(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-22
(45)【発行日】2023-03-03
(54)【発明の名称】駆動システム
(51)【国際特許分類】
H02P 27/06 20060101AFI20230224BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20230224BHJP
【FI】
H02P27/06
H02M7/48 E
(21)【出願番号】P 2019059320
(22)【出願日】2019-03-26
【審査請求日】2022-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【氏名又は名称】北 裕介
(72)【発明者】
【氏名】柏▲崎▼ 貴司
(72)【発明者】
【氏名】馬場 浩輔
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-181949(JP,A)
【文献】特開2015-139341(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 27/06
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多相の巻線を有する回転電機(10)と、前記回転電機との間で電力の入出力を行うバッテリ(40)及びキャパシタ(42)と、を備える回転電機システム(100)に適用される駆動システム(70)であって、
前記バッテリに接続され、直列接続された上アームスイッチと下アームスイッチとを相毎に有し、それら上アームスイッチと下アームスイッチとの接続点が各相の巻線の両端のうち第1端に接続される第1インバータ(20)と、
前記キャパシタに接続され、直列接続された上アームスイッチと下アームスイッチとを相毎に有し、それら上アームスイッチと下アームスイッチとの接続点が前記各相の巻線の両端のうち第2端に接続される第2インバータ(30)と、
前記キャパシタと前記第2インバータとを接続する接続線に設けられるキャパシタ側スイッチ(64)と、
前記バッテリと前記キャパシタとの少なくとも一方から前記回転電機に電力が入力される電力入力状態において、前記キャパシタの残容量と所定のキャパシタ入力時閾値とを比較し、前記キャパシタの残容量が前記キャパシタ入力時閾値よりも大きい場合に、前記キャパシタ側スイッチをオン状態にして、前記キャパシタから前記回転電機に電力を供給する第1電力入力状態に切り替え、前記キャパシタの残容量が前記キャパシタ入力時閾値よりも小さくなった場合に、前記キャパシタ側スイッチをオフ状態にして、前記バッテリから前記回転電機に電力を供給する第2電力入力状態に切り替える切替制御部(S12,S42)と、を備える駆動システム。
【請求項2】
前記回転電機は、前記バッテリと前記キャパシタとの少なくとも一方からの電力により回転駆動し、その回転速度が所定値よりも大きい高回転状態と、前記所定値よりも小さい低回転状態とに切り替え可能であり、
前記回転電機の状態が前記高回転状態と前記低回転状態とのいずれであるかを判定する状態判定部(S10)と、
前記第1インバータの高電位側と前記第2インバータの高電位側とを接続する高電位側接続線(LU)と、
前記第1インバータの低電位側と前記第2インバータの低電位側とを接続する低電位側接続線(LD)と、を備え、
前記切替制御部は、前記状態判定部により前記高回転状態であると判定された場合に、前記第2電力入力状態において、前記第1インバータ及び前記第2インバータの両方のインバータにスイッチング駆動を実施して、前記バッテリから前記回転電機に電力を供給する請求項1に記載の駆動システム。
【請求項3】
前記バッテリと前記第1インバータとを接続する接続線に設けられるバッテリ側スイッチ(66)を備え、
前記切替制御部は、前記状態判定部により前記高回転状態であると判定された場合に、前記第1電力入力状態において、前記バッテリの残容量と所定のバッテリ入力時閾値とを比較し、
前記バッテリの残容量が前記バッテリ入力時閾値よりも小さい場合に、前記バッテリ側スイッチをオフ状態にして、前記第1インバータ及び前記第2インバータの両方のインバータにスイッチング駆動を実施して、前記キャパシタから前記回転電機に電力を供給し、
前記バッテリの残容量が前記バッテリ入力時閾値よりも大きい場合に、前記バッテリ側スイッチをオン状態にして、前記第1インバータ及び前記第2インバータの両方のインバータにスイッチング駆動を実施して、前記バッテリ及び前記キャパシタから前記回転電機に電力を供給する請求項2に記載の駆動システム。
【請求項4】
前記高電位側接続線と前記低電位側接続線との少なくとも一方に設けられる特定スイッチ(60,62)を備え、
前記切替制御部は、前記状態判定部により前記低回転状態であると判定された場合に、
前記第1電力入力状態において、前記特定スイッチをオフ状態にして、前記第2インバータにおける上、下アームスイッチにスイッチング駆動を実施し、前記第1インバータにおける上、下アームスイッチのうち、前記特定スイッチがもうけられた側のスイッチをオン状態に維持する中性点駆動を実施して、前記キャパシタから前記回転電機に電力を供給し、
前記第2電力入力状態において、前記特定スイッチをオフ状態にして、前記第1インバータにおける上、下アームスイッチにスイッチング駆動を実施し、前記第2インバータにおける上、下アームスイッチのうち、前記特定スイッチがもうけられた側のスイッチの少なくとも一方をオン状態に維持する中性点駆動を実施して、前記バッテリから前記回転電機に電力を供給する請求項3に記載の駆動システム。
【請求項5】
前記バッテリと前記第1インバータとを接続する接続線に設けられるバッテリ側スイッチ(66)と、
前記高電位側接続線に設けられる高電位側スイッチ(60)と、
前記低電位側接続線に設けられる低電位側スイッチ(62)と、を備え、
前記切替制御部は、前記状態判定部により前記高回転状態であると判定された場合に、前記第1電力入力状態において、前記バッテリの残容量と所定のバッテリ入力時閾値とを比較し、
前記バッテリの残容量が前記バッテリ入力時閾値よりも小さい場合に、前記バッテリ側スイッチをオフ状態とするとともに、前記高電位側スイッチ及び前記低電位側スイッチをオン状態にして、前記第1インバータ及び前記第2インバータの両方のインバータにスイッチング駆動を実施して、前記キャパシタから前記回転電機に電力を供給し、
前記バッテリの残容量が前記バッテリ入力時閾値よりも大きい場合に、前記バッテリ側スイッチをオン状態とするとともに、前記高電位側スイッチ及び前記低電位側スイッチをオフ状態にして、前記第1インバータにスイッチング駆動を実施し、前記第2インバータに、各相において前記第1インバータの上アームスイッチが前記第2インバータの下アームスイッチと同期し、且つ前記第1インバータの下アームスイッチが前記第2インバータの上アームスイッチと同期する逆位相スイッチング駆動を実施して、前記バッテリ及び前記キャパシタから前記回転電機に電力を供給する請求項2に記載の駆動システム。
【請求項6】
前記切替制御部は、前記状態判定部により前記低回転状態であると判定された場合に、
前記第2電力入力状態において、前記バッテリの残容量と前記バッテリ入力時閾値とを比較し、
前記バッテリの残容量が前記バッテリ入力時閾値よりも小さい場合に、前記バッテリ側スイッチをオン状態とするとともに、前記高電位側スイッチと前記低電位側スイッチとの少なくとも一方のスイッチである特定スイッチをオフ状態にして、前記第1インバータにおける上、下アームスイッチにスイッチング駆動を実施し、前記第2インバータにおける上、下アームスイッチのうちの少なくとも一方をオン状態に維持する中性点駆動を実施して、前記バッテリから前記回転電機に電力を供給し、
前記バッテリの残容量が前記バッテリ入力時閾値よりも大きい場合に、前記バッテリ側スイッチ及び前記キャパシタ側スイッチをオン状態とするとともに、前記高電位側スイッチと前記低電位側スイッチとをオフ状態にして、前記第2インバータに、各相において前記第1インバータの上アームスイッチが前記第2インバータの上アームスイッチと同期し、且つ前記第1インバータの下アームスイッチが前記第2インバータの下アームスイッチと同期する同位相スイッチング駆動を実施して、前記バッテリの電力で前記キャパシタを充電する請求項5に記載の駆動システム。
【請求項7】
前記切替制御部は、前記回転電機から前記バッテリと前記キャパシタとの少なくとも一方に電力が出力される電力出力状態において、前記キャパシタの残容量と所定のキャパシタ出力時閾値とを比較し、前記キャパシタの残容量が前記キャパシタ出力時閾値よりも小さい場合に、前記キャパシタ側スイッチをオン状態にして、前記回転電機から前記キャパシタに電力を供給する第1電力出力状態に切り替え、前記第1電力出力状態において前記キャパシタの残容量が前記キャパシタ出力時閾値よりも大きくなった場合に、前記キャパシタ側スイッチをオフ状態にして、前記回転電機から前記バッテリに電力を供給する第2電力出力状態に切り替える請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の駆動システム。
【請求項8】
多相の巻線を有する回転電機(10)と、前記回転電機との間で電力の入出力を行うバッテリ(40)及びキャパシタ(42)と、を備える回転電機システム(100)に適用される駆動システム(70)であって、
前記バッテリに接続され、直列接続された上アームスイッチと下アームスイッチ(23)とを相毎に有し、それら上アームスイッチと下アームスイッチとの接続点が各相の巻線の両端のうち第1端に接続される第1インバータ(20)と、
前記キャパシタに接続され、直列接続された上アームスイッチと下アームスイッチとを相毎に有し、それら上アームスイッチと下アームスイッチとの接続点が前記各相の巻線の両端のうち第2端に接続される第2インバータ(30)と、
前記バッテリと前記第1インバータとを接続する接続線に設けられるバッテリ側スイッチ(66)と、
