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特許7232575ワキシーデンプンでコーティングされた食料品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-22
(45)【発行日】2023-03-03
(54)【発明の名称】ワキシーデンプンでコーティングされた食料品
(51)【国際特許分類】
   A23L 5/00 20160101AFI20230224BHJP
   A23G 3/34 20060101ALN20230224BHJP
   A23G 3/42 20060101ALN20230224BHJP
【FI】
A23L5/00 F
A23G3/34 109
A23G3/42
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018049213
(22)【出願日】2018-03-16
(65)【公開番号】P2018153178
(43)【公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-03-15
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-09
(31)【優先権主張番号】15/462,412
(32)【優先日】2017-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512035620
【氏名又は名称】コーンプロダクツ ディベロップメント インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ユルゲク
(72)【発明者】
【氏名】セルジオ バールガス サンチェス
【合議体】
【審判長】▲吉▼澤 英一
【審判官】大島 祥吾
【審判官】三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-538799(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0067282(US,A1)
【文献】特開2007-97498(JP,A)
【文献】特開2004-97096(JP,A)
【文献】特開2002-369657(JP,A)
【文献】特開昭63-177757(JP,A)
【文献】特公昭46-18592(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 5/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベークされたコーティング付き食料品を製造するためのベークされていないコーティング付き食料品であって、
a.食用基材、及び、
b.第一のデンプンとして噴霧調理された凝集ワキシートウモロコシデンプンを含むコーティング混合物の少なくとも1つの層を含むコーティング、
を含み、
前記食用基材が前記コーティングでコーティングされており、
前記噴霧調理された凝集ワキシートウモロコシデンプンが、150~250ミクロンのd50、又は50~100ミクロンのd10を有し、そして場合により100~300ミクロンのミーン粒子サイズを有する、
ベークされていないコーティング付き食料品。
【請求項2】
前記食用基材は湿分含有量が5%未満である、請求項1記載のベークされていないコーティング付き食料品。
【請求項3】
前記コーティング混合物は第二のデンプンをさらに含む、請求項1又は2記載のベークされていないコーティング付き食料品。
【請求項4】
前記第一のデンプンのピーク水和粘度までの時間が5.5~7.5分である、請求項1~3のいずれか1項記載のベークされていないコーティング付き食料品。
【請求項5】
前記第一のデンプン及び第二のデンプンは3:1~1:3の質量比で混合されている、請求項3又は4記載のベークされていないコーティング付き食料品。
【請求項6】
ベークされたコーティング付き食料品を製造するためのベークされていないコーティング付き食料品であって、
湿分含有量が5%未満である食用基材、及び、
ピーク水和粘度までの時間が5.5~7.5分である噴霧調理された凝集ワキシートウモロコシデンプンであることを特徴とする第一のデンプン、及び、
デンプン又はフラワーである第二のデンプン、
を含み、前記第一のデンプン及び第二のデンプンは3:1~1:3の質量比で混合されている混合物の少なくとも1つの層を含むコーティング、
を含む、ベークされていないコーティング付き食料品。
【請求項7】
