(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-22
(45)【発行日】2023-03-03
(54)【発明の名称】空気浄化装置
(51)【国際特許分類】
B01D 47/06 20060101AFI20230224BHJP
B01D 50/40 20220101ALI20230224BHJP
B01D 53/75 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
B01D47/06 A
B01D50/40
B01D53/75
(21)【出願番号】P 2019139823
(22)【出願日】2019-07-30
【審査請求日】2022-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】513269697
【氏名又は名称】金子 慎二
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】金子 慎二
【審査官】谷本 怜美
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-176078(JP,A)
【文献】特開平10-153197(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 47/00-47/18
B01D 50/00-50/60
B01D 53/00-53/96
B01F 21/00-25/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に空間を有する水槽本体と、該水槽本体の上部に設けられると共に、上端部に空気吸入部を備える筒状の浄化ダクトと、前記水槽本体の上部に設けられ、前記空気吸入部から吸入された空気を大気へ排出する排出ダクトと、前記水槽本体にポンプ及び該ポンプに接続する循環路を介して接続され、前記浄化ダクト内に水を噴射する噴射ノズルを備える空気浄化装置であって、
前記噴射ノズルの下方には、該噴射ノズルから噴射された水と前記空気吸入部から吸入された空気とが混合した混合流体を、さらにらせん状に拡散させて撹拌する撹拌部材を有し、前記浄化ダクトの上下端部よりも大径で、かつ、外方にフランジ状に突出するように形成されている撹拌部と、前記撹拌部に設けられた回収手段とを備え、
前記撹拌部材は、前記噴射ノズルから噴射された水が衝突する円形又は多角形状の底板と、該底板の外周部に立設された屈曲を有する複数個の水流案内板からなり、
前記回収手段は、前記撹拌部材の外方で前記撹拌部の底面に設けられた回収孔と、前記回収孔に前記混合流体をガイド可能に設けられたガイド部材と、前記回収孔に連通するように設けられた回収部とで構成され、前記ガイド部材は、前記撹拌部材で案内された前記混合流体が衝突し、前記回収孔へガイドされ
、
前記ガイド部材は、底面が開口するとともに、外周面の一部が開口した円筒状に形成され、前記混合流体が、前記ガイド部材の外周面の開口から侵入し、前記ガイド部材の底面の開口から前記回収孔へ落下するようにガイドする空気浄化装置。
【請求項2】
前記回収部は、前記混合流体をろ過するろ過手段と、前記ろ過手段でろ過したろ過水を前記水槽本体へ供給するろ過水供給ラインを備えることを特徴とする
請求項1に記載の空気浄化装置。
【請求項3】
前記複数個の水流案内板の先端部は、隣り合う水流案内板の基端部の半径方向の位置よりも、
前記隣り合う水流案内板の先端部側にそれぞれ位置することを特徴とする
請求項1又は請求項2のいずれかに記載の空気浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉じん、汚染物質等の微粒子を含んだ空気を浄化する空気浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気中に含まれる悪臭や汚染物質を水で除去する空気浄化装置としては、「上部にオーバーブローパイプの基部を連設する水槽本体と、この水槽本休の下方に水を補給する給水パイプと、水槽本体内の水を外部に循環させる第1送水パイプと、この第1パイプからの送水を吸い込むポンプと、このポンプからの高圧水流を噴射ノズルへ送る第2送水パイプと、この第2送水パイプの先端に設けられ、かつ第2送水パイプからの高圧水流を噴射することができるように第1ダクトの開口部の近傍に臨ませたノズルと、下端部を水槽本体に連設し、上端部に前記ノズルを有し、かつ空気の汚染物質を吸引する開口部を有する第1ダクトと、下端部を水槽本体に連設するとともに、前記噴射ノズルの噴射により浄化された空気を上端部から外部に排出する第2ダクトから構成されている。