前記バッテリと前記キャパシタとの少なくとも一方から前記回転電機に電力が入力される電力入力状態において、前記キャパシタの残容量と所定のキャパシタ入力時閾値とを比較し、前記キャパシタの残容量が前記キャパシタ入力時閾値よりも大きい場合に、前記バッテリ側スイッチをオフ状態にして、前記キャパシタから前記回転電機に電力を供給する第1電力入力状態に切り替え、前記キャパシタの残容量が前記キャパシタ入力時閾値よりも小さくなった場合に、前記バッテリ側スイッチをオン状態にして、前記バッテリから前記回転電機に電力を供給する第2電力入力状態に切り替える切替制御部(S12,S42)と、を備える駆動システム。
【請求項9】
前記切替制御部は、前記回転電機から前記バッテリと前記キャパシタとの少なくとも一方に電力が出力される電力出力状態において、前記キャパシタの残容量と所定のキャパシタ出力時閾値とを比較し、前記キャパシタの残容量が前記キャパシタ出力時閾値よりも小さい場合に、前記バッテリ側スイッチをオフ状態にして、前記回転電機から前記キャパシタに電力を供給する第1電力出力状態に切り替え、前記第1電力出力状態において前記キャパシタの残容量が前記キャパシタ出力時閾値よりも大きくなった場合に、前記バッテリ側スイッチをオン状態にして、前記回転電機から前記バッテリに電力を供給する第2電力出力状態に切り替える請求項8に記載の駆動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オープンデルタ型の巻線を有する回転電機の駆動を制御する駆動システムが知られている(例えば、特許文献1)。この駆動システムでは、回転電機を構成する各相の巻線の両端のうち第1端には第1インバータが接続されており、この第1インバータを介して第1直流電源が接続されている。また、回転電機を構成する各相の巻線の両端のうち第2端には第2インバータが接続されており、この第2インバータを介して第2直流電源が接続されている。上述した駆動システムでは、第1直流電源及び第2直流電源のうち、一方にキャパシタが用いられており、他方にバッテリが用いられている。キャパシタは、バッテリに比べて内部抵抗が小さい。そのため、第1直流電源及び第2直流電源の両方をバッテリとした場合に比べて、内部抵抗による電力損失を低減することができ、システム全体のエネルギ効率を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、キャパシタは、バッテリに比べて容量が小さく、キャパシタを用いて回転電機を駆動可能な期間が短い。そのため、回転電機を回転駆動する場合に、キャパシタによる駆動継続が不可になるとバッテリによる駆動への切り替えが強いられるが、特許文献1の技術では、回転電機の駆動中における切り替えについて十分に検討がされていない。回転電機の駆動中に切り替えができない場合には、回転電機の駆動を継続させるためにバッテリによる駆動を優先させることとなるが、バッテリによる駆動を優先させるとエネルギ効率を向上させることができない。エネルギ効率を向上させつつ、回転電機の駆動を継続可能な技術が望まれている。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、エネルギ効率を向上させつつ、回転電機の駆動を継続可能な駆動システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための第1の手段は、多相の巻線を有する回転電機と、前記回転電機との間で電力の入出力を行うバッテリ及びキャパシタと、を備える回転電機システムに適用される駆動システムであって、前記バッテリに接続され、直列接続された上アームスイッチと下アームスイッチとを相毎に有し、それら上アームスイッチと下アームスイッチとの接続点が各相の巻線の両端のうち第1端に接続される第1インバータと、前記キャパシタに接続され、直列接続された上アームスイッチと下アームスイッチとを相毎に有し、それら上アームスイッチと下アームスイッチとの接続点が前記各相の巻線の両端のうち第2端に接続される第2インバータと、前記キャパシタと前記第2インバータとを接続する接続線に設けられるキャパシタ側スイッチと、前記バッテリと前記キャパシタとの少なくとも一方から前記回転電機に電力が入力される電力入力状態において、前記キャパシタの残容量と所定のキャパシタ入力時閾値とを比較し、前記キャパシタの残容量が前記キャパシタ入力時閾値よりも大きい場合に、前記キャパシタ側スイッチをオン状態にして、前記キャパシタから前記回転電機に電力を供給する第1電力入力状態に切り替え、前記キャパシタの残容量が前記キャパシタ入力時閾値よりも小さくなった場合に、前記キャパシタ側スイッチをオフ状態にして、前記バッテリから前記回転電機に電力を供給する第2電力入力状態に切り替える切替制御部と、を備える。
【0007】
2つの電源と回転電機との間で電力の入出力を行う場合に、1つの電源がキャパシタで構成されていると、キャパシタはバッテリに比べて容量が小さく、キャパシタのみを用いて回転電機の駆動を継続させることができない。上記構成によれば、キャパシタと、キャパシタ及び回転電機の間に設けられる第2インバータとを接続する接続線に、キャパシタ側スイッチが設けられており、回転電機への電力入力状態において、キャパシタの残容量がキャパシタ入力時閾値よりも大きい場合には、キャパシタ側スイッチをオン状態とする。また、キャパシタの残容量がキャパシタ入力時閾値よりも小さくなった場合には、キャパシタ側スイッチをオフ状態とし、バッテリを用いて回転電機の駆動を継続させる。つまり、キャパシタの残容量を優先的に使用しつつ、キャパシタの残容量が少なくなった場合には、バッテリを用いて回転電機の駆動を継続させる。これにより、システム全体のエネルギ効率を向上させつつ、回転電機の駆動を継続させることができる。
【0008】
第2の手段では、前記回転電機は、前記バッテリと前記キャパシタとの少なくとも一方からの電力により回転駆動し、その回転速度が所定値よりも大きい高回転状態と、前記所定値よりも小さい低回転状態とに切り替え可能であり、前記回転電機の状態が前記高回転状態と前記低回転状態とのいずれであるかを判定する状態判定部と、前記第1インバータの高電位側と前記第2インバータの高電位側とを接続する高電位側接続線と、前記第1インバータの低電位側と前記第2インバータの低電位側とを接続する低電位側接続線と、を備え、前記切替制御部は、前記状態判定部により前記高回転状態であると判定された場合に、前記第2電力入力状態において、前記第1インバータ及び前記第2インバータの両方のインバータにスイッチング駆動を実施して、前記バッテリから前記回転電機に電力を供給する。
【0009】
第1インバータと第2インバータとの高電位側同士、及び低電位側同士が接続されていると、第1インバータ及び第2インバータの両方にスイッチング駆動を実施するHブリッチ駆動が可能である。Hブリッチ駆動では、第1インバータ及び第2インバータの両方のスイッチング駆動により、高回転状態を維持させることができる。上記構成によれば、高回転状態の第2電力入力状態において、Hブリッチ駆動によりバッテリから回転電機に電力を供給するため、高回転状態を維持しつつ、回転電機の駆動を継続させることができる。
【0010】
第3の手段では、前記バッテリと前記第1インバータとを接続する接続線に設けられるバッテリ側スイッチを備え、前記切替制御部は、前記状態判定部により前記高回転状態であると判定された場合に、前記第1電力入力状態において、前記バッテリの残容量と所定のバッテリ入力時閾値とを比較し、前記バッテリの残容量が前記バッテリ入力時閾値よりも小さい場合に、前記バッテリ側スイッチをオフ状態にして、前記第1インバータ及び前記第2インバータの両方のインバータにスイッチング駆動を実施して、前記キャパシタから前記回転電機に電力を供給し、前記バッテリの残容量が前記バッテリ入力時閾値よりも大きい場合に、前記バッテリ側スイッチをオン状態にして、前記第1インバータ及び前記第2インバータの両方のインバータにスイッチング駆動を実施して、前記バッテリ及び前記キャパシタから前記回転電機に電力を供給する。
【0011】
上記構成によれば、高回転状態の第1電力入力状態において、Hブリッチ駆動を維持しながらバッテリの残容量に応じて回転電機への電力供給の方式を切り替えるため、高回転状態を維持しつつ、バッテリの劣化を抑制できる。
【0012】
第4の手段では、前記高電位側接続線と前記低電位側接続線との少なくとも一方に設けられる特定スイッチを備え、前記切替制御部は、前記状態判定部により前記低回転状態であると判定された場合に、前記第1電力入力状態において、前記特定スイッチをオフ状態にして、前記第2インバータにおける上、下アームスイッチにスイッチング駆動を実施し、前記第1インバータにおける上、下アームスイッチのうち、前記特定スイッチがもうけられた側のスイッチをオン状態に維持する中性点駆動を実施して、前記キャパシタから前記回転電機に電力を供給し、前記第2電力入力状態において、前記特定スイッチをオフ状態にして、前記第1インバータにおける上、下アームスイッチにスイッチング駆動を実施し、前記第2インバータにおける上、下アームスイッチのうち、前記特定スイッチがもうけられた側のスイッチをオン状態に維持する中性点駆動を実施して、前記バッテリから前記回転電機に電力を供給する。
【0013】
高電位側接続線と低電位側接続線との少なくとも一方に特定スイッチが設けられていると、この特定スイッチをオフ状態とすることで、第1インバータと第2インバータとのうち、一方のインバータにスイッチング駆動を実施し、他方のインバータに中性点駆動を実施するY結線駆動が可能である。Y結線駆動では、他方のインバータにスイッチング駆動が実施されないため、他方のインバータにおけるスイッチング損失を抑制できる。上記構成によれば、低回転状態において、Y結線駆動により回転電機に電力を供給するため、スイッチング損失の抑制によりシステム全体のエネルギ効率を向上させることができる。
【0014】
