(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-22
(45)【発行日】2023-03-03
(54)【発明の名称】ブレーキ液圧制御装置
(51)【国際特許分類】
B60T 8/34 20060101AFI20230224BHJP
【FI】
B60T8/34
(21)【出願番号】P 2019567418
(86)(22)【出願日】2019-01-18
(86)【国際出願番号】 IB2019050417
(87)【国際公開番号】W WO2019145829
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2020-05-11
【審判番号】
【審判請求日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】P 2018011278
(32)【優先日】2018-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【氏名又は名称】大場 玲児
(72)【発明者】
【氏名】仁張 勉
【合議体】
【審判長】平田 信勝
【審判官】小川 恭司
【審判官】尾崎 和寛
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-268558(JP,A)
【文献】米国特許第5967625(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0107626(US,A1)
【文献】特開2016-88227(JP,A)
【文献】特開2012-56391(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0036434(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0048493(US,A1)
【文献】国際公開第2007/028687(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 7/12 - 8/1769
B60T 8/32 - 8/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキ液圧回路の液圧を制御するブレーキ液圧制御装置(10)であって、
ハウジング(130)と、
前記ハウジング(130)に装着されたモータ(96)と、
前記ハウジング(130)に装着され、前記ブレーキ液圧回路を流れるブレーキ液の流通を制御する複数の制御弁(34a,34b,36a,36b,54aa,54ab,54ba,54bb,58aa,58ab,58ba,58bb)とを備え、
前記複数の制御弁(34a,34b,36a,36b,54aa,54ab,54ba,54bb,58aa,58ab,58ba,58bb)は、前記ハウジング(130)において互いに対向する第1の面(130b)と第2の面(130c)とに分けて装着されており、
前記ハウジング(130)は、
電気配線(47)が配設される少なくとも一つの貫通孔(247,249)を有
し、
前記少なくとも一つの貫通孔(247,249)は、両端が前記第1の面(130b)及び前記第2の面(130c)に開口する、
ブレーキ液圧制御装置。
【請求項2】
前記第1の面(130b)に、前記第1の面(130b)に装着された制御弁(34a,36a,54ab,54ba,58ab,58ba)を制御する第1の回路基板(43a)を備え、
前記第2の面(130c)に、前記第2の面(130c)に装着された制御弁(34b,36b,54aa,54bb,58aa,58bb)を制御する第2の回路基板(43b)を備え、
前記第1の回路基板(43a)及び前記第2の回路基板(43b)は互いに電気的に接続され、
前記第1の回路基板(43a)又は前記第2の回路基板(43b)のいずれか一方に外部接続コネクタ(49)が接続されている
請求項1に記載のブレーキ液圧制御装置。
【請求項3】
前記第1の面(130b)に、前記第1の面(130b)及び前記第2の面(130c)に装着された複数の制御弁(34a,34b,36a,36b,54aa,54ab,54ba,54bb,58aa,58ab,58ba,58bb)を制御する回路基板(83)を備える
請求項1に記載のブレーキ液圧制御装置。
【請求項4】
前記ブレーキ液圧制御装置(10)は、
前記モータ(96)のモータ軸(96a)の先端部に固定され、前記モータ軸(96a)の軸線方向に対して傾斜して配置された斜板(125)と、
前記モータ軸(96a)及び前記斜板(125)の回転により駆動されるポンプエレメント(44)とを備え、
前記ポンプエレメント(44)は、
