(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-22
(45)【発行日】2023-03-03
(54)【発明の名称】基板処理方法および基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/306 20060101AFI20230224BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
H01L21/306 R
H01L21/304 648G
H01L21/304 643A
H01L21/304 651M
H01L21/304 651L
H01L21/304 651A
(21)【出願番号】P 2019100238
(22)【出願日】2019-05-29
【審査請求日】2021-12-23
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 弘晃
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼岡 誠
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-046105(JP,A)
【文献】特開2017-183512(JP,A)
【文献】特開2018-142678(JP,A)
【文献】特開2018-121045(JP,A)
【文献】特開平08-139084(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/306
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板保持ユニットによって保持されている基板を、前記基板の中央部を通る回転軸線まわりに回転させる基板回転工程と、
前記基板回転工程に並行して、前記基板の表面外周部に設けられた着液位置に対し前記基板の回転半径方向の内側に配置された吐出口から前記着液位置に向けて処理液を吐出して、前記表面外周部を、処理液を用いて処理する外周部処理工程と、
前記基板の前記表面外周部の高さ歪を取得する高さ歪取得工程と、
前記高さ歪取得工程によって取得された前記高さ歪に基づいて、前記吐出口から吐出される処理液の吐出方向を一定に保ちながら、前記着液位置に供給された処理液の内周位置を調整する内周位置調整工程と、
前記基板回転工程および前記外周部処理工程に並行して、前記基板のうち少なくとも外周部を加熱する基板加熱工程と、を含み、
前記高さ歪取得工程が、前記基板加熱工程の開始からの経過時間に基づいて、前記表面外周部の前記高さ歪を演算する加熱高さ歪演算工程を含み、
前記内周位置調整工程が、前記加熱高さ歪演算工程によって求められた前記高さ歪に基づいて前記内周位置を調整する工程を含む、基板処理方法。
【請求項2】
前記加熱高さ歪演算工程が、前記基板加熱工程の開始からの経過時間と前記表面外周部の高さ歪であって前記基板の表面に直交する方向への前記基板の表面中央部に対する前記基板の前記表面外周部の変位を表す高さ歪との対応関係を参照しながら、前記高さ歪を求める工程を含む、請求項
1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記対応関係が、前記基板処理方法が実現される基板処理装置を用いた実験によって求められている、請求項
2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記基板加熱工程が、ヒータを、前記基板を当該基板の裏面側から少なくとも輻射熱によって加熱可能な加熱位置に配置するヒータ配置工程を含む、請求項
1~
3のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記内周位置調整工程が、前記吐出方向を一定に保ちながら、前記着液位置を、前記基板の表面に沿う方向であって当該着液位置における接線方向に交差する移動方向に移動させる工程を含む、請求項1~
4のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記内周位置調整工程が、前記吐出方向を一定に保ちながら、前記吐出口から吐出される処理液の吐出流量を変更する工程を含む、請求項1~
5のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項7】
前記内周位置調整工程が、前記吐出方向を一定に保ちながら、前記着液位置に供給された処理液に対し、前記基板の回転半径方向の内側から吹き付けられる気体の吹き付け流量を変更する工程を含む、請求項1~
6のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項8】
前記高さ歪取得工程が、
前記基板の前記表面外周部の円周方向の複数位置のそれぞれにおける前記高さ歪の平均を取得する工程を含む、請求項1~
7のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項9】
前記基板保持ユニットが、前記基板の外周部を支持せずに前記基板の中央部を支持して前記基板を保持するユニットを含む、請求項1~
8のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項10】
基板を保持する基板保持ユニットと、
前記基板保持ユニットによって保持されている前記基板を、前記基板の中央部を通る回転軸線まわりに回転させるための基板回転ユニットと、
前記基板保持ユニットによって保持されている前記基板の表面外周部に対し、前記基板の回転半径方向の内側に配置された吐出口を有する処理液ノズルと、
前記処理液ノズルに処理液を供給するための処理液供給ユニットと、
前記基板の前記表面外周部の高さ歪を取得するための高さ歪取得ユニットと、
前記基板の前記表面外周部に設けられた着液位置に供給された処理液の内周位置を調整するための内周位置調整ユニットと、
前記基板のうち少なくとも外周部を加熱する加熱ユニットと、
前記基板回転ユニット、前記処理液供給ユニット、前記高さ歪取得ユニット、前記内周位置調整ユニットおよび前記加熱ユニットを制御する制御装置と、を含み、
前記制御装置が、前記基板保持ユニットによって保持されている前記基板を、前記基板の中央部を通る回転軸線まわりに、前記基板回転ユニットによって回転させる基板回転工程と、前記基板回転工程に並行して、前記着液位置に向けて前記吐出口から処理液を吐出して、前記表面外周部を、処理液を用いて処理する外周部処理工程と、前記基板の前記表面外周部の高さ歪を、前記高さ歪取得ユニットによって取得する高さ歪取得工程と、前記高さ歪取得工程によって取得された高さ歪に基づいて、前記吐出口から吐出される処理液の吐出方向を一定に保ちながら、前記内周位置調整ユニットによって、前記着液位置に供給された処理液の内周位置を調整する内周位置調整工程と、前記基板回転工程および前記外周部処理工程に並行して、前記基板のうち少なくとも外周部を加熱する基板加熱工程と、を実行し、
前記制御装置が、前記高さ歪取得工程において、前記基板加熱工程の開始からの経過時間に基づいて、前記表面外周部の前記高さ歪を演算する加熱高さ歪演算工程を実行し、
前記制御装置が、前記内周位置調整工程において、前記加熱高さ歪演算工程によって求められた前記高さ歪に基づいて前記内周位置を調整する工程を実行する、基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板処理方法および基板処理装置に関する。処理対象になる基板の例には、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、有機EL(Electroluminescence)表示装置などのFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体装置や液晶表示装置などの製造工程では、半導体ウエハや液晶表示装置用ガラス基板などの基板の外周部に対してエッチング液を用いた処理(外周部エッチング)が行われる。基板を1枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置は、たとえば、基板を水平に保持して回転させるスピンチャックと、スピンチャックに保持されている基板の上面外周部に向けてエッチング液を吐出する処理液ノズルと、を備えている(下記特許文献1参照)。
【0003】
スピンチャックに支持されている基板に反りが発生していることがある。基板に反りが発生していると、基板の外周部が、基板の中央部(この場合、基板の中心付近)に対し、上下方向に変位している。基板の外周部の高さ位置が、基板の中央に対し、上下方向に変位している。基板の表面外周部の高さ位置が、所期の高さ位置からずれていると、基板の表面外周部におけるエッチング幅が、所期幅からずれるおそれがある。
【0004】
下記特許文献1には、このような、エッチング幅の所期幅からの変動を抑制すべく、基板の上面外周部の各部の高さ歪の大きさに応じて、吐出口から吐出される処理液の吐出方向(基板の上面外周部に設定された着液位置における入射角度)を変更するものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、着液位置における入射角度は、外周部エッチング後のパーティクル性能を最適に保つことができるような角度に設定されている。そのため、特許文献1のように、基板の表面外周部の各部の高さ歪の大きさを検出し、検出した各部の高さ変動に応じて着液位置における入射角度を変更するようにすると、エッチング幅(すなわち、処理幅)の均一性を保つことができる反面、外周部処理(外周部エッチング)後のパーティクル性能を最適に保つことができないおそれがある。
【0007】
この発明は、そのような背景の下でなされたものであり、基板の表面外周部における処理幅を精密に制御でき、かつ外周部処理後における基板の表面外周部へのパーティクルの付着を抑制または防止できる基板処理方法および基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の一実施形態は、基板保持ユニットによって保持されている前記基板を、前記基板の中央部を通る回転軸線まわりに回転させる基板回転工程と、前記基板回転工程に並行して、前記基板の表面外周部に設けられた着液位置に対し前記基板の回転半径方向の内側に配置された吐出口から前記着液位置に向けて処理液を吐出して、前記表面外周部を、処理液を用いて処理する外周部処理工程と、前記基板の前記表面外周部の高さ歪を取得する高さ歪取得工程と、前記高さ歪取得工程によって取得された前記高さ歪に基づいて、前記吐出口から吐出される処理液の吐出方向を一定に保ちながら、前記着液位置に供給された処理液の内周位置を調整する内周位置調整工程と、を含む、基板処理方法を提供する。
【0009】
この方法によれば、取得された表面外周部の高さ歪に基づいて、着液位置に供給された処理液(以下、単に「着液処理液」という場合がある)の内周位置が調整される。そのため、着液処理液の内周位置を、基板の反り具合に応じた位置に調整することが可能である。この調整により、着液処理液によって形成される液膜の幅(以下、単に「液幅」という)を精密に制御することが可能である。
【0010】
また、処理液の吐出方向を一定に保ちながら、着液処理液の内周位置を調整するので、吐出口から吐出される処理液が着液位置に入射するときの入射角度を、パーティクル性能の高い最適な角度の近傍の角度に保ち続けることが可能である。したがって、外周部処理後における、基板の表面外周部へのパーティクルの付着を抑制または防止することが可能である。
【0011】
これにより、基板の表面外周部における処理幅を精密に制御でき、かつ外周部処理後における基板の表面外周部へのパーティクルの付着を抑制または防止できる基板処理方法を提供できる。
前記高さ歪取得工程において取得される前記高さ歪が、前記基板の表面に直交する方向への前記基板の表面中央部に対する前記基板の前記表面外周部の変位を表してもよい。
この発明の一実施形態では、前記内周位置調整工程が、前記着液位置に供給された処理液(すなわち、着液処理液)の内周位置の内周位置を、所期位置に近づくように調整する工程を含む。
【0012】