第5の手段では、前記バッテリと前記第1インバータとを接続する接続線に設けられるバッテリ側スイッチと、前記高電位側接続線に設けられる高電位側スイッチと、前記低電位側接続線に設けられる低電位側スイッチと、を備え、前記切替制御部は、前記状態判定部により前記高回転状態であると判定された場合に、前記第1電力入力状態において、前記バッテリの残容量と所定のバッテリ入力時閾値とを比較し、前記バッテリの残容量が前記バッテリ入力時閾値よりも小さい場合に、前記バッテリ側スイッチをオフ状態とするとともに、前記高電位側スイッチ及び前記低電位側スイッチをオン状態にして、前記第1インバータ及び前記第2インバータの両方のインバータにスイッチング駆動を実施して、前記キャパシタから前記回転電機に電力を供給し、前記バッテリの残容量が前記バッテリ入力時閾値よりも大きい場合に、前記バッテリ側スイッチをオン状態とするとともに、前記高電位側スイッチ及び前記低電位側スイッチをオフ状態にして、前記第1インバータにスイッチング駆動を実施し、前記第2インバータに、各相において前記第1インバータの上アームスイッチが前記第2インバータの下アームスイッチと同期し、且つ前記第1インバータの下アームスイッチが前記第2インバータの上アームスイッチと同期する逆位相スイッチング駆動を実施して、前記バッテリ及び前記キャパシタから前記回転電機に電力を供給する。
【0015】
高電位側接続線と低電位側接続線との両方にスイッチが設けられていると、これらのスイッチをオフ状態とすることでバッテリとキャパシタとを直列に接続できる。この場合には、バッテリ及びキャパシタからの電力により高回転状態を維持させることができる。上記構成によれば、高回転状態を維持しつつ、バッテリ及びキャパシタを用いて長期間にわたって回転電機へ電力供給を維持することができ、回転電機への電力供給の方式の切り替えにより発生する損失を抑制できる。
【0016】
第6の手段では、前記切替制御部は、前記状態判定部により前記低回転状態であると判定された場合に、前記第2電力入力状態において、前記バッテリの残容量と前記バッテリ入力時閾値とを比較し、前記バッテリの残容量が前記バッテリ入力時閾値よりも小さい場合に、前記バッテリ側スイッチをオン状態とするとともに、前記高電位側スイッチと前記低電位側スイッチとの少なくとも一方のスイッチである特定スイッチをオフ状態にして、前記第1インバータにおける上、下アームスイッチにスイッチング駆動を実施し、前記第2インバータにおける上、下アームスイッチのうちの少なくとも一方をオン状態に維持する中性点駆動を実施して、前記バッテリから前記回転電機に電力を供給し、前記バッテリの残容量が前記バッテリ入力時閾値よりも大きい場合に、前記バッテリ側スイッチ及び前記キャパシタ側スイッチをオン状態とするとともに、前記高電位側スイッチと前記低電位側スイッチとをオフ状態にして、前記第2インバータに、各相において前記第1インバータの上アームスイッチが前記第2インバータの上アームスイッチと同期し、且つ前記第1インバータの下アームスイッチが前記第2インバータの下アームスイッチと同期する同位相スイッチング駆動を実施して、前記バッテリの電力で前記キャパシタを充電する。
【0017】
高電位側接続線と低電位側接続線との両方にスイッチが設けられていると、これらのスイッチをオフ状態とすることでバッテリとキャパシタとを並列に接続できる。この場合には、バッテリの電力によりキャパシタを充電することができる。上記構成によれば、低回転状態にバッテリの電力によりキャパシタを充電するため、キャパシタの使用頻度を高めることができ、システム全体のエネルギ効率を向上させることができる。
【0018】
第7の手段では、前記切替制御部は、前記回転電機から前記バッテリと前記キャパシタとの少なくとも一方に電力が出力される電力出力状態において、前記キャパシタの残容量と所定のキャパシタ出力時閾値とを比較し、前記キャパシタの残容量が前記キャパシタ出力時閾値よりも小さい場合に、前記キャパシタ側スイッチをオン状態にして、前記回転電機から前記キャパシタに電力を供給する第1電力出力状態に切り替え、前記第1電力出力状態において前記キャパシタの残容量が前記キャパシタ出力時閾値よりも大きくなった場合に、前記キャパシタ側スイッチをオフ状態にして、前記回転電機から前記バッテリに電力を供給する第2電力出力状態に切り替える。
【0019】
上記構成によれば、回転電機からの電力出力状態において、キャパシタの残容量がキャパシタ出力時閾値よりも小さい場合には、キャパシタ側スイッチをオン状態とする。この状態において、キャパシタの残容量がキャパシタ出力時閾値よりも小さくなった場合には、キャパシタ側スイッチをオフ状態とし、バッテリを用いて回転電機の駆動を継続させる。つまり、キャパシタの充電を優先しつつ、キャパシタの残容量が多くなった場合には、バッテリを用いて回転電機からの電力回収を継続させる。これにより、キャパシタの優先使用を維持しつつ、システム全体のエネルギ効率を向上させることができる。
【0020】
第8の手段では、多相の巻線を有する回転電機と、前記回転電機との間で電力の入出力を行うバッテリ及びキャパシタと、を備える回転電機システムに適用される駆動システムであって、前記バッテリに接続され、直列接続された上アームスイッチと下アームスイッチとを相毎に有し、それら上アームスイッチと下アームスイッチとの接続点が各相の巻線の両端のうち第1端に接続される第1インバータと、前記キャパシタに接続され、直列接続された上アームスイッチと下アームスイッチとを相毎に有し、それら上アームスイッチと下アームスイッチとの接続点が前記各相の巻線の両端のうち第2端に接続される第2インバータと、前記バッテリと前記第1インバータとを接続する接続線に設けられるバッテリ側スイッチと、前記バッテリと前記キャパシタとの少なくとも一方から前記回転電機に電力が入力される電力入力状態において、前記キャパシタの残容量と所定のキャパシタ入力時閾値とを比較し、前記キャパシタの残容量が前記キャパシタ入力時閾値よりも大きい場合に、前記バッテリ側スイッチをオフ状態にして、前記キャパシタから前記回転電機に電力を供給する第1電力入力状態に切り替え、前記キャパシタの残容量が前記キャパシタ入力時閾値よりも小さくなった場合に、前記バッテリ側スイッチをオン状態にして、前記バッテリから前記回転電機に電力を供給する第2電力入力状態に切り替える切替制御部と、を備える。
【0021】
2つの電源と回転電機との間で電力の入出力を行う場合に、1つの電源がキャパシタで構成されていると、キャパシタはバッテリに比べて容量が小さく、キャパシタのみを用いて回転電機の駆動を継続させることができない。上記構成によれば、バッテリと、バッテリ及び回転電機の間に設けられる第1インバータとを接続する接続線に、バッテリ側スイッチが設けられており、回転電機への電力入力状態において、キャパシタの残容量がキャパシタ入力時閾値よりも大きい場合には、バッテリ側スイッチをオフ状態とする。この状態において、キャパシタの残容量がキャパシタ入力時閾値よりも小さくなった場合には、バッテリ側スイッチをオン状態とし、バッテリを用いて回転電機の駆動を継続させる。つまり、キャパシタの残容量を優先的に使用しつつ、キャパシタの残容量が少なくなった場合には、バッテリを用いて回転電機の駆動を継続させる。これにより、システム全体のエネルギ効率を向上させつつ、回転電機の駆動を継続させることができる。
【0022】
第9の手段では、前記切替制御部は、前記回転電機から前記バッテリと前記キャパシタとの少なくとも一方に電力が出力される電力出力状態において、前記キャパシタの残容量と所定のキャパシタ出力時閾値とを比較し、前記キャパシタの残容量が前記キャパシタ出力時閾値よりも小さい場合に、前記バッテリ側スイッチをオフ状態にして、前記回転電機から前記キャパシタに電力を供給する第1電力出力状態に切り替え、前記第1電力出力状態において前記キャパシタの残容量が前記キャパシタ出力時閾値よりも大きくなった場合に、前記バッテリ側スイッチをオン状態にして、前記回転電機から前記バッテリに電力を供給する第2電力出力状態に切り替える。
【0023】
上記構成によれば、回転電機からの電力出力状態において、キャパシタの残容量がキャパシタ出力時閾値よりも小さい場合には、バッテリ側スイッチをオフ状態とする。この状態において、キャパシタの残容量がキャパシタ出力時閾値よりも小さくなった場合には、バッテリ側スイッチをオン状態とし、バッテリを用いて回転電機の駆動を継続させる。つまり、キャパシタの充電を優先しつつ、キャパシタの残容量が多くなった場合には、バッテリを用いて回転電機からの電力回収を継続させる。これにより、キャパシタの優先使用を維持しつつ、システム全体のエネルギ効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】第1実施形態に係る駆動システムの全体構成図。
【
図6】B-Y充電モードにおける電流経路を示す図。
【
図8】第1実施形態に係る放電時切替制御処理のフローチャート。
【
図9】第1実施形態に係る充電時切替制御処理のフローチャート。
【
図11】放電時切替制御処理における電力供給モードの推移を示すタイムチャート。
【
図12】充電時切替制御処理における電力供給モードの推移を示すタイムチャート。
【
図13】第2実施形態に係る駆動システムの全体構成図。
【
図14】第2実施形態に係る放電時切替制御処理のフローチャート。
【
図15】第3実施形態に係る駆動システムの全体構成図。
【
図16】第3実施形態に係る放電時切替制御処理のフローチャート。
【
図17】第3実施形態に係る充電時切替制御処理のフローチャート。
【
図18】その他の実施形態に係る駆動システムの全体構成図。
【
図19】その他の実施形態に係る駆動システムの全体構成図。
【
図20】その他の実施形態に係る駆動システムの全体構成図。
【
図21】その他の実施形態に係る駆動システムの全体構成図。
【
図22】その他の実施形態に係る駆動システムの全体構成図。
【
図23】その他の実施形態に係る駆動システムの全体構成図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る駆動システムを、車載の回転電機システム100に適用した第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0026】
