抵抗(Rは各ソーラーパネルの抵抗)、及びIAmpの電流を有する。従って、アレイの総電圧は4Vであり、アレイの総電流は4Iである。アレイ内の故障は、不健全な又は非理想的な状態を表す。従って、故障したソーラーパネル/ストリングの特性は類似しない場合がある。従って、故障をシミュレートするために、健全な状態のソーラーパネルの電圧(V)及び電力(I)を考慮する。
【0048】
短絡回路故障:短絡回路故障は、配線が短絡して、短絡に関連する(単複の)ソーラーパネルの電圧がゼロになった時に発生する。従って、短絡回路故障を有するストリングの電圧及び抵抗は、それぞれ4V及び4Rから3V及び3Rに低下し得る。この低下は、他の健全なストリングに影響を与える場合がある。故障したストリングの電圧は、故障していないソーラーパネルの電圧に基づいて計算することができる。短絡回路故障は、線間故障及び線地絡故障にさらに分類される。線間故障は、ストリング内故障及びストリング間故障にさらに分類される。
【0049】
ストリング内故障:ストリング内故障は、同じストリング内で発生する短絡回路故障である。関連するソーラーパネルにわたる配線が短絡した場合、ソーラーパネルの電圧はゼロである。従って、ストリング内故障を含むストリングの電圧は低下し得る。ストリング内故障を有するストリングの電流及び電圧特性は、ブロッキングダイオードの存在/不在に基づいて影響を受ける場合がある。
【0050】
ストリング間故障:ストリング間故障は、2つの異なるストリング間で発生する短絡回路故障である。ストリング間故障では、関連するストリングの電流及び電圧が低下する。ストリング間故障を有するソーラーパネルは電圧が低下することがあり、これによって関連するストリングの電圧も低下する。ストリング間故障を有するストリングの電流及び電圧特性は、ブロッキングダイオードの存在/不在に基づいて影響を受ける場合がある。
【0051】
線地絡故障:線地絡故障は、1つの地点の配線と別の地点の接地との間の短絡回路に起因して発生し得る。例えば、4つのソーラーパネルのストリングでは、第4の配線と接地との間に線地絡故障が存在すると、ストリング内の2つのソーラーパネルが影響を受ける。従って、2つのソーラーパネルの電圧がゼロになり、従って線地絡故障を有するストリングの電圧が低下する。線地絡故障を有するストリングの電流及び電圧特性は、ブロッキングダイオードの存在/不在に基づいて影響を受ける場合がある。
【0052】
開路故障:開路故障は、配線又はソーラーパネル、又はアレイ内に存在するストリング全体の断線に起因して発生し得る。ストリング内の第1の配線に開路故障が発生した場合には、ストリング全体が電流を生成できなくなることもある。従って、ストリング全体が動作停止中とみなされ、残りの3つのストリングのみがアレイ内で作動する。
【0053】
劣化故障:劣化故障は、ソーラーパネルの劣化、接続不良、並びに熱及び湿気に関連する1又は2以上の環境要因に起因して発生し得る。劣化故障は、ストリング全体における抵抗の増加としてモデル化することができる。影響を受けるストリングの電圧は、抵抗及びパネル電流の変化に基づいて計算することができる。
【0054】
遮蔽故障:遮蔽故障は、ソーラーパネルに降り注ぐ日照の低下時に発生し得る。4つのソーラーパネルを有するストリングのうちの1つのソーラーパネルが部分的に遮蔽された場合について考察する。結果としてのストリングは、遮蔽部分及び非遮蔽部分という2つの部分に分割することができる。遮蔽部分は、非遮蔽部分ほど多くの電流を生成しないと考えられる。遮蔽部分からの電流及び電圧は、非遮蔽部分からの電流及び電圧に基づいて計算される。取得された電流及び電圧に基づいて、他の健全なストリングの電圧及び電流が計算される。これにより、アレイの電圧及び電流を求めることができる。
【0055】
アレイ内の多重故障:最初に同じストリング内の多重故障のうちの1つ1つの故障の等価回路を決定し、次に多重故障のうちの1つ1つの故障を有するストリングの等価回路を並列に編成してアレイの電圧及び電流を取得する。
【0056】
多重故障を伴う例示的な故障シナリオ:1つのアレイと、4つのストリングを有する1つのサブアレイとを有し、各ストリングが4つのソーラーパネルと1つのブロッキングダイオードと6つの配線とを有する構成のソーラーパネルネットワークについて考察する。多重故障を伴う例示的な故障シナリオは、第1のストリングの第2の配線の開路故障と、第2のストリング内に存在する第3のソーラーパネルの劣化故障と、第3のストリング内に存在する第2のソーラーパネルの劣化故障及び遮蔽故障と、第4のストリングの第3の配線の線地絡故障とを有する故障シナリオとして定義することができる。
【0057】
一般に、様々な故障シナリオをシミュレートすることは容易でなく複雑である。特に、複数箇所における多重故障を含む故障シナリオをシミュレートすることは、個々の故障がソーラーパネルネットワーク内のこれらの故障を含む箇所にのみ影響を与えるわけではないためかなり複雑である。むしろ、これらの故障は、ソーラーパネルネットワーク内の他の箇所における他の様々なネットワーク要素に影響を与える。従って、個々の故障を単独でシミュレートするのではなく故障シナリオ全体を総合的にシミュレートしなければならず、このことは容易でない。