この方法によれば、内周位置調整工程において、着液処理液の内周位置が、所期位置に近づくように調整される。そのため、処理幅を所定幅に保つことができる。
この発明の一実施形態では、前記内周位置調整工程が、前記吐出方向を一定に保ちながら、前記着液位置を、前記基板の表面に沿う方向であって当該着液位置における接線方向に交差する移動方向に移動させる工程を含む。
【0013】
この方法によれば、取得された表面外周部の高さ歪に基づいて、着液位置が移動方向に移動される。移動方向への着液位置の移動により、着液処理液の内周位置を比較的容易に調整できる。これにより、着液処理液の内周位置の精密な制御を、比較的容易に実現できる。
この発明の一実施形態では、前記内周位置調整工程が、前記吐出方向を一定に保ちながら、前記吐出口から吐出される処理液の吐出流量を変更する工程を含む。
【0014】
この方法によれば、取得された表面外周部の高さ歪に基づいて、処理液の吐出流量が変更される。処理液の吐出流量の変更により、着液処理液の内周位置を比較的容易に調整できる。これにより、着液処理液の内周位置の精密な制御を、比較的容易に実現できる。
この発明の一実施形態では、前記内周位置調整工程が、前記吐出方向を一定に保ちながら、着液位置に供給された処理液(すなわち、着液処理液)に対し、前記基板の回転半径方向の内側から吹き付けられる気体の吹き付け流量を変更する工程を含む。
【0015】
この方法によれば、取得された表面外周部の高さ歪に基づいて、基板の回転半径方向の内側から着液処理液に吹き付けられる気体の吹き付け流量が変更される。吹き付け流量の変更により、着液処理液の内周位置を比較的容易に調整できる。これにより、着液処理液の内周位置の精密な制御を、比較的容易に実現できる。
この発明の一実施形態では、前記高さ歪取得工程が、前記基板の前記表面外周部の円周方向の複数位置のそれぞれにおける前記高さ歪の平均を取得する工程と、を含む。
【0016】
基板に保持されている基板の反り具合や反りの方向が、基板の円周方向に関してばらつく場合がある。
この方法によれば、表面外周部の円周方向の複数位置における高さ歪の平均が、基板の表面外周部の高さ歪として取得される。そのため、反り後の基板の反り具合や反りの方向が、基板の円周方向に関してばらつく場合であっても、上面外周部の高さ歪として、最適な値を取得できる。
【0017】
この発明の一実施形態では、前記基板回転工程および前記外周部処理工程に並行して、前記基板のうち少なくとも外周部を加熱する基板加熱工程を、さらに含み、前記高さ歪取得工程が、前記基板加熱工程の進行に伴う前記基板の反りに起因する前記高さ歪を取得する工程を含む。
この方法によれば、基板加熱工程の進行に伴う基板の反りに起因する高さ歪が取得され、取得された、基板の加熱の進行に伴って増大する高さ歪に基づいて着液処理液の内周位置が調整される。
【0018】
基板加熱工程の進行に伴って、基板の反り量が増大し、高さ歪が変化(たとえば増大)する。基板加熱工程の進行に伴う高さ歪に基づいて着液処理液の内周位置を調整することにより、基板加熱工程において、基板加熱工程の進行による基板の反りの増大に拘わらず、着液処理液の内周位置を所期位置に保つことが可能である。これにより、着液処理液の内周位置の精密な制御を、良好に実現できる。
【0019】
この発明の一実施形態では、前記基板加熱工程が、ヒータを、前記基板を当該基板の裏面側から少なくとも輻射熱によって加熱可能な加熱位置に配置するヒータ配置工程を含む。
この方法によれば、ヒータが加熱位置に配置されることにより、基板が、少なくとも輻射熱によって、基板の裏面側から加熱される。これにより、基板の表面外周部における処理レートを向上させることができる。
【0020】
この発明の一実施形態では、前記高さ歪取得工程が、前記基板加熱工程に並行して、前記表面外周部の高さ歪を監視する高さ歪監視工程を含む。そして、前記内周位置調整工程が、前記高さ歪監視工程における高さ歪の監視結果に基づいて前記内周位置を調整する工程を含む。
この方法によれば、外周部処理工程において、表面外周部の高さ歪が監視される。そして、高さ歪の監視結果に基づいて、着液処理液の内周位置が調整される。すなわち、表面外周部の高さ歪の変化に応じて、着液処理液の内周位置をリアルタイムに調整できる。実際の計測に基づいて着液処理液の内周位置を調整するので、着液処理液の内周位置を精度良く調整できる。
【0021】
この発明の一実施形態では、前記高さ歪取得工程が、前記基板加熱工程の開始からの経過時間に基づいて、前記表面外周部の前記高さ歪を演算する加熱高さ歪演算工程を含む。そして、前記内周位置調整工程が、前記加熱高さ歪演算工程によって求められた前記高さ歪に基づいて前記内周位置を調整する工程を含む。
この方法によれば、表面外周部の高さ歪を、基板加熱工程の開始からの経過時間に基づいて演算によって求める。すなわち、外周部処理工程において、表面外周部の高さ歪を監視しておく必要がない。つまり、外周部処理工程において表面外周部の高さ歪を計測することなく、着液処理液の内周位置を高精度に調整することが可能である。
【0022】
この発明の一実施形態では、前記加熱高さ歪演算工程が、前記基板加熱工程の開始からの経過時間と前記表面外周部の高さ歪との対応関係を参照しながら、前記高さ歪を求める工程を含む。
この方法によれば、対応関係を参照することにより、表面外周部の高さ歪が算出される。これにより、表面外周部の高さ歪を計測することなく、表面外周部の高さ歪を取得することが可能である。
前記対応関係の前記高さ歪が、前記基板の表面に直交する方向への前記基板の表面中央部に対する前記基板の前記表面外周部の変位を表していてもよい。
【0023】
この発明の一実施形態では、前記対応関係が、前記基板処理方法が実現される基板処理装置を用いた実験によって求められている。
この方法によれば、基板処理方法が実現される基板処理装置を用いた実験によって対応関係が求められているので、表面外周部の高さ歪を、より一層精度良く取得できる。
この発明の一実施形態では、前記基板保持ユニットが、前記基板の外周部を支持せずに前記基板の中央部を支持して前記基板を保持するユニットを含む。
【0024】
この方法によれば、基板保持ユニットによって基板の外周部ではなく基板の中央部が支持される。上下方向に変位していても、基板保持ユニットによって基板の中央部ではなく基板の外周部を支持する場合には、基板保持ユニットによる支持によって、基板の外周部の変位の大きさが、幾分緩和される。しかしながら、基板保持ユニットによって基板の外周部ではなく基板の中央部が支持される場合には、基板の外周部の変位の大きさが、基板保持ユニットによる支持によって緩和されることはない。
【0025】
この場合であっても、吐出方向を一定に保ちながら、取得された表面外周部の高さ歪に基づいて着液処理液の内周位置を調整することにより、基板の表面外周部における処理幅を精密に制御でき、かつ外周部処理後における基板の表面外周部へのパーティクルの付着を抑制または防止できる。
また、この発明の一実施形態は、基板を保持する基板保持ユニットと、前記基板保持ユニットによって保持されている前記基板を、前記基板の中央部を通る回転軸線まわりに回転させるための基板回転ユニットと、前記基板保持ユニットによって保持されている前記基板の表面外周部に対し、前記基板の回転半径方向の内側に配置された吐出口を有する処理液ノズルと、前記処理液ノズルに処理液を供給するための処理液供給ユニットと、前記基板の前記表面外周部の高さ歪を取得するための高さ歪取得ユニットと、前記基板の前記表面外周部に設けられた着液位置に供給された処理液(すなわち、着液処理液)の内周位置を調整するための内周位置調整ユニットと、前記基板回転ユニット、前記処理液供給ユニット、前記高さ歪取得ユニットおよび前記内周位置調整ユニットを制御する制御装置と、を含む、基板処理装置を提供する。そして、前記制御装置が、前記基板保持ユニットによって保持されている前記基板を、前記基板の中央部を通る回転軸線まわりに、前記基板回転ユニットによって回転させる基板回転工程と、前記基板回転工程に並行して、前記着液位置に向けて前記吐出口から処理液を吐出して、前記表面外周部を、処理液を用いて処理する外周部処理工程と、前記基板の前記表面外周部の前記高さ歪を、前記高さ歪取得ユニットによって取得する高さ歪取得工程と、前記高さ歪取得工程によって取得された前記高さ歪に基づいて、前記吐出口から吐出される処理液の吐出方向を一定に保ちながら、前記内周位置調整ユニットによって、前記着液位置に供給された処理液(すなわち、着液処理液)の内周位置を調整する内周位置調整工程と、を実行する。
【0026】
この構成によれば、取得された表面外周部の高さ歪に基づいて、着液処理液の内周位置が調整される。そのため、着液処理液の内周位置を、基板の反り具合に応じた位置に調整することが可能である。この調整により、液幅を精密に制御することが可能である。
また、処理液の吐出方向を一定に保ちながら、着液処理液の内周位置を調整するので、吐出口から吐出される処理液が着液位置に入射するときの入射角度を、パーティクル性能の高い最適な角度の近傍の角度に保ち続けることが可能である。したがって、外周部処理後における、基板の表面外周部へのパーティクルの付着を抑制または防止することが可能である。
【0027】
これにより、基板の表面外周部における処理幅を精密に制御でき、かつ外周部処理後における基板の表面外周部へのパーティクルの付着を抑制または防止できる基板処理装置を提供できる。
前記基板処理装置が、前記基板のうち少なくとも外周部を加熱する加熱ユニットをさらに備えていてもよい。前記制御装置が、前記加熱ユニットをさらに制御してもよい。前記制御装置が、前記基板回転工程および前記外周部処理工程に並行して、前記基板のうち少なくとも外周部を前記加熱ユニットによって加熱する基板加熱工程をさらに実行してもよい。前記制御装置が、前記高さ歪取得工程において、前記基板加熱工程の開始からの経過時間に基づいて、前記表面外周部の前記高さ歪を演算する加熱高さ歪演算工程を実行してもよい。前記制御装置が、前記内周位置調整工程において、前記加熱高さ歪演算工程によって求められた前記高さ歪に基づいて前記内周位置を調整する工程を実行してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置の内部のレイアウトを説明するための図解的な平面図である。
【
図2】
図2は、前記基板処理装置に備えられた処理ユニットの構成例を説明するための図解的な断面図である。
【
図3】
図3は、基板の上面外周部に向けて処理液ノズルから処理液を吐出している状態を示す断面図である。
【
図4】
図4は、スピンチャックによる保持対象の基板に、反りが発生している第1の態様を示す断面図である。
【
図5】
図5は、スピンチャックによる保持対象の基板に、反りが発生している第2の態様を示す断面図である。
【
図6A-6C】
図6A~6Cは、スピンチャックによる保持対象の基板に、反りが発生している第3の態様を示す断面図である。
【
図7】
図7は、第1の態様を示す基板の上面外周部に向けて処理液ノズルから処理液を吐出している状態を示す断面図である。
【
図8】
図8は、第2の態様を示す基板の上面外周部に向けて処理液ノズルから処理液を吐出している状態を示す断面図である。
【
図9】
図9は、基板の上面外周部の処理幅を示す要部平面図である。
【
図10】
図10は、前記基板処理装置の主要部の電気的構成を説明するためのブロック図である。
【
図11】
図11は、前記処理ユニットによる基板処理例を説明するための流れ図である。
【
図12】
図12は、
図11に示す外周部エッチング工程の前の工程の内容を説明するための模式的な図である。
【
図13】
図13は、前記外周部エッチング工程の内容を説明するための模式的な図である。
【
図15】
図15は、前記外周部エッチング工程におけるエッチング液の吐出状態の一例を示す断面図である。
【
図16】
図16は、前記外周部エッチング工程におけるエッチング液の吐出状態の他の例を示す断面図である。
【
図17】
図17は、本発明の第2の実施形態に係る基板処理装置の主要部の電気的構成を説明するためのブロック図である。
【
図18】
図18は、
図17に示す加熱時間-高さ歪対応テーブル記憶部に記憶される加熱時間-高さ歪対応テーブルの内容を示す図である。