図1に示すように、本実施形態に係る駆動システム70は、回転電機10と、第1インバータ20と、第2インバータ30と、回転電機10を制御対象とする制御装置50と、を備えている。
【0027】
回転電機10は、力行駆動及び回生駆動の機能を有し、具体的には、MG(Motor Generator)である。回転電機10は、バッテリ40及びキャパシタ42との間で電力の入出力を行うものである。具体的には、力行駆動時には、バッテリ40及びキャパシタ42から入力される電力により回転駆動し、車両に推進力を付与し、回生駆動時には、車両の減速エネルギを用いて発電を行い、バッテリ40及びキャパシタ42に電力を出力する。
【0028】
回転電機10は、オープンデルタ型の3相の巻線11を有する。巻線11は、U相、V相、及び、W相の各相に対応した多相巻線である。各相の巻線11は、直列に接続された第1巻線部12と第2巻線部13とを含む。回転電機10のロータは、車両の駆動輪と動力伝達が可能なように接続されている。回転電機10は、例えば同期機である。
【0029】
回転電機10の各相の巻線11の一端は、第1インバータ20を介して、バッテリ40に接続されている。バッテリ40は、充放電可能な蓄電池であり、例えば複数のリチウムイオン蓄電池が直列接続された組電池である。なお、バッテリ40は、他の種類の蓄電池であってもよい。
【0030】
第1インバータ20は、高電位側のスイッチング素子である上アームスイッチ22(22A,22B,22C)、及び低電位側のスイッチング素子である下アームスイッチ23(23A,23B,23C)の直列接続体が、並列に接続されて構成されている。各相上、上アームスイッチ22と下アームスイッチ23の接続点には、回転電機10の対応する相の巻線11の第1端が接続されている。なお、本実施形態では、スイッチ22,23として、電圧制御形の半導体スイッチング素子を用いており、より具体的にはIGBTを用いている。各スイッチ22,23には、フリーホイールダイオード24が逆並列にそれぞれ接続されている。
【0031】
また、回転電機10の各相の巻線11の他端は、第2インバータ30を介して、キャパシタ42に接続されている。キャパシタ42は、充放電可能な蓄電装置であり、例えば電解コンデンサである。
【0032】
第2インバータ30は、高電位側のスイッチング素子である上アームスイッチ32(32A,32B,32C)、及び低電位側のスイッチング素子である下アームスイッチ33(33A,33B,33C)の直列接続体が、並列に接続されて構成されている。各相上、上アームスイッチ32と下アームスイッチ33の接続点には、回転電機10の対応する相の巻線11の第2端が接続されている。なお、本実施形態では、スイッチ32,33として、電圧制御形の半導体スイッチング素子を用いており、より具体的にはIGBTを用いている。各スイッチ32,33には、フリーホイールダイオード34が逆並列にそれぞれ接続されている。
【0033】
バッテリ40の高電位側と第1インバータ20の高電位側とは、第1電源線LE1により接続されており、バッテリ40の低電位側と第1インバータ20の低電位側とは、第1接地線LG1により接続されている。また、第1インバータ20の高電位側と第2インバータ30の高電位側とは、高電位側接続線LUにより接続されており、第1インバータ20の低電位側と第2インバータ30の低電位側とは、低電位側接続線LDにより接続されている。さらに、第2インバータ30の高電位側とキャパシタ42の高電位側とは、第2電源線LE2により接続されており、第2インバータ30の低電位側とキャパシタ42の低電位側とは、第2接地線LG2により接続されている。これにより、第1インバータ20は、第2インバータ30を介してキャパシタ42に接続され、第2インバータ30は、第1インバータ20を介してバッテリ40に接続される。
【0034】
高電位側接続線LUに高電位側スイッチとしての第1切替スイッチ60が設けられており、低電位側接続線LDに低電位側スイッチとしての第2切替スイッチ62が設けられている。また、第2電源線LE2にキャパシタ側スイッチとしての第3切替スイッチ64が設けられており、第1電源線LE1にバッテリ側スイッチとしての第4切替スイッチ66が設けられている。本実施形態では、これらのスイッチ60~66として、電圧制御形の半導体スイッチング素子が用いられており、より具体的にはIGBTが用いられている。なお、本実施形態において、第1切替スイッチ60及び第2切替スイッチ62が「特定スイッチ」の一例である。
【0035】
制御装置50は、回転電機10の力行または回生が行われる駆動時に、バッテリ40の電圧Vbatを検出する第1電圧センサ51、キャパシタ42の電圧Vcapを検出する第2電圧センサ52、回転電機10の各相の巻線11に流れる電流を検出する相電流センサ53、及び回転電機10の回転速度NEを検出する回転速度センサ54等から検出値を取得する。制御装置50は、取得した検出値に基づき、回転電機10の制御量をその指令値に制御すべく、第1インバータ20及び第2インバータ30を制御する。制御量は、例えばトルクTEである。
【0036】
具体的には、制御装置50は、第1インバータ20の制御において、デッドタイムを挟みつつスイッチ22,23を交互にオン状態(閉状態)とすべく、スイッチ22,23それぞれに対応する第1駆動信号SG1を、スイッチ22,23に出力する。第1駆動信号SG1は、スイッチ22,23のオン状態への切り替えを指示するオン指令と、オフ状態(開状態)への切り替えを指示するオフ指令とのいずれかをとる。第2インバータ30の制御についても同様である。
【0037】
また、制御装置50は、取得した検出値に基づいて、回転電機10の状態を判定する。回転電機10の状態は、例えば高回転状態や低回転状態である。そして、判定した状態に基づいて、第1,第2切替スイッチ60,62を切替操作すべく、第1,第2切替信号SC1,SC2を生成し、生成した第1,第2切替信号SC1,SC2を第1,第2切替スイッチ60,62に出力する。制御装置50は、生成した第1,第2切替スイッチ60,62に対応するように、第1,第2駆動信号SG1,SG2を生成する。
【0038】
さらに、制御装置50は、取得したバッテリ40の電圧Vbatに基づいて、バッテリ40の残容量Cbatを算出し、取得したキャパシタ42の電圧Vcapに基づいて、キャパシタ42の残容量Ccapを算出する。そして、算出した残容量Cbatに基づいて、第3切替スイッチ64を切替操作すべく、第3切替信号SC3を生成し、生成した第3切替信号SC3を第3切替スイッチ64に出力する。また、算出した残容量Cbatに基づいて、第4切替スイッチ66を切替操作すべく、第4切替信号SC4を生成し、生成した第4切替信号SC4を第4切替スイッチ66に出力する。
【0039】
例えば、回転電機10が高回転状態である場合、第1,第2切替信号SC1,SC2をオン指令とする。これにより、第1,第2切替スイッチ60,62がオン状態に切り替えられ、第1インバータ20及び第2インバータ30がHブリッジ駆動される。Hブリッジ駆動では、第1インバータ20及び第2インバータ30の等しい相において、一方の上アームスイッチと他方の下アームスイッチが同期するように、PWM駆動により第1インバータ20及び第2インバータ30が制御される。PWM駆動は、回転電機10への出力電圧の目標値である目標電圧と、三角波信号等のキャリア信号との大小比較に基づいて、各相の上,下アームスイッチの状態を制御する駆動である。なお、本実施形態において、PWM駆動が「スイッチング駆動」に相当する。
【0040】
本実施形態では、Hブリッジ駆動により回転電機10に電力を供給する電力供給モードとして、B-Hモード、C-Hモードに切り替え可能である。B-Hモードでは、第3切替信号SC3をオフ指令とし、第4切替信号SC4をオン指令とする。これにより、第3切替スイッチ64がオフ状態に切り替えられるとともに、第4切替スイッチ66がオン状態に切り替えられ、Hブリッジ駆動によりバッテリ40から回転電機10に電力が供給される。
【0041】
図2に、B-Hモードにおける電流経路を示す。
図2に示す例では、第1インバータ20のU相の上アームスイッチ22Aと第2インバータ30のU相の下アームスイッチ33A、第1インバータ20のV相の下アームスイッチ23Bと第2インバータ30のV相の上アームスイッチ32B、第1インバータ20のW相の下アームスイッチ23Cと第2インバータ30のW相の上アームスイッチ32Cが同期するように制御され、これにより矢印IH1~IH3で示す経路で電流が流れる。なお、
図2では、電圧センサ51,52や相電流センサ53等の記載が省略されている。
図3~7についても同様である。
【0042】
C-Hモードでは、第3切替信号SC3をオン指令とし、第4切替信号SC4をオフ指令とする。これにより、第3切替スイッチ64がオン状態に切り替えられるとともに、第4切替スイッチ66がオフ状態に切り替えられ、Hブリッジ駆動によりキャパシタ42から回転電機10に電力が供給される。
【0043】
図3に、C-Hモードにおける電流経路を示す。
図3に示す例では、第1インバータ20のU相の下アームスイッチ23Aと第2インバータ30のU相の上アームスイッチ32A、第1インバータ20のV相の上アームスイッチ22Bと第2インバータ30のV相の下アームスイッチ33B、第1インバータ20のW相の上アームスイッチ22Cと第2インバータ30のW相の下アームスイッチ32Cが同期するように制御され、これにより矢印IH1~IH3で示す経路で電流が流れる。
【0044】
また例えば、回転電機10が低回転状態である場合、第1,第2切替信号SC1,SC2をオフ指令とする。これにより、第1,第2切替スイッチ60,62がオフ状態に切り替えられ、第1インバータ20及び第2インバータ30がY結線駆動される。Y結線駆動は、回転電機10が低回転状態である場合に限られない。Y結線駆動では、第1インバータ20及び第2インバータ30の一方をPWM駆動により制御するとともに、他方を中性点駆動する。ここで、中性点駆動とは、該当するインバータの上アームスイッチと下アームスイッチとの少なくとも一方をオン状態に維持する駆動である。中性点駆動により、該当するインバータが中性点化され、回転電機10がY結線される。なお、本実施形態において、Y結線駆動が「中性点駆動」に相当する。
