(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-22
(45)【発行日】2023-03-03
(54)【発明の名称】発光装置およびプロジェクター
(51)【国際特許分類】
H01S 5/183 20060101AFI20230224BHJP
H01S 5/11 20210101ALI20230224BHJP
H01L 33/08 20100101ALI20230224BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20230224BHJP
G03B 21/14 20060101ALI20230224BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
H01S5/183
H01S5/11
H01L33/08
G03B21/00 D
G03B21/14 A
H04N5/74 Z
(21)【出願番号】P 2019059110
(22)【出願日】2019-03-26
【審査請求日】2022-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】502350504
【氏名又は名称】学校法人上智学院
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100148323
【氏名又は名称】川▲崎▼ 通
(74)【代理人】
【識別番号】100168860
【氏名又は名称】松本 充史
(72)【発明者】
【氏名】石沢 峻介
(72)【発明者】
【氏名】岸野 克巳
【審査官】右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/051908(WO,A1)
【文献】特開2019-029522(JP,A)
【文献】特開2019-114739(JP,A)
【文献】国際公開第2010/044129(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0221963(US,A1)
【文献】特開2018-133517(JP,A)
【文献】特開2015-018923(JP,A)
【文献】特開2018-142660(JP,A)
【文献】特開2019-029516(JP,A)
【文献】特開2010-010657(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0002154(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1960432(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00 - 5/50
H01L 33/00 - 33/64
G03B 21/00 - 21/30
H04N 5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と、
前記基体に設けられ、
複数の柱状部集合体を有する積層体と、
第1電極および第2電極と、
を有し、
前記複数の柱状部集合体の各々は、
2つの第1柱状部と、
2つの第2柱状部と、
で構成され、
前記複数の柱状部集合体の各々は、ナノ構造体であり、
前記複数の柱状部集合体は、三角格子状または四角格子状に配列され、
前記第1柱状部および前記第2柱状部は、前記積層体の積層方向と直交する方向に配置され、
前記第1柱状部は、
第1半導体層と、
前記第1半導体層とは導電型の異なる第2半導体層と、
前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に設けられた発光層と、
を有し、
前記発光層で発生した光は、複数の前記第1柱状部、および複数の前記第2柱状部を伝搬し、
前記第2柱状部の高さは、前記第1半導体層の厚さと前記発光層の厚さとの和以上であり、かつ、前記第1柱状部の高さよりも低く、
前記第1半導体層は、前記基体と前記発光層との間に設けられ、
前記第1電極は、前記第1半導体層と電気的に接続され、
前記第2電極は、前記第2半導体層と電気的に接続され、
前記第2柱状部は、前記第2電極と電気的に接続されていない、発光装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2柱状部の径は、前記第1柱状部の径よりも小さい、発光装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記第1柱状部と前記第2柱状部との間に設けられ、前記第1半導体層および前記第2半導体層よりも屈折率の小さい光伝搬層を有する、発光装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記第2柱状部と前記第2電極との間には、前記光伝搬層が設けられている、発光装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、
前記第2柱状部は、
前記第1半導体層と同じ材質の第1層と、
前記第2半導体層と同じ材質の第2層と、
前記第1層と前記第2層との間に配置され、前記発光層と同じ材質の第3層と、
