(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-22
(45)【発行日】2023-03-03
(54)【発明の名称】エチレンおよびC3-C10アルファ-オレフィンの微細構造制御されたコポリマー
(51)【国際特許分類】
C08F 210/16 20060101AFI20230224BHJP
【FI】
C08F210/16
(21)【出願番号】P 2019530685
(86)(22)【出願日】2017-12-12
(86)【国際出願番号】 US2017065773
(87)【国際公開番号】W WO2018111849
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2020-12-07
(32)【優先日】2016-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391007091
【氏名又は名称】アフトン・ケミカル・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Afton Chemical Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】ナサニエル・ケイン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ローパー
(72)【発明者】
【氏名】ローレンス・カニンガム
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・ダブリュ・ルース
【審査官】尾立 信広
(56)【参考文献】
【文献】特表平08-504875(JP,A)
【文献】特開2006-008841(JP,A)
【文献】特開平04-363125(JP,A)
【文献】特開昭62-095304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 6/00-246/00
C08F 4/60-4/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン単位およびプロピレン単位
からなるコポリマーであって、前記コポリマーが、GPCによって測定した場合、4,000g/mol未満の数平均分子量を有し、
前記コポリマーの前記エチレン含有量が、70mol%未満であり、
前記コポリマーのうちの70mol%以上が、末端モノマー単位に炭素-炭素二重結合を有し、炭素-炭素二重結合を有する前記末端モノマー単位のうちの少なくとも70mol%が、ビニリデン基およびビニリデン基の三置換異性体から選択された末端基を有し、
前記コポリマーが、
13C NMR分光法によって決定した場合、2.6未満の平均エチレン単位ランレングス(n
C2)を有し、前記平均エチレン由来単位ランレングスn
C2が、前記コポリマー中のエチレン由来単位の合計数を前記コポリマー中の1つ以上の連続するエチレン由来単位のラン数で除算したものとして定義され、前記平均エチレン由来単位ランレングスn
C2が、下記の式によって示される関係を満たし、
【数1】
式中、
【数2】
x
C2が、
1H-NMR分光法によって測定した場合、前記ポリマー中に組み込まれているエチレンのモル分率であり、Eが、エチレン単位を表し、Aが、プロピレン単位を表し、かつ
前記コポリマーが、-24.5℃以下のクロスオーバー温度を有する、コポリマー。
【請求項2】
前記コポリマーが、-25℃以下のクロスオーバー温度を有する、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項3】
前記コポリマーの前記エチレン含有量が、55mol%未満である、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項4】
前記コポリマーの前記エチレン含有量が、少なくとも10mol%~70mol%未満である、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項5】
前記コポリマーの前記エチレン含有量が、少なくとも40mol%~60mol%未満である、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項6】
前記コポリマーの前記プロピレンの含有量が、少なくとも40mol%である、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項7】
前記コポリマーのうちの少なくとも85mol%が、前記末端ビニリデン基または前記末端ビニリデン基の前記三置換異性体中で終結する、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項8】
前記コポリマーが、2.4未満の平均エチレン単位ランレングスを有する、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項9】
前記コポリマーが、2未満の平均エチレン単位ランレングスを有する、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項10】
前記コポリマーの前記クロスオーバー温度が、-30℃以下である、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項11】
前記コポリマーの前記クロスオーバー温度が、-40℃以下である、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項12】
前記コポリマーが、4以下の多分散性指数を有する、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項13】
前記コポリマーが、3以下の多分散性指数を有する、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項14】
前記コポリマーの前記数平均分子量が、GPCによって測定して、800以上4,000g/mol未満である、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項15】
前記コポリマー中の単位三連子のうちの20%未満が、エチレン-エチレン-エチレン三連子である、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項16】
前記コポリマーが
、GPCによって測定して、3,500g/mol未満の数平均分子量を有する、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項17】
前記コポリマーの前記エチレン含有量が、少なくとも10mol%~70mol%未満である、請求項16に記載のコポリマー。
【請求項18】
前記コポリマーが、4以下の多分散性指数を有する、請求項17に記載のコポリマー。
【請求項19】
前記コポリマーの前記クロスオーバー温度が、-25℃以下である、請求項18に記載のコポリマー。
【請求項20】
前記コポリマー中の単位三連子のうちの20%未満が、エチレン-エチレン-エチレン三連子である、請求項19に記載のコポリマー。
【請求項21】
前記コポリマーが、GPCによって測定して、2,500g/mol未満の数平均分子量を有する、請求項20に記載のコポリマー。
【請求項22】
前記コポリマーの前記エチレン含有量が、少なくとも40mol%~60mol%未満である、請求項21に記載のコポリマー。
【請求項23】
前記コポリマーの前記ビニリデン基およびビニリデン基の前記三置換異性体が、以下の構造式(I)~(III)のうちの1つ以上を有し、
【化1】
式中、Rが、C
1-C
8アルキル基を表し、
【化2】
前記コポリマーの残りの部分に結合している化学結合を示す、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項24】
前記コポリマーが、前記コポリマーの合計重量に基づいて、25ppmw以下の灰分含有量を有する、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項25】
前記コポリマーが、前記コポリマーの合計重量に基づいて、10ppmw以
下の灰分含有量を有する、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項26】
前記コポリマーが、前記コポリマーの合計重量に基づいて、10ppmw未
満のフッ素含有量を有する、請求項1に記載のコポリマー。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、ポリ(アルファ-オレフィン)可塑剤およびそのようなポリ(アルファ-オレフィン)可塑剤を含む可塑化ポリマーに関する。
【0002】
ポリオレフィンは、多種多様な製品を作製するために使用される。しかしながら、いくつかのポリオレフィンの1つの短所は、それらの比較的高いガラス転移温度(Tg)である。ポリプロピレンホモポリマーおよびコポリマーは、この点において特に問題である。この高いTgは、加工が困難であり、特に低温で脆性であり得る材料をもたらし得る。また多くの製品について、高分子量ポリオレフィンは、所望のポリマー特性を提供するために必要である。高分子量ポリオレフィンは、それらの高い溶融粘度に起因して、更に加工が困難であり得る。
【0003】
結果として、広い温度範囲に曝露されたときに、それらの有利な特性を経時的に維持することもできる良好な加工性をポリマーに提供する必要性がある。そのようなポリマーの1つの重要な特性は、低温靭性であり、これは経時的な高温への曝露時にその特性を維持するポリマーを依然として提供する一方で改善されるべきである。
【0004】
ポリオレフィンへの可塑剤の添加は、衝撃強度および加工性などの特性を改善することが知られている。そのような可塑剤は、多くの場合、ポリマーのTgを低下させるために使用される。ポリマーのTgの低下は、ポリマーの加工性および低温衝撃靭性を改善し、ポリマーが低温で脆性になる傾向を低減することができる。この利点の組み合わせを達成するために、可塑剤は、低温でその粘度を維持する能力を有するべきである。いくつかの可塑剤は、低温で結晶化する傾向を有するか、または可塑剤中に構造を形成し、可塑剤の粘度の望ましくない増加につながる。これは、ポリマーを脆性にすることによって、この可塑剤で可塑化されたポリマーの低温衝撃靭性に悪影響をもたらし得る。
【0005】
多くの可塑化ポリマーはまた、可塑剤の乳白化もしくはポリマーの表面への拡散、または更にはポリマーからの可塑剤の揮発などの問題があり、各々がポリマー特性の経年劣化をもたらす。結果として、比較的低い流動点を有し、したがって上述されるポリマーのTgの有利な低下を付与し得る一方で、同時に、ポリマーがその有利な特性を経時的に、特に高温に曝露されたときに保持することを保証する、可塑剤が求められる。これを達成するために、可塑剤の揮発性またはポリマーの表面に拡散する傾向は、ポリマーのTgの低下と平衡されなければならない。可塑剤の揮発性を低減するための1つの方法は、その数平均分子量を増加させることである。しかしながら、数平均分子量の増加は、可塑化ポリマーのTgおよびポリマーの加工性に悪影響を及ぼし得る。
【0006】
より低い数平均分子量(Mn)を有する可塑剤は、ポリマーのTgが可塑剤のMnに反比例する傾向があるため、ポリマーのTgを低下させることにおいてより良好である傾向がある。しかしながら、可塑剤の数平均分子量(Mn)が減少するにつれて、可塑剤によってポリマーに付与される特性の過疎化耐久性は、特に高温に曝露されたときに悪影響を受ける。これは、少なくとも部分的に、可塑剤がポリマーの表面に移行する、および/または揮発する傾向の増加に起因する。したがって、可塑剤の数平均分子量を低下させることなくポリマーのTgを低下させる能力を有する、改善された可塑剤が求められる。
【0007】
適切な可塑剤の選択のための別の重要な点は、可塑剤とポリマーとの化学的適合性である。この目標を達成するために、可塑化されているポリマーと化学的に類似する可塑剤を用いることが望ましい。これは、可塑剤とポリマーとの化学的適合性を強化する。この目的のために、ポリアルファオレフィン(PAO)が、ポリオレフィン可塑剤としての使用のために提案されている。
【0008】
そのようなPAOは、典型的に、5個以上の炭素原子を有するオレフィンのオリゴマーである。いくつかの場合において、5個以上の炭素原子を有するそのようなオリゴマーは、エチレンでC4オレフィンに共重合され、可塑剤の流動点を低減することができる。US2004/054040およびWO2004/014997は、100~20,000g/molの範囲の重量平均分子量(Mw)および100℃(KV100)で0.1~3,000cStの動粘度を有するPAO可塑剤を開示している。
【0009】
US2004/106723およびWO2004/014998は、10cSt以上のKV100および100以上の粘度指数(VI)を有する可塑剤を開示している。これらの可塑剤としては、C5~C14オレフィンのオリゴマーが挙げられる。米国特許第4,536,537号は、38℃で約2~6cStの動粘度を有するPAO可塑剤を開示している。WO98/044041、WO2002/018487、およびWO2003/048252は、約4~8cStのKV100を有するPAO可塑剤を開示している。
【0010】
WO2009/020706は、3~3,000cStのKV100、0.40以下の分岐不規則性指数(「BII」)、および6~14のモル平均炭素数(CLAO)を有する1つ以上のC2-C20アルファ-オレフィンの規則的に分岐したPAOオリゴマーである可塑剤を開示している。
【0011】
好ましくは、規則的に分岐したPAOは、2.3未満のMw/Mnを有する。規則的に分岐したPAOで可塑化されたポリオレフィンは、従来のPAOで可塑化された同等のポリオレフィン組成物と比較して、熱重量分析によって測定した場合、低減した揮発性、または従来のPAOで可塑化された同等のポリオレフィン組成物と比較して、低減した組成物のガラス転移温度(Tg)を有すると言われている。
【0012】
PAO可塑剤は、典型的に、オレフィン異性化によって調製され、例えば、不規則な分岐によって引き起こされる様々な異なる構造を有するオリゴマーをもたらす。本発明により、現在、それらの構造を示すある特定の特徴を有するPAOは、ポリオレフィン中で使用されるときに可塑剤によって付与される特性の可塑化効率と可塑化耐性との改善された組み合わせを提供し得ることが見出されている。
【発明の概要】
【0013】
本発明は、概して、エチレン単位および1つ以上のC3-10アルファ-オレフィンの単位を含むコポリマーに関し、該コポリマーは、GPCによって測定して、5,000g/mol未満の数平均分子量を有し、コポリマーのエチレン含有量は、80mol%未満であり、コポリマーのうちの70mol%以上は、末端モノマー単位中に炭素-炭素二重結合を有し、炭素-炭素二重結合を有する末端モノマー単位のうちの少なくとも70mol%は、ビニリデン基およびビニリデン基の三置換異性体から選択された末端基を有し、コポリマーは、-20℃以下のクロスオーバー温度を有する。
【0014】
前述のコポリマーは、13C NMR分光法によって決定した場合、2.8未満または2.6未満の平均エチレン単位ランレングス(nC2)を有し得、該平均エチレン由来単位ランレングスnC2は、コポリマー中のエチレン由来単位の合計数をコポリマー中の1つ以上の連続するエチレン由来単位のラン数で除算したものとして定義され、平均エチレン由来単位ランレングスnC2はまた、下記の式によって示される関係を満たし、
【0015】
【0016】
式中、
【0017】
【0018】
xC2は、1H-NMR分光法によって測定した場合、ポリマー中に組み込まれているエチレンのモル分率であり、Eは、エチレン単位を表し、Aは、アルファ-オレフィン単位を表す。
【0019】
本発明はまた、概して、エチレン単位および1つ以上のC3-10アルファ-オレフィンの単位を含むコポリマーに関し、該コポリマーは、GPCによって測定して、5,000g/mol未満の数平均分子量を有し、コポリマーのエチレン含有量は、80mol%未満であり、コポリマーのうちの70mol%以上は、末端モノマー単位に炭素-炭素二重結合を有し、炭素-炭素二重結合を有する末端モノマー単位のうちの少なくとも70mol%は、ビニリデン基およびビニリデン基の三置換異性体から選択された末端基を有し、コポリマーは、13C NMR分光法によって決定した場合、2.8未満または2.6未満の平均エチレンランレングス(nC2)を有し、該平均エチレン由来単位ランレングスnC2は、コポリマー中のエチレン由来単位の合計数をコポリマー中の1つ以上の連続するエチレン由来単位のラン数で除算したものとして定義され、平均エチレン由来単位ランレングスnC2はまた、下記の式によって示される関係を満たし、
【0020】
【0021】
式中、
【0022】
【0023】
xC2は、1H-NMR分光法によって測定した場合、ポリマー中に組み込まれているエチレンのモル分率であり、Eは、エチレン単位を表し、Aは、アルファ-オレフィン単位を表す。このコポリマーは、-20℃以下のクロスオーバー温度を有し得る。
【0024】
前述の実施形態の各々では、コポリマーのエチレン含有量は、70mol%未満、または65mol%未満、または60mol%未満、または55mol%未満、または50mol%未満、または45mol%未満、または40mol%であり得る。前述の実施形態の各々では、コポリマーのエチレン含有量は、少なくとも10mol%~80mol%未満、または少なくとも20mol%~70mol%未満、または少なくとも30mol%~65mol%未満、または少なくとも40mol%~60mol%未満であり得る。
【0025】
前述の実施形態の各々では、コポリマーのC3-C10アルファ-オレフィン含有量は、少なくとも20mol%、または少なくとも30mol%、または少なくとも35mol%、または少なくとも40mol%、または少なくとも45mol%、または少なくとも50mol%、または少なくとも55mol%、または少なくとも60mol%であり得る。
【0026】
前述の実施形態の各々では、コポリマーのうちの少なくとも75mol%が、末端ビニリデン基もしくは末端ビニリデン基の三置換異性体中で終結し得るか、またはコポリマーのうちの少なくとも80mol%が、末端ビニリデン基もしくは末端ビニリデン基の三置換異性体中で終結し得るか、またはコポリマーのうちの少なくとも85mol%が、末端ビニリデン基もしくは末端ビニリデン基の三置換異性体中で終結し得るか、またはコポリマーのうちの少なくとも90mol%が、末端ビニリデン基もしくは末端ビニリデン基の三置換異性体中で終結し得るか、またはコポリマーのうちの少なくとも95mol%が、末端ビニリデン基もしくは末端ビニリデン基の三置換異性体中で終結し得る。
【0027】
前述の実施形態の各々では、コポリマーは、2.6未満、または2.4未満、または2.2未満、または2未満の平均エチレン単位ランレングスを有し得る。
