(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-22
(45)【発行日】2023-03-03
(54)【発明の名称】吹出口装置
(51)【国際特許分類】
F24F 13/072 20060101AFI20230224BHJP
F24F 13/068 20060101ALI20230224BHJP
F24F 13/08 20060101ALI20230224BHJP
F24F 13/20 20060101ALI20230224BHJP
F24F 13/26 20060101ALI20230224BHJP
F24F 13/24 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
F24F13/072 B
F24F13/068 B
F24F13/08 A
F24F13/20
F24F13/26
F24F13/24
(21)【出願番号】P 2019038879
(22)【出願日】2019-03-04
【審査請求日】2021-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000164553
【氏名又は名称】空研工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591219429
【氏名又は名称】空調技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099634
【氏名又は名称】平井 安雄
(72)【発明者】
【氏名】永▲崎▼ 陽介
(72)【発明者】
【氏名】中島 洋一
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-092305(JP,A)
【文献】特開2015-004455(JP,A)
【文献】特開2018-179311(JP,A)
【文献】実開昭54-018050(JP,U)
【文献】米国特許第04516483(US,A)
【文献】米国特許第04729292(US,A)
【文献】米国特許第05505379(US,A)
【文献】実開昭56-070740(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/072
F24F 13/068
F24F 13/08
F24F 13/20
F24F 13/26
F24F 13/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和対象の室内空間における天井又は壁に配設され、室内空間に調和空気を吹出す吹出口装置において、
調和空気が通過可能な細長い矩形開口断面の開口部を取囲んだ略枠状体として形成され、天井内でダクトと接続されて調和空気を供給され、前記開口部から調和空気を室内空間へ吹出す吹出口本体と、
前記吹出口本体の開口部に当該開口部の長手方向に一列に並べて複数配設され、調和空気の吹出す方向を所定の向きに案内する気流案内部と、
前記吹出口本体の開口部を覆う大きさの略板状体で形成され、調和空気を通過させる通風孔を複数並べて穿設され、吹出口本体の開口部における室内空間側の端部に配設される化粧グリルとを備え、
前記気流案内部が、
矩形又は方形の開口を有する枠状体で形成される案内枠と、
当該案内枠内側の開口に傾斜状態で且つ同じ向きに所定間隔を空けて並ぶ状態で複数配設される案内羽根とを有し、
当該案内羽根の並ぶ向きを案内枠の各枠辺方向に対し斜交する方向とされてなり、
前記気流案内部が、複数の組に分けられ、各組ごとに調和空気を案内して吹出す向きを、他の組とは互いに直角をなす方向又は互いに逆となる方向とするように、前記吹出口本体の開口部に配設され、
前記吹出口本体の開口部で各気流案内部に案内されて
、気流案内部の一列に並んだ向きに対し傾いた斜め方向にそれぞれ吹出された調和空気の各気流が、
異なる組の気流案内部に案内された調和空気の気流とぶつかり合ってまとまり、進行方向が気流案内部ごとの吹出方向とは異なる向きとなる一又は複数の合成気流として
、室内空間を
一又は複数の向きへ進むことを
特徴とする吹出口装置。
【請求項2】
前記請求項1に記載の吹出口装置において、
前記化粧グリルの室内空間に面する部分が、格子状に形成され、
前記気流案内部の案内枠における他の気流案内部と隣り合う枠辺部位が、前記化粧グリルの格子状部分と重ねて配設されることを
特徴とする吹出口装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和の対象となる室内空間における天井等に配置され、室内空間に対し調和空気を吹出す吹出口装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和の対象となる室内空間のうち、熱が出入りしやすいなど外部環境の影響を受ける建物外周部、すなわち、外壁や窓、出入口など、の近傍の領域(ペリメータゾーン)においては、より内側の空間領域(インテリアゾーン)の空気調和を分離して、熱負荷の軽減を図るために、外壁や窓を内側から覆うようにカーテン状の空気流を生じさせ、外部からインテリアゾーンを熱的に分断することが従来から一般的に行われている。
【0003】
こうしたカーテン状の空気流を生じさせる装置としては、ライン型の吹出口装置を採用することが多かった。ライン型の吹出口装置は、細長い線状の開口部を備えることで、吹出気流を開口部形状に対応させて比較的狭い領域に集中させることができた。
【0004】
また、ライン型の吹出口装置は、室内空間のインテリアゾーンにも用いられることがあり、特に、室内空間の天井部がシステム天井の場合、天井のデザインに適合し、吹出口装置としての占有スペースが小さく設置性に優れるライン型の吹出口装置が広く採用されていた。
このような従来のライン型の吹出口装置の一例として、特開2001-272093号公報に記載されるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1に示されるような従来のライン型の吹出口装置は、室内空間のインテリアゾーンに多用される多層コーン型の吹出口装置とは異なり、ダクトから吹出口に導入された調和空気の速度を落とさずに室内空間に吹出して、調和空気の気流を直進させることから、ペリメータゾーンでの使用には都合がよい。しかしながら、インテリアゾーンへの適用に際しては、室内空間で吹出気流が直進しやすいことから、居住域でドラフトが生じやすいという問題があった。
【0007】
