(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-22
(45)【発行日】2023-03-03
(54)【発明の名称】二重増圧コールドチャンバーダイカストマシンのスクイーズキャスティング法
(51)【国際特許分類】
B22D 17/04 20060101AFI20230224BHJP
B22D 17/32 20060101ALI20230224BHJP
B22D 17/22 20060101ALI20230224BHJP
B22D 18/02 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
B22D17/04
B22D17/32 F
B22D17/32 B
B22D17/22 Z
B22D18/02 B
B22D18/02 G
B22D18/02 R
B22D18/02 Z
(21)【出願番号】P 2021192610
(22)【出願日】2021-11-28
【審査請求日】2021-11-29
(31)【優先権主張番号】202110132676.6
(32)【優先日】2021-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520153682
【氏名又は名称】▲ぷう▼田市栄興机械有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100216471
【氏名又は名称】瀬戸 麻希
(72)【発明者】
【氏名】呉奕▲しん▼
(72)【発明者】
【氏名】呉玉栄
(72)【発明者】
【氏名】呉建成
(72)【発明者】
【氏名】姚志斌
【審査官】池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/087913(WO,A1)
【文献】中国実用新案第204867340(CN,U)
【文献】独国特許出願公開第10062436(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0032123(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第01046444(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 17/00-17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二重増圧コールドチャンバーダイカストマシンのスクイーズキャスティング法であって
、前記二重増圧コールドチャンバーダイカストマシンは、横射出プランジャーと、縦射出
プランジャーと、横型
射出スリープと、縦型
射出スリープと、横型増圧射出システムと、
縦型増圧射出システムとを備え、前記横型増圧射出システムは前記横射出プランジャーを
駆動して前記横型
射出スリープ内で射出動作及び増圧動作を実行でき、前記縦型増圧射出
システムは前記縦射出プランジャーを駆動して前記縦型
射出スリープ内で射出動作及び増
圧動作を実行でき;前記スクイーズキャスティング法は、
前記横型増圧射出システムを介して前記横射出プランジャーを駆動して射出動作を実行
し、溶湯を前記横型
射出スリープから前記縦型
射出スリープ内に輸送する工程S11と、
前記縦型増圧射出システムを介して前記縦射出プランジャーを駆動して射出動作を実行
し、溶湯を前記縦型
射出スリープ内から金型キャビティ内に射出する工程S12と、
前記縦型増圧射出システムを介して前記縦射出プランジャーを駆動して1回目の増圧動
作を実行し、液相の溶湯を1回目スクイーズする工程S13と、
前記横型増圧射出システムを介して前記横射出プランジャーを駆動して2回目の増圧動作
を実行し、固液混合相の金属を2回目スクイーズする工程S14と、
を含むことを特徴とする、スクイーズキャスティング法。
【請求項2】
前記2回目のスクイーズの圧力
の強さは、1回目のスクイーズの圧力
の強さより大きく
、2回のスクイーズの増圧圧力
の強さの差△P1は、下式で表されることを特徴とする、
請求項1に記載のスクイーズキャスティング法。
【数1】
[式中、F1は、前記横型増圧射出システムの増圧圧力、F2は前記縦型増圧射出シス
テムの増圧圧力、dは前記横射出プランジャーの直径、Dは前記縦射出プランジャーの直
径である。]
【請求項3】
前記横型増圧射出システム及び前記縦型増圧射出システムは、それぞれ増圧動作を実行
