IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 独立行政法人 宇宙航空研究開発機構の特許一覧

特許7232543雷脅威情報の提供装置、雷脅威情報の提供方法及びプログラム
<>
  • 特許-雷脅威情報の提供装置、雷脅威情報の提供方法及びプログラム 図1
  • 特許-雷脅威情報の提供装置、雷脅威情報の提供方法及びプログラム 図2
  • 特許-雷脅威情報の提供装置、雷脅威情報の提供方法及びプログラム 図3
  • 特許-雷脅威情報の提供装置、雷脅威情報の提供方法及びプログラム 図4
  • 特許-雷脅威情報の提供装置、雷脅威情報の提供方法及びプログラム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-22
(45)【発行日】2023-03-03
(54)【発明の名称】雷脅威情報の提供装置、雷脅威情報の提供方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01W 1/10 20060101AFI20230224BHJP
【FI】
G01W1/10 Z
G01W1/10 E
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021150134
(22)【出願日】2021-09-15
(62)【分割の表示】P 2017170844の分割
【原出願日】2017-09-06
(65)【公開番号】P2021185391
(43)【公開日】2021-12-09
【審査請求日】2021-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】503361400
【氏名又は名称】国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉川 栄一
(72)【発明者】
【氏名】牛尾 知雄
【審査官】佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-040162(JP,A)
【文献】特開2009-031104(JP,A)
【文献】特開2009-192312(JP,A)
【文献】特開2010-241412(JP,A)
【文献】特開平07-151866(JP,A)
【文献】特開平04-009792(JP,A)
【文献】米国特許第09134418(US,B1)
【文献】特開2001-183473(JP,A)
【文献】特開2004-061416(JP,A)
【文献】特開2013-221787(JP,A)
【文献】特開2013-164651(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0154971(US,A1)
【文献】特開平10-073670(JP,A)
【文献】特開2003-270357(JP,A)
【文献】特開2003-344556(JP,A)
【文献】特開2009-192311(JP,A)
【文献】米国特許第7069258(US,B1)
【文献】高田 吉治,技術連載その16 雷,風力エネルギー,2009年,Vol. 33, No. 1,p.71-78,[検索日:2022.07.15], <DOI:https://doi.org/10.11333/jwea.33.1_71>からダウンロード可能
【文献】気象庁予報部,配信資料に関する技術情報(気象編)第398号,[online] 配信資料に関する技術情報(気象編)第398号,2014年,[検索日:2022.01.19], インターネット<URL:http://www.data.jma.go.jp/suishin/jyouhou/pdf/398.pdf> からダウンロード可能
【文献】吹山 直樹 Naoki Fukiyama,気象因子を用いた発雷予測の検討 Lightning Forecast Method By Using Meteorogical Factors,電気学会論文誌B Vol.116-B No.4 The Transactions of The Institute of Electrical Engi,日本,社団法人電気学会,1996年,第116-B巻,p.461-468
【文献】佐藤 浩史 HIROSHI SATOU,環境および安心・安全に貢献するNTTの技術,NTT技術ジャーナル 第19巻 第12号,社団法人電気通信協会,2007年,第19巻,P.26-29
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01W 1/00- 1/18
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気象の観測データについての観測パラメータ及び気象の予測データについての予測パラメータを入力する入力部と、
前記入力された観測パラメータ及び予測パラメータに基づき算出されるパラメータであって、雷の発生に関連する物理量についてのパラメータである中間パラメータを算出する中間パラメータ算出部と、