また、従来のライン型の吹出口装置の場合、吹出口の長手方向に吹出気流を進行させることが困難であることから、室内空間の広い範囲に調和空気を吹出すことができず、室内空間で吹出気流が室内空気を誘引しながら広く拡散する効率は多層コーン型の吹出口より劣り、その分、多数の吹出口を設置する必要があり、システム天井以外で、インテリアゾーンに設置する吹出口として積極的に採用されることは少ないという課題を有していた。
【0008】
本発明は前記課題を解消するためになされたもので、細長いライン型の吹出口形態を有しつつ、調和空気の気流の進行方向を、吹出口長手方向を含む各方向に設定でき、吹出気流を室内空間に広く拡散させられ、インテリアゾーンにも適用しやすい吹出口装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る吹出口装置は、空気調和対象の室内空間における天井又は壁に配設され、室内空間に調和空気を吹出す吹出口装置において、調和空気が通過可能な細長い矩形開口断面の開口部を取囲んだ略枠状体として形成され、天井内でダクトと接続されて調和空気を供給され、前記開口部から調和空気を室内空間へ吹出す吹出口本体と、前記吹出口本体の開口部に当該開口部の長手方向に一列に並べて複数配設され、調和空気の吹出す方向を所定の向きに案内する気流案内部と、前記吹出口本体の開口部を覆う大きさの略板状体で形成され、調和空気を通過させる通風孔を複数並べて穿設され、吹出口本体の開口部における室内空間側の端部に配設される化粧グリルとを備え、前記気流案内部が、矩形又は方形の開口を有する枠状体で形成される案内枠と、当該案内枠内側の開口に傾斜状態で且つ同じ向きに所定間隔を空けて並ぶ状態で複数配設される案内羽根とを有し、当該案内羽根の並ぶ向きを案内枠の各枠辺方向に対し斜交する方向とされてなり、前記吹出口本体の開口部で各気流案内部に案内されて吹出された調和空気の各気流が、相互に影響を及ぼし合い、一又は複数の合成気流として室内空間を進むものである。
【0010】
このように本発明によれば、天井に設けられる吹出口本体の細長い矩形状の開口部に、複数の気流案内部を並べて配設し、吹出口本体に流入した調和空気を、開口部の各気流案内部で案内して吹出し、気流案内部での案内方向の設定に基づいて吹出された各気流が互いに影響を与え合い、結果生じた合成気流が室内空間を進行して室内空間に拡散することにより、気流案内部での案内方向を適切に設定し、室内空間の所望の箇所に吹出口からの合成気流を進行させて、調和空気の気流を室内空間へ広く拡散させることができ、インテリアゾーンにおける空気調和を効率よく行え、空気調和のコストを抑制できる。また、吹出口を外壁又は窓に近いペリメータゾーンに設ける場合でも、問題なく気流をペリメータゾーンの外壁又は窓に到達させられ、室内空間各部で統一した吹出口とすることができ、吹出口設置に係るコストを抑えられると共に、室内空間の美観を向上させられる。さらに、調和空気の気流を気流案内部で案内してその進行方向を制御することで、気流が直進して下方の居住域に到達することを防止でき、居住域にドラフトなどの影響を与えずに空気調和を行うことができる。
【0011】
また、本発明に係る吹出口装置は必要に応じて、前記気流案内部が、複数の組に分けられ、各組ごとに調和空気を案内して吹出す向きを異ならせるよう、前記吹出口本体の開口部に配設されるものである。
【0012】
このように本発明によれば、複数の気流案内部を調和空気の吹出方向が異なる複数組に分け、この気流案内部の組ごとの吹出方向を適切に設定することにより、各気流案内部から吹出された気流相互の影響の度合いを大きくすることができ、室内空間に対し、合成気流を所望の一又は複数方向へ進めて、調和空気を室内空間の所望の箇所に到達させられ、空気調和の効率をさらに高められる。
【0013】
また、本発明に係る吹出口装置は必要に応じて、前記気流案内部が、隣り合う各気流案内部同士で、調和空気を案内して吹出す向きを異ならせて、合成気流の進行方向を、気流案内部ごとの吹出方向とは異なる向きとなるように、前記吹出口本体の開口部にそれぞれ配設されるものである。
【0014】
このように本発明によれば、吹出口本体開口部の各気流案内部における調和空気の吹出方向を隣り合う各気流案内部同士で異なるようにし、各気流案内部から吹出された気流が互いに大きな影響を及ぼす状態として、調和空気の合成気流を各気流案内部ごとの吹出方向とは異なる向きに向かわせることにより、調和空気の気流が直進せず速度を落とした状態の合成気流として室内空間を進むこととなり、多層コーン型の吹出口のような拡散性に優れた気流として室内空間各部に到達させられ、従来のライン型の吹出口による吹出では得られない空気調和状態を実現でき、室内空間に対する空気調和をより効率よく実行できると共に、調和空気が複数の速度成分を有して直進しないことで、居住域におけるドラフトを確実に防止できる。
【0015】
また、本発明に係る吹出口装置は必要に応じて、前記化粧グリルの室内空間に面する部分が、格子状に形成され、前記気流案内部の案内枠における他の気流案内部と隣り合う枠辺部位が、前記化粧グリルの格子状部分と重ねて配設されるものである。
【0016】
このように本発明によれば、化粧グリルの室内空間に面する部分を格子状とし、この化粧グリルの格子状部分に、各気流案内部の隣接する枠辺部位が重なるように気流案内部を配設して、気流案内部の案内枠に囲まれた案内羽根のある開口領域に、化粧グリルの格子状部分が重なる割合を小さくすることにより、各気流案内部の案内羽根のある開口領域から調和空気が吹出す際の圧力損失や騒音を低減でき、調和空気を室内空間にスムーズに吹出して室内空間への拡散能力を向上させられ、空気調和をさらに効率よく行える。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る吹出口装置の底面図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る吹出口装置の平面図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る吹出口装置における端部の概略断面図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係る吹出口装置における気流案内部の底面図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係る吹出口装置における気流案内部の概略断面図である。
【
図8】本発明の第1の実施形態に係る吹出口装置における室内空間水平方向への合成気流進行状態説明図である。
