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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-21
(45)【発行日】2023-03-02
(54)【発明の名称】ウェアラブル診断装置
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/30 20180101AFI20230222BHJP
【FI】
G16H50/30
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020556218
(86)(22)【出願日】2017-12-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-08
(86)【国際出願番号】 US2017068692
(87)【国際公開番号】W WO2019132915
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-12-25
(73)【特許権者】
【識別番号】520232998
【氏名又は名称】サレエム サヤニ
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】サレエム サヤニ
(72)【発明者】
【氏名】ムハンマド アブドゥル ムクエート
(72)【発明者】
【氏名】ハフィズ イムティアズ アーメド
【審査官】青柳 光代
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-224281(JP,A)
【文献】特開2008-206575(JP,A)
【文献】特開2002-143097(JP,A)
【文献】特開2009-027638(JP,A)
【文献】特開2005-073763(JP,A)
【文献】特開2001-344352(JP,A)
【文献】特開2012-110717(JP,A)
【文献】特表2008-532104(JP,A)
【文献】特開2017-127653(JP,A)
【文献】特開2016-073483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G16H 10/00 - 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって:
1つ又は複数のユーザの特性を検出するように構成された1つ又は複数の赤外線レーザセンサの第1のセット
該1つ又は複数の赤外線レーザセンサの該第1のセットに結合され、該1つ又は複数の赤外線レーザセンサの第1のセットからの1つ又は複数のアナログ信号をデジタル化するように構成された1つ又は複数のアナログデジタル変換器;
1つ又は複数のコンピュータ装置及び
該1つ又は複数のコンピュータ装置によって実行されると、該1つ又は複数のコンピュータ装置に処理を実行させるための命令を記憶している、1つ又は複数の記憶装置;
を備え、
該処理が、
該ユーザの病状を検出するための第1の非侵襲的診断検査を実行する要求を指示するデータを受け取るステップ
1つ又は複数のデータベースを有する1つ又は複数のコンピュータネットワークと通信し、該ユーザに関連した情報を得て、該ユーザのデモグラフィックデータを含むユーザプロフィールを作成するステップ
1つ又は複数の赤外線レーザセンサの該第1のセットを制御し、該ユーザの身体部分に向かって1つ又は複数の赤外線信号をそれぞれ発信するステップ
該1つ又は複数の赤外線レーザセンサの該第1のセットを使用して、該ユーザの身体部分から反射された1つ又は複数の赤外線信号を受信するステップ
該1つ又は複数のアナログデジタル変換器を使用して、該受信した1つ又は複数の赤外線信号をデジタル化し、第1のデジタル化された生データを生成するステップ
該1つ又は複数の記憶装置に記憶された複数のデータセットの中から、該第1のデジタル化された生データに対応する第1の特定のデータセットを選択するステップであって、該複数のデータセットのそれぞれが、該第1のデジタル化された生データの所定の範囲と該第1の非侵襲的診断検査の第1の予測値及び第1の勾配回帰値とを関連付けている、前記ステップ
1つ又は複数のコンピュータネットワーク通信し、該ユーザの第1の非侵襲的診断検査の該第1の予測値を得るステップであって、該第1の予測値が、該デモグラフィックデータの該第1の非侵襲的診断検査の取り得る値に対応している、前記ステップ
第1の特定のデータセットの、該第1の予測値及び該第1の該勾配回帰値に基づいて、該ユーザの該第1の非侵襲的診断検査のを決定するステップ;並びに
ディスプレイ又はスピーカーを介して、該第1の非侵襲的診断検査の該を出力するステップ
を含む前記システム。
【請求項2】
前記第1の非侵襲的診断検査が、グルコース検査、コレステロール検査、ヘモグロビン検査、及び酸素飽和レベル検査の1つ又は複数を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記処理が:
前記1つ又は複数のデータベースからユーザの臨床データを得るステップ
該得られたユーザの臨床データ及び前記ユーザのデモグラフィックデータに基づいて臨床データセットの範囲を決定するステップ;並びに
該臨床データセットの範囲を前記複数のデータセットにマッピングするステップ;をさらに含む、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記処理が:
前記ユーザの病歴に基づいて実施すべき第2の非侵襲的診断検査を決定するステップ
該第2の非侵襲的診断検査に基づいて前記1つ又は複数の赤外線レーザセンサの第2のセットを作動させるステップ
前記1つ又は複数の赤外線レーザセンサの第2のセットを使用して、該ユーザの身体部分から反射された1つ又は複数の赤外線信号を受信するステップ
前記1つ又は複数のアナログデジタル変換器を使用して、該受信した1つ又は複数の赤外線信号をデジタル化し、第2のデジタル化された生データを生成するステップ
前記1つ又は複数の記憶装置に記憶された前記複数のデータセットの中から、該第2のデジタル化された生データに対応する第2の特定のデータセットを選択するステップであって、該複数のデータセットのそれぞれが、該第2のデジタル化された生データの所定の範囲と該第2の非侵襲的診断検査の第2の予測値及び第2の勾配回帰値とを関連付けている、前記ステップ
前記1つ又は複数のコンピュータネットワークと通信し、該ユーザの該第2の非侵襲的診断検査の該第2の予測値を得るステップであって、該第2の予測値が、前記デモグラフィックデータの該第2の非侵襲的診断検査の取り得る値に対応している、前記ステップ;並びに
該第2の特定のデータセットの、該第2の予測値及び該第2の該勾配回帰値に基づいて、該ユーザの該第2の非侵襲的診断検査の値を決定するステップ;をさらに含む、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記ユーザの前記第1の非侵襲的診断検査の前記第1の予測値を得るステップ、前記ユーザの前記第2の非侵襲的診断検査の値に基づいて前記第1の非侵襲的診断検査の前記第1の予測値を決定するステップを含む、請求項4記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の非侵襲的診断検査が、グルコース検査であり、
前記第2の非侵襲的診断検査が、前記第1の非侵襲的診断検査と順次に行われるコレステロール検査である、請求項4記載のシステム。
【請求項7】
前記システムが、前記第1の非侵襲的診断検査及び前記第2の非侵襲的診断検査を行うように構成された時計を含み、該時計が、前記1つ又は複数のコンピュータ装置を備える、請求項4記載のシステム。
【請求項8】
コンピュータ実施方法であって:
ユーザによって装着されるように構成された装置で、該ユーザの病状を検出するための第1の非侵襲的診断検査を実行する要求を指示するデータを受け取るステップ
該装置における1つ又は複数のコンピュータ装置によって、1つ又は複数のデータベースを有する1つ又は複数のコンピュータネットワークと通信し、該ユーザに関連した情報を得て、該ユーザのデモグラフィックデータを含むユーザプロフィールを作成するステップ
該装置における該1つ又は複数のコンピュータ装置によって、1つ又は複数の赤外線レーザセンサの第1のセットを制御し、該ユーザの身体部分に向かって1つ又は複数の赤外線信号をそれぞれ発信するステップ
該1つ又は複数の赤外線レーザセンサの該第1のセットを使用して、該ユーザの身体部分から反射された1つ又は複数の赤外線信号を受信するステップ
該装置における1つ又は複数のアナログデジタル変換器を使用して、該受信した1つ又は複数の赤外線信号をデジタル化し、第1のデジタル化された生データ生成するステップ
該1つ又は複数のコンピュータ装置によって1つ又は複数の記憶装置に記憶された複数のデータセットの中から第1のデジタル化された生データに対応する第1の特定のデータセットを選択するステップであって、該データセットのそれぞれが、該第1のデジタル化された生データの所定の範囲と該第1の非侵襲的診断検査の第1の予測値及び第1の勾配回帰値とを関連付けている、前記ステップ
該1つ又は複数のコンピュータ装置によって、1つ又は複数のコンピュータネットワーク通信し、該ユーザの第1の非侵襲的診断検査の該第1の予測値を得るステップであって、第1の予測値が、該デモグラフィックデータの該第1の非侵襲的診断検査の取り得る値に対応している、前記ステップ
該1つ又は複数のコンピュータ装置によって、該第1の特定のデータセットの、該第1の予測値及び該第1の勾配回帰値に基づいて、該ユーザの該第1の非侵襲的診断検査のを決定するステップ;並びに
該1つ又は複数のコンピュータ装置によって、該装置におけるディスプレイ又はスピーカーを介して、該第1の非侵襲的診断検査の該を出力するステップ;を含む、前記方法。
【請求項9】
前記第1の非侵襲的診断検査が、グルコース検査、コレステロール検査、ヘモグロビン検査、及び酸素飽和レベル検査の1つ又は複数を含む、請求項8記載のコンピュータ実施方法。
【請求項10】
前記1つ又は複数のデータベースからユーザの臨床データを得るステップ
該得られた該ユーザの臨床データ及び前記ユーザのデモグラフィックデータに基づいて臨床データセットの範囲を決定するステップ;並びに
該臨床データセットの範囲を前記複数のデータセットにマッピングするステップ;をさらに含む、請求項8記載のコンピュータ実施方法。
【請求項11】
前記ユーザの病歴に基づいて実施すべき第2の非侵襲的診断検査を決定するステップ
該第2の非侵襲的診断検査に基づいて前記1つ又は複数の赤外線レーザセンサの第2のセットを作動させるステップ
前記1つ又は複数の赤外線レーザセンサの第2のセットを使用して、該ユーザの身体部分から反射された1つ又は複数の赤外線信号を受信するステップ
前記1つ又は複数のアナログデジタル変換器を使用して、該受信した1つ又は複数の赤外線信号をデジタル化し、第2のデジタル化された生データを生成するステップ
