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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-22
(45)【発行日】2023-03-03
(54)【発明の名称】表面曲率を有する電子デバイスの熱成形
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/34 20060101AFI20230224BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20230224BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
H05K3/34 501D
H05K1/02 J
H05K1/02 A
H05K3/46 Q
H05K3/46 T
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020543524
(86)(22)【出願日】2019-02-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-03
(86)【国際出願番号】 NL2019050104
(87)【国際公開番号】W WO2019160417
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】18157378.3
(32)【優先日】2018-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】502015784
【氏名又は名称】ネーデルランドセ オルガニサティエ フォール トエゲパスト-ナトールヴェテンシャッペリク オンデルゾエク ティエヌオー
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】スミッツ,エドガー コンスタン ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ルービング,ヤン―エリック ジャック マルテイン
(72)【発明者】
【氏名】バーリンク,マルコ
【審査官】柴垣 宙央
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-213435(JP,A)
【文献】特開2016-143557(JP,A)
【文献】国際公開第2007/119608(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/34
H05K 1/02
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湾曲した電子デバイス(100)を製造する為の方法であって、
熱可塑性物質(11m)を含む基板(11)を用意すること、
非導電性支持物質(12m)のパターン化された層を印刷して、該基板(11)上へ支持パターン(12)を形成すること、ここで、該支持パターン(12)が、複数の支持アイランド(12a)の間に支持物質(12m)なしに、該基板(11)の複数の開放領域(11a)をつなぐ支持線(12b)によって相互接続された該複数の支持アイランド(12a)を含む、
該支持パターン(12)上へ電気回路(13、14)を施与すること、ここで、該電気回路(13、14)が、該支持線(12b)上へ施与された導電性物質(13m)を含む回路線(13)、及び該複数の支持アイランド(12a)上へ施与された複数の電気要素(14)を備えており、該複数の電気要素(14)が、該回路線(13)によって電気的に相互接続される、
該支持パターン(12)及び該電気回路(13、14)を有する基板(11)の形状を、予め決められた表面曲率(C)に従って変形(S)する為に、高められた加工温度(T)での熱成形プロセス(P)を使用すること、ここで、該支持物質(12m)が、該加工温度(T)で、該変形(S)に対して該基板(11)の該熱可塑性物質(11m)よりも高い抵抗を有し、且つ該変形(S)が、該複数の支持アイランド(12a)の間の開放領域(11a)に集中され、且つ該変形に対する支持物質(12m)の該より高い抵抗が、該熱成形プロセス(P)の間に該支持物質(12m)に施与された該電気回路(13、14)の構造的一体性を維持する、
の工程を含む、前記方法。
【請求項2】
該支持物質(12m)が、該基板(11)の該熱可塑性物質(11m)よりも高いガラス転移温度(Tg)を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該熱成形プロセス(P)が、該基板(11)のガラス転移温度(Tg,11)より上の加工温度(T)に少なくとも基板(11)を加熱することを含み、ここで、該加工温度が、該支持パターン(12)のガラス転移温度(Tg,12)より下に維持される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
該支持物質(12m)が、該加工温度(T)での少なくとも熱成形プロセス(P)の間に、該基板(11)の該熱可塑性物質(11m)よりも高い剛性を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
該変形が、予め決められた表面曲率(C)に従って該基板(11)を屈げる、伸ばす、及び/又は圧縮することを含み、該支持パターン(12)が、該電気回路(13、14)の位置での基板(11)の変形(S)を少なくとも部分的に防止し、ここで、伸び、圧縮、及び/又は屈げの量が、該支持パターン(12)によって覆われていない基板(11)の該開放領域(11a)に集中される、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