を有している、発光装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の発光装置を有する、プロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置およびプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体レーザーは、高輝度の次世代光源として期待されている。特に、ナノコラム、ナノワイヤー、ナノロッド、ナノピラーなどと呼ばれるナノ構造を有する半導体レーザーは、フォトニック結晶の効果によって、狭放射角で高出力の発光が得られる発光装置が実現できると期待されている。
【0003】
特許文献1には、n型クラッド層を含むn型半導体層と、活性層と、p型クラッド層を含むp型半導体層と、からなるナノコラムを備えた半導体発光素子が開示されている。p型半導体層上には、Ni/Au多層膜等からなるp側電極が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようなナノコラムを有する発光装置では、発光層とクラッド層との格子定数差などの制約から、発光層とクラッド層との屈折率差を大きくできない場合がある。発光層とクラッド層との屈折率差が小さいと、活性層で発生した光がp型半導体層側に漏れて、p側電極に吸収されてしまう場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る発光装置の一態様は、
基体と、
前記基体に設けられ、複数の第1柱状部および複数の第2柱状部を有する積層体と、
第1電極および第2電極と、
を有し、
前記第1柱状部および前記第2柱状部は、前記積層体の積層方向と直交する方向に配置され、
前記第1柱状部は、
第1半導体層と、
前記第1半導体層とは導電型の異なる第2半導体層と、
前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に設けられた発光層と、
を有し、
前記発光層で発生した光は、複数の前記第1柱状部、および複数の前記第2柱状部を伝搬し、
前記第2柱状部の高さは、前記第1半導体層の厚さと前記発光層の厚さとの和以上であり、かつ、前記第1柱状部の高さよりも低く、
前記第1半導体層は、前記基体と前記発光層との間に設けられ、
前記第1電極は、前記第1半導体層と電気的に接続され、
前記第2電極は、前記第2半導体層と電気的に接続され、
前記第2柱状部は、前記第2電極と電気的に接続されていない。
【0007】
本発明に係る発光装置の一態様において、
前記第2柱状部の径は、前記第1柱状部の径よりも小さくてもよい。
【0008】
本発明に係る発光装置の一態様において、
前記第1柱状部と前記第2柱状部との間に設けられ、前記第1半導体層および前記第2半導体層よりも屈折率の小さい光伝搬層を有してもよい。
【0009】
本発明に係る発光装置の一態様において、
前記第2柱状部と前記第2電極との間には、前記光伝搬層が設けられていてもよい。
【0010】
本発明に係る発光装置の一態様において、
前記第1柱状部の層構造と、前記第2柱状部の層構造とは、同じであってもよい。
【0011】
本発明に係るプロジェクターの一態様は、
前記発光装置の一態様を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図。
【
図2】第1実施形態に係る発光装置を模式的に示す平面図。
【
図3】積層体の積層方向の平均屈折率の分布を示すグラフ。
【
図4】光閉じ込めモードの電界強度分布の一例を模式的に示す図。
【
図5】光閉じ込めモードの電界強度分布の一例を模式的に示す図。
【
図6】第1実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【
図7】第1実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【
図8】第1実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【
図9】第1柱状部の第1半導体層および第2柱状部の第1半導体層のSEM像。
【
図10】第1柱状部の第1半導体層および第2柱状部の第1半導体層のSEM像。
【
図11】第1変形例に係る発光装置を模式的に示す断面図。
【
図12】第2実施形態に係るプロジェクターを模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0014】
1. 第1実施形態
1.1. 発光装置
まず、第1実施形態に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は、第1実施形態に係る発光装置100を模式的に示す断面図である。
図2は、第1実施形態に係る発光装置100を模式的に示す平面図である。なお、
図1は、
図2のI-I線断面図である。
【0015】
発光装置100は、
図1および
図2に示すように、基体10と、積層体20と、第1電極50と、第2電極52と、を有している。なお、便宜上、
図2では、積層体20の第1柱状部30Aおよび第2柱状部30B以外の部材の図示を省略している。
【0016】
基体10は、例えば、板状の形状を有している。基体10は、例えば、Si基板、GaN基板、サファイア基板などである。
【0017】
積層体20は、基体10に設けられている。図示の例では、積層体20は、基体10上