【0003】
上記構成にあっては、前記噴射ノズルから噴射される高圧水流の流速が、空気中の汚染物質を空気と共に第1ダクト内に吸引し、次いで、水槽本体の水で汚染物質を除去した後、浄化された空気を第2ダクトを通らせ、大気に新鮮な空気を排出することができるものである」(特許文献1)。
【0004】
しかしながら、上記の公知発明は、高圧水流の流速が、空気を外部から開口部を介して第1ダクト内に素早く吸引するため、空気が水流に乗って第1ダクトをそのまま通過する。したがって、水がすぐに水槽にストレートに落ちてしまう。それ故に浄化したい空気と水の接触時間が短く、空気中の悪臭や汚染物質が十分に除去できないという問題点があった。
【0005】
付言すると、水は第1ダクトから水槽へ真っ直ぐ落ちていくため、空気と十分に接触しないので、浄化が不十分になってしまうという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、微粒子を含んだ空気と水を混合するように長時間接触させ、空気中の微粒子を水に吸着させ、空気を浄化する空気浄化装置を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の空気浄化装置は、上部に空間を有する水槽本体と、該水槽本体の上部に設けられると共に、上端部に空気吸入部を備える筒状の浄化ダクトと、前記水槽本体の上部に設けられ、前記空気吸入部から吸入された空気を大気へ排出する排出ダクトと、前記水槽本体にポンプ及び該ポンプに接続する循環路を介して接続され、前記浄化ダクト内に水を噴射する噴射ノズルを備える空気浄化装置であって、前記噴射ノズルの下方には、該噴射ノズルから噴射された水と前記空気吸入部から吸入された空気とが混合した混合流体を、さらにらせん状に拡散させて撹拌する撹拌部材を有し、前記浄化ダクトの上下端部よりも大径で、かつ、外方にフランジ状に突出するように形成されている撹拌部と、前記撹拌部に設けられた回収手段とを備え、前記撹拌部材は、前記噴射ノズルから噴射された水が衝突する円形又は多角形状の底板と、該底板の外周部に立設された屈曲を有する複数個の水流案内板からなり、前記回収手段は、前記撹拌部材の外方で前記撹拌部の底面に設けられた回収孔と、前記回収孔に前記混合流体をガイド可能に設けられたガイド部材と、前記回収孔に連通するように設けられた回収部とで構成され、前記ガイド部材は、前記撹拌部材で案内された前記混合流体が衝突し、前記回収孔へガイドされ、前記ガイド部材は、底面が開口するとともに、外周面の一部が開口した円筒状に形成され、前記混合流体が、前記ガイド部材の外周面の開口から侵入し、前記ガイド部材の底面の開口から前記回収孔へ落下するようにガイドする。
【0009】
請求項2に記載の空気浄化装置の空気浄化装置の前記回収部は、前記混合流体をろ過するろ過手段と、前記ろ過手段でろ過した流体を前記水槽本体へ供給するろ過水供給ラインを備えることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の空気浄化装置の前記複数個の水流案内板の先端部は、隣り合う水流案内板の基端部の半径方向の位置よりも、前記隣り合う水流案内板の先端部側にそれぞれ位置することを特徴とする。
【0011】
【0012】
【発明の効果】
【0013】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1に記載の発明においては、撹拌部材を備えるため、撹拌部内で空気をらせん状の旋回流とすることができるとともに、回収部を備えることにより、撹拌部材で汚染物質等を含んだ流体を撹拌して熱交換を行い、汚染物質を回収部から回収し、排出ダクトからきれいな空気を大気中に排出することができる。
(2)撹拌部材に衝突し、水流案内板によってらせん状(渦巻状)に水と空気が流れることにより、撹拌部材周囲の水と空気が乱流状態で混ざり合い、空気中の汚染物質等の吸着効果を向上させることができ、また、熱交換により気体状態の汚染物質についても液化させて吸着させることができる。
(3)回収部を備えることにより、撹拌部材で撹拌され、汚染物質等を含んだ混合流体を効率よく回収することができるとともに、水槽へ混合流体が落下することを防止することができる。
