(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-22
(45)【発行日】2023-03-03
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 29/00 20060101AFI20230224BHJP
【FI】
D06F29/00 A
(21)【出願番号】P 2020511616
(86)(22)【出願日】2019-02-06
(86)【国際出願番号】 JP2019004152
(87)【国際公開番号】W WO2019193832
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2021-09-22
(31)【優先権主張番号】P 2018073899
(32)【優先日】2018-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】大江 宏和
【審査官】家辺 信太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-034491(JP,A)
【文献】特開2017-121395(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F29/00
D06F37/02
D06F37/26
D06F39/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1回転軸を中心に回転可能に支持され
、筒状の第1側部と前記第1側部の後端を閉塞する第1底部と前記第1側部の前端で開口する第1開口部とを有する第1洗濯槽と、
第2回転軸を中心に回転可能に支持され
、筒状の第2側部と前記第2側部の後端を閉塞する第2底部と前記第2側部の前端で開口する第2開口部とを有する第2洗濯槽と
、
前記第1洗濯槽の前方に配置され、前記第1開口部と対向する第1扉と、
前記第2洗濯槽の前方に配置され、前記第2開口部と対向する第2扉と
を備える洗濯機であって、
前記第2洗濯槽が前記第1洗濯槽の上方に配置され、
前記第1扉と前記第2扉とが上下方向に沿って並ぶように、前記第2扉が前記第1扉の上方に配置され、
水平方向に対する前記第1回転軸の第1傾斜角度が、水平方向に対する前記第2回転軸の第2傾斜角度よりも大きい、洗濯機。
【請求項2】
前記第1傾斜角度が0°よりも大きく、
前記第2傾斜角度が0°以下である、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記第2洗濯槽の前後方向の寸法が、前記第1洗濯槽の前後方向の寸法よりも短
く、
前記第2洗濯槽から排出された排水を前記洗濯機の外部へ案内する第2排水経路部が、前記第1洗濯槽の後部の上方と前記第2洗濯槽の後部との間に配置される、請求項1又は請求項2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記第1洗濯槽及び前記第2洗濯槽を収容する筐体をさらに備え、
前記筐体は、
前記第1洗濯槽の後方に配置される第1背面部と、
前記第2洗濯槽の後方に配置される第2背面部と、
前記第2背面部の少なくとも一部に形成される凹み部と
を有し、
前記凹み部は、前記第1背面部よりも前方に凹む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記凹み部に対して側方から対向するカバー部をさらに備える、請求項4に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記筐体は、
前記第1洗濯槽を収容する第1筐体部と、
前記第2洗濯槽を収容する第2筐体部と
を有し、
前記筐体が載置される載置面に対する前記第2筐体部の投影面積が、前記載置面に対する前記第1筐体部の投影面積よりも小さい、請求項4又は請求項5に記載の洗濯機。
【請求項7】
前記第1洗濯槽から排出された排水を前記洗濯機の外部へ案内する第1排水経路部と、
前記第2洗濯槽から排出された排水を前記洗濯機の外部へ案内する第2排水経路部と
をさらに備え、
前記第1排水経路部が、前記第1洗濯槽の前部の下方に配置され、
前記第2排水経路部が、前記第1洗濯槽の後部と前記第2洗濯槽の後部との間に配置される、請求項1