前記斜板(125)の回転に伴って前記モータ軸(96a)の軸線方向と平行に往復移動するピストン(150)を有する
請求項1~3のいずれか1項に記載のブレーキ液圧制御装置。
【請求項5】
前記モータ(96)が装着された前記ハウジング(130)の側面(130a)の所定方向の幅(W1)が、前記モータ(96)の前記所定方向の幅(W2)よりも小さい
請求項1~4のいずれか1項に記載のブレーキ液圧制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキ液圧制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、制動部へ供給されるブレーキ液の液圧を液圧回路で制御してブレーキ制御を行うブレーキ液圧制御装置が知られている。ブレーキ液圧制御装置は液圧ユニット及び電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)を備えている。
【0003】
液圧ユニットは開閉自在の制御弁、制御弁と連動して動作するポンプエレメント及びポンプエレメントを駆動するモータ等を備えている。これらの制御弁、ポンプエレメント及びモータはECUにより制御されて動作し、ブレーキ液圧回路内の液圧を増減させることで車輪に発生する制動力が制御される(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで従来のブレーキ液圧制御装置において液圧ユニットのハウジングにおけるモータが装着された側面に対向する側面にすべての制御弁が装着されている。また制御弁が装着された側面には制御弁に電気的に接続されるECUが配置されている。モータ及び制御弁が装着された互いに対向する側面の面積は、少なくとも複数の制御弁を配置できるように比較的大きく設計されている。
【0006】
また液圧ユニットには制御弁、ポンプエレメント及びモータ以外にも圧力センサやアキュムレータ等の構成部品が設けられている。モータ及び制御弁がハウジングの互いに対向する側面に装着されているため、モータ及び制御弁以外の構成部品はモータ及び制御弁が装着された2つの側面からそれぞれ垂直に連続する4つの側面に装着されることになる。このためモータ及び制御弁が装着された互いに対向する側面の距離を近付けることには限界があり、ハウジングを小型化することが困難である。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、液圧ユニットのハウジングを小型化してブレーキ液圧制御装置のサイズ及び重量を低減可能なブレーキ液圧制御装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある観点によれば、ブレーキ液圧回路の液圧を制御するブレーキ液圧制御装置であって、ハウジングと、ハウジングに装着されたモータと、ハウジングに装着され、ブレーキ液圧回路を流れるブレーキ液の流通を制御する複数の制御弁とを備え、複数の制御弁は、ハウジングにおいて互いに対向する第1の面と第2の面とに分けて装着され、ハウジングは、電気配線が配設される少なくとも一つの貫通孔を有し、少なくとも一つの貫通孔は、両端が第1の面及び第2の面に開口するブレーキ液圧制御装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように本発明によれば、液圧ユニットのハウジングを小型化してブレーキ液圧制御装置のサイズ及び重量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】ブレーキ用油圧回路の構成例を示す回路図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係るブレーキ液圧制御装置を示す斜視図である。
【
図3】同実施形態に係るハウジングの構成例を示す斜視図である。
【
図4】同実施形態に係るハウジングの構成例を示す側面図である。
【
図5】同実施形態に係るブレーキ液圧制御装置を下面側から見た斜視図である。
【
図6】同実施形態に係るブレーキ液圧制御装置の断面図である。
【
図7】同実施形態に係るブレーキ液圧制御装置の断面図である。
【
図8】変形例に係るブレーキ液圧制御装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお本明細書及び図面において実質的に同一の機能構成を有する構成要素については同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
<1.ブレーキ用油圧回路>
図1を参照して本実施形態に係るブレーキ液圧制御装置10を適用可能なブレーキ用油圧回路1について簡単に説明する。
【0013】