に設けられている。積層体20は、例えば、バッファー層22と、複数の第1柱状部30Aと、複数の第2柱状部30Bと、光伝搬層40と、を有している。
【0018】
なお、「上」とは、積層体20の積層方向(以下、単に「積層方向」ともいう)において、MQW(multi quantum well)層34からみて基体10から遠ざかる方向のことであり、「下」とは、積層方向において、MQW層34からみて基体10に近づく方向のことである。また、「積層体20の積層方向」とは、第1半導体層32とMQW層34との積層方向のことである。
【0019】
バッファー層22は、基体10上に設けられている。バッファー層22は、例えば、シリコンがドープされたn型のGaN層である。バッファー層22上には、第1柱状部30Aおよび第2柱状部30Bを形成するためのマスク層60が設けられている。マスク層60は、例えば、チタン層、酸化チタン層、酸化シリコン層、酸化アルミニウム層などである。
【0020】
第1柱状部30Aおよび第2柱状部30Bは、バッファー層22上に設けられている。第1柱状部30Aおよび第2柱状部30Bは、積層方向と直交する方向に配置されている。第1柱状部30Aおよび第2柱状部30Bは、バッファー層22から上方に突出した柱状の形状を有している。第1柱状部30Aおよび第2柱状部30Bは、例えば、ナノコラム、ナノワイヤー、ナノロッド、ナノピラーとも呼ばれる。
【0021】
第1柱状部30Aおよび第2柱状部30Bの積層方向と直交する方向における断面形状は、例えば、多角形、円などである。
図2に示す例では、第1柱状部30Aおよび第2柱状部30Bの断面形状は、正六角形である。
【0022】
第1柱状部30Aは、第1半導体層32と、発光層として機能するMQW層34と、第2半導体層36と、を有している。
【0023】
第1半導体層32は、バッファー層22上に設けられている。第1半導体層32は、基体10とMQW層34との間に設けられている。第1半導体層32は、n型の半導体層である。第1半導体層32は、例えば、Siがドープされたn型のGaN層、Siがドープされたn型のAlGaN層などである。
【0024】
MQW層34は、第1半導体層32上に設けられている。MQW層34は、第1半導体層32と第2半導体層36との間に設けられている。第1柱状部30Aでは、MQW層34は、電流が注入されることで光を発生させる発光層として機能する。MQW層34は、例えば、不純物がドープされていないi型のGaN層と、i型のInGaN層と、からなる量子井戸構造を重ねた多重量子井戸構造を有している。
【0025】
第2半導体層36は、MQW層34上に設けられている。第2半導体層36は、第1半導体層32と導電型の異なる層である。第2半導体層36は、n型の半導体層である。第2半導体層36は、例えば、マグネシウムがドープされたp型のGaN層、マグネシウムがドープされたp型のAlGaN層などである。第1半導体層32および第2半導体層36は、MQW層34に光を閉じ込める機能を有するクラッド層である。
【0026】
第2柱状部30Bは、第1柱状部30Aと同じ層構造を有している。すなわち、第2柱状部30Bは、第1柱状部30Aと同様に、第1半導体層32と、MQW層34と、第2半導体層36と、を有している。
【0027】
第2柱状部30Bの高さH2は、第1柱状部30Aの高さH1よりも小さい。また、第
2柱状部30Bの高さH2は、第1柱状部30Aの第1半導体層32の厚さD1と第1柱状部30AのMQW層34の厚さD2の和以上である。すなわち、D1+D2≦H2<H1である。図示の例では、第2柱状部30Bの高さH2は、第1柱状部30Aの第1半導体層32の厚さD1と第1柱状部30AのMQW層34の厚さD2の和に等しい。すなわち、H2=D1+D2である。第1半導体層32の厚さD1とは、第1半導体層32の積層方向における最大の厚さであり、MQW層34の厚さD2とは、MQW層34の積層方向における最大の厚さである。
【0028】
なお、第1柱状部30Aの高さH1とは、第1柱状部30Aの積層方向における最大の大きさである。また、第2柱状部30Bの高さH2とは、第2柱状部30Bの積層方向における最大の大きさである。
【0029】
第2柱状部30Bの高さH2は、第1柱状部30Aの高さH1よりも小さいため、第1柱状部30Aは、第2電極52と接しているが、第2柱状部30Bは、第2電極52に接していない。第2柱状部30Bと第2電極52との間には、光伝搬層40が設けられている。光伝搬層40の屈折率は、第1半導体層32の屈折率、MQW層34の屈折率、および第2半導体層36の屈折率よりも小さい。
【0030】
第1柱状部30AのMQW層34で発生した光は、複数の第1柱状部30A、複数の第2柱状部30B、および光伝搬層40を伝搬する。
【0031】
図3は、積層体20の積層方向Zの平均屈折率N
AVEの分布を示すグラフである。なお、平均屈折率N
AVEは、積層方向と直交する積層体20の面内方向(以下、単に「面内方向」ともいう)の平均屈折率である。平均屈折率N
AVEは、部材の屈折率と、面内方向における部材の充填率と、で決まる。平均屈折率N
AVEは、面内方向における柱状部の充填率が大きいほど大きくなる。
【0032】
積層体20は、
図3に示すように、第1部分Z1と、第2部分Z2と、を有する。第1部分Z1は、第1柱状部30AのMQW層34よりも上部側の部分である。第1部分Z1は、第1柱状部30Aの第2半導体層36と、光伝搬層40と、を含む。