【0058】
同様に、複数の無故障シナリオの各無故障シナリオは、1又は2以上の環境パラメータに基づいて定義される。1又は2以上の環境パラメータは、環境の動作温度及び環境の日照値を含む。ある実施形態では、複数の無故障シナリオの所定数を5,00,000とすることができる。
【0059】
例示的な無故障シナリオ:無故障シナリオは、例えば800w/m2などの特定の日照値(G)と、例えば32℃などの特定の動作温度(T)とを含む環境パラメータでソーラーパネルネットワークを動作させるものとして定義することができる。各ソーラーパネルの電流及び電圧特性は、指定された環境パラメータ及びソーラーパネルパラメータを使用してシミュレートされる。
【0060】
システム100の1又は2以上のハードウェアプロセッサ104は、方法400のステップ410において、(i)複数の無故障特徴テンソル(NFFT)の各無故障特徴テンソル(NFFT)の無故障シミュレーションデータセットと、(ii)複数の故障特徴テンソル(FFT)の各故障特徴テンソル(FFT)の故障シミュレーションデータセットとを決定するように構成される。複数の無故障特徴テンソル(NFFT)の各無故障特徴テンソル(NFFT)の無故障シミュレーションデータセットは、方法400のステップ406において取得される生成されたネットワークシミュレーションモデルを使用して対応する無故障特徴テンソル(NFFT)をシミュレートすることによって決定される。
【0061】
さらに、各無故障特徴テンソル(NFFT)の無故障シミュレーションデータセットは、各ソーラーパネルのソーラーパネルパラメータセット及び1又は2以上の環境パラメータに基づいて、方法400のステップ406において取得される生成されたネットワークシミュレーションモデルを使用して決定される。各無故障特徴テンソル(NFFT)の無故障シミュレーションデータセットは、各ソーラーパネルのソーラーパネルレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCp,SVp,SPp)と、各ストリングのストリングレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCs,SVs,SPs)と、各サブアレイのサブアレイレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCsa,SVsa,SPsa)と、各アレイのアレイレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCa,SVa,SPa)と、各インバータのインバータレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCi,SVi,SPi)とを含む。
【0062】
ある実施形態では、各ソーラーパネルのソーラーパネルレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCp,SVp,SPp)が、対応するソーラーパネルのパラメータセット及び1又は2以上の環境パラメータに基づいて決定される。各ソーラーパネルのソーラーパネルレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCp,SVp,SPp)は、方法400のステップ404において言及したダイオードモデル方程式1を使用して決定される。
【0063】
ある実施形態では、各ストリングのストリングレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCs,SVs,SPs)が、対応するストリング内に存在する各ソーラーパネルのソーラーパネルレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCp,SVp,SPp)に基づいて決定される。例えば、シミュレーションストリング電圧(SVs)は、対応するストリング内に存在する各ソーラーパネルのソーラーパネル無故障シミュレーション電圧(SVp)に基づいて決定される。具体的に言えば、図2のソーラーパネルネットワーク200では、無故障シミュレーションストリング電圧(SVs)が、対応するストリング内に存在する複数のソーラーパネルのソーラーパネル無故障シミュレーション電圧(SVp)を加算することによって決定される。同様に、無故障シミュレーションストリング電流(SCs)は、対応するストリング内に存在する各ソーラーパネルの無故障シミュレーションソーラーパネル電流(SCp)に基づいて決定される。具体的に言えば、図2のソーラーパネルネットワーク200では、無故障シミュレーションストリング電流(SCs)が、対応するストリング内に存在する複数のソーラーパネルのいずれかの無故障シミュレーションソーラーパネル電流(SCp)に等しい。無故障シミュレーションストリング電力(SPs)は、関連する無故障シミュレーションストリング電圧(SVs)及び関連する無故障シミュレーションストリング電流(SCs)に基づいて決定される。具体的に言えば、図2のソーラーパネルネットワーク200では、無故障シミュレーションストリング電力(SPs)が、関連する無故障シミュレーションストリング電圧(SVs)に関連する無故障シミュレーションストリング電流(SCs)を乗算することによって決定される。
