(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-22
(45)【発行日】2023-03-03
(54)【発明の名称】発光装置及び発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/50 20100101AFI20230224BHJP
H01L 33/58 20100101ALI20230224BHJP
H01L 23/28 20060101ALI20230224BHJP
H01L 21/56 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
H01L33/50
H01L33/58
H01L23/28 D
H01L21/56 J
(21)【出願番号】P 2019009651
(22)【出願日】2019-01-23
【審査請求日】2022-01-11
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100160716
【氏名又は名称】遠藤 力
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 将英
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 正博
【審査官】右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-124356(JP,A)
【文献】特開2012-174968(JP,A)
【文献】特開2015-095571(JP,A)
【文献】特開2011-009681(JP,A)
【文献】特開2018-056208(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0087087(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 - 33/64
H01L 23/28 - 23/31
H01L 21/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に配置される複数の発光素子と、
前記複数の発光素子を囲むように前記基板上に配置される枠体と、
第1の蛍光体を含み、前記複数の発光素子を封止するように前記枠体の内側に配置される封止材と、
前記封止材から出射される光の色度を変更し、かつ前記封止材上に配置される
平坦な第1色度変更層と、
蛍光体として一種類の第3の蛍光体のみを含み、前記第1色度変更層上に配置されて、前記第1色度変更層から出射される光の色度を変更する平坦な第2色度変更層と、
を備え、
前記第1色度変更層は、蛍光体として一種類の第2の蛍光体のみを含むか、又は、前記封止材から出射される光を散乱する粒子を含み、
前記第1色度変更層の端縁と前記枠体との間には前記封止材が露出し、
前記露出している部分の面積は前記封止材の表面の面積に対して10~20%の範囲にある、ことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記第1色度変更層は、蛍光体として一種類の前記第2の蛍光体のみを含み、
前記第2の蛍光体が外部の光を吸収し波長変換して放出する光の波長は、前記第3の蛍光体が外部の光を吸収し波長変換して放出する光の波長よりも長い、請求項
1に記載の発光装置。
【請求項3】
基板と、前記基板上に配置される複数の発光素子と、前記複数の発光素子を囲むように前記基板上に配置される枠体と、第1の蛍光体を含み、前記複数の発光素子を封止するように前記枠体の内側に配置される封止材とを備える基板構造体が出射する光の第1色度を測定する第1工程と、
前記封止材上に、前記基板構造体から出射される光の前記第1色度を第1の目標色度へ変更し、かつ前記封止材上に配置される
平坦な第1色度変更層を形成する第2工程であって、前記第1色度変更層は、蛍光体として一種類の第2の蛍光体のみを有するか、又は、前記封止材から出射される光を散乱する粒子を有し、前記第1色度変更層の端縁と前記枠体との間には前記封止材が露出し、前記露出している部分の面積は前記封止材の表面の面積に対して10~20%の範囲にある、第2工程と、
前記第1色度変更層の形成された前記基板構造体が出射する光の第2色度を測定する第3工程と、
前記第1色度変更層上に、前記基板構造体から出射される光の前記第2色度を第2の目標色度へ変更する平坦な第2色度変更層を形成する第4工程と、
を含む発光装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1色度変更層は、蛍光体として一種類の前記第2の蛍光体のみを有し、
前記第2色度変更層は、蛍光体として一種類の第3の蛍光体のみを有し、
前記第2の蛍光体が外部の光を吸収し波長変換して放出する光の波長は、前記第3の蛍光体が外部の光を吸収し波長変換して放出する光の波長よりも長い、請求項
3に記載の発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置及び発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LED(light-emitting diode)素子等の発光素子を利用した発光装置が、照明等に広く利用されている。
