IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヴァレオ エキプマン エレクトリク モトゥールの特許一覧

特許7232333電流制限デバイスを含むスイッチシステム
<図1>
  • 特許-電流制限デバイスを含むスイッチシステム 図1
  • 特許-電流制限デバイスを含むスイッチシステム 図2
  • 特許-電流制限デバイスを含むスイッチシステム 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-21
(45)【発行日】2023-03-02
(54)【発明の名称】電流制限デバイスを含むスイッチシステム
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20230222BHJP
   H02H 7/06 20060101ALI20230222BHJP
   H02M 1/00 20070101ALI20230222BHJP
   H03K 17/082 20060101ALI20230222BHJP
【FI】
H02M7/48 M
H02H7/06 A
H02M1/00 H
H03K17/082
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021535646
(86)(22)【出願日】2019-12-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(86)【国際出願番号】 EP2019085546
(87)【国際公開番号】W WO2020127196
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-08-12
(31)【優先権主張番号】1873516
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】508075579
【氏名又は名称】ヴァレオ エキプマン エレクトリク モトゥール
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100217940
【弁理士】
【氏名又は名称】三並 大悟
(72)【発明者】
【氏名】ローラン、ドメンガー
(72)【発明者】
【氏名】パナヒオティス、ギアンニコプロス
(72)【発明者】
【氏名】ハフィド、イハダデン
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-065485(JP,A)
【文献】特表2001-513281(JP,A)
【文献】米国特許第05793232(US,A)
【文献】独国特許発明第04429716(DE,C1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H02H 7/06
H02M 1/00
H03K 17/082
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧源(+Vbat)から負荷に給電するための電力線(2)を含むスイッチシステム(1)であって、前記電力線が主スイッチ(Q1)を有し、前記主スイッチ(Q1)は、第1の主端子(D)および第2の主端子(S)であって、それらの間を主電流(Ip)が通過するように意図される、第1の主端子(D)および第2の主端子(S)と、前記主スイッチ(Q1)を選択的に閉状態、開状態、または半閉状態にするための制御端子(G)であって、半閉状態の前記主スイッチ(Q1)が、前記制御端子によって制御され前記第1の主端子と前記第2の主端子との間に接続された可変抵抗器と等価である、制御端子(G)と、を備え、前記スイッチシステム(1)は、前記主電流(Ip)が最大電流しきい値を超えると、前記主電流を制限するために、前記主スイッチ(Q1)を前記閉状態から前記半閉状態に移行させるように前記制御端子(G)に入る制御電流(Ig)を減少させるように設計された電流制限デバイス(3)をさらに含み、
