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特許7232544入退室管理装置、入退室管理方法、プログラム及び入退室管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-22
(45)【発行日】2023-03-03
(54)【発明の名称】入退室管理装置、入退室管理方法、プログラム及び入退室管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20230101AFI20230224BHJP
   G07C 1/00 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
G06Q10/06
G07C1/00 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021177550
(22)【出願日】2021-10-29
【審査請求日】2021-10-29
(73)【特許権者】
【識別番号】502451409
【氏名又は名称】株式会社 アルコ・イーエックス
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木田 文二
(72)【発明者】
【氏名】笠倉 多栄子
【審査官】松田 岳士
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-169543(JP,A)
【文献】特開2021-099811(JP,A)
【文献】特開2009-163343(JP,A)
【文献】特開2021-135975(JP,A)
【文献】特開2016-091440(JP,A)
【文献】特開2016-058015(JP,A)
【文献】特開2020-077148(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G07C 1/00-15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入退室が管理された区画への管理された対象者の入退室を管理する入退室管理装置であって、
外部装置から前記対象者の顔画像データ、前記対象者の顔認証の結果得られるID番号、前記対象者の体温、前記顔画像データを撮影した時間を含む対象者情報が入力されることで、前記ID番号に基づいて前記対象者の管理情報が記憶されている記憶部から前記管理情報を取得し、前記管理情報に設定された前記対象者の入室又は退出を表すステータスに基づき、該顔認証が入室時の顔認証か退室時の顔認証かを判定し、前記対象者のステータスに入室又は退室を設定し、外部装置に該ステータスを表示するよう指示する制御部を備え
前記ID番号に基づく前記対象者の属性ごとに、入室及び退室に関する複数のステータスが予め設けられ、前記制御部は、前記属性及び前記管理情報の前記ステータスに基づいて、当該顔認証時の前記ステータスを設定する
ことを特徴とする入退室管理装置。
【請求項2】
入退室が管理された区画への管理された対象者の入退室を管理する入退室管理装置であって、
外部装置から前記対象者の顔画像データ、前記対象者の顔認証の結果得られるID番号、前記対象者の体温、前記顔画像データを撮影した時間を含む対象者情報が入力されることで、前記ID番号に基づいて前記対象者の管理情報が記憶されている記憶部から前記管理情報を取得し、前記管理情報に設定された前記対象者の入室又は退出を表すステータスに基づき、該顔認証が入室時の顔認証か退室時の顔認証かを判定し、前記対象者のステータスに入室又は退室を設定し、外部装置に該ステータスを表示するよう指示する制御部を備え、
前記制御部は、前記ID番号に基づき、前記対象者が、前記区画の外から当該区画に入退室する者である場合は、前記管理情報のステータスが未設定のときは入室時の顔認証と判定し、ステータスが設定されているときは退室時の顔認証と判定し、前記対象者が、前記区画内に居住又は滞在する者である場合は、前記管理情報のステータスが入室のときは退室時の顔認証と判定し、ステータスが入室以外のときは入室時の顔認証と判定する
ことを特徴とする入退室管理装置。
【請求項3】
入退室が管理された区画への管理された対象者の入退室を管理する入退室管理装置の制御部で実行される入退室管理方法であって、
外部装置から前記対象者の顔画像データ、前記対象者の顔認証の結果得られるID番号、前記対象者の体温、前記顔画像データを撮影した時間を含む対象者情報が入力されることで、前記ID番号に基づいて前記対象者の管理情報が記憶されている記憶部から前記管理情報を取得する工程と、
前記対象者の前記ID番号に基づく前記対象者の属性ごとに、入室及び退室に関して予め設けられている複数のステータスのいずれかであって前記管理情報に設定された前記対象者の入室又は退出を表すステータスに基づき、該顔認証が入室時の顔認証か退室時の顔認証かを判定する工程と
前記属性及び前記管理情報の前記ステータスに基づいて、当該顔認証時の前記対象者のステータスに入室又は退室を設定し、外部装置に該ステータスを表示するよう指示する工程と、を備えた
ことを特徴とする入退室管理方法。
【請求項4】
コンピュータにより実行されるプログラムであって、
このコンピュータに、
外部装置から対象者の顔画像データ、前記対象者の顔認証の結果得られるID番号、前記対象者の体温、前記顔画像データを撮影した時間を含む対象者情報が入力されることで、前記ID番号に基づいて前記対象者の管理情報が記憶されている記憶部から前記管理情報を取得する工程と、
前記対象者の前記ID番号に基づく前記対象者の属性ごとに、入室及び退室に関して予め設けられている複数のステータスのいずれかであって前記管理情報に設定された前記対象者の入室又は退出を表すステータスに基づき、該顔認証が入室時の顔認証か退室時の顔認証かを判定する工程と
前記属性及び前記管理情報の前記ステータスに基づいて、当該顔認証時の前記対象者のステータスに入室又は退室を設定し、外部装置に該ステータスを表示するよう指示する工程と、を実行させる
ことを特徴とするプログラム。
【請求項5】
入退室が管理された区画への管理された対象者の入退室を管理する入退室管理システムであって、
サーモカメラと、請求項1又は2に記載の入退室管理装置と、を備え、
前記サーモカメラは、前記対象者の顔画像データ及び体温を取得し、前記顔画像データに基づき顔認証を行って、前記対象者に対してID番号を設定し、前記顔画像データ、前記ID番号、前記体温、前記顔画像データを撮影した時間を含む対象者情報を前記入退室管理装置に送出する
ことを特徴とする入退室管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、入退室管理装置、入退室管理方法、プログラム及び入退室管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