前記1つ又は複数の記憶装置に記憶された前記複数のデータセットの中から、該第2のデジタル化された生データに対応する第2の特定のデータセットを選択するステップであって、該複数のデータセットのそれぞれが、該第2のデジタル化された生データの所定の範囲と該第2の非侵襲的診断検査の第2の予測値及び第2の勾配回帰値とを関連付けている、前記ステップ
前記1つ又は複数のコンピュータネットワークと通信し、該ユーザの該第2の非侵襲的診断検査の該第2の予測値を得るステップであって、該第2の予測値が、前記デモグラフィックデータの該第2の非侵襲的診断検査の取り得る値に対応している、前記ステップ;並びに
該第2の特定のデータセットの、該第2の予測値及び該第2の該勾配回帰値に基づいて、該ユーザの該第2の非侵襲的診断検査の値を決定するステップ;をさらに含む、請求項8記載のコンピュータ実施方法。
【請求項12】
前記ユーザの前記第1の非侵襲的診断検査の前記第1の予測値を得るステップが、前記ユーザの前記第2の非侵襲的診断検査の値に基づいて前記第1の非侵襲的診断検査の前記第1の予測値を決定するステップを含む、請求項11記載のコンピュータ実施方法。
【請求項13】
前記第1の非侵襲的診断検査が、グルコース検査であり、
前記第2の非侵襲的診断検査が、前記第1の非侵襲的診断検査と順次に行われるコレステロール検査である、請求項11記載のコンピュータ実施方法。
【請求項14】
前記第1の非侵襲的診断検査及び前記第2の非侵襲的診断検査が、前記1つ又は複数のコンピュータ装置を備える時計によって行われる、請求項11記載のコンピュータ実施方法。
【請求項15】
1つ又は複数のコンピュータによって実行されると、該1つ又は複数のコンピュータに処理を実行させるための命令を記憶している、非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、
該処理が、
ユーザによって装着されるように構成された装置で、該ユーザの病状を検出するための第1の非侵襲的診断検査を実行する要求を指示するデータを受け取るステップ
1つ又は複数のデータベースを有する1つ又は複数のコンピュータネットワークと通信し、該ユーザに関連した情報を得て、該ユーザのデモグラフィックデータを含むユーザプロフィールを作成するステップ
該装置の1つ又は複数の赤外線レーザセンサの第1のセットを制御し、該ユーザの身体部分に向かって1つ又は複数の赤外線信号をそれぞれ発信するステップ
該1つ又は複数の赤外線レーザセンサの該第1のセットを使用して、該ユーザの身体部分から反射された1つ又は複数の赤外線信号を受信するステップ
該装置における1つ又は複数のアナログデジタル変換器を使用して、該受信した1つ又は複数の赤外線信号をデジタル化し、第1のデジタル化された生データを生成するステップ
該1つ又は複数の記憶装置に記憶された複数のデータセットの中から、該第1のデジタル化された生データに対応する第1の特定のデータセットを選択するステップであって、該複数のデータセットのそれぞれが、該第1のデジタル化された生データの所定の範囲と該第1の非侵襲的診断検査の第1の予測値及び第1の勾配回帰値とを関連付けている、前記ステップ
該1つ又は複数のコンピュータネットワークと通信し、該ユーザの該第1の非侵襲的診断検査の該第1の予測値を得るステップであって、該第1の予測値が、該デモグラフィックデータの該第1の非侵襲的診断検査の取り得る値に対応している、前記ステップ
第1の特定のデータセットの、該第1の予測値及び該第1の勾配回帰値に基づいて、該ユーザの該第1の非侵襲的診断検査のを決定するステップ;並びに
該装置におけるディスプレイ又はスピーカーによって、該第1の非侵襲的診断検査の該を出力するステップ
を含む、前記非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項16】
前記処理が:
前記ユーザの病歴に基づいて実施すべき第2の非侵襲的診断検査を決定するステップ
該第2の非侵襲的診断検査に基づいて前記1つ又は複数の赤外線レーザセンサの第2のセットを作動させるステップ
前記1つ又は複数の赤外線レーザセンサの第2のセットを使用して、該ユーザの身体部分から反射された1つ又は複数の赤外線信号を受信するステップ
前記1つ又は複数のアナログデジタル変換器を使用して、該受信した1つ又は複数の赤外線信号をデジタル化し、第2のデジタル化された生データを生成するステップ
前記1つ又は複数の記憶装置に記憶された前記複数のデータセットの中から、該第2のデジタル化された生データに対応する第2の特定のデータセットを選択するステップであって、該複数のデータセットのそれぞれが、該第2のデジタル化された生データの所定の範囲と該第2の非侵襲的診断検査の第2の予測値及び第2の勾配回帰値とを関連付けている、前記ステップ
前記1つ又は複数のコンピュータネットワークと通信し、該ユーザの該第2の非侵襲的診断検査の該第2の予測値を得るステップであって、該第2の予測値が、前記デモグラフィックデータの該第2の非侵襲的診断検査の取り得る値に対応している、前記ステップ;並びに
該第2の特定のデータセットの、該第2の予測値及び該第2の該勾配回帰値に基づいて、該ユーザの該第2の非侵襲的診断検査の値を決定するステップ;をさらに含む、請求項15記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(背景)
個人がますます健康を意識するようになるにつれて、個人の健康情報を単純で便利な方法で受信することへの需要がユーザの間で高まっている。多くの場合、ユーザは、それぞれがユーザの健康の一側面に関する情報を提供する複数の装置を装着する必要があり得る。ユーザの健康の複数の側面に関する情報を単純で非侵襲的、かつ便利な方法で提供できる装置が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
(概要)
一般に、主題の革新的な態様は、1つ又は複数の医療診断検査を行うためのウェアラブル診断装置及び方法及びシステムを説明する。
【0003】
いくつかの実施では、システムは、1つ又は複数のコンピュータ装置、及び該1つ又は複数のコンピュータ装置によって実行されると該1つ又は複数のコンピュータ装置に動作を実行させる命令を記憶する1つ又は複数の記憶装置を含む。動作は、ユーザの病状を検出するための非侵襲的診断検査の開始要求に対応する入力を受け取ること、該非侵襲的診断検査を行うための1つ又は複数のセンサを特定すること、非侵襲的診断検査に基づいて、該特定された1つ又は複数のセンサを作動させること、該1つ又は複数のセンサを介して信号データを受信すること、ユーザプロフィールに一部基づいて該非侵襲的診断検査の予測値を得ること、該予測値及び該受信信号データに基づいて検査結果を決定すること、並びに該検査結果をディスプレイ又はスピーカーを介して出力することを含む。
【0004】
実施はそれぞれ、以下の機能の1つ又は複数を任意に含み得る。例えば、いくつかの実施では、非侵襲的診断検査には、グルコース検査、コレステロール検査、ヘモグロビン検査、酸素飽和レベル検査、及び心電図モニタリング検査の1つ又は複数が含まれる。
【0005】
いくつかの実施では、動作は、受信信号データから得た生データに基づいて経路を選択すること、及び該選択された経路に基づいて決定された値のセットを得ることをさらに含む。予測値及び受信信号データに基づいて検査結果を決定することは、決定された値に基づいて検査結果を決定することを含む。
【0006】
いくつかの実施では、動作は、1つ又は複数のデータベースからユーザの臨床データ及びユーザのデモグラフィックデータを得ること、該得たユーザの臨床データ及び該ユーザのデモグラフィックデータに基づいて臨床データセットの範囲を決定すること、並びに該臨床データセットの範囲を非侵襲的診断検査の予測値にマッピングすることをさらに含む。
【0007】
いくつかの実施では、動作は、行われるべき第2の非侵襲的診断検査を、(i)該第2の非侵襲的診断検査を非侵襲的診断検査に関連付けるユーザパターン、及び(ii)ユーザの病歴に基づいて決定すること;該第2の非侵襲的診断検査に基づいて1つ又は複数のセンサの第2のセットを作動させること;該1つ又は複数のセンサの第2のセットを介して第2の信号データを受信すること;ユーザプロフィールに一部基づいて該第2の非侵襲的診断検査の第2の予測値を得ること;並びに該第2の予測値及び該受信した第2の信号データに基づいて第2の検査結果を決定することをさらに含む。
【0008】
いくつかの実施では、非侵襲的診断検査の予測値を得ることは、第2の検査結果を使用して非侵襲的診断検査の予測値を決定することを含む。
【0009】
いくつかの実施では、第2の非侵襲的診断検査は、グルコース検査である非侵襲的診断検査と同時に行われるコレステロール検査である。
【0010】
いくつかの実施では、非侵襲的診断検査及び第2の非侵襲的診断検査は、1つ又は複数のコンピュータ装置を備える時計によって行われる。
【0011】
いくつかの実施では、1つ又は複数のセンサは、無線心電極、圧電振動センサ、赤外線センサ、温度センサ、加速度計、及び微小電気機械システム(MEMS)センサの1つ又は複数を含む。
【0012】
開示される主題の態様によると、時計は、1つ又は複数のコンピュータ装置、及び該1つ又は複数のコンピュータ装置によって実行されると該1つ又は複数のコンピュータ装置に動作を実行させる命令を記憶する1つ又は複数の記憶装置を備える。この動作は、ユーザプロフィールに基づいてグルコース検査及びコレステロール検査を選択すること、該グルコース検査及び該コレステロール検査を行うための1つ又は複数のセンサを特定すること、該特定された1つ又は複数のセンサを作動させること、該1つ又は複数のセンサを介して信号データを受信すること、該ユーザプロフィールに一部基づいて該グルコース検査の第1の予測値を得ること、該第1の予測値及び該受信信号データに基づいてグルコース検査結果及びコレステロール検査結果を決定すること、並びに時計のディスプレイ又はスピーカーを介して該グルコース検査結果及び該コレステロール検査結果を出力することを含む。
【0013】
いくつかの実施では、1つ又は複数のセンサは、赤外線センサ及び圧電振動センサを含む。動作は、受信信号データから得られた生データに基づいて経路を選択すること、及び該選択された経路に基づいて決定された値のセットを得ることを含む。第1の予測値及び受信信号データに基づいてグルコース検査結果を決定することは、決定された値に基づいて該グルコース検査結果を決定することを含む。
【0014】