【0033】
第2部分Z2は、面内方向において第1柱状部30AのMQW層34が設けられている部分である。第2部分Z2は、第1柱状部30AのMQW層34と、第2柱状部30Bの第1半導体層32と、光伝搬層40と、を含む。
【0034】
上述したように、第2柱状部30Bの高さH2は、D1+D2≦H2<H1の関係を満たす。そのため、例えば、H1=H2の場合と比べて、第1部分Z1の柱状部の充填率が小さくなり、第1部分Z1の平均屈折率NAVEが低くなる。また、第2部分Z2の柱状部の充填率は、H1=H2の場合と同じである。そのため、第2部分Z2の平均屈折率NAVEは、H1=H2の場合とほぼ同じである。
【0035】
したがって、発光装置100では、H1=H2の場合と比べて、第2部分Z2の平均屈折率NAVEと第1部分Z1の平均屈折率NAVEの差を大きくできる。これにより、第1柱状部30AのMQW層34から当該MQW層34よりも上部側に漏れる光の量を低減でき、第2電極52で吸収される光の量を低減できる。また、第2部分Z2、すなわち、第1柱状部30AのMQW層34近傍を伝搬する光の強度を大きくできる。
【0036】
第2柱状部30Bの高さH2は、第1柱状部30Aの高さH1よりも小さいため、第2柱状部30Bは、第2電極52に電気的に接続されず、第2柱状部30Bには電流が注入されない。また、第2柱状部30Bと第2電極52との間には、絶縁性の光伝搬層40が
設けられている。そのため、第2柱状部30Bと第2電極52との間を、より確実に絶縁できる。
【0037】
第2柱状部30BのMQW層34のインジウムの濃度は、第1柱状部30AのMQW層34のインジウムの濃度よりも低い。したがって、第1柱状部30AのMQW層34で発生する光の波長と、第2柱状部30BのMQW層34で吸収される光の波長と、をずらすことができる。したがって、第2柱状部30Bで吸収される光の量を低減できる。
【0038】
第2柱状部30Bの径は、例えば、第1柱状部30Aの径よりも小さい。後述するように、第2柱状部30Bの径が、第1柱状部30Aの径よりも小さくなるように結晶成長させることによって、第2柱状部30Bの高さH2を第1柱状部30Aの高さH1よりも小さくすることができる。さらに、第2柱状部30BのMQW層34のインジウムの濃度を、第1柱状部30AのMQW層34のインジウムの濃度よりも低くすることができる。
【0039】
なお、「径」とは、第1柱状部30Aの平面形状が円の場合は、直径であり、第1柱状部30Aの平面形状が円ではない形状の場合は、最小包含円の直径である。例えば、第1柱状部30Aの径は、第1柱状部30Aの平面形状が多角形の場合、該多角形を内部に含む最小の円の直径であり、第1柱状部30Aの平面形状が楕円の場合、該楕円を内部に含む最小の円の直径である。第2柱状部30Bの径についても同様である。
【0040】
光伝搬層40は、隣り合う第1柱状部30Aと第2柱状部30Bの間、隣り合う第1柱状部30Aの間、および隣り合う第2柱状部30Bの間に設けられている。光伝搬層40は、さらに、第2柱状部30Bと第2電極52との間に設けられている。光伝搬層40は、第1柱状部30Aの側面および第2柱状部30Bの側面を覆っている。光伝搬層40の屈折率は、第1柱状部30Aの屈折率および第2柱状部30Bの屈折率よりも低い。すなわち、光伝搬層40の屈折率は、第1半導体層32、MQW層34、および第2半導体層36の屈折率よりも低い。光伝搬層40は、例えば、酸化シリコン層である。第1柱状部30AのMQW層34で発生した光は、光伝搬層40を通って、複数の第1柱状部30Aおよび複数の第2柱状部30Bを、面内方向に伝搬することができる。なお、光伝搬層40は、酸化シリコン層に限定されず、例えば、GaN層、AlGaN層など、その他の絶縁層であってもよい。
【0041】
第1電極50は、バッファー層22上に設けられている。バッファー層22は、第1電極50とオーミックコンタクトしていてもよい。第1電極50は、第1半導体層32と電気的に接続されている。図示の例では、第1電極50は、バッファー層22を介して、第1半導体層32と電気的に接続されている。第1電極50は、MQW層34に電流を注入するための一方の電極である。第1電極50としては、例えば、バッファー層22側から、Ti層、Al層、Au層の順序で積層したものなどを用いる。なお、基体10が導電性の場合には、図示はしないが、第1電極50は、基体10の下に設けられていてもよい。
【0042】
第2電極52は、積層体20の基体10側とは反対側に設けられている。図示の例では、第2電極52は、第1柱状部30Aの第2半導体層36上、および光伝搬層40上に設けられている。第1柱状部30Aの第2半導体層36は、第2電極52とオーミックコンタクトしていてもよい。第2電極52は、第1柱状部30Aの第2半導体層36と電気的に接続されている。なお、第2電極52は、第2柱状部30Bの第2半導体層36と電気的に接続されていない。第2電極52は、MQW層34に電流を注入するための他方の電極である。第2電極52としては、例えば、ITO(indium tin oxide)などを用いる。
【0043】
図2に示すように、積層体20は、複数の柱状部集合体2を有している。柱状部集合体2は、周期的に配列されている。例えば、柱状部集合体2は、250nm程度のピッチで
