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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-22
(45)【発行日】2023-03-03
(54)【発明の名称】基礎の構築方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/01 20060101AFI20230224BHJP
【FI】
E02D27/01 Z
E02D27/01 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019102365
(22)【出願日】2019-05-31
(65)【公開番号】P2020197015
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2022-02-04
(73)【特許権者】
【識別番号】303057365
【氏名又は名称】株式会社安藤・間
(74)【代理人】
【識別番号】100098246
【弁理士】
【氏名又は名称】砂場 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(72)【発明者】
【氏名】石松 博幸
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-112948(JP,A)
【文献】特開平05-311675(JP,A)
【文献】特開平06-346464(JP,A)
【文献】特開平09-158201(JP,A)
【文献】特開平07-331871(JP,A)
【文献】特開平09-209370(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤を掘削して形成されたトレンチの長手方向に沿った底盤上に、構築対象の基礎の配筋を行うとともに、前記基礎の断面の側面のせき板として機能する鋼板側面型枠パネルを立設し、前記トレンチの前記鋼板側面型枠パネルで区画された外部空間を掘削土で先行して埋め戻し、前記鋼板側面型枠パネルで区画された内部空間にコンクリートを打設し、前記コンクリートの硬化後に前記鋼板側面型枠パネルを引き抜き撤去し、前記掘削土による埋戻し地盤を転圧して、前記基礎を構築することを特徴とする基礎の構築方法。
【請求項2】
前記基礎は、前記基礎の断面幅を有する、鉄筋かごが組み込まれたハーフプレキャスト部材ベースがあらかじめ設置される請求項1に記載の基礎の構築方法。
【請求項3】
前記鋼板側面型枠パネルは、対向する2枚が前記基礎の断面幅に保持されるように、下端が前記基礎の下端の幅止め部材によって、上端がスペーサによって支持される請求項1又は2に記載の基礎の構築方法。
【請求項4】
前記基礎は、構築対象が地中梁、フーチング基礎、地中構造物基礎のいずれかである請求項1から3のいずれか1項に記載の基礎の構築方法。
【請求項5】
前記基礎を構築する範囲は、基礎区画ごとに複数の作業ブロックに分けられ、
各作業ブロックでは独立して作業が行われ、
前記掘削土は、掘削中又は掘削後の他の作業ブロックから運ばれたものである請求項1から4のいずれか1項に記載の基礎の構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物等の基礎の構築方法に係り、特に、現場発生した掘削土を効率よく埋戻し作業に利用するようにした建築物等の基礎の構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の基礎を構築するために、根切り工事、足場工事、配筋工事、型枠工事、コンクリート打設工事、埋戻し工事等の工事が行われる。敷地の狭い工事現場では、これらの作業のうち、根切り工事で発生した掘削土を一旦現場外に搬出してストックする等の対応が必要となる。また、工程の組み替えや工事の追加・省略等により基礎工事の作業効率、工期やコストが大きく変化する。
【0003】
これらの問題に対応するために、特許文献1では、現場発生した掘削土を地盤改良材により改良硬化して地盤に基礎成形用の地山型枠を形成することで基礎工事の効率化を図る基礎の構築方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-195886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の基礎の施工方法では、地山型枠を形成するために中子型枠を設置したり、地山型枠の安定を確保するために地盤改良工事が追加で必要となるので基礎工事の効率化が十分とは言えない。
