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特許7232767霧化ユニット、霧化装置及び霧化装置の駆動方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-22
(45)【発行日】2023-03-03
(54)【発明の名称】霧化ユニット、霧化装置及び霧化装置の駆動方法
(51)【国際特許分類】
   B05B 17/06 20060101AFI20230224BHJP
   B05D 1/00 20060101ALI20230224BHJP
   F24F 6/12 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
B05B17/06
B05D1/00
F24F6/12 101B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019545554
(86)(22)【出願日】2018-09-26
(86)【国際出願番号】 JP2018035628
(87)【国際公開番号】W WO2019065711
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-07-07
(31)【優先権主張番号】P 2017190122
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000136354
【氏名又は名称】株式会社フコク
(74)【代理人】
【識別番号】100124327
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 勝博
(72)【発明者】
【氏名】池浜 和之
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-016076(JP,A)
【文献】実開昭60-033139(JP,U)
【文献】実開昭61-008472(JP,U)
【文献】実開昭57-051666(JP,U)
【文献】特開昭63-130160(JP,A)
【文献】特開2011-110453(JP,A)
【文献】特開2016-211768(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00-17/08
B05D 1/00-7/26
F24F 6/00-6/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の圧電振動子と、前記圧電振動子の一方の面と他方の面のそれぞれに設けられ、電気的に分離された電極とを備えた霧化用振動子と、前記霧化用振動子を駆動する駆動部とを備え、
前記圧電振動子の前記一方の面に設けられた電極が、前記圧電振動子の中央部に配置された中心電極と、前記中心電極の外周を取り囲み、前記中心電極と電気的に分離して配置された環状の外周電極とを有し、
前記駆動部は、前記外周電極への通電をON・OFFするスイッチ部と、貯液タンクの液位を検出する液位検出手段からの出力信号に基づいて、前記スイッチ部のON・OFFを切り替えて、前記中心電極及び前記外周電極で覆われた領域から前記中心電極で覆われた中央領域に駆動域を切り替える制御部とを備えたことを特徴とする霧化ユニット。
【請求項2】
前記外周電極は、環状の隙間部を介して、少なくとも2つ以上の環状の電極に電気的に分離されており、
前記駆動部は、前記中心電極への通電を維持し、且つ前記複数の外周電極のそれぞれに対応して設けられ、当該対応した外周電極への通電をON・OFFするスイッチ部と、貯液タンクの液位を検出する液位検出手段からの出力信号に基づいて、前記スイッチ部のON・OFFを切り替える制御部とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の霧化ユニット。
【請求項3】
円板状の圧電振動子と、前記圧電振動子の一方の面と他方の面のそれぞれに設けられ、電気的に分離された円形状の電極とを備えた霧化用振動子と、前記霧化用振動子を駆動する駆動部とを備え、
前記圧電振動子の前記一方の面に設けられた電極が、前記圧電振動子の中央部に配置された中心電極と、前記中心電極と同心状に、且つ電気的に分離して配置された円環状の外周電極とを有し、
前記駆動部は、前記外周電極への通電をON・OFFするスイッチ部と、貯液タンクの液位を検出する液位検出手段からの出力信号に基づいて、前記スイッチ部のON・OFFを切り替えて、前記中心電極及び前記外周電極で覆われた領域から前記中心電極で覆われた中央領域に駆動域を切り替える制御部とを備えたことを特徴とする霧化ユニット。
【請求項4】
前記外周電極は、同心状に設けられた円環状の隙間部を介して、少なくとも2つ以上の円環状の電極に電気的に分離されており、
前記駆動部は、前記中心電極への通電を維持し、且つ前記複数の外周電極のそれぞれに対応して設けられ、当該対応した外周電極への通電をON・OFFするスイッチ部と、貯液タンクの液位を検出する液位検出手段からの出力信号に基づいて、前記スイッチ部のON・OFFを切り替える制御部とを備えたことを特徴とする請求項3に記載の霧化ユニット。
