(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-22
(45)【発行日】2023-03-03
(54)【発明の名称】地図出力装置、地図出力システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G09B 29/00 20060101AFI20230224BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20230224BHJP
G06F 21/10 20130101ALI20230224BHJP
【FI】
G09B29/00 Z
G01C21/26 B
G06F21/10
(21)【出願番号】P 2020082894
(22)【出願日】2020-05-09
【審査請求日】2021-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】504050275
【氏名又は名称】株式会社 ミックウェア
(72)【発明者】
【氏名】今井田 健太
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 琢磨
(72)【発明者】
【氏名】広川 栄信
【審査官】西村 民男
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-169825(JP,A)
【文献】特開2010-086216(JP,A)
【文献】特開2019-200132(JP,A)
【文献】国際公開第2011/070629(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0334239(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0250515(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 29/00
G01C 21/00-21/36
G06F 12/14,21/00,21/10,
21/30-21/46,
21/60-21/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載される地図出力装置であって、
地図データが記憶されている記録媒体と接続される接続部と、
前記地図データを出力する出力部と、
前記接続部及び前記出力部をそれぞれ制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記移動体が予め定められた使用量を超えて使用された場合、前記移動体に対応する文字列である固有値の情報を含むファイルを、前記接続部に接続されている前記記録媒体に書き込み、かつ、
前記移動体に対応する前記固有値の情報を含むファイルが記憶されている前記記録媒体から読み出された前記地図データを前記出力部に出力させるように構成され、
前記使用量は、前記移動体が移動した長さ、又は、前記出力部に前記地図データが出力された期間に基づいて求められることを特徴とする地図出力装置。
【請求項2】
前記記録媒体には、任意の文字列である初期値の情報を含むファイルが予め記憶され、
前記制御部は、
前記初期値の情報を含むファイルが記憶されている前記記録媒体からも、前記地図データを読み込み、かつ、
前記移動体が予め定められた長さを超えて移動した場合に、前記記録媒体に記憶されている前記初期値の情報を含むファイルを、前記固有値の情報を含むファイルで上書きするように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の地図出力装置。
【請求項3】
前記初期値の情報を含むファイル又は前記固有値の情報を含むファイルは、それぞれ、前記地図データのバージョンを示すバージョン情報をさらに含み、
前記制御部は、
前記記録媒体に記憶されている前記地図データが更新される場合、前記初期値又は前記固有値の情報と、更新後の前記地図データの前記バージョン情報とを含むファイルを前記記録媒体に書き込むように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の地図出力装置。
【請求項4】
移動体に搭載される地図出力装置と、サーバとを備える地図出力システムであって、
前記地図出力装置は、
地図データが記憶されている記録媒体と接続される接続部と、
前記地図データを出力する出力部と、
前記接続部及び前記出力部をそれぞれ制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記移動体が予め定められた使用量を超えて使用された場合、前記移動体に対応する文字列である固有値の情報を含むファイルを、前記接続部に接続されている前記記録媒体に書き込み、かつ、
前記移動体に対応する前記固有値の情報を含むファイルが記憶されている前記記録媒体から読み出された前記地図データを前記出力部に出力させるように構成され、
前記サーバは、
前記記録媒体に記憶されている前記地図データが更新される場合、更新後の前記地図データの
バージョンを示すバージョン情報と前記固有値の情報とを含むファイルを作成するように構成され、
前記使用量は、前記移動体が移動した長さ、又は、前記出力部に前記地図データが出力された期間に基づいて求められることを特徴とする地図出力システム。
【請求項5】
前記サーバは、所定の暗号鍵が記憶される記憶部をさらに備え、
前記サーバは、
前記記録媒体に記憶されている前記地図データが更新される場合、更新後の前記地図データの前記バージョン情報と前記固有値の情報とを含むファイルを、前記暗号鍵に基づいて暗号化するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の地図出力システム。
【請求項6】
前記記録媒体には、任意の文字列である初期値の情報と前記バージョン情報とを含むファイルが予め記憶され、
前記制御部は、
前記初期値の情報を含むファイルが記憶されている前記記録媒体からも、前記地図データを読み込むように構成され、
前記サーバは、前記記録媒体に記憶されている前記地図データが更新される場合、更新後の前記地図データの前記バージョン情報と前記初期値の情報とを含むファイルを作成するように構成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の地図出力システム。
【請求項7】
前記記録媒体には、他の前記記録媒体と識別するための媒体特定情報が予め記憶されており、
前記地図出力装置は、前記記録媒体が前記接続部に接続された場合、前記記録媒体に記憶されている前記地図データの
バージョンを示すバージョン情報と、前記媒体特定情報とを含むライセンスファイルを前記記録媒体に書き込むように構成され、
前記サーバは、前記ライセンスファイルに基づいて、前記記録媒体に記憶されている前記地図データを更新できる期限を決定するように構成されていることを特徴とする請求項4~請求項6のいずれか1つに記載の地図出力システム。
【請求項8】
移動体に搭載され、地図データが記憶されている記録媒体と接続される接続部と、前記地図データを出力する出力部と、前記接続部及び前記出力部をそれぞれ制御する制御部とを備えるコンピュータを、
前記移動体が予め定められた使用量を超えて使用された場合、前記移動体に対応する文字列である固有値の情報を含むファイルを、前記接続部に接続されている前記記録媒体に書き込み、かつ、
前記移動体に対応する前記固有値の情報を含むファイルが記憶されている前記記録媒体から読み出された前記地図データを前記出力部に出力させるように構成され、
前記使用量は、前記移動体が移動した長さ、又は、前記出力部に前記地図データが出力された期間に基づいて求められる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図を出力する地図出力装置、地図出力システム、及び、プログラムに関す
る。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーションシステムで使用される地図データのセキュリティに関する技術が
ある(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に開示の技術では、地図データが記憶された記録媒体が初めてナビゲーショ
ンユニットに装着された場合、地図データの更新に必要な更新権情報が記録媒体から読み
出され、更新権情報が記録媒体から削除される。ナビゲーションユニットは、更新権情報
に基づいて地図データの更新期限を作成し、作成した更新期限を媒体識別情報とともに記
憶する。
【0004】
特許文献1には、ナビゲーションシステムは、更新権情報や、更新権情報から作成され
た更新期限を利用することで、地図データが違法コピーされることなく、地図データの更