したがって、汚染がひどい場合には、混合流体を水槽へ落下させずに回収することができ、循環する水が汚染されることを防止できる。
(4)回収手段によりある程度水と空気を分離できるため、浄化した空気を大気中に排出する際に、空気中の水分を取り除いて排出することができる。
(5)ガイド部材内部でも第2の螺旋状の流れが発生し、より効率よく空気中に含まれる粉塵、悪臭や汚染物質等を回収することができる。
(6)請求項2に記載された発明も前記(1)~(5)と同様な効果が得られると共に、回収手段により回収した混合流体を浄化して水槽本体へ供給することができる。
(7)請求項3に記載された発明も前記(1)~(6)と同様な効果が得られると共に、大径の撹拌部で乱流状態で渦を巻くように水が旋回し、その水に空気が混合されるので、空気を長時間水と接触させることができ、空気中に含まれる粉塵、悪臭や汚染物質等を水で除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1乃至
図7は本発明の第1の実施形態を示す説明図である。
図8乃至
図10は本発明の第2の実施形態を示す説明図である。
図11及び
図12は本発明の第3の実施形態を示す説明図である。
【
図6】撹拌部付近の空気及び水の流れを示す平面視からの概要説明図。
【
図7】撹拌部付近の空気及び水の流れを示す正面視からの概要説明図。
【
図11】第3実施形態の空気浄化装置の概要説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
図1乃至
図7に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は本発明の湿式の空気浄化装置である。
【0016】
この空気浄化装置1は、例えば
図1に示すように、上部に空間を有する水槽本体2と、該水槽本体2の上部に連通するように設けられ、上方へ突出するとともに、上端部に空気吸入部3を備える筒状の浄化ダクト4と、前記水槽本体2の上部に連通するように設けられ、前記浄化ダクト4から吸入された空気を大気へ排出する排出ダクト5と、前記水槽本体2にポンプ6を介して接続され、前記浄化ダクト4内に水を噴射する噴射ノズル7と、該噴射ノズル7の下方に、噴射ノズル7から噴射された水と衝突し、浄化ダクト4内に噴射された水と前記空気吸入部3から吸入された空気をらせん状に拡散させて撹拌する撹拌部材8を有する撹拌部9と、撹拌部9に設けられた回収手段10とで構成されている。
浄化ダクト4は、
図1に示すように、上下端が開放されるとともにフランジ部4aが形成された筒状の部材であって、その上端部の開口は前記空気吸入部3となっており、その下端部は水槽本体2の接続空間11に連通されている。
【0017】
この浄化ダクト4の上端部よりの部位には、下向きに水を噴射する噴射ノズル7が取り付けられており、この噴射ノズル7の下方には、前記撹拌部材8が設けられている。浄化ダクト4は、この撹拌部材8が設けられる部位が他の部位よりも大径に形成されている。
この噴射ノズル7は、前述のように水槽本体2の貯水部12からポンプ6を介して供給された水を浄化ダクト4の下方に向かって噴射し、空気中の汚染物質や粉じん、微粉じん等を水に吸着させるためのものである。
【0018】
この噴射ノズル7から水が浄化ダクト4の下方へ噴射されると膜状に広がるとともに、浄化ダクト4の内部は負圧となり、浄化ダクト4の上部の空気吸入部3より空気が吸入され、水と吸入された空気が接触し、空気中の異物は水流中に抱き込まれ、空気と水とが混合した混合流体となる。
【0019】
撹拌部材8は、
図2及び
図3に示すように、本実施形態においては、噴射ノズル7から噴射された水(混合流体)が衝突する平面視円形(円盤形状)の底板13と、該底板13の外周部に立設された鈍角状の屈曲14を有する複数個、本実施形態においては、4個の水流案内板15とで構成されている。
【0020】
撹拌部9は浄化ダクト4よりも大径に形成されており、このフランジ状の撹拌部9の天面9aに前記水流案内板15の上端部15aを固定することにより撹拌部材8を取り付けている。
【0021】
この底板13は、本実施形態では平面視円形に形成されているが、例えば六角形や八角形、四角形等の平面視多角形状に形成してもよい。
【0022】
