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  • 特許-流体制御弁 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-22
(45)【発行日】2023-03-03
(54)【発明の名称】流体制御弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 27/00 20060101AFI20230224BHJP
   F16K 7/12 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
F16K27/00 A
F16K7/12 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018193491
(22)【出願日】2018-10-12
(65)【公開番号】P2020060281
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺井 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】山口 友也
【審査官】大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-75674(JP,A)
【文献】特開2018-21639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 27/00
F16K 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を入力する入力ポートと、流体が出力される出力ポートと、を備える流体制御弁であって、前記入力ポートから前記出力ポートまでを連通させる流路が内部に形成された本体部を備え、前記本体部の内部が薄膜部材により接液部と非接液部に区画されている流体制御弁において、
前記本体部は、カーボンナノチューブをフッ素樹脂材料に分散させた導電性フッ素樹脂材料により形成されていること、
前記導電性フッ素樹脂材料の体積抵抗率は、1.0×10Ω・cm以上であり、かつ1.0×10Ω・cm未満であること、
を特徴とする流体制御弁
【請求項2】
流体を入力する入力ポートと、流体が出力される出力ポートを備える流体制御弁であって、前記入力ポートから前記出力ポートまでを連通させる流路が内部に形成された本体部を備え、前記本体部の内部が薄膜部材により接液部と非接液部に区画されている流体制御弁において、
前記本体部は、カーボンナノチューブをフッ素樹脂材料に分散させた導電性フッ素樹脂材料により形成されていること、
前記導電性フッ素樹脂材料の、前記カーボンナノチューブの含有量は、0.04重量%以上であり、かつ0.06重量%以下であること、
を特徴とする流体制御弁
【請求項3】
請求項1又は2に記載の流体制御弁において、
前記本体部は、前記流路内に弁座を備えること、
前記流体機器は、薄膜部を有する弁体を備え、前記薄膜部の弾性変形により前記弁体が、前記弁座に当接または離間することで前記流体の流量制御を行うこと、
を特徴とする流体制御弁
【請求項4】
請求項3に記載の流体制御弁において、
前記弁体は、前記導電性フッ素樹脂材料により形成されていること、
を特徴とする流体制御弁
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1つに記載の流体制御弁において、
前記フッ素樹脂材料は、PFAまたはPTFEであること、を特徴とする流体制御弁
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を入力する入力ポートと、流体が出力される出力ポートを備える流体機器であって、入力ポートから出力ポートまでを連通させる流路が内部に形成された本体部を備える流体機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程においては、ウエハの洗浄に用いられる洗浄液や、回路パターンの現像に用いられる現像液など、種々の薬液が用いられている。薬液の流量を制御するために、バルブやレギュレータ等の流体機器が用いられており、流体機器を構成する部材であって、接液部を有する部材(例えば流路を内部に形成するバルブ本体など)は、耐薬品性を有するフッ素樹脂材料(例えばPFA,PTFE)により形成されている。例えば、特許文献1の流体制御装置においては、バルブ本体が、PTFEにより形成されることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-021643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術には次のような問題があった。