【0028】
前述の実施形態の各々では、コポリマーのクロスオーバー温度は、-25℃以下、または-30℃以下、または-35℃以下、または-40℃以下であり得る。
【0029】
前述の実施形態の各々では、コポリマーは、4以下、または3以下、または2以下の多分散性指数を有し得る。
【0030】
前述の実施形態の各々では、C3-C10アルファ-オレフィン単位は、プロピレン単位を含み得る。
【0031】
前述の実施形態の各々では、コポリマーの数平均分子量は、4,000g/mol未満、または3,500g/mol未満、または3,000g/mol未満、または2,500g/mol未満、または2,000g/mol未満、または1,500g/mol未満、または1,000g/mol未満であり得る。前述の実施形態の各々では、コポリマーの数平均分子量は、800~3,000g/molであり得る。
【0032】
前述の実施形態の各々では、コポリマー中の単位三連子のうちの20%未満が、エチレン-エチレン-エチレン三連子であるか、またはコポリマーの単位三連子のうちの10%未満が、エチレン-エチレン-エチレン三連子であるか、またはコポリマーの単位三連子のうちの5%未満が、エチレン-エチレン-エチレン三連子である。
【0033】
前述の実施形態の各々では、コポリマーのビニリデン基およびビニリデン基の三置換異性体は、以下の構造式(I)~(III)のうちの1つ以上を有し、
【0034】
【0035】
式中、Rは、C1-C8アルキル基を表し、
【0036】
【0037】
コポリマーの残りの部分に結合している結合を示す。
【0038】
前述の実施形態の各々では、コポリマーは、コポリマーの合計重量に基づいて、25ppmw以下の金属または灰分合計含有量を有し得る。前述の実施形態では、金属または灰分合計含有量は、シングルサイト触媒および任意選択的な共触媒に任意に由来する、Zr、Ti、Al、およびBの合計含有量であり得る。前述の実施形態の各々では、コポリマーの金属または灰分合計含有量は、コポリマーの合計重量に基づいて、10ppmw以下、または5ppmw以下、または1ppmw以下であり得る。
【0039】
前述の実施形態の各々では、コポリマーは、コポリマーの合計重量に基づいて、10ppmw未満、または8ppmw未満、または5ppmw未満のフッ素含有量を有し得る。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】1つ以上の実施形態による、エチレン/C3コポリマーについての、異なるエチレン組み込みにおける平均エチレン単位ランレングスと、純粋に統計的および交互の微細構造との比較のグラフ表示である。
【
図2】1つ以上の実施形態による、微細構造に対する反応器温度の影響のグラフ表示である。
【
図3】1つ以上の実施形態による、クロスオーバー温度に対する、統計的微細構造よりも劣る平均エチレン単位ランレングス、および統計的微細構造よりも良好な平均エチレン単位ランレングスのグラフ表示である。
【
図4】1つ以上の実施形態による、統計的微細構造よりも良好なコポリマーのみの、クロスオーバー温度に対する平均エチレンランレングスのグラフ表示である。
【
図5】950数平均分子量の高反応性(HR)ポリイソブチレンおよび2300数平均分子量のHRポリイソブチレンを本発明による実施例1の産生物と比較して、1H-NMRで決定されたM
nによって正規化され、分子量の効果を取り除くために3.4パワーに上げられたコポリマー粘度を示す、振動レオメトリーによって測定されたセンチポワズ(cP)での複素粘度に対する、温度のグラフ表示である。
【
図6】950数平均分子量HRポリイソブチレンを本発明による実施例1の産生物と比較して、回転レオメトリーによって測定されたセンチポワズ(cP)での動粘度に対する、温度のグラフ表示である。
【
図7】以下の材料、950数平均分子量のHRポリイソブチレン、2300数平均分子量のHRポリイソブチレン、および多くのエチレンプロピレンコポリマーを比較して、1H-NMRで決定されたM
nによって正規化され、分子量の効果を取り除くために3.4パワーに上げられたコポリマー粘度を示す、振動レオメトリーによって測定されたセンチポワズ(cP)での複素粘度に対する、温度のグラフ表示である。
【
図8】反応器へのオレフィン流量の関数としての、温度プロファイルのグラフ図である。
【
図9】低い金属および/またはフッ素含有量の例で使用した、最初の6つの試料について測定された分子量およびエチレンの組み込みのグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明は、エチレン-C3-C10アルファ-オレフィンコポリマー、および未修飾のポリオレフィン(複数可)と比較した場合に、改善された特性を有するブレンドを産生するために、そのようなコポリマーを1つ以上のポリオレフィンに添加することに関する。ある特定の特徴を有するコポリマーを用いて、可塑化ポリオレフィン中の特性の、従来のPAO可塑剤よりも良い組み合わせを提供することができる。
【0042】
ここで様々な実施形態が、特定の実施形態、バージョン、および実施例を含めて、下記でより詳細に記載されるが、本発明は、これらの実施形態、バージョン、または実施例に限定されず、この特許における情報が、使用可能な情報および技術と組み合わされたときに、当業者が本発明を作製および使用できるように含まれる。
【0043】
定義
以下の定義は、本発明およびそれに対する特許請求の範囲の目的のために行われる。
【0044】
ポリマーまたはコポリマーが、エチレン単位またはオレフィン単位を含むものとして言及される場合、該ポリマーまたはコポリマー中に存在するエチレンまたはオレフィン単位は、エチレンまたはオレフィンそれぞれの重合形態またはオリゴマー化形態である。用語「ポリマー」は、ホモポリマーおよびコポリマーを包含することを意味する。用語「コポリマー」は、同じ鎖中の異なるモノマーからの2つ以上の単位を有する任意のポリマーを含み、ランダムコポリマー、統計的コポリマー、インターポリマー、およびブロックコポリマーを包含する。コポリマーが、ある特定のパーセンテージのエチレン単位またはオレフィン単位を含むと言われる場合、そのパーセンテージは、コポリマー成分中の単位の合計量に基づく。
【0045】
「ポリオレフィン」は、1つ以上のオレフィンモノマーのうちの少なくとも50mol%を含むポリマーである。好ましくは、ポリオレフィンは、1つ以上のオレフィンモノマーのうちの少なくとも60mol%、または少なくとも70mol%、または少なくとも80mol%、または少なくとも90mol%、または少なくとも95mol%、または少なくとも100mol%を含む。好ましくは、オレフィンモノマーは、エチレン~エチレン0オレフィン、またはエチレン~C16オレフィン、またはエチレン~C10オレフィンから選択される。より好ましくは、オレフィンモノマーは、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンから選択される。ポリオレフィンはまた、1つ以上のジエンモノマーのうちの50mol%までを含む。
【0046】
学名「Cx」(xは整数である)は、化合物中に「x個の炭素」が存在することを意味し、例えば、「C5アルファ-オレフィン」は、5個の炭素原子を有するアルファ-オレフィンである。
【0047】
本発明およびそれに対する特許請求の範囲の目的のために、別途記載されない限り、本明細書に記載の物理的および化学的特性は、実験方法のセクション下で説明される試験方法を使用して測定される。
【0048】
一態様では、可塑剤としての使用、特にポリオレフィンを可塑化するのに好適なエチレンおよびC3-C10アルファ-オレフィンのコポリマーが開示される。
【0049】
エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー
本明細書に記載のコポリマーは、複数のエチレン単位および複数の1つ以上のC3-C10アルファ-オレフィン単位を含有する。例示的なアルファ-オレフィン単位としては、プロピレン、ブタン、ペンテン、ヘキセン、ヘプタン、オクテン、ノネン、およびデセン単位が挙げられる。したがって、各アルファ-オレフィンの炭素数は、3、4、5、6、7、8、9、または10であり得る。アルファ-オレフィン単位は、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、または1-デセンなどのモノマーに由来し得る。
【0050】
エチレン単位は、一般的に、コポリマー鎖内の-CH2CH2-単位を指す。エチレン単位は、エチレンモノマーの共重合から生じる。アルファ-オレフィン単位は、一般的に、プロピレン単位-CH2CH2CH2-などの単位を指し、同様に、アルファ-オレフィンモノマーの共重合から生じる。用語「オレフィン」は、当該技術分野におけるその通常の意味が付与され、例えば、化学式CXH2X(式中、xは炭素数である)を有するアルケンである、有機化合物のファミリーを指し、該アルケンは、それらの構造内に二重結合を有する。用語「アルファ-オレフィン」は、当該技術分野におけるその通常の意味が付与され、それらの構造内の一次またはアルファ位置に二重結合を有するオレフィンを指す。
【0051】
クロスオーバー温度
本明細書に記載のコポリマーの1つの重要な特徴は、コポリマーのクロスオーバー温度または開始温度である。コポリマーは、一般に粘弾性であり得、言い換えれば、その機械的特性が、純粋に弾性の固体のものと純粋に粘性の液体のものとの間にある。コポリマーの粘弾性挙動は、弾性部分(弾性率または貯蔵弾性率のいずれかと称される)と、粘性部分(粘性弾性率または損失弾性率のいずれかと称される)との組み合わせとして特徴付けることができる。これらの弾性率の値は、所与の温度におけるコポリマーの粘弾特性を特徴付けるために使用される。貯蔵弾性率および損失弾性率の両方は、温度に依存するが、各々が温度の関数として異なる速度で変化し得る。したがって、コポリマーは、温度に応じて、より高い弾性またはより高い粘度を呈し得る。クロスオーバー温度は、本明細書では、貯蔵弾性率が損失弾性率に等しい温度として定義される。クロスオーバー温度はまた、開始温度とも称される。
【0052】
振動レオロジーは、貯蔵弾性率および損失弾性率についての値(一般に圧力の単位で表される)を決定するために使用され得る、1つの技術である。振動レオメーターの基本原理は、試料(例えば、コポリマーの試料)に正弦の剪断変形を生じさせ、得られる応力応答を測定するものである。典型的な実験では、試料は、2枚のプレートの間に置かれる。トッププレートが静止したままで、モータがボトムプレートを回転させ、それによって試料に時間依存性のひずみを加える。同時に、時間依存性の応力は、トッププレート上の試料に加えるトルクを測定することによって定量化される。
【0053】
この時間依存性の応力応答を測定すると、材料の挙動に関する特徴が明らかになる。材料が理想的な弾性固体である場合、試料応力はひずみ変形に比例し、比例定数は材料の剪断弾性率である。この場合、応力は、常に適用される正弦波のひずみ変形と正確に同位相である。対照的に、材料が純粋に粘性の流体である場合、試料内の応力はひずみ変形の速度に比例し、比例定数は流体の粘度である。この場合、適用されるひずみと測定される応力は、異なる相である。
【0054】
粘弾性材料は、同位相および異なる相の寄与の両方を包含する応答を示す。これらの寄与は、固体様の挙動および液体様の挙動の程度を明らかにする。粘弾性材料は、加えられたひずみ変形に対して、固体と液体の間の位相シフトを示すであろう。これらは、弾性成分(貯蔵弾性率)と粘度成分(損失弾性率)とに切り離すことができる。したがって、系の粘弾性挙動は、貯蔵弾性率および損失弾性率によって特徴付けることができ、これらはそれぞれ、測定された応力応答に対する固体様および流体様の寄与を特徴付ける。
【0055】
上述のように、貯蔵弾性率および損失弾性率の値は、温度依存性である。より高温では、コポリマーの損失弾性率の値は、貯蔵弾性率の値よりも大きい。しかしながら、温度が低下するにつれて、コポリマーは、より弾性の固体のように振る舞い、貯蔵弾性率からの寄与の程度は、損失弾性率からの寄与の程度に近づく。温度が下がるにつれて、最終的に、ある特定の温度でコポリマーの貯蔵弾性率は損失弾性率と交差し、コポリマーの粘弾性挙動の主な原因となる。1つ以上の実施態様によれば、コポリマーのより低いクロスオーバー温度は、コポリマーが組み込まれている油のより良好な低温性能と相関する。
【0056】
1つ以上の実施形態によれば、コポリマーは、振動レオメトリーによって決定した場合、-20℃以下、-25℃以下、-30℃以下、-35℃以下、-40℃以下、-50℃以下、-60℃以下、または-70℃以下のクロスオーバー温度を有し得る。他の値もまた、可能である。コポリマーの有利なクロスオーバー温度は、その製造中にコポリマーの特徴を制御することによって達成することができる。そのような1つの特徴は、コポリマー中の平均エチレン単位ランレングスである。
【0057】
平均エチレン単位ランレングス
1つの以上の実施形態によれば、コポリマー内のエチレン単位およびC3-C10アルファ-オレフィン単位を、良好な低温性能を提供するように配置することができる。エチレン単位およびC3-C10アルファ-オレフィン単位の配置の1つの重要な特徴は、平均エチレン単位ランレングスである。平均エチレン由来単位ランレングスnC2は、コポリマー中のエチレン由来単位の合計数を、コポリマー中の1つ以上の連続するエチレン由来単位のラン数で除算したたものとして定義される。したがって、平均エチレン単位ランレングスは、コポリマー中のエチレン単位の各シーケンス中のエチレン単位の数の平均である。例えば、単位C3-C10アルファ-オレフィン-エチレン-エチレン-C3-C10アルファ-オレフィンのシーケンス中、エチレン単位ランレングスは、このシーケンスのエチレン単位のラン中に2つのエチレン単位が存在するため、2である。したがって、以下の2つのシーケンス(A)および(B)を有するコポリマー中、エチレン単位ランレングスは、それぞれ2および3であり、平均エチレン単位ランレングスは、2.5である。(A)C3-C10アルファ-オレフィン-エチレン-エチレン-C3-C10アルファ-オレフィン、および(B)C3-C10アルファ-オレフィン-エチレン-エチレン-エチレン-C3-C10アルファオレフィン。エチレンおよびC3-C10アルファ-オレフィン単位の鎖を含むコポリマー分子中、単位は、コポリマー鎖内で均一に分布していない。平均エチレン単位ランレングスは、エチレン単位の合計数をコポリマー中のエチレン単位のラン数で除算することによって決定され得る。例えば、合計4つのエチレン単位および3つのエチレン単位のランを有するコポリマーは、4/3=1.33の平均エチレン単位ランレングスを有する。
【0058】
平均エチレン単位ランレングスの値を決定するための方法は、当技術分野において既知であり、例えば、″Carbon-13 NMR in Polymer Science,″ACS Symposium Series 103,American Chemical Society,Washington,D.C.1978 atp.97 and in″Polymer Sequence Determination Carbon-13 NMR Method,″J.C.Randall,Academic Press,New York,N.Y.atp.53.に記載の13C核磁気共鳴法を使用する確立された分光法手順を含む。
【0059】
コポリマー鎖中の単位の配置が純粋にランダムである場合、各単位は、直前の単位が同じであるか異なるかにかかわらず、モノマー混合物中に存在するその単位に対応するモノマーの残りのモルパーセンテージに比例して、ある特定の位置における出現の変化を有する。したがって、純粋にランダムな単位分布について予想される平均エチレン単位ランレングスは、エチレンモノマーのモルパーセンテージの関数として計算され得る。この値は、統計的に予想されるランダム平均エチレン単位ランレングスと称される。
【0060】
1つ以上の実施形態によれば、コポリマーは、コポリマー単位のうちの1つの平均ランレングスが、反応混合物中に存在するその単位のモノマーの所与のモルパーセンテージについて、統計的に予想されるランダム平均単位ランレングスよりも短いプロセスによって合成され得る。例えば、エチレン単位およびプロピレン単位のコポリマーを考慮すると、以下で更に論じるように、コポリマー鎖形成中に、プロピレン単位が先行するエチレン単位に結合するのが優勢であり、一方エチレン単位が先行するプロピレン単位に結合するのが優勢であるように、1つ以上の触媒および/または共触媒を選択することができる。この選択の結果として、コポリマー中の平均エチレン単位ランレングスは、反応混合物中のエチレンモノマーの所与のモルパーセンテージについて、統計的に予想されるランダム平均単位ランレングスよりも短くなるまで低減され得る。平均ランレングスが、統計的に予想されるランダム平均単位ランレングスよりも短い場合、コポリマーは、「統計的」と「交互」の間にあると称され、「交互」は、エチレン単位とプロピレン単位が常に交互であるコポリマーを指す。あるいは、平均単位ランレングスが、統計的に予想されるランダム平均単位ランレングスよりも大きい場合、コポリマーは、「統計的」と「ブロック状」の間にあると言われる。
【0061】
1つ以上の実施態様によれば、コポリマー中の平均エチレン単位ランレングスは、少なくとも部分的には、コポリマー中のエチレン単位のパーセンテージ、ならびに選択された触媒(複数可)および共触媒(複数可)の関数である。例えば、コポリマー中のより高いパーセンテージのエチレン単位は、より高い平均エチレン単位ランレングスをもたらすであろう。触媒がコポリマーの異なる単位の挿入の相対挿入率に影響を及ぼす状況において、触媒および共触媒の選択を使用して、平均エチレン単位ランレングスに影響を及ぼすことができる。
【0062】
ポリマー鎖形成中、成長しているコポリマー鎖の末端でエチレンモノマーが先行するエチレン単位に結合する反応速度は、エチレン-エチレン反応速度定数(「kpEE」)と称される。成長しているコポリマー鎖の末端でプロピレン(または他のアルファ-オレフィンモノマー)がエチレン単位に結合する反応速度は、エチレン-プロピレン反応速度定数(「kpEP」)と称される。エチレンの反応性比(「rE」)は、エチレン-エチレン反応速度定数対エチレン-プロピレン反応速度定数の比、kpEE/kpEPを指す。
【0063】
同様に、成長しているコポリマー鎖の末端でプロピレン(または他のアルファ-オレフィン)モノマーがプロピレン単位に結合する反応速度は、プロピレン-プロピレン反応速度定数(「kpPP」)と称される。成長しているコポリマー鎖の末端でエチレンモノマーがプロピレン単位に結合する反応速度は、エチレン-プロピレン反応速度定数(「kpPE」)と称される。プロピレンの反応性比(「rP」)は、プロピレン-プロピレン反応速度定数対プロピレンエチレン反応速度定数の比、kpPP/kpPEを指す。
【0064】