蓄積された過去の前記観測パラメータ、前記予測パラメータ及び前記中間パラメータのうち1つのパラメータ値と残りのパラメータのうち1つのパラメータ値との関係を少なくとも示す多次元の各データに対して、雷の発生に関連して発生した事例についての事例データから被雷有無を関連付けて、前記多次元の領域を被雷なしの領域と被雷ありの領域とを区分する雷気象状態識別指標の判断基準に基づき、前記入力部より入力したリアルタイム又は準リアルタイムに取得した前記観測パラメータ、前記予測パラメータ及び前記中間パラメータに対応する雷気象状態を離着陸フェーズにおける航空機の経路選択に資する分解能で識別する雷気象状態識別部と
を具備し、
前記離着陸フェーズにおける航空機に対して前記離着陸フェーズにおける航空機の経路選択に資する分解能の雷気象状態の情報を提供する
雷脅威情報の提供装置。
【請求項2】
請求項1に記載の雷脅威情報の提供装置であって、
離着陸フェーズにおける航空機が仮に離着陸した場合に、被雷する確率及び被雷した場合の運航に対する影響度から雷リスクを推定する雷リスク推定部を更に具備し、
前記離着陸フェーズにおける航空機に対して前記推定された雷リスクの情報を提供する
雷脅威情報の提供装置。
【請求項3】
請求項1に記載の雷脅威情報の提供装置であって、
過去の前記観測パラメータ、前記予測パラメータ、前記中間パラメータ及び前記事例データを関連付けて蓄積するデータベースと、
前記データベースに蓄積された過去の前記観測パラメータ、前記予測パラメータ及び前記中間パラメータと前記事例データとの関係性から雷気象状態識別指標の計算手順及び判断基準を算出する雷気象状態の指標の計算手順及び基準算出部と
を更に具備する雷脅威情報の提供装置。
【請求項4】
請求項2に記載の雷脅威情報の提供装置であって、
前記雷リスク推定部は、蓄積された過去の前記観測パラメータ、前記予測パラメータ及び前記中間パラメータと雷の発生に関連して発生した事例についての事例データとの関係性から算出された雷リスク指標の計算手順及び判断基準に基づき、前記入力部より入力したリアルタイム又は準リアルタイムに取得した前記観測パラメータ、前記予測パラメータ及び前記中間パラメータに対応する雷リスクを推定する
雷脅威情報の提供装置。
【請求項5】
請求項4に記載の雷脅威情報の提供装置であって、
過去の前記観測パラメータ、前記予測パラメータ、前記中間パラメータ及び前記事例データを関連付けて蓄積するデータベースと、
前記データベースに蓄積された過去の前記観測パラメータ、前記予測パラメータ及び前記中間パラメータと前記事例データとの関係性から雷リスク指標の計算手順及び判断基準を算出する雷リスクの指標の計算手順及び基準算出部と
を更に具備する雷脅威情報の提供装置。
【請求項6】
請求項3に記載の雷脅威情報の提供装置であって、
前記雷気象状態識別部における雷気象状態識別の計算手順及び判断基準は、機械学習によって決定され、且つ、更新される
雷脅威情報の提供装置。
【請求項7】
請求項5に記載の雷脅威情報の提供装置であって、
前記雷リスク推定部における雷リスク指標の計算手順及び判断基準は、機械学習によって決定され、且つ、更新される
雷脅威情報の提供装置。
【請求項8】
気象の観測データについての観測パラメータ及び気象の予測データを入力し、
前記入力された観測パラメータ及び予測パラメータに基づき算出されるパラメータであって、雷の発生に関連する物理量についてのパラメータである中間パラメータを算出し、
蓄積された過去の前記観測パラメータ、前記予測パラメータ及び前記中間パラメータのうち1つのパラメータ値と残りのパラメータのうち1つのパラメータ値との関係を少なくとも示す多次元の各データに対して、雷の発生に関連して発生した事例についての事例データから被雷有無を関連付けて、前記多次元の領域を被雷なしの領域と被雷ありの領域とを区分する雷気象状態識別指標の判断基準に基づき、リアルタイム又は準リアルタイムに取得した前記観測パラメータ、前記予測パラメータ及び前記中間パラメータに対応する雷気象状態を離着陸フェーズにおける航空機の経路選択に資する分解能で識別し、
前記離着陸フェーズにおける航空機に対して前記離着陸フェーズにおける航空機の経路選択に資する分解能の雷気象状態の情報を提供する
雷脅威情報の提供方法。
【請求項9】
請求項8に記載の雷脅威情報の提供方法であって、
離着陸フェーズにおける航空機が仮に離着陸した場合に、被雷する確率及び被雷した場合の運航に対する影響度から雷リスクを推定し、
前記離着陸フェーズにおける航空機に対して前記推定された雷リスクの情報を提供する
雷脅威情報の提供方法。
【請求項10】
気象の観測データについての観測パラメータ及び気象の予測データを入力し、
前記入力された観測パラメータ及び予測パラメータに基づき算出されるパラメータであって、雷の発生に関連する物理量についてのパラメータである中間パラメータを算出し、
蓄積された過去の前記観測パラメータ、前記予測パラメータ及び前記中間パラメータのうち1つのパラメータ値と残りのパラメータのうち1つのパラメータ値との関係を少なくとも示す多次元の各データに対して、雷の発生に関連して発生した事例についての事例データから被雷有無を関連付けて、前記多次元の領域を被雷なしの領域と被雷ありの領域とを区分する雷気象状態識別指標の判断基準に基づき、リアルタイム又は準リアルタイムに取得した前記観測パラメータ、前記予測パラメータ及び前記中間パラメータに対応する雷気象状態を離着陸フェーズにおける航空機の経路選択に資する分解能で識別し、
前記離着陸フェーズにおける航空機に対して前記離着陸フェーズにおける航空機の経路選択に資する分解能の雷気象状態の情報を提供する
ステップをコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項11】
請求項10に記載のプログラムであって、
離着陸フェーズにおける航空機が仮に離着陸した場合に、被雷する確率及び被雷した場合の運航に対する影響度から雷リスクを推定し、
前記離着陸フェーズにおける航空機に対して前記推定された雷リスクの情報を提供する
ステップをコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項12】
請求項1に記載の雷脅威情報の提供装置であって、
前記事例データにおける前記雷の発生に関連して発生した事例についての事例データは、少なくとも航空機被雷についての事例を含むものであり、
前記雷気象状態識別部は、航空機への雷気象状態を識別するものである
雷脅威情報の提供装置。
【請求項13】
請求項12に記載の雷脅威情報の提供装置であって、
前記航空機被雷は、無人航空機被雷を含み、
前記航空機は、無人航空機を含む
雷脅威情報の提供装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機被雷の危険性など、雷の脅威に関する情報を提供する雷脅威情報の提供装置、雷脅威情報の提供方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
航空機運航は、巡航フェーズと離着陸フェーズに大別され、それぞれに個別の気象情報支援技術が用いられる。巡航フェーズにおける雷気象情報支援としては、気象庁が運用するLIDENを用いた情報が広く用いられており、また巡航中の航空機は回避行動をとりやすいことも合わさって、巡航フェーズの被雷はあまり発生していない。一方、被雷全体の90%以上が離着陸フェーズにおいて発生している(非特許文献1参照)。
【0003】
ハネウェル社は、航空機搭載レーダに対して脅威検知機能を付加しており、この脅威検知機能は雷を含む種々の気象脅威を検知することができる。ただし、現状は何の脅威かは特定できないものと思われる。
この機能は、航空機搭載レーダの観測値であるエコー強度のみから脅威検知を行うものであるが、そもそも雷(自然雷)発生とエコー強度の相関は低いことが知られており、航空機避雷に対する効果は少ないと予想される。この機能は国内の運航会社が一部導入しているが、実運用に移る前の検証段階である(特許文献1参照)。
【0004】
自衛隊(小松基地)では、Lightning Detection and WArning System (LiDAS)と呼ばれるシステムを配備している。LiDASは、気象レーダと雷放電標定装置、電場計で構成されるシステムであり、作業員が観測結果を見て、航空機被雷の危険性を総合的に判断している。一部航空会社が利用しており、効果を挙げている。
雷に関連する複数種類の気象観測データを使用することで、総合的には雷発生に相関が高い情報を得ているものと考えられるが、システムとして雷気象状態を識別する機能を持たず、習熟した作業員による識別が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-241412号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】WEATHER-Eyeビジョン、WEATHER-Eyeコンソーシアム、4.4節 平成29年2月22日 国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構 発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、雷の脅威に関する精度の良い情報をユーザに提供することができる雷脅威情報の提供装置、雷脅威情報の提供方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る雷脅威情報の提供装置は、気象の観測データについての観測パラメータ、気象の予測データについての予測パラメータ及び雷の発生に関連して発生した事例についての事例データを入力する入力部と、前記入力された観測パラメータ及び予測パラメータに基づき、雷の発生に関連する物理量についてのパラメータであって前記観測データ又は前記予測データから直接得られない中間パラメータを算出する中間パラメータ算出部と、前記観測パラメータ、前記予測パラメータ、前記事例データ及び前記中間パラメータに基づき、雷の脅威を推定する雷脅威推定部とを具備する。
本発明では、観測パラメータ、予測パラメータ及び事例データに加えて、雷の発生に関連する物理量についてのパラメータであって観測データ又は予測データから直接得られない中間パラメータを用いて雷の脅威を推定しているので、雷の脅威に関する精度の良い情報をユーザに提供することができる。
【0009】
本発明の一形態に係る雷脅威情報の提供装置は、前記雷脅威推定部が、前記観測パラメータ、前記予測パラメータ、前記事例データ及び前記中間パラメータに基づき、所定の分解能で雷気象状態を識別する雷気象状態識別部を有してもよい。
【0010】
本発明の一形態に係る雷脅威情報の提供装置は、前記雷脅威推定部が、前記観測パラメータ、前記予測パラメータ、前記事例データ及び前記中間パラメータに基づき、被雷に伴うQCD(品質・コスト・期限)に関する損失を含む雷リスクを推定する雷リスク推定部を有してもよい。
