(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-22
(45)【発行日】2023-03-03
(54)【発明の名称】カメラ付き自動車玩具のための走行路構築具
(51)【国際特許分類】
A63H 18/02 20060101AFI20230224BHJP
A63H 17/41 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
A63H18/02 D
A63H17/41
(21)【出願番号】P 2018197056
(22)【出願日】2018-10-18
【審査請求日】2021-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000003584
【氏名又は名称】株式会社タカラトミー
(74)【代理人】
【識別番号】100098899
【氏名又は名称】飯塚 信市
(74)【代理人】
【識別番号】100163865
【氏名又は名称】飯塚 健
(72)【発明者】
【氏名】加藤 國彦
(72)【発明者】
【氏名】海上 貴信
(72)【発明者】
【氏名】トゥッカ マティアス カルボネン
【審査官】宇佐田 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-011432(JP,A)
【文献】特開2005-185655(JP,A)
【文献】特開2018-097539(JP,A)
【文献】特開平04-053581(JP,A)
【文献】特開平06-269574(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00-37/00
G08G 1/00- 1/16
G06T 1/00, 7/00, 7/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行用及び操舵用の動力並びに車載カメラを備えたカメラ付き自動車玩具と、前記車載カメラの映像中のマーカに基づいて、走行路構築具により提供される走行面上における自車の走行状態を認識し、所望の走行状態に応じて、前記走行用及び操舵用の動力を制御することで自動運転や運転アシストを実現する制御部とを具備する、カメラ付き自動車玩具
システムのための前記走行路構築具であって、
前記自動車玩具のための走行面を提供する基体と、
前記基体の走行面に描かれた車道とを備え、
前記車道は、左右一対の路肩線により、車道領域とその周辺領域とに仕切られており、 前記車道領域は、1又は2以上のレーン境界線により2以上の走行レーンに仕切られており、さらに
前記左右一対の路肩線のそれぞれには、左右いずれの側の路肩線であるかを識別可能な
前記マーカが付設されている、カメラ付き自動車玩具
システムのための走行路構築具。
【請求項2】
前記マーカが、前記左右一対の路肩線のそれぞれに沿って車道とは反対側に延在された線状マーカである、請求項1に記載のカメラ付き自動車玩具
システムのための走行路構築具。
【請求項3】
前記車道領域は第1の色に、前記レーン境界線および前記一対の路肩線は第2の色に、および前記線状マーカは第3の色にそれぞれ呈色されており、さらに
前記線状マーカと前記路肩線との間には線状隙間領域が設けられており、当該線状隙間領域は前記道路領域と同じ第1の色に呈色されている、請求項2に記載のカメラ付き自動車玩具
システムのための走行路構築具。
【請求項4】
前記車道周辺領域についても、前記車道領域と同じ第1の色に呈色されている、請求項3に記載のカメラ付き自動車玩具
システムのための走行路構築具。
【請求項5】
前記第1の色と、前記第2の色と、前記第3の色との中で、前記第1の色が最も明度の低い色であり、前記第2の色がもっとも明度の高い色であり、前記第3の色が前記暗色と前記明色との間の明度を有する色である、請求項4に記載のカメラ付き自動車玩具
システムのための走行路構築具。
【請求項6】
前記第1の色が黒色であり、前記第2の色が白色であり、さらに、前記第3の色が灰色である、請求項5に記載のカメラ付き自動車玩具
システムのための走行路構築具。
【請求項7】
前記レーン境界線と前記一対の路肩線の線幅とは、いずれも幅狭な第1の線幅とされており、かつ前記線状マーカの線幅は、前記第1の線幅よりも十分に幅広な第2の線幅とされている、請求項2に記載のカメラ付き自動車玩具
システムのための走行路構築具。
【請求項8】
前記車道は、所定の周回軌跡を有する周回車道である、請求項1に記載のカメラ付き自動車玩具
システムのための走行路構築具。
【請求項9】
前記走行面は、周囲物体のカメラへの写り込みを回避すべく反射を抑制する表面性状とされている、請求項1に記載のカメラ付き自動車玩具
システムのための走行路構築具。
【請求項10】
前記基体は、シート状乃至薄板状の基材からなる、請求項1に記載のカメラ付き自動車玩具
システムのための走行路構築具。
【請求項11】
走行用及び操舵用の動力並びに車載カメラを備えたカメラ付き自動車玩具と、前記車載カメラの映像中のマーカに基づいて、走行路上における自車の走行状態を認識し、所望の走行状態に応じて、前記走行用及び操舵用の動力を制御することで自動運転や運転アシストを実現する制御部とを具備する、カメラ付き自動車玩具
システムのための
前記走行路を床面上に構築する方法であって、
前記床面上に、互いに平行な左右一対の路肩線を描くことにより、車道領域を定義すると共に、前記車道領域内を1又は2以上のレーン境界線にて仕切ることにより、2以上の走行レーンを定義し、さらに、前記左右一対の路肩線のそれぞれに、それらの路肩線が左右いずれの側の路肩線であるかを識別するためのマーカを付設する、カメラ付き自動車玩具
システムのための走行路の構築方法。
【請求項12】
前記マーカが、前記左右一対の路肩線のそれぞれに沿って前記車道とは反対側に延在された線状マーカである、請求項11に記載のカメラ付き自動車玩具
システムのための走行路の構築方法。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか1つに記載の走行路構築具と、
走行用及び操舵用の動力並びに車載カメラを備えたカメラ付き自動車玩具と、
前記車載カメラの映像中の前記マーカに基づいて、前記走行路構築具により提供される前記走行面上における自車の走行状態を認識し、所望の走行状態に応じて、前記走行用及び操舵用の動力を制御することで自動運転や運転アシストを実現する制御部と
、を具備する、カメラ付き自動車玩具システム。
【請求項14】
前記制御部は、互いに無線通信が可能な、車載側制御装置と、リモート側制御装置とからなり、
前記車載側制御装置には、
前記車載カメラから取得される画像を前記リモート側制御装置へと転送する手段と、
前記リモート側制御装置から送られてくる制御コマンドを実行することにより、前記走行用及び操舵用の動力を制御して、自動運転や運転アシストを実現する手段とが含まれており、
前記リモート側制御装置には、
前記車載側制御装置から送られてくる画像中の前記マーカに基づいて、前記左右一対の路肩線の双方又は一方を検出し、こうして検出された路肩線を基準として車道領域を算出することにより、前記走行路構築具により提供される前記走行面上における自車の走行状態を認識する手段と、
前記認識される自車の走行状態を所望の走行状態へと導くに必要な走行用および操舵用の補正量を指示するコマンドを生成して、前記車載側制御装置へと送信する手段とが含まれている、請求項13に記載のカメラ付き自動車玩具システム。
【請求項15】
前記走行路構築具が、請求項3~6のいずれか1つに記載のものであって、
前記自車の走行状態を認識する手段が、