前記食用基材はナッツ、種子、マメ科植物又は野菜である、請求項1~6のいずれか1項記載のベークされていないコーティング付き食料品。
【請求項8】
前記第二のデンプンはグルテン不含デンプン又は小麦粉であり、前記小麦粉は場合により未変性である、請求項3~7のいずれか1項記載のベークされていないコーティング付き食料品。
【請求項9】
ベークされたコーティング付き食料品の製造方法であって、
a.食用基材、及び、噴霧調理された凝集ワキシートウモロコシデンプンを含むコーティング混合物を準備すること、
b.前記食用基材を前記コーティング混合物のコーティング及び接着液でコートすること、及び
c.コートされた食料品をベーキングすること、
を含み、
前記凝集ワキシートウモロコシデンプンが、150~250ミクロンのd50、又は50~100ミクロンのd10、そして場合により100~300ミクロンのミーン粒子サイズを有する粒子サイズ分布を有する、方法。
【請求項10】
前記凝集ワキシートウモロコシデンプンのピーク水和粘度までの時間が5.5~7.5分である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記コーティング混合物が、第二のデンプン又はフラワーを更に含み、前記凝集ワキシートウモロコシデンプンと第二のデンプン又はフラワーとを、3:1~1:3の質量比で混合する、請求項9又は10記載の方法。
【請求項12】
前記食用基材の湿分含有量が5%未満である、請求項9~11のいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2017年3月17日に出願された米国非仮特許出願第15/462,412号に関連し、その優先権を主張し、該出願の全体を参照により本明細書に取り込む。
【0002】
ベーキング時に膨張するトウモロコシデンプンから作られる食品コーティング、及びそれを用いて作られる食料品(例えば、スナック)を本明細書に開示する。より詳細には、噴霧調理された凝集ワキシートウモロコシデンプンから作られるコーティングを本明細書に開示する。
【背景技術】
【0003】
トウモロコシデンプンは製造食料品(例えば、スナック食品)に広く使用されている。該デンプンは単独のデンプン成分として使用することができ、又は、他のデンプン及びフラワーと混合することができる。トウモロコシデンプンは、タピオカなどの他のデンプンと比較して、調理中によく膨張することが知られているが、それはより柔らかい食品スナックを作る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
より硬い食料品(例えば、スナック食品)を製造しながら、その好ましい膨張特性を保持するトウモロコシデンプンが存在することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
食用基材、及び、第一のデンプンとして噴霧調理された凝集ワキシートウモロコシデンプンを含むコーティング混合物の少なくとも1つの層を含むコーティングを含み、前記食用基材が前記コーティングでコーティングされている、1つ以上のコーティング付き食料品を本明細書に開示する。別の実施形態は、食用基材、及び、第一のデンプンとして噴霧調理された凝集ワキシートウモロコシデンプンを含みそしてデンプン又はフラワーから選ばれる第二のデンプンを含むコーティング混合物の少なくとも1つの層を含み、前記食用基材が前記コーティングによりコーティングされている、1つ以上のコーティング付き食料品に関する。さらなる実施形態において、本明細書に記載の第一のデンプンはピーク水和粘度までの時間が約5.5~約7.5分である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のコーティングは、ベーキングの間に約1.7~約2.6mm、約2.0~約2.5mm、約2.125~約2.375mm又は約2.2~2.3mmのコーティング膨張まで膨張する。他の実施形態において、本明細書に記載のコーティングは、ベーキング後の硬度が約2500~約4000グラム、約2500~約3800グラム、約2600~約3800グラム、約2700~約3750グラム、約2800~約3750グラム、約2900~約3750グラム、約3250~約3500グラム、又は、約3000~約3750グラムである。なおもさらなる実施形態において、本明細書に記載のコーティングは、硬度対膨張比が約1100:1~約2200:1g/mmである。他の実施形態において、食料品はスナック食品である。いくつかの実施形態において、食用基材は、ナッツ、種子、マメ科植物又は野菜である。さらに他の実施形態において、食用基材は、約5質量%未満の湿分含有率を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は表2に記載の種々のデンプンから製造されたコーティングの硬度を示すグラフである。