する時二者間をインターロックし、前記横型増圧射出システムが前記横射出プランジャー
を駆動して2回目の増圧動作を実行する時、前記縦型増圧射出システムは前記縦射出プラ
ンジャーが引っ込まないように保持することを特徴とする、請求項1に記載のスクイーズ
キャスティング法。
【請求項4】
前記2回目の増圧動作は、1回目の増圧動作が完了した後で、所定の遅延時間を経過し
た後で開始し、
前記遅延時間は、0~2秒であることを特徴とする、請求項1に記載のス
クイーズキャスティング法。
【請求項5】
二重増圧コールドチャンバーダイカストマシンのスクイーズキャスティング法であって
、前記二重増圧コールドチャンバーダイカストマシンは、横射出プランジャーと、縦射出
プランジャーと、横型
射出スリープと、縦型
射出スリープと、横型増圧射出システムと、
縦型増圧射出システムとを備え、前記横型増圧射出システムは前記横射出プランジャーを
駆動して前記横型
射出スリープ内で射出動作及び増圧動作を実行でき、前記縦型増圧射出
システムは前記縦射出プランジャーを駆動して前記縦型
射出スリープ内で射出動作及び増
圧動作を実行でき;前記スクイーズキャスティング法は、
前記横型増圧射出システムを介して前記横射出プランジャーを駆動して射出動作を実行
し、溶湯を前記
横型
射出スリープ内から金型キャビティ内に射出する工程S31と、
前記横型増圧射出システムを介して前記横射出プランジャーを駆動して1回目の増圧動
作を実行し、液相の溶湯を1回目スクイーズする工程S32と、
前記縦型増圧射出システムを介して前記縦射出プランジャーを駆動して2回目の増圧動
作を実行し、固液混合相の金属を2回目スクイーズする工程S33と、
を含むことを特徴とする、スクイーズキャスティング法。
【請求項6】
前記2回目のスクイーズの圧力
の強さは、1回目のスクイーズの圧力
の強さより大きく
、2回のスクイーズの増圧圧力
の強さの差△P2は、下式で表されることを特徴とする、
請求項
5に記載のスクイーズキャスティング法。
【数2】
[式中、F1は、前記横型増圧射出システムの増圧圧力、F2は前記縦型増圧射出シス
テムの増圧圧力、dは前記横射出プランジャーの直径、Dは前記縦射出プランジャーの直
径である。]
【請求項7】
前記横型増圧射出システム及び前記縦型増圧射出システムは、それぞれ増圧動作を実行
する時二者間をインターロックし、前記縦型増圧射出システムが前記縦射出プランジャー
を駆動して2回目の増圧動作を実行する時、前記横型増圧射出システムは前記横射出プラ
ンジャーが引っ込まないように保持することを特徴とする、請求項6に記載のスクイーズ
キャスティング法。
【請求項8】
前記2回目の増圧動作は、1回目の増圧動作が完了した後で、所定の遅延時間を経過し
た後で開始し、
前記遅延時間は、0~2秒であることを特徴とする、請求項5に記載のス
クイーズキャスティング法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクイーズキャスティング技術分野に関し、特に、二重増圧コールドチャン
バーダイカストマシンのスクイーズキャスティング法に関する。
【背景技術】
【0002】
実際のスクイーズキャスティングによる製造において、ダイカストマシン、製品の構造
、ステップパラメータ、金型の構造等の様々な要因の影響を受けるため、ダイカストプロ
セスに例えば気孔、引け巣、湯境等の不良問題などのいくつかの欠陥も生じ、ダイカスト
品の強度及び機械的性質に影響を与えていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、従来技術における上述の問題点の克服を意図しており、引け巣及び気孔の問
題を解決できる二重増圧コールドチャンバーダイカストマシンのスクイーズキャスティン
グ法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために本発明では、次のような技術的手段を講じた。
二重増圧コールドチャンバーダイカストマシンのスクイーズキャスティング法であって
、前記二重増圧コールドチャンバーダイカストマシンは、横射出プランジャーと、縦射出
プランジャーと、横型射出スリープと、縦型射出スリープと、横型増圧射出システムと、
縦型増圧射出システムとを備え、前記横型増圧射出システムは横射出プランジャーを駆動
して横型射出スリープ内で射出動作及び増圧動作を実行でき、前記縦型増圧射出システム