カメラで撮影した画像から顔認証を行い、オフィス、工場、施設への入退室を管理する入退室管理システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、顔認証に加えて、来訪者の体温を測定し、測定値が予め設定された値以上である場合に、この情報を管理者等に通知することも行われている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
ところで、オフィス、工場、施設等には、これらで働く社員や職員だけでなく、清掃業者やビル管理業者や配送業者や客等の来訪者といった様々な身分の者が出入りし、これらのすべてが入退室の管理の対象者となる。さらに、社員や職員等は、出退勤時のみならず、外出等で一日に何度も出入りする場合もあるし、来訪者は、日を置いて複数回出入りする場合もある。
【0004】
このため、このように様々な身分の対象者が出入りする場所では、入退室の度に、対象者は自身の身分や、入室又は退室かを示して入退室の手続きを行う必要があって煩わしく、また、出入口での行列を招くことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2021-86346号公報
【文献】特許第6896131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、上記の事情に鑑みて為されたもので、入退室の手続きの手間を省き、より簡易かつ迅速に、入退出管理を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本開示の入退室管理装置は、入退室が管理された区画への管理された対象者の入退室を管理する入退室管理装置であって、外部装置から前記対象者の顔画像データ、前記対象者の顔認証の結果得られるID番号、前記対象者の体温、前記顔画像データを撮影した時間を含む照合情報が入力されることで、前記ID番号に基づいて前記対象者の管理情報が記憶されている記憶部から前記管理情報を取得し、前記管理情報に設定された前記対象者の入室又は退出を表すステータスに基づき、該顔認証が入室時の顔認証か退室時の顔認証かを判定し、前記対象者のステータスに入室又は退室を設定し、外部装置に該ステータスを表示するよう指示する制御部を備える。
【発明の効果】
【0008】
このように構成することで、入退室の手続きの手間を省き、より簡易かつ迅速に、入退出管理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】実施形態に係る入退室管理装置を備える入退室管理システムの全体構成例を示すブロック図である。
図1B】実施形態に係る入退室管理装置を備える入退室管理システムの使用例を示す概念図である。
図2】サーモカメラの記憶部に記憶される照合情報テーブルのデータ構造の一例を示す模式図である。
図3】データベースの管理情報記憶部に記憶される各種テーブルのデータ構造の一例を示す模式図であって、(a)は来訪者管理テーブルのデータ構造、(b)は入居者管理テーブルのデータ構造、(c)は職員管理テーブルのデータ構造である。
図4】管理端末の表示部に表示されるステータス画面の一例を示す模式図である。
図5】タッチパネルの表示部に表示される画面の一例を示す模式図であって、(a)は用件入力画面、(b)は来訪者情報入力画面、(c)は症状チェック画面、(d)は外出先入力画面、(e)は外出理由入力画面の一例である。
図6A】対象者情報取得部のサーモカメラの動作の流れの一例を説明するためのフローチャートである。
図6B】管理端末の動作の流れの一例を説明するためのフローチャートである。
図7】管理端末での来訪者管理処理の流れの一例を説明するためのフローチャートである。
図8】管理端末での入居者管理処理の流れの一例を説明するためのフローチャートである。
図9】管理端末での職員管理処理の流れの一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の入退室管理装置を備えた入退室管理システムの一実施の形態としての入退室管理システム100を、図面を参照しながら説明する。本実施形態の入退室管理システム100は、入退室が管理された区画(例えば、建物、施設、部屋、領域等)への管理の対象者の入退室を管理するシステムである。
【0011】
以下では、本実施形態の入退室管理システム100を、介護施設に導入して、介護施設における人の入退室管理に適用した例を説明する。しかし、本実施形態の入退室管理システム100の導入先(適用先)が介護施設に限定されることはなく、入退室の管理が必要とされる場所であれば、施設以外の建物、部屋、領域等、いずれの区画であってもよい。例えば、本実施形態の入退室管理システム100を、介護施設以外の施設、オフィス、工場、学校、病院、ホテル等の宿泊施設、マンション等の集合住宅、百貨店等の商業施設、遊園地等の娯楽施設等に導入し、これらへの人の入退室管理に適用することもできる。
【0012】
図1A図1Bに示すように、本実施形態に係る入退室管理システム100は、外部装置である対象者情報取得部1、入退室管理装置である管理端末2及びサーバ(クラウドサーバ)3を備えている。
【0013】
対象者情報取得部1(より詳細には、後述のサーモカメラ10及びタッチパネル16)と管理端末2は、LAN(Local Area Network)等により、有線又はWi-Fi(登録商標)等の近距離無線通信等を介して相互にデータを送受信可能に接続されている。管理端末2とサーバ3は、インターネット、携帯電話ネットワーク等の通信ネットワーク4を介して、相互にデータを送受信可能に接続されている。
【0014】
対象者情報取得部1は、外部装置であるサーモカメラ(「サーマルカメラ」、「サーモグラフィカメラ」等とも呼ばれる。)10及び外部装置であるタッチパネル16を備えている。サーモカメラ10は、顔認証装置及び体温検知装置として機能する。サーモカメラ10は、対象者の顔画像データを取得する画像取得部11と、対象者の体温を検知する体温検知部12と、これらを制御するとともに顔認証を行う制御部13と、顔認証のための照合情報テーブル141(図2参照)、体温の閾値、その他の各種パラメータ等が記憶された記憶部14と、顔画像データ等が表示される表示部15等を備えている。
【0015】
サーモカメラ10及びタッチパネル16は、本実施形態では、図1Bに示すように、介護施設への来訪者等の受付を行う受付カウンタKに1つずつ(ワンセット)設置されている。しかし、これらが、1つに限定されることはなく、顔認証をより迅速に行うべく受付カウンタKに複数セット設置してもよいし、設置場所が受付カウンタKに限定されることもない。また、受付カウンタK以外にも、サーモカメラ10及びタッチパネル16を、建物の出入口や、部屋の出入口など、顔認証による入退室の管理が必要とされる場所に、各々ワンセット、又は複数セット設置することもできる。受付カウンタKに加えて、これらの出入口での対象者の入退室を管理することが可能となり、よりセキュリティ性の高い入退室管理が可能となる。また、訪問者は受付カウンタKで、職員は通用口で顔認証する使い方とすることもでき、顔認証の場所を分散して、より円滑な入退室が可能となる。