流体が流路を通過する際に、流体と流路内面の接触界面において、正負どちらか一方の電荷が流路内面に吸着され、流体には流路内面に吸着された電荷とは逆極性の電荷が残る。流体が流れることにより、接触していた流体と流路内面が引き離されるため、外部に電界が現れ、流路内面および流体が帯電した状態となる。すなわち静電気の発生である。
静電気が発生することで、以下の問題が生じることが考えられる。
例えば、流体機器の内部が、絶縁体であるダイアフラムによって、接液部と非接液部とに区画されている場合、流体が帯電することで、流体機器内部の接液部と非接液部との間の電位差が増大する。電位差が増大すると、ダイアフラムの厚みは非常に薄いため、絶縁破壊を起こす可能性がある。絶縁破壊を起こすと、急激にダイアフラムの内部を移動する電荷により熱が発生し、発生した熱によって、絶縁破壊が起きた箇所で微小な亀裂が発生する。亀裂が発生すると、流体の漏れが発生するおそれがある。また、ダイアフラムは、弁座との当接および離間により弾性変形を繰り返すため、亀裂が発生した箇所に応力が集中し、亀裂が発達することで、疲労破壊が発生するおそれがある。
また、帯電した流体が、例えば、回路パターンの現像時にウエハに接触すると、欠陥回路パターンを現像してしまう等の不具合を起こすおそれがある。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためのものであり、流体機器を通過する流体の帯電を防止するとともに、流体機器内部の接液部と非接液部との間の絶縁破壊を防止することができる流体機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の流体制御弁は、次のような構成を有している。
(1)流体を入力する入力ポートと、流体が出力される出力ポートと、を備える流体制御弁であって、入力ポートから出力ポートまでを連通させる流路が内部に形成された本体部を備え、前記本体部の内部が薄膜部材により接液部と非接液部に区画されている流体制御弁において、本体部は、カーボンナノチューブをフッ素樹脂材料に分散させた導電性フッ素樹脂材料により形成されていること、導電性フッ素樹脂材料の体積抵抗率は、1.0×10Ω・cm以上であり、かつ1.0×10Ω・cm未満であること、を特徴とする。
【0007】
(2)流体を入力する入力ポートと、流体が出力される出力ポートを備える流体制御弁であって、入力ポートから出力ポートまでを連通させる流路が内部に形成された本体部を備え、前記本体部の内部が薄膜部材により接液部と非接液部に区画されている流体制御弁において、本体部は、カーボンナノチューブをフッ素樹脂材料に分散させた導電性フッ素樹脂材料により形成されていること、導電性フッ素樹脂材料の、カーボンナノチューブの含有量は、0.04重量%以上であり、かつ0.06重量%以下であること、を特徴とする。
【0008】
(3)(1)又は(2)に記載の流体制御弁において、本体部は、流路内に弁座を備えること、流体機器は、薄膜部を有する弁体を備え、薄膜部の弾性変形により弁体が、弁座に当接または離間することで流体の流量制御を行うこと、を特徴とする。
(4)(3)に記載の流体制御弁において、弁体は、導電性フッ素樹脂材料により形成されていること、を特徴とする。
(5)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載の流体制御弁において、フッ素樹脂材料は、PFAまたはPTFEであること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の流体制御弁は、上記構成を有することにより次のような作用・効果を有する。
(1)流体を入力する入力ポートと、流体が出力される出力ポートと、を備える流体機器であって、入力ポートから出力ポートまでを連通させる流路が内部に形成された本体部を備える流体機器において、本体部は、カーボンナノチューブをフッ素樹脂材料に分散させた導電性フッ素樹脂材料により形成されていること、導電性フッ素樹脂材料の体積抵抗率は、1.0×10Ω・cm以上であり、かつ1.0×10Ω・cm未満であること、を特徴とするので、流体機器を通過する流体の帯電を防止するとともに、流体機器内部の接液部と非接液部との間の絶縁破壊を防止することができる。
すなわち、一般的なフッ素樹脂材料は、絶縁性が高く帯電しやすいが、導電性フッ素樹脂材料は、フッ素樹脂材料にカーボンナノチューブを分散させたものであるため、導電性を持つ。流体機器の本体部が、導電性を持つ導電性フッ素樹脂材料により形成されるため、流体が流路を通過することにより生じる静電気が放電され、本体部および流体の帯電を防止することができる。
【0010】
