(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-21
(45)【発行日】2023-03-02
(54)【発明の名称】感圧タッチセンサ及び感圧タッチセンサモジュール
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20230222BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20230222BHJP
H01H 13/00 20060101ALI20230222BHJP
H01H 13/64 20060101ALI20230222BHJP
H01H 36/00 20060101ALI20230222BHJP
【FI】
G06F3/041 600
G06F3/041 422
G06F3/044 140
H01H13/00 B
H01H13/64
H01H36/00 J
(21)【出願番号】P 2020559960
(86)(22)【出願日】2019-12-04
(86)【国際出願番号】 JP2019047395
(87)【国際公開番号】W WO2020116500
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-05-11
(31)【優先権主張番号】P 2018227493
(32)【優先日】2018-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【氏名又は名称】伏見 俊介
(72)【発明者】
【氏名】小林 佑輔
【審査官】酒井 優一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-244514(JP,A)
【文献】特開2017-004136(JP,A)
【文献】特開2011-086191(JP,A)
【文献】特開2018-022225(JP,A)
【文献】特開2018-112854(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
H01H 13/00
H01H 13/64
H01H 36/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極と第2の電極の間に弾性層が配置され、押圧力により前記弾性層が厚さ方向に圧縮変形し、前記第1の電極と前記第2の電極の距離が近づくことによる静電容量の変化から押圧を検知する静電容量式の感圧タッチセンサであって、
本体シートと互いに独立した複数の弾性電極シートとを備え、
前記本体シートは、基材シートと前記基材シートの任意の面に設けられた複数の前記第1の電極を有し、前記複数の弾性電極シートの各々は、前記弾性層と、前記弾性層の第1の面側に設けられた前記第2の電極と、前記弾性層の第2の面側に設けられた接着層を有し、
前記複数の弾性電極シートの各々は、前記第2の電極が、複数の前記第1の電極のいずれか1つと対向するように、前記接着層を前記本体シート側にして前記本体シートに接着されており、
複数の前記第1の電極には、各々配線が接続されており、前記第2の電極には、配線が接続されていない感圧タッチセンサ。
【請求項2】
前記本体シートが操作面側に配置され、前記複数の弾性電極シートの各々は、前記本体シートの操作面と反対側に接着されている、請求項1に記載の感圧タッチセンサ。
【請求項3】
前記複数の弾性電極シートの各々は、前記本体シートの操作面側に接着されており、
前記第1の電極は、平面視で前記第2の電極からはみ出していない、請求項1に記載の感圧タッチセンサ。
【請求項4】
前記基材シートに第3の電極がさらに設けられ、前記第3の電極に導体が接触又は近接することによる前記第3の電極の静電容量の変化から、前記第3の電極への導体の接触又は近接を検知する、請求項1~
3のいずれか一項に記載の感圧タッチセンサ。
【請求項5】
前記基材シートにグランド電極が設けられ、前記グランド電極の少なくとも一部が厚さ方向において前記第2の電極と重なっている、請求項1~
4のいずれか一項に記載の感圧タッチセンサ。
【請求項6】
前記弾性層の一部が厚さ方向において前記グランド電極と重なり、
前記弾性層における前記グランド電極と重なる部分の密度が、前記弾性層における前記第1の電極と前記第2の電極の間に位置する部分の密度よりも高い、請求項
5に記載の感圧タッチセンサ。
【請求項7】
操作面を有する操作パネルと、フレーム部材と、請求項1~
6のいずれか一項に記載の感圧タッチセンサとを備え、
前記感圧タッチセンサが前記操作パネルと前記フレーム部材で挟持されている、感圧タッチセンサモジュール。
【請求項8】
前記フレーム部材が凸部を有し、
前記感圧タッチセンサの前記弾性層が位置する部分が前記操作パネルと前記凸部で挟持されている、請求項
7に記載の感圧タッチセンサモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感圧タッチセンサ、感圧タッチセンサモジュール及び弾性電極シートに関する。
本願は、2018年12月4日に、日本に出願された特願2018-227493号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
車載用の電子機器等の様々な分野において、操作面の操作を検知するセンサモジュールとして、感圧検知可能な静電容量式の感圧タッチセンサモジュールが提案されている。
例えば、特許文献1には、配線を接続した第1の電極と第2の電極を基材シートの一方の面に設け、基材シートを部分的に折り返して第1の電極と第2の電極とを対向させ、さらに第1の電極と第2の電極の間に弾性シートを設けた感圧タッチセンサモジュールが開示されている。前記感圧タッチセンサモジュールでは、操作面を押圧したときに弾性シートが圧縮変形して第1の電極と第2の電極が接近し、第2の電極の電流が変化して静電容量が変化する。この静電容量の変化を検知することで、操作面の押圧を認識できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のような感圧タッチセンサモジュールでは、製造時や使用時に、第1の電極と第2の電極に接続された配線に断線が生じ、操作面の押圧が認識されないことがある。
【0005】
本発明は、操作面の押圧を安定して認識できる感圧タッチセンサ、前記感圧タッチセンサを備える感圧タッチセンサモジュール、及び弾性電極シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の構成を有する。
[1]押圧を検知する静電容量式の感圧タッチセンサであって、
基材シートと、第1の電極と、第2の電極と、弾性層と、を備え、
前記第1の電極は前記基材シートの任意の面に設けられ、
前記第1の電極及び前記第2の電極のいずれか一方の電極に配線が接続され、他方の電極には配線が接続されず、
前記第2の電極は、前記第1の電極と前記第2の電極の間に前記弾性層が配置された状態で、前記第1の電極と前記第2の電極の互いの面が対向するように設けられ、
押圧力により前記弾性層が厚さ方向に圧縮変形し、前記第1の電極と前記第2の電極の距離が近づくことによる静電容量の変化から押圧を検知する、静電容量式の感圧タッチセンサ。
[2]前記第1の電極には配線が接続され、前記第2の電極には配線が接続されていない、[1]に記載の静電容量式の感圧タッチセンサ。
[3]前記第2の電極には配線が接続され、前記第1の電極には配線が接続されていない、[1]に記載の静電容量式の感圧タッチセンサ。
[4]前記基材シートの任意の面に前記第1の電極が設けられた本体シートと、
前記弾性層の第1の面側に前記第2の電極が設けられ、前記弾性層の第2の面側に接着層が設けられた弾性電極シートと、を備え、