【
図19】
図19は、第2の実施形態に係る処理ユニットによる基板処理例を説明するための流れ図である。
【
図20】
図20は、
図19に示す高さ歪監視工程および着液位置移動工程の内容を説明するための流れ図である。
【
図21】
図21は、前記着液位置移動工程の第1の変形例を説明するための断面図である。
【
図22】
図22は、前記着液位置移動工程の第1の変形例を説明するための断面図である。
【
図23】
図23は、第3の実施形態に係る基板処理装置において実行される外周部エッチング工程におけるエッチング液の吐出状態の一例を示す断面図である。
【
図24】
図24は、第3の実施形態に係る基板処理装置において実行される外周部エッチング工程におけるエッチング液の吐出状態の一例を示す断面図である。
【
図25】
図25は、第4の実施形態に係る基板処理装置において実行される外周部エッチング工程におけるエッチング液の吐出状態の一例を示す断面図である。
【
図26】
図26は、第4の実施形態に係る基板処理装置において実行される外周部エッチング工程におけるエッチング液の吐出状態の一例を示す断面図である。
【0029】
【
図27】
図27は、第4の実施形態に係る基板処理装置において実行される外周部エッチング工程におけるエッチング液の吐出状態の一例を示す断面図である。
【
図28】
図28は、前記着液位置移動工程の第2の変形例を説明するための断面図である。
【
図29】
図29は、前記着液位置移動工程の第2の変形例を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置の内部のレイアウトを説明するための図解的な平面図である。基板処理装置1は、半導体ウエハなどの円板状の基板Wを、処理液や処理ガスを用いて一枚ずつ処理する枚葉式の装置である。
基板処理装置1は、処理液を用いて基板Wを処理する複数の処理ユニット2と、処理ユニット2で処理される複数枚の基板Wを収容するキャリヤCが載置されるロードポートLPと、ロードポートLPと処理ユニット2との間で基板Wを搬送する搬送ロボットIRおよびCRと、基板処理装置1を制御する制御装置3とを含む。搬送ロボットIRは、キャリヤCと搬送ロボットCRとの間で基板Wを搬送する。搬送ロボットCRは、搬送ロボットIRと処理ユニット2との間で基板Wを搬送する。複数の処理ユニット2は、たとえば、同様の構成を有している。
【0031】
図2は、処理ユニット2の構成例を説明するための図解的な断面図である。
図3は、処理位置に配置されている処理液ノズル6から処理液を吐出している状態を示す断面図である。
図2に示すように、処理ユニット2は、基板Wの外周部101(
図3等参照)を、より具体的には基板Wの上面(表面(デバイス形成面))の外周部101(以下、「上面外周部102」(表面外周部)という。
図3等参照)および基板Wの周端面103(
図3等参照)を、処理液(たとえば、薬液およびリンス液)を用いて処理する(トップサイド処理)ユニットである。この実施形態では、外周部101とは、上面外周部102、基板Wの周端面103、および基板Wの下面(裏面)の外周部を含む。また、この実施形態では、上面外周部102は、たとえば、基板Wの上面の外周部のうち、基板Wの周端面103からコンマ数ミリ~数ミリメートル程度の幅を有する環状の領域を指す。
【0032】
図2に示すように、処理ユニット2は、内部空間を有する箱形の処理チャンバ4と、処理チャンバ4内で一枚の基板Wを水平な姿勢で保持して、基板Wの中心を通る鉛直な回転軸線A1まわりに基板Wを回転させるスピンチャック(基板保持ユニット)5と、スピンチャック5によって保持されている基板Wの上面外周部102に向けて処理液を吐出するための処理液ノズル6と、薬液の一例としてのエッチング液を処理液ノズル6に供給するためのエッチング液供給ユニット(処理液供給ユニット)7と、処理液ノズル6にリンス液を供給するためのリンス液供給ユニット(処理液供給ユニット)8と、スピンチャック5によって保持されている基板Wの上面に対向し、基板Wの上面の上方の空間をその周囲の雰囲気から遮断する遮断部材9と、スピンチャック5に保持されている基板Wの下面の下方に対向配置されるホットプレート(ヒータ
、加熱ユニット)10と、スピンチャック5の側方を取り囲む筒状の処理カップ11と、スピンチャック5によって保持されている基板Wにおける上面中央部(この場合、基板Wの中心付近)に対する上面外周部102の高さ歪HD(高さ位置)を計測するための高さ歪センサ12と、を含む。
【0033】
図2に示すように、処理チャンバ4は、箱状の隔壁13と、隔壁13の上部から隔壁13内(処理チャンバ4内に相当)に清浄空気を送る送風ユニットとしてのFFU(ファン・フィルタ・ユニット)14と、隔壁13の下部から処理チャンバ4内の気体を排出する排気装置(図示しない)とを含む。
図2に示すように、FFU14は隔壁13の上方に配置されており、隔壁13の天井に取り付けられている。FFU14は、隔壁13の天井から処理チャンバ4内に清浄空気を送る。排気装置は、処理カップ11内に接続された排気ダクト15を介して処理カップ11の底部に接続されており、処理カップ11の底部から処理カップ11の内部を吸引する。FFU14および排気装置により、処理チャンバ4内にダウンフロー(下降流)が形成される。
【0034】
図2に示すように、 スピンチャック5は、この実施形態では、真空吸着式のチャックである。スピンチャック5は、基板Wの下面の中央部を吸着支持している。スピンチャック5は、鉛直な方向に延びたスピン軸16と、このスピン軸16の上端に取り付けられて、基板Wを水平な姿勢でその下面を吸着して保持するスピンベース17と、スピン軸16と同軸に結合された回転軸を有するスピンモータ(基板回転ユニット)18とを備えている。スピンベース17は、基板Wの外径よりも小さな外径を有する水平な円形の上面17aを含む。基板Wの裏面がスピンベース17に吸着保持された状態では、基板Wの外周部101が、スピンベース17の周端縁よりも外側にはみ出ている。スピンモータ18が駆動されることにより、スピン軸16の中心軸線まわりに基板Wが回転される。
【0035】
図2に示すように、処理液ノズル6は、たとえば、連続流の状態で液を吐出するストレート処理液ノズルである。処理液ノズル6は、基板Wの上面における処理液の供給位置を変更できるスキャンノズルとしての基本形態を有している。処理液ノズル6は、ほぼ水平に延びたノズルアーム40の先端部に取り付けられている。ノズルアーム40には、ノズルアーム40を、スピンチャック5の側方に設定された鉛直な揺動軸線まわりに揺動させるアーム移動ユニット(吐出口位置移動ユニット、内周位置調整ユニット)41が結合されている。アーム移動ユニット41は、たとえばサーボモータである。アーム移動ユニット41の駆動によりノズルアーム40を前記の揺動軸線まわりに水平面内で揺動させることができ、これにより、処理液ノズル6を回動させることができるようになっている。処理液ノズル6の回動によって、上面外周部102において、処理液ノズル6が基板Wの回転半径方向RD(以下、単に「径方向RD」という)に沿って移動する。
【0036】
図3に示すように、処理液ノズル6を配置した状態で、次に述べるエッチング液バルブ21および次に述べるリンス液バルブ23が選択的に開かれることにより、処理液ノズル6が、上面外周部102の着液位置(以下、単に「着液位置105」という)に対し、径方向RDの内側から外側斜め下向きに処理液(薬液またはリンス液)を吐出する。径方向RDの内側から着液位置105に向けて処理液が吐出されるので、デバイス形成領域である、基板Wの上面中央部への処理液の液跳ねを抑制または防止できる。
【0037】
このとき、吐出口6aからの処理液の吐出方向は、径方向RDに沿う方向であり、かつ基板Wの上面に対して所定角度(入射角度)で入射するような方向である。この入射角度θとして、最適な角度が、実験等を行うことにより決定されている。吐出口6aからの処理液の吐出方向は、反りのない基板Wをスピンチャック5によって保持した場合に、入射角度θが最適な角度になるように設定されている。この実施形態では、処理液ノズル6は、その姿勢を変更することができない。そのため、入射角度θを変更することができない。
【0038】
着液位置105に着液した処理液は、基板Wの回転方向Rに沿って、かつ径方向RDの外側に向けて流れる。着液位置105に着液した処理液は、着液位置105の周囲の領域と着液位置105よりも外側の領域とにおいて処理液の液膜LFを形成する。すなわち、上面外周部102には、処理液の液膜LFが円環状に保持される。このときの処理液の液膜LFの幅W1(以下、「液幅W1」という)が、処理幅になる。
【0039】
着液位置105に応じて、処理液の液膜LFの内周位置(着液処理液の内周位置)LFaが変化し、液幅W1が変化する。すなわち、着液位置105を精度良く制御することにより、内周位置LFaおよび液幅W1を精度良く制御でき、ひいては処理幅を精度良く制御できる。
図2に示すように、エッチング液供給ユニット7は、処理液ノズル6に接続され、エッチング液供給源からのエッチング液を処理液ノズル6に供給するエッチング液配管20と、エッチング液配管20の途中部に介装され、エッチング液配管20を開閉するための
エッチング液バルブ21と、を含む。エッチング液供給源から供給されるエッチング液としては、希フッ酸(DHF)やバッファードフッ酸(BHF)が用いられる。また、エッチング液として、濃フッ酸(concHF)、フッ硝酸(フッ酸と硝酸(HNO
3)との混合液)、フッ化アンモニウム等が用いられてもよい。
【0040】
図2に示すように、リンス液供給ユニット8は、処理液ノズル6に接続され、リンス液供給源からのリンス液を処理液ノズル6に供給するリンス液配管22と、リンス液配管22の途中部に介装され、リンス液配管22を開閉するためのリンス液バルブ23と、を含む。リンス液供給源から供給されるリンス液は、たとえば水である。水の一例として、DIW(脱イオン水)を挙げることができる。しかし、水は、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、希釈濃度(たとえば、10~100ppm程度)の塩酸水、還元水(水素水)、脱気水などであってもよい。
【0041】
リンス液バルブ23が閉じられた状態でエッチング液バルブ21が開かれると、エッチング液配管20から処理液ノズル6に供給されたエッチング液が、処理液ノズル6の下端に設定された吐出口6a(
図3参照)から吐出される。また、エッチング液バルブ21が閉じられた状態でリンス液バルブ23が開かれると、リンス液配管22から処理液ノズル6に供給されたリンス液が吐出口6aから吐出される。
【0042】
図2に示すように、遮断部材9は、遮断板24と、遮断板24の中央部を上下方向Vに貫通する上面ノズル25とを含む。遮断板24には、電動モータ等を含む構成の遮断板回転ユニット26が結合されている。遮断板回転ユニット26は、遮断板24を、回転軸線A1と同軸の回転軸線(図示しない)まわりに回転させる。
遮断板24は、処理対象の基板Wの外周形状よりも一回り小径の円周を有している。遮断板24は、その下面に、基板Wの上面全域に対向する円形の基板対向面24aを有している。基板対向面24aの中央部には、遮断板24を上下に貫通する円筒状の貫通穴24bが形成されている。貫通穴24bに、上面ノズル25が挿通している。遮断板24が基板Wよりも小径であるため、遮断板24を基板Wの上面に近接した状態において、基板Wの上面中央部は遮断板24によって覆われるが、上面外周部102は露出している。
【0043】
上面ノズル25は、遮断板24に一体昇降移動可能に取り付けられている。上面ノズル25は、その下端部に、スピンチャック5に保持されている基板Wの上面中央部に対向する吐出口25aを形成している。上面ノズル25には、気体配管28が接続されている。気体配管28には、気体配管28を開閉する気体バルブ29が介装されている。気体配管28に付与される気体は、除湿された気体、とくに不活性ガスである。不活性ガスは、たとえば、窒素ガスやアルゴンガスを含む。気体バルブ29が開かれることにより、上面ノズル25に不活性ガスが供給される。これにより、吐出口25aから不活性ガスが下向きに吐出され、吐出された不活性ガスが基板Wの表面Waに吹き付けられる。なお、気体は、空気等の活性ガスであってもよい。