反応性比(rEまたはrP)の各々が低いほど、異なる単位が先行する単位に続く可能性が高く、したがって、得られるコポリマー鎖は、交互の性質を有する傾向があり、統計的に予想されるランダム平均エチレン単位ランレングスよりも低い平均エチレン単位ランレングスを有する。1つ以上の実施形態によれば、適切な触媒の選択、ならびに他のプロセスパラメータの制御は、様々な単位/モノマーについての反応性比のうちの1つ以上を低減することができ、したがって平均エチレン単位ランレングスも低減することができる。
【0065】
より低い平均エチレン単位ランレングスは、ある特定の利点を提供し得る。例えば、コポリマーについてより低いクロスオーバー温度をもたらし得、それによりコポリマーで可塑化されたポリオレフィンの寒中性能などの性能の1つ以上の態様を改善する。一般に、平均エチレン単位ランレングスが短いほど、コポリマーのクロスオーバー温度が低く、これは最終的に、コポリマーで可塑化されたポリオレフィンについて、より良い低温性能をもたらす。
【0066】
1つ以上の実施形態によれば、エチレン単位およびC
3-C
10アルファ-オレフィン単位を含むコポリマーは、コポリマー中の所与のモルパーセンテージのエチレン単位について、統計的に予想されるランダム平均エチレン単位ランレングスよりも短い平均エチレン単位ランレングスを有するように選択される。下記の式(2)~(5)を使用して、コポリマー中の所与のモルパーセンテージのエチレン単位について、統計的に予想されるランダム平均エチレン単位ランレングスを計算することができる。例えば、
図2に示すように、ある特定の反応条件下、配位メタロセン、Cp
2ZrCl
2、およびメチルアルミノキサン共触媒を含む配位重合触媒の存在下での共重合は、コポリマー中のエチレン単位の所与のパーセンテージでのランダム分布について、統計的に予想されるランレングスよりも短い平均エチレン単位ランレングスを有するコポリマーの産生をもたらす。
【0067】
1つ以上の実施形態によれば、コポリマーは、3.0未満、2.9未満、2.8未満、2.7未満、2.6未満、2.5未満、2.4未満、2.3未満、2.1未満、または2.0未満の平均エチレン単位ランレングスを有し得る。そのような実施形態では、平均エチレン単位ランレングスはまた、コポリマー中の所与のモルパーセンテージのエチレン単位について、統計的に予想されるランダム平均エチレン単位ランレングスよりも短くなるように選択されてもよい。
【0068】
統計的および交互の微細構造
完全に交互の微細構造を有するように産生されたエチレンとプロピレンとのコポリマーは、あらゆるエチレン単位の配列が全く同じ長さであるため、エチレン単位ランレングスの分布を有しない。完全に交互の微細構造のエチレン単位ランレングスは、式(1)から計算される。
【0069】
【0070】
完全に交互の微細構造を有しないコポリマーは、エチレン単位ランレングスの分布を有し、コポリマーの純粋に統計的な微細構造についての予想は、そのコポリマー中のエチレン単位ランレングスの分布についての平均エチレン単位ランレングスを表す。純粋に統計的な微細構造を有するように産生されたコポリマーの平均エチレン単位ランレングスは、式(2)に示されるベルヌーイ統計を使用して計算することができる。1H-NMR分光法によって測定した場合、ポリマーに組み込まれているエチレンのモル分率、Xエチレンは、下記に示される式(3)~(5)を使用して、純粋に統計的なポリマー中のコポリマー中のEEE、EEP、およびPEP三連子(EPE、PPE、およびPPP三連子もある)の分率を計算するために使用される。
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
Eは、エチレン単位を表し、Pは、プロピレン単位を表し、したがって三連子「EPE」は、3単位の三連子エチレン-プロピレン-エチレンを表す。
【0076】
mol%での実験的なエチレンの組み込みは、当業者に既知の標準的な技法を使用し、
1H-NMRによって決定することができる。実験的な平均エチレン単位ランレングスは、上述の標準技法を使用し、
13C-NMRによって決定した。実験的に決定された平均エチレン単位ランレングスと、交互結果および統計的結果についての計算との比較は、異なるモルパーセンテージのエチレン組み込みにおいて
図1に示される。計算した統計的結果と交互結果に対するエチレン単位ランレングスの実験結果の比較は、コポリマーが、統計的よりも劣るまたは良好な微細構造を有するかどうかの表示をもたらす。統計的よりも劣る微細構造は、平均エチレン単位ランレングスについて、より広いエチレン単位ランレングスの分布を有すると考えられる。そのような微細構造は、平均よりも劣るいくつかのランレングスと、平均よりも良好なものとを有する。
【0077】
コポリマーのエチレン含有量を増加させると、可塑剤の可塑化効率、可塑化耐久性、および酸化安定性を増加させるが、より低い温度で起こり得る構造形成量も減少させる。本発明のコポリマーの特性と微細構造との特定の組み合わせが、適切な可塑化効率、可塑化耐久性、および酸化安定性を提供しながら、同時に良好な低温性能を提供することは意外である。
【0078】
図1に示す結果は、2つの異なる触媒系を用いて産生された。エチレンの組み込みは、当該技術分野で既知の標準技法を使用して重合中に制御された。Cp
2ZrCl
2/MAO触媒系を使用した共重合は、
図2に示されるCp
2ZrMe
2/FAB/TEAL触媒系を使用した共重合よりも低い温度および狭い温度範囲内で行われた。
【0079】
共重合反応を制御して本発明の所望のコポリマーを提供することができる。反応温度、圧力、混合、反応器熱管理、反応物のうちの1つ以上の供給速度、触媒および/または共触媒および/または捕捉剤の種類、比、および濃度、ならびに供給成分の相などのパラメータは、反応から得られるコポリマーの構造に影響を及ぼすように制御することができる。したがって、いくつかの異なる反応条件の組み合わせを制御して、所望のコポリマーを生成することができる。
【0080】
例えば、適切な熱管理をしながら共重合反応を行うことが重要である。共重合反応は発熱性であるので、反応器内で所望の設定温度を維持するためには、熱を除去しなければならない。これは、例えば、多くの場合組み合わせて実施される2つの異なる方法によって達成することができる。反応器への供給流を反応設定温度よりかなり低い温度に(時には極低温にも)冷却し、したがって供給流に反応熱のいくらかを吸収させて温度を上昇させること通じて熱を除去することができる。加えて、冷却コイルおよび/または冷却ジャケットなどの外部冷却によって反応器から熱を除去することができる。反応器内の設定温度が低いほど、熱除去に対する要求が多い。反応温度が高いほど、熱を除去する必要がより少なく、あるいはまたは組み合わせて、高いコポリマーの濃度(より高い生産性)、および/またはより短い滞留時間(より小さい反応器)が可能である。純粋に統計的な微細構造からの平均エチレン単位ランレングスのずれを特徴付ける結果を、共重合中の反応器の温度と比較してプロットした両方の触媒系について
図2に示す。
【0081】
反応温度が135℃を超えて上昇すると、微細構造の制御が失われる可能性があり、コポリマーは典型的には統計的よりも劣るように思われる。結果として、コポリマーの低温特性が損なわれ得る。理論に束縛されるものではないが、より高い温度で生成されたコポリマーの微細構造の制御の低下は、エチレンの組み込みと比較してコモノマーの組み込みの反応速度の低下に起因すると考えられる。コモノマーをコポリマー中に組み込むことがより困難であるほど、コモノマーが共重合中に鎖中のエチレン単位のランを規則的に分解しない。より高い反応温度でコモノマーの組み込みを改善するためのいくつかの戦略は、反応器中のC3-C10アルファ-オレフィン/エチレンのモノマー比を増加させること、触媒中のAl/Zr比を増加させること、または触媒構造を変えることを含む。
【0082】
したがって、本発明のいくつかの実施形態では、60~135℃の反応温度が共重合反応に用いられるか、より好ましくは、62~130℃、または65~125℃、または好ましくは68~120℃、または70~90℃の反応温度が、共重合反応に用いられる。
【0083】
触媒系における好ましいAl/Zr比は、10,000:1未満、1,000:1未満、100:1未満、10:1未満、5:1未満、または1:1未満であり得る。ホウ素含有技術では、触媒中の好ましいAl/Zr比は、100:1未満、50:1未満、10:1未満、5:1未満、1:1未満、0.1:1未満であり、好ましいB/Zr比は、10:1未満、5:1未満、2:1未満、1.5:1未満、1.2:1未満、または1:1未満である。
【0084】
コポリマーの低温特性は、コポリマーの微細構造に相関し得る。純粋なコポリマーの低温性能は、振動レオメトリーによって測定される。貯蔵弾性率が損失弾性率に等しい点、クロスオーバー温度または開始温度は、コポリマーが望ましくない構造形成を呈し始める温度の表示である。クロスオーバー温度は、ポリマー中で形成された構造がポリマーの液体様特徴を超える点である。この温度は、コポリマー構造がポリオレフィン可塑剤として低温性能に及ぼす影響を決定するために予測的であることが示された。
【0085】
クロスオーバー温度に対する平均エチレン単位ランレングスの影響は、
図3および4に示される。Cp
2ZrCl
2/MAO触媒系で産生されたコポリマーは良好に挙動し、クロスオーバー温度と平均エチレン単位ランレングスとの間に強い相関がある。Cp
2ZrMe
2/FAB/TEAL触媒系で産生されたコポリマーは、クロスオーバー温度と平均エチレン単位ランレングスとの所望の組み合わせを提供するように制御され得る。特に広範囲のクロスオーバー温度は、Cp
2ZrMe
2/FAB/TEAL触媒系を使用して産生されたコポリマーについて観察され、
図3に示される。具体的に、2.6の適切なエチレン単位ランレングスで、これらのコポリマーのクロスオーバー温度は、ほぼ-40℃から約5℃まで変化する。この広いクロスオーバー温度範囲は、同じ平均エチレン単位ランレングスでこれらのコポリマーについて観察された多種多様な異なる微細構造と相関する。
【0086】
三連子分布
いくつかの実施形態では、コポリマー中の単位の連続配置が、代替として、三連子分布に関連して記載され得る。三連子分布は、コポリマー鎖の列に3つの単位の可能な組み合わせの統計的分布を指す。エチレン-プロピレンコポリマーを例としてとらえると(「E」は、エチレン単位を表し、「P」は、プロピレン由来単位を表す)、単位三連子の潜在的な組み合わせは、EEE、EEP、PEP、EPE、PPE、およびPPPである。1つ以上の実施形態によれば、コポリマー中の単位三連子の合計数に基づくEEE単位のパーセンテージは、好ましくは20%未満、10%未満、または5%未満である。EEE単位のパーセンテージは、そのようなコポリマー中の比較的短い平均エチレン単位ランレングスの表示である。
【0087】
エチレン-プロピレンコポリマーの三連子分布を計算するために使用される方法は、J.C.Randall JMS-Review Macromolecules Chem Physics ethylene9,201(1989)およびE.W.Hansen,K.Redford Polymer Vol.37,No.1,19-24(1996)に記載されている。定量的条件下で13C(1H)NMRデータを収集した後、表1に示される8つの領域(A~H)を統合する。表2の等式を適用し、値を正規化する。本明細書に記載の実施例について、NMRスペクトルのピークオーバーラップに起因して、D、E、およびF領域を組み合わせた。記号「k」は、正規化定数を表し、Tは、合計強度である。
【0088】
【0089】
【0090】
分子量
コポリマーの数平均分子量は、米国特許第5,266,223号に記載されるように、1H-NMRまたはゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって決定することができ、GPC法が好ましい。GPC法は、分子量分布情報を更に提供する。W.W.Yau,J.J.Kirkland and D.D.Bly,″Modem Size Exclusion Liquid Chromatography″,John Wiley and Sons,New York,1979を参照されたい。いくつかの実施形態によれば、コポリマーは、GPCによって決定される場合、5,000g/mol未満、4,500g/mol未満、4,000g/mol未満、3,500g/mol未満、3,000g/mol未満、2,800g/mol未満、2,500g/mol未満、2,000g/mol未満、1,500g/mol未満、または1,000g/mol未満の数平均分子量を有し得る。いくつかの実施形態によれば、コポリマーは、GPCによって決定される場合、200g/mol超、500g/mol超、800g/mol超、1,000g/mol超の数平均分子量を有し得る。範囲を形成するために上で参照される終点のすべての組み合わせもまた、本明細書に開示される。他の値もまた、可能である。
【0091】
コポリマーの多分散性指数(PDI)は、コポリマーの個々の鎖の長さ(単位)の変動の尺度である。多分散性指数は、コポリマーの重量平均分子量(Mw)をコポリマーの数平均分子量(Mn)で除算することによって決定される。数平均分子量(例えば、1H-NMRまたはGPCによって決定される)という用語は、当該技術分野におけるその通常の意味が付与され、各ポリマー鎖重量と、その重量を有するポリマー鎖の数の積和を、ポリマー鎖の合計数で除算したものとして定義される。コポリマーの重量平均分子量は、当該技術分野におけるその通常の意味が付与され、各ポリマー鎖の二乗重量と、その重量を有するポリマー鎖の合計数との積和を、各ポリマーの重量と、その重量を有するポリマー鎖の数との積和で除算したものとして定義される。1つ以上の実施形態によれば、コポリマーのPDI(Mw/Mn)は、4以下、3以下、2以下、または1以下であり得る。
【0092】
いくつかの実施形態では、コポリマーの分子量を低減することなく、より低い動粘度を有するコポリマーを提供することが望ましい。この目標は、ある特定の実施形態では、上で論じられるようにコポリマーの微細構造を制御することによって達成され得る。
【0093】
粘度および複素粘度
本明細書の実施形態の1つの目標は、同等のコポリマーよりも低い粘度および高い分子を有するコポリマーの提供である。例えば、
図6を参照すると、本発明による、49mol%エチレンおよび51mol%プロピレン(EP-4951-1053)の1053数平均分子量コポリマーに対する、950数平均分子量ポリイソブチレン(TPC595)の、粘度対温度の比較が示されている。
図6は、本発明のコポリマーは、ポリイソブチレンよりも高い分子量を有するが、本発明のコポリマーの粘度は、すべての関連温度において、ポリイソブチレンの粘度よりも著しく低いことを示す。このように、ポリオレフィンポリマーの表面へのコポリマーの拡散を低減し、かつ/またはポリオレフィンからのコポリマーの揮発を阻害する傾向がある、より高い分子量の利点を得る一方で、改善された可塑化が達成され得る。
【0094】
図6を
図5と比較すると、不良な微細構造を有する良好なコポリマーの場合、複素粘度は本質的に動粘度と同じであることがわかる。しかしながら、Mnが十分に高い(例えば、ポリマーのエンタングルメント(Me)よりも3倍大きい)場合、複素粘度は、動粘度とは異なる。エンタングルメントに起因するこの変動の例は、
図7に見ることができ、ある特定の比較コポリマーは、温度が減少するにつれて不規則な複素粘度を呈した。
【0095】
図7は、1H-NMRにより決定されたM
nによって正規化され、分子量の効果を取り除くために3.4パワーまで上げられたコポリマー粘度を示す、振動レオメトリーによって測定されたセンチポワズ(cP)での複素粘度に対する温度のグラフ表示である。このデータは、不良なコポリマー微細構造が複素粘度に対してほとんどまたは全く影響を及ぼさない温度範囲について、これもまた
図5~6に示されるように、本発明のコポリマーとポリイソブチレンとの間に明らかな違いがあることを示す。不良な微細構造が複素粘度に影響し始めるとき、不良な微細構造を有していた比較のエチレンプロピレンコポリマーによって示されるように、コポリマー中の構造形成を示す明らかなずれが生じる。結果として、不良な微細構造を有するこれらのコポリマーは、そのようなコポリマー中の構造形成が望ましくない粘度の増加につながるため、微細構造が重要な役割を果たすこの温度範囲において、可塑化に有益とならない。
【0096】
エチレン含有量
コポリマーは、ある特定のモルパーセンテージ(mol%)のエチレンまたはエチレン単位を含み得る。いくつかの実施形態によれば、コポリマー中のエチレンのモルパーセンテージは、少なくとも10mol%、少なくとも20mol%、少なくとも30mol%、少なくとも40mol%、少なくとも45mol%、少なくとも50mol%、少なくとも55mol%、少なくとも60mol%、少なくとも65mol%、少なくとも70mol%、または少なくとも75mol%である。いくつかの実施形態によれば、コポリマー中のエチレン単位のモルパーセンテージは、80mol%未満、75mol%未満、70mol%未満、65mol%未満、60mol%未満、55mol%未満、50mol%未満、45mol%未満、40mol%未満、30mol%未満、または20mol%である。範囲を形成する上述の終点の各々の組み合わせもまた可能であり、本明細書に開示される。他の値もまた、可能である。
【0097】
C3-C10アルファオレフィンコモノマー含有量
コポリマーは、ある特定のモルパーセンテージのC3-C10アルファ-オレフィン単位を含み得る。いくつかの実施形態によれば、コポリマー中のC3-C10アルファ-オレフィン単位のモルパーセンテージは、コポリマー内の合計単位に対して、少なくとも20mol%、少なくとも25mol%、少なくとも30mol%、少なくとも35mol%、少なくとも40mol%、少なくとも45mol%、少なくとも50mol%、少なくとも55mol%、少なくとも60mol%、少なくとも65mol%、少なくとも70mol%、または少なくとも80mol%である。いくつかの実施形態によれば、コポリマーのC3-C10アルファ-オレフィン含有量は、90mol%未満、80mol%未満、70mol%未満、65mol%未満、60mol%未満、55mol%未満、50mol%未満、45mol%未満、40mol%未満、35mol%未満、30mol%未満、25mol%未満、または20mol%未満、90mol%未満である。上で参照される任意の限界値の組み合わせを作製して、範囲を形成することができ、それらは可能であり、本明細書に開示される。他の値もまた、可能である。
【0098】
不飽和
当該技術分野において既知の可塑剤についての多くの適用において、重合可能な可塑剤、官能化可能な可塑剤、または反応性可塑剤を提供することが望ましい場合がある。これらの目的のうちの1つ以上のために、本発明のコポリマーに不飽和を含めることが望ましい。
【0099】