【0016】
また、介護施設に入退室して、顔認証により入退室管理の対象となる者(つまり「対象者」)は、例えば、介護施設に勤務する職員、介護施設に居住する入居者、来訪者等が挙げられる。来訪者としては、入居者を訪ねてきた家族や友人等の面会者、配送業者や清掃業者等の業者、ボランティア、役所職員等の行政職員等が挙げられるが、これらに限定されない。以下、職員、入居者、来訪者(面会者、業者、ボランティア、行政職員等)等を、対象者の「属性」という。つまり、「属性」は、対象者の身分や種別を表す。
【0017】
画像取得部11は、例えば、CCDカメラ等からなり、対象者の顔画像データを取得して制御部13へ送出する。体温検知部12は、例えば、遠赤外線検知センサ等からなり、対象者から発せられる遠赤外線を検出して、直接に対象者に触れることなく対象者の体温に関する情報を検知し、検知結果を制御部13へ送出する。検知結果は、例えば、サーモグラフィ画像が挙げられるが、対象者の体温を検知可能な情報であればよく、サーモグラフィ画像に限定されない。
【0018】
制御部13は、CPU、MPU等のプロセッサ等から構成される。制御部13は、サーモカメラ10全体の動作を制御するとともに、図1Aに示すように、顔認証部131、体温判定部132として機能する。
【0019】
顔認証部131は、画像取得部11で撮影した顔画像データと、記憶部14に予め登録されている照合情報テーブル141(図2参照)に登録された照合情報とに基づいて、公知の画像解析等の手法により対象者の顔認証を行い、顔画像データ及び顔認証の結果得られるID番号(顔認証結果)を管理端末2へ送出する。また、顔認証部131は、管理端末2から入力される更新用(追加用)の照合情報を、照合情報テーブル141に登録して、これを更新する。
【0020】
体温判定部132は、体温検知部12での検知結果(サーモグラフィ画像)を解析して、対象者の体温を取得し、管理端末2へ送出するとともに、この体温が閾値(例えば、37.5℃)を超えているときに、対象者にアラーム通知する。閾値は、記憶部14に予め記憶されている。この閾値は、37.5℃に限定されず、管理者等が、目的に応じて任意の温度を設定したり、変更したりすることもできる。また、閾値が1つに限定されず、対象者の年齢(例えば、幼児は大人に比べて体温が高いため。)等に応じて、複数の閾値を変更可能に記憶部14に記憶しておき、対象者に応じた閾値を用いて体温のチェックを行うこともできる。
【0021】
また、サーモカメラ10は、時計を内蔵し、対象者の顔画像データを撮影した時間(日時又は時刻)を顔認証結果とともに管理端末2へ送出する。この時間は、管理端末2で、対象者の属性及び後述のステータスに応じて、入室時間又は退室時間として処理される。
【0022】
サーモカメラ10は、人感センサや画像解析により人の顔を感知して、画像取得部11で顔画像データを撮影し、体温検知部12で体温を検知する。サーモカメラ10は、高感度なものであると、人が撮影範囲内を通過しただけで、顔画像データや体温を取得するため、対象者以外の人や複数人の顔画像データや体温を検出することがある。このため、対象者のみの顔画像データ及び体温を一人ずつ取得すべく、制御部13は、表示部15に位置合わせ画像(マークやアウトラインなど)を表示し、対象者がサーモカメラ10に近接して、位置合わせ画像に顔を合わせたときに、顔画像データ及び体温を取得するように、予めサーモカメラ10の感度、その他の設定を調整しておくことが望ましい。
【0023】
記憶部14は、ROM、RAM等の半導体メモリ、メモリカード等の記憶媒体等から構成される。記憶部14には、サーモカメラ10における各種動作に用いられる各種プログラムや各種データが一時的又は非一時的に格納される。また、記憶部14には、前述のとおり体温の閾値、顔認証用の照合情報テーブル141が記憶されている。すなわち、記憶部14は、照合情報記憶部としての機能を有する。
【0024】
図2に、照合情報テーブル141のデータ構造の一例を示す。この図2に示すように、照合情報テーブル141には、対象者を識別するID番号、対象者の顔画像データ、対象者の氏名等が、ID番号ごとに登録される。職員、入居者の場合は、予めサーモカメラ10で顔画像データを撮影することで、タッチパネル16等から入力された名前と紐づけて照合情報テーブル141に登録される。または、管理者等が、管理端末2側で、予め撮影した顔画像を名前と紐づけて照合情報を作成し、サーモカメラ10に送出し、サーモカメラ10が、受信した照合情報を、記憶部14の照合情報テーブル141に格納することもできる。また、ID番号は、対象者の属性(職員、入居者、面会者、業者、ボランティア等)に応じて予め決められており、このID番号によって、対象者及び対象者の属性を識別することができる。なお、ID番号とは別に、属性を照合情報テーブル141に記憶してもよい。また、照合情報を予め登録する入居者と職員用の照合情報テーブルと1回目の来所時に照合情報を登録する来訪者用の照合情報テーブルとを分けておいてもよい。
【0025】
来訪者の照合情報は、サーモカメラ10に予め登録されておらず、例えば1回目(新規)の来訪の際に登録される。来訪者が1回目の来訪時に撮影された顔画像データ、新たに発行されたID番号がサーモカメラ10から管理端末2へ送出され、名前等がタッチパネル16から管理端末2へ送出される。管理端末2は、入力された顔画像データ及び名前をID番号と紐づけて照合情報を作成する。この照合情報が、管理端末2からサーモカメラ10に送出され、サーモカメラ10は、受信した照合情報を、記憶部14の照合情報テーブル141に格納することで、新規の来訪者の照合情報が登録される。なお、来訪者のうち、清掃業者、ボランティア等予め決まった人が頻繁に入退室する場合は、職員や入居者と同様にして、当該来訪者の情報を予めサーモカメラ10に登録しておくこともできる。
【0026】
表示部15は、液晶モニタ(ディスプレイ)等からなり、制御部13の制御の下、画像取得部11により取得されるスルー画像、撮影した顔画像データ、さらには体温検知部12での検知結果(サーモグラフィ画像や体温等)が表示される。対象者は、表示部15に表示されたスルー画像を視認しながら、顔画像データの撮影を行うことができ、また、表示部15に表示された撮影後の顔画像データや体温の検知結果を確認することができる。
【0027】
タッチパネル16は、メニュー画面や操作画面等の各種画面を表示し、対象者からの入力操作を受け付ける機能を備える。タッチパネル16は、液晶モニタ等からなる表示部17と、表示部17に重畳して設けられた、タッチパネル式の入力部18等を備える。このタッチパネル16は、接触式のものでもよいし、感染防止等を図るべく、非接触式のものを用いることも好ましい。このタッチパネル16は、表示部17及び入力部18を備えた専用のものを用いることができる。また、画面の表示や入力を受け付ける機器が、タッチパネル16に限定されることはなく、表示部17と入力部18を備えていれば、いずれの機器を用いてもよい。また、タッチパネル16に代えて、例えば、タブレット端末、スマートフォン等の携帯情報端末や、ノート型パーソナルコンピュータ(PC)等の情報端末を用いることもできる。