【0044】
図2に示すように、遮断部材9には、電動モータ、ボールねじ等を含む構成の遮断部材昇降ユニット27が結合されている。遮断部材昇降ユニット27は、遮断板24および上面ノズル25を上下方向Vに昇降する。遮断部材昇降ユニット27は、遮断部材9を、基板対向面24aがスピンチャック5に保持されている基板Wの上面中央部に近接する遮断位置(
図13に示す位置)と、遮断位置よりも大きく上方に退避した退避位置(
図2および
図12に示す位置)の間で昇降させる。遮断部材昇降ユニット27は、遮断位置および退避位置の双方において遮断板24を保持可能である。遮断部材9の遮断位置は、基板対向面24aと基板Wの表面Waとの間に遮断空間が形成されるような位置である。この遮断空間は、その周囲の空間から完全に隔離されているわけではないが、当該周囲の空間から遮断空間への流体(気体および液体)の流入はない。すなわち、この遮断空間は、実
質的にその周囲の空間と遮断されている。
【0045】
図2に示すように、ホットプレート10は、円環状に形成されており、スピンチャック5の外周を取り囲むように設けられている。ホットプレート10は、上面10aを有している。ホットプレート10は、基板Wの外径と同等の外径を有している。ホットプレート10の上面10aの外周部は、スピンチャック5に保持された基板Wの下面の外周部の全ての領域に対向している。ホットプレート10には、内蔵ヒータ31が内蔵されている。内蔵ヒータ31は、ジュール熱を発生させるヒータであり、たとえば、通電により発熱する電熱線である。スピンチャック5が回転しても、ホットプレート10は回転しない。ホットプレート10の上面10aの温度は、面内で均一である。ホットプレート10からの輻射熱によって基板Wの外周部101が均一に加熱される。ホットプレート10によって基板Wの外周部101を下面側から加熱することにより、上面外周部102における処理レート(エッチングレート)を向上させることができる。
【0046】
図2に示すように、ホットプレート10には、ホットプレート10を水平姿勢のまま昇降させるためのホットプレート昇降ユニット(ヒータ移動ユニット
、加熱ユニット)32が結合されている。ホットプレート昇降ユニット32は、たとえばボールねじやモータによって構成されている。ホットプレート昇降ユニット32の駆動により、ホットプレート10は、基板Wの下面の外周部に、上面10aが接近する加熱位置(
図13に示す位置)と、加熱位置よりも下方に設けられた退避位置(
図12に示す位置)と、の間で昇降可能に設けられている。ホットプレート昇降ユニット32は、加熱位置および退避位置の双方においてホットプレート10を保持可能である。
【0047】
ホットプレート10が加熱位置に配置された状態では、ホットプレート10からの輻射熱が基板Wの外周部101に届き、外周部101が加熱される。一方、ホットプレート10が退避位置に配置された状態では、ホットプレート10からの輻射熱が基板Wの外周部101にほとんど届かず、ホットプレート10によって外周部101は加熱されない。また、ホットプレート10の昇降により、上面10aと基板Wの下面との間隔が変更される。
【0048】
図2に示すように、処理カップ11は、スピンチャック5に保持されている基板Wよりも外方(回転軸線A1から離れる方向)に配置されている。処理カップ11は、スピンベース17を取り囲んでいる。スピンチャック5が基板Wを回転させている状態で、処理液が基板Wに供給されると、基板Wに供給された処理液が基板Wの周囲に振り切られる。処理液が基板Wに供給されるとき、上向きに開いた処理カップ11の上端部11aは、スピンベース17よりも上方に配置される。したがって、基板Wの周囲に排出されたエッチング液やリンス液などの処理液は、処理カップ11によって受け止められる。そして、処理カップ11に受け止められた処理液は排液処理される。
【0049】
図2に示すように、高さ歪センサ12は、この実施形態では、上面外周部102の高さ位置を検出する高さ位置センサ)を含む。高さ歪センサ12は、たとえば、反射型のフォトセンサであり、投光部と、受光部と、を含む。投光部から投じられた光を上面外周部102で反射させ、その反射光を受光部が受ける。高さ歪センサ12は、受光部に入る光量に基づいて、上面外周部102の高さ位置を計測する。高さ歪センサ12は、ほぼ水平に延びたセンサアーム33の先端部に取り付けられている。
【0050】
この実施形態では、高さ歪センサ12および制御装置3によって、高さ歪HD(高さ歪HDの大きさおよび高さ歪HDの方向)を計測する高さ歪計測ユニット(高さ歪取得ユニット)が構成されている。この明細書において、上面中央部(この場合、基板Wの中心付近)に対する上面外周部102の上下方の変位を高さ歪HD(
図4、
図5および
図6C参照)という。また、この明細書において、高さ歪HDは、高さ歪HDの大きさおよび高さ歪HDの上下方向Vの双方を含む趣旨である。
【0051】
センサアーム33には、センサアーム33を、スピンチャック5の側方に設定された鉛直な揺動軸線まわりに揺動させるアーム移動ユニット34が結合されている。アーム移動ユニット34は、たとえばサーボモータである。アーム移動ユニット34の駆動によりセンサアーム33を前記の揺動軸線まわりに水平面内で揺動させることにより、高さ歪センサ12を、上面外周部102の上方に対向する計測位置と、スピンチャック5の側方に設定された退避位置との間で移動させることができる。計測位置は、高さ歪HDの大きさが大きい場合であっても、高さ歪センサ12によって、上面外周部102の高さを検出可能な位置に設定されている。
【0052】
図4は、スピンチャック5による保持対象の基板Wに、反りが発生している第1の態様を示す断面図である。
図5は、スピンチャック5による保持対象の基板Wに、反りが発生している第2の態様を示す断面図である。
図6Aは、スピンチャック5による保持対象の基板Wに、反りが発生している第3の態様を示す平面図である。
図6Bは、
図6Aを、切断面線VIB-VIBから見た図である。
図6Cは、
図6Aを、切断面線VIC-VICから見た図である。
【0053】
図4~
図6Cに示すように、処理ユニット2に搬入される基板Wに、反りが発生している場合がある。近年の基板Wの大径化や基板Wへのデバイスの高集積化に伴い、基板Wの反りが顕在化してきている。反りが発生している基板Wでは、基板Wの外周部101が、基板Wの中央部(この場合、基板Wの中心付近)に対し、上下方向Vに変位している。基板Wの上面中央部に対する上面外周部102の変位が、
図4に示すように上方の変位である場合、上面外周部102の高さ歪HDは正の値である。一方、基板Wの上面中央部に対する上面外周部102の変位が、
図5に示すように下方の変位である場合、上面外周部102の高さ歪HDは負の値である。
【0054】
基板Wに発生する反りの態様としては、基板Wが下に凸の椀状を呈する第1の態様(
図4参照)と、基板Wが上に凸の椀状を呈する第2の態様(
図5参照)と、がある。基板Wの第1の態様では、外周部101の略全域が、基板Wの中央部(この場合、基板Wの中心付近)に対し、表面(デバイス形成面)側(すなわち、上方)に変位している。また、基板Wの第2の態様では、外周部101の略全域が、基板Wの中央部(この場合、基板Wの中心付近)に対し、裏面(デバイス形成面と反対面)側(すなわち、下方)に変位している。
【0055】
とくに、メモリセルアレイを縦方向に積層化する3D-NAND型では、基板Wには、基板Wの中心に近づくにつれて大きな荷重が作用する。そのため、3D-NAND型では、基板Wが第1の態様を呈することがある。
また、反り後の基板Wの態様は、ともに椀状の第1の態様および第2の態様に限られない。反り後の基板Wの態様には、円周方向の一部が基板Wの中央部に対して上下方向Vに変位している第3の態様(
図6A~6C参照)も存在する(いわゆるポテトチップス型)。この第3の態様は、基板Wの外周部101の円周方向の一部が、基板Wの中央部に対して上方および下方の一方に変位し、基板Wの外周部101の円周方向の他の部分が、基板Wの中央部に対して上方および下方の他方に変位する態様も含む。
【0056】
また、基板Wを保持するスピンチャック5は、基板Wの外周部101を支持せずに基板Wの中央部(とくに、この実施形態では、基板Wの中心を含む小径の領域)を支持することにより、基板Wを保持するタイプのものである。仮に、スピンチャック5が基板Wの中央部ではなく基板Wの外周部101を支持する場合には、基板Wの反り(すなわち、高さ歪HDの大きさ)が、幾分緩和される。しかしながら、スピンチャック5によって基板Wの外周部101ではなく基板Wの中央部が支持される場合には、基板Wの反り(すなわち、高さ歪HDの大きさ)が、スピンチャック5による支持によって緩和されることはない。
【0057】
そして、処理ユニット2において、スピンチャック5に保持されている基板Wを、ホットプレート10等によって加熱する場合には、その加熱の進行に伴って開始からの加熱時間の経過の増大に伴って、基板Wに発生する反りの量(すなわち、高さ歪HDの大きさ)が増大するおそれがある。
図7は、第1の態様を示す基板Wの上面外周部102に向けて処理液ノズル6から処理液を吐出している状態を示す断面図である。
図8は、第2の態様を示す基板Wの上面外周部102に向けて処理液ノズル6から処理液を吐出している状態を示す断面図である。
図9は、基板Wの上面外周部102の処理幅を示す要部平面図である。
【0058】
処理液ノズル6からの処理液の吐出方向が、基板Wの上面に対し傾斜しているので、基板Wの外周部101が基板Wの中央部(この場合、基板Wの中心付近)に対し上下方向Vに変位している場合には、基板Wの外周部101の変位(変位方向およびその変位量)に応じて、上面外周部102における処理液の着液位置105が径方向RDに変動する。
具体的には、基板Wの外周部101が基板Wの中央部(この場合、基板Wの中心付近)に対し上下方向Vの上方に変位している場合(
図4および
図6C等参照)には、
図7に示すように、そのような変位がない場合(
図3参照)と比較して、着液位置105が基板Wの周端面103から離反するような位置に配置される。そして、液膜LFの内周位置LFaが比較的内側寄りに位置し、その結果、液膜LFの液幅LW(液幅W2)が所期の液幅W1より広くなる(液幅W2>液幅W1)。
【0059】
一方、基板Wの外周部101が基板Wの中央部(この場合、基板Wの中心付近)に対し上下方向Vの下方に変位している場合(
図5等参照)には、
図8に示すように、そのような変位がない場合(
図3参照)と比較して、着液位置105が基板Wの周端面103に近接するような位置に配置される。そして、液膜LFの内周位置LFaが比較的外側寄りに位置し、その結果、液膜LFの液幅LW(液幅W3)が、所期の液幅W1より狭くなる(液幅W3<液幅W1)。
【0060】
その結果、基板Wの外周部101が基板Wの中央部(この場合、基板Wの中心付近)に対し上下方向Vの上方に変位している場合(
図9で二点鎖線で処理幅を示す)と、基板Wの外周部101が基板Wの中央部(この場合、基板Wの中心付近)に対し上下方向Vの下方に変位している場合(
図9で一点鎖線で処理幅を示す)と、このような変位がない場合(
図9で破線で処理幅を示す)とで、
図9に示すように、処理幅(すなわち、液膜LFの液幅LW)が異なるようになる。
【0061】
図10は、基板処理装置1の主要部の電気的構成を説明するためのブロック図である。
制御装置3は、たとえばマイクロコンピュータを用いて構成されている。制御装置3はCPU等の演算ユニット51、固定メモリデバイス(図示しない)、ハードディスクドライブ等の記憶ユニット52、出力ユニット53および入力ユニット(図示しない)を有している。記憶ユニット52には、演算ユニット51が実行するプログラムが記憶されている。
【0062】
記憶ユニット52は、電気的にデータを書き換え可能な不揮発性メモリからなる。記憶ユニット52は、基板Wに対する各処理の内容を規定するレシピを記憶するレシピ記憶部を含む。