図1に示したブレーキ用油圧回路1は倍力装置を用いずに運転者によるブレーキペダルの踏力を増幅してホイールシリンダに伝達するブレーキシステムに適用されている。
図1に示したブレーキシステムは四輪車用のブレーキシステムである。
【0014】
ブレーキ液圧制御装置10は同一の構成を有する第1の液圧回路28及び第2の液圧回路30を含む。第1の液圧回路28及び第2の液圧回路30にはマスタシリンダ14からブレーキ液が供給される。
【0015】
ブレーキ用油圧回路1は第1の液圧回路28及び第2の液圧回路30によりそれぞれ車両の対角の位置にある一つの前輪及び一つの後輪を組として油圧を制御する、いわゆるX型配管方式に構成されている。
【0016】
なおブレーキシステムはX型配管方式に限られない。またブレーキシステムは四輪車用のブレーキシステムに限られず、二輪車用あるいはそれ以外の車両のブレーキシステムであってもよい。
【0017】
第2の液圧回路30は第1の液圧回路28と同様の構成を有している。以下第1の液圧回路28について説明し第2の液圧回路30の説明を省略する。
【0018】
第1の液圧回路28は複数の制御弁を備える。制御弁は、常開型でリニア制御可能な回路制御弁36aと、常閉型でオンオフ制御される吸入制御弁34aと、常開型でリニア制御可能な増圧弁58aa,58baと、常閉型でオンオフ制御される減圧弁54aa,54baを含む。これらの制御弁の駆動は図示しない電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)により制御される。
【0019】
第1の液圧回路28はモータ96により駆動されるポンプエレメント44aを備える。また第1の液圧回路28はアキュムレータ71a及びダンパ73aを備える。
【0020】
ポンプエレメント44aはモータ96により駆動されてブレーキ液を吐出する。モータ96の駆動は図示しないECUにより制御される。なお第1の液圧回路28に設けられるポンプエレメント44aの数は一つに限られない。
【0021】
マスタシリンダ14に連通する管路には第1の圧力センサ24が設けられている。第1の圧力センサ24はマスタシリンダ14内の圧力を検出する。
【0022】
右前輪の液圧ブレーキ22aのホイールシリンダ38aに連通する管路には第2の圧力センサ26aが設けられている。第2の圧力センサ26aはホイールシリンダ圧を検出する。
【0023】
なお第2の圧力センサ26aは左後輪の液圧ブレーキ22bのホイールシリンダ38bに連通する管路に設けられていてもよい。
【0024】
第2の液圧回路30は左前輪の液圧ブレーキ22c及び右後輪の液圧ブレーキ22dを制御する。第2の液圧回路30は、第1の液圧回路28の説明における右前輪の液圧ブレーキ22aのホイールシリンダ38aを左前輪の液圧ブレーキ22cのホイールシリンダ38cに置き換え、左後輪の液圧ブレーキ22bのホイールシリンダ38bを右後輪の液圧ブレーキ22dのホイールシリンダ38dに置き換える以外、第1の液圧回路28と同様に構成される。
【0025】
<2.ブレーキ液圧制御装置>
(2-1.全体構成)
図2を参照して本実施形態に係るブレーキ液圧制御装置10の全体構成を説明する。
【0026】
図2はブレーキ液圧制御装置10の斜視図である。図示したブレーキ液圧制御装置10は四輪車の各車輪のブレーキ力を制御するための装置である。ブレーキ液圧制御装置10は2系統の液圧回路を有する。
【0027】
なおブレーキ液圧制御装置10は四輪車用装置に限られず、二輪車用あるいはそれ以外の車両用の装置であってもよい。
【0028】
ブレーキ液圧制御装置10は液圧ユニット20と第1のECU40aと第2のECU40bとを備えている。液圧ユニット20はハウジング130を備えている。
【0029】
ハウジング130の側面(以下、「上面」ともいう)130aにはモータ96が装着されている。モータ96はモータ軸96aがハウジング130の内部に向かうように装着されている。
【0030】
ハウジング130の上面130aから垂直に連続する側面(以下、「第1の面」ともいう)130bには第1のECU40aが取り付けられている。ハウジング130の上面130aから垂直に連続し第1の面130bに対向する側面(以下、「第2の面」ともいう)130cには第2のECU40bが取り付けられている。
【0031】
(2-2.ハウジングの構成)
図3及び
図4は本実施形態に係るブレーキ液圧制御装置10の液圧ユニット20のハウジング130の構成例を示す説明図である。
図3はハウジング130の内部構成を実線で示した斜視図であり、
図4は
図3のハウジング130を背面側から見た側面図である。
【0032】
ハウジング130は金属からなり、モータ、2つのポンプエレメント、複数の制御弁、アキュムレータ、圧力センサ及び液管等が装着あるいは接続される複数の接続部を有している。それぞれの接続部は例えば穿孔加工によってハウジング130に形成された円柱形状の凹部である。
