(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-21
(45)【発行日】2023-03-02
(54)【発明の名称】チャネルを有する折り畳み式バッフルを含む一回使用の容器
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20230222BHJP
C12M 1/02 20060101ALI20230222BHJP
C12M 3/00 20060101ALI20230222BHJP
【FI】
C12M1/00 C
C12M1/02 A
C12M3/00 Z
(21)【出願番号】P 2020550624
(86)(22)【出願日】2019-03-13
(86)【国際出願番号】 US2019022026
(87)【国際公開番号】W WO2019199406
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2020-10-14
(32)【優先日】2018-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504115013
【氏名又は名称】イー・エム・デイー・ミリポア・コーポレイシヨン
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピアソンズ,ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】ウッド,エイミー
(72)【発明者】
【氏名】クラウス,デイビッド
【審査官】進士 千尋
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-516575(JP,A)
【文献】特表2014-507959(JP,A)
【文献】特開2015-043776(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00
C12M 1/02
C12M 3/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体用の折り畳み式容器であって、
内部作業容積を画定する可撓性材料と、
前記折り畳み式容器の作業容積内に接着された少なくとも1つの折り畳み式バッフルであって、前記少なくとも1つの
折り畳み式バッフルが、1つ以上のチャネルの少なくとも1つの穴を介して1つ以上の流体を作業容積に送達するために前記1つ以上のチャネルを有する、少なくとも1つの折り畳み式バッフルと、
作業容積から流体を流出または排出するための、前記容器内の1つ以上のチャネルと、
前記容器の前記作業容積内に少なくとも部分的に配設されたインペラー組立体と、
を備え、
少なくとも1つの
折り畳み式バッフルが、剛性部材を収容するための折り畳み式ポケットを備える、
流体用の折り畳み式容器。
【請求項2】
前記
少なくとも1つの折り畳み式バッフルが梯子形バッフルまたはX字形バッフルの内の1つを備える、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記作業容積が閉じられた容積である、請求項1~2のいずれか一項に記載の容器。
【請求項4】
前記容器が、二次元バッグ、三次元バッグ、またはバイオリアクターである、請求項1~3のいずれか一項に記載の容器。
【請求項5】
少なくとも1つの
折り畳み式バッフルが、前記穴を介して前記流体の表面レベルよりも上方で、前記流体の表面レベルで、または前記流体の表面レベルよりも下方で前記作業容積にガスまたは液体を送達することができる、請求項1~4のいずれか一項に記載の容器。
【請求項6】
少なくとも1つの
折り畳み式バッフルが、供給物、栄養素、緩衝液、および/または他の処理助剤を含む液体を送達することができる、請求項1~5のいずれか一項に記載の容器。
【請求項7】
前記ポケットが、底壁に隣接する最も狭いポイントから頂壁に隣接する最も広いポイントまで先細になっている、請求項1に記載の容器。
【請求項8】
1つ以上のチャネルは、
当該容器の底部を横切り、消泡剤を液体表面に送達するために液体表面レベルよりも上の上方位置まで延在する、請求項1~7のいずれか一項に記載の容器。
【請求項9】
1つ以上のチャネルは、
前記容器にガスを送達するために液体表面レベルよりも上の上方位置まで
当該容器の底部を横切る、請求項1~8のいずれか一項に記載の容器。
【請求項10】
1つ以上のチャネルが、加圧されたガスまたは液体を送達するための可撓性プラスチック管で形成される、請求項1に記載の容器。
【請求項11】
1つ以上のチャネルが、1つ以上の側壁に接した底壁に隣接する第1の位置から、第1の位置の側壁と少なくとも接線方向に互いに反対側である、頂壁に隣接する1つ以上の側壁の第2の位置まで延在する、請求項1に記載の容器。
【請求項12】
2つ以上のチャネルを備える、請求項1に記載の容器。
【請求項13】
3つ以上のチャネルを備える、請求項1に記載の容器。
【請求項14】
4つ以上のチャネルを備える、請求項1に記載の容器。
【請求項15】
折り畳み式浸漬管をさらに備える、請求項1~14のいずれか一項に記載の容器。
【請求項16】
折り畳み式容器内で流体を混合する方法であって、
作業容積を画定する容器を提供することと、
前記容器の前記作業容積内に少なくとも部分的に取り付けられたインペラー組立体を提供することと、
1つ以上のチャネルを有する折り畳み式バッフルを配置することであって、前記チャネルが前記容器の前記作業容積内に穴を有することと、
混合される流体を、前記
折り畳み式バッフルを部分的にのみ沈めるレベルまで前記容器に導入することと、
前記流体を混合するために前記インペラー組立体を駆動することであって、前記
折り畳み式バッフルが前記混合中の任意の渦の形成を最小限にすることと、
を備え、
折り畳み式バッフルが、剛性部材を収容するための折り畳み式ポケットを備える、
方法。
【請求項17】
前記容器がバイオリアクターである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記
折り畳み式バッフルが、X字形バッフルまたは梯子形バッフルを備える、請求項16~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記流体が細胞を含有する、請求項16~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記流体が、前記細胞のためのマイクロキャリアをさらに含有する、請求項
19に記載の方法。
【請求項21】
1つ以上のチャネルが、
前記容器の1つ以上の側壁に接した底壁に隣接する第1の位置から、第1の位置の側壁と少なくとも接線方向に互いに反対側である、
前記容器の頂壁に隣接する1つ以上の側壁の第2の位置まで延在する、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記容器が折り畳み式浸漬管をさらに備える、請求項16~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
液体および/またはガスが、前記容器内の1つ以上のチャネルから作業容積を出て行く、請求項16~22のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年4月10日に出願された米国仮特許出願第62/655,277号の優先権の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の実施形態は、ミキサーまたはバイオリアクターとして有用な折り畳み式容器に関する。より具体的には、本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、折り畳み式容器の内部容積内の液体および/またはガスを送達するためにバッフルの内部に形成されたチャネルおよび穴を有する折り畳み式バッフルを含む。
【背景技術】
【0003】
従来、流体はステンレス鋼の容器を利用するシステムで処理されてきた。これらの容器は、再利用されることができるように使用後に滅菌される。滅菌手順は高価で面倒なだけでなく、効果が無い場合もある。
【0004】
