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特許7232235レボドパおよびカルビドパ経腸用ゲル剤ならびに使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-21
(45)【発行日】2023-03-02
(54)【発明の名称】レボドパおよびカルビドパ経腸用ゲル剤ならびに使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/198 20060101AFI20230222BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20230222BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20230222BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20230222BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230222BHJP
   A61J 1/05 20060101ALI20230222BHJP
   A61J 1/14 20230101ALI20230222BHJP
【FI】
A61K31/198
A61K9/10
A61K47/38
A61P25/16
A61P43/00 121
A61J1/05 353
A61J1/14 390T
A61J1/00 430
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020214665
(22)【出願日】2020-12-24
(62)【分割の表示】P 2017556790の分割
【原出願日】2016-01-20
(65)【公開番号】P2021073186
(43)【公開日】2021-05-13
【審査請求日】2021-01-21
(31)【優先権主張番号】62/105,565
(32)【優先日】2015-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/272,922
(32)【優先日】2015-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512212195
【氏名又は名称】アッヴィ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラジクマール・カンジーバラム
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル・ディーク
(72)【発明者】
【氏名】イエ・ホワン
(72)【発明者】
【氏名】シーン・イー・マッキー
(72)【発明者】
【氏名】ランディー・エイ・メンジス
(72)【発明者】
【氏名】ジェイン・ビー・ジンマーマン
【審査官】長谷川 茜
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-543761(JP,A)
【文献】特表平08-504764(JP,A)
【文献】特表2014-508113(JP,A)
【文献】特表2013-545745(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00 ~ 33/44
A61K 9/00 ~ 9/72
A61P 25/00 ~ 25/36
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
十二指腸内投与のための医薬組成物であって、
(a)組成物全体の4.0重量/重量%の量のレボドパ活性剤;
(b)組成物全体の1.0重量/重量%の量のカルビドパ1水和物活性剤;
(c)1以上のポリマー系懸濁剤であって、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースおよびナトリウムカルボキシメチルセルロースからなる群から選択される懸濁剤;ならびに
(d)水
を含み、前記医薬組成物が、
(i)22℃および24.1s-1で4500cps以下の高剪断粘度;
(ii)5℃および0.1-1での45000cps以上の低剪断粘度ならびに;
(iii)低剪断粘度/高剪断粘度比10以上
を有する医薬組成物。
【請求項2】
前記1以上のポリマー系懸濁剤がナトリウムカルボキシメチルセルロースである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記水の濃度が、組成物全体の0重量/重量%を超え95重量/重量%までの量である請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記医薬組成物が0.04重量/重量%/週より大きい速度でのDHPAへの分解を受けない、請求項1から3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記医薬組成物が0.04重量/重量%/週より大きい速度でのDHPPAへの分解を受けない、請求項1から4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記医薬組成物が、0.6μg/g/週より大きい速度でのヒドラジンを生じる分解を受けない、請求項1から5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記医薬組成物が低酸素透過性の一次または二次容器に入っている、請求項1から6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
酸素不透過性封入容器が中に入っているディスポーザブル薬剤リザーバー中に請求項1から7のいずれか1項に記載の医薬組成物を含む医薬製剤であって、前記酸素不透過性封入容器が不活性ガスでパージされ、脱酸素剤が加えられている医薬製剤。
【請求項9】
前記医薬製剤が、治療上有効な形で組成物を送達することができる連続輸液ポンプでの使用に好適である、請求項8に記載の医薬製剤。
【請求項10】
レボドパ活性剤およびカルビドパ活性剤を水に加えてスラリーを形成すること;
前記スラリーをヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースおよびナトリウムカルボキシメチルセルロースからなる群から選択される1以上のポリマー系懸濁剤に加えて、懸濁液を形成すること;および
前記懸濁液についてN吹き込みを行うこと
を含む、前記請求項1から7のいずれか1項に記載の医薬組成物の製造方法。
【請求項11】
前記懸濁液を低酸素透過性容器に入れることをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記懸濁液を形成する前に、前記レボドパ活性剤は、
(i)D50が5μm以下;
(ii)D90が11μm以下;および
(iii)D100が22μm以下
の粒径分布を有し、
前記カルビドパ1水和物活性剤は、
(i)D50が3μm以下;
(ii)D90が7μm以下;および
(iii)D100が21μm以下
の粒径分布を有する、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
処置を必要とする患者におけるパーキンソン病の治療のための、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項14】
少なくとも16時間の期間にわたり前記医薬組成物を実質的に連続投与するための、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
少なくとも24時間の期間にわたり前記医薬組成物を実質的に連続投与するための、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記医薬組成物が、酸素不透過性封入容器が中に入っているディスポーザブル薬剤リザーバー中の医薬製剤で投与されるものであり、前記酸素不透過性容器が、不活性ガスでパージされ、および脱酸素剤が加えられている請求項13から15のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
請求項1から7のいずれか1項に記載の医薬組成物を含むキット。
【請求項18】
請求項8または9に記載の医薬製剤を含むキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、(a)レボドパおよびカルビドパを含む改善された医薬組成物および(b)パーキンソン病の対象者に対して医薬組成物を投与することを含む、パーキンソン病および関連する状態の治療方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パーキンソン病は、神経伝達物質ドーパミン(すなわち、3,4-ジヒドロキシフェネチルアミン)の脳中レベル低下を特徴とする慢性および進行性の神経変性状態である。現在、L-ドパの投与が、パーキンソン病患者を治療するための最も有効な療法である。ドーパミンとは異なり、血液脳関門を通過することができるL-ドパは、脳において酵素的にドーパミンに変換されて、その結果ドーパミンレベルが上昇する。
【0003】
【化1】
【0004】
L-ドパのドーパミンへの変換は、L-ドパのドーパミンへの中枢ならびに抹消代謝を促進する遍在性酵素である芳香族L-アミノ酸デカルボキシラーゼによって触媒される。脳において治療上有効なドーパミンレベルを達成するのに、比較的大きい用量のL-ドパが必要である。そのような大きいL-ドパ用量を投与することで、一部の患者で吐き気を引き起こし得る末梢ドーパミンレベル上昇を生じる。これらの問題を克服するため、L-ドパをカルビドパ(すなわち、(2S)-3-(3,4-ジヒドロキシ-フェニル)-2-ヒドラジノ-2-メチルプロパン酸)などの末梢芳香族L-アミノ酸デカルボキシラーゼ阻害剤と併用投与する。
