公報発行日 2023年3月3
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本発明の流体制御弁は、構成を有することにより次のような作用・効果を有する。
(1)流体を入力する入力ポートと、流体が出力される出力ポートと、を備える流体機器であって、入力ポートから出力ポートまでを連通させる流路が内部に形成された本体部を備える流体機器において、本体部は、カーボンナノチューブをフッ素樹脂材料に分散させた導電性フッ素樹脂材料により形成されていること、導電性フッ素樹脂材料の体積抵抗率は、1.0×104Ω・cm以上であり、かつ1.0×105Ω・cm未満であること、を特徴とするので、流体機器を通過する流体の帯電を防止するとともに、流体機器内部の接液部と非接液部との間の絶縁破壊を防止することができる。
すなわち、一般的なフッ素樹脂材料は、絶縁性が高く帯電しやすいが、導電性フッ素樹脂材料は、フッ素樹脂材料にカーボンナノチューブを分散させたものであるため、導電性を持つ。流体機器の本体部が、導電性を持つ導電性フッ素樹脂材料により形成されるため、流体が流路を通過することにより生じる静電気が放電され、本体部および流体の帯電を防止することができる。
流体の帯電を防止することで、例えば、流体機器の内部が、絶縁体であるダイアフラムによって、接液部と非接液部とに区画されている場合でも、流体機器内部の接液部と非接液部との間の電位差が生じにくい。接液部と非接液部との間の電位差が生じにくいため、厚みが非常に薄いダイアフラムであっても、絶縁破壊を起こすおそれが低減される。絶縁破壊を起こすおそれが低減されれば、急激にダイアフラムの内部を移動する電荷により熱が発生し、発生した熱によって、ダイアフラムに微小な亀裂が発生することを防止できる。微小な亀裂の発生を防止することで、流体の漏れや、ダイアフラムの弾性変形の繰り返しによる疲労破壊が生じるおそれが低減される。
また、流体の帯電が防止できるため、帯電した流体がウエハに接触してしまい、欠陥回路パターンを現像されるといった不具合が生じるおそれが低減される。
なお、導電性フッ素樹脂材料の体積抵抗率は、低いほどに導電性が高く、電荷の移動が速やかに行われるため、静電気の放電が速やかに行われる。そうであれば、可能な限り体積抵抗率の低い導電性フッ素樹脂材料によって流体機器の本体部を形成するのが望ましいように思われる。
しかし、体積抵抗率が低すぎると、例えばメンテナンス時などに帯電した作業者や物体が本体部に近づいた際に、導電性の高さゆえに激しい静電気の放電が発生するおそれがある。したがって、本体部の帯電を防止しつつも、帯電した作業者等が近づいた場合にも急激な静電気の放電がされないよう、ゆるやかな放電が可能な体積抵抗率を持つ導電性フッ素樹脂材料によって本体部を形成する必要がある。
そこで、出願人は、実験により、導電性フッ素樹脂材料の体積抵抗率が、1.0×104Ω・cm以上、1.0×105Ω・cm未満に設定するのが最適であることを導き出した。体積抵抗率が、1.0×104Ω・cm未満である場合、急激な静電気の放電が行われるおそれがあるのに比べ、1.0×104Ω・cm以上であれば、緩やかに静電気が放電され、急激な静電気の放電が発生するおそれが低減される。また、体積抵抗率が1.0×105Ω・cm以上であると、放電がゆるやかになりすぎるため、の1.0×105Ω・cm未満であるのが望ましい。
(2)流体を入力する入力ポートと、流体が出力される出力ポートを備える流体機器であって、入力ポートから出力ポートまでを連通させる流路が内部に形成された本体部を備える流体機器において、本体部は、カーボンナノチューブをフッ素樹脂材料に分散させた導電性フッ素樹脂材料により形成されていること、導電性フッ素樹脂材料の、カーボンナノチューブの含有量は、0.04重量%以上であり、かつ0.06重量%以下であること、を特徴とするので、カーボンナノチューブの含有量を、0.04重量%以上であり、かつ0.06重量%以下とすることで、導電性フッ素樹脂材料は帯電防止のために適正な体積抵抗率を得ることができ、当該導電性フッ素樹脂材料により流体機器の本体部を形成することで、本体部および流体の帯電を防止することができる。
また、カーボンナノチューブを含有させることで、流路と流体の接触による流体の汚染が懸念されるが、含有量が0.06重量%以下と微小であるため、汚染を抑えられることを、出願人は実験により確認した。
(3)(1)又は(2)に記載の流体機器において、本体部は、流路内に弁座を備えること、流体機器は、薄膜部を有する弁体を備え、薄膜部の弾性変形により弁体が、弁座に当接または離間することで流体の流量制御を行う流体制御弁であること、を特徴とするので、流体機器の内部が、薄膜部を有する弁体によって、接液部と非接液部とに区画されている。しかし、流体機器を構成する本体部が、導電性フッ素樹脂材料からなるため、本体部は帯電せず、本体部に形成される流路を通過する流体も帯電しない。よって、流体機器内部の接液部と非接液部との間の電位差が生じず、薄膜部が絶縁破壊を起こすおそれが低減される。薄膜部が絶縁破壊を起こすおそれが低減されれば、絶縁破壊により生じる微小なヒビによって、流体の漏れや、薄膜部の疲労破壊が生じるおそれが低減される。
(4)(3)に記載の流体機器において、弁体は、導電性フッ素樹脂材料により形成されていること、を特徴とするので、流体機器の本体部だけでなく、弁体の帯電も防止することができ、より確実に流体機器を通過する流体の帯電を防止することが可能である。
弁体は薄膜部(例えばダイアフラム)を有しており、薄膜部は特に絶縁破壊を起こしやすい。しかし、弁体を導電性フッ素樹脂材料により形成することで、薄膜部において絶縁破壊が発生するおそれが低減される。
ここで、帯電防止のための材料としては、IEC61340-5-1,5-2において、表面抵抗率が1.0×105Ω以上であり、かつ1.0×1011Ω未満の材料が推奨されている。
一般的な厚みを有する薄膜部に対し、体積抵抗率が1.0×104Ω・cm以上であり、かつ1.0×105Ω・cm未満の導電性フッ素樹脂材料を適用すると、表面抵抗率が5.0×105~5.0×106Ω程度となるため、の推奨される表面抵抗率の範囲内となる。なお、体積抵抗率が、1.0×104Ω・cm未満の材料を適用すると、推奨される表面抵抗率の範囲外となるおそれがある。
(5)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載の流体機器において、フッ素樹脂材料は、PFAまたはPTFEであること、を特徴とするので、流体機器の接液部の帯電を防止しつつ、耐薬品性に優れた本体部とすることができる。
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