製造の柔軟性を高め、装置の滅菌と再生に必要な時間を短縮するために、製造業者は現在、製品バッチの処理に一度使用されて、その後廃棄される、バッグなどの使い捨て滅菌容器を利用している。これらの使い捨てバッグは、2つ以上の成分を混合するためのシステムで構成され、成分の少なくとも1つは液体であり、その他は液体または固体であり、バッグは、内容物をできるだけ均一に混合させるための混合要素などを有する。
【0005】
例えば、容器、バッグ、バイオリアクター、または発酵槽は、懸濁液中またはマイクロキャリア上のいずれかにある細胞を処理し、バッグは、液体、ガス、および場合によってはバッグの内部容積内の細胞を循環および/または混合するためのインペラーなどの循環部材をさらに含む。マイクロキャリアは、例えば、DEAE-デキストラン、コラーゲン、アルギン酸塩、ガラス、ポリスチレンプラスチック、およびアクリルアミドを含む、様々なタンパク質、セラミック、および/またはポリマーを含む、1つ以上の異なる材料を含むビーズである。適切な市販のマイクロキャリアは、GE Corp.から入手可能なCYTODEX(R)マイクロキャリア、Pall Corp.から入手可能なSOLOHILL(TM)マイクロキャリアおよび、Corning Inc.から入手可能なCELLBIND(R)マイクロキャリアを含むが、これらに限定されない。
【0006】
いくつかのバッグ、バイオリアクター、または発酵槽は、混合を改善するためにバッグの内側壁の少なくとも一部に沿って垂直に形成されたバッフルを含む。これらのバッフルは通常はスリーブであり、多くの場合、スリーブの内部に適合するように成形された木、プラスチック、または金属などの剛性部材を有する。剛性部材は、バッフルを支持するため、および/またはその混合能力を改善するために、必要に応じてバッフルに挿入される。あるいは、スリーブは、剛性を達成するために、1つの下部側壁部分および反対側の上部側壁部分などの、容器の2つの内側垂直表面の部分に亘って固定および伸張されることができる。
【0007】
大きな容積のバッグ、例えば1000Lから2000Lの容積のバッグ、容器、バイオリアクターは、これらのシステムの高さが高くなると、剛性のあるインサートをバッフルスリーブに挿入することが難しくなり、潜在的な故障モード、引き裂き、摩滅、処理液への汚染物質の混入などが発生するため、剛性のあるバッフルを組み込む際に問題が生じる。さらに、バッグの全体の高さが増加するにつれて、高さ対幅のアスペクト比が減少するにもかかわらず、混合効率が低下するため、より小さなスケールのバッグで明らかな、好ましくない底部から上部への混合は、より大きなバッグでさらに顕著になる。
【0008】
また、ワクチンの生産のように、含まれる液体にはアジュバントとしてアルミニウム塩が含まれていることが多く、これにより、身体の免疫応答が強化されることによってワクチンの効果が向上する。残念ながら、アルミニウム塩は0.2μmを超える粒子サイズで構成されているため、一般的に無菌濾過は選択肢にない。その結果、移す度に無菌性が侵害される可能性があり、その結果生じる汚染物質は濾過して取り除かれることができないため、ワクチンが移される必要のある容器の数を最小限に抑えることが望ましい。したがって、ワクチンがその中に入って出荷される同じ容器、例えば、可撓性の使い捨てバッグの中でワクチンを混合することが有益であろう。
【0009】
バイオリアクター処理の最適化には、適切な混合が重要である。適切に設計された混合システムは、3つの基本的な機能、すなわち、均一な分布における一定の条件(栄養素、pH、温度など)の生成、バイオリアクター内のように必要なときに必要な場所に例えば酸素を供給し、二酸化炭素を抽出するためのガスの分散、および熱伝達の最適化を提供する。また、損傷を与える剪断効果を与えることなく許容可能な混合を提供することは、バイオリアクター容器のサイズおよび/またはアスペクト比が大きくなるにつれてより困難になる。特定の市販のミキサーおよびバイオリアクタープラットフォームは、単一の底部に取り付けられたインペラーを含む。単一の底部インペラーは、滞留ゾーンを有する渦を作り、混合を減らす。複数のインペラーおよび/またはより速いインペラー速度は、混合を改善する。しかしながら、複数のインペラーおよび/または速いインペラー速度に関連する高い剪断速度、ならびに一部のバッフルは、容器内の細胞を損傷させる可能性がある。バッフルは、渦を破壊することによって混合効率を高め得る。
【0010】
さらに、容器、バイオリアクターまたはバッグ内の細胞成長を促進するために、消泡剤、栄養素、および/または酸素などの材料および/または処理助剤、液体またはガスをシステムに供給することがしばしば好ましい。典型的には、これらの材料は、容器/バッグの上部および底部にある複数のポートのいずれかを介して加えられ、混合要素がそれらを分配する。しかしながら、これは、ポートが通常容器の内面に沿った位置にあり、必要とされる場所への材料の分配がしばしば不完全であるという点で、分配のための非効率的な方法である。
【0011】
最後に、バッグ内の液体または細胞の様子または状態を判定するために、様々なセンサが、一般にそのようなバッグで使用されている。そのようなセンサは、典型的には、pH、溶存ガス、温度、濁度、導電率などを監視して、バッグ全体に亘るそのような特性の均一性を判定する。そうするために、センサは、多くの場合、バッグの上部から浸漬管内の1つ以上の場所でバッグの内部容積に配置される。あるいは、センサはバッグの内壁に単純に取り付けられる。
【0012】
浸漬管は、バッグ内の流体の流れに不整合を作り出し、混合を複雑にする可能性がある。さらに、浸漬管は効率的に梱包できない硬質プラスチックスリーブであり、バッグの輸送と保管が最適とはいえないため、使用前にバッグ内の浸漬管にセンサを配置することは困難である。さらに、内壁に沿ってセンサを使用することにより、収集できるデータが制限され、バッグの内壁から離れて何が発生しているかは、直接測定とは対照的に、センサによって取得されたデータから推測しなければならないことが多く、これはデータの監視と収集にとって好ましくない方法である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
輸送が容易で、均一な混合を促進し、より正確なセンサ配置のためのプラットフォームを提供する、改善された折り畳み式バッフルおよび/またはバッフルシステムを有する流体用の使い捨てまたは一回使用の容器を提供することは、当技術分野における進歩である。有効な、例えば、流体レベルの様々な深さ内の所望の位置、例えば、流体表面レベルの近位、および/またはバッグ内のインペラーの近くで液体およびガスを送達するためのより効率的な方法も、当技術分野における進歩を表す。
【課題を解決するための手段】
【0014】
実質的に少なくとも1つの図に示され、および/または少なくとも1つの図に関連して説明されるように、特許請求の範囲でより完全に示されるように、流体用の折り畳み式容器であって、内部作業容積を画定する可撓性材料と、前記折り畳み式容器の作業容積内に接着された少なくとも1つの折り畳み式バッフルであって、少なくとも1つのバッフルが、1つ以上のチャネルの少なくとも1つの穴を介して1つ以上の流体を作業容積に送達するために前記1つ以上のチャネルを有する、少なくとも1つの折り畳み式バッフルと、作業容積から流体を出すまたは排出するための前記容器内の1つまたは複数のチャネルと、前記容器の前記作業容積内に少なくとも部分的に配設されたインペラー組立体と、を含む流体用の折り畳み式容器である。本開示の様々な利益、態様、新規かつ進歩的な特徴、ならびにその例示的な実施形態の詳細は、以下の説明および図面からより完全に理解されるであろう。
【0015】
本開示の実施形態は、可撓性材料で形成された容積と、前記容器の1つ以上の入口と、任意選択で前記容器の1つ以上の出口と、前記容器の前記容積内に少なくとも部分的に取り付けられたインペラー組立体と、前記容器の前記容積内のバッフルであって、前記バッフルが前記容器内に垂直構成要素および/または水平構成要素と垂直構成要素の両方を有するように前記容器に配置されているバッフルと、を備える流体用の容器を含む。
【0016】
