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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-22
(45)【発行日】2023-03-03
(54)【発明の名称】面取箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/66 20060101AFI20230224BHJP
   B65D 5/10 20060101ALI20230224BHJP
   B65D 5/02 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
B65D5/66 301G
B65D5/10 J
B65D5/02 M
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018236347
(22)【出願日】2018-12-18
(65)【公開番号】P2020097434
(43)【公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100117400
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 政徳
(74)【代理人】
【識別番号】100161746
【弁理士】
【氏名又は名称】地代 信幸
(74)【代理人】
【識別番号】100166796
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 雅至
(72)【発明者】
【氏名】牧内 隆文
(72)【発明者】
【氏名】石川 淳生
(72)【発明者】
【氏名】松浦 積弥
【審査官】二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第5139196(US,A)
【文献】特開平7-205954(JP,A)
【文献】特開2009-90986(JP,A)
【文献】登録実用新案第3210840(JP,U)
【文献】特開2000-326954(JP,A)
【文献】実開昭54-44230(JP,U)
【文献】登録実用新案第3070197(JP,U)
【文献】登録実用新案第3175443(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/66
B65D 5/10
B65D 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
角筒状の胴部(10)が各一対の側壁(1)及び端壁(2)、対角位置で傾斜する面取壁(3)、並びにこれらを繋ぐ継代片(4)を稜線となる縦罫線(a,b)に沿って折り曲げることにより形成され、前記側壁(1)及び前記端壁(2)に内フラップ(5)及び外フラップ(6)がそれぞれ横罫線(c,d)を介して連設され、前記内フラップ(5)及び前記外フラップ(6)を前記横罫線(c,d)に沿って順次折り重ねることにより蓋部(20)が形成される面取箱において、
前記内フラップ(5)及び前記外フラップ(6)の根元となる前記横罫線(c,d)は、一直線上に揃っており、
前記蓋部(20)では、前記一対の内フラップ(5)の先端縁同士が少なくとも一部分で接触すると共に、前記一対の内フラップ(5)の両側端縁が前記側壁(1)の両側の縦罫線(a)の延長線よりも外側へ張り出して、前記内フラップ(5)の側端縁の根元寄りの部分は、前記面取壁(3)から切り離された斜辺とされて、前記面取壁(3)の内面に沿うものとされ、前記斜辺より内フラップ(5)の先端側の部分は、前記横罫線(c)に対して直交する方向へ延びて、前記端壁(2)の外フラップ(6)との境界部内面に当接し、
前記外フラップ(6)の両側端縁が前記端壁(2)の両側の縦罫線(b)の延長線よりも内側に位置して、前記端壁(2)の幅(A)よりも前記外フラップ(6)の幅(B)が狭く設定され、
前記端壁(2)の両側の縦罫線(b)のうち、対角位置にある折畳線(FL)を軸として、偏平に折り畳んだ状態から組み立てられ、
