(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-22
(45)【発行日】2023-03-03
(54)【発明の名称】自由空間光伝送をタイリングするためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H04B 10/112 20130101AFI20230224BHJP
【FI】
H04B10/112
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018247457
(22)【出願日】2018-12-28
【審査請求日】2021-11-18
(32)【優先日】2018-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518232803
【氏名又は名称】アロン シュアファイア エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】ARON SUREFIRE LLC
【住所又は居所原語表記】18300 Mt.Baldy Circle,Fountain Valley,California 92708 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャッツ,ナーキス,イー.
(72)【発明者】
【氏名】ボーツ,ジョン,シー.
【審査官】前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-333188(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0293268(US,A1)
【文献】米国特許第06795655(US,B1)
【文献】特開2006-067542(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/112
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の位置に配置され、複数の光トランスミッタのそれぞれが、互いに対して角度オフセットを有して配向されている複数の光トランスミッタと、
第1の位置に対して遠距離場位置の第2の位置に伝播すると幾何学的形状を表す空間領域内に集束された強度分布を有する光ビームを放射する前記複数の光トランスミッタのそれぞれの光源およびビーム形成光学系と、を備え、
第2の遠距離場位置において、少なくとも2つの光ビームの各強度分布が、前記少なくとも2つの光ビームが放射される前記複数の光トランスミッタのうちの2つの相対角度オフセットにしたがって重複せずに互いに隣接することを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記複数の光トランスミッタのそれぞれの前記光源および前記ビーム形成光学系が、同じ動作特性を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数の光トランスミッタのそれぞれが、同じ動作特性を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
各光ビームが、幾何学的形状を表す前記空間領域内に集束された均一強度分布を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
各光ビームが、インコヒーレント光を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
複数の光トランスミッタのそれぞれが、そこから各光ビームが放射される円形の射出瞳を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記複数の光トランスミッタのそれぞれが向けられる前記角度オフセットが、前記複数の光トランスミッタのそれぞれの光軸に対して相対的である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記角度オフセットが、水平角度オフセットおよび垂直角度オフセットのうちの少なくとも一方を含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
各光ビームの強度分布が、幾何学的形状を表す前記空間領域内の水平角座標および垂直角座標の関数である、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記空間領域が、二次元角度出力領域を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記幾何学的形状が正方形を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
遠距離場面に伝播する際に均一強度分布を有する第1の光ビームを伝送する第1の光トランスミッタと、
前記同じ遠距離場面に伝播する際に均一強度分布を有する第2の光ビームを伝送する第2の光トランスミッタであって、前記第2の光トランスミッタの少なくとも1つが、前記第1の光トランスミッタに対して少なくとも一方向に傾斜しており、前記第1の光トランスミッタが、前記第2の光トランスミッタに対して少なくとも一方向に傾斜している、第2の光トランスミッタと、
を備え、
前記第1および第2の光ビームが、前記第1および第2の光トランスミッタの各均一強度分布が互いに隣接して二次元角度出力領域を形成するように、前記遠距離場面でまたは前記遠距離場面を超えて結合する、システム。
【請求項13】
前記第1の光トランスミッタおよび前記第2の光トランスミッタが、同一に構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1および第2の光トランスミッタが、それぞれ、円形の射出瞳から前記第1および第2の光ビームを放射する、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1および第2の光トランスミッタのそれぞれが、光源を備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記光源が、正方形の一様ランバート放射器を備える、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1および第2の光ビームが、各均一強度分布が重複せずに互いに隣接するように、前記遠距離場面でまたは前記遠距離場面を超えて結合する、請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1および第2の光ビームの各均一強度分布が、前記第1の光トランスミッタに対して少なくとも一方向に傾斜した前記第2の光トランスミッタおよび前記第2の光トランスミッタに対して少なくとも一方向に傾斜した前記第1の光トランスミッタの少なくとも一方の関数である水平角ビーム幅および垂直角ビーム幅を有する正方形領域を含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
第1の光ビームを出射する第1のトランスミッタから遠距離場距離まで伝播すると、第1の断面および前記第1の断面によって画定される領域内で均一強度分布を有する第1の光ビームを出射する工程と、
第2の光ビームを出射する第2のトランスミッタから前記遠距離
場距離まで伝播すると、第2の断面および前記第2の断面によって画定される領域内で均一強度分布を有する第2の光ビームを出射する工程と、
前記遠距離場距離において、前記第1および第2の光ビームのそれぞれの各均一強度分布が合成されてタイル状の光ビームを形成するように、角度オフセットを有して前記第1および第2のトランスミッタを互いに対して位置決めする工程であって、前記第1および第2の光ビームの各強度分布が、互いに隣接して前記遠距離場距離で前記第1および第2の光ビームの間に少なくとも1つの共通境界を形成する、工程と、
を含む方法。
【請求項20】
前記タイル状の光ビームの断面積が、前記第1の断面と前記第2の断面との合成によって画定される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つの共通境界が、前記第1および第2の光ビームの各強度分布が重複しない領域を画定する、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記第1および第2の断面が、幾何学的形状断面である、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の断面が、矩形断面または正方形断面を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記第2の断面が、矩形断面または正方形断面を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記第1および第2の断面が、前記第1および第2の光ビームの伝播方向に垂直な第1および第2の軸によって画定される平面によって画定される、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
第1の光ビームを出射する第1のトランスミッタから遠距離場距離で第1の断面積を画定する角度領域内で均一強度分布を有する第1の光ビームを出射する工程と、
第2の光ビームを出射する第2のトランスミッタから前記遠距離場距離で第2の断面積を画定する角度領域内で均一強度分布を有する第2の光ビームを出射する工程と、
前記第1および第2のトランスミッタのうちの少なくとも一方が前記第1および第2のトランスミッタのうちの他方に対して所定角度量だけオフセットされるように、前記第1および第2のトランスミッタのうちの少なくとも1つを位置決めする工程であって、前記遠距離場距離における前記第1および第2の光ビームの断面積が前記第1および第2の断面積の合成を含み、前記第1および第2の断面積が、前記第1および第2の断面積の少なくとも一部が互いに重複せずに隣接するように所定角度量だけオフセットされる、工程と、
を含む方法。
【請求項27】
前記第1および第2の断面積が、幾何学的形状断面積である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記第1の断面積が、矩形領域または正方形領域を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記第2の断面積が、矩形領域または正方形領域を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記第1および第2の断面積が、それぞれ、前記第1および第2の光トランスミッタから前記遠距離場への前記第1および第2の光ビームの伝播方向に垂直な第1および第2の軸によって画定される平面に対して画定される、請求項26に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、無線光通信に関する。いくつかの実施形態は、光ナローキャスティングのためのシステムおよび方法に関する。
【0002】
一般に、長距離および短距離の双方の移動通信システムは、電波(例えば、セルラーネットワーク、WiFiネットワーク、ブルートゥース(登録商標)通信、近距離無線通信(NFC)など)の送信および/または受信に基づいている。位置ベースサービスなどのサービスは、電波ベース通信(例えば、全地球測位システム(GPS)測位、WiFi三角測量など)にも依存することが多い。
【発明の概要】
【0003】
1つの実施形態によれば、システムは、第1の位置に配置された複数の光トランスミッタを備え、複数の光トランスミッタのそれぞれは、互いに対して角度オフセットを有して配向されている。システムは、さらに、第1の位置に対して遠距離場(または遠距離、遠視野、far field)位置にある第2の位置に伝播すると幾何学的形状を表す空間領域内に集束された強度分布を有する光ビームを放射する複数の光トランスミッタのそれぞれの光源およびビーム形成光学系を備える。第2の遠距離場位置において、少なくとも2つの光ビームの各強度分布は、少なくとも2つの光ビームが放射される複数の光トランスミッタのうちの2つの相対角度オフセットにしたがって重複せずに互いに隣接する。
【0004】
いくつかの実施形態では、複数の光トランスミッタのそれぞれの光源およびビーム形成 光学系は、同じ動作特性を有する。
【0005】
いくつかの実施形態では、複数の光トランスミッタのそれぞれは、同じ動作特性を有する。
【0006】
いくつかの実施形態では、各光ビームは、幾何学的形状を表す空間領域内に集束された均一強度分布を有する。
【0007】
いくつかの実施形態では、各光ビームは、インコヒーレント光を含む。
【0008】
複数の光トランスミッタのそれぞれは、そこから各光ビームが放射される円形の射出瞳を備えることができる。複数の光トランスミッタのそれぞれが向けられる角度オフセットは、複数の光トランスミッタのそれぞれの光軸に対して相対的とすることができる。いくつかの実施形態では、角度オフセットは、水平角度オフセットおよび垂直角度オフセットのうちの少なくとも一方を含む。いくつかの実施形態では、各光ビームの強度分布は、幾何学的形状を表す空間領域内の水平角座標および垂直角座標の関数である。空間領域は、二次元角度出力領域を含むことができる。いくつかの実施形態では、幾何学的形状は正方形を含む。
【0009】
他の実施形態によれば、システムは、遠距離場面(far field plane)に伝播する際に均一強度分布を有する第1の光ビームを伝送する第1の光トランスミッタと、同じ遠距離場面に伝播する際に均一強度分布を有する第2の光ビームを伝送する第2の光トランスミッタとを備え、第2の光トランスミッタの少なくとも1つは、第1の光トランスミッタに対して少なくとも一方向に傾斜しており、第1の光トランスミッタは、第2の光トランスミッタに対して少なくとも一方向に傾斜しており、第1および第2の光ビームは、第1および第2の光トランスミッタの各均一強度分布が互いに隣接して二次元角度出力領域を形成するように、遠距離場面でまたは遠距離場面を超えて結合することができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1の光トランスミッタおよび第2の光トランスミッタは、同一に構成される。
【0011】
いくつかの実施形態では、第1および第2の光トランスミッタは、それぞれ、円形の射出瞳から第1および第2の光ビームを放射する。
【0012】
いくつかの実施形態では、第1および第2の光トランスミッタのそれぞれは、光源を備える。光源は、正方形の一様ランバート放射器を備えることができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、第1および第2の光ビームは、各均一強度分布が重複せずに互いに隣接するように、遠距離場面でまたは遠距離場面を超えて結合する。第1および第2の光ビームの各均一強度分布は、第1の光トランスミッタに対して少なくとも一方向に傾斜した第2の光トランスミッタおよび第2の光トランスミッタに対して少なくとも一方向に傾斜した第1の光トランスミッタの少なくとも一方の関数である水平角ビーム幅および垂直角ビーム幅を有する正方形領域を含むことができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、本方法は、第1の光ビームを出射する第1のトランスミッタから遠距離場距離(far field distance))まで伝播すると、第1の断面および第1の断面によって画定される領域内で均一強度分布を有する第1の光ビームを出射することを備える。本方法は、第2の光ビームを出射する第2のトランスミッタから遠距離場距離まで伝播すると、第2の断面および第2の断面によって画定される領域内で均一強度分布を有する第2の光ビームを出射することをさらに備えることができる。第1および第2のトランスミッタは、遠距離場距離において、第1および第2の光ビームのそれぞれの各均一強度分布が合成されてタイル状の光ビームを形成するように角度オフセットを有して互いに対して位置決めされることができ、第1および第2の光ビームの各強度分布は、互いに隣接して遠距離場距離で第1および第2の光ビームの間に少なくとも1つの共通境界を形成する。
【0015】
いくつかの実施形態では、タイル状の光ビームの断面積は、第1の断面と第2の断面との合成によって画定される。少なくとも1つの共通境界は、第1および第2の光ビームの各強度分布が重複しない領域を画定することができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、第1および第2の断面は、幾何学的形状断面である。
【0017】
いくつかの実施形態では、第1の断面は、矩形断面または正方形断面を含む。第2の断面は、矩形断面または正方形断面を含むことができる。第1および第2の断面は、第1および第2の光ビームの伝播方向に垂直な第1および第2の軸によって画定される平面によって画定されることができる。
【0018】
さらに別の実施形態によれば、本方法は、第1の光ビームを出射する第1のトランスミッタから遠距離場距離で第1の断面積を画定する角度領域内に均一強度分布を有する第1の光ビームを出射することを備えることができる。本方法は、第2の光ビームを出射する第2のトランスミッタから遠距離場距離で第2の断面積を画定する角度領域内に均一強度分布を有する第2の光ビームを出射することをさらに備えることができる。第1および第2のトランスミッタのうちの少なくとも一方は、第1および第2のトランスミッタのうちの他方に対して所定角度量だけオフセットされるように配置されることができ、遠距離場距離における第1および第2の光ビームの断面積は、第1および第2の断面積の合成を含み、第1および第2の断面積は、第1および第2の断面積の少なくとも一部が重複せずに互いに隣接するように所定角度量だけオフセットされる。
【0019】
いくつかの実施形態では、第1および第2の断面積は、幾何学的形状断面積である。第1の断面積は、矩形領域または正方形領域を含むことができる。第2の断面積は、矩形領域または正方形領域を含むことができる。いくつかの実施形態では、第1および第2の断面積は、それぞれ、第1および第2の光トランスミッタから遠距離場への第1および第2の光ビームの伝播方向に垂直な第1および第2の軸によって画定される平面に対して画定されることができる。
【0020】
開示された方法の他の特徴および態様は、本開示の実施形態にかかる特徴を例として示す添付図面とあわせて、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
概要は、添付の特許請求の範囲によってのみ定義される特許請求された開示の範囲を限定するように意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本開示は、1つ以上の様々な実施形態にしたがって、以下の図を参照して詳細に説明される。
図は、例示のみを目的として提供されており、本開示の典型的または例示的な実施形態を単に示しているにすぎない。
【0022】
【
図1】例示的な光ナローキャスティングシステムを示している。
【0023】
【
図2A】光トランスミッタアセンブリを構成することができる例示的な構成要素を示している。
【0024】
【
図2B】
図2Aの光トランスミッタアセンブリおよび/またはその構成部品もしくは要素によって実行されることができる例示的な動作を示すフローチャートである。
【0025】
【
図3A】光レシーバアセンブリを構成することができる1つ以上の例示的な構成要素を含む光レシーバアセンブリを示している。
【0026】
【
図3B】
図3Aの光レシーバアセンブリおよび/またはその構成部品もしくは要素によって実行されることができる例示的な動作を示すフローチャートである。
【0027】
【
図4A】光レシーバアセンブリの取り付けの例を示している。
【0028】
【
図4B】装置に組み込まれる光レシーバアセンブリの例を示している。
【0029】
【
図5A】光レシーバアセンブリが車両に設置され且つ車両に電子的に接続されている自動車の正面図を示している。
【0030】
【0031】
【
図6】光レシーバアセンブリに動作可能におよび/または通信可能に接続されたユーザ装置を示している。
【0032】
【
図7】光ナローキャスティングシステム内のユーザ/制御装置および光レシーバアセンブリによって実行されることができる例示的な動作を示すフローチャートである。
【0033】
【
図8】例示的な光トランスミッタアセンブリの図である。
【0034】
【
図9】光トランスミッタアセンブリの例示的な機能ブロック図を示している。
【0035】
【
図10】いくつかの実施形態におけるデータの光ナローキャスト伝送のフローチャートである。
【0036】
【
図11】例示的な光トランスミッタアセンブリの図である。
【0037】
【
図12A】光源からのトレース光線を有するビーム形成光学系の3次元斜視図を示している。
【0038】
【
図12B】光源からのトレース光線を有するビーム形成光学系の他の3次元斜視図を示している。
【0039】
【
図13】光源からのトレース光線を有する例示的なビーム形成光学系の側面図を示している。
【0040】
【
図14】例示的な軸対称反射型コリメータの断面図である。
【0041】
【
図15】ビーム形成光学系に使用するためのワイングラスコリメータの例の3次元図を示している。
【0042】
【0043】
【
図17】例示的な小型レンズアレイの対を示している。
【0044】
【
図18A】いくつかの実施形態におけるワイングラスコリメータおよび小型レンズアレイから構成される単一のビーム形成光学系によって生成される水平角度および垂直角度の関数としての出力強度分布の表面プロットである。
【0045】
【
図18B】いくつかの実施形態において
図18Aの結果を生成するために使用される同種類の6つの同一のビーム形成光学系によって生成された角度の関数としての複合出力強度分布の一部の表面プロットである。
【0046】
【
図19A】
図18Aの表面プロットとして示されるいくつかの実施形態において中心を通り且つ単一のビーム形成光学系によって生成される同じ強度分布の中心に対して±4°の水平座標における垂直スライスのグラフである。
【0047】
【
図19B】
図18Bの表面プロットとして示されるいくつかの実施形態においてビームの中心を通り且つ6つのビーム形成光学系によって生成される同じ強度分布の中心に対して±4°の水平座標における垂直スライスのグラフである。
【0048】
【
図20A】
図18Aの表面プロットとして示されるいくつかの実施形態においてビームの中心を通り且つ単一のビーム形成光学系によって生成される同じ強度分布の中心に対して±3.95°の垂直座標における水平スライスのグラフである。
【0049】
【
図20B】
図18Bの表面プロットとして示されるいくつかの実施形態においてビームの中心を通り且つ6つのビーム形成光学系によって生成される同じ強度分布の中心に対して±3.95°の垂直座標における水平スライスのグラフである。
【0050】
【
図21】複数の光源およびビーム形成光学系を利用する例示的なOTAの簡略化された概略図を示している。
【0051】
【
図22】800~900nm帯域で動作する光ビーコンならびに900~1000nm帯域で動作する光信号についての時間の関数としての(任意単位での)光パワー出力の例を示しており、光ビーコンおよび光信号のビットレートは、それぞれ、333.33kHzおよび1MHzである。
【0052】
【
図23】二重変調の例のための伝送される出力ビームの時間波形の3つのプロットを示している。
【0053】
【
図24】例示的なデジタル装置のブロック図である。
【0054】
【
図25】例示的な光レシーバアセンブリの図である。
【0055】
【
図26A】単一のOSRおよび単一のOBRを利用するORAを概略的に示している。
【0056】
【
図26B】複数のOSRを利用するORAを概略的に示している。
【0057】
【
図27】光レシーバアセンブリの機能ブロック図を示している。
【0058】
【
図28A】光レシーバアセンブリによって光信号を受信するプロセスを示すフロー図である。
【0059】
【
図28B】光レシーバアセンブリによって光ビーコンを受信するプロセスを示すフロー図である。
【0060】
【
図29A】光線を検出器の感光面上に集束させる(すなわち、集光する)小型レンズを介してトレースされたコリメートされた光線の検出器およびビームの3次元図である。
【0061】
【
図29B】小型レンズのアレイの3次元図を示している。
【0062】
【
図30】光アセンブリにおいて使用されることができる非球面小型レンズの光軸を通る対角線断面(すなわち、正方形の入射瞳の1つの角から反対側の角までとられる)を示している。
【0063】
【0064】
【
図31B】PIN-HR008検出器のスペクトル応答のプロットを示している。
【0065】
【
図31C】バックグラウンド放射に起因する検出器ノイズを低減するためにPIN-HR0080検出器とともに使用されることができる例示的な光帯域通過フィルタのスペクトル応答のプロットである。
【0066】
【
図32】ミリメートル単位の寸法を有するPIN-HR0080検出器を使用するフォトダイオードアレイの図である。
【0067】
【
図33】光トランスミッタからの入射ビームがOSRのFOV上に中心合わせされるとき、OSR光学系として
図29bの小型レンズアレイを使用してOSRの単一の検出器(例えば、
図32の検出器アレイにおける検出器の1つ)上に生成される照度分布を示している。
【0068】
【
図34】透過ビームがFOVの中心に対して1.8°の角度(すなわち、OSRのFOVの幅の半分)で入射するとき、単一の検出器上に生成される照度分布を示している。
【0069】
【
図35A】異なる測定面における光トランスミッタからの例示的な放射照度分布を示している。
【0070】
【
図35B】遠距離場光ビーム放射照度に関する位置および放射照度スケーリングの例を示している。
【0071】
【
図35C】角度位置決めの関数としての光ビーム強度の例示的な表現を示している。
【0072】
【
図35D】光トランスミッタが特定の方向に傾けられているかまたは向けられているときの角度位置の関数としての光ビーム強度の例示的な表現を示している。
【0073】
【
図36A】矩形角度領域内で一定の強度を有する光ビームを出射する光トランスミッタによって生成された水平角度位置座標の関数としての例示的な光ビーム強度分布を示している。
【0074】
【
図36B】その中で
図36Aの光ビーム強度分布が一定の強度を有する矩形角度領域を示している。
【0075】
【
図37A】複数の光トランスミッタからの例示的な光ビーム強度分布を示している。
【
図37B】複数の光トランスミッタからの例示的な光ビーム強度分布を示している。
【0076】
【
図38A】様々な実施形態にかかる、合成されるかまたはタイリングされる2つの出射ビームによって生成された水平角度位置座標の関数としての光ビーム強度分布を示している。
【0077】
【
図38B】
図38Aのタイル状の光ビーム強度分布が一定の強度を有する矩形角度領域を示している。
【0078】
【
図39】様々な実施形態にかかる、その中でタイル状の光ビームが一定の強度を有する矩形角度領域の例を示している。
【0079】
【
図40A】様々な実施形態にかかる、タイル状の光ビームの一部を生成するために使用することができる例示的な光トランスミッタを示している。
【0080】
【
図40B】
図40Aの光トランスミッタによって伝送されることができる例示的な出射ビームを示している。
【0081】
【
図41A】1つの実施形態にかかる多重光トランスミッタ構成の例を示している。
【0082】
【
図41B】
図41Aの光トランスミッタ構成から生じる遠距離場におけるタイル状の光ビームを示している。
【0083】
【
図42A】多重光トランスミッタ構成の例を示している。
【0084】
【
図42B】
図42Aの光トランスミッタ間の相対的な傾きを示す側面図を示している。
【0085】
【
図42C】
図42Aの光トランスミッタ構成から生じるタイル状の光ビームの斜視図を示している。
【0086】
【
図43A】多重ビーム形成光学系構成の斜視図を示している。
【0087】
【0088】
【0089】
【
図43D】複数の光学系の射出瞳から異なる距離における
図43A~
図43Cの複数のビーム形成光学系構成によって生成された放射照度分布を示している。
【
図43E】複数の光学系の射出瞳から異なる距離における
図43A~
図43Cの複数のビーム形成光学系構成によって生成された放射照度分布を示している。
【
図43F】複数の光学系の射出瞳から異なる距離における
図43A~
図43Cの複数のビーム形成光学系構成によって生成された放射照度分布を示している。
【0090】
【
図44】本明細書に開示される方法の様々な特徴を実施するために使用されることができる例示的なコンピューティングモジュールを示している。
【0091】
図は網羅的なものではなく、開示された正確な形態に本開示を限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0092】
定義
【0093】
本明細書で使用される場合、「光ナローキャスティングシステム(optical narrowcasting system)」すなわち「ONS」は、1つ以上の伝搬媒体を介して伝送される1つ以上のデジタル変調光ビームを使用して1つ以上の位置から1つ以上の他の位置に情報を伝送することができるシステムである。想定される伝搬媒体は、これらに限定されるものではないが、空気、水、ガラス窓、および真空の空間を含むことができる。ONSは、光ビームを1つ以上の光レシーバアセンブリ(ORA)に伝送するための1つ以上の光伝送アセンブリ(OTA)を含むことができる。
【0094】
本明細書で使用される場合、「光ビーム」は、約10nm(例えば、極紫外線(UV)放射)から約106nm(例えば、遠赤外線(IR)放射)の範囲のスペクトル領域における波長を有する電磁放射の指向性ビームである。本明細書において光ビームを指すために使用される場合、用語「指向性」ビームは、例えば特定の伝播方向範囲で送られるが他の方向には送られない光エネルギなどのエネルギを指すことができる。例えば、レーザは、光の狭い指向性ビームを放射することができるが、太陽は、全ての可能な方向において外側に伝搬する無指向性光を放射すると理解されることができる。
【0095】
本明細書で使用される場合、「光トランスミッタアセンブリ」または「OTA」は、電子機器、ソフトウェア(および/またはファームウェア)、および1つ以上の光トランスミッタ(OT)を含む装置である。OTAは、ONSの要素とすることができる。OTA内のOTは、少なくとも1つの光ビーコントランスミッタ(OBT)および/または少なくとも1つの光信号トランスミッタ(OST)の機能を提供することができる。いくつかの実施形態では、単一のOTは、OBTおよびOSTの双方として機能することができる。他の実施形態では、OTAのOBTおよびOSTは、別個の装置とすることができる。OTAはまた、そのOTによって出力される光ビームの指向方向を制御することを可能にする1つ以上のチルトアクチュエータを含むことができる。OTAの電子機器および関連するソフトウェア(および/またはファームウェア)は、OTAとそのユーザ(またはそのユーザの装置)との間のインターフェースの提供、そのOTに対するタイミングパルスおよび電力の供給、OTの動作の制御(例えば、それらをオンおよびオフにする、それらのデータ伝送速度を設定するなど)、1つ以上のデジタル変調光ビームとして出力するためにOTに対するデジタルデータの転送、出力光ビームの指向方向を変更するための1つ以上のチルトアクチュエータの制御など、様々な有用な機能を実行することができる。
【0096】
本明細書で使用される場合、「光トランスミッタ」または「OT」は、1つ以上の光源、1つ以上のビーム形成光学系、および光ビームを伝送するように適合された関連ソフトウェア(および/またはファームウェア)を有する電子機器を含む装置である。1つ以上のOTは、OTAの少なくとも一部を形成することができる。光源は、コヒーレント(例えば、レーザ)またはインコヒーレント(例えば、発光ダイオード(LED))であってもよい。各光源の光出力は、一連の1ビットおよび0ビットの形式でデジタルデータを伝送するために、所望のビットレート(またはユーザ選択可能な範囲のビットレートの1つ)で電子的に変調されてもよい。光源は、所望の光波帯域の光放射を生成する。各ビーム形成光学系は、1つ以上の光源によって放射された光束を集光し、屈折、反射および/または回折を利用して所望の角度強度分布を有する透過ビームに集束させることができる。場合によっては、ビーム形成光学系はまた、所望の波帯域の外側に透過する光束量を最小化するために1つ以上のスペクトルフィルタを含むこともできる。出射ビームの立体角を増加させるためにおよび/または特定の立体角領域において出射強度を増加させるために、いくつかの実施形態では複数のOTが単一のOTAにおいて使用されることができる。OTの電子機器および関連するソフトウェア(および/またはファームウェア)は、以下の機能を実行することができる:コンポーネントであるOTAによって伝送されたタイミングパルスおよび電力を受信して(必要に応じて)変更する;OTAから送られた様々な制御信号を受信して適切に解釈する;およびデジタル光学形式で出力するデジタル電子形式のデータをOTAから受信する。