前記電力線(2)が、前記主電流(Ip)が通過する測定抵抗器(Rs)をさらに含み、前記電流制限デバイス(3)が、第1の端子(B1)および第2の端子(B2)を含み、前記測定抵抗器(Rs)が、前記第1の端子(B1)と前記第2の端子(B2)との間に接続され、前記電流制限デバイス(3)は、前記抵抗電圧(Vrs)がしきい値電圧(Vmax)を超えたときに前記主スイッチ(Q1)を半閉位置にするために、前記第1の端子(B1)と前記第2の端子(B2)との間の抵抗電圧(Vrs)に応じて、前記制御電流(Ig)の減少を変更するように設計され、
前記電流制限デバイス(3)が、
a.前記主スイッチ(Q1)の前記制御端子(G)に接続された制御出力部(4G)、制御入力部(4U)、および前記制御入力部(4U)と前記制御出力部(4G)との間に電気的に接続された制御抵抗器(R4)を含む制御線(4)であって、前記制御抵抗器(R4)が、セットポイント電流(Ic)によって通過されるように構成される、制御線(4)と、
b.各々が、電流入力端子(C30、C31)、電流出力端子(E30、E31)、および制御端子(B30、B31)を有する、第1および第2の整合トランジスタ(Q30、Q31)であって、
i.前記第1および第2の整合トランジスタ(Q30、Q31)の前記制御端子(B30、B31)と、前記第2の整合トランジスタの前記電流入力端子(C31)が直接一緒に接続され、
ii.前記第1の整合トランジスタ(E30)の前記出力端子が、前記電流制限デバイス(3)の前記第2の端子(B2)に直接接続され、前記第2の整合トランジスタ(Q31)の前記出力端子(E31)が、前記電流制限デバイスの前記第1の端子(B1)に直接接続され、その結果、前記第1の整合トランジスタ(Q30)の前記制御端子(E30)と前記電流制限デバイス(3)の前記第2の端子(B2)との間の電圧(Vbe30)が、前記電力線(2)の前記測定抵抗器(Rs)の前記端子の電圧(Vrs)と、前記第2の整合トランジスタ(Q31)の前記制御端子(E31)と前記電流制限デバイス(3)の前記第1の端子(B1)との間の電圧(Vbe31)との合計に等しく、
iii.前記制御端子(G)に入る前記制御電流(Ig)を減少させるために、前記制御抵抗器(R4)を通過する前記セットポイント電流(Ic)から分流電流(I30)を分流するように、前記第1の整合トランジスタ(Q30)の前記入力端子が前記制御出力部(4G)に接続され、
iv.前記第2の整合トランジスタ(Q31)の前記入力端子が、第1のバイアス抵抗器(R31)によって、前記制御線(2)の前記入力部(4U)に接続される、第1および第2の整合トランジスタ(Q30、Q31)と、
を含み、
前記電流制限デバイス(3)が、
a.前記制御出力部(4G)と、前記第1の整合トランジスタ(Q30)の前記電流入力端子(E30)との間に接続された第2のバイアス抵抗器(R30)と、
b.前記制御出力部(4G)に電気的に接続された電流入力端子(E5)、電流出力端子(C5)、および制御端子(B5)を含むバイアストランジスタ(Q5)と、
c.前記電流制限デバイス(3)の前記第2の端子(B2)と前記バイアストランジスタ(Q5)の前記出力端子との間に装着されたコレクタ抵抗器(R50)と、
d.第1の端子によって、前記第1の整合トランジスタ(Q30)の前記電流入力端子(C30)に接続され、第2の端子によって、前記バイアストランジスタ(Q5)の前記制御端子に接続された接続抵抗器(R5)と、
e.前記電流制限デバイス(3)の前記第2の端子(B2)および前記接続抵抗器(R5)の前記第2の端子に接続されたキャパシタ(5C)と、
をさらに含むことを特徴とする、スイッチシステム(1)。
【請求項2】
前記半閉状態の前記主スイッチ(Q1)の可変抵抗の値が、前記主電流(I)を前記最大電流しきい値に制限するように調整される、請求項1に記載のスイッチシステム。
【請求項3】
前記主スイッチ(Q1)が、電力用トランジスタである、請求項1または2に記載のスイッチシステム。
【請求項4】
ハイサイドスイッチ(Q1)およびローサイドスイッチを含み、前記2つのスイッチが中央タップにおいて一緒に接続され、前記2つのスイッチの少なくとも一方が、請求項1からの一項に記載のスイッチシステムに含まれる、スイッチングアーム。