前記左右一対の路肩線の双方又は一方を検出するに際しては、自車前方所定距離に位置する限定された路面領域に対応するカメラ視野内の所定探査領域を所定間隔の走査線に沿って探査し、第2の色領域を挟んでその両脇に第1の色領域が存在する色配列パターンのさらに左右いずれかの側に隣接して第3の色領域が存在することをもって、左右いずれかの側の路肩線を示すマーカであると判定する処理を実行する、請求項14に記載のカメラ付き自動車玩具システム。
【請求項16】
コンピュータを、請求項
14に記載のカメラ付き自動車玩具システムにおける前記リモート側制御装置
を構成するところの、
前記車載側制御装置から送られてくる画像中の前記マーカに基づいて、前記左右一対の路肩線の双方又は一方を検出し、こうして検出された路肩線を基準として車道領域を算出することにより、前記走行路構築具により提供される前記走行面上における自車の走行状態を認識する手段と、
前記認識される自車の走行状態を所望の走行状態へと導くに必要な走行用および操舵用の補正量を指示するコマンドを生成して、前記車載側制御装置へと送信する手段、
として機能させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載カメラの映像に基づいて自動運転や運転アシストを行う新規なカメラ付き自動車玩具に好適な走行路構築具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、現実の自動車の分野においては、自動運転や運転アシストのために、車載カメラの映像に基づいて速度制御や操舵制御を行う技術が種々開発され、実用化されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
本出願人会社は、玩具の自動車の分野においても、自動運転や運転アシストの機能を備えたカメラ付き自動車玩具を提供するべく鋭意研究を重ねるものである。
【0004】
この種の自動車玩具にあっては、主として、製品価格や製造コストとの兼ね合いから、現実の自動車とは異なり、高精細な車載カメラや高速大容量処理が可能なプロセッサ(CPU,GPU)、さらには、複雑高度な画像認識ソフトの採用は困難である。
【0005】
そのため、車載カメラによる撮影対象となる走行路の側には、車載カメラやプロセッサ、さらには、画像認識ソフトの不備を補って、自動運転や運転アシストに必要な情報を車載カメラからの路面映像に基づいて容易に取得可能とするための工夫が要請される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、上述の技術的背景に鑑みてなされてたものであり、その目的とするところは、自動運転や運転アシストに必要な情報を車載カメラからの路面映像に基づいて容易に取得可能とするカメラ付き自動車玩具のための走行路構築具を提供することにある。
【0008】
この発明のさらに他の目的並びに作用効果については、明細書の以下の記述を参照することにより、当業者であれば容易に理解される筈である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の技術的課題は、以下の構成を有するカメラ付き自動車玩具のための走行路構築具、カメラ付き自動車玩具のための走行路の構築方法、カメラ付き自動車玩具システム、およびコンピュータプログラムにより解決することができる。
すなわち、本発明に係るカメラ付き自動車玩具のための走行路構築具は、
車載カメラの映像に基づいて自動運転や運転アシストを行うカメラ付き自動車玩具のための走行路構築具であって、
前記自動車玩具のための走行面を提供する基体と、
前記基体の走行面に描かれた車道とを備え、
前記車道は、左右一対の路肩線により、車道領域とその周辺領域とに仕切られており、
前記車道領域は、1又は2以上のレーン境界線により2以上の走行レーンに仕切られており、さらに
前記左右一対の路肩線のそれぞれには、左右いずれの側の路肩線であるかを識別可能なマーカが付設されている、ものである。
このような構成によれば、前記左右一対の路肩線のそれぞれには、左右いずれの側の路肩線であるかを識別可能なマーカが付設されているため、車載カメラの視野内の所定探査領域内に前記マーカが1つでも存在する限り、そのマーカと関連して、左右いずれかの側の路肩線の存在を認識し、こうして認識された路肩線を基準として車道領域を算出することにより、前記走行路構築具により提供される前記走行面上における自車の走行状態(走行位置や走行方向、等々)を容易に認識することができる。そのため、いずれかのレーンを走行中、カーブに差し掛かったことにより、あるいは、走行開始時にレーンの向きに対して斜めに向けて置かれたことにより、カメラ視野の所定探査領域から左右いずれかの路肩線が消失してしまった場合にも、1つでも路肩線が所定探査領域内に残存する限り、それに付されたマーカから、それが左右いずれの側の路肩線であるかを認識することができるから、これに基づいて、車道全体と自車との相対的な関係を認識して、自動運転や運転アシストを実行することができる。
【0010】
好ましい実施の態様にあっては、前記マーカが、前記左右一対の路肩線のそれぞれに沿って車道とは反対側に延在された線状マーカであってもよい。
このような構成によれば、左右いずれの側の路肩線であるかを識別可能なマーカは、車道に沿って途切れることなく連続するため、いずれかのレーンに沿って走行中、車載カメラの映像から路肩線識別用のマーカを見失うことがない。しかも、線状マーカは、車道とは反対側に延在するため、車道領域には何ら影響を与えない。
【0011】
好ましい実施の態様にあっては、前記車道領域は第1の色に、前記レーン境界線および前記一対の路肩線は第2の色に、および前記線状マーカは第3の色にそれぞれ着色されており、さらに前記線状マーカと前記路肩線との間には線状隙間領域が設けられており、当該線状隙間領域は前記車道領域と同じ第1の色に呈色されていてもよい。
このような構成によれば、走査線に沿って車載カメラの撮影画像を走査しつつ、第2の色の領域を挟んでその両脇に第1の色の領域が存在する色配列パターン箇所を探査し、そのような色配列パターン箇所のさらにその前後いずれに、第3の色の領域が存在するかを判定するという単純なアルゴリズムにて、一対の路肩線及びレーン境界線を確実に認識することが可能となる。
【0012】
好ましい実施の態様にあっては、前記車道周辺領域についても、前記車道領域と同じ第1の色に呈色されていてもよい。
このような構成によれば、誤って車道から飛び出して走行するような場合にも、車載カメラの視野には、第2の色の領域(路肩線やレーン境界線)も第3の色の領域(線状マーカ)も存在しないため、コースから外れたことを直ちに認識させることができる。
【0013】
好ましい実施の態様にあっては、前記第1の色と、前記第2の色と、前記第3の色との中で、前記第1の色が最も明度の低い色であり、前記第2の色がもっとも明度の高い色であり、前記第3の色が前記暗色と前記明色との間の明度を有する色であってもよい。
【0014】
このような構成によれば、第1の色の領域を挟んでその両脇に第2の色の領域を配置することで、車載カメラの映像上において、路肩線やレーン境界線を際だたせることができる。
【0015】
好ましい実施の態様にあっては、前記第1の色が黒色であり、前記第2の色が白色であり、さらに、前記第3の色が灰色であってもよい。
このような構成によれば、現実の車道類似の配色パターンとなって、玩具の車道とはいえ、より現実感が増すとともに、黒色領域に隣接して灰色領域が存在することで、所謂グラデーション効果により、見た目に、マーカ線を目立ちにくくする効果もある。