は縦射出プランジャーを駆動して縦型射出スリープ内で射出動作及び増圧動作を実行でき
;前記スクイーズキャスティング法は、次の工程S11~S14を含む。すなわち、
S11:横型増圧射出システムを介して横射出プランジャーを駆動して射出動作を実行
し、溶湯を横型射出スリープから縦型射出スリープ内に輸送する工程、
S12:縦型増圧射出システムを介して縦射出プランジャーを駆動して射出動作を実行
し、溶湯を縦型射出スリープ内から金型キャビティ内に射出する工程、
S13:縦型増圧射出システムを介して縦射出プランジャーを駆動して1回目の増圧動
作を実行し、液相の溶湯を1回目スクイーズする工程、
S14:横型増圧射出システムを介して横射出プランジャーを駆動して2回目の増圧動
作を実行し、固液混合相の金属を2回目スクイーズする工程。
【0005】
好ましくは、前記2回目のスクイーズの圧力の強さは、1回目のスクイーズの圧力の強
さより大きく、2回のスクイーズの増圧圧力の強さの差△P1は、下式で表される。
【0006】
【数1】
式中、F1は、横型増圧射出システムの増圧圧力、F2は縦型増圧射出システムの増圧
圧力、dは横射出プランジャーの直径、Dは縦射出プランジャーの直径である。
【0007】
好ましくは、前記横型増圧射出システム及び縦型増圧射出システムは、それぞれ増圧動
作を実行する時二者間をインターロックし、前記横型増圧射出システムが横射出プランジ
ャーを駆動して2回目の増圧動作を実行する時、前記縦型増圧射出システムは縦射出プラ
ンジャーが引っ込まないように保持する。
【0008】
好ましくは、前記2回目の増圧動作は、1回目の増圧動作が完了した後で、所定の遅延
時間を経過した後で開始し、前記遅延時間の決定方法が次のS21~S22を含む。すな
わち、
S21:CAEソフトウェアの助けを借りて、工程S11~S13に従って1回目のス
クイーズモデルを確立し、1回目のスクイーズモデル中の溶湯がキャビティを満たした後
の温度場に基づき、溶湯が固液共存状態にある時間範囲を決定すると、理論的な遅延時間
範囲の値を得るステップ、
S22:前記理論的な遅延時間範囲値内のいくつかの数値を選択し、各々複数回のモー
ルドトライアル試験を実行することで、複数のダイカスト品サンプルを得、複数の前記ダ
イカスト品サンプルに対し欠陥検出を実施し、欠陥検出の結果に基づき、欠陥が生じたダ
イカスト品サンプルに対応する数値を除去し、前記理論的な遅延時間範囲の値を補正する
ことで、実際の遅延時間範囲の値を得るステップ。
【0009】
好ましくは、前記遅延時間は、0~2秒である。
【0010】
本発明は、二重増圧コールドチャンバーダイカストマシンのスクイーズキャスティング
法をさらに提供する。前記二重増圧コールドチャンバーダイカストマシンは、横射出プラ
ンジャーと、縦射出プランジャーと、横型射出スリープと、縦型射出スリープと、横型増
圧射出システムと、縦型増圧射出システムとを備え、前記横型増圧射出システムは横射出
プランジャーを駆動して横型射出スリープ内で射出動作及び増圧動作を実行でき、前記縦
型増圧射出システムは縦射出プランジャーを駆動して縦型射出スリープ内で射出動作及び
増圧動作を実行でき;前記スクイーズキャスティング法は、次の工程S31~S33を含
む。すなわち、
S31:横型増圧射出システムを介して横射出プランジャーを駆動して射出動作を実行
し、溶湯を横型射出スリープ内から金型キャビティ内に射出する工程、
S32:横型増圧射出システムを介して横射出プランジャーを駆動して1回目の増圧動
作を実行し、液相の溶湯を 1回目スクイーズする工程、
S33:縦型増圧射出システムを介して縦射出プランジャーを駆動して2回目の増圧動
作を実行し、固液混合相の金属を2回目スクイーズする工程。
【0011】
好ましくは、前記2回目のスクイーズの圧力の強さは、1回目のスクイーズの圧力の強
さより大きく、2回のスクイーズの増圧圧力の強さの差△P2は、下式で表される。
【0012】
【数2】
式中、F1は、横型増圧射出システムの増圧圧力、F2は縦型増圧射出システムの増圧
圧力、dは横射出プランジャーの直径、Dは縦射出プランジャーの直径である。
【0013】
好ましくは、前記横型増圧射出システム及び縦型増圧射出システムは、それぞれ増圧動
作を実行する時二者間をインターロックし、前記縦型増圧射出システムが縦射出プランジ
ャーを駆動して2回目の増圧動作を実行する時、前記横型増圧射出システムは横射出プラ
ンジャーが引っ込まないように保持する。