【0005】
【化2】
【0006】
カルビドパのL-ドパとの併用投与によって、L-ドパのドーパミンへの末梢代謝を阻害し、それによって、治療上有効な応答に必要なL-ドパ用量が大きく低下し、関連する副作用が低減される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、L-ドパおよびカルビドパを併用投与する場合であっても、血漿中のL-ドパの半減期が比較的短いために、所望のドーパミンレベルを一貫して維持するのは困難である。さらに、脳内でのドーパミンにおける変動性に対する多くの患者の耐容性は、疾患が進行するにつれて低下する。ドーパミンレベルの変動性を低下させる上で有功であった一つのアプローチは、商品名DuoDopa(R)で知られる調節可能な用量のL-ドパ/カルビドパゲルの連続的腸管送達である。DuoDopa(R)は、L-ドパ/カルビドパ1水和物(4:1比のL-ドパ:カルビドパ1水和物)の水系ゲル中懸濁液である。そのゲルは、経皮内視鏡胃瘻造設術口から挿入された空腸管を通して近位小腸に送達される。DuoDopa(R)は、ティスポーザブル薬剤リザーバー(「DDR」)に入っており、ソフトウェア制御された携帯式輸液ポンプを介して連続投与される。L-ドパおよびカルビドパは数十年にわたりパーキンソン病を治療するのに併用投与されてきたが、ゲル組成物を腸管に送達する、より新たな世代のより計量でより小型の輸液ポンプでの使用に好適な医薬組成物は現在市販されていない。
【0008】
DuoDopa(R)L-ドパ/カルビドパ経腸用ゲル剤の現在の組成物は、連続腸管投与用ゲルである。長期投与のため、そのゲルは内部腸/空腸管を有する経皮内視鏡胃瘻造設術チューブを介して十二指腸または空腸上部に直接、携帯ポンプを用いて投与される。DuoDopa(R)各1mLはレボドパ20mgおよびカルビドパ1水和物5mgを含む。DuoDopa(R)は現在商業的に成功しているが、その製品には製品製造において制限があり、それには(1)貯蔵および投与時の薬剤粒子の沈降のリスク、(2)カルビドパが化学的に不安定であるためのヒドラジン形成などがある。
【0009】
従って、パーキンソン病などの運動障害を効果的に治療するために脳中の連続および一定のドーパミンレベルを提供することができる改善された製剤および方法が現在もなお必要とされている。本開示は、そのような改善された製剤および方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1態様において、本開示は、十二指腸内投与のためのレボドパ活性剤およびカルビドパ活性剤を含む医薬組成物であって、前記レボドパ活性剤が当該組成物の約4重量パーセント(w/w%)の量で提供され、カルビドパ(例えば、カルビドパ1水和物)が当該組成物の約1重量%の量で提供され、前記レボドパおよびカルビドパが水系担体中に懸濁されている組成物に関する。当該医薬組成物は、冷蔵条件下での貯蔵および/または室温(例えば、約20℃から約25℃)での送達(例えば、ポンプを介して送達)に好適な所望の粘度を有する。
【0011】
別の態様において、本開示は、処置を必要とする患者におけるパーキンソン病の治療方法であって、レボドパ活性剤およびカルビドパ活性剤(例えば、カルビドパ1水和物)がそれぞれ組成物の約4重量パーセントおよび1重量%の量で提供され、水系担体中に懸濁されている十二指腸内投与のためのレボドパ活性剤およびカルビドパ活性剤を含む医薬組成物を当該患者に投与することを含む方法に関するものである。当該医薬組成物は、冷蔵条件下での貯蔵および/または室温(例えば、約20℃から約25℃)での送達(例えば、ポンプを介して送達)に好適な所望の粘度を有する。
【0012】
別の態様において、本開示は、本発明の医薬組成物、特には例えば下記の実施例1および図1に開示の高濃度医薬組成物の製造方法に関するものである。
【0013】
本発明のこれら実施形態およびさらなる実施形態について、本明細書においてさらに説明する。
【0014】
本開示のさらなる利点は、本特許出願を読むことで当業者には明らかになろう。下記の段落に記載の開示の実施形態は、本発明を説明するものであるが、本発明の範囲を制限するものと考えるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の例示的医薬製剤を製造するための製造プロセスフローチャートである。
図2】いずれも6時間連続輸液で提供される、二つのコンパレータ(comparator)に対するものとしての、本発明の例示的医薬組成物のミニ豚でのL-ドパ血中レベル時間-濃度プロファイルを示す図である。
図3】いずれも6時間連続輸液で提供される、二つのコンパレータ(comparator)に対するものとしての、本発明の例示的医薬組成物のミニ豚でのカルビドパ血中レベル時間-濃度プロファイルを示す図である。
図4】投与後各種時間点でのヒト被験者12名における平均レボドパ血漿濃度を示す図である。
図5】投与後各種時間点でのヒト被験者12名における平均カルビドパ血漿濃度を示す図である。
図6】レボドパおよびカルビドパがpH4.5媒体に溶解する溶解速度を示す図である。
図7】レボドパおよびカルビドパがpH6.8媒体に溶解する溶解速度を示す図である。
図8】2から8℃での15週間貯蔵期間にわたっての低濃度および高濃度ゲル製剤の3,4-ジヒドロキシフェニルアセトン(DHPA)への分解を示す図である。
図9】2から8℃での15週間貯蔵期間にわたっての低濃度および高濃度ゲル製剤の2-メチル-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパン酸(DHPPA)への分解を示す図である。
図10】2から8℃での15週間貯蔵期間にわたっての低濃度および高濃度ゲル製剤のヒドラジンへの分解を示す図である。
図11】DHPA(パネルA)およびDHPPA(パネルB)分解生成物の蓄積に対する異なるパッケージ中の脱酸素剤の効果を示す図である。説明文における略称は、1X=2重量%レボドパ、0.5重量%カルビドパ;2X=4重量%レボドパ、1.0重量%カルビドパ;EVA=EVA/EVOH/EVA材料製の容器栓バッグ;Smiths=Smiths Medicalカセットリザーバーで使用されるPVCバッグ;OW+Scav=オーバーラップアルミホイルパウチ内の脱酸素剤という意味を有する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この記述は、例を用いて、最良の形態などの本発明を開示し、さらには開示の医薬組成物、キット、医薬製剤の製造および使用、ならびに開示の方法もしくは工程の実施など、当業者が本発明を実施できるようにするものである。本発明の特許を受けることができる範囲は特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の例を含むことができる。そのような他の例は、それらが特許請求の範囲の文言と異ならない要素を有するかのように、またはそれらが均等な要素を含むかのように、特許請求の範囲に包含されるものとする。
【0017】
I.定義
本セクションおよび開示全体で使用されるセクションの標題は、本発明を限定するものではない。
【0018】
数字範囲が記載されている場合、その範囲に含まれる各途中の数字は、同じ程度の正確さで明確に想定されるものである。例えば、範囲6から9については、6および9に加えて数字7および8が想定され、範囲6.0から7.0については、数字6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9および7.0が明確に想定される。同様にして、全ての記載の比率も、より広い比率に含まれる全ての下位比率を含むものである。
【0019】
単数形「一つの」、「1個の」および「その」は、文脈によって別の内容が明瞭に示されていない限り、複数形の記載を含む。
【0020】
本明細書における「Aおよび/またはB」などの表現で使用される「および/または」という用語は、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」、および「B」を含むものとする。
【0021】
「約」という用語は、当業者が記載の値と等価であると見なす(すなわち、同じ機能もしくは結果を有する)と考えられる数字の範囲を指す。多くの場合、「約」という用語は、最も近い有効数字に四捨五入される数字を含み得る。
【0022】
文脈上他の形態が必要とされない限り、「含む(comprise)」、「有する(comprises)」および「包含する(comprising)」という用語は、それらが排他的ではなく包括的に解釈されるべきであり、出願人が、それらの用語のそれぞれが添付の特許請求の範囲を含む本特許を解釈するにおいてそのように解釈されるべきであることを意図しているという点および明瞭な理解に基づいて使用される。
【0023】
「改善する」および「改善」という用語は、薬学または医学の当業者にとって明白で普通の意味を有し、具体的には、パーキンソン病の影響を寛解すること、またはパーキンソン病の症状または副作用を低減もしくは低下させることを含む。
【0024】
「患者」という用語は、哺乳動物およびヒトを含み、特にはヒトである。
【0025】
「医薬として許容される担体」または「医薬として許容される賦形剤」という用語は、医薬投与と適合する、あらゆる溶媒、分散媒、保存剤、酸化防止剤、コーティング剤、等張剤および吸収遅延剤などを指す。「水系担体」という用語は、溶媒が水である医薬として許容される担体を指す。
【0026】