前記弾性電極シートが前記接着層を前記本体シート側にして前記本体シートに接着されて、前記第1の電極と前記第2の電極の互いの面が対向されている、[1]~[3]のいずれかに記載の静電容量式の感圧タッチセンサ。
[5]前記基材シートに第3の電極がさらに設けられ、前記第3の電極に導体が接触又は近接することによる前記第3の電極の静電容量の変化から、前記第3の電極への導体の接触又は近接を検知する、[1]~[4]のいずれかに記載の感圧タッチセンサ。
[6]前記基材シートにグランド電極が設けられ、前記グランド電極の少なくとも一部が厚さ方向において前記第2の電極と重なっている、[1]~[5]のいずれかに記載の感圧タッチセンサ。
[7]前記弾性層の一部が厚さ方向において前記グランド電極と重なり、
前記弾性層における前記グランド電極と重なる部分の密度が、前記弾性層における前記第1の電極と前記第2の電極の間に位置する部分の密度よりも高い、[6]に記載の感圧タッチセンサ。
[8]操作面を有する操作パネルと、フレーム部材と、[1]~[7]のいずれかに記載の感圧タッチセンサとを備え、
前記感圧タッチセンサが前記操作パネルと前記フレーム部材で挟持されている、感圧タッチセンサモジュール。
[9]前記フレーム部材が凸部を有し、
前記感圧タッチセンサの前記弾性層が位置する部分が前記操作パネルと前記凸部で挟持されている、[8]に記載の感圧タッチセンサモジュール。
[10]第1の電極と第2の電極の間に弾性層が配置された感圧検知部を備える感圧タッチセンサに用いられる弾性電極シートであって、
弾性層と、前記弾性層の第1の面側に設けられた第2の電極と、前記弾性層の第2の面側に設けられた接着層と、を備える弾性電極シート。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、操作面の押圧を安定して認識できる感圧タッチセンサ、前記感圧タッチセンサを備える感圧タッチセンサモジュール、及び弾性電極シートを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の感圧タッチセンサの一例を示した平面図である。
【
図2】
図1の感圧タッチセンサのA-A断面図である。
【
図3】
図1の感圧タッチセンサのB-B断面図である。
【
図4】弾性電極シートの一例を示した平面図である。
【
図5】
図4の弾性電極シートのC-C断面図である。
【
図6】本発明の感圧タッチセンサモジュールの一例を示した分解斜視図である。
【
図7】本発明の感圧タッチセンサモジュールの一例を示した断面図である。
【
図8】本発明の感圧タッチセンサにより操作面へのタッチを認識する処理の流れを示すフローチャートである。
【
図9】本発明の感圧タッチセンサの他の例を示した平面図である。
【
図10】
図9の感圧タッチセンサのD-D断面図である。
【
図11】弾性電極シートの他の例を示した平面図である。
【
図12】本発明の感圧タッチセンサの他の例を示した断面図である。
【
図13】弾性電極シートの他の例を示した断面図である。
【
図14】本発明の感圧タッチセンサの他の例を示した断面図である。
【
図15】本発明の感圧タッチセンサモジュールの他の例を示した断面図である。
【
図16】本発明の感圧タッチセンサの他の例を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[感圧タッチセンサ]
本発明の感圧タッチセンサは、押圧を検知する静電容量式の感圧タッチセンサである。例えば、本発明の感圧タッチセンサを操作パネルの背面に取り付けることで、操作パネルの操作面の押圧を検知することができる。以下、本発明の感圧タッチセンサの一例を示して説明する。
なお、以下の説明において例示される図の寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0010】
本実施形態の感圧タッチセンサ1は、
図1に示すように、本体シート2と、4つの弾性電極シート3とを備えている。
【0011】
(本体シート)
図1~3に示すように、本体シート2は、基材シート10と、保護層12と、接着層14と、剥離紙16と、4つの第1の電極18と、3つの第3の電極22と、3つの補助電極24と、を備えている。
【0012】
本体シート2において、第1の電極18、第3の電極22及び補助電極24は、基材シート10の第1の面10aに設けられている。基材シート10の第1の面10aには保護層12が積層され、第1の電極18、第3の電極22及び補助電極24が覆われて保護されている。基材シート10の第1の面10aと反対側の第2の面10bには、接着層14を介して剥離紙16が貼り合わされている。
なお、第1の電極18、第3の電極22及び補助電極24は、基材シート10の第2の面10bに設けられてもよい。また、第1の電極18と、第3の電極22及び補助電極24とは、基材シート10の異なる面に設けられてもよい。
【0013】
本体シート2は、平面視で長方形の本体部2aと、本体部2aの短辺から延びる帯状の帯状部2bとを有している。
本体シート2の形状は、この例の形状には限定されず、用途に応じて適宜設定できる。
本体シート2の寸法も特に限定されず、用途に応じて適宜設定できる。
【0014】
基材シート10としては、透明な樹脂製の絶縁フィルムを使用できる。ここで、「透明」とは、JIS K7136に従って測定した光線透過率が50%以上であることを意味する。また、「絶縁」とは、電気抵抗値が1MΩ以上、好ましくは10MΩ以上であることを意味する。
【0015】
基材シート10を形成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、ポリカーボネート(PC)、アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、トリアセチルセルロース等が挙げられる。
基材シート10を形成する材料は、1種でもよく、2種以上でもよい。
【0016】
基材シート10の平均厚さは、10μm以上250μm以下が好ましく、25μm以上188μm以下がより好ましい。基材シート10の平均厚さが前記範囲の下限値以上であれば、充分な強度及び剛性を確保しやすい。基材シート10の平均厚さが前記範囲の上限値以下であれば、感圧タッチセンサを容易に薄型化できる。
なお、本明細書において、厚さ、高さ、ピッチ等の平均値は、それらを3箇所以上で測定した測定値を平均した値を意味する。
【0017】
保護層12としては、特に限定されず、例えば、基材シート10で挙げたものと同じ透明な樹脂製の絶縁フィルムを例示できる。
保護層12の平均厚さは、10μm以上250μm以下が好ましく、10μm以上188μm以下がより好ましい。保護層12の平均厚さが前記範囲の下限値以上であれば、充分な強度及び剛性を確保しやすい。保護層12の平均厚さが前記範囲の上限値以下であれば、感圧タッチセンサを容易に薄型化できる。
【0018】
接着層14の材料としては、例えば、公知の硬化型接着剤(接着前は液状の接着剤)、又は粘着剤(接着前はゲル状の感圧性接着剤)が挙げられる。また、各接着層14は、基材層の両面に接着剤又は粘着剤が配置された基材型接着層であってもよい。基材型接着層としては、例えば公知の両面テープが挙げられる。
接着剤、粘着剤としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エチレン/酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。前記硬化型接着剤は、硬化時に揮発する溶剤を含む溶剤型であってもよく、ホットメルト型であってもよい。
【0019】