【0014】
好ましくは、前記2回目の増圧動作は、1回目の増圧動作が完了した後で、所定の遅延
時間を経過した後で開始し、前記遅延時間の決定方法が次のS41~S42を含む。すな
わち、
S41:CAEソフトウェアの助けを借りて、工程S31~S32に従って1回目のス
クイーズモデルを確立し、1回目のスクイーズモデル中の溶湯がキャビティを満たした後
の温度場に基づき、溶湯が固液共存状態にある時間範囲を決定すると、理論的な遅延時間
範囲の値を得るステップ、
S42:前記理論的な遅延時間範囲値内のいくつかの数値を選択し、各々複数回のモー
ルドトライアル試験を実行することで、複数のダイカスト品サンプルを得、複数の前記ダ
イカスト品サンプルに対し欠陥検出を実施し、欠陥検出の結果に基づき、欠陥が生じたダ
イカスト品サンプルに対応する数値を除去し、前記理論的な遅延時間範囲の値を補正する
ことで、実際の遅延時間範囲の値を得るステップ。
【0015】
好ましくは、前記遅延時間は、0~2秒である。
【0016】
従来技術と比較して、本発明は、次の有利な効果を有する。
二重増圧]射出システムを用い、まず増圧射出システムのいずれかを介して液相の溶湯
を1回目スクイーズすることで、ダイカスト品内部の引け巣、気孔を減らし、次に別の増
圧射出システムを介して固液混合相の金属を2回目スクイーズすることからより高い比圧
で増圧し、ダイカスト品の引け巣、気孔を潰し、結晶粒を微細化させ、スクイーズダイカ
スト品をよりよくT6処理し、溶接性を備え、機械的性質を向上することに有利である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】本発明の実施例1における横型増圧射出システムの2回スクイーズを示す概略図である。
【
図3】本発明の実施例2における縦型増圧射出システムの2回スクイーズを示す概略図である。
【
図4】本発明の鋳造工程全体の射出速度及び鋳造圧力の特性曲線図である。
【
図5】本発明の実施例1及び実施例2の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の上記特徴及び利点をより明白かつ理解しやすくするために、実施例及び
図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0019】
(実施例1)
図1~
図2及び
図4に示すように、二重増圧コールドチャンバーダイカストマシンのス
クイーズキャスティング法であって、前記二重増圧コールドチャンバーダイカストマシン
は、横射出プランジャー1と、縦射出プランジャー2と、横型
射出スリープ3と、縦型
射
出スリープ4と、横型増圧射出システム5と、縦型増圧射出システム6とを備え、前記横
型増圧射出システム5は横射出プランジャー1を駆動して横型
射出スリープ3内で射出動
作及び増圧動作を実行でき、前記縦型増圧射出システム6は縦射出プランジャー2を駆動
して縦型
射出スリープ4内で射出動作及び増圧動作を実行でき;前記スクイーズキャステ
ィング法は、次の工程S11~S14を含む。すなわち、
S11:横型増圧射出システム5を介して横射出プランジャー1を駆動して射出動作を
実行し、溶湯を横型
射出スリープ3から縦型
射出スリープ4内に輸送する工程、
S12:縦型増圧射出システム6を介して縦射出プランジャー2を駆動して射出動作を
実行し、溶湯を縦型
射出スリープ4内から金型キャビティ内に射出する工程、
S13:縦型増圧射出システム6を介して縦射出プランジャー2を駆動して1回目の増
圧動作を実行し、液相の溶湯を1回目スクイーズする工程、
S14:横型増圧射出システム5を介して横射出プランジャー1を駆動して2回目の増
圧動作を実行し、固液混合相の金属を2回目スクイーズする工程。
【0020】
好ましくは、前記2回目のスクイーズの圧力の強さは、1回目のスクイーズの圧力の強
さより大きく、2回のスクイーズの増圧圧力の強さの差△P1は、下式で表される。
【0021】
【数3】
式中、F1は、横型増圧射出システム5の増圧圧力、F2は縦型増圧射出システム6の
増圧圧力、dは横射出プランジャー1の直径、Dは縦射出プランジャー2の直径である。
【0022】
本実施例において、前記横射出プランジャー1の直径dは、好ましくは縦射出プランジ
ャー2の直径Dより小さいか又は等しいが、これに限定されない。例えば横射出プランジ
ャー1の直径dが縦射出プランジャー2の直径Dに等しい場合、横型増圧射出システム5