該基板(11)の該開放領域(11a)における第1の曲率半径(R1)が、該支持パターン(12)によって覆われている該基板(11)の領域、特に複数の支持アイランド(12a)によって覆われている領域、の第2の曲率半径(R2)よりも小さく、ここで、該第2の曲率半径(R2)が、該電気回路(13、14)に対する構造的損傷を防止する半径閾値を上回るように維持される、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
該支持パターン(12)によって覆われている領域での伸び又は圧縮が、該電気回路(13、14)に対する構造的損傷を防止するパーセント閾値より下に維持される、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
該支持パターン(12)が、5~50マイクロメートルの層厚さ(12t)を有し、ここで、複数の支持アイランド(12a)が、0.5ミリメートルよりも大きい最小の断面直径(12d)を有し、且つ支持線(12b)が、50~200マイクロメートルのレーン幅(12w)を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
該回路線(13)が、該支持線(12b)の経路に追従し、ここで、該支持線(12b)が、該回路線(13)の幅(13w)に等しい又はわずかに大きいレーン幅(12w)を有し、及び、回路線(13)の縁部を越えて延びる該支持線(12b)の縁部が、100マイクロメートルよりも小さい縁部幅(12e)を有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
該支持線(12b)及び該回路線(13)が、複数の支持アイランド(12a)の間の蛇行経路に追従し、ここで、該蛇行経路に沿った長さが、該蛇行経路の2つの端点間の最短直線距離よりも少なくとも2倍大きい、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
該支持パターン(12)を形成する支持物質(12m)が、ポリマー物質を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
該支持パターン(12)の該印刷が、スクリーン印刷によって液状の印刷物質(12p)を基板(11)上へ施与すること、そして該印刷物質(12p)を硬化させて、該支持パターン(12)の該支持物質(12m)を形成することを含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
該回路線(13)が、金属インクを含み、且つ該電気要素(14)が、熱成形プロセス(P)の前に配置された表面実装デバイス(SMD)を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
該電気回路(13、14)の上に、非導電性上層が施与される、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
湾曲した電子デバイス(100)であって、該湾曲した電子デバイス(100)が
熱可塑性物質(11m)を含む基板(11)と、
該基板(11)上に支持パターン(12)を形成する非導電性の印刷された支持物質(12m)の、パターン化された層と、ここで、支持パターン(12)が、複数の支持アイランド(12a)の間に支持物質(12m)なしに、該基板(11)の複数の開放領域(11a)をつなぐ支持線(12b)によって相互接続された該複数の支持アイランド(12a)を含む、
支持パターン(12)上へ施与された電気回路(13、14)と、ここで、該電気回路(13、14)が、該支持線(12b)上へ施与された導電性物質(13m)を含む回路線(13)、及び複数の支持アイランド(12a)上へ施与された複数の電気要素(14)を備えており、該複数の電気要素(14)が、該回路線(13)によって電気的に相互接続されている
を備えており、
該支持パターン(12)及び電気回路(13、14)を有する該基板(11)の形状が、予め決められた表面曲率(C)に従って熱成形プロセス(P)によって変形され、該支持物質(12m)が、変形(S)に対して該基板(11)の熱可塑性物質(11m)よりも高い抵抗を有し、且つ変形(S)が、複数の支持アイランド(12a)の間の開放領域(11a)に集中され、且つ該変形に対する支持物質(12m)の該より高い抵抗が、該熱成形プロセス(P)の間に該支持物質(12m)に施与された該電気回路(13、14)の構造的一体性を維持する、前記湾曲した電子デバイス(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示書は、湾曲した電子デバイスを熱成形プロセスによって製造する方法及び該方法から生じる生成物に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者等は、現在印刷されているインモールド電子機器構造が、成形プロセス中の基板の不安定性の故に、信頼性の問題に悩まされることを見出した。例えば、インモールドされる構造上に複雑な(重い)構成要素を確実に結合することは困難である。1つの救済策は、熱成形可能な基板上における複雑な構成要素(QFN、LED)のパッケージの結合を回避すること、又はおそらく、より伸び可能な電気要素及び相互接続物質を見つけることを包含しうる。他の解決策は、構成要素を備えている電子機器が一体化された箔、例えばPET/PEN、を使用すること、該箔を正しいパターンに切り抜くこと、及び該箔を基板に施与して、完全なスタックを熱成形することを伴いうる。しかしながら、箔から小さいパターンを切り取ることは、極めて困難でありうる。
【0003】