接着層14の平均厚さとしては、特に限定されず、例えば1μm以上75μm以下とすることができる。硬化型接着剤を用いた接着層14の平均厚さは、1μm以上20μm以下が好ましい。粘着剤を用いた接着層14の平均厚さは、10μm以上75μm以下が好ましい。
【0020】
第1の電極18は、後述の第2の電極34と互いの面を対向させた状態で機能する、操作面の押圧を検知するための感圧電極である。4つの第1の電極18は、それぞれ基材シート10の第1の面10aにおける本体部2aの四隅の部分に配置されている。なお、第1の電極18の配置は、適宜設定でき、四隅には限定されない。
各々の第1の電極18には配線26が接続されている。第1の電極18は、配線26によって、帯状部2bの先端部分に形成された接続端子部28と接続され、接続端子部28を介して図示しない静電容量検知部と電気的に接続されている。
【0021】
この例では第1の電極18は4個であるが、第1の電極18の数は、特に限定されない。第1の電極18の数は、3個以下であってもよく、5個以上であってもよい。例えば、第1の電極18の数は、1個以上30個以下とすることができる。
この例の第1の電極18の形状は、平面視で矩形である。なお、第1の電極18の形状は、矩形には限定されず、適宜設計できる。
【0022】
第1の電極18の寸法も特に限定されず、例えば、縦10mm×横10mm程度とすることができる。第1の電極18が大きいほど、押圧力の検知感度が向上する。
第1の電極18の平均厚さは、材料に応じて適宜設定すればよく、例えば、1μm以上1000μm以下とすることができる。
【0023】
電極の厚さを測定する方法としては、厚さのレンジによって異なる。例えば、μmオーダーの膜厚の場合には、マイクロメータ、デジマティックインジケータやレーザー変位計測によって厚さを測定できる。また、μmオーダーよりも薄い膜厚の場合には、走査型電子顕微鏡を用いた断面観察や蛍光X線分析装置によって厚さを測定できる。
平均厚さは、電極において中心付近で測定した厚さの平均値である。
【0024】
第1の電極18の材料としては、特に限定されず、感圧電極として通常用いられる電極を使用できる。例えば、銅、銀等が挙げられる。用途によっては、電極材料として、インジウムドープ酸化錫(ITO)、導電性高分子、銀ナノワイヤー、銀ペースト、カーボン、グラファイト、カーボンナノチューブ等を使用してもよい。なかでも、第1の電極18の電極材料としては、銀ペーストが好ましい。
ここで、「導電」とは、電気抵抗値が1MΩ未満であることを意味する。
【0025】
配線26の材料としては、第1の電極18の材料と同じものを例示でき、銀ペーストが好ましい。
配線26の平均厚さの好ましい範囲は、後述の第3の電極の平均厚さの好ましい範囲と同様である。
【0026】
3つの第3の電極22は、基材シート10の第1の面10aにおける幅方向の中央部に、長さ方向に間隔をあけて設けられている。第3の電極22は、第3の電極22に導体が接触又は近接することによる第3の電極22の静電容量の変化から、第3の電極22への導体の接触又は近接を検知するものである。つまり、第3の電極22は、操作面への導体の接触を検知するためのタッチ電極である。
【0027】
本発明では、このように基材シートに、操作面の押圧を検知するための第1の電極に加えて、タッチ電極である第3の電極がさらに設けられていることが好ましい。これにより、操作面の操作を指の接触と押圧の2段階で判定して認識することができるため、誤検知をより安定して抑制できる。
【0028】
この例の第3の電極22の形状は、平面視で矩形状である。なお、第3の電極22の形状は、矩形状には限定されず、適宜設計できる。第3の電極22の寸法も特に限定されず、例えば、縦10mm×横10mm程度とすることができる。
【0029】
第3の電極22は、自己容量方式であってもよく、相互容量方式であってもよい。
相互容量方式の第3の電極22の態様としては、特に限定されず、例えば、円形、楕円形、矩形等のベタ電極や、櫛歯電極、又は、基材の一方の面に帯状の送信電極が形成され、他方の面に送信電極と直交する方向に延びる複数の帯状の受信電極が形成された田形電極パターン、ダイヤモンドパターン等が挙げられる。
自己容量方式の第3の電極22の態様としては、特に限定されず、例えば、円形、楕円形、矩形等のベタ電極や、ダイヤモンドパターン等が挙げられる。
【0030】
第3の電極22としては、例えば、透明導電膜を使用できる。
透明導電膜としては、導電性高分子を含む膜、導電性ナノワイヤーを含む膜、金属粒子又は導電性金属酸化物粒子を含む膜、カーボンを含む膜、金属蒸着法によって形成された金属蒸着膜等が挙げられる。透明導電膜としては、曲げ耐性に優れる点では、導電性高分子を含む膜が好ましい。
【0031】
導電性高分子としては、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン等が挙げられる。導電性高分子のなかでも、ポリチオフェンが好ましく、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)にポリスチレンスルホン酸をドープしたものが特に好ましい。
【0032】
導電性ナノワイヤーとしては、銀ナノワイヤー、金ナノワイヤー、カーボンナノチューブ等が挙げられる。
金属粒子としては、例えば、銀、銅、金等の金属の粒子が挙げられる。
導電性金属酸化物粒子としては、例えば、インジウムドープ酸化錫の粒子が挙げられる。
カーボンとしては、例えば、カーボンブラック、グラファイト等が挙げられる。
金属蒸着膜を形成する金属としては、例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、亜鉛、金等が挙げられる。これらの中でも、電気抵抗が低く、低コストであることから、銅が好ましい。
【0033】
導電性高分子を含む透明導電膜からなる第3の電極22の平均厚さは、0.1μm以上5.0μm以下が好ましく、0.1μm以上2.0μm以下がより好ましい。
金属ナノワイヤーを含む透明導電膜からなる第3の電極22の平均厚さは、20nm以上1000nm以下が好ましく、50nm以上300nm以下がより好ましい。
金属粒子、導電性金属酸化物粒子又はカーボンを含む透明導電膜からなる第3の電極22の平均厚さは、0.01μm以上25μm以下が好ましく、0.1μm以上15μm以下がより好ましい。
金属蒸着膜の透明導電膜からなる第3の電極22の平均厚さは、0.01μm以上1.0μm以下が好ましく、0.05μm以上0.3μm以下がより好ましい。
第3の電極22の平均厚さが前記範囲の下限値以上であれば、ピンホールによる断線を抑制しやすい。第3の電極22の平均厚さが前記範囲の上限値以下であれば、薄型化が容易になる。
【0034】
第3の電極22は、透明導電膜には限定されず、銀ペースト、カーボンペースト等であってもよい。
銀ペースト又はカーボンペーストからなる第3の電極22の平均厚さは、1μm以上25μm以下が好ましい。
【0035】
この例では第3の電極22は3個であるが、第3の電極22の数は、特に限定されない。第3の電極22の数は、2個以下であってもよく、4個以上であってもよい。例えば、第3の電極22の数は、1個以上30個以下とすることができる。
【0036】
感圧タッチセンサ1では、第3の電極22の周囲を囲うように、第3の電極22と全周にわたって接触した補助電極24が設けられている。補助電極24には配線が接続されている。補助電極24は、配線26によって、帯状部2bの先端部分に形成された接続端子部28と接続され、接続端子部28を介して図示しない静電容量検知部と電気的に接続されている。これにより、第3の電極22は静電容量検知部と接続できるようになっている。