【0097】
本明細書で使用される場合、「光ビーコントランスミッタ」または「OBT」は、OTAに関連付けられたビーコンを生成するOTの種類である。「光ビーコン」または「ビーコン」は、ORAがOTAの存在を検出することを可能にする情報を含む変調光ビームである。光ビーコンは、光学的に伝送された情報を受信するユーザまたはエンティティに、ビーコンに関連付けられたOTAによって伝送された情報の存在または利用可能性を認識させる。OTAの存在を検出することに加えて、OBTによって生成されたビーコンはまた、光レシーバアセンブリ(ORA)がエンティティ(例えば、企業、組織、個人、製品、ランドマークなど)およびOTAが関連付けられているエンティティ(例えば、レストラン、デパート、映画館など)の種類(すなわち、カテゴリ)を識別することを可能にする情報を含むことができる。
ビーコンはまた、OTAの角度位置を判定するためにOBRによって使用されることもできる。いくつかの実施形態では、OTAの角度位置、例えば水平および/または垂直角度位置は、光ビーコン内または光ビーコンの一部として光学的に伝送される情報に基づいて判定されることができる。例えば、OTAの位置を示す緯度、経度、および高度情報は、ビーコンにおいて伝送されてもよい。いくつかの実施形態では、光ビーコンの伝播方向のOBRによって形成された1つ以上の測定値は、OBRのFOV内のOTAの角度位置を導出、計算または判定するためにOBRによって使用されることができる。前述したように、OTA内の単一のOTは、OBTおよびOSTの双方として機能してもよく、またはOTA内のOBTおよびOSTは、別個の装置であってもよい。
【0098】
本明細書で使用される場合、「光信号トランスミッタ」または「OST」は、OTAに関連付けられた光信号を生成するOTの種類である。「光信号」は、OTAのオペレータが光レシーバアセンブリ(ORA)に伝送することを望む光ビーコンに含まれる情報以外の情報を含む変調光ビームである。OSTの目的は、OSTがコンポーネントであるOTAを既に検出したORAに情報を伝送することである。
いくつかの例では、ORAはまた、OTAによって伝送された光信号を受信する前に、OTAの角度位置を特定して判定していたこともある。OTA内の単一のOTは、OBTおよびOSTの双方として機能してもよく、またはOTA内のOBTおよびOSTは、別個の装置であってもよい。
【0099】
OTAによって生成される変調光ビームは、光ビーコンおよび光信号の双方を含むことができる。あるいは、変調光ビームは、1つ以上の光ビーコンのみを含み、光信号を含まなくてもよく、または1つ以上の光信号のみを含み、光ビーコンを含まなくてもよい。例えば、OTAは、一方が光ビーコンであり且つ他方が光信号である2つの別個の光ビームを同時に出射することができ、光ビーコンは、光信号とは異なる波長スペクトルを有する。
【0100】
本明細書で使用される場合、用語「光情報」は、一般に、変調光ビームから抽出されたまたは光ビームを変調するために使用される情報を指す。
光情報は、光ビーコンから抽出されたまたは光ビーコンに含まれる識別データ(例えば、特定のOTAおよび/またはOTAのソースを識別する)および光信号から抽出されたまたは光信号に含まれる記述データ(例えば、広告または他のメッセージ)を含むことができる。
このデータは、テキスト、ビデオ、オーディオ、メタデータ、または他の種類の情報などの機械可読および/または人間可読データを含むことができる。
【0101】
本明細書で使用される場合、「光レシーバアセンブリ」または「ORA」は、電子機器、ソフトウェア(および/またはファームウェア)、および1つ以上の光レシーバ(OR)を含む装置である。
ORA内のORは、少なくとも1つの光ビーコンレシーバ(OBR)および/または少なくとも1つの光信号レシーバ(OSR)の機能を提供することができる。
ORAは、ONSの要素とすることができる。場合によっては、ORAはまた、そのOBRおよびOSRが変調光ビームを受光することができる方向を制御することを可能にする1つ以上のチルトアクチュエータを含むこともできる。ORAは、以下の機能の1つ以上を実行することができる。それは、OTAによって伝送されたビーコンの存在を検出することができる。
それは、OTAが関連付けられているエンティティ(例えば、企業、組織、個人、製品、ランドマークなど)の識別子などのビーコンから情報を抽出することができる。それは、ビーコンの入射の方向を検知するかまたはそこから位置情報を抽出することによってOTAの角度位置を判定することができる。それは、OTAによって伝送された光信号からデータを受信および/または抽出することができる。ORAの電子機器および関連するソフトウェア(および/またはファームウェア)は、ORAとそのユーザ(またはユーザの装置)との間のインターフェースの提供、そのOBRおよびOSRにタイミングパルスおよび電力の供給、そのOBRおよびOSRの動作の制御(例えば、それらをオンおよびオフにする、データ受信速度を設定するなど)、検出されたOTAに関するそのOBRによって取得された識別情報および角度位置などの情報の受信およびユーザ(またはユーザの装置)への転送、そのOSRによってOTAから受信したデータの受信およびユーザ(またはユーザの装置)への転送、および1つ以上のOBRおよび1つ以上のOSRの指向方向を変更するための1つ以上のチルトアクチュエータの制御など、様々な有用な機能を実行する。
【0102】
本明細書で使用される場合、「光ビーコンレシーバ」または「OBR」は、ORAの少なくとも一部を構成することができる光ビーコンを受光するように適合された装置である。OBRは、1つ以上のOTAの存在を検出することができる。
OBRはまた、例えば光ビーコン内に含まれる情報を介してOTAが関連するエンティティ(例えば、企業、組織、または個人)を識別するとともに、OTAの角度位置を判定することもできる。前述したように、OTAの角度位置は、ビーコンの伝搬方向の測定から導出されてもよく、および/またはビーコン内に含まれる情報から判定されてもよい。OBRは、例えば、1つ以上の光検出器または検出器アレイ、1つ以上の光学部品(例えば、レンズ、反射器、および/または回折光学素子)をそれぞれ含む1つ以上の集光光学系、ならびに関連するソフトウェア(および/またはファームウェア)を有する制御電子機器を含むことができる。検出器に入射する帯域外光束を低レベルに低減するために、各集光光学系にスペクトルフィルタを含めることができる。光検出器は、OBRが受信するように設計されたビーコンの波帯域内でおよびビットレートで光束を検出することができる。場合によっては、OBRは、その検出器、集光光学系、電子ハードウェア、およびソフトウェア/ファームウェアの一部または全部を、それが一部であるORA内の1つ以上のOSRと共有することができる。OBRの電子機器および関連するソフトウェア(および/またはファームウェア)は、少なくとも以下の機能を実行する:それが一部であるORAによって送信されたタイミングパルスおよび電力を受信して(必要に応じて)変更する手段を提供すること;ORAによって送信された様々な制御信号を受信して適切に解釈すること;およびそれが検出して情報を受信したビーコンに関して得られた情報(例えば、識別情報および角度位置)をORAに転送すること。
【0103】
本明細書で使用される場合、「光信号レシーバ」または「OSR」は、光信号を受信し、それらが含むデータをデジタルまたは電子形式に変換するように適合された装置である。OSRは、1つ以上の光検出器または検出器アレイ、1つ以上の集光光学系、および関連するソフトウェア(および/またはファームウェア)を有する制御電子機器を含むことができる。光検出器は、OSRが受光するように設計された光信号の波帯域内でおよびビットレートで光束を検出することができる。各集光光学系は、その入射瞳上およびその特定の視野(FOV)内で入射帯域内光束を集光することができ、屈折、反射および/または回折を利用して1つ以上の光検出器に集光する。検出器に入射する帯域外光束を低レベルに低減させるために、光トレインにスペクトルフィルタを含めることもできる。場合によっては、OSRは、その検出器、集光光学系、電子ハードウェア、およびソフトウェア/ファームウェアの一部または全部を、それが一部であるORA内の1つ以上のOBRと共有することができる。OSRの電子機器および関連するソフトウェア(および/またはファームウェア)は、以下の機能のうちの1つ以上を実行することができる:(それが一部である)ORAによってタイミングパルスおよび電力を受信して(必要に応じて)変更する;ORAによって送信された様々な制御信号を受信して適切に解釈する;および受光した光信号から抽出されたデジタルデータをORAに転送する。
【0104】
本明細書では、非電波ベースの通信チャネルを利用する通信のシステムおよび方法が開示される。すなわち、通信は、変調光ビームの形態の情報の送信および/または受信を介して達成されることができる。このようにして、例えば広告情報などの情報を送信したい企業などのようなユーザまたはエンティティは、情報のデジタル表現を伝送のために1つ以上の変調光ビームに変換することができるOTAを利用することによってそうすることができる。伝送される情報は、例えば政府機関を含む企業および他の組織によって、および個人によって配布される情報を含むことができることに留意すべきである。ソーシャルメディアコンテキスト内で個人によって共有されるメッセージ、写真、およびビデオなどの個人コンテンツは、伝送される可能性のある情報の他の例である。
【0105】
本明細書で開示される光通信方法およびシステムの特徴は、1つ以上のOTAによって送信された情報を受信するように設計されたORAのユーザが、どの特定の光トランスミッタが関心のある情報を自分に送信するものかまたはそれらが配置される場所を事前に知ることができないことである。この理由のために、様々な実施形態の1つの態様は、ORAが、その情報を受信する前に光学的に伝送された情報の存在を検出するように構成された1つ以上の構成要素を備えることができることである。
【0106】
1つ以上の変調光ビームの形で伝送される情報を受信することを希望するユーザは、スマートフォンなどのユーザ装置内でまたはその装置とともに実装されたORAを利用して、利用可能な光ビーコンの存在をスキャンして検出し、ビーコンに含まれる識別情報を抽出し、例えば拡張現実(AR)インターフェースを介して識別情報を表示することができる。その関連するビーコンから抽出されてARインターフェース上に表示された情報を使用して特定のOTAを選択すると、ユーザは、望むのであれば、ARインターフェースまたはメディアプレーヤなどの他の情報提示機構を介して前記OTAに関連付けられた光信号に含まれるかまたはそれによって表される情報(例えば、デジタルビデオの形態の広告情報)の一部または全部をさらに取得することができる。
【0107】
本明細書では光ナローキャスティングシステムと呼ばれるそのような光通信システムを用いることによって利点を実現することができる。例えば、本明細書に開示されるものなどの光ナローキャスティングシステムは、長距離高帯域幅能力を有し、規制上の制限を回避することができる(それゆえに、光伝送は、連邦通信委員会(FCC)または他の規制機関によって規制されない)。例えば、光ナローキャスティングシステムは、必要な消費電力が少なく且つエネルギ効率が高い非常にコンパクトな非結像光学部品によって強化される既存のハードウェアおよび/またはソフトウェア技術を利用する能力をユーザに提供することができる。例えば、光ナローキャスティングシステムの動作可能範囲は、約50m以内で有効であるWiFiのものと比較して約400m(例えば、日中)から約1200m(例えば、夜間)とすることができる。さらに、光ナローキャスティングシステムは、例えばビーム形成を用いて1つ以上の所望の方向に情報を導くことができる。これは、前述の非結像光学系の使用によって達成されることができるが、高価でかさばる指向性アンテナを使用する(WiFiルータの)必要性がある場合にはWiFiを使用する指向性は実用的ではない。効率性に関して、光ナローキャスティングネットワークは、WiFiネットワークよりも最大300倍エネルギ効率を良くすることができる。さらに、光ナローキャスティングネットワークで達成できるセキュリティは、伝送された光ビームの指向性のために、WiFi(登録商標)ネットワークで可能なセキュリティよりもはるかに高い。
【0108】
図1は、例示的な光ナローキャスティングシステム100を示している。光ビームの送信および/または受信は、光トランスミッタアセンブリ104などのOTAおよび光レシーバアセンブリ106などのORAを使用して達成することができる。前述したように、「光トランスミッタアセンブリ」または「OTA」は、1つ以上の光ビームを伝送するように適合された光ナローキャスティング要素を指すことができ、特定の電子機器および/または回路、ソフトウェアおよび/またはファームウェア、ならびに1つ以上の光トランスミッタを含むことができ、これについては、
図2を参照して以下により詳細に説明する。
図1に示すように、光トランスミッタアセンブリ104は、1つ以上の光ビームを空気などの媒体に伝送することができる。
以前に示唆したように、光ビームは、1つ以上の光ビーコンおよび光信号を含むことができる。
【0109】
光トランスミッタアセンブリ104は、光レシーバアセンブリ106によって受信されるべき光ビームとして伝送するために、デジタル情報を受信し、変調し、変換し、および/または他の方法で光フォーマットに処理することができる。デジタル情報は、1つ以上のソース、例えばソース装置102から光トランスミッタアセンブリ104によって受信されてもよい。ソース装置102は、コンピュータタブレット、スマートフォン、データサーバ、または他の情報源であってもよい。
【0110】
光トランスミッタアセンブリ104は、建物、ビルボード、道路標識などのような様々な固定構造物上に設置されることができる。
また、自動車やバスなどの車両に設置されることもできる。これらの設置は単なる例示であり、決して限定するものではないことを理解すべきである。光トランスミッタアセンブリ104はまた、スマートフォン、タブレットコンピュータ、およびヘッドマウントディスプレイなどの携帯および/またはハンドヘルド装置に組み込まれてもよく、またはスマートフォンケースやタブレットコンピュータのケースなどの携帯および/またはハンドヘルド装置に取り付けられるもしくは近接して保持されることが意図された装置に組み込まれてもよい。ここで述べた装置は単なる例示であり、決して限定するものではないことを理解すべきである。さらに、光トランスミッタアセンブリ104は、単一のソース装置102に関連付けられるものとして示されているが、いくつかの実施形態では、光トランスミッタアセンブリ104は、追加のソース装置からのデジタル情報に関連付けられるおよび/または受信することができる。
【0111】
光レシーバアセンブリ106は、建物、ビルボード、道路標識などのような様々な固定構造物上に設置されることができる。
また、自動車やバスなどの車両に設置されることもできる。
これらの設置は単なる例示であり、決して限定するものではないことを理解すべきである。光レシーバアセンブリ106はまた、スマートフォン、タブレットコンピュータ、およびヘッドマウントディスプレイなどの携帯および/またはハンドヘルド装置に組み込まれてもよく、またはスマートフォンケースやタブレットコンピュータのケースなどの携帯および/またはハンドヘルド装置に取り付けられるもしくは近接して保持されることが意図された装置に組み込まれてもよい。ここで述べた装置は単なる例示であり、決して限定するものではないことを理解すべきである。さらに、光レシーバアセンブリ106は、単一のユーザ装置108に関連付けられるものとして示されているが、いくつかの実施形態では、光レシーバアセンブリ106は、追加のユーザ装置に関連付けられる、それによって制御されるおよび/またはデジタル情報を共有することができる。
【0112】
光レシーバアセンブリ106は、1つ以上の光ビームを受光するように適合された光ナローキャスティング要素であってもよく、特定の電子機器および/または回路、ソフトウェアおよび/またはファームウェア、ならびに1つ以上の光レシーバを含むことができ、これについては、
図4を参照して以下により詳細に説明する。光レシーバアセンブリ106は、光ビームを受光し、光ビームをデジタル情報に復調し、変換し、および/または他の方法で処理して戻すことができる。光レシーバアセンブリ106は、ユーザ装置108などの受信装置にデジタル情報を伝送または転送することができる。ユーザ装置108は、コンピュータタブレット、スマートフォン、ネットワークサーバ、またはデジタル情報もしくはデータを受信および/または利用することができる他の装置とすることができる。光レシーバアセンブリ106は、ユーザ装置108と一体化されてもよく、または光レシーバアセンブリ106は、ユーザ装置108に動作可能に取り付けられてもよい。光レシーバアセンブリ106は、単一のユーザ装置にのみ関連付けられる必要はないことに留意すべきである。
いくつかの実施形態では、光レシーバアセンブリ106は、例えば、ブロードキャスト、マルチキャストなどを介して、複数のユーザ装置に受信したデジタル情報を伝送または転送することができる。
【0113】
図1は、光トランスミッタアセンブリ104と光レシーバアセンブリ106との間の一方向通信を示しているが、光ナローキャスティングシステムはまた、双方向通信を含むことができることに留意すべきである。例えば、ソース装置102およびユーザ装置108は、それぞれ、それに組み込まれたまたはそれに動作可能に取り付けられた各光トランスミッタおよび光レシーバアセンブリを有することができる。
光ビームは、場合によっては、可視または近赤外帯域とすることができる。光ビームは、インコヒーレント光源(例えば、発光ダイオード(LED))、レーザ、または他の適切な光源のいずれかを使用して生成されることができる。用途に応じて、異なる角度ビーム幅を使用することができる。光ビームは、遮ぎられていない視線(LOS)に沿って光トランスミッタアセンブリから光レシーバアセンブリに直接伝搬することができるか、または、例えば、天井、壁、または他の構造物などからの、もしくは、小粒子(例えば、空気中のほこり)の懸濁液もしくは液滴(例えば、雲または霧)からの拡散反射を利用して間接的な非LOS経路に沿って伝搬することができる。
図21に示すように、2つ以上の同一のモジュール式トランスミッタ-光学ユニットは、増加した水平および/または垂直角度ビーム幅、および/または特定の立体角領域内の増加した強度を有する複合ビームを生成するために使用されることができる。
【0114】
アドホックネットワーク(例えば、2つ以上のコンピュータまたは他の装置間に直接確立された通信ネットワーク)は、基地局または他の集中型アクセスポイントに依存する必要はない。そのような通信ネットワークは、一般に、参加者によって記載された文書のセットを共有するまたはマルチプレイコンピュータゲームをするなど、特定の共通目的のために物理的に近接した少数の参加者間で一時的に確立される。いくつかの実施形態では、2つ以上のユーザ装置(その1つの実施形態はユーザ装置108とすることができる)は、それぞれ、光トランスミッタアセンブリおよび光レシーバアセンブリ(その実施形態は、
図1の光トランスミッタアセンブリ104および光レシーバアセンブリ106とすることができる)を備えることができる。2つ以上のユーザ装置は、光ビームを介してデータを送受信するために使用され、それにより、アドホック光ナローキャスティングネットワークを形成する。
【0115】
図2Aは、光トランスミッタアセンブリ104を構成することができる例示的な構成要素を示している。
光トランスミッタアセンブリ104は、データインターフェース104aを含むことができる。データインターフェース104aは、光トランスミッタアセンブリ104とソース装置102(および/またはソース装置102のユーザ)との間のインターフェースを提供するように適合された電子機器および/または回路、ならびに関連するソフトウェア(および/またはファームウェア)を備えることができる。例えば、光トランスミッタアセンブリ104は、データインターフェース104aを介してソース装置102によって制御されてもよい。データインターフェース104aは、有線および/または無線(例えば、ブルートゥース(登録商標))接続によってソース装置102と通信することができる。ソース装置102上の1つ以上のソフトウェアアプリケーションは、データファイルがデータインターフェース104aを介して光トランスミッタアセンブリ104のメモリユニットにアップロードされることを可能にすることができる。これらの1つ以上のソフトウェアアプリケーションはまた、ユーザが光トランスミッタアセンブリ104にアップロードされた1つ以上のデータファイルの内容を光学的に伝送するように光トランスミッタアセンブリ104に命令するコマンドを送ることを可能にする。ユーザはまた、光トランスミッタアセンブリ104のビットレート、光出力強度、パルスデューティサイクル、および他の関連する動作パラメータなどの値を指定することができる。
【0116】
光トランスミッタアセンブリ104は、制御電子機器104bを含むことができる。
制御電子機器104bは、ユーザによって入力され、光トランスミッタアセンブリ104の動作を制御するために利用される上述した値を受信することができる。例えば、制御電子機器104bは、タイミングパルスおよび電力を光トランスミッタに供給し、(例えば、それらをオンおよびオフする、データ伝送速度を設定するなどにより)例えば光ビーコントランスミッタ104cおよび光信号トランスミッタ104dなどの1つ以上の光トランスミッタの動作を制御することができる。
制御電子機器104bは、1つ以上のデジタル変調光ビームとして出力されるように1つ以上の光トランスミッタへのデジタルデータの転送を達成することができる。
【0117】
いくつかの実施形態では、光トランスミッタアセンブリ104はまた、1つ以上の光ビームが指向されて出射される方向を光トランスミッタアセンブリ104が制御することを可能にする、微小電気機械システム(MEMS)アクチュエータなどの1つ以上のチルトアクチュエータを備えることもできる。例えば、光ビーコントランスミッタ104c、光信号トランスミッタ104d、および/または複合光トランスミッタ104eは、1つ以上のチルトアクチュエータがトランスミッタを動かすことを可能にする接続を介して光トランスミッタアセンブリ104に取り付けられるかまたは組み込まれることができる。制御電子機器104bは、1つ以上のチルトアクチュエータの動作を制御することができる。
【0118】
光トランスミッタアセンブリ104は、例えばソース装置102から受信したデジタル情報を処理して光ビームとして送信するように適合された1つ以上の光トランスミッタを含むことができる。
図2Aに示すように、いくつかの実施形態は、光ビーコントランスミッタ104cおよび光信号トランスミッタ104dを有することができる。光ビーコントランスミッタ104cは、光ビーコンレシーバによって受信されるよう特に意図された光ビーコンを送信するように適合されることができる。光ビーコンは、光トランスミッタアセンブリ104の存在が検出されることを可能にする。光ビーコンは、ソース(例えば、ソース装置102に関連付けられたユーザまたはエンティティ、ソース装置102、および/または光トランスミッタアセンブリ104)が識別されることを可能にすることができる。光ビーコンはまた、異なる位置にあるOBRのFOV内の光トランスミッタアセンブリ104の水平および/または垂直角度位置が判定されることを可能にする。これは、例えば、レンズの焦点面内に配置された検出器アレイ上の対応する異なる位置において異なる方向からレンズに入射する光ビーコンを集光させる(すなわち、集束させる)ために、結像レンズなどのレンズを利用するOBRによって達成されることができる。光ビーコンが現在集束されている検出器アレイ内の位置は、光ビーコンが伝送されるOTAのOBRのFOVに対する現在の角度位置の尺度とすることができる。すなわち、光ビーコンの形の光パワーは、OBRにおいて使用される検出器アレイの特定の行および列に配置された検出器に(OBRのレンズによって)主としてまたは全体的に集光されることができる。OBRは、光ビーコンの波帯に敏感なカメラであってもよい。光ビーコンが集中する検出器アレイの行および列は、ビーコンを送信したOTAの現在の推定位置(OBRのFOV内)であり得る。この形式のOTA位置は、スマートフォンの前方視認カメラなどの関連する可視光カメラのFOV内の類似の位置にマッピングされることができる。これは、OTAの位置がユーザのリアルタイムビデオディスプレイ(例えば、スマートフォンのディスプレイ)上に表現されることを可能にする。そして、OTAを表すアイコンは、例えば、リアルタイムビデオディスプレイのこの位置にオーバーレイされることができる。OTAの水平および垂直角度位置は、一般に、時間の関数とすることができることに留意すべきである。例えば、OTAが移動する車両に搭載されているためにOTAが移動した場合、OBRのFOV内のその位置は変わることがある。同様に、ORAが新たな場所に移動したり、傾いたりすると、OTAが同じ物理的な場所に留まっていても、OBRのFOV内のOTAの場所も変わることがある。
【0119】
光信号トランスミッタ104dは、光信号レシーバによって受信されるように特に意図された光信号を送信するように構成されることができる。光信号は、光トランスミッタアセンブリ104から光レシーバアセンブリ106へ情報を伝送し、光トランスミッタアセンブリ104および/またはそれに関連するエンティティは、既に検出され、識別され、および、OBRのFOVに対する水平および/または垂直角度位置は、既に判定されている。さらに、出力光ビームの立体角を増加させるためにおよび/または特定の立体角領域における出力強度を増加させるために、光トランスミッタアセンブリ104に2つ以上の光トランスミッタが実装されてもよい。
【0120】
図2Aにも示されているように、代替例は、光ビーコントランスミッタ104cおよび光信号トランスミッタ104dの双方の機能を実現する「複合」光トランスミッタ104eを利用することであってもよい。例えば、複合光トランスミッタ104eは、光ビーコンおよび光信号の双方を伝送するように適合された単一の光トランスミッタを備えることができる。すなわち、複合光トランスミッタ104eは、光ビーコンレシーバおよび光信号レシーバの双方によって受信されることが意図された光ビームを伝送するように設計されることができる。
【0121】
光トランスミッタ、例えば、光ビーコントランスミッタ104c、光信号トランスミッタ104d、および/または複合光トランスミッタ104eは、1つ以上の光源、1つ以上のビーム形成光学系、ならびにソフトウェアおよび/またはファームウェアに関連付けられた電子機器を含むことができる(
図9を参照)。光源は、コヒーレント(例えば、レーザ)またはインコヒーレント(例えば、LED)とすることができる。各光源の光出力は、一連の1ビットおよび0ビットの形式でデジタル情報を伝送するために、所望のビットレート(またはユーザ選択可能な範囲のビットレートの1つ)で電子的に変調されてもよい。光源は、所望の光波帯域の光放射を生成することができる。各ビーム形成光学系は、1つ以上の光源によって放射された光束を集光し、屈折、反射および/または回折を利用して所望の角度強度分布を有する透過ビームに集光させることができる。
場合によっては、ビーム形成光学系は、所望の波帯域の外側に透過する光束量を最小化するために1つ以上のスペクトルフィルタを含むこともできる。
【0122】
光トランスミッタ、例えば、光ビーコントランスミッタ104c、光信号トランスミッタ104d、および/または複合光トランスミッタ104eの電子機器および関連するソフトウェア(および/またはファームウェア)は、以下の機能のうちの1つ以上を実行することができる:光トランスミッタアセンブリ104からタイミングパルスおよび/または電力を受信して必要に応じて変更する;光トランスミッタアセンブリ104から送信された様々な制御信号を受信して適切に解釈する;および制御電子機器104bを介して例えばデータインターフェース104aからデジタル形式の情報またはデータを受信し、光ビームに対してデジタル光学的形式で出力する。いくつかの実施形態では、デジタル情報またはデータは、データインターフェース104aから直接受信されてもよいことに留意すべきである。
【0123】
図2Bは、光トランスミッタアセンブリ104および/またはその構成要素部品もしくは要素によって実行されることができる例示的な動作を示すフローチャートである。
動作110において、光学的に伝送されるデジタルデータは、光トランスミッタアセンブリ104によって受信されることができる。上述したように、光学的に伝送されるデジタルデータは、データインターフェース104aを介して受信されてもよい。例えば、ソース装置102を介したユーザは、デジタルビデオ広告を光トランスミッタアセンブリ104にアップロードすることができる。動作112において、デジタルデータは、1つ以上の光ビーコンおよび/または光信号に変換されることができる。例えば、デジタルビデオ広告は、光信号の形態での伝送のためにデジタルビデオ広告の光学的にフォーマットされた表現に変換されることができる。
この動作は、
図9に関してより詳細に説明され、制御電子機器104bの制御のもとに、光ビーコントランスミッタ104c、光信号トランスミッタ104d、および/または複合光トランスミッタ104eの1つ以上において1つ以上の変換、処理、および/または変調動作を行うことを含むことができる。
動作114において、光ビーコンおよび/または光信号は、光ビーコントランスミッタ104c、光信号トランスミッタ104d、および/または複合光トランスミッタ104eのうちの1つ以上によって送信される。
光ビーコンの場合、例えば、ソース装置102のユーザを識別する情報は、光信号とともに送信されてもよく、別個に送信される光ビーコンに変換されてもよい。
【0124】
図3Aは、光レシーバアセンブリ106を構成することができる1つ以上の例示的な構成要素を含む光レシーバアセンブリ106をより詳細に示している。例えば、光レシーバアセンブリ106は、光ビーコンレシーバ106aおよび光信号レシーバ106bのうちの1つ以上、または代替例として、光ビーコンレシーバ106aおよび光信号レシーバ106bの双方の機能を実現する「複合」光レシーバ106cを含むことができる。例えば、複合光レシーバ106cは、光ビーコンおよび光信号の双方を受信するように適合された単一の光レシーバを備えることができる。
【0125】
いくつかの実施形態では、光トランスミッタアセンブリ104と同様に、光レシーバアセンブリ106は、その光ビーコンレシーバおよび/または光信号レシーバが例えば光トランスミッタアセンブリ104などの1つ以上の光トランスミッタアセンブリによって伝送される光ビームを受信することができる方向を光レシーバアセンブリ106が制御することを可能にする1つ以上のチルトアクチュエータを含むことができる。
【0126】
光レシーバアセンブリ106の目的は、以前に示唆したように、光トランスミッタアセンブリ104によって伝送されたデータの存在を検出しおよび/または(光ビーコンおよび/または光信号の形態で)データを受信することができる。例えば、光レシーバアセンブリ106は、それらによって送信された光ビーコンを検出することによって光トランスミッタアセンブリの存在を検出し、例えば光ビーコンを送信した光トランスミッタに関連付けられたエンティティに関する光ビーコンから識別情報を抽出し、(光ビーコンの入射方向を検出することによって)光トランスミッタアセンブリの水平および/または垂直角度位置を判定し、光信号の形態で情報またはデータを受信することができる。
【0127】