、請求項2、および、請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の洗濯機は、機体を含む。機体内には、第1洗浄内桶と、第2洗浄内桶とが設けられる。第1洗浄内桶の回転軸は、第2洗浄内桶の回転軸と平行である。第1洗浄内桶及び第2洗浄内桶の外部には、外側バレルが設けられる。機体は、ラックと、パネルとを含む。外側バレルは、ラック上に固定される。外側バレルの上部には吊るし簧が設置される。外側バレルの底部にはダンパ装置が設置される。外筒の中部には引きバネが設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】中国特許出願公開第103850085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、第1洗浄内桶の回転軸と第2洗浄内桶の回転軸とが互いに平行な状態で、第1洗浄内桶と第2洗浄内桶とが上下方向に沿って並んでいる。従って、機体(筐体)の上下方向の寸法が大きくなっていた。また、洗濯機を様々な場所に設置できるようにするため、洗濯機の筐体をコンパクトにしたいとする要望があった。
【0005】
本発明は、筐体をコンパクトにすることができる洗濯機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の局面によれば、洗濯機は、第1洗濯槽と、第2洗濯槽とを備える。第1洗濯槽は、第1回転軸を中心に回転可能に支持される。第2洗濯槽は、第2回転軸を中心に回転可能に支持される。前記第2洗濯槽が前記第1洗濯槽の上方に配置される。水平方向に対する前記第1回転軸の第1傾斜角度が、水平方向に対する前記第2回転軸の第2傾斜角度よりも大きい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の洗濯槽を備えた洗濯機の筐体をコンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0010】
[第1実施形態]
図1及び
図2を参照して、本発明の第1実施形態に係る洗濯機1について説明する。
図1は、第1実施形態の洗濯機1の正面図である。
図2は、第1実施形態の洗濯機1の側面図である。
図1及び
図2において、上下方向は、鉛直面に平行な方向である。左右方向、及び前後方向の各々は、水平面対して平行な方向である。また、左右方向は、前後方向に対して垂直な方向である。洗濯機1は、
図1及び
図2に示すような姿勢に設置された状態で洗濯物を洗濯する。
【0011】
図1及び
図2に示すように、洗濯機1は、筐体10と、第1扉20と、第2扉30とを備える。
【0012】
筐体10は、中空の形状を有する。筐体10は、前面部11と、一対の側面部12と、背面部13と、天井部14と、底部15とを有する。前面部11、一対の側面部12、背面部13、天井部14、及び底部15の各々は、板形状を有する。前面部11、一対の側面部12、背面部13、天井部14、及び底部15の各々は、筐体10の外面を形成する。
【0013】
前面部11は、筐体10のうち、筐体10の前部に位置する部分を示す。一対の側面部12は、筐体10のうち、筐体10の側部に位置する部分を示す。一対の側面部12は、左右方向に互いに間隔を空けて配置される。背面部13は、筐体10のうち、筐体10の後部に位置する部分を示す。天井部14は、筐体10のうち、筐体10の上部に位置する部分を示す。底部15は、筐体10のうち、筐体10の下部に位置する部分を示す。
【0014】
第1扉20、及び第2扉30は、筐体10の前部に設けられる。第1扉20、及び第2扉30は、前面部11に回転可能に取り付けられる。第1扉20、及び第2扉30は、筐体10の内部と筐体10の外部とを仕切る。筐体10の内部は、前面部11と、一対の側面部12と、背面部13とで囲まれた空間を示す。
【0015】
第1扉20、及び第2扉30は、上下方向に沿って並ぶように配置される。第2扉30は、第1扉20の上方に配置される。
【0016】
洗濯機1は、給水口40をさらに備える。給水口40は、筐体10の上部に設けられる。給水口40は、水栓に接続される。水栓から放出された水は、給水口40を介して洗濯機1に供給される。
【0017】
次に、
図3を参照して、洗濯機1についてさらに説明する。
図3は、洗濯機1の断面図である。
【0018】
図3に示すように、洗濯機1は、第1洗濯部100と、第2洗濯部200とを備える。第1洗濯部100、及び第2洗濯部200の各々は、互いに独立して洗濯物を洗濯することができる。第2洗濯部200は、第1洗濯部100の上方に配置される。
【0019】
まず、第1洗濯部100について説明する。
【0020】
図3に示すように、第1洗濯部100は、第1洗濯槽110と、第1水槽120とを有する。第1洗濯槽110及び第1水槽120の各々は、筐体10の内部に配置される。第1洗濯槽110は、第1水槽120の内側に配置される。