【請求項5】
板状の圧電振動子と、前記圧電振動子の一方の面と他方の面のそれぞれに設けられ、電気的に分離された電極とを備えた霧化用振動子と、前記霧化用振動子を駆動する駆動部とを備え、
前記圧電振動子の前記一方の面に設けられた電極が、前記圧電振動子の当該一方の面内の中心に対して偏心して配置された中心電極と、前記中心電極の外周を取り囲み、前記中心電極と電気的に分離して配置された環状の外周電極とを有し、
前記駆動部は、前記外周電極への通電をON・OFFするスイッチ部と、貯液タンクの液位を検出する液位検出手段からの出力信号に基づいて、前記スイッチ部のON・OFFを切り替えて、前記中心電極及び前記外周電極で覆われた領域から前記中心電極で覆われた中央領域に駆動域を切り替える制御部とを備えたことを特徴とする霧化ユニット。
【請求項6】
前記圧電振動子が円板状であることを特徴とする請求項5に記載の霧化ユニット。
【請求項7】
前記外周電極は、隙間部を介して、前記中心電極の外周を順に、層状に取り囲む少なくとも2つ以上の電極に電気的に分離されており、
前記駆動部は、前記中心電極への通電を維持し、且つ前記複数の外周電極のそれぞれに対応して設けられ、当該対応した外周電極への通電をON・OFFするスイッチ部と、貯液タンクの液位を検出する液位検出手段からの出力信号に基づいて、前記スイッチ部のON・OFFを切り替える制御部とを備えたことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の霧化ユニット。
【請求項8】
請求項1、請求項3、請求項5又は請求項6のいずれか一項に記載の霧化ユニットと、霧化用液体を貯留する貯液タンクと、前記貯液タンクの液位を検出する液位検出手段とを備えた霧化装置において、
前記霧化用振動子は、前記貯液タンクの底部に設置され、
前記制御部は、前記液位検出手段からの出力信号に基づいて、前記貯液タンクの液位が所定値まで低下したときに、前記スイッチ部をONからOFFに切り替えることを特徴とする霧化装置。
【請求項9】
請求項2、請求項4又は請求項7のいずれか一項に記載の霧化ユニットと、霧化用液体を貯留する貯液タンクと、前記貯液タンクの液位を検出する液位検出手段とを備えた霧化装置において、
前記霧化用振動子は、前記貯液タンクの底部に設置され、
前記制御部は、前記液位検出手段からの出力信号に基づいて、前記貯液タンクの液位が低下するにしたがって、前記スイッチ部をONからOFFに切り替えた外周電極を中央部へ向けて段階的に増加させることを特徴とする霧化装置。
【請求項10】
請求項1、請求項3、請求項5又は請求項6のいずれか一項に記載の霧化ユニットに用いる霧化用振動子が、霧化用液体を貯留する貯液タンクの底部に設置された霧化装置の駆動方法であって、
前記貯液タンクの液位が所定値まで低下したときに、前記外周電極への通電を停止することを特徴とする霧化装置の駆動方法。
【請求項11】
請求項2、請求項4又は請求項7のいずれか一項に記載の霧化ユニットに用いる霧化用振動子が、霧化用液体を貯留する貯液タンクの底部に設置された霧化装置の駆動方法であって、
前記貯液タンクの液位が低下するにしたがって、通電が停止される外周電極を中央部へ向けて段階的に増加させることを特徴とする霧化装置の駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、霧化用液体に超音波振動を与えて霧化する霧化用振動子を備えた霧化ユニット、当該霧化ユニットを備えた霧化装置及び霧化装置の駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液体を霧化させる方式として、超音波振動方式が採用されている。超音波振動方式を採用した霧化装置は、霧化用液体を貯留する貯液タンクの底部に超音波振動子が設置されている。この超音波振動子に高周波電圧を印加すると、貯液タンク内の霧化用液体が高周波振動によって微粒子化する。微粒子化した液体は、送風ファン等によって外部に霧として送出される。このような霧化装置は、例えば、加湿器として実用化されている。
【0003】
上述した超音波振動方式を採用した霧化装置では、超音波振動子から貯液タンクの液面までの距離、すなわち、霧化用液面の液位によって霧化量が変化する。この場合、貯液タンクの液面高さ(液位)を霧化量がピークとなる付近に維持するため、霧となって消費した分の霧化用液体を貯液タンクに供給する補充タンクが必要となる。例えば、当該霧化装置として特許文献1に開示されたミスト発生装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平05-208151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された霧化装置では、貯液タンクの他に補充タンクが必要となり、霧化装置の全体構成が複雑化し、形状(デザイン)設計の自由度も制限されるといった課題があった。他方、補充タンクを廃止すると、霧化用液体の消費によって貯液タンクの液位を霧化量がピークとなる高さに維持できなくなり、貯液タンクの液位によって霧化量が大きく変化するといった課題があった。
