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特許7232662ジェットミルおよびジェットミルを用いた砕料の破砕方法
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  • 特許-ジェットミルおよびジェットミルを用いた砕料の破砕方法 図1
  • 特許-ジェットミルおよびジェットミルを用いた砕料の破砕方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-22
(45)【発行日】2023-03-03
(54)【発明の名称】ジェットミルおよびジェットミルを用いた砕料の破砕方法
(51)【国際特許分類】
   B02C 19/06 20060101AFI20230224BHJP
【FI】
B02C19/06 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019028272
(22)【出願日】2019-02-20
(65)【公開番号】P2020131120
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】598096049
【氏名又は名称】伊藤 健三
(73)【特許権者】
【識別番号】519058756
【氏名又は名称】山本 悦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100145872
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100091362
【弁理士】
【氏名又は名称】阿仁屋 節雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161034
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 知洋
(74)【代理人】
【識別番号】100187632
【弁理士】
【氏名又は名称】橘高 英郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 健三
【審査官】瀧 恭子
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-068156(JP,A)
【文献】実開昭63-035443(JP,U)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0121686(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第107837923(CN,A)
【文献】特開2001-269557(JP,A)
【文献】特開2000-107626(JP,A)
【文献】特開2009-195789(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 1/00-25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
砕料が導入される円筒状の空洞として構成された破砕室と、
前記破砕室の側壁にその周方向に沿って所定の間隔をあけて配置され、前記側壁の内壁に沿って気体を噴射し、前記砕料を旋回させる気流を前記破砕室内に発生させる複数の第1のジェットノズルと、
前記破砕室の中心線の一端側から前記砕料の旋回軌道に向けて気体を噴射し、前記旋回軌道を外れて前記一端側に向かおうとする砕料を前記旋回軌道に戻す第2のジェットノズルと、
前記中心線の前記一端側とは異なる他端側から前記旋回軌道に向けて気体を噴射し、前記旋回軌道を外れて前記他端側に向かおうとする砕料を前記旋回軌道に戻す第3のジェットノズルと、を有し、
前記第1のジェットノズルは、水平に配置されており、
前記第2のジェットノズルは、水平面に対して0.5°~45°で前記他端側に傾いて前記側壁に配置されており、
前記第3のジェットノズルは、水平面に対して0.5°~45°で前記一端側に傾いて前記側壁に配置されている、
ジェットミル。
【請求項2】
前記第2のジェットノズルと前記第3のジェットノズルは、いずれも前記破砕室内に旋回気流を発生させる、
請求項1に記載のジェットミル。
【請求項3】
円筒状の空洞として構成された破砕室内で発生させた旋回気流によって前記破砕室内に導入した砕料を相互に衝突させて破砕する破砕工程を備え、
前記破砕工程は、
前記破砕室の側壁にその周方向に沿って所定の間隔をあけて配置された複数の第1のジェットノズルにより前記破砕室の内壁に沿って気体を噴射させ、前記砕料を旋回させる気流を前記破砕室内に発生させる工程と、
前記破砕室の中心線の一端側から前記砕料の旋回軌道に向けて第2のジェットノズルにより気体を噴射し、前記旋回軌道を外れて前記一端側に向かおうとする砕料を前記旋回軌道に戻す工程と、