米国特許出願公開第2016/316570(A1)号明細書は、非平面のプリント回路基板アセンブリを製造する為の方法を記載しており、該方法において、電気回路トレースの損傷が、熱成形後にのみパターンを硬化させることによって回避される。しかしながら、これは、成形されていないPCBの取扱いについての制限を課し、且つ物質の使用及びプロセス条件を制限する。さらなる背景として、米国特許出願公開第2005/206047(A1)号明細書は、輪郭を持った回路基板を記載し、特開2004-356144(A)号公報は、部品実装フレキシブル回路基板(component mounting flexible circuit board)を記載している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特に熱成形中又は熱成形後に生じうる回路への損傷を防止しながら、さらに小さい部品(small components)及び接続を有する電子デバイスの製造における多様性且つプロセス条件を改善することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の観点は、湾曲した電子デバイスを製造する改善された方法及び該方法の結果として得られる生成物を提供する。非導電性支持物質のパターン化された層が印刷されて、熱可塑性物質を含む基板上に支持パターンを形成する。該支持パターンは、複数の支持アイランド(12a)の間に支持物質(12m)なしに、熱可塑性基板の複数の開放領域をつなぐ支持線によって相互接続された複数の支持アイランドを含む。支持パターン上へ電気回路が施与される。該電気回路は、支持線上へ施与された複数の導電性物質を含む回路線を備えている。電気要素は、電気要素が回路線によって電気的に相互接続されている複数の支持アイランド上へ施与される。該支持パターン及び該電気回路を有する基板の形状を、予め決められた表面曲率に従って変形する為に、高められた加工温度での熱成形プロセスが使用される。
【0006】
箔からパターンを切り取る代わりに支持パターンを印刷することによって、本発明の方法は、より多用途であり、より正確であり、且つさらに小さい回路パターンに適応されることができる。該支持物質は、変形に対して、基板の熱可塑性物質よりも高い抵抗を有することができる。このようにして、該変形は、複数の支持アイランドの間の開放領域に集中されることができ、該変形に対する支持物質のより高い抵抗が、熱成形プロセス中に該支持物質上に施与される電気回路の構造的一体性を維持する。例えば、該支持物質は、熱成形プロセスの間熱可塑性基板と同様に容易に屈げる又は伸ばす相対的に堅い物質とすることができる。例えば、該支持物質は、熱可塑性物質と比較されると相対的に高いガラス転移又は融解温度を有しうるものであり、従ってまた熱成形プロセスの間に相対的に固い及び/又はより高粘性のままである。
【0007】
本開示書の装置、システム及び方法のこれら及び他の特徴、観点及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲及び添付の図面からよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A図1Aは、湾曲した電子デバイスの一つの実施態様を製造する工程の上面図を概略的に示す。
図1B図1Bは、湾曲した電子デバイスの一つの実施態様を製造する工程の上面図を概略的に示す。
図2A図2Aは、湾曲した電子デバイスの実施態様を製造する他の又はさらなる工程の断面図を概略的に示す。
図2B図2Bは、湾曲した電子デバイスの実施態様を製造する他の又はさらなる工程の断面図を概略的に示す。
図2C図2Cは、湾曲した電子デバイスの実施態様を製造する他の又はさらなる工程の断面図を概略的に示す。
図2D図2Dは、湾曲した電子デバイスの実施態様を製造する他の又はさらなる工程の断面図を概略的に示す。
図2E図2Eは、湾曲した電子デバイスの実施態様を製造する他の又はさらなる工程の断面図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
特定の実施態様について説明する為に使用される語は、本発明を限定することを意図されるものでない。本明細書において使用される場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈上別途明白に指示されない限り、複数形も同様に包含することが意図される。「及び/又は」という語は、列挙される関連項目の1以上のあらゆる組み合わせを包含する。「含む(comprises)」及び/又は「含んでいる(comprising)」という語は、記載の特徴の存在を指定するが、1以上の他の特徴の存在又は追加を除外しないことが理解されるだろう。別途指定されない限り、方法の特定の工程が他の工程に後続すると言及されるとき、該工程は、上記他の工程に直接追従することができ、又は該特定の工程を実施する前に、1以上の介在工程が実施されうることがさらに理解されるだろう。同様に、別途指定されない限り、構造又は構成要素間の接続について説明されるとき、この接続は、直接又は介在構造若しくは構成要素を介して確立されうることが理解されるだろう。
【0010】
本発明は以下、本発明の実施態様が示されている添付の図面を参照してより詳細に説明される。図面において、システム、構成要素、層、並びに領域の絶対的及び相対的なサイズは、見やすいように強調されうる。実施態様は、本発明の場合により概念化された実施態様及び介在構造の概略図及び/又は断面図を参照して説明されうる。発明の詳細な説明及び図面において、全体にわたって同様の番号が同様の要素を云う。相対的な語並びにその派生語は、そこで説明されている向き又は議論されている図面に示されている向きを云うと解釈されるべきである。別途記載されていない限り、これらの相対的な語は説明の便宜の為であり、システムが特定の向きで構築又は動作されることを必要としない。
【0011】
図1A及び図1Bは、湾曲した電子デバイスの一つの実施態様を製造する工程の上面図を概略的に示す。図2A図2Eは、湾曲した電子デバイスの実施態様を製造する他の又はさらなる工程の断面図を概略的に示す。
【0012】