新を実現できる旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示のナビゲーションユニットは、1つの記録媒体が、2
以上のナビゲーションシステムで使い回されることを防止できない。
【0007】
本発明の目的は、記録媒体の使い回しを防止できる地図出力装置、地図出力システム、
及び、プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第一態様に係る地図出力装置は、移動体に搭載される。地図出力装置は、接続
部と、出力部と、制御部とを備える。接続部は、記録媒体と接続される。記録媒体は、地
図データが記憶されている。出力部は、地図データを出力する。制御部は接続部を制御す
る。また制御部は出力部を制御する。制御部は、ファイルを記録媒体に書き込むように構
成されている。ファイルは、固有値の情報を含む。固有値は、移動体に対応する文字列で
ある。記録媒体へのファイルの書き込みは、接続部に記録媒体が接続された場合に行われ
る。又は、記録媒体へのファイルの書き込みは、移動体が予め定められた使用量を超えて
使用された場合に行われる。また制御部は、地図データを出力部に出力させるように構成
されている。地図データは、記録媒体から読み出される。記録媒体には、固有値の情報を
含むファイルが記憶されている。固有値は、移動体に対応する。
【0009】
第一態様の地図出力装置は、接続部に記録媒体が接続された場合、又は、移動体が予め
定められた使用量を超えて使用された場合、移動体に対応する固有値を示すファイルを記
録媒体に記憶させ、その記録媒体から地図データを読み込むように構成されるので、地図
データを読み込む記憶媒体を限定できる。したがって、地図出力装置は、他の地図出力装
置で使用された記録媒体から地図データの読み込みを行わないようにできるので、記録媒
体が使い回されることを防止できる。
【0010】
本開示の第二態様に係る地図出力装置において、使用量は、移動体が移動した長さに基
づいて求められる。又は、使用量は、出力部に地図データが出力された期間に基づいて求
められる。
【0011】
第二態様の地図出力装置は、移動体の使用量を簡単に求めることができる。
【0012】
本開示の第三態様に係る地図出力装置において、記録媒体には、ファイルが予め記憶さ
れている。ファイルは、初期値の情報を含む。初期値は、任意の文字列である。制御部は
、初期値の情報を含むファイルが記憶されている記録媒体からも、地図データを読み込む
ように構成されている。また制御部は、記録媒体に記憶されている初期値の情報を含むフ
ァイルを、固有値の情報を含むファイルで上書きするように構成されている。ファイルの
上書きは、移動体が予め定められた長さを超えて移動した場合に行われる。
【0013】
第三態様の地図出力装置は、初期値の情報を含むファイルを、固有値の情報を含むファ
イルで上書きすることで、地図データを記録媒体から読み込む処理を単純にできる。
【0014】
本開示の第四態様に係る地図出力装置において、ファイルは、それぞれ、地図データの
バージョンを示すバージョン情報をさらに含む。ファイルは、初期値の情報を含むファイ
ル又は固有値の情報を含むファイルである。制御部は、初期値又は固有値の情報と、更新
後の地図データの前記バージョン情報とを含むファイルを記録媒体に書き込むように構成
されている。このファイルの書き込みは、地図データが更新される場合に行われる。更新
される地図データは、記録媒体に記憶されている地図データである。
【0015】
第四態様の地図出力装置は、地図データが更新されたとしても、現状と合致する情報を
記録媒体に記憶させることができる。
【0016】
本開示の第五態様に係る地図出力システムは、移動体に搭載される地図出力装置と、サ
ーバとを備える。地図出力装置は、接続部と、出力部と、制御部とを備える。接続部は、
記録媒体と接続される。記録媒体には、地図データが記憶されている。出力部は、地図デ
ータを出力する。制御部は接続部を制御する。また制御部は出力部を制御する。制御部は
、ファイルを記録媒体に書き込むように構成されている。記録媒体は、接続部に接続され
ている記録媒体である。ファイルは、固有値の情報を含む。固有値は、移動体に対応する
文字列である。またファイルは、地図データのバージョンを示すバージョン情報を含む。
記録媒体へのファイルの書き込みは、接続部に記録媒体が接続された場合に行われる。又
は、記録媒体へのファイルの書き込みは、移動体が予め定められた使用量を超えて使用さ
れた場合に行われる。また制御部は、地図データを出力部に出力させるように構成されて
いる。地図データは、記録媒体から読み出された地図データである。記録媒体には、固有
値の情報とバージョン情報とを含むファイルが記憶されている。固有値は、移動体に対応
する。サーバは、ファイルを作成するように構成されている。ファイルは、更新後の地図
データのバージョン情報と固有値の情報とを含む。ファイルの作成は、地図データが更新
される場合に行われる。更新される地図データは、記録媒体に記憶されている地図データ
である。
【0017】
第五態様の地図出力システムは、移動体に対応する固有値の情報を含むファイルが記憶
されている記録媒体から地図データを読み込むように構成されるので、地図出力装置が地
図データを読み込む記憶媒体を限定できる。したがって、地図出力システムは、地図出力
装置が、他の地図出力装置で使用された記録媒体から地図データの読み込みを行わないよ
うにできるので、記録媒体が使い回されることを防止できる。また地図データが更新され
たとしても、現状と合致する情報を含むファイルをサーバで作成して、記録媒体に記憶さ
せることができる。
【0018】
本開示の第六態様に係る地図出力システムにおいて、サーバは、記憶部をさらに備える
。記憶部には、所定の暗号鍵が記憶される。サーバは、ファイルを暗号化するように構成
されている。暗号化は、暗号鍵に基づいて行われる。ファイルは、更新後の地図データの
バージョン情報と固有値の情報とを含むファイルである。ファイルの暗号化は、記録媒体
に記憶されている地図データが更新される場合に行われる。
【0019】
第六態様の地図出力システムは、例えばパーソナルコンピュータ等の更新ユニットに暗
号鍵を記憶させる必要がなく、セキュリティに対応できる。
【0020】
本開示の第七態様に係る地図出力システムにおいて、記録媒体には、ファイルが予め記
憶されている。ファイルは初期値の情報を含む。初期値は、任意の文字列である。またフ
ァイルは前記バージョン情報を含む。制御部は、初期値の情報を含むファイルが記憶され
ている記録媒体からも、地図データを読み込むように構成されている。サーバは、ファイ
ルを作成するように構成されている。作成されるファイルは、更新後の地図データのバー
ジョン情報を含む。また作成されるファイルは、初期値の情報を含む。ファイルは、地図
データが更新される場合に作成される。地図データは、記憶媒体に記憶されている地図デ
ータである。
【0021】
第七態様の地図出力システムは、固定値の情報を含むファイルが作成される前でも、記
憶媒体の使い回しを防止できるとともに、記憶媒体に記憶されている地図データの更新を
行うことができる。
【0022】
第八態様の地図出力システムにおいて、記録媒体には、媒体特定情報が予め記憶されて
いる。媒体特定情報は、他の記録媒体と識別するための情報である。地図出力装置は、ラ
イセンスファイルを記録媒体に書き込むように構成されている。ライセンスファイルは、
地図データのバージョン情報と、媒体特定情報とを含む。地図データは、記録媒体に記憶
されている地図データである。ライセンスファイルの書き込みは、記録媒体が接続部に接
続された場合に行われる。サーバは、期限を決定するように構成されている。期限は、記
録媒体に記憶されている地図データを更新できる期限である。期限の決定は、ライセンス
ファイルに基づいて行われる。
【0023】
第八態様の地図出力システムは、記録媒体に記憶されている地図データを適切に更新で
きる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、記録媒体が2以上の地図出力装置で使い回されることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態である地図出力システムの構成を示す構成図である。
【
図2】
図2は、SDカードに記憶されるデータの種類を状況ごとに示す表である。
【
図3】