の増圧圧力F1は縦型増圧射出システム6の増圧圧力F2の1.5倍以上、すなわちF1
≧1.5×F2で2回目のスクイーズを行う。
【0023】
本実施例において、前記横型増圧射出システム5及び縦型増圧射出システム6は、それ
ぞれ増圧動作を実行する時二者間をインターロックし、前記横型増圧射出システム5が横
射出プランジャー1を駆動して2回目の増圧動作を実行する時、前記縦型増圧射出システ
ム6は縦射出プランジャー2が引っ込まないように保持する。
【0024】
本実施例において、前記2回目の増圧動作は、1回目の増圧動作が完了した後で、所定
の遅延時間を経過した後で開始し、前記遅延時間の決定方法が次のS21~S22を含む
。すなわち、
S21:CAEソフトウェアの助けを借りて、工程S11~S13に従って1回目のス
クイーズモデルを確立し、1回目のスクイーズモデル中の溶湯がキャビティを満たした後
の温度場に基づき、溶湯が固液共存状態にある時間範囲を決定すると、理論的な遅延時間
範囲の値を得るステップ、
S22:前記理論的な遅延時間範囲値内のいくつかの数値を選択し、各々複数回のモー
ルドトライアル試験を実行することで、複数のダイカスト品サンプルを得、複数の前記ダ
イカスト品サンプルに対し欠陥検出を実施し、欠陥検出の結果に基づき、欠陥が生じたダ
イカスト品サンプルに対応する数値を除去し、前記理論的な遅延時間範囲の値を補正する
ことで、実際の遅延時間範囲の値を得るステップ。
【0025】
本実施例において、前記遅延時間は、0~2秒で、例えば0.5秒、1秒、1.5秒で
ある。
【0026】
(実施例2)
図1及び
図3~4に示すように、二重増圧コールドチャンバーダイカストマシンのスク
イーズキャスティング法であって、前記二重増圧コールドチャンバーダイカストマシンは
、横射出プランジャー1と、縦射出プランジャー2と、横型
射出スリープ3と、縦型
射出
スリープ4と、横型増圧射出システム5と、縦型増圧射出システム6とを備え、前記横型
増圧射出システム5は横射出プランジャー1を駆動して横型
射出スリープ3内で射出動作
及び増圧動作を実行でき、前記縦型増圧射出システム6は縦射出プランジャー2を駆動し
て縦型
射出スリープ4内で射出動作及び増圧動作を実行でき;前記スクイーズキャスティ
ング法は、次の工程S31~S33を含む。すなわち、
S31:横型増圧射出システム5を介して横射出プランジャー1を駆動して射出動作を
実行し、溶湯を横型
射出スリープ3内から金型キャビティ内に射出する工程、
S32:横型増圧射出システム5を介して横射出プランジャー1を駆動して1回目の増
圧動作を実行し、液相の溶湯を1回目スクイーズする工程、
S33:縦型増圧射出システム6を介して縦射出プランジャー2を駆動して2回目の増
圧動作を実行し、固液混合相の金属を2回目スクイーズする工程。
【0027】
本実施例において前記2回目のスクイーズの圧力の強さは、1回目のスクイーズの圧力
の強さより大きく、2回のスクイーズの増圧圧力の強さの差△P2は、下式で表される。
【0028】
【数4】
式中、F1は、横型増圧射出システム5の増圧圧力、F2は縦型増圧射出システム6の
増圧圧力、dは横射出プランジャー1の直径、Dは縦射出プランジャー2の直径である。
【0029】
本実施例において、前記横射出プランジャー1の直径dは、好ましくは縦射出プランジ
ャー2の直径Dより大きいか又は等しいが、これに限定されない。例えば横射出プランジ
ャー1の直径dが縦射出プランジャー2の直径Dに等しい場合、縦型増圧射出システム6
の増圧圧力F2は横型増圧射出システム5の増圧圧力F1の1.5倍以上、すなわちF2
≧1.5×F1で2回目のスクイーズを行う。
【0030】
本実施例において、前記横型増圧射出システム5及び縦型増圧射出システム6は、それ
ぞれ増圧動作を実行する時二者間をインターロックし、前記縦型増圧射出システム6が縦
射出プランジャー2を駆動して2回目の増圧動作を実行する時、前記横型増圧射出システ
ム5は横射出プランジャー1が引っ込まないように保持する。
【0031】
本実施例において、前記2回目の増圧動作は、1回目の増圧動作が完了した後で、所定
の遅延時間を経過した後で開始し、前記遅延時間の決定方法が次のS41~S42を含む
。すなわち、
S41:CAEソフトウェアの助けを借りて、工程S31~S32に従って1回目のス
クイーズモデルを確立し、1回目のスクイーズモデル中の溶湯がキャビティを満たした後