前記一対の外フラップ(6)の先端両側部には差込片(21)が突設され、前記一対の内フラップ(5)には差込穴(22)が形成され、
前記外フラップ(6)が前記内フラップ(5)を前記側壁(1)から内側へ折り曲げた状態に押さえ、前記差込片(21)が前記差込穴(22)に差し込まれて、前記差込穴(22)から抜け止めされることにより、前記蓋部(20)が閉止状態に維持されることを特徴とする面取箱。
【請求項2】
前記蓋部(20)では、前記一対の内フラップ(5)の先端縁同士が突き合わされることを特徴とする請求項1に記載の面取箱。
【請求項3】
前記蓋部(20)では、前記一対の内フラップ(5)の先端縁の凹入部(5b)同士が噛み合わされ、先端縁に臨む部分が重なり合うことを特徴とする請求項1に記載の面取箱。
【請求項4】
前記一対の外フラップ(6)には、前記端壁(2)からの延出方向の中間部に、幅方向に延びる中折線(23)が入れられ、
前記外フラップ(6)は、前記中折線(23)を軸に折り曲げつつ、前記差込片(21)を前記差込穴(22)に差し込むと、前記中折線(23)での折り曲げが伸ばされて、前記差込片(21)が前記差込穴(22)から抜け止めされることを特徴とする請求項2又は3に記載の面取箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、胴部が八角筒状や六角筒状等になるように、側壁及び端壁に対して傾斜した面取壁を有する箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の面取箱として、下記特許文献1には、図13(13A)に示すように、各一対の側壁1及び端壁2、四隅で傾斜する面取壁3、並びにこれらを繋ぐ継代片4を境界の縦罫線a,bに沿って折り曲げることにより、胴部10が八角筒状に形成され、側壁1及び端壁2の上端及び下端に連設された内フラップ5及び外フラップ6を境界の横罫線c,dに沿って順次折り重ねることにより、底面及び天面の蓋部20,30が閉止状態に形成されるものが記載されている。
【0003】
このような面取箱では、直方体の箱に対して、圧縮強度を維持しつつ、材料の使用面積を減少させることができるほか、面取壁3に訴求性を高める印刷を施すこともできる。
【0004】
上記面取箱では、側壁1及び端壁2がそれぞれ幅面及び長面とされ、底面及び天面の蓋部20,30において、一対の内フラップ5の先端縁間には間隔が開き、内フラップ5の側端縁と端壁2の内面間にも間隔が開いた状態で、一対の外フラップ6により、底面及び天面の全体が覆われるようになっている。
【0005】
上記のような面取箱を組み立てる際には、図13(13B)に示すように、ブランクの状態で、側壁1及び端壁2をマンドレルMに巻き付けるようにして、胴部10を形成するが、胴部10をマンドレルMから抜くと、胴部10の形状が八角筒状に維持されず、胴部10が歪む恐れがあることから、胴部10をマンドレルMに巻き付けたままの状態で、内フラップ5及び外フラップ6を順次折り重ねて固定する必要がある。
【0006】
このため、製造工程において、偏平に折り畳んだ状態で、継代片4を反対側の端部に貼り着けることができず、フレキソフォルダグルアを使用できないことから、使用者が物品を包装する際、専用の製函機が必要になる。
【0007】
一方、下記特許文献2には、図14に示すように、整列させたペットボトルBの集合体をマンドレルの替わりとする包装方法が記載されている。
【0008】
この方法では、胴部10を四角筒状に形成しておき、ペットボトルBの肩部を案内面として、面取箱をペットボトルBの集合体に被せ、胴部10をペットボトルBの集合体で内側から押し広げるようにして、胴部10の四隅の面取壁3を傾斜させ、その後、底面及び天面の内フラップ5及び外フラップ6を折り重ねて封緘する。
【0009】
また、下記特許文献3には、図15に示すように、一対の内フラップ5の両側端縁が縦罫線aの延長線上よりも外側へ張り出して、端壁2及び面取壁3の内面に当接することにより、マンドレルや被包装物に依存することなく、胴部10を八角筒状に維持した状態で内フラップ5に外フラップ6を折り重ねて、底面及び天面の蓋部20,30を形成できるようにした面取箱が記載されている。
【0010】