「医薬として許容される塩」という用語は、医薬として許容され、親化合物の所望の薬理活性を有する化合物の塩を指す。そのような塩には、(1)塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸と形成される;または酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタン-ジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4-メチル-ビシクロ[2.2.2]-オクタ-2-エン-1-カルボン酸、グルコヘプトン酸、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、tert-ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などの有機酸と形成される酸付加塩;および(2)親化合物に存在する酸性プロトンが、金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、またはアルミニウムイオンによって置き換わっている場合;またはエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルグルカミン、ジシクロヘキシルアミンなどの有機塩基が配位した場合に形成される塩などがある。
【0027】
「低下させる」および「低下」という用語は、薬学または医学の当業者にとって明白で普通の意味を有し、具体的には、ジスキネジアまたは幻覚などのパーキンソン病の症状もしくは副作用の発生回数、期間または強度を減らしたり低下させることを含む。
【0028】
「治療上有効な量」という用語は、パーキンソン病または関連の状態を患うもしくはそれの影響を受けやすい患者に、単独でまたは別の療法と組み合わせて投与した場合に、パーキンソン病または関連の状態の治療を行う化合物の量を意味する。「治療上有効な量」は、例えば、化合物、医薬組成物もしくは医薬製剤、治療される状態およびそれの重度、ならびに治療を受ける患者の年齢および体重に応じて変動するものである。
【0029】
「治療する」および「治療」という用語は、薬学または医学の当業者にとって明白で普通の意味を有し、具体的には、生活の質を高めること、またはパーキンソン病の症状もしくは副作用を低減することを含む。
【0030】
II.医薬組成物
本開示は、レボドパ活性剤およびカルビドパ活性剤が水系担体に懸濁された治療上有効量で存在する十二指腸内投与用のレボドパ活性剤およびカルビドパ活性剤を含む医薬組成物であって、担体中の前記レボドパ活性剤および前記カルビドパ活性剤が、室温(例えば、約20℃から約25℃、例えば約22℃)で約4500cps以下の高剪断粘度および冷蔵貯蔵条件下(例えば、約2℃から約8℃、例えば5℃)で約45000cps未満の低剪断粘度を有することを特徴とする医薬組成物に関する。さらにまたはあるいは、医薬組成物(すなわち、水系担体にレボドパ活性剤およびカルビドパ活性剤が懸濁されたもの)は、低剪断粘度:高剪断粘度の比率が約10以上であることができる。特に、水系担体にレボドパ活性剤およびカルビドパ活性剤が懸濁したものは、室温(例えば、約20℃から約25℃、例えば約22℃)で約4500cps以下の高剪断粘度および冷蔵貯蔵条件(例えば、約2℃から約8℃、例えば5℃)下で約45000cps以上の低剪断粘度、ならびに低剪断粘度:高剪断粘度の比率約10以上を有することができる。当該医薬組成物は、貯蔵寿命を通じて前記の低剪断粘度および高剪断粘度を有することができる。本明細書で使用される場合、「貯蔵寿命」には、少なくとも約2週間、例えば、少なくとも約5週間、少なくとも約10週間、少なくとも約15週間、または少なくとも約20週間などがある。例えば、当該医薬組成物は、それの貯蔵寿命を通じて、約4300から4400cpsの高剪断粘度(約22℃で)および約49600cpsの低剪断粘度(約5℃で)を有することができる。
【0031】
低剪断粘度および高剪断粘度の両方とも、当業界で公知の常法によって測定することができる。本明細書に開示の組成物および製剤の粘度を測定するためには、低剪断粘度は、約5℃の温度および約0.1sec-1の剪断速度で約9mLのサンプルで測定すべきである。粘度を、例えばBROOKFIELD LV型粘度計(例えば、温度プローブおよび水ジャケットアセンブリSC4-45Yを有するサンプルチャンバSC4-13R中)において測定する場合、その試験は、SC4-31型スピンドルを用いて行わなければならない。他の装置を用いる場合、それに応じて、相当する寸法および規格のスピンドルを代わりに用いるべきである。
【0032】
高剪断粘度は、約22℃の温度および約24.1sec-1の剪断速度で約16mLのサンプルで測定すべきである。粘度を、例えばBOHLIN 88型BV回転式粘度計で測定する場合、C25シリンダー/スピンドルシステムを用いて行うべきである。他の装置を用いる場合、それに応じて、相当する寸法および規格のスピンドルを代わりに用いるべきである。
【0033】
各種態様において、医薬組成物中に存在するレボドパ活性剤およびカルビドパ活性剤(例えば、カルビドパ1水和物)の治療上有効量は、それぞれ、組成物の約4.0および1.0重量%であることができる。
【0034】
前述のように、輸液のための生理的に許容されるpHでのL-ドパおよびカルビドパの水溶解度が固有に低いことで、改善された医薬組成物および治療方法を開発する上での大きな技術的問題が生じる。そのような問題には、例えば、必要なpH範囲内での製剤安定性を達成するのが困難な点などがある。これらの問題はさらに、前記医薬組成物および治療方法が、患者の脳内での薬物動態的に許容されるおよび薬力学的に一定のドーパミンレベル制御を提供するという必要条件によってさらに複雑なものとなる。
【0035】
1実施形態において、医薬組成物は、組成物全体の約4.0重量%の量でのレボドパ活性剤;組成物全体の約1.0重量%の量でのカルビドパ活性剤(例えば、カルビドパ1水和物);少なくとも一つの懸濁剤;および液体媒体(例えば、水)を含む。各種実施形態において、液体媒体は、組成物全体の約0重量%から約95重量%、例えば約10重量%から約70重量%、または組成物全体の約40重量%から約60重量%を構成することができる。
【0036】
1実施形態において、レボドパ活性剤は、レボドパおよびそれの医薬として許容される塩もしくは水和物、例えばレボドパ1水和物である。レボドパは好ましくは、組成物全体の約1.0から5.0重量%の量で組成物中に存在する。好ましい実施形態において、前記医薬組成物は、約4.0重量%のレボドパ活性剤を含む。1実施形態において、前記レボドパ活性剤は、本発明の医薬組成物中に含ませるために、例えば下記実施例1に記載のように、微粒子またはミクロスフェアなどに加工することができる。
【0037】
1実施形態において、カルビドパ活性剤は、カルビドパおよびそれの医薬として許容される塩もしくは水和物、例えばカルビドパ1水和物である。カルビドパ活性剤は好ましくは、組成物全体の約0.25から1.25重量%の量で組成物中に存在する。好ましい実施形態において、前記医薬組成物は、約1.0重量%のカルビドパ活性剤を含む。投与に好ましいカルビドパ活性剤の形態は、カルビドパ1水和物である。1実施形態において、前記カルビドパ活性剤は、本発明の医薬組成物中に含ませるために、例えば下記実施例1に記載のように、微粒子またはミクロスフェアなどに加工することができる。
【0038】
レボドパ活性剤およびカルビドパ活性剤は、いずれか好適な比率で医薬組成物中に存在することができ、例えば、本医薬組成物中のレボドパ活性剤:カルビドパ活性剤(例えば、カルビドパ1水和物)の比率は、約4:1であることができる。例えば、当該医薬組成物は、約4重量%のレボドパ活性剤および1重量%カルビドパ活性剤(例えば、カルビドパ1水和物)を含むことができる。1実施形態において、医薬組成物は、各体積5.0mL当たりレボドパ約200mgおよびカルビドパ(例えば、カルビドパ1水和物)約50mgを含む液体もしくは粘稠液体を含む。1実施形態において、レボドパ活性剤およびカルビドパ活性剤は、本発明の医薬組成物中に含ませるために、例えば下記実施例1に記載のように、微粒子またはミクロスフェアなどに加工される。
【0039】
レボドパ活性剤、またはレボドパ活性剤のカルビドパ活性剤に対する組み合わせの懸濁剤に対する比率は、約3-約1重量%から約1-約30重量%であり、好ましい範囲は約2-約1重量%から約1-約10重量%である。そのような容易に入手可能な懸濁剤は当業界で公知であり、ポリマー系懸濁剤、例えば炭水化物系懸濁剤およびアクリル酸系ポリマー(例えば、カルボマー、Carbopol(R))(これらに限定されるものではない)などがあり得る。炭水化物系懸濁剤の例には、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、およびナトリウムカルボキシメチルセルロース(NaCMC)などがあるが、これらに限定されるものではない。アクリル酸系ポリマーは、架橋していても良く、例えばポリアルケニルエーテル類またはジビニルグリコールと架橋していても良い。特に、前記懸濁剤は、ナトリウムカルボキシメチルセルロース(NaCMC)またはカーボポールであることができる。
【0040】
本発明の組成物において、1以上の懸濁剤を用いて、上記で記載のような、レボドパ活性剤またはレボドパ活性剤のカルビドパ活性剤との組み合わせの懸濁剤に対する比率を得ることができる。
【0041】
しかしながら、界面活性剤を使用する場合、本明細書に記載のように、レボドパ活性剤、カルビドパ活性剤および懸濁剤を加えた後に、界面活性剤または複数の界面活性剤を加えることが最も良い場合がある。
【0042】
理解すべき点として、本発明の組成物を含む各成分は、医薬として許容されるものであり、無毒性濃度で使用しなければならない。
【0043】