【0003】
例えば、セラミックス基板又は金属基板等の基板の上にLED(発光ダイオード)素子等の発光素子が実装されたCOB(Chip On Board)型の発光装置が提案されている。
【0004】
一般に、発光装置は、基板と、基板上に配置される複数の発光素子と、複数の発光素子を囲むように基板上に配置される枠体と、複数の発光素子を封止するように枠体の内側に配置される封止材を備える。
【0005】
例えば、青色光を出射する発光素子と、青色光を吸収して赤色光を放出する赤色蛍光体及び青色光を吸収して緑色光を放出する緑色蛍光体を含有する封止材を用いると、白色光を出射する発光装置が得られる。
【0006】
特許文献1は、赤色蛍光体及び緑色蛍光体を含有する第1の封止材を用いて、青色光を出射する発光素子を封止した後、発光素子が出射した出射光と、蛍光体による波長変換光との混合光の色度を測定し、色度が予め設定された所定の範囲内となるまで、赤色蛍光体及び緑色蛍光体を含有する第2の封止材を、第1の封止材の表面に形成して、発光装置を製造することを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した特許文献1が提案する発光装置の製造方法では、第2の封止材は赤色蛍光体及び緑色蛍光体を含有しているので、緑色蛍光体が吸収可能な光の一部が、赤色蛍光体によっても吸収されるので、波長変換の効率が低下するおそれがあった。
【0009】
また、第2の封止材内における赤色蛍光体及び緑色蛍光体の分布状態によっては、面内の色むらが生じるおそれもあった。
【0010】
そのため、上述した特許文献1が提案する製造方法を用いて発光装置を製造する場合には、所望の色度を有する光を得ることが困難なおそれがあった。
【0011】
そこで、本明細書では、所望の色度を有する光を出射可能な発光装置を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書に開示する発光装置は、基板と、前記基板上に配置される複数の発光素子と、前記複数の発光素子を囲むように前記基板上に配置される枠体と、第1の蛍光体を含み、前記複数の発光素子を封止するように前記枠体の内側に配置される封止材と、前記封止材から出射される光の色度を変更する第1色度変更層と、を備え、前記第1色度変更層は、蛍光体として一種類の第2の蛍光体のみを含むか、又は、前記封止材から出射される光を散乱する粒子を含むことを特徴とする。
【0013】
また、発光装置では、更に、蛍光体として一種類の第3の蛍光体のみを含み、前記第1色度変更層上に配置されて、前記第1色度変更層から出射される光の色度を変更する第2色度変更層を備えることが好ましい。
【0014】
特に、発光装置では、前記第1色度変更層は、蛍光体として一種類の前記第2の蛍光体のみを含み、前記第2の蛍光体が外部の光を吸収し波長変換して放出する光の波長は、前記第3の蛍光体が外部の光を吸収し波長変換して放出する光の波長よりも長いことが好ましい。
【0015】
本明細書に開示する発光装置の製造方法は、基板と、前記基板上に配置される複数の発光素子と、前記複数の発光素子を囲むように前記基板上に配置される枠体と、第1の蛍光体を含み、前記複数の発光素子を封止するように前記枠体の内側に配置される封止材とを備える基板構造体が出射する光の第1色度を測定する第1工程と、前記封止材上に、前記基板構造体から出射される光の前記第1色度を第1の目標色度へ変更する第1色度変更層を形成する第2工程であって、前記第1色度変更層は、蛍光体として一種類の第2の蛍光体のみを有するか、又は、前記封止材から出射される光を散乱する粒子を有する、第2工程と、を含むことを特徴とする。
【0016】
また、発光装置の製造方法において、前記第2工程の後に、更に、前記基板構造体が出射する光の第2色度を測定する第3工程と、前記第1色度変更層上に、前記基板構造体から出射される光の前記第2色度を第2の目標色度へ変更する第2色度変更層を形成する第4工程と、を含むことが好ましい。
【0017】
特に、発光装置の製造方法において、前記第1色度変更層は、蛍光体として一種類の前記第2の蛍光体のみを有し、前記第2色度変更層は、蛍光体として一種類の第3の蛍光体のみを有し、前記第2の蛍光体が外部の光を吸収し波長変換して放出する光の波長は、前記第3の蛍光体が外部の光を吸収し波長変換して放出する光の波長よりも長いことが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
上述した本明細書に開示する発光装置は、所望の色度を有する光を出射可能である。
【0019】
また、上述した本明細書に開示する発光装置の製造方法によれば、所望の色度を有する光を出射可能である発光装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】(A)は、本明細書に開示する発光装置の第1実施形態の平面図であり、(B)は(A)のA-A´線断面図である。
【
図2】本明細書に開示する発光装置の第1実施形態の要部を示す平面図である。
【
図3】第1実施形態の発光装置が出射する光の色度を説明する色度図である。
【
図4】(A)は、第1実施形態の発光装置が出射する光のスペクトル図であり、(B)は、第1色度変更層及び第2色度変更層が形成される前の発光装置が出射する光のスペクトル図である。