この面取箱では、一対の側壁1から内フラップ5を内側へ折り曲げた状態において、一対の内フラップ5の先端縁間に間隔が開いており、一対の外フラップ6の先端縁同士を突き合わせて、テープ貼り等により封緘するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開平4-239442号公報
【文献】特開2014-5072号公報
【文献】特開2017-61341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記特許文献3に記載された面取箱においても、組み立てに際し、一対の側壁1から内フラップ5を内側へ折り曲げた状態で、向き合った一対の側壁1の間隔が決定されないため、組立過程での胴部10の形状が安定しない恐れがある。
【0013】
そこで、この発明は、マンドレル等を使用することなく、簡単に所定形状に組み立てて物品を包装することができ、また、フレキソフォルダグルアで製造することができる面取箱を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、この発明は、角筒状の胴部が各一対の側壁及び端壁、対角位置で傾斜する面取壁、並びにこれらを繋ぐ継代片を稜線となる縦罫線に沿って折り曲げることにより形成され、前記側壁及び前記端壁に内フラップ及び外フラップがそれぞれ横罫線を介して連設され、前記内フラップ及び前記外フラップを前記横罫線に沿って順次折り重ねることにより蓋部が形成される面取箱において、
前記蓋部では、前記一対の内フラップの先端縁同士が少なくとも一部分で接触すると共に、前記一対の内フラップの両側端縁が前記側壁の両側の縦罫線の延長線よりも外側へ張り出して、前記端壁の外フラップとの境界部内面に当接し、
前記外フラップの両側端縁が前記端壁の両側の縦罫線の延長線よりも内側に位置して、前記端壁の幅よりも前記外フラップの幅が狭く設定され、
前記端壁の両側の縦罫線のうち、対角位置にある折畳線を軸として、偏平に折り畳んだ状態から組み立てられ、
前記一対の外フラップの先端両側部には差込片が突設され、前記一対の内フラップには差込穴が形成され、
前記外フラップが前記内フラップを前記側壁から内側へ折り曲げた状態に押さえ、前記差込片が前記差込穴に差し込まれて、前記差込穴から抜け止めされることにより、前記蓋部が閉止状態に維持されるものとしたのである。
【0015】
また、前記蓋部では、前記一対の内フラップの先端縁同士が突き合わされ、又は、前記一対の内フラップの先端縁の切欠部同士が噛み合わされ、先端縁に臨む部分が重なり合うものとしたのである。
【0016】
また、前記一対の外フラップには、前記端壁からの延出方向の中間部に、幅方向に延びる中折線が入れられ、
前記外フラップは、前記中折線を軸に折り曲げつつ、前記差込片を前記差込穴に差し込むと、前記中折線での折り曲げが伸ばされて、前記差込片が前記差込穴から抜け止めされるものとしたのである。
【発明の効果】
【0017】
この発明に係る面取箱では、側壁から内フラップを内側へ折り曲げ、一対の内フラップの先端縁同士を接触させると、対向する側壁間の寸法が決定され、内フラップの両側端縁が端壁の外フラップとの境界部内面に当接し、対向する端壁間の寸法も決定される。
【0018】
このため、側壁及び端壁に対して面取壁が設計に従った角度に傾斜し、胴部が八角筒状や六角筒状の所定の形状となって安定するので、マンドレル等を使用せず、手作業で組み立てることもできる。
【0019】
また、外フラップの両側端縁が端壁の両側の縦罫線の延長線よりも内側に位置し、偏平に折り畳むことができるので、フレキソフォルダグルアを使用して製造でき、専用の製函機を要することなく、折畳状態から容易かつ迅速に組み立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】この発明に係る面取箱の第1実施形態のブランクを示す図
図2】同上の折畳状態を示す斜視図
図3】同上の組立過程を天地逆転状態で示す斜視図
図4】同上の組立過程を天地逆転状態で示す斜視図
図5】同上の組立状態を示す下方からの斜視図
図6】同上の組立状態を示す上方からの斜視図
図7】この発明に係る面取箱の第2実施形態のブランクを示す図