補助電極24を設けることで、第3の電極22と配線26とを点接触させる場合に比べて、抵抗の影響を受けにくくなる。そのため、第3の電極22を比較的抵抗が大きい導電性高分子で形成した場合でも、高い検知精度を確保できる。
【0037】
補助電極24の材料としては、第1の電極18の材料と同じものを例示でき、銀ペーストが好ましい。
補助電極24の平均厚さの好ましい範囲は、第3の電極22の平均厚さの好ましい範囲と同様である。
【0038】
(弾性電極シート)
弾性電極シート3は、
図1、
図2、
図4及び
図5に示すように、弾性層32と、第2の電極34と、保護層36と、接着層38と、第1基材フィルム40と、第2基材フィルム42と、剥離紙44と、を備えている。弾性層32の第1の面33a側に、第2基材フィルム42、第2の電極34及び保護層36がこの順に積層されている。弾性層32の第2の面33b側に、第1基材フィルム40と、接着層38と、剥離紙44とがこの順に積層されている。
【0039】
弾性電極シート3は、平面視で矩形状である。弾性電極シート3の形状は、この例の形状には限定されず、用途に応じて適宜設定できる。弾性電極シート3の寸法も特に限定されず、用途に応じて適宜設定できる。
【0040】
図1~3に示すように、感圧タッチセンサ1では、4つの弾性電極シート3のそれぞれが、剥離紙44を剥離した状態で、接着層38を介して本体シート2の四隅の保護層12側に接着されている。本体シート2が備える4つの第1の電極18と、4つの弾性電極シート3が備える第2の電極34とは、それぞれ厚さ方向において重なり、互いの面(電極面)が対向している。第1の電極18と第2の電極34の間には弾性層32が配置されて感圧検知部が形成される。このように、弾性電極シート3を用いることで、感圧タッチセンサ1における感圧検知部を形成することができる。
【0041】
第2の電極34には配線が接続されていない。これにより、第2の電極34に接続された配線が製造時や使用時に断線することがなくなるため、第1の電極18と第2の電極34による操作面の押圧の検知がより安定になる。
【0042】
第1の電極18及び第2の電極34による押圧検知方式としては、例えば、第1の電極18及び第2の電極34をいずれもベタ電極とした自己容量方式とすることができる。
第2の電極34の材料としては、特に限定されず、第1の電極18の材料と同じものを例示でき、銀、銅、カーボンが好ましい。
【0043】
この例では第2の電極34は4個であるが、第2の電極34の数は、特に限定されない。第2の電極34の数は、3個以下であってもよく、5個以上であってもよい。例えば、第2の電極34の数は、1個以上30個以下とすることができる。
この例の第2の電極34の形状は、平面視で矩形である。なお、第2の電極34の形状は、矩形には限定されず、適宜設計できる。
【0044】
第2の電極34の寸法も特に限定されず、例えば、縦10mm×横10mm程度とすることができる。第2の電極34が大きいほど、押圧力の検知感度が向上する。
第2の電極34の平均厚さは、材料に応じて適宜設定すればよく、平均厚さの好ましい範囲は前述の第3の電極22の平均厚さの好ましい範囲と同様である。
【0045】
感圧タッチセンサ1では、各弾性層32が第1の電極18と第2の電極34の間に位置している。
弾性層32は、弾性体を含む層であり、押圧によって圧縮変形する。感圧タッチセンサ1が厚さ方向に押圧されたときには、弾性層32が厚さ方向に圧縮変形し、第1の電極18と第2の電極34との距離が近づくことで静電容量が変化する。この静電容量の変化を検知することで操作面の押圧が認識される。
【0046】
この例の弾性層32は、
図2、
図4及び
図5に示すように、一対の第1シート部32a及び第2シート部32bと、第1シート部32aと第2シート部32bに挟持されている複数の柱部32cと、を備えるゴム状弾性体である。第1シート部32a、第2シート部32b、及び複数の柱部32cは一体化されている。
【0047】
第1シート部32a、第2シート部32b、及び複数の柱部32cを形成する材料は、同じであってもよく、異なっていてもよい。弾性層32のうち、弾性体からなる必要があるのは、圧縮変形する柱部32cのみである。第1シート部32a及び第2シート部32bは、弾性材料によって形成されていてもよく、非弾性の硬質材料によって形成されていてもよい。硬質材料としては、例えば、エラストマー以外の樹脂、ガラス、金属、セラミックス、木材等が挙げられる。
【0048】
弾性層32の弾性体を形成する弾性材料としては、押圧による厚さ方向の圧縮変形の程度が適当であり、押し心地が良好であるものを使用することが好ましい。弾性材料としては、例えば、ウレタンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、シリコーンゴム等の熱硬化性エラストマー;ウレタン系、エステル系、スチレン系、オレフィン系、ブタジエン系又はフッ素系等の熱可塑性エラストマー;或いはそれらの複合物等が挙げられる。これらの中でも、繰り返しの押圧に対する寸法変化が小さい、即ち圧縮永久歪が小さい点から、シリコーンゴムが好ましい。前記弾性材料は、内部に気泡を含む発泡材料でもよく、実質的な気泡を含まない非発泡材料でもよい。
【0049】
弾性層32を形成する弾性体の厚さ(高さ)を1cmとしてJIS K 6253に従って測定した際のタイプAデュロメータ硬さは、85以下が好ましい。前記タイプAデュロメータ硬さが85以下であれば、押圧された際に容易に弾性変形する。ただし、過度に軟らかいと、弾性変形後の回復が遅くなるため、前記タイプAデュロメータ硬さは10以上が好ましい。
【0050】
第1シート部32aの平均厚さは、5μm以上100μm以下が好ましく、10μm以上100μm以下がより好ましい。第1シート部32aの平均厚さが前記範囲の下限値以上であれば、柱部32cとの接合強度を強くできる。第1シート部32aの平均厚さが前記範囲の上限値以下であれば、操作面を押圧していない状態における第1の電極18と第2の電極34との距離を近づけやすく、押圧の検知精度をより高くすることができる。
第2シート部32bの平均厚さの好ましい範囲は、第1シート部32aの平均厚さの好ましい範囲と同じである。第1シート部32aの平均厚さと第2シート部32bの平均厚さは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0051】
柱部32cの形状は、特に限定されず、例えば、円柱状、円錐台状、角柱状等の柱状が挙げられる。なかでも、耐久性に優れる点から、円柱状、円錐台状が好ましい。複数の柱部32cの形状は、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0052】
単一の柱部32cの高さ方向に垂直な方向の断面積は、特に限定されず、例えば、0.005mm2以上4mm2以下が挙げられ、0.02mm2以上0.8mm2以下が好ましい。前記柱部32cの断面積が前記範囲の下限値以上であれば、押圧力が加わった際に高さ方向に圧縮変形することが容易になり、柱部32cが圧縮せずに屈曲することを防止しやすい。前記柱部32cの断面積が前記範囲の上限値以下であれば、指で押す程度の適度な押圧力で容易に圧縮変形させることができる。
ここで、柱部の断面積は、柱部の1/2の高さの位置で高さ方向に直交する断面の面積を意味する。柱部の断面積は、光学顕微鏡測定機等の公知の微細構造観察手段により測定できる。
【0053】
弾性層32が有する全ての柱部32cの合計の断面積は、弾性材料の物性と、設定する押し心地に応じて適宜設定できる。第1シート部32a又は第2シート部32bの面積を100%としたとき、前記合計の断面積は、0.1%以上30%以下が好ましく、0.5%以上20%以下がより好ましく、1%以上20%以下がさらに好ましい。前記合計の断面積が前記範囲内であれば、指で押す程度の適度な押圧力で容易に圧縮変形させることができる。