一つの実施態様において、例えば図2Aによって示されている通り、基板11が提供され、基板11は、熱可塑性物質11mを含み、又は本質的に熱可塑性物質11mからなる。熱可塑性プラスチック又は熱軟化性プラスチックは、特有の温度を超えると曲げやすく又は成形可能となり、冷却に応じて(再度)固まりうるプラスチック物質であることが認識されよう。従って、熱可塑性プラスチックは、加熱によって再成形され得、且つ典型的には、様々なポリマー処理技法、例えば射出成形、圧縮成形、カレンダ加工、及び押出し加工によって成形部分を作り出す為に使用される。本明細書に記載されている基板11についての1つの好ましい熱可塑性物質11mは、透明な熱可塑性プラスチックであるポリ(メチルメタクリレート)(PMMA:Poly(methyl methacrylate))(これは、アクリルとしても知られている)である。別の好ましい物質は、好ましくはグリコールを加えた、ポリエチレンテレフタレート(PET)(これは、(PETG)としても知られている)、又はポリカーボネート(PC)である。熱可塑性プラスチックの他の例は、例えば、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS:Acrylonitrile butadiene styrene)、ナイロン又はポリアミド、ポリ乳酸(PLA)、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルスルホン、ポリオキシメチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエチレン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルを包含しうる。
【0013】
一つの実施態様において、図2Aに示されている通り、非導電性支持物質12mのパターン化された層が、基板11上へ印刷することによって施与される。これは、支持パターン12を形成する。一つの実施態様において、支持パターン12は、ポリマー物質を含む。ポリマーは、大きい分子又は高分子であり、繰り返された多くのサブユニットから構成されることが認識されよう。ポリマーは典型的には、モノマーとして知られている多くの小さい分子の重合を介して生成される。その結果、小分子化合物に比べて大きい分子量は典型的には、靭性、粘弾性、並びに結晶でなく、ガラス及び半結晶構造を形成する傾向を包含する固有の物性をもたらす。好ましくは、支持パターン12は、非晶質から半結晶の中間架橋ポリマーを含む。好ましくは、架橋は、膜が高い融解温度を呈し、一方で、その脆性が低いままであることを確実にするのに十分である。例えば、支持パターン12は、エポキシ、アクリル、又はポリイミドを含みうる。好ましい実施態様において、反応性エポキシが使用される。エポキシド前駆体から形成されるポリマーは、そのような物質がもはやエポキシ基を含有しない、又は樹脂の形成において未反応のままであるわずかな残留エポキシ基のみを含有する場合においてでさえも、エポキシと云われることができることが認識されるだろう。
【0014】
好ましい実施態様において、例えば図1Aに示されている通り、支持パターン12は、複数の支持アイランド12aを備えている。示されている実施態様において、基板11はまた複数の支持アイランド12aの間に、支持物質12mなしで開放領域11aを有する。別の又はさらに好ましい実施態様において、また図1Aに示されている通り、複数の支持アイランド12aは、支持線12bによって相互接続されることができ、従って開放領域11aをつなぐように機能することができる。
【0015】
一つの実施態様において、例えば図2C及び図2Dに示されている通り、電気回路13、14が支持パターン12上へ施与される。これはまた、図1Bに示されている。示されている実施態様において、該電気回路は、支持線12b上へ施与された導電性物質13mを含む回路線13を備えている。示されている実施態様において、該回路はまた、複数の支持アイランド12a上へ施与された電気要素14を備えている。電気要素14は、図1Bに概略的に示されている通り、回路線13によって電気的に相互接続されることができる。
【0016】
好ましい実施態様において、例えば図2Eに示されている通り、熱成形プロセス「P」が、支持パターン12と電気回路13、14とを有する基板11の形状の変形「S」の為に施与される。例えば、該形状は、予め決められた表面曲率「C」に従って、平坦な形状から湾曲した形状に変形される。当然ながら、多くの凹面及び/又は凸面の曲率が想定されることができる。典型的には、熱成形プロセスは、熱成形プロセスに好適な高められた加工温度「T」の施与を伴う。例えば、加工温度は、摂氏50度超であり、典型的には80度超であり、又はさらに例えば100~200度である。
【0017】
好ましい実施態様において、支持物質12mは、該変形に対して基板11の熱可塑性物質11mよりも高い抵抗を有する。このようにして、該変形は、複数の支持アイランド12aの間の開放領域11aに集中されるのに対して、該変形に対する支持物質12mのより高い抵抗は、熱成形プロセス「P」の間に支持物質12m上に施与される電気回路13、14の構造的一体性を維持する。図2Eにおいて、該変形は、矢印「S」によって概略的に示されており、概して1以上の次元に沿って主として基板の曲率及び/又は長さの変化(伸び/圧縮)を包含しうる。
【0018】
一つの実施態様において、支持物質12mは、基板11の熱可塑性物質11mよりも高い、例えば少なくとも10パーセント高い、好ましくは少なくとも50パーセント高い、少なくとも2倍高い、又はそれよりも高い剛性を有する。該基板物質と比較して、該支持パターン物質の剛度が高いほど、支持パターンによって覆われている基板の領域での変形が小さくなる。好ましくは、少なくとも変形が生じる熱成形プロセス「P」の間に、より好ましくはその後においても、該電気回路が施与された領域で少なくとも部分的に変形「S」に耐え続ける為に、剛性がより高くなる。
【0019】
弾性係数は、応力が施与されたときの弾性変形(非恒久的)に対する物体又は物質の抵抗を定量化又は測定しうる物質特性として認識される。一般的に、より堅い物質は、より高い弾性係数を有する。方向を含め、応力及び歪みがどのように測定されるかを指定することで、ヤング係数(E)、剪断弾性係数又は捩り剛性係数(G又はμ)、及び体積弾性係数(K)を包含する異なるタイプの弾性係数が定義されることを可能にする。好ましい実施態様において、該支持パターンは、少なくとも熱可塑性物質11mと比較して、上記で定義された係数の1以上、好ましくは全て、で表される相対的に高い弾性係数を有する支持物質12mを含み、又は本質的にそのような支持物質12mからなる。