制御装置3には、スピンモータ18、アーム移動ユニット41、アーム移動ユニット34、内蔵ヒータ31、ホットプレート昇降ユニット32、エッチング液バルブ21、リンス液バルブ23、気体バルブ29等が制御対象として接続されている。制御装置3は、スピンモータ18、アーム移動ユニット41、アーム移動ユニット34、内蔵ヒータ31、ホットプレート昇降ユニット32等の動作を制御する。また、制御装置3は、エッチング液バルブ21、リンス液バルブ23、気体バルブ29等を開閉する。
【0063】
また、制御装置3には、高さ歪センサ12の検出出力が入力されるようになっている。
図11は、処理ユニット2による基板処理例を説明するための流れ図である。
図12は、外周部エッチング工程(S5)の前の工程の内容を説明するための模式的な図である。
図13は、外周部エッチング工程(S5)の内容を説明するための模式的な図である。
図14Aは、高さ歪計測工程(S4)の内容を説明するための流れ図である。
図14Bは、高さ歪監視工程(S6)および着液位置移動工程(内周位置調整工程。S7)の内容を説明するための流れ図である。
図15は、外周部エッチング工程(S5)におけるエッチング液の吐出状態の一例を示す断面図である。
図16は、外周部エッチング工程(S5)におけるエッチング液の吐出状態の他の例を示す断面図である。
【0064】
この基板処理例について、
図1、
図2、
図10、
図11等を参照しながら説明する。
図3、
図12~
図16については適宜参照する。
まず、未処理の基板Wが、処理チャンバ4の内部に搬入される(
図11のS1)。具体的には、基板Wを保持している搬送ロボットCRのハンドHを処理チャンバ4の内部に進入させることにより、デバイス形成面(表面)を上方に向けた状態で基板Wが、スピンチャック5に受け渡される。このとき、処理液ノズル6および高さ歪センサ12が退避位置に配置されており、ホットプレート10が退避位置に配置されている。遮断部材9も退避位置に配置されている。
【0065】
そして、処理チャンバ4の内部への基板Wの搬入後に、基板Wの下面(裏面)中央部が吸着支持されることにより、スピンチャック5によって基板Wが保持される(基板回転工程。
図11のS2)。
次いで、制御装置3がスピンモータ18を制御して、基板Wを回転開始させる(
図11のS3)。
【0066】
また、制御装置3は、内蔵ヒータ31によってジュール熱を発生させることにより、ホットプレート10の上面10aを所定の高温まで昇温させ、その高温に保持する。このとき、
図12に示すように、ホットプレート10は、退避位置に配置されている。
また、制御装置3は、アーム移動ユニット34を制御して、高さ歪センサ12を退避位置から計測位置に移動させる。その結果、
図12に示すように、高さ歪センサ12が計測位置に配置される。
【0067】
基板Wの回転が所定の計測速度(たとえば50rpm~200rpm)に達すると、制御装置3は、基板Wの回転速度を計測速度に保ちながら、高さ歪センサ12を用いて、上面外周部102の高さ歪HDの計測を開始する(
図11のS4:高さ歪計測工程)。具体的には、制御装置3は、回転軸線A1まわりに基板Wを回動させながら、高さ歪センサ12によって、上面外周部102のうち高さ歪センサ12に下方に対向する領域における高さ歪HDを計測する。高さ歪HDの計測開始後、基板Wが少なくとも一周(360°)回動を終えると、制御装置3は、円周方向の各部における高さ歪HDを計測したものとして、高さ歪HDの計測を終了する。
【0068】
具体的には、
図14Aに示すように、高さ歪計測工程(S4)において、制御装置3は、上面外周部102の各部における高さ歪HD(高さ歪HDの大きさおよび高さ歪HDの方向)を、高さ歪センサ12を用いて計測する(
図14AのS11)。そして、その計
測結果に基づいて、制御装置3は、上面外周部102の各部における高さ歪HDの平均である平均高さ歪を算出している(
図14AのS12)。
【0069】
高さ歪計測工程(S4)の実行により、スピンチャック5に保持されている基板W(処理チャンバ4に搬入された基板W)の反り具合(円周方向の各部における高さ歪HD)を、制御装置3が把握できる。高さ歪計測工程(S4)の実行時間は、たとえば約5秒間である。
高さ歪計測工程(S4)の終了後、制御装置3は、スピンモータ18を制御して、基板Wを処理速度まで加速させる。
【0070】
そして、基板Wの回転速度が予め定める処理速度(約300rpm~約1000rpm)に達すると、次いで、制御装置3は、基板Wの外周部101をエッチング処理する外周部エッチング工程(外周部処理工程。
図11のS5)を実行する。外周部エッチング工程(S5)において、基板Wを回転させながら、上面外周部102に向けて処理液ノズル6からエッチング液が吐出される。
【0071】
制御装置3は、外周部エッチング工程(S5)の開始に先立って、アーム移動ユニット41を制御して、
図13に示すように処理液ノズル6を、退避位置から処理位置(
図3および
図13に示す位置)に移動する。そして、リンス液バルブ23を閉じながらエッチング液バルブ21を開くことにより、処理液ノズル6の吐出口6aからエッチング液が吐出される。エッチング液の吐出開始によって、外周部エッチング工程(S5)が開始する。
【0072】
また、外周部エッチング工程(S5)の開始に際して、制御装置3は、ホットプレート昇降ユニット32を制御して、ホットプレート10を、退避位置(
図12に示す位置)から加熱位置(
図13に示す位置)に上昇させ、その加熱位置において保持する(ヒータ配置工程)。これにより、ホットプレート10によって基板Wの外周部101が加熱される(基板加熱工程)。
【0073】
また、外周部エッチング工程(S5)では、制御装置3が気体バルブ29を開く。これにより、吐出口25aから気体が吐出される。上面ノズル25から吐出される気体によって、基板Wの上方において、中央部から外周部101に向けて流れる放射状気流が形成される。これにより、外周部エッチング工程(S5)において、基板Wの上面外周部102に供給されたエッチング液が、基板Wの上面の中央部(デバイス形成領域)に進入するのを、より一層効果的に抑制または防止できる。
【0074】
また、制御装置3は、外周部エッチング工程(S5)の開始に先立って、遮断部材昇降ユニット27を制御して遮断部材9を、退避位置(
図12に示す位置)から遮断位置(
図13に示す位置)に下降させ、その遮断位置において保持する。これにより、基板Wの上面の中央部の上方空間が、遮断部材9の遮断板24によってその周囲から遮断される。これにより、外周部エッチング工程(S5)において、基板Wの上面外周部102に供給されたエッチング液が、基板Wの上面の中央部(デバイス形成領域)に進入するのを効果的に抑制または防止できる。また、制御装置3は、遮断板回転ユニット26を制御して、遮断板24を基板Wの回転と同方向に同等の速度で回転させる。
【0075】
図4~
図6Cを用いて説明した反りが、処理ユニット2に搬入される基板Wに反りが発生している場合に、基板Wの反りに起因する処理幅(エッチング幅)の変動を抑制するため、外周部エッチング工程(S5)に先立って、高さ歪計測工程(S4)によって求められた上面外周部102の高さ歪HDに基づいて、処理液ノズル6の処理位置(イニシャルの処理位置)を径方向RDに移動させる。これにより、外周部エッチング工程(S5)の開始直後における液膜LFの内周位置LFaを、所期位置に近づくように調整できる。
【0076】
また、外周部エッチング工程(S5)におけるホットプレート10による基板Wの加熱によって、基板Wに発生している反りの量(すなわち、高さ歪HDの大きさ)が増大するおそれがある。このような反りの増大に対応するため、外周部エッチング工程(S5)の開始後、外周部エッチング工程(S5)の全期間に亘って、上面外周部102の高さ位置(すなわち、高さ歪HD)を常時監視し、監視している高さ歪HDに応じて、液膜LFの内周位置LFaが所期位置に近づくように調整している。すなわち、上面外周部102の現在の高さ歪HDに応じて、液膜LFの内周位置LFaをリアルタイムに調整している(高さ歪監視工程(S6) & 着液位置移動工程(S7))。
【0077】
以下、具体的に、説明する。
図14Bに示すように、高さ歪監視工程(S6)および着液位置移動工程(S7)において、制御装置3は、高さ歪センサ12による検出出力を常時監視している。これにより、上面外周部102の各部における高さ位置を計測する(
図14BのS16)。具体的には、制御装置3(演算ユニット51(
図10参照))は、計測した上面外周部102の各部における高さ位置と、記憶ユニット52(
図10参照)に予め記憶されている、基板Wの上面の中央部の高さ位置との差に基づいて、上面外周部102の各部における高さ歪HD(高さ歪HDの大きさおよび高さ歪HDの方向)を求める。
【0078】
そして、制御装置3は、算出した上面外周部102の各部における高さ歪HDに基づいて、上面外周部102の各部における高さ歪HDの平均である現在の平均高さ歪を演算する(
図14BのS17:加熱高さ歪演算工程)。
また、
図14BのS16およびS17の各工程は、上面外周部102の各部における高さ位置の平均である現在の平均高さ位置を予め求めるようにしてもよい。この場合、その平均高さ位置と、記憶ユニット52(
図10参照)に予め記憶されている、基板Wの上面の中央部の高さ位置との差に基づいて、上面外周部102の各部における高さ歪HDの平均である平均高さ歪を演算するようにしてもよい。
【0079】
そして、算出した現在の平均高さ歪の大きさが閾値以上である場合(
図14BのS18でYES)には、平均高さ歪の大きさが小さくなるように、吐出口6aから吐出されるエッチング液の吐出方向を一定に保ちながら、処理液ノズル6を径方向RDに移動させる(
図14のS19)。高さ歪監視工程(S6)および着液位置移動工程(S7)の各工程は、外周部エッチング工程(S5)の全期間に亘って行われる。
【0080】
外周部エッチング工程(S5)において、基板Wの外周部101が基板Wの中央部(この場合、基板Wの中心付近)に対し上下方向Vの上方に変位している場合(
図4および
図6C等参照)には、制御装置3は、
図15に示すように、そのような変位がない場合(
図3参照)と比較して、処理液ノズル6の位置を、元の位置(
図16に破線で示す位置)から径方向RDの外方に向けて移動させて、吐出口6aから吐出されるエッチング液の吐出方向を一定に保ちながら、基板Wの周端面103に着液位置105を接近させる。この場合、制御装置3は、液膜LFの内周位置LFaを、そのような変位がない場合(
図3参照)と同様の位置に配置させる。その結果、液膜LFの液幅LWが液幅W1に保たれる。
【0081】
一方、外周部エッチング工程(S5)において、基板Wの外周部101が基板Wの中央部(この場合、基板Wの中心付近)に対し上下方向Vの下方に変位している場合(
図5等参照)には、制御装置3は、
図16に示すように、そのような変位がない場合(
図3参照)と比較して、処理液ノズル6の位置を元の位置(
図16に破線で示す位置)から径方向RDの外方に向けて移動させて、吐出口6aから吐出されるエッチング液の吐出方向を一定に保ちながら、基板Wの周端面103から着液位置105を離反させる。この場合、液膜LFの内周位置LFaを、そのような変位がない場合(
図3参照)と同様の位置に配置できる。その結果、液膜LFの液幅LWが液幅W1に保たれる。
【0082】
外周部エッチング工程(S5)において、エッチング液の吐出開始から予め定める期間が経過すると、制御装置3は、エッチング液バルブ21を閉じる。これにより、処理液ノズル6からのエッチング液の吐出が停止(終了)する。エッチング液の吐出終了によって、外周部エッチング工程(S5)が終了する。
また、制御装置3は、ホットプレート昇降ユニット32を制御して、ホットプレート10を、加熱位置(
図13に示す位置)から退避位置(
図12に示す位置)に下降させる。制御装置3は、アーム移動ユニット41およびアーム移動ユニット34を制御して、処理液ノズル6および高さ歪センサ12をそれぞれ退避位置に退避させる。
【0083】
外周部エッチング工程(S5)の終了後、次いで、制御装置3は、基板Wの外周部101を、リンス液を用いて処理する外周部リンス工程(