【請求項5】
請求項に記載の少なくとも1つのスイッチングアームを含むHブリッジ。
【請求項6】
請求項1からの一項に記載の少なくとも1つのスイッチシステム(1)、または請求項に記載の少なくとも1つのスイッチングアームを含む、電圧変換器。
【請求項7】
a.請求項に記載のスイッチングアームを含む電圧変換器と、
b.励磁コイル(Lexc)を備えるロータを有する回転電気機械であって、前記励磁コイル(Lexc)が、その端子のうちの1つによって、前記少なくとも1つのスイッチングアームの前記中央タップに接続される、回転電気機械と、
を含む、電気システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明に係る電流制限デバイスを含むスイッチシステム、そのようなスイッチシステムを含むスイッチングアーム、およびスイッチングアームを含むHブリッジに関する。
【0002】
本発明は、さらに、そのようなスイッチングアームまたはそのようなスイッチシステムを含む電圧変換器に関する。
【0003】
最後に、本発明は、さらに、そのような電圧変換器によって制御されるコイル状ロータをもつ回転電気機械を含む電気システムに関する。
【背景技術】
【0004】
自動車用の回転電気機械を含む電気システムが知られており、この回転電気機械はコイル状ロータを有する。そのような回転電気機械は、1つのオルタネータモードのみを有するオルタネータ、またはモータモードとオルタネータモードとを有するスタータ/オルタネータとすることができる。
【0005】
モータモードまたはオルタネータモードにおいて、ロータの励磁コイルは、電子スイッチ、例えば、トランジスタ、特に、MOSFETトランジスタとしても知られている金属酸化物ゲート電界効果トランジスタを含むHブリッジタイプの電圧変換器によって電流が供給される。
【0006】
ロータを制御する電圧変換器は、例えば、ロータのコイルが故障している場合、恒久的または一時的な過電流の原因になる可能性があることが知られている。したがって、一時的な過電流は、例えば、チップ、特に銅チップが、異なる電位をもつ2つの電気要素、例えば、ロータの入力部および出力部を接続するときに生じる可能性がある。自動車のバッテリも電圧変換器内部の過電流の原因になる可能性がある。
【0007】
過電流は、最大動作電流強度に係数を掛けた積として定義される安全しきい値を超える値の電流である。最大動作電流強度は、通常の動作モードにおいてロータのコイルの上流または下流にある最も脆弱な電子構成要素によってサポートされる可能性がある最大電流強度値である。それゆえに、このしきい値を超えると、車両の変換器または他の機器の電子構成要素が損傷される可能性がある。
【0008】
それゆえに、そのような過電圧は検出される必要があり、該当する場合、最も脆弱な構成要素、特に、電圧変換器の電子スイッチは保護される必要がある。
【0009】
この目的のために、電圧源からロータに給電するための電力線を含むスイッチシステムが先行技術から知られており、前記電力線は、主スイッチを有し、主スイッチは、第1の主端子および第2の主端子であり、それらの間を主電流Ipが通過するように意図される、第1の主端子および第2の主端子と、制御デバイスによって制御され、主スイッチを選択的に閉状態または開状態にするための制御端子とを備え、このスイッチシステムは、主電力線を循環する電流がホール効果センサによって測定され、ホール効果センサによって測定された電流の強度が安全しきい値を超えたとき主スイッチが開になることを特徴とする。
【0010】
先行技術のこの簡単な方法は、主電力線の電流を遮断する主スイッチを開くことによって、最も脆弱な構成要素、特に、電圧変換器のスイッチを守ることを可能にする。
【0011】