【
図5】赤色蛍光体の塗布量と色度変化量との関係、及び、緑色蛍光体の塗布量と色度変化量との関係を示す図である。
【
図6】(A)は、本明細書に開示する発光装置の第2実施形態の平面図であり、(B)は(A)のA-A´線断面図である。
【
図7】第2実施形態の発光装置が出射する光の色度を説明する色度図である。
【
図8】(A)~(C)は、本明細書に開示する発光装置の製造方法の一実施形態の工程を説明する図である。
【
図9】(A)は、本明細書に開示する実施例1及び実施例2の基板構造体が出射する光の色度を説明する色度図であり、(B)は、本明細書に開示する実施例1及び実施例2の発光装置が出射する光の色度を説明する色度図である。
【
図10】(A)は、本明細書に開示する実施例1及び実施例2の基板構造体が出射する光のスペクトル図であり、(B)は、本明細書に開示する実施例1及び実施例2の発光装置が出射する光のスペクトル図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本明細書で開示する発光装置の好ましい第1実施形態を、図を参照して説明する。但し、本発明の技術範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶものである。
【0022】
図1(A)は、本明細書に開示する発光装置の第1実施形態の平面図であり、
図1(B)は
図1(A)のA-A´線断面図である。
図1(B)においては、発光素子とワイヤとの接続関係を示す為に、A-A´線断面には含まれないワイヤも示している。
図2は、本明細書に開示する発光装置の第1実施形態の要部を示す平面図である。
【0023】
発光装置1は、実装基板11と、回路基板12と、複数の発光素子20と、枠体40と、封止材50と、第1色度変更層60と、第2色度変更層61を備える。実装基板11と、回路基板12とをあわせて基板部10という。
図2は、発光装置1から、ソルダレジスト14と、枠体40と、封止材50と、第1色度変更層60と、第2色度変更層61を取り除いた状態の平面図を示す。
【0024】
第1色度変更層60及び第2色度変更層61が封止材50上に形成される前において、発光装置1の封止材50の表面50aから出射される光の色度は、製造工程の工程能力の範囲内で変動する場合がある。一方、発光装置1が出射する光の色度の変動を工程能力以上の狭い範囲で管理することが求められる場合もある。
【0025】
本実施形態の発光装置1は、封止材50の表面50aから出射される光の色度を、第1色度変更層60及び第2色度変更層61を用いて変更することにより、発光装置1が出射する光の色度を、工程能力以上の変動幅で管理することが可能となる。
【0026】
実装基板11は、一例として、平面視して矩形の形状を有するアルミ製の基板である。実装基板11は、平坦な表面を有することが好ましい。回路基板12及び複数の発光素子20は、実装基板11の平坦な表面上に配置されて支持される。
【0027】
回路基板12は、一例として、平面視して実装基板11と同じ輪郭を有し、実装基板11上に配置される。回路基板12は、その中央部に円形の開口部12aを有する。回路基板12は、裏面が接着シート等の接着部材によって実装基板11の上に貼り付けられる。回路基板12の表面には、開口部12aを取り囲むように、一対の配線パターン13a、13bが配置される。また、回路基板12の表面で対角に位置する2つの角部には、発光装置1を外部電源(図示せず)に接続するための一対の接続電極17a及び17bが配置される。一対の接続電極17a及び17bに外部電源から直流電圧が印加されることによって、発光素子20は発光する。回路基板12、及び一対の配線パターン13a、13bは、絶縁性の膜であるソルダレジスト14によって覆われる。一対の接続電極17a及び17bは、例えば、ソルダレジスト14によって覆われていない実装基板11の部分が露出して形成される。
【0028】
発光素子20は、矩形上に形成された青色系の半導体発光素子(以下、青色LED素子とも称する)である。複数の発光素子20が、開口部12a内の実装基板11上に配置される。発光素子20は、その上面が実装基板11の表面と平行に配置されることが好ましい。発光素子20として、例えば発光波長域が440~455nmのInGaN系化合物半導体等を用いることができる。
【0029】
発光素子20の上面には一対の素子電極(アノードA及びカソードK)が配置される。近接する発光素子20の素子電極は、ワイヤ30によって電気的に接続される。開口部12aの外周側に位置する発光素子20の第1の素子電極(例えば、アノードA)は、ワイヤ30によって、回路基板12の配線パターン13a又は13bと電気的に接続され、第2の素子電極(例えば、カソードK)は、ワイヤ30によって、隣接する発光素子20の素子電極と電気的に接続される。複数の発光素子20は、一対の接続電極17a及び17bの間に直列接続されることによって、一対の配線パターン13a、13b及びワイヤ30を介して直流電流が供給される。本実施形態では、8個の発光素子20がワイヤ30を介して直列接続された5つの列が、一対の配線パターン13a、13bの間に並列に接続される。なお、