【0006】
そこで、本発明の目的は、地中梁や基礎フーチングを構築するために用いる型枠部材を掘削土の埋戻し時の山留め材として利用することで、掘削土の埋戻しを先行させて基礎工事の効率を高めた基礎の構築方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、地盤を掘削して形成されたトレンチの長手方向に沿った底盤上に、構築対象の基礎の配筋を行うとともに、前記基礎の断面の側面のせき板として機能する鋼板側面型枠パネルを立設し、前記トレンチの前記鋼板側面型枠パネルで区画された外部空間を掘削土で先行して埋め戻し、前記鋼板側面型枠パネルで区画された内部空間にコンクリートを打設し、前記コンクリートの硬化後に前記鋼板側面型枠パネルを引き抜き撤去し、前記掘削土による埋戻し地盤を転圧して、前記基礎を構築することを特徴とする。
【0008】
前記基礎は、前記基礎の断面幅を有する、鉄筋かごが組み込まれたハーフプレキャスト部材ベースがあらかじめ設置されるとよい。
【0009】
前記鋼板側面型枠パネルは、対向する2枚が前記基礎の断面幅に保持されるように、下端が前記基礎の下端の幅止め部材によって、上端がスペーサによって支持されるとよい。

【0010】
前記基礎は、構築対象が地中梁、フーチング基礎、地中構造物基礎のいずれかであってもよい。
【0011】
前記基礎を構築する範囲は、基礎区画ごとに複数の作業ブロックに分けられ、
各作業ブロックでは独立して作業が行われ、
前記掘削土は、掘削中又は掘削後の他の作業ブロックから運ばれたものであるとよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、地中梁や基礎フーチングを構築するために用いる型枠部材を掘削土の埋戻し時の山留め材として利用することで、掘削土の埋戻しを先行させて基礎工事の効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係る基礎の施工方法による鋼製パネル組立後の斜視図。
図2図1の基礎の幅方向の断面図。
図3】本発明の第1実施形態に係る基礎の施工方法による基礎完成時の斜視図。
図4】(a)は、本発明の第1実施形態に係る基礎の施工方法による掘削後の断面図、(b)は、側面型枠パネル組立後の断面図、(c)は、埋戻し後の断面図、(d)は、コンクリート打設後の断面図、(e)は、側面型枠パネル撤去時の断面図、(f)は、基礎完成時の断面図。
図5】本発明の第1実施形態に係る基礎の施工方法を示す平面図。
図6】本発明の第2実施形態に係る基礎の施工方法による側面型枠パネル組立後の基礎の幅方向の断面図。
図7】(a)は、本発明の第2実施形態に係る基礎の施工方法による掘削~均しコンクリート打設後の断面図、(b)は、側面型枠パネル組立後の断面図、(c)は、埋戻し後の断面図、(d)は、コンクリート打設後の断面図、(e)は、側面型枠パネル撤去時の断面図、(f)は、基礎完成時の断面図。
図8】(a-1)は、本発明の第3実施形態に係る基礎の施工方法による側面型枠パネル組立後の部分正面断面図、(a-2)は、(a-1)の側面断面図、(b-1)は、底版打設後の部分正面断面図、(b-2)は、(b-1)の側面断面図、(c-1)は、立上がり打設後の部分正面断面図、(c-2)は、(c-1)の側面断面図、(d-1)は、型枠パネル撤去時の部分正面断面図、(d-2)は、(d-1)の側面断面図。
図9】本発明の変形例に係る基礎の施工方法による側面型枠パネル組立後の断面図。
図10】本発明の他の変形例に係る基礎の施工方法に使用する側面型枠パネルの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の基礎の構築方法について、以下、添付図面を参照して説明する。なお、同一の構成要素は、同一の符号を付し、説明は省略する。
【0015】
[第1実施形態]