図11のS8)を実行する。外周部リンス工程(S8)は、基板Wの回転が所定の処理速度(約300rpm~約1000rpmの所定の速度)にある状態で実行される。具体的には、基板Wの回転が処理速度に達すると、制御装置3は、エッチング液バルブ21を閉じながらリンス液バルブ23を開くことにより、処理液ノズル6の吐出口6aからリンス液を吐出開始させる。リンス液の吐出開始によって、外周部リンス工程(S8)が開始する。リンス液の吐出開始から予め定める期間が経過すると、制御装置3はリンス液バルブ23が閉じられる。これにより、処理液ノズル6からのリンス液の吐出が停止(終了)する。リンス液の吐出終了によって、外周部リンス工程(S8)が終了する。
【0084】
次いで、基板Wを乾燥させるスピンドライ(
図11のS9)が行われる。具体的には、制御装置3はスピンモータ18を制御して、S2~S8の各工程における回転速度よりも大きい乾燥速度(たとえば数千rpm)まで基板Wを加速させ、その乾燥速度で基板Wを回転させる。また、制御装置3は、遮断板回転ユニット26を制御して、遮断板24を基板Wと同方向に同等の速度で回転させる。
【0085】
また、これにより、大きな遠心力が基板W上の液体に加わり、基板Wの外周部101に付着している液体が基板Wの周囲に振り切られる。このようにして、基板Wの外周部101から液体が除去され、基板Wの外周部101が乾燥する。
基板Wの高速回転の開始から所定期間が経過すると、制御装置3は、スピンモータ18を制御することにより、スピンチャック5による基板Wの回転を停止させる。基板Wの回転停止後、制御装置3は、遮断部材9を退避位置に向けて上昇させ、かつ気体バルブ29を閉じる。また、制御装置3は、遮断板回転ユニット26を制御して、遮断板24の回転を停止させる。
【0086】
その後、処理チャンバ4内から基板Wが搬出される(
図11のステップS10)。具体的には、制御装置3は、搬送ロボットCRのハンドHを処理チャンバ4の内部に進入させる。そして、制御装置3は、スピンチャック5による基板Wの吸着を解除し、搬送ロボットCRのハンドHにスピンチャック5上の基板Wを保持させる。その後、制御装置3は、搬送ロボットCRのハンドHを処理チャンバ4内から退避させる。これにより、処理後の基板Wが処理チャンバ4から搬出される。
【0087】
以上により、この実施形態によれば、計測された上面外周部102の高さ位置に基づいて径方向RDに着液位置105を移動させることにより、着液位置105に供給されるエッチング液によって形成される液膜LFの内周位置LFaが所期位置に近づくように調整される。そのため、液膜LFの内周位置LFaを、基板Wの反り具合に応じた位置に調整することが可能である。この調整により、液幅LWを精密に制御することが可能である。
【0088】
また、吐出口6aからのエッチング液の吐出方向を一定に保ちながら、液膜LFの内周位置LFaを調整するので、入射角度θを、パーティクル性能の高い最適角度の近傍の角度に保ち続けることが可能である。したがって、外周部エッチング工程(S5)後における上面外周部102のパーティクルの付着を抑制または防止することが可能である。
これにより、上面外周部102におけるエッチング幅を精密に制御でき、かつ外周部エッチング工程(S5)後における上面外周部102におけるパーティクルの付着を抑制または防止できる。
【0089】
また、径方向RDへの着液位置105の移動により、液膜LFの内周位置LFaを比較的容易に調整できる。これにより、液幅LWの精密な制御を、比較的容易に実現できる。
また、反り後の基板Wの反り具合や反りの方向が、基板Wの円周方向に関してばらつく場合がある。第3の態様(
図6A~6C参照)等の場合に限られず、反り後の基板Wの態様が椀状(第1の態様(
図4参照)や第2の態様(
図4参照))であっても、このようなばらつきが存在することがある。
【0090】
上面外周部102の円周方向の各部における高さ歪HDの平均が、上面外周部102の高さ歪HDとして取得される。そのため、反り後の基板Wの反り具合や反りの方向が、基板Wの円周方向に関してばらつく場合であっても、上面外周部102の高さ歪HDとして、最適な値を取得できる。
また、外周部エッチング工程(S5)において基板Wの加熱の進行に伴って増大する高さ歪HDが取得され、取得された高さ歪HDに基づいて液膜LFの内周位置LFaが調整される。基板Wへの加熱の進行に伴って、基板Wの反り量が増大し、高さ歪HDが変化(たとえば増大)する。基板Wの加熱の進行に伴う高さ歪HDの変動に基づいて液膜LFの内周位置LFaを調整することにより、基板Wの加熱の進行による基板Wの反りの増大に拘わらず、液膜LFの内周位置LFaを所期位置に保つことが可能である。これにより、液幅LWの精密な制御を、良好に実現できる。
【0091】
また、外周部エッチング工程(S5)において、上面外周部102の高さ歪HDが監視される。そして、高さ歪HDの監視結果に基づいて、液膜LFの内周位置LFaが調整される。すなわち、上面外周部102の高さ歪HDの変化に応じて、液膜LFの内周位置LFaをリアルタイムに調整できる。実際の計測に基づいて液膜LFの内周位置LFaを調整するので、液膜LFの内周位置LFaを精度良く調整できる。
【0092】
図17は、本発明の第2の実施形態に係る基板処理装置201の主要部の電気的構成を説明するためのブロック図である。
図18は、
図17に示す加熱時間-高さ歪対応テーブル記憶部202に記憶される加熱時間-高さ歪対応テーブル203の内容を示す図である。 第2の実施形態において、第1の実施形態(
図1~
図16に示す実施形態)と共通する部分には、
図1~
図16の場合と同一の参照符号を付し説明を省略する。
【0093】
基板処理装置201が、第1の実施形態に係る基板処理装置1と相違する主たる点は、記憶ユニット53に、加熱時間-高さ歪対応テーブル記憶部202を設けた点である。加熱時間-高さ歪対応テーブル記憶部202には、
図18に示す加熱時間-高さ歪対応テーブル203が格納されている。加熱時間-高さ歪対応テーブル203は、外周部エッチング工程(S4)における基板Wの加熱の開始からの経過時間と、上面外周部102の高さ歪HDと、の対応関係が規定されている。
【0094】
図18に示すように、加熱時間-高さ歪対応テーブル203には、基板Wの加熱の開始からの複数の経過時間と、各経過時間に対応する、上面外周部102の高さ歪HDと、が規定されている。基板Wの加熱の開始からの経過時間は、具体的には、ホットプレート10
を加熱位置
に配置したタイミングからの経過時間である。加熱時間-高さ歪対応テ
ーブル203は、基板処理装置1を用いた事前実験によって求められる。
【0095】
図19は、第2の実施形態に係る処理ユニットによる基板処理例を説明するための流れ図である。
図20は、
図19に示す高さ歪演算工程(S26)および着液位置移動工程(内周位置調整工程。S27)の内容を説明するための流れ図である。
この基板処理例について、
図17~
図19等を参照しながら説明する。
図20A、20Bについては適宜参照する。
【0096】
この基板処理例では、未処理の基板Wが、処理チャンバ4の内部に搬入され(
図19のS21)、デバイス形成面(表面)を上方に向けた状態でスピンチャック5に受け渡される。そして、基板Wの下面(裏面)中央部が吸着支持されることにより、スピンチャック5によって基板Wが保持される(
図19のS22)。次いで、制御装置3がスピンモータ18を制御して、基板Wを回転開始させる(
図19のS23)。
図19のS21~S23の工程は、それぞれ、前述の
図11のS1~S3の工程と同等の工程である。
【0097】
また、制御装置3は、内蔵ヒータ31によってジュール熱を発生させることにより、ホットプレート10の上面10aを所定の高温まで昇温させ、その高温に保持する。このとき、ホットプレート10は、退避位置に配置されている。
また、制御装置3は、アーム移動ユニット34を制御して、高さ歪センサ12を退避位置から計測位置に移動させる。その結果、高さ歪センサ12が計測位置に配置される。そして、制御装置3は、高さ歪計測工程(S24)を実行する。
図19の高さ歪計測工程(S24)は、
図11の高さ歪計測工程(S4)と同等の工程である。
【0098】
高さ歪計測工程(S24)の終了後、制御装置3は、アーム移動ユニット34を制御して、高さ歪センサ12を退避位置に退避させる。また、高さ歪計測工程(S24)の終了後、制御装置3は、スピンモータ18を制御して、基板Wを処理速度まで加速させる。
そして、基板Wの回転速度が予め定める処理速度(約300rpm~約1000rpm)に達すると、次いで、制御装置3は、基板Wの外周部101をエッチング処理する外周部エッチング工程(
図18のS25)を実行する。
【0099】
外周部エッチング工程(
図18のS25)では、リンス液バルブ23を閉じながらエッチング液バルブ21を開くことにより、処理液ノズル6の吐出口6aからエッチング液が吐出される。また、外周部エッチング工程(S25)の開始に際して、制御装置3は、ホットプレート昇降ユニット32を制御して、ホットプレート10を、退避位置(
図12に示す位置)から加熱位置(
図13に示す位置)に上昇させ、その加熱位置において保持する(ヒータ配置工程)。また、制御装置3は、外周部エッチング工程(S25)の開始に先立って、遮断部材昇降ユニット27を制御して遮断部材9を、退避位置から遮断位置(
図13に示す位置)に下降させ、その遮断位置において保持する。これにより、基板Wの上面の中央部の上方空間が、遮断部材9の遮断板24によってその周囲から遮断される。また、制御装置3は、遮断板回転ユニット26を制御して、遮断板24を基板Wの回転と同方向に同等の速度で回転させる。
【0100】
外周部エッチング工程(
図18のS25)は、第1の実施形態に係る外周部エッチング工程(
図11のS5)と同等の工程である。そのため、外周部エッチング工程(S25)については、第1の実施形態に係る外周部エッチング工程(
図11のS5)と相違する部分についてのみ説明する。
制御装置3は、外周部エッチング工程(S25)の開始に先立って、アーム移動ユニット41を制御して処理液ノズル6を、退避位置から処理位置(
図3および
図13に示す位置)に移動する。
図4~
図6Cを用いて説明した反りが、処理ユニット2に搬入される基板Wに反りが発生している場合に、基板Wの反りに起因する処理幅(エッチング幅)の
変動を抑制するため、外周部エッチング工程(S25)に先立って、高さ歪計測工程(S24)によって求められた上面外周部102の高さ歪HDに基づいて、処理液ノズル6の処理位置(イニシャルの処理位置)を径方向RDに移動させる。これにより、外周部エッチング工程(S25)の開始直後における液膜LFの内周位置LFaを、所期位置に近づくように調整できる。
【0101】
また、外周部エッチング工程(S25)におけるホットプレート10による基板Wの加熱によって増大する基板Wの反り(すなわち、高さ歪HD)の増大に対応するため、外周部エッチング工程(S25)の開始後、外周部エッチング工程(S25)の全期間において上面外周部102の高さ位置(すなわち、高さ歪HD)を常時監視し、監視している高さ歪HDに応じて、液膜LFの内周位置LFaを、予め定める位置に近づくように調整している。すなわち、上面外周部102の高さ歪HDの変動に応じて、液膜LFの内周位置LFaをリアルタイムに調整している(高さ歪演算工程(S26)&着液位置移動工程(S27))。
【0102】
具体的には、
図20に示すように、高さ歪演算工程(S26)において、制御装置3は、現在の高さ歪HDを常時演算により求めている。具体的には、制御装置3は、加熱開始からの経過時間と、加熱時間-高さ歪対応テーブル203と、に基づいて、加熱開始からの高さ歪HDの変動量を演算により求める。そして、制御装置3は、高さ歪計測工程(S24)によって計測したイニシャルの平均高さ歪を足し合わせることにより、現在の平均高さ歪を演算によって求める(
図20のS31)。
【0103】
そして、算出した平均高さ歪の大きさが閾値以上である場合(
図20のS32でYES)には、平均高さ歪の大きさが小さくなるように、吐出口6aから吐出されるエッチング液の吐出方向を一定に保ちながら、処理液ノズル6を径方向RDに移動させる(
図19のS26および
図20のS33)。
