(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-22
(45)【発行日】2023-03-03
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/52 20060101AFI20230224BHJP
【FI】
H01R13/52 301F
(21)【出願番号】P 2019043562
(22)【出願日】2019-03-11
【審査請求日】2021-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000194918
【氏名又は名称】ホシデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121706
【氏名又は名称】中尾 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128705
【氏名又は名称】中村 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147773
【氏名又は名称】義村 宗洋
(72)【発明者】
【氏名】田中 彰弘
(72)【発明者】
【氏名】真鍋 忠久
【審査官】藤島 孝太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-005383(JP,A)
【文献】特開2015-022976(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シェルと、前記シェルに挿入されるボディと、前記ボディに挿通され前記シェルに収容されるコンタクトを含むコネクタであって、
前記シェルは、
ポッティング材が注入される第1の筒状部と、
前記第1の筒状部と同軸上に設けられ、前記第1の筒状部よりも内径が小さく、相手方コネクタが挿通さ
れ、前記ポッティング材が注入されない第2の筒状部と、
前記第1の筒状部と前記第2の筒状部を接続する接続部を
含み、
前記ポッティング材の液面は、他の構造物に部分的、または全体的に蓋されることなく、相手方コネクタの先端と対向する
コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタであって、
前記接続部は、
中空な錐台の側面と等しい形状である
コネクタ。
【請求項3】
請求項2に記載のコネクタであって、
前記接続部は、
絞り加工によって形成されている
コネクタ。
【請求項4】
請求項1から3の何れかに記載のコネクタであって、
前記第1の筒状部には、
前記ポッティング材が、前記第1の筒状部の上端まで注入される
コネクタ。
【請求項5】
請求項1に記載のコネクタであって、
前記接続部は、
前記第1の筒状部および前記第2の筒状部の軸方向と垂直な面で構成される
コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
防水シールを施したレセプタクルの例として、例えば特許文献1がある。特許文献1には、外形を形成する筒型金具に、接続ピンを挿通し、筒型金具の底部となる絶縁板を取り付け、該底部に接続ピンの周辺から筒型金具の内周壁にわたり粉末または粒状の合成樹脂を充填し、これを溶融後硬化させることを特徴としたレセプタクルの防水シール方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図1は従来のコネクタ(レセプタクル)91の模式図である。同図に示すように、従来のコネクタ(レセプタクル)91の筒型金具912に合成樹脂(ポッティング材)915を充填した場合、表面張力によって、筒型金具912の内壁に沿ってポッティング材の液面が上昇する(同図の破線丸囲い部分を参照)。内壁に沿って上昇したポッティング材が硬化することにより、相手方コネクタ92の挿通を妨げ、コネクタの嵌合不良が発生する場合がある。
【0005】
ポッティング材の液面上昇を冶具などで規制する方法もあるが冶具などを取り外す際に液だれが起こり、製品の他の部分にポッティング材が付着して嵌合不良、導通不良を引き起こす場合がある。
【0006】
そこで本発明では、内壁に沿って液面上昇したポッティング材による嵌合不良を防ぐことができるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のコネクタは、シェルと、シェルに挿入されるボディと、ボディに挿通されシェルに収容されるコンタクトを含むコネクタである。シェルは、ポッティング材が注入される第1の筒状部と、第1の筒状部と同軸上に設けられ、第1の筒状部よりも内径が小さく、相手方コネクタが挿通される第2の筒状部と、第1の筒状部と第2の筒状部を接続する接続部を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明のコネクタによれば、内壁に沿って液面上昇したポッティング材による嵌合不良を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】実施例1のコネクタの正面、平面および右側面を表す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