【0045】
本実施形態では、Y結線駆動により回転電機10に電力を供給する電力供給モードとして、B-Yモード、C-Yモード、B-Y充電モード、2Yモードに切り替え可能である。B-Yモードでは、第3切替信号SC3をオフ指令とし、第4切替信号SC4をオン指令とする。これにより、第3切替スイッチ64がオフ状態に切り替えられるとともに、第4切替スイッチ66がオン状態に切り替えられ、Y結線駆動によりバッテリ40から回転電機10に電力が供給される。
【0046】
図4に、B-Yモードにおける電流経路を示す。B-Yモードでは、バッテリ40側の第1インバータ20がPWM駆動されるとともに、キャパシタ42側の第2インバータ30が中性点駆動される。
図4に示す例では、第2インバータ30の上アームスイッチ32がオン状態に維持されるとともに、下アームスイッチ33がオフ状態に維持され、これにより矢印IH1~IH3で示す経路で電流が流れる。
【0047】
C-Yモードでは、第3切替信号SC3をオン指令とし、第4切替信号SC4をオフ指令とする。これにより、第3切替スイッチ64がオン状態に切り替えられるとともに、第4切替スイッチ66がオフ状態に切り替えられ、Y結線駆動によりキャパシタ42から回転電機10に電力が供給される。
【0048】
図5に、C-Yモードにおける電流経路を示す。C-Yモードでは、バッテリ40側の第1インバータ20が中性点駆動されるとともに、キャパシタ42側の第2インバータ30がPWM駆動される。
図5に示す例では、第2インバータ30の上アームスイッチ22がオン状態に維持されるとともに、下アームスイッチ23がオフ状態に維持され、これにより矢印IH1~IH3で示す経路で電流が流れる。
【0049】
B-Y充電モードでは、第3,第4切替信号SC3,SC4をオン指令とする。これにより、第3,第4切替スイッチ64,66がオン状態に切り替えられ、Y結線駆動によりバッテリ40から回転電機10に電力が供給される。
【0050】
図6に、B-Y充電モードにおける電流経路を示す。B-Y充電モードでは、バッテリ40側の第1インバータ20がPWM駆動されるとともに、キャパシタ42側の第2インバータ30が同位相スイッチング駆動される。ここで、同位相スイッチング駆動とは、各相において第1インバータ20の上アームスイッチ22が第2インバータ30の上アームスイッチ32と同期し、且つ第1インバータ20の下アームスイッチ23が第2インバータ30の下アームスイッチ33と同期する駆動である。これにより矢印IH1~IH3で示す経路で電流が流れる。
【0051】
図6に示すように、矢印IH2~IH3で示す経路で流れる電流は、キャパシタ42の高電位側から低電位側へと流れ、これによりキャパシタ42が充電される。つまり、B-Y充電モードでは、回転電機10の力行駆動中に、バッテリ40の電力でキャパシタ42が充電される。
【0052】
2Yモードでは、第3,第4切替信号SC3,SC4をオン指令とする。これにより、第3,第4切替スイッチ64,66がオン状態に切り替えられ、Y結線駆動によりバッテリ40から回転電機10に電力が供給される。
【0053】
図7に、2Yモードにおける電流経路を示す。2Yモードでは、バッテリ40側の第1インバータ20がPWM駆動されるとともに、キャパシタ42側の第2インバータ30が逆位相スイッチング駆動される。ここで、逆位相スイッチング駆動とは、各相において第1インバータ20の上アームスイッチ22が第2インバータ30の下アームスイッチ33と同期し、且つ第1インバータ20の下アームスイッチ23が第2インバータ30の上アームスイッチ32と同期する駆動である。これにより矢印IH1~IH3で示す経路で電流が流れる。
【0054】
図7に示すように、矢印IH2~IH3で示す経路で流れる電流は、キャパシタ42の低電位側から高電位側へと流れ、これによりキャパシタ42が放電される。つまり、2Yモードでは、Y結線駆動によりバッテリ40及びキャパシタ42から回転電機10に電力が供給される。
【0055】
ところで、本実施形態の駆動システム70では、回転電機10に電力を供給する2つの電源のうち、一方にキャパシタ42が用いられている。キャパシタ42は、バッテリ40に比べて内部抵抗が小さい。そのため、キャパシタ42を用いることで、内部抵抗による電力損失を低減することができ、システム全体のエネルギ効率を向上させることができる。
【0056】
その一方、キャパシタ42は、バッテリ40に比べて容量が小さく、キャパシタ42を用いて回転電機10を駆動可能な期間が短い。そのため、回転電機10を力行駆動する場合に、キャパシタ42による駆動継続が不可になるとバッテリ40による駆動への切り替えが強いられる。回転電機10の駆動中にこの切り替えができない場合には、回転電機10の駆動を継続させるためにバッテリ40による駆動を優先させることとなるが、バッテリ40による駆動を優先させるとエネルギ効率を向上させることができない。
【0057】
本実施形態の駆動システム70は、第3切替スイッチ64を備えており、キャパシタ42の残容量Ccapに基づいて第3切替スイッチ64のオンオフ状態を切り替える切替制御処理を実施する。切替制御処理において、キャパシタ42の残容量Ccapがキャパシタ入力時閾値としての第1閾値電圧Vth1よりも大きい場合には、第3切替スイッチ64をオン状態とし、キャパシタ42から回転電機10に電力を供給するC-Hモード、C-Yモード、2Yモードに切り替える。これにより、キャパシタ42に蓄えられた残容量Ccapを優先的に使用して、システム全体のエネルギ効率を向上させることができる。なお、本実施形態において、C-Hモード、C-Yモード、2Yモードは、「第1電力入力状態」の一例である。
【0058】
また、上記C-Hモード、C-Yモード、2Yモードにおける電力供給中に、キャパシタ42の残容量Ccapが第1閾値電圧Vth1よりも小さくなった場合には、第3切替スイッチ64をオフ状態とし、バッテリ40から回転電機10に電力を供給するB-Hモード、B-Yモード、B-Y充電モードに切り替える。これにより、回転電機10の駆動中に電力供給モードを切り替え、バッテリ40を用いて回転電機10の駆動を継続させることができる。その結果、駆動システム70において、システム全体のエネルギ効率を向上させつつ、回転電機10の駆動を継続させることができる。なお、本実施形態において、B-Hモード、B-Yモード、B-Y充電モードは、「第2電力入力状態」の一例である。
【0059】
図8,9に本実施形態の切替制御処理のフローチャートを示す。
図8は、回転電機10の力行駆動中、つまり、バッテリ40とキャパシタ42との少なくとも一方から回転電機10に電力が入力される電力入力状態において、制御装置50により所定周期で繰り返し実施される放電時切替制御処理である。
【0060】
放電時切替制御処理を開始すると、まずステップS10において、回転電機10の状態が低回転状態であるかを判定する。回転電機10の状態は、高回転状態と低回転状態とに切り替え可能であり、回転電機10の回転速度NEが閾値速度Ntgよりも大きい高回転域NH(
図10参照)に属する場合に、高回転状態となる。また、回転電機10の回転速度NEが閾値速度Ntgよりも小さい低回転域NLに属する場合に、低回転状態となる。
図10に、回転速度NEとトルクTEとの関係を示す。
図10に示すように、閾値速度NtgはトルクTE毎に予め定められており、この閾値速度Ntgに基づいて、回転電機10の状態が判定される。なお、本実施形態において、閾値速度Ntgが「所定値」に相当し、ステップS10の処理が「状態判定部」に相当する。
【0061】
ステップS10で肯定判定すると、ステップS12において、キャパシタ42の残容量Ccapがキャパシタ入力時閾値よりも大きいかを判定する。具体的には、残容量Ccapの算出に用いるキャパシタ42の電圧Vcapが第1閾値電圧Vth1よりも大きいかを判定する。ここで、第1閾値電圧Vth1は、キャパシタ42のみを用いて回転電機10を力行駆動可能な最低電圧に設定されている。
【0062】
キャパシタ42の電圧Vcapが第1閾値電圧Vth1よりも大きい場合、キャパシタ42の残容量Ccapがキャパシタ入力時閾値よりも大きく、キャパシタ42のみを用いて回転電機10に電力供給可能であることから、ステップS12で肯定判定する。この場合、ステップS14において、第3切替信号SC3をオン指令とし、第3切替スイッチ64をオン状態に切り替える。続くステップS16において、第1,第2,第4切替信号SC1,SC2,SC4をオフ指令とし、第1,第2,第4切替スイッチ60,62,66をオフ状態に切り替える。
【0063】
続くステップS18において、第1インバータ20及び第2インバータ30をC-Yモードに切り替え、放電時切替制御処理を終了する。これにより、キャパシタ42の残容量Ccapを優先的に使用してキャパシタ42から回転電機10に電力が供給される。
【0064】
一方、キャパシタ42の電圧Vcapが第1閾値電圧Vth1よりも小さい場合、キャパシタ42の残容量Ccapがキャパシタ入力時閾値よりも小さく、キャパシタ42のみを用いて回転電機10に電力供給できないことから、ステップS12で否定判定する。この場合、ステップS20において、バッテリ40の残容量Cbatがバッテリ入力時閾値よりも大きいかを判定する。具体的には、残容量Cbatの算出に用いるバッテリ40の電圧Vbatが、バッテリ入力時閾値としての第2閾値電圧Vth2よりも大きいかを判定する。ここで、第2閾値電圧Vth2は、バッテリ40のみを用いて車両を退避位置等に移動させることが可能な電圧に設定されている。
【0065】
バッテリ40の電圧Vbatが第2閾値電圧Vth2よりも大きい場合、バッテリ40の残容量Cbatがバッテリ入力時閾値よりも大きく、バッテリ40の残容量Cbatに余裕があることから、ステップS20で肯定判定する。この場合、ステップS22において、第3,第4切替信号SC3,SC4をオン指令とし、第3,第4切替スイッチ64,66をオン状態に切り替える。続くステップS24において、第1,第2切替信号SC1,SC2をオフ指令とし、第1,第2切替スイッチ60,62をオフ状態に切り替える。