図8】同上の折畳状態を示す斜視図
図9】同上の組立過程を天地逆転状態で示す斜視図
図10】同上の組立過程を天地逆転状態で示す斜視図
図11】同上の組立状態を示す下方からの斜視図
図12】同上の組立状態を示す上方からの斜視図
図13】特許文献1に記載された面取箱において(13A)組立状態を示す上方からの斜視図、(13B)マンドレルによる組立過程を示す概略図
図14】特許文献2に記載された面取箱による商品包装過程を示す斜視図
図15】特許文献3に記載された面取箱の組立状態を示す上方からの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0021】
この発明に係る面取箱の第1実施形態を図1乃至図6に基づいて説明する。
【0022】
この面取箱は、図1に示すように、段目が上下方向へ向けられた段ボールのブランクから組み立てられる。このブランクは、周面を形成する胴部10、底面を形成する蓋部20及び天面を形成する蓋部30から構成される。
【0023】
胴部10では、長面の側壁1及び幅面の端壁2が面取壁3を挟んで各一対交互に連設され、胴部10の一端には側壁1の側端から面取壁3が、胴部10の他端には端壁2の側端から継代片4がそれぞれ連設されている。側壁1とその両側の面取壁3の境界には、縦罫線aが入れられ、端壁2とその両側の面取壁3又は継代片4の境界には、縦罫線bが入れられている。縦罫線a,bは、段ボールの裏面からの押罫とされている。
【0024】
一対の端壁2の両側の縦罫線bのうち、組立状態で面取箱の対角に位置するものは、フレキソフォルダグルアでの製造時に折曲位置となる折畳線FLとされている。
【0025】
また、底面の蓋部20では、側壁1及び端壁2の下端に内フラップ5及び外フラップ6がそれぞれ連設され、天面の蓋部30では、側壁1及び端壁2の上端に蓋フラップ7,8がそれぞれ連設されている。側壁1と内フラップ5及び蓋フラップ7の境界には、横罫線cが入れられ、端壁2と外フラップ6及び蓋フラップ8の境界には、横罫線dが入れられている。横罫線c,dは、段ボールの裏面からの押罫とされている。
【0026】
蓋部20において、内フラップ5の側壁1からの延出長さDは、面取箱の組立状態における箱の幅W(図6参照)の半分と略同一になるように設定されており、また、ブランクの原型がコルゲーターで製造されるものであることから、内フラップ5の側壁1からの延出長さDと、外フラップ6の端壁2からの延出長さDは揃っている。
【0027】
内フラップ5の両側端縁は、側壁1の両側の縦罫線aの延長線よりも外側へ張り出しており、内フラップ5の側端縁の側壁1寄りの部分は、組立時に面取壁3の内面に沿うように、横罫線cの延長線に対して45°の角度をなす斜辺とされ、この斜辺より内フラップ5の先端側の部分は、横罫線cに対して直交する方向に延びている。
【0028】
外フラップ6の両側端縁は、端壁2の両側の縦罫線bの延長線よりも内側に位置して、端壁2の幅Aよりも外フラップ6の幅Bが狭く設定されている。これにより、フレキソフォルダグルアのクリーザーによる罫線加工に際し、外フラップ6には縦罫線bの延長線上に罫線が入れられることがない。
【0029】
外フラップ6の先端両側部には差込片21が突設され、内フラップ5の両側端寄りの部分には差込穴22が形成されている。
【0030】
差込穴22は、外フラップ6の長さ方向中央側及び側壁1との境界の方向へ延びるL字状の切込とされ、その内側に押込片22aが形成されている。押込片22aは、外フラップ6の側端寄りの押罫をヒンジとして揺動可能とされ、押込片22aの内部には、押込時に撓みやすくするため、段ボールの裏面から押罫が入れられている。
【0031】
外フラップ6の端壁2からの延出方向の中間部には、幅方向に延びる中折線23が入れられ、中折線23は、段ボールの裏面からの押罫とされている。外フラップ6の先端中間部には、両側の差込片21間に先細りテーパー状の押圧片24が突設されている。
【0032】
また、蓋部30においても、蓋部20の内フラップ5及び外フラップ6と同様、蓋フラップ7の側壁1からの延出長さDは、面取箱の組立状態における箱の幅W(図6参照)の半分と略同一になるように設定されており、蓋フラップ7の側壁1からの延出長さDと、蓋フラップ8の端壁2からの延出長さDは揃っている。