具体的には、例えば、前記合計の断面積を1mm2以上100mm2以下とすることができる。
【0054】
柱部32cの平均高さは、1μm以上3000μm以下が好ましく、50μm以上2000μm以下がより好ましく、200μm以上1000μm以下がさらに好ましく、300μm以上1000μm以下が特に好ましい。柱部32cの平均高さが前記範囲の上限値以下であれば、操作面を押圧していない状態における第1の電極18と第2の電極34との距離を近づけやすく、押圧力の検知精度をより高くできる。また、操作面を押圧した際に操作面がへこむ感覚が抑制されやすく、通常のタッチパネルのように硬い面に触れているのと同じ感覚で操作しやすくなる。
ここで、柱部32cの平均高さには、第1シート部32aの厚さ及び第2シート部32bの厚さは含まれない。柱部32cの高さは、光学顕微鏡測定機等の公知の微細構造観察手段により測定できる。
【0055】
柱部32cは、第1シート部32a及び第2シート部32bと接続され、弾性層32を支える部材である。弾性層32の平均厚さが部位によらず同じであれば、複数の柱部32cの平均高さは実質的に同じである。
【0056】
この例の複数の柱部32cの平面視での配置パターンは、矩形状の第1シート部32a及び第2シート部32bの平面方向において、縦方向と横方向に5×5の25本の柱部32cが間隔をあけて整列したパターンである。なお、複数の柱部32cの配置パターンは、このパターンには限定されず、例えば、複数の柱部32cが千鳥状に配列されたパターンであってもよい。
【0057】
弾性層32が有する柱部32cの個数は、複数でもよく、1個でもよい。例えば、第1シート部32a及び第2シート部32bの平面方向の中央領域に1個の平面視矩形の柱部32cが設けられた態様であってもよい。この態様の場合、柱部32cを形成する弾性体は、内部に気泡を含む発泡体であることが好ましい。
【0058】
弾性層32が有する柱部32cの個数は、1個以上1000個以下が好ましく、3個以上100個以下がより好ましく、4個以上50個以下がさらに好ましい。前記個数が前記範囲の下限値以上であれば、操作面を指で押す程度の適度な押圧力で弾性層32を圧縮変形させることができる。前記個数が前記範囲の上限値以下であれば、指で押す程度の押圧の検出精度を向上させることができる。
【0059】
隣り合う柱部32c同士の平均ピッチは、0.1mm以上5mm以下が好ましく、0.5mm以上3mm以下がより好ましい。前記平均ピッチが前記範囲の下限値以上であれば、操作面を指で押す程度の適度な押圧力で弾性層32を圧縮変形させることができる。前記平均ピッチが前記範囲の上限値以下であれば、指で押す程度の押圧の検出精度を向上させることができる。
【0060】
保護層36は、第2の電極34を保護する層である。
保護層36としては、特に限定されず、例えば、基材シートで挙げたものと同じ透明な樹脂製の絶縁フィルムを例示できる。保護層36の厚さの好ましい範囲は、保護層12の厚さの好ましい範囲と同様である。
【0061】
接着層38は、第1基材フィルム40の保護層12との密着面の一部のみに設けられていてもよく、密着面の全面に設けられていてもよい。弾性層32に対する押圧力を面方向に均一化することが容易な点から、前記密着面の全体に接着層38が設けられていることが好ましい。
【0062】
接着層38の材料としては、接着層14で例示したものと同じものを例示できる。
接着層38の平均厚さとしては、例えば1μm以上75μm以下が挙げられる。硬化型接着剤を用いた接着層38の平均厚さは、1μm以上20μm以下が好ましい。粘着剤を用いた接着層38の平均厚さは、10μm以上75μm以下が好ましい。
【0063】
第1基材フィルム40及び第2基材フィルム42を形成する材料としては、絶縁性の樹脂材料を使用でき、それぞれ独立に、例えば、PET、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ウレタン等が挙げられる。第1基材フィルム40及び第2基材フィルム42を形成する樹脂は、1種でもよく、2種以上でもよい。
【0064】
第1基材フィルム40及び第2基材フィルム42の平均厚さは、それぞれ独立に、例えば、10μm以上200μm以下が挙げられる。前述の樹脂材料を用いる場合、その平均厚さは、10μm以上200μm以下が好ましく、25μm以上150μm以下がより好ましく、25μm以上100μm以下がさらに好ましい。
平均厚さが前記範囲の下限値以上であれば、弾性層32に対する押圧力を面方向に均一化することが容易である。平均厚さが前記範囲の上限値以下であれば、操作面に対する入力の検知精度を高めることができる。
【0065】
第1基材フィルム40及び第2基材フィルム42は、それぞれ弾性層32の第1シート部32aの外表面と第2シート部32bの外表面にそれぞれ接着されている。これらは不図示の接着層によって接着されていてもよく、公知の表面処理又は加熱処理によって直に接着されていてもよい。
第1基材フィルム40及び第2基材フィルム42の接着面には、接着力を向上させる目的で、物理的又は化学的な公知の表面処理が施されていてもよい。
【0066】
第1基材フィルム40及び第2基材フィルム42は、操作面に加えられた押圧力が弾性層32に均一に伝達されるようにするために、弾性層32に対する平滑な表面を有する。仮に、第1基材フィルム40及び第2基材フィルム42が存在しないと、第1の電極18や第2の電極34が設けられた部分の凹凸が弾性層32に対する押圧を不均一にすることがある。本実施形態では第1基材フィルム40及び第2基材フィルム42を設けることで、第1の電極18や第2の電極34が設けられた部分の凹凸が弾性層32に対する押圧を不均一にする影響を低減できる。また、第1の電極18や第2の電極34が局所的に弾性層32の柱部32cからの応力を受けて損傷することが抑制される。
【0067】
感圧タッチセンサ1の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を利用することができる。
第1の電極18、第3の電極22及び補助電極24は、例えば、基材シート10に対して印刷等により電極材料でパターンを形成することで製造できる。また、基材の一方の面又は両面に電極を形成し、それを接着剤や両面テープ等により基材シート10に接合してもよい。電極を形成する方法としては、例えば、導電性ペーストを印刷した後に加熱して硬化させる方法、金属粒子を含むインクを印刷する方法、金属箔又は金属蒸着膜を形成してパターニングする方法等が挙げられる。
第1の電極18、第3の電極22及び補助電極24を形成した後、基材シート10の第1の面10a側に、接着剤等で保護層12を貼り合わせて積層する。また、基材シート10の第2の面10b側に接着剤又は粘着剤を塗布して接着層14を形成し、剥離紙16を貼り合わせる。これにより、本体シート2が得られる。
【0068】
弾性層32は、例えば、以下の方法で製造することができる。具体的には、第2基材フィルム42の片面にスクリーン印刷等により第2シート部32bを形成する。第2シート部32bの表面と各柱部32cの第2シート部32bに接する面に紫外線を照射し、それらを重ね合わせて加圧して、第2シート部32bと各柱部32cとを接合する。また、第1基材フィルム40の片面にスクリーン印刷等により第1シート部32aを形成する。第1シート部32aの表面と各柱部32cの第1シート部32aに接する面に紫外線を照射し、それらを重ね合わせて加圧して、第1シート部32aと各柱部32cとを接合する。これにより第1基材フィルム40及び第2基材フィルム42に挟持された弾性層32を形成できる。
【0069】