流体の帯電を防止することで、例えば、流体機器の内部が、絶縁体であるダイアフラムによって、接液部と非接液部とに区画されている場合でも、流体機器内部の接液部と非接液部との間の電位差が生じにくい。接液部と非接液部との間の電位差が生じにくいため、厚みが非常に薄いダイアフラムであっても、絶縁破壊を起こすおそれが低減される。絶縁破壊を起こすおそれが低減されれば、急激にダイアフラムの内部を移動する電荷により熱が発生し、発生した熱によって、ダイアフラムに微小な亀裂が発生することを防止できる。微小な亀裂の発生を防止することで、流体の漏れや、ダイアフラムの弾性変形の繰り返しによる疲労破壊が生じるおそれが低減される。
また、流体の帯電が防止できるため、帯電した流体がウエハに接触してしまい、欠陥回路パターンを現像されるといった不具合が生じるおそれが低減される。
【0011】
なお、導電性フッ素樹脂材料の体積抵抗率は、低いほどに導電性が高く、電荷の移動が速やかに行われるため、静電気の放電が速やかに行われる。そうであれば、可能な限り体積抵抗率の低い導電性フッ素樹脂材料によって流体機器の本体部を形成するのが望ましいように思われる。
しかし、体積抵抗率が低すぎると、例えばメンテナンス時などに帯電した作業者や物体が本体部に近づいた際に、導電性の高さゆえに激しい静電気の放電が発生するおそれがある。したがって、本体部の帯電を防止しつつも、帯電した作業者等が近づいた場合にも急激な静電気の放電がされないよう、ゆるやかな放電が可能な体積抵抗率を持つ導電性フッ素樹脂材料によって本体部を形成する必要がある。
そこで、出願人は、実験により、導電性フッ素樹脂材料の体積抵抗率が、1.0×10Ω・cm以上、1.0×10Ω・cm未満に設定するのが最適であることを導き出した。体積抵抗率が、1.0×10Ω・cm未満である場合、急激な静電気の放電が行われるおそれがあるのに比べ、1.0×10Ω・cm以上であれば、緩やかに静電気が放電され、急激な静電気の放電が発生するおそれが低減される。また、体積抵抗率が1.0×10Ω・cm以上であると、放電がゆるやかになりすぎるため、の1.0×10Ω・cm未満であるのが望ましい。
【0012】
(2)流体を入力する入力ポートと、流体が出力される出力ポートを備える流体機器であって、入力ポートから出力ポートまでを連通させる流路が内部に形成された本体部を備える流体機器において、本体部は、カーボンナノチューブをフッ素樹脂材料に分散させた導電性フッ素樹脂材料により形成されていること、導電性フッ素樹脂材料の、カーボンナノチューブの含有量は、0.04重量%以上であり、かつ0.06重量%以下であること、を特徴とするので、カーボンナノチューブの含有量を、0.04重量%以上であり、かつ0.06重量%以下とすることで、導電性フッ素樹脂材料は帯電防止のために適正な体積抵抗率を得ることができ、当該導電性フッ素樹脂材料により流体機器の本体部を形成することで、本体部および流体の帯電を防止することができる。
また、カーボンナノチューブを含有させることで、流路と流体の接触による流体の汚染が懸念されるが、含有量が0.06重量%以下と微小であるため、汚染を抑えられることを、出願人は実験により確認した。
【0013】
(3)(1)又は(2)に記載の流体機器において、本体部は、流路内に弁座を備えること、流体機器は、薄膜部を有する弁体を備え、薄膜部の弾性変形により弁体が、弁座に当接または離間することで流体の流量制御を行う流体制御弁であること、を特徴とするので、流体機器の内部が、薄膜部を有する弁体によって、接液部と非接液部とに区画されている。しかし、流体機器を構成する本体部が、導電性フッ素樹脂材料からなるため、本体部は帯電せず、本体部に形成される流路を通過する流体も帯電しない。よって、流体機器内部の接液部と非接液部との間の電位差が生じず、薄膜部が絶縁破壊を起こすおそれが低減される。薄膜部が絶縁破壊を起こすおそれが低減されれば、絶縁破壊により生じる微小なヒビによって、流体の漏れや、薄膜部の疲労破壊が生じるおそれが低減される。
【0014】
(4)(3)に記載の流体機器において、弁体は、導電性フッ素樹脂材料により形成されていること、を特徴とするので、流体機器の本体部だけでなく、弁体の帯電も防止することができ、より確実に流体機器を通過する流体の帯電を防止することが可能である。
弁体は薄膜部(例えばダイアフラム)を有しており、薄膜部は特に絶縁破壊を起こしやすい。しかし、弁体を導電性フッ素樹脂材料により形成することで、薄膜部において絶縁破壊が発生するおそれが低減される。
ここで、帯電防止のための材料としては、IEC61340-5-1,5-2において、表面抵抗率が1.0×10Ω以上であり、かつ1.0×1011Ω未満の材料が推奨されている。
一般的な厚みを有する薄膜部に対し、体積抵抗率が1.0×10Ω・cm以上であり、かつ1.0×10Ω・cm未満の導電性フッ素樹脂材料を適用すると、表面抵抗率が5.0×10~5.0×10Ω程度となるため、上記の推奨される表面抵抗率の範囲内となる。なお、体積抵抗率が、1.0×10Ω・cm未満の材料を適用すると、上記推奨される表面抵抗率の範囲外となるおそれがある。