図2図2は、表2に記載の種々のデンプンから製造されたコーティングのコーティング膨張を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書で使用されるときに、「ワキシーデンプン」は、低レベルのアミロースを自然に有する植物に由来する。植物は、自然界に見出されるもの、遺伝子組み換えされたもの、又は、制御育成プログラムによって育成されたものであってもよい。いくつかの実施形態において、本発明のワキシーデンプンは、アミロースが10質量%未満であり、5%未満、3%未満又は本質的に0%のアミロースを有する。
【0008】
本明細書で使用されるときに、「凝集デンプン」は、結合剤と一緒に結合された2つ以上のデンプン粒子を含むデンプン組成物である。当該技術分野で使用される結合剤の非限定的な例としては、糖シロップ、マルトデキストリン、水、及び水中に少なくとも部分的に溶解された変性デンプンが含まれる。そのような変性デンプンは、アルファ化、架橋、安定化、加水分解又はそれらの組み合わせによって変性されていることができる。
【0009】
本明細書で使用されるときに、デンプン又はフラワーに関して「未変性」とは、デンプン又はフラワーが、化学的、物理的又は酵素的変性などのいかなる方法でも変性されていないことを意味する。例えば、アルファ化デンプンは変性デンプンである。
【0010】
本明細書で使用されるときに、「ケーキ粉」は、漂白されており、市販されている万能粉よりも典型的に細かい小麦粉の市販品種の1つを意味する。さらに、ケーキ粉は、典型的に、万能粉と比較して、質量基準で相対的に低い百分率(約8%対10%)のタンパク質を有する。
【0011】
本明細書で使用されるときに、「コーティング膨張」は、ベーキング後のコーティングの内縁から外縁までのコーティングの高さ測定値を指す。
【0012】
本明細書で使用されるときに、「低タンパク質フラワー」は、タンパク質が約8質量%以下であるフラワーを指す。
【0013】
本明細書で使用されるときに、用語「第二のデンプン」は、噴霧調理された凝集ワキシートウモロコシデンプンを除外する。
【0014】
噴霧調理された凝集デンプンは、噴霧調理プロセスによって作られたアルファ化デンプンである。噴霧調理は、スチーム/スラリーの混合物+圧力でスプレーノズル内でデンプンを調理し、次いで、後で再湿潤凝集されうる微細粒子として噴霧チャンバ内に直ちに霧化するか、又は、霧化時点で噴霧乾燥機内にて凝集されているプロセスである。
【0015】
特段の断りがない限り、すべての比率又は百分率は質量基準である。
【0016】
1つの実施形態は、食用基材、及び、第一のデンプンとして噴霧調理された凝集ワキシートウモロコシデンプンを含むコーティング混合物の少なくとも1つの層を含むコーティングを含み、前記食用基材が前記コーティングによりコーティングされている、1つ以上のコーティング付き食料品に関する。別の実施形態は、食用基材、及び、第一のデンプンとして噴霧調理された凝集ワキシートウモロコシデンプンを含みそしてデンプン又はフラワーから選ばれる第二のデンプンを含むコーティング混合物の少なくとも1つの層を含むコーティングを含み、前記食用基材が前記コーティングによりコーティングされている、1つ以上のコーティング付き食料品に関する。1つの実施形態において、本明細書に記載の第一のデンプンは、水和粘度までのピーク時間が5.5~7.5分又は約6~7分である。他の実施形態において、本明細書に記載の第一のデンプンは、メジアン粒子サイズ(d50)が約150~約250ミクロン又は約175~約225ミクロンである。さらに他の実施形態において、本明細書に記載の第一のデンプンは、d10粒子サイズ分布(10%未満の粒子がそれより小さい)が約50~約100ミクロン又は約50ミクロンである。さらになおも他の実施形態において、d90粒子サイズ分布(90%未満の粒子がそれより小さい)は約325~約425ミクロン又は約350~約400ミクロンである。さらに他の実施形態において、本明細書に記載の第一のデンプンは体積平均粒子サイズ(D [4,3])が約100~300ミクロン又は150~250ミクロンである。
【0017】
噴霧調理中の霧化は粒子サイズを制御する。凝集デンプンのサイズ分布はまた、適切なスクリーニング法を用いて制御することもできる。
【0018】