【
図9】本発明の第1の実施形態に係る吹出口装置における室内空間垂直方向への合成気流進行状態説明図である。
【
図10】本発明の第1の実施形態に係る吹出口装置における他の化粧グリル取付状態の底面図である。
【
図11】本発明の第1の実施形態に係る吹出口装置におけるさらに他の化粧グリル取付状態の底面図である。
【
図12】本発明の第2の実施形態に係る吹出口装置における室内空間水平方向への合成気流進行状態説明図である。
【
図13】本発明の第2の実施形態に係る吹出口装置における室内空間垂直方向への合成気流進行状態説明図である。
【
図14】本発明の第3の実施形態に係る吹出口装置における室内空間水平方向への合成気流進行状態説明図である。
【
図15】本発明の第3の実施形態に係る吹出口装置における室内空間垂直方向への合成気流進行状態説明図である。
【
図16】本発明の第4の実施形態に係る吹出口装置における室内空間水平方向への合成気流進行状態説明図である。
【
図17】本発明の第4の実施形態に係る吹出口装置における室内空間垂直方向への合成気流進行状態説明図である。
【
図18】本発明の第5の実施形態に係る吹出口装置における室内空間水平方向への合成気流進行状態説明図である。
【
図19】本発明の第5の実施形態に係る吹出口装置における室内空間垂直方向への合成気流進行状態説明図である。
【
図20】本発明の第6の実施形態に係る吹出口装置における室内空間水平方向への合成気流進行状態説明図である。
【
図21】本発明の第7の実施形態に係る吹出口装置における室内空間水平方向への合成気流進行状態説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る吹出口装置を前記
図1ないし
図9に基づいて説明する。
【0019】
前記各図において本実施形態に係る吹出口装置1は、細長い矩形開口断面の開口部11を取囲んだ略枠状体として形成され、空気調和対象の室内空間70における天井50に配設される吹出口本体10と、この吹出口本体10の開口部11に並べて配設されて、調和空気の吹出す方向を所定の向きに案内する複数の気流案内部20と、吹出口本体10の開口部11を覆う大きさの略板状体で形成され、調和空気を通過可能として吹出口本体10の開口部11に配設される化粧グリル30とを備える構成である。
【0020】
前記吹出口本体10は、調和空気の通過可能な細長い矩形開口断面の開口部11を取囲む、金属等の強度の高い材質製の略枠状体として形成され、天井50内に配設された調和空気供給用の公知のダクト51に、同じく公知の取付用フック等を用いて支持される構成である(
図3参照)。
【0021】
この吹出口本体10は、天井50内でダクト51に支持されつつこのダクト51と接続されて調和空気を供給される。吹出口本体10では、供給された調和空気を、開口部11から各気流案内部20による案内を経て、室内空間70に吹出すこととなる。
【0022】
また、吹出口本体10の室内空間側の端部には、開口部11に対する外側方向に突出する額縁部13が形成される構成である。この額縁部13は、内方の開口部11とは反対側となる外方へ所定幅突出する部分を周方向へ連続させて略鍔状とし、さらにその最外周部分を上方へ起立状態とした形状とされる構成である。
【0023】
前記気流案内部20は、吹出口本体10の開口部11における室内空間寄り位置に、この開口部11の長手方向に一列に並べて複数配設される構成であり、調和空気の吹出す方向を所定の向きに案内するものである。
【0024】
詳細には、気流案内部20は、方形の開口を有する枠状体で形成される案内枠21と、この案内枠21内側の開口に傾斜状態で且つ同じ向きに所定間隔を空けて平行に並ぶ状態で複数配設される略板状の案内羽根22とを有する構成である。気流案内部20における案内羽根22の並ぶ向きは、案内枠21の各枠辺方向に対し斜交する方向(例えば、枠辺方向に対し45°をなす方向)とされてなり、この案内羽根22同士の平行に並んだ向きが気流案内方向となる。
【0025】
気流案内部20の各案内羽根22は、細長い矩形状の薄板を、その長手方向に直交する断面形状が湾曲して全体に丸みを帯びた形状となるように形成されたものである。この案内羽根22が、方形枠状の案内枠21に長手方向両端部を固定され、案内枠21で囲まれる開口領域を横断する配置として、等間隔で平行に並べて複数配設される。
【0026】
この気流案内部20は、案内羽根22間の空気通路部分に調和空気を通過させつつ、調和空気を案内羽根22の並んだ向きにそれぞれ案内することとなる。調和空気の気流は、吹出口全体では、各気流案内部20の案内羽根22間を通って室内空間に吹出された後、他の気流案内部から吹出された分と相互に影響を及ぼし合い、一又は複数の合成気流として室内空間を進むこととなる。
【0027】
このような気流案内部20は、開口部11に複数配設される状態で、複数の組に分けられ、各組ごとに調和空気を案内して吹出す向きを異ならせるようにされる。
さらにいえば、気流案内部20は、隣り合う各気流案内部同士で、案内羽根22の並ぶ向き、すなわち、調和空気を案内して吹出す向きを異ならせて、合成気流の進行方向を、気流案内部20ごとの吹出方向とは異なる向きとなるように、開口部11にそれぞれ配設される。
【0028】
各気流案内部20は対称な方形状となっており、その四辺と吹出口本体10の開口部11との位置関係は四通り得られる。これにより、吹出口本体10の開口部11において、各気流案内部20はその配設の向きを四通りの中から適宜選択して配設することができ、各気流案内部20の気流案内方向、すなわち、各気流案内部20での複数の案内羽根22の並ぶ向きは、90°ずつずれた四方向のいずれかに設定できる。この気流案内方向は、気流案内部20の組ごとに設定される。
【0029】
例えば、
図8に示すように、各気流案内部20を、その気流案内方向が吹出口
本体10における開口部11の長手方向の一方と短手方向の一方との間の斜め方向D1となる組と、気流案内方向が
開口部11の長手方向の一方と短手方向の他方との間の斜め方向D2となる組とに分け、これら二つの組が、
開口部11の長手方向に一列に並ぶ気流案内部20で交互に入れ替わるように、すなわち、隣り合う各気流案内部20同士で、気流案内方向が異なるように配設することができる。
この場合、各気流案内部20から吹出された気流の合成気流は、各気流案内部20の気流案内方向とは異なる、
開口部11の長手方向の一方へ斜め下向きに進む状態となる。
【0030】