4個の水流案内板15の先端部15bは、隣り合う水流案内板15の基端部15cの半径方向外側の位置(線r)よりも先端部側にそれぞれ位置している。このように水流案内板15を立設することにより、狭い流路16が4つ形成された状態となり、底板13に衝突した水が横方向に流れ、その後、水流案内板15に必ず衝突してから撹拌部9(浄化ダクト4の大径部分)内に拡散されるので、らせん状の旋回流を発生させ、水と空気を撹拌する効果を向上させることができる。
【0023】
また、水流案内板15には本実施形態では鈍角状の屈曲14を形成しているので、噴射された水は、底板13、水流案内板15の基端部付近及び水流案内板15の屈曲14付近に衝突し、水と空気が混合するので、汚染物質の吸着効果を高めることができる。
【0024】
なお、本実施形態では、水流案内板15の上端部15aは撹拌部9の天面9aに固定されているので、水や空気が確実に流路16を通過し、水と空気を撹拌する効果を向上させることができる。
【0025】
撹拌部9は、
図4に示すように、本実施形態においては、浄化ダクト4の上下端部よりも大径で、かつ、外方にフランジ状に突出するように形成されている。このように撹拌部9を形成することにより、撹拌部9の底面9b付近に水と空気が激しく回転しながら一定時間とどまり、水と空気をより長時間混合し、汚染物質の吸着効果を高めることができる。
【0026】
付言すると、噴射された水は、撹拌部材8の底板13、水流案内板15の基端部付近及び水流案内板15の屈曲14付近に衝突することにより水の流れる方向が変わるだけではなく細かい粒子状となるため、空気と撹拌された場合に、汚染物質や粉じん等の吸着効果を高めることができるとともに、拡散部材8に衝突することによりレナード効果により還元イオン電子が発生し、汚染物質等の吸着効果をさらに高めることができる。
【0027】
また、例えば、油煙等のように高温状態においては気体又は空気に混合された存在する汚染物質については、長時間水と混合されることにより、熱交換(温度低下)されることにより、液体状に戻り、水と混合して空気が浄化される。
【0028】
この撹拌部9の撹拌部材8よりも外方の底面9bには回収手段10が設けられており、撹拌部9内で螺旋状に旋回する水と汚染物質等の混合流体を回収手段10により回収する。
【0029】
回収手段10は、前記撹拌部材8の外方で前記撹拌部9の底面に設けられた回収孔17と、前記回収孔17に前記混合流体が落下するようにガイド可能に設けられたガイド部材18と、前記回収孔17に連通するように設けられた回収部19とで構成されている。
【0030】
回収孔17は撹拌部材8よりも撹拌部9の内周面に近い位置に形成されており、回収孔17の大きさとしては、噴射ノズル7から噴射される水を略全て回収孔17から下方へ落下させることができる程度の大きさにすることが望ましい。
【0031】
また、撹拌部9の下端部と浄化ダクト4との連通部分には、浄化ダクト4の下方へ混合流体が流れ込まないように、周壁9cを設けることが望ましい。このような周壁9cを設けることにより、確実に水分と空気とを分離することができるとともに、周壁の高さを撹拌部材8の底面より低くすることで、回収手段10のろ過水供給ライン20の仕切弁20aを閉じた場合に、混合流体を撹拌部9の下流の浄化ダクト4bへ流すこともできる。
【0032】
なお、本実施形態においては回収手段10を1つのみ備えているが、回収手段10を複数設ける場合には、複数個の回収孔17により噴射ノズル7から噴射される水を略全て落下させることができる程度の大きさに形成すればよい。
【0033】
この回収孔17の周囲には、底面が回収孔17に連通するように開口するとともに、外周面の一部が開口した円筒状に形成され、前記混合流体が、前記外周面の開口から侵入し、前記底面の開口から前記回収孔17へ落下するようにガイドするガイド部材18が設けられている。
【0034】
このようなガイド部材18を設けることにより、ガイド部材18の内側でもらせん状の旋回流が発生し、混合流体を空気から分離し回収する(回収孔17から回収部19へ落下させる)ことができる。
【0035】
回収部19は、回収孔17を通過した混合流体を回収し処理する部位で、本実施形態においては、汚染物質等を含んだ液体状の混合流体をろ過するろ過手段21と、前記ろ過手段21でろ過した流体(ろ過水)を前記水槽本体2の貯水部12へ供給するろ過水供給ライン20を備えている。このろ過水供給ライン20には仕切弁20aを備えることが望ましい。
【0036】