1つの実施形態において、本明細書に記載のコーティングは、第一のデンプンと、デンプン及び小麦粉、ケーキ粉、低タンパク質フラワー及びグルテン含有フラワーから選ばれる第二のデンプンを含むコーティング混合物を含む。1つの実施形態において、本明細書に記載の低タンパク質フラワーは約8質量%以下のタンパク質を含む。別の実施形態において、本明細書に記載のコーティング混合物は約50%の第一のデンプン及び50%の第二のデンプン又はフラワーを含む。さらに別の実施形態において、本明細書に記載のコーティング混合物は、約25%~約75%の第一のデンプン及び約25%~約75%の第二のデンプンを含む。1つの実施形態において、第一のデンプン及び第二のデンプンを一緒に混合して均質な乾燥混合物を形成する。さらに他の実施形態において、本明細書に記載の1つ以上のコーティング混合物は、化学膨張剤、例えば、重炭酸ナトリウム及び重炭酸アンモニウムを含む重炭酸塩、例えば、リン酸カルシウム及び硫酸アンモニウムナトリウムを含む酸性塩、及び酒石酸から選ばれる追加の成分を含む。なおもさらなる追加の実施形態において、本明細書に記載の1つ以上のコーティング混合物は、コーティング混合物の約0.1質量%~約1質量%の範囲の量の膨張剤を含む。なおもさらなる追加の実施形態において、本明細書に記載の1つ以上のコーティング混合物は、コーティング混合物の約10%~約40%の量の糖を含む。なおさらなる追加の実施形態において、本明細書に記載の1つ以上のコーティング混合物は、限定するわけではないが、塩を含む、食料品に一般的に使用されている他の調味料及び香味料を含む。
【0019】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の第二のデンプンはデンプン及び/又はフラワーである。他の実施形態において、本明細書に記載の第二のデンプンは小麦粉である。なおも他の実施形態において、第二のデンプンは、噴霧調理された凝集ワキシートウモロコシデンプン以外の、噴霧調理された凝集デンプンである。さらなる実施形態において、噴霧調理された凝集ワキシートウモロコシデンプン以外の噴霧調理された凝集デンプンは、オート麦、サガ、トウモロコシ、タピオカ、エンドウマメ又は他の穀粉、オオムギ、アマランサス、アロールート、カンナ、キノア及びソルガム、ならびに、上記のもののワキシー(すなわち、低アミロース)及び高アミロース変種からの混合デンプン又はフラワーである。なおもさらなる実施形態において、第二のデンプンは、いかなる方法でもアルファ化又は変性されていない。なおも他の実施形態において、第二のデンプンは、例えば、エーテル化、エステル化、架橋、転化、アニーリング、湿熱処理、熱阻害などの標準的な変性を用いて変性されてよい。
【0020】
いくつかの実施形態において、コーティング混合物は、水又は、糖、ガム、変性デンプン及びデンプン誘導体、マルトデキストリンなどから製造されたシロップを含む接着層で食用基材に適用される。いくつかの実施形態において、シロップは、糖及び水を含む単純シロップである。他の実施形態において、単純シロップは、約1:4の糖/水~約4:1の糖/水の質量比で水に糖を溶解することによって製造され、又は、糖/水の比は約1:1である。さらに他の実施形態において、シロップは、例えば、上記のタイプの塩又は化学膨張剤などの他の水溶性成分をさらに含む。
【0021】
なおもさらなる実施形態において、食料品は当該技術分野で公知の適切な方法を用いてコーティングされる。いくつかの実施形態において、パンコーターを使用して食用基材を接着層及びコーティングによりコーティングし、該コーティングは第一のデンプン及び場合により第二のデンプンを含み、接着層及びコーティング混合物層の交互のコーティングが可能になる。さらに他の実施形態において、コーターは、食用基材に実質的に均一なコーティングを適用する。なおもさらに他の実施形態において、食用基材を接着層及びコーティング混合物で交互にコーティングすることによって、食用基材を1回より多くコーティングする。いくつかの実施形態において、1つより多くのコーティングを使用する。他の実施形態において、5つより多くのコーティングを使用する。さらに他の実施形態において、10を超えるコーティングを使用する。
【0022】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のコーティング付き食料品は、任意のタイプの工業用オーブン、例えば、従来のオーブン、流動床反応器及び乾燥機、加熱デバイスを備えたミキサー及びブレンダー、ならびに他のタイプのヒーターでベーキングされる。他の実施形態において、本明細書に記載のコーティング付き食料品は、130℃~190℃、150℃~180℃又は約170℃の温度でベーキングされる。なおもさらに他の実施形態において、コーティング付き食料品は、10~60分間、20~30分間、約25分又は22分ベーキングされる。