【0033】
具体的にハウジング130は上面130aにモータ接続溝130aaを有する。
【0034】
またハウジング130は
図1に示した第1の液圧回路28に設けられる複数の制御弁のうちの増圧弁58aa,58baが装着される接続部211,215、減圧弁54aa,54baが装着される接続部209,213、吸入制御弁34aが装着される接続部217及び回路制御弁36aが装着される接続部219を有する。
【0035】
またハウジング130は
図1に示した第2の液圧回路30に設けられる複数の制御弁のうちの増圧弁58ab,58bbが装着される接続部203,223、減圧弁54ab,54bbが装着される接続部201,221、吸入制御弁34bが装着される接続部205及び回路制御弁36bが装着される接続部207を有する。
【0036】
またハウジング130は
図1に示した第1の圧力センサ24及び第2の圧力センサ26a,26bが装着される接続部225,227,229を有する。またハウジング130は第1のECU40a及び第2のECU40bを固定するための接続部247,249を有する。
【0037】
これらの接続部のうちの接続部213,215,217,219,221,223,225,227,229はハウジング130の第1の面130bに形成されている。また接続部201,203,205,207,209,211は第2の面130cに形成されている。接続部247,249はそれぞれの両端が第1の面130b及び第2の面130cに開口した貫通孔となっている。
【0038】
またハウジング130は
図1に示した第1の液圧回路28及び第2の液圧回路30にそれぞれ設けられるアキュムレータ71a,71bが組み付けられるボア231,233を有する。またハウジング130はマスタシリンダ14に接続された液管が接続される接続ポート237,243及び各車輪のホイールシリンダ38a~38dに接続された液管が接続される接続ポート235,239,241,245を有する。
【0039】
またハウジング130は第1の液圧回路28及び第2の液圧回路30にそれぞれ設けられるポンプエレメント44a,44bが装着されるポンプ収容孔131a,131bを有する。
【0040】
これらのポンプ収容孔131a,131b、ボア231,233及び接続ポート235,237,239,241,243,245はハウジング130の上面130aに対向する側面(以下、「下面」ともいう)130dに形成されている。
【0041】
またハウジング130にはブレーキ液が流通する内部流路が形成されている。
【0042】
このように本実施形態に係るブレーキ液圧制御装置10において液圧ユニット20のハウジング130の互いに対向する第1の面130b及び第2の面130cに複数の制御弁を装着する接続部が分けて設けられている。
【0043】
具体的に第1の面130bには複数の制御弁が装着される接続部213,215,217,219,221,223が形成されている。また第1の面130bに対向する第2の面130cには複数の制御弁が装着される接続部201,203,205,207,209,211が形成されている。
【0044】
(2-3.ブレーキ液圧制御装置の具体的構成)
図2と併せてさらに
図5~
図7を参照してブレーキ液圧制御装置10の構成を具体的に説明する。
【0045】
図5は
図2のブレーキ液圧制御装置10を下方側から見た斜視図である。
図6は
図2に示したブレーキ液圧制御装置10のモータ軸96aの軸線を含むY-Z平面の断面図であり、
図7はモータ軸96aの軸線を含むX-Z平面の断面図である。
【0046】
なお
図5においてアキュムレータ71a,71bの図示は省略されている。
【0047】
第1のECU40aが取り付けられたハウジング130の第1の面130bには第1の液圧回路28に備えられる複数の制御弁のうちの減圧弁54ba、増圧弁58ba、吸入制御弁34a及び回路制御弁36aが装着されている。
【0048】
また第1の面130bには第2の液圧回路30に備えられる複数の制御弁のうちの減圧弁54ab及び増圧弁58abが装着されている。また第1の面130bには
図1に示した第1の圧力センサ24及び第2の圧力センサ26a,26bが装着されている。
【0049】
なお
図7には第1の面130bに装着された複数の制御弁及び第1の圧力センサ24及び第2の圧力センサ26a,26bのうちの減圧弁54ab、増圧弁58ab及び第2の圧力センサ26bのみが現れている。
【0050】