(5)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載の流体機器において、フッ素樹脂材料は、PFAまたはPTFEであること、を特徴とするので、流体機器の接液部の帯電を防止しつつ、耐薬品性に優れた本体部とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る流体制御弁1の閉弁状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の流体機器の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、流体制御弁1(流体機器の一例)は、流体を制御する弁部2と、弁部2に駆動力を付与する駆動部3を備える。流体制御弁1は、例えば、半導体製造装置に取り付けられ、ウエハに供給する薬液の流量を制御する。
【0017】
駆動部3は、シリンダボディ31とシリンダカバー32とによりシリンダ本体33が構成されている。ピストン35は、ピストン本体35aがシリンダ本体33内に形成されたピストン室34に摺動可能に装填され、ピストン室34を第1室34aと第2室34bに区画している。そして、環状シール部材37により、第1室34aと第2室34bとの間の気密を保持している。ピストン本体35aには、シャフト35bが一体に設けられている。シャフト35bの下端部は、シリンダ本体33から弁部2側へ突出し、弁部2のダイアフラム弁体4に連結されている。圧縮ばね36は、第1室34aに縮設されてピストン35を弁部2の弁座24側へ向かって常時付勢しており、ピストン35のシャフト35bに連結されるダイアフラム弁体4にシール荷重を付与している。シリンダ本体33には、第1室34aに連通して吸排気を行う吸排気ポート33aと、第2室34bに連通して操作エアを供給する操作ポート33bが形成されている。
【0018】
かかる駆動部3は、圧縮ばね36のばね力と第2室34bの内圧とのバランスによってピストン35を軸線に沿って往復直線運動させ、ダイアフラム弁体4を所定のストローク移動させる。かかる駆動部3は、圧縮ばね36と環状シール部材37を除いて、構成部品がフッ素樹脂を材質としており、腐食性の高い雰囲気でも使用できるようにされている。
【0019】
弁部2は、バルブ本体21に内蔵されたダイアフラム弁体4の、環状シール突起414が弁座24の弁座面24aに当接又は離間することにより流体制御を行う。
ダイアフラム弁体4は、柱状の弁本体41が、駆動部3に連結され、弁座24に当接又は離間する。弁本体41の外周面には、薄膜部42が接続し、その薄膜部42の外縁部に外縁部43が肉厚に設けられている。
【0020】
バルブ本体21は、直方体形状をなし、入力ポート21aと出力ポート21bが対向する側面に開設されている。入力ポート21aは、薬液供給源に接続されており、流体が入力される。また、出力ポート21bは、半導体製造装置の反応室に接続されており、入力ポート21aから入力された流体を出力し、反応室に供給する。
バルブ本体21の上面には、開口部21eが円柱形状に開設され、開口部21eより外側に装着孔21fが環状に形成されている。
ダイアフラム弁体4は、外縁部43が装着孔21fに圧入され、バルブ本体21とシリンダ本体33とにより挟持されることで固定されている。そして、ダイアフラム弁体4の薄膜部42により、接液部であるダイアフラム室22と、非接液部である非接液室23と、に区画されている。ダイアフラム弁体4の弁本体41は、シャフト35bに連結され、ダイアフラム室22内で図中上下方向に移動する。非接液室23は、シリンダ本体33に形成された呼吸孔33cに連通しており、弁本体41の移動に伴い非液室内の空気が呼吸孔33cから出入りできるため、薄膜部42は、弁本体41の移動に従ってスムーズな弾性変形が可能である。
【0021】
入力側流路21cは、入力ポート21aとダイアフラム室22を連通させるようにバルブ本体21に略L字形に形成され、ダイアフラム室22の底面中央部に開口している。ダイアフラム室22の底面は、入力側流路21cが開口する開口部の外周に沿って弁座24が設けられている。弁座24は、ダイアフラム室22の軸線に対して直交する平坦面になるように加工された弁座面24aを備える。出力側流路21dは、出力ポート21bをダイアフラム室22に連通させるように略L字形に形成され、弁座24より外側に開口している。
【0022】
(流体制御弁の概略動作)
流体制御弁1は、ウエハに薬液を供給しない待機状態のときには、操作ポート33bに操作エアが供給されない。この場合、圧縮ばね36の付勢力がピストン35を介してダイアフラム弁体4に作用し、ダイアフラム弁体4の環状シール突起414が弁座24の弁座面24aに密着してシールされる。よって、入力ポート21aから入力される流体は、入力側流路21cのダイアフラム室22の底面中央部の開口部から先に進むことができず、出力ポート21bから反応室へ薬液は供給されない。