【0023】
さらに他の実施形態において、コーティング付き食料品は、コーティング膨張が約1.7~約2.6mm、約2.0~約2.5mm、約2.125~約2.375mm、又は、約2.2~約2.3mmである少なくとも1つの層を含むコーティングを含む。
【0024】
さらに他の実施形態において、コーティング付き食料品は、硬度が約2500~約4000グラム、約2500~約3800グラム、約2600~約3800グラム、約2700~約3750グラム、約2800~約3750グラム、約2900~約3750グラム、約3250~約3500グラム、又は、約3000~約3750グラムである少なくとも1つの層を含むコーティングを含む。
【0025】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のコーティングは、硬度/膨張比が約1100:1~約2200:1g/mm、約1500:1~約1600:1g/mm、又は、約1550:1~約1575:1g/mmである。
【0026】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の食用基材はコーティングすることができる任意の食料品である。他の実施形態において、食用基材は、ナッツ(例えば、アーモンド、カシューナッツなどを含む)、種子類(例えば、ヒマワリ種子、ウイキョウ種子、カボチャ種子など)、マメ科植物(ピーナッツ、エンドウなど)及び野菜から選ばれる。さらに他の実施形態において、本明細書に記載の食用基材は、乾燥されているか、天然の湿分レベルを有しているか、又は、ベーキング前又はベーキング中に基材からコーティングへ湿分がほとんど移行しない組成物である。さらに他の実施形態において、本明細書に記載の食用基材は、コーティングされそしてベーキングされる前に完全に加熱調理されている。なおもさらなるなおも追加の実施形態において、本明細書に記載の食用基材は、湿分含有量が約5%未満である。
【実施例
【0027】
手順プロトコル
硬度測定:分析ソフトウェア(Stable Microsystems, Surrey, UK)を備えたTA-XTPlus Texture Analyzer(Texture Technologies, MA, Hamilton, MA)を用いて、ベーキングされたコーティングの硬度を評価した。測定には3点曲げリグを使用した。リグの基部は20mmの隙間を有し、ブレードは3mmの直径を有し、丸い縁部を有していた。条件を表1に示す。
【表1】

測定は、コーティングを破壊するのに必要なピーク力(グラム)及び破断までの距離(mm)で取った。標準偏差(通常は10~20%の範囲)を完全に把握するために、合計30~35個のサンプルを試験した。測定後に、Minitab統計ソフトウェアを使用してデータを取り出し、異常値を除去した。TukeyのLSDを用いた一元ANOVA試験を用いて、統計的製品グループ分けを特定した。
【0028】
体積測定:目盛り付きシリンダー内の規定量の全被覆ピーナッツ(80個)の体積を測定することによって測定。
【0029】
コーティング膨張測定:キャリパーを使用して手で測定。結果は、ピーナッツをスライスしてその上のコーティングをコーティングの外側表面からコーティングの内側表面まで測定した80個の全被覆ピーナッツ上のコーティング平均厚さに基づく。本明細書で使用されるときに、用語「コーティング膨張」は、ベーキング後にコーティングの内縁から外縁までで測定されたコーティングの高さを指す。
【0030】
水和粘度測定:Brabender(登録商標)Micro Visco-Amylo-Graph(登録商標)(Brabender(登録商標)GmbH&Co. KG, Duisburg, Germanyにより製造)で測定した。測定は、4.5%デンプン固形分のデンプンスラリーに対してpH4にて行った。スラリーを30℃に5分間加熱し、95℃に上昇させ、15分間保持し、次いで30℃に冷却して戻した。ピーク粘度までの時間を、デンプンを溶液(30℃)に混合する開始時点からスラリーがピーク粘度に達するまで測定する。
【0031】
粒子サイズ:噴霧調理された凝集ワキシートウモロコシデンプンの粒子サイズを、Malvern Mastersizer(登録商標)2000を用いたレーザー回折によって測定した。
【0032】
以下の実施例において使用されるデンプンを表2に示す。
【表2】
【0033】
例1
ピーナッツコーティング