本発明の実施形態では、コポリマーは、複数のコポリマー分子を含み、コポリマーのうちの70mol%以上が、末端モノマー単位に炭素-炭素二重結合を有する。いくつかの実施形態によれば、コポリマーのうちの75mol%超、80mol%超、85mol%超、90mol%超、95mol%超、または97mol%超が、末端モノマー単位に炭素-炭素二重結合を有する。末端不飽和を呈するポリマー鎖のパーセンテージは、FTIR分光分析、滴定、または13C NMRによって決定され得る。例えば、米国特許第5,128,056号を参照されたい。
【0100】
末端基
本発明の実施形態では、コポリマーは、エチレン単位またはC3-C10アルファ-オレフィン単位のいずれかを有する一端で終結し得る。上述の末端不飽和は、コポリマー分子の末端基内に位置する。末端不飽和を含有する末端基がエチレン単位である場合、末端不飽和は、ビニル基またはビニル基の二置換異性体のいずれかに存在する。末端不飽和を含有する末端基がC3-C10アルファ-オレフィン単位である場合、末端不飽和は、ビニリデン基またはビニリデン基の三置換異性体のいずれかに存在する。
【0101】
いくつかの実施形態では、末端不飽和のうちの70mol%超、75mol%超、80mol%超、85mol%超、90mol%超、または95mol%超が、C3-C10アルファ-オレフィン単位内に位置する。そのような場合において、末端基は、以下の構造式(I)~(III)のうちの1つ以上を有する。
【0102】
【0103】
式(I)~(III)の各々について、Rは、その特定のC3-C10アルファ-オレフィン単位のための適切なアルキル基、例えば、アルファオレフィンがプロピレンである場合はメチル基、アルファオレフィンが1-ブテンである場合はエチル基などを表し、
【0104】
【0105】
コポリマー分子の残りの部分に対する基(I)、(II)、または(III)の結合点である結合を示す。
【0106】
本明細書で使用される場合、用語「末端ビニリデン」および「末端ビニリデン基」は、式(I)によって表される構造を指す。本明細書で使用される場合、用語「末端ビニリデンの三置換異性体」および「末端ビニリデン基の三置換異性体」は、式(II)および(III)によって表される構造のうちの1つを指す。
【0107】
コポリマー中の末端ビニリデン、末端ビニリデンの三置換異性体、ならびに他のタイプの末端不飽和は、1H-NMRによって検出され得る。US2016/0257862において論じられるように、各シグナルの積分強度から、各末端基の量を決定することができる。
【0108】
化学的適合性
熱可塑性材料の化学的適合性を評価するために使用され得る多くの試験がある。化学的適合性の試験の3つの主な群としては、物理的/機械的特性の保持、目視評価、ならびにクリープおよびクリープ破断が挙げられる。体積、重量、寸法、または硬度の変化などの物理的特性は、化学的適合性を評価するときに特に有用である。重量または硬度の変化をモニタリングする試験は、化学的適合性の良好な表示となる。可塑化は、個々の分子鎖の運動を可能にし、より多くの可塑剤が吸収されるにつれてポリマーをますます可撓性にする。溶媒和を用いる場合と同様に、重量、硬度、加えて寸法および体積の変化は、化学的適合性の良好な表示である。
【0109】
引張強度および伸長、衝撃、および曲げ強度などの機械的特性は、化学的適合性の非常に良好な表示であり得る。このタイプの試験において、特性は、最初と、時間が経過した後に再度実施される。可塑化は、ポリマーを軟化させる傾向があり、延性を増加させ、したがって引張延びの増加を引き起こすと同時に、引張強度を低下させる。起こる変化は、存在する可塑剤の量に依存し、したがって結果は、他の因子によって影響され得る。環境応力亀裂(Environmental Stress Cracking、ESC)などの他の方法によって決定することが困難であり得る化学的適応性の効果は、引張特性の保持を試験することによって確立され得る。
【0110】
目視評価は、化学的適合性を決定するときに、ほとんどすべての試験方法と併せて使用することができる。1つのそのような試験方法は、目視評価を他の試験と組み合わせる、ASTM D543である。しかしながら、目視評価および格付けが一次結果である試験方法がある。ASTM D1693は、エチレンタイプのプラスチックとの使用のために設計され、試験標本を固定具内で曲げること、標本をニッキングして制御された不完全を開始すること、および任意に化学剤を適用することを伴う。次いで、標本は、亀裂成長について評価され、結果は、亀裂の数および重大度に基づいて決定される。ASTM D1693は、主に不透明な可撓性材料、および亀裂の観察に限定される。
【0111】
ポリマーは、溶媒和/可塑化が起こるとき、弾性変形および強度の低減を呈し得る。したがって、クリープ測定は、溶媒または可塑剤との適合性を決定することにおいて有用である。ASTM D2990は、クリープ測定のための好適な試験である。
【0112】
溶解度パラメータの推定は、化学的適合性を決定するための別の好適な方法である。各モノマーの溶解度パラメータおよびモル体積は、モノマーの構造から推定され得る。具体的に、Fedors,R.F.,″A Method for Estimating Both the Solubility Parameters and Molar Volumes of Liquids,″Pol.Eng.Sci.,14,147-154(1974)の推定方法が、本出願のコポリマーに用いられる。この方法は、以下の式を用い、
【0113】
【0114】
式中、グループ寄与は、下記の表3に示されるとおりである。
【0115】
【0116】
表3に示されるグループ寄与を各モノマー単位に付加して、各コポリマーの合計を得る。コポリマーについて、以下のSchneier.B.,″An Equation for Calculating the Solubility Parameter of Random Copolymers,″Pol.Lett.,10,245-251(1972)の式を使用することができる。
【0117】
【0118】
式中、1、2、およびxは、それぞれモノマー1、モノマー2、および混合物であり、Vは、モル体積であり、δは、溶解度パラメータであり、Xは、モル重量分率である。モル重量分率は、
【0119】
【0120】
であり、式中、Mは、モノマー分子量であり、nは、各モノマーの分子数である。Vxは、2つのモノマーモル体積のモル平均とみなされ、
【0121】
【0122】
式中、合計溶解度パラメータは、下記の表4に示されるとおりである。
【0123】
【0124】
いくつかの実施形態では、可塑剤は、可塑剤が組み込まれるポリオレフィンまたは他のポリマーの溶解度パラメータと比較した場合、2(cal cm-3)1/2以下の溶解度パラメータの差を有する。ホモポリマーについて溶解度パラメータを計算する別の方法は、Small,P.A.,″Some Factors Affecting the Solubility of Polymers,″J.Appl.Chem.,3,71-79(1953)に記載されている。
【0125】
本発明の可塑剤の様々な特性は、″Principles of Plasticization,″Immergut,E.H.and Mark,H.P.,(1965),doi:10.1021/ba-1965-0048.ch001に示される情報に基づいて決定および/または評価することができ、この開示は、可塑剤の特性を決定および評価するための情報を提供するために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0126】
コポリマーの産生方法
本発明のコポリマーの産生のための好適な方法は、60℃~135℃の温度で、エチレン単位およびC3-C10アルファ-オレフィン単位を含むコポリマーを産生するのに十分な時間にわたって、配位重合触媒および共触媒を使用して、エチレンと少なくとも1つC3-C10アルファ-オレフィンとを反応させるステップを含む。反応条件は、好ましくは、コポリマーが5,000g/mol未満の数平均分子量を有し、コポリマーのうちの70mol%が、末端ビニリデン基または末端ビニリデン基の三置換異性体中で終結し、コポリマーが、NMR分光法を通して決定された場合、4未満の平均エチレン単位ランレングスを有し、コポリマーが、80mol%未満のエチレン含有量を有し、コポリマーが、-20℃以下のクロスオーバー温度を有するように制御される。
【0127】
メタロセンは、金属中心に結合されたシクロペンタジエニルアニオン(「Cp」)を含む。C3-C10アルファ-オレフィン含有量は、メタロセン触媒成分の選択を通して、および様々なモノマーの部分圧または相対供給量を制御することによって制御され得る。
【0128】
反応物質ポリマーの産生に用いられるメタロセン触媒は、有機金属配位化合物であり、これらは元素周期表(56th Edition of Handbook of Chemistry and Physics,CRC Press[1975])のグループ4b金属のシクロペンタジエニル誘導体であり、モノ、ジ、およびトリシクロペンタジエニル、ならびに遷移金属の誘導体を含む。チタン、ジルコニウム、およびハフニウムなどのグループ4b金属のメタロセンが特に望ましい。メタロセンとの反応産物の形成に用いられるアルミノキサンは、それら自体がアルミニウムトリアルキルと水との反応産物である。
【0129】
ある特定の実施形態では、配位メタロセンは、ジルコニウムを含み得る。例えば、配位メタロセンは、Cp2ZrCl2を含み得る。加えて、共触媒を任意に用いてもよい。共触媒は、メチルアルミノキサンなどのアルミノキサンを含み得る。
【0130】
コポリマーは、反応器中で産生され得る。共重合反応中に制御され得るパラメータは、少なくとも圧力および温度を含む。反応は、連続的に、半連続的に、またはバッチ式で操作され得る。エチレンは、計量供給を通してエチレンガスとして反応器に送達され得る。C3-C10アルファ-オレフィンは、別個の計量供給を通して反応器に送達され得る。触媒および任意の共触媒は、溶液中で反応器に送達され得る。反応器に送達される溶液中の触媒または共触媒のいずれかの重量パーセンテージは、異なる実施形態によれば、20重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、8重量%未満、6重量%未満、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、または1重量%未満であり得る。次いで、エチレン、C3-C10アルファ-オレフィン、溶媒、および触媒、ならびに任意の共触媒は、反応器中で混合され得る。熟練者は、エチレンおよびC3-C10アルファ-オレフィンの共重合のための、多くの好適な反応、反応器、および反応条件に精通している。コポリマーを形成するためのいくつかのプロセスの例は、下記の実施例に記載されている。
【0131】
触媒は、例えば、シリカおよび/またはアルミナなどの耐火性酸化物に特に基づく粒状支持体を含み得る。そのような触媒は、粒状支持体を、(a)ジアルキルマグネシウムおよび任意にトリアルキルアルミニウム、(b)ハロゲン化炭化水素、例えば、モノハロゲン化炭化水素、ならびに(c)四価チタン化合物と接触させることを含む方法によって調製され得る。そのような方法は、欧州特許出願第EP-A-453,088号に記載されている。
【0132】
触媒はまた、塩化マグネシウム支持体、および特に欧州特許出願第EP-A-336,545号に記載されるものなどの予備活性化支持体を含有し得る。このタイプの触媒は、塩化マグネシウム支持体を、(a)チタンの還元剤である有機金属化合物、(b)四価チタン化合物、および(c)任意に1つ以上の電子-ドナー化合物と接触させることを含む方法によって調製され得る。そのような方法は、フランス特許出願第FR-A-2,669,640号に記載されている。
【0133】
触媒は、特に気相重合で使用される場合、固体の形態でそのまま、またはプレポリマーの形態で使用され得る。プレポリマーは、触媒をオレフィンのうちの1つ以上と接触させることによって得られ、例えば、有機金属共触媒の存在下、例えばエチレンまたはエチレンとC3-C8オレフィン(複数可)の混合物などの、2~8個の炭素原子を含有する。一般に、得られるプレポリマーは、チタン1ミリモル当たり0.1~200g、好ましくは10~100gのポリマーを含有する。
【0134】
触媒は、有機アルミニウム、有機マグネシウム、および有機亜鉛化合物から選択され得る有機金属共触媒とともに用いられてもよい。ほとんどの場合、有機金属共触媒は、アルキルアルミニウム、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウム、またはこれらの化合物の混合物などである。
【0135】
あるいは、コポリマーは、ある特定のホウ素化合物と、メンデレーエフ周期表のグループ4a、5a、6a、および8から選択される金属の塩との混和によって調製された触媒を使用して重合され得る。これらのホウ素の化合物は、ホウ素の水素化物および炭化水素誘導体である。そのような触媒組成物の調製に使用される水素化ホウ素は、通常はジボラン(B Hであるが、例えば、ペンタボラン、ヘキサボラン、およびデカボランを含む他のホウ素の水素化物を使用することもできる。
【0136】
使用され得るホウ素の炭化水素誘導体としては、アルキルホウ素、シクロアルキルホウ素、アリールホウ素等が挙げられる。使用され得るアルキルホウ素の例としては、トリメチルホウ素、トリエチルホウ素、トリプロピルホウ素、トリブチルホウ素、トリデシルホウ素等が挙げられる。アリールホウ素の例としては、トリフェニルホウ素、トリトリルホウ素、トリ-p-キシリルホウ素、トリナフチルホウ素等が挙げられる。ホウ素の混合水素化物-炭化水素誘導体、例えば、対称または非対称ジメチルジボラン、メチルジボラン等を使用することもできる。また、ホウ素の炭化水素-ハロゲン誘導体、例えば、ジメチルボロン臭化物、ジメチルボロンヨウ化物、ジフェニルボロン臭化物または塩化物等を使用することができる。例示的なホウ素触媒は、例えば、米国特許第3,166,536号、同第3,160,672号、および同第2,840,551号に見出すことができる。
【0137】
いくつかの実施形態では、コポリマーの微細構造は、組成物を反応器内で空間的に均一に分布させることによって望ましく影響され得る。空間分布の均一性を保証する方法としては、撹拌、モノマー、溶媒、および触媒成分を供給するための特定の供給位置の選択、ならびに様々な成分のうちの1つ以上を導入する特定の方法が挙げられるが、これらに限定されない。反応器中の組成物の均一性に影響を及ぼし得る追加の因子は、反応器内の単一流体相を提供する特定の温度および/または圧力範囲内の操作を含む。いくつかの実施形態では、これは、反応器温度および圧力条件が、供給組成物の全体気相-液相挙動エンベロープよりも上のままであることを保証することを伴い得る。また供給成分のうちの2つ以上の予備混合を用いることができ、また供給成分の混合強度は、少なくともいくつかの場合において、反応器内の空間均一性の制御に有用であり得ることが予想される。ある特定の実施形態では、蒸気-液体界面または液体内のいずれかで組成物勾配を創出する、蒸気のポケットが反応器内に存在しないことを保証することも望ましい場合がある。
【0138】
より高い反応温度でコモノマーの組み込みを改善するためのいくつかの戦略は、反応器中のC3-C10アルファ-オレフィン/エチレンのモノマー比を増加させること、ジルコニウム含有配位メタロセン触媒中のAl/Zr比を増加させること、または触媒構造を変えることを含む。
【0139】
温度制御を使用して、統計的微細構造よりも良好な微細構造および/または交互微細構造の傾向がある微細構造につながるように、反応性の比に影響を及ぼすことができる。典型的に、統計的微細構造よりも良好かつ/または交互のエチレン単位とC3-C10アルファ-オレフィン単位の傾向がある微細構造を達成するために、より低い温度が有利である。上記のうちのいくつかまたはすべては、コポリマー鎖内の微細構造を制御すると同時に、鎖間のC3-C10アルファ-オレフィン単位組成物の変動を制御するために重要であり得る。
【0140】
低い金属および/またはフッ素含有量
低い金属含有量のコポリマーは、様々な環境における金属の有害作用に起因して、多くの用途に望ましい。例えば、金属または灰分は、様々なタイプのエンジンに用いられる後処理装置に悪影響を及ぼし得る。フッ素は、多くの環境において生態学的に望ましくないため、コポリマーは、低いフッ素含有量を有することを保証することも望ましい。
【0141】
本明細書に記載されるように、コポリマー中で低い金属含有量を達成する方法はいくつかある。本発明は、不純物を精製し、取り除く、当業者に既知の方法を組み込む。例えば、Giuseppe Forte and Sara Ronca,″Synthesis of Disentangled Ultra-High Molecular Weight Polyethylene:Influence of Reaction Medium on Material Properties,″International Journal of Polymer Science,vol.2017,Article ID 7431419,8 pages,2017.doi:10.1155/2017/7431419において、ポリエチレン化合物を精製するための方法が開示されている。コポリマーを精製する方法は、酸性化メタノール(CH3OH/HCl)中のコポリマーを、ポリマー/触媒混合物のDCM(ジクロロメタン)溶液に溶解することを含む。これは、「精製された」ポリマーの沈殿をもたらす一方で、触媒および他の副産物は溶液中に残留する。次いで、コポリマーをろ過し、追加のメタノールで洗い流し、真空下40℃でオーブン乾燥させることができる。
【0142】
1つ以上の実施形態によれば、コポリマーを精製して、ポリマー/触媒混合物を吸着カラムに通すことによって、低い金属含有量を達成することができる。吸着カラムは、吸着剤、好ましくは活性化アルミニウムを含有する。
【0143】
より好ましい実施形態では、コポリマーを精製し、トルエンおよび温度制御油浴を有する回転蒸発装置を使用してポリマー組成物を剥離することによって、低い金属含有量を達成することができる。
【0144】
代替実施形態では、コポリマーは、精製ステップを必要としない。この実施形態では、本発明のコポリマーは、好ましくは、200~1500kgコポリマー/グラムのシングルサイト触媒、または350~1500kgコポリマー/グラムのシングルサイト触媒、または500~1200kgコポリマー/グラムのシングルサイト触媒、または500~800kgコポリマー/グラムのシングルサイト触媒の触媒生産性を有する触媒を使用して共重合される。これらの生産性を有する好適なシングルサイト触媒系は、当該技術分野において既知のものから選択され得る。触媒は、700~1400g/molまたは550~650g/molの範囲のMnを有するコポリマーの産生のために選択され得る。好適なシングルサイト触媒の選択は、コポリマーの低い金属含有量を達成するための洗浄ステップの必要性を排除することができる。