このような回収部19を設けることにより、水槽本体2にはろ過されて汚染物質等が除去された水が供給されるため、水槽本体2の内部の水が汚染されることを防止でき、この水槽本体2内部の水を噴射ノズル7に供給する際に、汚染物質等が噴射ノズル7に水を供給するためのポンプ6の負担を軽減することができ、ポンプ6を保護することができる。
なお、回収手段10により混合流体が回収部19から回収される場合には排出ダクト5から混合流体はほとんど落下せず、回収部19においてほとんどの混合流体が回収される。
【0037】
この水槽本体2は、箱型に形成されており、本実施形態においては、上部には浄化ダクト4と排出ダクト5が接続される接続空間11を有している。浄化ダクト4と排出ダクト5は、この接続空間11を介して間接的に接続されている。なお、この排出ダクト5は上向きで排出するものでもよく、また、メッシュフィルター等を備えてもよい。
本実施形態においては、水槽本体2の上部に浄化ダクト4を取付けるためのフランジ部2aが形成されている。なお排出ダクト5は、水槽本体2の上部に一体的に設けられている。
【0038】
接続空間11の下部には、貯水部12が形成されており、この貯水部12に噴射ノズル7から噴射された水が落下する。貯水部12にはポンプ6を備える循環路22が接続されており、貯水部12の水はこの循環路22を通って噴射ノズル7へ供給される。なお、水槽本体2にはポンプ6が空転することを防止する空転防止センサー23を設けることが望ましい。
【0039】
この接続空間11と貯水部12は説明の便宜上区別しているが、接続空間11は貯水部12の水面よりも上の部位を意味するものであって、必ずしも隔壁等が設けられている必要はない。本実施形態では、貯水部12の水面が一定以上上昇しないように、接続空間11の下端となる部位にオーバーフロー口12aを備えている。
【0040】
また、水槽本体2の底面には貯水部12の水を排出する排出口2bが設けられている。
この空気浄化装置1を使用する場合には、ポンプ6を作動させ、噴射ノズル7から水を勢い良く噴射する。そうすると、浄化ダクト4内が負圧となり、空気吸入部3から浄化すべき空気が吸入される。
【0041】
噴射された水は、略円錐状に浄化ダクト4の内部に膜状に広がるとともに、浄化ダクト4へ流れた空気と混ざり合いながら、撹拌部9と浄化ダクト4の上方の連通部分4bより撹拌部9に流入し、撹拌部材8の底板13に衝突する。その後、水と吸入された空気は横方向に流れるとともに、例えば
図6に示すように、流路16を通過することにより旋回しながら、らせん状に混じり合い、空気中に含まれる汚染物質等が水に吸着される。
【0042】
この時、大径の撹拌部9では、
図7に示すように、らせん状に旋回しながら混じり合った空気と水は、遠心力により撹拌部9の底面9b付近で回転しながらその壁面を上昇し、撹拌部材8から放出された水及び空気は回転しながら撹拌部9の底面9b方向へ向かうため、遠心力による水面を上昇する力と、撹拌部材8から放出された水及び空気が撹拌部9の底面9b方向へ向かう力が衝突し、この撹拌部9の底面9b付近でも高さ方向にも乱流状態の流れが発生し、空気と水とが激しく混合される。
【0043】
このように混合された水と空気は、旋回しながら激しく撹拌され、周壁9cにより水槽本体2方向へ落下することなく、撹拌部9に設けられた回収手段10のガイド部材18に衝突し、さらにこのガイド部材18内部で旋回流が発生する。
【0044】
これにより汚染物質等を含んだ水(混合流体)は回収手段10によって回収され、浄化された空気が周壁9cを乗り越えて水槽本体2の方向へ流れ、その後空気は接続空間22に流れ、排出ダクト5から大気に解放される。
【0045】
一方、汚染物質等を吸着した混合流体は、回収手段10のガイド部材18にガイドされて第2の旋回流となり回収孔17から落下し回収部19へ流れ込む。回収部19ではろ過手段21により汚染物質が除去されたろ過水となり、ろ過水供給ライン20を介して水槽本体2の貯水部12に流れ込み、再度循環路22を通り、噴射ノズル7等から噴射される。
【0046】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、
図8乃至
図12に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0047】
図8乃至