1実施形態において、当該医薬組成物は粘稠液体組成物である。1態様において、医薬組成物は水を含み、輸液に好適である。
【0044】
別の実施形態において、前記医薬組成物は、少なくとも約5mg/mLのレボドパ活性剤濃度を有する水系医薬組成物である。1態様において、レボドパ活性剤濃度は、少なくとも約10mg/mLである。別の態様において、レボドパ活性剤濃度は、少なくとも約20mg/mLである。別の態様において、レボドパ活性剤濃度は、少なくとも約30mg/mLである。別の態様において、レボドパ活性剤濃度は、少なくとも約35mg/mLである。別の態様において、レボドパ活性剤濃度は、少なくとも約40mg/mLである。別の態様において、レボドパ活性剤濃度は、少なくとも約45mg/mLである。別の態様において、レボドパ活性剤濃度は、少なくとも約50mg/mLである。別の態様において、レボドパ活性剤濃度は、少なくとも約100mg/mLである。別の態様において、レボドパ活性剤濃度は、少なくとも約150mg/mLである。別の態様において、レボドパ活性剤濃度は、少なくとも約200mg/mLである。
【0045】
別の実施形態において、前記医薬組成物は、少なくとも約5mg/mLのカルビドパ活性剤(例えば、カルビドパ1水和物)濃度を有する水系医薬組成物である。1態様において、カルビドパ活性剤濃度は、少なくとも約10mg/mLである。別の態様において、カルビドパ活性剤濃度は、少なくとも約20mg/mLである。別の態様において、カルビドパ活性剤濃度は、少なくとも約30mg/mLである。別の態様において、カルビドパ活性剤濃度は、少なくとも約50mg/mLである。別の態様において、カルビドパ活性剤濃度は、少なくとも約100mg/mLである。別の態様において、カルビドパ活性剤濃度は、少なくとも約150mg/mLである。別の態様において、活性剤カルビドパ濃度は少なくとも約200mg/mLである。
【0046】
本開示の医薬組成物は、1以上の別の医薬として許容される賦形剤を含んでいても良い。「賦形剤」という用語は、自体は治療剤ではなく、治療剤を対象者に送達するための担体もしくは媒体として使用されるか、取り扱い性もしくは貯蔵性を高めたり、組成物の単位用量の形成を可能としたり、それを行う易くするための医薬組成物に加えられる物質を指す。
【0047】
賦形剤には、例えば、酸化防止剤、pHおよびオスモル濃度を調節する薬剤、保存剤、増粘剤、着色剤、緩衝剤、殺細菌剤および安定剤などがある。ある賦形剤が存在する場合は、それは通常、約0.001重量%から約95重量%、約0.01重量%から約80重量%、約0.02重量%から約25重量%、または約0.3重量%から約10重量%の量で存在する。
【0048】
1実施形態において、医薬組成物は、酸化防止剤を含んでいても良い。当該医薬組成物での使用に好適な酸化防止剤には、例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、メタ重亜硫酸カリウム、システインなどがある。
【0049】
1実施形態において、当該医薬組成物は、緩衝剤を含んでいても良い。緩衝剤には、pH変化を小さくする薬剤などがある。本発明の各種実施形態で使用するのに好適な種類の緩衝剤は、IA族金属の塩、例えば、IA族金属の重炭酸塩、IA族金属の炭酸塩、アルカリもしくはアルカリ土類金属緩衝剤、アルミニウム緩衝剤、カルシウム緩衝剤、ナトリウム緩衝剤、またはマグネシウム緩衝剤を含む。好適な緩衝剤にはさらに、前記のいずれかの炭酸塩、リン酸塩、重炭酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、酢酸塩、フタル酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、例えば、リン酸、クエン酸、ホウ酸、酢酸、重炭酸および炭酸ナトリウムもしくはカリウムなどがある。
【0050】
1実施形態において、前記組成物はpH約3.5から約8を有する。1態様において、pHは約3.5から約7.5である。別の態様において、pHは約4.0から約7.5である。別の態様において、pHは約5.0から約7.5である。別の態様において、pHは約5.5から約7.5である。別の態様において、pHは約6.0から約7.5である。
【0051】
各種実施形態において、医薬組成物は容器中に存在し得る。好適な容器には、比較的低い酸素透過率(例えば、約0.95cc/(100インチ2*日)の酸素透過速度)を有する、または酸素不透過性である容器(例えば、バッグ)などがある。これらの低酸素浸透性バリアを、二次外側容器の一次容器に組み込むことができる。好適な容器の例には、DDR(Disposable Drug Reservoirs)バッグ、例えばEVA/EVOH/EVAバッグなどがあるが、これに限定されるものではない。
【0052】
さらに他の実施形態において、本開示は、液体医薬製剤の封じ込めに好適な即時使用バイアルまたはカートリッジまたは容器または封入容器に関するものである。そのような容器は、1以上の有功成分を含む液体製剤保持の機能を果たし得る。そのバイアルは、粉末形態の有功成分の貯蔵容器としても機能し得るもので、そのバイアルは即時使用型となっていることができ、水系媒体で再生することで即時抜き取りまたは患者への即時注射されるようになる。
【0053】
別の実施形態において、医薬製剤が提供される。その医薬製剤は、酸素不透過性封入容器を有するDDRに入った本明細書に記載の医薬組成物を含むことができ、その酸素不透過性封入容器は、不活性ガス(例えば、N)でパージされる。脱酸素剤(例えば、第一鉄または非第一鉄系の缶または小袋)を加えることもできる。その医薬製剤は、治療上有効な形態で組成物を送ることができる連続輸液ポンプでの使用に好適であり得る。好適な酸素不透過性封入容器には、例えばホイルバッグまたはEVA-EVOHフィルム層を有するバッグなどがあり得る。
【0054】
III.医薬組成物の製造方法
本開示はさらに、本明細書に記載の医薬組成物の製造方法に関する。各種態様において、本明細書に記載の医薬組成物の製造方法は、レボドパ活性剤およびカルビドパ活性剤が医薬組成物中に治療上有効量で存在するような好適な量で、レボドパ活性剤およびカルビドパ活性剤を提供することを含み得る。レボドパ活性剤およびカルビドパ活性剤を水に加えて、スラリーを製造しても良い。そのスラリーには、本明細書に記載のように1以上の懸濁剤(例えば、NaCMC)を加えて懸濁液を形成することができる。その懸濁液には、酸素レベルを低下させるために、N吹き込みを行っても行わなくても良い。特には、懸濁液にN吹き込みを行うことができる。適宜に、懸濁液を脱気して、捕捉された窒素や空気を懸濁液から除去することができる。次に、懸濁液を、本明細書に記載のような低酸素透過性または酸素不透過性容器に入れることができる。適宜に、脱酸素剤も同様に、懸濁液に加えることができる。有利には、懸濁液のN吹き込みと低酸素透過性容器の使用の組み合わせにより、組成物に存在する初期溶存Oおよび貯蔵中の組成物へのO侵入の量の両方を減らすことで、化学的安定性の高くなった医薬組成物を得ることができる。
【0055】
さらに、懸濁液にN吹き込みを行うか、および/または容器が低い酸素透過性を有する場合、医薬組成物は、冷蔵貯蔵条件1週間当たり0.04重量%より速い速度でDHPAへの分解を受けない(パーセントは、カルビドパのラベル量に対するものである)。さらにまたはあるいは、懸濁液にN吹き込みを行うか、および/または容器が低い酸素透過性を有する場合、医薬組成物は、冷蔵貯蔵条件1週間当たり0.04重量%より速い速度でDHPPAに分解し得ない(パーセントは、カルビドパのラベル量に対するものである)。さらにまたはあるいは、懸濁液にN吹き込みを行うか、および/または容器が低い酸素透過性を有する場合、医薬組成物は、冷蔵貯蔵条件1週間当たり0.6μg/gより速い速度でヒドラジンを生じる分解を受けることはなく、μg/gはゲル-懸濁液1グラム当たりのヒドラジンμg数を示す。
【0056】
各種態様において、レボドパ活性剤(例えば、懸濁液形成の前)は、次のような粒径分布を有することができる。
【0057】
(i)D50が、約5μm以下、約3μm以下、または約1μm以下であることができる。
(ii)D90が、約11μm以下、約9μm以下、約7μm以下、約5μm以下、または約3μm以下であることができる。
【0058】
(iii)D100が、約22μm以下、約21μm以下、約19μm以下、約17μm以下、約15μm以下、約13μm以下または約11μm以下であることができる。
【0059】
特に、レボドパ活性剤は、(i)D50が約5μm以下;(ii)D90が11μm以下;および(iii)D100が22μm以下の粒径分布を有することができる。
【0060】
さらに、カルビドパ活性剤(例えば、懸濁液形成の前)は、下記のような粒径分布を有することができる。
【0061】
(i)D50が3μm以下であることができる。
【0062】
(ii)D90が、7μm以下または5μm以下であることができる。
【0063】
(iii)D100が、21μm以下、19μm以下、17μm以下、15μm以下、13μm以下、11μm以下、9μm以下であることができる。
【0064】
特に、カルビドパ活性剤は、(i)D50が約3μm以下;(ii)D90が7μm以下;および(iii)D100が21μm以下の粒径分布を有することができる。レボドパ活性剤および/またはカルビドパ活性剤を、粉砕または微粒子化して、そのような粒径分布とすることができる。
【0065】
有利な点として、上記の粒径分布を有するレボドパ活性剤およびカルビドパ活性剤は、良好に懸濁液を形成することができ、レボドパ活性剤およびカルビドパ活性剤が組成物中で比較的高濃度で存在している場合であっても医薬組成物の貯蔵寿命を通して懸濁液の物理的安定性を維持することができる。例えば、約4重量%のレボドパ活性剤および1重量%のカルビドパ活性剤(例えば、カルビドパ1水和物)を含む場合であっても、物理的安定性は維持され得る。