【0145】
触媒1グラム当たり産生されるポリマーのkgとして表される触媒生産性は、効率的な触媒系によって改善され得る。本発明は、高い触媒生産性を達成することができる、当業者に既知の触媒系の使用を組み込む。例えば、米国特許第9,441,063号は、活性剤-支持体、および少なくとも最大202kgポリマー/g触媒の高い触媒生産性を有するポリオレフィンを産生することができる、半メタロセンチタンホスフィンイミド複合体または半メタロセンチタンイミノイミダゾリジドを含有する触媒組成物に関する(551kgポリマー/g触媒/時間、滞留時間22分、実施例5および表1、列47および48を参照)。また、米国特許第8,614,277号は、アイソタクチックポリプロピレンおよびエチレン-プロピレンコポリマーを調製するための方法に関する。米国特許第8,614,277号は、200kgポリマー/g触媒を超える触媒生産性レベルでコポリマーを調製するために好適な触媒系を提供する。そこに提供される触媒は、それらの中心原子としてジルコニウムを含むメタロセンである。(表1a~1cの実施例を参照)。
【0146】
コポリマーは、コポリマーの合計重量に基づいて、25ppmw以下の金属または灰分含有量を含み得る。好ましくは、コポリマーの金属または灰分含有量は、コポリマーの合計重量に基づいて、10ppmw以下、または5ppmw以下、または更により好ましくは1ppmw以下である。典型的には、コポリマーの金属または灰分含有量は、共重合反応器中で用いられるシングルサイト触媒および任意の共触媒(複数可)に由来する。
【0147】
これらのシングルサイト触媒は、メタロセン触媒を含み得る。ZrおよびTi金属は、典型的には、そのようなメタロセン触媒に由来する。様々な共触媒は、シングルサイト触媒と組み合わせて用いられ得る。そのような共触媒は、ホウ素およびアルミニウム金属、ならびに生態学的に望ましくないフッ素原子または化合物を含み得る。したがって、本発明のコポリマーの金属または灰分含有量は、Zr、Ti、Al、および/またはBを含む合計金属または灰分である。様々な好適な触媒系は、本明細書の別の場所に記載されている。
【0148】
コポリマーは、コポリマーの合計重量に基づいて、10ppmw未満、8ppm未満、または5ppmw未満のフッ素含有量を有し得る。典型的には、フッ素は、パーフルオロアリールホウ素などのホウ素化合物に基づいて、共触媒系から生じる。
【0149】
コポリマーの官能化
1つ以上の実施形態によれば、本明細書に記載のコポリマーは、官能化され得る。本発明は、上記のコポリマーの官能化誘導体を提供し、またそれを含む組成物を提供する。本発明の官能化コポリマーは、より良いメルトフローのためのより低い粘度、および様々な処理適用におけるより低い操作温度を呈し得る。本発明はまた、最終産生物中の特定の処理要素および/または特定の物理的特性を必要とする適用において、これらの官能化コポリマーを使用する方法に関する。更に別の態様では、本発明は、これらの官能化コポリマーから調製された物品に関する。これらの官能化コポリマーおよびそれを含有するポリマーブレンドは、鋳型、フィルム、シート、および泡沫物体などの固体物品の調製に用いられ得る。これらの物品は、鋳造、押出、または他のプロセスによって調製され得る。官能化コポリマーは、接着剤、タイ層、積層体、ポリマーブレンド、および他の最終用途において有用である。得られる産生物は、外形、バンパー、およびトリムパーツなどの自動車用部品の製造に使用され得るか、またはパッケージング材料、ケーブル絶縁、コーティングの製造、および他の適用に使用され得る。
【0150】
エチレン/C3-C10アルファ-オレフィンコポリマーは、少なくとも1つの官能基をコポリマー構造に組み込むことによって官能化され得る。例示的な官能基としては、例えば、エチレン性不飽和単官能性および二官能性カルボン酸、エチレン性不飽和単官能性および二官能性カルボン酸無水物、それらの塩、およびそれらのエステル、ならびに不飽和カルボン酸のエポキシ基含有エステルを挙げることができる。そのような官能基は、コポリマー中の不飽和の一部またはすべてとの反応によってコポリマーに組み込まれ得る。
【0151】
官能化コポリマー中に存在し得る不飽和カルボン酸、ジカルボン酸の例は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、およびイタコン酸などの分子当たり約3~約20炭素原子を有するものである。分子当たり約4~約10個の炭素原子を有する不飽和ジカルボン酸、およびその無水物が特に好ましい。コポリマー中の不飽和と反応し得る化合物としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、シクロヘキシ-4-エン-1,2-ジ-カルボン酸、ビシクロ[2.21]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物、アリルスクシン酸無水物、4-メチルシクロヘキシ-4-エン-1,2-ジカルボン酸無水物、およびビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物が挙げられる。1つの特に有用な官能基は、マレイン酸無水物を使用して導入され得る。
【0152】
エチレン/C3-C10アルファ-オレフィンコポリマーは、コポリマーのアルケニル基と、複数の結合を含むエノフィルとのエン(ene)反応によって官能化され得る。
【0153】
官能化コポリマー中に存在する官能基の量は、異なり得る。官能基は、典型的に、少なくとも約0.3重量%、または少なくとも1.0重量%、好ましくは少なくとも約5重量%、より好ましくは少なくとも約7重量%の量で存在し得る。官能基は、典型的に、約40重量%未満、好ましくは約30重量%未満、より好ましくは約25重量%未満、または約10重量%未満、より好ましくは約5重量%未満の量で存在する。望ましい範囲は、本明細書に記載の任意の重量%下限と任意の重量%上限であり得るが、但し、下限は、上限よりも低いこととし、上限と下限との組み合わせの各々は、本明細書に開示される。
【0154】
コポリマーで可塑化されるポリマー
本明細書に記載のエチレン/C3-C10アルファオレフィンコポリマーは、本発明の可塑化組成物を調製するために少なくとも1つのポリオレフィンとブレンドされる。
【0155】
好適なポリオレフィンとしては、C2-C20直鎖状、分岐状、環状、および芳香族含有モノマーから選択される1つ以上のオレフィンのホモポリマーまたはコポリマーが挙げられ、具体的に、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ドデセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、3,5,5-トリメチル-1-ヘキセン、5-エチル-1-ノネン、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロヘキセン、ビニルノルボメン、エチリデン、ノルボメン、シクロペンタジエン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロブテン、ビニルアダマンタン、スチレン、アルファ-メチルスチレン、パラ-アルキルスチレン、例えばパラメチルスチレン、4-フェニル-1-ブテン、アリルベンゼン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、アリルベンゼン、およびインデンを含む。例えば、ポリオレフィンは、ポリ(4-メチル-ペンテン-1)ホモポリマー、または4-メチル-ペンテン-1および別のオレフィンのコポリマーであり得る。
【0156】
好ましいポリオレフィンとしては、ポリエチレンホモポリマー、ポリプロピレンホモポリマー、ポリブテンホモポリマー、エチレン-プロピレンコポリマー、エチレン-ブテンコポリマー、エチレン-ヘキセンコポリマー、エチレン-オクテンコポリマー、プロピレン-ブテンコポリマー、プロピレン-ヘキセンコポリマー、プロピレン-オクテンコポリマー、およびC2-C4オレフィンから選択される1つ以上のオレフィンと、ジオレフィンおよび酸素含有オレフィン(例はエチレン-プロピレン-ジエンおよびエチレン-ビニルアセテートコポリマーである)から選択される1つ以上のコモノマーとのコポリマーが挙げられる。ポリオレフィン成分は、1つ以上のポリオレフィンのブレンド、または1つ以上のポリオレフィンのうちの少なくとも50重量%を含むポリマーのブレンドであり得る。
【0157】
ある特定の実施形態では、ポリオレフィンは、「ポリエチレン」として知られるポリオレフィンの一般クラス(すなわち、エチレンホモポリマー、エチレンコポリマー、およびそれらのブレンド)から選択される。これらには、0.91g/cmの密度を有するプラストマー、0.91g/cm3超~0.94g/cm3未満の密度を有する低密度ポリエチレン、および0.94g/cm3以上の密度を有する高密度ポリエチレン(HDPE)が挙げられる。ポリエチレン材料は、少なくとも50mole%、または60mol%、または少なくとも70mol%、または少なくとも80mol%、または少なくとも90mol%、または少なくとも95mol%、または100mole%のエチレン単位を含む。ポリエチレンコポリマーは、ランダムコポリマー、統計的コポリマー、ブロックコポリマー、およびそれらのブレンドであり得る。コモノマーは、好ましくは、C3-C20アルファ-オレフィンから、またはC3-C10アルファ-オレフィンから、または1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンから選択され、好ましくは0.1~20重量%、または0.5~10重量%、または1~5重量%、または2~35重量%、または5~30重量%、または15~25重量%で存在する。ポリエチレンコポリマーは、最大50mol%のジエンを含み得る。
【0158】
他の実施形態では、ポリオレフィンは、「ポリプロピレン」(すなわち、プロピレンホモポリマー、コポリマー、およびそれらのブレンド)として知られるポリオレフィンの一般クラスから選択される。これらには、アイソタクチックポリプロピレン(iPP)、高度にアイソタクチックなポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン(sPP)、ホモポリマーポリプロピレン(hPP、プロピレンホモポリマーまたはホモポリプロピレンとも呼ばれる)、いわゆるランダムコポリマーポリプロピレンが含まれる。ポリプロピレン材料は、少なくとも50mol%、または60mol%、または少なくとも70mol%、または少なくとも80mol%、または少なくとも90mol%、または少なくとも95mol%、または100mol%のプロピレン単位を含む。ポリプロピレンコポリマーは、ランダムコポリマー、統計的コポリマー、ブロックコポリマー、衝撃コポリマー、およびそれらのブレンドであり得る。コモノマーは、好ましくは、エチレン単位およびC4-C20アルファ-オレフィンから、またはエチレンおよびC4-C10アルファ-オレフィンから、またはエチレン、1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンから選択され、好ましくは0.1~20重量%、または1~10重量%、または2~5重量%、または2~35重量%、または5~30重量%、または15~25重量%で存在する。ポリプロピレンコポリマーはまた、最大50mol%のジエンを含み得る。
【0159】
他の実施形態では、ポリオレフィンは、「ポリブテン」(すなわち、ブテン-1ホモポリマー、コポリマー、およびそれらのブレンド)として知られるポリオレフィンの一般クラスから選択される。ホモポリマーは、アタクチック、イソタクチック、またはシンジオタクチックポリブテン、およびそれらのブレンドであり得る。コポリマーは、ランダムコポリマー、統計的コポリマー、ブロックコポリマー、およびそれらのブレンドであり得る。ランダムコポリマーとしては、コモノマーがエチレン、プロピレン、1-ヘキセン、および1-オクテンから選択されるものが挙げられる。ブレンドとしては、衝撃コポリマー、エラストマー、およびプラストマーが挙げられ、これらのうちのいずれもが、ポリブテンとの物理的ブレンドまたは原位置ブレンドであり得る。ポリ(I-ブテン)ホモポリマーおよび1-ブテン/エチレンコポリマーは、Basell Polyolefinsから商業的に入手可能である。
【0160】
他の実施形態では、ポリオレフィンは、エチレンおよびプロピレン、ならびに任意に1つ以上のジエンモノマー(複数可)のコポリマーである「エチレン-プロピレン(EP)エラストマー」として知られる、また当該技術分野においてEPMまたはEPDMエラストマーとしても知られる、ポリオレフィンの一般クラスから選択される。EPエラストマーは、結晶化度をほとんどまたは全く有さず、20J/g以下の融解熱、0.86g/cm3以下の密度、35~85mol%のエチレン含有量、0~5mol%のジエン含有量、15mol%の最小プロピレン含有量、および少なくとも50kg/molの分子量を有する。
【0161】
好適なポリオレフィンは、最大20重量%、または最大10%、または最大1重量%のジエン(すなわち、ジオレフィン)モノマーを含み得る。例としては、アルファ-オメガジエン(すなわち、ジ-ビニル)モノマー、例えば1,6-ヘプタジエン、1,7-オクタジエン、1,8-ノナジエン、1,9-デカジエン、1,10-ウンデカジエン、1,11-ドデカジエン、1,12-トリデカジエン、および1,13-テトラデカジエン、ならびに環状ジエン、例えばシクロペンタジエン、ビニルノルボメン、ノルボマジエン、エチリデン、ノルボメン、ジビニルベンゼン、およびジシクロペンタジエンが挙げられる。
【0162】
他の好適なポリオレフィンは、WO03/040201、WO03/040095、WO03/040202、WO03/040233、WO2009/020706、およびWO03/040442に記載されている。
【0163】
ポリオレフィンは、スラリー、溶液、気相、高圧、もしくは他の好適なプロセスによって、またクロミウム触媒、メタロセン型触媒、他の適切な触媒系、もしくはそれらの組み合わせなどのポリエチレンの重合に適切な触媒系を使用することによって、またはフリーラジカル重合によって作製され得るため、それを作製する方法は重要ではない。ポリエチレンを作製するのに好適な触媒系は、当該技術分野において周知であり、例えば、Metallocene-Based Polyolefins(Wiley&Sons,2000)を参照されたい。
【0164】
1つ以上の実施形態では、本発明のエチレン/C3-C10アルファオレフィン可塑剤成分のうちの1つ以上は、可塑剤成分(複数可)およびポリオレフィン(複数可)の合計重量に基づいて、0.5重量%、または1重量%、または2重量%、または3重量%、または4重量%、または5重量%の低量~50重量%、または45重量%、または40重量%、または35重量%、または30重量%、または25重量%、または20重量%、または15重量%、または10重量%、または5重量%の高量で存在し、望ましい範囲は、任意の重量%下限と任意の重量%上限との任意の組み合わせであり得るが、但し下限は上限よりも小さいこととする。他の実施形態では、組成物は、少なくとも1種のエチレン/C3-C10アルファオレフィン可塑剤を、組成物の合計重量に基づいて、約1~40重量%、または2~30重量%、または4~20重量%の量で含む。
【0165】
1つ以上の実施形態では、1つ以上のポリオレフィン成分は、エチレン/C3-C10アルファオレフィン可塑剤成分(複数可)およびポリオレフィン(複数可)の合計重量に基づいて、50重量%、または55重量%、または60重量%、または65重量%、または70重量%、または75重量%、または80重量%、または85重量%、または90重量%、または95重量%の低量~99重量%、または95重量%、または90重量%、または85重量%、または80重量%、または75重量%、または70重量%、または65重量%、または60重量%の高量で存在し、望ましい範囲は、任意の重量%下限と任意の重量%上限との任意の組み合わせであり得るが、但し下限は上限よりも小さいこととする。他の実施形態では、組成物は、少なくとも1つのポリオレフィンを、組成物の合計重量に基づいて、約60~99重量%、または70~98重量%、または80~96重量%の量で含む。
【0166】
ある特定の望ましい特性を付与するためにポリオレフィン産業で一般に使用される添加剤は、本発明のポリオレフィン組成物中に存在し得る。そのような添加剤は、Plastics Additive Handbook,5th Ed.;H.Zweifel,Ed.(Hanser-Gardner,2001)に記載されており、抗酸化剤(有機ホスファイト、ヒンダードアミン、およびフェノリクスを含む)、安定剤(UV安定剤および他のUV吸収剤を含む)、核化剤(清澄剤、金属塩、例えば安息香酸ナトリウム、ソルビトール誘導体、および金属リン酸塩を含む)、顔料、染料、カラーマスターバッチ、加工助剤、蝋、油、潤滑剤、界面活性剤、スリップ剤(亜鉛ステアリン酸塩などの脂肪酸の金属塩およびエルカミドなどの脂肪酸アミドを含む)、粘着付与剤、ブロック、抗ブロック、中和剤(ハイドロタルク石など)、酸捕捉剤、防食剤、空洞化剤、発泡剤、消光剤、帯電防止剤、難燃剤、硬化剤または架橋剤または系(元素硫黄、有機硫黄化合物、有機過酸化物、およびジ-またはトリ-アミンなど)、カップリング剤(シランなど)、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。添加剤は、当該技術分野において有効であることが知られている量、好ましくは組成物の重量に基づいて、0.01~10重量%(100~100,000ppm)、または0.02~1重量%(200~10,000ppm)、または0.025~0.5重量%(250~5,000ppm)、または0.05~0.25重量%(500~2,500ppm)、または0.1~5重量%(1,000~50,000ppm)で存在し得る(ppmは、100万重量当たりの部である)。
【0167】
充填剤は、本発明のポリオレフィン組成物中に存在し得る。望ましい充填剤としては、所望の特性を得るために単独で用いられるかまたは混和される、天然または合成鉱物骨材(タルク、ウォラストナイト、および炭酸カルシウムを含む)、繊維(ガラス繊維、炭素繊維、またはポリマー繊維を含む)、カーボンブラック、グラファイト、天然および合成クレイ(ナノクレイおよびオルガノクレイ)、砂、ガラスビーズ、ならびに当該技術分野において既知の任意の他の多孔性または非多孔性充填剤および支持体が挙げられるが、これらに限定されない。充填剤は、組成物の合計重量に基づいて0.1~50重量%、または1~40重量%、または2~30重量%、または5~20重量%で存在し得る。充填剤含有量は、ISO 3451-1(A)試験法によって決定される場合、灰分含有量の重量%と同等である。ブレンド
【0168】