図19の高さ歪演算工程(S26)および着液位置移動工程(S27)の各工程は、外周部エッチング工程(S25)の全期間に亘って行われる。前
述した相違点を除いて、高さ歪演算工程(S26)および着液位置移動工程(S27)の各工程は、高さ歪監視工程(S6)および着液位置移動工程(S7)と同等の工程である。
【0104】
外周部エッチング工程(S25)の終了後、次いで、制御装置3は、基板Wの外周部101を、リンス液を用いて処理する外周部リンス工程(
図19のS28)を実行する。
図19の高さ歪計測工程(S28)は、
図11の外周部リンス工程(S8)と同等の工程である。
外周部リンス工程(S28)に次いで、基板Wを乾燥させるスピンドライ(
図19のS
29)が行われる。
図19のスピンドライ(S29)は、
図11のスピンドライ(S9)と同等の工程である。
【0105】
基板Wの高速回転の開始から所定期間が経過すると、制御装置3は、スピンモータ18を制御することにより、スピンチャック5による基板Wの回転を停止させる。基板Wの回転停止後、制御装置3は、遮断部材9を退避位置に向けて上昇させ、かつ気体バルブ29を閉じる。また、制御装置3は、遮断板回転ユニット26を制御して、遮断板24の回転を停止させる。
【0106】
その後、処理チャンバ4内から基板Wが搬出される(
図19のステップS30)。
図19のS30の工程は、
図11の
基板Wの搬出(S10)と同等の工程である。
第2の実施形態では、第1の実施形態に加えて、次の作用効果を奏する。
すなわち、高さ歪HDを、加熱開始からの経過時間に基づいて演算によって求める。すなわち、外周部エッチング工程(S25)において、高さ歪HDを監視しておく必要がない。つまり、外周部エッチング工程(S25)において高さ歪HDを計測することなく、液膜LFの内周位置LFaを高精度に調整することが可能である。
【0107】
また、制御装置3(演算ユニット51)は、加熱時間-高さ歪対応テーブル記憶部202に記憶されている加熱時間-高さ歪対応テーブル203を参照することにより、高さ歪HDを算出している。これにより、高さ歪HDを良好に取得できる。
また、加熱時間-高さ歪対応テーブル記憶部202が、基板処理装置201を用いた実験によって求められている。そのため、高さ歪HDを、より高精度に取得できる。
【0108】
第1および第2の実施形態において、処理液ノズル6の位置を、径方向RDではなく、上下方向Vに移動させることにより、吐出口6aから吐出されるエッチング液の吐出方向を一定に保ちながら、着液位置105を径方向RDに移動させるようにしてもよい。
具体的には、外周部エッチング工程(S5,S25)において、基板Wの外周部101が基板Wの中央部(この場合、基板Wの中心付近)に対し上下方向Vの上方に変位している場合(
図4および
図6C等参照)には、制御装置3は、
図21に示すように、そのような変位がない場合(
図3参照)と比較して、処理液ノズル6の位置を、元の位置(
図21に破線で示す位置)から上下方向Vの上方に向けて移動させて、吐出口6aから吐出されるエッチング液の吐出方向を一定に保ちながら、基板Wの周端面103に着液位置105を接近させる。この場合、液膜LFの内周位置LFaを、そのような変位がない場合(
図3参照)と同様の位置に配置できる。その結果、液膜LFの液幅LWが液幅W1に保たれる。
【0109】
また、外周部エッチング工程(S5,S25)において、基板Wの外周部101が基板Wの中央部(この場合、基板Wの中心付近)に対し上下方向Vの下方に変位している場合(
図5等参照)には、制御装置3は、
図22に示すように、そのような変位がない場合(
図3参照)と比較して、処理液ノズル6の位置を元の位置(
図22に破線で示す位置)から、上下方向Vの下方に向けて移動させて、吐出口6aから吐出されるエッチング液の吐出方向を一定に保ちながら、基板Wの周端面103から着液位置105を離反させる。この場合、液膜LFの内周位置LFaを、そのような変位がない場合(
図3参照)と同様の位置に配置できる。その結果、液膜LFの液幅LWが液幅W1に保たれる。
【0110】
第2の実施形態において、基板Wの加熱の開始からの複数の経過時間と、各経過時間に対応する、上面外周部102の高さ歪HDとの対応関係を加熱時間-高さ歪対応テーブル203に規定する場合を例に挙げて説明したが、上面外周部102の高さ歪HDとの対応関係が、式等に規定されており、その式が記憶ユニット52に記憶されていてもよい。
図23および
図24は、第3の実施形態に係る基板処理装置301において実行される外周部エッチング工程におけるエッチング液の吐出状態の一例を示す断面図である。基板処理装置301において実行される外周部エッチング工程は、
図11に示す外周部エッチング工程(S5)および
図19に示す外周部エッチング工程(S25)のそれぞれと同等の工程である。
【0111】
第3の実施形態において、第1の実施形態(
図1~
図16に示す実施形態)と共通する部分には、
図1~
図16の場合と同一の参照符号を付し説明を省略する。
基板処理装置301が、第1の実施形態に係る基板処理装置1と相違する主たる点は、エッチング液配管20に、処理液ノズル6に供給されるエッチング液の流量を調整するためのエッチング液流量調整バルブ302を介装した点である。エッチング液流量調整バルブ302は、弁座が内部に設けられたバルブボディと、弁座を開閉する弁体と、開位置と閉位置との間で弁体を移動させるアクチュエータとを含む。制御装置3は、エッチング液流量調整バルブ302の開度を調整する。
【0112】
着液位置105へのエッチング液(処理液)の吐出流量が多くなるに従って、液幅LWが広くなる傾向にある。一方、着液位置105へのエッチング液(処理液)の吐出流量が少なくなるに従って、液幅LWが狭くなる傾向にある。
第3の実施形態では、外周部エッチング工程(S5,S25)において、基板Wの外周部101が基板Wの中央部(この場合、基板Wの中心付近)に対し上下方向Vに変位している場合には、取得された高さ歪HDに基づいて、吐出口6aから吐出されるエッチング液の吐出方向を一定に保ちながら、吐出口6aから吐出されるエッチング液の吐出流量を変更することにより、液膜LFの内周位置LFaが調整される(内周位置調整工程)。
【0113】
すなわち、外周部エッチング工程(S5,S25)において、基板Wの外周部101が基板Wの中央部(この場合、基板Wの中心付近)に対し上下方向Vの上方に変位している場合(
図4および
図6C等参照)には、制御装置3は、
図23に示すように、そのような変位がない場合(
図3参照)と比較して、エッチング液流量調整バルブ302の開度を狭めることにより、吐出口6aから吐出されるエッチング液の吐出方向を一定に保ちながら、吐出口6aから吐出されるエッチング液の吐出流量を減少させる。この場合、液膜LFの内周位置LFaを、そのような変位がない場合(
図3参照)と同様の位置に配置できる。その結果、液膜LFの液幅LWが液幅W1に保たれる。
【0114】
また、外周部エッチング工程(S5,S25)において、基板Wの外周部101が基板Wの中央部(この場合、基板Wの中心付近)に対し上下方向Vの下方に変位している場合(
図5等参照)には、制御装置3は、
図24に示すように、そのような変位がない場合(
図3参照)と比較して、エッチング液流量調整バルブ302の開度を拡げることにより、吐出口6aから吐出されるエッチング液の吐出方向を一定に保ちながら、吐出口6aから吐出されるエッチング液の吐出流量を増大させる。この場合、液膜LFの内周位置LFaを、そのような変位がない場合(
図3参照)と同様の位置に配置できる。その結果、液膜LFの液幅LWが液幅W1に保たれる。
【0115】
第3の実施形態によれば、取得された高さ歪HDに基づいて、エッチング液の吐出流量が変更されることにより、液膜LFの内周位置LFaを比較的容易に調整できる。これにより、液膜LFの内周位置LFaの精密な制御を、比較的容易に実現できる。
図25~
図27は、第4の実施形態に係る基板処理装置401において実行される外周部エッチング工程におけるエッチング液の吐出状態の一例を示す断面図である。基板処理装置401において実行される外周部エッチング工程は、
図11に示す外周部エッチング工程(S5)および
図19に示す外周部エッチング工程(S25)のそれぞれと同等の工程である。
【0116】
第4の実施形態において、第1の実施形態(
図1~
図16に示す実施形態)と共通する部分には、
図1~
図16の場合と同一の参照符号を付し説明を省略する。
基板処理装置401が、第1の実施形態に係る基板処理装置1と相違する主たる点は、上面外周部102に着液した処理液(エッチング液)に向けて、径方向RDの内側から外側に向けて気体の一例としての不活性ガスを吹き付ける気体吹き付けユニット402を備えた点である。
【0117】
気体吹き付けユニット402は、気体ノズル403と、気体ノズル403に接続された気体配管404と、気体配管404に介装された気体バルブ405および気体流量調整バルブ406と、気体ノズル403を移動させるノズル移動ユニット407とを含む。図示はしないが、気体流量調整バルブ406は、弁座が内部に設けられたバルブボディと、弁座を開閉する弁体と、開位置と閉位置との間で弁体を移動させるアクチュエータとを含む。気体配管404には、不活性ガス供給源からの不活性ガスが供給されている。気体バルブ405が開かれると、気体配管404から気体ノズル403に供給された不活性ガスが、気体ノズル403の下端に設定された気体吐出口403aから吐出される。気体吐出口403aから吐出された気体(不活性ガス)は、上面外周部102に着液した処理液(すなわち、液膜LFの内周位置LFa)に向けて、径方向RDの内側から外側に向けて吹き付けられる。ノズル移動ユニット407は、気体ノズル403から吐出された気体が基板Wの上面外周部102に供給される処理位置と、気体ノズル403が平面視でスピンチャック5の側方に退避した退避位置との間で、気体ノズル403を移動させる。気体としての不活性ガスは、たとえば、窒素ガスであるが、窒素ガスに限らず、空気やヘリウムガス、アルゴンガスなどの他の不活性ガスであってもよい。
【0118】
ノズル移動ユニット407は、気体ノズル403から吐出された気体が基板Wの上面外周部102に吹き付けられる処理位置と、気体ノズル403が平面視でスピンチャック5の側方に退避した退避位置との間で気体ノズル403を移動させる。ノズル移動ユニット407は、基板Wの上面の上方で、気体ノズル403を水平に移動させる。
第4の実施形態では、基板Wの上面外周部102に向けて処理液(エッチング液)が吐出されている状態で、気体バルブ405が開かれると、気体ノズル403は、着液位置105に対し、径方向RDの内側に位置する吹き付け領域408に対し、径方向RDの内側から斜め下向きに気体を吐出する。気体ノズル403の気体吐出口403aから吐出された気体は、吹き付け領域408に吹き付けられた後、基板Wの上面に沿って径方向RDの外側に向けて流れ、液膜LFの内周位置LFaに衝突する(吹き付けられる)。
【0119】
気体吐出口403aから吐出される気体の流量(吐出流量)が増大するに従って、液膜LFの内周位置LFaに吹き付けられる気体の流量(吹き付け流量)が増大する。吹き付け流量の増大に従って、液膜LFの内周位置LFaが周端103に接近し、液幅LWが狭くなる傾向にある。
一方、気体吐出口403aから吐出される気体の流量(吐出流量)が減少するに従って、液膜LFの内周位置LFaに吹き付けられる気体の流量(吹き付け流量)が減少する。吹き付け流量の減少に従って、液膜LFの内周位置LFaが周端103から離反し、液幅LWが広くなる傾向にある。
【0120】
そのため、第4の実施形態では、外周部エッチング工程(S5,S25)において、基板Wの外周部101が基板Wの中央部(この場合、基板Wの中心付近)に対し上下方向Vに変位している場合には、取得された高さ歪HDに基づいて、吐出口6aから吐出されるエッチング液の吐出方向を一定に保ちながら、液膜LFの内周位置LFaに吹き付けられる気体の流量を変更することにより、液膜LFの内周位置LFaが調整される(内周位置調整工程)。
【0121】