【0023】
ウエハに薬液を供給する場合には、流体制御弁1は、操作ポート33bを介して第2室34bに操作エアが供給される。操作エアが供給されることで、第2室の内圧が上昇していき、第2室34bの内圧が圧縮ばね36の付勢力より大きくなると、ピストン35が圧縮ばね36に抗して反弁座側へ移動する。ダイアフラム弁体4は、ピストン35と一体的に上昇し、環状シール突起414を弁座面24aから離間させる。これにより、流体制御弁1は、弁本体41のストロークに応じて薬液を入力ポート21aから出力ポート21bへ流し、反応室へ供給する。
バルブ本体21および流体は、流体が入力側流路21cおよび出力側流路21dを通過する際に、静電気が発生しやすい。すなわち、流体と入力側流路21cまたは出力側流路21dの内面の接触界面において、正負どちらか一方の電荷が入力側流路21cまたは出力側流路21dの内面に吸着され、流体には入力側流路21cまたは出力側流路21dの内面に吸着された電荷とは逆極性の電荷が残る。流体が流れることにより、接触していた流体と入力側流路21cまたは出力側流路21dの内面が引き離されるため、流体や入力側流路21cまたは出力側流路21dの外部に電界が現れ、帯電した状態となるのである。また、特に、ダイアフラム弁体4の環状シール突起414と、弁座24の弁座面24aとの間の隙間が、入力側流路21cの断面積よりも小さく、通過する流体の速度が上昇するため、バルブ本体21と流体との摩擦により、バルブ本体21および流体が帯電しやすい状態となるのである。
しかし、後述の通り、バルブ本体21が、カーボンナノチューブをフッ素樹脂材料に分散させた導電性フッ素樹脂材料により形成されているため、バルブ本体21および流体の帯電を防止することが可能である。
【0024】
ウエハへの薬液供給を停止する場合には、流体制御弁1は、操作ポート33bから操作流体を排気する。すると、圧縮ばね36の付勢力によって、ピストン35が弁座方向に移動し、ピストン35が弁座方向に移動するに伴いダイアフラム弁体4も弁座方向に移動する。そして、環状シール突起414が弁座24の弁座面24aに密着してシールされる。これにより、流体制御弁1は、待機状態となる。
【0025】
次に、バルブ本体21の材質について説明する。
本実施形態のバルブ本体21は、カーボンナノチューブをフッ素樹脂材料に分散させた導電性フッ素樹脂材料により形成されている。
カーボンナノチューブの含有量は、0.04重量%以上であり、かつ0.06重量%以下の範囲内のうち、0.045~0.055重量%の範囲内で設定されており、体積抵抗率は、1.0×10Ω・cm以上であり、かつ1.0×10Ω・cm未満の範囲内のうち、4.5×10~5.5×10Ω・cmの範囲内となっている。体積抵抗率は、4×10~6×10Ω・cmの範囲内であっても十分な性能が得られるが、上記4.5×10~5.5×10Ω・cmの範囲がより好ましい範囲である。
また、含有量の0.045~0.055重量%の範囲内および体積抵抗率の4.5×10~5.5×10Ω・cmの範囲内におけるある1点の値を基準としてもよく、当該範囲内でばらつきが生じても良い。
さらにまた、フッ素樹脂材料とは、耐薬品性を有するPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)である。PTFEにカーボンナノチューブを添加した導電性フッ素樹脂材料によりバルブ本体21を形成することで、帯電を防止しつつ、耐薬品性に優れたバルブ本体21とすることができる。なお、フッ素樹脂材料には、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)を適用しても良い。
【0026】
なお、出願人は、ASTM D257に準拠した方法により、カーボンナノチューブの含有量を、0.04重量%以上であり、かつ0.06重量%以下の範囲とすることで、導電性フッ素樹脂材料の体積抵抗率が、1.0×10Ω・cm以上であり、かつ1.0×10Ω・cm未満の範囲となることを確認した。
なお、材料メーカーによって含有させるカーボンナノチューブの特性が異なるため、含有量と体積抵抗率の関係は、メーカーにより様々である。
【0027】
バルブ本体21および流体は、流体が入力側流路21cおよび出力側流路21dを通過する際に、静電気が発生しやすい。すなわち、流体と入力側流路21cまたは出力側流路21dの内面の接触界面において、正負どちらか一方の電荷が入力側流路21cまたは出力側流路21dの内面に吸着され、流体には入力側流路21cまたは出力側流路21dの内面に吸着された電荷とは逆極性の電荷が残る。流体が流れることにより、接触していた流体と入力側流路21cまたは出力側流路21dの内面が引き離されるため、流体や入力側流路21cまたは出力側流路21dの外部に電界が現れ、帯電した状態となるのである。特に、ダイアフラム弁体4の環状シール突起414と、弁座24の弁座面24aとの間の隙間が、入力側流路21cの断面積よりも小さく、通過する流体の速度が上昇するため、バルブ本体21と流体との摩擦により、バルブ本体21および流体が帯電しやすい状態となる。