光レシーバアセンブリ106は、光レシーバアセンブリと1つ以上のユーザおよび/または例えばユーザ装置108などのユーザ装置との間のインターフェースを提供するデータインターフェース106eを備えることができる。データインターフェース106eは、検出された光ビーコンに関して光ビーコンレシーバ106aによって得られた識別情報および水平および/または垂直角度位置などの情報を受信してユーザ(または例えばユーザ装置108などのユーザの装置)に転送する役割を果たすことができる。データインターフェース106eは、例えば光信号レシーバ106bによって光信号を介してデータを受信し、受信したデータをユーザ(または例えばユーザ装置108などのユーザの装置)に転送する役割を果たすことができる。光レシーバアセンブリ106は、データインターフェース106eを介して有線接続または無線接続によってユーザ装置108とインターフェースされることができる。ユーザ装置108に常駐するソフトウェアは、光レシーバアセンブリ106を動作させるためにユーザによって利用されてもよい。さらに、ユーザは、ユーザ装置108を使用して、受信されるべき信号のビットレートの範囲、使用されるべき誤り訂正方法、および/または様々な他のレシーバ動作パラメータを指定することができ、動作パラメータは、データインターフェース106eを介してレシーバアセンブリ106に送信されることができる。
【0128】
光レシーバアセンブリ106は、制御電子機器106dを備えることができる。制御電子機器106dは、タイミングパルスおよび電力を光ビーコンレシーバ106a、光信号レシーバ106b、または代替的に、複合光レシーバ106eに供給することができる。制御電子機器106dは、光ビーコンレシーバ106a、光信号レシーバ106b、または代替的に、複合光レシーバ106eの動作(例えば、それらをオンおよびオフにする、データ出力フォーマットを設定するなど)を制御することができる。データインターフェース106eは、1つ以上の光ビーコンレシーバおよび/または1つ以上の光信号レシーバが指し示されることができる方向を変更するために使用されることができる1つ以上のチルトアクチュエータを制御することができる。
【0129】
光ビーコンレシーバ106aおよび/または複合光レシーバ106cは、それらを光ナローキャスティングシステムの光トランスミッタ以外の放射源(例えば、自然および人工照明源)によって生成される入射帯域内放射から区別して、1つ以上の伝送された光ビームの存在を検出するように構成されることができる。光ビーコンレシーバ106aおよび/または複合光レシーバ106cは、その視野(FOV)内の1つ以上の伝送された光ビームの水平および垂直角度位置を判定するように構成されることができる。光ビーコンレシーバ106aおよび/または複合光レシーバ106cは、光ビーコンを検出して受信した例えば光トランスミッタアセンブリ104などの1つ以上の光トランスミッタアセンブリから識別情報を受信することができる。
例えば、レストランによって動作される光トランスミッタアセンブリは、光ビーコンレシーバ106aおよび/または複合光レシーバ106cによって受信されるように意図された形式のレストランの(デジタル符号化された)名称および/またはレストランの種類を含む光ビーコンを送信することができる。
【0130】
光ビーコンレシーバ106aおよび/または複合光レシーバ106cは、1つ以上の光検出器または検出器アレイ、それぞれが1つ以上の光学部品(例えば、レンズ、反射器、および/または回折光学素子)を含む1つ以上の集光光学系、ならびに関連するソフトウェア(および/またはファームウェア)を有する固有の制御電子機器を含むことができる。検出器に入射する帯域外光束を低レベルに低減することによって通信範囲を拡大するために、各集光光学系にスペクトルフィルタを含めることができる。光ビーコンレシーバ106aおよび/または複合光レシーバ106cは、検出するように設計された光ビーコンを伝送するために光トランスミッタによって使用される波帯域およびビットレートで光束を検出することができる。光ビーコンレシーバ106aおよび/または複合光レシーバ106cの構成要素部品は、
図26~
図27に関してより詳細に説明される。
【0131】
場合によっては、光ビーコンレシーバは、その検出器、集光光学系、電子ハードウェア、およびソフトウェア/ファームウェアの一部または全部を、その実施形態が光レシーバ106cを組み合わせることができる1つ以上の光信号レシーバと共有することができる。光ビーコンレシーバ106aおよび/または複合光レシーバ106cの電子機器および関連するソフトウェア(および/またはファームウェア)は、以下の機能のうちの少なくとも1つ以上を実行することができる:光レシーバアセンブリ106によってそれに送信されるタイミングパルスおよび電力を受信して(必要に応じて)変更すること;光レシーバアセンブリ106によって送信された様々な制御信号を受信して適切に解釈すること;およびそれが検出した光ビーコンに関して得た情報(例えば、識別情報および角度位置)を光レシーバアセンブリ106に転送すること。
【0132】
光信号レシーバ106bおよび/または複合光レシーバ106cは、例えば光トランスミッタアセンブリ104などの1つ以上の光トランスミッタアセンブリから光信号を受信することができる。光信号レシーバ106bおよび/または複合光レシーバ106cは、光学的にフォーマットされたデジタルデータを電子形式のデジタルデータに変換することができる。光ビーコンレシーバ106aと同様に、光信号レシーバ106bおよび/または複合光レシーバ106cは、1つ以上の光検出器または検出器アレイ、1つ以上の集光光学系、および関連するソフトウェア(および/またはファームウェア)を有する制御電子機器を含むことができる。複合光レシーバ106cの場合、光ビーコンレシーバ106aの構成部分は、光信号レシーバとしても動作するように構成されてもよい。光検出器は、受信するように設計された光信号および/または光ビーコンを伝送するために、光トランスミッタによって使用される波帯域およびビットレートで光束を検出することができる。
各集光光学系は、その入射瞳上およびその指定されたFOV内で入射帯域内光束を集光し、屈折、反射および/または回折を利用して1つ以上の光検出器に集光することができる。検出器に入射する帯域外光束をより低レベルに低減することによって通信範囲を拡大させるために各レシーバ光学系にスペクトルフィルタを含めることもできる。
【0133】
光ビーコンレシーバ106a、光信号レシーバ106b、および/または複合光レシーバ106cを部分的に構成する上述した光学系および/または検出器または検出器アレイのうちの1つ以上は、カスタム製造されてもよく、および/または市販されていてもよいことに留意すべきである。例えば、1つ以上の屈折光学系は、その動作が光レシーバアセンブリ106における使用のために最適化されることができるように、1つ以上の光学的性質または特性に関してカスタマイズされることができる。例えば、1つ以上の光検出器または検出器アレイは、市販の近IR検出器または検出器アレイとすることができる。
【0134】
光信号レシーバ106bおよび/または複合光レシーバ106cの電子機器および関連するソフトウェア(および/またはファームウェア)は、以下の機能のうちの1つ以上を実行することができる:光レシーバアセンブリ106によって送信されたタイミングパルスおよび電力を受信して(必要に応じて)変更すること;光レシーバアセンブリ106によって送信された様々な制御信号を受信して適切に解釈すること;および例えば光信号トランスミッタ104dおよび/または複合光トランスミッタ106eなどの1つ以上の光トランスミッタから受信したデジタルデータを光レシーバアセンブリ106に転送すること。いくつかの実施形態では、電子機器および関連するソフトウェア(および/またはファームウェア)は、光検出器を動作させるために適切な電力を供給するようにカスタマイズされてもよい。さらに、電子機器ハードウェアおよび/またはソフトウェアは、光検出器の出力を連続的に監視し、例えば人工または人造照明源から受光した光束とは対照的に-そこからの出力が光トランスミッタによって送信される信号を表すことができる場合を判定することができることに留意すべきである。
【0135】
光ビーコンが検出されると、光レシーバアセンブリ106は、関連する光信号を受光し、それをそのメモリにデータファイルとして記憶することができる。例えば、光レシーバアセンブリ106は、所与の光信号の少なくとも一部が実際の光信号として認識される前に受信されることを可能にするために、1つ以上のメモリユニットまたはメモリ区画を使用してその検出器出力をバッファリングすることができる。あるいは、光トランスミッタアセンブリ104は、その先頭に短い「アラート」パルスシーケンスを含む光信号を伝送することができる。
このアラートパルスシーケンスは、光信号データセットの伝送が開始されたことを光レシーバアセンブリ106に通知することができ、それによってバッファリングを必要とせずにそのメモリにデータセット全体を記憶することを可能にする。すなわち、光トランスミッタアセンブリ104の光ビーコントランスミッタ104cは、アラートパルスシーケンスで始まる光信号が続く光ビーコンを伝送することができる。これらの動作は、光トランスミッタアセンブリ104によって連続的に繰り返されてもよい。いくつかの実施形態では、伝送された各光ビーコンは、伝送された各光信号の先頭に警告パルスシーケンスを含めるのではなく、アラートパルスシーケンスで終了することができる。
【0136】
図3Bは、例えば光レシーバアセンブリ106などの光レシーバアセンブリおよび/またはその構成要素部品もしくは要素によって実行されることができる例示的な動作を示すフローチャートである。動作120において、光レシーバアセンブリ106は、光トランスミッタアセンブリ104によって伝送されることができる光ビーコンの存在を検出することができる。前述したように、光ビーコンは、光ビーコンのソースを識別する情報を含む光ビームとすることができる。光ビーコンはまた、光レシーバアセンブリ106が、光レシーバアセンブリ106の一部を備える1つ以上の光ビーコンレシーバのFOVに対するその関連する光トランスミッタアセンブリの水平および垂直角度位置を推定することを可能にすることができる。動作122において、1つ以上の光ビーコンレシーバのFOVに対する光ビーコンの角度位置は、その入射伝播方向に基づいて判定される。複数の光ビーコンおよび/または光信号が光ナローキャスティングシステム100内で伝送されることができることから、光ビーコンおよび関連する光信号が発生することができる場所からの光トランスミッタアセンブリ104の方向において光信号レシーバ106bまたは複合光レシーバ106cを指し示すまたは焦点をあてるために、光ビーコン伝送の角度位置が利用されることができる。光ビーコン伝送の角度位置はまた、OTAが位置する場所にナビゲートする際にユーザを支援するなど、他の目的のために利用されることもできる。動作124において、光ビーコンのソースを示すかまたは識別する識別情報が光ビーコンから抽出されることができる。これに関連して、光ビーコンのソースは、光トランスミッタアセンブリ104、光トランスミッタアセンブリ104を介して光ビームを伝送するためのソース装置102および/またはソース装置102を利用するユーザまたはエンティティとすることができる。動作126において、光ビーコンのソースによって光信号の形態で伝送された情報が抽出されることができる。同様に、それに関連する光信号のソースおよび光ビーコンのソースは、同一のもの、例えばソース装置102または光トランスミッタアセンブリ104、または代替的に、光トランスミッタアセンブリ104を介して光ビームを伝送するためにソース装置102を利用するユーザまたはエンティティとすることができる。
【0137】
いくつかの実施形態では、光レシーバアセンブリなどの光ナローキャスティングシステム要素は、例えばユーザ装置108などの装置に統合されてもよい。すなわち、ユーザ装置108は、常駐する光レシーバ機能を有してもよい。あるいは、光レシーバアセンブリは、ユーザ装置108に動作可能且つ通信可能に接続されてもよい。この場合、光レシーバアセンブリは、アタッチメントまたは拡張としてユーザ装置108に追加されてもよい。場合によっては、光トランスミッタアセンブリは、特定位置に固定された「スタンドアロン」要素であってもよいが、光トランスミッタアセンブリについても同様とすることができる。
【0138】
図4Aは、光レシーバアセンブリの取り付けの例を示している。図示の実施形態では、光レシーバアセンブリ142は、ユーザ装置138用のユーザ装置ケース140(例えば、スマートフォン装置用のスマートフォンケース)に組み込まれることができる。光レシーバアセンブリ142の「可視」態様は、1つ以上のレンズまたは小型レンズアレイおよび1つ以上の光検出器などの1つ以上の光レシーバ要素を含むことができることに留意すべきである。例えば、
図4Aの光レシーバアセンブリ142は、小型レンズアレイおよび検出器を含むことができ、アレイ内の各小型レンズは、その焦点面に光検出器を有する。光検出器は、小型レンズの後ろに隠れていることから、
図4Aでは見えないことに留意すべきである。光レシーバアセンブリ142の他の構成要素部分は、ユーザ装置ケース140に組み込まれてもよいが、ユーザ装置ケース140がユーザ装置138上に配置されたときには見えなくてもよい。
【0139】
図4Bは、装置に組み込まれる光レシーバアセンブリの例を示している。特に、光レシーバアセンブリ150は、ユーザ装置148に直接組み込まれることができる。例えば、ユーザ装置148の製造中に、光レシーバアセンブリ150が取り付けられることができる。同様に、光レシーバアセンブリ150の可視的態様のみが示されているが、光レシーバアセンブリ150の他の構成要素は、ユーザ装置148のハウジング内でユーザ装置148に組み込まれてもよい。
【0140】
以前に示唆したように、ユーザは、動作パラメータを入力し、送信されたデータを受信し、光レシーバアセンブリを制御するなどのために、光レシーバアセンブリと相互作用するために装置を利用することができる。
ソフトウェア/ソフトウェアアプリケーションは、光学的に受信したメッセージを管理するためにユーザによって利用されてもよい。さらに、ユーザがソーシャルメディアサービスの加入者である場合、制御ソフトウェアは、光学的に受信したメッセージ、画像、ビデオ、または他の情報をソーシャルメディア「ページ」に投稿すること、他のユーザのページ上の投稿を閲覧して応答すること、投稿を共有することなど、そのようなタスクがソーシャルメディアサービスのコンテキスト内で実行される通常の方法で、そのサービスの全ての機能にユーザがアクセスすることを可能にすることができる。
【0141】
そのために、
図4Aは、ユーザ装置ケース140がまた、ユーザ装置138および光受信アセンブリ142が通信および/または相互作用することを可能にする1つ以上の通信要素を含むことができることを示している。例えば、上述したように、ユーザ装置138は、光レシーバアセンブリ142などの動作パラメータを入力するためにユーザによって利用されてもよい。
図4Aに示すように、そのような通信要素144の1つは、ブルートゥース(登録商標)トランシーバ、NFCトランシーバ、または他の通信要素とすることができる。
必要に応じて、通信要素144に電力供給するために、電源146(例えば、小型バッテリ、エネルギ回収センサ、または他の適切な電源)が提供されることができる。ここで、通信要素144および電源146は、審美性のためにおよび/またはユーザ装置138に近い動作近接性を与えるために、ケース140の装置に面する側に埋め込まれるかまたは配置されることができる。電源146はまた、光レシーバアセンブリ142に電力を供給することができ、または光レシーバアセンブリ142は、通信要素144に電力供給するために使用されることができる独自の電源を有することができることに留意すべきである。いくつかの実施形態では、光レシーバアセンブリ142および/または通信要素144は、ユーザ装置138のマイクロUSBまたはライトニングポートなどの入出力ポートに取り付けられることができる単一ユニットまたは装置に統合されることができる。
【0142】
ユーザ装置148の場合、ユーザは、光レシーバアセンブリ150を制御することができ、および/または光レシーバアセンブリ150と、1つ以上のプロセッサ、メモリユニット、および/または
図60に示されるコンピューティングコンポーネントの実施形態とすることができるユーザ装置148の他の利用可能なコンポーネントとの間のハードワイヤード接続を介して上述した機能および/または相互作用を実行することができる。
【0143】
図5Aおよび
図5Bは、光レシーバアセンブリ152が車両に設置され且つ車両に電子的に接続されることができる想定された実施形態を示している。
図5Aは、自動車154において光レシーバアセンブリ152がバックミラー158の上方のフロントガラス156の上部付近に設置されている自動車154の正面図を示している。光レシーバアセンブリ152は、フロントガラス156の外側またはフロントガラス156の内面に取り付けられてもよい。後者の場合、光レシーバアセンブリ152は、フロントガラス156を通過した光ビーコンおよび/または光信号を受光することができる。光レシーバアセンブリ152は、フロントガラス156の上部付近およびバックミラー158の上方に取り付けられるように示されているが、光レシーバアセンブリ152は、1つ以上の光ビームを受光する位置にある限り、全体的にフロントガラス156の異なる部分または自動車154の他の部分に(例えば、そのルーフ上に)取り付けられてもよい。
【0144】
光レシーバアセンブリ152は、光ビーコンレシーバ152aおよび光信号レシーバ152b、ならびに、光レシーバアセンブリ152の動作および/または例えば車両のナビゲーションシステム、メディア、システム、ヘッドアップディスプレイなどの車両に存在するメディアおよび/または情報システムとの通信において利用される、例えば前述した制御電子機器、データインターフェースなどの任意の電子機器および/またはソフトウェア(および/またはファームウェア)を含むことができる。電子機器およびソフトウェア/ファームウェアは、
図5Aに示される正面図では見えないが、光レシーバアセンブリ152および/または関連する構成要素に存在することに留意すべきである。いくつかの実施形態では、光ビーコンレシーバ152aおよび光学信号レシーバ152bは、光学部品および光検出器または検出器アレイの一部または全部を共有してもよい。
【0145】
図5Bは、
図5Aの自動車154の例示的な内部図を示している。
図5Bでは、光レシーバアセンブリ152の後方または後部が、バックミラー158の上方に見える。
図5Bにも示されているように、自動車154には、ダッシュボード162に取り付けられたタッチスクリーン情報ディスプレイなどのディスプレイ160が装備されることができる。ディスプレイ160は、光レシーバアセンブリ152を動作させおよび/または1つ以上の光トランスミッタアセンブリから光レシーバアセンブリ152によって受信した情報を視認するために、自動車154の運転者および/または乗客によって利用されることができる。いくつかの実施形態では、光レシーバアセンブリ152は、ディスプレイ160(またはディスプレイ160を制御する1つ以上のプロセッサ(図示しない))にハードワイヤード接続または無線接続されてもよい。
【0146】
いくつかの実施形態では、変更されていないユーザ装置が光ナローキャスティングシステムにおいて利用されることができる。例えば、ユーザ装置138の既存のカメラ138aは、光レシーバアセンブリとして利用されることができる。他の例として、例えばユーザ装置138のLED138bなど、写真フラッシュユニットとして使用するように設計された1つ以上のLEDからの出力を変調することによって光ビーコンおよび/または光信号を含む変調光ビームを生成するためにソフトウェアが使用されてもよい。
【0147】
いくつかの実施形態では、光レシーバアセンブリ142、150および/または152は、高ビットレート近IR光検出器を組み込むことができる。高ビットレート光検出器は、ユーザ装置の既存のハードウェア(例えば、カメラ138a)を使用して可能であるよりも高ビットレートでデータを受信することができる。
【0148】
図3Bを再び参照すると、光ビーコンの存在を検出し、光ビーコンの角度位置を判定し、光ビーコンから識別情報を受信し、最終的に光信号を介して伝送された情報を受信するために、光レシーバアセンブリによって様々な動作が実行されることができる。ユーザの視点から、光ナローキャスティングシステムとの相互作用(例えば、光レシーバアセンブリの動作を制御することとは別に)は、検出された1つ以上の光ビーコンのソースの視覚的表現を選択することおよび/または1つ以上の光信号から受信した情報と相互作用することを含むことができる。
【0149】
いくつかの実施形態では、光ナローキャスティングシステム100の1つ以上の態様との上述したユーザ相互作用を容易にするために、ユーザ装置108(
図1を参照)などのユーザ装置に常駐するまたはそれを介して利用可能な拡張現実機能が利用されることができる。
図6は、(光レシーバアセンブリ106の1つの実施形態とすることができる)光レシーバアセンブリ166に動作可能におよび/または通信可能に接続された(ユーザ装置108の1つの実施形態とすることができる)ユーザ装置164を示している。
【0150】
ユーザ装置164は、拡張現実コンポーネント164a、1つ以上のカメラ164b、(タッチスクリーンまたは非タッチスクリーンディスプレイとすることができる)ディスプレイ164c、1つ以上のスピーカ164d、および/または1つ以上のセンサ164eを備えることができる。ユーザ装置164は、部分的には、環境の表示されたビュー内の要素を変更しながら、物理的な現実世界環境のリアルタイムビューを表示することができる拡張現実装置を具体化してもよい。そのため、完全にコンピュータ生成された世界のビューを表示する仮想現実装置とは異なり、拡張現実装置は、現実世界のビューを表示するが、コンピュータグラフィックス技術を使用して要素を拡張する(例えば追加または変更する)。そのような拡張現実装置は、現実世界環境のビューを撮像するために使用されるカメラ装置(または複数のカメラ装置)を含んでもよくおよび/またはそれに通信可能に結合されてもよく、撮像されたシーンの要素を拡張するように構成されたコンピュータソフトウェアおよび/またはハードウェアをさらに含んでもよい。例えば、本明細書でより詳細に説明するように、拡張現実装置は、街路、街、または他の場所のユーザのビューを表す一連の画像またはシーンを撮像することができ、検出された光ビーコンがユーザにリアルタイムでオーバーレイされた選択可能な項目またはアイコンとして表示されるように一連の画像を変更することができる。そのため、ユーザには、ユーザが位置する物理的現実環境の拡張ビューが提示されることができる。
【0151】
1つ以上のカメラ164bは、視覚的シーンを撮像するためのカメラを含むことができる。1つ以上のカメラ164bは、例えばスマートフォンとすることができるユーザ装置164の既存のカメラであってもよい。本明細書で使用される場合、視覚的シーンとは、ユーザ装置164が使用されている(且つ1つ以上の光ビーコンおよび/または光信号が光ナローキャスティングシステムにおいて伝送されている)現実環境の1つ以上のビューを指す。
【0152】
例えば、1つ以上のカメラ164bによって撮像され且つディスプレイ164cに提示されるビデオ画像は、特定の都市を探索するためにユーザ装置164を利用しているユーザの視点から見た都市シーンのライブフィードであってもよい。光レシーバアセンブリ166によって検出された光ビーコンを表すアイコンは、光ビーコンのソースの位置に見合ったシーン上にオーバーレイされてもよい。前述したように、光ビーコンは、光トランスミッタアセンブリによって伝送されることができ、光レシーバアセンブリ166は、光ビーコンを検出し、そこから識別情報を抽出することができる。例えば、オーバーレイされたアイコンは、記述情報または広告情報を送信しているユーザの視線内のホテルを表すことができる。例えばホテルの名称と住所などの光ビーコンのソースの名称と場所を示すテキストが付随していることがある。
【0153】
1つ以上のセンサ164eの一例は、例えば、観察者によって操作されたとき(ユーザが1つ以上の企業、関心のあるポイントなどに関する情報を取得するために都市シーンをスキャンするとき)、ユーザ装置164の物理的加速度を測定することができる加速度計とすることができる。ユーザ装置164は、ユーザ装置164の位置が変化しているときを判定するために加速度計を使用することができ、これは、例えば、ユーザ装置164の位置が1つ以上の伝送された光ビーコンおよび/またはシーン自体に対して変化していることを示すことができる。拡張現実コンポーネント164aはまた、それ自体でまたは加速度計からの支援を受けて、ユーザ装置164に対する光ビーコンの位置を判定することもできる。拡張現実コンポーネント164aによって提供される拡張現実体験の1つ以上の態様をより正確に特徴付けるかまたはさらに高めるために、GPSレシーバ、コンパス、ジャイロスコープ、および/または他のセンサなどの他のセンサが利用されてもよいことに留意すべきである。
【0154】
拡張現実コンポーネント164aは、例えば、静的アイコン、アニメーション要素を介して、光ビーコン導出情報がどのように提示されることができるかなど、都市シーンの拡張現実ビューをディスプレイ164c上に提示する態様を制御することができる。拡張現実コンポーネント164aは、他の態様の中でもユーザ入力および/または選択に反応する、位置または場所支援キューまたはビジュアルの組み込み、ならびに光ビーコンに関連する1つ以上の光信号から抽出された情報の提示を制御することができる。
【0155】
例えば、光レシーバアセンブリ166の光ビーコンレシーバによって受信された情報は、それが受信された後にキャッシュされてもよい。キャッシングは、受信直後に行われてもよい。各アイコン/マーカの位置が1つ以上のカメラ164bのFOV内の対応する光トランスミッタアセンブリの実際の位置と一致するように、検出された光ビーコンを表すために使用されるアイコン/マーカが拡張現実視覚的シーン内に配置されることができる。アイコン/マーカは、1つ以上のカメラ164bがズーム、パン、または他の方法で移動されると、正しい位置に「留まる」ことができ、位置正確な拡張現実体験をもたらす。
【0156】
例えば、ユーザは、アイコンに触れることによってまたは作動させることによって特定の光ビーコンを表すアイコンを選択することができ、上述したように、光ビーコンのソースに関する情報は、例えばポップアップウィンドウを介して提示されることができる。ポップアップウィンドウの異なる領域に触れることは、光ビーコンのソースに関する異なる種類の追加情報をもたらすことができることに留意すべきである。いくつかの実施形態では、追加情報は、光ビーコンから抽出されることができる光ビーコンのソースに関連する識別情報とみなすことができる。いくつかの実施形態では、追加情報は、光ビーコンのものと同じソースまたは関連する光信号ソースによって伝送された光信号から抽出された情報であってもよい。例えば、追加情報は、ディスプレイ164cおよび/または1つ以上のスピーカ164dを介してユーザに提示されることができる広告マルチメディアを含むことができる。
【0157】
いくつかの実施形態では、カメラからのライブ画像のディスプレイ上にオーバーレイされた1つ以上のボックスまたは他の代表的なグラフィックが拡張現実体験において使用されることができ、各ボックスのサイズおよび位置は、光レシーバアセンブリ166の各光信号レシーバに関連付けられるかまたはそれに見合ったFOVのサイズおよび位置を表すことができる。ユーザは、例えば、検出された光ビーコンを表すアイコン/マーカがFOVが表すボックスのうちの1つの中で移動できるようにユーザ装置164を傾けることにより、そのようなFOV表現を利用することができる。ユーザは、検出された光ビーコンに対応する1つ以上の光信号の光レシーバアセンブリ166の受光を開始するために、アイコン/マーカを選択することができる。
【0158】
1つ以上の検出された光ビーコンおよび/または信号の1つ以上の選択可能な表現(および/または関連情報)を含む拡張現実シーンを少なくとも含む拡張現実体験は、光ナローキャスティンググラフィカルユーザインターフェース(GUI)と考えることができる。
【0159】
いくつかの実施形態では、拡張現実コンポーネント164aは、拡張現実シーンの記録を可能にし、光ビーコン抽出情報、角度測位情報、および光信号抽出情報を、結果として得られるメディアファイルに埋め込むことを可能にする。必要に応じて、ユーザは、他人がアクセスするために、例えば、ソーシャルメディアアウトレットを介して、記録されたシーンを広めることができる。この埋め込み技術は、光学的に伝送された情報が、ユーザによってのみならず、例えば後にソーシャルメディア加入者または他のもの(例えば、ソーシャルメディアサイト)によって非リアルタイムでアクセスされることを可能にし、これは、ソーシャルメディア加入者の拡張されたソーシャルメディア体験を提供し、ソーシャルメディアサービスがオンライン広告収入を生み出す新たな機会を提供するとともに、光学的にナローキャストされた情報(例えば広告)の視聴者の数を大幅に増やすことができる。
【0160】
図7は、光ナローキャスティングシステム内でユーザ/(前述したように、単一装置または例えば動作可能に接続された2つの装置で具現化されることができる)制御装置および光レシーバアセンブリによって実行されることができる例示的な動作を示すフローチャートである。動作170において、ライブシーンが撮像されることができる。上述したように、ライブシーンは、現実世界シーンを表す1つ以上のまたは一連の画像とすることができる。撮像は、ユーザ装置164の1つ以上のカメラ164bなどのユーザ/制御装置の1つ以上のカメラによって実行されることができる。
【0161】
動作172において、光レシーバアセンブリ166は、光ナローキャスティングシステムの光トランスミッタアセンブリによって伝送されることができる光ビーコンの存在を検出することができる。前述したように、光ビーコンは、光ビーコンのソースを識別する情報を含む光ビームとすることができる。
【0162】
動作174において、光ビーコンの水平および垂直角度位置は、光レシーバアセンブリ166の一部である1つ以上の光ビーコンレシーバのFOVに対する光ビーコンの伝播方向を測定することによって判定される。複数の光ビーコンおよび/または光信号が光ナローキャスティングシステム内で伝送されることができることから、光ビーコン伝送の角度位置は、光ビームおよび関連する光信号が発生するソースの方向において光レシーバアセンブリ166の1つ以上の光信号レシーバを指し示すまたは焦点をあてることができる。さらに、光ビーコンの角度位置の知識は、光ビーコンが受光された光トランスミッタアセンブリの位置をユーザが判定するおよび/またはナビゲートするのを助けるのに有用であり得る。
【0163】
動作176において、識別情報が光ビーコンから抽出されてもよく、識別情報は、光ビーコンのソースを示すかまたは識別する。前述したように、光ビーコンのソースは、光トランスミッタアセンブリ、光源装置、および/または光源装置を利用して光トランスミッタアセンブリを介して光ビームを伝送するユーザまたはエンティティとすることができる。
【0164】
動作178において、(動作170において撮像された)ライブシーンは、ビーコンの位置の拡張現実表現によって拡張されることができ、識別データが提示されることができる。上述したように、角度位置決めおよび識別情報は、光ビーコンからまたは光ビーコンに関連して取得されることができ、単独でまたは1つ以上のセンサ164eによって取得された情報にしたがって、拡張現実コンポーネント164aによって提示されることができる。拡張現実表現は、(例えば、その画像に対する光ビーコンの位置で表示されたライブカメラ画像にオーバーレイされたシンボルまたはアイコンを利用することによって)少なくとも識別情報の1つ以上のグラフィカル表現、ならびに受信した光ビーコンの位置の表現を含むことができる。拡張現実表現は、ディスプレイ164c上に提示されることができる。
【0165】
動作180において、拡張現実表現に関する1つ以上の選択が受信されることができる。ユーザ装置164のユーザは、例えば、ディスプレイ164cがタッチスクリーンである場合にディスプレイ164cを利用することができるか、または拡張現実表現を選択するためのいくつかの他の入力装置もしくは機構を利用することができる。ディスプレイ164c上には複数の拡張現実表現が提示されることができ、ユーザは関心のあるものを選択することができる。
【0166】
動作182において、光ビーコンのソースまたは光ビーコンのソースに関連する光信号ソースによって送信された光信号からの記述データまたは情報が抽出されることができる。
この場合も、光信号ソースおよびビーコンソースは、同じもの、例えばソース装置もしくは光トランスミッタアセンブリ、または代替的に光トランスミッタアセンブリを介して光ビームを伝送するためにソース装置を利用するユーザまたはエンティティとすることができる。
【0167】
動作184において、抽出された記述データはユーザに提示されることができる。