本明細書でさらに説明される上記の態様及び実施は、いくつかの利点を提供する。例えば、単一のウェアラブル診断装置は、非侵襲的グルコース検査、非侵襲的コレステロール検査、及び非侵襲的ヘモグロビン検査を含む複数の非侵襲的診断検査を行うことができる。ウェアラブル診断装置は、心電図(EKG)データ、又はユーザの手の不随意運動などパーキンソン病の症状の検出を得ることもできる。無線電極を備えたウェアラブル診断装置は、ユーザの履歴及び病状を記録することができ、かつ予測値、アルゴリズム、及びマッピングデータベースを利用してグルコース検査、コレステロール検査、及び/又はヘモグロビン検査の精度及び信頼性の高い結果を提供することができる。予測値は、ユーザの臨床情報及びデモグラフィック情報を含むため、グルコースレベル又はヘモグロビンレベルに影響を与え得る肌の色や年齢などのパラメータをより正確に考慮して計算を行うことができる。また、予測値を使用して、該予測値を特定の疾患に対するユーザの感受性と相関させることもできる。
【0015】
他の態様は、対応する方法、システム、機器、コンピュータ可読記憶媒体、及び上記の方法の動作を実施するように構成されたコンピュータプログラムを含む。
【0016】
本明細書で説明される1つ又は複数の態様の詳細は、添付の図面及び以下の説明に示される。主題の他の特徴、態様、及び利点は、以下の説明、図面、及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
(図面の簡単な説明)
図1-5】図1図5は、ウェアラブル診断装置の例示的な実施を示す。
【0018】
図6図6は、ウェアラブル診断装置に実装された例示的なシステムを示す。
【0019】
図7図7は、ユーザのグルコースレベルを決定するための例示的な方法のフローチャートを示す。
【0020】
図8図8は、グルコース予測値を決定するための例示的な方法のフローチャートを示す。
【0021】
図9図9は、ユーザのヘモグロビンレベルを決定するための例示的な方法のフローチャートを示す。
【0022】
図10図10は、ヘモグロビン予測値を決定するための例示的な方法のフローチャートを示す。
【0023】
図11図11は、ユーザの血圧レベルを決定するための例示的な方法のフローチャートを示す。
【0024】
図12図12は、血圧予測値を決定するための例示的な方法のフローチャートを示す。
【0025】
図13図13は、ユーザのコレステロールレベルを決定するための例示的な方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
様々な図面における同様の参照番号及び名称は同様の要素を示す。
【0027】
(詳細な説明)
本開示は、一般に、様々な種類の健康関連情報をユーザに提供するためにユーザの体に装着することができるウェアラブル診断装置に関する。いくつかの実施では、ウェアラブル診断装置は、1つ又は複数の医療診断検査を行い、ユーザの心拍数、ヘモグロビンレベル、体温、酸素レベル、グルコースレベル、コレステロール、及び血圧に関するリアルタイムの非侵襲的で正確な連続データを提供することができる。いくつかの実施では、ウェアラブル診断装置はまた、心電図(EKG)データ、及びユーザの手の不随意運動などのパーキンソン病の症状の検出を提供することもできる。ユーザは、上記の診断検査の1つ又は複数に関する情報を提供するようにウェアラブル診断装置を構成することができる。ウェアラブル診断装置の実施は、図を参照して以下に説明する。
【0028】
図1図5は、ウェアラブル診断装置の異なる図を示す。いくつかの実施では、ウェアラブル診断装置は、図1図5に示されるように時計の形態で実施することができる。図6は、いくつかの実施によるウェアラブル診断装置に含まれる構成要素のさらなる詳細を示す。一般に、ウェアラブル診断装置は、様々な適切な形状、形態、及びサイズで実施することができ、かつユーザの左腕に取り付けることができ、該ユーザの複数の健康診断測定値を得ることができるあらゆる電子装置であり得る。
【0029】
図1図5を参照すると、ウェアラブル時計は、ケーシング101、ディスプレイ102、取り外し可能な無線心電極103、113、ベルト104、109、圧電振動センサ105、赤外線(IR)/光/レーザーセンサ106、コネクタ107、温度センサ108、制御ボタン110、111、背面カバー112、ベルトコネクタ114、ベルトファスナ115、充電コネクタ116、電源117、外側ベルト層118、120、絶縁ワイヤ119、加速度計121、電力マネージャ122、システムオンチップ(SoC)123、及び電源スイッチ124を備えることができる。ウェアラブル時計は、ユーザの左腕150に装着することができる。
【0030】
ケーシング101は、ディスプレイ102、充電コネクタ116、制御ボタン110、111、並びにプロセッサ、プリント回路基板(PCB)、集積回路(IC)、SoC 123、メモリ、及び無線トランシーバなどの1つ又は複数の電子部品を備えるか、又はこれらに結合することができる。ディスプレイ102は、様々なデータを表示するために、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、又は有機LEDディスプレイを含むあらゆる適切なディスプレイを使用して実施することができる。いくつかの実施では、ディスプレイ102は、静電容量式タッチスクリーンなどのタッチスクリーンであり得る。
【0031】
ディスプレイ102は、ユーザにデータを出力し、かつ該ユーザからの入力を受け取るように構成されたユーザインターフェイスを表示することができる。制御ボタン110、111は、ユーザが使用して、ユーザインターフェイスをナビゲートし、選択を行い、1つ又は複数の動作をウェアラブル診断装置で実行することができる。いくつかの実施では、ディスプレイ102は、ユーザから選択を受け取ることができ、該ユーザの選択を示す情報をウェアラブル時計又はネットワーク装置の1つ又は複数のプロセッサに提供することができる。いくつかの実施では、ディスプレイ102は、1つ又は複数のプロセッサからデータを受け取ることができ、そのデータをディスプレイ102に提供してユーザに出力することができる。例えば、場合によっては、ユーザは、ユーザインターフェイスを介してユーザのグルコースレベルを提供する要求を入力することができる。ユーザのグルコースレベルを決定した後、該ユーザのグルコースレベルを示す情報を、ディスプレイ102上に表示されたユーザインターフェイスを介して出力することができる。
【0032】
ケーシング101内の1つ又は複数のプロセッサは、PCB又はICで実施することができ、メモリ、ディスプレイ102、及び無線トランシーバなどのウェアラブル診断装置の他の電子部品に電気的に接続することができる。例えば、プロセッサは、ディスプレイ102からユーザの選択を示すデータを受け取ることができ、ユーザによって要求された情報の種類を決定し、そして該ユーザによって要求された情報に基づいて1つ又は複数の動作を実行するコマンドを生成することができる。
【0033】
いくつかの実施では、1つ又は複数のプロセッサは、無線トランシーバを使用してデータを送受信することができる。データは、ウェアラブル診断装置と二次装置との間で送受信することができる。二次装置は、ユーザによって選択される装置、ネットワークサーバ、又はウェアラブル時計と通信するように構成された装置であり得る。例えば、ユーザは、自身が所有する別の装置を選択して、ウェアラブル診断装置からそこにデータを送信することができる。別の例では、ウェアラブル診断装置は、ユーザの要求又は送受信データの所定の予定に従って、1つ又は複数のネットワークサーバに対してデータを送受信するように構成することができる。
【0034】
1つ又は複数のネットワークサーバは、1つ又は複数のデータベース、アクセスポイント、基地局、ストレージシステム、クラウドシステム、及びモジュールを含み得る1つ又は複数のネットワークにサービスを提供することができる。1つ又は複数のサーバは、ネットワークオペレーティングシステムを実行する一連のサーバであり得る。1つ又は複数のサーバは、クラウド及び/又はネットワークコンピューティングに使用することもできるし、かつ/又はこれらを提供することもできる。
【0035】
ネットワーク内のデータベースは、クラウドデータベース、又はデータベース管理システム(DBMS)によって管理されるデータベースを含み得る。DBMSは、データベース内のデータの整理、保存、管理、及び検索を制御するエンジンとして実施することができる。DBMSは、多くの場合、問い合わせる能力、バックアップを取り、複製する能力、規則を適用する能力、セキュリティを提供する能力、計算を行う能力、ログの変更及びログへのアクセスを行う能力、最適化を自動化する能力を提供する。DBMSは、典型的には、モデリング言語、データ構造、データベース問い合わせ言語、及びトランザクション機構を含む。モデリング言語は、データベースモデルに従ってDBMSの各データベースのスキーマを定義するために使用され、データベースモデルには、階層モデル、ネットワークモデル、関係モデル、オブジェクトモデル、又はその他の適用可能な既知若しくは便利な機構が含まれ得る。データ構造には、フィールド、レコード、ファイル、オブジェクト、及びデータを保存するためのその他の適用可能な既知の又は便利な構造が含まれ得る。DBMSはまた、保存されるデータについてのメタデータを含み得る。
【0036】
いくつかの実施では、データベースは、エイリアス名、病歴、及びユーザのあらゆる病状などの該ユーザの情報を保存することができるユーザデータベースを含み得る。ユーザデータベースはまた、様々なツール及びソフトウェアにアクセスするためのライセンス、許可、及び証明書に関連するデータも保存することができる。場合によっては、ユーザは、ユーザを識別できるいかなる情報も匿名化され、ユーザ識別情報がユーザデータベースにデータを保存する前に削除されるように、ユーザデータを匿名化する選択肢を選択することができる。
【0037】
一般に、様々な適切な無線プロトコルを使用して、ウェアラブル診断装置との間でデータを通信することができる。例えば、ウェアラブル診断装置は、WiFi又はBluetooth通信を使用して1つ又は複数のネットワーク、装置、又はサーバと通信することができる。一般に、様々な種類のネットワークで通信することができ、様々な通信プロトコルを使用することができる。
【0038】
充電コネクタ116は、ユニバーサルシリアルバス又は導線などの電源ケーブルに接続するように構成されたポートであり得る。電源ケーブルに接続されると、充電コネクタ116は、電力インターフェイスとして機能して、外部供給源から電力を供給してウェアラブル時計の電源117を充電することができる。電源117は、あらゆる適切なバッテリとすることができ、ウェアラブル診断装置内のどの電気部品にも電力を供給することができる。
【0039】
ケーシング101は、電源スイッチ124も備える。いくつかの実施では、電源スイッチ124が電源オフ位置にくるような該電源スイッチ124の選択に応じて、1つ又は複数のプロセッサがコマンドを電力マネージャ122に送信して、ディスプレイ102などのウェアラブル診断装置の1つ又は複数の部品への電力の供給を停止することができる。いくつかの実施では、電源スイッチ124が電源オン位置にくるような該電源スイッチ124の選択に応じて、電力マネージャ122が、コマンドを電源117に送信して、ディスプレイ102などのウェアラブル診断装置の1つ又は複数の部品に電力を供給することができる。