なお、各気流案内部20は、開口部11を長手方向に複数等分割した同じ大きさの方形状とされ、開口部11の長手方向と短手方向における各寸法を同じとして、開口部11への配設の向きを入れ替え可能に設定しているが、これに限られるものではなく、各気流案内部を同じ大きさとしつつも、開口部11の長手方向と短手方向における各寸法が異なる矩形状としたり、開口部11を長手方向に不等分割とした形状として、気流案内部ごとに大きさが異なるようにすることもできる。
【0031】
また、気流案内部20は、吹出口本体10に対し着脱可能とし、室内空間における空気調和条件の変化に合わせて、必要に応じ各気流案内部20を組み替えてその気流案内方向の設定を変えるようにしてもかまわない。
【0032】
前記化粧グリル30は、吹出口本体10の開口部11を覆う大きさの略板状体で形成され、調和空気を無理なく通過させられる大きさの通風孔31を所定の規則的配置で複数並べて設けられ、吹出口本体10の開口部11における室内空間側の端部に配設される構成である。
【0033】
化粧グリル30の室内空間に面する部分は、格子状に形成されており、この化粧グリルの格子状部分に、各気流案内部20の案内枠21における他の気流案内部と隣り合う枠辺部位が重なるようにされる構成である。
【0034】
この化粧グリル30は、吹出口本体10の開口部11の室内空間側端部に配設されて、気流案内部20を覆う状態とされる一方、通風孔31の開口率を大きく設定されており、内側の気流案内部20を室内側から見えにくくしつつ、気流案内部20の案内羽根22で案内される調和空気の気流の吹出しに影響を与えることはない。
【0035】
次に、前記構成に基づく吹出口装置における調和空気吹出状態について説明する。前提として、ダクト51を通じて吹出口装置1に対し調和空気が継続的に供給される状況にあるものとする。
ダクト51から供給された調和空気は、吹出口本体10内に進入すると、開口部11における室内空間寄りに位置する気流案内部20に到達する。
【0036】
気流案内部20に達した調和空気は、案内枠21内で並んだ各案内羽根22の間を進み、各案内羽根22に案内されて進行方向を変えた上で、化粧グリル30の通風孔31を経て、室内空間70に吹出す。
【0037】
この時、各気流案内部20のうち、気流案内部20での気流案内方向、すなわち、複数の案内羽根22の並ぶ向きが、吹出口11の長手方向の一方と短手方向の一方との間の斜め方向D1となる組では、案内羽根22間を通った調和空気の気流は、案内羽根22による案内で、仮に周囲からの影響を受けない単独吹出の場合、吹出口11の長手方向の一方から、
図8中で反時計回りに45°ずれた斜め方向D1へ、天井50に沿って水平に進もうとする(
図8中、気流a)。
【0038】
一方、気流案内部20での気流案内方向が吹出口11の長手方向の一方と短手方向の他方との間の斜め方向D2となる組では、案内羽根22間を通った調和空気の気流は、案内羽根22による案内で、仮に周囲からの影響を受けない単独吹出の場合、吹出口11の長手方向の一方から、
図8中で時計回りに45°ずれた斜め方向D2へ、天井50に沿って水平に進もうとする(
図8中、気流b)。
【0039】
実際には、気流案内方向が斜め方向D1となる組の各気流案内部20から吹出される気流と、気流案内方向が斜め方向D2となる組の各気流案内部20から吹出される気流は、同時に生じていることから、互いに影響を及ぼし合って一つにまとまり、開口部11の長手方向への速度成分を残しつつ、その速度を低下させることで、天井に沿わない気流となる。
【0040】
この一つにまとまった合成気流は、結果として、各気流案内部20の気流案内方向とは異なった、開口部11の長手方向の一方へ向かい、且つ、斜め下向きの気流(
図9中、気流E)となって室内空間70を進行し、室内空間各部へ拡散していくこととなる(
図9参照)。
【0041】
こうして、調和空気の気流が、各気流案内部20の気流案内方向にそれぞれ案内されて、室内空間に吹出す中、気流同士が相互に影響を与えながら一まとまりの合成気流となって室内空間を進行することで、従来のライン型の吹出口では得にくい、吹出口長手方向への調和空気の気流を進行させて、室内空間で効率よく空気調和が行える。
【0042】
特に、暖房の場合には上昇しやすい調和空気の気流が過度に天井に沿ったものとならず、無理なく室内空間を進む気流とすることができる。また、冷房の場合には下降しやすい調和空気の気流が下方に下がりすぎることを防止でき、室内空間下方の居住域に調和空気を到達させずに済み、居住域に対しドラフトなどの悪影響を及ぼさない状態が確実に得られる。
【0043】
このように、本実施形態に係る吹出口装置においては、天井50に設けられる吹出口本体10の細長い矩形状の開口部11に、複数の気流案内部20を並べて配設し、吹出口本体10に流入した調和空気を、開口部11の各気流案内部20で案内して吹出し、気流案内部20での案内方向の設定に基づいて吹出された各気流が互いに影響を与え合い、結果生じた合成気流が室内空間を進行して室内空間に拡散することから、気流案内部20での案内方向を適切に設定し、室内空間70の所望の箇所に吹出口からの合成気流を進行させて、調和空気の気流を室内空間へ広く拡散させることができ、インテリアゾーンにおける空気調和を効率よく行え、空気調和のコストを抑制できる。また、吹出口を外壁又は窓に近いペリメータゾーンに設ける場合でも、問題なく気流をペリメータゾーンの外壁又は窓に到達させられ、室内空間各部で統一した吹出口とすることができ、吹出口設置に係るコストを抑えられると共に、室内空間の美観を向上させられる。さらに、調和空気の気流を気流案内部20で案内してその進行方向を制御することで、気流が直進して下方の居住域に到達することを防止でき、居住域にドラフトなどの影響を与えずに空気調和を行うことができる。
【0044】
なお、前記実施形態に係る吹出口装置において、吹出口本体10の開口部11に気流案内部20を20個配設する構成としているが、これに限られるものではなく、室内空間への吹出口配置状況や吹出口から吹出す調和空気の風量や温度等の条件に基づいて選定される吹出口装置の大きさ、特に開口部の大きさ、に対応させて、適切な数の気流案内部を配設することができる。
【0045】
また、前記実施形態に係る吹出口装置において、化粧グリル30の格子形状は、
図1に示すような方形の通風孔31が一列に並んで、格子部分が各気流案内部20の枠辺部位と重なるもののみとして、吹出し時の圧力損失や騒音を抑える構成としているが、これに限らず、
図10や