【0016】
好ましい実施の態様にあっては、前記レーン境界線と前記一対の路肩線の線幅とは、いずれも幅狭な第1の線幅とされており、かつ前記線状マーカの線幅は、前記第1の線幅よりも十分に幅広な第2の線幅とされていてもよい。
このような構成によれば、いずれかのレーンに沿って走行中に、カーブに差し掛かって、線状マーカを斜めに見ることで、見た目の線幅が狭まるような場合にも、線状マーカを見失い難くなる。
【0017】
好ましい実施の態様にあっては、前記車道は、所定の周回軌跡を有する周回車道であってもよい。
このような構成によれば、カーブに差し掛かったことで、カメラ視野の所定探査領域から左右いずれかの路肩線が消失しても、決められたレーンを走行し続けることが可能なカメラ付き自動車玩具システムを提供することができる。
【0018】
好ましい実施の態様にあっては、前記走行面は、周囲物体のカメラへの写り込みを回避すべく反射を抑制する表面性状とされていてもよい。
このような構成によれば、部屋の照明からの光が路面に反射して、車載カメラの視野内に写り込み、外乱として、自動運転や運転アシストに影響を与えることを回避することができる。
【0019】
好ましい実施の態様にあっては、前記基体は、シート状乃至薄板状の基材からなる、ものであってもよい。
このような構成によれば、例えば、折り畳み状態や小片分離状態とすることで、持ち運びの便に供することができる。
【0020】
別の一面からみた本発明は、車載カメラの映像に基づいて自動運転や運転アシストを行うカメラ付き自動車玩具のための走行路を床面上に構築する方法として捉えることもできる。
すなわち、この構築方法は、前記床面上に、互いに平行な左右一対の路肩線を描くことにより、車道領域を定義すると共に、前記車道領域内を1又は2以上のレーン境界線にて仕切ることにより、2以上の走行レーンを定義し、さらに、前記左右一対の路肩線のそれぞれに、それらの路肩線が左右いずれの側の路肩線であるかを識別するためのマーカを付設する、ものである。
このような構成によれば、例えば、上述の作用効果を奏する走行路を室内の床面に構築することにより、室内レースサーキットと言った遊戯場を実現することもできる。
【0021】
好ましい実施の態様にあっては、前記マーカが、前記左右一対の路肩線のそれぞれに沿って前記車道とは反対側に延在された線状マーカであってもよい。
このような構成によれば、例えば、上述の室内レースサーキットにおいて、左右いずれの側の路肩線であるかを識別可能なマーカは、車道に沿って途切れることなく連続するため、いずれかのレーンに沿って走行中、車載カメラの映像から路肩線識別用のマーカを見失うことがない。しかも、線状マーカは、車道とは反対側に延在するため、車道領域には何ら影響を与えない。
【0022】
別の一面から見た本発明は、カメラ付き自動車玩具システムとして把握することもできる。すなわち、このカメラ付き自動車玩具システムは、
上述の走行路構築具の1つと、
走行用及び操舵用の動力並びに車載カメラを備えたカメラ付き自動車玩具と、
前記車載カメラの映像中の前記マーカに基づいて、前記走行路構築具により提供される前記走行面上における自車の走行状態を認識し、所望の走行状態に応じて、前記走行用及び操舵用の動力を制御することで自動運転や運転アシストを実現する制御部とを具備する、ものである。
【0023】
このような構成によれば、前記左右一対の路肩線のそれぞれには、左右いずれの側の路肩線であるかを識別可能なマーカが付設されているため、車載カメラの視野内の所定探査領域内に前記マーカが1つでも存在する限り、そのマーカと関連して、左右いずれかの側の路肩線の存在を認識し、こうして認識された路肩線を基準として車道領域を算出することにより、前記走行路構築具により提供される前記走行面上における自車の走行状態(走行位置や走行方向、等々)を認識することができる。そのため、いずれかのレーンを走行中、カーブに差し掛かったことにより、あるいは、走行開始時にレーンの向きに対して斜めに向けて置かれたことにより、カメラ視野の所定探査領域から左右いずれかの路肩線が消失してしまった場合にも、1つでも路肩線が所定探査領域内に残存する限り、それに付されたマーカから、それが左右いずれの側の路肩線であるかを認識することができるから、これに基づいて、車道全体と自車との相対的な関係を認識して、自動運転や運転アシストを実行することができる。
【0024】
好ましい実施の態様によれば、前記制御部は、互いに無線通信が可能な、車載側制御装置と、リモート側制御装置とからなり、
前記車載側制御装置には、
前記車載カメラから取得される画像を前記リモート側制御装置へと転送する手段と、
前記リモート側制御装置から送られてくる制御コマンドを実行することにより、前記走行用及び操舵用の動力を制御して、自動運転や運転アシストを実現する手段とが含まれており、
前記リモート側制御装置には、
前記車載側制御装置から送られてくる画像中の前記マーカに基づいて、前記左右一対の路肩線の双方又は一方を検出し、こうして検出された路肩線を基準として車道領域を算出することにより、前記走行路構築具により提供される前記走行面上における自車の走行状態を認識する手段と、
前記認識される自車の走行状態を所望の走行状態へと導くに必要な走行用および操舵用の補正量を指示するコマンドを生成して、前記車載側制御装置へと送信する手段とが含まれていてもよい。
このような構成によれば、画像転送機能とコマンド実行機能とに限定することにより、車載側制御装置の機能を簡素化することで、カメラ付き自動車玩具自体のコストダウンを図る一方、走行状態認識機能やコマンド生成機能などの高度な機能については、スマートフォンやタブレット端末等に専用のアプリを組み込むことで実現可能なリモート側制御装置に負担させることにより、処理機能をさほど低下させることなく、システム全体としてのコストダウンが可能となる。
【0025】
好ましい実施の態様にあっては、前記走行路構築具が、上述の第1乃至第3の色領域からなる配色の車道領域、レーン境界線、左右の路肩線を有するものであって、
前記自車の走行状態を認識する手段が、
前記左右一対の路肩線の双方又は一方を検出するに際しては、自車前方所定距離に位置する限定された路面領域に対応するカメラ視野内の所定探査領域を所定間隔の走査線に沿って探査し、第2の色領域を挟んでその両脇に第1の色領域が存在する色配列パターンのさらに左右いずれかの側に隣接して第3の色領域が存在することをもって、左右いずれかの側の路肩線を示すマーカであると判定する処理を実行する、ものであってもよい。
このような構成によれば、走査線に沿って車載カメラの撮影画像を走査しつつ、第1の色の領域を挟んでその両脇に第2の色の領域が存在する色配列パターン箇所を探査し、そのような色配列パターン箇所のさらにその前後いずれに、第3の色の領域が存在するかを判定するという単純なアルゴリズムにて、一対の路肩線及びレーン境界線を確実に認識することが可能となる。
【0026】