図1に示す発光素子20の数及び配置は、一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0030】
枠体40は、
図1(A)に示すように、平面視して環状に形成されており、複数の発光素子20を囲むように、回路基板12の開口部12aの周囲に沿って配置される。
【0031】
枠体40は、白色の成形樹脂で形成されることが好ましい。例えば、枠体40は、酸化チタン等の微粒子が分散されたシリコン樹脂又はエポキシ樹脂等の樹脂を用いて形成される。
【0032】
発光素子20から枠体40に向けて出射された光は、枠体40の内側、即ち発光素子20側の表面で反射されて発光装置1の上方に出射される。
【0033】
封止材50は、複数の発光素子20を封止するために枠体40の内側で実装基板11上に配置される。封止材50は、例えば、複数の発光素子20に基づいて生成される光に対して透光性を有する樹脂に蛍光体が含有されて形成される。複数の発光素子20に基づいて生成される光は、発光素子20が出射する光と、蛍光体により波長変換された後の光を含む。封止材50の表面50aの位置は、枠体40の頂点の位置とほぼ一致している。
【0034】
封止材50は、発光素子20が出射した青色光を吸収して緑色光に波長変換する緑色蛍光体、例えば(BaSr)2SiO4:Eu2+蛍光体と、発光素子20が出射した青色光を吸収して赤色光に波長変換する赤色蛍光体、例えば、CaAlSiN3:Eu2+蛍光体を有する。青色光と、蛍光体により波長変換された緑色光及び赤色光とが混合されることにより白色光が得られる。
【0035】
封止材50は、例えば、エポキシ樹脂又はシリコン樹脂等の樹脂に蛍光体の粒子が分散され沈降して形成される。封止材50は、青色光を吸収して他の色の光に波長変換する蛍光体を有していてもよい。
【0036】
第1色度変更層60は、封止材50から入射した光の色度を変更して、第2色度変更層61へ出射する。封止材50から入射する光は、発光素子20が出射する光と、封止材50に含まれる蛍光体により波長変換された後の光を含む。第1色度変更層60は、蛍光体として、一種類の赤色蛍光体のみを含む。第1色度変更層60は、封止材50が出射する光を吸収し波長変換して、光の3原色の中の一種類である赤色の波長を有する光を放出する。
【0037】
第1色度変更層60は、平面視して円形の形状を有し、封止材50上に配置される。第1色度変更層60の端縁は、枠体40とは離間している。第1色度変更層60の端縁と、枠体40との間には、封止材50が露出している。
【0038】
第1色度変更層60は、例えば、エポキシ樹脂又はシリコン樹脂等の樹脂に赤色蛍光体の粒子が分散されて形成される。赤色蛍光体の粒子の粒径は、20μm以下であることが、封止材50から入射した光の色度を変更する観点から好ましい。赤色蛍光体の粒子の粒径が、20μmよりも大きいと、スプレーノズルのつまりやすくなり、またスプレーノズルの摩耗が増加するなどの装置保全の観点からから好ましくない。
【0039】
第2色度変更層61は、第1色度変更層60から入射した光の色度を変更して、外部へ出射する。第1色度変更層60から入射する光は、発光素子20が出射する光と、封止材50に含まれる蛍光体により波長変換された後の光と、第1色度変更層60に含まれる蛍光体により波長変換された後の光とを含む。第2色度変更層61は、第1色度変更層60が含有する赤色蛍光体とは異なる、蛍光体として一種類の緑蛍光体のみを含む。第2色度変更層61は、第1色度変更層60が出射する光を吸収し波長変換して、光の3原色の中の一種類である緑色の波長を有する光を放出する。
【0040】
第2色度変更層61は、平面視して円形の形状を有し、第1色度変更層60上に配置される。第2色度変更層61は、第1色度変更層60とほぼ同じ輪郭を有する。したがって、平面視して、第2色度変更層61の端縁と枠体40との間には、封止材50が露出している。また、第2色度変更層61と、第1色度変更層60との間には、両層の材料が混合した混合層が配置される場合もある。
【0041】
第2色度変更層61は、例えば、エポキシ樹脂又はシリコン樹脂等の樹脂に緑色蛍光体の粒子が分散されて形成される。緑色蛍光体の粒子の粒径は、20μm以下であることが、第1色度変更層60から入射した光の色度を変更する観点から好ましい。緑色蛍光体の粒子の粒径が、20μmよりも大きいと、スプレーノズルのつまりやすくなり、またスプレーノズルの摩耗が増加するなどの装置保全の観点からから好ましくない。
【0042】
上述したように、第1色度変更層60が含む蛍光体(赤色蛍光体)が外部の光を吸収し波長変換して放出する光の波長(赤色光)は、第2色度変更層61が含む蛍光体(緑色蛍光体)が外部の光を吸収し波長変換して放出する光の波長(緑色光)よりも長いことが、発光素子20が出射する光を効率よく波長変換する観点から好ましい。
【0043】
また、第1色度変更層60及び第2色度変更層61の端縁と、枠体40との間の封止材50が露出している部分の面積は、封止材50の表面50aの面積に対して、10~20%の範囲にあることが、色ムラの発生を抑制し、また量産性を向上する観点から好ましい。
【0044】
複数の発光素子20が発光する光は第2色度変更層61及び露出している封止材50の表面50aから出射するので、第2色度変更層61及び露出している封止材50の表面50aの部分は発光領域1aを形成する。