【0066】
別の実施形態において、本明細書に記載の方法によって製造される本明細書に記載の医薬組成物が提供される。特に、レボドパ活性剤およびカルビドパ活性剤は、レボドパ活性剤およびカルビドパ活性剤が医薬組成物中に治療上有効量で存在するような好適な量で提供することができる。提供されるレボドパ活性剤およびカルビドパ活性剤は、上記の粒径分布を有する。レボドパ活性剤およびカルビドパ活性剤を水に加えて、スラリーを製造する。そのスラリーに、本明細書に記載のように懸濁剤(例えば、NaCMC)を加えて懸濁液を形成することができ、その懸濁液に、酸素レベルを低下させるために、N吹き込みを行うことができる。その懸濁液を、本明細書に記載のような低酸素透過性または酸素不透過性容器に入れることができる。適宜に、脱酸素剤も同様に、懸濁液に加えることができる。
【0067】
IV.治療方法
本開示はさらに、患者に対して高濃度レボドパ活性剤およびカルビドパ活性剤を含む治療上有効量の医薬組成物を投与することを含む、パーキンソン病および関連状態の治療方法に関するものである。高濃度レボドパ活性剤およびカルビドパ活性剤を含む医薬組成物は、例えば各5.0mL体積当たりレボドパ約200mgおよびカルビドパ1水和物約50mgを含む液体もしくは粘稠液体を含むことができる。
【0068】
1実施形態において、本開示は、処置を必要とする状態の治療方法であって、患者に対して、治療上有効量の本開示の医薬組成物を投与することを含む方法に関する。
【0069】
1実施形態において、前記医薬組成物を投与することで治療される状態はパーキンソン病である。
【0070】
別の実施形態において、医薬組成物を投与することで治療される状態は、パーキンソン病患者における運動機能障害である(すなわち、パーキンソン病患者における運動機能を改善する方法)。
【0071】
別の実施形態において、医薬組成物を投与して、パーキンソン病患者における運動変動を治療する。
【0072】
別の実施形態において、医薬組成物を投与して、パーキンソン病患者における運動障害を治療する。
【0073】
別の実施形態において、本発明の医薬組成物は、腸管投与を介して投与される。それらは、経皮内視鏡胃瘻造設術により、例えば外部経腹管および内部腸管を用いて挿入された永久的な管によって小腸(例えば、十二指腸または空腸)などの腸管に直接投与(または「輸液」)することができる。1態様において、第1の化合物および第2の化合物を、放射線胃空腸吻合術によって挿入された管を介して投与される。別の態様において、本発明の医薬組成物は、患者に挿入され一時的経鼻十二指腸管を介して投与することで、例えば、永久的管を挿入する前に、患者が治療方法に好ましく応答するか否かを決定する。
【0074】
本発明の医薬組成物の1以上を腸管投与を介して投与する実施形態において、商標名CADD-Legacy DuoDopa(R)ポンプ下で販売されているポンプなどの携帯ポンプを用いて、投与を行うことができる。具体的には、第1の化合物および第2の化合物を含むカセット、パウチ、バイアルまたはカートリッジをポンプに取り付けて、送達システムを作ることができる。次に、その送達システムを、腸管投与のために経鼻十二指腸管、経腹口、十二指腸管または空腸管に連結する。
【0075】
1実施形態において、当該方法は、少なくとも約12時間の期間にわたって実質的に連続的に、患者に対して本発明の医薬組成物の1以上を投与することを含む。さらなる態様において、本発明の医薬組成物は、約16時間、約24時間、約36時間、約48時間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約1週間、またはそれ以上の期間にわたって実質的に連続的に投与することができる。
【0076】
1実施形態において、患者に投与される本発明の医薬組成物の用量を調節して、患者によって達成される臨床応答を至適化する、それは、例えば、OFF-時間エピソード(すなわち、運動緩徐)の回数および期間を最小とし、支障をきたす運動異常のあるON-時間を最小とすることで、その日の機能的ON-時間を最大とすることを意味する。
【0077】
1実施形態において、本開示の方法に従って患者に投与されるレボドパ活性剤の1日用量は、例えば、1日当たり約20から約5000mg、約20mgから約4000mg、約20mgから約3000mg、約20mgから約2000mg、または約20mgから約1000mgであることができる。各種態様において、患者には、例えば、1日当たりレボドパ活性剤約20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790、800、810、820、830、840、850、860、870、880、890、900、910、920、930、940、950、960、970、980、990、1000、1010、1020、1030、1040、1050、1060、1070、1080、1090、1100、1110、1120、1130、1140、1150、1160、1170、1180、1190、1200、1210、1220、1230、1240、1250、1260、1270、1280、1290、1300、1310、1320、1330、1340、1350、1360、1370、1380、1390、1400、1410、1420、1430、1440、1450、1460、1470、1480、1490、1500、1510、1520、1530、1540、1550、1560、1570、1580、1590、1600、1610、1620、1630、1640、1650、1660、1670、1680、1690、1700、1710、1720、1730、1740、1750、1760、1770、1780、1790、1800、1810、1820、1830、1840、1850、1860、1870、1880、1890、1900、1910、1920、1930、1940、1950、1960、1970、1980、1990、2000、2010、2020、2030、2040、2050、2060、2070、2080、2090、2100、2110、2120、2130、2140、2150、2160、2170、2180、2190、2200、2210、2220、2230、2240、2250、2260、2270、2280、2290、2300、2310、2320、2330、2340、2350、2360、2370、2380、2390、2400、2410、2420、2430、2440、2450、2460、2470、2480、2490、2500、2600、2700、2800、2900、3000、3100、3200、3300、3400、3500、3600、3700、3800、3900、4000、4100、4200、4300、4400、4500、4600、4700、4800、4900、または5000mgを投与することができる。
【0078】
1実施形態において、本開示の方法に従って患者に投与されるカルビドパ活性剤の1日用量は、例えば、1日当たり0から約625mg、0mgから約500mg、0mgから約375mg、0mgから約250mg、または0mgから約125mgであることができる。各種態様において、患者には、例えば、1日当たりカルビドパ活性剤約20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790、800、810、820、830、840、850、860、870、880、890、900、910、920、930、940、950、960、970、980、990、1000、1010、1020、1030、1040、1050、1060、1070、1080、1090、1100、1110、1120、1130、1140、1150、1160、1170、1180、1190、1200、1210、1220、1230、1240、または1250mgを投与することができる。
【0079】
一部の実施形態において、組み合わせて、少なくとも約100ng/mLの患者でのL-ドパ血漿レベルを得るのに十分な量のレボドパ活性剤およびカルビドパ活性剤を投与する。1態様において、L-ドパ血漿レベルは少なくとも約200ng/mLである。別の態様において、L-ドパ血漿レベルは少なくとも約200ng/mLである。別の態様において、L-ドパ血漿レベルは少なくとも約300ng/mLである。別の態様において、L-ドパ血漿レベルは少なくとも約400ng/mLである。別の態様において、L-ドパ血漿レベルは少なくとも約500ng/mLである。別の態様において、L-ドパ血漿レベルは少なくとも約600ng/mLである。別の態様において、L-ドパ血漿レベルは少なくとも約700ng/mLである。別の態様において、L-ドパ血漿レベルは少なくとも約800ng/mLである。別の態様において、L-ドパ血漿レベルは少なくとも約900ng/mLである。別の態様において、L-ドパ血漿レベルは少なくとも約1,000ng/mLである。別の態様において、L-ドパ血漿レベルは少なくとも約1,500ng/mLである。別の態様において、L-ドパ血漿レベルは少なくとも約2,000ng/mLである。別の態様において、L-ドパ血漿レベルは少なくとも約3,000ng/mLである。別の態様において、L-ドパ血漿レベルは少なくとも約4,000ng/mLである。別の態様において、L-ドパ血漿レベルは少なくとも約5,000ng/mLである。
【0080】