別の一面から見た本発明は、情報処理装置(例えば、スマートフォン、タブレット端末、ノートパソコン、ゲーム機、等々)であるコンピュータを上述のカメラ付き自動車玩具システムにおける前記リモート側制御装置として機能させるためのコンピュータプログラムとして把握することもできる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の走行路構築具によれば、前記左右一対の路肩線のそれぞれには、左右いずれの側の路肩線であるかを識別可能なマーカが付設されているため、車載カメラの視野内の所定探査領域内に前記マーカが1つでも存在する限り、そのマーカと関連して、左右いずれかの側の路肩線の存在を認識し、こうして認識された路肩線を基準として車道領域を算出することにより、前記走行路構築具により提供される前記走行面上における自車の走行状態(走行位置や走行方向、等々)を認識することができる。そのため、いずれかのレーンを走行中、カーブに差し掛かったことにより、あるいは、走行開始時にレーンの向きに対して斜めに向けて置かれたことにより、カメラ視野の所定探査領域から左右いずれかの路肩線が消失してしまった場合にも、1つでも路肩線が所定探査領域内に残存する限り、それに付されたマーカから、それが左右いずれの側の路肩線であるかを認識することができるから、これに基づいて、車道全体と自車との相対的な関係を認識して、自動運転や運転アシストを実行可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、カメラ付き自動車玩具用サーキットの外観斜視図である。
【
図2】
図2は、カメラ付き自動車玩具の外観斜視図である。
【
図3】
図3は、カメラ付き自動車玩具およびカメラ視野の側面図である。
【
図4】
図4は、カメラ付き自動車玩具のサーキット走行状態を示す平面図である。
【
図5】
図5は、右側レーン走行中のカメラ視野の説明図である。
【
図6】
図6は、右カーブに差し掛かった状態のカメラ視野の説明図である。
【
図7】
図7は、2レーン一方向通行のレーン設定を示す説明図である。
【
図8】
図8は、カメラ付き自動車玩具がレーンと異なる向きに置かれた状態の説明図である。
【
図11】
図11は、カメラ付き自動車玩具システムの構成図である。
【
図13】
図13は、走査線と路肩線との関係を示す説明図である。
【
図14】
図14は、車載側制御部の動作を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、スマホ側アプリの動作を示すフローチャートである。
【
図16】
図16は、走行状態認識処理の詳細フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明にかかるカメラ付き自動車玩具のための走行路構築具、カメラ付き自動車玩具のための走行路の構築方法、カメラ付き自動車玩具システム、およびコンピュータプログラムの好適な実施の一形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0030】
[走行路構築具について]
本発明に係るカメラ付き自動車玩具のための走行路構築具の一実施例であるカメラ付き自動車玩具用サーキット1の外観斜視図が、
図1に示されている。
【0031】
同図に示されるように、このカメラ付き自動車玩具用サーキット1は、長方形輪郭の基板(基体)11を有する。基板11は、カメラ付き自動車玩具2のための走行面を提供するものであり、厚紙や樹脂製薄板乃至シート等で構成することができる。なお、基体としては、板状体に限らず、台状や箱状として、その上面を走行面として提供するものであってもよいであろう。
【0032】
基板11は、玩具店等での販売や通信販売などに際して、持ち運びに便利なように、複数の小片に分離可能にしたり、適宜に山折り線や谷折り線を設けることで、小サイズに畳み込み可能としてもよい。図示例の基板11にあっては、複数の矩形小片に分離可能とすると共に、それらを敷き詰めた状態にて、ジグソーパズルの要領で結合離脱が可能とされている。
【0033】
基板11は、図示例にあっては、その四辺を4枚の囲壁版12a,12b,12c,12dにより囲まれている。各囲壁12a,12b,12c,12dの内面は、一様な色(例えば、白色)を呈するように構成され、車載カメラの視野に走行制御に不要な物体が写り込むのを防止している。なお、不要な物体の写り込みを避けるために、画像処理側でイメージセンサの受光面に不感領域を設ける等の対策を講じることにより、それらの囲壁12a,12b,12c,12dを除去することもできる。
【0034】
基板11の表面には、楕円形乃至長円形の周回軌跡を有する車道が描かれている。図示の車道は、左右一対の路肩線(内側路肩線16と外側路肩線17)により、車道領域と周辺領域とに仕切られている。
【0035】
車道領域は、1又は2以上のレーン境界線(この例では、1本のレーン境界線15)により2以上の走行レーン(この例では、内側レーン13と外側レーン14とからなる2本の走行レーン)に仕切られており、さらに左右一対の路肩線(内側路肩線16と外側路肩線17)のそれぞれには、左右いずれの側の路肩線であるかを識別可能なマーカ(内側マーカ線18と外側マーカ線19)が付設されている。
【0036】
このような構成によれば、前記左右一対の路肩線のそれぞれには、左右いずれの側の路肩線16又は17であるかを識別可能なマーカ(内側マーカ線18と外側マーカ線19)が付設されているため、車載カメラの視野内の所定探査領域42内に前記マーカが1つでも存在する限り、そのマーカと関連して、左右いずれかの側の路肩線の存在を認識し、こうして認識された路肩線を基準として車道領域を算出することにより、前記走行路構築具により提供される前記走行面上における自車の走行状態(走行位置や走行方向、等々)を認識することができる。そのため、いずれかのレーン13又は14を走行中、カーブに差し掛かったことにより(
図6参照)、あるいは、走行開始時にレーンの向きに対して斜めに向けて置かれたことにより(
図8参照)、カメラ視野の所定探査領域から左右いずれかの路肩線が消失してしまった場合にも、1つでも路肩線16又は17が所定探査領域42内に残存する限り、それに付されたマーカ18又は19から、それが左右いずれの側の路肩線であるかを認識することができるから、これに基づいて、車道全体と自車との相対的な関係を認識して、自動運転や運転アシストを実行することができる。
【0037】
内側路肩線16と外側路肩線17とに付設されるべきマーカとしては、様々な態様を採用することができる。一例として挙げるならば、内側路肩線16と外側路肩線17とで色や濃度を異ならせたり、線幅を異ならせたり、特別に図案化された識別マークを路肩線上に付設したりと言った態様をとることができる。
【0038】
特に、図示の例にあっては、マーカ線18,19は、一対の路肩線16,17のそれぞれに沿って車道とは反対側に延在された線状マーカとされている。このような線状マーカによれば、左右いずれの側の路肩線16,17であるかを識別可能なマーカは、車道に沿って途切れることなく連続するため、いずれかのレーンに沿って走行中、車載カメラの映像から路肩線識別用のマーカを見失うことがない。しかも、線状マーカは、車道とは反対側に延在するため、車道領域には何ら影響を与えない。
【0039】
上述の車道領域は第1の色に、レーン境界線15および一対の路肩線16,17は第2の色に、並びに、内側マーカ線16及び外側マーカ線17は第3の色にそれぞれ呈色されており、さらに内側マーカ線18と内側路肩線16との間、及び外側マーカ線19と外側路肩線17との間のそれぞれには、線状隙間領域が設けられており、当該線状隙間領域は車道領域と同じ第1の色に呈色されている。
【0040】
このような構成によれば、走査線に沿って車載カメラの撮影画像を走査しつつ、第2の色の領域を挟んでその両脇に第1の色の領域が存在する色配列パターン箇所を探査し、そのような色配列パターン箇所のさらにその前後いずれに、第3の色の領域が存在するかを判定するという単純なアルゴリズムにて、一対の路肩線及びレーン境界線を確実に認識することが可能となる。
【0041】