【0028】
タッチパネル16は、管理端末2の制御の下、表示部17に所定の画面を表示し、入力部18からの操作入力を、操作信号に変換して管理端末2へ送出する。また、タッチパネル16は、時計を内蔵し、対象者が入力部18を操作した時間(日時又は時刻)を、管理端末2へ送出する。この時間は、管理端末2で、顔認証の時間に代えて、対象者の属性及びステータスに応じて、対象者の入室時間又は退室時間として処理されることがある。
【0029】
管理端末(入退室管理装置)2は、介護施設の職員又はシステムの管理者が操作するものであり、介護施設の事務室内等に設定される。管理端末2は、ノート型PC、デスクトップ型PC等の情報端末を用いることができるが、タブレット端末、スマートフォン等の携帯情報端末を用いることもできる。また、管理端末2は、社内サーバと、この社内サーバにアクセス可能な1台又は複数台の情報端末や携帯情報端末から構成することもできる。
【0030】
管理端末2は、制御部20、表示部21、入力部22、音出力部23及び記憶部24等を備える。また、この他にも、管理端末2は、マイク、カメラ、A/D変換器、通信機器、プリンタ等の一般的な情報端末が備える機器を備えている。
【0031】
制御部20は、CPU、MPU等のプロセッサ等から構成される。また、制御部20は、GPU、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスや、ASIC等の演算素子を備えていてもよい。制御部20は、記憶部24に予め記憶されたコンピュータプログラムを、例えば記憶部24のRAM上に展開することにより、管理端末2の動作を統括的に制御する。
【0032】
また、制御部20は、記憶部24に記憶された入退室管理プログラムを実行することで、照合情報登録部201、管理情報処理部202、判定部203、通知部204、表示制御部205として機能する。
【0033】
照合情報登録部201は、職員や入居者の事前登録があったとき、新規の来訪者の1回目の顔認証によって当該来訪者の登録があったとき、対象者の顔画像データ及び名前等の個人情報を、ID番号と紐づけて、対象者の顔認証のための照合情報を生成してサーモカメラ10へ送出する。サーモカメラ10は、照合情報登録部201からの照合情報を記憶部14の照合情報テーブル141に登録する。なお、この照合情報登録部201からサーモカメラ10への照合情報の送出は、新たな対象者の登録による照合情報の作成があったときに、この新たな照合情報のみを送出してもよいし、業務開始時や終了時等、所定の時間に、登録されているすべての対象者の照合情報を送出してもよい。
【0034】
管理情報処理部202は、対象者の照合情報の登録があったとき、対象者情報取得部1から入力される対象者情報に基づいて、対象者の入退室を管理するための管理情報を対象者ごとに生成し、サーバ3へ送出する。サーバ3は、対象者の属性に応じて、管理情報を、データベース30の管理情報記憶部31の来訪者管理テーブル311、入居者管理テーブル312、職員管理テーブル313(以上、図3参照)に登録する。
【0035】
また、管理情報処理部202は、顔認証がされて対象者情報が入力されるたびに、ID番号をキーにサーバ3(より詳細には、管理情報記憶部31)から当該対象者の管理情報を取得するとともに、対象者情報取得部1から受信した対象者情報及び判定部203で設定したステータスに基づいて、管理情報を更新し、サーバ3へ送出する。
【0036】
対象者情報取得部1から入力される対象者情報は、例えば、対象者の顔画像データ、対象者の顔認証の結果得られるID番号(顔認証結果)、顔画像データを撮影した時間、体温の検知結果、タッチパネル16から入力された対象者の名前や電話番号等の個人情報、症状チェック結果、外出先、外出理由、時間等が挙げられる。
【0037】
判定部203は、顔認証が行われるたびに(つまり、顔認証結果を受信するたびに)、管理情報の現在のステータス(つまり、前回の顔認証時のステータス)に基づいて、今回の顔認証が入室時の顔認証か退室時の顔認証か判定し、ステータスを設定する。具体的には、判定部203は、前回の顔認証時のステータスが「入室」であれば、今回の顔認証は「退室」の顔認証であると判定し、ステータスに「退室」を設定する(つまり、ステータスを「退室」に切り替える)。これに対して、判定部203は、前回の顔認証時のステータスが「退室」であれば、今回の顔認証は「入室」の顔認証であると判定し、ステータスに「入室」を設定する(つまり、ステータスを「入室」に切り替える)。
【0038】
なお、判定部203は、管理情報のステータスが未設定の場合は、ID番号の基づく対象者の属性に基づいて、ステータスを設定することができる。例えば、判定部203は、対象者の属性が来訪者であれば、今回の顔認証は面会等のための入室のためと判定し、ステータスに「入室」を設定し、対象者の属性が職員であれば、今回の顔認証は出勤のための1回目の入室と判定し、ステータスに「入室」(より詳細なステータスを設定する場合は「出勤」)を設定する。
【0039】
また、判定部203は、対象者情報に基づいて、より詳細にステータスを判定する。例えば、入居者の場合は、タッチパネル16から外出先を入力可能となっている。外出先としては、例えば、百貨店等の比較的遠方の商業施設、コンビニエンスストアや商店街等の比較的近隣の店、病院、役所、親族宅、友人宅等が挙げられる。判定部203は、外出先に基づいて、退室のステータスを、例えば、買い物中、通院中等と判定する。また、判定部203は、この退室のステータスに基づいて、次の顔認証の際に、対象者が入室したことと、理由(買い物からの戻り、病院からの戻り等)を判定する。
【0040】
また、職員の場合は、1回目の入室(出勤)後は、退室の際にタッチパネル16から外出理由を入力可能となっている。例えば、外出理由として、業務での外出、昼休みや休憩のための外出(中抜け)、退勤等が挙げられる。判定部203は、外出理由に基づいて、例えば、退室のステータスを外出中、中抜け中、退勤等と判定し、入室のステータスについても、業務外出からの戻り、中抜けからの戻り等と判定する。また、判定部203は、この退室時のステータスに基づいて、次の顔認証の際に、対象者の入室理由(業務外出からの戻り、休憩終了等)を判定する。
【0041】
通知部204は、対象者の入室又は退室の顔認証結果、体温の検知結果等を職員等に通知する。例えば、面会者の入室時の顔認証結果を取得した場合には、面会者が受付け待ちであることや、面会対象の入居者の名前等を通知する。また、対象者の体温が、閾値を超えている場合は、通知部204は、アラームを通知してもよい。
【0042】