【0064】
ある実施形態では、各サブアレイのサブアレイレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCsa,SVsa,SPsa)が、対応するサブアレイ内に存在する各ストリングのストリングレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCs,SVs,SPs)、に基づいて決定される。例えば、無故障シミュレーションサブアレイ電圧(SVsa)は、対応するサブアレイ内に存在する各ストリングの無故障シミュレーションストリング電圧(SVs)に基づいて決定される。具体的に言えば、図2のソーラーパネルネットワーク200では、無故障シミュレーションサブアレイ電圧(SVsa)が、対応するサブアレイ内に存在する複数のストリングのいずれかの無故障シミュレーションストリング電圧(SVs)に等しい。同様に、無故障シミュレーションサブアレイ電流(SCsa)は、関連するサブアレイ内に存在する各ストリングの無故障シミュレーションストリング電流(SCs)に基づいて決定される。具体的に言えば、図2のソーラーパネルネットワーク200では、無故障シミュレーションサブアレイ電流(SCsa)が、対応するサブアレイ内に存在する複数のストリングの無故障シミュレーションストリング電流(SCs)を加算することによって決定される。無故障シミュレーションサブアレイ電力(SPsa)は、関連する無故障シミュレーションサブアレイ電圧(SVsa)及び関連する無故障シミュレーションサブアレイ電流(SCsa)に基づいて決定される。具体的に言えば、図2のソーラーパネルネットワーク200では、無故障シミュレーションサブアレイ電力(SPsa)が、関連する無故障シミュレーションサブアレイ電圧(SVsa)に関連する無故障シミュレーションサブアレイ電流(SCsa)を乗算することによって決定される。
【0065】
ある実施形態では、各アレイのアレイレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCa,SVa,SPa)が、対応するアレイ内に存在する各サブアレイのサブアレイレベル無故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCsa,SVsa,SPsa)に基づいて決定される。例えば、無故障シミュレーションアレイ電圧(SVa)は、アレイ内に存在する各サブアレイの無故障シミュレーションサブアレイ電圧(SVsa)に基づいて決定される。具体的に言えば、図2のソーラーパネルネットワーク200では、無故障シミュレーションアレイ電圧(SVa)が、対応するアレイ内に存在する複数のサブアレイのいずれかの無故障シミュレーションサブアレイ電圧(SVsa)に等しい。同様に、無故障シミュレーションアレイ電流(SCa)は、対応するアレイ内に存在する各サブアレイの無故障シミュレーションサブアレイ電流(SCsa)に基づいて決定される。具体的に言えば、図2のソーラーパネルネットワーク200では、無故障シミュレーションアレイ電流(SCa)が、対応するアレイ内に存在する複数のサブアレイの無故障シミュレーションサブアレイ電流(SCsa)を加算することによって決定される。無故障シミュレーションアレイ電力(SPa)は、無故障シミュレーションアレイ電圧(SVa)及び無故障シミュレーションアレイ電流(SCa)に基づいて決定される。具体的に言えば、図2のソーラーパネルネットワーク200では、無故障シミュレーションアレイ電力(SPa)が、無故障シミュレーションアレイ電圧(SVa)に無故障シミュレーションアレイ電流(SCa)を乗算することによって決定される。
【0066】
各インバータのインバータレベルのシミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCi,SVi,SPi)は、対応するアレイレベルのシミュレーション電流-電圧-電力データセット(SCa,SVa,SPa)及び1又は2以上の環境パラメータに基づいて決定される。
【0067】