図示例にあっては、車道周辺領域を含むその他の領域(地色領域11a)についても、車道領域と同じ第1の色に呈色されているため、誤って車道から飛び出して走行するような場合に、車載カメラの視野には、第2の色の領域(路肩線16,17やレーン境界線15)も第3の色の領域(内側マーカ線18及び外側マーカ線19)も存在しないため、コースから外れたことを直ちに認識させることができる。
【0042】
上述の車道領域の構成は、配色の観点からも、様々な工夫がなされている。すなわち、第1の色と、第2の色と、第3の色との中で、第1の色が最も明度の低い色(暗色)であり、第2の色がもっとも明度の高い色(明色)であり、第3の色が前記暗色と前記明色との間の明度を有する色となるように呈色されている。
【0043】
このような構成によれば、第1の色の領域を挟んでその両脇に第2の色の領域を配置することで、車載カメラの映像上において、路肩線やレーン境界線を一段と際だたせ、それらの認識精度を高めることができる。
【0044】
特に、図示の例にあっては、第1の色が黒色であり、第2の色が白色であり、さらに、第3の色が灰色とされているため、現実の車道類似の配色パターンとなって、玩具の車道とはいえ、より現実感が増すとともに、黒色領域に隣接して灰色領域が存在することで、所謂グラデーション効果により、機械の目には認識し易くとも、人の目には、マーカ線を目立ち難くする効果がある。
【0045】
上述の車道領域の構成は、線幅の観点からも、工夫がなされている。すなわち、レーン境界線15と一対の路肩線16,17の線幅とは、いずれも幅狭な第1の線幅とされており、かつ内側及び外側のマーカ線18,19の線幅は、第1の線幅よりも十分に幅広な第2の線幅とされている。
【0046】
このような構成によれば、内側のレーン13又は外側のレーン14に沿って走行中に、カーブに差し掛かって、内側マーカ線18又は外側マーカ線19を斜めに眺めることで、見た目の線幅が狭まるような場合にも、それらのマーカ線18,19は十分な線幅を有するため、見た目の線幅が細くなっても見落とし難くなる。
【0047】
なお、図示例にあっては、車道は、所定の周回軌跡を有する周回車道とされているが、本発明の適用は、そのような楕円形乃至長円形の周回車道に限るものではなく、直線上の車道やS字状の車道であってもよいことは勿論である。もっとも、そのような周回車道であれば、カーブに差し掛かったことで、カメラ視野の所定探査領域から左右いずれかの路肩線が消失しても、内側マーカ線18又は外側マーカ線19が認識可能であるかぎり、決められたレーンを走行し続けることが可能となる。
【0048】
また、上述のように、基板11の表面である走行面は、周囲物体のカメラへの写り込みを回避すべく反射を抑制する表面性状(例えば、微細な粗面)とされているため、部屋の照明からの光が路面に反射して、車載カメラの視野内に写り込み、外乱として、自動運転や運転アシストに影響を与えることを回避することができる。
【0049】
[カメラ付き自動車玩具について]
次に、カメラ付き自動車玩具の外観や電気的なハードウェア構成並びにソフトウェア構成について、詳細に説明する。
【0050】
カメラ付き自動車玩具の外観の一例を示す斜視図が
図2に、同自動車玩具及びカメラ視野の側面図が
図3に、及び車載制御部を構成する車載側制御システムの構成が
図12にそれぞれ示されている。
【0051】
図2に示されるように、このカメラ付き自動車玩具2は、車体2aとシャーシ2bとからなる車室空間内に、前輪2cの操舵機構を駆動するための操舵用アクチュエータ25d(
図12参照)と後輪2dの回転駆動機構を作動するための走行用モータ25c(
図12参照)とを収容する。なお、走行用モータとして、独立駆動可能な2台のモータを備え、それらの回転数に差を設けることにより、床面からの反作用を利用して回転動作を実現する構成であっても良い。
【0052】
車体2aの前部には、
図3に示されるように、その視野を前方に向けて、カメラ2eが取り付けられている。当業者にはよく知られているように、カメラ2eは、前方からの光を集光して取り込むための光学系と、その光学系を介して取り込まれた光がその撮像面に結合するように配置されたイメージセンサ(例えば、CMOSイメージセンサ、CCDイメージセンサ、等々)とを備えている。なお、図示のカメラの外観は、単なる概念図であって、実際のカメラのそれを正確に摸したものではない。
【0053】
上述の車室空間内には、図示しないが、ヘッドライトを構成するLEDや各種のサウンド(警告音やおしゃべり音、等々)を生成するためのスピーカのほか、車載側制御システムを構成する各種の回路部品を搭載した回路基板、さらには、電源を構成する充電式/非充電式のバッテリや電源を構成するスーパーキャパシタ等が収容されている。
【0054】
車載側制御システムの電気的なハードウェア構成を、
図12を参照しながら詳細に説明する。同図に示されるように、車載側制御システムは、マイクロプロセッサ(MPU)21とROM22とRAM23とを構成要素とするマイクロコンピュータを主体として構成されている。なお、特に、高速の画像処理が必要な場合には、上述のマイクロコンピュータには、画像処理専用のGPUを備えても良い。当業者にはよく知られているように、マイクロプロセッサ(MPU)21は、ROM22に格納されたシステムプログラムをRAM23をワークエリアとして実行することにより、車載側制御装置として必要な各種の機能を実現するものである。さらに、号機番号の設定を行う場合には、車載側制御装置で設定するためのマイクロDIPスイッチやリモート側制御装置から設定するためのフラッシュROM(FROM)を備えてもよい。
【0055】
マイクロコンピュータのシステムバスには、図示の通り、入力I/F部24、出力I/F部、及び無線通信部26が接続されている。入力I/F部24は、車載カメラ24a(2e)から撮影画像を取り込むため等に使用される。出力I/F部25は、ヘッドライト25aを構成するLEDの駆動、サウンド出力のためのスピーカ25bの駆動、前後進や速度制御に使用される走行用モータ25cの駆動、さらには、右左折のための操舵用アクチュエータ25dの駆動の際に使用される。無線通信部26は、車載側制御装置とリモート側制御装置(詳細は後述)との間での無線通信のために使用される。
【0056】
ROM22に格納されたシステムプログラムを実行することにより実現される車載側制御装置の動作を示すフローチャートが、
図14に示されている。同図に示されるように、車載側制御装置は、電源投入に続いて、イニシャライズ処理(ステップ101)により、必要な各種のフラグやレジスタの初期設定を行ったのち、撮影処理(画像取得)(ステップ101)及びリモート側制御装置を構成するスマートフォンへと取得された画像を送信する処理(ステップ102)を実行し、しかるのち、リモート側制御装置から何らかのコマンドが到来するのを待って(ステップ104、105YES)、当該受信されたコマンドに対応する処理を行う処理(ステップ106)をサイクリックに実行することで、車載側制御装置に必要な各種の機能を実現するものである。
【0057】
これらの機能としては、例えば、1)コマンドで指定された操舵量だけ操舵が行われるように、操舵用アクチュエータ25dを操作する機能、2)コマンドで指定された走行速度となるように、走行用モータ25cを操作する機能、3)コマンドで指定された点灯/消灯状態となるようにヘッドライトを構成するLEDを操作する機能、4)コマンドで指定された警告音やおしゃべり音が生成されるように、スピーカを駆動する機能、5)コマンドで指定される追い越しシーケンスを実行して先行車や障害物を回避したり追い抜いたりする機能、6)コマンドで指定された路肩線探索シーケンスを実行して、路肩線を探索する機能、等々を挙げることができる。
【0058】
[リモート側制御装置について]