【実施例1】
【0011】
以下、
図2、
図3、
図4を参照して実施例1のコネクタ1の構造を説明する。
図2、
図3、
図4に示すように、本実施例のコネクタ1はリアケース11と、シェル12と、パッキン13と、コンタクト14と、ポッティング材15と、ボディ16と、シールドフレーム17を含む。実施例1のコネクタ1は、防水コネクタである。
【0012】
図4に示すように、ボディ16は、中央に凸部161を有する薄い板形状である。シェル12は、略角筒形状の筒状部121と、筒状部121の下端を外側に延伸してなるフランジ122を含む。フランジ122にはシールドフレーム17が接続される。筒状部121に凸部161が嵌りこみ、シェル12にボディ16が挿入される。
【0013】
ボディ16の凸部161には、凸部161を表側から裏側に貫通するコンタクト挿通穴1611が設けられている。この実施例では、コンタクト挿通穴1611が6つ設けられているが、コンタクト挿通穴1611の数は任意である。コンタクト挿通穴1611には、コンタクト14が挿通される。コンタクト14は、シェル12の筒状部121内に収容される。シェル12の筒状部121の外周に、筒形状のパッキン13が取り付けられる。ボディ16、シェル12、コンタクト14、パッキン13を組み立ててなる組立体は、リアケース11に収容される。リアケース11とシェル12の隙間はパッキン13によって塞がれる。筒状部121には、ポッティング材15が注入される(後述)。
【0014】
<筒状部121の構造>
同図に示すように、シェル12の筒状部121は、筒状部121の下端側であって、ボディ16の凸部161と嵌合し、ポッティング材15が注入される第1の筒状部1211と、筒状部121の上端側であって、第1の筒状部1211よりも内径が小さく、相手方コネクタが挿通される第2の筒状部1212と、第1の筒状部1211と第2の筒状部1212を接続する接続部1213を含む。なお、第1の筒状部1211と第2の筒状部1212は、同軸上に設けられる。
【0015】
この実施例において、接続部1213は、中空な錐台の側面と等しい形状である。別の表現では、この実施例において、接続部1213は、上方向に行くにつれて細くなるテーパーを付けたリング形状(筒形状)である。接続部1213は、絞り加工によって形成することができる。絞り加工によって接続部1213を形成する場合、追加工が不要であるため、製造コストの上昇を抑えることができる。
【0016】
図5に示すように、ポッティング材15を、第1の筒状部1211の上端まで注入した場合、従来技術と同様に、第1の筒状部1211、接続部1213の内壁に沿ってポッティング材15の液面が上昇する。しかし、第1の筒状部1211よりも第2の筒状部1212の内径を小さくして同軸上に配置することによって、内壁に沿って液面上昇するポッティング材15の位置と相手方コネクタ2の嵌合位置をずらしているため、両者の干渉を防ぐことができる。これにより、ポッティング材15を安定して利用することができるだけでなく、接続部1213の高さdを小さくできるため、製品の小型化に寄与する。
また、接続部1213は、垂直方向よりもさらにコネクタ1の内側方向にテーパーを付けた形状(シェル12の内側から見て、いわゆるネズミ返し、オーバーハングの形状)であるため、表面張力よりも重力の影響が大きくなり、内壁に沿った液面上昇の度合いも小さくなる。
【0017】
<変形例1>
以下、
図6を参照して変形例1のコネクタ1aの構造を説明する。
【0018】
同図に示すように接続部1213aは、第1の筒状部1211と第2の筒状部1212を接続し、第1の筒状部1211および第2の筒状部1212の軸方向と垂直な面で構成されてもよい。変形例1のコネクタ1aは、実施例1と同様に、硬化したポッティング材15と相手方コネクタ2との干渉を防ぐことができ、表面張力よりも重力の影響が大きくなることにより、内壁に沿った液面上昇の度合いも小さくなる。
【符号の説明】
【0019】
1 コネクタ
1a コネクタ
11 リアケース
12 シェル
121 筒状部
1211 第1の筒状部
1212 第2の筒状部
1213 接続部
1213a 接続部
122 フランジ
13 パッキン
14 コンタクト
15 ポッティング材
16 ボディ
161 凸部
1611 コンタクト挿通穴
17 シールドフレーム