同様に、複数の故障特徴テンソル(FFT)の各故障特徴テンソル(FFT)の故障シミュレーションデータセットは、方法400のステップ406において取得される生成されたネットワークシミュレーションモデルを使用して、対応する故障特徴テンソル(FFT)をシミュレートすることによって決定される。さらに、各故障特徴テンソル(FFT)の故障シミュレーションデータセットは、各ソーラーパネルのソーラーパネルパラメータセット及び1又は2以上の環境パラメータに基づいて、方法400のステップ406において取得される生成されたネットワークシミュレーションモデルを使用して決定される。
【0068】
各故障特徴テンソル(FFT)の故障シミュレーションデータセットは、各ソーラーパネルのソーラーパネルレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCp,FVp,FPp)と、各ストリングのストリングレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCs,FVs,FPs)と、各サブアレイのサブアレイレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCsa,FVsa,FPsa)と、各アレイのアレイレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCa,FVa,FPa)と、各インバータのインバータレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCi,FVi,FPi)とを含む。
【0069】
各故障特徴テンソル(FFT)の故障シミュレーションデータセットは、各無故障特徴テンソル(NFFT)の無故障シミュレーデータセットと同じ方法で、ただし対応する故障シナリオに基づいて決定される。概して、各ソーラーパネルのソーラーパネルレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCp,FVp,FPp)は、対応するソーラーパネルのソーラーパネルパラメータセット及び1又は2以上の環境パラメータに基づいて決定される。各ストリングのストリングレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCs,FVs,FPs)は、対応するストリング内に存在する各ソーラーパネルのソーラーパネルレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCp,FVp,FPp)に基づいて決定される。
【0070】
各サブアレイのサブアレイレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCsa,FVsa,FPsa)は、対応するサブアレイ内に存在する各ストリングのストリングレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCs,FVs,FPs)に基づいて決定される。各アレイのアレイレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCa,FVa,FPa)は、対応するアレイ内に存在する各サブアレイのサブアレイレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCsa,FVsa,FPsa)に基づいて決定される。各インバータのインバータレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCi,FVi,FPi)は、対応するアレイレベル故障シミュレーション電流-電圧-電力データセット(FCa,FVa,FPa)及び1又は2以上の環境パラメータに基づいて決定される。
【0071】
ある実施形態では、システム100の1又は2以上のハードウェアプロセッサ104が、ネットワークシミュレーションモデル304を使用して複数の無故障シナリオ及び複数の無故障シナリオをシミュレートした後に、故障データベース(図3の306)を生成するように構成される。ある実施形態では、故障データベース306が、複数の無故障特徴テンソル(NFFT)の各無故障特徴テンソル(NFFT)の無故障シミュレーションデータセットと、複数の故障特徴テンソル(FFT)の各故障特徴テンソル(FFT)の故障シミュレーションデータセットとを含む。ある実施形態では、故障データベース306をシステム100のリポジトリ102Bに記憶することができる。
【0072】
システム100の1又は2以上のハードウェアプロセッサ104は、方法400のステップのステップ412において、所定の比率に基づいて複数の故障特徴テンソル(FFT)及び複数の無故障特徴テンソル(NFFT)をトレーニングデータセット及び試験用データセットにランダムに分割するように構成される。トレーニングデータセットは、1又は2以上のトレーニングFFT及び対応する故障シミュレーションデータセットと、1又は2以上のトレーニングNFFT及び対応する無故障シミュレーションデータセットとを含む。同様に、試験用データベースは、1又は2以上の試験用FFT及び対応する故障シミュレーションデータセットと、1又は2以上の試験用NFFT及び対応する無故障シミュレーションデータセットとを含む。トレーニングデータセット内に存在する1又は2以上のトレーニングFFTは、複数のFFTからのFFTの一部である。トレーニングデータセット内に存在する1又は2以上のトレーニングNFFTは、複数のNFFTからのNFFTの一部である。同様に、試験用データセット内に存在する1又は2以上の試験用FFTは、複数のFFTからのFFTの一部である。試験用データセット内に存在する1又は2以上の試験用NFFTは、複数のNFFTからのNFFTの一部である。