次に、リモート側制御装置について、詳細に説明する。リモート側制御装置は、主として、画像認識処理や誤差修正のための操作量演算処理などを司るものであって、具体的には、通信機能を有するストーアードプログラム方式の情報処理装置にカメラ付き自動車玩具システム専用のアプリケーションプログラム(アプリ)をインストールすることで構成することができる。ここで、通信機能を有するストアードプログラム方式の情報処理装置としては、例えば、スマートフォン、タブレット型パソコン、ノート型パソコン、各種のゲーム機、等々を挙げることができる。
【0059】
専用のアプリをインストールすることによりリモート側制御装置として機能するように構成されたスマートフォン3の正面外観が、
図11に示されている。このスマートフォン3はカメラ付き自動車玩具2の車載側制御装置(
図12参照)との間で無線通信可能となされている。
【0060】
同図において、31は本体側の押ボタン、32は例えば液晶や有機ELを使用した表示スクリーン、33は本体側のマイク、34は本体側のカメラである。また、35は操舵操作用のスライド操作子表示、36は前後進の切替及び速度調整用のスライド操作子表示、37は自動運転モード(AT)に切り替えるための照光式の自動走行ボタン表示、38はアシスト運転モード(AST)に切り替えるための照光式の支援走行ボタン表示、39は手動運転モード(ML)に切り替えるための照光式の手動走行ボタン表示である。それらの操作子表示35,36、及びボタン表示37~39は、いずれも、表示スクリーン32上にソフトウェア的に表示されたものであり、表示スクリーン32の表面に被着されたタッチパネルを介して作動するように構成されている。なお、この種のスマートフォンの基本的なハードウェア構成は、当業者には周知であるから、特に、ハードウェアブロック図などによる説明は省略する。
【0061】
次に、カメラ付き自動車玩具システム専用のアプリの構成について、
図15及び
図16を参照しつつ詳細に説明する。スマホ側アプリの動作を示すゼネラルフローチャートが
図15に、同フローチャート中の走行状態認識処理の詳細フローチャートが
図16にそれぞれ示されている。
【0062】
このカメラ付き自動車玩具システムにあっては、遊びを開始するに先立って、「レーン設定」、「走行台数設定」、「障害物存在時の対応設定」及び「運転モード設定」等からなる幾つかの設定項目について選択設定操作を行うこととしている。
【0063】
ここで、「レーン設定」とは、
図1に示される2本の並列なレーン(内側レーン13と外側レーン14)を有する周回道路を対象として、自動運転又はアシスト運転を行うに際して、当該道路をどのように利用するかを設定するものである。このとき、設定の選択肢としては、例えば、[1]片側1レーンの双方向通行道路を左側通行で利用する、[2]片側1レーンの双方向通行道路を右側通行で利用する(
図4参照)、[3]2レーンの一方向通行道路として時計回りの周回道路として利用する、[4]2レーンの一方向通行道路として反時計回りの周回道路として利用する(
図7参照)、が用意される。
【0064】
「走行台数設定」とは、上述のレーン設定を前提として、カメラ付き自動車玩具を何台走行させるかを設定するものものである。このとき、設定の選択肢としては、例えば、[1]1台走行、[2]2台走行、[3]3台走行、[4]4台走行、等々が用意される。なお、この例にあっては、基本的に1レーンには複数台のカメラ付き自動車玩具の走行を許容するように設定されている。
【0065】
「障害物存在時の対応設定」とは、同一レーンの前方に先行車や停車中の車や通行人等の障害物が存在するときに、どのように対応するかを設定するものである。このとき、設定の選択肢としては、[1]直前で停止する、[2]規定の操舵シーケンスで迂回する乃至追い越す、[3]追従しつつ走行する、等々が用意される。
【0066】
「運転モード設定」とは、その名の通り、運転モードを設定するものである。このとき、設定の選択肢としては、[1]自動運転モード、[2]アシスト運転モード、[3]手動運転モード、等々が用意されている。
【0067】
なお、上記の各設定項目に関する設定操作のためには、専用アプリ側に、別途、設定モードが設けられており、この設定モードにおいては、スマートフォン3の表示スクリーン32上に表示された各種の設定ガイドにしたがうことで、各項目について設定操作を容易に行うことができる。
【0068】
また、走行台数設定に際しては、予め各自動車玩具側で例えばマイクロDIPスイッチにより固有な号機ナンバーを設定しておくか、あるいは、スマートフォンと各自動車玩具との間でポーリング・セレクティング方式により、通信を介して、号機ナンバーを割り振って当該号機のフラッシュROMに記憶する等の処理が行われる。
【0069】
今仮に、「レーン設定」は[2](片側1レーンの双方向通行道路を右側通行で利用する(
図4参照))、「走行台数設定」は[3](3台走行)、「障害物存在時の対応設定」は[2](規定の操舵シーケンスで迂回する乃至追い越す(
図10参照))、「運転モード設定」は[1](自動運転モード)に設定されていると想定する。
【0070】
この状態において、
図15に示される処理が開始されると、イニシャライズ処理(ステップ201)にて、演算に必要な各種のフラグやレジスタ類などを初期設定したのち、号機ナンバー[n]を初期値に設定して(ステップ202)、当該n号機に相当する自動車玩具2からの画像受信処理(ステップ203)を実行する。
【0071】
続いて、こうして受信された画像に基づいて、走行状態認識処理(ステップ204)を実行する。この走行状態認識処理(ステップ204)とは、当該号機ナンバー[n]にかかる自動車玩具2が、
図1に示されるカメラ付き自動車玩具用サーキット1の上のどこをどのように走行しているかを認識するものであって、このようにして認識される走行状態こそが、自動運転やアシスト運転のための走行・操舵の補正処理に利用される。そして、この走行状態認識処理(ステップ204)において、本発明の要部である構成(内側マーカ線18及び外側マーカ線19)が有効に機能することとなる。
【0072】
走行状態認識処理(ステップ204)の一例が、
図16に詳細に示されている。同図において、処理が開始されると、レーン探査領域設定処理(ステップ301)を実行する。このレーン探査領域とは、
図5、
図6、及び
図10に符号42を付して示す横長矩形領域であって、車両前方所定距離にある限定された路面領域に対応するイメージセンサの受光面領域に相当するものである。そして、このレーン探査領域42には、通常の正常なレーン走行中であれば、内側マーカ線18及び外側マーカ線19の双方が含まれると共に、レーンの向きと車両の向きとが多少違っても、少なくとも、それらのマーカ線18,19のいずれか1つは含まれるように仕組まれている(
図5参照)。
【0073】
続いて、レーン探査領域42内において、画素の大きさやの余裕度を考慮して間隔設定された走査線(Lk,Lk+1,Lk+2,Lk+3・・・)に沿って、決められた画素値配列パターン(「黒」→「白」→「黒」)を探査する処理を実行する(
図13参照)。
【0074】
なお、このとき、前述のマーカ線18,19は線状体であるから、いずれかの画像コマ(例えば、30コマ/秒)において、マーカ線18,19が消失する虞はない。また、同様な理由から、探査処理速度を上げるために、走査線Lkと走査線Lk+1との間隔を画素サイズよりも十分に広くとったとしても、マーカ線18,19を構成する画素の一部を見失う虞もない(
図13参照)。
【0075】