【0040】
ケーシング101は、ベルト104、109、コネクタ107、及びベルトコネクタ114に接続され、これらを調整して、ウェアラブル診断装置を異なるサイズの手首の周りに固定することができる。例えば、ベルト104、109及びベルトコネクタ114は、ユーザの手首に巻き付けることができ、ベルトファスナ115は、ベルト104、109及びベルトコネクタ114を定位置に保持することができる。背面カバー112及び心電極113は、ケーシング101の底部に配設することができる。
【0041】
1つ又は複数の絶縁ワイヤ119をウェアラブル診断装置の構造に一体化させて、該ウェアラブル診断装置の様々な部品への電気的接続を提供することができる。例えば、図6に例示されるように、1つ又は複数の絶縁ワイヤ119をウェアラブル診断装置の中心軸に沿って配設して、電源117とケーシング101との間、及び該電源117とIR/光/レーザーセンサ106との間に電気的接続を提供することができる。
【0042】
ウェアラブル診断装置はまた、心電極103、113、圧電振動センサ105、赤外線(IR)/光/レーザーセンサ106、温度センサ108、加速度計121、及びインピーダンスセンサなどの1つ又は複数のセンサも備えることができる。いくつかの実施では、圧電振動センサ105は、微小電気機械システム(MEMS)センサを含み得る。
【0043】
無線心電極103、113は、心臓の収縮中に生成される電圧などの心臓電位波形を検出するように構成された金属導電性材料を含み得る。無線心電極103は、ウェアラブル診断装置の外周に対応する外側ベルト層118に配設される。無線心電極113は、ウェアラブル診断装置がユーザの腕150の周りに固定されたときに該ユーザの皮膚に接触できるように、背面カバー112に配設されるか、又はこれと一体化される。無線心電極103、113は、ウェアラブル診断装置から取り外し、再度取り付けることができ、かつデータを別の電子装置に無線で通信することができる。
【0044】
IR/光/レーザーセンサ106は、信号発生器及び信号検出器を備えることができる。信号発生器は、例えば650~1400ナノメートル(nm)の範囲の波長を有する赤外線信号を生成して送信することができる。この範囲は、ユーザの血中の酸素、グルコース、ヘモグロビン分子の存在を示すデータを得るのに特に有用である。信号検出器は、ユーザの身体から受信した赤外線信号を検出するように構成することができる。
【0045】
いくつかの実施では、IR/光/レーザーセンサ106は、パルス信号を検出し、動脈法(Artery method)において脈波伝播時間(PWTT)を使用して検出された信号を処理することができる。これらのパルス信号は、圧電振動センサ105によって得られたデータと組み合わせて、血圧を非侵襲的に予測することができる。また、IR/光/レーザーセンサ106を使用して、ユーザの血中の酸素飽和レベル(SpO2)を示すデータを非侵襲的に決定する、又は得ることができる。
【0046】
圧電振動センサ105及び加速度計121を使用して、ユーザの手の振動を測定することができる。例えば、加速度計121は、方向、速度、振動、及び回転の変化を検出することができる。温度センサ108を使用して、ユーザの体温を測定することができる。温度センサ108は、様々な適切な方法で実施することができる。例えば、温度センサ108は、熱電対、シリコンバンドギャップセンサ、温度計、又は1つ若しくは複数の検出抵抗器を含むサーミスタであり得る。検出抵抗器における電気抵抗の変化は、体温の変化に対応し得る。いくつかの実施では、温度センサは、ICの単一パッケージに製造された能動及び受動素子並びに抵抗及び半導体材料を含み得る。
【0047】
以下でさらに詳細に説明するように、センサを使用して1つ又は複数の測定値を得ることができる。グルコースレベル、ヘモグロビンレベル、血圧レベル、EKG、心拍数レベル、体温、及び手の振動を決定するためにウェアラブル診断装置を使用して行われる動作を、以下でさらに詳細に説明する。この動作は、ユーザがウェアラブル診断装置を該ユーザの左腕150に配置して、ベルト104、109、ベルトコネクタ114、ベルトファスナ115、及び外側ベルト層118、120の1つ又は複数を調整して、該ウェアラブル診断装置を該ユーザの左腕150の周りに固定してから開始する。
【0048】
ウェアラブル診断装置がユーザの左腕150に固定されると、IR/光/レーザーセンサ106が、該ユーザの橈骨尺骨動脈の真上の該ユーザの左手首の下部に接触し得る。上記のように、IR/光/レーザーセンサ106は、赤外線信号を生成して送信するための信号発生器を備えことができる。信号は、IR/光/レーザーセンサ106からユーザの左手首の下部における該ユーザの皮膚に向かって送信することができる。
【0049】
IR/光/レーザーセンサ106は、ユーザの皮膚からの信号の反射を検出することができる。次いで、吸収スペクトルデータを含む検出された信号を、アナログデジタル変換器(ADC)を使用してデジタル信号に変換することができる。変換の結果、ユーザの皮膚から受け取った信号に対応する生のデジタルデータが生成される。生のデジタルデータを処理して、酸素、グルコース、ヘモグロビンなど、ユーザの血中の様々な分子の存在に対応する吸収スペクトルを決定することができる。吸収スペクトルを決定することにより、ユーザの血中に存在する特定の分子の有無及び対応するレベルを推定することができる。
【0050】
いくつかの実施では、生のデジタルデータの複数のセットが様々な時点で得られるように複数の信号測定値を得ることができる。生のデジタルデータの様々なセットを蓄積及び平均化して、ユーザの生データの単一セットを得ることができる。
【0051】
いくつかの実施では、ウェアラブル診断装置は、ユーザの健康に関連する情報を得ることができる。ユーザの健康に関連する情報には、限定されるものではないが、例えば、ユーザの居住地、ユーザの医師、ユーザの薬剤師、ユーザの医療記録所有者、1つ又は複数の群とのユーザのデモグラフィック関連事項、ユーザの食生活、ユーザの子供の数を示すもの、ユーザの病歴、1つ又は複数の過去又は現在の病状、例えばユーザのアレルギー、手術、遺伝子の状態、ユーザの1つ又は複数の健康上の懸念、及びユーザが詳細を得ることに関心のある1つ又は複数の血中含有レベルが含まれ得る。例えば、ユーザは、自身のグルコースレベル又は血圧レベルに特に関心があることを示すことができる。ユーザはまた、自身のグルコースレベル又は血圧レベルに関する情報を得たい頻度を示すこともできる。
【0052】
ユーザの健康に関連する情報を使用して、ユーザプロフィールを作成することができる。ユーザプロフィールは、ウェアラブル診断装置に、又は該ウェアラブル診断装置から離れた場所にあるデータベース若しくはサーバにローカルに保存することができる。いくつかの実施では、ユーザプロフィールデータは、保存又は使用される前に1つ又は複数の方法で処理できるため、個人識別情報は削除される。例えば、ユーザの個人識別情報を特定できないように、又はユーザの特定の詳細が特定できないように該ユーザが望む程度に該ユーザの地理的な位置、個人情報、若しくはデモグラフィック背景を一般化するように該ユーザの個人情報を処理することができる。従って、ユーザは、どんな情報が収集されるか、及びその情報がどのように使用されるかを制御することができる。これを実施するために、本明細書に記載のシステム、プログラム、若しくは機能がユーザ情報を収集若しくは提供できるかどうか、又はその収集若しくは提供をいつできるかのユーザによる選択を可能にするウェアラブル診断装置を介した制御をユーザに提供することができる。
【0053】
いくつかの実施では、ユーザは、ウェアラブル診断装置がユーザの医療情報をリアルタイムで受信し、更新することができるサービスに加入する、又はこれに加わることを選択することができる。特に、ウェアラブル診断装置は、検査結果、診察結果、診断、又は処方箋を更新することができる。例えば、ユーザは、該ユーザの医師、薬剤師、又は医療記録所有者が、該ユーザの医療情報を、ユーザプロフィールを保存するサーバ又はデータベースに提供することを許可することができる。このサーバ又はデータベースは、ユーザプロフィールを更新するために様々な供給源から情報を収集することができるサブスクリプションサービスによって管理することができる。ウェアラブル診断装置は、リアルタイムで、定期的に、又はユーザの要求に応じて該ユーザの医療情報に関する更新を受け取ることができる。
【0054】
いくつかの実施では、ユーザは、ウェアラブル診断装置のユーザインターフェイスを使用して、該ユーザの健康及び背景に関する情報を直接入力することができる。次いで、入力されたユーザの医療情報を、遠隔に保存するか、又はウェアラブル診断装置に保存することができる。
【0055】
図1図6に関連して説明した特徴は、ユーザの左腕に装着されるウェアラブル診断装置に関するものであるが、ウェアラブル診断装置は、他の様々な形態を有することができ、場合によっては、ユーザの身体の他の部分に装着するか、又は適用できることを理解されたい。さらに、1つ又は複数の追加の部品を、ウェアラブル診断装置に含める、又は結合してもよい。例えば、いくつかの実施では、ウェアラブル診断装置は、音波を使用して情報を出力するスピーカー及び、例えばユーザのコマンド、要求、又はフィードバックに対応する音声入力を受け取るためのマイクの1つ又は複数を備えることができる。
【0056】
いくつかの実施では、ウェアラブル診断装置は、ユーザの健康に関連する受け取った又は取得した情報に基づいて、該ウェアラブル診断装置を装着しているユーザについてのグルコースレベル、ヘモグロビンレベル、又は血圧レベルの1つ又は複数を得るために1つ又は複数の診断検査を行うようにさらに構成することができる。これらのプロセスについては、図7図10でさらに説明する。
【0057】
図7図9、及び図13を参照すると、ウェアラブル診断装置は、検査を行う必要があるという指示を受け取ることができる(702、902、1302)。例えば、ウェアラブル診断装置は、グルコース検査(702)、ヘモグロビン検査(902)、又はコレステロール検査(1302)を行う必要があるという指示を受け取ることができる。検査を行う必要があるという指示には、次の1つ又は複数が含まれ得る:検査を行うためにユーザによって行われる選択;及び予定された時間に従って1つ又は複数のプロセッサによって行われる要求。例えば、ウェアラブル診断装置は、特定の時間に又は一定期間後に血圧測定値を提供するようにプログラムすることができる。次いで、ウェアラブル診断装置は、血圧測定値などの特定の測定値をユーザに提供するべき日時を予定することができ、該予定された時間に血圧レベル及び酸素飽和レベルを測定する方法を開始することができる。
【0058】