図10に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、底板13の外周部に3個の水流案内板15を立設した撹拌部材8Aにするとともに、平面視略弧状壁面状のガイド部材18Aを備える回収手段10Aにした点で、このような空気浄化装置1Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態の収納容器と同様な作用効果が得られる。
【0048】
本実施形態においては、水流案内板15の先端部15bは、隣り合う水流案内板15の基端部15cの半径方向外側の位置(線r)よりも先端部側に位置していないものの、水流のほとんどが水流案内板15に衝突し、その先端部15bから撹拌部9へ放出されるため、水流全体として渦巻状(らせん状)の水流が発生し、第1の実施形態と同様に、水と空気が激しく撹拌される。
【0049】
図11及び
図12に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、噴射ノズル7や水槽本体2を用いず、空気を乾式で浄化ダクト4内に導入するブロワー等の空気導入手段24を備えた点で、このような空気浄化装置1Bにしても、乾式で空気を浄化できるとともに、通常のダクト等に取り付けることでダクト等の内部の空気を浄化することができる。
【0050】
本実施形態においては、空気導入手段24としてブロワーを用いているが、ダクト等の空気配管等に取り付ける場合には、その空気配管に空気を循環させているコンプレッサーやその他機器が空気導入手段24となり、撹拌部9の下流の浄化ダクト4bが排出ダクト5となる。
【0051】
本実施形態の回収手段10Bは、撹拌部9で気体状の混合流体を撹拌し、熱交換を行うことで、空気中に存在する気体状の汚染物質を液化し、この液化した汚染物質が回収孔17から流れ込む回収管25と、この回収パイプの下部に儲けられ、汚染物質を沈殿(停滞)させて除去する大径の回収部19Aとを備えている。この回収管25と回収部19Aの内部は、空気導入手段24を作動させている状態では陽圧で、汚染物質と空気がらせん状に旋回しながら回収管25を通過して回収部19Aへ落下する。なお、回収部19A内部でも空気及び汚染物質がらせん状に旋回し熱交換がなされる。
【0052】
このように構成した場合には、回収部19Aの下端部に開閉蓋(図示せず)等を備えて、浄化作業終了後に空気導入手段24を停止し、蓋を開け汚染物質を回収する。
【0053】
この大径の回収部19Aを回収管25又は回収孔17に着脱自在に設け、浄化作業終了後にこの回収部19Aを取り外し、汚染物質を回収してもよい。このような場合、回収部19Aの内部に袋等を備え、袋を回収することで汚染物質を回収できるように構成してもよい。
【0054】
ところで、回収部19Aの下流にフィルター(図示せず)を設けこのフィルターを介して大気開放又は排気ダクト5に接続し、フィルターを通過して汚染物質が除去された空気を大気開放又は排気ダクト5に合流できるように構成してもよい。このように構成する場合、フィルターの上流側又は下流側にバルブを設けてもよい。
【0055】
なお、本発明の実施形態においては、水流案内板を3枚又は4枚用いるものについて説明したが、それ以上の枚数、例えば4~8枚程度設けてもよい。
【0056】
大径に形成された撹拌部の天面に水流案内板を固定し、撹拌部材を取付ける形態について説明したが、例えば底板を撹拌部の側壁にバー部材で固定して取り付けたり、ノズルに吊り下げ部材により吊り下げ固定して撹拌部材を設けてもよい。撹拌部の天面に水流案内板を固定しない場合、撹拌部の天面と水流案内板の上端部は当接することが望ましいが、この間に隙間ができるように設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の空気浄化装置は、空気浄化装置を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0058】
1、1A、1B:空気浄化装置、 2:水槽本体、
3:空気吸入部、 4:浄化ダクト、
5:排出ダクト、 6:ポンプ、
7:噴射ノズル、 8、8A:撹拌部材、
9:撹拌部、 10、10A、10B:回収手段、
11:接続空間、 12:貯水部、
13:底板、 14:屈曲、
15:水流案内板、 16:流路、
17:回収孔、 18、18A:ガイド部材、
19、19A:回収部、 20:ろ過水供給ライン、
21:ろ過手段、 22:循環路、
23:空転防止センサー、 24:空気導入手段、
25:回収管。