しかしながら、スイッチがMOSFETである場合、そのようなシステムの反応時間(特に、ホール効果センサと、スイッチを制御するためのシステムとの潜伏時間に関連する)は、一般に、約10数μsであるが、過電流は3μs未満で数百アンペアに達することがあるので、主スイッチが開く前に、過度の時間が経過することがある。3μs後に到達されるこれらの電流レベルは、MOSFETの「安全動作領域」(SOA)と両立しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、この欠点を少なくとも部分的に克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的のために、本発明は、第1の態様によれば、スイッチシステムに関し、スイッチシステムは、
a.電圧源から負荷に給電するための電力線であって、前記電力線は、
b.主スイッチであって、
i.第1の主端子および第2の主端子であって、それらの間を主電流が通過するように意図される、第1の主端子および第2の主端子と、
ii.主スイッチを選択的に閉状態、開状態、または半閉状態にするための制御端子であって、半閉状態の主スイッチが、制御端子によって制御され第1の主端子と第2の主端子との間に接続された可変抵抗器と等価である、制御端子と、
を備える、主スイッチ
を有する、電力線
を含み、
スイッチシステムは、主電流が最大電流しきい値を超えると、主電流を制限するために、主スイッチを閉状態から半閉状態に移行させるように、制御端子に入る制御電流を減少させるように設計された電流制限デバイスをさらに含む。
【0014】
このスイッチシステムは、先行技術の既知のスイッチシステムよりも迅速に主電流を制限することを可能にするという点で注目に値する。実際、電流制限デバイスは、スイッチの制御回路を使用することなく、スイッチを半閉状態にするために、制御端子に入る制御電流を減少させることによって迅速な反応を可能にする。
【0015】
本発明に係るスイッチシステムは、さらに、個々にまたはすべての技術的に可能な組合せで考慮されている、以下の特徴のうちの1つまたは複数を有することができる。
【0016】
本発明の特定の実施形態では、半閉状態の主スイッチの可変抵抗の値は、主電流を最大電流しきい値に制限するように調整される。
【0017】
本発明の特定の実施形態では、電力線は、主電流が通過する測定抵抗器をさらに含み、電流制限デバイスは、第1の端子および第2の端子を含み、前記測定抵抗器は、第1の端子と第2の端子との間に接続され、電流制限デバイスは、抵抗電圧がしきい値電圧を超えたときに主スイッチを半閉位置にするために、第1の端子と第2の端子との間の抵抗電圧に応じて制御電流の減少を変更するように設計される。
【0018】
本発明の特定の実施形態では、電流制限デバイスは、
a.主スイッチの制御端子に接続された制御出力部、制御入力部、および制御入力部と制御出力部との間に電気的に接続された制御抵抗器を有する制御線であって、制御抵抗器がセットポイント電流によって通過されるように構成される、制御線と、
b.各々が、電流入力端子、電流出力端子、および制御端子を有する、第1および第2の整合トランジスタであって、
i.前記第1および第2のトランジスタの制御端子と、第2のトランジスタの電流入力端子とが直接一緒に接続され、
ii.第1のトランジスタの出力端子が、電流制限デバイスの第2の端子に直接接続され、第2のトランジスタの出力端子が、電流制限デバイスの第1の端子に直接接続され、その結果、第1のトランジスタの制御端子と電流制限デバイスの第2の端子との間の電圧が、電力線の測定抵抗器の端子の電圧と、第2のトランジスタの制御端子と電流制限デバイスの第1の端子との間の電圧との合計に等しく、
iii.制御端子に入る制御電流を減少させるために、制御抵抗器を通過するセットポイント電流から分流電流を分流するように、第1のトランジスタの入力端子が制御出力部に接続され、
iv.第2のトランジスタの入力端子が、制御入力部と制御抵抗器との間で制御線の入力部に接続される、第1および第2の整合トランジスタと、
をさらに含む。
【0019】
整合トランジスタは、当業者に知られているように、同じ技術的特徴を有し、ほとんどの場合、同じハウジングに配置されるトランジスタである。
【0020】
本発明の特定の実施形態では、第1および第2のトランジスタは、NPN型バイポーラトランジスタである。