【0021】
第1洗濯槽110は、第1側部111と、第1底部112と、第1開口部113とを有する。第1側部111は、前後の両端部が開放された筒形状を有する。第1底部112は、第1側部111の後端部に設けられる。第1底部112は、第1側部111の後端部を閉塞する。第1開口部113は、第1側部111の前端部に形成される。第1開口部113は、第1洗濯槽110の内部と、第1洗濯槽110の外部とを連通する。第1開口部113は、第1扉20と対向する。なお、第1洗濯槽110の内部は、第1側部111と第1底部112とで囲まれた空間を示す。
【0022】
第1洗濯槽110は、第1回転軸114をさらに有する。第1洗濯槽110は、第1回転軸114を中心に回転可能に支持される。第1回転軸114は、第1底部112の中心と、第1開口部113の中心とを通る軸を示す。
【0023】
第1扉20が開かれると、第1開口部113が筐体10の外部と対向する。その結果、ユーザーは、第1開口部113を介して第1洗濯槽110に対して洗濯物を出し入れすることができる。
【0024】
洗濯機1は、第1駆動部130をさらに備える。第1駆動部130は、第1モータ131と、第1出力軸132とを含む。第1出力軸132は、第1洗濯槽110に接続される。第1出力軸132は、第1回転軸114の軸回りに第1洗濯槽110を回転可能に支持する。第1モータ131は、第1出力軸132を介して第1洗濯槽110に動力を伝達する。その結果、第1洗濯槽110が第1回転軸114を中心に回転する。
【0025】
第1洗濯槽110の内部に、洗濯物、水、及び洗剤が供給された状態で、第1駆動部130の動力により第1洗濯槽110が回転すると、洗濯物が洗濯される。
【0026】
洗濯機1は、第1排水経路部140をさらに備える。第1排水経路部140は、第1洗濯槽110の内部から排出された排水を洗濯機1の外部へ案内するための部材である。洗濯機1の外部は、具体的には、筐体10の外部を示す。
【0027】
第1排水経路部140は、例えば、第1排水管と、第1排水管に設けられる第1排水フィルタと、第1排水弁とを含む。第1排水管は、第1洗濯槽110の内部に連通すると共に、洗濯機1の外部にも連通する。
【0028】
第1排水経路部140は、第1洗濯槽110の前部の下方に配置される。
【0029】
次に、第2洗濯部200について説明する。
【0030】
図3に示すように、第2洗濯部200は、第2洗濯槽210と、第2水槽220とを有する。第2洗濯槽210及び第2水槽220の各々は、筐体10の内部に配置される。第2洗濯槽210は、第2水槽220の内側に配置される。
【0031】
第2洗濯槽210は、第2側部211と、第2底部212と、第2開口部213とを有する。第2側部211は、前後の両端部が開放された筒形状を有する。第2底部212は、第2側部211の後端部に設けられる。第2底部212は、第2側部211の後端部を閉塞する。第2開口部213は、第2側部211の前端部に形成される。第2開口部213は、第2洗濯槽210の内部と、第2洗濯槽210の外部とを連通する。第2開口部213は、第2扉30と対向する。なお、第2洗濯槽210の内部は、第2側部211と第2底部212とで囲まれた空間を示す。
【0032】
第2洗濯槽210は、第1洗濯槽110の上方に配置される。
【0033】
第2洗濯槽210は、第2回転軸214をさらに有する。第2洗濯槽210は、第2回転軸214を中心に回転可能に支持される。第2回転軸214は、第2底部212の中心と、第2開口部213の中心とを通る軸を示す。
【0034】
第2扉30が開かれると、第2開口部213が筐体10の外部と対向する。その結果、ユーザーは、第2開口部213を介して第2洗濯槽210に対して洗濯物を出し入れすることができる。
【0035】
洗濯機1は、第2駆動部230をさらに備える。第2駆動部230は、第2モータ231と、第2出力軸232とを含む。第2出力軸232は、第2洗濯槽210に接続される。第2出力軸232は、第2回転軸214の軸回りに第2洗濯槽210を回転可能に支持する。第2モータ231は、第2出力軸232を介して第2洗濯槽210に動力を伝達する。その結果、第2洗濯槽210が第2回転軸214を中心に回転する。
【0036】
洗濯機1は、第2排水経路部240をさらに備える。第2排水経路部240は、第2洗濯槽210の内部から排出された排水を洗濯機1の外部へ案内するための部材である。
【0037】
第2排水経路部240は、例えば、第2排水管と、第2排水管に設けられる第2排水フィルタと、第2排水弁とを含む。第2排水管は、第2洗濯槽210の内部に連通すると共に、洗濯機1の外部にも連通する。