【0006】
そこで、本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、貯液タンクの液位に応じて好適な霧化が実現でき、補充タンクの廃止が可能な霧化用振動子、当該霧化用振動子を備えた霧化ユニット、当該霧化ユニットを備えた霧化装置及び霧化装置の駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明に係る霧化用振動子は、板状の圧電振動子と、前記圧電振動子の一方の面と他方の面のそれぞれに設けられた電極と、を備えた霧化用振動子であって、前記圧電振動子の前記一方の面に設けられた電極が、前記圧電振動子の中央部に配置された中心電極と、前記中心電極の外周を取り囲み、前記中心電極と電気的に分離して配置された環状の外周電極とを備えたことを特徴とする。
【0008】
第2の発明に係る霧化用振動子は、前記外周電極が、環状の隙間部を介して、少なくとも2つ以上の環状の電極に電気的に分離されていることを特徴とする。
【0009】
第3の発明に係る霧化用振動子は、円板状の圧電振動子と、前記圧電振動子の一方の面と他方の面のそれぞれに設けられた円形状の電極とを備えた霧化用振動子であって、前記圧電振動子の前記一方の面に設けられた電極が、前記圧電振動子の中央部に配置された中心電極と、前記中心電極と同心状に、かつ、電気的に分離して配置された円環状の外周電極とを備えたことを特徴とする。
【0010】
第4の発明に係る霧化用振動子は、前記外周電極が、同心状に設けられた円環状の隙間部を介して、少なくとも2つ以上の円環状の電極に電気的に分離されていることを特徴とする。
【0011】
第5の発明に係る霧化用振動子は、板状の圧電振動子と、前記圧電振動子の一方の面と他方の面のそれぞれに設けられた電極と、を備えた霧化用振動子であって、前記圧電振動子の前記一方の面に設けられた電極が、前記圧電振動子の当該一方の面内の中心に対して偏心して配置された中心電極と、前記中心電極の外周を取り囲み、前記中心電極と電気的に分離して配置された環状の外周電極とを備えたことを特徴とする。
【0012】
第6の発明に係る霧化用振動子は、第5の発明における前記圧電振動子が円板状であることを特徴とする。
【0013】
第7の発明に係る霧化用振動子は、前記外周電極が、隙間部を介して、前記中心電極の外周を順に、層状に取り囲む少なくとも2つ以上の電極に電気的に分離されていることを特徴とする。
【0014】
第8の発明に係る霧化ユニットは、第1、第3、第5又は第6のいずれかの発明に係る霧化用振動子と、前記霧化用振動子を駆動する駆動部とを備え、前記駆動部は、前記外周電極への通電をON・OFFするスイッチ部と、貯液タンクの液位を検出する液位検出手段からの出力信号に基づいて、前記スイッチ部のON・OFFを切り替える制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
第9の発明に係る霧化ユニットは、第2、第4又は第7のいずれかの発明に係る霧化用振動子と、前記霧化用振動子を駆動する駆動部とを備え、前記駆動部は、前記複数の外周電極のそれぞれに対応して設けられ、当該対応した外周電極への通電をON・OFFするスイッチ部と、貯液タンクの液位を検出する液位検出手段からの出力信号に基づいて、前記スイッチ部のON・OFFを切り替える制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
第10の発明に係る霧化装置は、第8の発明に係る霧化ユニットと、霧化用液体を貯留する貯液タンクと、前記貯液タンクの液位を検出する液位検出手段とを備えた霧化装置において、前記霧化用振動子は、前記貯液タンクの底部に設置され、前記制御部は、前記液位検出手段からの出力信号に基づいて、前記貯液タンクの液位が所定値まで低下したときに、前記スイッチ部をONからOFFに切り替えることを特徴とする。
【0017】
第11の発明に係る霧化装置は、第9の発明に係る霧化ユニットと、霧化用液体を貯留する貯液タンクと、前記貯液タンクの液位を検出する液位検出手段とを備えた霧化装置において、前記霧化用振動子は、前記貯液タンクの底部に設置され、前記制御部は、前記液位検出手段からの出力信号に基づいて、前記貯液タンクの液位が低下するにしたがって、前記スイッチ部をONからOFFに切り替えた外周電極を中央部へ向けて段階的に増加させることを特徴とする。
【0018】
第12の発明に係る霧化装置の駆動方法は、第1、第3、第5又は第6のいずれかの発明に係る霧化用振動子が、霧化用液体を貯留する貯液タンクの底部に設置された霧化装置の駆動方法であって、前記貯液タンクの液位が所定値まで低下したときに、前記外周電極への通電を停止することを特徴とする。
【0019】