通知部204は、表示制御部205に指示して表示部21にメッセージを表示することでこれらの通知をしてもよいし、音出力部23から音声を発することで通知してもよいし、職員のインカムのイヤホンにメッセージを通知してもよいし、職員のスマートフォンや携帯電話に、メッセージやメールを送信して通知してもよい。通知を受け取った職員は、受付カウンタKに赴き、正常に顔認証され、体温も正常な来訪者を訪問先に案内することができるし、顔認証が正常に行われない来訪者や、体温が閾値を超えた来訪者の場合は、受付カウンタKで直接に、又はスピーカ等を通して遠隔で、入室を断ること等ができる。
【0043】
また、自動ドアや自動施錠装置等のドア開閉機構と連携してもよく、対象者の顔認証が正常に行われ、かつ体温が閾値以下であれば、通知部204がドア開閉機構にドア開放を指示することで、ドア開閉機構がドアを開放し、対象者を入退室させることもできる。
【0044】
表示制御部205は、入退室管理のためのメニュー画面や対象者のステータス画面等の各種画面を生成して表示するように表示部21に指示する。図4は、表示部21に表示されるステータス画面の一例であり、画面左に入室中の対象者の情報が表示され、画面中央に受付待ちの対象者の情報が表示され、画面右に退室中の対象者の情報が表示される。
【0045】
また、表示制御部205は、対象者情報取得部1のタッチパネル16に、その表示部17に表示させる画面の指示信号を送出する。つまり、表示制御部205は、顔認証結果とID番号に基づいて取得した管理情報のステータスに基づき、図5(a)~図5(e)のような画面を、表示部17に表示させるようにタッチパネル16に指示する。各画面の詳細については、後述する。
【0046】
表示部21は、液晶ディスプレイ等からなり、表示制御部205の制御の下、各種画面を表示する。入力部22は、キーボード、タッチパネル、マウス等からなり、職員等による操作入力を受け付け、受け付けた操作に対応した操作信号を制御部20へ送出する。音出力部23は、スピーカ、チャイム、ブザー等からなり、制御部20の制御の下、音声を発生して各種通知を行う。
【0047】
記憶部24は、ROM、RAM等の半導体メモリ、ハードディスクドライブ等の大容量記憶媒体、メモリカード、その他の記憶媒体等から構成される。記憶部24には、管理端末2における各種動作に用いられる入退室管理プログラム等の各種プログラムや対象者情報取得部1から取得した対象者情報、照合情報、管理情報、パラメータ、その他の各種データが一時的又は非一時的に格納される。
【0048】
サーバ3は、入退室管理システム100で使用する管理情報、その他の情報を一元管理する。サーバ3は、データベース30を有し、このデータベース30は、管理情報を記憶する管理情報記憶部31を有している。サーバ3は、管理端末2から入力される管理情報を、対象者ごとに、IDをキーとして管理情報記憶部31に記憶する。管理情報記憶部31は、当日分の管理情報が記憶されてもよいし、数日分、数週間分、数か月分、さらには数年分の管理情報が記憶されていてもよい。また、サーバ3は、管理端末2からの要求に応じて、指定されたID番号に対応する管理情報を管理情報記憶部31から取得して、管理端末2へ送出する。
【0049】
管理情報記憶部31は、図3に示すように、来訪者管理テーブル311、入居者管理テーブル312及び職員管理テーブル313を有している。来訪者管理テーブル311は、面会者、ボランティア、業者等の施設の来訪者の管理情報が記憶される。来訪者管理テーブル311には、対象者ごとに、対象者のID番号、サーモカメラ10で撮影された顔画像データ、来訪者名、訪問する入居者名、来訪者との続柄(又は属性)、連絡先の電話番号、体温検知部12で検知した来訪者の体温、タッチパネル16から入力された症状チェック結果、入室又は退室のステータス、入室時間、退室時間等が記憶される。
【0050】
入居者管理テーブル312は、入居者の管理情報が記憶される。入居者管理テーブル312には、対象者ごとに、対象者のID番号、顔画像データ、入居者名、タッチパネル16から入力された外出先及び同伴者、電話番号、体温、ステータス、外出時間(退室時間)、帰宅時間(入室時間)等が記憶される。なお、入居者が、一日に入退室を繰り返すことを考慮して、体温、外出時間、帰宅時間等の記憶領域を複数設けてもよい。
【0051】
職員管理テーブル313は、介護施設で働く職員の管理情報が記憶される。職員管理テーブル313には、対象者ごとに、対象者のID番号、顔画像データ、氏名、所属、体温、ステータス、入室時間、退室時間等が記憶される。また、職員が、一日に入退室を繰り返すことや、勤怠管理を考慮して、体温、入室時間、退室時間等の記憶領域を複数設けてもよい。
【0052】
以下、本実施形態に係る入退室管理システム100で実行される動作(入退室管理方法)について、具体的に説明する。入退室管理システム100では、各機器の電源がONとなっており、入退室管理プログラムが起動して、対象者情報取得部と管理端末2とサーバ3とが相互にデータを送受信可能に接続されているものとする。
【0053】
また、入居者、職員の顔画像と名前が予め登録されているものとする。この登録を行うには、まず、対象者は、サーモカメラ10を用いて、顔画像を撮影し、タッチパネル16から名前を入力する。これらの入力を受けて、対象者情報取得部1の制御部13は、対象者の属性(入居者、職員)に応じたID番号を発行し、このID番号とともに取得した顔画像と名前(信号)を管理端末2へ送出する。管理端末2の照合情報登録部201は、取得した顔画像と名前とを、ID番号と紐づけして対象者の照合情報を生成し、一時的又は非一時的に記憶部24に記憶するとともに、通信ネットワーク4を通じてサーバ3へ送出する。サーバ3は、照合情報に基づいて対象者の管理情報を生成し、管理情報記憶部31へ記憶する。
【0054】
また、管理端末2は、生成した照合情報を、対象者情報取得部1へ送出する。対象者情報取得部1のサーモカメラ10は、入力された照合情報を記憶部14に記憶して、照合情報テーブル141を更新する。これにより、サーモカメラ10で顔認証が可能となる。
【0055】
以下、入退室管理システム100で実行される動作の流れを、図6A図9のフローチャートを参照しながら具体的に説明する。これらの動作は、来訪者、入居者、職員等の対象者が、介護施設の受付カウンタKで、サーモカメラ10と対峙して、表示部15に顔を合わせたときに開始される。
【0056】
サーモカメラ10が対象者を感知すると、図6Aに示すように、ステップS1で画像取得部11は対象者の顔画像を撮影する。ステップS2で体温検知部12は対象者の体温を検知する。次のステップS3で、顔認証部131は、取得した顔画像を記憶部14の照合情報テーブル141の照合情報と照合して顔認証を行い、顔認証結果としてID番号を取得する。
【0057】
次のステップS4で、顔認証部131は、顔認証が正常に行われたか判定し、顔認証が正常に行われた場合(YES)、プログラムはステップS6へと進む。これに対して、1回目に来訪した来訪者の場合は、照合情報が登録されていないため、顔認証が正常に行われず、ステップS4の判定はNOとなる。このとき、プログラムはステップS5へと進み、顔認証部131は、1回目(新規)の来訪者があったとして、来訪者用のID番号を新規に発行し、ステップS6へと進む。