いくつかの実施形態によれば、本明細書で開示されるのは、使い捨てまたは一回使用の容器などの容器、バイオリアクターまたはバッグであり、任意選択で1つ以上の入口、1つ以上の出口および、容器に関連付けられたミキサーを有し、このミキサーは、容器に含まれるか、または容器に加えられた1つ以上の成分の混合、均質化、分散、および/または循環を促進する。いくつかの実施形態によれば、容器は、処理を改善するために容器の内部容積内に配置された折り畳み式バッフル、例えば、可撓性ポリマーフィルムのバッフルを含む。いくつかの実施形態によれば、バッフルは容器内に配置され、ミキサーによって形成された渦を破壊し、および/またはいくつかの実施形態では、渦の形成を防止する。また、本明細書に開示されるバッフルは、軸方向および/または径方向の流れの両方を含む、より望ましい流れパターンに流体を送達するために使用されることができる。いくつかの実施形態によれば、バッフルは、剪断効果を制限するために単一のインペラーと共に使用される。いくつかの実施形態によれば、バッフルは、バッグの内壁に対する混合を強化するために垂直要素で形作られる。いくつかの実施形態によれば、バッフルは、水平および垂直の両方の要素で形作られ、容器の高さ全体の渦の破壊を強化し、動作容積全体およびそれに関連する勾配または高さ全体に亘って均一な混合を提供する。いくつかの実施形態によれば、バッフルは、X字形または梯子形である。いくつかの実施形態によれば、バッフルは、少なくとも部分的にそれを通る経路、例えば、液体またはガスの補充物、材料、および/または処理助剤を所望の適用場所の近くまたはその場所に送達するための、および/またはバッグの内部容積内の所望の位置でセンサを使用するためのチャネルまたは導管を備える。本開示によるいくつかの実施形態では、管はチャネルまたは導管内に挿入され得る。内部容積を有する容器内の流体を混合するためのシステムも開示され、このシステムは、容器と、インペラー組立体と、インペラー組立体のための駆動部と、液体またはガスの補充物を所望の適用場所の近くまたはその場所に送達するためにバッフル内に経路を提供しつつ、混合中の流体の混合および/または均一性を強化するために内部容積内に配置された1つ以上のバッフルとを備える。いくつかの実施形態によれば、センサは、バッグの内部容積内および/または1つ以上のバッフル内の所望の位置に配置される。
【0017】
インペラー組立体とバッフルが容器内に配置された容器内の流体または液体を混合するための改善された方法であって、バッフルが、容器に導入される材料のための、および/または容器内にセンサを配置するための1つ以上のチャネル/導管を備える方法も開示されている。本明細書に記載されるいくつかの方法は、容器への流体の送達を備え、インペラー組立体は少なくとも部分的に容器内に含まれ、インペラー組立体のブレードまたはベーンを駆動して、容器またはバッグ内の流体を攪拌する。いくつかの方法では、インペラー組立体の駆動部はバッグの外部にあり、インペラー組立体を磁気的に駆動する。容器のバッフルは混合を改善する。いくつかの方法では、液体および/またはガスは、バッフルのチャネル/導管を介して容器の外部から容器内の設定されたポイントに送達されることができ、および/またはセンサが容器内の所望のポイントに配置されることができ、測定は、容器の容積内の複数の位置の少なくとも1つの中で行われることができる。
【0018】
本明細書に記載されるバッフルおよび、バッフルを使用して処理する方法のありとあらゆる実施形態は、バッグ内で折り畳み可能であり、展張され得る。バッフルが少なくとも部分的に展張されると、バッフルは、本明細書に記載されるすべての機能的特徴を提供することができる。例えば、本開示は、様々な液体およびガスを、バッフルを用いて容器の作業容積に送達するためのチャネル/導管を統合する統合組立体を提供する。バッフルの実施形態は、バイオリアクターの上部に通常必要とされるパイプまたは管を実質的に排除し、および/またはバッフルは、リアクター下部へのリアクターとの接続を減少させる。
【0019】
また、本明細書に記載されるバッフルのありとあらゆる実施形態は、消泡剤などの様々な処理助剤の添加を容易にする。例えば、バッフルの導管/チャネルは、消泡剤を、例えばバッフルの一つの穴または複数の穴を通して細胞培養の液体表面上に送達することができる。穴は、消泡剤、典型的には液体の最適な配置および分布を、処理されている液体の表面上に存在する発泡層全体の複数の場所で可能にし、消泡剤添加の効果が高められる。穴はまた、泡が蓄積する液体表面の複数の場所に消泡液をより広く分布させることによって、消泡作用のより良い効率を可能にする。また、消泡剤は単一のバッフルを介して複数の場所に分散されるため、必要な外部管が少なくなり、製造コストおよび/またはセットアップ時間を節約し、配管を単純化し、すなわちホース、コネクタ、ホースの配置、およびコネクタの配置などの数が削減され、セットアップと操作が容易になる。本明細書に記載されるバッフルのありとあらゆる実施形態は、ガス、供給物、および/または処理剤を送達するための別の管およびコネクタの数を減らす。液体/ガスの追加および/または排出のためのホースおよび/または管は、通常、バイオリアクター/バッグ/容器の上部から外部に走り、しばしば地表面でユーザーまで延出している。一部のバッグは、流れを導くための内部硬質パイプの形態を含む場合もある。これらは通常、ユーザーがそれらを管理できるようにするために、結束バンドまたはその他の手段で結び付けられた単一のパイプまたは管ラインである。典型的なバイオリアクター用途では、システムへの多くの接続がバイオリアクターの上部に接続される。本明細書に記載されるバッフルの実施形態は、バッグの下部に行われる接続を含む。さらに、本明細書に記載されるホース/管の接続は、バッグの上部に達し、バッフルと一体化されているため、ほとんどの外部ホース/管の必要性を無くす。本明細書に記載されるバッグと管の統合された組立体は、管を管理および組織化するだけでなく、外部の管がバッグの上部から下に到達することなくユーザーとのインタラクションをより低いレベルまたは地表面にする、バッフル機能と組み合わされた、すべての機能を提供する。
【0020】
さらに、バッフル内のチャネル/導管は、液体供給物がバッグの壁を通して、バッフルの上へおよび/またはバッフルを通して、リアクター/バッグの上部に送達されることを可能にする。また、液体供給物はバッフルを横切ることができるため、供給物は高流量領域(例えば、インペラーの近く)の細胞培養に導入される。液体供給物を細胞培養の液体表面下に送達することにより、混合効率が向上する。例えば、液体表面上の消泡剤の送達は、消泡剤の効率を高める。供給物は必ずしも単一の流れで液体表面に滴下されないため、穴を有するバッフルは、送達時のより速い混合を可能にする。
【0021】
同様に、バッフル内の第1の導管、または必要に応じて第2の導管は、ガスがバッグの壁から導入され、バッフルを上ってバッグまたはバイオリアクターの上部にあるヘッドスペース、すなわちバッグ内の流体レベルまたは液面よりも上まで導入されることを可能にする。次に、ガスはポートを介して出ることができ、ポートは、必要に応じてベント濾過デバイスを備える。ヘッドスペースからバイオリアクター/バッグ容器の壁を通るこれらの出口経路を組み込むことにより、(ベントが通常配置されているヘッドスペース領域に到達するために、梯子や踏み台が必要になるのとは対照的に)地表面でベントとのユーザーインタラクションが可能になる。また、スパージガスがバッグの壁に導入され、バッフルに送られる。ガスは、バッフルの1つ以上の穴を通して導入されて、オープンパイプスパージャー、または代わりにリング型スパージャーを作り出してもよい。流路は液体表面の上に経路設定され、ガスが存在しないときに液体が排出されるのを防ぐための空気の遮断が作り出され、逆止弁を不要にする。穴のあるバッフルは、最も低い水平バッフルの片側または両側に沿って一連の穴を設けることにより、スパージャーの製造を可能にする。このスパージャーは、ほとんどまたは全く追加コスト無しで製造されることができる。ガスは、無菌状態を確保するために、流路に入るときにフィルターを介して送達され得る。
【0022】
折り畳み式バッフルの形状および/または取付ポイントは、バイオリアクターまたはバッグまたはミキサーの使用中に剛性を提供しながら、輸送および保管のために折り畳むことを可能にする。任意選択で、剛性部材は、剛性を高めるためにバッフル内に配置され得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本開示に記載されるいくつかの実施形態による、バッフルを有する容器の上方斜視図である。