【0073】
ある実施形態では、所定の比率が、(i)トレーニングデータセット内に存在する1又は2以上のトレーニングFFT及び1又は2以上のトレーニングNFFTの数と、(ii)試験用データセット内に存在する1又は2以上の試験用FFT及び1又は2以上の試験用NFFTの数との比率を定める。ある実施形態では、所定の比率をユーザが定めることができ、この所定の比率を4:1とすることができる。
【0074】
システム100の1又は2以上のハードウェアプロセッサ104は、方法400のステップ414において、方法400のステップ412で取得されたトレーニングデータセットを使用して、試験用ソーラーパネルネットワーク302における故障の検出、診断及び位置確認のための故障の検出、診断及び位置確認(FDDL)モデルを生成するように構成される。故障の検出、診断及び位置確認(FDDL)モジュール(図3の308)は、故障の検出、診断及び位置確認(FDDL)モデルを生成するようにトレーニングデータセットを使用してトレーニングされた畳み込みニューラルネットワーク(CNN)モデルを含む。トレーニング中には、トレーニングデータセット内に存在する1又は2以上のトレーニングFFTの各トレーニングFFTがラベルとして提供され、対応する故障シミュレーションデータセットがCNNモデルへの入力として提供される。また、トレーニング中には、トレーニングデータセット内に存在する1又は2以上のトレーニングNFFTの各トレーニングNFFTがラベルとして提供され、対応する無故障シミュレーションデータセットがCNNモデルへの入力として提供される。ある実施形態では、トレーニング中にCNNモデルに提供する前に、1又は2以上のトレーニングFFTと1又は2以上のトレーニングNFFTとを組み合わせて統合トレーニング特徴ベクトルを形成することができる。同様に、トレーニング中にCNNモデルに提供する前に、対応する故障シミュレーションデータセットと対応する無故障シミュレーションデータセットとを組み合わせて統合トレーニングデータセットを形成することができる。
【0075】
図5に、本開示のいくつかの実施形態による、ソーラーパネルネットワークにおける故障の検出、診断及び位置確認のための故障の検出、診断及び位置確認(FDDL)モデルを生成するようにトレーニングされた畳み込みニューラルネットワーク(CNN)モデルのアーキテクチャを示す。CNNモデルは、それぞれが最大プーリング層及びドロップアウト層に接続された3つの2次元畳み込み層と、ドロップアウト層に接続された2つの全結合層(fully connected layers)とを含む。
【0076】
第1の2次元(2D)畳み込み層は32個のフィルタを含み、カーネルサイズは(3,3)であり、使用される活性化はLeakyReluであり、入力形状は(1000,128,1)である。第2の2次元(2D)畳み込み層は64個のフィルタを含み、カーネルサイズは(3,3)であり、使用される活性化はLeakyReluであり、入力形状は(1000,42,1)である。第3の2次元(2D)畳み込み層は128個のフィルタを含み、カーネルサイズは(3,3)であり、使用される活性化はLeakyReluであり、入力形状は(1000,42,1)である。全ての最大プーリング層(max-pooling layers)は、プーリングサイズが(2,2)の2次元(2D)である。全てのドロップアウト層は、ドロップアウト率が25%である。各全結合層は、128個のユニット(ニューロン)を含む。第1の全結合層は「LeakyRelu」活性化を使用するのに対し、第2の全結合層は「linear」活性化を使用する。
【0077】
CNNモデルのハイパーパラメータが学習中に微調整されてトレーニングの最後に最適化されるように、トレーニング中に(i)対応する故障シミュレーションデータセットに関連する各トレーニングFFTと予測ラベルとの間の誤差、及び(ii)対応する無故障シミュレーションデータセットに関連する各トレーニングNFFTと予測ラベルとの間の誤差、を最小化する平均二乗誤差回帰損失関数(mean squared error regressive loss function)を定義することができる。
【0078】