第13の発明に係る霧化装置の駆動方法は、第2、第4又は第7のいずれかの発明に係る霧化用振動子が、霧化用液体を貯留する貯液タンクの底部に設置された霧化装置の駆動方法であって、前記貯液タンクの液位が低下するにしたがって、通電が停止される外周電極を中央部へ向けて段階的に増加させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の霧化用振動子によれば、貯液タンクの液位が高液位にあるときは、中心電極と外周電極の双方に通電して、高液位に応じた霧化を行い、霧化用液体の消費に伴い貯液タンクの液位が低下したときは、外周電極への通電を停止し、中心電極にのみ通電することで、低液位に応じた霧化ができる。このため、貯液タンクの液位が低下しても、好適な霧化が実現できるため、補充タンクを要することなく、安定した霧化が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明を適用した霧化装置の概略構成図である。
図2】本実施の形態の霧化用振動子の概略断面図である。
図3図2の霧化用振動子の他方の面側を示す図である。
図4】第1実施形態に係る霧化用振動子の一方の面側を示す図である。
図5】第2実施形態に係る霧化用振動子の一方の面側を示す図である。
図6】第3実施形態に係る霧化用振動子の一方の面側を示す図である。
図7】第4実施形態に係る霧化用振動子の一方の面側を示す図である。
図8】その他の実施形態に係る霧化用振動子の一方の面側を示す図である。
図9】その他の実施形態に係る霧化用振動子の一方の面側を示す図である。
図10】その他の実施形態に係る霧化用振動子の一方の面側を示す図である。
図11】その他の実施形態に係る霧化用振動子の一方の面側を示す図である。
図12】第1実施形態に係る霧化用振動子において、中心電極のみに通電した場合と、中心電極と外周電極の双方に通電した場合の液位に対する霧化量の変化を示す図である。
図13】高液位モードと低液位モードとを切り替えたときの液位に対する霧化量の変化を示す図である。
図14】高液位モード、中液位モード及び低液位モードの3つの霧化モードにおける液位に対する霧化量の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る霧化用振動子、霧化ユニット、霧化装置、霧化装置の駆動方法の実施の形態について図面を参照して説明する。ここでは、本発明の霧化用振動子、霧化ユニットを備えた霧化装置を例に挙げて説明する。
【0023】
図1は本実施の形態に係る霧化用振動子10を備えた霧化装置1の概略構成図である。本実施の形態に係る霧化装置1は、霧化用液体を貯留する貯液タンク2と、貯液タンク2内に貯留された霧化用液体Wを霧化する霧化ユニット3とを備えている。
【0024】
貯液タンク2は、霧化用液体Wを貯留するタンクであって、底部(底面)2Aには、霧化ユニット3の霧化用振動子10が取り付けられる貫通孔4が形成されている。貯液タンク2は、例えば、合成樹脂や金属材料などによって構成される。本実施の形態において、貯液タンク2は、図示しない霧化装置本体に収容され、所定の支持手段を介して保持されており、当該霧化装置本体に着脱自在とされている。貯液タンク2は、所定時間、霧化用液体Wを補充することなく連続して霧化可能な容量を貯留できることが好ましい。
【0025】
本実施の形態において霧化用液体Wは、水道水を用いるが、霧化用液体Wは、水道水等の水に限定されるものではなく、薬液や、芳香液等の霧化の対象となるものであれば、いずれの液体であってもよい。
【0026】
また、貯液タンク2内には、貯留された霧化用液体Wの液位を検出するための液位センサ(液位検出手段)5が設けられている。本実施の形態において、液位センサ5は、貯液タンク2内の霧化用液体Wの液位を検出することができれば、いずれの方式のセンサを採用してもよい。液位センサ5は、例えば、静電容量式、重量式、光学式、レーザー式、電波式、超音波式、フロート式を挙げることができる。なお、本発明において、液位センサの方式はこれに限定されるものではない。
【0027】
霧化ユニット3は、霧化用振動子10と、霧化用振動子10を駆動するための駆動部60とを備えている。まず、霧化用振動子10について、図2の霧化用振動子10の概略断面図を参照して説明する。
【0028】
霧化用振動子10は、板状の圧電振動子11と、圧電振動子11を挟むように形成された一対の層状の電極12、20とを備えている。本実施の形態において、圧電振動子11は円板状を呈しており、圧電振動子11の霧化用液体W側となる面側(「他方の面」とも称する。)11aには、円形状で、圧電振動子11よりも僅かに小径の電極12が圧電振動子11と同心状にめっき等で形成されている。また、霧化用液体Wと反対側となる面(「一方の面」とも称する。)11bには、円形状で、圧電振動子11よりも僅かに小径の電極20が圧電振動子11と同心状にめっき等で形成されている。ここでは、円板状の圧電振動子を例に挙げて説明しているが、本発明に係る圧電振動子は、円板状に限定されるものではなく、板状であれば特に問題ない。なお、電極20の詳細については、後述する。