ここで、画素値配列パターン(「黒」→「白」→「黒」)とは、一連の黒画素状態から、一連の白画素状態となり、再び一連の黒画素状態となる画素値配列パターンであって、このような画素値配列パターンは、
図1に示される自動車玩具用サーキット1を前提とする限り、走査線Lkが、外側路肩線17を横切とき(
図13(a)参照)、レーン境界線15を横切るとき、及び内側路肩線16を横切るとき(
図13(b)参照)のいずれか以外は存在し得ない。
【0076】
k番目の走査線Lkに沿って画素値配列パターンをチェックしたのち(ステップ303)、配列パターン(「黒」→「白」→「黒」)ありと判定された場合には(ステップ304YES)、続いてそのような画素値配列パターンの直前に隣接して画素値「灰」が存在するか、直後に隣接して画素値「灰」が存在するか、及び直前にも直後にも画素値「灰」が存在しないかの判定が行われる(ステップ305)。
【0077】
ここで、画素値配列パターン(「黒」→「白」→「黒」)の直前に隣接して画素値「灰」が存在すると判定された場合には(ステップ305「直前隣接」)、当該画素値配列パターンを構成する一連の「白」画素列の中心に位置する白画素の水平座標値は、内側路肩線16の候補として一時的に記憶される(ステップ306)。
【0078】
画素値配列パターン(「黒」→「白」→「黒」)の直後に隣接して画素値「灰」が存在すると判定された場合には(ステップ305「直後隣接」)、当該画素値配列パターンを構成する一連の「白」画素列の中心に位置する白画素の水平座標値は、外側路肩線17の候補として一時的に記憶される(ステップ308)。
【0079】
画素値配列パターン(「黒」→「白」→「黒」)の直前にも直後にも画素値「灰」が存在しないと判定された場合には(ステップ305「隣接なし」)、当該画素値配列パターンを構成する一連の「白」画素列の中心に位置する白画素の水平座標値は、レーン境界線15の候補として一時的に記憶される(ステップ307)。
【0080】
画素値配列パターンをチェックしても(ステップ303)、画素値配列パターン(「黒」→「白」→「黒」)が存在しないと判定される場合には(ステップ304NO)、走査線番号kを+1更新しては(ステップ311)、以上一連の処理(ステップ303~308)が繰り返され、走査線番号kが所定の最大値に達するのを待って、有効性判定処理(ステップ310)へと移行する。
【0081】
この有効性判定処理(ステップ310)では、内側路肩線16、外側路肩線17及びレーン境界線15のそれぞれについて、一時記憶された一連の候補につき、垂直方向への連続性の程度を考慮することで、内側路肩線16、外側路肩線17及びレーン境界線15のそれぞれについて探査成功と判定するものである。なお、垂直方向への連続性については、例えば、相前後する2本の走査線(Lk,Lk+1)について、仮決定された候補座標同士の偏差を順次に求め、それらがほぼ一定であることに基づいて、それらの候補座標は某かの線上に順に並んで配列されているものと判定することができる。
【0082】
続いて、内側路肩線16、外側路肩線17及びレーン境界線15のいずれかについて、一連の候補の連続性が認められて探査成功と判定される場合には(ステップ312YES)、内側路肩線16、外側路肩線17及びレーン境界線15の中で有効(探査成功)と判定されるものと、自車の基準位置44(
図5,
図6参照)とから、自車の走行状態を認識する処理(ステップ313)を実行し、実行完了と共に認識成功を記憶して(ステップ314)、処理を終了する。これに対して、内側路肩線16、外側路肩線17及びレーン境界線15いずれについても、一連の候補の連続性が認められずに探査失敗と判定される場合には、認識失敗を記憶して(ステップ315)、処理を終了する。
【0083】
なお、以上の処理(ステップ304~308)によれば、内側マーカ線18及び外側マーカ線19を設けたことにより、内側路肩線16、レーン境界線15及び外側路肩線17のそれぞれに相当する白画素を単なる「線」としてではなくて、「内側路肩線」、「レーン境界線」及び「外側路肩線」として直接的に認識することができる。そのため、それらのいずれか1つが認識されさえすれば、既知の情報(例えば、それらの「線」相互の位置関係、レーン幅、車載カメラの取付姿勢、等々)から、路面全体の状況を計算により容易に推認することができ、それに基づいて、自車の走行状況(例えば、サーキット1内のどこをどの方向へ向けて走行中であるか)を的確に認識することができる。
【0084】
図15のフローチャートに戻って、自車の走行状態の認識成功と判定されると(ステップ205)、続いて目的レーン走行用の誤差修正コマンドの生成・送信処理(ステップ206)が実行される。この処理(ステップ206)では、先の処理(ステップ204)において認識された自車の走行状態と、「レーン設定」にて決定される自車の目標走行レーン(例えば、内側レーン13)とに基づいて、自車を目標レーンの中心線43(
図5参照)に導くに必要な走行・操舵の修正量を算出し、これをn号機の自動車玩具2へと誤差修正のための走行制御コマンドとして無線送信する。
【0085】
続いて、その他の走行制御コマンドの生成・送信処理(ステップ208)へと移行する。この処理(ステップ208)では、追越制御・標識制御等に必要な走行制御コマンドを送信する。
【0086】
すなわち、この実施例にあっては、
図9に示されるように、何種類かのスタンド式標識板51が用意されている。それらの標識板51は、立板部51aと座部51bとを備えた側面視L字状の形態を有し、サーキット1上に自立状態で配置可能とされている。立板部51の上部には、太線の正方形で構成される正方形マーカ51cが描かれると共に、このマーカ51cにより囲まれるその内部領域には、それぞれ交通標識に相当する標識図形51dが描かれている。
【0087】
このようなスタンド式標識板51がサーキット1の走行面に配置されると、
図10に示されるように、車載カメラの視野41内には、標識板像45が現れる。この標識板像45の正方形マーカ51cに対応する正方形像は、該当する正方形マスクを使用したパターン認識処理にて簡単に探索することできる。また、ひとたび、正方形マーカ51cが探索されれば、その内部に描かれた標識図形51dについても、パターン認識処理にて簡単に判別できる。
【0088】
そのため、
図9(a)の標識図形51dに対しては停止動作、
図9(b)の標識図形51cに対しては進入禁止動作、
図9(c)の標識図形51cに対しては時速60キロ相当走行と言ったように、標識板51とそれに対応する運転動作とを予めテーブルで対応付けしておくことにより、なんらかの標識板51を走行面に配置するだけで、そこを通過するカメラ付き自動車玩具2に対して、該当する運転指示を与えることができる。
【0089】
さらに、この例にあっては、その標識板51が車道領域(内側路肩線16と外側路肩線17とで挟まれる領域)の外部に置かれているときに限り、運転指示内容が有効となるように、アプリ側で仕組まれている。
【0090】
そのため、
図10に示されるように、標識板51が車道の傍らに配置されている場合には、コマンド生成・送信処理(ステップ208)では、その標識板51の意味内容にしたがって走行(時速60キロ相当走行)するように走行制御コマンドが生成・送信されるのに対して、車道領域(内側路肩線16と外側路肩線17とで挟まれる領域)の内部に配置されている場合には、単なる障害物と認識されて、予め決められた障害物対応処理に相当する走行制御コマンドが生成・送信されることとなる。
【0091】
さらに、この実施例にあっては、コマンド生成・送信処理(ステップ208)では、