【
図2A】本開示に記載されるいくつかの実施形態による、
図1に示されるバッフルの1つの実施形態の線2-2に沿った断面図である。
【
図2B】本開示に記載されるいくつかの実施形態による、
図1に示されるバッフルの1つの実施形態の線2-2に沿った断面図である。
【
図2C】本開示に記載されるいくつかの実施形態による、
図1に示されるバッフルの1つの実施形態の線2-2に沿った断面図である。
【
図3A】本開示に記載されるいくつかの実施形態による、容器内に配設されたX字形バッフルである。
【
図3B】本開示内で説明されるいくつかの実施形態による、
図3AのX字形バッフルの一部の拡大図を示す。
【
図4】本開示に記載されるいくつかの実施形態による、第1の多部材バッフルを具備する。
【
図5】本開示に記載されるいくつかの実施形態による、第2の多部材バッフルを具備する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
したがって、本明細書で開示される特徴が詳細に理解されることができる方法、上で簡潔に要約された本開示の実施形態のより具体的な説明は、添付の図面を参照することによって得ることができる。しかしながら、添付の図面は本発明の典型的な実施形態のみを示しており、したがって、本発明は他の同等に効果的な実施形態を認め得るため、本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではないことに留意されたい。また、一実施形態の要素および特徴は、さらに言及されることなく他の実施形態で見出されることがあり、可能な場合、図に共通の比較可能な要素を示すために同じ参照番号が使用されていることも理解されたい。
【0025】
バッグ、容器、およびバイオリアクターへの言及は、生体液、細胞成長、発酵などを処理することができる任意の可撓性容器を指し、文脈が他に指示する場合を除いて、全体を通して交換可能に使用されることを理解されたい。水平という用語は、水平線の平面と実質的に平行な特徴を示すことも理解されたい。垂直という用語は、水平に対して実質的に直角の軸を有する特徴を暗示する。垂直および水平の両方の特徴を有するものとして説明される特徴は、例えば、+形状および/または、例えばX字形状などの対角線形状を示すことができる。
【0026】
特定の実施形態によれば、使い捨て容器は、液体または流体を受容し、維持するように設計されている。いくつかの実施形態では、使い捨て容器は、超高分子量ポリエチレン、非常に低密度のポリエチレン、超低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、低密度または中密度ポリエチレンを含むポリエチレン;ポリプロピレン;エチレンビニルアルコール(EVOH);ポリ塩化ビニル(PVC);ポリ酢酸ビニル(PVA);エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA共重合体);熱可塑性エラストマー(TPE)、および/または前述の材料のいずれかの混合物または合金、ならびに当業者に既知の他の様々な熱可塑性材料および添加剤などのポリマー組成物で形成された単層壁または多層可撓性壁を含む。使い捨て容器は、それが製造される材料の結果として折り畳みおよび展張が可能である。使い捨て容器は、類似または異なる熱可塑性樹脂の共押出し、異なる熱可塑性プラスチックの多層ラミネート、溶接および/または熱処理、熱かしめ、カレンダー加工などを含むが、これらに限定されない様々なプロセスによって形成されてもよい。前述のプロセスのいずれも、隣接する層間の接着を促進するために、織布または不織布基材の層、接着剤、結合層、プライマー、表面処理などをさらに具備してもよい。「異なる」とは、EVOHの1つ以上の層を有するポリエチレン層などの異なるポリマータイプ、ならびに同じポリマータイプであるが、分子量、線状または分岐ポリマー、フィラーなどの異なる特性が本明細書で意図されることを意味する。典型的には、医療グレードのポリマー、およびいくつかの実施形態では、動物性物質を含まないプラスチックが、容器を製造するために使用される。医療グレードのポリマーは、例えば、蒸気、酸化エチレン、またはベータ線および/またはガンマ線を含む放射線によって滅菌され得る。また、ほとんどの医療グレードのポリマーは、良好な引張強度と低ガス移動が指定されている。いくつかの実施形態では、ポリマー材料は透明または半透明であり、内容物の視覚的監視を可能にし、通常、溶接可能であり、支持されていない。いくつかの実施形態では、容器は、細胞培養に関連して細胞を増殖させることができるものなど、生物学的に活性な環境を支持することができるバイオリアクターであってもよい。いくつかの実施形態では、容器は二次元または「枕型」バッグであってもよく、あるいは、容器は三次元バッグであってもよい。容器の特定の形状は、本明細書に開示されるいかなる実施形態においても限定されない。いくつかの実施形態では、容器は、ポートまたはベントなどのアクセスポイントを提供することができる剛性のベースを含み得る。本明細書に記載の任意の容器は、1つ以上の入口、1つ以上の出口、および任意選択で、滅菌ガスベント、スパージャー、ならびに伝導率、濁度、pH、温度、酸素および二酸化炭素などの溶存ガス、および当業者に知られている同種のものなどのパラメーターについて容器内の液体を感知するためのポートなど、他の特徴を含み得る。容器は、ベンチトップスケールから3000Lバイオリアクターまで混合される細胞や培地などの流体を収容するのに十分なサイズである。
【0027】
いくつかの実施形態では、容器は、閉じられた容積を画定し、かつ一回使用のために滅菌可能であり、かつ生物製剤液などの内容物を流体状態で収容でき、かつ混合デバイスを部分的にまたは完全に容器の閉じられた容積、例えば内部作業容積内に収容できる、使い捨ての変形可能な折り畳み式バッグであり得る。いくつかの実施形態では、閉じられた容積は適切な弁などによって開放されて、容積内に流体を導入し、混合が完了した後などに流体をそこから排出することができる。
【0028】
いくつかの実施形態によれば、容器は、少なくとも1つの折り畳み式バッフルを含み、バッフルは、容器が流体を含み、かつインペラー組立体が動作しているときに(本明細書に記載のバッフルの実施形態が存在しない場合とは対照的に)強化された流体の混合が発生するように容器内に配置される。混合中に、渦が形成される。理論に拘束されるつもりはないが、渦は適切な混合を妨げるか、少なくとも遅くすると考えられている。バッフルによって引き起こされる渦の破壊は、より効率的でより速い混合を促進すると考えられている。さらに、適切に設計されたバッフルは、好ましくないレベルの剪断を生じさせることなく渦を破壊することができ、そうでなければ処理されている細胞および/または生物学的流体に損傷を与えると考えられている。本発明者らは、驚くべきことに、バッフルが、渦を破壊する一方で、(泡が通常形成される)異なる流体表面レベルで消泡剤などの処理助剤を送達するのに適していることを発見した。本発明者らはまた、驚くべきことに、バッフルが流体の容積内の様々な深さにガスを送達するのに適しており、別のスパージャーの必要性を除去することを発見した。バッフルはさらに、容器内の様々な深さの流体中の細胞培養に追加の供給物を送達することができる。例えば、インペラーの近くなど、高流量領域の近位に追加の供給物を送達する。バッフルは、また、処理中にバッフルを補強するための支持部材を収容し得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、バッフルは、容器の流体中に沈められた少なくとも垂直構成要素を有する。いくつかの実施形態では、バッフルは、容器の流体中に沈められた水平構成要素と垂直構成要素の両方を備える。いくつかの実施形態によれば、バッフルは垂直構成要素を有し、容器の内側壁の1つ以上の部分に取り付けられる。いくつかの実施形態によれば、バッフルは1つ以上の水平構成要素を有し、容器の内側壁の1つ以上の部分に取り付けられる。いくつかの実施形態によれば、バッフルは垂直構成要素および水平構成要素を有し、バッフルの1つの端部が容器の底面または側壁のいずれかに取り付けられ、バッフルの反対側の端部が上面または側壁の第1の端部とは異なる部分に取り付けられる。いくつかの実施形態によれば、生物学的流体の使用/処理中に、バッフル全体よりも少ない部分が流体中に沈められる。いくつかの実施形態によれば、バッフルは、容器の内径寸法まで延在する。いくつかの実施形態によれば、バッフルはX字形である。いくつかの実施形態によれば、バッフルは、梯子形、例えば、1つ以上の水平部材に接続された2つ以上の垂直部材を含む。いくつかの実施形態によれば、バッフルは、上側が上に、または上側が下に向けられてもよい。