【0033】
一方の蓋フラップ7には、先端縁から基部側へかけて片側部分を斜めに切り欠いた切欠縁7aが形成され、切欠縁7aに隣り合う一方の蓋フラップ8の側部には、隅埋片8aが突設されている。
【0034】
また、端壁2の上端寄りの幅方向中間部には、長円形の把手穴2aが穿設され、内フラップ5の先端寄りの中間部には、円形の通気穴5aが穿設されている。
【0035】
上記のようなブランクは、面取箱の製造に際し、図2に示すように、折畳線FLを軸として折り重ね、胴部10の一端の面取壁3に他端の継代片4を貼り合わせ、偏平な折畳状態とする。この工程は、フレキソフォルダグルアを使用して行うことができる。
【0036】
そして、この面取箱による物品の包装に際しては、天地を逆転した状態で図3に示すように、胴部10を縦罫線a,bが稜線となる八角筒状をなすように立体化し、一対の内フラップ5を横罫線cに沿って内側へ折り曲げ、その先端縁同士を突き合わせる。
【0037】
このように、一対の内フラップ5の先端縁同士を接触させると、対向する側壁1間の寸法が決定される。また、このとき、内フラップ5の両側端縁のうち、横罫線cに対して直交する方向に延びる部分が端壁2の外フラップ6との境界部内面に当接するので、対向する端壁2間の寸法も決定され、胴部10の形状が固定される。
【0038】
このため、側壁1及び端壁2に対して面取壁3が設計どおり45°に傾斜し、胴部10が八角筒状となって安定するので、マンドレル等を使用せず組み立てることができる。
【0039】
次に、図4に示すように、外フラップ6を、横罫線dに沿って内側へ折り曲げ、中折線23を軸として折り曲げつつ、差込片21を差込穴22に差し込む。このとき、差込片21により押込片22aが押し込まれ、差込穴22が開口する。
【0040】
そして、図5において、天地を正転した状態で下方から示すように、内フラップ5が外フラップ6により側壁1から内側へ折り曲げた状態に押さえられ、差込片21の差込穴22への差し込みが進行すると、外フラップ6の中折線23を軸とする折り曲げが伸ばされて、差込片21が差込穴22から抜け止めされる。
【0041】
この状態では、弾力で復元した押込片22aと差込穴22の端縁との間に差込片21が挟まれ、差込片21と押圧片24とで一対の内フラップ5の突合部が挟まれる。
【0042】
そして、差込片21が内フラップ5の内面に沿い、箱内に収納した物品が差込片21を内フラップ5に押し付けるので、テープの貼り付け等を行うことなく、底面の蓋部20が閉止状態に維持されて、底抜けが防止される。
【0043】
また、図6において、上方から示すように、天面の各一対の蓋フラップ7,8を、横罫線c,dに沿って、一方の蓋フラップ7から周方向に順次折り曲げ、最後にこの蓋フラップ7の切欠縁7aに臨む部分を隣り合う蓋フラップ8に乗り上げさせると、テープの貼り付け等を行うことなく、天面の蓋部30が閉止状態に維持される。
【0044】
この封緘状態において、面取壁3と蓋フラップ7の切欠縁7aの間は、隅埋片8aにより隙間ができないように閉塞される。
【0045】
上記のように、この面取箱は、フレキソフォルダグルアで効率よく製造でき、使用に際しては、マンドレル等を使用することなく、専用の製函機を要することもなく、一般的なケーサーにより簡単に所定形状に組み立てて、物品を包装することができる。また、手作業で組み立てることもできる。
【0046】
次に、この発明に係る面取箱の第2実施形態を図7乃至図12に基づいて説明する。なお、ここでは、上記第1実施形態と異なる特徴部分について言及するに留める。
【0047】
この面取箱は、図7に示すブランクを、フレキソフォルダグルアにより図8に示すような折畳状態としておき、物品の包装に際し、図9及び図10に示す過程を経て、図11に示すように底面の蓋部20を閉じ、図12に示すように天面の蓋部30を閉じるものであり、長面の側壁1の横方向の寸法が幅面の端壁2の横方向の寸法よりも著しく大きい形状となっている。
【0048】