図3は、ナビゲーション装置の起動処理を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、ナビゲーション装置を利用した地図データの更新処理を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、PCを利用した地図データの更新処理を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、変形例における地図更新の処理を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、本実施形態に係るナビゲーション装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明の実施形態である地図出力システム1の構成を示す構成図である。本実
施形態の地図出力システム1は、SD(secure digital)カード2と、ナビゲーション装
置3と、第1サーバ4と、第2サーバ5と、パーソナルコンピュータ(Personal Compute
r)6とを備える。
【0027】
SDカード2は、
図1に示すように、媒体管理部23と、カード記憶部21と、カード
制御部22とを備える。SDカード2は、記録媒体に相当する。
【0028】
ナビゲーション装置3は、
図1に示すように、出力部31と、ナビ記憶部32と、入出
力部39と、SDホストモジュール33と、ナビ制御部34と、ナビ通信部35とを備え
る。ナビゲーション装置3は、地図出力装置に相当する。
【0029】
地図出力システム1は、
図1に示すように、第1サーバ4と第2サーバ5の2つのサー
バを備える。本実施形態において、第1サーバ4及び第2サーバ5は、それぞれ異なる組
織によって管理される。第1サーバ4は、第1サーバ記憶部41と、第1サーバ通信部4
2と、第1サーバ制御部43とを備える。第2サーバ5は、第2サーバ記憶部51と、第
2サーバ通信部52と、第2サーバ制御部53とを備える。
【0030】
パーソナルコンピュータ6は、表示部61と、PC記憶部62と、PC通信部63と、
SDインターフェース64と、PC制御部65とを備える。以下、パーソナルコンピュー
タ6は、単に、PC6とも記載される。
【0031】
ナビゲーション装置3は、SDカード2が挿入されると、SDカード2に記憶されてい
る地図データを読み込み、ナビゲーション装置3を搭載している車両の位置、及び、目的
地までの経路を出力部31に表示するように構成されている。
【0032】
SDカード2は純正品である。純正品のSDカード2は、例えば、ナビゲーション装置
3の製造業者や販売業者が正規と認めたSDカード2である。SDカード2は、ナビゲー
ション装置3とセットで販売されたり、SDカード2単体で販売される。以下、符号なし
で記載されているSDカードは、純正品以外のSDカードを示す。純正品以外のSDカー
ドは、例えば市販のSDカードである。
【0033】
本実施形態において、ナビゲーション装置3は、純正品以外のSDカードが挿入された
場合、SDカードから地図データの読み込みを行わず、起動しないように構成されている
。
【0034】
またナビゲーション装置3は、挿入されているSDカード2に対して、たとえナビゲー
ション装置3と同じモデルであっても、他の車両に搭載されている他のナビゲーション装
置3で使用できないようにする「車両ロック」の処理を行えるよう構成されている。
【0035】
以上のように地図出力システム1は、ナビゲーション装置3が、地図データを読み込む
SDカード2を限定できるよう構成されており、SDカード2が2以上のナビゲーション
装置3で使い回されることを防止できる。
【0036】
≪SDカード2の構成≫
カード制御部22は、媒体管理部23及びカード記憶部21をそれぞれ制御する。
【0037】
媒体管理部23は、ユーザがPC6等を利用してデータの書き換えを行うことが不可能
なメモリである。SDカード2は、基本的に製造元でのみ媒体管理部23にデータを書き
込めるように構成されている。
【0038】
媒体管理部23には、SDカード2自身の媒体特定情報が予め記憶されている。媒体特
定情報は、SDカード2を識別するための情報である。媒体特定情報は、他のSDカード
2と異なる情報に設定されている。媒体管理部23が記憶する媒体特定情報は、書き換え
不可である。媒体特定情報は、その一部に、特定の情報を含む。特定の情報は、例えば、
SDカード2が対応するナビゲーション装置3の種類に応じて設定される。
【0039】
カード記憶部21には、各種の情報が記憶されるように構成されている。本実施形態に
おいて、カード記憶部21には、少なくとも地図データと、車両特定ファイルと、ライセ
ンスファイルとが記憶される。車両特定ファイルは、SDカード2の使い回し防止のため
のファイルである。ライセンスファイルは、SDカード2に記憶されている地図データの
更新が可能な期限を管理するためのファイルである。以下、SDカード2に記憶されてい
る地図データの更新が可能な期限は、更新期限とも記載される。
【0040】
地図データは、経路案内及び地図の表示に必要な各種の情報を含む。地図データは、道
路情報と、施設情報とを含む。道路情報は、ノードとリンクの組み合わせで表される。ノ
ードは、例えば、交差点や道路の末端等に設定される。リンクは、例えば、隣り合うノー
ドをつなぐ位置に設定される。施設情報は、建物やPOI(point of interest)を表す
情報である。地図データは、バージョンが新しいほど、現状に合った内容となっている。
【0041】
地図データは、例えば、複数のパーセルにそれぞれ対応するデータによって構成されて
いる。パーセルは、緯度及び経度に基づいて地表を所定のサイズの矩形に区割りして設定
される。
【0042】
地図出力システム1は、SDカード2に記憶されている地図データを更新できるように
構成されている。地図データの更新は、ナビゲーション装置3、又は、PC6を介して行
われる。以下、ナビゲーション装置3は、単に、ナビ装置3とも記載される。以下、SD
カード2に記憶されている地図データが更新されることは、単に、地図更新とも記載され
る。
【0043】
ナビゲーション装置3は、地図更新を自動で行うように構成されている。ナビゲーショ
ン装置3は、第1サーバ4から地図差分データを所定のタイミングでダウンロードし、ダ
ウンロードした地図差分データをSDカード2に書き込むように構成されている。地図差
分データは、以前のバージョンの地図データと相違する部分の地図データである。地図差
分データは、例えば、パーセル単位で取得される。ナビゲーション装置3は、SDカード
2に記憶されている地図データの一部が、地図差分データによって更新された地図データ
を、出力部31に出力できる。地図更新に地図差分データが用いられることで、地図デー
タ全体がダウンロードされる場合よりも、地図更新に要する時間を短くできる。
【0044】
PC6を介した地図更新は、PC6にインストールされている更新ツールを利用して、
ユーザによって行われる。更新ツールは、地図更新のための専用のソフトウェアである。
更新ツールは、第2サーバ5から更新用の地図データをPC6にダウンロードし、ダウン
ロードした更新用の地図データで、SDカード2に記憶されている地図データを上書きす
るようにプログラムされている。
【0045】
SDカード2には、車両特定ファイルが予め記憶されている。車両特定ファイルは、暗
号化されてSDカード2に記憶されている。
【0046】
図2は、SDカード2に記憶されるデータの種類を状況ごとに示す表である。
図2に示
すように、車両特定ファイルは、車両特定値の情報と、媒体特定情報と、バージョン情報
とを含む。バージョン情報は、地図データのバージョンを示す情報である。以下、地図デ
ータのバージョンは、地図バージョンとも記載される。なお、車両特定ファイルに含まれ
るバージョン情報は、SDカード2に記憶されている地図データのバージョン情報である
。
【0047】
車両特定値の情報は、前述した車両ロックに関与する。車両特定値は、所定の文字列で
ある。文字列には、数字、文字、記号等の少なくともいずれか1つが含まれる。2以上の
純正品のSDカード2には、それぞれ、同一の車両特定値の情報が予め記憶されている。
すなわち、ナビゲーション装置3に対応する正規のSDカード2には、同一の車両特定値
の情報を含む車両特定ファイルが予め記憶されている。以下、2以上の純正品のSDカー
ド2でそれぞれ同一の車両特定値は、初期値とも記載される。
【0048】
ナビ制御部34は、ナビゲーション装置3が搭載された車両が所定の走行距離を超えて
走行した場合に、車両特定ファイル含まれる車両特定値の情報を初期値の情報から固有値
の情報に変更するように構成されている。ナビ制御部34は、車両特定情報に基づいて固
有値を設定する。車両特定情報は、車両がそれぞれ有する固有でユニークな情報であり、
車両ごとにそれぞれ異なる。ナビ制御部34は、例えばハッシュ法によって車両特定情報
に基づき固有値の情報を作成する。そのため、固有値は、車両ごとに異なった文字列とな