【0020】
一つの実施態様において、支持物質12mは、基板11の熱可塑性物質11mよりも高いガラス転移温度「Tg」を有する。ガラス転移は、温度範囲間で生じうるプロセスとすることができることが認識されであろう。特有の物質に対して数ケルビン異なりうるガラス転移温度の異なる動作定義が使用される。それにもかかわらず、任意の定義に従ったガラス転移温度がなお、相対的に低い又は高いものとして相対的に比較されうる。例えば、本出願に関係しうる1つの定義は、例えばガラス転移温度「Tg」を1012Pa・sの値で固定する粘性を云う。一つの実施態様において、そのように定義された支持物質12mのガラス転移温度は、熱可塑性物質11mのガラス転移温度よりも少なくとも摂氏10度、好ましくは少なくとも摂氏20度、少なくとも30又は少なくとも50度高い。ガラス転移温度が十分に異なる場合、熱成形プロセスの加工温度は、これらの間で好適に選択されることができることが理解されるだろう。
【0021】
一つの実施態様において、熱成形プロセス「P」は、基板11のガラス転移温度「Tg」,11より上の加工温度「T」まで少なくとも基板11を加熱することを含み、加工温度は、支持パターン12のガラス転移温度「Tg」,12より下になるように、又は少なくとも支持パターン12の融解温度より下になるように維持される。当然ながら、支持物質12mがガラス転移を有しない可能性もあり、その場合ガラス転移温度は、無限であると見なされることができ、又は支持物質12mの融解若しくは分解温度が代用されることができる。好ましくは、支持パターン12は、ガラス転移を受けず、又は少なくとも熱成形プロセス「P」で融解しない。少なくとも、支持パターン12は好ましくは、基板11よりも高い融解温度を有する。代替的には又は追加として、支持パターン12は、少なくとも熱成形プロセス「P」の間に基板11よりも高い粘性を有しうる。
【0022】
好ましくは、基板11の熱可塑性物質11mは、高すぎない、例えば摂氏300度よりも低い、又は摂氏200度よりも低い、少なくとも電気要素14の損傷温度よりも低いガラス転移温度を有する。好ましくは、熱可塑性物質11mは、低すぎない、例えば摂氏70度超、好ましくは摂氏100度超、少なくとも製造後の正常使用中に電子デバイス100の不用意な変形を防止するのに十分なほど高いガラス転移温度を有する。例えば、商用グレードのPMMAのTg値は典型的には、85~165℃である。
【0023】
好ましい実施態様において、該変形は、基板11を、予め決められた表面曲率「C」に従って屈げることを含む。例えば、基板11は、図2Eに示されている通り、型15を使用して変形され、型15は、予め決められた表面曲率「C」を決定することができる。型15はまた、幾つかの実施態様において、電子デバイス100の一部となりうるものであり、又は型に加えて、さらなる支持構造が提供されることができる。基板、支持層、及び回路の形状を変形する為に、示されているもの以外の他の成形又は熱成形プロセスがまた想定されることができる。
【0024】
好ましい実施態様において、支持パターン12は、基板11の幾つかの領域を覆い、一方で、覆われた領域間の他の領域11aは開放したままにし、すなわち支持パターン12がない。該開放領域は、変形の大部分を提供しうる。幾つかの実施態様において、変形、例えば屈げ、は、基板11の異なる領域を伸ばす及び/又は圧縮することを含む。有利には、支持パターン12は、電気回路13、14の位置で、基板11の変形「S」を少なくとも部分的に防止しうる。例えば、変形「S」は好ましくは、支持パターン12間の基板11の開放領域11aに集中される。従って、伸び、圧縮、及び/又は屈げの量が、支持パターン12によって覆われていない、基板11の開放領域11aに集中される。
【0025】
幾つかの実施態様において、図2Eによって概略的に示されている通り、基板11の開放領域11aでの第1の曲率半径R1が、支持パターン12によって覆われている基板領域、特に複数の支持アイランド12aによって覆われている領域の第2の曲率半径R2よりも小さい。言い換えれば、曲率は、開放領域11aにおいて、覆われている領域よりも高くありうる。例えば、第1の曲率半径R1は、1メートルよりも小さく、0.5メートルよりも小さく、又はそれよりも小さく、例えば1~10センチメートルとすることができる。例えば、第2の曲率半径R2は、第1の曲率半径R1よりも、10パーセント超(すなわち、1.1倍)、幾つかの場合は20パーセント超、又はさらにはそれ以上、例えば50パーセント又はさらには2倍超大きくすることができる。幾つかの実施態様において、第2の曲率半径R2が、電気回路13、14に対する構造的損傷を防止する半径閾値を上回るように維持される。例えば、支持パターン12は、1メートルよりも大きい、2メートルよりも大きい、又はさらにはそれよりも大きい閾値を上回るように、第2の曲率半径R2を維持し、例えば特に複数の支持アイランド12aで実質的に平坦な形状を維持する。電気回路13、14が施与される領域で支持パターン12が平坦に維持されるほど、より多くの損傷が防止されうる。典型的には、支持パターン12上に堆積された回路パターン13、14によって表された、示されている第3の曲率半径R3は、第2の曲率半径R2と同じに、又は第2の曲率半径R2よりも大きくなりうる(すなわち、さらには湾曲がよりも小さくなる)。
【0026】