【0011】
本発明の一形態に係る雷脅威情報の提供装置は、前記観測パラメータ、前記予測パラメータ、前記中間パラメータ及び前記事例データを関連付けて蓄積するデータベースを更に具備し、前記入力部は、リアルタイム又は準リアルタイムに取得した前記観測パラメータ及び前記予測パラメータを入力し、前記中間パラメータ算出部は、前記リアルタイム又は準リアルタイムに取得した観測パラメータ及び予測パラメータに基づき、前記中間パラメータを算出し、前記雷脅威推定部は、前記データベースに蓄積された観測パラメータ、予測パラメータ、中間パラメータ及び事例データに基づき、前記リアルタイム又は準リアルタイムに取得した観測パラメータ、予測パラメータ及び前記中間パラメータに対応する雷の脅威を推定するように構成してもよい。
【0012】
本発明の一形態に係る雷脅威情報の提供装置は、前記雷気象状態識別部における状態識別の計算手順及び判断基準が、機械学習によって決定され、且つ、更新されるように構成してもよい。
本発明の一形態に係る雷脅威情報の提供装置は、前記雷リスク推定部におけるリスク推定の計算手順及び判断基準が、機械学習によって決定され、且つ、更新されるように構成してもよい。
これにより、雷の脅威に関するより精度の良い情報をユーザに提供することができる。
【0013】
本発明の一形態に係る雷脅威情報の提供方法は、気象の観測データについての観測パラメータ、気象の予測データについての予測パラメータ及び雷の発生に関連して発生した事例についての事例データを入力し、前記入力された観測パラメータ及び予測パラメータに基づき、雷の発生に関連する物理量についてのパラメータであって前記観測データ又は前記予測データから直接得られない中間パラメータを算出し、前記観測パラメータ、前記予測パラメータ、前記事例データ及び前記中間パラメータに基づき、雷の脅威を推定し、前記推定した雷の脅威に関する情報を表示する。
【0014】
本発明の一形態に係る雷脅威情報の提供方法は、前記雷の脅威を推定するステップは、前記観測パラメータ、前記予測パラメータ、前記事例データ及び前記中間パラメータに基づき、所定の分解能で雷気象状態を識別してもよい。
【0015】
本発明の一形態に係る雷脅威情報の提供方法は、前記雷の脅威を推定するステップは、前記観測パラメータ、前記予測パラメータ、前記事例データ及び前記中間パラメータに基づき、被雷に伴うQCD(品質・コスト・期限)に関する損失を含む雷リスクを推定する。
【0016】
本発明の一形態に係るプログラムは、気象の観測データについての観測パラメータ、気象の予測データについての予測パラメータ及び雷の発生に関連して発生した事例についての事例データを入力し、前記入力された観測パラメータ及び予測パラメータに基づき、雷の発生に関連する物理量についてのパラメータであって前記観測データ又は前記予測データから直接得られない中間パラメータを算出し、前記観測パラメータ、前記予測パラメータ、前記事例データ及び前記中間パラメータに基づき、雷の脅威を推定し、前記推定した雷の脅威に関する情報を表示部に表示するステップをコンピュータに実行させる。
【0017】
本発明の一形態に係るプログラムは、前記雷の脅威を推定するステップは、前記観測パラメータ、前記予測パラメータ、前記事例データ及び前記中間パラメータに基づき、所定の分解能で雷気象状態を識別するステップをコンピュータに実行させてもよい。
【0018】
本発明の一形態に係るプログラムは、前記雷の脅威を推定するステップは、前記観測パラメータ、前記予測パラメータ、前記事例データ及び前記中間パラメータに基づき、被雷に伴うQCD(品質・コスト・期限)に関する損失を含む雷リスクを推定するステップをコンピュータに実行させてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、雷の脅威に関する精度の良い情報をユーザに提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る雷脅威情報の提供装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態に係る雷気象状態の識別技術を説明するための図である。
図3】本発明の一実施形態に係る雷リスクの推定技術を説明するための図である。
図4】本発明の一実施形態に係る雷気象状態及び雷リスクに関する指標の計算手順及び基準の決定のフローを説明するためのブロック図である。
図5】本発明の一実施形態に係る雷脅威情報の提供装置の運用時のフローを説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
この実施形態は、本発明に係る雷脅威情報の提供装置を、空港周辺をカバーする地上設置型のシステムに適用した例である。なお、本発明は実施形態に限定して解釈されないことは勿論である
【0022】
[雷脅威情報の提供装置の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る雷脅威情報の提供装置の構成を示すブロック図である。
雷脅威情報の提供装置1は、入力部10と、演算制御部20と、データベース30と、表示部40と、外部出力部50とを有する。
【0023】