る。車両特定ファイルに含まれる初期値の情報が固有値の情報に変更される処理が、車両
ロックである。車両特定値の情報が初期値の情報から固有値の情報に変更されることで、
SDカード2は、特定の車両に紐づけられる。そして、車両ロックされたSDカード2は
、紐づけられた車両に搭載されているナビゲーション装置3でのみ、使用可能となる。
【0049】
なお、走行距離は使用量に相当する。使用量は、車両が使用された程度を表すパラメー
タである。車両が所定の走行距離を超えて走行した場合とは、車両が所定の使用量を超え
て使用された場合に相当する。
【0050】
以上のような車両特定ファイルは、ナビゲーション装置3が地図データを読み込むSD
カード2を限定し、SDカード2の使い回しを防ぐためのファイルとして利用される。
【0051】
SDカード2には、ライセンスファイルが記憶される。
図2に示すように、ライセンス
ファイルは、車両特定値の情報と、媒体特定情報と、バージョン情報とを示す。ナビ制御
部34は、SDカード2がSDホストモジュール33に挿入された場合、ライセンスファ
イルを作成し、作成したライセンスファイルをSDカード2に記憶させるように構成され
ている。ライセンスファイルは、暗号化されてSDカード2に記憶されている。
【0052】
≪ナビゲーション装置3の構成≫
ナビゲーション装置3は、SDカード2から読み出した地図データに基づいて、経路案
内を行うように構成されている。ナビゲーション装置3は、入出力部39を介して、車両
に備わる種々のカーナビ用センサや入出力デバイスと接続されている。カーナビ用センサ
としては、GPS(Global Positioning System)受信機、方位センサ及び距離センサ等
が挙げられる。GPS受信機は、GPS衛星からのGPS信号を受信する。方位センサは
、車両の進行方位又はその進行方位の変化を検出する。距離センサは、車両の速度や走行
距離を検出する。ナビゲーション装置3は、入出力部39を介して取得したデータを利用
して、経路案内や車両ロック等の処理を行えるように構成されている。
【0053】
出力部31は、地図データに基づいて地図を表示する。出力部31は、例えば、液晶デ
ィスプレイ等によって実現される。
【0054】
ナビ記憶部32には、各種の情報が記憶されるように構成されている。本実施形態にお
いて、ナビ記憶部32には、少なくとも、所定の暗号鍵と、初期値の情報と、プログラム
とが記憶される。
【0055】
所定の暗号鍵は、車両特定ファイルを暗号化及び復号化するための暗号鍵と、ライセン
スファイルを暗号化及び復号化するための暗号鍵である。
【0056】
プログラムは、ナビゲーション装置3が実行する各種のプログラムである。これらのプ
ログラムとしては、ナビゲーション装置3を起動させるためのプログラム、地図更新のた
めのプログラム、及び、媒体管理部23から媒体特定情報を読み出すためのプログラム等
が挙げられる。
【0057】
ナビ記憶部32は、記憶装置によって実現される。記憶装置は、例えば、RAM、フラ
ッシュメモリ等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等が挙げられる
。
【0058】
入出力部39は、車両とナビゲーション装置3との間で、データの入力及び出力を行う
。入出力部39は、I/O(Input/Output)インターフェースによって実現される。
【0059】
SDホストモジュール33は、ナビゲーション装置3とSDカード2との間でデータの
交換を行うための装置である。SDホストモジュール33は、SDカード2を挿入可能に
構成されている。SDホストモジュール33は、SDカード2を接続する接続部に相当す
る。
【0060】
ナビ制御部34は、ナビゲーション装置3に備わる各装置を制御する。ナビ制御部34
は、走行距離取得部36と、判断部37と、データ処理部38とを有する。
【0061】
走行距離取得部36は、車両に備わる距離センサから走行距離情報を取得するように入
出力部39を制御する。走行距離情報は、車両の走行距離を示す情報である。なお、走行
距離は、車両が未使用の時点から走行した距離の累計を意味する。
【0062】
判断部37は、SDホストモジュール33に挿入されたSDカード2から地図データが
読み込まれる場合に、各種の判断を行う。
【0063】
具体的に、判断部37は、SDカード2に車両特定ファイルが記録されているか否か判
断する。判断部37は、SDカード2に車両特定ファイルが記録されていないと判断した
場合、ナビゲーション装置3を起動させない。すなわち、車両特定ファイルが記憶されて
いない純正品以外のSDカードでは、認証が失敗となる。
【0064】
また判断部37は、SDカード2から読み出された車両特定ファイルが適正か否か判断
する。具体的に、判断部37は、車両ロック前では、車両特定ファイルに含まれる初期値
の情報が、ナビ記憶部32に記憶されている初期値の情報と一致するか否か判断する。判
断部37は、車両ロック後では、車両特定ファイルに含まれる固有値の情報が、車両特定
情報に基づいて作成される文字列の情報と一致するか否か判断する。なお、判断部37は
、入出力部39を介して車両から車両特定情報を取得する。また判断部37は、車両特定
ファイルに含まれる媒体特定情報と、媒体管理部23に記憶されている媒体特定情報とが
一致するか否か判断する。さらに判断部37は、車両特定ファイルに含まれるバージョン
情報と、SDカード2に記憶されている地図データのバージョン情報とが一致するか否か
判断する。
【0065】
判断部37は、車両特定ファイルが適正でないと判断した場合、ナビゲーション装置3
を起動させない。すなわち、車両特定ファイルの認証が失敗となる。
【0066】
本実施形態のSDカード2は、市場に流通する一般的なSDカードと同様、PC6とデ
ータを交換可能である。そのため、純正品のSDカード2に記憶されている地図データ等
は、PC6を介して、他の純正品のSDカード2や、市販のSDカードに不正にコピーさ
れる可能性がある。不正にコピーされた車両特定ファイルは、初期値の情報、固有値の情
報、媒体特定情報及びバージョン情報の少なくともいずれかが、ナビゲーション装置3が
記憶又は作成する情報や、SDカードに記憶されている情報と対応しなくなる。そのため
、ナビゲーション装置3は、不正コピーされた純正品のSDカード2や市販のSDカード
が利用されることを防止できる。
【0067】
またナビゲーション装置3は、他の車両で使用され、他の車両に対応付けられたSDカ
ード2からは地図データの読み込みを行わないので、他のナビゲーション装置3でのSD
カード2の使い回しを防止できる。
【0068】
判断部37は、また、SDカード2から読み出されたライセンスファイルに含まれるデ
ータの内容が、現状と一致するか否か判断する。この判断は、例えば、ナビ記憶部32に
記憶されている初期値の情報、入出力部39を介して取得される車両特定情報、媒体管理
部23に記憶されている媒体特定情報、及び、SDカード2に記憶されている地図データ
の少なくともいずれかに基づいて行われる。
【0069】
なお、判断部37は、上述した各種の判断を行う場合、ナビ記憶部32に記憶されてい
る暗号鍵に基づいて、ライセンスファイル及び車両特定ファイルそれぞれの復号化を行う
。
【0070】
データ処理部38は、判断部37の判断結果や車両の走行距離等に基づいて、各種の処
理を行う。
【0071】
具体的に、データ処理部38は、ライセンスファイルに含まれるデータの内容が現状と
一致しないと判断部37によって判断された場合、ライセンスファイルを新たに作成する
。データ処理部38は、例えば、ナビ記憶部32に記憶されている初期値の情報、入出力
部39を介して取得される車両特定情報、媒体管理部23に記憶されている媒体特定情報
、SDカード2に記憶されている地図データの少なくともいずれかに基づき、ライセンス
ファイルを作成する。その後、データ処理部38は、SDカード2に記憶されているライ
センスファイルを、新たに作成したライセンスファイルで上書きする。これによって、ラ
イセンスファイルは、含まれるデータの内容が現状と一致するように維持される。これに
よって、地図出力システム1は、地図更新を適切に行える。
【0072】
またデータ処理部38は、ナビゲーション装置3を起動するため、車両特定ファイルの
認証が成功したSDカード2から地図データを読み込み、出力部31に地図データを出力
させる。
【0073】
またデータ処理部38は、車両ロックを行う。具体的に、データ処理部38は、走行距
離取得部36によって取得された走行距離情報が所定値を超えると判断すると、車両特定
ファイルを新たに作成する。データ処理部38によって新たに作成される車両特定ファイ
ルは、固有値の情報を含むファイルである。データ処理部38は、SDカード2に記憶さ