検査を行う必要があるという指示を受け取った後(702、902、1302)、ウェアラブル診断装置の1つ又は複数のプロセッサは、検査に利用されるセンサの種類を決定し、決定された種類のセンサを作動させることができ、該センサは、グルコース検査又はヘモグロビン検査の場合、1つ又は複数のIR/光/レーザーセンサを含み得る(704、904)。コレステロール検査の場合、作動されるセンサは、IR/光/レーザーセンサ、インピーダンスセンサ、及び電磁センサの1つ又は複数を含み得る。センサを作動させることには、限定されるものではないが、センサへの電力を増加させること、IR信号などの信号を発信又は受信するためにセンサをウォーミングアップすること、又はセンサを構成若しくは較正することを含む動作が含まれ得る。
【0059】
作動された1つ又は複数のセンサは、ユーザを特徴付ける測定値を得ることができる(706、906、1306)。例えば、1つ又は複数のIR/光/レーザーセンサはそれぞれ、赤外線信号又はパルス信号を短時間、例えば30秒間発信し、発信された信号のユーザの皮膚からの反射を検出するように構成することができる。場合によっては、インピーダンスセンサを使用した反射測定値及び電流測定値は、繰り返し得てもよいし、又は異なるパルス電力若しくは磁場などの異なる環境下で得てもよい。例えば、コレステロール測定の場合、最初の電流又は赤外線信号測定値を磁場をかけずに得ることができ、1つ又は複数の他の電流又は赤外線測定を、様々な低電力強度の磁場が一定期間、例えば10秒間生成された後に行うことができる。
【0060】
グルコース検査及びヘモグロビン検査の場合、測定された検出信号が処理され、特定の経路が生データ値に基づいて選択される(708、908)。特に、検出された信号のそれぞれは、アナログ-デジタル変換器(ADC)を使用して生のデジタルデータに変換できる吸収スペクトルデータを含む。処理には、下方変換、フィルタリング、畳み込み、混合、及びその他の適切な信号処理作業などの追加の処理動作が任意に含まれ得る。
【0061】
ユーザの皮膚から受け取った信号に対応する生のデジタルデータは、特定の経路並びに対応する予測値及び勾配回帰値(slope regression value)を選択するための基礎として使用される(710、910)。例えば、グルコース検査が行われる場合、表Iに示されるような例示的なマッピングを使用して、特定の経路並びに対応する予測値及び勾配回帰値を選択することができる。生の値が500以上700以下の場合、経路A並びに対応する917のグルコース(G)予測値及び0.838のG勾配回帰値が選択される。生の値が701以上850以下の場合、経路B並びに対応する919のG予測値及び0.838のG勾配回帰値が選択される。生の値が851以上950以下の場合、経路C並びに対応する1001のG予測値及び0.838のG勾配回帰値が選択される。生の値が951以上1100以下の場合、経路D並びに対応する1004のG予測値及び0.838のG勾配回帰値が選択される。生の値が1101以上の場合、経路E並びに対応する981のG予測値及び0.838のG勾配回帰値が選択される。
【0062】
表I
【表1】
【0063】
次いで、得られた予測値及び勾配回帰値を使用して、ユーザのグルコースレベルを決定することができる(712)。グルコースレベルを決定するために、ウェアラブル診断装置は、一般化可能性理論及びG勾配回帰を生データのセットに適用して、以下に述べるように[式1]を使用してグルコースレベルを示す値を決定することができる。
グルコース値=予測値(G-臨床サンプリング回帰)-(G回帰勾配)×(生データ) [式1]
【0064】
次いで、決定されたグルコース値を様々な適切な方法によって出力することができる(714)。例えば、決定されたグルコース値は、ウェアラブル診断装置のディスプレイ上に出力してもよいし、又は該ウェアラブル診断装置のスピーカーによって出力してもよい。
【0065】
ヘモグロビン検査が行われているときに、表IIに示されるような例示的なマッピングを使用して、特定の経路並びに対応する予測値及び勾配回帰値を選択することができる。生の値が500以上700以下の場合、経路A並びに対応する31.5のヘモグロビン(Hb)予測値及び0.114のHb勾配回帰値が選択される。生の値が701以上850以下の場合、経路B並びに対応する67のHb予測値及び0.114のHb勾配回帰値が選択される。生の値が851以上950以下の場合、経路C並びに対応する81のHb予測値及び0.114のHb勾配回帰値が選択される。生の値が951以上1100以下の場合、経路D並びに対応する98のHb予測値及び0.114のHb勾配回帰値が選択される。生の値が1101以上の場合、経路E並びに対応する100.5のHb予測値及び0.114のHb勾配回帰値が選択される。
【0066】
表II
【表2】
【0067】
次いで、得られた予測値及び勾配回帰値を使用して、ユーザのヘモグロビンレベルを決定することができる(912)。ヘモグロビンレベルを決定するために、ウェアラブル診断装置は、Hb勾配回帰を生データのセットに適用して、以下に述べるように[式2]を使用してヘモグロビンレベルを示す値を決定することができる。
Hb値=((Hb回帰勾配)×(生データ))-予測値(Hb-臨床サンプリング回帰)[式2]
【0068】
次いで、決定されたヘモグロビン値を様々な適切な方法によって出力することができる(914)。例えば、決定されたヘモグロビン値は、ウェアラブル診断装置のディスプレイ上に出力してもよいし、又は該ウェアラブル診断装置のスピーカーによって出力してもよい。
【0069】
グルコース検査又はヘモグロビン検査において500未満の生データ値の場合、ウェアラブル診断装置は、値が誤っていると判断し、1つ又は複数のIR/光/レーザーセンサによって生データ値を得るために別の試みを開始することができる。3回試行しても500を超える値を得ることができない場合、ウェアラブル診断装置は、グルコース検査又はヘモグロビン検査を現時点では行うことができないことをユーザに示すエラーメッセージを出力することができる。
【0070】
ウェアラブル診断装置を装着しているユーザについてのコレステロールレベル(例えば、HDL、LDL、トリグリセリド分子)を決定するためにコレステロール検査が行われているときに、該ユーザの左手首の下部が、IR/光/レーザーセンサから発信される赤外線信号に曝される。このユーザの皮膚の領域はまた、短期間、例えば、10秒間又は30秒間、磁場に曝すこともでき、その後、コレステロール分子を除いた血液粒子が、正及び負の電磁極に従ってそれ自体を配置する。磁場をかける前後に、赤外線吸収スペクトルを示すデータを得ることができ(1306)、この得られたデータを続いて処理することができる(1308)。得られたデータの処理には、アナログデジタル変換器(ADC)を使用してデータをデジタル信号に変換すること、及び磁場をかける前と後の吸収スペクトル値の差を計算して生の値を得ることが含まれ得る。
【0071】
次に、予測コレステロールレベル値がデータベースから得られる(1310)。データベースは、コレステロールレベルの生の値へのマッピングを含み得、デモグラフィッククラスに従って整理することができる。データベースは、以下で説明するように、複数のヒト対象の検査に基づいて構築することができる。
【0072】
最初に、対象のデモグラフィックプロフィールを記録することができる。デモグラフィックプロフィールには、対象の年齢、性別、民族、肌の色、婚姻状況、及び/又は病状などの該対象に関する様々な種類の説明情報が含まれ得る。例えば、対象は、48歳、白人男性、寡婦、皮膚癌のデモグラフィックプロフィールを有し得る。各対象に対して、様々な適切な方法を使用して侵襲的コレステロール検査を行うことができ、検査結果を対象のプロフィールに追加することができる。
【0073】
次に、上記のように、対象の電流及び赤外線信号測定値をそれぞれ、抵抗センサ及び赤外線センサを使用して得ることができる。電流及び赤外線信号の測定は、磁場をかける前及び磁場を一定期間かけた後に行うことができる。測定した信号の微分値を計算して生の値として保存することができる。生の値を、侵襲的コレステロール検査から得られたコレステロールレベルにマッピングして、対象のプロフィールに保存する。
【0074】
対象の大きいサンプルサイズを使用して、1つ又は複数のデモグラフィッククラス(例えば、性別、民族、年齢など)に従って生の値をコレステロールレベルにマッピングするデータベースを構築することができるように、数百及び数千の対象を検査することができる。いくつかの実施では、コレステロールレベル及び生の値の平均値、中央値、及び最頻値をデモグラフィッククラスごとに決定できるように、統計データを検査から抽出することができる。
【0075】
一般に、様々な種類のデモグラフィッククラスを形成することができる。例えば、場合によっては、デモグラフィッククラスを、年齢、例えば40代の年齢層の人々に限定することができる。場合によっては、デモグラフィッククラスには、年齢と民族、又は年齢と民族と性別などの複数のデモグラフィック特性が含まれ得る。従って、データベースは、特定のデモグラフィッククラスに関連する生の値に基づいて推定コレステロールレベルをマッピングするマッピングテーブルを含み得る。ここで、データベースは、対象の個人情報が明らかにされたり、知られたりすることがないように匿名で構築することができることに留意されたい。
【0076】
図13に戻ると、予測コレステロールレベル値は、動作1308で得られた生の値に基づいてデータベースから得られる(1310)。特に、動作1308で得られた生の値にマッピングされたコレステロールレベル、及びウェアラブル診断装置を装着しているユーザのデモグラフィックプロフィールは、データベースのマッピングテーブルを参照することによって得られる。
【0077】
次に、予測コレステロールレベル値を、ウェアラブル診断装置を装着しているユーザの推定コレステロールレベルであると決定することができる(1312)。いくつかの実施では、予測コレステロールレベル値を、以前に得られたユーザのコレステロールレベルと比較することができる。予測コレステロールレベルとユーザの最後に得られたコレステロールレベルとの間の差が、閾値、例えば3%より大きい場合、ウェアラブル診断装置は、動作1302から1310を繰り返して、新たな予測コレステロールレベルを得ることができる。そのような繰り返しは、予測コレステロールレベル値が、ユーザの最後に得られたコレステロールレベルの閾値の差の範囲内になるまで継続することができる。場合によっては、閾値の差を満たさずに3回の繰り返しが行われた場合、3回目の繰り返しで得られた予測コレステロールレベル値を、ウェアラブル診断装置を装着しているユーザの推定コレステロールレベルとして決定することができる。次いで、ユーザの決定された推定コレステロールレベルを、ウェアラブル診断装置のディスプレイ102によって表示することができる。
【0078】
上記の例示的な実施では、予測値を利用して、グルコースレベル、ヘモグロビンレベル、又はコレステロールレベルを決定した。予測値は、様々な異なる方法を使用して、いくつかの因子に基づいて決定することができる。コレステロールレベルの予測値を得る方法は、上で説明している。グルコースレベル及びヘモグロビンレベルの予測値を得るための方法は、図8及び図10に関連してさらに説明する。