いくつかの実施形態では、抽出された記述データは、ライブシーンまたは拡張現実体験をさらに拡張する方法で提示されることができる。いくつかの実施形態では、抽出された記述データは、他のアプリケーションでもしくは他のアプリケーションを介して、またはメディアプレーヤ、ウェブブラウザなどの他のソフトウェアを使用して提示されることができる。いくつかの実施形態では、抽出された記述データは、特定のウェブページまたはウェブサイトを表示するようにウェブブラウザに指示するために使用されることができるユニバーサルリソースロケータ(URL)とすることができる。
【0168】
本明細書で説明される例示的なアプリケーションおよび使用ケースシナリオは、限定的ではなく、光ナローキャスティングシステムは、多くの他のアプリケーションまたはシナリオで利用されることができることに留意すべきである。例えば、光ナローキャスティングシステムを使用して、店舗内の商品ディスプレイまたは店舗ウィンドウを拡張することができ、光ナローキャスティングシステムによって可能にされた情報交換を活用する拡張現実体験を通じて、販売用の1つ以上の製品に関する情報を消費者に提示することができる。例えば、光ナローキャスティングシステムは、製品情報だけでなく、潜在的顧客に店舗時間および/または関心のある他の情報などの他の情報を光学的に伝送するために使用されてもよい。ホーム外広告が利用される掲示板や他の場所では、光ナローキャスティングを活用して、広告の視覚的態様をより魅力的および/またはより遠くから見えるようにするとともに、例えば掲示板画像/テキストなどを介して現在提供されることができるよりもはるかに多くの情報も提供することができる。
【0169】
新たなソーシャルメディアサイトおよび/またはアプリケーションは、光ナローキャスティングを介して得られたコンテンツの共有に基づいてもよく、所望に応じて、これらのサイトおよびアプリケーションにオンライン広告を表示して収入を生成することができる。例えば、ソーシャルメディアアプリケーションは、個人がスマートフォンや他のポータブル装置を使用して、光学的に伝送されたコンテンツが埋め込まれたビデオや写真を作成して共有することができる。
【0170】
様々な実施形態において、光ナローキャスティングは、本質的に非常に局在化されているとみなすことができ、用語「局在化」とは、過度のビットエラーを防止するために十分に小さい経路長でデータをある場所から他の場所に送信する能力を指すことができる。この特徴は、情報を送信する人々の位置に関して取得することが困難なまたは不可能な情報を取得するために、ソーシャルメディアコンテキストで活用することができる。例えば、顧客のフィードバックを収集するために、1つ以上の光レシーバアセンブリが店舗の天井に取り付けられることができる。光レシーバアセンブリのそれぞれのFOVは、実際に店舗内にいる人々によって光学的に送信された情報のみをピックアップするように設計されることができる。さらに、WiFi信号が大抵の場合にそうであるように、光情報は、壁、床、または天井を通過しない。
光レシーバアセンブリのアレイを使用して、人々が店内のどこにいるかについての詳細な情報を取得することもできる。これは、関心のある特定の製品を見つけるのに役立つ検索機能によって店舗内での正確なナビゲーションを提供するために使用されることができる。
【0171】
光ナローキャスティングの局在化された性質はまた、例えば、ユーザ装置上のソーシャルメディアアプリケーションによって制御された光トランスミッタアセンブリを使用して(例えば、店内において見つけられる)光レシーバアセンブリに連絡先情報を送信するように人々を奨励することにより、特定の地理的位置を訪問するように人々に促すために使用されることもできる。光ナローキャスティングは、WiFiまたは内蔵の位置センサを使用して達成できるものと比較して優れたローカリゼーションを提供することができる。光レシーバアセンブリのネットワークは、ユーザが周囲エリアに関する情報を共有し、関連するテキスト、写真、ビデオなどを共有することを可能にする特定のロケールで形成されてもよい。
【0172】
セキュリティ、プライバシー、および/または匿名性は、光ナローキャスティングシステムの使用によって達成することができる。
例えばサービスを取得するためにユーザがネットワークにログインすることを要求するWiFiネットワークとは異なり、ユーザは、いかなる機密情報も(またはその主題についてのいかなる情報も)開示することなく光ビームを受光することができる。さらに、光トランスミッタアセンブリによって伝送される光ビームは、所望に応じて、光ビームの狭い幅に沿ったそれらの光レシーバアセンブリのみへ光ビームの受光を制限するために非常に狭くすることができる。
【0173】
光ナローキャスティングの魅力的な特徴は、情報の伝達が目立たず、実際に視認できないことである。すなわち、光学的に伝送された情報を取得することに関心のある人々だけが情報を(例えば、拡張現実体験を介して)見ることができる。
【0174】
図8は、例示的な光トランスミッタアセンブリ(OTA)800を示す図である。OTA800は、1つ以上の長距離高帯域幅光ナローキャスト信号を提供することができる。典型的なスマートフォン通信は、単に電波(例えば、セルラーネットワーク、WIFI、GPS、およびブルートゥース(登録商標))の伝送にのみ基づいているが、OTA800は、1つ以上の光ビーコンおよび/または光信号、すなわち、光放射の1つ以上の変調ビームを伝送する。様々な実施形態では、OTA800は、一方向または双方向通信システムの一部であってもよい。本明細書で説明されるいくつかの実施形態では、そのサイズの装置について予期せぬ範囲および情報帯域幅性能を呈することができるように、OTA800用の小型フォームファクタビーム形成光学系を設計するために非結像光学設計技術が利用されることが理解される。
【0175】
様々な実施形態では、OTA800は、光ナローキャスティングシステム(ONS)の一部として光ビーコンおよび/または光信号を伝送する電子機器、ソフトウェア(および/またはファームウェア)、および(本明細書で説明される)1つ以上の光トランスミッタ(OT)を含む装置である。OTA800は、長い通信範囲が可能であり、低い訂正可能エラーレートでストリーミングビデオのために長距離で十分な情報を提供することができる。一例では、OTA800によって提供される変調光ビームは、本明細書で説明されるORAによって受光されることができる。ORAは、スマートフォン、メディアタブレット、ラップトップ、カメラ、ゲーム装置、ウェアラブル装置(例えば、スマートウォッチ)などのデジタルコンピューティングデバイスを含むことができるかまたはそれらに取り付けられることができる。
【0176】
OTA800は、インコヒーレント光源(例えば、LED)、コヒーレント光源(例えば、レーザ)などを使用して生成される可視、近赤外(IR)、または他の光学帯域で光ビーコンおよび/または光信号を生成して伝送することができる。光ビームは、極紫外線(UV)から遠IRまでのスペクトル領域の電磁波のビームであり、10から106nmの範囲の波長を含むことができる。OTA800は、上述したスペクトル領域内の任意の波長または波長範囲で光ビームを生成して伝送することができることが理解される。例えば、OTA800は、可視または近赤外(IR)帯域の光信号を生成して伝送することができる。
【0177】
OTA800は、空気、水、透明固体(例えば、ガラス窓)、および/または空間(すなわち、真空)を介して他の場所に情報を伝送する光ビームを生成することができる。光トランスミッタによって伝送されるビームの伝播経路は、直接的(すなわち、視線)であってもよくまたは間接的であってもよい。間接的経路の例では、ビームは、ORAによって受光される前に、1つ以上の液体および/または固体物体で反射および/または散乱することができる。
【0178】
様々な実施形態において、単一のOTA800は、水平および垂直角度座標の関数として異なる強度分布を有する光ビームを生成することができる。いくつかの実施形態では、2つ以上の異なるOTA800は、それぞれ、異なる強度分布を有する2つ以上の異なる光ビームを生成することができる。
【0179】
OTA800の電子機器および関連するソフトウェア(および/またはファームウェア)は、限定されるものではないが、OTA800とそのユーザまたはユーザのコンピューティングデバイスの1つ以上との間のインターフェースの提供、そのOTへのタイミングパルスおよび電力の供給、そのOTの動作の制御(例えば、それらをオンおよびオフにする、それらのデータ伝送速度を設定するなど)、1つ以上のデジタル変調光ビームとして出力するためにOTの1つ以上へのデジタルデータの転送、および出射光ビームの指向方向を変更するための1つ以上のチルトアクチュエータの制御など、様々な有用な機能を実行する。
【0180】
OTA800は、
図8に示すようにコンパクトであってもよい。例えば、OTA800は、2インチの長さであってもよく、または2インチ未満であってもよい。OTA800の様々な例示的な構成要素が本明細書で説明される。OTA800は、2インチよりも長いかまたは2インチよりも短い任意の長さであってもよいことが理解される。いくつかの実施形態では、OTA800の長さは、異なる性能特性(例えば、通信範囲、ビットレート、ビーム幅など)を生成することができる。
【0181】
OTA800は、移動式であっても固定式であってもよい。例えば、専用のOTA800は、様々な構造物(例えば、ビルや掲示板)上に静止して設置されてもよく、または車両(例えば、バス、自動車、および航空機)に設置されるため移動式であってもよい。さらに、それは、携帯またはウェアラブル装置であるためにまたは携帯またはウェアラブル装置の構成要素であるかもしくはアタッチメントであるために移動式であってもよい。
【0182】
図8は、光通信用のOTA800を示しているが、スマートフォンまたは他のデジタル装置がOTA800の1つ以上の機能を実行することができることが理解される。例えば、スマートフォンに組み込まれたLEDフラッシュユニットは、(例えば、コリメータなしの)OTとして利用されることができ、スマートフォンアプリケーションは、フラッシュユニットの光出射の必要なデジタル変調を生成することができる。いくつかの実施形態では、スマートフォンは、OTA800の1つ以上の要素(例えば、統合されたIR放射器およびビーム形成光学系、ファームウェア、および/またはソフトウェアインターフェース)を有するスマートフォンケースに結合されてもよい。
【0183】
光通信を利用することは、スマートフォンおよび/または他のデジタルコンピューティングデバイスのユーザに多くの利点をもたらす。例えば、光通信は、セルラーカバレッジまたはWiFiが存在しない場合であっても、長距離および高帯域幅の能力を提供することができる。さらに、光伝送は、FCCによって規制されていない。光通信はまた、電力要件が低く、エネルギ効率が高い。ユーザはまた、パーソナル装置(例えば、スマートフォン)を介して位置情報を提供することは必ずしも要求されずまたは位置を三角測量するセルラータワーを利用して位置情報を提供する必要もないことから、光通信を利用することが好ましい。
【0184】
光通信は、電波ベースの通信と比較して追加のセキュリティレベルを提供することができる。
例えば、狭いビーム幅を有する光ビームが生成されやすいため、いくつかの実施形態では、伝送された光信号は、狭い角度領域内に位置する光レシーバによってのみ受信される。情報を光学的に受信または送信することは、ユーザが自己の携帯電話サービスプランによって提供される限られたセルラーデータのいずれかを使用する必要はないことが理解される。
【0185】
図9は、OTA800の例示的な機能ブロック図を示している。OTA800は、データ入力電子機器904、データプリプロセッサ906、データ記憶装置910、制御入力電子機器912、および光トランスミッタOT902を含む。他の実施形態では、単一のOTA800は、任意数のOT902を含むことができる。OT902は、データフォーマット変換器916、光源ドライバ918、電源920、光源922、ビーム形成光学系924、OT制御電子機器926、ならびにOT902が出射する光ビームの水平および垂直指向方向を制御するチルトアクチュエータ928を含むことができる。
【0186】
ユーザは、コンピュータ、スマートフォン、または他のデジタルコンピューティングデバイスを利用して、ストリーミングビデオまたは他のデータのデータファイルをデータ入力電子機器904によってOTA800に提供することができる。データ入力電子機器904は、ハードワイヤードデータ接続(例えば、USBポート)、無線データ接続(例えば、ブルートゥース(登録商標))、またはその双方を介してデータを受け入れることができる。一例として、ユーザは、ローカル記憶装置(例えば、ハードドライブまたはSSD)、ネットワーク記憶装置、またはそのコンピューティングデバイス内のメモリから、データ入力電子機器904を介して1つ以上のデータファイルをアップロードすることができる。
様々な実施形態では、データ入力電子機器904は、他のデジタル機器から情報を受信するためのインターフェース、ポート、アンテナなどを含むことができる。
データ入力電子機器904は、ハードワイヤードデータ接続(例えば、USB、イーサネット(登録商標)ケーブル、SATAケーブルなど)および/または無線(例えば、ブルートゥース(登録商標)、WiFiなど)を介して情報を受信することができる。
【0187】
ユーザはまた、データフォーマット変換器916、光源ドライバ918(例えば、光学的に伝送されるデータのビットレート、光出力強度、および光パルスデューティサイクルを指定するコマンド)、および/またはチルトアクチュエータ928(例えば、光ビームの水平および垂直指向方向を指定するコマンド)の任意数の動作を制御するためのコマンドを、制御入力電子機器912を介して入力するためにコンピューティングデバイスを利用することができる。
【0188】
制御入力電子機器912はまた、ユーザが、データプリプロセッサ906の動作を制御するコマンド、ならびにデータ記憶装置910の動作を制御するコマンド(例えば、記憶装置からファイルを削除するコマンドまたは1つ以上の指定された記憶ファイルを、ファイルを送信することができるOT902に転送するコマンド)を入力することを可能にすることができる。制御入力電子機器912は、ハードワイヤードデータ接続(例えば、USB接続)、無線データ接続(例えば、ブルートゥース(登録商標))、またはその双方を介して、1つ以上のコンピューティングデバイスからそのような制御コマンド入力を受け入れることができる。様々な実施形態において、データ入力電子機器904および制御入力電子機器912は、1つ以上のデータ接続を共有してもよい。
様々な実施形態において、制御コマンドは、データ入力電子機器904を介して制御入力電子機器912によって受信されてもよい。
様々な実施形態において、制御入力電子機器912は、OTA800上で実行されるソフトウェアから制御コマンドを検索または受信してもよい。
【0189】
OTA800は、必要に応じて、データプリプロセッサ906によって入力データを前処理することができる。プリプロセッサ906は、任意の物理プロセッサまたは仮想プロセッサとすることができる。
いくつかの実施形態では、データは、OT902によって出力された変調光ビームの形態で伝送するためにそれを準備するように、編成、フィルタリング、圧縮、他のデータとの合成などを行うことができる。1人以上のユーザは、コンピューティングデバイスを利用して、異なる種類のデータファイル上でデータプリプロセッサ906によって実行されるべき所望の前処理を、制御入力電子機器912を介して入力される制御コマンドによって指定することができる。
【0190】
様々な実施形態において、OTA800は、300~500kb/sの範囲のビットレートで光学的に伝送される入力データとして720pビデオファイルを許容することができる。
任意のビデオフォーマットが、標準または高精細フォーマットを含む入力データとして許容され、そして光学的に伝送されてもよいことが理解される。また、OTA800は、ビデオ、画像、オーディオ、テキストファイルなどを含む任意のファイルまたはファイルの組み合わせを光学的に送信することができることも理解される。
【0191】
OTA800内のデータ記憶装置910は、データ入力電子機器904を介して入力され、データプリプロセッサ906によって前処理されたデータを記憶することができる。データ記憶装置は、ハードドライブ、SSD、ネットワーク記憶装置などを含む任意の記憶装置とすることができる。1人以上のユーザは、制御入力電子機器912を介して入力される制御コマンドによってデータ記憶装置910の動作を制御するためにコンピューティングデバイスを利用することができる。例えば、コマンドは、データ記憶装置910からデータファイルを削除するために発行されることができる。さらに、コマンドは、ファイル内の情報が光学的に送信されることができるように、データ記憶装置910に記憶されたファイルをOT902に転送するために発行されることができる。
【0192】
様々な実施形態において、OTA800は、データ記憶装置910に記憶された前処理された入力データをデータフォーマット変換器916に提供することができる。そのような入力データを提供するコマンドは、1つ以上のコンピューティングデバイスから受信されたコマンドに基づいて、制御入力電子機器912によってデータ記憶装置910に発行されてもよい。データフォーマット変換器916の目的は、データを光伝送のための適切なフォーマットに変換することであってよい。変換プロセスは、送信されるデータが前方誤り訂正(FEC)セグメントなどのセグメントに分割されるデータ分割を含むことができる。そのようなFECセグメントは、任意のサイズであってもよく、プロトコル(例えば、TCP)を使用して回復(例えば、即時回復)を支援してもよい。一例では、セグメントが正しく受信されない場合、次のセグメントは回復情報を提供する。異なるデータセグメンテーション方法が使用されてもよいことが理解される。いくつかの実施形態では、データは全くセグメント化されなくてもよく、またはセグメンテーション手順は、ユーザから受信された制御入力に依存する任意のステップであってもよい。
【0193】
他の実施形態では、データフォーマット変換器916は、(例えば、回復を可能にするためにヴァンデルモンド行列に基づいて)エラー訂正のためにデータを配分することができる。そのようなデータ配分は、ユーザから受信した制御入力に依存する任意のステップであってもよい。データフォーマット変換器916はまた、データを光学的に伝送するための準備において、データのパラレル・シリアル変換を行うことができる。
【0194】
いくつかの実施形態では、データフォーマット変換器916は、データを光伝送のための適切なフォーマットに変換することができる。一例では、データフォーマット変換器916は、光レシーバにクロック信号を供給するゼロ復帰オン/オフキーイング(RZ-OOK)フォーマットにデータを変換することができる。データフォーマット変換器916は、オーバーフローエラーを防止してデータ最適化を改善するために、先入れ先出し(FIFO)をデータに組み込んで送受信することができる。所与のデータファイルからのデータに対するデータフォーマット変換器916によって実行される特定の一組の手順は、制御入力電子機器912を介してどの特定のデータフォーマット変換器コマンドが入力され、OT制御電子機器926を介してデータフォーマット変換器916に転送されたかに依存することができる。これらのデータフォーマット変換器コマンドは、データフォーマット変換器916によって実行される特定の手順の性質を変えることができる。例えば、特定のコマンドは、データセグメント化手順によって生成された各セグメントのビット数を以前の値から変更させることができるか、または他のコマンドは、特定の種類または複数の種類の1つ以上の特定のデータファイルまたは複数のファイルについて、データフォーマット変換処理からデータセグメント化手順を削除することができる。
【0195】
光源ドライバ918は、データフォーマット変換器916から光学的に伝送されたデータを受け入れ、電源920によって供給される電力を使用して、光源922を駆動するために適切な変調電気信号を出力する。光源ドライバ918の動作は、制御入力電子機器912を介して入力されるユーザコマンドによって制御され、OT制御電子機器926を介して光源ドライバ918に転送される。例えば、ビットレート、光出力パワーレベル、および光パルスデューティサイクルなどの変調出射光ビームの特性は、このようにして制御されることができる。
【0196】
いくつかの実施形態では、OT902は、チルトアクチュエータ928を備えることができる。
チルトアクチュエータ928は、出射光ビームの水平および垂直指向方向を変更することができる任意数のアクチュエータを含むことができる。任意の所与の時間に使用される特定の指向方向は、制御入力電子機器912を介して入力され且つOT制御電子機器926を介してチルトアクチュエータ928に転送されるユーザコマンドによって制御される。
様々な実施形態では、チルトアクチュエータ928は、ビーム形成光学系924および/または光源922を移動させるための任意数のアクチュエータを含むことができる。
【0197】
OT制御電子機器926は、制御入力電子機器912を介して受信したユーザコマンドを、データフォーマット変換器916、光源ドライバ918、および/またはチルトアクチュエータ928を含むOT902の異なる構成要素に転送する手段を提供する。いくつかの実施形態では、OT制御電子機器は、前述した構成要素の3つ全てを制御してもよく、他の実施形態では、これらの構成要素のうちの1つまたは2つのみを制御してもよい。
【0198】
様々な実施形態では、ビーム形成光学系924は、カスタムまたは市販の反射光学系および屈折光学系を含むことができる。
【0199】
様々な実施形態では、光源922は、1つ以上のカスタムまたは市販の光学放射器から構成されてもよい。例えば、光源922は、少なくとも1つの市販の近IR放射器を組み込むことができる。
【0200】
特定の実施形態では、光源922は、850nmの重心波長および1.4Wのピーク電力(例えば、1ビット出力パルスの間)を有するスペクトルを有する光放射を出射することができる。光源922は、任意の波長スペクトルを有する光放射を生成することができることが理解される。同様に、光源922は、任意の出射パワーレベルで光放射を生成することができる。
【0201】
光源922は、任意の光源とすることができる。
例えば、光源922は、インコヒーレント光放射器(例えば、LED)および/またはコヒーレント光放射器(例えば、レーザ)とすることができ、またはそれらを含んでもよい。いくつかの実施形態では、光源922は、放熱のためにベルクイスト(Berquist)熱クラッドLED基板上に取り付けられてもよい。光源922は、1mm×1mmのダイサイズおよび/またはアクティブ放射器領域を有するIR放射器であってもよい。光源922は、任意のサイズを有することができることが理解される。いくつかの実施形態では、光源922は、1つ以上のOSRAM SFH 4235プラチナドラゴン高出力IR放射器を備えてもよい。OSRAM SFH 4235 IR放射器は、24MHzの最大伝送ビットレートを有するが、光源922は、任意の伝送レートを有することができることが理解される。一例では、光源922のアクティブ放射器領域は1mm角であり、その最大伝送ビットレートは24MHzとすることができる。
【0202】
様々な実施形態では、光源922が1Wの光出射パワーを生成するための電力は、3.579Wである。光源922は、1Wの光出射パワーを生成するために、任意量の電力(例えば、より多くのまたはより少ない電力)を利用してもよいことが理解される。
【0203】
光源ドライバ918は、データフォーマット変換器916によって提供されたフォーマットされたデータを利用して、光源922を駆動することができる。いくつかの実施形態では、光源ドライバ918は、光源922を駆動する高速MOSFETを含むことができる。MOSFETは、所望のデータ帯域幅を維持しながら高電流を供給するように選択することができる。
【0204】
光源922は、ビーム形成光学系924に供給される1つ以上の変調光ビームを生成することができる。ビーム形成光学系924は、光源922によって生成された各ビームを受光し、水平および垂直角度座標の関数として所望の強度分布を有する出射ビームに変換する。本明細書で説明するように、光源922は、近IR波長範囲の光放射を出射することができる。
【0205】
ビーム形成光学系924は、例えば、本明細書で論じられるコリメータ/ホモジナイザ光学系とすることができるかまたはこれを含むことができる。様々な実施形態では、ビーム形成光学系924は、正方形角度領域内で非常に均一である出射ビームを生成するために、反射「ワイングラス」コリメータ(本明細書でさらに説明される)および少なくとも1対の小型レンズアレイ(例えば、ケーラー小型レンズアレイ)(同様に本明細書でさらに説明される)を使用する。
【0206】
異なる目的のために異なるOTA800が存在することができることが理解される。例えば、屋外で使用するように設計されたOTA800は、長距離光伝送が可能な電子機器、放射器、およびトランスミッタなどを含むことができる一方で、屋内で使用するように設計されたOTA800は、屋内用に設計され且つより短距離光伝送用の電子機器、放射器、およびトランスミッタを含むことができる。
【0207】
図10は、いくつかの実施形態におけるデータの光ナローキャスト伝送のフローチャート1000である。ステップ1002において、OTA800は、光学的に送信されるデータを受信する。データは、任意数のファイルを含むことができる。データは、これに限定されるものではないが、例えば、ビデオ、パワーポイントスライド、オーディオ、文書、および/または画像を含むことができる。データは、異なる種類のメディアまたはファイルの任意の組み合わせ(例えば、ビデオ、スライド、オーディオ、文書、画像などの任意の組み合わせ)を含むことができる。
【0208】
OTA800は、任意のコンピューティングデバイスまたはコンピューティングデバイスの組み合わせからデータを受信することができる。いくつかの実施形態では、リモートコンピューティングデバイス(すなわち、OTA800に対して遠隔のコンピューティングデバイス)は、有線または無線ネットワークを使用してデータ入力電子機器904を介してデータの一部または全部をOTA800に提供することができる。例えば、サーバは、1つ以上のネットワークを介して任意数のOTA800に任意数のファイルを提供することができる。サーバは、複数のOTA800に同じファイルまたは異なるファイルを提供することができる。
【0209】
様々な実施形態では、サーバは、エンティティまたはユーザについての任意数のOTA800へのデジタルコンテンツの配信を調整および/または管理することができる。例えば、小売店は、任意数の異なる出口を有してもよく、そのうちの1つ以上は、任意数のOTA800を含む。サーバは、任意数の異なる出口に配置された任意数のOTA800に対して異なるデータまたは同じデータを送信することができる。サーバは、異なるOTA800の間でコンテンツの更新または変更を提供するように制御または構成されてもよい。集中型サーバは、1つ以上の場所で任意数のOTA800を介して一貫したおよび/または組織化されたメッセージングを提供することができ、それによってエンティティまたはユーザが一貫したメッセージングおよび/またはブランディングを提供することを可能にすることが理解される。
【0210】
同様に、集中型サーバは、任意数のエンティティに代わって任意数の場所で任意数のOTA800を介して一貫したおよび/または組織化されたメッセージングを提供することができることが理解される。例えば、同じ集中型サーバは、2つの異なる小売店からファイル(例えば、ビデオ、画像、オーディオ、テキストなど)を受信することができる。集中型サーバは、第1の小売店の指示または構成に基づいて、1つ以上の異なるOTA800に異なるファイルを提供することができる。同様に、集中型サーバは、第2の小売店の指示または構成に基づいて、他のファイルを1つ以上の他のOTA800に提供することができる。このようにして、集中型サーバは、店舗、レストラン、ランドマーク、施設、私有住宅、官公庁などに任意数のOTA800を介して光ナローキャスティングコンテンツを調整して提供するために任意数のエンティティによって使用されてもよい。
【0211】
ステップ1004において、OTA800は、受信データを前処理する。例えば、データプリプロセッサ906は、OT902によって出力された変調光ビームの形態で伝送するためにデータを準備するために、編成、フィルタリング、圧縮、他のデータとの合成などを行うことができる。データは、ビデオ、テキスト、および/または画像の組み合わせを含むことができることが理解される。異なる種類のデータが異なる方法で前処理されてもよいことも理解される。例えば、ビデオデータは、ビデオコーデックを使用して圧縮ビデオファイルに変換され、他の種類のデータは、異なる方法で圧縮されてもよくまたは全く圧縮されなくてもよい。ステップ1006において、データ記憶装置910は、前処理されたデータをメモリ(例えば、ハードディスク、SSD、ネットワークメモリ、またはRAM)に記憶することができる。
【0212】
ステップ1008において、(OT902内の)データフォーマット変換器916は、記憶されたデータを光伝送のための適切なフォーマットに変換する。変換プロセスは、データセグメンテーション、パラレル・シリアル変換、および/またはクロック信号を光レシーバに供給するRZ-OOKフォーマットなどの光伝送に適した信号フォーマットへの変換を含むことができる。ステップ1008の一部として、データフォーマット変換器916はまた、オーバーフローエラーを防止してデータの最適化を改善するために、送受信FIFOをデータに組み込むこともできる。データは、(例えば、回復を可能にするためにヴァンデルモンデ行列に基づいて)誤り訂正のために配分されてもよい。前述したデータフォーマット変換プロセスの1つ以上は任意であってもよく、または全く使用されなくてもよいことが理解される。例えば、いくつかの実施形態では、ステップ1008は、データセグメント化プロセスを含まなくてもよい。1つ以上の実施形態では、前述した手順以外の1つ以上のデータフォーマット変換手順が完全なデータフォーマット変換プロセスの一部として実行されてもよいことも理解される。
【0213】
ステップ1010において、OTA800は、光源ドライバ918および光源922によって、ステップ1008においてフォーマットされたデータを変調光ビームに変換することができる。光源ドライバ918は、データフォーマット変換器916からのデータ出力を入力として受け入れることができる。
その後、光源ドライバ918は、電源920によって供給される電力を使用して、光源922を駆動するために適切な変調電気信号を出力することができる。これらの変調電気信号は、光源922に変調光ビームの形態でデータを出力させることができる。
【0214】
ステップ1012において、ステップ1010において生成された変調光ビームは、所要の強度分布を有する変調光ビームに変換される。このステップは、光源922によって生成された変調光ビームを、ビームを水平および垂直角度座標の関数として必要な強度分布を有するビームに変換するビーム形成光学系924に通過させることによって達成されることができる。いくつかの実施形態では、光源922によって生成された変調光ビームは、既に所望のまたは必要な強度分布を有していてもよく、この場合、ビーム形成光学系924は、OTA800の一部として含まれなくてもよい。いくつかの実施形態では、ビーム形成光学系924は、正方形角度領域内で非常に均一である出射ビームを生成するために、反射「ワイングラス」コリメータ(本明細書でさらに説明される)および少なくとも1対の小型レンズアレイ(例えば、ケーラー小型レンズアレイ)(同様に本明細書でさらに説明される)を含むことができる。
【0215】
変調データは、η
modの変調デューティサイクルを有し、その値は1未満である。変調デューティサイクルの一例では、変調デューティサイクルは、
として定義されることができ、τは、光バイナリ1ビット(すなわち、バイナリ1ビットを表す単一の送信光パルス)の持続時間であり、τ
intは、送信された一連のビットにおけるビットの開始から次のビットの開始までの時間間隔である。量τ
intはまた、OTA800から信号を受信するために使用される光レシーバアセンブリ(ORA)の有効積分時間でもある。ビットレートBは、Hz単位で、τ
intの逆数であるため、上記式は、
として記載されることもできる。
【0216】
様々な実施形態では、ビット誤り確率Perrorは、システム内のノイズが、任意の所与の光学的に送信されたビットを光レシーバによって誤って解釈させる(すなわち、1ビットを0ビットとして解釈する、またはその逆)確率として定義される。いくつかの実施形態では、システムは、中心波長λcおよび波長範囲Δλを有する単一の光チャネルを利用することができる。異なる光波帯を使用する複数の光チャネルを有するシステムの場合、性能分析は、各チャネルに対して別個に行われなければならない。