【0058】
ステップS6で、サーモカメラ10は、顔画像データ、ID番号及び体温の検知結果を対象者情報として管理端末2へ送出するが、新規の来訪者であれば、そのことを示す情報も、対象者情報に含めて送出する。
【0059】
次のステップS7で、体温判定部132は、体温検知部12での検知結果に基づき、体温が閾値以下であるか判定する。閾値以下(判定がYES)の場合は、体温が正常であるとして、プログラムはENDへと進み、入退室管理プログラムが起動している間は、ステップS1へと戻り、サーモカメラ10は次の顔認証の待ち状態に入る。
【0060】
一方、ステップS7で、閾値を超えている(NO)と判定された場合は、体温が異常であるとして、プログラムはステップS8へと進む。このステップS8で、サーモカメラ10は表示部15に、又はタッチパネル16に指示して、その表示部17に、体温とともにメッセージ(例えば、赤字で「体温異常」)を表示したり、音声を発したりして、来訪者にアラーム通知する。このとき、サーモカメラ10は、管理端末2にアラーム通知の信号を送出してもよい。その後、プログラムはENDへと進み、入退室管理プログラムが起動している間は、ステップS1へと戻り、次の顔認証の待ち状態に入る。
【0061】
次に、管理端末(入退室管理装置)2での動作の一例を、図6B図9を参照しながら説明する。これらの動作は、サーモカメラ10から、顔認証による対象者情報の入力(ステップS6参照)の入力を受けたときに開始される。
【0062】
まず、図6Bに示すステップS11で、管理端末2の管理情報処理部202は、サーモカメラ10から入力される対象者情報、さらにはアラーム通知を取得し、次のステップS12で、対象者情報に含まれるID番号をキーとして、サーバ3から当該対象者の管理情報を取得する。なお、新規の訪問者の場合は管理情報が未作成なのでサーバ3から管理情報を取得しない。
【0063】
次のステップS13では、制御部20は、顔認証結果のID番号が来訪者のものであるか判定し、来訪者のものである場合(判定がYES)は、プログラムはステップS14の来訪者管理処理へと進む。
【0064】
ID番号が来訪者のものではない場合(ステップS13の判定がNO)は、ステップS15へと進む。このステップS15で、制御部20は、ID番号が入居者のものであるか判定し、入居者のものである場合(判定がYES)は、ステップS16の入居者管理処理へと進み、入居者のものではない、つまり職員のものである場合(判定がNO)は、ステップS17の職員管理処理へと進む。
【0065】
上記ステップS14、S16又はS17が終了すると、プログラムはENDへと進む。そして、管理プログラムが起動している間はステップS11へと戻り、管理端末2はサーモカメラ10からの次の対象者情報等の入力の待ち状態に入る。
【0066】
次に、ステップS14の「来訪者管理処理」の詳細について、図7のフローチャートを参照して説明する。まず、ステップS101で、判定部203は、サーモカメラ10から取得した対象者情報に基づき、新規(1回目の来訪)の来訪者であるか判定する。新規の来訪者と判定した場合(判定がYES)は、ステップS102へと進む。これに対して、登録済の来訪者と判定した場合(判定がNO)は、プログラムはステップS102~S106をスキップしてステップS107へと進む。
【0067】
ステップS102では、来訪者の登録を行うべく、表示制御部205は、タッチパネル16に指示信号を送出し、図5(a)に示す用件入力画面を表示部17に表示させる。この用件入力画面で、来訪者は、面会、業者、ボランティア等のアイコンをタッチすることで、用件を入力することができる。タッチパネル16は、入力された用件を管理端末2へ送出する。次のステップS103で、照合情報登録部201は、この用件をタッチパネル16から取得し、ステップS104で、表示制御部205は、タッチパネル16に指示信号を送出し、図5(b)に示す来訪者情報入力画面の表示部17に表示させる。この来訪者情報入力画面で、来訪者は、名前、電話番号、続柄、訪問先の入居者名等を入力することができる。次のステップS105で、表示制御部205は、この来訪者情報をタッチパネル16から取得する。
【0068】
次のステップS106で、照合情報登録部201は、当該来訪者の照合情報及び管理情報を生成して、サーモカメラ10及びサーバ3へ送出する。すなわち、管理端末2には、サーモカメラ10からID番号、顔画像データ、体温の検知結果及び顔認証時の時間、タッチパネル16から名前、電話番号、続柄、訪問先の入居者名等の来訪者情報が入力されている。これらの情報に基づき、照合情報登録部201は、顔画像データ及び名前をID番号と紐づけて照合情報を生成する。管理情報処理部202は、顔画像データと名前等の来訪者情報と顔認証時の時間とを、ID番号と紐づけて管理情報を生成する(ステータスは未設定とする)。そして、照合情報登録部201は、照合情報をサーモカメラ10へ送出し、管理情報処理部202は、管理情報をサーバ3へ送出する。
【0069】
サーモカメラ10は、入力された当該来訪者の照合情報を記憶部14の照合情報テーブル141に登録する。サーバ3は、入力された当該来訪者の管理情報を管理情報記憶部31の来訪者管理テーブル311に登録する。その後、プログラムはステップS107へと進み、1回目の顔認証がされたものとして、その後の処理が行われる。
【0070】
ステップS107以降のステップは、1回目の来訪(新規)の来訪者の登録が完了した後、又は来訪回数が2回目以降で登録済の来訪者に対して実行される。ステップS107では、管理端末2の判定部203は、ステップS12でサーバ3から取得した管理情報又はS106で生成した管理情報のステータスが「未設定」か判定し、「未設定」であれば(判定がYES)、来訪者の入室時の顔認証であるとしてステップS108へと進み、ステータスに「入室」を設定する。次いで、ステップS109へと進み、表示制御部205は、タッチパネル16に指示信号を送出し、表示部17に図5(c)の症状チェック画面を表示させ、来訪者にチェックさせる。来訪者からの症状チェックの入力があれば、タッチパネル16は、入力された症状チェック結果を管理端末2へ送出する。ステップS110で、管理情報処理部202が、この症状チェック結果をタッチパネル16から取得し、記憶部24に一時的に記憶する。その後、プログラムはステップS112へと進む。
【0071】
これに対して、ステップS107の判定がNO、つまりステータスが設定されていれば、来訪者の退室時の顔認証であるとして、ステップS111へと進み、制御部20はステータスに「退室」を設定し、プログラムはステップS112へと進む。
【0072】
ステップS112では、表示制御部205は、ステップS12でサーバ3から取得した管理情報(又はS106で生成した管理情報)と、ステップS108又はS111で設定したステータスと、ステップS11でサーモカメラ10から取得した体温及び顔認証時の時間と、ステップS110でタッチパネル16から取得した症状チェック結果に基づいて、表示部21にステータス画面の更新指示を送出する。表示部21は、ステータス画面を更新して表示する。時間は、ステータスが入室なら入室時間として扱われ、ステータスが退室なら退室時間として扱われる。