しかし、バルブ本体21が、導電性を持つ導電性フッ素樹脂材料により形成されるため、流体が入力側流路21c・出力側流路21dを通過することにより生じる静電気が放電され、バルブ本体21および流体の帯電を防止することができる。よって、帯電した流体がウエハに接触することにより欠陥回路パターンを現像してしまう等の不具合が生じるおそれが低減される。
【0028】
流体制御弁1の内部が、ダイアフラム弁体4の薄膜部42によって、接液部であるダイアフラム室22と非接液部である非接液室23とに区画されている。流体が帯電してしまうと、ダイアフラム室22と非接液室23との間の電位差が増大する。電位差が増大すると、薄膜部42の厚みは非常に薄いため、絶縁破壊を起こす可能性がある。
しかし、上述の通り、バルブ本体21が導電性を持つ導電性フッ素樹脂材料により形成されており、流体の帯電が防止されるため、ダイアフラム室22と非接液室23との間の電位差が生じず、薄膜部42が絶縁破壊を起こすおそれが低減される。薄膜部42が絶縁破壊を起こすおそれが低減されれば、絶縁破壊により生じる微小な亀裂によって流体の漏れが生じるおそれが低減される。
また、薄膜部42は、弁本体41の環状シール突起414が弁座24の弁座面24aとの当接および離間を行う度に弾性変形を繰り返すため、微小な亀裂が発生すると、その亀裂に応力が集中し、疲労破壊が発生するおそれがあるが、絶縁破壊を起こすおそれが低減され、亀裂の発生も抑えられるため、ダイアフラムの疲労破壊が生じるおそれも低減される。
【0029】
なお、導電性フッ素樹脂材料の体積抵抗率は、低いほどに導電性が高く、電荷の移動が速やかに行われるため、静電気の放電が速やかに行われる。そうであれば、可能な限り体積抵抗率の低い導電性フッ素樹脂材料によって流体制御弁1のバルブ本体21を形成するのが望ましいように思われる。
しかし、体積抵抗率が低すぎると、例えばメンテナンス時などに帯電した作業者や物体がバルブ本体21に近づいた際に、導電性の高さゆえに激しい静電気の放電が発生するおそれがある。したがって、バルブ本体21の帯電を防止しつつも、帯電した作業者等が近づいた場合にも急激な静電気の放電がされないよう、ゆるやかな放電が可能な体積抵抗率を持つ導電性フッ素樹脂材料によってバルブ本体21を形成する必要がある。
そこで、出願人は、実験により、導電性フッ素樹脂材料の体積抵抗率が、1.0×10Ω・cm以上、1.0×10Ω・cm未満に設定するのが最適であることを導き出した。体積抵抗率が、1.0×10Ω・cm未満である場合、急激な静電気の放電が行われるおそれがあるのに比べ、1.0×10Ω・cm以上であれば、緩やかに静電気が放電され、急激な静電気の放電が発生するおそれが低減される。また、体積抵抗率が1.0×10Ω・cm以上であると、放電がゆるやかになりすぎるため、の1.0×10Ω・cm未満であるのが望ましい。
【0030】
出願人は、カーボンナノチューブの添加量を0.045~0.055重量%の範囲の内のある数値とした導電性フッ素樹脂材料でバルブ本体21を形成した流体制御弁1を用い、入力側流路21cおよび出力側流路21dに発生する帯電電圧を測定したところ、一般的なPTFEによりバルブ本体21を形成した場合と比べ、70%の低減効果が見られた。
【0031】
また、カーボンナノチューブを含有させることで、流路と流体の接触による流体の汚染が懸念されるため、出願人は、カーボンナノチューブの添加量を0.045~0.055重量%の範囲の内のある数値とした導電性フッ素樹脂材料でバルブ本体21を形成した流体制御弁1を用い、入力側流路21cおよび出力側流路21dを通過する流体に含有されるパーティクル数を測定した。パーティクル数とは、純水1mlあたりに含まれる20nm以上のサイズのパーティクルの数をいう。測定の結果、パーティクル数は、10個未満に維持されていた。
本実施形態のバルブ本体21は、導電性フッ素樹脂材料に含まれるカーボンナノチューブの割合が0.06重量%以下の微小な割合であるため、入力側流路21cおよび出力側流路21dと流体との接触による流体の汚染を抑制することができる。
【0032】
さらに、本実施形態においては、ダイアフラム弁体4も、バルブ本体21と同様に導電性フッ素樹脂材料により形成されている。ダイアフラム弁体4も導電性フッ素樹脂材料により形成することで、流体制御弁1のバルブ本体21だけでなく、ダイアフラム弁体4の帯電も防止することができ、より確実に流体制御弁1を通過する流体の帯電を防止することが可能である。