コーティング付きピーナッツの8つのバッチを、表2に記載の各サンプル番号1~8のデンプンから調製したコーティング混合物、表3及び表4に記載の成分及び質量%での接着層及びピーナッツを用いてコーティングプロセスで調製した。サンプル番号1~8デンプンと小麦粉とを均質になるまで混合することによってコーティング混合物を調製した。 スクロースと水を一緒に混合し、スクロースが完全に溶解するまで加熱することによって接着層を調製した。接着層をさらに使用する前に冷却した。
【表3】

【表4】
【0034】
ピーナッツは、まず、ピーナッツ、コーティング混合物及び接着層を7つの部分に分けることによってコーティングされた。1部のピーナッツを1部の接着層及びコーティング混合物とともにパンコーターに添加し、内容物を7分間混合してコーティング付きピーナッツを提供した。これを他の6つの各部分について繰り返した。コーティング付きピーナッツをオーブン中で130℃にて25分間ベーキングした。ベーキングしたピーナッツをオーブンから取り出し、包装する前に30分間冷却した。
【0035】
図1及び2は、噴霧調理された凝集ワキシートウモロコシデンプン(表2のサンプル番号5)が約2.25mmに膨張し、約3500gの硬度を有したことを示している。
本開示は以下も包含する。
[1] 食用基材、及び、
第一のデンプンとして噴霧調理された凝集ワキシートウモロコシデンプンを含むコーティング混合物の少なくとも1つの層を含むコーティング、
を含み、
前記食用基材が前記コーティングでコーティングされている、
コーティング付き食料品。
[2] 前記食用基材は湿分含有量が約5%未満である、上記項目1記載のコーティング付き食料品。
[3] 前記コーティング混合物は第二のデンプンをさらに含む、先行の上記項目のいずれか1項記載のコーティング付き食料品。
[4] 前記第一のデンプンはピーク水和粘度が5.5~7.5分である、先行の上記項目のいずれか1項記載のコーティング付き食料品。
[5] 前記第一のデンプン及び第二のデンプンは約3:1~約1:3の質量比で混合されている、上記項目3又は4記載のコーティング付き食料品。
[6] 湿分含有量が約5%未満である食用基材、及び、
ピーク水和粘度までの時間が5.5~7.5分である噴霧調理された凝集ワキシートウモロコシデンプンであることを特徴とする第一のデンプン、及び、
デンプン又はフラワーである第二のデンプン、
を含み、前記第一のデンプン及び第二のデンプンは約3:1~約1:3の質量比で混合されている混合物の少なくとも1つの層を含むコーティング、
を含む、コーティング付き食料品。
[7] 前記コーティングはコーティング膨張が約1.7~約2.6mm、約2.0~約2.5mm、約2.125~約2.375mm、又は、約2.2~2.3mmである、先行の上記項目のいずれか1項記載のコーティング付き食料品。
[8] 前記コーティングは硬度が約2500~約4000グラム、約2500~約3800グラム、約2600~約3800グラム、約2700~約3750グラム、約2800~約3750グラム、約2900~約3750グラム、約3250~約3500グラム、又は、約3000~約3750グラムである、先行の上記項目のいずれか1項記載のコーティング付き食料品。
[9] 前記コーティングは硬度/膨張比が約1100:1~約2200:1g/mm、約1500:1~約1600:1g/mm、又は、約1550:1~約1575:1g/mmである、先行の上記項目のいずれか1項記載のコーティング付き食料品。
[10] 前記食用基材はナッツ、種子、マメ科植物又は野菜である、先行の上記項目のいずれか1項記載のコーティング付き食料品。
[11] 前記第二のデンプンはグルテン不含デンプン又は小麦粉であり、前記小麦粉は場合により未変性である、上記項目3~10のいずれか1項記載のコーティング付き食料品。
[12] 前記コーティングは2層以上からなり、5層以上からなり、10層以上からなり、又は、10層以下からなり、そして前記コーティング混合物は等量部の前記第一のデンプン及び第二のデンプンを含み、そして前記第二のデンプンは場合により未変性である小麦粉であり、各層はスクロース及び水を含む接着層によって前記食用基材に場合により接着しており、各層は7分間パンコータ中にて場合により接着され、そして前記コーティング付き食料品を130℃にて25分間ベーキングしたときに、前記コーティングは硬度/膨張比が約1500:1~約1600:1g/mmである、上記項目3~11のいずれか1項記載のコーティング付き食料品。
[13] 前記第一のデンプンはd 50 が約150~約250ミクロン又は約175~約225ミクロンであり、又は、d 10 が約50~約100ミクロンであり、そして場合によりd 90 が約325~約425ミクロン又は約350~約400ミクロンである、先行の上記項目のいずれか1項記載のコーティング付き食料品。
図1
図2