【0021】
本発明の特定の実施形態では、電流制限デバイスは、
a.制御出力部と、第1のトランジスタの電流入力端子との間に接続されたバイアス抵抗器と、
b.制御出力部に電気的に接続された電流入力端子、電流出力端子、および制御端子を有するバイアストランジスタと、
c.電流制限デバイスの第2の端子と第3のトランジスタの出力端子との間に装着されたコレクタ抵抗器と、
d.第1の端子によって、第1のトランジスタの電流入力端子に接続され、第2の端子によって、バイアストランジスタの制御端子に接続された接続抵抗器と、
e.電流制限デバイスの第2の端子および接続抵抗器の第2の端子に接続されたキャパシタと、
をさらに含む。
【0022】
本発明の特定の実施形態では、バイアストランジスタQ5は、PNPバイポーラトランジスタである。
【0023】
本発明の特定の実施形態では、主スイッチは、電力用トランジスタ、好ましくは、金属酸化物半導体電界効果トランジスタである。
【0024】
本発明のさらなる目的は、第2の態様によれば、ハイサイドスイッチおよびローサイドスイッチを有し、これら2つのスイッチは、中央タップにおいて一緒に接続され、2つのスイッチの少なくとも一方、好ましくは、ハイサイドスイッチは、本発明に係るスイッチシステムに含まれる、スイッチングアームである。
【0025】
本発明のさらなる目的は、第3の態様によれば、本発明の第2の態様による少なくとも1つのスイッチングアームを含むHブリッジである。
【0026】
本発明のさらなる目的は、第4の態様によれば、本発明の第1の態様によるスイッチシステムまたは本発明の第2の態様による少なくとも1つのスイッチングアームを含む電圧変換器である。
【0027】
本発明のさらなる目的は、第5の態様によれば、
a.本発明の第2の態様によるスイッチングアームを含む電圧変換器と、
b.励磁コイルを備えるロータを有する回転電気機械であって、前記励磁コイルが、その端子のうちの1つによって、前記少なくとも1つのスイッチングアームの中央タップに接続される、回転電気機械と、
を含む電気システムである。
【0028】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照して非限定的な例として提供される以下の説明から明確に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】第1の実施形態に係るスイッチシステムのブロック図である。
図2】第1の実施形態に係るスイッチシステムの電気回路図である。
図3】第2の実施形態に係るスイッチシステムの電気回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
より明確にするために、同一または同様の要素は、図の全体にわたって同一の符号を使用して識別される。
【0031】
図1は、負荷、この場合、ロータの励磁コイルLexcに接続された第1の実施形態に係るスイッチシステム1の電気的ブロック図を示す。
【0032】
スイッチシステム1は、図1に破線の長方形で示された電力線2を含む。電力線2により、励磁コイルLexcは、電圧源、この場合、直流電圧源+Vbatから給電されることが可能になる。
【0033】
電力線2は、第1の主端子Dおよび第2の主端子Sを有する主スイッチQ1を含み、それらの間を主電流Ipが通過するように意図される。
【0034】
主スイッチQ1は、主スイッチQ1を選択的に閉状態、開状態、または半閉状態にするための制御端子Gをさらに含む。半閉状態では、主スイッチQ1は、第1の主端子Dと第2の主端子Sとの間に接続され制御端子Gによって制御される可変抵抗器と等価である。
【0035】
本明細書で説明される例では、励磁コイルLexcは、グランドと直流電圧源+Vbatとの間に並列に装着された第1のスイッチングアームおよび第2のスイッチングアームを含むHブリッジによって給電される。スイッチングアームの各々は、中央タップで一緒に接続されたハイサイドスイッチおよびローサイドスイッチを含み、Hブリッジの2つのアームの各々の中央タップは、励磁コイルLexcの異なる端部に接続される。