【0073】
次のステップS113で、管理情報処理部202は、ステータスが入室であれば、ID番号、体温、症状チェック結果、時間(入室時間)、ステータス(入室)をサーバ3へ送出し、ステータスが退室であれば、ID番号、体温、時間(退室時間)、ステータス(退室)をサーバ3へ送出する。これらの入力を受けて、サーバ3は、ステータスに応じて管理情報記憶部31の来訪者管理テーブル311の当該来訪者の管理情報を更新する。
【0074】
その後、プログラムはステップS114へと進み、通知部204は、表示制御部205や音出力部23へ入退室の通知を指示する。この指示を受けて、表示制御部205が表示部21にメッセージを表示させ、音出力部23は音声を出力することによって、来訪者の入室又は退室を職員へ通知する。職員は必要に応じた対応をすることができる。例えば、面会者やボランティアの入室の通知を確認したら、受付カウンタKへ赴いて面会者やボランティアを入居者の部屋へ案内することができ、業者の入室の通知を確認したら、受け取りや案内等の対応をすることができる。なお、職員が対応することなく、表示部17に「受付けが完了しました。入室してください。」などのメッセージを表示したり、音声を出力したりして、自動で入室を許可する仕様としてもよい。
【0075】
また、ドア開閉機構と連携している場合は、通知部204がドア開放の許可の指示をドア開閉機構に送出する。この指示によってドア開閉機構がドアを開放し、無人の状態で来訪者が入室又は退室することができる。以上で、来訪者管理処理が終了する。
【0076】
次に、ステップS16の「入居者管理処理」の詳細について、図8のフローチャートを参照して説明する。まず、ステップS201で、判定部203は、ステップS12でサーバ3から取得した管理情報のステータスが「入室中」(在室)か判定し、「入室中」であれば(判定がYES)、今回の顔認証は入居者の退室(外出)時の顔認証であるとして、ステップS202へと進み、表示制御部205は、タッチパネル16に指示信号を送出し、表示部17に図5(d)の外出先入力画面を表示させる。タッチパネル16は、入力された外出先等の情報を管理端末2へ送出する。ステップS203で、管理情報処理部202は、入居者が入力した外出先と同伴者の名前をタッチパネル16から取得し、記憶部24に一時的に記憶する。次いで、ステップS204へと進み、管理情報処理部202はステータスに「退室」を設定する。このとき、管理情報処理部202は、外出先に基づいて「退室」のステータスを、より詳細なステータス、例えば「通院中」、「買い物中」、「訪問中」等に設定する。その後、プログラムはステップS206へと進む。
【0077】
これに対して、ステップS201の判定がNO、つまりステータスが「退室」(通院中、買い物中、訪問中等)であれば、今回の顔認証は入居者の入室(帰宅)時の顔認証であるとして、ステップS205へと進み、管理情報処理部202は、ステータスに「入室」を設定する。その後、プログラムはステップS206へと進む。
【0078】
ステップS206では、管理情報処理部202は、ステップS12でサーバ3から取得した管理情報と、ステップS204又はS205で設定したステータスと、ステップS11でサーモカメラ10から取得した体温及び顔認証時の時間と、ステップS203でタッチパネル16から取得した外出先及び同伴者の名前に基づいて、表示部21のステータス画面の更新指示を送出する。表示部21は、ステータス画面を更新して表示する。時間は、ステータスが入室なら入室時間として扱われ、ステータスが退室なら退室時間として扱われる。
【0079】
次のステップS207では、管理情報処理部202は、ステータスが入室であれば、ID番号、体温、時間(入室時間)、ステータス(入室中)をサーバ3へ送出し、ステータスが退室であれば、ID番号、体温、外出先及び同伴者、時間(退室時間)、外出先に応じたステータス(退室)をサーバ3へ送出する。これらの入力を受けて、サーバ3は、ステータスに応じて管理情報記憶部31の入居者管理テーブル312の当該入居者の管理情報を更新する。
【0080】
その後、プログラムはステップS208へと進み、通知部204は、表示制御部205や音出力部23へ入退室の通知を指示する。この指示を受けて、表示制御部205が表示部21にメッセージを表示させ、音出力部23は音声を出力することによって、入居者の入室又は退室を職員へ通知する。職員は必要に応じた対応をすることができる。なお、職員は、ステータス画面を視認することで、入居者の退室(外出)や入室(帰宅)を確認できるので、ステップS208の通知指示は、必ずしも行わなくてもよい。また、通知部204がドア開放の許可の指示をドア開閉機構に送出する仕様であれば、ドア開閉機構によってドアが開放され、無人の状態で入居者が退室又は入室することができる。以上で、入居者管理処理が終了する。
【0081】
次に、ステップS17の「職員管理処理」の詳細について、図9のフローチャートを参照して説明する。まず、ステップS301で、制御部20は、ステップS12でサーバ3から取得した管理情報のステータスが「未設定」、「外出中」又は「中抜け中」か判定し、いずれかであれば(判定がYES)、職員の入室(出勤又は戻り)時の顔認証であるとして、ステップS302へと進む。
【0082】
ステップS302で、管理情報処理部202は、ステータスに「入室」を設定する。このとき、管理情報処理部202は、サーバ3から取得した管理情報のステータスが「未設定」なら、ステータスに「出勤」を設定し、ステータスが「外出中」又は「中抜け中」ならステータス「戻り」を設定する。
【0083】
これに対して、ステップS301の判定がNOであれば、職員の退室(外出又は退勤)時の顔認証であるとして、ステップS303へと進み、表示制御部205は、タッチパネル16に指示信号を送出し、図5(e)に示す外出理由入力画面を表示部17に表示させる。タッチパネル16は、入力された外出先を管理端末2へ送出する。ステップS304で、管理情報処理部202は、職員が入力した外出理由をタッチパネル16から取得し、記憶部24に一時的に記憶する。
【0084】
次のステップS305で、管理情報処理部202は、ステータスに外出理由に応じた「退室」を設定する。すなわち、取得した外出理由に応じて、管理情報処理部202は、ステータスに「外出中」、「中抜け中」、「退勤」を設定する。その後、プログラムはステップS306へと進む。
【0085】
ステップS306で、表示制御部205は、ステップS12でサーバ3から取得した管理情報と、ステップS302又はS305で設定したステータスと、ステップS11でサーモカメラ10から取得した体温及び顔認証時の時間と、ステップS304でタッチパネル16から取得した外出理由に基づいて、表示部21のステータス画面の更新指示を送出する。表示部21は、ステータス画面を更新して表示する。時間は、ステータスが入室(出勤又は戻り)なら入室時間として扱われ、ステータスが退室(業務外出中、中抜け中又は退勤)なら退室時間として扱われる。