【0029】
圧電振動子11は、所定の厚さの圧電セラミックスなどの圧電材料を厚さ方向に分極して構成されている。圧電振動子11は、電極12、20を介して印加される高周波電圧(「高周波駆動信号」とも称する。)の向きによって、収縮、伸張するため、電気的エネルギーを機械的エネルギーに変換することができる。圧電セラミックスとしては、ペロブスカイト型の酸化物、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)や、ニオブ酸チタン酸ジルコン酸鉛(PZTN)などを挙げることができるが、本発明はこれに限定されない。
【0030】
本実施の形態において、霧化用振動子10は、他方の面11aに配置された電極12が貯液タンク2の霧化用液体W側となるように、電極12を上側として貯液タンク底部2Aに形成された貫通孔4に弾性パッキン14を介して嵌め込まれている。弾性パッキン14は、例えば、シリコンゴムなどの弾性材料を環状に形成することにより構成されている。弾性パッキン14は、その内周面に、電極12、20を備えた圧電振動子11を保持する環状の保持溝を備えていてもよい。この構成を採用することにより、電極12、20を備えた圧電振動子11は、周縁部が弾性パッキン14で保持された状態で、貯液タンク2の底部2Aに形成された貫通孔4に嵌め込まれている。
【0031】
圧電振動子11の他方の面11aに配置された電極12は、弾性パッキン14が装着された状態で、圧電振動子11の一方の面11b側からの給電ができるようにするため、圧電振動子11の一方の面11b側に引き出された舌片の接続部12Aを備えている。また、当該電極12は、上述したように圧電振動子11の外径よりも僅かに小径に形成されており、電極12が直接、霧化用液体Wに接触することを防止する目的で、圧電振動子11の他方の面11aには、電極12を被覆する保護層15が形成されている。当該保護層15は、例えばステンレス鋼やチタンなどの金属箔により構成されていてもよく、めっきによる金属保護膜や、樹脂によるコーティング被膜により構成してもよい。なお、図3には保護層15が形成される前の状態の圧電振動子11の他方の面11a側を示す。
【0032】
以下に、本発明に係る霧化用振動子の第1実施形態~第4実施形態について図4図7を参照して説明する。図4図7において、図中の斜線は、電極の表面を示すために付しており、電極の断面を示すものではない。なお、上述した霧化用振動子10は、第1実施形態~第4実施形態では、それぞれ霧化用振動子10A~10Dとして説明する。また、上述した電極20は、第1実施形態~第4実施形態では、それぞれ電極20A~20Dとして説明する。図4は第1実施形態の霧化用振動子10Aの一方の面11b側を示す図である。
【0033】
第1実施形態の霧化用振動子10Aは、円板状の圧電振動子11の一方の面11b側に設けられた電極20Aが、円形状の中心電極21と、この中心電極21の外周を取り囲むように、当該中心電極21と同心状に配置された円環状の外周電極22とを備えている。
【0034】
円形状の中心電極21は、圧電振動子11よりも小径で、圧電振動子11の中央部に同心状に設けられている。また、円環状の外周電極22は、内径が中心電極21の外径よりも僅かに大きく、外径が電極12と略同径か又は僅かに小さく、中心電極21と同心状に配置されている。中心電極21と外周電極22とは、円環状の隙間部23を介して電気的に分離されている。
【0035】
中心電極21及び外周電極22の外周縁には、給電用配線24、25がそれぞれ接続されており、また、電極12側の接続部12Aには、給電用配線26が接続されている。第1実施形態の霧化用振動子10Aは、開閉スイッチ27をON(閉)からOFF(開)に切り替えて、外周電極22への通電を停止すると、圧電振動子11の駆動域が径方向に縮小するように構成されている。すなわち、第1実施形態の霧化用振動子10Aは、電極12、中心電極21及び外周電極22に通電すると、圧電振動子11のうち、中心電極21及び外周電極22で覆われた圧電振動子11の略全面が駆動域となる。一方、電極12、中心電極21への通電を維持し、外周電極22への通電を停止すると、圧電振動子11のうち、中心電極21で覆われた圧電振動子11の中央領域が駆動域となる。
【0036】
このように、第1実施形態の霧化用振動子10Aによれば、外周電極22への通電を開閉スイッチ27で制御することで、1つの霧化用振動子でその駆動域を径方向に2段階(大径、小径)に切り替えることができる。
【0037】
図5は第2実施形態の霧化用振動子10Bの一方の面11b側を示す図である。第2実施形態の霧化用振動子10Bは、一方の面11bに設けられた電極20Bに接続する給電用配線の接続を考慮したものである。具体的には、第2実施形態の霧化用振動子10Bは、圧電振動子11の一方の面11bに設けられた電極20Bが、円形状の電極本体を有する中心電極31と、この中心電極31と同心状に配置された円環状の外周電極32とを備えている。