図11に示すような、格子部分の一部が気流案内部の案内枠内の開口領域や案内羽根と重なるような格子形状であってもかまわない。
【0046】
(本発明の第2の実施形態)
前記第1の実施形態に係る吹出口装置においては、各気流案内部20から吹出された気流の合成気流は所定の一方向に進むもののみとされる構成としているが、この他、第2の実施形態として、
図12及び
図13に示すように、各気流案内部20の気流案内方向の組合せを変えて、合成気流が二つの方向に進む二つの気流として得られる構成とすることもできる。
【0047】
例えば、
図12に示すように、吹出口11の中央から一端部寄りの部位では、各気流案内部20を、その気流案内方向が吹出口11の長手方向の一方と短手方向の一方との間の斜め方向D1となる組と、気流案内方向が吹出口11の長手方向の一方と短手方向の他方との間の斜め方向D2となる組とに分ける。また、吹出口11の中央から他端部寄りの部位では、各気流案内部20を、その気流案内方向が吹出口11の長手方向の他方と短手方向の一方との間の斜め方向D3となる組と、気流案内方向が吹出口11の長手方向の他方と短手方向の他方との間の斜め方向D4となる組とに分ける。
【0048】
これら気流案内部の四つの組は、吹出口11の中央から一端部寄りの部位で一列に並ぶ気流案内部20において、各気流案内部20の気流案内方向を斜め方向D1とする組と、気流案内方向を斜め方向D2とする組とが交互に入れ替わり、且つ、吹出口11の中央から他端部寄りの部位で一列に並ぶ気流案内部20において、各気流案内部20の気流案内方向を斜め方向D3とする組と、気流案内方向を斜め方向D4とする組とが交互に入れ替わるように配設される。すなわち、隣り合う各気流案内部20同士で、気流案内方向が異なるように配設される。
【0049】
この場合、各気流案内部20から吹出された気流の合成気流は、長手方向の両方へ斜め下向きに進む状態となる。
具体的には、各気流案内部20のうち、気流案内部20での気流案内方向、すなわち、複数の案内羽根22の並ぶ向きが、吹出口11の長手方向の一方と短手方向の一方との間の斜め方向D1となる組では、案内羽根22間を通った調和空気の気流は、案内羽根22による案内で、仮に周囲からの影響を受けない単独吹出の場合、吹出口11の長手方向の一方から、
図12中で反時計回りに45°ずれた斜め方向D1へ、天井50に沿って水平に進もうとする(
図12中、気流a)。
【0050】
一方、気流案内部20での気流案内方向が、吹出口11の長手方向の一方と短手方向の他方との間の斜め方向D2となる組では、案内羽根22間を通った調和空気の気流は、案内羽根22による案内で、仮に周囲からの影響を受けない単独吹出の場合、吹出口11の長手方向の一方から、
図12中で時計回りに45°ずれた斜め方向D2へ、天井50に沿って水平に進もうとする(
図12中、気流b)。
【0051】
また、気流案内部20での気流案内方向が、吹出口11の長手方向の他方と短手方向の一方との間の斜め方向D3となる組では、案内羽根22間を通った調和空気の気流は、案内羽根22による案内で、仮に周囲からの影響を受けない単独吹出の場合、吹出口11の長手方向の他方から、
図12中で時計回りに45°ずれた斜め方向D3へ、天井50に沿って水平に進もうとする(
図12中、気流c)。
【0052】
さらに、気流案内部20での気流案内方向が、吹出口11の長手方向の他方と短手方向の他方との間の斜め方向D4となる組では、案内羽根22間を通った調和空気の気流は、案内羽根22による案内で、仮に周囲からの影響を受けない単独吹出の場合、吹出口11の長手方向の他方から、
図12中で反時計回りに45°ずれた斜め方向D4へ、天井50に沿って水平に進もうとする(
図12中、気流d)。
【0053】
実際には、気流案内方向が斜め方向D1となる組の各気流案内部20から吹出される気流と、気流案内方向が斜め方向D2となる組の各気流案内部20から吹出される気流は、同時に生じていることから、互いに影響を及ぼし合って一つにまとまり、開口部11の長手方向の一方への速度成分を残しつつ、その速度を低下させることで、天井に沿わない気流となる。
【0054】
また、気流案内方向が斜め方向D3となる組の各気流案内部20から吹出される気流と、気流案内方向が斜め方向D4となる組の各気流案内部20から吹出される気流についても、これらは同時に生じていることから、互いに影響を及ぼし合って一つにまとまり、開口部11の長手方向の他方への速度成分を残しつつ、その速度を低下させることで、天井に沿わない気流となる。
【0055】
これら二つにまとまった合成気流は、結果として、開口部11の長手方向の一方へ向かい、且つ、斜め下向きとなる第一の気流(
図13中、気流E)と、開口部11の長手方向の他方へ向かい、且つ、斜め下向きとなる第二の気流(
図13中、気流F)となって、それぞれ室内空間70を進行し、室内空間各部へ拡散していくこととなる(
図13参照)。
【0056】
(本発明の第3の実施形態)
前記第1の実施形態に係る吹出口装置においては、各気流案内部20から吹出された気流の合成気流は所定の一方向に進むもののみとされる構成としているが、この他、第3の実施形態として、
図14及び
図15に示すように、各気流案内部20の気流案内方向の組合せを変えて、合成気流が三つの方向に進む三つの気流として得られる構成とすることもできる。
【0057】
例えば、
図14に示すように、吹出口11の中央における所定範囲の部位では、各気流案内部20を、その気流案内方向が吹出口11の長手方向の一方と短手方向の一方との間の斜め方向D1となる第一の組と、気流案内方向が吹出口11の長手方向の他方と短手方向の一方との間の斜め方向D3となる第二の組とに分ける。
【0058】
また、吹出口11の前記所定範囲より一端部寄りの部位では、各気流案内部20を、その気流案内方向が吹出口11の長手方向の一方と短手方向の一方との間の斜め方向D1となる第三の組と、気流案内方向が吹出口11の長手方向の一方と短手方向の他方との間の斜め方向D2となる第四の組とに分ける。さらに、吹出口11の前記所定範囲より他端部寄りの部位では、各気流案内部20を、その気流案内方向が吹出口11の長手方向の他方と短手方向の一方との間の斜め方向D3となる第五の組と、気流案内方向が吹出口11の長手方向の他方と短手方向の他方との間の斜め方向D4となる第六の組とに分ける。
【0059】