故障の検出、診断及び位置確認(FDDL)モジュール308は、故障データベース(図3の306)に接続されて、対応するFFT及びNFFTと、トレーニングデータセット内に存在するそれぞれの故障シミュレーションデータセット及びそれぞれの無故障シミュレーションデータセットとを受け取る。このステップにおいて生成されたFDDLモデルを使用して試験用ソーラーパネルネットワーク302を試験してモニタし、故障の検出、診断及び位置確認を行う。具体的には、生成されたFDDLモデルが(単複の)故障を検出し、その後に(単複の)故障のタイプを検出する。(単複の)故障及び(単複の)故障タイプが検出されると、生成されたFDDLモデルは、(単複の)故障箇所を検出して診断を行い、さらなる措置を講じる。
【0079】
システム100の1又は2以上のハードウェアプロセッサ104は、方法400のステップ416において、試験用データセットを使用して、方法400のステップ414において取得される生成されたFDDLモデルを試験するようにさらに構成される。試験中、試験用データセット内に存在する1又は2以上の試験用FFTの各試験用FFTはラベルとして提供され、対応する故障シミュレーションデータセットは、生成されたFDDLモデルへの入力として提供される。また、試験用データセット内に存在する1又は2以上の試験用NFFTの各試験用NFFTもラベルとして提供され、対応する無故障シミュレーションデータセットは、CNNモデルへの入力として提供される。この試験プロセスを実行して、生成されたFDDLモデルの性能を評価する。生成されたFDDLモデルの性能は、精度、速度及びリソース利用量などの1又は2以上のパラメータに基づいて評価することができる。この評価に基づいて、生成されたFDDLモデルの1又は2以上のハイパーパラメータを微調整することによって、生成されたFDDLモデルをさらにトレーニングすることができる。
【0080】
ある実施形態では、トレーニング中にCNNモデルに提供する前に、1又は2以上の試験用FFTと1又は2以上の試験用NFFTとを組み合わせて統合試験用特徴ベクトルを形成することができる。同様に、トレーニング中にCNNモデルに提供する前に、対応する故障シミュレーションデータセットと対応する無故障シミュレーションデータセットとを組み合わせて統合試験用データセットを形成することができる。
【0081】
本開示の文脈では、CNNモデルが、FDDLモデルを生成するようにトレーニングされる。しかしながら、本発明の範囲はCNNモデルに限定されるものではない。CNNモデルの代わりに、決定木、人工ニューラルネットワーク(ANN)、再帰型ニューラルネットワーク(RNN)などの人工知能(AI)ベースのモデル、サポートベクトルマシン(SVM)などの分類アルゴリズムを使用してFDDLモデルを生成することもできる。
【0082】
本開示の実施形態によれば、方法400のステップ406において生成されるネットワークシミュレーションモデルは、各ソーラーパネルのネームプレートデータセット及びソーラーパネルネットワークの動作ログセットの両方を使用して取得される。従って、このネットワークシミュレーションモデルは効率的かつ精密であり、構成及び骨格構造の点で試験用ソーラーパネルネットワーク302の正確なレプリカに類似する。このネットワークシミュレーションモデルは、試験用ソーラーパネルネットワーク302のレプリカであるため、試験用ソーラーパネルネットワーク302の故障の検出、診断及び位置確認、性能ベンチマーク、ソフトセンシング及び制御応用などを含む様々な用途に使用される。
【0083】
このネットワークシミュレーションモデルを使用して、ソーラーパネルネットワーク内の多くの考えられる箇所で発生する様々な故障タイプがシミュレートされる。CNNモデルをトレーニングするための、多重故障シナリオ及び多重無故障シナリオをカバーするデータセットが決定される。故障シナリオは、特定の箇所又は複数の箇所における1つの故障タイプのみ、及び複数の箇所における複数の故障タイプを含む。故障タイプは、短絡回路故障、開路故障、遮蔽故障、汚損故障、ホットスポット故障、アーク故障、劣化故障及びクリッピング故障を含み、短絡回路故障は、線間故障及び線地絡故障を含む。故障箇所は、1又は2以上のソーラーパネルレベルの故障箇所、1又は2以上のストリングレベルの故障箇所、1又は2以上のサブアレイレベルの故障箇所、1又は2以上のアレイレベルの故障箇所、1又は2以上のインバータレベルの故障箇所、1又は2以上の回路素子のレベルの故障箇所、及び1又は2以上の配線レベルの故障箇所を含む。従って、方法400のステップ414において生成されるFDDLモデルは、試験用ソーラーパネルネットワーク302内に存在する1又は2以上の故障の検出、診断及び位置確認において効率的かつ精密である。
【0084】
本明細書では、当業者が実施形態の作成及び使用を行えるように主題を説明した。本主題の実施形態の範囲は特許請求の範囲によって定められ、当業者が思いつく他の修正を含むこともできる。このような他の修正は、特許請求の範囲の文言と異ならない同様の要素を有する場合、或いは特許請求の範囲の文言とはわずかに異なる同等の要素を含む場合、特許請求の範囲に含まれるように意図される。
【0085】