【0036】
本明細書で説明される例では、主スイッチQ1は、第1のスイッチングアームのハイサイドスイッチであり、Hブリッジのすべてのスイッチは、MOSFETトランジスタとしても知られている金属酸化物ゲート電界効果トランジスタである。この例は、N型エンハンスメントMOSFETトランジスタをさらに含む。
【0037】
言い換えれば、第1のスイッチングアームは、ローサイドスイッチ、すなわち、MOSFET Q23を含み、そのソースはグランドに接続され、そのドレインは第1のアームの中央タップ31に接続される。MOSFET Q1のドレインは直流供給源+Vbatに接続され、MOSFET Q1のソースは中央タップ31に接続される。
【0038】
第2のスイッチングアームはハイサイドスイッチQ25およびローサイドスイッチ、すなわち、MOSFET Q24を含み、ローサイドスイッチのソースはグランドに接続され、ローサイドスイッチのドレインは第2のスイッチングアームの中央タップに接続される。代替実施形態として、ハイサイドスイッチはダイオードによって置き換えられてもよく、そのカソードは直流供給源+Vbatに接続される。
【0039】
ローサイドスイッチQ23は、主スイッチQ1が開いているとき、ローサイドスイッチQ24とともに、励磁コイルLexcの制御された減磁を可能にする。
【0040】
スイッチシステム1は、図1に長方形で示されている電流制限デバイス3をさらに含む。
【0041】
電流制限デバイス3は、制御ユニットUと、主スイッチQ1の制御端子、すなわち、MOSFET Q1のゲートとの間に接続された制御線4を含む。
【0042】
より具体的には、制御線4は、主スイッチQ1の制御端子Gに接続された制御出力部4Gと、制御ユニットUに接続された制御入力部4Uとを含む。
【0043】
したがって、スイッチQ1は、端子4Uに制御電圧を印加する「ドライバ」としてよりよく知られている制御ユニットUによって制御され、それにより、端子4Gでの結果として生じる電圧に応じて主スイッチQ1を閉状態、開状態、または半閉状態にすることを可能にする。
【0044】
制御線4は、制御入力部4Uと制御出力部4Gとの間に接続された制御抵抗器R4をさらに含む。
【0045】
電流制限デバイス3は、さらに、主電流Ipが最大電流しきい値を超えると、主電流Ipを制限するために、主スイッチQ1を閉状態から半閉状態に移行させるように主スイッチQ1の制御端子Gに入る制御電流Igを減少させるように設計される。
【0046】
言い換えれば、電流制限デバイス3は、制御抵抗器R4を通過する電流から分流電流I30を分流するように構成される。
【0047】
言い換えれば、MOSFET Q1は、閉状態から半閉状態に移行する、すなわち、MOSFET Q1は、オン状態から線形モード動作区域に移行する。
【0048】
したがって、線形モードでの主スイッチQ1の可変抵抗の値は、制御端子Gに入る制御電流Igに応じて調整される。
【0049】
このようにして、電流制限デバイス3は、主電流Ipを第1のしきい値に制限するように制御電流Igを調整する。
【0050】
それゆえに、そのようなスイッチシステム1は、供給線2の抵抗を調整することによって供給線2の主電流Ipを制限することを可能にする。
【0051】
最大電流しきい値は、例えば、供給線2の構成要素のうちの1つによってサポートされ得る最大電流に対応するように選択される。本明細書で説明される例では、最大電流しきい値は40Aである。
【0052】
供給線2は、主電流Ipが通過する測定抵抗器Rsをさらに含む。本明細書で説明される例では、測定抵抗器Rsは、MOSFET Q1のソースと中央タップ31との間に接続される。
【0053】
本明細書で説明される例では、測定抵抗器Rsは、2mΩの値を有する。
【0054】
電流制限デバイス3は、第1の端子B1および第2の端子B2をさらに含む。それにより、電流制限デバイス3は、これらの2つの端子B1およびB2によって測定抵抗器Rsと並列に接続される。
【0055】