このように、長さ方向の寸法が著しく大きい場合、底面の蓋部20において、上記第1実施形態のように、一対の内フラップ5の先端縁同士を突き合わせる構成では、物品を収納した状態で持ち上げたとき、胴部10が捻れるような撓みが生じて、一対の内フラップ5の先端縁間に隙間が開いてしまう恐れがある。
【0049】
そのため、この面取箱では、図7に示すように、内フラップ5の側壁1からの延出長さDは、面取箱の組立状態における箱の幅W(図12参照)の半分よりも大きく設定されており、内フラップ5の先端縁中央部にV字状の凹入部5bが形成されている。
【0050】
この面取箱は、フレキソフォルダグルアを使用して製造し、図8に示すように、偏平な折畳状態とすることができる。
【0051】
上記のような面取箱による物品の包装に際しては、天地を逆転した状態で図9に示すように、胴部10を縦罫線a,bが稜線となる八角筒状をなすように立体化し、一対の内フラップ5を横罫線cに沿って内側へ折り曲げ、その先端縁の凹入部5b同士を噛み合わせると、一対の内フラップ5の先端縁に臨む部分が重なり合う。
【0052】
この状態でも、一対の内フラップ5の先端縁同士が接触しているので、対向する側壁1間の寸法が決定され、また、内フラップ5の両側端縁のうち、横罫線cに対して直交する方向に延びる部分が端壁2の外フラップ6との境界部内面に当接するので、対向する端壁2間の寸法も決定され、胴部10の形状が固定される。
【0053】
その後、図10及び図11に示すように、外フラップ6を横罫線dに沿って内側へ折り曲げ、中折線23を軸として屈伸させ、差込片21を差込穴22に差し込むことにより、底面の蓋部20を閉じ、図12に示すように、蓋フラップ8を横罫線cに沿って内側へ折り曲げた後、蓋フラップ7を横罫線dに沿って内側へ折り曲げ、一対の蓋フラップ7の先端縁同士を突き合わせて、天面の蓋部30を閉じる。
【0054】
このような面取箱では、一対の内フラップ5の両側端縁が端壁2の内面に当接し、一対の内フラップ5の先端縁に臨む部分が噛み合って重なり合っているので、物品を収納した状態で持ち上げたとき、胴部10が捻れるように撓む現象が抑制され、胴部10に多少撓みが生じた場合でも、一対の内フラップ5の先端縁間に隙間が開く現象が防止される。
【0055】
なお、上記各実施形態では、胴部10が四隅に面取壁3を有し、八角筒状をなすものを例示したが、胴部10は、少なくとも1組の対角位置に面取壁3を有し、その一側の折畳線FLを軸として偏平に折り畳めるものであれば、フレキソフォルダグルアで製造することができるので、六角筒状のようなものであってもよい。
【0056】
また、天面の形状は特に限定されず、例えば、一方の側壁1から延出された蓋フラップ7が天面全体を覆うものや、天面の中央部に開口部が残存するものであってもよく、蓋フラップ7,8のないトレイ状のものであってもよい。
【0057】
また、天面側の横罫線c,dのうち、少なくとも長手方向のものを、両端から中心部へ向けて低くなるV字状やU字状にしておくと、天面と長面の稜線中央部が凹んだ状態となり、複数個の面取箱を積み上げたとき、稜線の中央部側よりも強度に優れたコーナー部に大きな荷重を負担させることができるので、胴部10の変形を防止することができる。
【0058】
そのほか、内フラップ5が連設された側壁1が長面をなし、外フラップ6が連設された端壁2が幅面をなすものを例示したが、内フラップ5が連設された側壁1が幅面をなし、外フラップ6が連設された端壁2が長面をなすものとしてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 側壁
2 端壁
2a 把手穴
3 面取壁
4 継代片
5 内フラップ
5a 通気穴
5b 凹入部
6 外フラップ
7,8 蓋フラップ
7a 切欠縁
8a 隅埋片
10 胴部
20 蓋部(底面)
21 差込片
22 差込穴
22a 押込片
23 中折線
24 押圧片
30 蓋部(天面)
a,b 縦罫線
c,d 横罫線
FL 折畳線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9
図10
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