エチレン/C3-C10アルファオレフィン可塑剤(複数可)、ポリオレフィン(複数可)、および任意の添加剤は、任意の好適な手段を使用して組み合わせることができる。当業者であれば、均質混合の必要性とプロセス経済に対する要望とのバランスをとるための適切な手段を決定することができるであろう。例えば、1つ以上のポリオレフィン成分は、ペレットまたは反応器顆粒の形態であり得、これらは、物品の形成が原材料(複数可)の(再)溶解および混合を含むため、構成ペレットおよび/または顆粒の単純な物理的ブレンドによって、コポリマー可塑剤(複数可)および任意の添加剤と組み合わされる。ポリオレフィン成分は、エチレン/C3-C10アルファオレフィン可塑剤(複数可)および任意の添加剤とブレンドされるとき、任意の物理的形態であり得る。例えば、それらは、反応器顆粒(すなわち、任意の処理手順前に重合反応器から単離されるポリマーの顆粒)の形態、または反応器顆粒の溶解押出から形成されるペレットの形態であり得る。ポリオレフィン(複数可)、エチレン/C3-C10アルファオレフィン可塑剤、および任意の添加剤は、例えば、WO2009/020706に記載されるブレンドプロセスなどの、当業者に既知の任意の好適な手段によってブレンドされ得る。
【0169】
本発明の組成物は、当該技術分野において既知のポリオレフィンを形成および成形するための任意の有用な別個の鋳造または連続押出手段によって作製または形成された成形物品の製造に有用であり得、圧縮成形、射出成型、共射出成形、ガスアシスト射出成形、ブロー成形、多層ブロー成形、射出ブロー成形、延伸ブロー成形、押出ブロー成形、トランスファー成形、注型成形、回転成形、泡沫成形、スラッシュ成形、トランスファー成形、満水保管もしくは接触成形、注型成形、冷間成形マッチドダイ成形、熱成形、真空成形、インフレーション成形、フィルムもしくはシート鋳造、シート押出、プロファイル押出もしくは共押出、繊維紡糸、繊維スパンボンド、繊維メルトブロー、ラミネーション、カレンダリング、コーティング、引抜成形、突出、ドローリダクション、発泡、または例えば、Plastics Processing(Radian Corporation,Noyes Data Corp.1986)に記載されるものなどの他の処理形態、あるいはそれらの組み合わせが含まれる。
【0170】
本発明の可塑化組成物は、消費者製品、工業製品、建設材料、包装材料、機器部品、電気部品、および自動車部品に有用であり得る。本発明の組成物から作製された望ましい製造品の比限定例としては、フィルム、テープ、シート、繊維、配管、パイプ、ホース、ベルト、コーティング、布(織布および不織布)、タープ、農業用柵、包装(耐久性および使い捨て)、キッチン装置および家庭用機器(洗濯機、冷蔵庫、ブレンダー、空調機等)、家具(屋内および屋外、例えばテーブル、イス、ベンチ、棚等)、スポーツ用具(スキー、サーフボード、スケートボード、スケート、ブーツ、そり、スクーター、カヤック、パドル等)、一体車輪、スタジアムシート、アミューズメントパークの乗り物、個人用保護具(安全ヘルメット、すね当て等)、緊急対応具、調理器具、食器類、トレー、パレット、カート、タンク、タブ、池の中敷き、貯蔵容器(クレート、手桶、瓶、ボトル等)、おもちゃ、チャイルドカーシートおよびブースターチェア、医療用装置および部品(シリンジ部品およびカテーテルを含む)、旅行かばん、道具入れ(ドリル、のこぎり用等)、ワイヤおよびケーブルジャケット、電子機器ハウジングおよび部品(テレビ、コンピュータ、電話、携帯デバイス、メディアプレーヤー、ステレオ、ラジオ、時計用等)、ビル建設材料(フローリング、サイディング、ルーフィング、カウンタートップ、シール、ジョイント、アイソレータ等)、照明、ガーデニング用具(スコップのハンドル、一輪車等)、遊具、モーターハウジング、ポンプハウジング、バッテリーハウジング、器具ハウジング、スイッチ、ノブ、ボタン、ハンドル、ペット用品、トイレ用品、個人衛生デバイス(カミソリ、ブラシ、ヘアドライヤー等)、掃除用具(ほうき、ちりとり等)、楽器ケース、像、トロフィー、芸術作品、衣装宝飾、写真フレーム、眼鏡フレーム、植木鉢、ならびに火器部品が挙げられる。
【0171】
本発明の可塑化ポリオレフィン組成物は、従来の可塑剤を使用して作製される同等の組成物に対して、改善された可塑剤の可塑化耐久性を提供する。改善された可塑化耐久性は、良好な長期特性保持に有利である。ある特定の実施形態では、有用な可塑化ポリオレフィン組成物は、低減されたTGA揮発性を呈し得る。本発明の可塑化ポリオレフィン組成物は、従来の可塑剤を使用して作製される同等の組成物に対して、より低いガラス転移温度を提供する。より低いTgは、改善された低温可撓性および靭性に有利である。本発明の可塑化ポリオレフィン組成物はまた、従来の可塑剤を使用して作製された同等の組成物に対して、より低い溶融粘度を提供する。より低い溶融粘度(例えば、MIまたはMFR)は、改善された低温可撓性および靭性に有利である。
【実施例】
【0172】
以下の実施例は、本開示の方法および組成物の例示であって、限定するものではない。実施例1~16は、エチレン単位およびプロピレン単位を含む異なるコポリマー、ならびにそれらを産生するためのプロセスを例示する。示されるように、様々な反応物質の供給速度などのプロセスの条件およびパラメータの変化を用いて、得られるコポリマーの異なる特徴、例えばコポリマーのクロスオーバー温度の変化を達成することができる。
【0173】
実施例F1~F12は、異なる官能化コポリマーおよびそれらを産生するためのプロセスを例示する。
【0174】
下記の表5は、下記の選択実施例からのコポリマーの特徴を要約する。
【0175】
【0176】
実施例1
300mLのParr反応器は、温度制御のための水ジャケット、圧力制御のための窒素パージレシーバー、エチレンガスの計量供給、ならびにプロピレン、トルエン、触媒、および共触媒の別個の供給のための高圧計量ポンプを備えていた。触媒(トルエン中0.127重量%のCp2ZrCl2)、共触媒(トルエン中5.0重量%のMMAO)、溶媒(トルエン)、ならびにエチレンおよびプロピレンモノマーの連続供給により、反応を連続的に操作した。反応器を液体充填で70psigで操作し、220rpmで動作する4枚刃ピッチ式タービンインペラで撹拌した。触媒および共触媒溶液を、それぞれ0.90g/分および0.90g/分の供給速度で反応器に導入する直前に混合した。エチレン、プロピレン、およびトルエンもまた一緒に混合し、それぞれ2.71g/分、15.22g/分、および11.71g/分の供給速度で、触媒および共触媒溶液から別個に反応器に供給した。反応器温度は、反応器中に位置する1/8″サーモカップルによって測定して、65℃で維持した。ポリマーの産生速度は、重量測定で2.78g/分として測定された。
【0177】
コポリマーは、1H-NMRを使用して、49mol%のエチレンを含有することがわかった。コポリマーの相対数平均分子量(Mn)およびPDIを、GPCによって測定したところ、それぞれ1159g/molおよび3.73であることがわかった。コポリマーの重量平均分子量(Mw)を、1H-NMRによって測定したところ、1038g/molであることがわかり、コポリマー中のオレフィン分布は、1H-NMRによって測定して、96.5%メチルビニリデン、1.6%ベータ-ビニリデン、1.3%二置換(すなわち、単一コポリマー分子中2オレフィン)、および0.6%ビニル/アリルであった。平均エチレン単位ランレングスは、13C-NMRによって測定して、1.68であった。クロスオーバー温度は、振動レオメトリーによって測定して、-73.5℃であると決定された。
【0178】
実施例2
300mLのParr反応器は、温度制御のための水ジャケット、圧力制御のための窒素パージレシーバー、エチレンガスの計量供給、ならびにプロピレン、トルエン、触媒、および共触媒の別個の供給のための高圧計量ポンプを備えていた。触媒(トルエン中0.127重量%のCp2ZrCl2)、共触媒(トルエン中5.0重量%のMMAO)、溶媒(トルエン)、ならびにエチレンおよびプロピレンの連続供給により、反応器を連続的に操作した。反応器を液体充填で70psigで操作し、220rpmで動作する4枚刃ピッチ式タービンインペラで撹拌した。触媒および共触媒溶液を、それぞれ0.87g/分および0.87g/分の供給速度で反応器に導入する直前に混合した。エチレン、プロピレン、およびトルエンもまた一緒に混合し、それぞれ2.78g/分、15.51g/分、および10.65g/分の供給速度で、触媒および共触媒溶液から別個に反応器に供給した。反応器温度は、反応器中に位置する1/8″サーモカップルによって測定して、68℃で維持した。ポリマーの産生速度は、重量測定で3.22g/分として測定された。
【0179】
コポリマーは、1H-NMRによって測定して、46mol%のエチレンを含有することがわかった。コポリマーの相対数平均分子量(Mn)およびPDIは、GPCによって測定して、それぞれ1466g/molおよび2.22であった。コポリマーの重量平均分子量(Mw)は、1H-NMRによって測定して、780g/molであり、コポリマー中のオレフィン分布は、1H-NMRによって測定して、96.0%メチル-ビニリデン、1.8%ベータ-ビニリデン、1.3%二置換、および0.9%ビニル/アリルであった。平均エチレン単位ランレングスは、13C-NMRによって測定して、1.54であった。クロスオーバー温度は、振動レオメトリーによって測定して、-77.6℃であると決定された。
【0180】
実施例3
300mLのParr反応器は、温度制御のための水ジャケット、圧力制御のための窒素パージレシーバー、エチレンガスの計量供給、ならびにプロピレン、トルエン、触媒、および共触媒の別個の供給のための高圧計量ポンプを備えていた。触媒(トルエン中0.077重量%のCp2ZrCl2)、共触媒(トルエン中1.248重量%のMMAO)、溶媒(トルエン)、エチレン、およびプロピレンの連続供給により、反応器を連続的に操作した。反応器を液体充填で763psigで操作し、900rpmで動作する4枚刃ピッチ式タービンインペラで撹拌した。触媒および共触媒溶液を、それぞれ1.02g/分および0.82g/分の供給速度で反応器に導入する直前に混合した。エチレン、プロピレン、およびトルエンもまた一緒に混合し、それぞれ2.23g/分、3.30g/分、および9.31g/分の供給速度で、触媒および共触媒溶液から別個に反応器に供給した。反応器温度は、反応器中の1/8″サーモカップルによって測定して、76℃で維持した。コポリマーの産生速度は、重量測定で3.57g/分として測定された。
【0181】
コポリマーは、1H-NMRによって測定して、65mol%のエチレンを含有することがわかった。コポリマーの相対数平均分子量(Mn)およびPDIは、GPCによって測定して、それぞれ2085g/molおよび3.42であった。コポリマーの重量平均分子量(Mw)は、1H-NMRによって測定して、1645g/molであり、コポリマー中のオレフィン分布は、1H-NMRによって測定して、95.1%メチル-ビニリデン、1.8%ベータ-ビニリデン、1.3%二置換、および1.8%ビニル/アリルであった。平均エチレン単位ランレングスは、13C-NMRによって測定して、2.60であった。クロスオーバー温度は、振動レオメトリーによって測定して、-24.5℃であった。
【0182】
実施例4
300mL Parr反応器は、温度制御のための水ジャケット、圧力制御のための窒素パージレシーバー、エチレンガスの計量供給、ならびにプロピレン、トルエン、触媒、および共触媒の別個の供給のための高圧計量ポンプを備えていた。触媒(トルエン中0.075重量%のCp2ZrCl2)、共触媒(トルエン中1.0重量%のMMAO)、溶媒(トルエン)、エチレン、およびプロピレンの連続供給により、反応器を連続的に操作した。反応器を液体充填で708psigで操作し、1,000rpmで動作する4枚刃ピッチ式タービンインペラで撹拌した。触媒および共触媒溶液を、それぞれ0.89g/分および0.91g/分の供給速度で反応器に導入する直前に混合した。エチレン、プロピレン、およびトルエンもまた一緒に混合し、それぞれ2.23g/分、3.59g/分、および9.36g/分の供給速度で、触媒および共触媒溶液から別個に反応器に供給した。反応器温度は、反応器中の1/8″サーモカップルによって測定して、75℃で維持した。コポリマーの産生速度は、重量測定で3.47g/分として測定された。
【0183】
コポリマーは、1H-NMRによって測定して、65mol%のエチレンを含有することがわかった。コポリマーの相対数平均分子量(Mn)およびPDIは、GPCによって測定して、それぞれ2326g/molおよび3.35であった。コポリマーの重量平均分子量(Mw)は、1H-NMRによって測定して、1824g/molであり、コポリマー中のオレフィン分布は、1H-NMRによって測定して、95.6%メチル-ビニリデン、1.7%ベータ-ビニリデン、1.1%二置換、および1.6%ビニル/アリルであった。平均エチレン単位ランレングスは、13C-NMRによって測定して、2.52であった。クロスオーバー温度は、振動レオメトリーによって測定して、-27.0℃であった。
【0184】
実施例5
300mL Parr反応器は、温度制御のための水ジャケット、圧力制御のための窒素パージレシーバー、エチレンガスの計量供給、ならびにプロピレン、トルエン、触媒、および共触媒の別個の供給のための高圧計量ポンプを備えていた。触媒(トルエン中0.150重量%のCp2ZrCl2)、共触媒(トルエン中2.0重量%のMMAO)、溶媒(トルエン)、エチレン、およびプロピレンの連続供給により、反応器を連続的に操作した。反応器を液体充填で715psigで操作し、1,000rpmで動作する4枚刃ピッチ式タービンインペラで撹拌した。触媒および共触媒溶液を、それぞれ1.28g/分および1.26g/分の供給速度で反応器に導入する直前に混合した。エチレン、プロピレン、およびトルエンもまた一緒に混合し、それぞれ2.23g/分、2.60g/分、および9.38g/分の供給速度で、触媒および共触媒溶液から別個に反応器に供給した。反応器温度は、反応器中の1/8″サーモカップルによって測定して、75℃で維持した。コポリマーの産生速度は、重量測定で3.4g/分として測定された。
【0185】
コポリマーは、1H-NMRによって測定して、64mol%のエチレンを含有することがわかった。コポリマーの相対数平均分子量(Mn)およびPDIは、GPCによって測定して、それぞれ1241g/molおよび3.00であった。コポリマーの重量平均分子量(Mw)は、1H-NMRによって測定して、1114g/molであり、コポリマー中のオレフィン分布は、1H-NMRによって測定して、95.5%メチル-ビニリデン、1.9%ベータ-ビニリデン、1.3%二置換、および1.4%ビニル/アリルであった。平均エチレン単位ランレングスは、13C-NMRによって測定して、2.39であった。クロスオーバー温度は、振動レオメトリーによって測定して、-35.8℃であった。
【0186】
実施例6
300mL Parr反応器は、温度制御のための水ジャケット、圧力制御のための窒素パージレシーバー、エチレンガスの計量供給、ならびにプロピレン、トルエン、触媒、および共触媒の別個の供給のための高圧計量ポンプを備えていた。触媒(トルエン中0.167重量%のCp2ZrCl2)、共触媒(トルエン中2.222重量%のMMAO)、溶媒(トルエン)、エチレン、およびプロピレンの連続供給により、反応器を連続的に操作した。反応器を液体充填で696psigで操作し、1,000rpmで動作する4枚刃ピッチ式タービンインペラで撹拌した。触媒および共触媒溶液を、それぞれ0.66g/分および0.65g/分の供給速度で反応器に導入する直前に混合した。エチレン、プロピレン、およびトルエンもまた一緒に混合し、それぞれ3.09g/分、8.11g/分、および3.10g/分の供給速度で、触媒および共触媒溶液から別個に反応器に供給した。反応器温度は、反応器中の1/8″サーモカップルによって測定して、80℃で維持した。コポリマーの産生速度は、重量測定で6.63g/分として測定された。
【0187】
コポリマーは、1H-NMRによって測定して、58mol%のエチレンを含有することがわかった。コポリマーの相対数平均分子量(Mn)およびPDIは、GPCによって測定して、それぞれ3202g/molおよび2.03であった。コポリマーの重量平均分子量(Mw)は、1H-NMRによって測定して、1310g/molであり、コポリマー中のオレフィン分布は、1H-NMRによって測定して、95.7%メチル-ビニリデン、1.5%ベータ-ビニリデン、1.6%二置換、および1.2%ビニル/アリルであった。平均エチレン単位ランレングスは、13C-NMRによって測定して、2.02であった。クロスオーバー温度は、振動レオメトリーによって測定して、およそ-72.7℃であった。
【0188】
実施例7(比較)
300mL Parr反応器は、温度制御のための水ジャケット、圧力制御のための窒素パージレシーバー、エチレンガスの計量供給、ならびにプロピレン、トルエン、触媒、および共触媒の別個の供給のための高圧計量ポンプを備えていた。触媒(トルエン中0.165重量%のCp2ZrCl2)、共触媒(トルエン中2.2重量%のMMAO)、溶媒(トルエン)、エチレン、およびプロピレンの連続供給により、反応器を連続的に操作した。反応器を液体充填で703psigで操作し、1,000rpmで動作する4枚刃ピッチ式タービンインペラで撹拌した。触媒および共触媒溶液を、それぞれ1.21g/分および1.20g/分の供給速度で反応器に導入する直前に混合した。エチレン、プロピレン、およびトルエンもまた一緒に混合し、それぞれ2.23g/分、2.51g/分、および8.50g/分の供給速度で、触媒および共触媒溶液から別個に反応器に供給した。反応器温度は、反応器中の1/8″サーモカップルによって測定して、75℃で維持した。コポリマーの産生速度は、重量測定で3.48g/分として測定された。
【0189】
コポリマーは、1H-NMRによって測定して、68mol%のエチレンを含有することがわかった。コポリマーの相対数平均分子量(Mn)およびPDIは、GPCによって測定して、それぞれ2838g/molおよび1.87であった。コポリマーの重量平均分子量(Mw)は、1H-NMRによって測定して、1203g/molであり、コポリマー中のオレフィン分布は、1H-NMRによって測定して、94.6%メチル-ビニリデン、2.1%ベータ-ビニリデン、1.3%二置換、および2.0%ビニル/アリルであった。平均エチレン単位ランレングスは、13C-NMRによって測定して、2.72であった。クロスオーバー温度は、振動レオメトリーによって測定して、およそ-13.7℃であった。
【0190】
実施例8(比較)