【0217】
図11は、例示的なOTA800の図である。
OTA800は、ビーム形成光学系924とともに搭載されたヒートシンク1114が取り付けられた光源922を含むことができる。この場合の光源922は、OSRAM SFH 4235 IR放射器である。ヒートシンク1114は、光源922と熱接触する熱伝導構造であり、光源922から熱を放射するために1つ以上の熱伝導性のフィン形状の構造を組み込み、それによってその必要な平均光出力パワーを維持し且つ熱的損傷を防止するために十分に冷たさを保持する。
【0218】
ビーム形成光学系は、反射ワイングラスコリメータ1100と、2つの同一の小型レンズアレイ1108および1110とを備える。
3つの別個の反射構成要素1102、1104、および1106を含むことができるワイングラスコリメータ1100は、光源922に結合され、および/または光源922からの光ビームを受光することができる。別個の反射構成要素1102、1104、および1106のそれぞれの内面の内部は、少なくとも部分的に反射性であってもよい。
別個の反射構成要素1102、1104、および1106の外面は、反射性でなくてもよい。
【0219】
別個の反射構成要素1102、1104、および1106は、ワイングラスコリメータ1100を形成するようにともに結合されてもよい。
本明細書で説明するように、ワイングラスコリメータは、楕円部および放物面部とすることができるかまたはそれらを含むことができる。
構成要素1102および1104は、楕円部を形成するように結合されてもよい。
いくつかの実施形態では、構成要素1102および1104は、楕円部の最も広い直径(例えば、本明細書でさらに説明される広い中間体の中央)に結合される。
構成要素1106は、構成要素1102とは反対側の構成要素1104の側方に結合されてもよい。
構成要素1106は、ワイングラスコリメータの放物面部を含むことができる。
いくつかの実施形態では、構成要素1102、1104、および1106は、ワイングラスコリメータの光軸が光源と位置合わせされるように、ワイングラスコリメータの楕円部および放物面部を位置決めおよび位置合わせする。
【0220】
ワイングラスコリメータ1100の反射光学面は、光源922の発光素子を略中心とする光軸を中心に回転対称であってもよい。いくつかの実施形態では、ワイングラスコリメータ1100の反射面は、ワイングラスコリメータ1100によって生成されたコリメートされたビームの水平および垂直ビーム幅を低減または最小化するために、楕円形に近い形状を有することができるが、楕円形から大幅に逸脱してもよい形状を有することができる2つの反射構成要素1102および1104の反射面を含むことができる。反射構成要素1106の反射面を含むワイングラスコリメータ1100の反射面の第2の部分は、ワイングラスコリメータ1100によって生成されたコリメートされたビームの水平および垂直ビーム幅を低減または最小化するために、放物面に近い形状を有することができるが、放物面から大幅に逸脱してもよい形状を有することができる。
【0221】
所定の位置に小型レンズアレイ1108および1110を有しないワイングラスコリメータ1100によって生成された出射光ビームは、正方形角度領域内で若干均一な水平および垂直角度座標の関数として強度分布を有することができる。1対の小型レンズアレイ1108および1110は、ビーム形成光学系924によって出射される光ビームの強度分布の均一性を改善するかまたは略改善することができ、これにより、その正方形角度領域内に位置する任意の2つ以上の同一のORAについて実質的に同じとすることができるレシーバの通信範囲を提供する。いくつかの実施形態では、1対の小型レンズアレイ1108および1110は、ワイングラスコリメータによって生成された出射ビームを、正方形角度領域よりもむしろ、矩形または六角形角度領域内で非常に均一な強度分布を有するビームに変換することができる。
【0222】
小型レンズアレイ1108および1110は、例えば、1対のケーラー小型レンズアレイを備えてもよい。小型レンズアレイについては、本明細書でさらに説明する。小型レンズアレイ1108および1110は、構造ユニット1112によって離隔されるおよび/または位置決めされてもよく、2つの小型レンズアレイ間の間隔は、各アレイの各小型レンズの焦点距離に略等しい。小型レンズアレイ1108および1110は、ワイングラス1100コリメータの射出瞳の前方に配置されてもよく、この射出瞳は、反射構成要素1106のより大きい開口である(すなわち、
図11の断面図における1106の最も右側の開口)。
【0223】
様々な実施形態では、ワイングラスコリメータ1100および1対の小型レンズアレイ1108および1110を含むことができるビーム形成光学系924は、光源922の光出力を8°平方の角度領域内にある非常に均一な強度分布を有する出射光ビームに変換することができる。ビーム形成光学系924は、様々な実施形態において、光源の出力を、任意の正方形、矩形、または六角形の角度領域内で非常に均一な強度分布を有する出射光ビームに変換することができることが理解される。
【0224】
その均一な正方形出射光ビームのために、それ自体の光源922をそれぞれ有するビーム形成光学系924のこの設計の複数のコピーは、水平方向および/または垂直方向に8°よりも広い出射光ビームを生成する単一のOTA800内でともに使用することができる。本明細書で説明するように、光源(例えば、
図9の光源922)は、860nmのピーク出力波長を有する1Wの近IR固体放射器とすることができる。ビーム形成光学系924は、18.5mmの有効開口直径および30.5mmの全長を有することができる。
【0225】
様々な実施形態では、適切なORAとともに使用される場合、OTA800は、昼間に400mを超え、夜間に1200mを超える距離にわたって、1MHzのビットレートおよび10-9のビットエラー確率で情報転送を可能にすることができる。このデータレートは、ライブストリーミングされたHDビデオの伝送を可能にする。
【0226】
図12aおよび
図12bは、光源922からトレースされた光線を有するビーム形成光学系924の2つの異なる3次元斜視図を示している。光源922自体は、これらの2つの図には示されていないことに留意すべきである。また、
図12aおよび
図12bには、ワイングラスコリメータの反射光学面のみが示されており、この光学面を取り囲む機械的構造は、これら2つの図には示されていないことにも留意すべきである。
図12aは、楕円部1200および放物面部1202を含むことができるワイングラスコリメータ1100ならびに小型レンズアレイ1108および1110を示している。一例では、小型レンズアレイ1108および1110は、出射強度分布の均一性を改善する2つの同一のケーラー小型レンズアレイである。
【0227】
楕円部1200は、回転対称であってもよい。
楕円部1200は、狭い入射瞳、より広い中間体、および狭い円形射出瞳を含むことができる。
狭い入射瞳は、中間体の最大直径よりも小さい直径を有する円形とすることができる。
狭い入射瞳は、光源からの光を受光するように配置されてもよい。
広い中間体の直径は、狭い入射瞳から狭い入射瞳の直径よりも大きい直径まで広がり、次に狭い円形の射出瞳に向かって縮小することができる。
【0228】
放物面部1202はまた、回転対称であってもよい。
放物面部1202は、狭い円形の入射瞳および広い射出瞳を含むことができる。
放物面部1202の直径は、狭い円形の入射瞳から広い射出瞳の直径まで広がっている。
放物面部1202の射出瞳の直径は、ワイングラスコリメータの反射面の最大直径であってもよい。
狭い円形の入射瞳は、楕円部1200の狭い円形の射出瞳であってもよいし、結合されてもよい。
そのため、放物面部1202の狭い円形の入射瞳の直径は、楕円部1200の狭い円形の射出瞳の直径と同じであってもよい。
【0229】
第2の図において、
図12bは、光源922からトレースされた光線を有するビーム形成光学系924の異なる斜視図を示している。様々な実施形態では、ワイングラスコリメータ1100の長さは1インチ未満である。
【0230】
図13は、光源からのトレース光線を有する例示的なビーム形成光学系の側面図を示している。
ビーム形成光学系は、12.5mmの長さの放物面部1202を有するコリメータを含むことができる。
部分1202は、任意の長さであってもよいことが理解される。
【0231】
図14は、例示的な軸対称反射型コリメータ1400(例えば、ワイングラスコリメータ1100)の断面図である。光源1402は、任意の光放射源(例えば、
図9の光源922)であってもよく、光ビームをコリメータ1400に提供するように配置されてもよい。いくつかの実施形態では、光源1402または光放射器1402の発光面は、コリメータ1400(例えば、ワイングラスコリメータ1100)の入射瞳に配置される。
【0232】
いくつかの実施形態では、ワイングラスコリメータ1100は、光源922の放射面を無限に再結像してコリメートされた出射ビームを生成する。コリメートされたビームは、1対の小型レンズアレイ1108および1110を通って伝搬し、8°平方の角度領域内で非常に均一な強度分布を有する光ビームとして出射することができる。小型レンズアレイ1108および1110は、この正方形角度領域内で平坦な(すなわち均一な)強度分布を有するようにビームを均質化することができ、OTA800から同距離にあり且つ上述した正方形角度領域内に位置する2つ以上の同一のORAに対して均一またはほぼ均一な信号強度を提供する。様々な実施形態において、出射光ビームが非常に均一である角度領域は、正方形ではなく矩形または六角形とすることができることが理解される。
【0233】
図14において、コリメータ1400は、22mmより僅かに短い長さおよび18.5mmの射出瞳直径を有する。コリメータ1400は、22mmよりも長くても短くてもよく、18.5mmよりも大きいまたは小さい(例えば、20mm、18mmなど)の射出瞳直径を有してもよいことが理解される。一例では、コリメータ1400は、18.511mmの射出瞳直径および21.50mmの全長を有することができる。コリメータ1400の中央遮蔽は、6.536mmの直径を有することができる。
【0234】
測定値はミリメートルで表されているが、コリメータ1400は、ミリメートルの小数部を含む任意の長さであってもよいことが理解される。
【0235】
図15は、ビーム形成光学系924に使用するためのワイングラスコリメータ1100の例の3次元図を示している。コリメータは、3つの反射光学構成要素1102、1104、および1106を含むことができる。
図15は、いくつかの実施形態において、3つの反射構成要素1102、1104、および1106がワイングラスコリメータを形成するようにどのようにして組み合わさることができるかを示している。小型レンズアレイ1108および1110は、反射構成要素1106の射出瞳の前方にあってもよい。
【0236】
反射構成要素1102、1104、および1106は、任意数の方法で製造することができる。例えば、それらは、光学面がその形状の+0.010インチ以内になるように、それぞれがアルミニウムからほぼ正味の形状に変わる3部製造プロセスで製造することができる。そして、構成要素は、ダイヤモンド旋削され、必要な光学面形状を生成することができる。そして、各構成要素の光学面は、光源922の光波帯において非常に反射性である反射コーティングによってコーティングすることができる。
【0237】
図16は、例示的な小型レンズアレイ1600を示している。本明細書で説明されるように、小型レンズアレイ1600は、1対のケーラー小型レンズアレイのうちの1つとすることができる。コリメータ1100のビーム出射の経路に(例えば、ワイングラスコリメータ1100の射出瞳の前方に)配置された2つの小型レンズアレイがあってもよい。
図16に示すように、小型レンズアレイ1600は、正方形開口を有する同一の小型レンズの正方形アレイを含むことができ、小型レンズアレイ1600の開口が円形になるようにアレイは切り取られる。小型レンズアレイ1600は、第2の側に対向する第1の側を有することができ、第1の側は、第2の側よりもワイングラスコリメータ1100に近い。小型レンズアレイ1600の第1の側の小型レンズは、同一の凸球面形状輪郭を有してもよい。第1の側の凸球面小型レンズ表面は、物理的に実現可能な凸面湾曲を有することができる。一例では、小型レンズアレイ1600の第1の側の各小型レンズは、3.695mmの曲率半径を有する。小型レンズアレイ1600の第1の側は、コリメータ1100の射出瞳に向かって面していてもよい。小型レンズアレイ1600の第2の側(第1の側の反対側)は、平面であってもよい。
【0238】
一例では、各小型レンズアレイは、Schott B270ガラス製とすることができる。各アレイは、20mmの開口径に切り取られている小型レンズの20×20の正方形アレイを有して1.2mmの厚さとすることができる。アレイにおける各小型レンズは、1mm平方の開口を有する。B270ガラスの屈折率は、850nmの波長に対して1.51555である。各小型レンズの焦点距離は、7.17mmとすることができる。2つの小型レンズアレイの平面間の分離は、7.5mmとすることができる。一例では、ワイングラスコリメータ1100およびケーラー小型レンズアレイを含むビーム形成光学系924の全長は30.50mmである。
【0239】
各小型レンズアレイは、任意の透明な屈折光学材料から構成されてもよく、任意の厚さであってもよく、任意の波長に対して任意の屈折率を有してもよいことが理解される。焦点距離は、7.17mmよりも大きくても小さくてもよく、小型レンズアレイ間の分離は、任意の距離であってもよい。ビーム形成光学系924の長さは、任意の値を有することができる。
【0240】
図17は、例示的な1対の小型レンズアレイ1700を示している。いくつかの実施形態では、1対の小型レンズアレイ1700は、1対のケーラー小型レンズアレイの代わりにまたはそれに加えて設けられることができる。小型レンズアレイ1700は、様々な実施形態において、(例えば、アクリルで)光学的に印刷されることができる。一例では、小型レンズアレイ1700は、UV硬化前に添加剤アクリルインク液滴を用いて印刷されることができる。
【0241】
例示的なOTA800の性能は、以下のように説明される。この例では、OTA800は、850nmの重心波長、75nmのピーク光帯域幅の5%における全幅、および1.4Wのピーク光出力パワー(例えば、1ビットパルス中)を有するIR放射器を含む。アクティブ放射器領域は、一辺が1mmの正方形とすることができ、最大伝送ビットレートは24MHzとすることができる。ビーム形成光学系は、本明細書に記載されたように、ワイングラスコリメータ1100と、ケーラー小型レンズアレイである小型レンズアレイ1108および1110とを含むことができる。
【0242】
この例の性能を計算する際、ビーム形成光学系の光学効率は、ηtrans=0.80と仮定される。例示的なOTA800において使用されるビーム形成光学系は、1mm平方の光源からの光束を強度均一性の高い8°平方の出射ビームに効率的に伝達するように設計されている。1mm平方の均一なランベルト放射器として定義される理想化された光源922から8°平方の出射ビームへの光束の伝達効率は、約82.2%とすることができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、光源922の発光素子は、ビーム形成光学系によって集光されることができる前に、光の一部が孔の壁における材料によって散乱されるように、光源922のベースの浅い孔の底部に取り付けられてもよい(例えば、OSRAM SFH 4235 IR放射器のベースにおける浅い孔の底部に取り付けられるIR放射ダイ)。その結果、そのような理想化されていない光源922の光束伝達効率は、49.8%とすることができる。これは、ソースのエタンデュを著しく増加させ、光の多くが所望の8°平方の角度領域に伝達されることを防止する。
【0243】
図18A、B~
図20A、Bは、本明細書に記載された例示的なOTAシステム(例えば、OTA800)の性能を示すグラフを示している。
図18Aは、いくつかの実施形態において前述したワイングラスコリメータ1100ならびに小型レンズアレイ1108および1110からなる単一のビーム形成光学系によって生成される水平角および垂直角の関数としての出力強度分布の表面プロットである。この強度分布を生成するのに使用される光源922は、1.4Wの光出力パワーで動作する、OSRAM SFH 4235 IR放射器であった。ビーム形成光学系および光源は、8°平方の角度領域内で非常に均一な強度出力を生成するように配向され、各平方領域の上縁および下縁は、水平角度座標軸に平行に配向された。強度分布は、無損失の光学材料および光学面を用いたレイトレーシングシミュレーションによって生成された。ここで、「無損失」という用語は、強度分布を生成するために使用されるレイトレーシングシミュレーションにおいて、ワイングラスコリメータ1100の反射面が100%の反射率を有し、2つの小型レンズアレイ1108および1110のそれぞれの各側における光学面が100%の透過率を有し、2つの小型レンズアレイ1108および1110を通って伝搬する光線の光パワーのバルク吸収損失がゼロであったことを意味する。実際の光学面および光学材料は、無損失ではない。無損失光学材料および表面を用いて強度出力を推定するために、
図18aの強度分布は、光学材料に関連する全ての損失係数(すなわち、バルク吸収損失)および表面の積を強度値に乗算することによって適切にスケーリングされることができる。レイトレーシングシミュレーションにおいて使用される光源モデルは、OSRAM SFH 4235 IR放射器のゴニオメトリック測定から生成された光線データであった。このために使用されたゴニオメトリックデータセットは、OSRAMによって提供された。
【0244】
図18Bは、いくつかの実施形態において
図18Aの結果を生成するために使用される同種類の6つの同一のビーム形成光学系によって生成された角度の関数としての複合出力強度分布の一部の表面プロットである。1.4Wの光出力パワーで動作するOSRAM SFH 4235 IR放射器が6つのビーム形成光学系のそれぞれにおける光源922として使用された。各ビーム形成光学系およびその関連する光源は、8°平方の角度領域内に非常に均一な強度出力を生成するように配向され、各平方領域の上縁および下縁は、水平角度座標軸に平行に配向された。6つのビーム形成光学系の全てが同じ垂直方向に向けられたが、隣接するビーム形成光学系は、6つのビーム形成光学系の合成出力が48°の水平方向の幅および8°の垂直方向の幅の矩形角度領域において非常に均一な強度分布であるように、8°だけ異なる水平方向に向けられた。
図18aの結果を生成するために使用された同じ種類のレイトレーシングシミュレーションおよび光源モデルが、
図18Bの結果を生成するために使用され、全ての光学面および光学材料は無損失であった。
【0245】
図19Aは、
図18Aにおいて表面プロットとして示されるいくつかの実施形態における単一のビーム形成光学系によって生成される同じ強度分布の中心および垂直エッジを通る垂直スライス(すなわち、8°平方の均一領域の中心に対して水平角度座標-4°、0°、および+4°を通る垂直スライス)のグラフである。
【0246】
図19Aからわかるように、強度は、均一性の高い上述した8°平方の角度領域内で約36W/srである。この領域のエッジ(すなわち、領域の中心から±4°の垂直エッジ)において、強度は約25W/srである。
【0247】
図19Bは、
図18Bの表面プロットとして示されるいくつかの実施形態においてビームの中心を通り且つ6つのビーム形成光学系によって生成される同じ強度分布の中心に対して±4°の水平座標における垂直スライスのグラフである。
【0248】
図19Bからわかるように、強度は、均一性の高い上述した48°×8°の矩形角度領域の中心付近の垂直ビーム幅に沿って約44W/srである。中心から±4°の水平座標を通る垂直スライスに沿って、この矩形角度領域内の強度は約42W/srである。
【0249】
図20Aは、
図18Aにおいて表面プロットとして示されるいくつかの実施形態における単一のビーム形成光学系によって生成される同じ強度分布の中心および垂直エッジ付近を通る水平スライス(すなわち、8°平方の均一領域の中心に対して垂直角度座標-3.95°、0°、および+3.95°を通る水平スライス)のグラフである。
【0250】
図20Aからわかるように、強度は、均一性の高い上述した8°平方の角度領域内で約36W/srである。この領域のエッジの付近(すなわち、領域の中心に対して±3.95°の垂直座標)において、強度は約35W/srである。出射光ビームの水平および垂直角度幅は、任意の値を有することができ、強度レベルは、ビームの水平および垂直範囲内の任意の値を有することができることが理解される。
【0251】
図20Bは、
図18Bの表面プロットとして示されるいくつかの実施形態においてビームの中心を通り且つ6つのビーム形成光学系によって生成される同じ強度分布の中心に対して±3.95°の垂直座標における水平スライスのグラフである。
【0252】
図20Bからわかるように、強度は、均一性の高い上述した48°×8°の矩形角度領域の中心に対して水平方向に-9.5°から+9.5°の間のビームの水平中心線に沿って約44W/srである。中心から±3.95°の水平座標を通る水平スライスに沿って、水平方向に-9.5°から+9.5°の間のこの矩形の角度領域内の強度は約42W/srである。
【0253】
図21は、複数の光源2106a~cおよびビーム形成光学系2108a~cを利用する例示的なOTAの簡略化された概略図を示している。それ自体の光源2106a~cをそれぞれ利用するビーム形成光学系2108a~cの1つ以上の設計の複数のコピーは、それ単独でビーム形成光学系のいずれか1つによって生成されるものよりも広い出射ビームを生成するために、単一のOTA内でともに使用されることができる。いくつかの実施形態では、水平および/または垂直角度ビーム幅が増加し、および/または特定の立体角領域内の強度が増加した合成出射光ビームを生成するために、それ自体の光源をそれぞれ利用する複数のビーム形成光学系が使用されることができる。
【0254】
様々な実施形態において、(例えば、ユーザのコンピューティングデバイスからの)ソフトウェア2102は、制御電子機器2104(例えば、
図8および
図9のOTA800内の電子機器)に転送するためにファイルを提供することができる。制御電子機器は、これらのファイルにおける情報を、光源2106a~cを駆動するための適切な電気信号に変換することができる。
【0255】
各光源は、変調光ビームを生成することができ、その変調は、上述したファイルに含まれる情報を表す。光源2106a~cのそれぞれからの変調光ビームは、複数のビーム形成光学系2108a~cのそれぞれ1つ(例えば、ワイングラスコリメータ1100ならびに1対の小型レンズアレイ1108および1110)によって必要な強度分布を有する変調出射光ビームに変換される。
図21は、3つの光源2106a~cおよび3つのビーム形成光学系2108a~cの制御を示しているが、任意数の光源および任意数のビーム形成光学系があってもよいことが理解される。
【0256】
光源2106a~cは、時間の関数としてのそれらの変調された光出力が同一であるように、同一の同期電気駆動信号によって駆動されてもよい。
図21においては屈折として示されているが、光学系は、屈折、反射および/または回折を利用することができる。ビーム形成光学系2108a-cによって出射されたビームは、角度出射領域と呼ばれる所望の2次元角度ゾーンにわたって所望の強度分布を有する合成出射ビームを生成するように結合することができる。
【0257】
複数のOTを含むOTAは、任意の所望の方法で配向された1つ以上のOTを有することができることに留意すべきである。例えば、OTAは、第2のOTに対して90°に配向された第1のOTを有することができる。そのような構成は、2つの異なる経路(例えば、2つの道に沿った、OTAはそれらの2つの道の隅部に位置する)の合流点に配置されるとき、OTAが2つの異なる経路に沿って光ビームを出射するために使用されることを可能にする。他の配向も可能であり、本明細書で想定される。
【0258】
そのようなタイル状に出射される1つ以上の光ビームは、光ビーコン、光信号、またはそれらの何らかの組み合わせであってもよいことにさらに留意すべきである。例えば、光信号および光ビーコンは、伝送のために時間的にインターリーブされてもよい。例えば、光信号および光ビーコンは、光ビームまたは光ビームの一部が光信号である/信号情報を含むことを示す第1の識別子と、光ビームまたは光ビームの一部が光ビーコンである/ビーコン情報を含むことを示す第2の識別子とを用いて、適切に識別されることができる。例えば、光ビームは、光ビーコンによって変調された光信号を含むことができ、例えば光信号を表す変調自体が光ビーコンを表す変調によって変調される。光信号を伝送するために使用されるデータレートは、光ビーコンを伝送するために使用されるデータレートとは異なっていてもよい。例えば、光信号データレートは、光ビーコンデータレートよりも高くてもよい。異なる光波長帯域を使用して光信号および光ビーコンを伝送することができ、各光波長帯域は異なることができ、重複しない。
【0259】
様々な実施形態では、OTA800は、2つの異なる種類の変調光ビーム、すなわち光ビーコンおよび光信号を伝送することができる。これら2つの種類の変調光ビームは、それらの機能に関して本明細書で説明される。光ビーコンおよび光信号がONSにおいてそれぞれの目的に役立つために、2つの種類の変調光ビームを区別する効果的な方法が採用されることが必要である。さもなければ、ORAは、光ビーコンまたは光ビーコンの一部を光信号または光信号の一部として誤って解釈する可能性がある。同様に、ORAは、光信号または光信号の一部を光ビーコンまたは光ビーコンの一部として誤って解釈する可能性がある。
【0260】
光ビーコンと光信号とを区別する可能な方法についてここで説明する。光信号と区別可能な光ビーコンを生成するために本明細書に提示されたもの以外の有効な方法がいくつでも存在することができることが理解される。本明細書で説明する方法は、(1)スペクトル分離、(2)時間的分離、および(3)二重変調を含む。
【0261】
ORAが光ビーコンと光信号とを区別することを可能にする直接的な方法は、スペクトル分離を使用することである。一例では、光ビーコンに使用される光波帯域(光波長帯域とも称することができる)は、光信号に使用される光波帯域とは別個である。例えば、OTA800は、800~900nmの範囲の波長スペクトルを有する近IRを出射する光源を変調することによって光ビーコンを生成することができる。OTA800はまた、900~1000nmの範囲の波長スペクトルを有する近IRを出射する光源を変調することによって光信号を生成することができる。そのようなOTAによって伝送される光ビームを受光するためのORAは、800~900nmの範囲の波長に対してのみ有意な感度を有する(本明細書で説明する)OBRおよび900~1000nmの範囲の波長に対してのみ有意な感度を有する(本明細書で説明する)OSRを使用することができる。OBRおよびOSRの互いの帯域内の波長を有する光放射に対する感度が十分に低い限り、光ビーコンが光信号と混同される可能性、およびその逆は無視することができる。
【0262】
さらに、光ビーコンに使用されるビットレートが光信号に使用されるものと大幅に異なる場合、電子帯域通過フィルタリングは、光ビーコンおよび光信号が互いに混同される可能性をさらに低減することができる。光ビーコンに含まれる情報の量は、通常、光信号に含まれる情報の量よりはるかに少ないため、光ビーコンが光信号よりも著しく低いビットレートを使用することは一般に問題ではない。いくつかの実施形態では、スペクトル分離を伴う光ビーコンおよび光信号の生成を可能にするために、別個のトランスミッタ光学系および光源をOTAにおいて使用することができる。
同様に、光ビーコンおよび光信号の双方を受信できるようにするために、別個のレシーバ光学系および検出器(または検出器アレイ)を必要とする場合がある。
【0263】
図22は、800~900nm帯域で動作する光ビーコンならびに900~1000nm帯域で動作する光信号についての時間の関数としての(任意単位での)光パワー出力の例を示しており、光ビーコンおよび光信号のビットレートは、それぞれ、333.33kHzおよび1MHzである。光ビーコンと光信号の双方に使用される符号化方式は、1ビットがパルスの存在によって表され、0ビットがパルスの不在によって表されることである。
図22の上側のプロット2200は、33msの全持続時間を有する時間間隔の間の光ビーコンの時間の関数としての光出力パワーを示している。図の下側のプロット2202は、同じ時間間隔の間の光信号の時間の関数としての光出力パワーを示している。
【0264】
光信号と区別可能な光ビーコンを可能にする第2の方法は、時間的分離である。名称が示すように、本方法は、光ビーコンをスペクトル的にではなく時間的に光信号から分離する。この例では、任意の所与の時間において、OTA800は、光ビーコンまたは光信号のいずれかを出射するが、同時に双方を出射することはない。そのようなOTAは、光ビーコンおよび光信号の伝送間で交互にしてもよい。いくつかの実施形態では、ORAは、光ビーコンの最初におけるヘッダの存在を探すことにより、そのようなOTAからの光ビーコンまたは光信号を現在受信しているかどうかを判定することができる。そのようなヘッダは、光ビーコンの開始を示す固有の一連の送信された1ビットおよび0ビットを含むことができる。光信号の伝送の開始をマーキングするために異なるヘッダが使用されてもよく、あるいは、伝送された各光ビーコンは、光ビーコンの伝送がいつ終了し且つ光信号がいつ始まったのかをORAが常に知るように標準数のパルスを含むことができる。光ビーコンは、通常、光信号に対して非常に少量の情報しか含まないことから、光ビーコンを伝送するためにOTAによって費やされる時間量は、(双方のビットレートが同じであると仮定して)光信号を伝送するために費やされる時間量に対して通常は非常に小さい(例えば、2%)。時間的分離法の1つの利点は、光ビーコンと光信号の双方を生成するために、OTAが単一の光源と単一の波帯で動作する単一のトランスミッタ光学系を使用することができることである。同様に、ORAは、光ビーコンと光信号の双方を受信するために単一のレシーバ光学系と単一の検出器(または検出器アレイ)を使用することができる。すなわち、同じレシーバ光学系および検出器(または検出器アレイ)は、時間的に分離された光ビーコンおよび光信号を受信するように設計されたORA内のOBRおよびOSRとして機能することができる。
【0265】
光ビーコンと光信号とを区別することを可能にする本明細書で説明する第3の方法は、二重変調である。本方法では、OTAは、光ビーコンの比較的低ビットレート変調を有する単一の変調光ビームを、光信号の比較的高いビットレート変調と組み合わせて伝送する。このようにして、光ビーコンおよび光信号が合成されて単一のビームになる。これは、単一の光源と単一のトランスミッタ光学系を使用して単一の光波帯で動作するOTAを使用して二重変調法が実施されることを可能にする。
【0266】
図23は、二重変調の例のための伝送される出力ビームの時間波形の3つのプロットを示している。「時間波形」は、本明細書では、変調光ビームの時間の関数としての出力光パワーとして定義される。上側のプロット2300は、光ビーコンの例示的な時間波形を示す一方で、中間のプロット2302は、同じ時間間隔の間の光信号の例示的な時間波形を示している。スペクトル分離法に関して説明したように、光ビーコンおよび光信号のこの例は、2つの異なる波帯で同時に伝送することができる。しかしながら、代替方法は、所望の光ビーコンと所望の光信号の双方の時間波形によって変調される(単一の波帯内の)単一のビームを使用することである。変調には双方の時間波形が含まれるため、この変調は、単一の光源およびトランスミッタ光学系が光ビーコンおよび光信号の双方として働く単一のビームを伝送することができるという利点を有する。合成された二重変調波形がプロット2304に示されている。二重変調の2つの成分(すなわち、光ビーコン成分および光信号成分)の振幅は、そのような二重変調光ビームを受光するために使用されるOBRおよびOSRの既知の特性に基づいて、光ビーコンおよび光信号の双方に対してほぼ同じ通信範囲を提供するように調整されることができる。対応する光信号よりも著しく低い(例えば、100倍)ビットレートを有する光ビーコンについては、例えば電気帯域通過フィルタリングを用いてOBRおよびOSRが二重変調された伝送光ビームの光ビーコンと光信号成分との間で区別されることは困難ではない。光ビーコンの情報コンテンツは一般に光信号の情報コンテンツよりもはるかに低いので、光ビーコンは、光信号よりもはるかに低いビットレートを有することができる。