幾つかの実施態様において、基板11の開放領域11aでの基板11の伸び又は圧縮の量は、支持パターン12によって覆われている基板領域、特に複数の支持アイランド12aによって覆われている領域、よりも大きい。言い換えれば、特に基板表面に沿った伸び又は圧縮は、特に複数の支持アイランド12aの間の開放領域11aに集中されうる。例えば、支持パターン12によって覆われている領域での伸び又は圧縮は、電気回路13、14の構造的損傷を防止する為に、パーセント閾値を下回るように維持されうる。例えば、支持パターン12は、基板表面に平行な1以上の次元に沿ったその長さを20パーセントの範囲内で維持し(すなわち、1.2よりも小さい係数で長さを伸ばし、又は0.8よりも大きい係数で長さを圧縮する)、好ましくは、長さは、10パーセントの範囲内で、より好ましくは5パーセントの範囲内で、若しくはさらには1パーセントよりも小さく維持され、又は実質上伸ばさない/圧縮しない。少なくとも支持線12b及び回路線13の長さ又は複数の支持アイランド12aの両方の次元に沿って、表面に沿った伸び及び圧縮が防止されればされるほど、損傷はより良好に防止されうる。複数の支持アイランド12aの間の開放領域11aの伸び(又は屈げ)は、特にこれらがバッファ構造、例えば蛇行した線を備えた場合、必ずしも支持線12bの長さに沿った大きい伸び(又は支持線12bを横断する屈げ)をもたらさないことが理解されるだろう。
【0027】
幾つかの実施態様において、例えば示されている通り、支持パターン12は、例えば複数の支持アイランド12aを備えており、電気回路は、複数の支持アイランド12a上に配置された電気要素14を備えている。幾つかの実施態様において、例えば図1Aに示されている通り、複数の支持アイランド12aは、基板の表面に沿って、例えば0.5ミリメートルよりも大きい、1ミリメートルよりも大きい、0.5センチメートルよりも大きい、1センチメートルよりも大きい、又はそれよりも大きい最小の断面直径12dを有する。他の又はさらなる実施態様において、例えば図1Bに示されている通り、複数の支持アイランド12aは、アイランド上のそれぞれの1以上の電気要素14の周りに最小の辺縁12rを提供する。好ましくは、それぞれの1以上の要素14とアイランド12の縁部との間の複数の支持アイランド12aの最小の辺縁12rは、例えば、0.5ミリメートルよりも大きく、1ミリメートルよりも大きく、0.5センチメートルよりも大きく、又はそれよりも大きい。本発明者等は、特に該要素がそれぞれのアイランドの中心又は中心付近に配置されている場合に、よりも大きい辺縁が、それぞれの要素を変形からより良好に保護しうることを見出した。
【0028】
本発明者等は、よりも大きいアイランドが、熱成形プロセスの間にマイグレーションを受けにくくなりうることを見出した。従って、アイランドサイズを増大することは、予め決められた位置に対する要素の相対的配置を確実にしうるものであり、それは、電子デバイス100による信号伝達又は外部相互作用を提供する要素、例えばLED及び/又はボタン、にとって特に有益であることができる。電気要素14に加えて、回路への電気(外部)コネクタがまた好ましくは、相対的に大きい支持アイランド上に配置される。これは、コネクタのより予測可能な配置を確実にし得、電子デバイス100への接続の形成をより容易にする。
【0029】
幾つかの実施態様において、例えば示されている通り、支持パターン12は、例えば複数の支持線12bを備えており、該電気回路は、回路線13、すなわち支持線12b上に電気相互接続を形成する導電性レーン、を備えている。好ましくは、支持線12bは、支持線12b上に施与されたそれぞれの対応する回路線13のそれぞれの経路に追従する。言い換えれば、回路線13の経路は好ましくは、支持線12bの経路に平行である。示されている実施態様において、回路線13は、複数の電気要素14間に電気相互接続を形成する。同様に、支持線12bは、複数の支持アイランド12aの間に支持相互接続を形成しうる。
【0030】
幾つかの実施態様において、例えば図1Aに示されている通り、支持レーン又は線12bは、例えば少なくとも10マイクロメートル、好ましくは少なくとも50マイクロメートル、例えば100~500マイクロメートル、好ましくは200マイクロメートルよりも小さい、のレーン幅12wを有する。一方では、該支持線は好ましくは、十分な支持を提供し且つ回路線13を損傷から保護するのに十分なほど太い。他方では、該支持線は好ましくは、回路線13のパターン、例えば示されている蛇行パターン、によって提供されうる可撓性を妨げないように十分に狭い。幾つかの好ましい実施態様において、レーン幅12wは、回路線13の幅13wに(ほぼ)等しい又はほんのわずかに大きい。例えば、回路線13の縁部を越えて延びる支持線12bの縁部は、100マイクロメートルよりも小さい、好ましくは50マイクロメートルよりも小さい、20マイクロメートルよりも小さい、又はそれよりも小さい、縁部幅12eを有し、例えば縁部は0~10マイクロメートルよりも小さい。他の又はさらなる実施態様において、回路レーン13の幅13w(基板の表面に沿っている)は、200マイクロメートルよりも小さく、好ましくは100マイクロメートルよりも小さく、例えば10~50マイクロメートルとすることができる。相対的に細い支持線は、その長さに沿って回路線13の伸びを防止ししながら、より良好な可撓性を提供しうる。
【0031】
好ましい実施態様において、支持線12b及び上部の回路線13は、例えば図1Aに示されている通り、複数の支持アイランド12aの間の蛇行又は湾曲した経路に追従するバッファ構造を備えている。典型的には、蛇行又は湾曲した経路に沿った長さは、経路の2つの端点間の最短直線距離(経路に沿っていない)よりも大きく、例えば少なくとも50パーセント、好ましくは少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、又はそれよりも大きくなりうる。経路に沿った長さと端点間のまっすぐな距離との比が大きいほど、回路線13を切断することなしに、該経路はさらに再配置又は伸び(解放)することが可能である。
【0032】