一部の実施形態において、組み合わせて、約10ng/mLから約8,000ng/mLのL-ドパ血漿レベルを達成するのに十分である量のレボドパ活性剤およびカルビドパ活性剤を投与する。1態様において、L-ドパ血漿レベルは約25ng/mLから約6,000ng/mLである。別の態様において、L-ドパ血漿レベルは約50ng/mLから約4,000ng/mLである。別の態様において、L-ドパ血漿レベルは約100ng/mLから約2,000ng/mLである。別の態様において、L-ドパ血漿レベルは約25ng/mLから約1,200ng/mLである。別の態様において、L-ドパ血漿レベルは約10ng/mLから約500ng/mLである。別の態様において、L-ドパ血漿レベルは約25ng/mLから約500ng/mLである。
【0081】
一部の実施形態において、上記L-ドパ濃度範囲は、少なくとも約1時間期間、2時間期間、3時間期間、4時間期間、5時間期間、6時間期間、7時間期間、8時間期間、9時間期間、10時間期間、11時間期間、12時間期間、18時間期間、または24時間期間維持される。
【0082】
一部の実施形態において、組み合わせてカルビドパ血漿レベルを約500ng/mL未満に維持するのに十分な量のレボドパ活性剤およびカルビドパ活性剤を投与する。1態様において、カルビドパ血漿レベルは約250ng/mL未満である。別の態様において、カルビドパ血漿レベルは約100ng/mL未満である。別の態様において、カルビドパ血漿レベルは約50ng/mL未満である。別の態様において、カルビドパ血漿レベルは約25ng/mL未満である。
【0083】
一部の実施形態において、組み合わせてカルビドパ血漿レベルを約1から約10ng/mLに維持するのに十分な量のレボドパ活性剤およびカルビドパ活性剤を投与する。1態様において、カルビドパ血漿レベルは約1から約25ng/mLである。別の態様において、カルビドパ血漿レベルは約1から約50ng/mLである。別の態様において、カルビドパ血漿レベルは約1から約100ng/mLである。別の態様において、カルビドパ血漿レベルは約1から約250ng/mLである。別の態様において、カルビドパ血漿レベルは約5から約250ng/mLである。別の態様において、カルビドパ血漿レベルは約5から約100ng/mLである。別の態様において、カルビドパ血漿レベルは約10から約250ng/mLである。別の態様において、カルビドパ血漿レベル約10から約100ng/mLはである。別の態様において、カルビドパ血漿レベルは約25から約250ng/mLである。別の態様において、カルビドパ血漿レベルは約25から約100ng/mLである。
【0084】
一部の実施形態において、上記カルビドパ濃度範囲は、少なくとも約1時間期間、2時間期間、3時間期間、4時間期間、5時間期間、6時間期間、7時間期間、8時間期間、9時間期間、10時間期間、11時間期間、12時間期間、18時間期間、または24時間期間維持される。
【0085】
さらなる実施形態において、投与されるレボドパ活性剤およびカルビドパ活性剤は、上記の粒径分布を有することができる。
【0086】
各種実施形態において、医薬組成物は、上記のように、そして患者への投与の前に容器中に存在させることができ、ゲル-懸濁液についてN吹き込みを行っても行わなくても良い。ゲル-懸濁液にN吹き込みを行い、容器が低い酸素透過性を有する場合、医薬組成物は、冷蔵貯蔵条件1週間当たり0.04重量%より速い速度でDHPAを生じる分解を受けない(パーセントは、カルビドパのラベル量に対するものである)。さらにまたはあるいは、容器にN吹き込みを行う場合、医薬組成物は、冷蔵貯蔵条件1週間当たり0.04重量%より速い速度でDHPPAを生じる分解を受けない(パーセントは、カルビドパのラベル量に対するものである)。さらにまたはあるいは、容器にN吹き込みを行う場合、医薬組成物は、冷蔵貯蔵条件1週間当たり0.6μg/gより速い速度でヒドラジンを生じる分解を受けることはなく、μg/gはゲル-懸濁液1グラム当たりのヒドラジンμg数を示す。
【0087】
V.追加の治療剤の併用投与
本開示の治療方法は、レボドパ活性剤およびカルビドパ活性剤の投与に加えて、パーキンソン病治療のための1以上の治療剤を投与することをさらに含んでいても良い。1実施形態において、前記追加の治療剤は、カルビドパ活性剤と異なるデカルボキシラーゼ阻害剤(例えば、ベンセラジド)、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(「COMT」)阻害剤(例えば、エンタカポンおよびトルカポン)、およびモノアミンオキシダーゼA(「MAO-A」)またはモノアミンオキシダーゼB(「MAO-B」)阻害剤(例えば、モクロベミド、ラサギリン、セレギリンおよびサフィナミド)からなる群から選択される。1態様において、前記追加の治療剤は、カルビドパ活性剤以外のデカルボキシラーゼ阻害剤からなる群から選択される。別の態様において、別の治療剤は、COMT阻害剤からなる群から選択される。別の態様において、別の治療剤は、MAO-A阻害剤からなる群から選択される。別の態様において、別の治療剤は、MAO-B阻害剤からなる群から選択される。
【0088】
同様にして、本開示の医薬組成物は、上記のパーキンソン病治療のための1以上の別の治療剤をさらに含んでいても良い。
【0089】
VI.キット
本開示は、カルビドパ活性剤を含む1以上の医薬製剤を含むキット;レボドパ活性剤を含む1以上の医薬製剤を含むキット;およびレボドパ活性剤およびカルビドパ活性剤の両方を含む1以上の製剤を含むキットに関するものでもある。そのキットにおいて、医薬製剤は、低O透過性バッグ中に、別個にまたは一緒に存在することができる。その医薬製剤は、組成物全体の約4.0重量パーセントの量での高濃度のレボドパ活性剤およびカルビドパ活性剤、例えばレボドパ活性剤;および組成物全体の約1.0重量%の量でのカルビドパ1水和物活性剤を含むことができる。そのキットは、パーキンソン病または関連する状態を有する患者を治療するための、1以上の別の治療剤および/または説明書、例えばキット使用の説明書を含んでいても良い。
【0090】
VII.実施例
下記の非限定的実施例が、本開示をさらに説明するために提供される。下記の実施例で使用される略称には、次のものなどがある。
【0091】
「Cmax」は、最大実測血漿濃度を意味する。
【0092】
「Tmax」は、最大実測血漿濃度までの時間を意味する。
【0093】
「AUC」は、血漿濃度-時間曲線下面積を意味する。
【0094】
「t1/2」は、生物学的半減期、すなわち生体に投与される薬剤その他の物質の半分の量が正常な生理プロセスによって代謝または排出されるのに必要な時間を意味する。
【実施例
【0095】
[実施例1]
医薬組成物の調製
高濃度(「HC」)レボドパ活性剤/カルビドパ活性剤医薬組成物を、図1に示したように、下記に記載のように調製した。
【0096】
1.1 ゲル調製
実験室で前作業を行って、一定の粘度を達成するのに必要なNaCMC700:NaCMC2000の比率を確立した。粘度は、24.1 1/sで22℃(「高剪断粘度」とも称される);および0.1 1/sで5℃(「低剪断粘度」とも称される)という2点で回転式粘度計を用いて測定した。次に、適切な量のNaCMC2000およびNaCMC700を分配し、ホッパーに加え、その後、NaCMCをホモジナイザータンクに送り、高剪断で混和した。次に、ゲルを脱気し、肉眼で調べて、NaCMCが溶解していることを確認した。この際に、粘度測定のためにゲルのサンプリングも行った。
【0097】
1.2 ゲルへの吹き込み
ゲルに窒素を吹き込んで、API(レボドパおよびカルビドパ)を加える前に大半の酸素を除去した。インライン酸素プローブを介して、プロセスを通じて酸素濃度をモニタリングした。
【0098】
1.3 第1のスラリー調製
別の容器で、レボドパおよびカルビドパの半量を水に加え、1個のオーバーヘッド羽根および1個のボトム駆動羽根を用いて混和した。この方法は、低剪断と考えられる。あるいは、オーバーヘッド羽根をホモジナイザーに置き換えて、高剪断混和とすることができる。そのスラリーを用いて、APIを湿らせ、塊破砕を行った。そのプロセスが終了した後、スラリーをホモジナイザータンクに移した。
【0099】
1.4 ゲル懸濁液調製
これは、スラリーおよびNaCMCゲルからのAPIを高剪断下に混和して、均一懸濁液を得るものである。タンクに窒素を吹き込んで、スラリー移動の際に最初に導入された酸素レベルを低下させた。
【0100】
1.5 第2のスラリー調製
レボドパおよびカルビドパの他方の半量を水に加え、段階1.3におけるプロセスと同様に混和した。
【0101】
1.6 ゲル懸濁液調製
第2のスラリーからのAPIを、段階1.4の場合と同じ条件でゲル懸濁液の残りと混和した。窒素をタンクに吹き込んで、スラリー移動によって最初に導入された酸素レベルを低下させた。
【0102】
1.7 脱気
ゲル懸濁液を脱気して、ゲルから捕捉された窒素または空気を除去した。
【0103】
1.8 充填
最初に、ゲル懸濁液を押し入れる前に、充填ラインに窒素を流した。ゲル懸濁液55から61gを、ティスポーザブル薬剤リザーバー(DDR)に充填した。天秤を用いて、一定間隔で充填重量をチェックした。充填ノズルで酸素読み取りを行った(二つの事例研究について、吐出端で読み取りを行った。)。
【0104】
1.9 包装
DDRにラベルを施し、7個のDDRを保持するキットに包装した。そのキットは、製剤を光から保護するものである。次に、それらのキットを冷凍庫に入れた。
【0105】
【表1】
【0106】
【表2】
【0107】
[実施例2]
高濃度医薬組成物の安定性
2.1-高濃度(HC)製剤を商業的規模の装置で作って、窒素吹き込みプロセス時間および混和効率を改善した。製造プロセス全体は実施例1と同様であった。HC製剤粘度範囲に関して、高粘度を選択して、良好な物理的安定性を確保した。そのバッチを試作のDDR(ディスポーザブル薬剤リザーバー)バッグ(筐体なし)に充填し、安定状態で置いた。そのバッグは、厚さ0.3mmのEVA/EVOH/EVA複層フィルム製であった。このバッチは、15週間の安定性試験を通じて、それの化学的および物理的安定性を維持した。