言い換えれば、この実施形態では、電流制限デバイス3は、この測定された電圧が閾電圧値を超えると、抵抗器Rsの端子で測定された電圧Vrs、すなわち、第1のB1端子と第2のB2端子との間で測定された電圧に応じて、制御電流Igを変えるように設計される。閾電圧値は、測定抵抗Rsの値に第1の最大電流しきい値を掛けた積に対応する。
【0056】
次に、図2を参照して、本発明の第1の実施形態の電流制限デバイス3が、さらに詳細に説明される。
【0057】
本発明のこの実施形態では、電流制限デバイス3は、第1のQ30整合トランジスタおよび第2のQ31整合トランジスタを含み、各々は、電流入力端子、電流出力端子、および制御端子を有する。
【0058】
本明細書で説明される例では、トランジスタQ30およびQ31は、NPN型バイポーラトランジスタである。
【0059】
第1のトランジスタQ30は、第2のトランジスタQ31の制御端子B31(この場合、ベース)に接続された制御端子B30(この場合、そのベース)を含む。さらに、第2のトランジスタQ31のベースは、第2のトランジスタQ31の電流入力端子C31(この場合、コレクタ)に接続される。
【0060】
それゆえに、3つの端子B31、B30、およびC31は同じ電位を有する。
【0061】
第1のトランジスタQ30の出力端子E30(この場合、エミッタ)は、電流制限デバイス3の第2の端子B2に接続される。
【0062】
第2のトランジスタQ31の出力端子E31(この場合、エミッタ)は、電流制限デバイス3の第1の端子B1に接続される。
【0063】
したがって、第1のトランジスタQ30の制御端子B30と端子E30との間の電圧Vbe30は、電圧Vrsと、第2のトランジスタQ31の制御端子B31と端子E31との間の電圧Vbe31との合計に等しい。言い換えれば、電圧Vbe30および電圧Vbe31は同じ制御電位を有し、これらの2つの電圧間の差は、主電流Ipに比例する電圧Vrsに対応する。したがって、抵抗電圧Vrsは、以下の式[数1]に従って、第1のトランジスタQ30の制御端子と出力端子との間の電圧から、第2のトランジスタの出力端子と制御端子との間の電圧を差し引いたものに等しい。
【0064】
【数1】
【0065】
第1のトランジスタQ30の入力端子C30(この場合、コレクタ)は、制御線4の出力部4Gに接続される。この場合、この例では、入力端子C30は、出力部4Gに直接接続される。言い換えれば、出力端子4G、スイッチQ1の制御端子G、および入力部C30は、同じ電位を有する。
【0066】
第1のトランジスタQ30は、制御抵抗器R4を通過する電流から分流電流I30を分流するように構成される。
【0067】
第2のトランジスタQ31の入力端子C31は、第1のバイアス抵抗器R31によって制御線4の入力部4Uに接続される。言い換えれば、第1のバイアス抵抗器R31は、その端子の一方によって制御端子4Uに接続され、その端子の他方によって第2のトランジスタQ31の入力端子C31に接続される。
【0068】
電流制限デバイス3の設計は、主電流が式[数2]を確認していることを意味する。
【0069】
【数2】
【0070】
それゆえに、主電流の制限は、第1のQ30および第2のQ31トランジスタのバイアス点と、抵抗Rsとに依存する。
【0071】
抵抗Rsを選択した後、2つのトランジスタのバイアス点は、主電流が制限されることになる値を規定する。
【0072】
第1のトランジスタQ30は、線形モードで動作し、式[数3]に従って、制御ユニットUによって制御入力部4Uに印加される電圧Vuから、第1のトランジスタQ30のエミッタとコレクタとの間の電圧Vce30を差し引いて、制御抵抗R4の値で割ったものに等しいコレクタ電流I30でバイアスされる。第1のトランジスタQ30のバイアス点は、さらに、主トランジスタQ1の相互コンダクタンス、測定抵抗Rsの値、および制御抵抗R4の値に依存する。
【0073】
【数3】
【0074】