【0045】
第1色度変更層60及び第2色度変更層61が色度を変更することを、
図3及び
図4を参照しながら、以下に説明する。
【0046】
図3は、第1実施形態の発光装置が出射する光の色度を説明する色度図である。
【0047】
図3中の点Cは、封止材50の表面50aから出射される光の色度の位置を示す。点Cの色度は、第1色度変更層60及び第2色度変更層61が形成される前の発光装置から出射される光を測定して求められる。
【0048】
図3中の点P1は、第2色度変更層61が形成される前の発光装置から出射される光の色度の位置を示す。点P1の色度は、第2色度変更層61が形成される前の発光装置から出射される光を測定して求められる。
【0049】
図3中の点P2は、第1色度変更層60及び第2色度変更層61を備える発光装置1から出射される光の色度の位置を示す。点P2は、発光装置1が出射する光に対して求められる目標色度(例えば、3000Kの色度)の許容範囲に含まれる。
【0050】
発光装置1の製造工程では、まず、第1色度変更層60及び第2色度変更層61が封止材50上に形成される前に、封止材50の表面50aから出射される光の第1色度が測定される。
【0051】
次に、第1色度と目標色度とに基づいて、点P1の色度が決定される。そして、第1色度と点P1の色度との差に基づいて、赤色蛍光体のみを含む第1色度変更層60が封止材50上に形成されることによる第1色度からの色度変化量である第1色度変化量が決定される。
【0052】
次に、目標色度と点P1の色度との差に基づいて、緑色蛍光体のみを含む第2色度変更層61が第1色度変更層60上に形成されることによる点P1の色度からの色度変化量である第2色度変化量が決定される。
【0053】
封止材50上に第1色度変更層60が形成されることにより、装置から出射される光の第1色度の位置Cは、位置P1へ移動する。そして、第1色度変更層60上に第2色度変更層61が形成されることにより、装置から出射される光の色度の位置P1は、位置P2へ移動する。これにより、装置から出射される光の色度が変更されて、発光装置1が出射する光の色度が、目標色度の許容範囲に含まれるように調整される。
【0054】
図4(A)は、第1実施形態の発光装置が出射する光のスペクトル図であり、
図4(B)は、第1色度変更層及び第2色度変更層が形成される前の発光装置が出射する光のスペクトル図である。
【0055】
赤色蛍光体のみを含む第1色度変更層60が封止材50上に形成されることにより、赤色のスペクトル成分の強度が、他の色のスペクトル成分に対して相対的に増加する。
【0056】
また、緑色蛍光体のみを含む第2色度変更層61が第1色度変更層60上に形成されることにより、緑色のスペクトル成分の強度が、他の色のスペクトル成分に対して相対的に増加する。
【0057】
赤色のスペクトル成分の強度が他の色のスペクトル成分に対して相対的に増加する量は、上述した第1色度変化量に対応しており、第1色度変更層60に含有される赤色蛍光体の濃度又は第1色度変更層60の厚さに基づいて適宜調整可能である。
【0058】
同様に、緑色のスペクトル成分の強度が、他の色のスペクトル成分に対して相対的に増加する量は、上述した第2色度変化量に対応しており、第2色度変更層61に含有される緑色蛍光体の濃度又は第2色度変更層61の厚さに基づいて適宜調整可能である。
【0059】
図5は、赤色蛍光体の塗布量と色度変化量との関係、及び、緑色蛍光体の塗布量と色度変化量との関係を示す図である。
【0060】
所定の濃度の赤色蛍光体の粒子及び無機粒子等のフィラーを溶剤に分散して形成された第1溶液を封止材50上に塗布した後、第1溶液中の溶剤を蒸発させて、封止材50上に第1色度変更層60が形成された。第1溶液を封止材50上に塗布する時間を、7秒、8秒、9秒、10秒、13秒、15秒、18秒、20秒、25秒、30秒、35秒、40秒、45秒の13水準に変化させて、各水準における色度の変化量を測定した結果を、
図5中の赤色蛍光体の塗布量の矢印に沿って示す。第1溶液を封止材50上に塗布する量の増加と共に、第1色度変更層60の厚さが増加する。第1色度変更層60の厚さの増加に伴って、色度は主にx成分が増加する。
【0061】
また、所定の濃度の緑色蛍光体の粒子及び無機粒子等のフィラーを溶剤に分散して形成された第2溶液を第1色度変更層60上に塗布した後、第2溶液中の溶剤を蒸発させて、各水準の赤色蛍光体が塗布された第1色度変更層60上に第2色度変更層61が形成された。第2溶液を第1色度変更層60上に塗布する時間を、7秒、8秒、9秒、10秒、13秒、15秒、18秒、20秒、25秒、30秒、35秒、40秒、45秒の13水準に変化させて、各水準における色度の変化量を測定した結果を、
図5中の緑色蛍光体の塗布量の矢印の向きに沿って示す。第2溶液を第1色度変更層60上に塗布する量の増加と共に、第2色度変更層61の厚さが増加する。第2色度変更層61の厚さの増加に伴って、色度は主にy成分が増加する。
【0062】
第1色度変更層60及び第2色度変更層61を、封止材50上に配置することにより、色度のx成分及びy成分を増加させて、色度図内の位置を移動させることができる。
【0063】
図5に示す第1溶液の塗布量と色度変化量との関係に基づいて、第1色度変化量を得るための第1溶液の塗布量を決定することができる。また、