【0066】
続くステップS26において、第1インバータ20及び第2インバータ30をB-Y充電モードに切り替え、放電時切替制御処理を終了する。これにより、バッテリ40から回転電機10に電力が供給されるとともに、余裕があるバッテリ40の残容量Cbatを用いてキャパシタ42を充電できる。
【0067】
バッテリ40の電圧Vbatが第2閾値電圧Vth2よりも小さい場合、バッテリ40の残容量Cbatがバッテリ入力時閾値よりも小さく、バッテリ40の残容量Cbatに余裕がないことから、ステップS20で否定判定する。この場合、ステップS28において、第4切替信号SC4をオン指令とし、第4切替スイッチ66をオン状態に切り替える。続くステップS30において、第1~第3切替信号SC1~SC3をオフ指令とし、第1~第3切替スイッチ60~64をオフ状態に切り替える。
【0068】
続くステップS32において、第1インバータ20及び第2インバータ30をB-Yモードに切り替え、放電時切替制御処理を終了する。これにより、バッテリ40の残容量Cbatの消費を抑制しつつ、バッテリ40から回転電機10に電力が供給される。
【0069】
一方、ステップS10で否定判定すると、ステップS42において、ステップS12と同様に、キャパシタ42の残容量Ccapがキャパシタ入力時閾値よりも大きいかを判定する。ステップS42で否定判定すると、ステップS44において、第1,第2,第4切替信号SC1,SC2,SC4をオン指令とし、第1,第2,第4切替スイッチ60,62,66をオン状態に切り替える。続くステップS46において、第3切替信号SC3オフ指令とし、第3切替スイッチ64をオフ状態に切り替える。なお、本実施形態において、ステップS12,S42の処理が「切替制御部」に相当する。
【0070】
続くステップS48において、第1インバータ20及び第2インバータ30をB-Hモードに切り替え、放電時切替制御処理を終了する。これにより、バッテリ40から回転電機10に電力が供給され、キャパシタ42の残容量Ccapが少ない場合でも、バッテリ40を用いて回転電機10の駆動を継続させることができる。
【0071】
ステップS42で肯定判定すると、ステップS50において、ステップS20と同様に、バッテリ40の残容量Cbatがバッテリ入力時閾値よりも大きいかを判定する。ステップS50で否定判定すると、ステップS52において、第1~第3切替信号SC1~SC3をオン指令とし、第1~第3切替スイッチ60~64をオン状態に切り替える。続くステップS54において、第4切替信号SC4をオフ指令とし、第4切替スイッチ66をオフ状態に切り替える。
【0072】
続くステップS56において、第1インバータ20及び第2インバータ30をC-Hモードに切り替え、放電時切替制御処理を終了する。これにより、キャパシタ42の残容量Ccapを優先的に使用してキャパシタ42から回転電機10に電力が供給される。
【0073】
ステップS50で肯定判定すると、ステップS58において、第3,第4切替信号SC3,SC4をオン指令とし、第3,第4切替スイッチ64,66をオン状態に切り替える。続くステップS60において、第1,第2切替信号SC1,SC2をオフ指令とし、第1,第2切替スイッチ60,62をオフ状態に切り替える。
【0074】
続くステップS62において、第1インバータ20及び第2インバータ30を2Yモードに切り替え、放電時切替制御処理を終了する。これにより、高回転状態において、第1インバータ20及び第2インバータ30におけるスイッチング損失を抑制しつつ、バッテリ40及びキャパシタ42から回転電機10に電力を供給できる。
【0075】
また、
図9は、回転電機10の回生駆動中、つまり、回転電機10からバッテリ40とキャパシタ42との少なくとも一方に電力が出力される電力出力状態において、制御装置50により所定周期で繰り返し実施される充電時切替制御処理である。
【0076】
充電時切替制御処理を開始すると、まずステップS70において、回転電機10の状態が低回転状態であるかを判定する。ステップS70で肯定判定すると、ステップS71において、キャパシタ42の残容量Ccapがキャパシタ出力時閾値よりも小さいかを判定する。具体的には、残容量Ccapの算出に用いるキャパシタ42の電圧Vcapが、キャパシタ出力時閾値としての基準電圧Vkよりも小さいかを判定する。ここで、基準電圧Vkは、キャパシタ42を満充電した場合における電圧に設定されている。
【0077】
キャパシタ42の電圧Vcapが基準電圧Vkよりも小さい場合、キャパシタ42は満充電状態ではなく、キャパシタ42を充電可能であることから、ステップS70で肯定判定する。この場合、ステップS72において、第3切替信号SC3をオン指令とし、第3切替スイッチ64をオン状態に切り替える。続くステップS74において、第1,第2,第4切替信号SC1,SC2,SC4をオフ指令とし、第1,第2,第4切替スイッチ60,62,66をオフ状態に切り替える。
【0078】
続くステップS76において、第1インバータ20及び第2インバータ30をC-Yモードに切り替え、充電時切替制御処理を終了する。これにより、回転電機10からキャパシタ42に優先的に電力が供給される。
【0079】
一方、キャパシタ42の電圧Vcapが基準電圧Vkである場合、キャパシタ42は満充電状態であり、キャパシタ42を充電できないことから、ステップS70で否定判定する。この場合、ステップS78において、第4切替信号SC4をオン指令とし、第4切替スイッチ66をオン状態に切り替える。続くステップS80において、第1~第3切替信号SC1~SC3をオフ指令とし、第1~第3切替スイッチ60~64をオフ状態に切り替える。
【0080】
続くステップS82において、第1インバータ20及び第2インバータ30をB-Yモードに切り替え、充電時切替制御処理を終了する。これにより、回転電機10からバッテリ40に電力が供給され、キャパシタ42の残容量Ccapが多い場合でも、バッテリ40を用いて回転電機10からの電力回収を継続させることができる。
【0081】
一方、ステップS70で否定判定すると、ステップS84において、ステップS71と同様に、キャパシタ42の残容量Ccapがキャパシタ出力時閾値よりも小さいかを判定する。ステップS84で否定判定すると、ステップS86において、第1,第2,第4切替信号SC1,SC2,SC4をオン指令とし、第1,第2,第4切替スイッチ60,62,66をオン状態に切り替える。続くステップS88において、第3切替信号SC3オフ指令とし、第3切替スイッチ64をオフ状態に切り替える。
【0082】
続くステップS90において、第1インバータ20及び第2インバータ30をB-Hモードに切り替え、充電時切替制御処理を終了する。これにより、高回転状態において、バッテリ40を用いて回転電機10からの電力回収を継続させることができる。なお、本実施形態において、B-Hモード、B-Yモードは、「第2電力出力状態」の一例である。
【0083】
ステップS84で肯定判定すると、ステップS92において、第1~第3切替信号SC1~SC3をオン指令とし、第1~第3切替スイッチ60~64をオン状態に切り替える。続くステップS94において、第4切替信号SC4をオフ指令とし、第4切替スイッチ66をオフ状態に切り替える。
【0084】
続くステップS96において、第1インバータ20及び第2インバータ30をC-Hモードに切り替え、充電時切替制御処理を終了する。これにより、高回転状態において、回転電機10からキャパシタ42に優先的に電力が供給される。なお、本実施形態において、C-Hモード、C-Yモードは、「第1電力出力状態」の一例である。
【0085】
続いて、
図11に、放電時切替制御処理における電力供給モードの推移を示す。ここで、
図11(A)は、回転電機10の低回転状態における電力供給モードの推移を示し、
図11(B)は、回転電機10の高回転状態における電力供給モードの推移を示す。
図11(A),(B)において、(a)は、車両のIGスイッチの状態の推移を示し、(b)は、回転電機10の回転速度NEの推移を示し、(c)は、キャパシタ42の電圧Vcapの推移を示し、(d)は、バッテリ40の電圧Vbatの推移を示し、(e)は、電力供給モードの推移を示す。
【0086】
図11(A)に示すように、車両の起動前において、キャパシタ42は完全に放電されており、電圧Vcapは第1閾値電圧Vth1よりも小さいゼロとなっている。また、バッテリ40には、バッテリ入力時閾値よりも多くの残容量Cbatが充電されており、電圧Vbatは第2閾値電圧Vth2よりも大きい第1初期電圧Vs1となっている。
【0087】
時刻t1に車両のIGスイッチがオン状態に切り替わり、車両が起動されると、回転電機10の状態は低回転状態となる。この場合、電圧Vcapが第1閾値電圧Vth1よりも小さく、且つ電圧Vbatが第2閾値電圧Vth2よりも大きいことから、電力供給モードがB-Y充電モードとなる。
【0088】
B-Y充電モードは、キャパシタ42が満充電となるまで継続される。そして、時刻t2にキャパシタ42が満充電となり、電圧Vcapが基準電圧Vkとなると、電圧Vcapが第1閾値電圧Vth1よりも大きくなることから、電力供給モードがC-Yモードに切り替わる。内部抵抗が小さいキャパシタ42から優先的に放電させることで、システム全体のエネルギ効率を向上させることができる。
【0089】
C-Yモードは、残容量Ccapがキャパシタ入力時閾値となるまで継続される。そして、時刻t3に残容量Ccapがキャパシタ入力時閾値となり、電圧Vcapが第1閾値電圧Vth1よりも小さくなると、時刻t3において電圧Vbatは第2閾値電圧Vth2よりも大きいことから、電力供給モードが再びB-Y充電モードに切り替わる。B-Y充電モードに切り替わることで、キャパシタ42の残容量Ccapが少なくなった場合でも、バッテリ40を用いて回転電機10の力行駆動を継続させることができる。
【0090】