また、液膜LFの内周位置LFaに対し、径方向RDの内側から気体が吹き付けられるので、着液位置105に着液した処理液(エッチング液)が、径方向RDの内側に向けて飛散することを抑制できる。これにより、デバイス形成領域に処理液が進入することを、より効果的に抑制できる。
第4の実施形態では、外周部エッチング工程(S5,S25)において、基板Wの外周部101が基板Wの中央部(この場合、基板Wの中心付近)に対し上下方向Vの上方に変位している場合(
図4および
図6C等参照)には、制御装置3は、
図26に示すように、そのような変位がない場合(
図25参照)と比較して、気体流量調整バルブ406の開度を拡げることにより、吐出口6aから吐出されるエッチング液の吐出方向を一定に保ちながら、液膜LFの内周位置LFaに、径方向RDの内側から吹き付けられる気体の流量を増大させる。この場合、液膜LFの内周位置LFaを、そのような変位がない場合(
図25参照)と同様の位置に配置できる。その結果、液膜LFの液幅LWが液幅W1に保たれる。
【0122】
また、外周部エッチング工程(S5,S25)において、基板Wの外周部101が基板Wの中央部(この場合、基板Wの中心付近)に対し上下方向Vの下方に変位している場合(
図5等参照)には、制御装置3は、
図27に示すように、そのような変位がない場合(
図25参照)と比較して、気体流量調整バルブ406の開度を狭めることにより、吐出口6aから吐出されるエッチング液の吐出方向を一定に保ちながら、液膜LFの内周位置LFaに、径方向RDの内側から吹き付けられる気体の流量を減少させる。この場合、液膜LFの内周位置LFaを、そのような変位がない場合(
図25参照)と同様の位置に配置できる。その結果、液膜LFの液幅LWが液幅W1に保たれる。
【0123】
第4の実施形態によれば、取得された高さ歪HDに基づいて、液膜LFの内周位置LFaへの径方向RDの内側からの気体の吹き付け流量が変更されることにより、液膜LFの内周位置LFaを比較的容易に調整できる。これにより、液膜LFの内周位置LFaの精密な制御を、比較的容易に実現できる。
第4の実施形態において、気体ノズル403の位置を径方向RDに移動させることにより、液膜LFの内周位置LFaへの径方向RDの内側からの気体の吹き付け流量を調整するようにしてもよい。
【0124】
気体吐出口403aからの気体の吹き付け領域408の位置が周端103に接近するのに従って、液膜LFの内周位置LFaに吹き付けられる気体の流量(吹き付け流量)が増大する。吹き付け流量の増大に従って、液膜LFの内周位置LFaが周端103に接近し、液幅LWが狭くなる傾向にある。
一方、気体吐出口403aからの気体の吹き付け領域408の位置が周端103から離反するのに従って、液膜LFの内周位置LFaに吹き付けられる気体の流量(吹き付け流量)が減少する。吹き付け流量の減少に従って、液膜LFの内周位置LFaが周端103から離反し、液幅LWが広くなる傾向にある。
【0125】
すなわち、気体吐出口403aからの気体の吹き付け領域408の位置を変更することにより、液膜LFの内周位置LFaへの気体の吹き付け流量を調整できる。
この変形例では、外周部エッチング工程(S5,S25)において、基板Wの外周部101が基板Wの中央部(この場合、基板Wの中心付近)に対し上下方向Vの上方に変位している場合(
図4および
図6C等参照)には、制御装置3は、
図28に示すように、そのような変位がない場合(
図25参照)と比較して、気体ノズル403の位置を径方向RDの外側に移動させて吹き付け領域408を径方向RDの外側に移動させることにより、吐出口6aから吐出されるエッチング液の吐出方向を一定に保ちながら、液膜LFの内周位置LFaに、径方向RDの内側から吹き付けられる気体の流量を増大させる。この場合、液膜LFの内周位置LFaを、そのような変位がない場合(
図25参照)と同様の位置に配置できる。その結果、液膜LFの液幅LWが液幅W1に保たれる。
【0126】
また、外周部エッチング工程(S5,S25)において、基板Wの外周部101が基板Wの中央部(この場合、基板Wの中心付近)に対し上下方向Vの下方に変位している場合(
図5等参照)には、制御装置3は、
図29に示すように、そのような変位がない場合(
図25参照)と比較して、気体配管404の位置を径方向RDの外側に移動させて吹き付け領域408を径方向RDの外側に移動させることにより、吐出口6aから吐出されるエッチング液の吐出方向を一定に保ちながら、液膜LFの内周位置LFaに、径方向RDの内側から吹き付けられる気体の流量を減少させる。この場合、液膜LFの内周位置LFaを、そのような変位がない場合(
図25参照)と同様の位置に配置できる。その結果、液膜LFの液幅LWが液幅W1に保たれる。
【0127】
また、
図26,27に示す第4の実施形態と、
図28,29に示す変形例とを組み合わせるようにしてもよい。すなわち、気体吐出口403aからの気体の吐出流量および吹き付け領域408の双方を変更することにより、液膜LFの内周位置LFaへの気体の吹き付け流量を調整するようにしてもよい。
以上、この発明の4つの形態について説明したが、この発明は、さらに他の形態で実施できる。
【0128】
たとえば、
図30に示す変形例では、上面外周部102の高さ歪HD(すなわち、基板Wの反りの状態。
図4等参照)を計測する高さ歪センサ502が、スピンチャック5に保持されている基板Wの偏芯状態を計測するための偏芯センサと兼用されている。
基板Wの外周部エッチング等では回転軸線A1回りに基板Wを回転させるため、スピンチャック5に対して基板Wが偏芯していると、基板Wの回転角度に応じて、基板の回転に伴って、基板Wの上面における、処理液ノズル6からのエッチング液)の着液位置105と、基板Wの周端との間の距離が変化する。この場合、外周部エッチング工程S5,S25)において、基板Wの上面外周部102におけるエッチング幅がばらつき、処理幅の均一性を保つことができない。
【0129】
第5の実施形態では、基板Wの上面外周部102におけるエッチング幅の均一性を向上させるべく、スピンチャック5への基板Wの保持後に、高さ歪センサ502によって基板Wの偏芯状態を計測し、基板Wが偏芯している場合には、センタリング機構を用いて基板を水平方向に移動させて芯合わせしている。
高さ歪センサ502は、上面外周部102の高さ歪HDを検出する高さ歪検出部506と、スピンチャック5によって保持されている基板Wの周端の径方向RDの位置を検出するための径方向位置検出部507を含む。径方向位置検出部507は、基板Wの周端面103の径方向RDの位置を検出している。高さ歪センサ502は、センサアーム33の先端部に取り付けられている。
【0130】
高さ歪センサ502を用いた基板Wの偏芯状態の計測は、高さ歪計測工程(
図11のS4,
図19のS24)において実行される。制御装置3は、高さ歪計測工程(S4,S24)において、高さ歪検出部506を用いて上面外周部102の高さ歪HDを計測するするとともに、径方向位置検出部507を用いて基板Wの周端の径方向RDの位置が計測される。これにより、高さ歪センサ502によって、高さ歪HDだけでなく基板Wの偏芯状態を計測できる。
【0131】
また、前述の各実施形態では、高さ歪センサ12,502がセンサアーム33の先端部に取り付けられており、アーム移動ユニット34によって高さ歪センサ12を移動可能な構成として説明した。前述の各実施形態において、高さ歪センサ12,502が、固定的に配置された固定タイプのセンサであってもよい。
また、高さ歪センサ12,502が、上面外周部102の高さ位置ではなく、基板Wの裏面(下面)の高さ位置を検出するものであってもよい。高さ歪センサ12,502が、上面外周部102の高さ位置を検出するものでなく、基準位置からの高さを検出することにより、高さ歪HDをダイレクトに検出するものであってもよい。
【0132】
また、高さ歪センサ12,502が、反射型でなく透過型(すなわち、受発光分離型)のフォトセンサを用いて構成されていてもよい。さらに、高さ歪センサ12,502が、フォトセンサ以外のセンサ(たとえば、CCDカメラ)を用いて構成されていない。
また、前述の各実施形態において、基板Wの反りの状態が、基板処理装置1,201,301,401外の所定の場所で計測されて、その場所で計測された高さ歪HDが基板処理装置に付与されるようになっていてもよい。
【0133】
また、前述の第1および第2の実施形態において、着液位置105の移動方向を径方向RDとして説明したが、着液位置105の移動方向は、基板Wの上面に沿い、かつ着液位置105における接線方向に交差する方向であれば、径方向RDに対して傾斜していてもよい。
また、処理液ノズル6は、円弧軌跡を描きながら移動可能なスキャンタイプのものに限らず、直線状に移動可能な直動タイプのものであってもよい。
【0134】
また、第3および第4の実施形態を、第1および第2の実施形態に組み合わせてもよい。すなわち、吐出口6aからのエッチング液の吐出流量の調整と、着液位置105の調整と、を組み合わせることにより、液膜LDの内周位置LDaを調整してもよい。また、内周位置LDaへの気体の吹き付け流量の調整と、着液位置105の調整と、を組み合わせることにより、液膜LDの内周位置LDaを調整してもよい。さらに、吐出口6aからのエッチング液の吐出流量の調整と、内周位置LDaへの気体の吹き付け流量の調整と、着液位置105の調整と、を組み合わせることにより、液膜LDの内周位置LDaを調整してもよい。
【0135】
また、計測した高さ歪HDに基づく内周位置LDaの調整を、外周部エッチング工程(S5,S25)のみで行わずに、外周部リンス工程(S6,S26)において行ってもよい。
また、前述の各実施形態において、処理液ノズル6をエッチング液およびリンス液の双方を吐出するものを例に挙げて説明したが、エッチング液を吐出するための処理液ノズル(エッチング液ノズル)と、リンス液を吐出するための処理液ノズル(リンス液ノズル)とが個別に設けられていてもよい。
【0136】
また、前述の各実施形態において、処理液ノズル6から吐出される薬液が、エッチング液でなく、その薬液であってもよい。そのような液体は、フッ酸、硫酸、酢酸、硝酸、塩酸、フッ酸、バッファードフッ酸(BHF)、希フッ酸(DHF)、アンモニア水、過酸化水素水、有機酸(たとえば、クエン酸、蓚酸等)、有機アルカリ(たとえば、TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドなど)、有機溶剤(たとえばIPA(isopropyl alcohol)など)、界面活性剤、腐食防止剤のうちの少なくとも1つを含む液であってもよい。
【0137】
また、前述の第1~第5の実施形態において、基板処理装置1、201、301、401が半導体ウエハからなる基板Wを処理する装置である場合について説明したが、基板処理装置が、液晶表示装置用基板、有機EL(electroluminescence)表示装置などのFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板などの基板を処理する装置であってもよい。
【0138】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能で
ある。
【符号の説明】
【0139】
1 :基板処理装置
3 :制御装置(高さ歪計測ユニット、高さ歪取得ユニット、)
5 :スピンチャック(基板保持ユニット)
6 :処理液ノズル
6a :吐出口
7 :エッチング液供給ユニット(処理液供給ユニット)
10 :ホットプレート(ヒータ)
12 :高さ歪センサ(高さ歪計測ユニット)
18 :スピンモータ(基板回転ユニット)
32 :ホットプレート昇降ユニット(ヒータ移動ユニット)
41 :アーム移動ユニット(吐出口位置移動ユニット)
102 :上面外周部(表面外周部)
105 :着液位置
201 :基板処理装置
203 :加熱時間-高さ歪対応テーブル(対応関係)
301 :基板処理装置
302 :エッチング液流量調整バルブ(吐出流量変更ユニット、高さ歪取得ユニット)
401 :基板処理装置
406 :気体流量調整バルブ(吹き付け流量変更ユニット、内周位置調整ユニット)
407 :ノズル移動ユニット(吹き付け流量変更ユニット、内周位置調整ユニット)
A1 :回転軸線
HD :高さ歪
LFa :液膜の内周位置(着液処理液の内周位置)
W :基板