図1及び図2は、本発明の第1実施形態に係る基礎の構築方法の一工程を示している。図1には、トレンチ20の底盤上の所定位置に載置されたプレキャストコンクリート地中梁ベース10(以下、地中梁ベースと記す。)が示されている。この地中梁ベース(ハーフプレキャスト部材ベース)10は、構築予定(構築対象)の地中梁1の梁幅(断面幅)で、梁長手方向に所定長さを有するプレキャストコンクリート製のベースブロック11と、ベースブロック11の上面から地中梁1の配筋を構成するように組み上げられた鉄筋かご12とから構成されている。地中梁ベース10の側面11aには、地中梁1を構築する際の側面せき板となる鋼製パネル(側面型枠パネル)23が立設されている。鋼製パネル23の上端には梁長手方向に所定間隔をあけてスペーサ21が取り付けられている。また、鋼製パネル23の下端は、ずれ止め(幅止め部材)22によって地中梁ベース10のベースブロック11の側面11aに密着するように保持されている。図1図2に示した状態からトレンチ20内の埋戻しが行われる。このとき鋼製パネル23は、図4(c)に示したように、埋戻し部分の型枠として機能する。地中梁1(図3)の構築手順については、後述する。また、本実施形態では、図5に示すように、基礎を構築する範囲を、基礎区画毎に複数の作業ブロックに分け、以下に説明する各工程を各作業ブロックごとに行っている。このため、通常、隣接する作業ブロック間では独立して各作業が行われる。なお、図5では、図面の見やすさを優先して、基礎区画の途中で作業ブロックが分けられているように表現している。
【0016】
以下、基礎の構築方法について、各図を参照して説明する。
【0017】
(掘削工程)
まず、図4(a)及び図5に示すように、掘削工程では、地盤Gを掘削し、地中梁1の梁幅、梁成及び梁天端高さに応じた深さや幅を有するトレンチ20を形成する。掘削土24は、後述する埋戻し工程を行う隣接作業ブロックCに仮置きされ、又は埋戻し工程を現在行っている隣接した作業ブロックCの埋戻しに使用される。
【0018】
(地中梁ベース設置及び鋼製パネルの取り付け工程)
次に、図4(b)及び図5に示すように、地中梁ベース設置及び鋼製パネルの取り付け工程では、ベースブロック11及び鉄筋かご12(地中梁ベース10)が一体してなる地中梁ベース10をトレンチ20の長手方向に沿った底盤上の所定位置に載置する。その後、ベースブロック11の側面11aに沿って、せき板として機能する鋼製パネル23を、地中梁1の断面幅に保持されるように立設する。本実施形態では、鋼製パネル23は、厚さ16mmの鋼板が用いられている。なお、鋼製パネル23の厚さは、埋戻し時の土圧計算により決定することが好ましい。ベースブロック11の底部には、所定の間隔でずれ止め22が配置されている。本実施形態では、ずれ止め22は、断面略U字状の形鋼であり、地中梁ベース10製作時に、工場にてベースブロック11の下端に固定される。ずれ止め22は、鋼製パネル23の下端を支持する。また、鋼製パネル23の上端を、両端にクランプを有するスペーサ21にて鋼製パネル23,23の間隔を所定の距離(地中梁ベース10のベースブロック11の梁幅)に保って支持する。
【0019】
(埋戻し工程)
図4(c)及び図5に示すように、埋戻し工程では、他の作業ブロックAから運ばれ仮置きされた掘削土24、又は地盤Gの掘削進行中の作業ブロックから運ばれた掘削土24を使用して、トレンチ20のうちの鋼製パネル23,23で区画された外部空間を先行して埋め戻す。コンクリート打設後にコンクリートが所定の強度に達した事を確認し、鋼製パネル23を引き抜き、埋め戻した掘削土24に対して転圧を行う。図5に示すように、埋戻し工程の作業ブロックCに隣接する作業ブロックAで掘削工程が行われるように作業ブロック割りを行って工程を組むことにより、掘削土24を仮置きするスペースが不要になり、さらに、掘削土24を移動させる距離も短くて済むので、基礎工事の効率を高めることができる。
【0020】
(コンクリート打設工程)
図4(d)及び図5に示すように、コンクリート打設工程では、鋼製パネル23で区画された内部空間である、鋼製パネル23,23の内部かつベースブロック11の上部にコンクリート25を打設し、地中梁1を構築する。
【0021】
(鋼製パネル撤去工程)
図4(e)及び図5に示すように、鋼製パネル撤去工程では、鋼製パネル23を撤去する。スペーサ21を取り外し、油圧ジャッキ等で鋼製パネル23をわずかに埋戻し地盤側へ倒して、硬化したコンクリート25の表面から剥離させる。その後、鋼製パネル23を上方へ引き抜いて撤去する。鋼製パネル23撤去後、再度埋め戻し地盤の転圧を十分に行う。これにより、図4(f)に示すように、地中梁1の構築が終了する。
【0022】