【0267】
図24は、例示的なデジタル装置2400のブロック図である。デジタル装置2400は、バス2414に通信可能に結合されたプロセッサ2402、メモリシステム2404、記憶装置システム2406、通信ネットワークインターフェース2408、I/Oインターフェース2410、およびディスプレイインターフェース2412を備える。プロセッサ2402は、実行可能命令(例えば、プログラム)を実行するように構成される。いくつかの実施形態では、プロセッサ2402は、実行可能命令を処理することができる回路または任意のプロセッサを備える。
【0268】
メモリシステム2404は、データを記憶するように構成された任意のメモリである。メモリシステム2404のいくつかの例は、RAMまたはROMなどの記憶装置である。メモリシステム2404は、RAMキャッシュを備えることができる。様々な実施形態では、データは、メモリシステム2404内に記憶される。メモリシステム2404内のデータは、クリアされるかまたは最終的に記憶装置システム2406に転送されることができる。
【0269】
記憶装置システム2406は、データを検索して記憶するように構成された任意の記憶装置である。記憶装置システム2406のいくつかの例は、フラッシュドライブ、ハードドライブ、光学ドライブ、および/または磁気テープである。いくつかの実施形態では、デジタル装置2400は、RAM形式のメモリシステム2404と、フラッシュデータの形式の記憶装置システム2406とを含む。メモリシステム2404および記憶装置システム2406は、双方とも、プロセッサ2402を含むコンピュータプロセッサによって実行可能な命令またはプログラムを記憶することができるコンピュータ可読媒体を備える。
【0270】
通信ネットワークインターフェース(comm.ネットワークインターフェース)2408は、リンク2414を介してネットワークに接続されることができる。通信ネットワークインターフェース2408は、例えば、イーサネット(登録商標)接続、シリアル接続、パラレル接続、またはATA接続を介した通信をサポートすることができる。通信ネットワークインターフェース2408はまた、無線通信(例えば、802.11a/b/g/n、WiMax)もサポートすることができる。通信ネットワークインターフェース2408が多くの有線および無線規格をサポートすることができることは、当業者にとって明らかであろう。
【0271】
オプションの入力/出力(I/O)インターフェース2410は、ユーザからの入力を受信してデータを出力する任意の装置である。オプションのディスプレイインターフェース2412は、グラフィックスおよびデータをディスプレイに出力するように構成された任意の装置である。一例では、ディスプレイインターフェース2412は、グラフィックスアダプタである。
【0272】
デジタル装置2400のハードウェア要素は、
図24に示されたものに限定されないことが理解される。デジタル装置2400は、図示されたものよりも多いまたは少ないハードウェア要素を備えることができる。さらに、ハードウェア要素は、機能を共有することができ、さらにここで説明された様々な実施形態の範囲内とすることができる。一例では、符号化および/または復号は、プロセッサ2402および/またはGPU(すなわち、NVIDIA)上に配置されたコプロセッサによって実行されることができる。
【0273】
図25は、例示的な光レシーバアセンブリ(ORA)2500の図である。
ORA2500は、長距離の広帯域の光ナローキャスト情報を受信することができる。典型的なスマートフォン通信は、電波(例えば、セルラーネットワーク、WIFI、GPS、およびブルートゥース(登録商標))の伝送から受信されるのみであるが、ORA2500は、変調光ビーム(例えば、光放射の変調ビーム)の形態で情報を受信することができる。様々な実施形態において、ORA2500は、一方向または双方向光ナローキャスト通信システムの一部であってもよい。ORA2500は、デジタル装置内に取り付けられてもよくまたはデジタル装置内に含まれてもよいことが理解される。
一例では、ORA2500を有するデジタル装置は、光ナローキャスティングを介して情報を受信することができるだけでなく、無線スマートフォン通信も可能である。
【0274】
ORA2500は、(本明細書で説明する)電子機器、ソフトウェア(および/またはファームウェア)、および光ナローキャスティングシステム(ONS)の一部として変調光ビームの形態でデータ(すなわち、情報)を受信する1つ以上の光レシーバ(OR)を含むことができる。ORA2500は、長通信距離が可能であり、低い訂正可能な誤り率でビデオをストリーミングするために長距離で十分な情報を受信することができる。一例では、ORA2500によって受信された信号は、本明細書で説明される光トランスミッタアセンブリ(例えば、OTA800)によって伝送されることができる。
【0275】
OTAによって出射される変調光ビームは、本明細書で説明するように、光ビーコンおよび光信号の2つの異なる種類のものであってもよい。ある場合には、単一の変調光ビームは、同時に光ビーコンと光信号の双方とすることができる。光ビーコンおよび光信号の詳細な説明は、本明細書で説明される。いくつかの実施形態では、光ビーコンを受光するように設計された光レシーバは、光ビーコンレシーバ(OBR)と呼ぶことができる。光信号を受光するように設計されたORは、光信号レシーバ(OSR)と呼ぶことができる。様々な実施形態において、ORA2500は、少なくとも1つのOSRおよび1つのOBRを含むことができる。いくつかの実施形態では、単一の光レシーバは、OBRおよびOSRの双方として機能することができる。
【0276】
ORA2500は、スマートフォン、メディアタブレット、ラップトップ、カメラ、ゲーム装置、ウェアラブル装置(例えば、スマートウォッチ)、自動車中央コンピュータなどのデジタルコンピューティングデバイスを含むかまたはそれらに取り付けられることができる。様々な実施形態では、ORA2500の任意のまたは全ての構成要素は、スマートフォンなどのデジタル装置に結合されたケース(例えば、スマートフォンケース)内にある。一例では、デジタル装置は、1つ以上のOSR2502および1つ以上のOBR2510を組み込んだORA2500を備えたスマートフォンケースに結合されてもよい。そのようなスマートフォンケースはまた、双方向通信を容易にするためにOTA800(
図25には図示しない)を装備することもできる。
【0277】
ORA2500は、インコヒーレント光源(例えば、LED)、コヒーレント光源(例えば、レーザ)などを使用して生成された可視光、近赤外光(IR)、または他の光帯域の変調光ビームを受光することができる。例えば、ORA2500は、10から106nmの範囲の波長を含むことができる極紫外線(UV)から遠IRまでのスペクトル領域の変調光ビームを受光することができる。ORA2500は、前述したスペクトル領域内の任意の波長または波長範囲で変調光ビームを受光することができることが理解される。例えば、ORA2500は、可視または近IR帯域の変調光ビームを受光することができる。
【0278】
ORA2500は、空気、水、透明固体(例えば、ガラス窓)、および/または空間(すなわち、真空)を介して伝送される変調光ビームを受光することができる。前述したように、ORA2500は、デジタル装置ケース(例えば、スマートフォンケース)を含むことができる。
デジタル装置ケースは、1つ以上のOSR2502および1つ以上のOBR2510を含むことができるかまたはそれらに結合されることができる。
OSR2502は、例えば、検出器アレイ(例えば、6×6アレイの検出器)2508を含むことができる。検出器アレイ2508については、本明細書でさらに説明する。
【0279】
いくつかの実施形態では、OSRが16.5mm角の開口または同様のサイズの開口を有する単一のレンズを利用する場合、OSRの総厚さは、16.5mmよりも大きくなる必要があり得る。その結果、単一のレンズを利用するOSRは、典型的な装置(例えば、スマートフォン)または装置ケース(例えば、スマートフォンケース)内の利用可能な空間にそれを装着することができないため、スマートフォンまたは他のパーソナルデジタル装置のために実用的でない。
【0280】
あるいは、OSR2502は、厚さが16.5インチよりもかなり小さい設計を可能にすることができる、別個の検出器と対になっている各サブ開口内の各小型レンズと組み合わせた16.5mm角の開口を有するより小さい開口を有する小型レンズのアレイ(例えば、2.75mm角のサブ開口を有する36個の小型レンズの6×6アレイ)を含むことができる。小型レンズアレイと検出器アレイの総厚さを0.20インチ未満にすることができるように、例えば、6×6小型レンズアレイの36個の2.75mm角のサブ開口のそれぞれにおいて、各小型レンズの焦点面に配置された別個の検出器が存在することができる、この例では、単一の0.2mm角の高速シリコン光検出器が各小型レンズの焦点面内に配置されることができる。各検出器の感光面から各小型レンズの最外面まで測定されたレシーバ光学系の総厚さは、約4mmとすることができる。その結果、レンズおよび検出器を含むOSR2502は、スマートフォンまたはデジタル装置ケースに装着することができる。
【0281】
ORA2500は、デジタル装置に任意数の方法で結合された別個のORAであってもよくもしくはそれを含んでもよく、デジタル装置ケースであってもよくもしくはそれを含んでもよく、またはデジタル装置(例えば、スマートフォンは、ORA2500を内部的に含むことができる)であってもよくもしくはそれを含んでもよい。一例では、ORA2500は、組み合わせた16.5mm角の開口を有する6×6アレイの小型レンズを有するOSR2502を含むことができ、各小型レンズは、1.0に近いf/#を有する。いくつかの実施形態では、小型レンズアレイおよび検出器アレイの総厚さは、0.20インチ未満であってもよい。OSR内の36個の検出器が全て単一の増幅器に加算されると、検出器ショットノイズが低減されることができ、36個の検出器のうちのいずれか1つからの信号のみを使用するまたは36個未満の検出器からの合計信号を使用して得られることができるものよりも高い信号対雑音比(SNR)およびより長い範囲が可能になることは理解される。同じ例では、ORA2500はまた、焦点面に検出器アレイを有する単一の結像レンズからなるOBR2510を含むことができ、前記検出器アレイは、ビデオカメラにおける使用のために設計される。
【0282】
様々な実施形態において、OSR2502の検出器は、高ビットレートで動作し、OSRとしてデジタル装置に組み込まれたカメラを使用して可能であるよりもはるかに高いビットレートでデータを受信する能力を提供することができる。これは、ビデオ画像を生成する必要がなくなり、高ビットレートOSR2502は、内蔵カメラ2504を使用して達成することができるよりもはるかに高いフレームレートで動作するように設計されることができるためである。
【0283】
高ビットレートOSR2502は、相対的に狭いFOV(例えば、3.6°×3.6°)内のその入射瞳上に集光された光束を、光トランスミッタ(例えば、OTA800)によって使用されるビットレートで動作することができる1つ以上の検出器(本明細書でさらに説明される)上に集光させる光学系(例えば、前述した6×6小型レンズアレイ)を含むことができる。いくつかの実施形態では、高ビットレートOSR2502は、マルチチャネルレシーバであり、その場合、各チャネルに対応する光波帯域内で光束を受光するために専用の少なくとも1つの検出器を有することができる。光チャネルは、可視および/または近IRにあってもよいが、他のスペクトル領域にあってもよい。
【0284】
様々な実施形態では、光スペクトルフィルタを使用して、各検出器に入射する帯域外光束を低レベルに低減し、それによってバックグラウンドノイズを低減し、動作範囲を拡大することができる。高ビットレートOSR2502の開口サイズは、いくつかの実施形態では、典型的な携帯装置に組み込まれたビデオカメラのものよりもかなり大きくすることができ、これは、ビデオカメラを光レシーバとして使用することに対して、所与のビットレートで達成可能な動作範囲を大幅に拡張することができる。高ビットレートOSR2502は、高解像度のビデオ画像を生成する必要はなく、むしろ光信号を受信する手段を提供する可能性があるため、高ビットレートOSR2502は、可視帯域カメラよりも少ないピクセルおよびより高いフレームレートを有することができることが理解される。
【0285】
光レシーバ(例えば、ORA2500)は、既存の携帯装置内に含まれていないスタンドアロンの光トランスミッタと、携帯装置のLEDフラッシュ装置に基づくトランスミッタとの双方とともに動作することができる。ORA2500はまた、携帯装置間の双方向光通信のための能力の一部(すなわち、変調光ビームの形態で情報を受信する能力)を提供してもよい。
【0286】
ORA2500は、電子機器、ソフトウェア、ファームウェア、1つ以上のOBR、および1つ以上のOSRを含む装置を含むことができるかまたはそれらに結合されることができることが理解される。いくつかの実施形態では、ORA2500は、OBRおよび/またはOSRの指向方向の制御を可能にする1つ以上のチルトアクチュエータを含むことができる。
ORAの電子機器および関連するソフトウェア(および/またはファームウェア)は、これらに限定されるものではないが、ORAとそのユーザ(またはそのユーザの装置)との間のインターフェースの提供、OBRおよびOSRの動作の制御(例えば、それらをオンおよびオフにする、データ受信速度を設定するなど)、検出された光ビーコンに関するOBRによって取得された識別情報および角度位置などの情報の受信およびユーザ(またはユーザの装置)への転送、OSRによって受信した光信号から抽出されたデータの受信およびユーザ(またはユーザの装置)への転送、および/または1つ以上のOBRおよび1つ以上のOSRの指向方向を変更するための1つ以上のチルトアクチュエータの制御を含む様々な機能を実行する。
【0287】
図26は、単一のOSR2502および単一のOBR2510を利用するORA2500を概略的に示している。OSR2502は、1つ以上の光検出器または検出器アレイ2600および1つ以上のOSR光学系2602を含むことができる。OBR2510は、1つ以上の光検出器アレイ2608および1つ以上のOBR光学系2610を含むことができる。
図26のORA2500はまた、ORA制御電子機器2604およびORAソフトウェアおよび/またはファームウェア2606も含む。ORAソフトウェアおよび/またはファームウェア2606は、ORA制御電子機器2604がユーザコマンドにどのように応答するか、光学的に受信されたデータをどのように処理するか、データを何のフォーマットで出力するかなど、様々な態様を制御することができる。
【0288】
ORA制御電子機器2604は、制御入力ポート2612(例えば、任意数のデジタル装置から情報を受信することができる物理ポートまたは仮想ポート)を介して、ユーザ装置からの制御入力を受け入れることができる。ORA制御電子機器2604は、1つ以上のOTA800によって送信された光信号から受信した情報および/または光信号に関連する他の関連情報(例えば、受信した光信号のSNRの推定値)をOSRデータ出力ポート2614(例えば、任意数のデジタル装置に情報を提供することができる物理ポートまたは仮想ポート)を介してユーザ装置に出力する。
【0289】
ORA制御電子機器2604はまた、1つ以上のOTA800によって送信された光ビーコンから取り出された情報をOBRデータ出力ポート2616(例えば、任意数のデジタル装置から情報を出力することができる物理ポートまたは仮想ポート)を介してユーザ装置に出力することができる。光ビーコンから抽出されてOBRデータ出力ポート2616を介して出力された前記情報は、これらに限定されるものではないが、検出されてOBRのFOV内に現在含まれている光ビーコンの数、検出された光ビーコンに関連するOTAのOBRのFOV内の現在推定されている水平および垂直角度位置、および/またはOBRによって検出された光ビーコンから抽出された識別情報のような情報を含むことができる。一例では、光ビーコンから取り出された情報は、前記光ビーコンを送信したOTAに関連するエンティティ(例えば、企業、組織、または個人)を識別することができる。
【0290】
OSR検出器または検出器アレイ2600は、光信号を送信するために光トランスミッタ(例えば、OTA800)によって使用される波帯域およびビットレートの光束を検出することができる。同様に、OBR検出器アレイ2608は、光ビーコンを送信するために光トランスミッタ(例えば、OTA800)によって使用される波帯域およびビットレートの光束を検出することができる。各OSRレシーバ光学系2602は、その入射瞳上およびその指定されたFOV内で入射帯域内光束を集光し、屈折、反射および/または回折を利用して1つ以上のOSR検出器または検出器アレイ2600に光束を集光させることができる。同様に、各OBRレシーバ光学系2610は、その入射瞳上およびその指定されたFOV内で入射帯域内光束を集光し、屈折、反射および/または回折を利用してOBR検出器アレイ2608の1つ以上に光束を集光させることができる。
【0291】
いくつかの実施形態では、1つ以上の光スペクトル帯域通過フィルタは、OSR検出器または検出器アレイ2600および/またはOBR検出器アレイ2608に入射する帯域外光束を低レベルに低減するために、各OSR光学系2602および/または各OBR光学系2610の一部として含めることができる。そのようなスペクトル帯域通過フィルタのそれぞれは、別個の構成要素(例えば、スペクトル帯域通過コーティングによってコーティングされた平坦な屈折板)とすることができ、または検出器または検出器アレイ上に光束を集光させるために使用されるOSR光学系2602またはOBR光学系2610の光学部品の1つ(例えば、レンズまたは反射集光器)の光学面上にスペクトル帯域通過コーティングを含むことができる。
【0292】
様々な実施形態では、単一のOSR2502は、それぞれがそれ自体のOSR光学系2602と対になる複数の光検出器または検出器アレイ2600を備えることができる。同様に、様々な実施形態において、単一のOBR2510は、それぞれがそれ自体のOBR光学系2610と対になる複数の光検出器アレイ2608を備えることができる。単一のOSRにおける複数のOSR光学系と対にされた複数の検出器または複数の検出器アレイおよび/または単一のOBRにおける複数のOBR光学系と対にされた複数の検出器アレイの前記使用は、それらがユーザ装置(例えば、スマートフォン)または装置ケース(例えば、スマートフォンケース)に嵌まることができるように、OSRおよび/またはOBRの厚さを十分に薄く維持しながら、特定の立体角領域においてFOVを増加させるおよび/またはOSRのおよび/またはOBRの感度を増加させる手段を提供することができる。
【0293】
例えば、
図26Bは、複数のOSR検出器または検出器アレイ2600a~cおよびOSR光学系2602-cを利用する例示的なORAの簡略化された概略図を示している。OSR検出器または検出器アレイ2600a~cは、互いに同一であってもよくまたは少なくとも類似していてもよい。
OSR光学系2602~cは、互いに平行な光軸を有することができる。複数のOSR検出器または検出器アレイは、それぞれのOSR光学系とともに、様々な方法で構成されることができることに留意すべきであり、その一例は、
図21bにおいて複数のOTが構成される方法、例えば2次元アレイと同様であってもよい。
【0294】
ORA制御電子機器2604およびORAソフトウェアおよび/またはファームウェア2606は、制御入力ポート2612を介して入力される制御コマンドを介して、ユーザが様々な動作設定を調整することを可能にすることができ、および/またはOSR検出器または検出器アレイ2600および/またはOBR検出器アレイ2608の動作のための電力および制御信号を提供することを可能にすることができる。さらに、ORA制御電子機器2604およびORAソフトウェアおよび/またはファームウェア2606は、OSR検出器または検出器アレイ2600およびOBR検出器アレイ2608からの変調信号を受信して増幅し、必要に応じて光信号および光ビーコンの形態で光学的に受信した情報を復号し、受信した情報を表示および/または内部記憶装置に適したフォーマットに変換し、受信した情報を内部記憶装置(すなわち、ORA制御電子機器2604内のメモリ)に記憶することができる。ORA制御電子機器2604およびORAソフトウェアおよび/またはファームウェア2606はまた、OSRデータ出力ポート2614およびOBRデータ出力ポート2616を介してユーザがOTA800から受信した情報および他の関連データをORA制御電子機器内の内部記憶装置から他の電子機器またはコンピュータに転送するのを可能にすることができる。
【0295】
いくつかの実施形態では、ORA制御電子機器2604およびORAソフトウェアおよび/またはファームウェア2606を使用して、OSR2502および/またはOBR2510アセンブリの1つ以上を傾けることによって光学信号および光ビーコンが受信される方向を制御することができる。そのような場合、チルトアクチュエータは、傾斜動作を行うことができる。例えば、チルトアクチュエータが使用される場合、傾動は、ユーザ入力に基づいてもよくまたはORA制御電子機器2604およびORAソフトウェアおよび/またはファームウェア2606によって自動的に制御されてもよい。
いくつかの実施形態では、傾動は、光トランスミッタ(例えば、OTA800)を動作させる水平および垂直角度位置に関するOBR2510から、または制御入力ポート2612を介して受信されるポインティングコマンドから受信した情報に基づくことができる。ハンドヘルドおよびウェアラブル装置のORA2500の場合、信号が受信される方向は、手および/または身体の動きによって、ユーザによって手動で制御されてもよい。
【0296】
いくつかの実施形態では、OBR2510の機能は、OTA800によって送信される光ビーコンの存在を検出することを可能にする情報をORA2500に提供し、光トランスミッタ以外の放射源(例えば、自然および人工照明源)によって生成される入射帯域内放射からそれらを区別することができる。さらに、OBR2510は、OBR2500に情報を提供し、前記OBRのFOV内で受信した光ビーコンの、したがって前記受信した光ビーコンを送信しているOTA800の水平および垂直角度位置を判定することを可能にする。OBR2510はまた、光ビーコンから抽出された情報をORA2500に提供し、OTA800によって動作するかまたはそれに関連付けられたエンティティ(例えば、企業、組織、または個人)を識別することを可能にする。いくつかの実施形態では、OBR2510は、その光学系および検出器アレイの一部または全部を1つ以上のOSR2502と共有してもよく、または別個のユニットとすることができる。
【0297】
いくつかの実施形態では、本明細書で説明するように、スマートフォンに組み込まれたLEDフラッシュユニット2506は、他のスマートフォンのカメラまたはORA2500(例えば、ORA2500を装備したスマートフォンやスマートフォンのケース)に光信号および/または光ビーコンを伝送するためにOTA(例えば、コリメータを有しない)として利用されることができる。
光情報を伝送するために、スマートフォンアプリケーションは、フラッシュユニットの光出力の必要なデジタル変調を生成することができる。
【0298】
場合によっては、OSRデータ出力ポート2614および/またはOBRデータ出力ポート2616を介してORA2500によって出力された情報の一部または全部は、光トランスミッタから得られた情報以外の検知データと組み合わせることができる。これは、他のセンサが受信した情報も含むことができる。例えば、ORA2500がインストールされている、またはインターフェースされているデジタル装置(例えば、スマートフォン)は、任意数のカメラ、または1つ以上の同じ場所に配置されたカメラによって同時に収集された写真またはビデオ画像を記憶してもよい。ORA2500がインストールされている、またはインターフェースされている装置はまた、1つ以上のOTA800から受信した任意の情報(例えば、写真画像、ビデオ、テキストなど)に添付するために周囲音声を記録する目的のために、1つ以上のマイクロフォンを含んでもよく、または1つ以上の同じ場所に配置されたマイクロフォンからのオーディオ入力を受け入れてもよい。
他の例では、ORA2500がインストールされた装置は、GPS情報、アプリケーションから受信した情報、または(例えば、セルラーまたはデータネットワークを介した)他のデジタル装置を含むことができる。
装置は、光ビームおよび/またはセンサから取り出された情報を用いて上述した情報のいずれかまたは全てを含むことができることが理解される。
【0299】
ORA2500がインストールされているか、またはインターフェースされているデジタル装置(例えば、スマートフォン)は、OBR2510のFOV内のOTA800の推定された水平および垂直位置などの当該関連情報と同様に、そのような写真、ビデオ、および/またはオーディオデータと、ORA2500が1つ以上のOTA800から光信号および/または光ビーコンの形態で受信した情報とを組み合わせた標準化フォーマットで単一のデータセットを作成することができる。必要に応じて、レシーバおよび信号検出器が位置する装置のタイムスタンプならびに緯度、経度、および高度などの他のデータを含めることができる。そのような結合されたデータセットは、WiFiまたは他のデータ接続を介して他の装置またはインターネットにアップロードまたはライブストリーミングされることができ、および/または後の使用のためにファイルとして記憶されることができる。
【0300】
いくつかの実施形態では、ユーザの装置内のデジタルカメラ(例えば、
図25のカメラ2504)は、OBR、OSR、またはその双方として機能することができる。
しかしながら、光ビーコンまたは光信号を受信するためのビットレートは、ユーザ装置(例えば、スマートフォン)カメラのフレームレート制限のために比較的低くてもよい。一例では、ビットレートは、約30ビット/秒であってもよい。
いくつかの実施形態では、ショートメッセージの形態の有用な情報は、1つ以上のOBRおよび/または1つ以上のOSRとしてのカメラの1つ以上を使用してスマートフォンによってさらに受信されることができる。
【0301】
OTAは、OSRに高ビットレート(例えば、1Mbit/秒)の光信号を送信することに加えて、情報が光学的に送信される携帯ユーザ装置における典型的なビデオカメラ(例えば、
図25のカメラ2504)によって一時的に解決できる十分に低いビットレートで光ビーコンを送信してもよい。また、
図26のOBR2510自体は、そのような低ビットレートの光ビーコンを受信することができるビデオカメラであってもよい。光ビーコンを受信するために使用されるビデオカメラは、可視光波帯またはいくつかの他の光波帯(例えば、近IR帯域)で動作することができる。いくつかの実施形態では、低ビットレート光ビーコンは、携帯装置内のビデオカメラが光トランスミッタの存在を検出してカメラのFOV内の水平および垂直角度位置を判定するために使用できる特性信号を提供することができる。前記低ビットレート光ビーコンは、光信号の形態で情報をOSR2502に送信するために使用されるチャネルとは完全に別個の1つ以上の光波長チャネルで送信されることができる(
図25および
図26を参照)。あるいは、光ビーコンは、光信号を送信するために使用される1つ以上の波長チャネルを共有することができる。後者の場合、光ビーコンは、高ビットレート光信号の低ビットレート変調の形態をとることができ、または高ビットレート光信号の伝送は、低ビットレート光ビーコンが送信されることができる時間間隔を提供するために周期的に一時停止されることができる。
【0302】
図27は、ORA2500の機能ブロック図を示している。OSR2502は、1つ以上のOTA(例えば、OTA800)から光信号を受信して光信号を電気信号に変換する。
一例では、OSR2502は、光信号束をOTAから1つ以上のOSR検出器または検出器アレイ2600に集光させる(すなわち、光信号の光束密度を高める)1つ以上のOSR光学系2602を含む。OSR光学系2602は、同一の正方形開口非球面小型レンズの正方形アレイを含むことができ、そのそれぞれは、その焦点面に単一のOSR検出器を有する。
狭帯域光フィルタがOSR光学系2602に含まれてもよい。狭帯域光フィルタは、例えば、検出器とは反対側の小型レンズの側に配置された透明な平坦な基板上の多層薄膜干渉フィルタコーティング(例えば、検出器は、小型レンズアレイの一方の側にあってもよく、光学フィルタは、小型レンズアレイの他の側にあってもよい)であってもよく、またはOSR光学系2602の光学面(例えば、前述した正方形開口小型レンズの表面)の1つ以上における1つ以上の多層薄膜干渉フィルタコーティングであってもよい。
狭帯域フィルタに使用される基板材料は、800~900nmの波帯域にわたって高い透過率を有するガラスとすることができる。基板材料の透過率は、任意の波帯に対して高くてもよいことが理解される。いくつかの実施形態では、狭帯域光フィルタ用の基板は、20mm角の開口および1.1mmの厚さを有する。
狭帯域光フィルタは、任意のサイズおよび形状(例えば、必ずしも正方形でない)であってもよく、任意の厚さを有してもよいことが理解される。一例では、狭帯域光フィルタは、850nmの通過帯域の中心波長を含み、入射角0°の通過帯域の幅は、75nmとすることができる。
【0303】
一例では、OSR光学系2602の小型レンズアレイを構成する材料は、波長850nmの屈折率が1.5710のポリカーボネートとすることができる。
アレイ内の各小型レンズの入射瞳の寸法は、2.75mm角とすることができる。
小型レンズアレイの組み合わされた入射瞳の寸法は、16.5mm角とすることができる。0.203mm角の感光領域を有するOSR検出器2600を有するOSR2502のFOVの全幅は、前記検出器が上述した小型レンズの焦点面に位置する場合には3.6°角とすることができる。
いくつかの実施形態では、中心のレンズの厚さは1.850mmである。
6×6レンズアレイにおける各レンズの焦点距離は、3.230mmとすることができる。
レンズの外面から焦点面までの距離は、4.000mmであり、コーティングされていないレンズ(狭帯域光フィルタ損失を含んでも含まなくてもよい)の帯域内光効率は、0.8939とすることができる。
【0304】
OSR検出器または検出器アレイ2600は、OSR光学系2602によって提供される集光された光信号を電気信号に変換することができる。OSR電力およびクロック信号電子機器2702は、OSR検出器または検出器アレイ2600が適切に機能するために必要な電力および/またはクロック信号を提供することができる。OSR電力およびクロック信号電子機器2702によって供給される電力およびクロック信号は、制御入力ポート2612(
図26を参照)を介してユーザまたはユーザの装置から受信した入力に基づいて制御入力電子機器2704によって制御される。OSR検出器または検出器アレイ2600の出力は、OSR増幅器およびフィルタ2706によって増幅およびフィルタリングされることができる。前記フィルタリングは、例えば、SNRを改善するための帯域通過フィルタリングを含むことができる。増幅されてフィルタリングされた信号は、OSRフォーマット変換器2708によってそのフォーマットが便利な形式に変換されることができる。例えば、OSRフォーマット変換器2708は、電気信号パルスをデジタルメモリに記憶するとともにエラー訂正を実行するのに適したデジタル形式に変換することができる。
【0305】
OSRフォーマット変換器2708は、受信した光信号が暗号化されていれば復号を実行することもできる。OSRメモリ2710は、OSRフォーマット変換器2708からデータを受け取り、そのデータをデジタルメモリに記憶することができる。OSRメモリ2710に記憶されたデータは、OSRデータ出力ポート2614を介して出力され、前記出力は、制御入力ポート2612を介して受信されたコマンドに基づいて制御入力電子機器2704によって制御される。制御入力電子機器2704はまた、制御入力ポート2612を介して受信されたコマンドに基づいて、OSR増幅器およびフィルタ2706ならびにOSRフォーマット変換器2708の動作を制御する。
【0306】