配置されている。複数の柱状部集合体2は、図示の例では、積層方向からの平面視において、三角格子状に配列されている。なお、複数の柱状部集合体2の配列は、三角格子状に限定されず、例えば、四角格子状などに配列されていてもよい。複数の柱状部集合体2は、フォトニック結晶の効果を発現することができる。例えば、複数の柱状部集合体2は、可視光において、フォトニックバンド端による光閉じ込め効果を発現することができる。
【0044】
柱状部集合体2は、複数の第1柱状部30Aと、複数の第2柱状部30Bと、を有している。
図2に示す例では、柱状部集合体2は、2つの第1柱状部30Aと、2つの第2柱状部30Bと、を有している。2つの第1柱状部30Aが並ぶ方向と、2つの第2柱状部30Bが並ぶ方向とは、例えば、直交している。複数の第1柱状部30Aと複数の第2柱状部30Bの配列は特に限定されず、複数の第1柱状部30Aおよび複数の第2柱状部30Bが三角格子状、四角格子状、ハニカム格子状などに配列されていてもよい。
【0045】
発光装置100では、複数の第1柱状部30Aおよび複数の第2柱状部30Bによって構成された柱状部集合体2を、1つのナノ構造体とみなして、周期的に配列している。これにより、例えば1つのナノ構造体を1つの柱状部で構成する場合と比べて、第1柱状部30Aおよび第2柱状部30Bの径を小さくすることができる。この結果、MQW層34に内在する歪みを低減でき、光を高い効率で増幅できる。
【0046】
第1柱状部30AのMQW層34で発生した光は、第1半導体層32および第2半導体層36により積層方向と直交する方向に光伝搬層40を通って伝搬し、複数の柱状部集合体2によるフォトニック結晶の効果により定在波を形成し、第1柱状部30AのMQW層34で利得を受けてレーザー発振する。そして、発光装置100は、+1次回折光および-1次回折光をレーザー光として、積層方向に出射する。
【0047】
図4および
図5は、柱状部集合体2によって形成される光閉じ込めモードの電界強度分布の一例を模式的に示す図である。
図4では、電界強度が等しい位置を結んだ等強度線を実線で図示している。
図5では、等強度線を破線で図示している。
図5では、1つの柱状部集合体2を拡大して図示している。
【0048】
発光装置100では、
図4に示すように、複数の柱状部集合体2において、光閉じ込めモードが形成される。すなわち、発光装置100では、複数の柱状部集合体2において、電界強度の分布が形成される。複数の柱状部集合体2では、波長と電界分布が異なる複数のモードが同時に形成される。例えば、複数の柱状部集合体2を三角格子状に二次元配列したフォトニック結晶において、フォトニックバンド端での発振を利用した場合、波長と電界分布が異なる複数のモードが同時に形成される。このようにして形成された複数のモードのうち典型的なモードとして、
図4および
図5には、1つの柱状部集合体2に対して、2つの電界強度のピークPを持つモードを示している。光閉じ込めモードは、例えば、複数の柱状部集合体2の配置によって制御できる。光閉じ込めモードは、例えば、PWE法(Plane Wave Expansion method)を用いて求めることができる。光閉じ込めモードは、前述した、フォトニック結晶の効果により形成される定在波として表される。電界強度のピークPの位置とは、定在波において、電界強度がもっとも大きく変化する位置であり、電界強度が極値をとる位置である。
【0049】
ここで、第1柱状部30AのMQW層34は電流が注入されて光を発生させる発光層として機能し、第2柱状部30BのMQW層34には、電流が注入されず、第2柱状部30BのMQW層34は、発光層として機能しない。すなわち、発光装置100では、第1柱状部30Aは、電流が注入されて光を発生させる活性な柱状部であり、第2柱状部30Bは、電流が注入されず、発光や吸収が生じない不活性な柱状部である。
【0050】
第1柱状部30Aは、電界強度のピークPと重なる位置に配置されている。第2柱状部30Bは、ピークPと重ならない位置に配置されている。すなわち、第1柱状部30Aにおける電界強度は、第2柱状部30Bにおける電界強度よりも大きい。そのため、面内方向において、発光層として機能する第1柱状部30AのMQW層34の位置と電界強度のピークPの位置とを一致させることができる。したがって、発光装置100では、電界強度のピークPの位置に選択的に利得を生じさせることができ、光を高い効率で増幅できる。これにより、発振閾値を低減できる。
【0051】
1つの柱状部集合体2において、第1柱状部30Aの数とピークPの数とは、等しい。
図4および
図5に示す例では、1つの柱状部集合体2において、第1柱状部30Aの数は2つであり、ピークPの数は2つである。
【0052】
発光装置100では、第1柱状部30Aにおいて、p型の第2半導体層36、MQW層34、およびn型の第1半導体層32により、pinダイオードが構成される。発光装置100では、第1電極50と第2電極52との間に、pinダイオードの順バイアス電圧を印加すると、第1柱状部30AのMQW層34に電流が注入され、MQW層34で電子と正孔との再結合が起こる。この再結合により発光が生じる。なお、第2柱状部30Bは、第2電極52に電気的に接続されていないため、第1電極50と第2電極52との間に電圧を印加しても、第2柱状部30BのMQW層34には電流が注入されず、発光が生じない。