れている車両特定ファイルを、新たに作成した車両特定ファイルで上書きする。データ処
理部38は、入出力部39を介して取得した車両特定情報に基づいて、固有値を設定する
。これによって、車両が所定の走行距離を超えて走行した場合、車両に対応する固有値の
情報を含む車両特定ファイルがSDカード2に記憶される。所定値は、特に限定されず、
例えば、10km以上30km以下の範囲に含まれる値に設定される。または所定値は、
例えば、30km以上50km以下の範囲に含まれる値に設定される。または所定値は、
例えば、50km以上100km以下の範囲に含まれる値に設定される。または所定値は
、例えば、100km以上200km以下の範囲に含まれる値に設定される。
【0074】
なお、データ処理部38は、車両が所定の走行距離を超えて走行した後は、車両ロック
が実行されていない純正品のSDカード2が挿入されるたび、車両ロックの処理を行う。
【0075】
またデータ処理部38は、車両特定ファイルに基づいて、SDカード2に車両ロックが
実行されているか否か判断する。
【0076】
地図更新の場合、データ処理部38は、第1サーバ4に最新バージョン要求を行う。デ
ータ処理部38は、最新バージョン要求を行う場合、SDカード2に記憶されている地図
データのバージョン情報と、媒体特定情報とを第1サーバ4に送信するようにナビ通信部
35を制御する。またデータ処理部38は、最新バージョン要求を行った場合、最新バー
ジョンの地図差分データを第1サーバ4から受信するようにナビ通信部35を制御する。
さらにデータ処理部38は、地図差分データを受信した場合、車両特定ファイルを新たに
作成する。この車両特定ファイルは、第1サーバ4から取得した地図差分データに基づい
て、バージョン情報が更新されたファイルである。データ処理部38は、SDカード2に
記憶されている車両特定ファイルを、新たに作成した車両特定ファイルで上書きする。ま
たデータ処理部38は、第1サーバ4から受信した地図差分データを、SDカード2に記
憶させる。
【0077】
なお、データ処理部38は、ライセンスファイル又は車両特定ファイルを新たに作成す
る場合、これらのファイルを、ナビ記憶部32に記憶されている暗号鍵に基づいて暗号化
する。
【0078】
ナビ制御部34は、例えば、ナビ記憶部32に記憶されているプログラムを、CPU(
Central Processing Unit)やMPU(Micro Proce
ssing Unit)等が実行することで実現される。
【0079】
ナビ通信部35は、インターネット10を経由して、第1サーバ4と通信する。本実施
形態において、ナビ通信部35は、TCU(telecommunication control unit)で実現さ
れる。
【0080】
≪第1サーバ4の構成≫
第1サーバ記憶部41には、所定の暗号鍵と、地図データベースと、地図差分データと
、
プログラムとが記憶されている。所定の暗号鍵は、車両特定ファイルに対応する暗号鍵と
、ライセンスファイルに対応する暗号鍵である。プログラムは、第1サーバ4が実行する
各種のプログラムである。第1サーバ記憶部41には、地図バージョンがそれぞれ異なる
2以上の地図差分データが記憶されている。第1サーバ記憶部41に記憶される地図差分
データは、例えば年に数回、第1サーバ4を管理する組織によって新しいバージョンの地
図差分データに更新される。
【0081】
地図データベースは、SDカード2に記憶されている地図データの更新期限の管理に利
用される。地図データベースには、媒体特定情報と、更新期限の情報と、バージョン情報
とが対応付けて記憶されている。このバージョン情報は、SDカード2に記憶されている
地図データのバージョンを示す。
【0082】
第1サーバ記憶部41は、記憶装置によって実現される。記憶装置は、例えば、RAM
、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等が挙げ
られる。第1サーバ記憶部41は、各種の情報を記憶する。
【0083】
第1サーバ通信部42は、インターネット10を経由して、ナビゲーション装置3及び
PC6とそれぞれ通信する。
【0084】
第1サーバ制御部43は、第1サーバ記憶部41及び第1サーバ通信部42をそれぞれ
制御して、地図更新に伴う各種の判断及び処理を行う。
【0085】
具体的に、第1サーバ制御部43は、地図更新が開始される場合、ナビゲーション装置
3又はPC6から送信されたライセンスファイルを検証する。検証は、ライセンスファイ
ルを復号でき、かつ、ライセンスファイルに含まれる媒体特定情報に、前述した特定の情
報が含まれることを確認することで行われる。ライセンスファイルの復号化は、第1サー
バ記憶部41に記憶されている暗号鍵に基づいて行われる。なお、ライセンスファイルが
認証されなかった場合、第1サーバ制御部43は、更新処理を停止する。
【0086】
ライセンスファイルの検証後、第1サーバ制御部43は、ライセンスファイルに含まれ
る媒体特定情報と対応するSDカード2に更新権が付与されているか否か判断する。更新
権は、SDカード2に記憶されている地図データを更新できる権利である。更新権は、S
Dカード2ごとに付与される。
【0087】
第1サーバ制御部43は、地図データベースに、媒体特定情報と更新期限の情報とバー
ジョン情報とが登録されている場合、媒体特定情報と対応するSDカード2に、更新権が
付与されていると判断する。
【0088】
更新権が付与されている場合、第1サーバ制御部43は、地図データベース及びライセ
ンスファイルに基づいて、SDカード2に記憶されている地図データの更新が可能か否か
判断する。なお、すでに更新期限が経過している場合、第1サーバ制御部43は、更新処
理を停止する。
【0089】
更新権が付与されていない場合、第1サーバ制御部43は、ライセンスファイルに基づ
き、更新権を付与する対象であるSDカード2に記憶されている地図データの更新期限を
決定する。第1サーバ制御部43は、例えば、現時点から所定の年数が経過した日を、更
新期限として設定する。第1サーバ制御部43は、決定した更新期限を、対象であるSD
カード2の媒体特定情報及びバージョン情報とともに地図データベースに反映させる。
【0090】
第1サーバ制御部43は、ライセンスファイルが認証された場合、認証情報を作成する
。認証情報は、ナビゲーション装置3又はPC6から第1サーバ4に正常にアクセスされ
たことを証明する情報として利用される。認証情報は、特に意味を持たない文字列で表さ
れる。認証情報は、作成された時点から、1回の地図更新にかかる所定の時間にわたって
利用可能に設定される。なお、所定の時間は、例えば12時間や24時間である。認証情
報は、各種の情報とともに、第1サーバ4と、ナビゲーション装置3又はPC6との間で
送信される。地図出力システム1は、認証情報を利用することで、アクセスのたびにライ
センスファイルの送信や復号等の処理を行う必要がなくなり、セキュリティ対策を行いつ
つ、地図出力システム1の処理負荷を低減できる。
【0091】
ナビゲーション装置3を介した地図更新の場合、第1サーバ制御部43は、第1サーバ
記憶部41に記憶されてダウンロード可能な2以上の地図差分データのうち、最も新しい
地図差分データのバージョンを、最新の地図バージョンとして決定する。
【0092】
PC6を介した地図更新の場合、第1サーバ制御部43は、PC6から車両特定ファイ
ルの発行要求が行われると、第2サーバ5からPC6にダウンロードされた地図データの
バージョン情報に基づき、車両特定ファイルを新たに作成する。第1サーバ制御部43は
、このバージョン情報をPC6から取得する。作成される車両特定ファイルは、このバー
ジョン情報を含む。
【0093】
なお、第1サーバ制御部43は、車両特定ファイルを作成する場合、第1サーバ記憶部
41に記憶されている暗号鍵に基づいて車両特定ファイルを暗号化する。
【0094】
第1サーバ制御部43は、地図更新が行われた場合、地図データベースに記憶されてい
るバージョン情報を更新する。
【0095】
第1サーバ制御部43は、例えば、第1サーバ記憶部41に記憶されているプログラム
を、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro
Processing Unit)等が実行することで実現される。
【0096】
≪第2サーバ5の構成≫
第2サーバ5は、第1サーバ4とほぼ同様の構成であり、同一の構成については記載を
省略する。第2サーバ5は、PC6を介した地図更新に使用され、ナビゲーション装置3
を介した地図更新には使用されない。
【0097】
第2サーバ5は、第1サーバ4と異なる構成として、更新用の地図データが第2サーバ
記憶部51に記憶されている。また所定の暗号鍵と地図データベースと地図差分データと