【0038】
第2排水経路部240は、第1洗濯槽110の後部115と、第2洗濯槽210の後部215との間に配置される(
図4参照)。
【0039】
なお、第1洗濯部100、及び第2洗濯部200の各々は、洗濯物を洗い運転、すすぎ運転、脱水運転、及び乾燥運転を行うことが可能である。
【0040】
次に、
図4を参照して、第1洗濯槽110、及び第2洗濯槽210について説明する。
図4は、洗濯機1の模式図である。
【0041】
図4は、第1傾斜角度θ1と、第2傾斜角度θ2とを示す。第1傾斜角度θ1は、水平方向Aに対する第1回転軸114の傾斜角度を示す。第2傾斜角度θ2は、水平方向Aに対する第2回転軸214の傾斜角度を示す。水平方向Aは、水平面に平行であり、前方に向かう方向を示す。
【0042】
なお、
図4において、水平方向Aを示す矢印の先端が基端を中心に時計回りに回転する方向を正の方向(
図4において「+」)とする。また、
図4において、水平方向Aを示す矢印の先端が基端を中心に反時計回りに回転する方向を負の方向(
図4において「-」)とする。
【0043】
第1回転軸114、及び第2回転軸214の各々が水平方向Aに対して正の方向に傾斜している場合、第1傾斜角度θ1、及び第2傾斜角度θ2の各々は、角度0°よりも大きくなる。
【0044】
これに対し、第1回転軸114、及び第2回転軸214の各々が水平方向Aに対して負の方向に傾斜している場合、第1傾斜角度θ1、及び第2傾斜角度θ2の各々は、角度0°よりも小さくなる。
【0045】
図4に示すように、第1傾斜角度θ1が、第2傾斜角度θ2よりも大きい(第1傾斜角度θ1>第2傾斜角度θ2)。従って、第2洗濯槽210の後部215を、第1洗濯槽110の後部115から離間させて配置することが可能になる。その結果、第1洗濯槽110の後部115と前記第2洗濯槽210の後部215との間に第2排水経路部240を配置するための第2空間B2を確保することが可能になる。
【0046】
また、第1実施形態では、第2空間B2を確保するために、第1洗濯槽110から第2洗濯槽210全体を離間させずに、第1洗濯槽110から第2洗濯槽210の後部215のみを離間させる。言い換えれば、第1実施形態では、第2空間B2を確保するために、第1回転軸114と第2回転軸214とが互いに平行な状態から、第1回転軸114に対して第2回転軸214を上方に平行移動せずに、第1回転軸114に対する第2回転軸214の傾斜角度を変更する。従って、第2回転軸214を上方に平行移動する場合に比べて、筐体10の上下方向の寸法Hが増加することを抑制できる。その結果、洗濯機1の筐体10をコンパクトにすることが可能になる。
【0047】
続いて、
図4を参照して、第1洗濯槽110について説明する。
【0048】
図4に示すように、第1傾斜角度θ1は、角度0°よりも大きい(第1傾斜角度θ1>角度0°)。第1実施形態では、第1傾斜角度θ1は、例えば、角度略8°である。従って、第1洗濯槽110の第1開口部113が水平方向Aよりも上向きに配置される。その結果、ユーザーが、第1洗濯槽110に対して洗濯物を出し入れする第1作業を容易に行うことができる。理由は、ユーザーは、通常、第1洗濯槽110を見下ろすようにして第1作業を行うからである。
【0049】
また、第1傾斜角度θ1は、角度0°よりも大きいので、筐体10の底部15から第1洗濯槽110の前部116を離間させて配置することが可能になる。その結果、第1洗濯槽110の前部116と底部15との間に第1排水経路部140を配置するための第1空間B1を確保することが可能になる。
【0050】
続いて、
図4を参照して、第2洗濯槽210について説明する。
【0051】
図4に示すように、第2傾斜角度θ2は、角度0°以下である(第2傾斜角度θ2≦角度0°)。第1実施形態では、第2傾斜角度θ2は、角度略0°である(第2傾斜角度θ2≒角度0°)。従って、第1実施形態では、第2洗濯槽210の第2開口部213が略水平方向Aを向くように配置される。その結果、ユーザーが、第2洗濯槽210に対して洗濯物を出し入れする第2作業を容易に行うことができる。理由は、ユーザーは、通常、第2洗濯槽210と略同じ高さの目線で第2作業を行うからである。
【0052】
また、第2傾斜角度θ2が角度略0°の場合、第2洗濯槽210が略水平に設置される。第2洗濯槽210が略水平に設置されると、第2洗濯槽210の振動を容易にコントロールすることができる。従って、洗濯機1の稼働時に、第2洗濯槽210の振動により洗濯機1の上部がぐらつくことを抑制できる。その結果、洗濯機1の稼働時に、洗濯機1の姿勢をより安定させることが可能になる。