【0053】
なお、図示はしないが、基体10とバッファー層22との間、または基体10の下に反射層が設けられていてもよい。該反射層は、例えば、DBR(Distributed Bragg Reflector)層である。該反射層によって、MQW層34において発生した光を反射させることができ、発光装置100は、第2電極52側からのみ光を出射することができる。
【0054】
発光装置100は、例えば、以下の特徴を有する。
【0055】
発光装置100では、第2柱状部30Bの高さH2は、第1柱状部30Aの第1半導体層32の厚さD1と第1柱状部30AのMQW層34の厚さD2との和以上であり、かつ、第1柱状部30Aの高さH1よりも低い。すなわち、D1+D2≦H2<H1である。そのため、上述したように、第1柱状部30AのMQW層34から当該MQW層34よりも上部側に漏れる光の量を低減でき、第2電極52において吸収される光の量を低減できる。したがって、発光装置100では、第1柱状部30Aへの光閉じ込め係数を大きくでき、発振閾値を低減できる。
【0056】
例えば、一般的な発光装置では、第2半導体層を構成する材料の屈折率と、MQW層を構成する材料の屈折率との差を大きくすることで、MQW層よりも上部側に漏れる光の量を低減している。しかしながら、格子定数などの制約から、第2半導体層の屈折率とMQW層の屈折率の差を大きくできないため、第2半導体層を厚くして、MQW層よりも上部側への光の漏れを低減している。
【0057】
これに対して、発光装置100では、上述したように、第2柱状部30Bを設けることによって、MQW層34よりも上部側に漏れる光の量を低減している。そのため、発光装置100では、第2半導体層36の厚さを小さくできる。
【0058】
発光装置100では、さらに、第2柱状部30Bは、第2電極52に電気的に接続されていない。そのため、第1電極50と第2電極52との間に電圧を印加しても、第2柱状部30BのMQW層34には電流が注入されずに、MQW層34において発光を生じさせないことができる。
【0059】
発光装置100では、第2柱状部30Bの径は、第1柱状部30Aの径よりも小さい。ここで、MQW層34を結晶成長させる工程において、柱状部の径が小さいほど、MQW層34のインジウム濃度が低くなる。そのため、発光装置100では、第2柱状部30Bのインジウムの濃度は、第1柱状部30Aのインジウムの濃度よりも低い。したがって、第1柱状部30AのMQW層34で発生する光の波長と、第2柱状部30BのMQW層34で吸収される光の波長と、をずらすことができる。よって、発光装置100では、第2柱状部30Bで吸収される光の量を低減できる。
【0060】
発光装置100では、第1柱状部30Aと第2柱状部30Bとの間に設けられ、第1半導体層32および第2半導体層36よりも屈折率の小さい光伝搬層40を有する。そのため、第1柱状部30AのMQW層34で発生した光を効率よく伝搬させることができる。また、光伝搬層40は、第2柱状部30Bと第2電極52との間に設けられている。そのため、第2柱状部30Bと第2電極52との間を、より確実に絶縁できる。
【0061】
発光装置100では、第1柱状部30Aの層構造と、第2柱状部30Bの層構造とは、同じである。そのため、後述するように、第1柱状部30Aと第2柱状部30Bとを同時に形成することができる。
【0062】
なお、上記では、発光装置100が、フォトニック結晶の効果を利用した面発光レーザーである場合について説明したが、上述した実施形態に係る発光装置は、LED、あるいは共振発光ダイオードなどの発光デバイスにも適用できる。
【0063】
1.2. 発光装置の製造方法
次に、第1実施形態に係る発光装置100の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
図6~
図8は、第1実施形態に係る発光装置100の製造工程を模式的に示す断面図である。
【0064】
図6に示すように、基体10上に、バッファー層22をエピタキシャル成長させる。エピタキシャル成長させる方法としては、例えば、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法などが挙げられる。
【0065】
次に、バッファー層22上に、マスク層60を形成する。マスク層60は、例えば、電子ビーム蒸着法やプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法などによる成膜、ならびにフォトリソグラフィー技術およびエッチング技術によるパターニングによって形成される。マスク層60の第2柱状部30Bを形成するための開口の面積は、マスク層60の第1柱状部30Aを形成するための開口の面積よりも小さい。これにより、第2柱状部30Bの径を第1柱状部30Aの径よりも小さくすることができる。
【0066】
次に、マスク層60をマスクとして、バッファー層22上に、第1半導体層32、MQW層34、および第2半導体層36をエピタキシャル成長させる。エピタキシャル成長させる方法としては、例えば、MOCVD法、MBE法などが挙げられる。
【0067】