幾つかの実施態様において、蛇行経路は、その方向を逆方向に数回、例えば少なくとも2回、好ましくは少なくとも3回、4回、又はそれより多く変更する。これは、経路を解放して追加の可撓性を提供することを可能にしうる。幾つかの実施態様において、図1Aに示されている通り、該方向は毎回、少なくとも40度の平面角、好ましくは少なくとも90度、少なくとも130、若しくはさらには180度、又はそれよりも大きい(例えば、旋回)角度「α」だけ変化しうる。幾つかの実施態様において、該方向は、前後に変化することができる。例えば、示されている実施態様において、複数の支持アイランド12aの間の回路レーンの支持パターン12bに追従しながら、経路はまず、約90度の角度だけ左に屈がり、次いで上部で約180度の角度だけ右に屈がり、次いで下部で180度の角度だけ再び左に屈がり、最後に約90度の角度だけ再び右に屈がる。当然ながら、また、他の蛇行パターンも想定されることができる。
【0033】
一つの実施態様において、例えば図2Bによって示されている通り、支持パターン12は、例えば1~100マイクロメートル、好ましくは5~50マイクロメートル、より好ましくは10~20マイクロメートル、の特定の層厚さ12tを有する。幾つかの実施態様(図示せず)において、層厚さは、可変とし得、例えば複数の支持アイランド12aで支持線12bより厚くしうる。好ましくは、少なくとも支持パターン12は、上部の電子回路の寸法の完全性を維持することが可能である。また好ましくは、少なくとも支持線12b及びその上の回路線13は、制限された伸びを可能にしうる。例えば、支持パターン12は、少なくとも10パーセントの破断伸びを有し、例えば分裂及び/又は回路の本質的な機能の損失なく、例えばレーンの長さに沿って1.1倍の支持レーンの伸びを可能にする。例えば、支持パターン12は、可逆的変形を可能にする少なくともある程度の弾性を有することができ、例えば少なくとも1パーセント、すなわち1.01倍、又はそれ以上、例えば2~5パーセント伸ばされたときに元の形状の事象に戻ることができる。例えば、幾つかの実施態様において、支持物質12mは、100MPa~10GPaのヤング係数を有する。また好ましくは、支持パターン12は、普通なら望ましくないヤング係数の大幅な下落を招きうる熱成形プロセスの間に、それほど軟化又は融解しない。
【0034】
本明細書に記載されている通り、支持パターン12は好ましくは、印刷可能な(printable)物質若しくは印刷された(printed)物質を含み、又はそのような物質によって形成される。幾つかの実施態様において、支持パターン12の印刷は、(液状の)印刷物質(printing material)12pを基板11上へ施与することを含む。他の又はさらなる実施態様において、印刷物質12pは硬化されて、支持パターン12の支持物質12mを形成しうる。例えば、印刷物質12pは、前駆体(例えば、モノマー)を含み、硬化は、前駆体を重合し且つ少なくとも部分的に架橋して、支持パターン12を形成することを含む。例えば、印刷物質12pは溶剤を含み、硬化は、支持パターン12を残して溶剤を乾燥させることを含む。また、印刷物質12pを硬化させる為のさらなる又は他のプロセス、例えば光、例えばUV、による加熱処置及び/又は硬化が想定されることができる。支持パターン12を印刷する為の好適なプロセスは例えば、スクリーン印刷を含みうる。これは、シートごとに実行されうるが、ストップアンドゴープロセス(stop and go process)を使用して連続R2R様式でまた行われることが可能である。代替的には、回転スクリーン印刷プロセスが利用されることができる。
【0035】
本明細書に記載されている通り、回路線13は、導電性物質を含む。従って、回路線13は、例えば複数の電気要素14の間及び/又は該要素と(外部)電気接続との間で電気を伝導するように構成される。好ましい実施態様において、回路線13は、金属インク、最も好ましくは銀インク、を含む。幾つかの実施態様において、回路線13は、支持線12b上に堆積され、例えば印刷によってまた堆積される。好ましくは、回路線13は、本質的な機能を失うことなく、少なくとも1パーセント、好ましくは少なくとも5パーセント、若しくはさらには10パーセント、又はそれよりも大きい破断伸びを提供する。好ましくは、回路線13は、少なくとも1メートル、少なくとも0.5メートル、又はそれよりも小さいそれらの長さを横断する制限された半径にわたって屈げられることができ、例えば、回路が本質的な機能を失うことなく、線が10センチメートルの半径にわたって屈げられることを可能にする。
【0036】
幾つかの実施態様において、電気要素14は、表面実装デバイス(SMD:surface mounted device)を備えている。例えば、電気要素14は、集積回路、若しくはトランスデューサ、例えば発光デバイス(LED)、若しくはインターフェース構成要素、例えば押しボタン、スイッチなど、又は電子デバイス100の任意の他の機能的構成要素を備えている。例えば、電気要素14は、電気回路、例えば回路レーン、の結合パッド上へ、導電性接着剤、例えばICA、で配置され、例えばはんだ付けされ、さもなくば他の方法で結合されうる。例えば、該配置は、ピックアンドプレース(pick-and-place)、光誘起前方転写(LIFT:light inducing forward transfer)、又は他の配置方法を伴いうる。
【0037】
幾つかの実施態様において、電気要素14を配置する前に、例えば回路の電気接続の間に又は結合パッドの間に、アンダーフィルを施与することが好ましい。例えば、該アンダーフィルは、複数の支持アイランド12aと電気要素14との間の空間を埋める。幾つかの実施態様において、該アンダーフィルはまた、好ましくは支持パターン12と同じ物質を使用して、印刷される。幾つかの実施態様において、電気要素14それ自体が、印刷された構成要素とされ、又はさもなくば堆積された物質から構築されうる。
【0038】
幾つかの実施態様(図示せず)において、電気回路13、14の頂部上に非導電性の上層が施与される。任意的に、該上層は、回路の下の支持パターン12と同じ又は類似のパターンを有する別の支持パターンを備えている。代替的には又は追加として、該上層は、別の熱可塑性基板を含み得、該回路は、複数の基板の間に挟まれることができる。
【0039】