【0079】
図8を参照すると、ユーザのグルコースレベルの予測値を得るために、ウェアラブル診断装置は、ユーザプロフィール情報を得ることができる(802)。ユーザプロフィール情報には、ユーザの居住地、ユーザの医師、ユーザの薬剤師、ユーザの医療記録所有者、1つ又は複数の群とのユーザのデモグラフィック関連事項、ユーザの食生活、ユーザの子供の数を示すもの、ユーザの病歴、1つ又は複数の過去又は現在の病状、例えばユーザのアレルギー、手術、遺伝子の状態、ユーザの1つ又は複数の健康上の懸念、及びユーザが詳細を得ることに関心のある1つ又は複数の血中含有レベルの1つ又は複数が含まれ得る。
【0080】
ユーザのプロフィールからの情報を使用して、ウェアラブル診断装置は、該ユーザの血圧及び体温に基づいて、該ユーザのグルコースの臨床相関情報値(cCIG)を決定することができる(804)。いくつかの実施では、cCIGは、推定血圧及び推定体温を表す値のマトリックスであり得る。一般に、様々な適切な方法を利用して、ユーザの血圧及び体温を得ることができる。いくつかの実施では、血圧は、図11及び図12を参照して本明細書で説明されるように得ることができ、体温は、ウェアラブル診断装置に含まれる温度センサを使用して得ることができる。場合によっては、cCIGは、医師のレポート、過去又は現在の病状、臨床診断などのデータを含むユーザの病歴などのユーザプロフィールから得られた臨床情報を使用して決定することができる。
【0081】
次に、ウェアラブル診断装置は、ユーザのグルコースの臨床関連デモグラフィック値(cLDG)を決定することができる(806)。cLDGは、ユーザのデモグラフィック群、ユーザの年齢、及びユーザの他の個人的特性などの1つ又は複数のユーザの特性に一部基づいて決定することができる。例として、上記の生のグルコース値が経路Aなどの特定の経路に関連する場合、又はユーザプロフィールがユーザの特定のデモグラフィック起源若しくはプロフィールを示す場合、cLDG値は、cLDG値が生のグルコース値又はユーザの特定のデモグラフィック起源若しくはプロフィールに対応するように決定することができる。いくつかの実施では、cLDGは、ユーザが次の個人情報を提供することに同意した場合、様々な特性、例えば該ユーザの年齢、食生活、性別を表す値のマトリックスであり得る。
【0082】
cCIG及びcLDGを得た後、ウェアラブル診断装置は、cCIG及びcLDGに基づいて臨床データセットの範囲を決定することができる(810)。決定された臨床データセットの範囲は、ユーザのグルコースレベルのグルコース予測値にマッピングされる(812)。様々な臨床データセットの範囲及びグルコース予測値を保存するデータベースは、決定された臨床データセットの範囲で問い合わせを行うことができ、かつ該決定された臨床データセットの範囲にマッピングするグルコース予測値を返すことができる。次いで、グルコース予測値を提供することができ、該グルコース予測値を、ユーザのグルコースレベルの決定に利用することができる(814)。
【0083】
図10を参照すると、ユーザのヘモグロビンレベルの予測値を得るために、ウェアラブル診断装置は、ユーザプロフィール情報を得ることができる(1002)。ユーザプロフィール情報には、ユーザの居住地、ユーザの医師、ユーザの薬剤師、ユーザの医療記録所有者、1つ又は複数の群とのユーザのデモグラフィック関連事項、ユーザの食生活、ユーザの子供の数を示すもの、ユーザの病歴、1つ又は複数の過去又は現在の病状、例えばユーザのアレルギー、手術、遺伝子の状態、ユーザの1つ又は複数の健康上の懸念、及びユーザが詳細を得ることに関心のある1つ又は複数の血中含有レベルの1つ又は複数が含まれ得る。
【0084】
ユーザのプロフィールからの情報を使用して、ウェアラブル診断装置は、ユーザのヘモグロビンの臨床相関情報値(cCIHb)を決定することができる(1004)。cCIHbは、医師のレポート、過去又は現在の病状、臨床診断などのデータを含むユーザの病歴などのユーザプロフィールから得た臨床情報を使用して決定することができる。いくつかの実施では、cCIHbは、ユーザが次の個人情報を提供することに同意した場合、該ユーザの病歴の様々な側面を表す値のマトリックスであり得る。
【0085】
次に、ウェアラブル診断装置は、ユーザの酸素飽和度データ及び体温データを得ることによって該ユーザのヘモグロビンの臨床関連デモグラフィック値(cLDHb)を決定することができる(1006)。いくつかの実施では、cLDHbは、ユーザの推定酸素飽和度及び体温を表す値のマトリックスであり得る。一般に、様々な適切な方法を利用して、ユーザの酸素飽和度及び体温を得ることができる。いくつかの実施では、酸素飽和度は、図11を参照して本明細書で説明されるように得ることができ、体温は、ウェアラブル診断装置に含まれる温度センサを使用して得ることができる。いくつかの実施では、cLDHbは、ユーザのデモグラフィック群、ユーザの年齢、及びユーザの他の個人的特性などの1つ又は複数のユーザ特性などのユーザプロフィールによって提供される情報に一部基づいて決定することができる。
【0086】
cCIHb及びcLDHbを得た後、ウェアラブル診断装置は、cCIHb及びcLDHbに基づいて臨床データセットの範囲を決定することができる(1010)。決定された臨床データセットの範囲は、ユーザのヘモグロビンレベルのヘモグロビン予測値にマッピングされる(1012)。様々な臨床データセットの範囲及びヘモグロビン予測値を保存するデータベースは、決定された臨床データセットの範囲で問い合わせを行うことができ、かつ該決定された臨床データセットの範囲にマッピングするヘモグロビン予測値を返すことができる。次いで、ヘモグロビン予測値を提供することができ、該ヘモグロビン予測値を、ユーザのヘモグロビンレベルを決定するために利用することができる(1014)。
【0087】
血圧データ及び体温データを利用することに加えて、予測値を利用してユーザのグルコースレベル及びヘモグロビンレベルを決定することにより、ユーザの決定されたグルコースレベル及びヘモグロビンレベルは、予測値を利用しないでグルコースレベル及びヘモグロビンレベルを決定する方法と比較してはるかに高い精度を有する。予測値には、ユーザの臨床情報及びデモグラフィック情報が含まれているため、グルコースレベル又はヘモグロビンレベルに影響を与え得る肌の色や年齢などのパラメータをより正確に考慮して計算を行うことができる。予測値を使用して、該予測値を特定の疾患に対するユーザの感受性に関連付けることもでき、これにより、ユーザは予防措置を講じて、これらの疾患に罹患する確率を最小限に抑え、該ユーザの健康及び平均余命を改善することができる。さらに、これらの複数の検査を行うことができ、検査結果を要求に応じて単一装置によって得ることができ、ユーザに高度の利便性を提供する。
【0088】
ユーザのグルコースレベル及びヘモグロビンレベルを得ることに加えて、ウェアラブル診断装置は、ユーザの血圧レベル及び酸素飽和レベルを決定することができる。ユーザの血圧レベル及び酸素飽和レベルを決定するための例示的な方法のフローチャートが図11に示されている。最初に、ウェアラブル診断装置は、血圧測定を行う必要があるという指示を受け取ることができる(1102)。血圧測定を行う必要があるという指示は、血圧測定値を提供するためにユーザによって行われる1つ又は複数の選択、及び予定された時間に従って1つ又は複数のプロセッサによって行われる要求を含み得る。例えば、ウェアラブル診断装置は、特定の時間に、又は一定期間後に血圧測定値を提供するようにプログラムすることができる。次いで、ウェアラブル診断装置は、血圧測定値をユーザに提供する必要がある日時を予定することができ、予定された時間に血圧レベル及び酸素飽和レベルを決定する方法を開始することができる。
【0089】
血圧測定を行う必要があるという指示を受け取った後(1102)、ウェアラブル診断装置は、血圧検査に利用されるセンサの種類を決定し、決定された種類のセンサを作動させることができ、血圧検査の場合には、該決定された種類のセンサには、圧電振動センサ及びIR/光/レーザーセンサが含まれ得る(1104)。センサを作動させることには、限定されるものではないが、センサへの電力の増加させること、及びセンサを構成又は較正することを含むいくつかの動作が含まれ得る。
【0090】
作動された圧電振動センサ及びIR/光/レーザーセンサは、ユーザの測定値を得ることができる(1106)。例えば、圧電振動センサは、ユーザの手の動き、位置、接近、速度、及び方向の1つ又は複数を感知又は検出して、検出された接触、振動、及び衝撃による動きの1つ又は複数に対応する電気信号を生成するように構成されている。IR/光/レーザーセンサは、赤外線信号を発信し、発信された赤外線信号のユーザの皮膚から反射を検出するように構成されている。いくつかの実施では、前置増幅器を使用して、圧電振動センサによって得られた弱いパルス信号を増幅することができる。
【0091】
圧電振動センサ及びIR/光/レーザーセンサによって検出された信号を、例えば、アナログ-デジタル変換(ADC)及びフィルタリング動作を行うことによって処理して、赤外線標的検出(IRTD)値及び圧電振動(PV)値を生成することができる(1108)。一般に、圧電振動センサ及びIR/光/レーザーセンサによって検出された信号に対して、様々な信号処理動作を行うことができる。いくつかの実施では、動作1104~1108を複数回繰り返すことができ、複数のIRTD値及びPV値の平均値を決定することができる。
【0092】
処理には、決定されたIRTD値及びPV値を予測IRTD値及びPV値と比較することも含まれ得る。この比較により、2セットの血圧値が生成される。2セットの血圧値のそれぞれを平均して、収縮期血圧値及び拡張期血圧値をそれぞれ得る(1112)。収縮期血圧値及び拡張期血圧値を利用して、下記の[式3]を使用して平均動脈圧(MAP)を決定することができる。
MAP=拡張期血圧+(1/3)(収縮期血圧-拡張期血圧) [式3]
【0093】
血圧測定値についての予測値の生成は、図12を参照して以下に説明する。いくつかの実施では、ユーザの血液の酸素飽和レベルは、[式4]を使用して決定することもできる(1110)。
酸素飽和レベル=((CHbO2)/(CHbO2+CHb))×100 [式4]
【0094】
[式4]において、CHbO2は、酸素化ヘモグロビンの濃度に等しく、CHbは、脱酸素化ヘモグロビンの濃度に等しい。CHbO2及びCHbの値は、赤外線センサを使用することによって得ることができる。
【0095】
動作1110及び1112の後、血圧値及び酸素飽和値が出力される(1114)。例えば、いくつかの実施では、血圧値及び酸素飽和値がディスプレイに表示される。いくつかの実施では、血圧値及び酸素飽和値が音声スピーカーから出力される。いくつかの実施では、血圧値及び酸素飽和値は、電子メール、SMS、又はMMSなどのメッセージを使用して別の電子装置に通信することができる。メッセージは、ユーザの入力なしで自動的に生成して追加することができる。ユーザは、血圧値及び酸素飽和値を含むメッセージを他の電子装置に送信する必要があるかどうかを確認するように指示され得る。