これら気流案内部の六つの組は、吹出口11の中央における所定範囲の部位で一列に並ぶ気流案内部20において、各気流案内部20の気流案内方向を斜め方向D1とする第一の組と、気流案内方向を斜め方向D3とする第二の組とが交互に入れ替わり、且つ、吹出口11の中央所定範囲より一端部寄りの部位で一列に並ぶ気流案内部20において、各気流案内部20の気流案内方向を斜め方向D1とする第三の組と、気流案内方向を斜め方向D2とする第四の組とが交互に入れ替わり、且つ、吹出口11の中央所定範囲より他端部寄りの部位で一列に並ぶ気流案内部20において、各気流案内部20の気流案内方向を斜め方向D3とする第五の組と、気流案内方向を斜め方向D4とする第六の組とが交互に入れ替わるように配設される。すなわち、隣り合う各気流案内部20同士で、気流案内方向が異なるように配設される。
【0060】
この場合、各気流案内部20から吹出された気流の合成気流は、吹出口の長手方向の両方へ斜め下向きにそれぞれ進むと共に、吹出口中央から吹出口の短手方向の一方へ斜め下向きに進む状態となる。
【0061】
具体的には、各気流案内部20のうち、気流案内部20の第一の組では、案内羽根22間を通った調和空気の気流は、案内羽根22による案内で、仮に周囲からの影響を受けない単独吹出の場合、吹出口11の長手方向の一方から、
図14中で反時計回りに45°ずれた斜め方向D1へ、天井50に沿って水平に進もうとする(
図14中、気流a)。
【0062】
一方、気流案内部20の第二の組では、案内羽根22間を通った調和空気の気流は、案内羽根22による案内で、仮に周囲からの影響を受けない単独吹出の場合、吹出口11の長手方向の他方から、
図14中で時計回りに45°ずれた斜め方向D3へ、天井50に沿って水平に進もうとする(
図14中、気流c)。
【0063】
また、気流案内部20の第三の組では、案内羽根22間を通った調和空気の気流は、案内羽根22による案内で、仮に周囲からの影響を受けない単独吹出の場合、吹出口11の長手方向の一方から、
図14中で反時計回りに45°ずれた斜め方向D1へ、天井50に沿って水平に進もうとする(
図14中、気流a)。
【0064】
そして、気流案内部20の第四の組では、案内羽根22間を通った調和空気の気流は、案内羽根22による案内で、仮に周囲からの影響を受けない単独吹出の場合、吹出口11の長手方向の一方から、
図14中で時計回りに45°ずれた斜め方向D2へ、天井50に沿って水平に進もうとする(
図14中、気流b)。
【0065】
さらに、気流案内部20の第五の組では、案内羽根22間を通った調和空気の気流は、案内羽根22による案内で、仮に周囲からの影響を受けない単独吹出の場合、吹出口11の長手方向の他方から、
図14中で時計回りに45°ずれた斜め方向D3へ、天井50に沿って水平に進もうとする(
図14中、気流c)。
【0066】
この他、気流案内部20の第六の組では、案内羽根22間を通った調和空気の気流は、案内羽根22による案内で、仮に周囲からの影響を受けない単独吹出の場合、吹出口11の長手方向の他方から、
図14中で反時計回りに45°ずれた斜め方向D4へ、天井50に沿って水平に進もうとする(
図14中、気流d)。
【0067】
実際には、気流案内方向が斜め方向D1となる第一の組の各気流案内部20から吹出される気流と、気流案内方向が斜め方向D3となる第二の組の各気流案内部20から吹出される気流は、同時に生じていることから、互いに影響を及ぼし合って一つにまとまり、開口部11の短手方向の一方への速度成分を残しつつ、その速度を低下させることで、天井に沿わない気流となる。
【0068】
また、気流案内方向が斜め方向D1となる第三の組の各気流案内部20から吹出される気流と、気流案内方向が斜め方向D2となる第四の組の各気流案内部20から吹出される気流も、同時に生じていることから、互いに影響を及ぼし合って一つにまとまり、開口部11の長手方向の一方への速度成分を残しつつ、その速度を低下させることで、天井に沿わない気流となる。
【0069】
さらに、気流案内方向が斜め方向D3となる第五の組の各気流案内部20から吹出される気流と、気流案内方向が斜め方向D4となる第六の組の各気流案内部20から吹出される気流についても、これらは同時に生じていることから、互いに影響を及ぼし合って一つにまとまり、開口部11の長手方向の他方への速度成分を残しつつ、その速度を低下させることで、天井に沿わない気流となる。
【0070】
このように、各気流案内部20から吹出される気流は、結果として、開口部11の中央から開口部11の短手方向の一方へ向かい、且つ、斜め下向きとなる第一の気流(
図15中、気流G)と、開口部11の一端部寄りから開口部11の長手方向の一方へ向かい、且つ、斜め下向きとなる第二の気流(
図15中、気流E)と、開口部11の他端部寄りから開口部11の長手方向の他方へ向かい、且つ、斜め下向きとなる第三の気流(
図15中、気流F)との、三つの合成気流にまとめられて、それぞれ室内空間70を進行し、室内空間各部へ拡散していくこととなる(
図15参照)。
【0071】
(本発明の第4の実施形態)
前記第1の実施形態に係る吹出口装置において、各気流案内部20から吹出された気流の合成気流は、開口部11の長手方向の一方へ向かい、且つ、斜め下向きの気流とされて室内空間を進む構成としているが、この他、第4の実施形態として、
図16及び
図17に示すように、各気流案内部20の気流案内方向の組合せを変えて、合成気流が主に垂直下向きの気流として得られる構成とすることもできる。
【0072】
例えば、
図16に示すように、各気流案内部20を、その気流案内方向が吹出口11の長手方向の一方と短手方向の他方との間の斜め方向D2となる組と、気流案内方向が吹出口11の長手方向の他方と短手方向の一方との間の斜め方向D3となる組とに分け、これら二つの組が、吹出口11の長手方向に一列に並ぶ気流案内部20で交互に入れ替わるように、すなわち、隣り合う各気流案内部20同士で、気流案内方向が正反対となるように配設する。
【0073】
この場合、各気流案内部20から吹出された気流の合成気流は、各気流案内部20の気流案内方向とは異なる、垂直下向きに進む状態となる。
具体的には、各気流案内部20のうち、気流案内部20での気流案内方向、すなわち、複数の案内羽根22の並ぶ向きが、吹出口11の長手方向の一方と短手方向の他方との間の斜め方向D2となる組では、案内羽根22間を通った調和空気の気流は、案内羽根22による案内で、仮に周囲からの影響を受けない単独吹出の場合、吹出口11の長手方向の一方から、
図16中で時計回りに45°ずれた斜め方向D2へ、天井50に沿って水平に進もうとする(
図16中、気流b)。
【0074】