が第2サーバ記憶部51に記憶されていない点が第1サーバ4と異なる。第2サーバ記憶
部51に記憶される地図データは、例えば年に数回、第2サーバ5を管理する組織によっ
て新しいバージョンの地図データに更新される。
【0098】
第2サーバ制御部53は、地図更新の場合に、PC6から送信されたバージョン情報を
受信すると、バージョン情報に対応する更新用の地図データをPC6に送信するように構
成されている。PC6から送信されるバージョン情報は、第2サーバ5からPC6にダウ
ンロード可能な地図データのバージョンのうち、最新のバージョンを示す情報である。
【0099】
≪PC6の構成≫
PC6は、更新ユニットに相当する。本実施形態では、更新ユニットとしてPC6が用
いられる構成に限定されず、更新ユニットとしてスマートフォンやタブレット端末等が用
いられてもよい。
【0100】
表示部61は、例えば液晶ディスプレイによって実現される。
【0101】
PC記憶部62には、各種のプログラム等が記憶されている。これらのプログラムは、
更新ツールのプログラム、PC6が行う処理に必要なプログラム、及び、媒体管理部23
から媒体特定情報を読み出すためのプログラム等が挙げられる。
【0102】
PC通信部63は、10を経由して、第1サーバ4及び第2サーバ5とそれぞれ通信す
る。
【0103】
SDインターフェース64は、PC6とSDカード2との間でデータの交換を行うため
の装置である。SDインターフェース64は、SDカード2を挿入可能に構成されている
。
【0104】
PC制御部65は、PC記憶部62、PC通信部63及びSDインターフェース64を
それぞれ制御する。地図更新の場合、PC制御部65は、第2サーバ記憶部51に記憶さ
れてダウンロード可能な更新用の地図データのうち、最も新しい地図データのバージョン
を、最新の地図バージョンとして決定する。PC制御部65は、決定したバージョンに基
づいて、バージョン情報を第2サーバ5に送信するようにPC通信部63を制御する。ま
たPC制御部65は、第2サーバ5から更新用の地図データを受信するようにPC通信部
63を制御する。なお、PC制御部65は、バージョンの決定に必要な情報を、第1サー
バ4及び第2サーバ5の少なくともいずれかから取得可能な構成であってもよい。
【0105】
更新用の地図データを受信した場合、PC制御部65は、第1サーバ4に車両特定ファ
イルの発行要求を行う。車両特定ファイルの発行要求は、更新後の地図データと対応する
車両特定ファイルを送信するように求める処理である。PC制御部65は、車両特定ファ
イルの発行要求を行う場合、第1サーバ4に更新用の地図データのバージョン情報を送信
するようにPC通信部63を制御するとともに、第1サーバ4から車両特定ファイルを受
信するようにPC通信部63を制御する。
【0106】
PC制御部65は、例えば、PC記憶部62に記憶されているプログラムを、CPU(
Central Processing Unit)やMPU(Micro Proce
ssing Unit)等が実行することで実現される。
【0107】
≪各状況でSDカード2に記録されるデータの種類について≫
上述したように、本実施形態の地図出力システム1は、ナビゲーション装置3とSDカ
ード2との間、又は、PC6とSDカード2との間で、種々のデータが交換される。その
結果、SDカード2に記録されるデータは、状況に応じて変更される。
【0108】
ナビゲーション装置3に初めて挿入される前、SDカード2には、
図2に示すように、
車両特定ファイルと、地図データとが記憶されている。なお、この状況で車両特定ファイ
ルに含まれる車両特定値の情報は、初期値の情報である。
【0109】
SDカード2がナビゲーション装置3に初めて挿入された場合、SDカード2には、ラ
イセンスファイルが新たに記憶される。
【0110】
車両ロックの後、SDカード2には、初期値の情報を含む車両特定ファイルの代わりに
、固有値の情報を含む車両特定ファイルが記憶される。これによって、SDカード2には
、車両ごとに固有の車両特定値の情報が記憶される。またSDカード2には、初期値の情
報を含むライセンスファイルの代わりに、固有値の情報を含むライセンスファイルが記憶
される。
【0111】
ナビゲーション装置3を介した地図更新の後、SDカード2には、地図差分データが新
たに記憶される。またSDカード2には、地図差分データに対応するバージョン情報を含
む車両特定ファイルとライセンスファイルとがそれぞれ記憶される。
【0112】
PC6を介した地図更新の後、SDカード2には、元々記憶されていた地図データの代
わりに、更新用の地図データが記憶される。また、SDカード2には、更新用の地図デー
タに対応するバージョン情報を含む車両特定ファイルとライセンスファイルとがそれぞれ
記憶される。
【0113】
≪ナビゲーション装置3の起動処理≫
図3は、ナビゲーション装置3の起動処理を示すフローチャートである。起動処理は、
ナビゲーション装置3にSDカード2が挿入され、かつ、ナビゲーション装置3に電源が
供給されると開始される。
【0114】
ステップS1において、判断部37は、SDカード2に車両特定ファイルが記憶されて
いるか否か判断する。車両特定ファイルが記憶されていると判断された場合、起動処理は
、ステップS2に進む。車両特定ファイルが記憶されていると判断されなかった場合、起
動処理は、ステップS3に進む。
【0115】
ステップS2において、判断部37は、車両特定ファイルが適正か否か判断する。車両
特定ファイルが適正と判断された場合、起動処理は、ステップS4に進む。車両特定ファ
イルが適正と判断されなかった場合、起動処理は、ステップS3に進む。
【0116】
ステップS3において、ナビゲーション装置3は、挿入されているSDカード2がエラ
ーと判断し、起動処理を終了する。
【0117】
ステップS4において、ナビゲーション装置3が起動する。
【0118】
ステップS5において、判断部37は、SDカード2にライセンスファイルが記憶され
ているか否か判断する。ライセンスファイルが記憶されていると判断された場合、起動処
理は、ステップS6に進む。ライセンスファイルが記憶されていると判断されなかった場
合、起動処理は、ステップS7に進む。
【0119】
ステップS6において、データ処理部38は、ライセンスファイルに含まれているデー
タの内容が現状と一致するか否か判断する。データの内容が現状と一致すると判断された
場合、起動処理は、ステップS9に進む。データの内容が現状と一致すると判断されなか
った場合、起動処理は、ステップS7に進む。
【0120】
ステップS7において、データ処理部38は、ライセンスファイルを作成する。
【0121】
ステップS8において、データ処理部38は、ステップS7で作成したライセンスファ
イルをSDカード2に書き込む。SDカード2にライセンスファイルがすでに記憶されて
いた場合、ステップS7で作成されたライセンスファイルによって、SDカード2に記憶
されていたライセンスファイルが上書きされる。
【0122】
ステップS9において、データ処理部38は、走行距離情報が所定値を超えるか否か判
断する。走行距離情報が所定値を超えると判断された場合、起動処理は、ステップS10
に進む。走行距離情報が所定値を超えると判断されなかった場合、ナビゲーション機能が
利用可能となり、起動処理は終了する。
【0123】
ステップS10において、データ処理部38は、SDカード2が車両ロックされている
か否か判断する。SDカード2が車両ロックされていると判断された場合、ナビゲーショ
ン機能が利用可能となり、起動処理は終了する。SDカード2が車両ロックされていると
判断されなかった場合、起動処理は、ステップS11に進む。
【0124】
ステップS11において、データ処理部38は、車両ロックを実行する。これによって
、ナビゲーション機能が利用可能となり、起動処理は終了する。
【0125】
≪ナビゲーション装置3を利用した地図データの更新処理≫
図4は、ナビゲーション装置3を利用した地図データの更新処理を示すフローチャート
である。ナビゲーション装置3は、所定のタイミングで更新処理を開始する。
【0126】
ステップS21において、ナビ制御部34は、ライセンスファイルを第1サーバ4に送
信するようにナビ通信部35を制御する。
【0127】
ステップS22において、第1サーバ制御部43は、ライセンスファイルを受信するよ
うに第1サーバ通信部42を制御する。
【0128】
ステップS23において、第1サーバ制御部43は、ライセンスファイルを検証する。
【0129】
ステップS24において、第1サーバ制御部43は、ステップS23で受信したライセ
ンスファイルと対応するSDカード2に、更新権が付与されているか否か判断する。更新
権が付与されていると判断された場合、ステップS26に進む。更新権が付与されている