時刻t3からのB-Y充電モードにおいて、その後の時刻t5にキャパシタ42が満充電となる前の時刻t4に、電圧Vbatが第2閾値電圧Vth2よりも小さくなる。そのため、時刻t5に、キャパシタ42が満充電となって電力供給モードがC-Yモードに切り替わり、その後の時刻t6に、電圧Vcapが第1閾値電圧Vth1よりも小さくなると、電圧Vbatが第2閾値電圧Vth2よりも小さいことから、電力供給モードがB-Yモードに切り替わる。以後、回転電機10の回生駆動が実施されるまで、B-Yモードが継続される。
【0091】
次に、高回転状態における電力供給モードの推移を示す。
図11(B)に示すように、車両が高回転状態となる前において、回転電機10の回生駆動によりキャパシタ42は満充電とされており、電圧Vcapは基準電圧Vkとなっている。また、バッテリ40には、バッテリ入力時閾値よりも多くの残容量Cbatが充電されており、電圧Vbatは第2閾値電圧Vth2よりも大きい第2初期電圧Vs2となっている。
【0092】
時刻t11に回転電機10の状態が高回転状態に切り替わると、電圧Vcapが第1閾値電圧Vth1よりも大きく、且つ電圧Vbatが第2閾値電圧Vth2よりも大きいことから、電力供給モードが2Yモードに切り替わる。
【0093】
2Yモードにおいて、その後の時刻t12に電圧Vbatが第2閾値電圧Vth2よりも小さくなると、時刻t12において電圧Vcapは第1閾値電圧Vth1よりも大きいことから、電力供給モードがC-Hモードに切り替わる。内部抵抗が小さいキャパシタ42から優先的に放電させることで、システム全体のエネルギ効率を向上させることができる。
【0094】
C-Hモードにおいて、その後の時刻t13に電圧Vcapが第1閾値電圧Vth1よりも小さくなると、電力供給モードがB-Hモードに切り替わる。B-Hモードに切り替わることで、キャパシタ42の残容量Ccapが少なくなった場合でも、バッテリ40を用いて回転電機10の力行駆動を継続させることができる。以後、回転電機10の回生駆動が実施されるまで、B-Hモードが継続される。
【0095】
続いて、
図12に、充電時切替制御処理における電力供給モードの推移を示す。ここで、
図12は、
図11(A)と
図11(B)との間に実施される回転電機10の回生駆動における電力供給モードの推移のうち、低回転状態における電力供給モードの推移を示す。
図12における(a)~(e)は、
図11(A),(B)における(a)~(e)と同一であり、重複した説明を省略する。
【0096】
図12に示すように、時刻t21に車両の減速等により回転電機10の駆動が力行駆動から回生駆動に切り替わると、電圧Vcapが第1閾値電圧Vth1よりも小さいことから、電力供給モードがC-Yモードに切り替わる。これにより、車両の減速エネルギがキャパシタ42に充電される。キャパシタ42の充電を優先することで、回転電機10の駆動が再び力行駆動に切り替わった場合に、内部抵抗が小さいキャパシタ42から優先的に放電させることができる。
【0097】
C-Yモードにおいて、その後の時刻t22にキャパシタ42が満充電となり、電圧Vcapが基準電圧Vkとなると、電力供給モードがB-Yモードに切り替わる。これにより、車両の減速エネルギがバッテリ40に充電される。B-Yモードに切り替わることで、キャパシタ42の残容量Ccapが多くなった場合でも、バッテリ40を用いて回転電機10からの電力回収を継続させることができ、システム全体のエネルギ効率を向上させることができる。その後の時刻t23に車両の加速等により回転電機10の駆動が回生駆動から力行駆動に切り替わる。なお、高回転状態における電力供給モードの推移は、低回転状態における電力供給モードの推移におけるC-YモードをC-Hモードとし、B-YモードをB-Hモードとしたものであり、重複した説明を省略する。
【0098】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
【0099】
・本実施形態では、第2電源線LE2に第3切替スイッチ64が設けられており、回転電機10への電力入力状態において、キャパシタ42のVcapが第1閾値電圧Vth1よりも大きい場合には、第3切替スイッチ64をオン状態とする。また、キャパシタ42のVcapが第1閾値電圧Vth1よりも小さくなった場合には、第3切替スイッチ64をオフ状態とし、バッテリ40を用いて回転電機10の力行駆動を継続させる。つまり、キャパシタ42の残容量Ccapを優先的に使用しつつ、キャパシタ42の残容量Ccapが少なくなった場合には、バッテリ40を用いて回転電機10の駆動を継続させる。これにより、システム全体のエネルギ効率を向上させつつ、回転電機10の駆動を継続させることができる。
【0100】
・本実施形態では、第1インバータ20と第2インバータ30との高電位側同士が、高電位側接続線LUにより接続されており、低電位側同士が低電位側接続線LDにより接続されているため、Hブリッチ駆動が可能である。Hブリッチ駆動では、第1インバータ20及び第2インバータ30の両方のスイッチング駆動により、回転電機10の高回転状態を維持させることができる。そのため、高回転状態のバッテリ40による駆動時において、Hブリッチ駆動によりバッテリ40から回転電機10に電力を供給することにより、高回転状態を維持しつつ、回転電機10の駆動を継続させることができる。
【0101】
・本実施形態では、高電位側接続線LUと低電位側接続線LDとの両方にスイッチ60,62が設けられているため、これらのスイッチ60,62のうち少なくとも一方をオフ状態とすることでY結線駆動が可能である。Y結線駆動では、少なくとも一方のインバータ20,30にスイッチング駆動が実施されないため、他方のインバータにおけるスイッチング損失を抑制できる。そのため、低回転状態において、Y結線駆動により回転電機10に電力を供給することにより、スイッチング損失の抑制によりシステム全体のエネルギ効率を向上させることができる。
【0102】
・高電位側接続線LUと低電位側接続線LDとの両方にスイッチ60,62が設けられていると、これらのスイッチ60,62をオフ状態とすることでバッテリ40とキャパシタ42とを直列に接続できる。この場合には、バッテリ40及びキャパシタ42からの電力により高回転状態を維持させることができる。つまり、高回転状態を維持しつつ、バッテリ40及びキャパシタ42を用いて長期間にわたって回転電機10へ電力供給を維持することができ、回転電機への電力供給モードの切り替えにより発生する損失を抑制できる。
【0103】
・また、高電位側接続線LUと低電位側接続線LDとの両方にスイッチ60,62が設けられていると、これらのスイッチ60,62をオフ状態とすることでバッテリ40とキャパシタ42とを並列に接続できる。この場合には、バッテリ40の電力によりキャパシタ42を充電することができ、キャパシタ42の使用頻度を高めることで、システム全体のエネルギ効率を向上させることができる。
【0104】
・本実施形態では、回転電機10からの電力出力状態において、キャパシタ42のVcapが基準電圧Vkよりも小さい場合には、第3切替スイッチ64をオン状態とする。この状態において、キャパシタ42のVcapが基準電圧Vkよりも大きくなった場合には、第3切替スイッチ64をオフ状態とし、バッテリ40を用いて回転電機10からの電力回収を継続させる。これにより、キャパシタ42の優先使用を維持しつつ、システム全体のエネルギ効率を向上させることができる。
【0105】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、
図13に示すように、駆動システム70に第2切替スイッチ62を備えない点で第1実施形態と異なる。
図13において、先の
図1に示した内容と同一の内容については、便宜上、同一の符号を付して説明を省略する。
【0106】
本実施形態では、第2切替スイッチ62を備えないため、電力供給モードとして、B-Y充電モード及び2Yモードを実施することができない。一方、本実施形態では、電力供給モードとして、2Hモードに切り替え可能である。2Hモードは、Hブリッジ駆動により回転電機10に電力を供給する電力供給モードであり、具体的には、B-HモードとC-Hモードとを同時に実施する電力供給モードである。
【0107】
2Hモードでは、第1,第3,第4切替信号SC1,SC3,SC4をオン指令とする。これにより、第1,第3,第4切替スイッチ60,64,66がオン状態に切り替えられ、Hブリッジ駆動によりバッテリ40及びキャパシタ42から回転電機10に電力が供給される。
【0108】
図14に、本実施形態の放電時切替制御処理を示す。なお、
図14において、先の
図8に示した処理と同一の処理については、便宜上、同一のステップ番号を付して説明を省略する。なお、本実施形態の充電時切替制御処理は、第1実施形態と同一である。
【0109】
本実施形態では、第2切替スイッチ62を備えないため、ステップS16,S30,S44,S52,S60の処理から第2切替スイッチ62の記載が削除されている。また、本実施形態では、B-Y充電モードを実施することができないため、ステップS20~S26の処理が削除されている。
【0110】
さらに、本実施形態では、2Yモードに代えて2Hモードが実施される。具体的には、ステップS50で肯定判定すると、ステップS58において、第1,第3,第4切替信号SC1,SC3,SC4をオン指令とし、第1,第3,第4切替スイッチ60,64,66をオン状態に切り替える。
【0111】
続くステップS64において、第1インバータ20及び第2インバータ30を2Hモードに切り替え、放電時切替制御処理を終了する。これにより、Hブリッジ駆動によりバッテリ40及びキャパシタ42から回転電機10に電力が供給される。
【0112】
・以上説明した本実施形態によれば、高回転状態のキャパシタ42による駆動時において、Hブリッチ駆動が維持され、且つバッテリ40の残容量Cbatに応じて回転電機10への電力供給モードが切り替えられる。そのため、高回転状態を維持しつつ、バッテリ40の劣化を抑制できる。
【0113】
(第3実施形態)
以下、第3実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、