保護の範囲は、このようなプログラム、及び内部にメッセージを有するコンピュータ可読手段にまで及び、このようなコンピュータ可読記憶手段は、サーバ、モバイル装置又はいずれかの好適なプログラマブル装置上でプログラムが実行された時に方法の1又は2以上のステップを実行するためのプログラムコード手段を含むと理解されたい。ハードウェア装置は、例えばサーバ又はパーソナルコンピュータなどのあらゆる種類のコンピュータ、又はこれらのあらゆる組み合わせを含む、プログラム可能なあらゆる種類の装置とすることができる。装置は、例えば特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などのハードウェア手段、或いはASICとFPGAとの組み合わせ、又は少なくとも1つのマイクロプロセッサとソフトウェアモジュールを含む少なくとも1つのメモリとの組み合わせなどの、ハードウェアとソフトウェア手段との組み合わせとすることができる手段を含むこともできる。従って、これらの手段は、ハードウェア手段とソフトウェア手段の両方を含むことができる。本明細書で説明した方法の実施形態は、ハードウェア及びソフトウェアで実装することができる。装置は、ソフトウェア手段を含むこともできる。或いは、例えば複数のCPUを使用して異なるハードウェア装置上に実施形態を実装することもできる。
【0086】
本明細書の実施形態は、ハードウェア要素とソフトウェア要素とを含むことができる。ソフトウェアで実装される実施形態は、限定するわけではないが、ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む。本明細書で説明した様々なモジュールによって実行される機能は、他のモジュール又は他のモジュールの組み合わせに実装することもできる。本明細書では、コンピュータ使用可能媒体又はコンピュータ可読媒体を、命令実行システム、装置又はデバイスによって又はこれらに関連して使用されるプログラムを含み、記憶し、通信し、伝播し、又は移送できるあらゆる装置とすることができる。
【0087】
図示のステップは、図示の例示的な実施形態を説明するために示したものであり、特定の機能の実行方法は継続中の技術的発展によって変化すると理解すべきである。本明細書では、これらの例を限定ではなく例示目的で提示する。さらに、本明細書では、説明の便宜上、機能的ビルディングブロックの境界を任意に定めている。これらのビルディングブロックの指定された機能及び関係が適切に実行される限り、別の境界を定めることもできる。当業者には、本明細書に含まれる教示に基づいて(本明細書で説明したものの同等形態、拡張形態、変形形態、偏差形態などを含む)代替例が明らかになるであろう。このような代替例も、開示した実施形態の範囲及び趣旨に含まれる。また、「備える、有する、含む(comprising、having、containing及びincluding)」という単語、及び他の同等の形態は、意味的に同等であるように意図されており、これらの単語のうちのいずれか1つに続く1又は複数の項目がこのような1又は複数の項目の完全なリストであるようには意図されておらず、或いはリストされた1又は複数の項目のみに限定されるように意図されていないという点で制約のないものである。なお、本明細書及び添付の特許請求の範囲(明細書に含まれている場合)において使用される単数形の「a、an(英文不定冠詞)」及び「the(英文定冠詞)」は、文脈において別途明確に示されていない限り複数形の照応を含む。
【0088】
さらに、本開示に一致する実施形態を実装する上で1又は2以上のコンピュータ可読記憶媒体を使用することもできる。コンピュータ可読記憶媒体は、プロセッサが読み取ることができる情報又はデータを記憶できるあらゆるタイプの物理的メモリを意味する。従って、コンピュータ可読記憶媒体は、本明細書で説明した実施形態に一致するステップ又は段階を(単複の)プロセッサに実行させる命令を含む、1又は2以上のプロセッサが実行するための命令を記憶することができる。「コンピュータ可読媒体」という用語は、有形アイテムを含んで搬送波及び過度信号を除外し、すなわち非一時的なものであると理解されたい。一例としては、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ハードドライブ、CD ROM、DVD、フラッシュドライブ、ディスク、及び他のいずれかの既知の物理的記憶媒体が挙げられる。
【0089】
なお、本開示及び実施例はほんの例示とみなすべきであり、開示した実施形態の実際の範囲及び趣旨は、以下の特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0090】
302 試験用ソーラーパネルネットワーク
304 ネットワークシミュレーションモジュール
306 故障データベース
308 故障の検出、診断及び位置確認(FDDL)モジュール
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5