第2基材フィルム42の弾性層32と反対側に第2の電極34を形成し、接着剤等で保護層36を貼り合わせて積層する。第2基材フィルム42の弾性層32と反対側に第2の電極34を形成する方法としては、第1の電極18、第3の電極22及び補助電極24を形成する方法と同じ方法が挙げられる。第1基材フィルム40の弾性層32と反対側に接着剤又は粘着剤を塗布して接着層38を形成し、剥離紙44を貼り合わせる。これにより、弾性電極シート3が得られる。
【0070】
弾性電極シート3の剥離紙44を剥離し、第1の電極18と第2の電極34の互いの面が対向し、それらの間に弾性層32が配置されるように、接着層38を介して本体シート2の保護層12側に接着する。これにより、感圧タッチセンサ1が得られる。
【0071】
[感圧タッチセンサモジュール]
本発明の感圧タッチセンサモジュールは、操作面を有する操作パネルと、フレーム部材と、本発明の感圧タッチセンサとを備え、本発明の感圧タッチセンサが操作パネルとフレーム部材で挟持された装置である。以下、本発明の感圧タッチセンサモジュールの一例として、感圧タッチセンサ1を備える感圧タッチセンサモジュール100(以下、「モジュール100」とも記す。)について、
図6及び
図7に基づいて説明する。
【0072】
モジュール100は、操作面112を有する操作パネル110と、4つの凸部122を有するフレーム部材120と、感圧タッチセンサ1とを備えている。感圧タッチセンサ1が操作パネル110とフレーム部材120により挟持されている。感圧タッチセンサ1における弾性電極シート3側にフレーム部材120が設けられ、本体シート2側に操作パネル110が設けられている。この例では、操作パネル110とフレーム部材120とはバネ130により接続されている。
操作パネル110における感圧タッチセンサ1と反対側の表面が操作面112となる。
【0073】
操作パネル110としては、指で押圧した際に、パネルを通して指で押圧した位置から離れた位置にある弾性層を圧縮できる剛性を備えたものが使用できる。ただし、押圧する位置と弾性層のある位置が近い場合は、操作パネル110として、剛性の低いパネルを使用してもよい。操作パネル110としては、例えば、感圧タッチセンサ1の表面を覆うカバー層と、前記カバー層の表面に形成された加飾層を備えるものが挙げられる。カバー層は、光源からの光線を平面方向に導くライトガイド層を兼ねる層であってもよい。
【0074】
カバー層の材料としては、例えば、ガラス、樹脂が挙げられる。
樹脂としては、例えば、PC、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン(PS)、PVC、PET、PBT、ポリエチレンナフタレート(PEN)等が挙げられる。これらの樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0075】
カバー層の平均厚さは、0.05mm以上10mm以下が好ましく、2mm以上5mm以下がより好ましい。カバー層の平均厚さが前記範囲の下限値以上であれば、充分な強度が得られやすい。カバー層の平均厚さが前記範囲の上限値以下であれば、モジュール100が過度に厚くなることを抑制しやすく、また指で電極に触れた際に第3の電極の静電容量が充分に変化して良好な検知精度が得られやすい。
【0076】
加飾層は、装飾、文字、図形、記号、絵柄、これらの組み合わせ、あるいはこれらと色彩との組み合わせによる任意の装飾が施された層である。加飾層は、例えば、カバー層に印刷を施すことにより形成できる。
なお、操作パネル110は、加飾層を有しないものであってもよい。
【0077】
フレーム部材120には、感圧タッチセンサ1側の表面における感圧タッチセンサ1の各弾性電極シート3と対応する位置に、平面視矩形状の4つの凸部122が設けられている。感圧タッチセンサ1が操作パネル110とフレーム部材120で挟持された状態では、4つの凸部122がそれぞれ、感圧タッチセンサ1における弾性電極シート3が位置する部分に圧接している。このように、感圧タッチセンサ1の弾性層32が位置する部分が操作パネル110とフレーム部材120の凸部122で挟持された状態になっている。
なお、凸部122は粘着剤等で感圧タッチセンサ1と接着されていてもよい。
【0078】
この例では、フレーム部材120の感圧タッチセンサ1側の表面における4つの凸部122よりも内側には、静電容量検知部(IC)を備える制御基板124が固定されている。制御基板124は図示されないコネクターを介して感圧タッチセンサ1の接続端子部28と接続されていてもよい。また、制御基板124には、静電容量検知部(IC)に加え、文字照光用のLED126が実装されており、タッチ判定状態に対応して感圧タッチセンサ1の第3の電極22及び操作パネル110を透過して文字照光させるようになっている。
【0079】
本発明では、このようにフレーム部材が凸部を有し、感圧タッチセンサの弾性層が位置する部分が操作パネルとフレーム部材の凸部で挟持されていることが好ましい。これにより、指で押圧した程度でも弾性層32が圧縮変形しやすくなり、タッチ操作の検出精度がより高くなる。
【0080】
フレーム部材を形成する材料としては、例えば、樹脂、ガラス、無機物等が挙げられる。
フレーム部材を形成する樹脂としては、例えば、カバー層を形成する樹脂として挙げた樹脂と同じものが挙げられる。フレーム部材を形成する樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0081】
以下、モジュール100を用いたタッチ操作の判定処理について、
図8に基づいて説明する。
モジュール100における感圧タッチセンサ1の4つの第1の電極18を1つの静電容量検知部と接続し、3つの第3の電極22をそれぞれ個別の静電容量検知部と接続する。そして、各々の第3の電極22と接続された静電容量検知部で検出される検出値について、それぞれ第1の閾値を設定し、操作パネル110の操作面112における特定の第3の電極22に対応する部分に触れた場合に、その第3の電極22に対応する検出値が第1の閾値以上となるようにする。また、4つの第1の電極18と接続された静電容量検知部で検出される検出値について第2の閾値を設定し、所定の押圧力以上で押圧した場合に検出値が第2の閾値以上となるようにする。
なお、4つの第1の電極18は、それぞれ個別の静電容量検知部と接続されていてもよい。その場合は、4つの静電容量検知部のそれぞれで検出された検出値の合計値に対して、第2の閾値を設定することができる。
【0082】
この状態で操作パネル110の操作面112における1つの第3の電極22に対応する部分を指で押圧する。すると、まずその第3の電極22において静電容量が変化し、対応する静電容量検知部で検出された検出値が第1の閾値以上となる。さらに押圧によって弾性層32が圧縮変形し、4対の第1の電極18と第2の電極34の距離が近づいて静電容量が変化すると、それらの第1の電極18と接続された静電容量検知部で検出された検出値が第2の閾値以上となる。この場合、操作する意図を持って押圧したタッチ状態であると判定される。
【0083】
一方、操作パネル110の操作面112に触れずに指が接近しただけの場合は、各々の第3の電極22に対応する静電容量検知部で検出された検出値は第1の閾値未満となり、非タッチ状態であると判定される。
また、操作パネル110の操作面112における1つの第3の電極22に対応する部分に触れているだけで、その部分を押圧していない場合、その第3の電極22に対応する静電容量検知部で検出された検出値は第1の閾値以上となるものの、4対の第1の電極18及び第2の電極34に対応する静電容量検知部で検出された検出値は第2の閾値未満となる。そのため、操作する意図がなく単に指が操作面に触れてしまっただけの場合には非タッチ状態であると判定される。