【0108】
【表3】
【0109】
2.2-分析結果
バッチ含有量均一性-医薬組成物100mLを、充填操作の最初、中間時点および最後にカセットに充填し、それらはそれぞれタンクの底部、中央部および頂部を表す。次に、これらのカセットについてアッセイを行なったところ、結果は、バッチの内容物が均一であることを表している。
【0110】
【表4】
【0111】
2.3-安定性に関する製剤の特性
製造後、充填されたDDRバッグを冷凍し、-20℃で保存した。次に、15週間安定性試験のため、試験用バッグを5℃に置いた。サンプルを0、8および15週間評価した。さらに、次に、5℃で8週間または15週間経過した後、サンプルの一部を75%相対湿度(%RH)で30℃に置き、24時間および48時間時点で試験を行った。アッセイ、不純物、pHおよび粘度を全て調べた。結果を下記の表5にまとめてある。
【0112】
【表5】
【0113】
2.4-安定性に関するサンプルの分配内容物の均一性
分配内容物の均一性(UDC)法を用いて、投与されるゲル中でのAPI濃度を得た。これは、ポンプによって送達されるゲル各5g当たり、患者が何を投与されることになるかをシミュレートするものであり、一つのDDRの消費を通じて一定量の薬剤の投与を患者が受けるようにする。15週間安定性を通じて、各時間点で試験を行った。その試験に使用したAPIの粒径分布は、本明細書で言及の粒径範囲内であった。結果を、下記の表6(レボドパ)および7(カルビドパ)にまとめてある。
【0114】
【表6】
【0115】
【表7】
【0116】
[実施例3]
ミニ豚での医薬組成物の治療効果
高濃度L-ドパ/カルビドパ経腸用ゲル剤を低濃度L-ドパ/カルビドパ経腸用ゲル剤と比較し、次のようにして試験を行った。ミニブタ4頭の各群に、交差試験設計でカーボポール担体中のLCL-ドパ/カルビドパ経腸用ゲル剤、HCL-ドパ/カルビドパ経腸用ゲル剤、またはL-ドパ/カルビドパを投与した。ミニ豚4頭のそれぞれに、週の第1日に1種類の製剤を投与し、次に1週間の休薬期間を設け、その後第2の製剤を投与した。さらに1週間の休薬期間後に同じミニ豚に第3の製剤を投与した。
【0117】
総用量:6.5時間かけての11.07mg/kgレボドパ用量;20mg/mL;
群:LC;HC;カーボポール;
ボラス用量:30分かけての2.53mg/kgボラス用量;
輸液用量:6時間かけての8.54mg/kg。
【0118】
ボラス輸液速度
LC=0.253mL/kg/時(例えば:10kgブタ=2.53mL/時ポンプ速度);
HC=0.127mL/kg/時(例えば:10kgブタ=1.27mL/時ポンプ速度);
カーボポール=0.127mL/kg/時(例えば:10kgブタ=1.27mL/時ポンプ速度)。
【0119】
6時間輸液速度
LC=0.071mL/kg/時(例えば:10kgブタ=0.71mL/時ポンプ速度);
HC=0.0355mL/kg/時(例えば:10kgブタ=0.355mL/時ポンプ速度);
カーボポール=0.0355mL/kg/時(例えば:10kgブタ=0.355mL/時ポンプ速度)。
【0120】
血漿サンプリング時間点:0.5、1、1.5、2、4、6、8、9、10、12時間。
【0121】
試験結果は、図2および3に示したように、高濃度レボドパ/カルビドパ経腸用ゲル剤が1/2時間ボラスおよび6時間輸液条件下で投与した場合に、LC製剤と同等のCmax、TmaxおよびAUC値を示すことを確認するものである。11.07mg/kgのレボドパおよび2.77mg/kgのカルビドパ1水和物のカセットを、80μL/kg(LCゲル)または40μL/kg(HCゲルおよびカーボポール対照)で投与した。レボドパの生物学的利用能を、下記の表8にまとめてある。表中の半減期は調和平均として計算している。
【0122】
【表8】
【0123】
カルビドパの生物学的利用能を、下記の表9にまとめてある。
【0124】
【表9】
【0125】
[実施例4]
ヒト被験者でのさらなる生物学的利用能試験
上記実施例3で論じたLCおよびHC製剤の生物学的利用能をさらに調べるため、合計12名の被験者を非盲検単回投与無作為交差試験に参加させて、LCおよびHC製剤の生物学的利用能を調べた。各被験者には、絶食条件下に第1日および第4日の午前にレボドパ(200mg)およびカルビドパ1水和物(50mg)の単回投与を行った。被験者は、市販のLC製剤および市販のHC製剤の二連に、等しい頭数で無作為に割り当てた。携帯型輸液ポンプに連結された経鼻空腸管を介して30分間の期間にわたって、各用量を投与した。LC製剤投与を受ける患者には、10.0mL用量を投与した。HC製剤投与を受ける患者には、5.0mL用量を投与をすることで、LCまたはHC製剤のいずれを投与するかに拘わらず、等量の薬剤を送達した。被験者は約6日間拘束した(登録日から第5日)。第1日および第4日に投与した後に、レボドパ、カルビドパおよび3-O-メチルドパアッセイ用の連続血液検体を採取した。採血時間には、0時間(投与前)、輸液開始から5、10、15、30、45分後、輸液開始から1、1.5、2、3、4、6、8、12および24時間後などがある。レボドパの生物学的利用能を、下記の表10および図4にまとめてある。
【0126】
【表10】
【0127】
カルビドパの生物学的利用能を、下記の表11および図5にまとめてある。
【0128】
【表11】
【0129】
これらの試験は、HC製剤が、レボドパCmax、AUCおよびAUCに関して、およびカルビドパAUCおよびAUCに関してLC製剤に等しかったことを示している。等しいカルビドパCmaxについての90%信頼区間は、0.8から1.25の範囲を若干越えている。しかしながら、効力のための投薬はレボドパ含有量によって決定され、カルビドパではないことから、これは臨床的に妥当な因子ではない。試験は、末梢ドパデカルボキシラーゼが約70から100mg/日のカルビドパによって飽和しており、レボドパ/カルビドパゲル治療を受けている進行パーキンソン病患者が、飽和のためのこれら1日カルビドパ用量を超えるであろうことを示している。レボドパおよびカルビドパについてのLCおよびHC製剤の相対的生物学的利用能を、下記の表12にまとめてある。
【0130】
【表12】
【0131】
要約すると、送達される薬剤の量は、両方の製剤について同様であった。両方の製剤について送達される用量は同様であった(約6%差)。レボドパおよびカルビドパ曝露は、両方の製剤で非常に類似していた。レボドパ曝露の変動性は、LC製剤およびHC製剤の両方について低ないし中等度(17から35%CV)であった。LC製剤およびHC製剤の両方がレボドパについては等価であった。LCおよびHC製剤は、臨床的に有意ではないCmax以外、カルビドパについては等価であった。
【0132】
図6および7に、LC製剤およびHC製剤がpH4.5および6.8で同様の溶解速度を有することが示されており、それは上記でまとめた生物学的利用能の結果を裏付けるものである。これらの溶媒試験は、等用量の薬剤製剤を、pH4.5(±0.05)もしくはpH6.8(±0.05)の50mM酢酸ナトリウム緩衝液500mLが入ったビーカーに加えることで実施した。その手順中、各サンプルは、50RPMで撹拌しながら37℃に維持した。薬剤添加から5、10、15、20、30、45および60分後に、サンプルを取った。サンプル中に溶解している薬剤の濃度を、30℃のPHENOMENEX KINETEX C8カラム(100×4.6mm、5μm、SecurityGuardカートリッジ付き)でのHPLCによって測定した。移動相は、88:12 10mMヘプタンスルホン酸ナトリウム(HAS)/0.2%HPO:アセトニトリルであった。そのサンプルを約3.0mL/分の速度でカラムを通して溶離し、UVスペクトル測定(OD280)によって測定した。
【0133】
[実施例5]
沈降および貯蔵安定性
ストークスの法則を用いて、粒子沈降、従ってHC製剤の物理的安定性を評価することができる。ストークスの法則は、連続粘稠液体中にある粒子に加わる3種類の力:浮力、けん引力および重力を考慮する。力が均衡し、正味の加速がない場合、粒子は、下記式によって与えられる最終速度もしくは沈降速度に達する。
【0134】
【数1】
式中、vは沈降速度であり;dは粒子直径であり、rは粒子半径であり;ρは分散相の密度であり、ρは分散媒の密度であり;gは重力定数であり;ηは静止時の流体粘度である。
【0135】
物理的安定性を調節するためにHC製剤で制御可能な二つの因子:レボドパおよびカルビドパ1水和物の粒径およびゲル-懸濁液の粘度がある。レボドパおよびカルビドパ1水和物の粒径は、微粉化工程によって、本明細書で言及した粒径範囲内に制御される。しかしながら、その粘度は、カルメロースナトリウム粘度等級の比を変えることで調節可能である。静止時の流体粘度は、低剪断粘度法によって近似される。表13および14に示したように、所望の物理的安定性を達成するのに必要な最小低剪断粘度は、本実施例に基づくと44,590cpsである。
【0136】
【表13】
【0137】
【表14】
【0138】
「許容される」物理的安定性についての判定基準は、冷蔵貯蔵条件(例えば、5℃)下で少なくとも15週間、有意な沈降がないことであった。その物理的安定性は、合計10個のサンプルについてDDRから5mLサンプルを取り、次に、それらについて、保護カラム:Agilent、Zorbax Eclipse XDB-C8、4.6×12.5mm、5μm(Agilent、部品番号:820950-926)とAgilent HardwareキットHigh Press(Agilent、部品番号820999-901)もしくは等価品;および分析カラム:Zorbax Eclipse XDB-C8、150×4.6mm、5μm(Agilent部品番号993967-906)を有する高速液体クロマトグラフィー(HPLC)システムを用いてレボドパおよびカルビドパ含有量を分析することで評価した。クロマトグラフィー条件を表15に示している。