ダイアフラム弁体4は薄膜部42を有しており、薄膜部42は特に絶縁破壊を起こしやすい。しかし、ダイアフラム弁体4を導電性フッ素樹脂材料により形成することで、薄膜部42において絶縁破壊が発生するおそれが低減される。
ここで、帯電防止のための材料としては、IEC61340-5-1,5-2において、表面抵抗率が1.0×10Ω以上であり、かつ1.0×1011Ω未満の材料が推奨されている。
一般的な厚みを有する薄膜部42に対し、体積抵抗率が1.0×10Ω・cm以上であり、かつ1.0×10Ω・cm未満の導電性フッ素樹脂材料を適用すると、表面抵抗率が5.0×10~5.0×10Ω程度となるため、上記の推奨される表面抵抗率の範囲内となる。なお、体積抵抗率が、1.0×10Ω・cm未満の材料を適用すると、上記推奨される表面抵抗率の範囲外となるおそれがある。
なお、表面抵抗率は下記の数1により求められる。
【0033】
(数1)
表面抵抗率[Ω/sq]=体積抵抗率[Ω・cm]/厚み[cm]
【0034】
以上説明したように、本実施形態の流体制御弁1によれば、
(1)流体を入力する入力ポート21aと、流体が出力される出力ポート21bと、を備える流体機器であって、入力ポート21aから出力ポート21bまでを連通させる入力側流路21c・ダイアフラム室22・出力側流路21dが内部に形成されたバルブ本体21を備える流体制御弁1において、バルブ本体21は、カーボンナノチューブをフッ素樹脂材料に分散させた導電性フッ素樹脂材料により形成されていること、導電性フッ素樹脂材料の体積抵抗率は、1.0×10Ω・cm以上であり、かつ1.0×10Ω・cm未満であること、を特徴とするので、流体制御弁1を通過する流体の帯電を防止するとともに、流体制御弁1内部の接液部と非接液部との間の絶縁破壊を防止することができる。
すなわち、一般的なフッ素樹脂材料は、絶縁性が高く帯電しやすいが、導電性フッ素樹脂材料は、フッ素樹脂材料にカーボンナノチューブを分散させたものであるため、導電性を持つ。流体制御弁1のバルブ本体21が、導電性を持つ導電性フッ素樹脂材料により形成されるため、流体が入力側流路21c・ダイアフラム室22・出力側流路21dを通過することにより生じる静電気が放電され、バルブ本体21および流体の帯電を防止することができる。
【0035】
流体の帯電を防止することで、例えば、流体制御弁1の内部が、絶縁体であるダイアフラムによって、接液部と非接液部とに区画されている場合でも、流体機器内部の接液部と非接液部との間の電位差が生じにくい。接液部と非接液部との間の電位差が生じにくいため、厚みが非常に薄いダイアフラムであっても、絶縁破壊を起こすおそれが低減される。絶縁破壊を起こすおそれが低減されれば、急激にダイアフラムの内部を移動する電荷により熱が発生し、発生した熱によって、ダイアフラムに微小な亀裂が発生することを防止できる。微小な亀裂の発生を防止することで、流体の漏れや、ダイアフラムの弾性変形の繰り返しによる疲労破壊が生じるおそれが低減される。
また、流体の帯電が防止できるため、帯電した流体がウエハに接触してしまい、欠陥回路パターンを現像されるといった不具合が生じるおそれが低減される。
【0036】
なお、導電性フッ素樹脂材料の体積抵抗率は、低いほどに導電性が高く、電荷の移動が速やかに行われるため、静電気の放電が速やかに行われる。そうであれば、可能な限り体積抵抗率の低い導電性フッ素樹脂材料によって流体制御弁1のバルブ本体21を形成するのが望ましいように思われる。
しかし、体積抵抗率が低すぎると、例えばメンテナンス時などに帯電した作業者や物体がバルブ本体21に近づいた際に、導電性の高さゆえに激しい静電気の放電が発生するおそれがある。したがって、バルブ本体21の帯電を防止しつつも、帯電した作業者等が近づいた場合にも急激な静電気の放電がされないよう、ゆるやかな放電が可能な体積抵抗率を持つ導電性フッ素樹脂材料によってバルブ本体21を形成する必要がある。
そこで、出願人は、実験により、導電性フッ素樹脂材料の体積抵抗率が、1.0×10Ω・cm以上、1.0×10Ω・cm未満に設定するのが最適であることを導き出した。体積抵抗率が、1.0×10Ω・cm未満である場合、急激な静電気の放電が行われるおそれがあるのに比べ、1.0×10Ω・cm以上であれば、緩やかに静電気が放電され、急激な静電気の放電が発生するおそれが低減される。また、体積抵抗率が1.0×10Ω・cm以上であると、放電がゆるやかになりすぎるため、の1.0×10Ω・cm未満であるのが望ましい。
なお、体積抵抗率は、1.0×10Ω・cm以上、1.0×10Ω・cm未満の範囲のうち、好ましくは4×10~6×10Ω・cmの範囲内、より好ましくは4.5×10~5.5×10Ω・cmの範囲内とするのが良い。
【0037】