一方、気流案内部20での気流案内方向が、吹出口11の長手方向の他方と短手方向の一方との間の斜め方向D3となる組では、案内羽根22間を通った調和空気の気流は、案内羽根22による案内で、仮に周囲からの影響を受けない単独吹出の場合、吹出口11の長手方向の他方から、
図16中で時計回りに45°ずれた斜め方向D3へ、天井50に沿って水平に進もうとする(
図16中、気流c)。
【0075】
実際には、気流案内方向が斜め方向D2となる組の各気流案内部20から吹出される気流と、気流案内方向が斜め方向D3となる組の各気流案内部20から吹出される気流は、同時に生じていることから、気流同士がぶつかり合って一つにまとまり、開口部11の長手方向への速度成分をわずかに残しつつ、気流同士がぶつかり合った分、大きく向きを変化させて天井から離れる気流となる。
【0076】
この一つにまとまった合成気流(
図17中、気流H)は、結果として、各気流案内部20の気流案内方向とは異なった、垂直下向きの気流で、且つ開口部11の長手方向の両方へわずかに広がる気流となって室内空間70を進行し、室内空間各部へ拡散していくこととなる(
図17参照)。
【0077】
(本発明の第5の実施形態)
前記第4の実施形態に係る吹出口装置において、各気流案内部20から吹出された気流の合成気流は、垂直下向きの気流で、且つ、開口部11の長手方向の両方へわずかに広がる気流となって室内空間を進む構成としているが、この他、第5の実施形態として、
図18及び
図19に示すように、各気流案内部20の気流案内方向の組合せを変えて、合成気流が垂直下向きの気流で、且つ、開口部11の短手方向の両方へわずかに広がる気流として得られる構成とすることもできる。
【0078】
例えば、
図18に示すように、各気流案内部20を、その気流案内方向が吹出口11の長手方向の一方と短手方向の一方との間の斜め方向D1となる組と、気流案内方向が吹出口11の長手方向の一方と短手方向の他方との間の斜め方向D2となる組と、気流案内方向が吹出口11の長手方向の他方と短手方向の一方との間の斜め方向D3となる組と、気流案内方向が吹出口11の長手方向の他方と短手方向の他方との間の斜め方向D4となる組とに分ける。
【0079】
これら気流案内部の四つの組は、吹出口11の長手方向に一列に並ぶ気流案内部20において、各気流案内部20の気流案内方向を斜め方向D3とする組、気流案内方向を斜め方向D1とする組、気流案内方向を斜め方向D4とする組、気流案内方向を斜め方向D2とする組、の順で並べる配置状態を、吹出口11の長手方向一端部から他端部まで繰り返すように配設される。すなわち、隣り合う各気流案内部20同士で、気流案内方向が異なるように配設される。
【0080】
この場合、各気流案内部20から吹出された気流の合成気流は、各気流案内部20の気流案内方向とは異なる、垂直下向きに進む状態となる。
具体的には、各気流案内部20のうち、気流案内部20での気流案内方向が、吹出口11の長手方向の他方と短手方向の一方との間の斜め方向D3となる組では、案内羽根22間を通った調和空気の気流は、案内羽根22による案内で、仮に周囲からの影響を受けない単独吹出の場合、吹出口11の長手方向の他方から、
図18中で時計回りに45°ずれた斜め方向D3へ、天井50に沿って水平に進もうとする(
図18中、気流c)。
【0081】
一方、気流案内部20での気流案内方向、すなわち、複数の案内羽根22の並ぶ向きが、吹出口11の長手方向の一方と短手方向の一方との間の斜め方向D1となる組では、案内羽根22間を通った調和空気の気流は、案内羽根22による案内で、仮に周囲からの影響を受けない単独吹出の場合、吹出口11の長手方向の一方から、
図18中で反時計回りに45°ずれた斜め方向D1へ、天井50に沿って水平に進もうとする(
図18中、気流a)。
【0082】
また、気流案内部20での気流案内方向が、吹出口11の長手方向の他方と短手方向の他方との間の斜め方向D4となる組では、案内羽根22間を通った調和空気の気流は、案内羽根22による案内で、仮に周囲からの影響を受けない単独吹出の場合、吹出口11の長手方向の他方から、
図18中で反時計回りに45°ずれた斜め方向D4へ、天井50に沿って水平に進もうとする(
図18中、気流d)。
【0083】
さらに、気流案内部20での気流案内方向が、吹出口11の長手方向の一方と短手方向の他方との間の斜め方向D2となる組では、案内羽根22間を通った調和空気の気流は、案内羽根22による案内で、仮に周囲からの影響を受けない単独吹出の場合、吹出口11の長手方向の一方から、
図18中で時計回りに45°ずれた斜め方向D2へ、天井50に沿って水平に進もうとする(
図18中、気流b)。
【0084】
実際には、各気流案内部20から吹出される気流は同時に生じていることから、気流案内方向が斜め方向D3となる組の各気流案内部20から吹出される気流と、気流案内方向が斜め方向D1となる組の各気流案内部20から吹出される気流とがぶつかり合ってまとまり、開口部11の短手方向の一方への速度成分を残しつつ、気流同士がぶつかり合った分、大きく向きを変化させて天井から離れる気流となる。また、気流案内方向が斜め方向D4となる組の各気流案内部20から吹出される気流と、気流案内方向が斜め方向D2となる組の各気流案内部20から吹出される気流とがぶつかりあってまとまり、開口部11の短手方向の一方への速度成分を残しつつ、気流同士がぶつかり合った分、大きく向きを変化させて天井から離れる気流となる。
【0085】
こうした中、隣り合う気流案内部のうち、吹出される気流の向きが正反対となっている一の箇所で、気流案内方向が斜め方向D1となる組の各気流案内部20から吹出される気流の成分と、気流案内方向が斜め方向D4となる組の各気流案内部20から吹出される気流の成分とが、互いに引き寄せ合って開口部11の短手方向の速度成分を小さくし、まとまった気流の他の方向への速度成分を相対的に強める。また同様に、隣り合う気流案内部のうち、吹出される気流の向きが正反対となっている他の箇所で、気流案内方向が斜め方向D2となる組の各気流案内部20から吹出される気流の成分と、気流案内方向が斜め方向D3となる組の各気流案内部20から吹出される気流の成分とが、互いに引き寄せ合って開口部11の短手方向の速度成分を小さくし、まとまった気流の他の方向への速度成分を相対的に強める。
【0086】
これにより、吹出された気流同士がぶつかり合って天井から離れる気流としてまとまった各気流が、それぞれ開口部11の短手方向への速度成分を小さくされる分、互いに影響を及ぼし合う度合いを大きくして最終的に一つにまとまり、開口部11の短手方向への速度成分をわずかに残しつつ、天井から離れる下向きの気流となる。