【0096】
上記の例示的な実施では、ユーザの血圧を決定するために予測値が利用された。予測値は、様々な異なる方法を使用して、いくつかの因子に基づいて決定することができる。図12を参照すると、ユーザの血圧の予測値を得るために、ウェアラブル診断装置は、動作802及び1002で説明されているように、ユーザプロフィール情報を得ることができる(1202)。ウェアラブル診断装置は、ユーザプロフィールからユーザの臨床情報及びデモグラフィック情報を得ることができる。
【0097】
ユーザのプロフィールからの情報を使用して、ウェアラブル診断装置は、ユーザの血圧の臨床相関情報値(cCIBP)を決定し、EKGデータを得ることができる(1204)。cCIBPは、医師のレポート、過去又は現在の病状、臨床診断などのデータを含むユーザの病歴などのユーザプロフィールから得た臨床情報を使用して決定することができる。EKGデータは、様々な適切な供給源、例えばユーザの病歴などから得ることができる。
【0098】
次に、ピーク値、及びピーク値間、特にR波間の時差を決定するために、EKGデータが処理される(1206)。ウェアラブル診断装置はまた、ユーザの血圧の臨床関連デモグラフィック値(cLDBP)を決定することもできる(1206)。いくつかの実施では、ウェアラブル診断装置の1つ又は複数のプロセッサが、ユーザのEKGでピーク値及び検出されたピーク値間の時差を検出する1つ又は複数のプログラム及びアルゴリズムを実行することができる。いくつかの実施では、cLDBPは、ユーザのデモグラフィック群、ユーザの年齢、及びユーザの他の個人的特性などの1つ又は複数のユーザ特性に一部基づいて決定することができる。いくつかの実施では、cLDBPは、ユーザが次の個人情報を提供することに同意した場合、様々な特性、例えば、該ユーザの年齢、食生活、性別などを表す値のマトリックスであり得る。
【0099】
cCIBP及びcLDBPを得た後、ウェアラブル診断装置は、cCIBP及びcLDBPに基づいて臨床データセットの範囲を決定することができる(1208)。決定された臨床データセットの範囲は、ユーザのグルコースレベルの血圧予測値にマッピングされる(1210)。様々な臨床データセットの範囲及び血圧予測値を保存するデータベースは、決定された臨床データセットの範囲で問い合わせを行うことができ、かつ該決定された臨床データセットの範囲にマッピングする血圧予測値を返すことができる。次いで、血圧予測値を提供することができ、該血圧予測値を、ユーザの血圧レベルを決定するために利用することができる(1212)。
【0100】
いくつかの実施では、ウェアラブル診断装置は、該ウェアラブル診断装置を装着しているユーザのEKG及び心拍数レベルを得るためのプロセスを実行することができる。
【0101】
ウェアラブル診断装置がユーザの左腕に固定されるときに、第1の心電極を、該ウェアラブル診断装置の底面又はその内部に配置することができ、ユーザの左手首の上側に接触させることができる。第2の心電極は、ユーザの左腕の皮膚に接触することなくウェアラブル診断装置の上面又はその内部に配置される。第1の心電極は、ユーザの左腕の手首の上部から信号を得ることができ、第2の心電極は、該第2の心電極がユーザの胸に配置された状態で2つの信号を得ることができる。得られた信号には、心臓の収縮中に生成される電圧などの心電位波形が含まれ得る。3つの信号から得られるデータは、PQRST(Provocation, Quality, Radiation, Severity, Time)波に変換される。PQRST波を使用して、アイントホーフェンの三角形、EKGプロットを生成し、ユーザの心拍などの追加情報を計算することができる。場合によっては、PQRST波を使用して心臓の状態を診断することができる。
【0102】
いくつかの実施では、ウェアラブル診断装置は、該ウェアラブル診断装置を装着しているユーザについての体温を得るためのプロセスを実行することができる。ウェアラブルな診断装置が、ユーザの腕に巻き付けられて該ユーザの皮膚に接触すると、該ウェアラブル診断装置の温度センサが、該皮膚の接触に基づいて該ユーザの体温を得る。例えば、温度センサは、手首に接触することができ、一定期間にわたってユーザの体温データを得ることができる。温度センサは、センサデータを1つ又は複数のプロセッサに提供し、該プロセッサは、受け取ったデータを華氏スケールに変換し、1つ又は複数の期間にわたって得た体温データを平均して、ユーザの推定体温を得ることができる。
【0103】
いくつかの実施では、ウェアラブル診断装置は、該ウェアラブル診断装置を装着しているユーザについての手の振動を得るためのプロセスを実行することができる。1つ又は複数のプロセッサは、タイマー及び加速度計又は圧電振動センサを用いて動作を実行して、手の振動測定値を得ることができる。例えば、ユーザが手の振動に関する情報を確認することに関心があるという指示を受け取ると、プロセッサは、特定の期間、例えば60秒にタイマーを設定し、一定期間にわたって振動データを得るように加速度計又は圧電振動センサに指示することができる。加速度計又は圧電振動センサは、一定期間におけるユーザの手の振動の数及び強さを感知し、振動の数を示すデータをプロセッサに提供することができる。
【0104】
プロセッサは、振動の数を示すデータを受け取ることができ、振動の周波数を決定することができる。振動が3~7ヘルツ(Hz)の周波数を有する場合、該振動は、パーキンソン病の振戦に関連する振動として分類することができる。プロセッサはまた、加速度計又は圧電振動センサから振幅情報を得て、パーキンソン病の振戦に関連するあらゆる振動の強さを決定することもできる。振動のタイミング、強度、及び周波数を示すデータは、記憶装置内のユーザプロフィールに保存することができ、かつ/又はディスプレイによってユーザに提示することができる。
【0105】
ユーザのグルコースレベル、ヘモグロビンレベル、血圧レベル、EKG、心拍数レベル、体温、手の振動、及びコレステロールレベルに関する情報を得るための上記のプロセスは、並行して、同時に、又は異なる時間に行うことができる。ウェアラブル診断装置は、いつでも及びユーザの要求に応じてこれらのどのプロセスも実行するのに十分な処理能力を備えている。
【0106】
いくつかの実施では、複数の診断検査を順次又は同時に行うことができる。例えば、EKG検査は、血圧検査の前又は最中に行うことができる。酸素飽和度検査及び体温検査は、ヘモグロビン検査の前又は最中に行うことができる。血圧検査及び体温検査は、グルコース検査の前又は最中に行うことができる。他のバリエーション及び組み合わせも可能である。一例として、ユーザが糖尿病であるなどの特定の状態の病歴を有する場合、ウェアラブル診断装置は、ユーザの状態に最も関連するグルコース診断検査などの検査を定期的に行うことができ、該最も適切な診断検査の前、後、又は最中に、血圧検査、コレステロール検査、又は酸素飽和度検査などの他の検査を行うことができる。
【0107】
いくつかの実施では、ユーザは、1種類の診断検査、例えばグルコース検査を行うための要求を入力することができるが、ウェアラブル診断装置は、ユーザが要求した診断検査と共に行われるべき1つ又は複数の検査、例えば血圧検査を決定することができる。追加の検査、例えば、ユーザによって、デフォルトの設定によって、メーカーの設定によって、医師の勧めによって同時に、順次、又は対で行われる、頻繁に選択される検査などは、1つ又は複数の基準に基づいて決定することができる。いくつかの実施では、追加の検査は、ユーザの病歴に基づいて決定することができる。例えば、ユーザが糖尿病及び高血圧に罹患している場合、該ユーザが血圧検査を選択するたびに、ウェアラブル診断装置は、グルコース検査も行うことができる。ユーザがグルコース検査を選択した場合、ウェアラブル診断装置は血圧検査も行うことができる。
【0108】
上記のプロセスの1つ又は複数の実行から得られる結果は、ウェアラブル診断装置内のメモリに保存するか、又はユーザに関連するデータベース若しくはクラウドアカウントに保存することができる。上記のプロセスの1つ又は複数の実行から得られる結果はまた、ディスプレイに表示してもよい。いくつかの実施では、ウェアラブル診断装置は、決定されたグルコースレベル、ヘモグロビンレベル、血圧レベル、EKG、心拍数レベル、体温、及び手の振動の1つ又は複数が深刻な病状を示している場合、視覚アラーム、音声アラーム、又は電子アラームを出力することができる。例えば、ウェアラブル診断装置は、例えば、EKGに異常な心臓の動きの兆候が含まれている場合、又は体温が華氏102度を超えている場合、ユーザに医師の診察を勧める、音波などの音声出力を生成することができる。
【0109】
本明細書で説明される実施及び/又は動作は、デジタル電子回路、又は本明細書に開示される構造及びその構造的等価物を含むコンピュータソフトウェア、ファームウェア、若しくはハードウェア、又はこれらの1つ若しくは複数の組み合わせで実施できることを理解されたい。実施は、1つ又は複数のコンピュータプログラム製品、例えば、データ処理装置によって実行される、又は該データ処理装置の動作を制御するためのコンピュータ可読媒体に符号化されたコンピュータプログラム命令の1つ又は複数のモジュールとして実施することができる。コンピュータ可読媒体は、機械可読記憶装置、機械可読記憶基板、メモリ装置、機械可読伝播信号を発生する組成物(composition of matter)、又はそれらの1つ又は複数の組み合わせであり得る。「データ処理装置」という用語は、例として、プログラム可能なプロセッサ、コンピュータ、又は複数のプロセッサ若しくはコンピュータを含む、データを処理するためのすべての機器、装置、及び機械を包含する。機器は、ハードウェアに加えて、当該コンピュータプログラムの実行環境を生成するコード、例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、又はそれらの1つ又は複数の組み合わせを構成するコードを含み得る。伝播信号は、人工的に生成された信号、例えば、適切な受信機器への送信のための情報を符号化するために生成される機械生成の電気信号、光学信号、又は電磁信号である。
【0110】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、又はコードとしても知られている)は、コンパイラ型言語又はインタープリタ型言語を含むあらゆる形式のプログラミング言語で記述することができ、スタンドアロンプログラムとして、又はモジュール、コンポーネント、サブルーチン、若しくはコンピューティング環境での使用に適したその他のユニットとしてを含め、任意の形式で展開することができる。コンピュータプログラムは、必ずしもファイルシステム内のファイルに対応しているとは限らない。プログラムは、他のプログラム又はデータ(例えば、マークアップ言語ドキュメントに保存された1つ又は複数のスクリプト)を保持するファイルの一部に、当該プログラム専用の単一ファイルに、又は複数の連携ファイル(例えば、1つ又は複数のモジュール、サブプログラム、又はコードの一部を保存するファイル)に保存することができる。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で、又は1つのサイトに配置されているか、若しくは複数のサイトに分散し、通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行することができる。