【0086】
次のステップS307で、管理情報処理部202は、ステータスが入室であれば、ID番号、体温、時間(入室時間)、ステータス(入室)をサーバ3へ送出し、ステータスが退室であれば、ID番号、体温、外出理由、時間(退室時間)、ステータス(退室)をサーバ3へ送出する。これらの入力を受けて、サーバ3は、ステータスに応じて管理情報記憶部31の職員管理テーブル313の当該職員の管理情報を更新する。
【0087】
その後、プログラムはステップS308へと進み、通知部204は、表示制御部205や音出力部23へ入退室の通知を指示する。この指示を受けて、表示制御部205が表示部21にメッセージを表示させ、音出力部23は音声を出力することによって、職員の入室又は退室を他の職員へ通知する。なお、職員は、ステータス画面を視認することで、職員の入退室状況を確認できるので、ステップS308の通知指示は、必ずしも行わなくてもよい。また、通知部204がドア開放の許可の指示をドア開閉機構に送出する仕様であれば、ドア開閉機構によってドアが開放され、無人の状態で職員が退室又は入室することができる。以上で、職員管理処理が終了する。
【0088】
以上説明したように、本実施形態によれば、顔認証によるID番号に基づいて取得した管理情報のステータスに基づいて、入室か退室かを判定し、入退室の管理をしているため、入退室の手続きの手間を省き、より簡易かつ迅速に、入退出管理を行うことが可能な入退室管理装置(管理端末2)、入退室管理システム100、入退室管理方法及びプログラムを提供することができる。また、本実施形態では、管理情報のステータスに加えて、対象者のID番号に基づく属性に応じて、入室か退室かを判定しているため、入退室の手続きの手間を、より少なくすることができ、より簡易かつ迅速に、入退出管理を行うことが可能となる。また、対象者の属性ごとに、入室及び退室に関する複数のステータスが予め設けられ、属性及び現在のステータスに基づいて、当該顔認証時のステータスを設定するため、対象者のステータスを、より詳細に管理することができる。
【0089】
以上、図面を参照して、本開示の実施の形態及び変形例を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態及び変形例に限らず、本開示の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本開示に含まれる。
【0090】
例えば、上記実施形態では、サーモカメラ10に設けた顔認証部131が、顔認証を行っているが、これに限定されず、管理端末2に顔認証部を設け、この顔認証部でサーモカメラ10が撮影した顔画像に基づいて顔認証してもよい。また、昨今は、外国人の看護師や介護士等が現場で活躍するようになっている。また、外国人の入居者や来訪者も存在する。このため、例えば、対象者が国籍又は使用言語を登録できるようにし、顔認証によって対象者の国籍又は使用言語に応じた言語で、表示部17への画面の表示や、音声の出力を行うようにしてもよい。また、視覚障害や聴覚障害等の対象者の場合は、顔認証により音声や文字でメッセージを提示してもよい。したがって、現場の状況や、対象者に即した、よりフレキシブルな入退室管理が可能となる。
【0091】
また、本実施形態の入退室管理システム100及び入退室管理方法は、サーモカメラ10の画像取得部11で撮影した顔画像に基づいて、表情チェック等を行って、チェック結果に基づいて、対象者の健康状態を認識して管理したり、入退室を許可するか否かを判定したりすることもできる。また、職員の場合は、入退室を繰り返すことから、1回目の入室(出勤)時のみに体温を検知する仕様とすることや、外出理由を入力することなく、職員の属性、外出時間帯等に応じて、管理端末2の制御部20が外出理由を判定し、ステータスを設定する仕様とすることもできる。これにより、入退室の手続きの手間を、より少なくして、より迅速かつ簡易な入退室管理が可能となる。
【0092】
また、本実施形態の入退室管理システム100は、職員の出退勤の時間、業務外出と戻りの時間、中抜けと戻りの時間を含む管理情報を記憶して管理している。このため、勤怠管理システムと連携することで、管理情報を職員の勤怠管理に利用することも可能となり、入退室管理装置(管理端末2)、入退室管理システム100、入退室管理方法及びプログラムの産業上の利用の可能性を拡大することができる。
【0093】
また、以上では本開示の入退室管理装置を、管理端末2に適用した実施形態を説明したが、本開示の入退室管理装置を、サーモカメラ10に適用してもよい。つまり、図6B図9の制御をサーモカメラ10(制御部13)で実行するようにしてもよい。その場合、タッチパネル16やサーバ3は、サーモカメラ10に接続される。
【0094】
また、上記実施形態等では、判定部203は、ID番号に基づいて取得した管理情報のステータス(前回の顔認証時のステータス)に基づいてステータスの切り替えを行っているがこれに限定されない。例えば、顔認証の回数をカウントし、カウント結果に基づいて入室か退室かを判定し、ステータスを設定してもよい。例えば、1回目等の奇数回の顔認証であれば入室と判定し、2回目等の偶数回の顔認証であれば退室と判定してもよい。さらには、ID番号に基づく対象者の属性が、来訪者又は職員であれば、判定部203は、1回目の顔認証は入室と判定し、2回目の顔認証は退室と判定する。同様に、判定部203は、奇数回目の顔認証は入室と判定し、偶数回目の顔認証は退室と判定する。これに対して、対象者の属性が、通常は在室している入居者であれば、判定部203は、1回目の顔認証は退室(外出)と判定し、2回目の顔認証は入室(帰宅)と判定する。同様に、判定部203は、奇数回目の顔認証は退室と判定し、偶数回の顔認証は入室と判定する。
【符号の説明】
【0095】
2 :管理端末(入退室管理装置)
10 :サーモカメラ(外部装置)
16 :タッチパネル(外部装置)
20 :制御部
21 :表示部(外部装置)
100 :入退室管理システム
【要約】
【課題】入退室の手続きの手間を省き、より簡易かつ迅速に、入退出管理を行うことを可能とする。
【解決手段】入退室管理装置である管理端末20は、外部装置であるサーモカメラ10から対象者の顔画像データ、対象者の顔認証の結果得られるID番号、対象者の体温、顔画像データを撮影した時間を含む照合情報が入力されることで、ID番号に基づいてサーバの管理情報記憶部31から対象者の管理情報を取得し、管理情報に設定された対象者の入室又は退出を表すステータスに基づき、該顔認証が入室時の顔認証か退室時の顔認証かを判定し、対象者のステータスに入室又は退室を切り替えて設定し、表示部21に該ステータスを表示するよう指示する制御部20を備える。
【選択図】図1A
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9