第2柱状部30Bの径が第1柱状部30Aの径よりも小さくなるように結晶成長させることによって、第2柱状部30Bの高さH2を、第1柱状部30Aの高さH1よりも小さくできる。また、第2柱状部30Bの径が第1柱状部30Aの径よりも小さくなるように結晶成長させることによって、第2柱状部30BのMQW層34のインジウムの濃度を、第1柱状部30AのMQW層34のインジウムの濃度よりも低くできる。
【0068】
以上の工程により、複数の第1柱状部30Aと複数の第2柱状部30Bとを有する柱状
部集合体2が形成される。
【0069】
図7に示すように、複数の第1柱状部30Aおよび複数の第2柱状部30Bが形成された領域に光伝搬層40を埋め込む。光伝搬層40は、例えば、スピンコート法などによって形成される。
【0070】
次に、
図8に示すように、第1柱状部30Aが露出し、第2柱状部30Bが露出しないように、光伝搬層40をエッチングする。光伝搬層40のエッチングは、例えば、ウェットエッチング、ドライエッチングなどにより行われる。なお、光伝搬層40のエッチングを、ウェットエッチングとドライエッチングとを組み合わせて行ってもよい。次に、光伝搬層40を所定の形状にパターニングして、第1電極50が形成される領域を露出させる。
【0071】
図1に示すように、バッファー層22上に第1電極50を形成し、第2半導体層36および光伝搬層40上に第2電極52を形成する。第1電極50および第2電極52は、例えば、真空蒸着法などにより形成される。なお、第1電極50および第2電極52の形成順序は、特に限定されない。
【0072】
以上の工程により、発光装置100を製造することができる。
【0073】
図9および
図10は、第1柱状部30Aの第1半導体層32および第2柱状部30Bの第1半導体層32の走査電子顕微鏡像である。
図9および
図10に示す走査電子顕微鏡像は、上述したように、マスク層60の第2柱状部30Bを形成するための開口の面積を、第1柱状部30Aを形成するための開口の面積よりも小さく形成し、第1半導体層32をエピタキシャル成長させた状態を撮影したものである。
図9および
図10では、第1柱状部30Aの第1半導体層32の径は84nmであり、第1柱状部30Aの第1半導体層32の高さは296nmであった。これに対して、第2柱状部30Bの第1半導体層32の径は68nmであり、第2柱状部30Bの第1半導体層32の高さは222nmであった。このように、柱状部の径を異ならせることによって、高さの異なる柱状部を同時に成長させることができる。
【0074】
1.3. 変形例
次に、第1実施形態に係る発光装置100の変形例について説明する。以下に説明する各変形例において、上述した発光装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0075】
1.3.1. 第1変形例
図11は、第1変形例に係る発光装置200を模式的に示す断面図である。
【0076】
上述した発光装置100では、
図1に示すように、第2柱状部30Bの高さH2は、第1柱状部30Aの第1半導体層32の厚さD1と第1柱状部30AのMQW層34の厚さD2の和に等しい。すなわち、H2=D1+D2であった。
【0077】
これに対して、発光装置200では、
図11に示すように、第2柱状部30Bの高さH2は、第1柱状部30Aの第1半導体層32の厚さD1と第1柱状部30AのMQW層34の厚さD2の和よりも大きい。すなわち、D1+D2<H2<H1である。
【0078】
発光装置200では、上述した発光装置100と同様に、第1柱状部30AのMQW層34よりも上部側の柱状部の充填率が低くなる。そのため、第1柱状部30AのMQW層34から当該MQW層34よりも上部側に漏れる光の量を低減でき、第2電極52で吸収
される光の量を低減できる。したがって、発光装置200では、第1柱状部30Aへの光閉じ込め係数を大きくでき、発振閾値を低減できる。
【0079】
1.3.2. 第2変形例
例えば、上述した発光装置100では、InGaN系のMQW層34について説明したが、MQW層34としては、射出される光の波長に応じて、電流が注入されることで発光可能な様々な材料系を用いることができる。例えば、AlGaN系、AlGaAs系、InGaAs系、InGaAsP系、InP系、GaP系、AlGaP系などの半導体材料を用いることができる。
【0080】
2. 第2実施形態
次に、第2実施形態に係るプロジェクターについて、図面を参照しながら説明する。
図12は、第2実施形態に係るプロジェクター900を模式的に示す図である。
【0081】
プロジェクター900は、例えば、光源として、発光装置100を有している。
【0082】
プロジェクター900は、図示しない筐体と、筐体内に備えられている赤色光、緑色光、青色光をそれぞれ出射する赤色光源100R、緑色光源100G、青色光源100Bと、を有している。なお、便宜上、
図12では、赤色光源100R、緑色光源100G、および青色光源100Bを簡略化している。
【0083】
プロジェクター900は、さらに、筐体内に備えられている、第1レンズアレイ902Rと、第2レンズアレイ902Gと、第3レンズアレイ902Bと、第1光変調装置904Rと、第2光変調装置904Gと、第3光変調装置904Bと、投射装置908と、を有している。第1光変調装置904R、第2光変調装置904G、および第3光変調装置904Bは、例えば、透過型の液晶ライトバルブである。投射装置908は、例えば、投射レンズである。
【0084】