また、操作パネル110の操作面112における第3の電極22に対応していない部分を押圧した場合、各々の第3の電極22に対応する静電容量検知部で検出された検出値は第1の閾値未満となり、非タッチ状態であると判定される。
【0084】
特許文献1のような、基材シートを折り返して第1の電極と第2の電極の互いの面を対向させる従来の感圧タッチセンサでは、第1の電極と第2の電極に接続された配線のうちのいずれかが折り返し部分を通る。基材シートの折り返し部分の配線には、製造時に大きな負荷がかかり、また使用時にも継続的に負荷がかかる。このような感圧タッチセンサでは、製造時や使用時において、第1の電極と第2の電極に接続された配線のうち、折り返し部分を通る配線が折り返し部分で断線し、操作面の押圧が検知できなくなることがある。
【0085】
これに対して、本実施形態においては、操作面の押圧を検知する第1の電極18及び第2の電極34のうち、第1の電極18だけに配線26を接続し、第2の電極34には配線を接続していない。そして、第1の電極18と第2の電極34とを、本体シート2と弾性電極シート3の別々の部材にそれぞれ配し、弾性電極シート3を本体シート2に貼り付けて第1の電極18と第2の電極34とを対向させている。これにより、第1の電極18の配線26は折り返されることがなく、また第2の電極34には配線が接続されていないため、配線が断線することが抑制されることで、押圧の検知がより安定して行えるようになる。
【0086】
また、押圧を検知する第1の電極及び第2の電極と、指の接触を検知する第3の電極を組み合わせる態様、すなわちそれぞれ独立した感圧電極とタッチ電極を備える態様は、指の接触と感圧の2段階の閾値を用いてタッチ状態を判定できるため、誤検知を抑制しやすい。
【0087】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、
図9~11に示すように、基材シート10の第1の面10aにおける各々の第1の電極18の隣りにグランド(GND)電極20が設けられた本体シート2Aに弾性電極シート3Aが貼り付けられ、厚さ方向において弾性電極シート3Aの第2の電極34が第1の電極18とGND電極20の両方に重なっている感圧タッチセンサ1Aであってもよい。各GND電極20は、配線21を通じて接地されている。
【0088】
弾性電極シート3Aの平面視形状は、長方形である。弾性電極シート3Aの弾性層32Aは、第1の電極18と重なる矩形状の第1領域35aと、GND電極20と重なる第2領域35bの2つの領域を有する。
弾性層32Aは、一対の第1シート部32a及び第2シート部32bと、第1領域35aにおいて第1シート部32aと第2シート部32bに挟持されている複数の柱部32cと、第2領域35bにおける第1シート部32aと第2シート部32bの間の空間を全て埋める中実部32dと、を備えるゴム状弾性体である。第1シート部32a、第2シート部32b、複数の柱部32c、及び中実部32dは一体化されている。弾性層32Aは、第1領域35aにおける各柱部32cが存在していない部分に空間部32eを有している。
【0089】
中実部32dの材料としては、柱部32cと同じものを例示できる。
弾性電極シート3Aは、第1領域35aと第2領域35bとを有する弾性層32Aを備え、平面視形状が長方形状である以外は、弾性電極シート3と同じである。
【0090】
このように、基材シートにGND電極を設け、GND電極の少なくとも一部が第2の電極と重なるようにすることで、第2の電極の電位をより安定化できるため、第1の電極と第2の電極との間の電位差を大きく保ちやすくなる。これにより、操作面が押圧されたときの静電容量の変化の程度をより大きくできるため、操作面の押圧の検知精度がより高くなる。
【0091】
また、GND電極を設け、弾性層の一部が厚さ方向においてグランド電極と重ねる場合、弾性層におけるGND電極と重なる部分の密度が、弾性層における第1の電極と第2の電極の間に位置する部分の密度よりも高いことが好ましい。弾性層32Aでは、第1の電極18と第2の電極34の間に位置する部分(第1領域35a)に空間部32eが存在し、GND電極20と重なる部分(第2領域35b)に中実部32dが存在する。そのため、弾性層32AにおけるGND電極20と重なる部分の密度が、弾性層32Aにおける第1の電極18と第2の電極34の間に位置する部分の密度よりも高くなっている。これにより、GND電極と第2の電極との間の誘電率が、第1の電極と第2の電極との間の誘電率よりも高くなるため、第2の電極の電位をより安定化することができる。そのため、操作面が押圧されたときの第1の電極と第2の電極の間の弾性層の圧縮変形を確保しつつ、GND電極と第2の電極との重なりによる第1の電極と第2の電極との間の電位差の増大効果を得ることが容易になる。
【0092】
なお、GND電極を設ける態様は感圧タッチセンサ1Aのような態様には限定されない。例えば、GND電極を第1の電極の周囲を囲うように環状に配し、第2の電極を第1の電極よりも大きくして、GND電極と第2の電極が重なるようにしてもよい。
【0093】
また、
図12に示すように、基材シート10の第1の面10aに第1の電極18と第2の電極34を並べて設け、第1の電極18と第2の電極34の間で基材シート10を折り返して第1の電極18と第2の電極34の互いの面を対向させた感圧タッチセンサ1Bであってもよい。この場合も、第2の電極34に配線を接続せず、第1の電極18に接続した配線が折り返し部1aを通らないようにすることで、製造時や使用時における配線の断線を抑制することができるため、押圧の検知を安定して行える。
【0094】
感圧タッチセンサ1,1Aのように、本体シートとは別部材の弾性電極シートを本体シートに貼り付けて第1の電極と第2の電極を対向させる態様は、感圧タッチセンサ1Bのような折り返しタイプに比べて、折り返し工程がないため製造が簡便である。また、基材シートに折り返し部分がないために、大判のシートからの基材シートの取り数を多くすることができ、製造コストを低減できる。
【0095】
また、操作パネルにおける感圧タッチセンサを取り付ける部分の寸法と、感圧タッチセンサの寸法とは、一般に省スペース化のためにほぼ同等になっている。そのため、折り返しタイプの感圧タッチセンサは、通常、折り返し部分を折り返した状態で操作パネルへの取り付け作業を行う。しかし、この場合には、感圧タッチセンサにおける折り返し部分とそれ以外の部分との境界に段差があるため、貼り付けの際にセンサ全体に均等に力を加えにくく、感圧タッチセンサと操作パネルとの間に気泡が混入することがある。しかし、本体シートに弾性電極シートを貼り付ける感圧タッチセンサであれば、平坦な本体シートだけを操作パネルに貼り付けた後に、本体シートに弾性電極シートを貼り付けることができるため、本体シートと操作パネルの間に気泡が混入することを容易に抑制できる。
【0096】
また、折り返しタイプの感圧タッチセンサは、折り返す必要があるため、基材シート等に柔軟性が求められる。しかし、感圧タッチセンサが柔軟であるほど、感圧タッチセンサに湾曲形状等の三次元形状を付与することが難しい。これに対し、本体シートに弾性電極シートを貼り付ける感圧タッチセンサでは、本体シートに折り返すための柔軟性は必要ない。そのため、真空成形や圧空成形等で三次元形状を付与した本体シートに弾性電極シートを貼り付けることで、三次元形状が付与された意匠性に優れる感圧タッチセンサを容易に得ることができる。
【0097】
また、本発明の感圧タッチセンサにおいては、基材シートの第1の面に第1の電極を設け、基材シートの第2の面の第1の電極に対応する位置にシールド層を設け、前記シールド層を保護層で保護してもよい。これにより、第1の電極に導体が近づいた影響で、操作面を押圧していないにもかかわらず第1の電極と第2の電極との間の静電容量が変化し、押圧が誤検知されることが抑制されやすくなる。シールド層としては、GND電極を採用できる。