【0087】
この一つにまとまった合成気流(
図19中、気流I)は、結果として、各気流案内部20の気流案内方向とは異なった、垂直下向きの気流で、且つ開口部11の短手方向の両方へわずかに広がる気流となって室内空間70を進行し、室内空間各部へ拡散していくこととなる(
図19参照)。
【0088】
(本発明の第6の実施形態)
前記第1の実施形態に係る吹出口装置において、各気流案内部20は、隣り合う各気流案内部同士で、案内羽根22の並ぶ向き、すなわち、気流案内方向を互いに異ならせるように開口部11にそれぞれ配設されて、気流案内部20から吹出された気流の合成気流の進行方向を、気流案内部20ごとの吹出方向とは異なる向きとされる構成としているが、これに限らず、第6の実施形態として、
図20に示すように、気流案内部20を複数の組に分ける際に、同じ組の気流案内部がまとまるように配置して、隣り合う各気流案内部同士で、気流案内方向が同じ向きとなる箇所を生じさせ、合成気流の向きを一部の気流案内部20の気流案内方向と一致させる構成とすることもできる。
【0089】
例えば、
図20に示すように、吹出口11の中央から一端部寄りの部位で、各気流案内部20を、その気流案内方向が吹出口11の長手方向の一方と短手方向の他方との間の斜め方向D2となる組とし、吹出口11の中央から他端部寄りの部位で、各気流案内部20を、その気流案内方向が吹出口11の長手方向の他方と短手方向の他方との間の斜め方向D4となる組とする。
【0090】
これら気流案内部の二つの組は、吹出口11の中央から一端部寄りの部位で一列に並ぶ気流案内部20において、各気流案内部20の気流案内方向を斜め方向D2とする組のみとなり、且つ、吹出口11の中央から他端部寄りの部位で一列に並ぶ気流案内部20において、各気流案内部20の気流案内方向を斜め方向D4とする組のみとなるように配設される。すなわち、複数の組に分けられた気流案内部20が、各組ごとに調和空気を案内して吹出す向きを異ならせるようにされる一方、吹出口11の中央を除いて、隣り合う各気流案内部20同士で、気流案内方向は異なることなく一致する。
【0091】
この場合、各気流案内部20から吹出された気流の合成気流は、前記斜め方向D2、D4の二方向へほぼ水平に進む状態となる。
具体的には、各気流案内部20のうち、吹出口11の中央から一端部寄りの部位に配設され、気流案内部20での気流案内方向、すなわち、複数の案内羽根22の並ぶ向きが、吹出口11の長手方向の一方と短手方向の他方との間の斜め方向D2となる組では、案内羽根22間を通った調和空気の気流は、案内羽根22による案内で、仮に周囲からの影響を受けない単独吹出の場合、吹出口11の長手方向の一方から、
図20中で時計回りに45°ずれた斜め方向D2へ、天井50に沿って水平に進もうとする(
図20中、気流b)。
【0092】
一方、各気流案内部20のうち、吹出口11の中央から他端部寄りの部位に配設され、気流案内部20での気流案内方向が、吹出口11の長手方向の他方と短手方向の他方との間の斜め方向D4となる組では、案内羽根22間を通った調和空気の気流は、案内羽根22による案内で、仮に周囲からの影響を受けない単独吹出の場合、吹出口11の長手方向の他方から、
図20中で反時計回りに45°ずれた斜め方向D4へ、天井50に沿って水平に進もうとする(
図20中、気流d)。
【0093】
実際には、気流案内方向が斜め方向D2となる組の各気流案内部20から吹出される気流と、気流案内方向が斜め方向D4となる組の各気流案内部20から吹出される気流は、同時に生じていることから、互いに影響を及ぼし合うが、その影響は、隣り合う気流案内部同士で気流案内方向が互いに異なる開口部11の中央のみに留まることとなり、気流案内方向が同じとなっている複数の気流案内部から吹出される気流が単純にまとまる状態となり、前記各斜め方向への進行速度をほぼ維持して、天井に沿って水平に進む気流となる。
【0094】
こうして二つにまとまった合成気流は、結果として、斜め方向D2へ向かい、且つ、水平向きとなる第一の気流(
図20中、気流J)と、斜め方向D4へ向かい、且つ、水平向きとなる第二の気流(
図20中、気流K)となって、それぞれ室内空間70を進行し、室内空間各部へ拡散していくこととなる(
図20参照)。
【0095】
(本発明の第7の実施形態)
前記第1の実施形態に係る吹出口装置において、各気流案内部20は、開口部11に配設される状態で、複数の組に分けられ、その各組ごとに調和空気を案内して吹出す向きを異ならせるようにされる構成としているが、これに限らず、第7の実施形態として、
図21に示すように、気流案内部20を複数の組に分けず、開口部に配設される全ての気流案内部20が、その気流案内方向を同じ一つの向きとされ、合成気流の向きを気流案内部20の気流案内方向と一致させる構成とすることもできる。
例えば、
図21に示すように、吹出口11の各気流案内部20を、その気流案内方向が吹出口11の長手方向の一方と短手方向の他方との間の斜め方向D2となるようにする。
【0096】
この場合、各気流案内部20から吹出された気流の合成気流は、前記斜め方向D2へほぼ水平に進む状態となる。
具体的には、各気流案内部20は、気流案内部20での気流案内方向、すなわち、複数の案内羽根22の並ぶ向きが、吹出口11の長手方向の一方と短手方向の他方との間の斜め方向D2とされており、案内羽根22間を通った調和空気の気流は、案内羽根22による案内で、仮に周囲からの影響を受けない単独吹出の場合、吹出口11の長手方向の一方から、
図21中で時計回りに45°ずれた斜め方向D2へ、天井50に沿って水平に進もうとする(
図21中、気流b)。
【0097】
実際には、各気流案内部20から吹出される気流は、同時に生じていることから、互いに影響を及ぼし合うが、その影響は、気流案内方向が同じとなっている複数の気流案内部から吹出される気流を一つにまとめる程度のものとなり、前記斜め方向D2への進行速度をほぼ維持して、天井に沿って水平に進む気流となる。
【0098】
こうして一つにまとまった合成気流は、結果として、そのまま斜め方向D2へ向かい、且つ、水平向きとなる気流(
図21中、気流J)となって、室内空間70を進行し、室内空間各部へ拡散していくこととなる(
図21参照)。
【符号の説明】
【0099】
1 吹出口装置
10 吹出口本体
11 開口部
13 額縁部
20 気流案内部
21 案内枠
22 案内羽根
30 化粧グリル
31 通風孔
50 天井
51 ダクト
70 室内空間