本実施形態の基礎の構築方法によれば、地山型枠を形成するための地盤改良工事を行う必要がない。また、型枠設置後に掘削土24を先行して埋め戻すので、場内の掘削土24の仮置きスペースを節約でき掘削土24を場外搬出する可能性を低減でき、型枠支保工も不要となる。掘削土24の場外搬出が必要な場合でも場外搬出量を低減でき、また、搬出期間も短縮できる。地中梁ベース10を使用するので、基礎の鉄筋が工場で予めある程度のユニットに組み立てられており、捨てコンクリートが不要であり、さらに、コンクリート打設前にトレンチ20が埋め戻されているので、鉄筋足場(作業足場)を組む必要もない。また、鋼製パネル23が鋼製型枠であるので、鋼製パネル23は転用可能であり、コストを低減できる。従って、基礎工事の効率を高めることができる。また、コンクリートの打設高さの制限によるコンクリートの水平打ち継ぎを回避できるので、コールドジョイント等の発生をなくすことができる。
【0023】
[第2実施形態]
図6は、本発明の第2実施形態に係る基礎の構築方法の一工程を示している。トレンチ20の底盤上の所定位置に載置された鉄筋かご(地中梁ベース)30が示されている。この鉄筋かご30は、構築予定の地中梁2の梁幅及び梁長手方向に所定長さを形成するための配筋を構成するように組み上げられたものである。鉄筋かご30の側方には、地中梁2を構築する際の側面せき板となる鋼製パネル23が立設されている。鋼製パネル23の上端には、第1実施形態同様にスペーサ21が取り付けられている。また、鋼製パネル23の下端は、ずれ止め22によって均しコンクリート41の側面42に密着するように保持されている。この後の工程は、第1実施形態同様である。基礎の範囲を、複数の作業ブロックに分け、各工程を各作業ブロック毎に行うこと等も第1実施形態同様である。
【0024】
以下、第2実施形態に係る基礎の構築方法について、各図を参照して説明する。なお、本実施形態において、埋戻し工程(図7(c))、コンクリート打設工程(図7(d))、鋼製パネル撤去工程(図7(e))は、第1実施形態と同様であるので、説明は省略する。
【0025】
(掘削工程)
まず、図7(a)に示すように、掘削工程では、地盤Gを掘削し、地中梁2の梁幅、梁成H及び梁天端高さに応じた深さや幅を有するトレンチ20を形成する。掘削で生じた掘削土24は、後述する埋戻し工程を行う隣接作業ブロックに仮置きされ、又は埋戻し工程を現在行っている隣接した作業ブロックの埋戻しに使用される。トレンチ20の底面に砕石40を地中梁2の梁幅+200mm程度かつ厚さ50mm程度敷き込む。その後、砕石40に転圧を行い、砕石40の天端を水平にする。砕石40の上(地中梁2の下端)に、地中梁2の構築位置に沿ってずれ止め22を所定の間隔で載置する。砕石40及びずれ止め22の上に、均しコンクリート41を地中梁2の設計梁幅と同じ幅で厚さ50mm程度打設する。
【0026】
(地中梁ベース設置及び鋼製パネルの取り付け工程)
次に、図7(b)に示すように、地中梁ベース設置及び鋼製パネルの取り付け工程では、地中梁2の鉄筋骨組を備える鉄筋かご(地中梁ベース)30を先行地組した後、鉄筋かご30を均しコンクリート41上の所定の位置にスペーサ31を介して配置し、鉄筋かご30に沿って鋼製パネル23を立設する。鋼製パネル23は、地中梁2の断面幅に保持されるようにずれ止め22及び均しコンクリート41の側面42によって支持される。また、鋼製パネル23の上端をスペーサ21にて支持する。
【0027】
以降、第1実施形態と同様の内容の工程が行われることにより、図7(f)に示す地中梁2が構築される。
【0028】
本実施形態の基礎の構築方法によれば、鉄筋かご30が地中梁ベース10より軽量であるので、鉄筋かご30の運搬及び配置が容易になる。従って、基礎工事の効率を高めることができる。また、砕石40を敷き込むことにより、地盤Gに建築物の荷重を均等に分布させることができる。
【0029】
[第3実施形態]
第1及び第2実施形態では、建築物の基礎の構築方法を説明したが、本実施形態では、図8各図に示すように、地中埋設構造物であるボックスカルバート等の継手位置の段落ち防止のために設けられる地中構造物基礎の一種である枕梁(あるいは枕版)3の構築方法の説明を行う。
【0030】
図8(a-1)、(a-2)に示すように、敷設されるボックスカルバート70(仮想線で示す)の設置基盤面まで地盤を掘削して形成されたトレンチ20aの底盤上に、枕梁3の底版50(仮想線で示す)が形成される。枕梁3の底版50には、ボックスカルバート70の縦断方向及び横断方向の両側端にずれ止め60が所定の間隔で配置され、枕梁3の底版50を構築する以外の底盤上にボックスカルバート70が載置される。枕梁3の立上がり51の構築位置にはあらかじめ枕梁3の立上がり51の鉄筋52が配筋されている(枕梁3の配筋には、あらかじめ工場等でユニット化された鉄筋かごを用いても良い)。ずれ止め60は、断面略L字状の形鋼である。鋼製パネル23a,23bをずれ止め60に支持させることにより、鋼製パネル23a,23bを枕梁3の四方の外周にあわせて立設する。