入力部10は、複数種類の観測パラメータ11、予測パラメータ12及び事例データ13が入力される。観測パラメータ11は、航空機や様々な地点から取得される。予測パラメータ12は、例えば気象庁など公的機関やコマーシャルベースの機関から提供される気象予測データに応じたパラメータである。事例データ13は、例えば空港を離着陸した、典型的には着陸した航空機について各空港やデータセンタ140などから取得される。
【0024】
観測パラメータ11は、気象の観測データについてのパラメータであり、気象センサ群110から得られたパラメータである。観測パラメータ11は、典型的には、空港気象レーダから取得したエコー強度やドップラー速度の時空間分布、フライトデータレコーダやラジオゾンデから取得した航空機位置や気温の高度分布などである。
【0025】
予測パラメータ12は、気象の予測データについてのパラメータであり、気象モデル120から得られたパラメータである。予測パラメータ12は、典型的には、気象モデル120から取得した当該時刻もしくは周辺時刻の水蒸気量である。
【0026】
事例データ13は、雷の発生に関連して発生した実際の事例についてのデータである。典型的には、事例データ13としては、被雷有無を問わずレーダエコーに接近して着陸した航空機を選定し、その航空機についての被雷の有無、被雷した場合は被雷時刻、機体の損傷程度、被雷による運航への影響である。
【0027】
演算制御部20は、装置全体を統括的に制御するとともに、中間パラメータ算出部21と、雷気象状態の指標の計算手順及び基準算出部22と、雷リスクの指標の計算手順及び基準23と、雷気象状態識別部24と、雷リスク推定部25と、機械学習部26とを有する。雷リスクとは、被雷に伴うQCD(品質・コスト・期限)に関する損失もそのリスクの中に含む。
【0028】
中間パラメータ算出部21は、中間パラメータ27を算出する。中間パラメータ27は、雷の発生に関連する物理量についてのパラメータであって観測データ又は予測データから直接得られないパラメータである。中間パラメータ算出部21は、典型的には、三軸風向風速や乱流スペクトル強度、エコー強度の短期予測結果などである。
三軸風向風速は、気象レーダで計測される視線方向速度と気象モデルが出力する風向風速を、統合処理することによる高精度の風向風速である。気象レーダ、気象モデル、どちらも単体で風向風速を計算できるが、どちらも精度が不十分あるのに対して、三軸風向風速は精度が高い。三軸風向風速のうち特に上昇流速度が雷との関連が深い。
乱流スペクトル強度は、電荷の拡がりと関連が深いと考えられ、上記三軸風向風速から計算可能な値である。
エコー強度の短期予測結果は、エコー強度の時空間分布から算出される。
【0029】
雷気象状態の指標の計算手順及び基準算出部22は、データベース30に蓄積された過去の観測パラメータ11、予測パラメータ12、中間パラメータ27と事例データ(被雷有無)13との関係性から、雷気象状態識別指標の計算手順及び判断基準を、計算機等によって自動で学習する。雷気象状態識別指標の計算手順及び判断基準は、設計者が任意に設定してもよい。
【0030】
雷リスクの指標の計算手順及び基準算出部23は、データベース30に蓄積された過去の観測パラメータ11、予測パラメータ12、中間パラメータ27と事例データ(被雷有無や被雷による運航への影響)13との関係性から、雷リスク指標の計算手順及び判断基準を、計算機等によって自動で学習する。雷リスク指標の計算手順及び判断基準は、設計者が任意に設定してもよい。
【0031】
雷気象状態識別部24は、上記の雷気象状態識別指標の計算手順及び判断基準に基づき、リアルタイム又は準リアルタイムで入力部10により入力された観測パラメータ11、予測パラメータ12及び中間パラメータ27に対応する雷気象状態を所定の分解能で識別する。
【0032】
ここでの中間パラメータ27は、リアルタイム又は準リアルタイムで入力部10により入力された観測パラメータ11及び予測パラメータ12に基づき算出されたパラメータである。
【0033】
所定の分解能とは、典型的には、雷気象状態(被雷の危険性がある状態)を、航空機の経路選択に資する程度の分解能である。具体的には、例えば、分解能は、1km×1km平面、所定の高さ単位の空間グリッドで網羅する程度である。
【0034】
雷リスク推定部25は、上記の雷リスク指標の計算手順及び判断基準に基づき、リアルタイム又は準リアルタイムで入力部10により入力された観測パラメータ11、予測パラメータ12及び中間パラメータ27に対応する雷リスクを推定する。
【0035】
この中間パラメータ27は、上記と同様に、リアルタイム又は準リアルタイムで入力部10により入力された観測パラメータ11及び予測パラメータ12に基づき算出されたパラメータである。
【0036】
機械学習部26は、雷気象状態の指標の計算手順及び基準算出部22及び雷リスクの指標の計算手順及び基準算出部23における計算手順及び判断基準を機械学習により更新する。
【0037】
データベース30は、観測パラメータ11、予測パラメータ12、中間パラメータ27及び事例データ13を関連付けて蓄積する。データベース30に格納されるデータは、例えば、以下の項目を各列に格納する時系列データである。
・観測パラメータ11
時間
航空機位置
航空機計測気温
レーダエコー関連パラメータ
・中間パラメータ27
風向風速関連パラメータ
・予測パラメータ12