【0030】
いくつかの実施形態によれば、バッフルは、容器内へまたは容器外へ材料を送達するために、バッフルの内部容積を通る1つ以上のチャネル/導管を提供する。いくつかの実施形態によれば、バッフルは、容器内の所望の位置内へのセンサの配置のために、バッフルの内部容積を通る1つ以上のチャネル/導管を提供する。いくつかの実施形態では、センサは一回使用のセンサである。いくつかの実施形態によれば、バッフルは、外側の密封面と内部容積とを有する可撓性プラスチックスリーブの形態である。いくつかの実施形態によれば、バッフルは、外面と内部容積とを形成するために2つの部分に折り畳まれた単一のプラスチック片から形成される。いくつかの実施形態によれば、バッフルは、2つ以上のプラスチック片から形成されて、外面および内部容積を形成する。いくつかの実施形態によれば、内部容積自体がチャネル/導管を形成する。いくつかの実施形態では、内部容積の内面は、互いに密封されて、別個の経路を形成する。いくつかの実施形態によれば、バッフルは、フィルムの2つの同様の形状の部分を打ち抜き、それらを熱かしめして完成されたバッフルを形成するダイカット作業によって形成される。さらなる実施形態では、管の断片がチャネル/導管を形成する。さらなる実施形態では、管の断片がチャネル/導管内に配設される。
【0031】
いくつかの実施形態では、各容器は、その内部作業容積内に部分的または完全に、容器に含まれる1つ以上の液体、ガスおよび/または固体を混合、分散、均質化、および/または循環させるためのインペラー組立体を含む。インペラー組立体は、軸の周りの回転または振動などによって移動可能な1つ以上のブレードを含み得る。インペラー組立体は、回転運動を、接触している流体を混合する力に変換する。インペラー組立体は、容器の上部に形成されてもよく、シャフトを介して下向きに容器の容積内に延在する。シャフトは容器の外側のモーターに接続され、シャフトは1つ以上のインペラーブレードを有する。このような組立体は、しばしば「稲妻型」の組立体と呼ばれる。また、いくつかの実施形態では、インペラー組立体は、容器の底部に形成されることができ、容器の外側のモーターへの直接シャフトによってモーターに接続されるか、あるいは、モーターに磁気的に結合されるため、シャフトは容器の壁を貫通する必要が無い。
【0032】
インペラー/バッフルの組み合わせの適切な設計と実装により、容器への材料のより良い供給および/または容器の容積内のセンサのより良い場所を提供する能力を有する、広範囲の容積とアスペクト比に亘る混合ソリューションが提供され、優れたスケーラビリティと明確なパフォーマンスを有するバイオリアクターまたはミキサーシステムのファミリーの開発が可能になる。さらに、本明細書で企図される容器およびバッフルのそれぞれは、薄いしなやかなプラスチック材料で作られ、したがって、容易に梱包、開梱、輸送、および廃棄するために折り畳むことができる。いくつかの実施形態では、バイオリアクター、バッグおよび/または容器は、折り畳み式浸漬管を具備する。折り畳み式浸漬管は、バッグから流体を除去するためにバッグから突出する導管であり得る。折り畳み式浸漬管は、可撓性のしなやかな材料で作られてもよい。例えば、折り畳み式浸漬管は、ポリマーまたは本明細書で論じられる材料のいずれかから製造されてもよい。さらに、折り畳み式浸漬管は、バッグに取り外し可能に取り付けられてもよい。いくつかの実施形態では、折り畳み式浸漬管は、バッグの一体部分である。この文脈において、一体とは、折り畳み式浸漬管が、バッグまたは折り畳み式浸漬管のいずれかを破壊することなくバッグから取り外され得ないことを示す。さらに、折り畳み式浸漬管は、例えば、灌流プロセスで使用されてもよい。灌流は、バイオリアクター内で細胞培養を維持するためのプロセスである。灌流処理は、細胞がリアクターに懸濁液中またはマイクロキャリア上に保持されている間に、実質的に等しい容積の培地がバイオリアクターに追加されるかバイオリアクターから除去される工程を具備する。灌流を使用すると、新鮮な栄養素の安定した供給源と細胞老廃物の一定の除去が達成される。
【0033】
図1は、本開示に記載されるいくつかの実施形態による、バッフル18を有する容器10の上方斜視図である。容器10は、ベース14および1つ以上の可動ブレードまたはベーン16をさらに含むインペラー組立体28を有し、ここで、容器19は、シェル5内に配設される。容器10は、二次元または「枕」バッグ型容器、あるいは、三次元バッグであり得る。いくつかの実施形態では、容器10は、200Lの最小内部作業容積、および3000Lの最大内部作業容積を有する。サイズに関係なく、容器10は、動作するために満載の液体容量である必要はないことを理解されたい。例えば、200Lであろうと3000Lであろうと、任意の容器10は、最大内部作業容積H、または代替的に、インペラー組立体28の真上の液体高さにある最小内部作業容積Lで動作し得る。容器10はまた、最大作業容積Hと最小作業容積Lとの間の任意の作業内部容積で作業し得る。いくつかの実施形態では、インペラー組立体28の少なくとも一部は、容器10の内部作業容積32内に配設される。いくつかの実施形態では、インペラー組立体28用のモーター(図示されない)などの駆動源は、容器10の外部にある。
【0034】
容器10は、比較的平坦な底部B、あるいは、その代わりに円錐形の底部(図示されない)または他の先細の底部を有し得る。あるいは、容器10は、二次元の先細の底部(図示されない)を備えていてもよい。インペラー組立体28のブレード16の数および形状は、ブレード16が起動されたときに容器10内の流体を十分に攪拌することができるならば、特に限定されない。ブレードは、ポリエチレンなどのプラスチック材料、または滅菌の目的でポリプロピレンまたはポリプロピレンコポリマーなどのガンマ線照射に耐性のある任意のポリマーで構成され得る。シェル5は、任意選択でベース14を含み、ベース14は、ポリエチレンなどのプラスチック材料、または同様に滅菌の目的でポリプロピレンまたはポリプロピレンコポリマーなどのガンマ線照射に耐性のある任意のポリマーで構成され得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、ベース14は、軸方向に延在する部材22を含む。軸方向に延在する部材22は、混合インペラーオーバーモールド磁石(図示されない)などのインペラー組立体28の磁気ベースを収容し、ブレード16は部材22の上で軸方向に延在し、駆動磁石によって磁気インペラーが駆動されると自由に回転する。インペラー組立体28が容器10に設置されるいくつかの実施形態では、延在する部材22は、容器10の外側に突出し、ベース14は、容器10に対して密封される。インペラー組立体28の残りは、容器10の内部に収容されている。いくつかの実施形態では、インペラー組立体28は、容器10の底部Bまたはその近くに配置され、容器10は、混合位置(吊り下げ位置など)にあり、容器10の出口30のような少なくとも1つのポート46の近位にある。
【0036】