図15に示すように、駆動システム70に第3切替スイッチ64を備えない点で異なる。
図15において、先の
図1に示した内容と同一の内容については、便宜上、同一の符号を付して説明を省略する。
【0114】
本実施形態では、第3切替スイッチ64を備えないため、電力供給モードとして、B-Yモード及びB-Hモードを実施することができない。一方、本実施形態では、電力供給モードとして、2Hモードに切り替え可能である。
【0115】
図16に、本実施形態の放電時切替制御処理を示す。なお、
図16において、先の
図8に示した処理と同一の処理については、便宜上、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
【0116】
本実施形態では、第3切替スイッチ64を備えないため、ステップS14,S46の処理が削除されており、ステップS22,S52,S60の処理から第3切替スイッチ64の記載が削除されている。また、本実施形態では、B-Yモードを実施することができないため、ステップS20,S28~S32の処理が削除されている。
【0117】
さらに、本実施形態では、B-Hモードに代えて2Hモードが実施される。具体的には、ステップS42で否定判定すると、ステップS44において、第1,第2,第4切替信号SC1,SC2,SC4をオン指令とし、第1,第2,第4切替スイッチ60,62,66をオン状態に切り替える。
【0118】
続くステップS66において、第1インバータ20及び第2インバータ30を2Hモードに切り替え、放電時切替制御処理を終了する。これにより、Hブリッジ駆動によりバッテリ40及びキャパシタ42から回転電機10に電力が供給される。
【0119】
続いて、
図17に、本実施形態の充電時切替制御処理を示す。なお、
図17において、先の
図9に示した処理と同一の処理については、便宜上、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
【0120】
本実施形態では、第3切替スイッチ64を備えないため、ステップS72,S88の処理が削除されており、ステップS80,S92の処理から第3切替スイッチ64の記載が削除されている。また、本実施形態では、B-Yモードに代えてB-Y充電モードが実施される。つまり、本実施形態では、回転電機10からバッテリ40のみに電力を供給することができないため、充電時切替制御処理にB-Y充電モードが実施される。これにより、回転電機10からバッテリ40に電力が供給されるとともに、キャパシタ42からバッテリ40に電力が供給され、実質的にバッテリ40のみに電力が供給される。
【0121】
具体的には、ステップS70で否定判定すると、ステップS78において、第4切替信号SC4をオン指令とし、第4切替スイッチ66をオン状態に切り替える。続くステップS80において、第1,第2切替信号SC1,SC2をオフ指令とし、第1,第2切替スイッチ60,62をオフ状態に切り替える。
【0122】
続くステップS98において、第1インバータ20及び第2インバータ30をB-Y充電モードに切り替え、充電時切替制御処理を終了する。これにより、回転電機10からバッテリ40及びキャパシタ42に電力が供給されるが、キャパシタ42が満充電となっているため、実質的には回転電機10からバッテリ40のみに電力が供給される。
【0123】
さらに、本実施形態では、B-Hモードに代えて2Hモードが実施される。具体的には、ステップS42で否定判定すると、ステップS86において、第1,第2,第4切替信号SC1,SC2,SC4をオン指令とし、第1,第2,第4切替スイッチ60,62,66をオン状態に切り替える。
【0124】
続くステップS99において、第1インバータ20及び第2インバータ30を2Hモードに切り替え、充電時切替制御処理を終了する。これにより、回転電機10からバッテリ40及びキャパシタ42に電力が供給されるが、キャパシタ42が満充電となっているため、実質的には回転電機10からバッテリ40のみに電力が供給される。
【0125】
・以上説明した本実施形態によれば、第1電源線LE1に第4切替スイッチ66が設けられており、回転電機10への電力入力状態において、キャパシタ42のVcapが第1閾値電圧Vth1よりも大きい場合には、第4切替スイッチ66をオフ状態とする。この状態において、キャパシタ42のVcapが第1閾値電圧Vth1よりも小さくなった場合には、第4切替スイッチ66をオン状態とし、バッテリ40を用いて回転電機10の力行駆動を継続させる。つまり、キャパシタ42の残容量Ccapを優先的に使用しつつ、キャパシタ42の残容量Ccapが少なくなった場合には、バッテリ40を用いて回転電機10の駆動を継続させる。これにより、システム全体のエネルギ効率を向上させつつ、回転電機10の駆動を継続させることができる。
【0126】
・本実施形態では、回転電機10からの電力出力状態において、キャパシタ42のVcapが基準電圧Vkよりも小さい場合には、第4切替スイッチ66をオフ状態とする。この状態において、キャパシタ42のVcapが基準電圧Vkよりも大きくなった場合には、第4切替スイッチ66をオン状態とし、バッテリ40を用いて回転電機10からの電力回収を継続させる。これにより、キャパシタ42の優先使用を維持しつつ、システム全体のエネルギ効率を向上させることができる。
【0127】
(その他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
【0128】
・上記各実施形態では、駆動システム70に第1~第4切替スイッチ60~66を備える形態、第1,第3,第4切替スイッチ60,64,66を備える形態、及び第1,第2,第4切替スイッチ60,62,66を備える形態について説明したが、これに限られない。
【0129】
・
図18に、第1~第3切替スイッチ60~64を備える駆動システム70を示す。
図18に示す駆動システム70では、第4切替スイッチ66を備えないため、電力供給モードとして、C-Yモード及びC-Hモードを実施することができず、B-Hモード、2Hモード、B-Yモード、B-Y充電モード、2Yモードに切り替え可能である。
【0130】
・
図19に、第1,第3切替スイッチ60,64を備える駆動システム70を示す。
図19に示す駆動システム70では、第2,第4切替スイッチ62,66を備えないため、電力供給モードとして、C-Hモード、C-Yモード、B-Y充電モード、2Yモードを実施することができず、B-Hモード、2Hモード、B-Yモードに切り替え可能である。
【0131】
・
図20に、第1,第4切替スイッチ60,66を備える駆動システム70を示す。
図20に示す駆動システム70では、第2,第3切替スイッチ62,64を備えないため、電力供給モードとして、B-Hモード、B-Yモード、B-Y充電モード、2Yモードを実施することができず、C-Hモード、2Hモード、C-Yモードに切り替え可能である。
【0132】
・
図21に、第3,第4切替スイッチ64,66を備える駆動システム70を示す。
図21に示す駆動システム70では、第1,第2切替スイッチ60,62を備えないため、電力供給モードとして、B-Yモード、C-Yモード、B-Y充電モード、2Yモードを実施することができず、B-Hモード、C-Hモード、2Hモードに切り替え可能である。
【0133】
・
図22に、第3切替スイッチ64を備える駆動システム70を示す。
図22に示す駆動システム70では、第1,第2,第4切替スイッチ60,62,66を備えないため、電力供給モードとして、C-Hモード、B-Yモード、C-Yモード、B-Y充電モード、2Yモードを実施することができず、B-Hモード、2Hモードに切り替え可能である。
【0134】
・
図23に、第4切替スイッチ66を備える駆動システム70を示す。
図23に示す駆動システム70では、第1~第3切替スイッチ60~64を備えないため、電力供給モードとして、B-Hモード、B-Yモード、C-Yモード、B-Y充電モード、2Yモードを実施することができず、C-Hモード、2Hモードに切り替え可能である。
【0135】
・上記各実施形態では、スイッチング駆動としてPWM駆動を例示したが、これに限られない。例えば、矩形駆動が実施されてもよい。矩形駆動は、電気角1周期においてデットタイムを挟みつつ上,下アームスイッチをそれぞれ1回ずつオン状態とし、各相の上,下アームスイッチのスイッチングパターンが120°ずつずれるように制御する駆動である。また、過変調駆動が実施されてもよい。過変調駆動は、回転電機10への出力電圧の最大値がバッテリ40の電圧Vbatの2/π倍となるように、複数のキャリア周期にわたって各相の上,下アームスイッチをオンにし続ける制御である駆動である。
【0136】
・第1インバータ20及び第2インバータ30が備えるスイッチとしては、IGBTに限らず、例えばMOSFETであってもよい。この場合、スイッチに逆接続されるダイオードとしてMOSFETのボディダイオードを用いることができ、MOSFETとは別にフリーホイールダイオードを用いる必要がない。
【0137】
・回転電機10としては、3相のものに限らず、2相または4相以上のものであってもよい。第1インバータ20及び第2インバータ30としては、回転電機10が有する相数分の上,下アームスイッチの直列接続体を備えるインバータであればよい。例えば、2相の場合、互いに直列接続された1組目の上,下アームスイッチの接続点と、互いに直列接続された2組目の上,下アームスイッチの接続点とが、誘導性負荷(例えば巻線)を介して接続されることとなる。
【0138】
・本開示に記載の制御装置及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御装置及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御装置及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0139】
20…第1インバータ、30…第2インバータ、40…バッテリ、42…キャパシタ、64…第3切替スイッチ、70…駆動システム、100…回転電機システム。