【0038】
中心電極31は、給電用配線33を接続するための接続片31Aが電極本体から径方向に圧電振動子11の外縁まで延出している。外周電極32は、接続片31Aとの電気的な絶縁を図るため、環状部の一部が径方向に切り欠かれている。なお、外周電極32のように、環状部の一部が径方向に切り欠かれていても、全体として円環状を呈していれば、本発明の外周電極に含まれる。
【0039】
中心電極31の接続片31A及び外周電極32の切欠部32Aの近傍には、給電用配線33、34がそれぞれ接続されている。このように、第2実施形態の霧化用振動子10Bによれば、一方の面11bに設けられた電極20Bへの給電用配線33、34を一か所にまとめることができる利点がある。なお、第2実施形態の霧化用振動子10Bにおいて、第1実施形態の霧化用振動子10Aと同一の構成には、同一の符号を付して説明は省略する。
【0040】
図6は第3実施形態の霧化用振動子10Cの一方の面11b側を示す図である。第3実施形態の霧化用振動子10Cは、一方の面11bに設けられた電極20Cを構成する中心電極41の外径が第1実施形態の中心電極21よりも若干小さく構成されている。また、中心電極41と同心状に配置された円環状の外周電極が、円環状の隙間部44を介して径方向に電気的に2つに分離した、第1外周電極42と第2外周電極43とから構成されている。
【0041】
中心電極41、第1外周電極42及び第2外周電極43には、給電用配線45、46、47がそれぞれ接続されている。
【0042】
第3実施形態の霧化用振動子10Cによれば、第1外周電極42、第2外周電極43への通電を開閉スイッチ48、49で制御することで、1つの霧化用振動子でその駆動域を径方向に3段階(大径、中経、小径)に切り替えることができる。なお、第3実施形態の霧化用振動子10Cにおいて、第1実施形態の霧化用振動子10Aと同一の構成には、同一の符号を付して説明は省略する。
【0043】
図7は第4実施形態としての霧化用振動子10Dの一方の面11b側を示す図である。第4実施形態の霧化用振動子10Dは、一方の面11bに設けられた電極20Dに接続する給電用配線の接続を考慮したものである。具体的には、第4実施形態の霧化用振動子10Dは、圧電振動子11の一方の面11bに設けられた電極20Dは、円形状の電極本体を有する中心電極51と、この中心電極51と同心状に配置された第1外周電極52と第2外周電極53とを備えている。
【0044】
中心電極51は、給電用配線54を接続するための接続片51Aが電極本体から径方向に圧電振動子11の外縁まで延出している。第1外周電極52は、接続片51Aとの電気的な絶縁を図るため、環状部の一部が径方向に切り欠かれた切欠部52Bを備えている。また、第2外周電極53は、後述する接続片52Aとの電気的な絶縁を図るため、第1外周電極52の切欠部52Bよりも大きな幅で環状部の一部が径方向に切り欠かれた切欠部53Aを備えている。なお、第1外周電極52及び第2外周電極53のように、環状部の一部が径方向に切り欠かれていても、全体として円環状を呈していれば、本発明の円環状の外周電極に含まれる。
【0045】
第1外周電極52の切欠部52Bの端部には、給電用配線55を接続するための接続片52Aが径方向に圧電振動子11の外縁まで延出している。中心電極51の接続片51A、第1外周電極52の接続片52A及び第2外周電極53の切欠部53Aの近傍には、給電用配線54、55、56がそれぞれ接続されている。
【0046】
このように、第4実施形態の霧化用振動子10Dによれば、一方の面11bに設けられた電極20Dへの給電用配線54、55、56を一か所にまとめることができる利点がある。なお、第4実施形態の霧化用振動子10Dにおいて、第3実施形態の霧化用振動子10Cと同一の構成には、同一の符号を付して説明は省略する。
【0047】
上述した各実施の形態においては、中心電極の中心を、圧電振動子11の中心に設けたものを例示したが、中心電極の中心は、圧電振動子11の中心と必ずしも一致している必要はなく、外周電極が中心電極と電気的に分離した状態で、当該中心電極の周囲を取り囲むものであればよい。すなわち、中心電極の中心は、圧電振動子の面内中心に対して偏心して配置され、外周電極がこの中心電極の外周を取り囲むように配置することで、中心電極の偏心に伴い、圧電振動子の面内中心に対して偏心したものとしてもよい。
【0048】
中心電極及び外周電極を偏心して配置した例を図8図11に示す。各図に示す中心電極及び外周電極は、図5に示した第2実施形態の霧化用振動子10Bの中心電極31と外周電極32とを、圧電振動子11の一方の面11bの面内中心P1に対して偏心したものである。具体的に、図8は、外周電極32の直径を100%としたときに中心電極31の中心P2を、圧電振動子11の面内中心P1から、接続片31Aが形成された方向に3%偏心したものを示す。図9は、同様に、中心電極31の中心P2を接続片31Aが形成された方向とは反対に3%偏心したもの、図10は中心電極31の中心P2を接続片31Aが形成された方向とは反対方向に6%偏心したもの、図11は、中心電極31の中心P2を接続片31Aが形成された方向とは反対方向に最大限、偏心したものを示す。