図1に示されるように、容器10は、本明細書に記載されるポリエチレンまたは他のポリマーまたはポリマーの層状構造などの、しなやかで溶接可能なプラスチックで作られ、密封されて、内部作業容積32を有する閉じられた容器を形成する。内部作業容積32への流体アクセスは、複数のポート46のうちの1つ以上を介する。複数のポート46は、任意選択で、容器10に直接接着、密封、または他の方法で溶接される。複数のポート46のそれぞれまたはいずれかは、プラグ(図示されない)を備えるか、またはそれらと一体に取り付けられるかまたは一体的に形成される導管または管44を有し得る。いくつかの例示的な実施形態では、管44は、放射線による滅菌に適したシリコーン材料で形成される。1つ以上のポート46はまた、バッフル18の内部容積26へのアクセスを提供し得る。液体またはガスは、ポート46を介してバッフル18に送達され、続いて容器10に送達されることができる。例えば、バッフル18は、液体またはガスがそこを通過して作業容積32に入るのを可能にするための1つ以上の穴またはオリフィス38を備える。いくつかの実施形態では、穴38は、0.1mmから3.0mmの範囲の直径を有する。いくつかの例示的な実施形態では、穴38は、0.5mmから1.0mmの直径を備える。いくつかの例示的な実施形態では、穴38は、勾配を形成する直径を備え、例えば、穴は、バッフルに沿って近位端部から遠位端部に向かって徐々に大きくまたは小さくなる。いくつかの実施形態では、ポート30、40、50は、一方向弁(図示されない)または疎水性膜(図示されない)を備えてもよく、その結果、液体(任意選択で弁を通して)またはガス(任意選択で弁または疎水性膜を通して)は、必要に応じて、ポート30、40、50を通してのみ選択的に出入りすることができる。さらに、流体はポート30を介して容器を出ることができることに留意されたい。例えば、容器10は、容器10の底部Bの近位にある複数の出口ポート30を具備する。容器10はさらに、容器10の上部の近位にある複数の上部入口ポート50を含む。容器10は、バッフル18と流体連通する複数のバッフル入口40をさらに具備する。
【0037】
いくつかの実施形態では、出口ポート30、上部入口ポート50、および/または複数の入口バッフル入口40は、一方向弁(図示されない)または疎水性膜(図示されない)を具備し、その結果、液体(弁を通して)またはガス(弁または疎水性膜を通して)は、必要に応じて、そこを通してのみ選択的に出入りできる。
【0038】
1つ以上のバッフル18が、容器10の側壁12の内面に沿って形成される。バッフル18は、
図2に示されるように、外側の密封面(以下に示される)と容器10の残りの部分から分離された内部容積とを有する可撓性プラスチックスリーブ(以下に示される)の形態である。1つ以上のバッフル18は、弁36を備え得る。いくつかの実施形態では、弁36は、コントローラと通信するボール弁またはニードル弁であってよい。いくつかの例示的な実施形態では、弁36は逆止弁である。逆止弁は、圧力が低い場合、例えば約20psiまたは140kPa以下の場合に、流体の逆流を防ぐように指定され得る。いくつかの例示的な実施形態では、逆止弁は、5psiまたは35kPa以下に指定される。
【0039】
図2は、本開示に記載されるいくつかの実施形態による、
図1に示されるバッフル18の3つの実施形態の線2-2に沿った断面図である。
図2Aから
図2Cに示されるように、バッフル18は中空構造であり、経路26を形成する内部容積を備える。いくつかの実施形態では、バッフル18のスリーブ20は、それが位置する側壁12の継ぎ目に接着または密封される。スリーブ20はまた、
図1に示されるように、側壁12への別の部品として、熱接着または接着剤などによって密封されてもよい。本明細書では、バッフル18の少なくとも3つの実施形態が企図されることを理解されたい。
図2Aは、いくつかの実施形態による、バッフル18の第1の実施形態を含む。図示のバッフル18の第1の実施形態は、バッフルポケット31を備える。バッフルポケット31は、剛性になるための手段を受け入れることができる。例えば、剛性になるための手段は、バッフルポケット31内に剛性ロッド(図示されない)を取り外し可能に配置することを備える。バッフルポケット31は、バッフル18の長さの少なくとも一部を通って延在する。いくつかの実施形態では、ポケット31は、底壁に隣接する最も狭いポイントから頂壁に隣接する最も広いポイントまで先細になっている。剛性ロッドは、プラスチック材料、鋼、木材、または任意の適切な剛性材料を含み得る。いくつかの実施形態では、剛性になるための手段は、ポケット31の少なくとも一部内に形成されたバッフルポケット内に配置される剛性インサートと、バッグ10の内部作業容積の一部に亘って形成されたバッフル18とで構成される群から選択され、バッフル18は、側壁12の第1の部分に取り付けられた第1の部分を有し、バッフル18は、第1の側壁部分から少なくとも接線方向に向こう側の側壁12の第2の部分に取り付けられた第2の部分を有し、ここで、バッフル18は、バッグ10の充填時にきつく引っ張られることができる。バッフル18の第1の実施形態は、導管26も備える。いくつかの実施形態では、1つ以上のバッフルポケット31は、1つ以上の側壁12に接した底壁に隣接する第1の位置から、第1の位置の側壁と少なくとも接線方向に互いに反対側である、頂壁に隣接する1つ以上の側壁12の第2の位置まで延在する。
【0040】
導管26は、一つの穴または複数の穴38を介して、上記のように、ガスまたは流体を容器またはバイオリアクターの作業容積に送達することができる。穴38は、バッフル18の長手方向軸に沿って配置されてもよい。さらに、穴38は、位置の任意の組み合わせに沿って配置されてもよい。例えば、穴38は、第1の軸方向表面H1、第2の軸方向表面H2、および/または第3の軸方向表面H3に沿って配設されてもよい。シール29は、導管26とバッフルポケット31との間に配設される。シール29は、例えば、ヒートシールまたは熱かしめまたはバッフル18を2つの液密部分に圧着する他の方法を具備し得る。
図2Bは、いくつかの実施形態による、バッフル18の第2の実施形態を備える。バッフル18の第2の実施形態は、バッフルポケット31を具備する。上述のように、バッフルポケット31は、剛性になるための手段を受け入れることができる。例えば、剛性になるための手段は、バッフルポケット31内に剛性ロッド(図示されない)を取り外し可能に配置することを含む。剛性ロッドは、プラスチック材料、鋼、木材、または任意の適切な剛性材料を含み得る。バッフル18の第1の実施形態は、導管26も具備する。導管26は、(上述したように)一つの穴または複数の穴を介して、ガスまたは流体を容器またはバイオリアクターの内部作業容積に送達することができる。シール29は、導管26とバッフルポケット31との間に配設される。シール29は、例えば、ヒートシールまたは熱かしめまたはバッフル18を2つの部分に圧着する他の方法を具備し得る。
図2Cは、いくつかの実施形態による、バッフル18の第3の実施形態を備える。バッフル18は、2つの類似のポリマー片をダイカットし、様々な表面に沿って2つの片を熱かしめしてポリマーを溶融し、融合領域を生成することによって形成される。
【0041】
図3Aは、本開示に記載されているいくつかの実施形態による、容器10内に配設されたX字形バッフル70である。
図3Aは、
図1と実質的に同様の容器を示す。図示されるように、バッフル70は2つの部分を備え、2つの部分は、側壁12の一部から延在し、容器10の容積32内に内向きに延在し、密封されてバッフル70を形成する。いくつかの実施形態では、バッフル70は、溶接可能なプラスチック、例えば、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、および当業者に知られている他の適切なグレードのポリエチレンで構成されるフィルムである。バッフル70は、第1の脚51と第2の脚52とを含む。第1の脚51と第2の脚52は交差し、第2の脚52は必要に応じて第1の脚51に付着する。いくつかの実施形態では、第1の脚51と第2の脚52の取り付け位置は、おおよそ、第1の脚51と第2の脚52の長手方向の中点53にある。しかしながら、第1の脚51と第2の脚52が実際に互いに接触または付着することは必要ではない。第1の脚51と第2の脚52のそれぞれの各終端部Tは、各脚の本体に対して約30°~60°の角度で曲げられる。いくつかの例示的な実施形態では、第1の脚51と第2の脚52の各終端部Tは、各脚の本体に対して45°の角度で曲げられる。
【0042】
いくつかの実施形態では、これらの各終端部Tは、バッフル70を容器10内の適所に取り付けるために、溶接または熱かしめなどにより、容器10の内壁12に取り付けられることができ、第1の脚51と第2の脚52は、互いに取り付けられることなくバッグに取り付けられる。いくつかの実施形態では、容器10がバッグである場合、終端部Tは、バッグの継ぎ目内でヒートシールまたは溶接される。
【0043】