図10に示されるように、カメラの視野41内において、走行中のレーン(内側レーン13)に先行自動車像46の存在が判定される場合には、追越軌跡線47にしたがって、先行車両を所定の操舵シーケンスにより追い越す動作を指令するための走行制御コマンドを生成・送信することもできる。
【0092】
以上の標識対応の走行・制御、並びに、自動追い越しのための走行・制御は、いずれも、走行状態認識処理(ステップ204)にて認識された自車の走行状態を踏まえて行われるところ、本発明にあっては、走行状態認識処理(ステップ204)の根幹をなす路肩線及びレーン境界線の認識処理(ステップ303~308)をマーカ線18,19の存在に基づいて高速かつ確実に行いうることから、標識対応動作並びに自動追い越し動作の確実性を担保することができる。
【0093】
次に、判定処理(ステップ205)にて認識失敗と判定されたときは(ステップ205NO)、例えば、
図8に示されるように、自車2がレーン13に対して斜めの向きにあるような場合に相当するため、先ずは、自車の速度を予め決めた低速に設定した状態において、自車の向きを予め決められた量だけ操舵することにより、自車を微小半径で旋回させながら周囲を見回して、マーカ線18,19のいずれかを探査するために、該当する走行・操舵コマンドを車載装置へと送信する(ステップ207)。こうして、マーカ線探索動作の間に、マーカ線18,19のいずれか1つが発見されたならば、上述の一連の処理(ステップ206,208)へと復帰することになる。
【0094】
なお、以上のマーカ探索動作のための走行・制御についても、いずれも、走行状態認識処理(ステップ204)にて認識された自車の走行状態を踏まえて行われるところ、本発明にあっては、走行状態認識処理(ステップ204)の根幹をなす路肩線及びレーン境界線の認識処理(ステップ303~308)をマーカ線18,19の存在に基づいて高速かつ確実に行いうることから、マーカ探索動作動作の確実性を担保することができる。
【0095】
なお、先に説明したように、この実施例のアプリには、自動運転モードのほかに、アシスト運転モードや手動運転モードも備えられている。これらについても、簡単に説明すると、それらのモード切替は、スマートフォン3の表示スクリーン32の右上に表示された3つの押ボタン表示37,38,39を操作することで実現することができる。
【0096】
すなわち、自動運転モードから手動運転モードに切り替えるには、手動走行ボタン(ML)39を押圧操作する。すると、表示スクリーン32に描かれた操舵操作用のスライド操作子表示35及び前後進操作用のスライド操作子表示36がアクティブとなって使用可能となる。
【0097】
その状態において、表示スクリーン32に描かれた車載カメラの映像を視認しつつ、自車位置表示44との関係を考慮して、右手でスライド操作子35を左右に操作し、左手でスライド操作子36を前後に操作することにより、サーキット1上を任意の速度にて自在に走行することが可能となる。
【0098】
また、自動運転モードからアシスト運転モードに切り替えるには、支援走行ボタン(SAST)を押圧操作する。すると、手動運転の場合と同様にして、表示スクリーン32に描かれた操舵操作用のスライド操作子表示35及び前後進操作用のスライド操作子表示36がアクティブとなって使用可能となる。
【0099】
その状態において、表示スクリーン32に描かれた車載カメラの映像を視認しつつ、所望のレーンに沿って手動運転中に、当該レーンから外れそうな気配が検知されると、自動運転モードと同様にて、目標レーン走行用の誤差修正コマンドの生成・送信処理が実行され、その結果、当該車両は目的とするレーンから外れることなく走行する。
【0100】
また、手動運転操作中に、目的とするレーンの前方に先行車両や障害物が現れた場合には、自動運転モードと同様にして、自動追い越しのための操舵シーケンスに対応する走行。制御コマンドの生成・送信処理が実行され、その結果、当該先行車両や障害物は、所望の速度にて自動的に回避されることとなる。
【0101】
なお、以上のレーン自動追従のための走行・制御、並びに、自動追い越しのための走行・制御は、いずれも、走行状態認識処理(ステップ204)にて認識された自車の走行状態を踏まえて行われるところ、本発明にあっては、走行状態認識処理(ステップ204)の根幹をなす路肩線及びレーン境界線の認識処理(ステップ303~308)をマーカ線18,19の存在に基づいて高速かつ確実に行いうることから、レーン追従動作並びに自動追い越し動作の確実性を担保することができる。
【0102】
[その他の実施形態]
別の一面からみた本発明は、車載カメラの映像に基づいて自動運転や運転アシストを行うカメラ付き自動車玩具のための走行路を床面上に構築する方法として捉えることもできる。
【0103】
すなわち、この構築方法は、前記床面上に、互いに平行な左右一対の路肩線を描くことにより、車道領域を定義すると共に、前記車道領域内を1又は2以上のレーン境界線にて仕切ることにより、2以上の走行レーンを定義し、さらに、前記左右一対の路肩線のそれぞれに、それらの路肩線が左右いずれの側の路肩線であるかを識別するためのマーカを付設する、ものである。
【0104】
このような構成によれば、例えば、上述の作用効果を奏する走行路を室内の床面に構築することにより、室内レースサーキットと言った遊戯場を実現することもできる。
【0105】
好ましい実施の態様にあっては、前記マーカが、前記左右一対の路肩線のそれぞれに沿って前記車道とは反対側に延在された線状マーカであってもよい。
【0106】
このような構成によれば、例えば、上述の室内レースサーキットにおいて、左右いずれの側の路肩線であるかを識別可能なマーカは、車道に沿って途切れることなく連続するため、いずれかのレーンに沿って走行中、車載カメラの映像から路肩線識別用のマーカを見失うことがない。しかも、線状マーカは、車道とは反対側に延在するため、車道領域には何ら影響を与えない。
【0107】
なお、以上の実施形態では、制御部の構成として、車載側制御装置(主として画像転送とコマンド実行に特化)とリモート側制御装置(主して、画像認識と補正値演算に特化)とで構成したが、将来的にデバイスの性能向上や価格低減などがなされた場合には、上記の2つの制御装置を一体化したものをカメラ付き自動車玩具側に組み込むことも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明は、玩具製造業において、自動運転や運転アシストの機能を備えたカメラ付き自動車玩具システムの提供に利用することができる。
【符号の説明】
【0109】
1 カメラ付き自動車玩具用サーキット
2 カメラ付き自動車玩具
2a 車体
2b シャーシ
2c 前輪
2d 後輪
2e カメラ
3 スマートホン
11 基板
11a 地色領域
12a,12b,12c,12d 囲壁板
13 内側レーン
14 外側レーン
15 レーン境界線
16 内側路肩線
17 外側路肩線
18 内側マーカ線
19 外側マーカ線
21 MPU
22 ROM
23 RAM
24 入力部
24a カメラ
25 出力部
25a ヘッドライト
25b スピーカ
25c 走行用モータ
25d 操舵用アクチュエータ
31 本体側押ボタン
32 表示スクリーン
33 本体側マイク
34 本体側フロントカメラ
35 操舵用のスライド操作子表示
36 前後進用のスライド操作子表示
37 自動走行ボタン表示
38 アシスト走行ボタン表示
39 手動走行ボタン表示
41 カメラ視野
42 探査領域
43 内側レーンの中心線
44 自車走行位置表示
45 標識板像
46 先行自動車像
51 スタンド式標識板
51a 立板部
51b 座部
51c 正方形マーカ
51d 標識図形
Lk,Lk+1,Lk+2,Lk+3 走査線