図5に示す第2溶液の塗布量と色度変化量との関係とに基づいて、第2色度変化量を得るための第2溶液の塗布量を決定することができる。
【0064】
図3及び
図4に示す考え方、並びに、
図5に示す関係に基づいて、第1色度変更層60及び第2色度変更層61の組成又は厚さが決定されて、所望の色度の光を出射する発光装置1が得られる。
【0065】
上述した本実施形態の発光装置によれば、所望の色度を有する光を出射可能である。
【0066】
上述した特許文献1が提案する発光装置を製造方法では、第2の封止材は赤色蛍光体及び緑色蛍光体を含有しているので、緑色蛍光体が吸収可能な光の一部が、赤色蛍光体によっても吸収されるので、波長変換の効率が低下するおそれがあった。また、第2の封止材内における赤色蛍光体及び緑色蛍光体の分布状態によっては、面内の色むらが生じるおそれもあった。
【0067】
一方、本実施形態の発光装置では、第1色度変更層は、蛍光体として一種類の赤色蛍光体のみを含み、第2色度変更層は、蛍光体として一種類の緑色蛍光体のみを含みを含むので、波長変換の効率が低下するおそれがなく、また、色むらも低減できる。
【0068】
次に、上述した発光装置の第2実施形態を、
図6及び
図7を参照しながら以下に説明する。第2実施形態について特に説明しない点については、上述の第1実施形態に関して詳述した説明が適宜適用される。また、同一の構成要素には同一の符号を付してある。
【0069】
図6(A)は、本明細書に開示する発光装置の第2実施形態の平面図であり、
図6(B)は
図6(A)のA-A´線断面図である。
図7は、第2実施形態の発光装置が出射する光の色度を説明する色度図である。
【0070】
本実施形態の発光装置1は、封止材50上に第1色度変更層60を有している点は、上述した第1実施形態と同様であるが、第1色度変更層60上に第2色度変更層は配置されていない。
【0071】
第1色度変更層60は、封止材50から出射される光を散乱する粒子を含む。第1色度変更層60は、このような粒子として、例えば、シリカ粒子又は酸化チタンの粒子等の粒子を含むことができる。
【0072】
第1色度変更層60は、例えば、エポキシ樹脂又はシリコン樹脂等の樹脂にシリカ粒子又は酸化チタンの粒子が分散されて形成される。
【0073】
複数の発光素子20が発光する光は第1色度変更層60及び露出している封止材50の表面50aから出射するので、第1色度変更層60及び露出している封止材50の表面50aの部分は発光領域1aを形成する。
【0074】
第1色度変更層60が色度を変更することを、
図7を参照しながら、以下に説明する。
【0075】
図7中の点Cは、封止材50の表面50aから出射される光の色度の位置を示す。点Cの色度は、第1色度変更層60が形成される前の発光装置から出射される光を測定して求められる。
【0076】
図7中の点P1は、発光装置1から出射される光の色度の位置を示す。点P1は、発光装置1が出射する光に対して求められる目標色度の許容範囲に含まれる。
【0077】
第1色度変更層60を封止材50上に配置することにより、色度のx成分及びy成分を減少させて、色度図内の位置を移動させることができる。
【0078】
第1色度変更層60が封止材50上に配置されていない場合、封止材50の屈折率と空気の屈折率との差が大きいので、封止材50内から出射する光が、封止材50の表面50aで反射して封止材50内へ戻る割合は、第1色度変更層60が封止材50上に配置される場合と比べて大きい。
【0079】
封止材50内から出射する光が、封止材50の表面50aで反射して封止材50内へ戻ると、青色光の一部は、蛍光体により波長変換されるので、青色光の割合が低下する。
【0080】
本実施形態の発光装置1では、第1色度変更層60が封止材50上に配置されることにより、封止材50内から出射する光が、封止材50の表面50aで反射して封止材50内へ戻る量が減少する。
【0081】
これは、第1色度変更層60の屈折率が、空気よりも封止材50に近いため、第1色度変更層60が封止材50上に配置されることにより、封止材50内から出射する光が、封止材50の表面50aを通過して、第1色度変更層60へ進行する割合が増加するためである。
【0082】
本実施形態の発光装置1では、第1色度変更層60が封止材50上に配置されることにより、封止材50内から出射する光が、封止材50の表面50aで反射して封止材50内へ戻る量が減少するので、発光装置1から出射される光の中の青色光の割合が、第1色度変更層60が封止材50上に配置されない時よりも高くなる。その結果、発光装置1が出射する光の色度を、x成分及びy成分を減少させるように変更する。
【0083】
第1色度変更層60の屈折率と、封止材50の屈折率との差は、なるべく小さいことが好ましい。
【0084】
上述した本実施形態の発光装置によれば、所望の色度を有する光を出射可能である。上述した第1実施形態では、封止材から出射される光の色度のx成分又はy成分を増加するように移動できたが、本実施形態では、第1実施形態とは異なり、x成分及びy成分を減少させるように変更することができる。
【0085】
次に、本明細書に開示する発光装置1の製造方法の一実施形態を、
図8を参照しながら、以下に説明する。
【0086】
まず、