【0031】
鋼製パネル23a,23bを立設後、鋼製パネル23a,23bの上端をスペーサ等で所定の幅(枕梁3の立上がり51部分の設計梁幅)に保持されるように支持する。その後、鋼製パネル23a,23a及び23b,23bで囲まれた範囲の外周地盤を埋め戻し、底版50を打設する。打設(図8(b-1))後、養生期間を確保し、鋼製パネル23bを撤去する(図8(b-2))。ボックスカルバート70の壁面の外側と枕梁3の立上がり51との間には、アスファルト目地板等の存置パネル61を配置する。配置後、鋼製パネル23と存置パネル61との間にコンクリートを打設し、立上がり51を形成する(図8(c-1),(c-2))。
【0032】
養生後、図8(d-1)に示すように、鋼製パネル23aを撤去する。撤去後、再度転圧を十分に行い、枕梁3の構築が終了する(図8(d-2))。
【0033】
本実施形態の基礎の構築方法によれば、先行埋め戻しにより足下が安定した作業環境が得られるので、枕梁3のコンクリート打設をより安全に、かつ短時間で行うことができる。また、コンクリートの締め固めの作業も埋め戻し後の地盤から行えるので、より高品質な枕梁3を短時間で構築できる。従って、基礎工事の効率を高めることができる。なお、ボックスカルバート70の縦断方向又は横断方向のみに対して、先行埋め戻しを行ってもよい。
【0034】
[変形例]
上記実施形態では、地中梁1及び地中梁2は、地中梁であったが、フーチング基礎であってもよい。また、建築物の基礎ではなく、工作物等の基礎であってもよい。
【0035】
また、第3実施形態では、本発明をボックスカルバートの枕梁3に適用したが、例えば現場打ちボックスカルバートの側壁等の施工に適用してもよい。
【0036】
第1及び第2実施形態では、ずれ止め22は、断面略U字状の形鋼であったが、第3実施形態で使用した、ずれ止め60のようなL字状の形鋼であってもよいし、側面型枠パネルのずれを抑制できるものであれば他の形状や合成樹脂等の部材であってもよい。また、第3実施形態においても、ずれ止めは断面略U字状の形鋼であってもよいし、側面型枠パネルのずれを抑制できるものであれば他の形状であってもよい。ずれ止め22,60の配置のタイミングも、鋼製パネル23の配置前であればよい。
【0037】
或いは、ずれ止めを使用せずに、例えば、鋼製パネルの下端にフック状の部分を設け、地中梁ベースの両側面近くの下端にフック状の部分が嵌合される孔を設けることで対応してもよい。
【0038】
第1実施形態では、地中梁ベース10を使用したが、図9に示す鉄筋かご13及びスペーサ14を使用してもよい。
【0039】
また、上記実施形態では、鋼製パネル23の上端にスペーサ21を使用したが、図10に示すような鋼製パネル80を使用することでスペーサを省略してもよい。鋼製パネル80は、鋼製パネル材81,81の上端をつなぎ材82により固定されたものであり、鋼製パネル材81,81の間隔は、基礎の設計幅員にあわせた寸法となっている。鋼製パネル80を使用することにより、鋼製パネル材81,81の上端の間隔を現場で調整する必要がなく、また、一度に2枚の鋼製パネル材81を配置できるため、基礎工事の効率を高めることができる。
【0040】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、各請求項に示した範囲内での種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲内で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態も、本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
1,2 地中梁(基礎)
3 枕梁(基礎)
10 プレキャストコンクリート地中梁ベース(地中梁ベース)
11 ベースブロック
11a,42 側面
12,13,30 鉄筋かご
14,31 スペーサ
20,20a トレンチ
21,21a スペーサ
22,60 ずれ止め
23,80 鋼製パネル
24 掘削土
25 コンクリート
40 砕石
41 均しコンクリート
50 底版
51 立上がり
52 鉄筋
61 存置パネル
70 ボックスカルバート
G 地盤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10