前記中心線の前記一端側とは異なる他端側から前記旋回軌道に向けて第3のジェットノズルにより気体を噴射し、前記旋回軌道を外れて前記他端側に向かおうとする砕料を前記旋回軌道に戻す工程と、を有し、
前記第1のジェットノズルは、水平に配置されており、
前記第2のジェットノズルは、水平面に対して0.5°~45°で前記他端側に傾いて前記側壁に配置されており、
前記第3のジェットノズルは、水平面に対して0.5°~45°で前記一端側に傾いて前記側壁に配置されている、
ジェットミルを用いた砕料の破砕方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ジェットミルおよびジェットミルを用いた砕料の破砕方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ジェットミルとして、高速ガスを噴射してジェットミル本体の破砕室内に高速の旋回気流を発生させ、この気流に乗せた砕料を旋回軌道上で相互に衝突させることにより破砕させて微細化させるものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-275849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のジェットミルでは、砕料が旋回軌道から外れてしまうことがあった。この場合、砕料が破砕されず、良好な粒度分布を得ることができない可能性があり、更なる改良の余地があった。
【0005】
そこで、本開示は、破砕されない砕料を少なくし、良好な粒度分布を得ることができるジェットミルおよびそれを用いた砕料の破砕方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第一の態様によれば、
砕料が導入される円筒状の空洞として構成された破砕室と、
前記破砕室の側壁にその周方向に沿って所定の間隔をあけて配置され、前記側壁の内壁に沿って気体を噴射し、前記砕料を旋回させる気流を前記破砕室内に発生させる複数の第1のジェットノズルと、
前記破砕室の中心線の一端側から前記砕料の旋回軌道に向けて気体を噴射し、前記旋回軌道を外れて前記一端側に向かおうとする砕料を前記旋回軌道に戻す第2のジェットノズルと、
前記中心線の前記一端側とは異なる他端側から前記旋回軌道に向けて気体を噴射し、前記旋回軌道を外れて前記他端側に向かおうとする砕料を前記旋回軌道に戻す第3のジェットノズルと、を有する、
ジェットミルが提供される。
【0007】
本開示の第二の態様によれば、
円筒状の空洞として構成された破砕室内で発生させた旋回気流によって前記破砕室内に導入した砕料を相互に衝突させて破砕する破砕工程を備え、
前記破砕工程は、
前記破砕室の側壁にその周方向に沿って所定の間隔をあけて配置された複数の第1のジェットノズルにより前記破砕室の内壁に沿って気体を噴射させ、前記砕料を旋回させる気流を前記破砕室内に発生させる工程と、
前記破砕室の中心線の一端側から前記砕料の旋回軌道に向けて第2のジェットノズルにより気体を噴射し、前記旋回軌道を外れて前記一端側に向かおうとする砕料を前記旋回軌道に戻す工程と、
前記中心線の前記一端側とは異なる他端側から前記旋回軌道に向けて第3のジェットノズルにより気体を噴射し、前記旋回軌道を外れて前記他端側に向かおうとする砕料を前記
旋回軌道に戻す工程と、を有する、
ジェットミルを用いた砕料の破砕方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、破砕されない砕料を少なくし、良好な粒度分布を得ることができるジェットミルおよびそれを用いた砕料の破砕方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一態様で好適に用いられるジェットミルの概要を示す要部縦断面図である。
図2】本開示の一態様で好適に用いられるジェットミルが有するジェットノズルの配置位置を模式的に示す説明図であり、(a)、(b)、(c)は、それぞれ第1のジェットノズル、第2のジェットノズル、第3のジェットノズルが配置されたケーシングの筒部を抜き出して示す平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面に基づき本開示の一態様のジェットミルを説明する。
【0011】
<1.ジェットミルの構成例>
まず、本開示の一態様のジェットミルの構成例について図1、2を用いて説明する。
【0012】
(全体構成)
図1に示すように、ジェットミル100は、大別すると、破砕室10と、第1のジェットノズル20と、第2のジェットノズル30と、第3のジェットノズル40と、高圧作動気体供給装置50と、微粉体排出口14と、を備えている。
【0013】
(破砕室)