【0053】
なお、第2傾斜角度θ2が角度0°よりも小さい場合(第2傾斜角度θ2<角度0°)、第2洗濯槽210の第2開口部213が水平方向Aよりも下向きに配置される。この場合、第2傾斜角度θ2は、例えば、角度-2°で、第2洗濯槽210の第2側部211が水平方向Aよりも下向きに傾斜する。従って、第2洗濯槽210が洗濯物を洗濯する際、第2洗濯槽210内の洗濯物が洗濯物の自重で前方へ移動して第2扉30に接触する。その結果、第2洗濯槽210は、洗濯物を第2扉30に接触させつつ、第2洗濯槽210と共に回転させることができるので、洗濯物の汚れを効果的に落とすことが可能になる。
【0054】
なお、第2傾斜角度θ2が角度0°よりも小さい場合、第2扉30の内面31に凹凸を形成してもよい。その結果、洗濯物を第2扉30の凹凸に接触させつつ回転させることができるので、いわゆる洗濯板効果により洗濯物の汚れをより効果的に落とすことが可能になる。
【0055】
なお、第1実施形態では、第1洗濯槽110の第1傾斜角度θ1は角度0°よりも大きいが、本発明はこれに限定されない。第1洗濯槽110の第1傾斜角度θ1は角度0°でもよい。その結果、第1洗濯槽110の振動を容易にコントロールすることができ、第1洗濯槽110の振動を抑制することが可能になる。この場合、第2洗濯槽210の第2傾斜角度θ2は、角度0°よりも小さい。この場合、第2洗濯槽210の第2傾斜角度θ2は、例えば、角度-2°に設定される。
【0056】
[第2実施形態]
図5及び
図6を参照して、本発明の第2実施形態に係る洗濯機1について説明する。
図5は、第2実施形態の洗濯機1の側面図である。
図6は、洗濯機1の模式図である。
【0057】
第1実施形態では、背面部13は略フラットな形状に形成される。これに対し、第2実施形態では、背面部13が凹凸を有する形状に形成される点で第1実施形態と異なる。以下では、主に第1実施形態と異なる点を説明する。
【0058】
図5及び
図6に示すように、筐体10は、第1筐体部10aと、第2筐体部10bとを有する。第1筐体部10aは、筐体10の下側部分を示す。第1筐体部10aは、第1洗濯槽110を収容する。第2筐体部10bは、筐体10の上側部分を示す。第2筐体部10bは、第2洗濯槽210を収容する。
【0059】
背面部13は、第1洗濯槽110及び第2洗濯槽210を後方から覆う。背面部13の上側部分は、背面部13の下側部分よりも前方へ凹んでいる。
【0060】
背面部13は、第1背面部13aと、第2背面部13bとを有する。
【0061】
第1背面部13aは、背面部13の下側部分である。第1背面部13aは、第1洗濯槽110の後方に配置される。
【0062】
第2背面部13bは、背面部13の上側部分である。第2背面部13bは、第2洗濯槽210の後方に配置される。第2背面部13bは、第1背面部13aよりも前方に位置する。
【0063】
背面部13は、凹み部13cをさらに有する。凹み部13cは、第2背面部13bのうち少なくとも一部に形成される。凹み部13cは、第1背面部13aよりも前方に凹む。第2実施形態では、凹み部13cは、第2背面部13bの全部に形成される。従って、第2実施形態では、第2背面部13bの全部が、第1背面部13aよりも前方に位置する。
【0064】
背面部13に凹み部13cが形成されると、第2筐体部10bの容積が第1筐体部10aの容積よりも少なくなる。従って、載置面Dに対する第2筐体部10bの投影面積が、載置面Dに対する第1筐体部10aの投影面積よりも小さくなる。その結果、洗濯機1の下側部分のサイズに比べて上側部分のサイズが小さくなるので、洗濯機1を安定して設置することができる。さらに、洗濯機1の振動に起因して洗濯機1の姿勢が不安定になることを抑制できる。なお、載置面Dは、洗濯機1が載置されている面を示す。
【0065】
背面部13は、凹み空間Cをさらに有する。凹み空間Cは、第2背面部13bの後部に位置する空間のうち、第1背面部13aよりも前方に位置する部分を示す。凹み空間Cは、凹み部13cの後部に位置する。第2背面部13bに対して凹み部13cが形成されることで、凹み空間Cが生成される。
【0066】
凹み空間Cには、水栓が配置可能である。水栓は、壁面に設置され、洗濯機1に水を供給する。従って、凹み空間Cに水栓を配置することで、水栓が第2背面部13bに接触することを回避しつつ、第1背面部13aを壁面に近接させて配置することが可能になる。その結果、洗濯機1を壁面に近接させて配置することが可能になるので、洗濯機1の設置スペースの増加を抑制することが可能になる。