300mL Parr反応器は、温度制御のための水ジャケット、圧力制御のための窒素パージレシーバー、エチレンガスの計量供給、ならびにプロピレン、トルエン、触媒、および共触媒の別個の供給のための高圧計量ポンプを備えていた。触媒(トルエン中0.182重量%のCp2ZrCl2)、共触媒(トルエン中2.42重量%のMMAO)、溶媒(トルエン)、エチレン、およびプロピレンの連続供給により、反応器を連続的に操作した。反応器を液体充填で704psigで操作し、1,000rpmで動作する4枚刃ピッチ式タービンインペラで撹拌した。触媒および共触媒溶液を、それぞれ1.15g/分および1.14g/分の供給速度で反応器に導入する直前に混合した。エチレン、プロピレン、およびトルエンもまた一緒に混合し、それぞれ2.20g/分、2.40g/分、および7.97g/分の供給速度で、触媒および共触媒溶液から別個に反応器に供給した。反応器温度は、反応器中の1/8″サーモカップルによって測定して、75℃で維持した。コポリマーの産生速度は、重量測定で3.53g/分として測定された。
【0191】
コポリマーは、1H-NMRによって測定して、67mol%のエチレンを含有することがわかった。コポリマーの相対数平均分子量(Mn)およびPDIは、GPCによって測定して、それぞれ2269g/molおよび2.17であった。コポリマーの重量平均分子量(Mw)は、1H-NMRによって測定して、1167g/molであり、コポリマー中のオレフィン分布は、1H-NMRによって測定して、94.6%メチル-ビニリデン、2.2%ベータ-ビニリデン、1.3%二置換、および1.9%ビニル/アリルであった。平均エチレン単位ランレングスは、13C-NMRによって測定して、2.65であった。クロスオーバー温度は、振動レオメトリーによって測定して、およそ-18.5℃であった。
【0192】
実施例9
300mL Parr反応器は、温度制御のための水ジャケット、圧力制御のための窒素パージレシーバー、エチレンガスの計量供給、ならびにプロピレン、トルエン、触媒、および共触媒の別個の供給のための高圧計量ポンプを備えていた。触媒(トルエン中0.167重量%のCp2ZrCl2)、共触媒(トルエン中2.222重量%のMMAO)、溶媒(トルエン)、エチレン、およびプロピレンの連続供給により、反応器を連続的に操作した。反応器を液体充填で701psigで操作し、1,000rpmで動作する4枚刃ピッチ式タービンインペラで撹拌した。触媒および共触媒溶液を、それぞれ0.78g/分および0.89g/分の供給速度で反応器に導入する直前に混合した。エチレン、プロピレン、およびトルエンもまた一緒に混合し、それぞれ3.34g/分、7.77g/分、および3.20g/分の供給速度で、触媒および共触媒溶液から別個に反応器に供給した。反応器温度は、反応器中の1/8″サーモカップルによって測定して、89℃で維持した。コポリマーの産生速度は、重量測定で7.98g/分として測定された。
【0193】
コポリマーは、1H-NMRによって測定して、56mol%のエチレンを含有することがわかった。コポリマーの相対数平均分子量(Mn)およびPDIは、GPCによって測定して、それぞれ3173g/molおよび6948であった。コポリマーの重量平均分子量(Mw)は、1H-NMRによって測定して、1281g/molであり、コポリマー中のオレフィン分布は、1H-NMRによって測定して、94.9%メチル-ビニリデン、2.0%ベータ-ビニリデン、1.8%二置換、および1.3%ビニル/アリルであった。平均エチレン単位ランレングスは、13C-NMRによって測定して、2.05であった。クロスオーバー温度は、振動レオメトリーによって測定して、-37℃よりも低かった。
【0194】
実施例10
100mL Parr反応器は、温度制御のための水ジャケット、圧力制御のための窒素パージレシーバー、エチレンガスの計量供給、ならびにプロピレン、トルエン、触媒、共触媒、および捕捉剤の別個の供給のための高圧計量ポンプを備えていた。触媒(トルエン中0.011重量%のCp2ZrMe2)、共触媒(トルエン中0.023重量%のFAB)、捕捉剤(トルエン中0.0080重量%のTEAL)、溶媒(トルエン)、エチレン、およびプロピレンの連続供給により、反応器を連続的に操作した。反応器を液体充填で1520psigで操作し、1041rpmで動作する4枚刃ピッチ式タービンインペラで撹拌した。触媒、共触媒、および捕捉剤溶液を、それぞれ0.31、0.32、および0.52g/分の供給速度で反応器に導入する直前に混合した。エチレン、プロピレン、およびトルエンもまた一緒に混合し、それぞれ0.60、2.98、および6.31g/分の供給速度で、触媒、共触媒、および捕捉剤溶液から別個に反応器に供給した。反応器温度は、反応器中の1/8″サーモカップルによって測定して、134℃で維持した。コポリマーの産生速度は、重量測定で0.96g/分として測定された。
【0195】
コポリマーは、1H-NMRによって測定して、55mol%のエチレンを含有することがわかった。コポリマーの相対数平均分子量(Mn)およびPDIは、GPCによって測定して、それぞれ2883g/molおよび2.05であった。コポリマーの重量平均分子量(Mw)は、1H-NMRによって測定して、1411g/molであり、コポリマー中のオレフィン分布は、1H-NMRによって測定して、76.6%メチル-ビニリデン、14.1%ベータ-ビニリデン、7.2%二置換、および2.1%ビニル/アリルであった。平均エチレン単位ランレングスは、13C-NMRによって測定して、2.60であった。クロスオーバー温度は、振動レオメトリーによって測定して、およそ-22.4℃であった。
【0196】
実施例11
100mL Parr反応器は、温度制御のための水ジャケット、圧力制御のための窒素パージレシーバー、エチレンガスの計量供給、ならびにプロピレン、トルエン、触媒、共触媒、および捕捉剤の別個の供給のための高圧計量ポンプを備えていた。触媒(トルエン中0.141重量%のCp2ZrMe2)、共触媒(トルエン中0.144重量%のFAB)、捕捉剤(トルエン中0.032重量%のTEAL)、溶媒(トルエン)、エチレン、およびプロピレンの連続供給により、反応器を連続的に操作した。反応器を液体充填で1553psigで操作し、1,000rpmで動作する4枚刃ピッチ式タービンインペラで撹拌した。触媒、共触媒、および捕捉剤溶液を、それぞれ0.22g/分、0.49g/分、および0.25g/分の供給速度で反応器に導入する直前に混合した。エチレン、プロピレン、およびトルエンもまた一緒に混合し、それぞれ1.75g/分、2.55g/分、および7.04g/分の供給速度で、触媒、共触媒、および捕捉剤溶液から別個に反応器に供給した。反応器温度は、反応器中の1/8″サーモカップルによって測定して、120℃で維持した。コポリマーの産生速度は、重量測定で2.53g/分として測定された。
【0197】
コポリマーは、1H-NMRによって測定して、62mol%のエチレンを含有することがわかった。コポリマーの相対数平均分子量(Mn)およびPDIは、GPCによって測定して、それぞれ2318g/molおよび1.98であった。コポリマーの重量平均分子量(Mw)は、1H-NMRによって測定して、1199g/molであり、コポリマー中のオレフィン分布は、1H-NMRによって測定して、75.6%メチル-ビニリデン、16.8%ベータ-ビニリデン、6.3%二置換、および1.4%ビニル/アリルであった。平均エチレン単位ランレングスは、13C-NMRによって測定して、2.22であった。クロスオーバー温度は、振動レオメトリーによって測定して、-37℃よりも低かった。
【0198】
実施例12
100mL Parr反応器は、温度制御のための水ジャケット、圧力制御のための窒素パージレシーバー、エチレンガスの計量供給、ならびにプロピレン、トルエン、触媒、共触媒、および捕捉剤の別個の供給のための高圧計量ポンプを備えていた。触媒(トルエン中0.04重量%のCp2ZrMe2)、共触媒(トルエン中0.083重量%のFAB)、捕捉剤(トルエン中0.005重量%のTEAL)、溶媒(トルエン)、エチレン、およびプロピレンの連続供給により、反応器を連続的に操作した。反応器を液体充填で1533psigで操作し、1,000rpmで動作する4枚刃ピッチ式タービンインペラで撹拌した。触媒、共触媒、および捕捉剤溶液を、それぞれ0.32g/分、0.34g/分、および0.33g/分の供給速度で反応器に導入する直前に混合した。エチレン、プロピレン、およびトルエンもまた一緒に混合し、それぞれ1.60g/分、3.05g/分、および3.68g/分の供給速度で、触媒、共触媒、および捕捉剤溶液から別個に反応器に供給した。反応器温度は、反応器中の1/8″サーモカップルによって測定して、98℃で維持した。コポリマーの産生速度は、重量測定で3.69g/分として測定された。
【0199】
コポリマーは、1H-NMRによって測定して、45mol%のエチレンを含有することがわかった。コポリマーの相対数平均分子量(Mn)およびPDIは、GPCによって測定して、それぞれ2628g/molおよび2.00であった。コポリマーの重量平均分子量(Mw)は、1H-NMRによって測定して、1410g/molであり、コポリマー中のオレフィン分布は、1H-NMRによって測定して、81.2%メチル-ビニリデン、13.0%ベータ-ビニリデン、5.2%二置換、および0.6%ビニル/アリルであった。平均エチレン単位ランレングスは、13C-NMRによって測定して、1.62であった。クロスオーバー温度は、振動レオメトリーによって測定して、-37℃よりも低かった。
【0200】
実施例13
100mL Parr反応器は、温度制御のための水ジャケット、圧力制御のための窒素パージレシーバー、エチレンガスの計量供給、ならびにプロピレン、トルエン、触媒、共触媒、および捕捉剤の別個の供給のための高圧計量ポンプを備えていた。触媒(トルエン中0.04重量%のCp2ZrMe2)、共触媒(トルエン中0.082重量%のFAB)、捕捉剤(トルエン中0.01重量%のTEAL)、溶媒(トルエン)、エチレン、およびプロピレンの連続供給により、反応器を連続的に操作した。反応器を液体充填で1533psigで操作し、1019rpmで動作する4枚刃ピッチ式タービンインペラで撹拌した。触媒、共触媒、および捕捉剤溶液を、それぞれ0.52g/分、0.52g/分、および0.37g/分の供給速度で反応器に導入する直前に混合した。エチレン、プロピレン、およびトルエンもまた一緒に混合し、それぞれ1.78g/分、2.76g/分、および3.98g/分の供給速度で、触媒、共触媒、および捕捉剤溶液から別個に反応器に供給した。反応器温度は、反応器中の1/8″サーモカップルによって測定して、119℃で維持した。コポリマーの産生速度は、重量測定で3.5g/分として測定された。
【0201】
コポリマーは、1H-NMRによって測定して、54mol%のエチレンを含有することがわかった。コポリマーの相対数平均分子量(Mn)およびPDIは、GPCによって測定して、それぞれ1673g/molおよび1.97であった。コポリマーの重量平均分子量(Mw)は、1H-NMRによって測定して、913g/molであり、コポリマー中のオレフィン分布は、1H-NMRによって測定して、79.2%メチル-ビニリデン、14.7%ベータ-ビニリデン、5.0%二置換、および1.1%ビニル/アリルであった。平均エチレン単位ランレングスは、13C-NMRによって測定して、1.99であった。クロスオーバー温度は、振動レオメトリーによって測定して、-37℃よりも低かった。
【0202】
実施例14
100mL Parr反応器は、温度制御のための水ジャケット、圧力制御のための窒素パージレシーバー、エチレンガスの計量供給、ならびにプロピレン、トルエン、触媒、共触媒、および捕捉剤の別個の供給のための高圧計量ポンプを備えていた。触媒(トルエン中0.093重量%のCp2ZrMe2)、共触媒(トルエン中0.191重量%のFAB)、捕捉剤(トルエン中0.011重量%のTEAL)、溶媒(トルエン)、エチレン、およびプロピレンの連続供給により、反応器を連続的に操作した。反応器を液体充填で1462psigで操作し、1,000rpmで動作する4枚刃ピッチ式タービンインペラで撹拌した。触媒、共触媒、および捕捉剤溶液を、それぞれ0.65g/分、0.68g/分、および0.63g/分の供給速度で反応器に導入する直前に混合した。エチレン、プロピレン、およびトルエンもまた一緒に混合し、それぞれ1.70g/分、2.20g/分、および6.85g/分の供給速度で、触媒、共触媒、および捕捉剤溶液から別個に反応器に供給した。反応器温度は、反応器中の1/8″サーモカップルによって測定して、105℃で維持した。コポリマーの産生速度は、重量測定で2.63g/分として測定された。
【0203】
コポリマーは、1H-NMRによって測定して、67mol%のエチレンを含有することがわかった。コポリマーの相対数平均分子量(Mn)およびPDIは、GPCによって測定して、それぞれ3004g/molおよび2.04であった。コポリマーの重量平均分子量(Mw)は、1H-NMRによって測定して、1504g/molであり、コポリマー中のオレフィン分布は、1H-NMRによって測定して、83.0%メチル-ビニリデン、11.0%ベータ-ビニリデン、5.0%二置換、および2.0%ビニル/アリルであった。平均エチレン単位ランレングスは、13C-NMRによって測定して、2.64であった。クロスオーバー温度は、振動レオメトリーによって測定して、およそ-20.0℃であった。
【0204】
実施例15(比較)
100mL Parr反応器は、温度制御のための水ジャケット、圧力制御のための窒素パージレシーバー、エチレンガスの計量供給、ならびにプロピレン、トルエン、触媒、共触媒、および捕捉剤の別個の供給のための高圧計量ポンプを備えていた。触媒(トルエン中0.008重量%のCp2ZrMe2)、共触媒(トルエン中0.015重量%のFAB)、捕捉剤(トルエン中0.011重量%のTEAL)、溶媒(トルエン)、エチレン、およびプロピレンの連続供給により、反応器を連続的に操作した。反応器を液体充填で1549psigで操作し、1008rpmで動作する4枚刃ピッチ式タービンインペラで撹拌した。触媒、共触媒、および捕捉剤溶液を、それぞれ0.37g/分、0.40g/分、および0.27g/分の供給速度で反応器に導入する直前に混合した。エチレン、プロピレン、およびトルエンもまた一緒に混合し、それぞれ0.48g/分、3.0g/分、および6.98g/分の供給速度で、触媒、共触媒、および捕捉剤溶液から別個に反応器に供給した。反応器温度は、反応器中の1/8″サーモカップルによって測定して、140℃で維持した。コポリマーの産生速度は、重量測定で0.61g/分として測定された。
【0205】
コポリマーは、1H-NMRによって測定して、57mol%のエチレンを含有することがわかった。コポリマーの相対数平均分子量(Mn)およびPDIは、GPCによって測定して、それぞれ3,000g/molおよび2.23であった。コポリマーの重量平均分子量(Mw)は、1H-NMRによって測定して、1505g/molであり、コポリマー中のオレフィン分布は、1H-NMRによって測定して、76.6%メチル-ビニリデン、13.7%ベータ-ビニリデン、7.6%二置換、および2.1%ビニル/アリルであった。平均エチレン単位ランレングスは、13C-NMRによって測定して、2.59であった。クロスオーバー温度は、振動レオメトリーによって測定して、およそ0.7℃であった。
【0206】
実施例16(比較)
100mL Parr反応器は、温度制御のための水ジャケット、圧力制御のための窒素パージレシーバー、エチレンガスの計量供給、ならびにプロピレン、トルエン、触媒、共触媒、および捕捉剤の別個の供給のための高圧計量ポンプを備えていた。触媒(トルエン中0.015重量%のCp2ZrMe2)、共触媒(トルエン中0.031重量%のFAB)、捕捉剤(トルエン中0.009重量%のTEAL)、溶媒(トルエン)、エチレン、およびプロピレンの連続供給により、反応器を連続的に操作した。反応器を液体充填で1539psigで操作し、1001rpmで動作する4枚刃ピッチ式タービンインペラで撹拌した。触媒、共触媒、および捕捉剤溶液を、それぞれ0.26g/分、0.26g/分、および0.46g/分の供給速度で反応器に導入する直前に混合した。エチレン、プロピレン、およびトルエンもまた一緒に混合し、それぞれ0.52g/分、3.04g/分、および6.62g/分の供給速度で、触媒、共触媒、および捕捉剤溶液から別個に反応器に供給した。反応器温度は、反応器中の1/8″サーモカップルによって測定して、140℃で維持した。コポリマーの産生速度は、重量測定で0.64g/分として測定された。
【0207】
コポリマーは、1H-NMRによって測定して、57mol%のエチレンを含有することがわかった。コポリマーの相対数平均分子量(Mn)およびPDIは、GPCによって測定して、それぞれ2331g/molおよび2.38であった。コポリマーの重量平均分子量(Mw)は、1H-NMRによって測定して、1197g/molであり、コポリマー中のオレフィン分布は、1H-NMRによって測定して、76.9%メチル-ビニリデン、14.4%ベータ-ビニリデン、6.9%二置換、および1.8%ビニル/アリルであった。平均エチレン単位ランレングスは、13C-NMRによって測定して、2.57であった。クロスオーバー温度は、振動レオメトリーによって測定して、およそ-17.8℃であった。
【0208】
エチレンアルファオレフィンコポリマー官能化の実施例および比較例
実施例F1
エチレンプロピレンコポリマー(実施例1)168.5g(0.16mol)およびマレイン酸無水物23.5g(0.24mol)を、撹拌器およびサーモカップルを備えた350mLのPARR圧力反応器に装填した。反応混合物を50℃に加熱し、窒素で15分間、撹拌しながらパージした。反応温度を235℃に上げ、その温度で6時間、撹拌しながら維持した。次いで、反応混合物を90℃に冷却し、500mLの丸底フラスコに移した。次いで、反応混合物を加熱し、未反応のマレイン酸無水物を真空で除去した。分析的分析:酸数0.966および91.0%官能化コポリマー。
【0209】
実施例F2
エチレンプロピレンコポリマー(実施例2)150g(0.19mol)およびマレイン酸無水物28.3g(0.29mol)を、撹拌器およびサーモカップルを備えた350mLのPARR圧力反応器に装填した。反応混合物を50℃に加熱し、窒素で15分間、撹拌しながらパージした。反応温度を235℃に上げ、その温度で6時間、撹拌しながら維持した。次いで、反応混合物を90℃に冷却し、500mLの丸底フラスコに移した。次いで、反応混合物を加熱し、未反応のマレイン酸無水物を真空で除去した。分析的分析:酸数1.24および91.6%官能化コポリマー。
【0210】
実施例F3
エチレンプロピレンコポリマー(実施例3)822.5g(0.5mol)およびマレイン酸無水物73.55g(0.75mol)を、撹拌器およびサーモカップルを備えた2LのPARR圧力反応器に装填した。反応混合物を50℃に加熱し、窒素で15分間、撹拌しながらパージした。反応温度を235℃に上げ、その温度で6時間、撹拌しながら維持した。次いで、反応混合物を90℃に冷却し、2Lの丸底フラスコに移した。次いで、反応混合物を加熱し、未反応のマレイン酸無水物を真空で除去して、827.5gの産生物を得た。分析的分析:酸数0.577および85.4%官能化コポリマー。
【0211】
実施例F4