バッフル70は、穴38を備える。いくつかの実施形態では、バッフル70は、幅が約12.0cm~75.0cmであり、厚さが約0.125mm~0.400mmである。いくつかの実施形態では、穴38は、0.10mm~3.0mmの範囲の直径を有する。いくつかの例示的な実施形態では、穴38は、0.50mm~1.0mmの直径を備える。いくつかの例示的な実施形態では、穴38は、勾配を形成する直径を備え、例えば、穴は、バッフル70に沿って近位端部から遠位端部に向かって徐々に大きくまたは小さくなる。穴38は、バッフル70の軸方向長さに沿って配置されてもよい。さらに、穴38は、位置の任意の組み合わせに沿って配置されてもよい。例えば、穴38は、第1の軸方向表面H1、第2の軸方向表面H2、第3の軸方向表面H3、および/または第2の軸方向表面H2の反対側の第4の軸方向表面H4に沿って配設されてもよい。明らかなように、穴38は、バッフル100の長手方向軸とバッフル70の横軸の両方に沿って同軸である必要はない。
【0044】
図3Bは、本開示内で説明されるいくつかの実施形態による、
図3Aのバッフル70の一部の拡大
図39を示す。上記のように、穴38は、バッフル70の軸方向長さに沿って配置されてもよい。上記のように、穴38は、位置の任意の組み合わせに沿って配置されてもよい。例えば、穴38は、第1の軸方向表面H1、第2の軸方向表面H2、第3の軸方向表面H3、および/または第2の軸方向表面H2の反対側の第4の軸方向表面H4に沿って配設されてもよい。また、上記のように、上部脚51、52は、接合部41で、例えば、熱かしめ、溶接などによって互いに接着されてもよく、あるいは、上部脚51、52は、2つの異なるバッフルの別の部分であってもよい。
【0045】
図1に例示されているように、いくつかの実施形態では、これらの継ぎ目は、インペラー28の後ろ(12時の位置)に、そして6時の位置にバッグを横切って整列する。底部は、バッグの最も低い面に取り付けられ、上部は、バッグの最大内部作業容積32を超える面に取り付けられる。バッフル70を、容器10を支持するシステムのベースに、および/または側面ではなく容器10の上部に直接取り付けることを含む、他の取り付け位置が可能である。いくつかの実施形態では、バッフル18、70に「たるみ」がもたらされ、これは許容され得る。限定ではなく説明として、バッグに取り付けられたバッフル18、70の脚は、ぴんと張られている必要はない。取り付け位置に関係なく、いくつかの実施形態では、上部脚51、52は、処理されている流体の外に、すなわち、バッグの最大内部作業容積32の上に(流体に完全に浸されているのとは対照的に)延出する。バッフル18に関して上で述べたように、X字形バッフル70は、作業容積32内へ横切るガス、流体、および/または処理助剤を送達するためのオリフィスまたは穴38を備える。例えば、容器10は、容器10の底部Bの近位にある複数の出口ポート30を備える。容器10はさらに、容器10の上部に近接する複数の上部入口ポート50を備え、上部入口ポート50は、上部脚51を介してバッフル100と流体連通し得る。容器10は、上部脚52を介してバッフル70と流体連通する複数のバッフル入口40をさらに備える。様々なアスペクト比を有する様々な容器と組み合わせたバッフル18、70の実施形態によれば、混合時間は少なくとも約50%短縮される。
【0046】
図4は、本開示に記載されているいくつかの実施形態による多部材バッフル90である。
図4では、バッフル90は梯子形バッフルであり、同じバッフル90内にガス、液体、供給物などを送達するための複数のチャネルを備える。いくつかの実施形態では、チャネルは、バッフル90の部分を一緒にヒートシールまたは接着することによって形成され、異なる位置への別の個々の経路を形成するか、または容器10の異なる材料またはセンサ(図示されない)を運ぶ。また、複数のチャネルを備える1つのバッフル90を具備することにより、管およびコネクタの量が減少する。
【0047】
バッフル90は、バッグ、容器またはバイオリアクター(図示されない)内で折り畳み可能である。バッフル90はポリマーで作られ、バッグ10に関して、上述したように、バッグ、容器、またはバイオリアクター(これも折り畳み式)の側壁に接着する。バッフル90は、サイドレール94を備える。サイドレール94は、バッグ、容器、またはバイオリアクターに取り付け、熱かしめ、溶接等されてもよい。バッフル90は、窓92と中間部分96とをさらに備え、これらは処理中に渦を破壊し、混合を強化することができる。バッフル90はまた、穴38を有する少なくとも1つの流体送達部材88と、少なくとも1つの非流体送達部材98とを備える。この文脈において、流体は、細胞のためのガス、液体、および/または液体供給物であると理解される。少なくとも1つの流体送達部材88は、流体を送達するためのポート(図示されない)を介して流体連通している。上述のように、穴38は、バッグ、容器、またはバイオリアクターの作業容積への流体の流入を可能にする。例えば、非流体送達部材98の上方に示される少なくとも1つの流体送達部材88は、消泡剤をバッグの作業容積に送達するために使用されてもよい。いくつかの例示的な実施形態では、少なくとも1つの流体送達部材88は、バッグ内の液面よりも上方に向けられる。いくつかの実施形態では、非流体送達部材98の下に示される少なくとも1つの流体送達部材88は、例えば、酸素および/または二酸化炭素などのガスをバッグの作業容積に送達するために使用されてもよい。流体送達部材88および/または非流体送達部材98のいずれも折り畳み式であり、バッグ内の渦を破壊することができることを理解されたい。バッフル90の流体送達部材88および/または非流体送達部材98のいずれかは、
図2Aから
図2Cで形成されるような実施形態のいずれかをさらに備え、2つ以上のチャネルを提供し、その内の少なくとも1つは、動作中にバッフル90に支持を提供するために、その中に配置される剛性部材を有することができることを理解されたい。
【0048】
バッフル90は、典型的にはバッグの底部の近位に、流出する流体のポートをさらに備えてもよい。バッフル90は、典型的にはバッグの上部の近位にある、ベントにガスを排出するためのポートをさらに備えてもよい。いくつかの実施形態では、バッフル90内の穴38は、0.10mm~3.0mmの範囲の直径を有する。いくつかの例示的な実施形態では、穴38は、0.5mm~1.0mmの直径を備える。いくつかの例示的な実施形態では、穴38は、勾配を形成する直径を備え、例えば、穴は、バッフル90の長手方向軸に沿って近位端部から遠位端部に向かって徐々に大きくまたは小さくなる。
【0049】
いくつかの実施形態では、バッフル18、70、90は、所定の流体レベルで渦(またはバッフル18、70、90がない場合に渦が形成される領域)を通って延在するように容器内に配置される。渦の位置は、容器10のアスペクト比によって変化する。バッフル18、70、90がない場合に渦が形成される領域は、経験から、または操作で使用される類似の混合条件下で、ただしバッフル18、70、90がない状態で、流体を容器内で混合し、渦が形成される場所に注目することによって決定されることができる。「渦マップ」が作成されて、所与の容器のアスペクト比、容器の容積、インペラーの位置、およびインペラーのサイズに対する渦の位置を文書化することができる。1000L容器のアスペクト比が1:1の場合、渦は通常6時の位置にある。2000L容器のアスペクト比が2:1、200L容器のアスペクト比が1.6:1の場合、渦は通常9時の位置にある。バッフル18、70、90の任意の実施形態は、流体を送達するために、上記の内部容積26などの内部容積を備え得る。
【0050】
図5は、本開示に記載されるいくつかの実施形態による、第2の多部材バッフル100を具備する。バッフル100は梯子形バッフルであり、1つ以上のポリマー材料で作られ、バッグ10に関して上述したように、バッグ、容器またはバイオリアクター(これも折り畳み式)の側壁に接着する。バッフル100は、サイドレール94を備える。サイドレール94は、バッグ、容器またはバイオリアクターに取り付け、熱かしめ、溶接等されてもよい。バッフル100はまた、例えば、上部ポイント110および下部ポイント112または、それらの間の任意のポイントでバッグにかしめられ、または溶接されてもよい。
【0051】