【0139】
【表15】
【0140】
等式2によって定義される合格判定値(AV)がレボドパおよびカルビドパの両方について15以下であった場合、サンプルは物理的に安定と定義された。
【0141】
【数2】
等式2における各変数の定義を表16に示している。
【0142】
【表16】
【0143】
[実施例6]
酸素の効果
高濃度製剤は、製造時に酸素パージして、低酸素透過の容器中で保存することができる。これは、環境酸素条件で製造および保存される製剤と比較して分解速度を大幅に低下させるものである。包装次第では、ディスポーザブル薬剤リザーバーは、充填時に非常に低い酸素含有量を有することが可能である。これらのDDRは、硬殻の外容器、内部包装、および管/コネクターからなる。内部バッグは、最終薬剤製品ゲルのO含有量を維持するのに役立つ。EVA/EVOH/EVAバッグは、非常に低いO透過率を有する(EVA/EVOH/EVAシートフィルムの酸素透過速度は約0.95cc/(100インチ2*日)であった。)。図11は、LCおよびHCゲル製剤を2から8℃で厚さ0.3mmのEVA/EVOH/EVAバッグで15週間放置した時のDHPA分解生成物の蓄積を示すものである。さらに、N吹き込みを製造プロセスで使用して、酸素をパージすることができる。N吹き込みおよび低O透過率EVA/EVOH/EVAバッグの組み合わせは、非常に低い全体的O含有量を確保するものである。
【0144】
この低O包装の効果を調べるため、LCゲル製剤のサンプルにはN吹き込みを行わず、ポリ塩化ビニル(PVC)バッグで包装した。HCゲル製剤のサンプルにはN吹き込みを行い、EVA/EVOH/EVAバッグで包装した。両方のバッグセットについて、経時的なDHPA、DHPPAおよびヒドラジン分解生成物の発生をモニタリングした。これらの試験の結果を、下記の図8から10に示してある。完全多孔質シリカ粒子(USP L7)に化学的に結合したオクチルシランの固定相を有する分析カラム:Waters、X-Bridge、C8、3.5μm粒子、4.6×150mmカラム(カタログ186003055)もしくは同等物;および保護カラム:Phenomenex安全保護カートリッジPFP 4×3.0mm(カタログAJ0-4290)もしくは同等物、安全保護カートリッジホルダー、Phenomenox(カタログAJO-6071)もしくは同等物を有するHPLCシステムを用いて、DHPAおよびDHPPAを分析した。DHPAおよびDHPPA試験のHPLC設定を、下記の表17に示している。
【0145】
【表17】
【0146】
サンプルをSPEカラム:Macherey-NagelによるChromabond(R)HR-X(15mL/1000mg)、部品番号730941から溶離した後に、Grace Scientificカラム、Grom-Sil 120 ODS-5、250×4.6mm、5μm(部品番号GS0D50512S2505)もしくは同等物を用いるHPLCを用いて、ヒドラジンを分析した。ヒドラジン試験のHPLC設定を、下記の表18に示している。
【0147】
【表18】
【0148】
分解は、脱酸素剤(例えば、第一鉄系もしくは非第一鉄系の缶または小袋)を加え、低O透過率の第2の容器に入れることで遅らせることもできる。DHPAおよびDHPPA分解生成物の蓄積に対する各種包装中の脱酸素剤の効果を、下記の図11に示している。
【0149】
以上、具体的な実施形態および実施例に関して本発明を説明してきたが、理解すべき点として、本発明の範囲から逸脱しない限りにおいて、本発明の概念を利用する他の実施形態が可能である。本発明は、特許請求される要素、ならびに基礎となる原理の真の精神および範囲に包含されるあらゆる改変型、変形型または均等物によって定義される。
【0150】
VIII.さらなる実施形態
実施形態1:レボドパ活性剤およびカルビドパ活性剤を水系担体に懸濁させた十二指腸内投与のためのレボドパ活性剤およびカルビドパ活性剤を含む医薬組成物であって、担体中のレボドパ活性剤およびカルビドパ活性剤が室温で約4500cps以下の高剪断粘度および冷蔵条件下での約45000cps以上の低剪断粘度および低剪断粘度/高剪断粘度比10以上を有することを特徴とする医薬組成物。
【0151】
実施形態2:前記医薬組成物が組成物全体の約4.0重量%の量でのレボドパ活性剤;組成物全体の約1.0重量%の量でのカルビドパ1水和物活性剤;液体媒体(例えば、組成物全体の約0重量%から約95重量%の量で、および/または水からなる群から選択される)を含み、前記水系担体が懸濁剤(例えば、1以上のポリマー系懸濁剤、例えばアクリル酸系ポリマーまたはヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースおよびナトリウムカルボキシメチルセルロースからなる群から選択されるポリマー)を含む、実施形態1による医薬組成物。
【0152】
実施形態3:前記医薬組成物が0.04重量%/週より大きい速度でDHPAへの分解を受けない、実施形態1または2による医薬組成物。
【0153】
実施形態4:前記医薬組成物が、0.04重量%/週より大きい速度でDHPPAへの分解を受けない、前記実施形態のいずれか一つによる医薬組成物。
【0154】
実施形態5:前記医薬組成物が、0.6μg/g/週より大きい速度でヒドラジンを生じる分解を受けない、前記実施形態のいずれか一つによる医薬組成物。
【0155】
実施形態6:前記医薬組成物が、低O透過性の一次容器または二次容器に入っている、前記実施形態のいずれか一つによる医薬組成物。
【0156】
実施形態7:酸素不透過性封入容器が入っているディスポーザブル薬剤リザーバー中に前記実施形態のいずれか一つの医薬組成物を含む医薬製剤であって、前記酸素不透過性封入容器が不活性ガスでパージされ、脱酸素剤が加えられており、適宜に、当該医薬製剤が治療上有効な形で前記組成物を送達することができる連続輸液ポンプでの使用に好適なものである医薬製剤。
【0157】
実施形態8:レボドパ活性剤およびカルビドパ活性剤を水に加えることでスラリーを形成すること;当該スラリーを1以上の懸濁剤(例えば、アクリル酸系ポリマーまたはヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースおよびナトリウムカルボキシメチルセルロースからなる群から選択されるポリマー)に加えることで懸濁液を形成すること;当該懸濁液にN吹き込みを行うこと;および適宜に、低酸素透過性容器に前記懸濁液を入れることを含む、実施形態1から6のいずれか一つによる医薬組成物の製造方法。
【0158】
実施形態9:前記懸濁液を形成する前に、前記レボドパ活性剤は、(i)D50が約5μm以下;(ii)D90が約11μm以下;および(iii)D100が約22μm以下の粒径分布を有し、前記カルビドパ活性剤は、(i)D50が約3μm以下;(ii)D90が約7μm以下;および(iii)D100が約21μm以下の粒径分布を有する、実施形態8による方法。
【0159】
実施形態10:レボドパ活性剤およびカルビドパ活性剤を水に加えてスラリーを形成し;当該スラリーを1以上の懸濁剤(例えば、アクリル酸系ポリマーまたはヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースおよびナトリウムカルボキシメチルセルロースからなる群から選択されるポリマー)に加えて懸濁液を形成し;当該懸濁液に対してN吹き込みを行い;適宜に、当該懸濁液を低酸素透過性容器に入れることで製造される、実施形態1から6のいずれか一つによる医薬組成物。
【0160】
実施形態11:前記懸濁液を形成する前に、前記レボドパ活性剤は、(i)D50が約5μm以下;(ii)D90が約11μm以下;および(iii)D100が約22μm以下の粒径分布を有し、前記カルビドパ活性剤は、(i)D50が約3μm以下;(ii)D90が約7μm以下;および(iii)D100が約21μm以下の粒径分布を有する、実施形態10による医薬組成物。
【0161】
実施形態12:十二指腸内投与のためのレボドパ活性剤およびカルビドパ活性剤を含む医薬組成物を患者に投与することを含む、処置を必要とする患者におけるパーキンソン病の治療方法であって、前記レボドパ活性剤およびカルビドパ活性剤が患者にとって治療上有効な形で提供され、水系担体中に懸濁されており、前記担体中の前記レボドパ活性剤および前記カルビドパ活性剤が、室温で約4500cps以下の高剪断粘度および冷蔵条件下で約45000cps以上の低剪断粘度ならびに少なくとも10の低剪断粘度/高剪断粘度比を有し、適宜に、前記医薬組成物が実施形態7による医薬製剤で投与されることを特徴とする方法。
【0162】
実施形態13:前記方法が、少なくとも約16時間の期間にわたり、または少なくとも約24時間の期間にわたり、前記医薬組成物を実質的に連続投与することを含む実施形態12による方法。
【0163】
実施形態14:前記医薬組成物が、組成物全体の約4.0重量%の量でレボドパ活性剤;および組成物全体の約1.0重量%の量でカルビドパ1水和物活性剤を含む、実施形態12または13による方法。
【0164】
実施形態15:前記水系担体が、1以上のポリマー系懸濁剤(例えば、アクリル酸系ポリマーまたはヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースおよびナトリウムカルボキシメチルセルロースからなる群から選択されるポリマー)を含む、実施形態12から14のいずれか一つによる方法。
【0165】
実施形態16:実施形態1から6のいずれか一つの医薬組成物または実施形態7の医薬製剤を含むキット。
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