水蒸気量関連パラメータ
・事例データ13
被雷有無
被雷損傷程度
運航への影響度
【0038】
表示部40は、雷気象状態の識別結果や雷リスクの推定結果を地図上に表示する。
外部出力部50は、雷気象状態の識別結果や雷リスクの推定結果を地図上に表示することができるデータを外部に出力する。例えば、当該装置は、外部出力部50の出力を、送信機(図示を省略)介して空港に着陸しようとする航空機に送信し、航空機のコックピット内の表示部(図示を省略)に表示させるようにしてもよい。これにより、航空機を操縦するパイロットは、その表示に基づいて被雷のリスクを自ら判断し、その空港に着陸するか否かを決めることができる
【0039】
[雷気象状態の識別技術について]
図2は、雷気象状態の識別技術を説明するための図である。
雷気象状態の指標の計算手順及び基準算出部22による雷気象状態識別指標の計算手順及び判断基準の算出は、例えば概念的には以下のとおり行われる。
【0040】
図2のx軸を観測パラメータ11、予測パラメータ12及び中間パラメータ27のうち一つのパラメータ値、y軸を観測パラメータ11、予測パラメータ12及び中間パラメータ27のうち他のパラメータ値として、データベース30の観測パラメータ11、予測パラメータ12及び中間パラメータ27のデータ201をプロットする。
【0041】
これとともに、事例データ13から被雷有無のデータを得て、プロット点のデータのそれぞれについて被雷有無を明示する。図2中、白抜きの丸点が被雷なしのデータ、黒塗りの丸点が被雷有りのデータである。
【0042】
図2中、202の線分は、雷気象状態識別指標の判断基準である。この雷気象状態識別指標の判断基準の線分202は、被雷なしのデータ領域と被雷有りのデータの領域とを区分するように設定される。この設定は、計算機等によって自動で学習してもよいし、設計者などが任意に設定してもよい。
【0043】
図2中では、線分202は直線であるが、一般的な曲線や一般的とはいえない曲線も含まれ、被雷なしのデータ領域と被雷有りのデータの領域とを区分する線であればよい。なお、被雷なしのデータ領域と被雷有りのデータの領域とを線分によって明確に区分できない場合もある。例えば、被雷なしのデータ領域の領域に黒塗りの丸点が含まれる場合もあるが、その場合には例えばそのような領域に含まれる黒塗りの丸点は無視して線引きをしても構わない。
【0044】
図2は、2つのパラメータに応じたデータをプロットしているが、3つ以上のパラメータに対するデータをプロット、つまり高次元プロットしてもよい。
【0045】
雷気象状態識別部24は、リアルタイム又は準リアルタイムで入力部10により入力された観測パラメータ11、予測パラメータ12及び中間パラメータ27に対応するデータが上記の図2の中のどの位置にあるかを判断し、その位置が線分202で区分される被雷なしのデータ領域と被雷有りのデータの領域のうちどちらにあるかを判断する。これにより、雷気象状態識別部24は、雷気象状態を識別する。
【0046】
機械学習部26は、データベース30にデータが蓄積されていくと、その蓄積されたデータに応じた機械学習により線分202を再設定(更新)する。これにより、より精度よく雷気象状態を識別することができるようになる。
【0047】
この実施形態に係る雷脅威情報の提供装置1では、雷気象状態の識別情報に基づいて回避行動を取ることで、離着陸フェーズにおける被雷件数を削減することが期待できる。
【0048】
[雷リスクの推定技術について]
図3は、雷リスク(運航リスク)の推定技術を説明するための図である。
雷リスクの指標の計算手順及び基準算出部23による雷リスク指標の計算手順及び判断基準の算出は、例えば概念的には以下のとおり行われる。
【0049】
図3のf(x,x,・・・,x)は、データベース30に蓄積された観測パラメータ11、予測パラメータ12、中間パラメータ27及び事例データ13に基づき設定される。この設定は、計算機等によって自動で学習してもよいし、設計者などが任意に設定してもよい。
【0050】
事例データ13は、被雷有無を問わずレーダエコーに接近して着陸した航空機を選定し、その航空機についての被雷の有無、被雷した場合は被雷時刻、機体の損傷程度、被雷による運航への影響などである。事例データ13には、被雷に伴う経済的な損失が含まれる。
【0051】
雷リスクは、例えば、現在着陸しようとしている航空機が仮に着陸した場合に、被雷する確率や、被雷した場合の運航遅延時間や機体損傷程度、復旧に必要なコスト等の運航に対する影響度とから推定される指標である。例えば、雷リスクは、そのリスクの程度に応じて、「低」、「中」、「高」のようにリスクの程度が段階的に示される。
【0052】
f(x,x,・・・,x)は、リアルタイム又は準リアルタイムで入力部10により入力された観測パラメータ11、予測パラメータ12及び中間パラメータ27に応じて、上記のような段階を推定するための関数である。ここで、nは例えば入力されるパラメータの数である。
【0053】
リアルタイム又は準リアルタイムで入力部10により入力された観測パラメータ11、予測パラメータ12及び中間パラメータ27がf(x,x,・・・,x)に入力されると、f(x,x,・・・,x)より「低」、「中」、「高」のようにリスクの程度が出力される。