図8(A)に示すように、実装基板11と、回路基板12と、複数の発光素子20と、枠体40と、封止材50とを備える基板構造体70が準備される。基板構造体70は、
図1に示す発光装置1から第1色度変更層60及び第2色度変更層61が取り除かれた構造を有する。
【0087】
次に、基板構造体70が出射する光の第1色度が測定される。第1色度の測定方法としては、発光ダイオードの色度を測定する公知の技術を用いることができる。
【0088】
次に、第1色度と、発光装置が出射する光の目標色度とに基づいて、
図3に示すように、点P1の色度(第1の目標色度)が決定される。
【0089】
点P1の色度は、例えば、第1色度と、目標色度とに基づいて、赤色蛍光体塗布量と色度変化の傾きの関係から決定され得る。そして、第1色度と点P1の色度との差に基づいて、赤色蛍光体のみを含む第1色度変更層が封止材50上に形成されることによる第1色度からの色度変化量である第1色度変化量が決定される。
【0090】
次に、
図5に示す赤色蛍光体を含む第1溶液の塗布量と色度変化量との関係に基づいて、第1色度変化量を得るための第1溶液の塗布量が決定される。第1溶液は、例えば、CaAlSiN
3:Eu
2+蛍光体等の赤色蛍光体の粒子と、エポキシ樹脂又はシリコン樹脂等の樹脂と、フィラーと、有機溶媒と用いて形成される。
【0091】
次に、
図8(B)に示すように、基板構造体70の封止材50上に、第1溶液が決定された量だけ塗布される。そして、第1溶液中の溶剤を蒸発させて、第1色度変更層60が形成される。第1溶液を封止材50上に塗布する方法として、例えば、スプレー法を用いることができる。
【0092】
次に、基板構造体70が出射する光の第2色度が測定される。第2色度の測定方法としては、発光ダイオードの色度を測定する公知の技術を用いることができる。
【0093】
次に、目標色度と第2色度との差に基づいて、緑色蛍光体のみを含む第2色度変更層が第1色度変更層60上に形成されることによる第2色度からの色度変化量である第2色度変化量が決定される。
【0094】
次に、
図5に示す緑色蛍光体を含む第1溶液の塗布量と色度変化量との関係に基づいて、第2色度変化量を得るための第2溶液の塗布量が決定される。第2溶液は、例えば、(BaSr)
2SiO
4:Eu
2+蛍光体等の緑色蛍光体の粒子と、エポキシ樹脂又はシリコン樹脂等の樹脂と、フィラーと、有機溶媒と用いて形成される。
【0095】
次に、
図8(C)に示すように、基板構造体70の第1色度変更層60上に、第2溶液が決定された量だけ塗布される。そして、第2溶液中の溶剤を蒸発させ、第2色度変更層61が形成されて、
図1(A)及び
図1(B)に示す、発光装置1が得られる。第2溶液を第1色度変更層60上に塗布する方法として、例えば、スプレー法を用いることができる。
【0096】
次に、発光装置1が出射する光の第3色度が測定される。第3色度の測定方法としては、発光ダイオードの色度を測定する公知の方法を用いることができる。第3色度が、目標色度に対して許容範囲内に含まれていれば、製造は終了する。許容範囲として、例えば、目標色度に対して2STEP内にすることができる。
【0097】
一方、第3色度が、目標色度に対して許容範囲内に含まれていない場合には、第2色度変更層61上に、更に、赤色蛍光体のみを含む色度変更層、又は、緑色蛍光体のみを含む色度変更層を形成して、色度の調整を続けてもよい。
【0098】
上述した本実施形態の製造方法によれば、
図1(A)及び
図1(B)に示す発光装置を製造することができる。また、第1色度変更層として、封止材50から出射される光を散乱する粒子を含む層を、封止材50上に形成すれば、
図6(A)及び
図6(B)に示す発光装置を形成することもできる。
【0099】
本発明では、上述した実施形態の発光装置及び発光装置の製造方法は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。
【0100】
例えば、上述した各実施形態では、封止材の上に、第1色度変更層及び第2色度変更層が配置されていたが、封止材の上に第1色度変更層のみが配置されていてもよい。また、第2色度変更層の上に、第3色度変更層が配置されていてもよい。
【0101】
また、封止材上に、封止材から出射される光を散乱する粒子を含む第1色度変更層を配置し、この第1色度変更層上に、蛍光体として一種類の蛍光体のみを含む第2色度変更層を配置してもよい。また、蛍光体として一種類の蛍光体のみを含む色度変更層上に、光を散乱する粒子を含む色度変更層を配置してもよい。
【0102】
更に、第1色度変更層及び第2色度変更層は、同じ種類の蛍光体を含んでいてもよいし、異なる種類の蛍光体を含んでいてもよい。
【実施例】
【0103】
以下、本明細書に開示する発光装置について、実施例を用いて更に説明する。ただし、本発明の範囲はかかる実施例に制限されるものではない。
【0104】
(実施例1)
まず、
図8(A)に示す基板構造体を10個形成して、実施例1の基板構造体とした。発光素子として、青色光を出射する半導体発光素子を用いた。封止材には、赤色蛍光体の粒子と、緑色蛍光体の粒子が分散沈降された。実施例1の基板構造体における封止材の表面から出射される光の色度を測定した結果を、
図9(A)に示す。
図9(A)中のプロットA1は、実施例1の各基板構造体の色度を示す。