本明細書に記載されている方法は、対応する湾曲した電子デバイス100を提供しうる。一つの実施態様において、電子デバイス100は、熱可塑性物質11mを含む基板11を備えている。別の又はさらなる実施態様は、基板11上に支持パターン12を形成する非導電性の印刷可能な支持物質12mのパターン化された層を備えている。電気回路13、14が、支持パターン12上へ施与されることができる。特に、支持パターン12及び電気回路13、14を備えている基板11の形状は、予め決められた表面曲率「C」に従って熱成形プロセス「P」によって形成される。一つの応用例において、電子デバイス100は、車用の湾曲したダッシュボードを備えており、電気要素14、例えばライト及びボタン、が、ダッシュボード内に組み込まれる。当然ながら、多くの他の応用例が想定されることができる。
【0040】
明瞭性及び簡潔な説明の目的の為に、特徴が、同じ又は別個の実施態様の一部として本明細書において記載されるが、本発明の範囲は、記載されている特徴の全て又は幾つかの組み合わせを有する実施態様を包含しうることが理解されるだろう。当然ながら、上述した実施態様又は方法のいずれか1つは、設計及び利点の発見及び整合におけるさらなる改善を提供する為に、1以上の他の実施態様又は方法と組み合わされうることを理解されたい。本開示は、熱成形プロセスにおける湾曲した表面を有する電子デバイスの製造に特定の利点を提供し、概して、支持パターンによって電子回路が下にある基板の変形から保護されるべきあらゆる応用例に施与されることができることが理解されるだろう。
【0041】
幾つかの実施態様において、本解決策は、回路全体の下にポリマー電気絶縁膜(誘電体)を印刷して、熱成形プロセス中に確実で明確な基板を確保することを含みうる。例えばPEN/PET/PIに同等の(高い)破壊強度(例えば、10%超の極限伸び及び1%超の弾性歪み)を有する膜は好ましくは、電子回路及びその上の構成要素の寸法完全性を確保することが可能である。好ましくは、少なくとも支持構造は、熱成形温度で融解しない(普通ならヤング係数の大幅な下落を招きうる)。これは、熱成形プロセス中に印刷回路の不確定の再分布をもたらすはずである。回路の主要部分が定位置に留まることを確実にする為に、局所的な伸びに対応するように、蛇行形状の薄い機械バッファ構造が含まれうる。そのような構造は、変形に必要とされる力を低減させるように構造の幅が制限されることができる機械的な規則に従って設計されうる。
【0042】
本解決策の幾つかの観点は、印刷のみの方法を提供しながら、積層に基づくインモールドシステム(in-mould system)の信頼性を確保することができることが理解されるだろう。該解決策は、製作の容易さとより高いレベルの信頼性とを組み合わせうる。同様に、使用済みの金属インク及び相互接続物質に対する要件を緩めることができる。印刷のみの解決策を使用することで、機械バッファ構造(すなわち、蛇行メッシュワイア)をよりも小さくすることが可能であり、従来の積層に基づく解決策と比較されると、優れた性能を提供する。1つの工程は、熱成形されるべき構造に対して調整された設計を定義することを含みうる。この点で、熱成形される要素上に十分な冗長の配線を備えていることが有用である。
【0043】
印刷されるべき支持物質、例えばポリマー誘電体膜、の選択は、ありうる降伏強度、ヤング係数、並びに破壊強度を定義しうる。フィラー充填量の少ない非晶質から半結晶の中間架橋ポリマーが好ましい。例えば、乾燥膜の総厚さは、10~20μm程度となりうる。蛇行ワイア構造の場合、高いレベルの伸び性を提供する為に、100~200μm前後の幅が推奨される。支持層、例えばポリマー膜、は、底部でのみにすることができるが、両側にそれを印刷することが勧められる。
【0044】
金属化の為に、形成中の膜上の金属構造の可能な伸びが補償されることができることを保証するように、わずかに伸び可能/形成可能な金属銀インクが有益であることができる。一方、適切な設計規則を用いて、慣用的な銀ペースト又はさらには純粋な金属膜、例えば無電解めっきされた銅膜、がまた用いられることができる。
【0045】
電気要素、例えばSMD、は、形成中に、構成要素上の剪断を可能な限り小さくすることを確実にする為に、機械応力が低い領域上に配置されることができる。結合は、例えばICA又ははんだを介して実現されることができる。任意的に、高ヤング係数のアンダーフィル物質(underfill material)が、結合後、SMD構成要素の下に印刷されることができる。これは、結合パッドの下に構造的変形がないことを保証しうる。この膜に結合されたSMD構成要素は、安定した構造を有し得、結合パッドの下の変形の可能性を低減させる。本解決策はまた、純粋金属電気構造を可能にする為に、無電解印刷と組み合わされうる。蛇行を使用すると、構造自体が再構成しうる故に、印刷のみの構造よりはるかに大きい変形が施与されることができる。これは、より極端な形態に対して新しい選択肢を広げうる。
【0046】
添付の特許請求の範囲を解釈する上で、別途特別な記載がない限り、「含む(comprising)」という単語は、所与の請求項に列挙されたもの以外の他の要素又は動作の存在を除外しないこと、要素に先行する「a」又は「an」という単語は、複数のそのような要素の存在を除外しないこと、特許請求の範囲内のあらゆる参照符号は、特許請求の範囲を限定しないこと、幾つかの「手段」は、同じ又は異なる1以上の物品又は実施された構造若しくは機能によって表されうること、開示されたデバイス又はその部分のいずれかは、ともに組み合わされ、又はさらなる部分に分離されうることを理解されたい。1つの請求項が別の請求項に言及する場合、これは、それぞれの特徴の組み合わせによって実現される相互作用の利点を示しうる。しかし、相互に異なる請求項で特定の方策が引用されていることだけで、これらの方策の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。従って、本実施態様は、請求項のあらゆる機能的な組み合わせを包含しうるものであり、各請求項は原則的に、文脈により明白に除外されない限り、任意の先行する請求項に言及することができる。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E