f(x1,x2,・・・,xn)は例えば、y=a1x1+a2x2+…+anxnのような線形関数である。データベース30で関連付けられ、事例ごとに存在する(y, x1, x2, …,xn)のセットから、(a1, a2, …,an)を決定する。この場合、一般的には、(y, x1, x2, …,xn)のセットはn個以上必要で、最小二乗法等で(a1, a2, …,an)を決定することができる。
【0054】
機械学習部26は、データベース30にデータが蓄積されていくと、その蓄積されたデータに応じた機械学習によりf(x,x,・・・,x)を再設定する。これにより、より精度よく雷リスクを推定することができるようになる。
例えば、機械学習部26は、ニューラルネットワークにより構成することができる。ニューラルネットワークは、例えば上記の線形関数を複数層組み合わせて構成される。例えば、文献「C.M.Bishop著 Pattern Recognition and Machine Learning,Springer, 2006.」に詳しく記載されている。本発明は、上記の層の数を多く設定することで、深層学習を行ってもよい。
【0055】
国内の航空機運航では、年間数百件の被雷が発生している。航空機被雷が直接重大事故につながる可能性は極めて低いものの、機体外板等に発生する損傷を修理するために年間数億円規模の費用が発生していると推算されている。これは小修理のみの費用であるため、恒久修理を含めるとより大きな費用が発生していることになる。また、被雷を受けた機体の検査や応急処置には少なからず時間を要するため、小規模な損傷でもしばしば次便の遅延につながることはもちろん、大規模な損傷の場合は欠航に至り、運航スケジュールに大きな影響を及ぼす。更に我が国では、冬季日本海側において、冬季雷と呼ばれる高エネルギーの雷が発生し、長年運航各社にとっての懸念材料となっている。
【0056】
この実施形態に係る雷脅威情報の提供装置1では、雷気象状態の如く気象物理量に準ずる指標ばかりでなく、雷リスク、言い換えると運航リスクに関する指標で評価し、その情報を提供することで、例えば運航者が特別な専門知識を有さずとも回避行動を取ることができ、加えて雷被害に対するリスクマネジメントを実施できるようになる
【0057】
[雷気象状態及び雷リスクに関する指標の計算手順及び基準の決定のフロー]
図4は上記指標の計算手順及び基準の決定のフローを説明するためのブロック図である
(1)航空機被雷に関するデータベース30の作成・保持
演算制御部20は、入力部10を介して気象センサ群110より観測パラメータ11を取得する(S1)。
演算制御部20は、入力部10を介して気象モデル120より予測パラメータ12を取得する(S2)。
演算制御部20は、観測パラメータ11及び予測パラメータ12より中間パラメータ27を算出する(S3)。
演算制御部20は、事例データ13を取得する(S4)。
演算制御部20は、これらのパラメータ11、12、27と事例データ13とを関連付けて航空機被雷に関するデータベース30に蓄積する(S5)。
(2)雷気象状態指標の計算手順及び判断基準の決定
演算制御部20は、上記入力データと事例データ(被雷有無)との関係性から、雷気象状態識別指標の計算手順及び判断基準を、計算機等によって自動で学習する(S6)。
(3)雷リスク指標の計算手順及び判断基準の決定
演算制御部20は、上記入力データと事例データ(被雷有無や被雷による運航への影響など)との関係性から、雷リスク指標の計算手順及び判断基準を、計算機等によって自動で学習する(S7)。
(4)機械学習
演算制御部20は、新たに収集した事例データ13を追加して、S1~S7を実施し、精度を高める。
【0058】
[雷脅威情報の提供装置1の運用時のフロー]
図5は雷脅威情報の提供装置1の運用時のフローを説明するためのブロック図である。
(1)観測パラメータの取得
演算制御部20は、入力部10を介して気象センサ群110より上記観測パラメータ11をリアルタイムで取得する(S8)。
(2)予測パラメータの取得
演算制御部20は、入力部10を介して気象モデル120より上記予測パラメータ12を取得する(S9)。
(3)中間パラメータ算出
演算制御部20は、上記観測パラメータ11及び予測パラメータ12より中間パラメータ27をリアルタイムで算出する(S10)。
(4)雷気象状態識別
演算制御部20は、リアルタイムで取得した上記3種のパラメータ11、12、27を入力とし、S6で決定した計算手順及び判断基準に従って、雷気象状態識別を行う(S11)。
(5)雷リスク推定
演算制御部20は、リアルタイムで取得した上記3種のパラメータ11、12、27を入力とし、S7で決定した計算手順及び判断基準に従って、雷リスク推定を行う(S12)。
(6)表示
演算制御部20は、表示部40としての付属のディスプレイや外部出力部50を介して外部ディスプレイ130に、雷気象状態識別もしくは雷リスク推定結果を地図上に表示する(S13)。
【0059】
[その他]
本発明は上記の実施形態に限定されず様々変形や応用が可能である。
例えば、無人機運航に本発明を適用することができる。無人機運航については、現在はルールがないが、無人機が多く飛行するようになれば、より安全な運航が求められる。そのような運航に本発明を適用することで安全性を高めることができる。
また、本発明は自然雷にも適用可能である。特に雷による停電によって経済的デメリットが大きい工場や、危険な物質や薬品などが漏れる危険性がある工場などの操業停止判断について本発明を適用することで経済性及び安全性の向上を図ることができる。