図9(A)において、目標色度である3000Kに対する2STEPの領域をR1で示す。領域R1内には、参照発光装置が出射する光の色度を測定した結果を、プロットB1で示す。
図9(A)において、目標色度である3000Kに対する5STEPの領域と同じ形状を有する領域R2を領域R1と接するように示す。実施例1の各基板構造体の色度は、領域R1の外に位置しているが、領域R2内には位置している。また、実施例1の基板構造体における封止材の表面から出射される光のスペクトルを測定した結果を、
図10(A)に示す。
図10(A)中のカーブA1は、実施例1の基板構造体のスペクトルを示す。カーブA1は、実施例1の10個の基板構造体のスペクトルの平均値を示す。また、
図10(A)において、参照発光装置が出射する光のスペクトルの平均値を、カーブB1として示す。
【0105】
そして、実施例1の各基板構造体が出射する光の色度を測定して、各色度の平均値として第1色度を求めた。そして、第1色度と、目標色度とに基づいて、
図3に示すように、点P1の色度が決定された。そして、第1色度と点P1の色度との差に基づいて、赤色蛍光体のみを含む第1色度変更層が封止材上に形成されることによる第1色度からの色度変化量である第1色度変化量が決定された。そして、
図5に示す赤色蛍光体を含む第1溶液の塗布量と色度変化量との関係に基づいて、第1色度変化量を得るための第1溶液の塗布量が決定された。第1溶液は、赤色蛍光体の粒子と、シリコーン樹脂と、フィラーとしてのシリカ粒子と、有機溶媒としての酢酸イソブチルと用いて形成された。そして、実施例1の各基板構造体の封止材上に、第1溶液が決定された量だけ塗布され、第1溶液中の溶剤を蒸発させて、実施例1の各基板構造体上に第1色度変更層が形成された。そして、実施例1の各基板構造体が出射する光の色度を測定して、各色度の平均値として第2色度を求めた。そして、目標色度と第2色度との差に基づいて、緑色蛍光体のみを含む第2色度変更層が第1色度変更層上に形成されることによる第2色度からの色度変化量である第2色度変化量が決定された。そして、
図5に示す緑色蛍光体を含む第1溶液の塗布量と色度変化量との関係に基づいて、第2色度変化量を得るための第2溶液の塗布量が決定された。第2溶液は、緑色蛍光体の粒子と、シリコーン樹脂と、フィラーとしてのシリカ粒子と、有機溶媒としての酢酸イソブチルと用いて形成された。そして、実施例1の基板構造体の第1色度変更層上に、第2溶液が決定された量だけ塗布された。そして、第2溶液中の溶剤を蒸発させ、第2色度変更層が形成されて、実施例1の発光装置が得られた。
【0106】
(実施例2)
実施例1と同様に、
図8(A)に示す基板構造体を10個形成して、実施例2の基板構造体とした。実施例1の基板構造体における封止材の表面から出射される光の色度を測定した結果を、
図9(A)に示す。
図9(A)中のプロットA2は、実施例2の各基板構造体の色度を示す。実施例2の各基板構造体は、実施例1と同様に製造されたが、製造工程の工程能力に起因して、実施例1とは異なる色度を示した。実施例2の各基板構造体の色度は、領域R1及び領域R2の外に位置していた。また、実施例2の基板構造体における封止材の表面から出射される光のスペクトルを測定した結果を、
図10(A)に示す。
図10(A)中のカーブA2は、実施例2の基板構造体のスペクトルを示す。カーブA2は、実施例2の10個の基板構造体のスペクトルの平均値を示す。
【0107】
そして、実施例1の発光装置と同様に、実施例2の基板構造体の封止材上に、第1色度変更層及び第2色度変更層が形成されて、実施例2の発光装置が得られた。
【0108】
実施例1及び実施例2の各発光装置が出射する光の色度を測定した結果を、
図9(B)に示す。
図9(B)中のプロットA1は、実施例1の各発光装置の色度を示す。
図9(B)中のプロットA2は、実施例2の各発光装置の色度を示す。
図9(B)中のプロットB1は、参照発光装置の色度を示す。実施例1及び実施例2の各発光装置の色度は、参照発光装置と同様に領域R1内に位置する。
【0109】
実施例1及び実施例2の各発光装置が出射する光のスペクトルを測定した結果を、
図10(B)に示す。
図10(B)中のカーブA1は、実施例1の発光装置のスペクトルを示す。カーブA1は、実施例1の10個の発光装置のスペクトルの平均値を示す。
図10(B)中のカーブA2は、実施例2の発光装置のスペクトルを示す。カーブA1は、実施例2の10個の発光装置のスペクトルの平均値を示す。また、
図10(B)において、参照発光装置が出射する光のスペクトルの平均値を、カーブB1として示す。実施例1及び実施例2の発光装置のスペクトルは、参照発光装置のスペクトルとほぼ一致する。
【0110】
実施例1及び実施例2の発光装置は、基板構造体の封止材上に第1色度変更層及び第2色度変更層が配置されることにより、目標色度の2STEPの範囲内の色度を出射するように調整可能であることがわかった。
【符号の説明】
【0111】
1 発光装置
11 実装基板
12 回路基板
12a 開口部
12b 空間
13a、13b 配線パターン
14 ソルダレジスト
17a、17b 接続電極
20 発光素子
30 ワイヤ30
40 枠体
50 封止材
60 第1色度変更層
61 第2色度変更層
70 基板構造体