赤色光源100Rから出射された光は、第1レンズアレイ902Rに入射する。赤色光源100Rから出射された光は、第1レンズアレイ902Rによって、集光され、例えば重畳されることができる。
【0085】
第1レンズアレイ902Rによって集光された光は、第1光変調装置904Rに入射する。第1光変調装置904Rは、入射した光を画像情報に応じて変調させる。そして、投射装置908は、第1光変調装置904Rによって形成された像を拡大してスクリーン910に投射する。
【0086】
緑色光源100Gから出射された光は、第2レンズアレイ902Gに入射する。緑色光源100Gから出射された光は、第2レンズアレイ902Gによって、集光され、例えば重畳されることができる。
【0087】
第2レンズアレイ902Gによって集光された光は、第2光変調装置904Gに入射する。第2光変調装置904Gは、入射した光を画像情報に応じて変調させる。そして、投射装置908は、第2光変調装置904Gによって形成された像を拡大してスクリーン910に投射する。
【0088】
青色光源100Bから出射された光は、第3レンズアレイ902Bに入射する。青色光源100Bから出射された光は、第3レンズアレイ902Bによって、集光され、例えば重畳されることができる。
【0089】
第3レンズアレイ902Bによって集光された光は、第3光変調装置904Bに入射する。第3光変調装置904Bは、入射した光を画像情報に応じて変調させる。そして、投射装置908は、第3光変調装置904Bによって形成された像を拡大してスクリーン910に投射する。
【0090】
また、プロジェクター900は、第1光変調装置904R、第2光変調装置904G、および第3光変調装置904Bから出射された光を合成して投射装置908に導くクロスダイクロイックプリズム906を有することができる。
【0091】
第1光変調装置904R、第2光変調装置904G、および第3光変調装置904Bによって変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム906に入射する。クロスダイクロイックプリズム906は、4つの直角プリズムを貼り合わせて形成され、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に配置されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成され、カラー画像を表す光が形成される。そして、合成された光は、投射装置908によりスクリーン910上に投射され、拡大された画像が表示される。
【0092】
なお、赤色光源100R、緑色光源100G、および青色光源100Bは、発光装置100を映像の画素として画像情報に応じて制御することで、第1光変調装置904R、第2光変調装置904G、および第3光変調装置904Bを用いずに、直接的に映像を形成してもよい。そして、投射装置908は、赤色光源100R、緑色光源100G、および青色光源100Bによって形成された映像を、拡大してスクリーン910に投射してもよい。
【0093】
また、上記の例では、光変調装置として透過型の液晶ライトバルブを用いたが、液晶以外のライトバルブを用いてもよいし、反射型のライトバルブを用いてもよい。このようなライトバルブとしては、例えば、反射型の液晶ライトバルブや、デジタルマイクロミラーデバイス(Digital Micro Mirror Device)が挙げられる。また、投射装置の構成は、使用されるライトバルブの種類によって適宜変更される。
【0094】
また、光源を、光源からの光をスクリーン上で走査させることにより、表示面に所望の大きさの画像を表示させる画像形成装置である走査手段を有するような走査型の画像表示装置の光源装置にも適用することが可能である。
【0095】
上述した実施形態に係る発光装置は、プロジェクター以外にも用いることが可能である。プロジェクター以外の用途には、例えば、屋内外の照明、ディスプレイのバックライト、レーザープリンター、スキャナー、車載用ライト、光を用いるセンシング機器、通信機器等の光源がある。
【0096】
本発明は、本願に記載の特徴や効果を有する範囲で一部の構成を省略したり、各実施形態や変形例を組み合わせたりしてもよい。
【0097】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成を含む。実質的に同一の構成とは、例えば、機能、方法、及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成である。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0098】
2…柱状部集合体、10…基体、20…積層体、22…バッファー層、30A…第1柱状部、30B…第2柱状部、32…第1半導体層、34…MQW層、36…第2半導体層、40…光伝搬層、50…第1電極、52…第2電極、60…マスク層、100…発光装置、100R…赤色光源、100G…緑色光源、100B…青色光源、200…発光装置、900…プロジェクター、902R…第1レンズアレイ、902G…第2レンズアレイ、902B…第3レンズアレイ、904R…第1光変調装置、904G…第2光変調装置、904B…第3光変調装置、906…クロスダイクロイックプリズム、908…投射装置、910…スクリーン