図27のOBR2510は、1つ以上のOTA(例えば、OTA800)によって送信された光ビーコンを受信し、前記ビーコンを電気信号に変換することができる。電気信号を分析することにより、ORA2500は、光ビーコンの存在を検出し、前記光ビーコンを送信するOTAのOBRのFOVに対する水平および垂直角度位置を推定し、前記OTAを動作させるまたはそれに関連付けられたエンティティを識別する情報を抽出することができる。本明細書で説明されるように、OBR2510は、光ビーコン光束をOTAから1つ以上のOBR検出器アレイ2608に集光させる(すなわち、光ビーコンの光束密度を高める)1つ以上のOBR光学系2610を含むことができる。OBR光学系2610は、それぞれがその焦点面に単一のOBR検出器アレイ2608を有する1つ以上の結像レンズから構成されることができる。
1つ以上の狭帯域光フィルタがOBR光学系2602に含まれてもよい。そのような狭帯域光フィルタのそれぞれは、例えば、それが関連する検出器アレイとは反対側のOBR結像レンズの側面に配置された透明な平坦基板上の多層薄膜干渉フィルタコーティング(例えば、各検出器アレイは、その関連する結像レンズの一方の側にあってもよく、光学フィルタは、結像レンズの他方の側にあってもよい)であってもよく、またはOBR光学系2610の1つ以上の光学面(例えば、上述した結像レンズのそれぞれの1つ以上の光学面)の1つ以上の多層薄膜干渉フィルタコーティングを備えてもよい。
狭帯域フィルタに使用される基板材料は、800~900nmの波帯域にわたって高い透過率を有するガラスとすることができる。基板材料の透過率は、任意の波帯に対して高くてもよいことが理解される。いくつかの実施形態では、各狭帯域光フィルタ用の基板は、直径6mmの円形開口および厚さ0.5mmを有する。狭帯域光フィルタは、任意のサイズおよび形状(例えば、必ずしも正方形でない)であってもよく、任意の厚さを有してもよいことが理解される。一例では、狭帯域光フィルタは、850nmの通過帯域の中心波長を含み、入射角0°の通過帯域の幅は、75nmとすることができる。
【0307】
図27を参照すると、OBR検出器アレイ2608は、OBR光学系2510によって提供される集光された光ビーコンを電気信号に変換することができる。OBR電力およびクロック信号電子機器2712は、OBR検出器アレイ2608が適切に機能するために必要な電力および/またはクロック信号を提供することができる。OBR電力およびクロック信号電子機器2712によって供給される電力およびクロック信号は、制御入力ポート2612を介してユーザまたはユーザの装置から受信された入力に基づいて、制御入力電子機器2704によって制御されてもよい。
【0308】
OBR検出器アレイ2608の出力は、OBR増幅器およびフィルタ2714によって増幅されてフィルタリングされることができる。前記フィルタリングは、例えば、SNRを改善するための帯域通過フィルタリングを含むことができる。そして、増幅されてフィルタリングされた信号は、OBRデータプロセッサ2716に入力されることができ、光ビーコンを検出するために必要な処理を実行し、光ビーコンを送信したOTAのOBRのFOV内の水平および垂直角度位置を判定し、ビーコンからの識別情報を抽出することができる。
【0309】
OBRデータプロセッサ2716は、任意数のプロセッサ(例えば、物理的または仮想的)であってもよく、またはそれらを含んでもよい。
OBRデータプロセッサ2716は、例えば、OBRがそれらを検出することを可能にするために光ビーコンに含まれる1ビットおよび0ビットのパルスの特定のバイナリシーケンス(例えば、0010110001000011101)であるビーコンヘッダコードについてのOBR検出器アレイ2608内の各検出器によって生成された時間の関数として電気信号出力を探索することによって光ビーコンを検出することができる。
【0310】
いくつかの実施形態では、光ビーコンが検出されると、OBRデータプロセッサ2716は、前記ビーコン生成する電気信号のOBR検出器アレイ内の位置からOBR光学系のFOV内の前記光ビーコンの水平および垂直角度位置を推定することができる。OBR光学系2610は結像光学系であるため、OBR検出器アレイにおいて電気信号が生成される水平および垂直位置と、前記電気信号が生成される光ビーコンのOBRのFOV内の水平および垂直角度位置との間の直接的なマッピングが存在することができる。OBRデータプロセッサ2716は、検出された光ビーコンに対応する電気信号におけるビーコンヘッダコードに続く1ビットおよび0ビットパルスのシーケンスを受信してデジタル形式で記憶することにより、前記検出された光ビーコンから識別情報を抽出することができる。識別情報が暗号化されると、OBRデータプロセッサ2716は、識別情報を復号することができる。OBRデータプロセッサ2716はまた、識別情報に対する誤り訂正を実行するとともに、それをデジタルメモリに記憶するための便利なフォーマットに変換することもできる。OBRデータプロセッサによって生成された結果は、デジタル形式でOBRメモリ2718に記憶されることができる。OBRメモリ2718に記憶されたデータは、OBRデータ出力ポート2616を介して出力されることができ、前記出力は、制御入力ポート2612を介して受信されたコマンドに基づいて制御入力電子機器2704によって制御される。制御入力電子機器2704はまた、制御入力ポート2612を介して受信されたコマンドに基づいて、OBR増幅器およびフィルタ2714ならびにOBRデータプロセッサ2716の動作を制御する。
【0311】
いくつかの実施形態では、ORA2500によって検出されて受信された光ビーコンから得られた識別情報ならびに水平および垂直位置情報は、そのユーザが1つ以上の関心のあるOTAを選択し、次いでユーザに関心のない他のOTAからではなくそれらのOTAからの光信号を受信することを可能にすることができる。そのような場合、受信した識別情報は、ユーザが1つ以上の関心を選択することを可能にするために検出されたOTAの十分な知識を(例えば、検出されたOTAに関する情報の表示によって)ユーザに提供することができる。
【0312】
そして、関連するOTAがOSR2502のFOV内に位置するまで、手動でまたはチルトアクチュエータを用いてORA2500を最初に傾けることにより、関心のある所与のOTAからの光信号が受信されることができ、OTAをOSRのFOV内に入れるために、正しい水平および垂直量だけORAを傾けるように前記OTAの光ビーコンから以前に取得した位置決め情報が使用されることができる。関心のあるOTAがOSRのFOV内に配置されると、制御入力ポート2612を介してユーザによって発行されたコマンドは、ORAにそのOTAによって送信された光信号からの情報を抽出して記憶させ、OSRデータ出力ポート2614を介して出力されることができる。
【0313】
OTA800と同様に、ORA2500は、制御入力ポート2612を介してORA2500に入力を提供する有線または無線接続によってコンピューティングデバイス(例えば、ノートブックコンピュータまたはスマートフォン)とインターフェースされることができ、OSRデータ出力ポート2614およびOBRデータ出力ポート2616を介してORA2500からの出力を受け入れることができる。このコンピューティングデバイスにインストールされたソフトウェアは、ユーザがORA2500を動作させるおよび/または制御することを可能にすることができる。例えば、ユーザは、受信されたデータファイルをダウンロードすることができるとともに、信号フィルタリングパラメータ、使用される誤り訂正方法、および他の様々なレシーバ動作パラメータを指定することができる。
【0314】
いくつかの実施形態では、ORA2500とインターフェース接続されたコンピューティングデバイスは、任意のデジタル装置であってもよい。
本明細書で説明されるように、デジタル装置は、プロセッサおよびメモリを有する任意の装置である。
コンピューティングデバイスは、(例えば、USBポートを介して)ORA2500からデータを受信することができる。
【0315】
図28Aは、ORA2500によって光信号を受信するプロセスを示すフロー
図2800である。
ステップ2802において、OSR光学系2602は、そのFOV内に位置するOTAから光信号を集光し、光信号をOSR検出器または検出器アレイ2600に集光させる。
OSR光学系2602は、帯域外光学放射(例えば、太陽光、人工光源など)を減衰させることによってSNRを改善するための光学狭帯域フィルタを含むことができる。
【0316】
ステップ2804において、OSR検出器または検出器アレイ2600は、集光した光信号を電気信号に変換する。
【0317】
ステップ2806において、OSR増幅器およびフィルタ2706は、OSR検出器または検出器アレイ2600から出力された電気信号を増幅および/またはフィルタリングする。フィルタリングは、例えば、信号帯域外の電気ノイズを除去するための帯域通過フィルタリングを含むことができる。
【0318】
ステップ2808において、OSRフォーマット変換器2708は、増幅されてフィルタリングされた信号を、都合のよいデジタルフォーマットに変換する。このステップ中に、誤り訂正が実行され、元の光信号が暗号化されていれば、信号を復号することができる。
【0319】
ステップ2810において、OSRメモリ2710は、OSRフォーマット変換器2708から出力されたフォーマットされた光信号データを記憶することができる。
【0320】
ステップ2812において、OSRデータ出力ポート2614は、OSRメモリ2710に記憶されたフォーマットされた光信号データをデジタル装置に出力することができる。
【0321】
図28Bは、ORA2500によって光ビーコンを受信するプロセスを示すフロー図である。
ステップ2814において、OBR光学系2610は、そのFOV内に位置するOTAから光ビーコンを集光し、前記光ビーコンをOBR検出器アレイ2608に集光させる。
OBR光学系2610は、帯域外光放射(例えば、太陽光、人工光源など)を減衰させることによってSNRを改善するための光学狭帯域フィルタを含むことができる。
【0322】
ステップ2816において、OBR検出器アレイ2608は、集光した光ビーコンを電気信号に変換する。光ビーコンのこの電気的バージョンは、本明細書では電気ビーコン信号と呼ばれる。
【0323】
ステップ2818において、OBR増幅器およびフィルタ2714は、OBR検出器アレイ2608から出力された電気ビーコン信号を増幅およびフィルタリングする。フィルタリングは、例えば、信号帯域外の電気ノイズを除去するための帯域通過フィルタリングを含むことができる。
【0324】
ステップ2820において、OBRデータプロセッサ2716は、増幅されてフィルタリングされた電気ビーコン信号を処理して光ビーコンを検出し、光ビーコンを送信したOTAのOBRのFOV内の水平および垂直角度位置を判定し、および/またはビーコンからの識別情報を抽出することができる。このステップ中に、誤り訂正も実行され、元の光ビーコンが暗号化されていれば、信号を復号することができる。
【0325】
ステップ2822において、OBRメモリ2718は、電気ビーコン信号から得られたビーコン情報をOBRデータプロセッサ2716によって記憶することができる。
【0326】
ステップ2824において、OBRデータ出力ポート2616は、OBRメモリ2718に記憶されたビーコン情報をデジタル装置に出力する。
【0327】
多くの異なる光学アセンブリ(例えば、1つ以上のレンズ、反射器、フィルタ、および/または他の種類の光学部品の組み合わせ、ならびに1つ以上の光検出器または光検出器アレイ)が本明細書に記載される実施形態とともに利用されることができることが理解される。
図29A~
図34は、OSR2502を含む小型レンズと光検出器との組み合わせの一例、ならびにこの例に対する可能な性能尺度を示している。
【0328】
図29Aは、光線を検出器2900の感光面上に集束させる(すなわち、集光する)小型レンズ2902を介してトレースされたコリメートされた光線の検出器2900およびビームの3次元図である。各検出器2900は、カスタマイズされるかまたは市販されているものであってもよい。
【0329】
図29Bは、小型レンズのアレイ2904の3次元図を示している。小型レンズアレイ2904は、6×6アレイに配置された36個の同一の小型レンズ2902を含む。アレイ2904内の各小型レンズ2902は、両側に非球面の光学面を有する正方形開口非球面小型レンズとすることができる。アレイ内の全ての小型レンズの光軸は、互いに平行である。検出器の正方形の光学的に感応性の表面は、光軸を中心とする各レンズの焦点面に位置する。一例では、小型レンズアレイ2904が構成される材料は、850nmに等しい波長の光に対して1.5710の屈折率を有するコーティングされていないポリカーボネートとすることができる。この例では、アレイ内の各小型レンズの入射瞳は、2.75mm角とすることができる。小型レンズアレイ2904の組み合わされた入射瞳は、16.5mm角とすることができる。各小型レンズの焦点面において光軸に垂直で中心にある0.203mm角の感光面を有する検出器を有するこの光学アセンブリを含むOSRのFOVは、3.6°平方とすることができる。
この例では、OSRのFOVを中心とした無限遠点光源に対して検出器の感光面に入射する光線の最大入射角は37°である。
【0330】
一例では、各小型レンズ2904は、各小型レンズの入射瞳孔面積が以下となることができるように側方において2.75mmの正方形入射瞳を含むことができる:
arec=(2.75mm)2=7.5625mm2
【0331】
各小型レンズの入射瞳は、任意の形状(例えば、円形、長円形、矩形、多角形など)および任意のサイズであってもよいことが理解される。
そのため、レシーバ光学系は、任意の入射瞳領域を含むことができる。
【0332】
様々な実施形態では、ORA2500は、6×6アレイの軸対称非球面小型レンズを使用し、そのそれぞれは、その焦点面内に単一の近IR検出器を有する。したがって、この例におけるレシーバ光学系の総数は以下である:
Nrec=36
任意数のレシーバ光学系があってもよく、アレイが必ずしも正方形でなくてもよいことが理解される。
さらに、この例では全ての小型レンズおよび検出器が同じ種類(すなわち、それぞれが同じ特性および能力を有する)とすることができるが、異なる種類の小型レンズの異なる組み合わせを含む任意数の小型レンズであってもよいことが理解される。
同様に、異なる種類の検出器の異なる組み合わせを含む任意数の検出器があってもよい。
【0333】
小型レンズのアレイ2904は、任意のサイズであってもよい。
一例では、小型レンズのアレイ2904は、1辺につき0.5インチであってもよい。
この例では、小型レンズのアレイ2904の各小型レンズ2902は、約0.083インチの幅とすることができる。
【0334】
図30は、光アセンブリにおいて使用されることができる非球面小型レンズ(例えば、小型レンズ2902)の光軸を通る対角線断面(すなわち、正方形の入射瞳の1つの角から反対側の角までとられる)を示している。
光検出器(例えば、検出器2900)の感光面は、焦点面(z=0mm)にあってもよく、光軸の中心にあり、光軸に対して垂直である。
ここで、非球面小型レンズの略平面の側部は、光学検出器から2.15mmから2.20mmの間に位置する。
非球面小型レンズの略凸面側は、小型レンズの頂点において光学検出器から約4mmである。
【0335】
この例では、小型レンズのアレイ2904の組み合わされた入射瞳は、16.5mm角である。
図30のz軸に平行に測定された小型レンズの厚さは、中心で1.85mmであり、正方形小型レンズ開口の隅部で0.718mmである。小型レンズの外側光学面から焦点面までの光軸に沿った距離は約4.0mmである。レンズの焦点距離は以下とすることができる:
f
rec=3.23mm
【0336】
OSR光学系の帯域内光効率は、光学材料および光学表面における反射、透過、および/または吸収損失のために失われるOSRの動作波帯における集光パワーの割合として定義される。コーティングされていない光学面を有する例示的な小型レンズアレイOSR光学系設計の帯域内光学効率は、
ηrec=0.894
光軸に平行なOSR光学系に入射するコリメートされたビームの場合、以下とすることができる:上式で与えられる光効率値は、小型レンズ表面上のARコーティングによって有意に高くすることができる。光効率は、OSRのFOV内の全ての入射伝播方向について略同じであってもよい。
【0337】
図31Aは、例示的な検出器(例えば、
図29Aの検出器2900)の仕様を示している。
一例では、光レシーバに使用される検出器は、OSIオプトエレクトロニクスのPIN-HR008高速Siフォトダイオードである。これらは浸漬されていない検出器であるため、検出器が浸漬される材料(すなわち空気)の屈折率は、
n
det=1
である。
【0338】
この特定のフォトダイオードの最大ビットレートは800MHzであり、量子効率は0.740である。
特異的検出能は4.06×1012cm Hz1/2W-1である。
【0339】
OSIオプトエレクトロニクスのPIN-HR020高速Siフォトダイオードなどの他の検出器を使用することができるが、これに限定されるものではないことが理解される。
いくつかの実施形態とともに使用される他の検出器は、任意の最大ビットレート、量子効率、特定の検出率、および活性領域を有することができる。
【0340】
図31Bは、PIN-HR008検出器のスペクトル応答のプロットを示している。スペクトル応答は、伝送スペクトルよりも広い。この理由から、光レシーバは、伝送されたスペクトル領域の外側からのバックグラウンド放射が検出器ノイズに寄与するのを防ぐために、光帯域通過フィルタを使用することができる。
【0341】
図31cは、バックグラウンド放射に起因する検出器ノイズを低減するためにPIN-HR0080検出器とともに使用されることができる例示的な光帯域通過フィルタのスペクトル応答のプロットである。
図31aに示すように、検出器の活性領域は、幅がΧ
det=0.203mmの正方形である。したがって、各検出器は、
a
det=(0.203mm)
2=0.041209mm
2
の活性領域を有する。
【0342】
図32は、ミリメートル単位の寸法を有するPIN-HR0080検出器を使用するフォトダイオードアレイ(例えば、小型レンズ2904とともに使用するための検出器アレイ)の図である。これらの検出器のそれぞれは、
図31Aに示された検出器と同じであるが、金属ハウジング内に単独で搭載される代わりに、それらは全て単一の基板上にともに取り付けられる。
【0343】
図33は、光トランスミッタ(例えば、
図9のOTA800)からの入射ビームがOSRのFOV上に中心合わせされるとき、OSR光学系として
図29Bの小型レンズアレイを使用してOSRの単一の検出器(例えば、
図32の検出器アレイにおける検出器の1つ)上に生成される照度分布を示している。この分布の幅は、検出器の活性領域の0.203mm幅よりもはるかに小さいため、入射ビームがOSRのFOVの中心に置かれたとき、各レンズの焦点面に転送された光束の100%が活性領域に入射することができる。
【0344】
様々な実施形態では、OSRのFOVの全幅は、
式
から計算されることができる。
ここで、x
detは正方形検出器の幅であり、f
recはOSR光学系の焦点距離である。
【0345】
検出器の幅とレシーバの焦点距離を先の式に代入すると、
を与える。
【0346】
図34は、透過ビームがFOVの中心に対して1.8°の角度(すなわち、OSRのFOVの幅の半分)で入射するとき、単一の検出器上に生成される照度分布を示している。入射ビームがFOVの中心にある場合よりも分布が広いが、その幅は、検出器の活性領域の幅に対して依然として小さい。
【0347】
例示的な検出器の外部量子効率は以下のとおりである。
QEdet=0.74
【0348】
【0349】
OSR光学系2602およびOBR光学系2610の光学系は、任意数の光学部品を含むことができる。
OSR光学系2602およびOBR光学系2610の光学部品は、屈折、反射および/または回折を利用することができる。
【0350】
図29Aに示すように、各小型レンズ2902がその焦点面に検出器2900を有する、
図29Bの小型レンズアレイ2904を含む例示的なOSR2502のエタンデュ分析は、以下のとおりである。検出器アレイ内の単一の検出器のエタンデュは、以下の式によって与えられる:
ここで、a
detは、単一の検出器の面積であり、n
detは、検出器が浸漬される材料の屈折率であり、θ
detは、その表面法線に対して検出器に入射する光線の最大入射角である。この例では、単一の検出器に対応するOSRのFOVは、角度幅FOV
recを有する正方形である。この角度は90°に対して十分に小さいため、小角度近似を立体角の計算に使用することができる。したがって、この例では、単一検出器レシーバFOVに対応する立体角は、以下のとおりである:
小角度近似のため、投影された立体角は、以下の立体角に等しい:
【0351】
OSR小型レンズアレイの小型レンズの1つのエタンデュは以下のとおりである:
ここで、a
recはその入射瞳面積である。検出器エタンデュを小型レンズエタンデュと等しく設定してa
recを解くと、以下の結果を与える:
【0352】
量a
rec,maxは、効率的な光束移動を得ることができることが可能なレシーバ光学系の1つの最大許容入射瞳領域を表す。最大許容総結合レシーバ入射瞳面積は、以下のとおりである:
ここで、N
recは、小型レンズアレイ内の小型レンズの総数である。OSR小型レンズアレイの総結合入射瞳面積の所望値A
recが与えられた角度θ
detの最小許容値θ
det,minおよび他のOSRパラメータの値は、以下のように計算されることができる:
【0353】
この例の検出器は正方形であるため、検出器の有効領域の各辺の幅は以下のとおりである:
【0354】
OSR光学系からの距離rに位置するOTAから送信された1ビットの間にOSR光学系の入射瞳に生成される信号強度(W/sr単位)は、以下のとおりである:
ここで、I
transは、OTAからOSR光学系まで視線に沿ってOTAによって生成される理想的な無損失(すなわち、理想的ではないコーティングおよびOTA光学系で使用される光学材料による反射、透過および吸収損失を含まない)出射強度である。理想的な無損失強度I
transは、理想的ではない光学材料およびコーティングによる損失がOTA光学系の光学効率η
transによって計算されるため、上式で使用される。上式における関数T
atmos(r)は、伝播経路に沿った帯域内大気透過率である。大気中の吸光係数a
atmosで大気透過率を特徴付けると、上式は以下のようになる:
【0355】
OSR小型レンズの1つの入射瞳によってOTAで定められた立体角は、以下とすることができる:
【0356】
OTAがOSRのFOV内にある場合、単一の1ビットの送信中にOSR検出器の1つに入射する光パワーは、以下とすることができる:
ここで、n
recは、理想的ではない光学材料およびコーティングの影響を含むOSR光学系の光学効率である。OSR光学系の収差は、OTAの角度位置がOSRのFOV内にある場合に、単一の小型レンズの入射瞳に入射する送信されたパワーの全てが単一のOSR検出器に当たるように、十分に低くすることができる。単一の1ビットの送信中にこの検出器上に堆積される総信号エネルギは、単に光パワーのビット持続時間τ倍とすることができる:
【0357】
この検出器で生成される信号電子の対応する数は、以下とすることができる:
ここで、QE
detは、検出器の外部量子効率であり、hはプランク定数であり、cは光速であり、λ
cはOSR波帯の中心波長である。ビット持続時間τは、送信された光パルスの変調デューティサイクルn
modを送信ビットレートBで除算したものとして表現することができる。上記の結果として、以下のとおりである:
【0358】
1ビットの信号電子による単一の検出器で生成される光子ノイズの標準偏差は、信号電子数の平方根である。この例では、この光子ノイズの標準偏差は、以下とすることができる:
【0359】
バックグラウンド放射のために単一のOSR検出器に入射する光パワーは、以下とすることができる:
ここで、L
backはスペクトルバックグラウンド放射輝度であり、Δλは光波帯であり、Ω
recはOSRのFOVに対応する立体角である。1つの積分時間中に収集される対応するエネルギは、以下とすることができる:
【0360】
ここで、τ
intは積分時間であり、ビットレートBの観点から以下のように表すことができる:
【0361】
【0362】
1つの積分時間の間に1つの検出器におけるバックグラウンド放射によって生成される電子の対応する数は、以下とすることができる:
【0363】
【0364】
バックグラウンド放射に起因する光子ノイズの標準偏差は、e
backの平方根をとることによって得られる:
【0365】
検出器のノイズは、D-starの値によって特徴付けることができる。検出器の電気的帯域幅は、ビットレートの半分である:
【0366】
D-starの定義から、1つのOSR検出器のノイズ等価パワーは以下のようになる:
ここで、Dstar
detは、レシーバの各検出器のD-star値である。1つの積分時間中に生成される検出器-ノイズ電子の標準偏差は、以下のとおりである:
【0367】
ビットレートBはτ
intの逆数であるため、結果は以下のようになる:
【0368】
上記の3つのノイズ源は全て統計的に独立している。したがって、合成されたノイズ分散は、別個のノイズ源の分散の和に等しくなる。1ビットの場合、1つの検出器で生成される合成ノイズは、以下とすることができる:
【0369】
0ビット中に生成された対応する合成ノイズは、0ビット中に光パワーが伝送されないため、送信信号によって生成される光子ノイズからの寄与がないことを除き、1ビットの場合と同じである。したがって、0ビット中の1つの検出器における合成ノイズは、以下とすることができる:
【0370】
OSRの各検出器のノイズの統計的独立性を呼び出すと、これらのN
rec検出器の合成ノイズは:
送信された1ビットについては、以下とすることができ、
送信された0ビットについては、以下とすることができる。光レシーバの信号対ノイズ比は、合成された1ビット信号レベルを合成された1ビットノイズレベルで除算したものとして定義される:
これは、以下に簡略化する:
【0371】
光レシーバのソフトウェアは、所定のビットが0ビットであるか1ビットであるかを判定するために閾値を使用することができる。この目的のために、以下の閾値レベルを使用することができる:
【0372】
様々な実施形態では、光レシーバによって1つの積分時間の間に受信された合成信号がこの閾値以上である場合、受信ビットは1ビットとみなされる。それ以外の場合、受信ビットは0ビットとみなされる。ここで閾値レベルを使用することにより、ビットエラー確率が1ビットの場合と0ビットの場合で同じであり、ビットエラー確率全体ができるだけ低いことが保証される。ビット誤り確率は、以下のとおりである。
ここで、P
cnorm(x,μ,σ)は、平均μと標準偏差σの累積正規確率分布である。この式は、ビットエラー確率が所望の値に等しい理想的な(すなわち無損失の)強度の関数として通信範囲r
comm(I
trans)を得るために数値的に解くことができる。
【0373】
前述したように、本開示の様々な実施形態は、光ビームを合成するか、またはタイリング(tiling)することを想定している。光ビームのタイリング(光ビーコンであろうと信号であろうと)は、エネルギ効率が良い(他の種類の通信、例えばRFベースの通信よりも10から100倍程度効率が高い)光伝送をもたらす。これは、タイル状の光ビームを構成する各光ビームのエネルギが非常に均一な強度で且つ実質的に「漏洩」を最小限に抑えながら、特定の幾何学的形状に集中または集束させることができるためである。したがって、そのような集束された非常に均一な光ビームのタイリングは、特定の所望の領域に集束される光エネルギをもたらす。これは、サイドローブによるエネルギの浪費をもたらす例えばRFアンテナの放射パターン、および不要な角度領域への光の照射によるエネルギの浪費をもたらす従来の光伝送とは対照的である。例えば、店舗の所有者は、見込み客が集まる可能性がある店舗周辺の角張った地域-歩道、街路、公園など-に店舗に関する情報を伝送したい場合がある。同時に、顧客が集まる可能性が低い不要な地域-路地や近くの空き地など-に情報を伝送するエネルギを浪費したくない場合がある。
【0374】
光ビームのタイリングはまた、非常に直接的な光伝送をもたらす。やはり、様々な実施形態にかかる光ビームのタイリングは、実質的に重複しないまたは漏洩しないように、2つ以上の光ビームをほとんど合成することができないようにしている。さらに、タイル状の光ビームは、高い光束密度を有する無数の異なる矩形または他の形状の構成で構成されることができ、光ビームが光トランスミッタから所望の距離に投射されることができるように伝送エネルギが調整されることを可能にする。
【0375】
本開示に開示されるような光ビームタイリングを完全に理解するために、インコヒーレント(すなわち、非レーザ)光ビームを生成する光トランスミッタの観点からこの特徴の背後にある物理学を説明することが有用である。光伝播の物理的性質により、光軸に垂直な平面上で測定された位置の関数としての光ビーム放射照度(すなわち、単位面積あたりの光パワー、ワット/mm2)は、一般に、光トランスミッタのアパーチャから異なる距離で異なっている。
【0376】
図35Aは、この現象の例を示している。OTA3500は、出射ビーム3502がOTA3500から進行または伝播するにつれて分散する出射ビーム3502を出射するように示されている。異なる距離における光ビーム放射照度がどのように異なるかを示すために、3つの(実数または虚数)面(面1、2、および3)が
図35Aに示されている。光ビームの放射照度は、位置の関数であり、ビームがOTAからより長距離まで伝播するにつれてこの例のビーム幅は増加することから、出射ビーム3502がOTA3500から遠くに進むにつれて、光ビーム放射照度は、対応して減少することを理解することができる。
【0377】
図35Bは、遠距離場光ビーム放射照度に関する位置および放射照度スケーリングの例を示している。
図35Aと同様に、OTA3500は、出射ビーム3502がOTA3500から伝播するにつれて分散する出射ビーム3502を伝送するように示されている。光ビーム放射照度が異なる距離でどのように変化するかを同様に示すために、他の3つの(実数または虚数)面(面A、B、およびC)が
図35Bに示されている。しかしながら、遠距離場光ビーム放射照度の場合、すなわち、測定面が光トランスミッタの射出瞳、例えばOTA3500から十分に離れているとき、測定された光ビーム放射照度分布は、位置スケーリングファクタおよび放射照度スケーリングファクタを除いて同一である。位置スケーリングファクタは、伝播距離に比例するのに対して、放射照度スケーリングファクタは、伝播距離の二乗に反比例する。これがあてはまる測定面は、遠距離場にあると言われている。光トランスミッタから遠距離場までの距離は射出瞳直径よりはるかに大きいことを理解されたい。用語「遠距離場(far-field)」は、OTの射出瞳直径と比較してビーム幅が非常に大きい距離または範囲を指すことができることを理解されたい。いくつかの実施形態において、遠距離場は、ビーム幅が射出瞳直径より少なくとも数百倍大きい、好ましくは少なくとも1000倍大きいように、OTから十分に遠い距離を指すことができる。異なる機能的形態を有する(異なる分布を表す異なる形状に反映されている)
図35Aに示される光ビーム放射照度分布とは異なり、
図35Bに示される光ビーム放射照度分布は、縮尺が異なるだけである。
【0378】
図35Cは、角度位置決めの関数としての光ビーム強度の例示的な表現を示している。
図35Cは、
図35Bと同様に、遠距離場で出射ビーム3502を伝送するOTA3500を示している。位置の関数としての光ビーム放射照度(ワット/mm
2)は、角度位置の関数としての強度(ワット/ステラジアン(sr))に変換することができる。角度位置決めは、例えば、水平および垂直角度位置などの2つの角度座標を度単位で指すことができる。例えば、角度位置3504は、OTA3500に対する水平方向または垂直方向の角度位置を指す。この変換の結果は、強度分布が全ての遠距離場測定面において同一である(すなわち、異なる測定面における強度を表すために必要なスケーリングファクタは不要である)という点で興味深い。単位ステラジアンは、それが二次元の角度座標系に使用されることを除いて、面積に類似していることを理解されたい。したがって、
図35Cに示されるように、面A、B、およびCのそれぞれにおける出射ビーム3502の強度は同じである。これは、依存性が角度であり、遠距離場では、平面が何であっても角度がOTに対して一定であることから、強度も一定になることを意味する。
【0379】
図35Dは、光トランスミッタが特定の方向に傾けられているかまたは向けられているときの角度位置の関数としての光ビーム強度の例示的な表現を示している。
図35Dは、出射ビーム3502を遠距離場に伝送するOTA3500を示している。例えば、平面Cにおいて、角度位置の関数としての出射ビーム3502の光ビーム強度は、光ビーム強度分布3506Aとして表される。OTA3500がある角度αだけ傾斜している場合、光ビーム強度分布は、それに対応して同じ量だけ(例えば、度単位で)シフトされる。光ビーム強度分布の形態(形状)は、同じままであることに留意されたい。