【0060】
上記の実施形態に関して、本発明は更に以下の方法やプログラムを開示する。
(1)気象の観測データについての観測パラメータ、気象の予測データについての予測パラメータ及び雷の発生に関連して発生した事例についての事例データを入力し、
前記入力された観測パラメータ及び予測パラメータに基づき、雷の発生に関連する物理量についてのパラメータであって前記観測データ又は前記予測データから直接得られない中間パラメータを算出し、
前記観測パラメータ、前記予測パラメータ、前記事例データ及び前記中間パラメータに基づき、雷の脅威を推定し、
前記推定した雷の脅威に関する情報を表示する
雷脅威情報の提供方法。
(2)上記(1)の雷脅威情報の提供方法であって、
前記雷の脅威を推定するステップは、前記観測パラメータ、前記予測パラメータ、前記事例データ及び前記中間パラメータに基づき、所定の分解能で雷気象状態を識別する
雷脅威情報の提供方法。
(3)上記(1)又は(2)に記載の雷脅威情報の提供方法であって、
前記雷の脅威を推定するステップは、前記観測パラメータ、前記予測パラメータ、前記事例データ及び前記中間パラメータに基づき、被雷に伴うQCD(品質・コスト・期限)に関する損失を含む雷リスクを推定する
雷脅威情報の提供方法。
(4)上記(1)、(2)又は(3)に記載の雷脅威情報の提供方法であって、
データベースに前記観測パラメータ、前記予測パラメータ、前記中間パラメータ及び前記事例データを関連付けて蓄積し、
前記リアルタイム又は準リアルタイムに取得した前記観測パラメータ及び前記予測パラメータを入力し、
前記リアルタイム又は準リアルタイムに取得した観測パラメータ及び予測パラメータに基づき、前記中間パラメータを算出し、
前記データベースに蓄積された観測パラメータ、予測パラメータ、中間パラメータ及び事例データに基づき、前記リアルタイム又は準リアルタイムに取得した観測パラメータ、予測パラメータ及び前記中間パラメータに対応する雷の脅威を推定する
雷脅威情報の提供方法。
(5)上記(2)に記載の雷脅威情報の提供方法であって、
前記状態識別の計算手順及び判断基準を、機械学習によって決定し、且つ、更新する
雷脅威情報の提供方法。
(6)上記(3)に記載の雷脅威情報の提供方法であって、
前記リスク推定の計算手順及び判断基準を、機械学習によって決定し、且つ、更新する
雷脅威情報の提供方法。
(7)気象の観測データについての観測パラメータ、気象の予測データについての予測パラメータ及び雷の発生に関連して発生した事例についての事例データを入力し、
前記入力された観測パラメータ及び予測パラメータに基づき、雷の発生に関連する物理量についてのパラメータであって前記観測データ又は前記予測データから直接得られない中間パラメータを算出し、
前記観測パラメータ、前記予測パラメータ、前記事例データ及び前記中間パラメータに基づき、雷の脅威を推定し、
前記推定した雷の脅威に関する情報を表示部に表示する
ステップをコンピュータに実行させるプログラム。
(8)上記(7)に記載のプログラムであって、
前記雷の脅威を推定するステップは、前記観測パラメータ、前記予測パラメータ、前記事例データ及び前記中間パラメータに基づき、所定の分解能で雷気象状態を識別する
ステップをコンピュータに実行させるプログラム。
(9)上記(7)又は(8)に記載のプログラムであって、
前記雷の脅威を推定するステップは、前記観測パラメータ、前記予測パラメータ、前記事例データ及び前記中間パラメータに基づき、被雷に伴うQCD(品質・コスト・期限)に関する損失を含む雷リスクを推定する
ステップをコンピュータに実行させるプログラム。
(10)上記(7)、(8)又は(9)に記載のプログラムであって、
データベースに前記観測パラメータ、前記予測パラメータ、前記中間パラメータ及び前記事例データを関連付けて蓄積し、
前記リアルタイム又は準リアルタイムに取得した前記観測パラメータ及び前記予測パラメータを入力し、
前記リアルタイム又は準リアルタイムに取得した観測パラメータ及び予測パラメータに基づき、前記中間パラメータを算出し、
前記データベースに蓄積された観測パラメータ、予測パラメータ、中間パラメータ及び事例データに基づき、前記リアルタイム又は準リアルタイムに取得した観測パラメータ、予測パラメータ及び前記中間パラメータに対応する雷の脅威を推定する
ステップをコンピュータに実行させるプログラム。
(11)上記(8)に記載のプログラムであって、
前記状態識別の計算手順及び判断基準を、機械学習によって決定し、且つ、更新する
ステップをコンピュータに実行させるプログラム。
(12)上記(9)に記載のプログラムであって、
前記リスク推定の計算手順及び判断基準を、機械学習によって決定し、且つ、更新する
ステップをコンピュータに実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0061】
1 雷脅威情報の提供装置
10 入力部
11 観測パラメータ
12 予測パラメータ
13 事例データ
20 演算制御部
21 中間パラメータ算出部
24 雷気象状態識別部
25 雷リスク推定部
26 機械学習部
27 中間パラメータ
30 データベース
40 表示部
図1
図2
図3
図4
図5