バッフル100は、窓92をさらに備える。バッフル100はまた、穴38を有する少なくとも1つの流体送達部材88と、少なくとも1つの非流体送達部材98とを備える。いくつかの実施形態では、バッフル100は、上部流体送達部材88、下部流体送達部材88、およびそれらの間に配設された複数の非流体送達部材98を備える。上記のように、流体は、細胞のためのガス、液体、および/または液体供給物であると理解される。少なくとも1つの流体送達部材88は、流体を送達するためのポート(図示されない)を介して流体連通している。バッフル100は、流体を穴38に送達するためのチャネル102を含む上部流体送達部材88を備え、穴38は、通常、バッグ内の液体表面の上にある。バッフル100は、流体を穴38に送達するためのチャネル104を含む下部流体送達部材88を備える。チャネル104は、バッフル100の下部114を横切り、図示のように流体送達部材88の上にある上部116まで延在し、下部流体送達部材88で終端する。下部流体送達部材88は、任意の流体、ガスまたは液体をバッグの作業容積内に送達することができる。また、チャネル104は、上部流体送達部材88の上に延在する必要はない。チャネル104が、少なくともバッグ内の流体レベルと同じ高さ(上部流体送達部材88よりも低くなり得る)で延在する限り、逆止弁(または他の任意の弁)がそこに配設されること無くガスは作業容積に送達されることができ、すなわち、流体がチャネル104を逆流および後退することはできない。バッフル100は、追加のチャネルをさらに備える。例えば、本明細書では、チャネル106、108が企図される。チャネル106、108は、バッフル100の下部114から上部116まで横切る。チャネル106、108のいずれかは、バッグの作業容積内の液体の表面の上の空間にガスを送達するために使用されることができる。また、チャネル106、108のいずれかは、液体表面の上からガスを排出するために使用されることができる。チャネル102、104はバッグ内の液体表面の上で終端しているため、逆止弁は必要ない。さらに、チャネル102、104、106、108と併せて使用されるすべての供給ポート(図示されない)は、すべて地表面またはその近位にあるため、セットアップ、分解などは作業者にとってより簡単であり、すなわち、より大きなバッグ用の梯子は必要ない。本明細書では、バッフル100が下部114にすべてのポートを有することが企図されている。3つ以上の流体送達部材88がバッフル100内に組み込まれ得ることは、本開示の実施形態の範囲内である。同様に、3つ以上の非流体送達部材98がバッフル100内に組み込まれ得ることは、本開示の実施形態の範囲内である。さらに、流体送達部材88と非流体送達部材98が互い違いの配向を具備し得ることは、本開示の実施形態の範囲内である。換言すれば、バッフル100は、流体送達部材88と、それに続く非流体送達部材98と、その後に続く流体送達部材88と、その後に続く別の非流体送達部材98とを有してもよい。また、本発明によるいくつかの実施形態は、バッフル100がバッグ内で上下逆に配向かつ溶接され、すなわち、すべてのポートがバッグの上部の近位に配設されることができることを企図する。また、
図4と同様に、バッフル100の流体送達部材88および/または非流体送達部材98のいずれかは、
図2Aから
図2Cで形成されるような実施形態のいずれかをさらに備え、2つ以上のチャネルを提供し、その内の少なくとも1つは、動作中にバッフル100に支持を提供するために、その中に配置される剛性部材を有することができることを理解されたい。
【0052】
上記のように、穴38は、バッグ、容器、またはバイオリアクターの作業容積への流体の進入を可能にする。例えば、非流体送達部材98の上方に示される少なくとも1つの流体送達部材88は、消泡剤をバッグの作業容積に送達するために使用されてもよい。いくつかの例示的な実施形態では、少なくとも1つの流体送達部材88は、バッグ内の液面よりも上方に向けられる。いくつかの実施形態では、非流体送達部材98の下部に示される少なくとも1つの流体送達部材88は、例えば、酸素および/または二酸化炭素などのガスをバッグの作業容積に送達するために使用され、別のスパージャーに取って代わり、それを不要にしてもよい。流体送達部材88および/または非流体送達部材98のいずれも折り畳み式であり、バッグ内の渦を破壊することができることを理解されたい。チャネル102、104、106、108のいずれか、および必要に応じて追加のチャネルは、使用中にバッフル100を支持するために、上述のように、例えばポケットなどの剛性部材を収容することができることを理解されたい。さらに、ポケットは、容器の底壁に隣接する最も狭いポイントから、容器の頂壁に隣接する最も広いポイントまで先細にされてもよいことが理解されるべきである。
【0053】
バッフル100は、典型的にはバッグの底部の近位に、流体を排出するためのポートをさらに備え得る。バッフル100は、通常はバッグの上部の近位にある、ガスをベントから排出するためのポートをさらに備えてもよい。いくつかの実施形態では、バッフル100内の穴38は、0.10mm~3.0mmの範囲の直径を有する。いくつかの例示的な実施形態では、穴38は、0.5mm~1.0mmの直径を備える。いくつかの例示的な実施形態では、穴38は、勾配を形成する直径を備え、例えば、穴は、バッフル100の長手方向軸線に沿って近位端部から遠位端部に向かって徐々に大きくまたは小さくなる。
【0054】
バッフル100の1つ以上の流体送達部材88および/または非流体送達部材98は、泡が形成される液面の真上に配設され得る。バッフルに沿って配設されたより小さな穴38は、複数の穴からの軽い滴下が、より少ない量の消泡剤の使用を可能にするため、強化された作用を提供することができる。
【0055】
本明細書に記載される製剤のすべての範囲は、それらの間の範囲を含み、エンドポイントを含むかまたは含まない場合がある。オプションで含まれる範囲は、列挙された桁または次の小さい桁の整数値から(または1つの元のエンドポイントを含む)である。例えば、下限範囲値が0.2の場合、オプションで含まれるエンドポイントは、0.3、0.4、...1.1、1.2など、および1、2、3などになることができ、より高い範囲が8の場合、オプションで含まれるエンドポイントは7、6など、ならびに7.9、7.8などになることができる。3つ以上などの片側境界は、同様に、列挙された桁またはそれよりも小さい桁の整数値で始まる一貫した境界(または範囲)を含む。例えば、3以上は、4、または3.1、またはそれ以上を含む。
【0056】
本明細書全体を通して「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1つ以上の実施形態」、「いくつかの実施形態」、または「実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特徴、構造、材料、または特性が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを示す。したがって、本明細書全体を通じて「1つ以上の実施形態において」、「特定の実施形態において」、「一実施形態において」、「いくつかの実施形態において」または「実施形態において」などの語句の出現は、必ずしも同じ実施形態を指しているわけではない。
【0057】
いくつかの実施形態が上で論じられたが、他の実装および適用もまた、以下の特許請求の範囲内にある。本明細書は、特定の実施形態を参照して説明しているが、これらの実施形態は、本開示の原理および適用の単なる例示であることを理解されたい。したがって、例示的な実施形態に多くの修正を加えることができ、本開示による実施形態の趣旨および範囲から逸脱することなく他の配置およびパターンを考案できることをさらに理解されたい。さらに、特定の特徴、構造、材料、または特性が、任意の1つ以上の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせられ得る。
【0058】
本明細書で引用された特許出願および特許の出版物ならびに他の非特許文献は、あたかも各個別の出版物または参照文献が完全に説明されているように参照により本明細書に組み込まれると具体的かつ個別に示されているかのように、引用された部分全体で参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。この出願が優先権を主張する任意の特許出願もまた、出版物および参考文献について上述した方法で、参照により本明細書に組み込まれる。