エチレンプロピレンコポリマー(実施例4)900g(0.49mol)およびマレイン酸無水物72.65g(0.74mol)を、撹拌器およびサーモカップルを備えた2LのPARR圧力反応器に装填した。反応混合物を50℃に加熱し、窒素で15分間、撹拌しながらパージした。反応温度を235℃に上げ、その温度で6時間、撹拌しながら維持した。次いで、反応混合物を90℃に冷却し、2Lの丸底フラスコに移した。次いで、反応混合物を加熱し、未反応のマレイン酸無水物を真空で除去して、901.4gの産生物を得た。分析的分析:酸数0.571および84.8%官能化コポリマー。
【0212】
実施例F5
エチレンプロピレンコポリマー(実施例5)781g(0.7mol)およびマレイン酸無水物103.1g(1.05mol)を、撹拌器およびサーモカップルを備えた2LのPARR圧力反応器に装填した。反応混合物を50℃に加熱し、窒素で15分間、撹拌しながらパージした。反応温度を235℃に上げ、その温度で6時間、撹拌しながら維持した。次いで、反応混合物を90℃に冷却し、1Lの丸底フラスコに移した。次いで、反応混合物を加熱し、未反応のマレイン酸無水物を真空で除去して、846.5gの産生物を得た。分析的分析:酸数0.986および88.6%官能化コポリマー。
【0213】
実施例F6
エチレンプロピレンコポリマー(実施例6 1,000g(0.76mol)およびマレイン酸無水物112.3g(1.15mol)を、撹拌器およびサーモカップルを備えた2LのPARR圧力反応器に装填した。反応混合物を50℃に加熱し、窒素で15分間、撹拌しながらパージした。反応温度を235℃に上げ、その温度で6時間、撹拌しながら維持した。次いで、反応混合物を90℃に冷却し、2Lの丸底フラスコに移した。次いで、反応混合物を加熱し、未反応のマレイン酸無水物を真空で除去して、1076.8gの産生物を得た。分析的分析:酸数0.76および78%官能化コポリマー。
【0214】
実施例F7(比較)
エチレンプロピレンコポリマー(実施例7)450g(0.374mol)、エチレンプロピレンコポリマー(実施例8)450g(0.386mol)、およびマレイン酸無水物111.79g(1.14mol)を、撹拌器およびサーモカップルを備えた2LのPARR圧力反応器に装填した。反応混合物を50℃に加熱し、窒素で15分間、撹拌しながらパージした。反応温度を235℃に上げ、その温度で6時間、撹拌しながら維持した。次いで、反応混合物を90℃に冷却し、2Lの丸底フラスコに移した。次いで、反応混合物を加熱し、未反応のマレイン酸無水物を真空で除去して、960.2gの産生物を得た。分析的分析:酸数0.923および87.0%官能化コポリマー。
【0215】
実施例F8
エチレンプロピレンコポリマー(実施例9)845.2g(0.66mol)およびマレイン酸無水物97.0g(0.99mol)を、撹拌器およびサーモカップルを備えた2LのPARR圧力反応器に装填した。反応混合物を50℃に加熱し、窒素で15分間、撹拌しながらパージした。反応温度を235℃に上げ、その温度で6時間、撹拌しながら維持した。次いで、反応混合物を90℃に冷却し、2Lの3N丸底フラスコに移した。次いで、反応混合物を加熱し、未反応のマレイン酸無水物を真空で除去して、904.2gの産生物を得た。分析的分析:酸数0.858および82.2%官能化コポリマー。
【0216】
実施例F9
エチレンプロピレンコポリマー(実施例10)150.0g(0.11mol)およびマレイン酸無水物15.7g(0.159mol)を、撹拌器およびサーモカップルを備えた350mLのPARR圧力反応器に装填した。反応混合物を50℃に加熱し、窒素で15分間、撹拌しながらパージした。反応温度を235℃に上げ、その温度で6時間、撹拌しながら維持した。次いで、反応混合物を90℃に冷却し、500mLの3N丸底フラスコに移した。次いで、反応混合物を加熱し、未反応のマレイン酸無水物を真空で除去して、155.3gの産生物を得た。分析的分析:酸数0.72および85.6%官能化コポリマー。
【0217】
実施例F10
エチレンプロピレンコポリマー(実施例11)150.0g(0.125mol)およびマレイン酸無水物18.4g(0.19mol)を、撹拌器およびサーモカップルを備えた350mLのPARR圧力反応器に装填した。反応混合物を50℃に加熱し、窒素で15分間、撹拌しながらパージした。反応温度を235℃に上げ、その温度で6時間、撹拌しながら維持した。次いで、反応混合物を90℃に冷却し、500mLの3N丸底フラスコに移した。次いで、反応混合物を加熱し、未反応のマレイン酸無水物を真空で除去して、159.5gの産生物を得た。分析的分析:酸数0.78および81.3%官能化コポリマー。
【0218】
実施例F11
エチレンプロピレンコポリマー(実施例12)150.0g(0.11mol)およびマレイン酸無水物15.7g(0.160mol)を、撹拌器およびサーモカップルを備えた350mLのPARR圧力反応器に装填した。反応混合物を50℃に加熱し、窒素で15分間、撹拌しながらパージした。反応温度を235℃に上げ、その温度で6時間、撹拌しながら維持した。次いで、反応混合物を90℃に冷却し、500mLの3N丸底フラスコに移した。次いで、反応混合物を加熱し、未反応のマレイン酸無水物を真空で除去して、55.6gの産生物を得た。分析的分析:酸数0.685および85.3%官能化コポリマー。
【0219】
実施例F12
エチレンプロピレンコポリマー(実施例13)1,000g(1.1mol)およびマレイン酸無水物161.2g(1.64mol)を、撹拌器およびサーモカップルを備えた2LのPARR圧力反応器に装填した。反応混合物を50℃に加熱し、窒素で15分間、撹拌しながらパージした。反応温度を235℃に上げ、その温度で6時間、撹拌しながら維持した。次いで、反応混合物を90℃に冷却し、500mLの3N丸底フラスコに移した。次いで、反応混合物を加熱し、未反応のマレイン酸無水物を真空で除去して、1108.5gの産生物を得た。分析的分析:酸数1.057および83.8%官能化コポリマー
【0220】
低金属および/またはフッ素含有量の例
300mLの撹拌オートクレーブを使用して、少なくとも1kgのエチレン-プロピレンコポリマーを含む試料を調製した。コポリマーの数平均重量は、2085g/molであり、エチレン含有量は65%であった。コポリマーを調製するための反応条件を下記の表8に示す。
【0221】
【0222】
「Slpm」は、25℃および101.325kPaで1分当たりの標準リットルである。試験を50分間実行し、初期試料を破棄した。次いで、反応を6時間半にわたって連続的に操作し、反応器流出を収集し、30~45分毎に試料採取した。合計10試料を収集し、水洗浄し、下記に論じるように回転蒸発させた。試料を各々計量し、ポリマー含有量を決定した。
【0223】
【0224】
洗浄ステップ
ポリマー試料を、オーバーヘッド撹拌器および電気加熱マントルを備えた4リットルのガラス分離ケトル中で洗浄した。トルエンを使用して、2リットルのBuchi RR III回転蒸発装置中で試料を剥離し、温度制御油浴を使用して温度を維持した。
【0225】
分離ケトルに1リットルの蒸留水を装填し、次いで試料1~4をケトルに装填した。ケトルを50℃に加熱し、25分間撹拌した。
【0226】
撹拌を停止して相を分離させた後、合計1664グラムのトルエン-ポリマー相を、水性相を破壊することなく取り除いた。
【0227】
このステップに続いて、試料5~6からの合計1479グラムのポリマーをケトルに装填した。再度、組成物を50℃で25分間撹拌した後、分離させた。次いで、追加1286グラムのトルエン層を、水性層からデカントした。
【0228】
次に、試料7~8を上記のように処理し、合計1341グラムを水性層からデカントした。
【0229】
次いで、試料9をケトルに装填し、50℃で25分間撹拌して、一晩分離させた。翌朝615グラムを水性相から除去し、最後の試料10を添加した。装填し、組成物を50℃で撹拌し、相を分離した後、746グラムのトルエン-ポリマー組成物をデカントした。次いで、追加214グラムのトルエンをケトルに添加して、水性界面付近のポリマー/トルエン層を希釈した。次いで、172グラムのトルエンを除去し、合計1134グラムの水性層をケトルから排水した。この層は、トルエンとともに可視量のアルミニウム酸化物を含有していた。
【0230】
回転蒸発装置を120℃および10mmHg真空に加熱した。ケトルから回収したトルエン-ポリマー溶液を、9時間のスパンにわたって半バッチ様式で回転蒸発装置に装填する一方で、トルエンをオーバーヘッドで回収した。ポリマーは、操作中に回転蒸発装置中に残留し、必須沸き上げ速度を維持するためにポリマー濃度を増加させるにつれて、真空を24mmHgまで増分的に増加した。すべての装填を供給した後、回転蒸発装置温度を140℃に増加させ、真空を29mmHgに増加させた。回転蒸発装置を、これらの条件でおよそ90分間維持した。
【0231】
最後に、回転蒸発装置を冷却した後、排水し、1310グラムのポリマーを回収した。
【0232】
図8は、温度および反応器へのオレフィン流量のプロファイルを表す。この図は、その単位が試験の経過にわたって安定して走行したことを示す。プロピレン流量中のアップセットは、個々の試料収集からのものである。
【0233】
図9は、最初の6試料の測定されたポリマー分子量およびエチレン組み込みを表す。最初の試料を破棄したが、残りの試料をすべて使用して、複合試料を作製した。
【0234】
本発明のいくつかの実施形態が本明細書に記載され、例示されているが、当業者であれば、機能を実施するならびに/または本明細書に記載の結果および/もしくは利点のうちの1つ以上を得るための様々な他の手段および/または構造を容易に想定するであろう。またこれらの変形および/または修正の各々は、本発明の範囲内であるとみなされる。より一般的には、当業者は、本明細書に記載のすべてのパラメータ、寸法、材料、および構成が、例示的であること意味すること、ならびに実際のパラメータ、寸法、材料、および/もしくは構成が、本発明の教示が使用される特定の1つもしくは複数の適用に依存することを容易に理解するであろう。当業者であれば、単なるルーチン実験を使用して、多くが本明細書に記載の本発明の特定の実施形態に相当することを認識する、または確認することができるであろう。したがって、前述の実施形態は、単なる例として提示されること、および添付の特許請求の範囲およびその同等物の範囲内で、本発明が、具体的に記載および請求されるものとは別の方法で実施され得ることを理解されたい。本発明は、本明細書に記載される各個々の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法を対象とする。加えて、2つ以上のそのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の任意の組み合わせは、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が互いに矛盾しない場合、本発明の範囲内に含まれる。
【0235】
すべての定義は、本明細書に定義され使用される場合、辞書の定義、参照により組み込まれる文書の定義、および/または定義される用語の通常の意味よりも優先されることが理解されるべきである。
【0236】
不定冠詞「1つの(a)」および「1つの(an)」は、本明細書で明細書および特許請求の範囲において使用される場合、反対のことが明らかに示されない限り、「少なくとも1つ」を意味することを理解すべきである。
【0237】
語句「および/または」は、本明細書で明細書および特許請求の範囲において使用される場合、そのように接続される要素、すなわち、ある場合には接続的に存在し、他の場合には離接的に存在する要素の「いずれかまたは両方」を意味することを理解すべきである。「および/または」で列挙される複数の要素は、同じ様式で、すなわち、そのように接続される要素のうちの「1つ以上」とみなされるべきである。任意に、「および/または」という節によって具体的に特定される要素以外の他の要素は、具体的に特定される要素に関連するか、非関連であるかにかかわらず、任意に存在し得る。したがって、非限定例として、「Aおよび/またはB」についての言及は、「含む」などのオープンエンド言語と併せて使用したときに、一実施形態では、Aのみを指し、別の実施形態では、Bのみを指し(任意に、A以外の要素を含む)、更に別の実施形態では、AおよびBの両方を指す(任意に他の要素を含む)等であり得る。
【0238】
ここで明細書中および特許請求の範囲内で使用される場合、「または」は、上に定義される「および/または」と同じ意味を有することを理解すべきである。例えば、一覧の項目を分離するとき、「または」または「および/または」は、包括的である(すなわち、少なくとも1つを包含する)が、多くのまたは一覧の要素、および任意に、追加の列挙されていない項目のうちの2つ以上を含むと解釈されるものとする。「のうちの1つのみ」または「のうちのたった1つ」など、用語が明らかに反対を示す場合、または特許請求の範囲で使用されるとき、「からなる」は、多くのまたは一覧の要素のたった1つの要素の包含を指す。一般に、用語「または」は、本明細書で使用される場合、排他性に関する用語、例えば「いずれか」、「のうちの1つ」、「のうちの1つのみ」、または「のうちのたった1つ」が先行するとき、排他的代替(すなわち、どちらかであるが、両方ではない)を示すものとして解釈されるにすぎない。特許請求の範囲内で使用されるとき、「から本質的になる」は、特許法の分野で使用されるその通常の意味を有するものとする。
【0239】
ここで明細書中および特許請求の範囲内で使用される場合、1つ以上の要素のイチランに関する語句「少なくとも1つ」は、要素の一覧中の要素のうちのいずれか1つ以上から選択される少なくとも1つの要素を意味するが、要素の一覧に具体的に列挙される各々およびあらゆる要素のうちの少なくとも1つを含むとは限らないが、要素の一覧中の要素の任意の組み合わせを除外しないことを理解すべきである。この定義はまた、具体的に特定される要素に関連するか非関連であるかにかかわらず、語句「少なくとも1つ」が指す要素の一覧内で具体的に特定される要素以外の要素が任意に存在し得ることを可能にする。したがって、非限定例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(または同等に「AまたはBの少なくとも1つ」もしくは同等に「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、任意に2つ以上のAを含み、Bが存在しない(また任意にB以外の要素を含む)少なくとも1つを指し、別の実施形態では、任意に2つ以上のBを含み、Aが存在しない(また任意にA以外の要素を含む)少なくとも1つを指し、更に別の実施形態では、任意に2つ以上のAを含む少なくとも1つ、および任意に2つ以上のBを含む(また任意に他の要素を含む)少なくとも1つを指す等であり得る。
【0240】
「約」という語が数に関して本明細書で使用されるとき、本発明の更に別の実施形態が、「約」という語の存在によって修飾されない数を含むことを理解すべきである。
【0241】
反対の意味が明らかに示されない限り、2つ以上のステップまたは行為を含む、本明細書で請求される任意の方法において、それらのステップまたは行為の順序は、該方法のステップまたは行為が、記載される順序に限定されるとは限らないことも理解すべきである。
【0242】
特許請求の範囲において、ならびに上記明細書において、例えば「含む(comprising)」、「含む(including)」、「担持する」、「有する」、「含有する」、「伴う」、「保持する」、「で構成される」等のすべての移行句は、オープンエンドである、すなわち、含むがそれに限定されないことを意味するものと理解されたい。移行句「からなる」および「から本質的になる」のみが、米国特許庁特許審査便覧、セクション2111.03に記載されるように、それぞれクローズまたはセミクローズ移行句であるものとする。
【0243】
各数値パラメータは、少なくとも報告された有効桁数に照らして、また通常の四捨五入技法を適用することによって解釈されるべきである。広範囲の開示を記載する数値範囲およびパラメータが近似値であるにもかかわらず、特定の実施例に記載される数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、いかなる数値も、それらのそれぞれの試験測定において見出される標準偏差から必然的に生じる、所定の誤差を本質的に含有する。本明細書および実施例が、例示的なものにすぎず、本開示の真の範囲および趣旨は以下の特許請求の範囲によって示されるものとみなされることが意図される。
【0244】
特許権所有者は、いずれかの開示される実施形態を、一般に開放することを意図せず、いずれかの開示される変更または変形が文字通り特許請求の範囲に該当し得ない程度まで、それらは均等論下でこれらの一部であるとみなされる。
【0245】
本明細書に開示される各成分、化合物、置換基、またはパラメータは、単独で、または本明細書に開示される各々およびすべての他の成分、化合物、置換基、もしくはパラメータのうちの1つ以上との組み合わせでの使用について開示されていると解釈されるべきであることを理解されたい。
【0246】
本明細書に開示される各成分、化合物、置換基、またはパラメータについての各量/値または量/値の範囲は、本明細書に開示されるいずれかの他の成分(複数可)、化合物(複数可)、置換基(複数可)、またはパラメータ(複数可)の各量/値または量/値の範囲と組み合わせて開示されていると解釈されるべきであり、本明細書に開示される2つ以上の成分(複数可)、化合物(複数可)、置換基(複数可)、またはパラメータについての量/値または量/値の範囲のいずれかの組み合わせも、よって、この説明の目的のために互いに組み合わせて開示されることも理解されたい。
【0247】
本明細書に開示される各範囲は、同じ有効桁数を有する開示範囲内の各特定値の開示として解釈されるべきであることを更に理解されたい。したがって、1~4の範囲は、1、2、3、および4の値の明確な開示として解釈されるべきである。
【0248】
本明細書に開示される各範囲の各下限は、同じ成分、化合物、置換基、またはパラメータについて本明細書に開示される各範囲の各上限および各範囲内の各特定値と組み合わせて開示されると解釈されるべきであることを更に理解されたい。よって、本開示は、各範囲の各下限を各範囲の各上限と、または各範囲内の各特定値と組み合わせることによって、または各範囲の各上限を各範囲内の各特定値と組み合わせることによって誘導されるすべての範囲の開示として解釈されるべきである。
【0249】
更に、本明細書または実施例において開示される成分、化合物、置換基、またはパラメータの特定量/値は、範囲の下限または上限のいずれかの開示として解釈されるべきであり、よって、本出願の他の個所で開示される同じ成分、化合物、置換基、またはパラメータについての範囲または特定量/値のいずれかの他の下限または上限と組み合わせて、その成分、化合物、置換基、またはパラメータについての範囲を形成することができる。