破砕室10は、ケーシング11内に設けられた円筒状の空洞として構成されている。ケーシング11は、垂直支柱16上に安定に設置されている。ここで、「円筒状」とは、鉛直方向の中心線に対して回転対称形状であることを含むものである。「中心線」とは、円筒形の破砕室10の中心を通る直線をいい、図1では破線Aで示されている。また、本明細書において、図1における中心線Aの上側の方向のことを上方、下側の方向のことを下方という。
【0014】
(第1のジェットノズル)
図2(a)に示すように、第1のジェットノズル20は、ケーシング11の筒部、すなわち破砕室10の側壁101の周方向に沿って略等間隔に8本配置されている。このうちの1本は、破砕室10外に設けられたホッパー状の砕料供給部22から供給された砕料を、駆動ノズル21から噴射される高圧気体とともに破砕室10内へ供給する固気混合エゼクタノズル201として構成されている。
【0015】
第1のジェットノズル20は、それぞれケーシング11の筒部を貫通して着脱自在に装着され、その噴射口が、水平かつ破砕室10内を向くように配置されている。より具体的には、第1のジェットノズル20は、側壁101の内壁に沿って気体を噴射する位置に配置されている。ここで、「側壁101の内壁に沿って気体を噴射する」とは、厳密に側壁101の内壁に沿って気体を噴射することだけでなく、側壁101の鉛直方向に直交する所定の面の円周上の接線よりも破砕室10の内側に向けた所定の角度で気体を噴射することを含むものである。
【0016】
さらに、第1のジェットノズル20はそれぞれ、ケーシング11に形成された貫通孔1
3に遊動可能な状態で設けられている。貫通孔13内には、第1のジェットノズル20を方向調節可能に軸支する可動軸受け61が設けられている。これらにより、破砕室10内への気体噴射の方向が調節可能に構成されている。この点は、後述する第2のジェットノズル30、第3のジェットノズル40についても同様である。
【0017】
以上により、第1のジェットノズル20から噴射される気体は、水平方向の旋回気流を発生させる。破砕室10の中央下方には、水平な旋回気流を誘導するための円錐コア部108が設けられている。
【0018】
(第2のジェットノズル)
図1に示すように、第2のジェットノズル30は、第1のジェットノズル20の上方側に配置されている。また、図2(b)に示すように、第2のジェットノズル30は、破砕室10の側壁101の周方向に沿って略等間隔に4本配置されている。
【0019】
第2のジェットノズル30は、それぞれケーシング11の筒部を貫通して着脱自在に装着され、その噴射口が、水平方向よりもわずかに破砕室10内下方を向くように配置されている。より具体的には、第2のジェットノズル30は、水平面に対して0.5°~45°、さらに好ましくは2°~30°、またさらに好ましくは3°~5°下方に傾いて側壁101に配置されている。第2のジェットノズル30が水平面に対して0.5°未満の角度で下方に傾いて側壁101に配置されると、後述の本開示の効果を奏し難い。水平面に対して0.5°以上下方に傾いて側壁101に配置されると、後述の本開示の効果を奏することができる。水平面に対して2°以上下方に傾いて配置されるとより顕著に、3°以上下方に傾いて配置されるとさらに顕著に本開示の効果を奏することができる。また、第2のジェットノズル30が水平面に対して45°を超えて下方に傾いて配置されると、本開示の効果を奏し難い。水平面に対して45°以下の角度で下方に傾いて配置されると、後述の本開示の効果を奏することができる。水平面に対して30°以下の角度で下方に傾いて配置されるとより顕著に、5°以下の角度で下方に傾いて配置されるとさらに顕著に本開示の効果を奏することができる。
【0020】
(第3のジェットノズル)
図1に示すように、第3のジェットノズル40は、第1のジェットノズル20の下方側に配置されている。また、図2(c)に示すように、第3のジェットノズル40は、破砕室10の側壁101の周方向に沿って略等間隔に4本配置されている。
【0021】
第3のジェットノズル40は、それぞれケーシング11の筒部を貫通して着脱自在に装着され、その噴射口が、水平方向よりもわずかに破砕室10内上方を向くように配置されている。より具体的には、第3のジェットノズル40は、水平面に対して0.5°~45°、さらに好ましくは2°~30°、またさらに好ましくは3°~5°上方に傾いて側壁101に配置されている。第3のジェットノズル40が水平面に対して0.5°未満の角度で上方に傾いて側壁101に配置されると、後述の本開示の効果を奏し難い。水平面に対して0.5°以上上方に傾いて側壁101に配置されると、後述の本開示の効果を奏することができる。水平面に対して2°以上上方に傾いて配置されるとより顕著に、3°以上上方に傾いて配置されるとさらに顕著に本開示の効果を奏することができる。また、第3のジェットノズル40が水平面に対して45°を超えて上方に傾いて配置されると、本開示の効果を奏し難い。水平面に対して45°以下の角度で上方に傾いて配置されると、後述の本開示の効果を奏することができる。水平面に対して30°以下の角度で上方に傾いて配置されるとより顕著に、5°以下の角度で上方に傾いて配置されるとさらに顕著に本開示の効果を奏することができる。