図35Dに示すように、角度αだけ(水平または垂直に)OTA3500を傾斜すると、光ビーム強度分布3506Bによって表されるように、光ビーム強度のシフトをもたらすが、強度分布の形状は同じままである。前述したように、光ビーム強度分布は、角度位置の関数として角度αのシフトを得るのみである。
【0380】
図36Aは、特定の矩形角度領域内で一定の強度を有する光ビームを出射するOTAからの単一の角度座標の関数としての例示的な光ビーム強度分布を示している。OTA(図示せず)は、遠距離場において、光ビームが矩形角度領域内で一定の強度を有するように光ビームを形成する(上述し且つ以下に詳細に説明する)。前述したように、OTAは、エネルギの全部/大部分が全くまたは少なくとも最小の漏洩なく矩形領域内に集束するように強度/光束密度を集中させるように様々な実施形態にしたがって構成されることができる。したがって、水平光ビーム強度分布3600のプロットは矩形を有し、特定の角度範囲内では一定の強度であり、この角度範囲外では強度がゼロ値であるか、または一定の強度の所望の矩形角領域外では少なくとも比較的非常に低い値であることを反映して急激に低下している。
【0381】
図36Bは、別の観点から、すなわち、2つの角度方向(水平および垂直)の関数として、
図36Aの例示的な光ビーム強度分布を示している。出射ビームの強度は、矩形の角度領域3602内では一定であり、領域3602の外側ではエネルギが存在しない、または実質的に存在しない(すなわち、強度ゼロ)。領域内の強度のレベル/均一性(または領域外の実質的な欠如)は、使用されているOT/OTAの品質および/または設計に応じて変化することができることを理解されたい。例えば、より良好で、より最適に設計されて製造されたOTは、矩形領域内でより均一な強度を達成することができ、矩形(または所望の)領域外の不要なエネルギをより良好に低減することができる。光ビームがいったん遠距離場まで伝播すると、対応する角度領域の強度は、ビームが地球の大気のような不均一媒体を伝播しない限り、それほど均一ではなくなり得ないことも理解されたい。そのような不均一媒体では、乱流が強度の均一性に影響を及ぼし、強度分布に時間的および空間的な変動をもたらすことがある。これはあてはまるかもしれないが、強度の均一性の実際的な減少は、この種の光通信システムに使用されると予想される伝播範囲(例えば、数百メートル)にわたって典型的な大気条件下では最小であるため、ここでの乱流の影響は無視できる。
【0382】
図37A~
図37Bは、複数のOTAからの例示的な光ビーム強度分布を示している。例えば、
図37Aは、2つの出射ビームの強度分布、すなわち(第1のOTAからの)光ビーム強度分布3700Aと(第2のOTAからの)光ビーム強度分布3700Bとを合成することによって生成される水平角度位置座標の関数としての光ビーム強度分布を示している。第1および第2のOTAは、それらの各光軸が異なる方向、例えば水平に傾けられて(遠距離場距離に対して)互いに近くに配置されることができる。さらに、第1および第2のOTAは、同じ伝送特性、例えば伝送電力、ビーム形成特性などを有することができる。その結果、光ビーム強度分布3700Aおよび3700Bは、遠距離場において同じ強度分布を有するが、第1および第2のOTA間の傾斜角の相対的な差に相応して、この場合には水平方向にシフトされる。
【0383】
図37Bは、別の観点から、すなわち、2つの角度方向(水平および垂直)の関数として、
図37Aの例示的な光ビーム強度分布を示している。2つの出射ビームによって生成された合成強度分布は、2つの矩形角領域3702Aおよび3702Bの外側では、強度がゼロ、または少なくとも比較的非常に低い強度であり、矩形角領域3702Aおよび3702Bの内側では一定である。
【0384】
別の例として、
図38Aは、様々な実施形態にかかる、合成されるかまたはタイリングされる2つの出射ビームから生じる水平角度位置座標の関数としての光ビーム強度分布を示している。この例では、2つの矩形出射ビームが合成されて、光ビーム強度分布3800Aと光ビーム強度分布3800Bとからなるタイル状の光ビーム強度分布3800が形成される。ここで、第1のOTAと第2のOTAとの間の傾斜の角度差(例えば、水平傾斜)は、単一の出射ビームの水平幅に等しく、その結果、同じ垂直幅を有しながら、第1および第2のOTAの出射ビームの一方の「オリジナル」の水平幅の2倍の光ビーム強度分布を有するタイル状の光ビームが得られる。しかしながら、垂直幅は、
図38Aには示されていない。第1および第2のOTAのそれぞれからの各出射ビームは、矩形の遠距離場角領域内で完全にまたはほぼ完全に分布した一定の強度を有することから、光エネルギは、その領域の外側では失われないかまたは浪費されない。さらに、この一定の強度および効率のレベルは、出射ビームが互いに隣接することを可能にし、その結果、所望の累積強度/パワーを有するように成形されることができるタイル状の光ビームがもたらされる。
【0385】
図38Bは、
図38Aの例示的な光ビーム強度分布が2つの角度位置座標(水平および垂直)の関数として一定の強度値を有する矩形角度領域を示している。特に、第1および第2のOTAは、タイル状のビームを生成するように合成される2つの同一の出射強度分布のうちの一方の水平幅に等しい方向の差で、異なる方向に向けられ/傾斜されることができる。出射ビームの強度は、矩形角度領域3802の外側では、強度がゼロ、または非常に低い強度であり、矩形角度領域3802の内側では一定である。矩形角度領域3802は、第1および第2のOTAによってそれぞれ生成された2つのより小さな矩形角領域3802Aおよび3802Bの合成からなる。矩形角領域3802Aと3802Bとの間の境界は、それらの間の破線として示されている。
【0386】
OTAが水平方向および/または垂直方向のいずれかに向けられるかまたは傾斜される方向を調整することによって、および複数の同一のOTAを使用することによって、単一のOTAによって生成される出射ビームの水平および垂直ビーム幅の任意の整数倍を有するタイル状の光ビームが生成されることができる。
図39は、そのようなタイル状の光ビーム3900の例を示している。この例では、タイル状の光ビーム3900は、遠距離場においてそれぞれの光ビームが光ビーム出力強度分布3900A~3900Fを生成するような方向にそれぞれ傾けられた/向けられた6つのOTAによって出射される6つの光ビームの合成である。理解されることができるように、タイル状の光ビーム3900は、6つのOTAのうちの1つによって出射される任意の単一の光ビームの水平方向の3倍および垂直方向の2倍の幅である。
【0387】
図39には示されていないが、光ビーム強度分布3900A~3900Fをもたらす各光ビームは、単一のOT(光源およびビーム形成光学系)から出射される変調光ビームの結果であり得ることが理解されよう。例えば、光ビーム3900Aは、(
図9の)光源922およびビーム形成光学系924の出射とすることができる。残りの光ビームは、同じ動作/光学特性を有する他のOTから出射されることができる。
【0388】
図40Aは、OT902(
図9)の1つの実施形態とすることができる例示的な光トランスミッタ4000を示している。光トランスミッタ4000は、特定の寸法、例えば、高さ約25mm、幅25mm、および長さ50mmを有することができる。光トランスミッタ4000は、光軸4002を有する直径20mmの円形の射出瞳を有することができる。例えば
図39に示すように、これらの例示的な光トランスミッタ4000のうちの複数のものを組み合わせて使用してタイル状の光ビームを生成することができる。
【0389】
図40Bは、光トランスミッタ4000によって伝送されることができる例示的な出射ビーム4004を示している。
図40Bは、遠距離場における出射ビーム4004を示している。例えば、出射ビーム4004の伝播範囲は、約200mである。前述したように、遠距離場において、様々な実施形態にしたがって構成/動作する光トランスミッタによって伝送される出射ビームは、幾何学的形状を超える光の分散がほとんどまたは全くない均一強度を有する幾何学的形状とすることができる光ビーム強度分布を有する。これは、
図40Bに示されており、セクション4004Aと呼ばれる出射ビーム4004(光トランスミッタ4000に近い/より近い場合)は、光トランスミッタ4000の射出瞳から伝播するにつれて正方形断面に徐々に遷移する略円形断面(すなわち、光ビーム強度分布)を有することができる。遠距離場「ゾーン」全体を通して、出射ビーム4004は、この例では、8度の正方形角度領域の内側で均一強度を有する正方形断面を維持する。約200mで、出射ビーム4004は、前述の断面を有することができることが理解されよう。この場合、寸法は28m×28mである。光ビームの強度分布は、角度位置の関数であるのに対して、断面積は、均一な光ビームの幾何学的形状を指すことを理解されたい。また、OTは、角度位置の関数として特定の強度分布を有する光ビーム(例えば、8度の正方形角度領域内で一定の強度を有する光ビーム)を生成するように設計されてもよいことも理解されたい。
【0390】
1つの実施形態によれば、均一で幾何学的形状(例えば、正方形)の出射ビームは、よくコリメートされた光ビーム(すなわち、狭いビーム幅を有する光ビーム)を構成することによって生成されることができる。いくつかの実施形態では、それは、ワイングラスコリメータを使用して(前述したように)達成することができる。しかしながら、幅が狭いにもかかわらず、ワイングラスコリメータの出射は、非常に均一でも非常に正方形でもない。ワイングラスコリメータのコリメートされた出射を均一な正方形ビームに変換するために、1つの実施形態では、2つの同一の正方形レンズレットのアレイを使用することができる。2つの同一アレイを構成する正方形レンズレットは、ペアで機能する。第1の正方形レンズレットアレイ(すなわち、ワイングラスコリメータに最も近い正方形レンズレットアレイ)における各正方形レンズレットは、第2の正方形レンズレットアレイ内の単一の対応するレンズレット(すなわちワイングラスコリメータから最も遠い正方形レンズレットアレイ)と整合し、各ペアの2つの整合した正方形レンズレットは、相互の光軸を共有している。各ペアの第2の正方形レンズレットは、第1のレンズレットのアパーチャから無限遠まで(すなわち、遠距離場まで)光を結像する。無限遠(すなわち、遠距離場)への結像は、正方形レンズレットの各ペアを1つの焦点距離だけ離すことによって達成される。各(第1の)レンズレットのアパーチャは、正方形であるため、各第1のレンズレットのアパーチャの遠距離場像は正方形である。したがって、正方形の出射ビームは、各正方形レンズレットペアによって生成される。さらに、各レンズレットの光軸は、他のレンズレットの各光軸と平行であるため、これら全ての画像は、遠距離場内で正確に重複する。全ての正方形レンズレットペアからの正確に重複する正方形遠距離像が互いに平均化されると、平均化が正方形領域内で極端に均一な強度を生み出すという事実と相まって、第1の各正方形レンズレットは、そのアパーチャにわたってかなり均一に照射されることから、正方形角領域内での照射の極端な均一性が達成されることができる。これは、正方形角度領域などの所望の領域内で均一な強度を生成する方法の一例にすぎないことに留意されたい。例えば、狭いビームを達成するために異なるコリメータを使用することができる。そのようなビームがどのように生成されるかにかかわらず、非常に直接的な光伝送を形成しながら、エネルギを無駄にすることなく、光エネルギが特定の所望の領域に集束されるように、光ビームは続いてタイリングされる。
【0391】
図41Aは、2つの光トランスミッタ4100Aおよび4100Bが互いに近接して配置されているが、互いに対して傾斜しているまたは向けられている多重光トランスミッタ構成の例を示している。この例では、光トランスミッタ4100Aおよび4100Bは同一である。したがって、光トランスミッタ4100Aおよび4100Bから伝送されている光ビームもまた、同一の特性を有する。光トランスミッタ4100Aおよび4100Bの各光軸(すなわち、光軸4102Aおよび4102B)は、互いに対して8度ずれて傾斜しているかまたは位置決めされている。
図41Aは、基準線4103Aに対して+4度の傾斜を有する光トランスミッタ4100A、および基準線4103Bに対して-4度の傾斜を有する光トランスミッタ4100Bとしてこれを示している(ここで、基準線4103Aおよび4103Bは互いに平行である)。したがって、OTは、角度位置の関数として特定の強度分布を有する光ビーム(例えば、8度の正方形角度領域内で一定の強度を有する光ビーム)を生成するように設計されることができるため、OTは、遠距離場において、光ビームがタイル状に並べられることができるように位置決めされることができる。すなわち、結果として生じる光ビームが、それらがある所望の形態で互いに隣接するように位置決めされることができる。
図41Aは、光トランスミッタ構成の平面図を表すことに留意されたい。
【0392】
いくつかの実施形態では、光トランスミッタは、必ずしも同じまたは類似の光ビームを出射する必要はない。これは、ユーザ/システムによって所望される結果として得られるタイル状の光ビームの特性に依存することができる。例えば、1つの実施形態では、異なる光ビームが異なる角度領域に/異なる角度領域内に伝送されるように、異なる光トランスミッタまたは非類似の光ビームを出射するように構成された光トランスミッタがタイリングされることができる。例えば、8度の垂直×4度の水平の光ビームは、12度の水平幅×8度の垂直幅のタイル状の光ビームを生成するように8度の正方形の光ビームによってタイリングされることができる。いくつかの実施形態では、光トランスミッタ4100Aからの光ビームの強度が光トランスミッタ4100Bから出射される光ビームの強度よりも大きい場合の光ビームの強度(例えば、
図41B)である。これは、1つ以上の他の光ビームに対する1つ以上の光ビームの「到達範囲」を効果的に増大させることができる。それは、ある角度領域が他の角度領域と比較してより近い範囲内に光レシーバを有することが期待される状況において有用であり得る。
【0393】
図41Bは、光トランスミッタ4100Aおよび4100Bからの各出射ビームからなる矩形の光ビームを有するものとして、遠距離場において得られるタイル状の光ビーム4104を示している。各光トランスミッタ4100Aおよび4100Bの出射ビームは、互いに対して8度ずれており、各出射ビームは、8度の正方形角度範囲を有する。したがって、結果として得られるタイル状の光ビーム4104は、重複することなく互いに隣接する2つの出射ビームを含む。
【0394】
図42Aは、3つの光トランスミッタ4200A~Cが互いに近接して配置されているが、互いに対して傾斜しているまたは向けられている多重光トランスミッタ構成の別の例を示している。この例では、光トランスミッタ4200A~Cは同一である。したがって、各光トランスミッタ4200A~Cから伝送されている光ビームもまた、同一の特性を有する。光トランスミッタ4200Aおよび4200Bの各光軸(すなわち、光軸4202Aおよび4202B)は、互いに対して8度のオフセットで水平に傾斜している。
図42Aは、互いに平行な基準線4203に対して-4度の傾斜を有する光トランスミッタ4200Aと、互いに平行な基準線4203に対して+4度の傾斜を有する光トランスミッタ4200Bとしてこれを示している。光トランスミッタ4200Cは、光トランスミッタ4200Bと水平方向に整列している。
図42Aは、光トランスミッタ構成の平面図を表すことに留意されたい。さらに、光トランスミッタ4200Cは、光トランスミッタ4200Aおよび4200Bに対して垂直方向に+8度傾斜している。
図42Bは、光トランスミッタ4200Aと4200Cとの間に生じる8度の傾斜またはオフセットの側面図を示している。説明を簡単にするために、光トランスミッタ4200Bは示されていない。
図42Cは、結果として得られるタイル状の光ビームの斜視図を示している。前述したように、光トランスミッタ4200A~Cからの出射ビームは、最初は非正方形(例えば円形)の光ビーム強度分布を有して伝播し、例えば200mの遠距離場では、タイル状の正方形の光ビーム強度分布に変換されることができる。
【0395】
図43Aは、3つのビーム形成光学系4300A、4300B、および4300Cの斜視図を示している。これらのビーム形成光学系のそれぞれは、ビーム形成光学系1100(
図11)の実施形態とすることができ、この実施形態では、1mm平方の一様ランバート放射器を備える光源から集光する。各ビーム形成光学系は、8度平方の均一な光ビームを生成するように構成されている。ビーム形成光学系4300Aは、4度上方に且つ左方に傾斜し、ビーム形成光学系4300Bは、4度下方に且つ左方に傾斜し、ビーム形成光学系4300Cは、4度下方に且つ右方に傾斜している。
図43Bは、ビーム形成光学系4300A、4300B、および4300Cの正面図を示している。
図43Cは、ビーム形成光学系4300A、4300B、および4300Cを含むビーム形成光学系アセンブリの側面図を示している。ビーム形成光学系4300Cの配向/傾斜位置(4度下方に且つ右方に傾斜している)は、この図では見えないことに留意されたい。
【0396】
図43Dは、光源から一定の距離、この場合には30mmおよび300mmでビーム形成光学系4300A、4300B、および4300Cによって生成された放射照度分布を示している。30mmにおける放射照度分布の表現が4306に示されている。ここで、(ビーム形成光学系4300A、4300B、および4300Cに近い)放射照度分布は、比較的円形である。しかしながら、光ビームが300mmまで伝播するまでに、放射照度分布は、4308に反映されるように形状がより正方形になっている。300mmでは、結果として得られる正方形の放射照度分布は、「ぼやけている」ことを理解されたい。すなわち、放射照度(強度)分布は、正方形領域内では完全に集束されず、すなわち、正方形領域の外側にはエネルギが漏洩している。
【0397】
図43Eは、光源から他の距離、この場合には1mおよび10mでビーム形成光学系4300A、4300B、および4300Cによって生成された放射照度分布を示している。1mおよび10mにおける放射照度分布の表現は、それぞれ、4308および4310に示されている。10m(すなわち、4310)の範囲における放射照度分布は、1m(すなわち、4308)における放射照度分布と比較して、より集束された(すなわち、ぼやけが少ない)正方形形状である。さらに、放射照度分布間のギャップは、1mに対して10mの範囲で狭くなっていることを理解されたい。
【0398】
図43Fに示す100mの範囲では、放射照度分布は、(
図43Dおよび
図43Eに示すようにビーム形成光学系4300A、4300B、および4300Cに近い距離での放射照度分布に対して)非常に鋭い。さらに、互いに対する放射照度分布は、ほとんどまたは全くギャップなく互いに隣接しており、エネルギ損失/漏洩が極めて少ないかまたは全くないという事実を表していることを理解されたい。
【0399】
図44は、本明細書に開示される方法の様々な特徴を実施するために使用されることができる例示的なコンピューティングモジュールを示している。
【0400】
本明細書で使用される場合、用語モジュールは、本出願の1つ以上の実施形態にしたがって実行されることができる所与の機能単位を記載することができる。本明細書で使用される場合、モジュールは、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせの任意の形態を利用して実装されることができる。例えば、モジュールを構成するために、1つ以上のプロセッサ、コントローラ、ASIC、PLA、PAL、CPLD、FPGA、論理コンポーネント、ソフトウェアルーチンまたは他の機構が実装されることができる。実施形態において、本明細書で説明される様々なモジュールは、別個のモジュールとして実装されてもよく、説明された機能および特徴は、1つ以上のモジュールの一部または全部で共有されてもよい。換言すれば、本明細書を読んだ後に当業者にとって明らかなように、本明細書に記載された様々な特徴および機能は、任意の所与のアプリケーションで実施されてもよく、1つ以上の別個のモジュールまたは様々な組み合わせおよび順列の共有モジュールで実装されることができる。機能の様々な特徴または要素は別個のモジュールとして個別に説明または特許請求されることができるが、当業者であれば、これらの特徴および機能が1つ以上の共通ソフトウェアおよびハードウェア要素間で共有されることができ、そのような特徴または機能を実装するために別個のハードウェアまたはソフトウェアコンポーネントが使用されることを必要としないし暗示もしないことが理解される。
【0401】
アプリケーションのコンポーネントまたはモジュールがソフトウェアを使用して全体的にまたは部分的に実装される場合、1つの実施形態では、これらのソフトウェア要素は、それに関して説明される機能を実行することができるコンピューティングまたは処理モジュールで動作するように実装されることができる。そのようなコンピューティングモジュールの1つが
図44に示される。様々な実施形態がこの例示的なコンピューティングモジュール4400の観点から説明される。この説明を読めば、他のコンピューティングモジュールまたはアーキテクチャを使用してアプリケーションをどのように実装するかが当業者にとって明らかになるであろう。
【0402】
ここで
図44を参照すると、コンピューティングモジュール4400は、例えば、デスクトップ、ラップトップ、ノートブック、およびタブレットコンピュータ、ハンドヘルドコンピューティングデバイス(タブレット、PDA、スマートフォン、携帯電話、パームトップなど)、メインフレーム、スーパーコンピュータ、ワークステーションもしくはサーバ、または所与のアプリケーションもしくは環境に望ましいかまたは適切である任意の他の種類の専用または汎用コンピューティングデバイス内で見られるコンピューティングまたは処理能力を表すことができる。コンピューティングモジュール4400はまた、所与の装置内に埋め込まれるかまたは他の方法で利用可能なコンピューティング能力を表すことができる。例えば、コンピューティングモジュールは、例えば、デジタルカメラ、ナビゲーションシステム、携帯電話、携帯コンピューティングデバイス、モデム、ルータ、WAP、端末、および何らかの形式の処理能力を含むことができる他の電子装置などの他の電子装置に見ることができる。
【0403】
コンピューティングモジュール4400は、例えば、プロセッサ4404などの1つ以上のプロセッサ、コントローラ、制御モジュール、または他の処理装置を含むことができる。プロセッサ4404は、例えば、マイクロプロセッサ、コントローラ、または他の制御ロジックなどの汎用または専用処理エンジンを使用して実装されることができる。
図示の例では、プロセッサ4404は、バス4402に接続されているが、コンピューティングモジュール4400の他のコンポーネントとの相互作用を容易にするためにまたは外部と通信するために任意の通信媒体が使用されることができる。
【0404】
コンピューティングモジュール4400はまた、本明細書では単にメインメモリ4408と呼ばれる1つ以上のメモリモジュールを含むことができる。例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)または他のダイナミックメモリがプロセッサ4404によって実行されることになる情報および命令を記憶するために使用されることが好ましい。メインメモリ4408はまた、プロセッサ4404によって実行される命令の実行中に一時変数または他の中間情報を記憶するために使用されてもよい。コンピューティングモジュール4400は、同様に、プロセッサ4404のための静的情報および命令を記憶するためにバス4402に結合された読み出し専用メモリ(「ROM」)または他の静的記憶装置を含むことができる。
【0405】
コンピューティングモジュール4400はまた、例えば、メディアドライブ4412および記憶ユニットインターフェース4420を含むことができる1つ以上の様々な形態の情報記憶機構4410を含むことができる。メディアドライブ4412は、固定または取り外し可能な記憶媒体4414をサポートするためのドライブまたは他の機構を含むことができる。例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、磁気テープドライブ、光ディスクドライブ、CDもしくはDVDドライブ(RまたはRW)、または他の取り外し可能な媒体または固定媒体ドライブが提供されることができる。したがって、記憶媒体4414は、例えば、メディアドライブ4412によって読み出される、それに書き込まれるまたはそれによってアクセスされる、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、磁気テープ、カートリッジ、光ディスク、CD、DVD、もしくはブルーレイ、または他の固定または取り外し可能な媒体を含むことができる。これらの例が示すように、記憶媒体4414は、コンピュータソフトウェアまたはデータを記憶したコンピュータ使用可能記憶媒体を含むことができる。
【0406】
代替実施形態では、情報記憶機構4410は、コンピュータプログラムまたは他の命令またはデータをコンピューティングモジュール4400にロードすることを可能にする他の同様の手段を含むことができる。そのような手段は、例えば、固定または取り外し可能な記憶ユニット4422およびインターフェース4420を含むことができる。そのような記憶ユニット4422およびインターフェース4420の例は、ソフトウェアおよびデータが記憶ユニット4422からコンピューティングモジュール4400に転送されることを可能にする、プログラムカートリッジおよびカートリッジインターフェース、取り外し可能なメモリ(例えば、フラッシュメモリまたは他の取り外し可能なメモリモジュール)およびメモリスロット、PCMCIAスロットおよびカード、ならびに他の固定または取り外し可能な記憶ユニット4422およびインターフェース4420を含むことができる。
【0407】
コンピューティングモジュール4400はまた、通信インターフェース4424を含むことができる。通信インターフェース4424は、ソフトウェアおよびデータがコンピューティングモジュール4400と外部装置との間で転送されることを可能にするために使用されることができる。通信インターフェース4424の例は、モデムまたはソフトモデム、ネットワークインターフェース(イーサネット(登録商標)、ネットワークインターフェースカード、WiMedia、IEEE802.XXまたは他のインターフェースなど)、通信ポート(例えば、USBポート、IRポート、RS232ポート、ブルートゥース(登録商標)インターフェース、またはその他のポート)、またはその他の通信インターフェースを含むことができる。通信インターフェース4424を介して転送されるソフトウェアおよびデータは、典型的には、電子、電磁(光を含む)とすることができる信号、または所与の通信インターフェース4424によって交換されることができる他の信号とすることができる信号上で搬送されることができる。これらの信号は、チャネル4428を介して通信インターフェース4424に供給されることができる。このチャネル4428は、信号を搬送することができ、有線または無線の通信媒体を使用して実装されることができる。チャネルのいくつかの例は、電話回線、セルラーリンク、RFリンク、光リンク、ネットワークインターフェース、ローカルまたはワイドエリアネットワーク、および他の有線または無線通信チャネルを含むことができる。
【0408】
この文書では、「コンピュータ可読媒体」、「コンピュータ使用可能媒体」および「コンピュータプログラム媒体」という用語は、一般に、非一時的媒体、例えばメモリ4408、記憶ユニット4422、およびメディア4414などの揮発性または不揮発性媒体を指すために使用される。これらのおよび他の様々な形態のコンピュータプログラム媒体またはコンピュータ使用可能媒体は、実行のために処理装置に1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを搬送することに関与することができる。媒体上で実現されるそのような命令は、一般に、「コンピュータプログラムコード」または「コンピュータプログラム製品」(コンピュータプログラムまたは他のグループの形態でグループ化されることができる)と呼ばれる。実行されると、そのような命令は、コンピューティングモジュール4400が本明細書で説明されるような本出願の特徴または機能を実行することを可能にすることができる。
【0409】
様々な例示的な実施形態および実施形態に関して上述したが、個々の実施形態の1つ以上で説明される様々な特徴、態様および機能は、それらが記載された特定の実施形態へのそれらの適用性に限定されず、そのような実施形態が記載されているか否かおよびそのような特徴が記載された実施形態の一部として提示されているか否かにかかわらず、単独でまたは様々な組み合わせで、代わりに本出願の他の実施形態の1つ以上に適用されることができることが理解されるべきである。したがって、本出願の範囲は、上述した例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではない。
【0410】
本文書で使用されている用語および表現、およびその変形は、特に明記しない限り、限定するのではなく、オープンエンドと解釈されるべきである。前述の例として、用語「含む(including)」は、「限定するものではないが含む」等を意味するものと解釈されるべきである。用語「例」は、説明されている項目の例示的な場合を提供するために使用されており、それらの網羅的または限定的なリストではない。用語「a」または「an」は、「少なくとも1つの」、「1つ以上の」などを意味するものと解釈されるべきである。「従来の」、「伝統的な」、「通常の」、「標準の」、「既知の」などの形容詞および類似の意味の用語は、記載された項目を所与の期間または所与の時間に利用可能な項目に限定するものと解釈されるべきではなく、現在または将来の任意の時点で利用可能なまたはは知られていると思われる従来の、伝統的な、通常の、または標準の技術を包含するように読まれるべきである。同様に、この文書が当業者にとって明らかであるかまたは知られている技術を指している場合、そのような技術は、当業者にとって現在または将来の任意の時点で明らかであるかまたは知られている技術を包含する。
【0411】
「1つ以上」、「少なくとも」、「これに限定されるものではない」などの広範な語句の存在は、場合によってはより狭い場合が意図されるかまたはそのような広範なフレーズが存在しない場合に必要とされることを意味するものと解釈されてはならない。用語「モジュール」の使用は、モジュールの一部として記載または特許請求されている構成要素または機能が全て共通パッケージで構成されていることを意味するものではない。実際に、モジュールの様々な構成要素の一部または全部は、制御ロジックまたは他の構成要素であっても、単一のパッケージに組み合わされてもよく、別個に維持されてもよく、さらに複数のグループまたはパッケージまたは複数の場所に分散されてもよい。
【0412】
さらに、本明細書に記載された様々な実施形態は、例示的なブロック図、フローチャートおよび他の図に関して記載される。本明細書を読んだ後に当業者に明らかになるであろうように、例示された実施形態およびそれらの様々な代替例は、示された例に限定されることなく実装されることができる。例えば、ブロック図およびそれに付随する記述は、特定のアーキテクチャまたは構成を必要とすると解釈されるべきではない。
【0413】
本開示の様々な実施形態が上述されたが、それらは、単なる例示として提示されたにすぎず、限定するものではないことが理解されるべきである。同様に、様々な図は、本開示に含めることができる特徴および機能の理解を助けるためになされ、本開示の例示的なアーキテクチャまたは他の構成を示すことができる。本開示は、図示された例示的なアーキテクチャまたは構成に限定されず、所望の特徴は、様々な代替のアーキテクチャおよび構成を使用して実装されることができる。実際に、本開示の所望の特徴を実装するために代替的な機能的、論理的または物理的な区分化および構成がどのように実装されることができるかは、当業者にとって明らかであろう。また、ここに示したもの以外の多数の異なる構成モジュール名が様々な区画に適用されることができる。さらに、フロー図、動作説明および方法請求項に関して、本明細書でステップが提示される順序は、文脈が別途指示しない限り、列挙された機能を同じ順序で実行するために様々な実施形態が実装されることを義務付けるものではない。ステップは、必要に応じて、並列実行のために再編成されてもよく、または再順序付けされてもよいことが理解されるべきである。