【0067】
なお、第2実施形態では、凹み部13cは、第2背面部13bの全部に形成される。しかし、凹み部13cは、第2背面部13bの一部に形成されてもよい。例えば、第2背面部13bのうち、水栓と対向する部分にのみ凹み部13cを形成してもよい。
【0068】
次に、
図6を参照して、凹み空間Cを形成するための原理について説明する。
【0069】
図6に示すように、第2洗濯槽210の前後方向の寸法β1は、第1洗濯槽110の前後方向の寸法α1よりも短い(寸法β1<寸法α1)。従って、第2洗濯槽210の後部215が、第1洗濯槽110の後部115よりも前方に配置される。その結果、第2背面部13bを第1背面部13aよりも前方に配置して、凹み空間Cを形成することが可能になる。
【0070】
第1実施形態では、第2洗濯槽210の寸法β2は、第1洗濯槽110の寸法α2よりも小さい(寸法β2<寸法α2)。従って、第2洗濯槽210が第1洗濯槽110よりも小型である。その結果、より確実に凹み空間Cを形成することが可能になる。なお、第1洗濯槽110の寸法α2は、詳細には、第1回転軸114に沿った第1洗濯槽110の寸法を示す。第2洗濯槽210の寸法β2は、詳細には、第2回転軸214に沿った第2洗濯槽210の寸法を示す。
【0071】
なお、第2洗濯槽210の寸法β2は、第1洗濯槽110の寸法α2と同じでもよい(寸法β2=寸法α2)。つまり、第2洗濯槽210のサイズが、第1洗濯槽110のサイズと同じでもよい。この場合でも、第1傾斜角度θ1が第2傾斜角度θ2よりも大きいので(第1傾斜角度θ1>第2傾斜角度θ2)、第2洗濯槽210の寸法β1を、第1洗濯槽110の寸法α1よりも小さくすることが可能である(寸法β1<寸法α1)。
【0072】
[第3実施形態]
図7を参照して、本発明の第3実施形態に係る洗濯機1について説明する。
図7は、第3実施形態の洗濯機1の側面図である。
【0073】
第3実施形態は、洗濯機1の側面の凹凸を抑制している点で第2実施形態と異なる。以下では、主に第2実施形態と異なる点を説明する。
【0074】
図7に示すように、洗濯機1は、一対のカバー部50をさらに備える。
【0075】
一対のカバー部50の各々は、平板状の部材である。一対のカバー部50は、それぞれ、一対の側面部12に固定される。なお、カバー部50は側面部12の部材の一部として一つの部品にて形成しても良い。
【0076】
一対のカバー部50は、左右方向に間隔を空けて互いに対向する。以下では、一対のカバー部50のうちの1つに着目して説明する。
【0077】
カバー部50は、凹み部13cに対して側方から対向する。カバー部50は、凹み空間Cを側方から覆う。カバー部50の後部51は、第1背面部13aに沿って、上下方向に延びる。従って、洗濯機1を側方から見て、凹み部13cにより生じた背面部13の凹凸を、カバー部50により隠すことが可能である。その結果、洗濯機1を側方から見たときの洗濯機1の美観を向上させることが可能になる。
【0078】
以上、図面(
図1~
図7)を参照しながら本発明の実施形態について説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において第4実施形態として実施することが可能である(例えば、(1))。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の個数等は、図面作成の都合から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0079】
(1)第1回転軸114と第2回転軸214との各々が、前後方向に沿って延びるように水平に配置され、第2洗濯槽210の前後方向の寸法β1が第1洗濯槽110の前後方向の寸法α1よりも短くてもよい(寸法β1<寸法α1)(
図6参照)。その結果、第2洗濯槽210の後部215を、第1洗濯槽110の後部115よりも前方に配置して、凹み空間Cを形成することが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、洗濯機の分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0081】
1 洗濯機
10a 第1筐体部
10b 第2筐体部
13 背面部
13a 第1背面部
13b 第2背面部
13c 凹み部
50 カバー部
110 第1洗濯槽
114 第1回転軸
140 第1排水経路部
210 第2洗濯槽
214 第2回転軸
240 第2排水経路部
A 水平方向
D 載置面
θ1 第1傾斜角度
θ2 第2傾斜角度