【0022】
(高圧作動気体供給装置)
高圧作動気体供給装置50は、送気チューブ51を介して第1のジェットノズル20、第2のジェットノズル30、第3のジェットノズル40および駆動ノズル21にそれぞれ連結される。
【0023】
(微粉体排出口)
微粉体排出口14は、破砕室10の中央上方に配置されている。破砕室10内で破砕・微細化された砕料(粉体)は、微粉体排出口14を経由して破砕室10外に排出される。
【0024】
<2.ジェットミルの動作例>
次に、上述した構成のジェットミル100における動作例について説明する。
【0025】
高圧作動気体供給装置50から排出される高圧気体が、送気チューブ51を介して第1のジェットノズル20、第2のジェットノズル30、第3のジェットノズル40および駆動ノズル21のそれぞれに送り込まれる。第1のジェットノズル20、第2のジェットノズル30、第3のジェットノズル40に送り込まれた高圧気体は、それぞれのノズルから破砕室10内へ噴射される。ホッパー状の砕料供給部22から固気混合エゼクタノズル201へ供給された砕料は、駆動ノズル21から噴射される高速気体流により、固気混合エゼクタノズル201から破砕室10内へ導入される。
【0026】
破砕室10内へ導入された砕料は、破砕室10の側壁101の周方向に沿って配置された第1のジェットノズル20からの気体噴射により生成された旋回気流に乗って破砕室10内を旋回し、旋回軌道上で互いに衝突して破砕され、微細化される。
【0027】
しかしながら、破砕室10内を旋回する砕料の中には、旋回軌道から外れて落下してしまったり、上方に飛んで行ってしまったりして、破砕されないものもあり、結果として良好な粒度分布が得られないことがあった。
【0028】
本開示によれば、第1のジェットノズル20の上方側に配置され、噴射口が、水平方向よりもわずかに破砕室10内下方を向くように配置されている第2のジェットノズル30から噴射される気体により、旋回軌道から外れて上方へ飛んで行こうとする砕料を旋回軌道に戻すことができる。また、第1のジェットノズル20の下方側に配置され、噴射口が、水平方向よりもわずかに破砕室10内上方を向くように配置されている第3のジェットノズル40から噴射される気体により、旋回軌道から外れて落下しようとする砕料を旋回軌道に戻すことができる。これにより、砕料同士を充分に衝突させ、粒度分布を良好にすることができる。
【0029】
破砕室10内で充分に破砕・微細化された砕料(粉体)は、破砕室10の中央上方に配置されている微粉体排出口14を経由して破砕室10外へ排出される。
【0030】
<3.本開示の効果>
本開示によれば、以下に述べる一つまたは複数の効果を奏する。
【0031】
(a)本開示のジェットミル100によれば、上述のように、第2のジェットノズル30から噴射される気体により、旋回軌道から外れて上方へ飛んで行こうとする砕料を旋回軌道に戻すことができる。また、第3のジェットノズル40から噴射される気体により、旋回軌道から外れて落下しようとする砕料を旋回軌道に戻すことができる。これらにより、良好な粒度分布を得ることができるようになる。
【0032】
(b)本開示のジェットミル100によれば、破砕室10内で形成された砕料の旋回軌道を、第2のジェットノズル30と第3のジェットノズル40とから噴射される気体で上下
方向から挟むことで、旋回軌道を安定させることができ、砕料を安定的に破砕することができるようになる。
【0033】
(c)本開示のジェットミル100によれば、第2のジェットノズル30と第3のジェットノズル40とから噴射される気体で上下方向から挟むことで、砕料の旋回軌道を圧縮して高密度化させ、砕料の衝突確率を高めることができ、砕料を効率的に破砕することができるようになる。
【0034】
<4.変形例>
以上、本開示の態様を具体的に説明した。しかしながら、本開示の態様は上述の態様に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0035】
上述の態様では、第1のジェットノズル20に加えて、第2のジェットノズル30と第3のジェットノズル40の両方が配置されたジェットミル100を例示したが、これに限定されることはなく、第2のジェットノズル30と第3のジェットノズル40のうちいずれか一方のみが配置されていてもよい。これらの場合においても上述の態様と同様の効果が得られる。但し、両方配置されている方が、旋回軌道が安定し高密度になるのでより好ましい。
【0036】