と判断されなかった場合、ステップS25に進む。
【0130】
ステップS25において、第1サーバ制御部43は、ステップS23で受信したライセ
ンスファイルに基づき、ステップS24で更新権を付与したSDカード2に対して、地図
データの更新期限を決定する。
【0131】
ステップS26において、第1サーバ制御部43は、認証情報を作成する。
【0132】
ステップS27において、第1サーバ制御部43は、ステップS26で作成した認証情
報を、ナビゲーション装置3に送信するように第1サーバ通信部42を制御する。
【0133】
ステップS28において、ナビ制御部34は、認証情報を受信するようにナビ通信部3
5を制御する。
【0134】
ステップS29において、ナビ制御部34は、最新バージョン要求を行う。ナビ制御部
34は、最新バージョン要求を行う場合、SDカード2に記憶されている地図データのバ
ージョン情報及び媒体特定情報とともに、ステップS28で受信した認証情報を第1サー
バ4に送信する。
【0135】
ステップS30において、第1サーバ制御部43は、第1サーバ記憶部41に記憶され
ている地図差分データに基づき、最新の地図バージョンを決定する。
【0136】
ステップS31において、第1サーバ制御部43は、ステップS27で作成した認証情
報とともに、ナビゲーション装置3に地図差分データを送信するように第1サーバ通信部
42を制御する。送信される地図差分データは、ステップS30で決定された地図バージ
ョンに対応する。
【0137】
ステップS32において、ナビ制御部34は、地図差分データと、認証情報とを受信す
るようにナビ通信部35を制御する。
【0138】
ステップS33において、データ処理部38は、車両特定ファイルを作成する。
【0139】
ステップS33において、データ処理部38は、ステップS32で受信した地図差分デ
ータと、ステップS33で作成した車両特定ファイルとをSDカード2に書き込むように
SDホストモジュール33を制御する。これによって、ナビゲーション装置3を介した更
新処理が終了する。
【0140】
≪PC6を利用した地図データの更新処理≫
図5は、PC6を利用した地図データの更新処理を示すフローチャートである。PC6
を介した更新処理は、ユーザによって任意のタイミングで開始される。
【0141】
ステップS41において、PC制御部65は、ライセンスファイルを第1サーバ4に送
信するようにPC通信部63を制御する。
【0142】
ステップS42~S46の処理は、
図4に示すステップS22~S26の処理と同様で
ある。
【0143】
ステップS47において、第1サーバ制御部43は、ステップS46で作成した認証情
報を、PC6に送信するように第1サーバ通信部42を制御する。
【0144】
ステップS48において、PC制御部65は、認証情報を受信するようにPC通信部6
3を制御する。
【0145】
ステップS49において、PC制御部65は、最新の地図バージョンを決定する。
【0146】
ステップS50において、PC制御部65は、ステップS49で決定したバージョン情
報を第2サーバ5に送信するようにPC通信部63を制御する。
【0147】
ステップS51において、第2サーバ制御部53は、バージョン情報を受信するように
第2サーバ通信部52を制御する。
【0148】
ステップS52において、第2サーバ制御部53は、更新用の地図データをPC6に送
信するように第2サーバ通信部52を制御する。送信される地図データは、ステップ51
で受信したバージョン情報に対応する。
【0149】
ステップS53において、PC制御部65は、更新用の地図データを受信するようにP
C通信部63を制御する。
【0150】
ステップS54において、PC制御部65は、車両特定ファイルの発行要求を行う。P
C制御部65は、車両特定ファイルの発行要求を行う場合、ステップS53で受信した地
図データのバージョン情報と、ステップS48で受信した認証情報とを第1サーバ4に送
信するようにPC通信部63を制御する。
【0151】
ステップS55において、第1サーバ制御部43は、車両特定ファイルを作成する。こ
こで作成される車両特定ファイルは、地図バージョンが更新されている。
【0152】
ステップS56において、第1サーバ制御部43は、ステップS47で作成した認証情
報とともに、ステップS55で作成した車両特定ファイルをPC6に送信するように第1
サーバ通信部42を制御する。
【0153】
ステップS57において、PC制御部65は、認証情報及び車両特定ファイルを受信す
るようにPC通信部63を制御する。
【0154】
ステップS58において、PC制御部65は、ステップS53で受信した地図データと
、ステップS57で受信した車両特定ファイルとをSDカード2に書き込むようにSDイ
ンターフェース64を制御する。これによって、PC6を介した更新処理が終了する。
【0155】
≪変形例≫
本実施形態では、SDカード2が利用されたが、SDカード2の代わりに、microSD
カード又はnanoSDカード等が利用されてもよい。またUSB(Universal Serial Bus)
メモリ又はCD-R(Compact Disc Recordable)等が利用されてもよい。
【0156】
本実施形態では、PC6を介した地図更新の場合、第2サーバ5から更新用の地図デー
タがダウンロードされるが、第1サーバ4から更新用の地図データがダウンロードされる
構成であってもよい。すなわち、地図出力システム1は、第2サーバ5を備えない構成で
あってもよい。
【0157】
本実施形態において、2以上のSDカード2で初期値はそれぞれ同一であるが、初期値
は2以上のSDカード2にそれぞれ対応する文字列であってもよい。
【0158】
本実施形態において、車両特定値は、車両特定情報に基づいて作成されるが、車両に搭
載されている通信機器等の機器を識別するための情報に基づいて作成されてもよい。この
場合にも、車両ロックが実行されたSDカード2には、車両に対応する固有値の情報が記
憶されるようになる。
【0159】
本実施形態において、ナビゲーション装置3が搭載される移動体は車両であるが、移動
体は車両に限定されない。移動体としては、他に、船舶及び航空機等が挙げられる。なお
、車両は、例えば、自動車、自動二輪車、自転車又は電車である。
【0160】
本実施形態において、ナビゲーション装置3は、車両が所定の走行距離を超えて走行し
た場合、車両ロックの処理を実行するように構成されているが、例えば、移動体が船舶で
あれば、船舶が所定の長さを超えて航行した場合、車両ロックの処理を実行する。すなわ
ち、ナビゲーション装置3は、移動体が所定の長さを超えて移動した場合、車両ロックを
実行する。ここでの移動は、移動体が備える動力によって、移動体が移動することを意味
する。
【0161】
本実施形態において、使用量は、車両の移動した長さに基づいて求められるが、使用量
は、ナビゲーション装置3を搭載した車両が、一時的ではなく、本格的に使用されている
ことを表すパラメータであればよい。そのため、使用量は、例えば、出力部31に地図デ
ータが出力された期間に基づいて求められてもよい。この場合、ナビゲーション装置3は
、一定の期間、SDカード2に記憶されている地図データを使用した場合、すなわち、一
定の期間、SDカード2に記憶されている地図データが出力部31に出力された場合、車
両ロックの処理を実行するように構成される。一定の期間は、終了時期が1時間以上5年
以下となることが好ましい。一定の期間は、終了時期が24時間以上3年以下となること
がより好ましい。一定の期間は、終了時期が1か月以上6か月以下となることがさらに好
ましい。
【0162】
また、ナビゲーション装置3は、SDホストモジュール33にSDカード2が挿入され
た場合に、車両ロックを行う構成であってもよい。例えば、出力部31に地図データが出
力された期間に基づいて使用量が求められる構成の場合、ナビゲーション装置3は、出力
部31に地図データが出力された直後に、車両ロックを行う構成であってもよい。又は、
ナビゲーション装置3は、SDホストモジュール33にSDカード2が挿入された直後に
、車両ロックを行う構成であってもよい。
【0163】
本実施形態において、SDカード2に記憶されている地図データは暗号化されていない
が、地図データの少なくとも一部が暗号化されてもよい。
【0164】
本実施形態において、第1サーバ4及び第2サーバ5は、それぞれ異なる組織によって
管理されるが、同じ組織によって管理されてもよい。
【0165】
本実施形態において、車両ロックが実行される場合、ナビゲーション装置3で車両ロッ
クファイルが作成されるが、ナビゲーション装置3ではなく、第1サーバ4で車両ロック
ファイルが作成される構成であってもよい。
【0166】