の温度場に基づき、溶湯が固液共存状態にある時間範囲を決定すると、理論的な遅延時間
範囲の値を得るステップ、
S42:前記理論的な遅延時間範囲値内のいくつかの数値を選択し、各々複数回のモー
ルドトライアル試験を実行することで、複数のダイカスト品サンプルを得、複数の前記ダ
イカスト品サンプルに対し欠陥検出を実施し、欠陥検出の結果に基づき、欠陥が生じたダ
イカスト品サンプルに対応する数値を除去し、前記理論的な遅延時間範囲の値を補正する
ことで、実際の遅延時間範囲の値を得るステップ。
【0032】
本実施例において、前記遅延時間は、0~2秒で、例えば0.5秒、1秒、1.5秒で
ある。
【0033】
上記の2つの実施例において、
図4からも分かるように2回目増圧する前の1回目の射
出曲線は、普通のスクイーズキャスティング形態のデータであり、2回目の増圧動作は1
回目の増圧動作の射出圧力をベースとして、所定の射出圧力値に瞬間的に急速に上昇し、
振動・圧力安定化段階において、2回目の増圧動作の射出圧力が上下に変動し、最終的に
2回の増圧圧力の定常値に達することで、鋳造圧力を明らかに増大させた。2回の増圧圧
力は、2つの射出プランジャーの設計直径、1回目の増圧の圧力と2回目の増圧圧力
の強
さの差に従って決定できる。2回目の増圧のタイミングは、上述の対応する遅延時間の決
定方法により決定できる。
【0034】
上記の2つの実施例において、
図6に示すように、前記横型増圧射出システム5は、横
型射出シリンダ51と、横型増圧シリンダ52と、横型増圧アキュムレータ53とを備え
、前記横型射出シリンダ51の出力側が横型射出ロッド54の一端と固結し、前記横型射
出ロッド54の他端が横射出プランジャー1と固結し、前記横型増圧シリンダ52が横型
射出シリンダ51に取り付けられ、前記横型増圧アキュムレータ53が横型増圧シリンダ
52に取り付けられ、1回の増圧又は2回の増圧に用いられる。前記横型増圧射出システ
ム5は、横型高速射出用アキュムレータ55をさらに備えることができ、前記横型高速射
出用アキュムレータ55が横型増圧シリンダ52に取り付けられ、高速射出に用いられる
。当然、前記横型増圧射出システム5は、高速射出作業を含まない場合、横型高速射出用
アキュムレータ55を除くことができる。
【0035】
上記の2つの実施例において、
図6に示すように、前記縦型増圧射出システム6は、縦
型射出シリンダ61と、縦型増圧シリンダ62と、縦型増圧アキュムレータ63とを備え
、前記縦型射出シリンダ61の出力側が縦型射出ロッド64の一端と固結し、前記縦型射
出ロッド64の他端が縦射出プランジャー2と固結し、前記縦型増圧シリンダ62が縦型
射出シリンダ61に取り付けられ、前記縦型増圧アキュムレータ63が縦型増圧シリンダ
62に取り付けられ、1回の増圧又は2回の増圧に用いられる。前記縦型増圧射出システ
ム6は、縦型高速射出用アキュムレータ65をさらに備えることができ、前記縦型高速射
出用アキュムレータ65が縦型増圧シリンダ62に取り付けられ、高速射出に用いられる
。当然、前記縦型増圧射出システム6は、高速射出作業を含まない場合、縦型高速射出用
アキュムレータ65を除くことができる。
【0036】
特に言及すべき点は、本発明内の他の未開示の構造は、均しく従来技術であるため、こ
こでその説明を省略する。
【0037】
本発明では好ましい実施例を前述の通り開示したが、これらは決して本発明に限定する
ものではなく、当該技術を熟知する者なら誰でも、本発明の技術的手段の内容を脱しない
範囲内で本発明の技術的本質に基づいて上記の実施例に対して各種の修正、均等な変化や
潤色を加えることができ、したがってすべてのかかる修正、均等な変化や潤色を含むこと
が意図される。
【符号の説明】
【0038】
1 横射出プランジャー
2 縦射出プランジャー
3 横型射出スリープ
4 縦型射出スリープ
5 横型増圧射出システム
51 横型射出シリンダ
52 横型増圧シリンダ
53 横型増圧アキュムレータ
54 横型射出ロッド
55 横型高速射出用アキュムレータ
6 縦型増圧射出システム
61 縦型射出シリンダ
62 縦型増圧シリンダ
63 縦型増圧アキュムレータ
64 縦型射出ロッド
65 縦型高速射出用アキュムレータ
P1 横射出プランジャーのスクイーズ方向
P2 縦射出プランジャーのスクイーズ方向
△V1 横射出プランジャーの2回目のスクイーズキャスティング変数
△V2 縦射出プランジャーの2回目のスクイーズキャスティング変数