第1のECU40aはカバー41a、第1の回路基板43a及び外部接続コネクタ49を備えている。第1の回路基板43aはカバー41aの内部に固定されている。第1の回路基板43aには第1の面130bに装着された減圧弁54ab,54ba、増圧弁58ab,58ba、吸入制御弁34a及び回路制御弁36aの駆動を制御するための電気回路が形成されている。
【0051】
第1の回路基板43aには減圧弁54ab,54ba、増圧弁58ab,58ba、吸入制御弁34a及び回路制御弁36aの各アクチュエータと第1の回路基板43aとを電気的に接続するための複数の内部コネクタ45aが接続されている。
【0052】
外部接続コネクタ49はカバー41aの一側面に形成され第1の回路基板43aに電気的に接続された端子を有する。外部接続コネクタ49は第1の回路基板43aを車両側の制御系に電気的に接続する。これにより外部接続コネクタ49を介して車両側の制御系から第1の回路基板43aに対して駆動指示の信号が入力される。
【0053】
第2のECU40bが取り付けられたハウジング130の第2の面130cには第1の液圧回路28に備えられる複数の制御弁のうちの減圧弁54aa及び増圧弁58aaが装着されている。また第2の面130cには第2の液圧回路30に備えられる複数の制御弁のうちの減圧弁54bb、増圧弁58bb、吸入制御弁34b及び回路制御弁36bが装着されている。
【0054】
なお
図7には第2の面130cに装着された複数の制御弁のうちの吸入制御弁34b及び回路制御弁36bのみが現れている。
【0055】
第2のECU40bはカバー41b及び第2の回路基板43bを備えている。第2の回路基板43bはカバー41bの内部に固定されている。第2の回路基板43bには第2の面130cに装着された減圧弁54aa,54bb、増圧弁58aa,58bb、吸入制御弁34b及び回路制御弁36bの駆動を制御するための電気回路が形成されている。
【0056】
第2の回路基板43bには減圧弁54aa,54bb、増圧弁58aa,58bb、吸入制御弁34b及び回路制御弁36bの各アクチュエータと第2の回路基板43bとを電気的に接続するための複数の内部コネクタ45bが接続されている。
【0057】
第2の回路基板43bは電気配線47により第1の回路基板43aと電気的に接続されている。第2の回路基板43bには外部接続コネクタ49及び第1の回路基板43aを介して駆動指示の信号が入力される。
【0058】
第1の回路基板43aと第2の回路基板43bとを接続する電気配線47は例えばハウジング130に形成された第1のECU40a及び第2のECU40bを固定するための接続部247,249の少なくとも一方を利用して配線されていてもよい。これによりハウジング130に配線用の孔を形成するスペースを確保する必要がなくなり、ハウジング130の大型化を抑制することができる。
【0059】
ハウジング130の第1の面130b及び第2の面130cからともに垂直に連続する上面130aにはモータ96が装着されている。上面130aのX軸方向の幅W1はモータ96のX軸方向の幅W2よりも小さくなっている(
図7を参照)。
【0060】
ハウジング130の上面130aに対向する下面130dにはマスタシリンダ14あるいは各車輪のホイールシリンダ38a~38dに通じる液管が接続される接続ポート235,237,239,241,243,245が形成されている。
【0061】
またハウジング130の下面130dには2つのポンプエレメント44a,44b及び2つのアキュムレータ71a,71bが組み付けられている。2つのポンプエレメント44a,44bはそれぞれモータ96により回転駆動される斜板125に当接するピストン150を有している。
【0062】
2つのポンプエレメント44a,44bはそれぞれ斜板125の回転に伴って駆動され、ピストン150が往復移動することによりブレーキ液を吸入及び吐出する。ピストン150はモータ軸96aの軸線方向に沿って往復移動する。
【0063】
このように本実施形態に係るブレーキ液圧制御装置10では複数の制御弁が互いに対向する第1の面130bと第2の面130cとに分けて装着されている。このため複数の制御弁がすべて同一の面に装着される場合に比べてモータ96、ポンプエレメント44a,44b、第1の圧力センサ24、第2の圧力センサ26a,26b及びアキュムレータ71a,71b等の構成部品の配置の自由度が高められている。
【0064】
例えば本実施形態に係るブレーキ液圧制御装置10では第1の面130b及び第2の面130cからともに垂直に連続する上面130aにモータ96が装着されている。また第1の面130b及び第2の面130cからともに垂直に連続し上面130aに対向する下面130dに2つのポンプエレメント44a,44bが装着されている。
【0065】
2つのポンプエレメント44a,44bのピストン150はモータ軸96aに平行に往復移動可能に構成され、2つのポンプエレメント44a,44bはそれぞれ長手方向がモータ軸96aに沿うZ軸方向に延びるように配置されている。