【0049】
また、上述した実施形態において、外周電極は、1つ又は2つ設けられているが、本発明は、これに限定されない。すなわち、外周電極は、中心電極側から順に配置される第1外周電極~第n外周電極(n≧2の整数。)からなり、第1外周電極~第n外周電極は、同一面内においてその内側に隣接して位置する外周電極を取り囲むように離間配置されたものとしてもよい。これにより、外周電極を構成する各電極は中心電極の外周を順に、層状に取り囲まれる。
【0050】
いずれの場合であっても、最も外側に位置する第n外周電極(外周電極22、32、43、53)の外径は、圧電振動子11の他方の面11aに設けられた電極12の外径と等しいか、それ以下であることが好ましい。
【0051】
また、各実施の形態において、中心電極と外周電極との間隔、及び、外周電極同士の間隔は、電気的な絶縁ができる距離であれば特に限定されないが、圧電振動子11に圧電効果を生じさせる点からは当該間隔は狭いほど好ましい。
【0052】
次に、図1を参照して、本実施の形態の霧化ユニット3について説明する。霧化ユニット3は、霧化用振動子10と、霧化用振動子10を駆動する駆動部60を備えている。駆動部60は、霧化用振動子10の電極12、20へ高周波駆動信号を出力するもので、制御部6と、高周波発振部7と、開閉スイッチ27(48、49)を有するスイッチ部8とを備えている。
【0053】
制御部6は液位センサ5が接続されており、液位センサ5からの出力に基づき、スイッチ部8の開閉スイッチ27(48、49)の「閉(ON)」、「開(OFF)」を切り替える指令信号をスイッチ部8へ出力する。
【0054】
高周波発振部7は、不図示の外部電源(例えば50Hzの商用電源)に接続され、外部電源から高周波駆動信号を生成して、霧化用振動子10の電極12、20へ出力する。
【0055】
スイッチ部8においては、制御部6からの指令信号に基づき、開閉スイッチ27(48、49)が「閉(ON)」、「開(OFF)」のいずれかに切り替えられる。上述した第1実施形態の霧化用振動子10Aと第2実施形態の霧化用振動子10Bを用いた霧化ユニット3の場合、開閉スイッチ27が「開(OFF)」のときは、高周波発振部7から出力される高周波駆動信号が、中心電極21又は中心電極31のみに供給される。上述した第3実施形態の霧化用振動子10Cと第4実施形態の霧化用振動子10Dを用いた霧化ユニット3の場合、開閉スイッチ48、49が「開(OFF)」のときは、高周波発振部7から出力される高周波駆動信号が、中心電極41又は51のみに供給される。そして、開閉スイッチ49のみが「開(OFF)」のときは、高周波発振部7から出力される高周波駆動信号が、中心電極41又は51と、第1外周電極42又は52のみに供給される。なお、図1において、高周波発振部7から霧化用振動子10の電極12への給電用配線は不図示とした。
【0056】
霧化用振動子10による霧化用液体Wの霧化量は、圧電振動子11の他方の面11aから霧化用液体Wの液面までの距離、すなわち、貯液タンク2の液位によって変動する。図12に第1実施形態の霧化用振動子10Aにおいて、中心電極21のみに通電した場合と、中心電極21と外周電極22の双方に通電した場合の液位に対する霧化量の変化を示す。図12において破線は中心電極21のみに通電した場合を示し、実線は中心電極21と外周電極22の双方に通電した場合を示す。
【0057】
図12から霧化用振動子10においては、通電される電極径によって、霧化量のピークを示す液位が異なることが分かる。霧化用振動子10は、中心電極21と外周電極22の双方に通電する(通電する電極径が大きい)と、比較的高い液位で霧化量がピークとなり、中心電極21のみに通電する(通電する電極径が小さい)と、比較的低い液位で霧化量がピークとなる。また、中心電極21と外周電極22の双方に通電したときの霧化量と中心電極21のみに通電したときの霧化量が、液位L(例えば50mm)を境に逆転する。
【0058】
そこで、本実施の形態では、貯液タンク2の液位L(例えば50mm)をしきい値とし、液位センサ5からの出力に基づき、制御部6が霧化用振動子10の電極20Aへの通電を段階的に切り替える。具体的には、制御部6は、液位センサ5からの出力に基づき霧化に伴い貯液タンク2の液位がしきい値Lとなったときに、外周電極22への通電を停止する。
【0059】
次に、第1実施形態の霧化用振動子10Aを用いた霧化装置1の実施形態を図13を参照して説明する。本実施形態において、液位センサ5により検出された貯液タンク2の液位がしきい値Lを超えている場合の霧化モードを、「高液位モード」とし、貯液タンク2の液位がしきい値L以下となった場合の霧化モードを、「低液位モード」とする。この霧化モードの切替は、液位センサ5からの出力に基づき、制御部6によって行われる。
【0060】