本実施形態において、SDカード2には初期値の情報を含む車両特定ファイルが予め記
憶されているが、この構成に限定されない。例えば、ナビゲーション装置3は、固有値の
情報を含む車両特定ファイルがSDカード2に記憶されていない場合、SDカード2がS
Dホストモジュール33に挿入されると所定のライセンスキーの入力を求め、認証される
と起動する構成であってもよい。
【0167】
本実施形態において、ナビゲーション装置3は、車両ロックを実行する場合、固有値の
情報を含む車両特定ファイルを新たに作成し、作成した車両特定ファイルで、SDカード
2に記憶されている初期値の情報を含む車両特定ファイルを上書きする処理を行うが、こ
の構成に限定されない。データ処理部38は、車両ロックを実行する場合、SDカード2
に対して、車両特定ファイルに含まれている初期値の情報を、固有値の情報に変更する処
理を行うようにSDホストモジュール33を制御する構成であればよい。そのため、デー
タ処理部38は、SDカード2から車両特定ファイルを読み込み、この車両特定ファイル
に記憶されている初期値の情報を固有値の情報に変更して、この車両特定ファイルで、S
Dカード2に記憶されている初期値の情報を含む車両特定ファイルを上書きする処理を行
ってもよい。またデータ処理部38は、車両ロックを実行する場合、固有値の情報を含む
車両特定ファイルが追加でSDカード2に記憶される構成であってもよい。この構成の場
合、ナビゲーション装置3は、初期値の情報を含む車両特定ファイルと、固有値の情報を
含む車両特定ファイルがSDカード2に記憶されている場合、固有値の情報を含む車両特
定ファイルに基づいて起動するか否か判断するように構成される。
【0168】
本実施形態において、ナビゲーション装置3は、
図3に示すように、起動する場合に車
両ロックの処理を実行するが、この構成に限定されず、例えば、経路案内を行っている途
中等で車両ロックの処理を実行する構成であってもよい。
【0169】
本実施形態において、ナビゲーション装置3は、地図データが記憶されているSDカー
ド2に対して車両ロックを実行するが、地図データが記憶されていない記録媒体に対して
、車両ロックを実行する構成であってもよい。この構成の場合、記録媒体には、例えば、
2以上の装置で使い回される可能性のあるデータが記憶されている。
【0170】
本実施形態において、地図出力システム1は、更新期限の管理にライセンスファイルを
用いる構成であるが、更新期限の管理に車両特定ファイルを用いる構成であってもよい。
【0171】
本実施形態において、ナビゲーション装置3は、地図更新の場合、第1サーバ4と直接
通信するが、携帯端末を介して、第1サーバ4と通信する構成であってもよい。この場合
、ナビゲーション装置3は、近距離無線通信でナビゲーション装置3と携帯端末とを連携
するSDL(SmartDeviceLink)に対応した構成とすることが好ましい。携帯端末として
は、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、ノートパソコン等が挙げられる。
【0172】
図6は、変形例における地図更新の処理を示すフローチャートである。ナビゲーション
装置3は、所定のタイミングで更新処理を開始する。
【0173】
ステップS61において、ナビ制御部34は、ライセンスファイルを携帯端末に送信す
るようにナビ通信部35を制御する。
【0174】
ステップS62において、携帯端末は、ライセンスファイルをナビゲーション装置3か
ら受信するとともに、受信したライセンスファイルを第1サーバ4に送信する。
【0175】
ステップS63~S67の処理は、
図4に示すステップS22~26の処理と同様であ
る。
【0176】
ステップS68において、第1サーバ制御部43は、認証情報を端末装置に送信するよ
うに第1サーバ通信部42を制御する。
【0177】
ステップS69において、端末装置は、認証情報を第1サーバ4から受信するとともに
、受信した認証情報をナビゲーション装置3に送信する。
【0178】
ステップS70の処理は、
図4に示すステップS28の処理と同様である。
【0179】
ステップS71において、ナビ制御部34は、最新バージョン要求を行う。
【0180】
ステップS72において、携帯端末は、最新バージョン要求を第1サーバ4に伝達する
。具体的に、携帯端末は、バージョン情報と媒体特定情報と認証情報とを第1サーバ4に
送信する。
【0181】
ステップS73の処理は、
図4に示すステップS30の処理と同様である。
【0182】
ステップS74において、第1サーバ制御部43は、ステップS73で決定された地図
バージョンの地図差分データを携帯端末に送信するように第1サーバ通信部42を制御す
る。
【0183】
ステップS75において、携帯端末は、第1サーバ4から地図差分データを受信すると
ともに、受信した地図差分データをナビゲーション装置3に送信する。
【0184】
ステップS76~S78の処理は、
図4に示すステップS32~34の処理と同様であ
る。これによって、携帯端末を介した更新処理が終了する。
【0185】
≪ハードウェアによる実現例≫
図7は、本実施形態に係るナビゲーション装置3のハードウェア構成の一例を示すブロ
ック図である。
【0186】
ナビゲーション装置3は、MPU71と、ROM(Read Only Memory
)32aと、RAM(Random Access Memory)32bと、I/Oイ
ンターフェース39aと、ディスプレイ31aと、TCU35aと、ストレージ装置32
cと、SDホストモジュール33とを備える。
【0187】
MPU71は、演算処理装置および制御装置として機能する。MPU71は、各種プロ
グラムに従ってナビゲーション装置3の動作全般を制御する。MPU71は、ROM32
aに記憶されている各種プログラムを、RAM32bを作業領域として実行する。
【0188】
ROM32aは、MPU71が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。
【0189】
RAM32bは、MPU71が制御を実行する際に使用するプログラムを一時的に記憶
する。またRAM32bは、MPU71が制御を実行する際に適宜変化するパラメータ等
を一時的に記憶する。
【0190】
I/Oインターフェース39aは、車両に備わる種々のカーナビ用センサや入出力デバ
イスから、走行距離情報や車両特定情報等のデータを読み取り、RAM32bを介してM
PU71に提供する。
【0191】
TCU35aは、第1サーバ4と通信する。
【0192】
ストレージ装置32cは、例えば磁気記憶部デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デ
バイス、または、光磁気記憶デバイス等によって実現される。磁気記憶部デバイスは、例
えばHDD(Hard Disk Drive)である。ストレージ装置32cは、MP
U71が実行するプログラムや各種データおよび外部から取得した各種のデータ等を格納
する。
【0193】
SDホストモジュール33は、挿入されているSDカード2に対して、情報の読み出し
及び書き込みを行う。SDホストモジュール33は、SDカード2から読み出した情報を
RAM32bに出力する。
【0194】
MPU71とROM32aとRAM32bとI/Oインターフェース39aとディスプ
レイ31aとTCU35aとストレージ装置32cとSDホストモジュール33とは、バ
ス73により相互に接続されている。
【0195】
MPU71は、例えば、I/Oインターフェース39aを介して走行距離情報を取得し
、走行距離情報をRAM32bに出力される。MPU71は、走行距離情報が所定値を超
えるか否か判断し、超えると判断した場合、I/Oインターフェース39aを介して取得
した車両特定情報に基づいて、車両特定ファイルを作成する。MPU71は、SDホスト
モジュール33を介して、車両特定ファイルをSDカード2に記憶させる。これによって
、車両ロックが実行される。
【0196】
なお、第1サーバ4、第2サーバ5及びPC6それぞれのハードウェア構成も、I/O
インターフェース39a等を除いて、ナビゲーション装置3のハードウェア構成とほぼ同
様である。
【0197】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の
変更が可能であり、変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる
実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0198】
1 地図出力システム
2 SDカード
3 ナビゲーション装置
4 第1サーバ
5 第2サーバ
31 出力部
33 SDホストモジュール
34 ナビ制御部
41 第1サーバ記憶部