【0066】
このためモータ軸96aを中心とした円周上に2つのポンプエレメント44a,44bを配置することが可能になっている。これによりハウジング130のX軸方向の幅W1をモータ96のX軸方向の幅W2よりも小さくすることができる。
【0067】
ポンプエレメントの数を増やす場合においてもモータ軸96aを中心とした円周上に複数のポンプエレメントを配置することができるためにハウジング130を小型化することができる。
【0068】
また各種液管が接続される接続ポート235,237,239,241,243,245がすべて同一の下面130dに設けられている。このため車両への搭載性の向上が図られている。
【0069】
また2つの第1のECU40aの第1の回路基板43a及び第2のECU40bの第2の回路基板43bが電気配線47により接続され第1のECU40aに設けられた外部接続コネクタ49を介して車両側の制御系から駆動指令の信号が入力される。外部接続コネクタ49が1つになっていることにより2つの第1のECU40a及び第2のECU40bを備える場合であっても車両への搭載性の向上が図られている。
【0070】
また本実施形態に係るブレーキ液圧制御装置10を車両に搭載する際にはハウジング130の上面130a、下面130d、第1の面130b及び第2の面130cからそれぞれ垂直に連続する2つの対向する側面130f,130g(
図2、
図5及び
図6を参照)を利用することができる。
【0071】
このため例えば断面U字状のブラケットを用いてそれぞれダンパを介してブラケットの2つの対向面をハウジング130の側面130f,130gに固定することで、ブレーキ液圧制御装置10の重心を挟むようにしてブレーキ液圧制御装置10を支持させることができる。これにより、ブレーキ液圧制御装置10に伝達される振動の抑制効果が高められNVH(Noise、Vibration、Harshness)性能を向上させることができる。
【0072】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0073】
例えば上記実施形態に係るブレーキ液圧制御装置10では第1のECU40a及び第2のECU40bのうちの一方に外部接続コネクタ49が設けられ第1の回路基板43aと第2の回路基板43bとが電気的に接続されていたが本発明はかかる例に限定されない。
【0074】
第1のECU40a及び第2のECU40bのそれぞれに外部接続コネクタが設けられてそれぞれのECUに対して車両側の制御系から駆動指令の信号が入力されるようになっていてもよい。
【0075】
また上記実施形態に係るブレーキ液圧制御装置10では第1の回路基板43a及び第2の回路基板43bに複数の制御弁の駆動を制御するための電気回路が形成されていたが本発明はかかる例に限定されない。
【0076】
例えば第1の回路基板43a及び第2の回路基板43bには電気配線パターンが形成され外部接続コネクタを介して入力される駆動信号が第1の回路基板43a及び第2の回路基板43bを介して複数の制御弁に伝達されるようにしてもよい。
【0077】
またブレーキ液圧制御装置は第1の面130b又は第2の面130cのいずれか一方に、第1の面130bと第2の面130cとに分けて装着されたすべての制御弁を制御する回路基板を備えていてもよい。
【0078】
図8に示すブレーキ液圧制御装置10は第1の面130bにカバー81a、回路基板83及び外部接続コネクタ89を有するECU80が配置されている。第2の面130cにはカバー81bのみが取り付けられている。
【0079】
第1の面130bに装着された複数の制御弁は内部コネクタ85により回路基板83に電気的に接続され、第2の面130cに装着された複数の制御弁は電気配線87により回路基板83に電気的に接続されている。外部接続コネクタ89を介して車両側の制御系から入力される駆動指令の信号にしたがって回路基板83によりそれぞれの制御弁の駆動制御が行われる。
【0080】
電気配線87は上記実施形態の場合と同様にハウジング130に形成された接続部247,249の少なくとも一方を利用して配線されていてもよい。
【符号の説明】
【0081】
10・・・ブレーキ液圧制御装置、20・・・液圧ユニット、34a,34b・・・吸入制御弁、36a,36b・・・回路制御弁、43a・・・第1の回路基板、43b・・・第2の回路基板、44a,44b・・・ポンプエレメント、47・・・電気配線、49・・・外部接続コネクタ、54aa,54ab,54ba,54bb・・・減圧弁、58aa,58ab,58ba,58bb・・・増圧弁、96・・・モータ、130・・・ハウジング、130b・・・第1の面、130c・・・第2の面