「高液位モード」においては、液位センサ5からの出力に基づき、制御部6は、スイッチ部8の開閉スイッチ27を「閉(ON)」状態とする。高周波発振部7は、スイッチ部8を介して高周波駆動信号を中心電極21と外周電極22の双方に出力する。これにより、霧化用振動子10Aは、高液位に応じた好適な霧化を行うことができる。
【0061】
霧化に伴い霧化用液体Wが消費され、貯液タンク2内の霧化用液体Wの液位が低下してしきい値Lになると、液位センサ5からの出力に基づき、霧化モードが「高液位モード」から「低液位モード」へ切り替えられる。
【0062】
「低液位モード」においては、液位センサ5からの出力に基づき、制御部6は、スイッチ部8の開閉スイッチ27を「開(OFF)」の状態とする。高周波発振部7は、スイッチ部8を介して高周波駆動信号を中心電極21のみに出力する。これにより、霧化用振動子10Aは、低液位に応じた好適な霧化を行うことができる。なお、「低液位モード」において、霧化用液体Wを補充して、貯液タンク2の液位がしきい値Lを超えると、「高液位モード」へ切り替えられ、高周波発振部7は、スイッチ部8を介して高周波駆動信号を中心電極21と外周電極22の双方に出力する。
【0063】
以上説明したように、本実施の形態の霧化装置1によれば、貯液タンク2の液位がしきい値L以下になると、外周電極22への通電を停止して、中心電極21のみに通電するため、液位に応じて好適な霧化が実現できる。このため、霧化に伴い貯液タンク2の液位が大きく低下しても、霧化量の減少を一定の範囲内に抑えることができ、補充タンクを要することなく、安定した霧化が実現できる。
【0064】
上述した実施形態では、「高液位モード」と「低液位モード」の2つの霧化モードを設定し、1つの霧化用振動子で通電する電極径を液位に応じて2段階に切り替えて、液位に応じた霧化を実現している。図14は、「高液位モード」、「中液位モード」及び「低液位モード」の3つの霧化モードにおける液位に対する霧化量の変化を示す図である。第3(第4)実施形態のように、第1外周電極42(52)及び第2外周電極43(53)の2つの外周電極を備えた霧化用振動子10C(10D)を用いた場合は、「高液位モード」、「中液位モード」及び「低液位モード」の3つの霧化モードを設定することができる。
【0065】
「高液位モード」では、中心電極41(51)、第1外周電極42(52)及び第2外周電極43(53)へ通電する。「中液位モード」では、第2外周電極43(53)への通電を停止し、中心電極41(51)及び第1外周電極42(52)へ通電する。「低液位モード」では、第1外周電極42(52)及び第2外周電極43(53)への通電を停止し、中心電極41(51)のみに通電する。
【0066】
そして、貯液タンク2の液位が第1しきい値L1となったときに、「高液位モード」から「中液位モード」へ切り替え、貯液タンク2の液位が第1しきい値よりも低い第2しきい値L2となったときに、「中液位モード」から「低液位モード」へ切り替える。なお、この実施の形態においては、スイッチ部8は、図6及び図7に示されるように、開閉スイッチ48、49の2つのスイッチで構成される。
【0067】
この実施の形態によれば、図14から明らかなように、それぞれの液位に応じて好適な霧化が実現できる。
【0068】
本発明に係る霧化用振動子、霧化ユニット、霧化装置及び霧化装置の駆動方法は、補助タンクのない霧化装置に限定されず、補助タンクを備えた霧化装置に使用してもよい。本発明によれば、補助タンクを備えた霧化装置にあっては、補助タンクが空になった後において、貯液タンクの液位に応じて好適な霧化が実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明に係る霧化用振動子は、貯液タンクの液位に応じて好適な霧化が実現できるため、貯液タンクの液位を一定に保つための補充タンクを設けていない霧化装置において特に有用である。
【符号の説明】
【0070】
W 霧化用液体
1 霧化装置
2 貯液タンク
2A 底面
3 霧化ユニット
5 液位センサ(液位検出手段)
6 制御部
7 高周波発振部
10、10A、10B、10C、10D 霧化用振動子
11 圧電振動子
11a 他方の面
11b 一方の面
12 電極(他方の面側)
12A 接続部
20、20A、20B、20C、20D 電極(一方の面側)
21 中心電極(第1実施形態)
22 外周電極(第1実施形態)
23、44 隙間部
24、25、26、33、34、45、46、47、54、55、56 給電用配線
27、48、49 開閉スイッチ
31 中心電極(第2実施形態)
31A、51A、52A 接続片
32 外周電極(第2実施形態)
32A、52B、53A 切欠部
41 中心電極(第3実施形態)
42 第1外周電極(第3実施形態)
43 第2外周電極(第3実施形態)
51 中心電極(第4実施形態)
52 第1外周電極(第4実施形態)
53 第2外周電極(第4実施形態)
60 駆動部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14