また、第1のジェットノズル20を配置せず、第2のジェットノズル30と第3のジェットノズル40とを配置して、第2のジェットノズル30と第3のジェットノズル40とから噴射された気体により安定した旋回気流を発生させてもよい。この場合においても上述の態様と同様の効果が得られる。
【0037】
上述のように、第1のジェットノズル20と第2のジェットノズル30と第3のジェットノズル40は、それぞれ異なる動作をするので、それぞれのノズルに流量コントローラを配設し、ノズルごとに独立して気体の流量(流速)を制御できるようにしてもよい。この場合においても上述の態様と同様の効果が得られる。また、砕料を破砕する際に、その粒度をリアルタイムでモニタしながら第2のジェットノズル30と第3のジェットノズル40の気体の流量を制御するフィードバック動作をすれば、粒度分布をより正確に制御することができるようになる。
【0038】
上述の態様では、略等間隔に8本配置されている第1のジェットノズル20を例示したが、これに限定されることはなく、破砕室10の内部に旋回気流を発生させることができるものであれば、略等間隔に配置されていなくてもよく、また8本より少なくまたは多く配置されてもよい。これらの場合においても上述の態様と同様の効果が得られる。
【0039】
上述の態様では、略等間隔に4本配置されている第2のジェットノズル30と第3のジェットノズル40を例示したが、これに限定されることはなく、砕料の軌道に向けて気体を噴射することができるのであれば、略等間隔に配置されなくてもよく、またそれぞれ1本のみ配置されてもよい。これらの場合においても上述の態様と同様の効果が得られる。
【0040】
<本開示の好ましい態様>
以下、本開示の好ましい態様について付記する。
【0041】
(付記1)
本開示の一態様によれば、
砕料が導入される円筒状の空洞として構成された破砕室と、
前記破砕室の側壁にその周方向に沿って所定の間隔をあけて配置され、前記側壁の内壁に沿って気体を噴射し、前記砕料を旋回させる気流を前記破砕室内に発生させる複数の第
1のジェットノズルと、
前記破砕室の中心線の一端側から前記砕料の旋回軌道に向けて気体を噴射し、前記旋回軌道を外れて前記一端側に向かおうとする砕料を前記旋回軌道に戻す第2のジェットノズルと、
前記中心線の前記一端側とは異なる他端側から前記旋回軌道に向けて気体を噴射し、前記旋回軌道を外れて前記他端側に向かおうとする砕料を前記旋回軌道に戻す第3のジェットノズルと、を有する、
ジェットミルが提供される。
【0042】
(付記2)
好ましくは、
前記第2のジェットノズルと前記第3のジェットノズルは、いずれも前記破砕室内に旋回気流を発生させる、
付記1に記載のジェットミルが提供される。
【0043】
(付記3)
本開示の他の態様によれば、
円筒状の空洞として構成された破砕室内で発生させた旋回気流によって前記破砕室内に導入した砕料を相互に衝突させて破砕する破砕工程を備え、
前記破砕工程は、
前記破砕室の側壁にその周方向に沿って所定の間隔をあけて配置された複数の第1のジェットノズルにより前記破砕室の内壁に沿って気体を噴射させ、前記砕料を旋回させる気流を前記破砕室内に発生させる工程と、
前記破砕室の中心線の一端側から前記砕料の旋回軌道に向けて第2のジェットノズルにより気体を噴射し、前記旋回軌道を外れて前記一端側に向かおうとする砕料を前記旋回軌道に戻す工程と、
前記中心線の前記一端側とは異なる他端側から前記旋回軌道に向けて第3のジェットノズルにより気体を噴射し、前記旋回軌道を外れて前記他端側に向かおうとする砕料を前記旋回軌道に戻す工程と、を有する、
ジェットミルを用いた砕料の破砕方法が提供される。
【0044】
(付記4)
本開示のさらに他の態様によれば、
砕料が導入される円筒状の空洞として構成された破砕室と、
前記破砕室の側壁にその周方向に沿って所定の間隔をあけて配置され、前記側壁の内壁に沿って気体を噴射し、前記砕料を旋回させる気流を前記破砕室内に発生させる複数の第1のジェットノズルと、
前記破砕室の中心線の一端側から前記砕料の旋回軌道に向けて気体を噴射し、前記旋回軌道を外れて前記一端側に向かおうとする砕料を前記旋回軌道に戻す第2のジェットノズルと、
前記中心線の前記一端側とは異なる他端側から前記旋回軌道に向けて気体を噴射し、前記旋回軌道を外れて前記他端側に向かおうとする砕料を前記旋回軌道に戻す第3のジェットノズルと、のうちの2種類のジェットノズルを有する、
ジェットミルが提供される。
【符号の説明】
【0045】
10…破砕室、101…側壁、108…円錐コア部、11…ケーシング、13…貫通孔、14…微粉体排出口、A…中心線、16…垂直支柱、20…第1のジェットノズル、21…駆動ノズル、22…砕料供給部、201…固気混合エゼクタノズル、30…第2のジェットノズル、40…第3のジェットノズル、50…高圧作動気体供給装置、51…送気
チューブ、61…可動軸受け、100…ジェットミル
図1
図2