【0098】
弾性電極シートの態様は、弾性電極シート3,3Aには限定されない。例えば、弾性電極シート3,3Aの保護層36側に、さらに接着層が設けられたものであってもよい。
また、例えば、
図13に示すように、弾性電極シート3において、第2の電極34を設ける代わりに、弾性層32の第2シート部32bにカーボンフィラーを配合して導電性を付与し、第2の電極34Aとした弾性電極シート3Bであってもよい。この場合、カーボンフィラーを配合した第2の電極34Aの平均厚さは、1μm以上1000μm以下が好ましい。
【0099】
感圧タッチセンサ1は、本体シート2の保護層12側に弾性電極シート3が接着されている態様であったが、本発明はこの態様には限定されない。例えば、
図14に示すように、本体シート2の保護層12と反対側に弾性電極シート3が接着されている感圧タッチセンサ1Cであってもよい。感圧タッチセンサ1Cは、以下に示す構成以外は感圧タッチセンサ1と同様の態様とすることができる。
図14における
図2と同じ部分には同符号を付して説明を省略する。
【0100】
感圧タッチセンサ1Cでは、本体シート2の基材シート10の第2の面10bにおける四隅の部分に、弾性電極シート3が接着されている。また、本体シート2の基材シート10の第2の面10bにおける、弾性電極シート3が接着されている四隅の部分を除く部分に、接着層14を介して剥離紙16が貼り合わされている。
【0101】
感圧タッチセンサ1Cにおいても、第1の電極18及び第2の電極34のうち、第1の電極18だけに配線を接続し、第2の電極34には配線を接続していない。そして、第1の電極18と第2の電極34とを、本体シート2と弾性電極シート3の別々の部材にそれぞれ配し、弾性電極シート3を本体シート2に貼り付けて第1の電極18と第2の電極34とを対向させている。これにより、感圧タッチセンサ1Cでも、第1の電極18の配線は折り返されることがなく、また第2の電極34には配線が接続されていないため、配線が断線することが抑制されることで、押圧の検知がより安定して行えるようになる。
【0102】
図15に示すように、感圧タッチセンサ1Cを備える感圧タッチセンサモジュール100Aでは、弾性電極シート3が操作パネル110側に向くように、感圧タッチセンサ1Cが接着層14を介して操作パネル110に接着される。そのため、感圧タッチセンサモジュール100Aにおいては、弾性電極シート3に設けられた配線が接続されていない第2の電極34が、本体シート2に設けられた第1の電極18よりも操作面112に近い位置に配される。
【0103】
このような感圧タッチセンサ1Cでは、操作面112に近い第2の電極34に配線が接続されず独立していることで、第2の電極34がシールド層として機能する。そのため、指が第2の電極34に指が接近しただけでは第1の電極18及び第2の電極34の静電容量が変化しにくくなる。このように、第1の電極18及び第2の電極34の静電容量の変化から、操作面に触れようとする指が第2の電極34に近づくことによる影響を排除できるため、押圧の誤検知をさらに抑制できる。
【0104】
感圧タッチセンサ1Cでは、弾性電極シート3側から見た平面視において、第2の電極34の寸法が第1の電極18と同じか、又は第1の電極18よりも大きく、第1の電極18が第2の電極34からはみ出さないことが好ましい。これにより、第2の電極34のシールド効果が十分に得られやすくなる。
【0105】
また、本発明の感圧タッチセンサは、
図14に例示した感圧タッチセンサ1Cにおいて、第1の電極18と保護層12が基材シート10の第2の面10b側に設けられた態様であってもよい。具体的には、基材シート10の第2の面10bに四隅の部分に第1の電極18が設けられ、第2の面10b側に設けられた保護層12で第1の電極18が保護され、保護層12の四隅の部分に弾性電極シート3が接着され、保護層12の弾性電極シート3が接着されている部分以外の部分に接着層14を介して剥離紙16が貼り合わされている感圧タッチセンサであってもよい。
【0106】
感圧タッチセンサ1,1A~1Cのように、基材シート10に設けられた第1の電極18に配線を接続し、弾性電極シート3,3Aに設けられた第2の電極34に配線を接続しない態様は、基材シート10に第3の電極22を設ける場合でも同一基材に配線を集約して接続端子部を1つにできるため、簡易な構成とすることができる。
【0107】
本発明の感圧タッチセンサは、第1の電極及び第2の電極のいずれか一方の電極に配線が接続され、他方の電極に配線が接続されていなければよい。本発明の感圧タッチセンサは、第1の電極に配線が接続され、第2の電極に配線が接続されていない態様には限定されず、第2の電極に配線が接続され、第1の電極に配線が接続されていない態様であってもよい。
【0108】
例えば、
図16及び
図17に例示した感圧タッチセンサ1Dであってもよい。感圧タッチセンサ1Dは、以下に示す構成以外は感圧タッチセンサ1と同様の態様とすることができる。
図16及び
図17における
図1及び
図2と同じ部分には同符号を付して説明を省略する。
【0109】
感圧タッチセンサ1Dは、弾性電極シート3の代わりに弾性電極シート3Dを備えている。弾性電極シート3Dは、保護層36の代わりに、保護層36よりも寸法が大きく、第2の電極34から基材シート10の幅方向の中央側にはみ出している保護層36Dを備えている。また、弾性電極シート3Dの保護層36Dにおける第2の電極34側の面には、第2の電極34に接続された配線26が設けられている。感圧タッチセンサ1Dでは、各々の第2の電極34が図示しない接続端子部を介して図示しない静電容量検知部と電気的に接続されている。
第1の電極18には配線26が接続されていない。
【0110】
このように、感圧タッチセンサ1Dでは、操作面の押圧を検知する第1の電極18及び第2の電極34のうち、第2の電極34だけに配線26を接続し、第1の電極18には配線を接続していない。第2の電極34に接続された配線26は折り返されることがなく、また第1の電極18には配線が接続されていないため、配線が断線することが抑制され、押圧の検知がより安定して行えるようになる。
【0111】
感圧タッチセンサ1Dでは、第1の電極18に配線26が接続されず独立していることで、第1の電極18がシールド層として機能する。そのため、指が第1の電極18に接近しただけでは第1の電極18及び第2の電極34の静電容量が変化しにくくなる。このように、第1の電極18及び第2の電極34の静電容量の変化から、操作面に触れようとする指が第1の電極18に近づくことによる影響を排除できるため、押圧の誤検知をさらに抑制できる。
【0112】
感圧タッチセンサ1Dでは、本体シート2側から見た平面視において、第1の電極18の寸法が第2の電極34と同じか、又は第2の電極34よりも大きく、第2の電極34が第1の電極18からはみ出さないことが好ましい。これにより、第1の電極18のシールド効果が十分に得られやすくなる。
【0113】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0114】
1,1A,1B,1C,1D…感圧タッチセンサ、2,2A…本体シート、3,3A,3B,3D…弾性電極シート、10…基材シート、12…保護層、14…接着層、16…剥離紙、18…第1の電極、20…GND電極、22…第3の電極、24…補助電極、26…配線、32…弾性層、32e…空間部、34,34A…第2の電極、100,100A…感圧タッチセンサモジュール、110…操作パネル、112…操作面、120…フレーム部材、122…凸部。