第2のトランジスタQ31もバイアスされ、その結果、この第2のトランジスタは、線形モードで動作する。第2のトランジスタQ31のコレクタとベースは一緒に接続されているので、第2のトランジスタQ31のエミッタとコレクタとの間の電圧ならびにベースとエミッタとの間の電圧は等しく、本明細書で説明される例では約0.6Vである。第2のトランジスタQ31は、式[数4]に従って、制御ユニットUによって制御入力部4Uに印加された電圧Vuを第1のバイアス抵抗R31の値で割ったものと等しいコレクタ電流Ic31によりバイアスされる。本明細書で説明される例では、コレクタ電流は約250μAである。したがって、第1のバイアス抵抗R31の値の選択は、第2のトランジスタQ31の所望のバイアス点に依存する。
【0075】
【数4】
【0076】
2つのトランジスタQ30およびQ31は整合されているので、電圧Vrsが高いほど、第1のトランジスタQ30のエミッタとコレクタとの間の見かけの抵抗は低くなり、それゆえに、分流電流I30は大きくなる。
【0077】
測定抵抗Rsの値の選択は、測定抵抗Rsの損失と、パラメータVbeに関する第1のQ30および第2のQ31整合トランジスタの感度との間の妥協の結果である。測定抵抗Rsは、過剰な損失を発生しないように十分に低いこと、および、同時に、電流Ipを制限するために電流I30の分流を可能にするようにその端子間で十分に高い電圧降下を引き起こすことができるほど十分に大きいことが要求され、前記電流Ipの減少は、制御抵抗器R4の端子での電圧降下によって引き起こされるトランジスタQ1のゲートとソースとの間の電圧の低下の結果として引き起こされる。
【0078】
入力部4Uの電圧は、制御抵抗器R4の端子の電圧Vr4、トランジスタQ1の制御端子Gと出力部Sとの間の電圧Vgs、および電圧Vrsの合計に等しい。
【0079】
したがって、整合トランジスタQ30、Q31、測定抵抗器Rs、および第1のバイアス抵抗器R31は、第1の所望のしきい値、制御抵抗R4、および主スイッチQ1の機能に応じて、特に、線形モード動作機能に応じて選択される。
【0080】
それゆえに、そのようなスイッチシステム1は、制御抵抗器R4の出力部において、測定抵抗器Rsの端子の電圧が高いほど大きくなる電流I30を分流することによって、制御入力部Gに入る制御電流Igを減少させることが可能である。
【0081】
次に、図3を参照して、電流制限デバイス3が、バイアス回路5をさらに含むことを除いて、第1の実施形態と同一である本発明の第2の実施形態でさらに詳細に説明される。
【0082】
このバイアス回路5は、
1.第2のバイアス抵抗器R30、
2.接続抵抗器R5、
3.電流入力端子E5、電流出力端子C5、および制御端子B5を含むバイアストランジスタQ5(この場合、PNPバイポーラトランジスタ)、
4.コレクタ抵抗器R50、および
5.キャパシタ5C
を含む。
【0083】
本明細書で説明される例では、電流入力端子E5はトランジスタQ5のエミッタであり、電流出力端子C5はトランジスタQ5のコレクタであり、制御端子B5はトランジスタQ5のベースである。
【0084】
第2のバイアス抵抗器R30が、制御線の出力部4Gと第1のトランジスタQ30の入力部C30との間に接続される。言い換えれば、第2のバイアス抵抗器R30は、入力部C30を制御出力部4Gに電気的に接続する。
【0085】
バイアストランジスタQ5のエミッタE5は、制御線4の制御出力部4Gに接続され、コレクタC5は、コレクタ抵抗器R50によって、電流制限デバイス3の第2の入力端子B2に接続される。
【0086】
バイアストランジスタQ5の制御端子はまた、キャパシタ5Cによって電流制限デバイス3の第2の入力端子B2に接続され、接続抵抗器R5によって第1のトランジスタQ30の端子C30に接続される。
【0087】
当然、本発明は、図を参照して説明された実施形態に限定されず、代替実施形態が、本発明の範囲から逸脱することなく意図され得る。
【0088】
例えば、前に説明された実施形態では、主トランジスタQ1はMOSFETトランジスタである。代替実施形態として、このトランジスタは、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)とすることができる。
図1
図2
図3