【0111】
本明細書で説明されるプロセス及び論理の流れは、入力データ上で動作して出力を生成することによって動作を行うために1つ又は複数のコンピュータプログラムを実行する1つ又は複数のプログラム可能なプロセッサによって行うことができる。プロセス及び論理の流れはまた、専用論理回路、例えばFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)によって行ってもよく、また機器を専用論理回路として実施してもよい。
【0112】
コンピュータプログラムを実行するコンピュータのプロセッサは、例として、汎用マイクロプロセッサ及び専用マイクロプロセッサの両方、及びあらゆる種類のデジタルコンピュータの任意の1つ又は複数のプロセッサを含む。一般に、プロセッサは、読み取り専用メモリ若しくはランダムアクセスメモリ、又はその両方から命令及びデータを受け取る。
【0113】
本明細書は多数の特定のものを含むが、これらは、開示の範囲又は請求され得るものに対する制限として解釈されるべきではなく、むしろ特定の実施態様に特有の特徴の説明として解釈されるべきである。別個の実施態様の文脈における本明細書で説明されている特定の特徴は、単一の実施態様において組み合わせて実施することもできる。逆に、単一の実施態様の文脈において説明されている様々な特徴は、複数の実施態様で個別に、又は任意の適切な部分的な組み合わせで実施することもできる。さらに、特徴は、特定の組み合わせで作用するとして上記の通りであり得、そのようなものとして請求されることさえあり得るが、請求される組み合わせからの1つ又は複数の特徴は、場合によっては、組み合わせから削除してもよく、かつ請求される組み合わせは、部分的な組み合わせ又は部分的な組み合わせの変形を対象としてもよい。
【0114】
1つ又は複数の句及び少なくとも1つの句は、要素のあらゆる組み合わせを含むことを理解されたい。例えば、A及びBの1つ又は複数という句は、A、B、又はAとBの両方を含む。同様に、A及びBの少なくとも一方という句は、A、B、又はAとBの両方を含む。
【0115】
従って、特定の実施を説明してきた。他の実施は以下の特許請求の範囲内である。例えば、特許請求の範囲に記載される動作は、異なる順序で行われてもなお、望ましい結果を達成することができる。
本件出願は、以下の態様の発明を提供する。
(態様1)
1つ又は複数のコンピュータ装置及び1つ又は複数の記憶装置を備えるシステムであって、該1つ又は複数の記憶装置が、該1つ又は複数のコンピュータ装置によって実行されると該1つ又は複数のコンピュータ装置に次の動作:
ユーザの病状を検出するための非侵襲的診断検査の開始要求に対応する入力を受け取ること;
該非侵襲的診断検査を行うための1つ又は複数のセンサを特定すること;
該非侵襲的診断検査に基づいて、該特定された1つ又は複数のセンサを作動させること;
該1つ又は複数のセンサを介して信号データを受信すること;
ユーザプロフィールに一部基づいて該非侵襲的診断検査の予測値を得ること;
該予測値及び該受信信号データに基づいて検査結果を決定すること;並びに
該検査結果をディスプレイ又はスピーカーを介して出力すること、を実行させる命令を記憶している、前記システム。
(態様2)
前記非侵襲的診断検査には、グルコース検査、コレステロール検査、ヘモグロビン検査、酸素飽和レベル検査、及び心電図モニタリング検査の1つ又は複数が含まれる、態様1記載のシステム。
(態様3)
前記動作が:
前記受信信号データから得た生データに基づいて経路を選択すること;及び
該選択された経路に基づいて決定された値のセットを得ることをさらに含み、
前記予測値及び受信信号データに基づいて検査結果を決定することが、該決定された値に基づいて該検査結果を決定することを含む、態様1記載のシステム。
(態様4)
前記動作が:
1つ又は複数のデータベースからユーザの臨床データ及びユーザのデモグラフィックデータを得ること;
該得たユーザの臨床データ及び該ユーザのデモグラフィックデータに基づいて臨床データセットの範囲を決定すること;並びに
該臨床データセットの範囲を前記非侵襲的診断検査の予測値にマッピングすることをさらに含む、態様1記載のシステム。
(態様5)
前記動作が:
行われるべき第2の非侵襲的診断検査を、(i)該第2の非侵襲的診断検査を前記非侵襲的診断検査に関連付けるユーザパターン、及び(ii)ユーザの病歴に基づいて決定すること;
該第2の非侵襲的診断検査に基づいて1つ又は複数のセンサの第2のセットを作動させること;
該1つ又は複数のセンサの第2のセットを介して第2の信号データを受信すること;
前記ユーザプロフィールに一部基づいて、該第2の非侵襲的診断検査の第2の予測値を得ること;並びに
該第2の予測値及び該受信した第2の信号データに基づいて第2の検査結果を決定することをさらに含む、態様1記載のシステム。
(態様6)
前記非侵襲的診断検査の予測値を得ることが、前記第2の検査結果を使用して前記非侵襲的診断検査の予測値を決定することを含む、態様5記載のシステム。
(態様7)
前記第2の非侵襲的診断検査が、グルコース検査である前記非侵襲的診断検査と同時に行われるコレステロール検査である、態様5記載のシステム。
(態様8)
前記非侵襲的診断検査及び前記第2の非侵襲的診断検査が、前記1つ又は複数のコンピュータ装置を備える時計によって行われる、態様5記載のシステム。
(態様9)
前記1つ又は複数のセンサが、無線心電極、圧電振動センサ、赤外線センサ、温度センサ、加速度計、及び微小電気機械システム(MEMS)センサの1つ又は複数を含む、態様1記載のシステム。
(態様10)
ユーザの病状を検出するための非侵襲的診断検査の開始要求に対応する入力を受け取ること;
該非侵襲的診断検査を行うための1つ又は複数のセンサを、1つ又は複数のコンピュータ装置によって特定すること;
該非侵襲的診断検査に基づいて、該特定された1つ又は複数のセンサを作動させること;
該1つ又は複数のセンサを介して信号データを受信すること;
該1つ又は複数のコンピュータ装置によって、ユーザプロフィールに一部基づいて該非侵襲的診断検査の予測値を得ること;
該1つ又は複数のコンピュータ装置によって、該予測値及び該受信した信号データに基づいて検査結果を決定すること;並びに
1つ又は複数のコンピュータ装置によって、該検査結果をディスプレイ又はスピーカーを介して出力することを含む、コンピュータ実施方法。
(態様11)
前記非侵襲的診断検査には、グルコース検査、コレステロール検査、ヘモグロビン検査、酸素飽和レベル検査、心電図モニタリング検査の1つ又は複数が含まれる、態様10記載のコンピュータ実施方法。
(態様12)
前記動作が:
前記受信した信号データから得た生データに基づいて経路を選択すること;並びに
該選択された経路に基づいて決定された値のセットを得ることをさらに含み、
前記予測値及び受信信号データに基づいて検査結果を決定することが、該決定された値に基づいて該検査結果を決定することを含む、態様10記載のコンピュータ実施方法。
(態様13)
前記動作が:
ユーザの臨床データ及びユーザのデモグラフィックデータを1つ又は複数のデータベースから得ること;
該得られたユーザの臨床データ及び該ユーザのデモグラフィックデータに基づいて臨床データセットの範囲を決定すること;並びに
該臨床データセットの範囲を前記非侵襲的診断検査の予測値にマッピングすることをさらに含む、態様10記載のコンピュータ実施方法。
(態様14)
前記動作が:
行われるべき第2の非侵襲的診断検査を、(i)該第2の非侵襲的診断検査を前記非侵襲的診断検査に関連付けるユーザパターン、及び(ii)ユーザの病歴に基づいて決定すること;
該第2の非侵襲的診断検査に基づいて1つ又は複数のセンサの第2のセットを作動させること;
該1つ又は複数のセンサの第2のセットを介して第2の信号データを受信すること;
前記ユーザプロフィールに一部基づいて、第2の非侵襲的診断検査の第2の予測値を得ること;並びに
該第2の予測値及び該受信した第2の信号データに基づいて該第2の検査結果を決定することをさらに含む、態様10記載のコンピュータ実施方法。
(態様15)
前記非侵襲的診断検査の予測値を得ることが、前記第2の検査結果を使用して前記非侵襲的診断検査の予測値を決定することを含む、態様14記載のコンピュータ実施方法。
(態様16)
前記第2の非侵襲的診断検査が、グルコース検査である非侵襲的診断検査と同時に行われるコレステロール検査である、態様14記載のコンピュータ実施方法。
(態様17)
前記非侵襲的診断検査及び前記第2の非侵襲的診断検査が、前記1つ又は複数のコンピュータ装置を備える時計によって行われる、態様14記載のコンピュータ実施方法。
(態様18)
前記1つ又は複数のセンサが、無線心電極、圧電振動センサ、赤外線センサ、温度センサ、加速度計、及び微小電気機械システム(MEMS)センサの1つ又は複数を含む、態様10記載のコンピュータ実施方法。
(態様19)
1つ又は複数のコンピュータ装置及び1つ又は複数の記憶装置を備える時計であって、該1つ又は複数の記憶装置が、該1つ又は複数のコンピュータ装置によって実行されると該1つ又は複数のコンピュータ装置に次の動作:
ユーザプロフィールに基づいてグルコース検査及びコレステロール検査を選択すること;
該グルコース検査及び該コレステロール検査を行うための1つ又は複数のセンサを特定すること;
該特定された1つ又は複数のセンサを作動させること;
該1つ又は複数のセンサを介して信号データを受信すること;
該ユーザプロフィールに一部基づいて該グルコース検査の第1の予測値を得ること;
該第1の予測値及び該受信信号データに基づいてグルコース検査結果及びコレステロール検査結果を決定すること;並びに
該グルコース検査結果及び該コレステロール検査結果を、該時計のディスプレイ又はスピーカーを介して出力すること、を実行させる命令を記憶している、前記時計。
(態様20)
前記1つ又は複数のセンサが、赤外線センサ及び圧電振動センサを含み、
前記動作が:
前記受信した信号データから得られた生データに基づいて経路を選択すること;及び
該選択された経路に基づいて決定された値のセットを得ること、をさらに含み;
前記第1の予測値及び受信信号データに基づいてグルコース検査結果を決定することが、該決定された値に基づいて該グルコース検査結果を決定することを含む、態様19記載の時計。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13