(2)流体を入力する入力ポート21aと、流体が出力される出力ポート21bと、を備える流体機器であって、入力ポート21aから出力ポート21bまでを連通させる入力側流路21c・ダイアフラム室22・出力側流路21dが内部に形成されたバルブ本体21を備える流体制御弁1において、バルブ本体21は、カーボンナノチューブをフッ素樹脂材料に分散させた導電性フッ素樹脂材料により形成されていること、導電性フッ素樹脂材料の、カーボンナノチューブの含有量は、0.04重量%以上であり、かつ0.06重量%以下であること、を特徴とするので、カーボンナノチューブの含有量を、0.04重量%以上であり、かつ0.06重量%以下とすることで、導電性フッ素樹脂材料は帯電防止のために適正な体積抵抗率を得ることができ、当該導電性フッ素樹脂材料により流体制御弁1のバルブ本体21を形成することで、バルブ本体21および流体の帯電を防止することができる。
また、カーボンナノチューブの含有量が少ないほど、入力側流路21c・出力側流路21dと流体の接触による流体の汚染を抑えることができるが、含有量が0.06重量%以下と微小であるため、汚染を抑えられることを、出願人は実験により確認した。
なお、カーボンナノチューブの含有率は、0.04重量%以上であり、かつ0.06重量%以下の範囲のうち、0.045~0.055重量%の範囲内とするのが好ましい。
【0038】
(3)(1)又は(2)に記載の流体制御弁1において、バルブ本体21は、ダイアフラム室22に弁座24を備えること、流体制御弁1は、薄膜部42を有するダイアフラム弁体4を備え、薄膜部42の弾性変形によりダイアフラム弁体4が、弁座24に当接または離間することで流体の流量制御を行う流体制御弁1であること、を特徴とするので、流体制御弁1の内部が、薄膜部42を有するダイアフラム弁体4によって、接液部と非接液部とに区画されている。しかし、流体制御弁1を構成するバルブ本体21が、導電性フッ素樹脂材料からなるため、バルブ本体21は帯電せず、バルブ本体21に形成される入力側流路21c・ダイアフラム室22・出力側流路21dを通過する流体も帯電しない。よって、流体制御弁1内部の接液部と非接液部との間の電位差が生じず、薄膜部42が絶縁破壊を起こすおそれが低減される。薄膜部42が絶縁破壊を起こすおそれが低減されれば、絶縁破壊により生じる微小なヒビによって、流体の漏れや、薄膜部の疲労破壊が生じるおそれが低減される。
【0039】
(4)(3)に記載の流体制御弁1において、ダイアフラム弁体4は、導電性フッ素樹脂材料により形成されていること、を特徴とするので、流体制御弁1のバルブ本体21だけでなく、ダイアフラム弁体4の帯電も防止することができ、より確実に流体制御弁1を通過する流体の帯電を防止することが可能である。
ダイアフラム弁体4は薄膜部42を有しており、薄膜部42は特に絶縁破壊を起こしやすい。しかし、ダイアフラム弁体4を導電性フッ素樹脂材料により形成することで、薄膜部42において絶縁破壊が発生するおそれが低減される。
ここで、帯電防止のための材料としては、IEC61340-5-1,5-2において、表面抵抗率が1.0×10Ω以上であり、かつ1.0×1011Ω未満の材料が推奨されている。
一般的な厚みを有する薄膜部42に対し、体積抵抗率が1.0×10Ω・cm以上であり、かつ1.0×10Ω・cm未満の導電性フッ素樹脂材料を適用すると、表面抵抗率が5.0×10~5.0×10Ω程度となるため、上記の推奨される表面抵抗率の範囲内となる。なお、体積抵抗率が、1.0×10Ω・cm未満の材料を適用すると、上記推奨される表面抵抗率の範囲外となるおそれがある。
(5)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載の流体制御弁1において、フッ素樹脂材料は、PFAまたはPTFEであること、を特徴とするので、流体制御弁1の接液部の帯電を防止しつつ、耐薬品性に優れた本体部とすることができる。
【0040】
なお、本実施形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で様々な改良、変形が可能である。
例えば、本実施例では弁本体41に設けられた環状シール突起414を弁座24の弁座面24aに当接または離間させることで流体の流量制御を行う流体制御弁1としているが、ダイアフラムを当接または離間させることで流量制御を行うものとすることが可能である。
また、本発明は、半導体製造工程に用いる流体機器のみでなく、化学産業や食品産業に用いる流体機器においても適用可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 流体制御弁(流体機器の一例)
4 ダイアフラム弁体(弁体の一例)
21 バルブ本体(本体部の一例)
21a 入力ポート
21b 出力ポート
21c 入力側流路
21d 出力側流路
22 ダイアフラム室
24 弁座
42 薄膜部
図1